JP2023158704A - ブーム散布装置及びブーム開閉用の流体圧シリンダ - Google Patents

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Atsushi Ota
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彩花 畠山
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Abstract

【課題】開き切りおよび折りたたみ(閉じ切り)付近以外のブームの開閉速度を低下させることなく、開き切りおよび折りたたみ(閉じ切り)付近だけでブームの開閉速度を減少させることで、ブーム開閉時におけるブーム同士の衝撃を緩和できるとともに、比較的簡単な構造でレイアウトが可能なブーム散布装置及びブーム開閉用の流体圧シリンダを提供する。【解決手段】第2ブーム(先ブーム46)を第1ブーム(元ブーム44)に対して所定の姿勢(展開姿勢E、折りたたみ姿勢F)に揺動変位させるときにピストン26においてポート23A,23Bに対向する部分に、シリンダ20の軸方向に向けて先細となる(縮径する)テーパ面部26A,26Bが設けられている。【選択図】図3

Description

本発明は、ブーム散布装置及びブーム開閉用の流体圧シリンダに関する。
ブームスプレーヤなどのブーム散布装置は、圃場を走行するトラクタや牽引車等の走行機体に配備される。このブーム散布装置は、走行機体の進行方向に交差する側方に向けて延設(展開)されるブームを備え、圃場内の走行工程でブーム長さに対応した広面積の散布作業を行うことができる。
前記ブーム散布装置は、一般に、非作業時にブームを所定の格納位置(収納位置等とも称する)に折りたたむ機構を備えている。この折りたたみ機構(開閉機構等とも称する)としては、各種の形態が知られているが、走行機体の進行方向に交差する側方に向けて延設されるブームを走行機体の進行方向に沿った方向に向けるように略90°折りたたむものが知られている(下記特許文献1、2参照)。
また、このブーム散布装置では、ブームの長さを長くするほど、広い面積に散布作業を行うことができる。しかし、長いブームは移動時や格納時において邪魔になる。そこで、長いブームにおける前記デメリットを解消するため、ブームの先端側を略垂直方向に(上方に)折りたたむものが提案されている(下記特許文献3参照)。
ところで、前記のような展開および折りたたみを自在とした(開閉自在とした)ブームを備えたブーム散布装置では、ブームを折りたたんだ状態から展開する場合に、直線状に展開される瞬間の衝撃が基端側のブームと先端側のブームとの連結部分に伝わり、各ブームの破損や故障等の原因となるおそれがある。また、ブームを展開した状態から折りたたむ場合も同様に、折りたたまれる瞬間の衝撃が各ブームの破損や故障等の原因となるおそれがある。このため、ブームを展開または折りたたむ場合に、オペレーターはゆっくりと慎重に操作しなければならず、作業開始時や作業終了時に煩わしい作業となっていた。
すなわち、上記のような折りたたみ方式のブームでは、散布作業時に先端側のブームを開いて使用し、作業終了時には先端側のブームを折りたたむ(閉じる)というブームの開閉動作が生じる。この開閉動作を等速で行うと、折りたたまれる瞬間(たたみ切りや閉じ切りとも呼ぶ)または展開される瞬間(開き切りとも呼ぶ)に基端側と先端側のブーム同士で大きな衝撃が加わり、破損や故障等につながる恐れがある。それを防止するために、開閉動作全体の速度を落としたり、オペレーターがブームを注意して操作することは、作業性の低下につながる。
そこで、ブームを折りたたんだ状態から展開する際および展開された状態から折りたたまれる際におけるブーム同士の衝撃を緩和するものが提案されている(下記特許文献3、4参照)。
特許文献3では、ブームが完全に展開される直前(先端側のブームが展開されて基端側のブームと直列に並ぶとき)およびブームが完全に折りたたまれる直前(先端側のブームが基端側のブームの上方側に折りたたまれるとき)の先端側のブームの回転角速度(開閉速度)を抑えることで、先端側のブームが展開および折りたたまれる際に生じる衝撃を緩和するものが提案されている。
特許文献4では、揺動始め(始端)と終り(終端)のブームの揺動速度(開閉速度)を遅くすることで、揺動の際の衝撃を緩和するものが提案されている。
特許第5941759号公報 特開2004-132461号公報 特開2013-116078号公報 実開昭60-005473号公報
しかしながら、特許文献3、4に所載の従来技術は、伸縮作動することにより先端側のブームを駆動してその姿勢を保持するシリンダ作動(伸縮)速度は一定としつつ、リンク配置により、ブームの開き切りおよびたたみ切り(閉じ切り)の際の先端側のブームの開閉速度を減少するものである。そのため、リンク配置が複雑になり、レイアウトが難しくなる、コストが嵩む等の課題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、開き切りおよび折りたたみ(閉じ切り)付近以外のブームの開閉速度を低下させることなく、開き切りおよび折りたたみ(閉じ切り)付近だけでブームの開閉速度を減少させることで、ブーム開閉時におけるブーム同士の衝撃を緩和できるとともに、比較的簡単な構造でレイアウトが可能なブーム散布装置及びブーム開閉用の流体圧シリンダを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係るブーム散布装置は、走行機体に設置される機体フレームに散布作業用のブームが開閉揺動自在に枢支され、基端側の第1ブームと、前記第1ブームに揺動自在に設けられた先端側の第2ブームと、伸縮作動することにより前記第2ブームを前記第1ブームに対して所定の姿勢に保持する流体圧シリンダと、を備え、前記流体圧シリンダは、作動流体が封入される筒状のシリンダチューブと、該シリンダチューブ内に進退自在に挿入されるピストンロッドと、該ピストンロッドに連結されるとともに前記シリンダチューブ内に摺動自在に嵌挿されて前後二つの流体室を画成するピストンと、前記二つの流体室のそれぞれに作動流体を出し入れするための二つのポートと、を有し、前記第2ブームを前記第1ブームに対して前記所定の姿勢に揺動変位させるときに前記ピストンにおいて前記ポートに対向する部分に、前記流体圧シリンダの軸方向に向けて先細となるテーパ面部が設けられていることを特徴としている。
好ましい態様では、前記第2ブームを前記第1ブームに対して前記所定の姿勢に揺動変位させるときに、前記テーパ面部により、前記ポートを通した前記流体室の前記作動流体の流出量が絞られ、前記流体圧シリンダの伸縮速度が減少せしめられ、前記第2ブームの前記第1ブームに対する揺動速度が減少せしめられる。
他の好ましい態様では、前記所定の姿勢は、前記第2ブームを前記第1ブームに対して展開した展開姿勢と、前記第2ブームを前記第1ブームに対して折りたたんだ折りたたみ姿勢と、を含み、前記ピストンにおいて、前記第2ブームを前記展開姿勢に揺動変位させるときに前記二つのポートの一方のポートに対向する部分に前記流体圧シリンダの軸方向の一端部に向けて先細となる展開側テーパ面部が設けられ、前記第2ブームを前記折りたたみ姿勢に揺動変位させるときに前記二つのポートの他方のポートに対向する部分に前記流体圧シリンダの軸方向の他端部に向けて先細となる折りたたみ側テーパ面部が設けられる。
更に好ましい態様では、前記展開側テーパ面部の軸方向長さが、前記折りたたみ側テーパ面部の軸方向長さより長く設定される。
更に好ましい態様では、前記展開側テーパ面部の軸方向に対する傾きが、前記折りたたみ側テーパ面部の軸方向に対する傾きより小さく設定される。
別の好ましい態様では、前記第2ブームは、前記第1ブームに鉛直面内を揺動自在に枢支される。
また、本発明に係るブーム開閉用の流体圧シリンダは、散布作業用のブームを開閉揺動させるための流体圧シリンダであって、伸縮作動することにより第1ブームに揺動自在に設けられた第2ブームを前記第1ブームに対して所定の姿勢に保持する流体圧シリンダにおいて、前記流体圧シリンダは、作動流体が封入される筒状のシリンダチューブと、該シリンダチューブ内に進退自在に挿入されるピストンロッドと、該ピストンロッドに連結されるとともに前記シリンダチューブ内に摺動自在に嵌挿されて前後二つの流体室を画成するピストンと、前記二つの流体室のそれぞれに作動流体を出し入れするための二つのポートと、を有し、前記第2ブームを前記第1ブームに対して前記所定の姿勢に揺動変位させるときに前記ピストンにおいて前記ポートに対向する部分に、前記流体圧シリンダの軸方向に向けて先細となるテーパ面部が設けられていることを特徴としている。
好ましい態様では、前記所定の姿勢は二つの姿勢を含み、前記ピストンにおいて、前記第2ブームを前記二つの姿勢の一方の姿勢に揺動変位させるときに前記二つのポートの一方のポートに対向する部分に前記流体圧シリンダの軸方向の一端部に向けて先細となる一端側テーパ面部が設けられ、前記第2ブームを前記二つの姿勢の他方の姿勢に揺動変位させるときに前記二つのポートの他方のポートに対向する部分に前記流体圧シリンダの軸方向の他端部に向けて先細となる他端側テーパ面部が設けられる。
本発明によれば、先端側のブームを開閉駆動する流体圧シリンダのピストンにテーパ面部を設けることにより、先端側のブームを基端側のブームに対して所定の姿勢に揺動変位させるときの流体圧シリンダの長さ(例えば、最大伸長または最大収縮)の付近で作動流体の流出量が絞られる。そのため、先端側のブームを基端側のブームに対して所定の姿勢に保持する付近(例えば、ブームの開き切りまたはたたみ切りの付近)だけで、流体圧シリンダの伸縮速度が減少し、ブームにブレーキがかかって減速する(すなわち、ブームの揺動速度ないし開閉速度が低下する)。これにより、先端側のブームを基端側のブームに対して所定の姿勢に保持する付近(例えば、ブームの開き切りまたはたたみ切りの付近)以外の揺動速度ないし開閉速度を低下させることなく、ブーム開閉時の衝撃を緩和でき、もって、ブームの破損や故障等を抑制できる。また、流体圧シリンダの動作のみで制御可能となるため、その流体圧シリンダで駆動させるリンク部分は、比較的簡単な構造でレイアウトが可能である。
また、折りたたみ方式のブームは、通常、折りたたまれる時のブーム同士の衝突を防止する衝突防止機構が設けられており、当該衝突防止機構によって折りたたまれる時の方が展開する時よりもブーム開閉時の衝撃が抑えられる傾向がある。本発明によれば、展開側テーパ面部が、折りたたみ側テーパ面部より、軸方向の長さが長く設定される、あるいは、軸方向に対する傾きが小さく設定されることにより、ブームが完全に展開する時の衝撃をより効果的に緩和できる。
また、ブーム同士が鉛直面内で揺動する場合は、ブーム同士が水平面内で揺動する場合より、重力作用分だけブーム開閉時の衝撃が大きくなると考えられる。本発明によれば、かかる状況においてもブーム開閉時の衝撃を効果的に緩和することが可能である。
本発明の実施形態に係るブーム散布装置の全体構成を示す斜視図である。 図1における元ブームと先ブームの連結部分におけるリンク機構の構成を示す要部拡大斜視図である。 図1および図2における油圧シリンダの内部構成を示す横断面図である。 本実施形態において、先ブームが展開姿勢をとる手前の状態を示し、(A)は油圧シリンダの内部構成を示す横断面図、(B)は元ブームと先ブームとの連結部分の要部拡大正面図である。 本実施形態において、先ブームが展開姿勢をとる状態を示し、(A)は油圧シリンダの内部構成を示す横断面図、(B)は元ブームと先ブームとの連結部分の要部拡大正面図である。 本実施形態において、先ブームが折りたたみ姿勢をとる手前の状態を示し、(A)は油圧シリンダの内部構成を示す横断面図、(B)は元ブームと先ブームとの連結部分の要部拡大正面図である。 本実施形態において、先ブームが折りたたみ姿勢をとる状態を示し、(A)は油圧シリンダの内部構成を示す横断面図、(B)は元ブームと先ブームとの連結部分の要部拡大正面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明において同一要素には同一符号を付し、重複説明は省略する場合がある。また、上下、左右、前後等の方向を示す用語は、走行機体の通常の進行方向を基準としている。
図1は、本発明の実施形態に係るブーム散布装置1の全体構成を示す斜視図である。図2は、図1における元ブームと先ブームの連結部分におけるリンク機構の構成を示す要部拡大斜視図である。
本実施形態のブーム散布装置1は、圃場を走行する走行機体に配備され、圃場内の走行工程で散布作業用のブームに設けられた散布ノズルから薬液などを散布する作業を行うための装置である。このブーム散布装置1は、基本構成として、走行機体に設置される機体フレームに、散布作業用の散布ノズルが設けられたブームが開閉揺動自在に枢支されて構成されている。
本実施形態のブーム散布装置1は、図1に示すように、主として、機体フレーム2と、機体フレーム2に支持されるブーム4と、ブーム4に配置される複数の散布ノズル5,5・・・と、薬液などを貯留するタンク6と、各散布ノズル5,5・・・へタンク6内の薬液などを供給(圧送)する図示しないポンプと、を有する。
機体フレーム2は、圃場を走行するトラクタや牽引車等からなる走行機体(図示しない)に設置されてブーム4を支持するものである。なお、本実施形態では、機体フレーム2は走行機体の後部に設置されるものとしているが、その設置場所は特に限定されるものではなく、走行機体の前部等に設置されてもよい。
ブーム4は、複数の散布ノズル5,5・・・を配置する長尺状の部材であり、本実施形態においては、折りたたみ可能(格納可能または収納可能とも称する)とするために、機体フレーム2に支持される中央ブーム42と、この中央ブーム42の先端に支持される元ブーム44と、この元ブーム44の先端に支持される先ブーム46との3つのブームにより構成されている。以下、このブーム4をブーム組立体4と記載する場合がある。また、中央ブーム42と元ブーム44との連結部には、略水平方向に回動可能なように中央ブーム42および元ブーム44の展開制御および折りたたみ制御を行うリンク機構(図示しない)が設けられている。元ブーム44と先ブーム46との連結部には、略垂直方向に(換言すると、略鉛直面内で)回動可能なように元ブーム44および先ブーム46の展開制御および折りたたみ制御を行うリンク機構10が設けられている。
なお、元ブーム44および先ブーム46は左右一対で構成され、本実施形態におけるブーム4は左右対称の構成を備えているため、図1においては左側のブームを省略して右側ブームを図示して説明する。
中央ブーム42は、機体フレーム2に左右に延設された状態で(略水平に)支持されている。
元ブーム44は、中央ブーム42の左右に延出された状態で支持されている。元ブーム44は、中央ブーム42の先端(左右端)において、図示しないリンク機構を介して、中央ブーム42の斜め前方に向くように折りたたみ自在に連結されている。
先ブーム46は、元ブーム44の先端において、後述するリンク機構10を介して、元ブーム44の上方に折りたたみ自在に連結されている。本実施形態では、元ブーム44の先端側の上方と先ブーム46の基端側の上方とを回動自在に連結する(略水平方向に延びる)ブーム回転軸48により軸支されている。
また、本実施形態のブーム4には、先ブーム46が元ブーム44の上方側に折りたたまれる(重ね合わせられる)際に元ブーム44および先ブーム46の衝突を防止する衝突防止機構が、元ブーム44と先ブーム46の間に配備されている。本実施形態における衝突防止機構は、元ブーム44の上面に固着されたH形状の受け部材45と、先ブーム46の上面(折りたたみ時は下面)に固着され、前記H形状の受け部材45に嵌め込まれる嵌合部材47とから構成されている。
なお、ブーム同士が揺動自在に枢支されていれば、ブーム組立体4を構成するブーム(中央ブーム42、元ブーム44、先ブーム46等)の種類や数、ブーム同士の連結形態、ブーム同士の揺動方向(回転方向)、各ブームの配置場所や配置姿勢等は特に限定されるものではなく、走行機体の種類や大きさや形状、圃場の大きさや形状等によって適宜選択されるものである。
散布ノズル5は、後述するポンプにより圧送される薬液などを液状、滴状または霧状にして任意の軌跡を描くように散布するものである。本実施形態における散布ノズル5は、散布ムラを防ぐため、中央ブーム42、元ブーム44および先ブーム46のそれぞれに略等間隔に配置されている。なお、散布ノズル5の種類や数、配置間隔、配置場所等は特に限定されるものではなく、散布する薬液などの種類や薬液などを散布する作物、ブーム4の長さ等によって適宜選択されるものである。
タンク6は、各散布ノズル5,5・・・に供給する薬液などを貯留しておくためのものである。本実施形態におけるタンク6は、機体フレーム2に設置されている。なお、タンク6の設置場所は特に限定されるものではなく、走行機体等の任意の場所に設置することができる。
ポンプは、タンク6から各散布ノズル5,5・・・へ薬液などを圧送するためのものである。ポンプの動力源は、特に限定されるものではなく、走行機体のバッテリーの電力やエンジンの回転力等であってよい。本実施形態におけるポンプは、機体フレーム2に設置されている。なお、ポンプの設置場所は特に限定されるものではなく、走行機体等の任意の場所に設置することができる。ポンプと各散布ノズル5,5・・・とは、圧送管8により流通可能に接続されている。
前記ブーム4は、中央ブーム42の左右両端に図示しないリンク機構によって折りたたみ自在(開閉自在)にそれぞれ連結された左右一対の元ブーム44および先ブーム46を備えている。また、元ブーム44および先ブーム46は、リンク機構10によって揺動自在に連結されており、先ブーム46は、リンク機構10によって元ブーム44に略垂直方向に(上方に)折りたたみ自在に連結されている。
前記ブーム4において、元ブーム44(および先ブーム46)は、根元側の図示しないリンク機構によって、中央ブーム42の延在方向(左右方向の外方)へ延出した(開いた)姿勢(展開姿勢)と、中央ブーム42の斜め前方に向くように折りたたまれた(閉じた)姿勢(折りたたみ姿勢)と、の間で回動(揺動)するようにされている。
また、先ブーム46は、先端側のリンク機構10によって、元ブーム44の延在方向(左右方向の外方)へ延出した(開いた)姿勢(展開姿勢)と、元ブーム44の上方に折りたたまれた(閉じた)姿勢(折りたたみ姿勢)と、の間で回動(揺動)するようにされている。
前記ブーム4において、元ブーム44が中央ブーム42に対して展開姿勢をとり、先ブーム46が元ブーム44に対して展開姿勢をとると、中央ブーム42、元ブーム44、および先ブーム46が略一直線状(略水平)に展張した姿勢となり、前記ブーム4は、走行機体の進行方向に交差する側方(左右方向)の開姿勢Oとなる。なお、開姿勢Oは、先ブーム46が元ブーム44に対して折りたたみ姿勢をとる状態で元ブーム44が中央ブーム42に対して展開姿勢をとり、その後に先ブーム46が元ブーム44に対して展開姿勢をとる、あるいは、元ブーム44が中央ブーム42に対して折りたたみ姿勢をとる状態で先ブーム46が元ブーム44に対して展開姿勢をとり、その後に元ブーム44が中央ブーム42に対して展開姿勢をとることで、実現可能である。
また、前記ブーム4において、元ブーム44が中央ブーム42に対して折りたたみ姿勢をとり、先ブーム46が元ブーム44に対して折りたたみ姿勢をとると、前記ブーム4は、走行機体の進行方向に沿った先端側が斜め上方に向く閉姿勢Cとなる。なお、閉姿勢Cは、元ブーム44が中央ブーム42に対して展開姿勢をとる状態で先ブーム46が元ブーム44に対して折りたたみ姿勢をとり、その後に元ブーム44が中央ブーム42に対して折りたたみ姿勢をとる、あるいは、先ブーム46が元ブーム44に対して展開姿勢をとる状態で元ブーム44が中央ブーム42に対して折りたたみ姿勢をとり、その後に先ブーム46が元ブーム44に対して折りたたみ姿勢をとることで、実現可能である。
このように、前記ブーム4は、根元側の図示しないリンク機構および先端側のリンク機構10によって、走行機体の進行方向に交差する側方の開姿勢Oと走行機体の進行方向に沿った先端側が斜め上方に向く閉姿勢Cとの間で開閉する(開閉揺動自在となる)。
前記ブーム散布装置1によれば、前記開姿勢Oにて、前記左右一対の元ブーム44および先ブーム46を、走行機体の左右方向の外方へ一直線状に展張して、走行しながら、多数の散布ノズル5,5・・・によって、圃場の作物等に対し、一度に広幅の薬液などの散布作業を行うことができる。
また、非作業時には、前記閉姿勢Cにて、走行機体の進行方向に交差する側方に向けて延設される前記左右一対の元ブーム44および先ブーム46を、走行機体の進行方向に沿った方向に向けるように略90°折りたたんで格納(収納)することができる。前記閉姿勢Cをとる場面には、散布作業中の障害物回避や圃場形状への対応等、一時的な非作業状態においてブーム4を格納する場面も含む。
なお、本実施形態の特徴構成を含む元ブーム44と先ブーム46のリンク部分の以下の説明において、先端側のリンク機構10によって、先ブーム46を元ブーム44の延在方向(左右方向の外方)へ延出させた姿勢を展開姿勢E、先ブーム46を元ブーム44の上方に折りたたんだ姿勢を折りたたみ姿勢Fと称する場合がある。
(リンク機構の構造説明)
次に、元ブーム44と先ブーム46との連結部のリンク機構10について説明する。本実施形態のリンク機構10は、先ブーム46を元ブーム44の上方に折りたたむ作用と、折りたたんだ先ブーム46を元ブーム44の先方(延在方向)に展開する作用によりブームの展開制御および折りたたみ制御を行うものである。特に、本実施形態におけるリンク機構10は、ブームを展開または折りたたむときに元ブーム44と先ブーム46との間の衝撃を緩和するようにしたものである。
本実施形態におけるリンク機構10は、図1および図2に示すように、元ブーム44の先端側に回動自在に連結される第1リンク14と、先ブーム46の基端側に回動自在に連結される第2リンク16と、第1リンク14の先端部と第2リンク16の先端部とを回動自在に連結する(水平方向に延びる)リンク連結軸15と、第1リンク14および第2リンク16を揺動させて元ブーム44および先ブーム46の展開制御および折りたたみ制御を行うブーム展開/折りたたみ制御手段としての油圧シリンダ(以下、単にシリンダと称する場合がある)20と、を有する。
本実施形態の油圧シリンダ20は、作動流体として作動油を用いるが、作動油の代わりに、例えば水溶性代替液等の作動液を用いてもよいし、ガス等の流体を用いてもよい。
第1リンク14は、元ブーム44の先端側においてその基端部が回転自在に連結されており、シリンダ20(の伸縮作動)によって揺動されることで、第2リンク16の昇降を行うものである。
第2リンク16は、先ブーム46の基端側においてその基端部が回転自在に連結されており、第1リンク14(の揺動)により昇降されることで先ブーム46の展開および折りたたみを行うものである。
リンク連結軸15は、第1リンク14の先端部と第2リンク16の先端部とを回転自在に連結するための回転軸であり、本実施形態では、第1リンク14および第2リンク16の先端部に設けられた軸受(不図示)に挿入されて、各先端部を回転自在に軸支している。
本実施形態における第1リンク14および第2リンク16およびリンク連結軸15はそれぞれ、元ブーム44および先ブーム46における対向面(展開姿勢Eにあるときの前後面)のそれぞれに設けられている。
本実施形態におけるリンク機構10には、第1リンク14とシリンダ20とを接続するリンク接続軸18が設けられている。本実施形態において、リンク接続軸18は、(展開姿勢Eにあるときの前後面に設けられた)対向配置された一対の第1リンク14の先端部に(水平方向に延びるように)固着されて架設されている。
シリンダ20は、伸縮作動(伸縮制御)することにより、リンク連結軸15で連結された第1リンク14と第2リンク16とを揺動させて、ブームの展開制御および折りたたみ制御(開閉制御)を行うものである。よって、シリンダ20は、元ブーム44に対して折りたたまれた先ブーム46を展開する場合には、リンク連結軸15を先ブーム46の基端側に配置し、一方、元ブーム44に対して展開された先ブーム46を折りたたむ場合には、リンク連結軸15を元ブーム44の先端側に配置するように機能する。
本実施形態における伸縮制御自在なシリンダ20は、元ブーム44と第1リンク14に設けられたリンク接続軸18との間に介装されている。言い換えると、シリンダ20は、元ブーム44とリンク接続軸18とに伸縮自在に連結されている。本実施形態において、シリンダ20のシリンダチューブ22の内方端部(シリンダ20の後端部)22eが、元ブーム44の上面に固着された取付ブラケット49に、ブーム接続軸50を介して相対回動自在に連結されている。また、シリンダ20のピストンロッド28の外方端部(シリンダ20の前端部)28eが、第1リンク14と第2リンク16(本例では第1リンク14)に、リンク接続軸18を介して相対回動自在に連結されている。
そして、本実施形態においては、シリンダ20が縮むことにより第1リンク14を先ブーム46側から元ブーム44側へと揺動させ、リンク連結軸15を元ブーム44の先端側に配置し、元ブーム44に対して展開された先ブーム46を折りたたみ、シリンダ20が伸びることにより第1リンク14を元ブーム44側から先ブーム46側へと揺動させ、リンク連結軸15を先ブーム46の基端側に配置し、元ブーム44に対して折りたたまれた先ブーム46を展開するように機能する。
換言すると、前記シリンダ20が最大伸長状態にある時に、先ブーム46が元ブーム44に対して展開された(開いた)展開姿勢Eに保持され、前記シリンダ20が最大収縮状態にある時に、先ブーム46が元ブーム44に対して折りたたまれた(閉じた)折りたたみ姿勢Fに保持されるように設定されている。
前記のようにリンク14,16を含むリンク機構10は、シリンダ20(が伸縮作動すること)によって駆動され、シリンダ20の伸縮動作は、例えば走行機体に設けられたレバーを運転者が操作すること等によって、遠隔操作される。
なお、元ブーム44および先ブーム46を揺動変位させて所定の姿勢に保持できれば、リンク機構10を構成する部材の種類や数や形状、部材間の連結場所や連結形態等は特に限定されるものではなく、レイアウト等によって適宜変更できるものである。例えば、上記実施形態においては、シリンダ20が最大伸長状態にある時に展開姿勢Eに保持され、シリンダ20が最大収縮状態にある時に折りたたみ姿勢Fに保持されるものとしているが、シリンダ20が最大伸長状態にある時に折りたたみ姿勢Fに保持され、シリンダ20が最大収縮状態にある時に展開姿勢Eに保持されるようにしてもよい。また、シリンダ20が最大伸長と最大収縮との間の所定長さ状態で、展開姿勢Eや折りたたみ姿勢Fに保持されるようにしてもよいし、展開姿勢Eおよび折りたたみ姿勢F以外の所定の姿勢(位置)に保持されるようにしてもよい。
(シリンダの内部構造説明および油圧回路説明)
次に、シリンダ20の内部構造および油圧回路について説明する。図3は、図1および図2における油圧シリンダ20の内部構成を示す横断面図である。
図3に示すように、シリンダ20は、作動流体としての作動油が封入される円筒状のシリンダチューブ22と、該シリンダチューブ22内に摺動自在に嵌挿されて前後二つの油室(流体室)24A,24Bを画成する円柱状のピストン26と、該シリンダチューブ22内に進退自在に挿入されて該ピストン26に連結されたピストンロッド(作動ロッド、シリンダロット等とも称する)28と、を備えている。前記シリンダチューブ22は、その両端部(開口)を、前記ピストンロッド28を摺動自在且つ気液密に受け入れるヘッド側蓋22Aと、ボトム側蓋22Bと、で気液密に閉じられている。
本実施形態におけるピストン26は、シール部材(Oリング)27を介して前記シリンダチューブ22の内周面に気液密に摺接している。
また、シリンダチューブ22には、一方の油室(ロッド側油室)24Aと、他方の油室(反ロッド側油室)24Bと、のそれぞれに、作動流体としての作動油を出し入れするための二つのポート(ロッド側ポート23A、反ロッド側ポート23B)が形成されている。二つのポート23A,23Bは、シリンダ20の最大伸長状態と最大収縮状態との伸長長さの差に対応する所定量だけ、シリンダ20の長さ方向(軸方向)に離間した位置に形成されている。
そして、ピストン26(の前側端面)がヘッド側蓋22A(の内側端面)に当接して、ピストンロッド28が、最大伸長状態まで伸長すると同時に、ポート23Aがピストン26によって絞られ(後で説明)、先ブーム46が前記展開姿勢Eをとるようになっている(図5(A)、(B)を併せて参照)。また、ピストン26(の後側端面)がボトム側蓋22B(の内側端面)に当接して、ピストンロッド28が、最大収縮状態まで収縮すると同時に、ポート23Bがピストン26によって絞られ(後で説明)、先ブーム46が前記折りたたみ姿勢Fをとるようになっている(図7(A)、(B)を併せて参照)。
図示は省略するが(必要なら特許文献2(特開2004-132461号公報)を参照)、シリンダ20の油圧回路を構成する流体圧送手段としての油圧ポンプは、走行機体の動力(ドライブシャフト)等によって駆動され、当該ブーム散布装置1に搭載された作動流体タンクとしての作動油タンク内の作動油を、作動油吐出管路へと圧送する。この作動油吐出管路は、ブーム開閉駆動用の方向切換弁に連通している。
前記方向切換弁は、第1送油管路及び第2送油管路を通して、前記二つの油室24A,24Bに連通している。また、前記方向切換弁は、戻し管路を通して、前記作動油タンクへと連通している。
前記方向切換弁は、例えば、スプリングリターン式の三位置四ポート弁であり、この四つのポートが全て閉じられる中立位置へ自動的に戻される方向へと常時付勢されている。そして、例えば走行機体に設けられたレバーを運転者が操作することによって、ブーム開信号が発せられると、前記方向切換弁によって油圧回路が切り換えられ、第2送油管路を通して、作動油タンクから反ロッド側油室24B内へと作動油が圧送されるとともに、ロッド側油室24A内の作動油が、第1送油管路を通して、戻し管路から作動油タンクへと戻されて、ピストン26がヘッド側蓋22Aに当接するまで、ピストンロッド28が伸び出し方向へと駆動される。このピストンロッド28が最大伸長状態となった時に、先ブーム46は、前記展開姿勢Eとなるので、前記方向切換弁を中立位置へと戻すことにより、先ブーム46を前記展開姿勢Eに保持することができる。
散布作業が終了して、例えば走行機体に設けられたレバーを運転者が操作することによって、ブーム閉信号が発せられると、前記方向切換弁によって油圧回路が切り換えられ、第1送油管路を通して、作動油タンクからロッド側油室24A内へと作動油が圧送されるとともに、反ロッド側油室24B内の作動油が、第2送油管路を通して、戻し管路から作動油タンクへと戻されて、ピストン26がボトム側蓋22Bに当接するまで、ピストンロッド28が収縮方向へと駆動される。このピストンロッド28が最大収縮状態となった時に、先ブーム46は、前記折りたたみ姿勢Fとなるので、前記方向切換弁を中立位置へと戻すことにより、先ブーム46を前記折りたたみ姿勢Fに保持することができる。
そして、本実施形態におけるリンク機構10のシリンダ20は、ブームを展開または折りたたむときに元ブーム44と先ブーム46との間の衝撃を緩和し、元ブーム44および先ブーム46の破損や故障等を防止すべく、以下の対策が講じられている。
すなわち、本実施形態においては、先ブーム46が前記展開姿勢Eをとる時(シリンダ20(ピストンロッド28)が最大伸長状態にある時)、先ブーム46が前記折りたたみ姿勢Fをとる時(シリンダ20(ピストンロッド28)が最大収縮状態にある時)付近のピストン26の形状を工夫することで、ピストンロッド28の伸縮速度を低下させ、ブームの揺動速度(開閉速度)を低下させる。
詳しくは、本実施形態のピストン26は、短円柱状の(換言すると、外周面が短円筒面から構成される)摺動面部26Cと、摺動面部26Cの前後に設けられた円錐台状の(換言すると、外周面が円錐台面ないしテーパ面から構成される)テーパ面部26A,26B(ロッド側テーパ面部26A、反ロッド側テーパ面部26B)と、を備えている。
言い換えると、本実施形態のピストン26は、その両端部のそれぞれに、テーパ面部26A,26B(ロッド側テーパ面部26A、反ロッド側テーパ面部26B)を有するとともに、該テーパ面部26A,26B同士の間に、摺動面部26Cを備えている。
前記摺動面部26Cは、シリンダ20の長さ方向(軸方向)の中央よりやや後方側に設けられており、シリンダチューブ22内に摺動自在に嵌挿されている。つまり、前記摺動面部26Cは、前記シール部材(Oリング)27を介してシリンダチューブ22の内周面に気液密に摺接している。
前記テーパ面部26Aは、前記摺動面部26Cの前方側(ピストンロッド28側)に連接しており、シリンダ20の軸方向の前端部に向けて先細となる(縮径する)テーパ面から構成されている。また、前記テーパ面部26Bは、前記摺動面部26Cの後方側(反ピストンロッド28側)に連接しており、シリンダ20の軸方向の後端部に向けて先細となる(縮径する)テーパ面から構成されている。本実施形態において、摺動面部26Cは、シリンダ20の軸方向の中央よりやや後方側に設けられているので、テーパ面部26Aは、テーパ面部26Bより、シリンダ20の軸方向の長さが長く設定されている。また、テーパ面部26Aは、テーパ面部26Bより、シリンダ20の軸方向に対する傾き、つまりピストン断面積の縮径率が小さく設定されている。
本実施形態において、前記シリンダ20(ピストンロッド28)が最大伸長状態にある時に、摺動面部26Cは、ポート23Aよりボトム側に位置するとともに、テーパ面部26Aは、前記ポート23Aに対向するように、設定されている(図5(A)を併せて参照)。また、前記シリンダ20(ピストンロッド28)が最大収縮状態にある時に、摺動面部26Cは、ポート23Bよりヘッド側に位置するとともに、テーパ面部26Bは、前記ポート23Bに対向するように、設定されている(図7(A)を併せて参照)。
ピストン26のテーパ面部26Aの外周面と、シリンダチューブ22の内周面との間には、作動油の流通を許容する作動油流通隙間SAが形成されている。シリンダ20(ピストンロッド28)が図5に示す最大伸長状態まで伸長する時に(つまり、先ブーム46が展開姿勢Eに揺動変位される際に)、ピストン26のテーパ面部26Aが、シリンダチューブ22のロッド側ポート23Aの位置まで来ると、ロッド側ポート23Aにおける作動油の出入量(ここでは流出量)が急減する。この状態が、図4に示したように、シリンダ20(ピストンロッド28)の最大伸長状態から所定量だけ手前の状態である。図4に示す状態から、さらに、シリンダ20(ピストンロッド28)が図5に示す最大伸長状態まで伸長すると、ピストン26のテーパ面部26Aが、シリンダチューブ22のロッド側ポート23Aに対向し、前記ロッド側ポート23Aにおける作動油流通隙間SAが徐々に減少し、ロッド側ポート23Aにおける作動油の出入量(流出量)が徐々に減少する。
前記のように、前記テーパ面部26Aによって、(図4に示した最大伸長状態の手前までよりも)図4に示した最大伸長状態の手前から図5に示した最大伸長状態までの間で作動油の出入量(流出量)が徐々に絞られる(減少せしめられる)ことで、シリンダ20(ピストンロッド28)にブレーキがかかり、シリンダ20の伸長速度が減少し、先ブーム46の元ブーム44に対する揺動速度(展開速度)が減少する。すなわち、ブームの開き切り(図5)からその手前(図4)の間だけで、ブームにブレーキがかかって減速する。
シリンダ20(ピストンロッド28)が図5に示す最大伸長状態まで完全に伸長すると、先ブーム46は前記展開姿勢Eに保持される。
なお、図4に示した最大伸長状態の手前から図5に示した最大伸長状態までの間、言い換えると、ブームの開き切り(図5)からその手前(図4)の間を、ブームの開閉速度を低下(減速)させるクッションストロークと称することもできる。
以上より、本実施形態において、先ブーム46が展開されて元ブーム44と直列に並ぶときにはその手前から先ブーム46の揺動速度(開閉速度)が抑えられ、先ブーム46が展開を完了する際の元ブーム44および先ブーム46の衝撃を緩和することができる。
同様に、ピストン26のテーパ面部26Bの外周面と、シリンダチューブ22の内周面との間には、作動油の流通を許容する作動油流通隙間SBが形成されている。シリンダ20(ピストンロッド28)が図7に示す最大収縮状態まで収縮する時に(つまり、先ブーム46が折りたたみ姿勢Fに揺動変位される際に)、ピストン26のテーパ面部26Bが、シリンダチューブ22の反ロッド側ポート23Bの位置まで来ると、反ロッド側ポート23Bにおける作動油の出入量(ここでは流出量)が急減する。この状態が、図6に示したように、シリンダ20(ピストンロッド28)の最大収縮状態から所定量だけ手前の状態である。図6に示す状態から、さらに、シリンダ20(ピストンロッド28)が図7に示す最大収縮状態まで収縮すると、ピストン26のテーパ面部26Bが、シリンダチューブ22の反ロッド側ポート23Bに対向し、前記反ロッド側ポート23Bにおける作動油流通隙間SBが徐々に減少し、反ロッド側ポート23Bからの作動油の出入量(流出量)が徐々に減少する。
前記のように、前記テーパ面部26Bによって、(図6に示した最大収縮状態の手前までよりも)図6に示した最大収縮状態の手前から図7に示した最大収縮状態までの間で作動油の出入量(流出量)が徐々に絞られる(減少せしめられる)ことで、シリンダ20(ピストンロッド28)にブレーキがかかり、シリンダ20の収縮速度が減少し、先ブーム46の元ブーム44に対する揺動速度(折りたたみ速度)が減少する。すなわち、ブームの閉じ切り(図7)からその手前(図6)の間だけで、ブームにブレーキがかかって減速する。
シリンダ20(ピストンロッド28)が図7に示す最大収縮状態まで完全に収縮すると、先ブーム46は前記折りたたみ姿勢Fに保持される。
なお、図6に示した最大収縮状態の手前から図7に示した最大収縮状態までの間、言い換えると、ブームの閉じ切り(図7)からその手前(図6)の間を、ブームの開閉速度を低下(減速)させるクッションストロークと称することもできる。
以上より、本実施形態において、先ブーム46が元ブーム44の上方側に折りたたまれるときにはその手前から先ブーム46の揺動速度(開閉速度)が抑えられ、先ブーム46が折りたたみを完了する際の元ブーム44および先ブーム46の衝撃を緩和することができる。
すなわち、本実施形態のブーム散布装置1は、ブームが完全に展開される直前およびブームが完全に折りたたまれる直前の先ブーム46の揺動速度(開閉速度)を抑えることができ、先ブーム46が展開および折りたたまれる際に生じる元ブーム44および先ブーム46の衝撃を緩和することができる。
また、本実施形態の折りたたみ方式のブーム4には、上記のように、先ブーム46が元ブーム44の上方側に折りたたまれる(重ね合わせられる)際に元ブーム44および先ブーム46の衝突を防止する衝突防止機構(受け部材45、嵌合部材47)が設けられている(図1参照)。
本実施形態においては、前記衝突防止機構により、先ブーム46が元ブーム44の上方側に折りたたまれる際の元ブーム44および先ブーム46の衝撃は軽減されると考えられる。そのため、折りたたまれる時よりも展開する時の元ブーム44および先ブーム46の衝撃をより効果的に緩和するため、前記のように、テーパ面部26Aは、テーパ面部26Bより、シリンダ20の軸方向の長さが長く(逆に言えば、テーパ面部26Bは、テーパ面部26Aより、シリンダ20の軸方向の長さが短く)設定され、シリンダ20の軸方向に対する傾きが小さく設定されている。
以上で説明したように、本実施形態のブーム散布装置1は、シリンダ20が基端側の第1ブーム(元ブーム44)と先端側の第2ブーム(先ブーム46)との間で伸縮作動(伸縮制御)することにより第2ブーム(先ブーム46)を第1ブーム(元ブーム44)に対して所定の姿勢(展開姿勢E、折りたたみ姿勢F)に保持するようにされる。そして、前記第2ブーム(先ブーム46)を前記第1ブーム(元ブーム44)に対して前記所定の姿勢(展開姿勢E、折りたたみ姿勢F)に揺動変位させるときにピストン26においてポート23A,23Bに対向する部分に、シリンダ20の軸方向に向けて先細となる(縮径する)テーパ面部26A,26Bが設けられている。
そして、前記第2ブーム(先ブーム46)を前記第1ブーム(元ブーム44)に対して前記所定の姿勢(展開姿勢E、折りたたみ姿勢F)に揺動変位させるときに、前記テーパ面部26A,26Bにより、ポート23A,23Bを通した油室24A,24Bの作動油の流出量(ポート23A,23Bにおける作動油の流出量)が絞られ(減少せしめられ)、シリンダ20の伸縮速度が減少せしめられ、前記第2ブーム(先ブーム46)の前記第1ブーム(元ブーム44)に対する揺動速度(開閉速度)が減少せしめられる。
本実施形態によれば、先端側のブームを開閉駆動する油圧シリンダ20のピストン26にテーパ面部26A,26Bを設けることにより、先端側のブームを基端側のブームに対して所定の姿勢に揺動変位させるときの油圧シリンダ20の長さ(例えば、最大伸長または最大収縮)の付近(クッションストローク範囲内)で作動油の流出量(油量)が絞られる。そのため、先端側のブームを基端側のブームに対して所定の姿勢に保持する付近(例えば、ブームの開き切りまたはたたみ切りの付近)だけで、油圧シリンダ20の伸縮速度が減少し、ブームにブレーキがかかって減速する(すなわち、ブームの揺動速度ないし開閉速度が低下する)。これにより、先端側のブームを基端側のブームに対して所定の姿勢に保持する付近(例えば、ブームの開き切りまたはたたみ切りの付近)以外の揺動速度ないし開閉速度を低下させることなく、ブーム開閉時の衝撃を緩和でき、もって、ブームの破損や故障等を抑制できる。また、油圧シリンダ20の動作のみで制御可能となるため、その油圧シリンダ20で駆動させるリンク部分は、比較的簡単な構造でレイアウトが可能である。
また、折りたたみ方式のブームは、通常、折りたたまれる時のブーム同士の衝突を防止する衝突防止機構が設けられており、当該衝突防止機構によって折りたたまれる時の方が展開する時よりもブーム開閉時の衝撃が抑えられる傾向がある。本実施形態によれば、展開側テーパ面部26Aが、折りたたみ側テーパ面部26Bより、軸方向の長さが長く設定される、あるいは、軸方向に対する傾きが小さく設定されることにより、ブームが完全に展開する時の衝撃をより効果的に緩和できる。
また、ブーム同士が鉛直面内で揺動する場合は、ブーム同士が水平面内で揺動する場合より、重力作用分だけブーム開閉時の衝撃が大きくなると考えられる。本実施形態によれば、かかる状況においてもブーム開閉時の衝撃を効果的に緩和することが可能である。
また、ブーム散布装置1は、シリンダ20のピストンロッド28の外方端部(前端部)28eの位置を変更することで、クッションストロークの効き具合を調整できるため、例えばブーム4の長さ等によって先ブーム46の重量が変わっても共通の部品構成で使用することが可能である。
なお、上記実施形態では、一つのピストン26に二つのテーパ面部26A,26B(ロッド側テーパ面部26A、反ロッド側テーパ面部26B)を設けた例を説明しているが、二つのテーパ面部26A,26Bの一方だけを設けてもよいことは当然である。また、ピストン26における各テーパ面部26A,26Bの位置や大きさ等も特に限定されるものではない。
また、上記実施形態では、本発明を元ブーム44と先ブーム46との連結部のリンク機構10に適用した例を説明しているが、例えば中央ブーム42と元ブーム44との連結部のリンク機構に適用してもよい。
また、上記実施形態のブーム散布装置1は、トラクタ直装式(マウント式)でも、牽引式でも、自走式(乗用式)でもよい。
1 ブーム散布装置
2 機体フレーム
4 ブーム(ブーム組立体)
5 散布ノズル
6 タンク
8 圧送管
10 リンク機構
14 第1リンク
15 リンク連結軸
16 第2リンク
18 リンク接続軸
20 油圧シリンダ(流体圧シリンダ)
22 シリンダチューブ
22e シリンダチューブの内方端部(後端部)
22A ヘッド側蓋
22B ボトム側蓋
23A ポート(ロッド側ポート)
23B ポート(反ロッド側ポート)
24A 油室(ロッド側油室)(流体室)
24B 油室(反ロッド側油室)(流体室)
26 ピストン
26A テーパ面部(ロッド側テーパ面部)(展開側テーパ面部)
26B テーパ面部(反ロッド側テーパ面部)(折りたたみ側テーパ面部)
26C 摺動面部
27 シール部材(Oリング)
28 ピストンロッド
28e ピストンロッドの外方端部(前端部)
42 中央ブーム
44 元ブーム
45 受け部材
46 先ブーム
47 嵌合部材
48 ブーム回転軸
49 取付ブラケット
50 ブーム接続軸
C 閉姿勢
E 展開姿勢
F 折りたたみ姿勢
O 開姿勢
SA 作動油流通隙間
SB 作動油流通隙間

Claims (8)

  1. 走行機体に設置される機体フレームに散布作業用のブームが開閉揺動自在に枢支されたブーム散布装置であって、
    基端側の第1ブームと、
    前記第1ブームに揺動自在に設けられた先端側の第2ブームと、
    伸縮作動することにより前記第2ブームを前記第1ブームに対して所定の姿勢に保持する流体圧シリンダと、を備え、
    前記流体圧シリンダは、作動流体が封入される筒状のシリンダチューブと、該シリンダチューブ内に進退自在に挿入されるピストンロッドと、該ピストンロッドに連結されるとともに前記シリンダチューブ内に摺動自在に嵌挿されて前後二つの流体室を画成するピストンと、前記二つの流体室のそれぞれに作動流体を出し入れするための二つのポートと、を有し、
    前記第2ブームを前記第1ブームに対して前記所定の姿勢に揺動変位させるときに前記ピストンにおいて前記ポートに対向する部分に、前記流体圧シリンダの軸方向に向けて先細となるテーパ面部が設けられていることを特徴とするブーム散布装置。
  2. 前記第2ブームを前記第1ブームに対して前記所定の姿勢に揺動変位させるときに、前記テーパ面部により、前記ポートを通した前記流体室の前記作動流体の流出量が絞られ、前記流体圧シリンダの伸縮速度が減少せしめられ、前記第2ブームの前記第1ブームに対する揺動速度が減少せしめられることを特徴とする請求項1に記載のブーム散布装置。
  3. 前記所定の姿勢は、前記第2ブームを前記第1ブームに対して展開した展開姿勢と、前記第2ブームを前記第1ブームに対して折りたたんだ折りたたみ姿勢と、を含み、
    前記ピストンにおいて、前記第2ブームを前記展開姿勢に揺動変位させるときに前記二つのポートの一方のポートに対向する部分に前記流体圧シリンダの軸方向の一端部に向けて先細となる展開側テーパ面部が設けられ、前記第2ブームを前記折りたたみ姿勢に揺動変位させるときに前記二つのポートの他方のポートに対向する部分に前記流体圧シリンダの軸方向の他端部に向けて先細となる折りたたみ側テーパ面部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のブーム散布装置。
  4. 前記展開側テーパ面部の軸方向長さが、前記折りたたみ側テーパ面部の軸方向長さより長く設定されていることを特徴とする請求項3に記載のブーム散布装置。
  5. 前記展開側テーパ面部の軸方向に対する傾きが、前記折りたたみ側テーパ面部の軸方向に対する傾きより小さく設定されていることを特徴とする請求項3に記載のブーム散布装置。
  6. 前記第2ブームは、前記第1ブームに鉛直面内を揺動自在に枢支されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のブーム散布装置。
  7. 散布作業用のブームを開閉揺動させるための流体圧シリンダであって、伸縮作動することにより第1ブームに揺動自在に設けられた第2ブームを前記第1ブームに対して所定の姿勢に保持する流体圧シリンダにおいて、
    前記流体圧シリンダは、作動流体が封入される筒状のシリンダチューブと、該シリンダチューブ内に進退自在に挿入されるピストンロッドと、該ピストンロッドに連結されるとともに前記シリンダチューブ内に摺動自在に嵌挿されて前後二つの流体室を画成するピストンと、前記二つの流体室のそれぞれに作動流体を出し入れするための二つのポートと、を有し、
    前記第2ブームを前記第1ブームに対して前記所定の姿勢に揺動変位させるときに前記ピストンにおいて前記ポートに対向する部分に、前記流体圧シリンダの軸方向に向けて先細となるテーパ面部が設けられていることを特徴とするブーム開閉用の流体圧シリンダ。
  8. 前記所定の姿勢は二つの姿勢を含み、
    前記ピストンにおいて、前記第2ブームを前記二つの姿勢の一方の姿勢に揺動変位させるときに前記二つのポートの一方のポートに対向する部分に前記流体圧シリンダの軸方向の一端部に向けて先細となる一端側テーパ面部が設けられ、前記第2ブームを前記二つの姿勢の他方の姿勢に揺動変位させるときに前記二つのポートの他方のポートに対向する部分に前記流体圧シリンダの軸方向の他端部に向けて先細となる他端側テーパ面部が設けられていることを特徴とする請求項7に記載のブーム開閉用の流体圧シリンダ。
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