JP2023158430A - 記録装置、制御方法、および情報処理装置 - Google Patents

記録装置、制御方法、および情報処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】記録ヘッド内のインクへの加熱制御が行われる給送動作時の記録装置における総消費電力の増大を抑制可能な技術を提供する。【解決手段】給送手段における記録媒体の搬送動作によって該記録媒体を記録の開始位置まで給送する給送動作中に、記録手段におけるインクの温度を所定の温度まで加熱する際に、前記搬送動作および前記搬送動作と並行して実行される動作の少なくとも一方において、消費電力が所定量以上となる所定区間において、実行する加熱制御を停止するようにした。【選択図】図6

Description

本発明は、インクジェット方式によりインクを吐出可能な記録装置、記録装置の制御方法、および情報処理装置に関する。
特許文献1には、記録媒体への記録終了後から次の記録媒体に対する記録開始までの間に、記録ヘッド内のインクに対して、記録モードに応じて異なる加熱制御を行う技術が開示されている。これにより、特許文献1に開示の技術では、スループットの低下抑制および消費電力の抑制を実行しつつ、高品位の記録を行うことができるものとされている。
特開2016‐043510号公報
しかしながら、記録媒体への記録終了後から次の記録媒体に対する記録開始までの間には、記録媒体や記録ヘッドをそれぞれ、記録を開始する位置まで移動させるなどの動作が行われる。従って、特許文献1に開示された技術では、こうした動作と記録ヘッド内のインクへの加熱制御とが同時に実行される虞があり、この場合、上記動作などによる消費電力と加熱制御による消費電力とが重畳して、記録装置における消費電力が増大する虞がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、記録ヘッド内のインクへの加熱制御が実行される給送動作時の記録装置における消費電力の増大を抑制可能な技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明による記録装置の一実施形態は、記録媒体を給送する給送手段と、前記給送手段により給送された記録媒体に対してインクを吐出して記録する記録手段と、前記記録手段において、吐出するインクを加熱可能な加熱手段と、前記加熱手段によるインクの加熱を制御する加熱制御手段と、を有し、前記加熱制御手段は、前記給送手段における記録媒体の搬送動作によって該記録媒体を記録の開始位置まで給送する給送動作中に、前記記録手段におけるインクの温度を所定の温度まで加熱し、インクの温度を前記所定の温度まで加熱する際には、前記搬送動作および前記搬送動作と並行して実行される動作の少なくとも一方において、消費電力が所定量以上となる所定区間において、実行する加熱制御を停止する、ことを特徴とする。
本発明によれば、記録ヘッド内のインクへの加熱制御が行われる給送動作時の記録装置における消費電力の増大を抑制することができるようになる。
記録装置の概略構成図 記録ヘッドの斜視構成図 記録ヘッドの吐出口面および吐出口列を示す図 記録装置の制御系の構成を示すブロック図 給送前のインクの温度が目標温度に近いときの加熱制御を説明する図 給送前のインクの温度が目標温度から離れているときの加熱制御を説明する図 給送前のインクの温度が中間の温度ときの加熱制御を説明する図 決定処理の処理ルーチンを示すフローチャート 決定処理における図8から続く処理ルーチンを示すフローチャート
以下、添付の図面を参照しながら、記録装置、制御方法、および情報処理装置の実施形態の一例を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を限定するものではなく、また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせのすべてが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。また、実施形態に記載されている構成要素の位置、形状などはあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(記録装置の構成)
図1は、記録装置の内部構成の概略図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)のIb-Ib線断面図である。なお、図1(a)では、後述する収容部および給送部の図示が省略されている。図1に示す記録装置10は、記録媒体Pを収容する収容部12と、収容部12に収容された記録媒体Pを給送する給送部14とを備えている。また、記録装置10は、給送部14により給送された記録媒体Pを搬送する搬送部16と、搬送部16により搬送された記録媒体Pに対して記録する記録部18とを備えている。なお、記録装置10の全体の動作は、制御部400(図4参照)により制御される。
収容部12は、同一サイズの複数の記録媒体Pを積載して収容するトレイ20を備えている。トレイ20は、記録装置10において挿抜可能に構成されている。なお、図1では、収容部12がトレイ20を1つ備えている例を示しているが、これに限定されるものではなく、互いに異なるサイズの記録媒体を収容するトレイを複数備えるようにしてもよい。
給送部14は、トレイ20において積載された最上位の記録媒体Pをピップアップするピックアップローラ22と、ピックアップローラ22によりピックアップされた記録媒体Pを給送する給送ローラ24とを備えている。また、給送部14は、給送ローラ24により給送された記録媒体Pを搬送部16まで誘導する給送路26を備えている。給送ローラ24には、従動ローラ25が付勢されており、従動ローラ25は給送ローラ24の回転に連れて回転する。給送ローラ24は、ピックアップローラ22によりピックアップされた記録媒体Pを従動ローラ25とともに挟持して、当該記録媒体Pを給送する。なお、記録装置10は、給送ローラ24により給送される記録媒体Pの先端および後端を検知するためのセンサ42を備えている。
搬送部16は、給送部14により給送された記録媒体Pを搬送する搬送ローラ28と、搬送ローラ28により搬送された記録媒体Pを記録装置10の外部に排出する排出ローラ30とを備えている。また、搬送部16は、記録部18により記録された記録媒体Pを、その記録面側から押さえる拍車32、34を備えている。搬送ローラ28には、従動ローラ29が付勢されており、従動ローラ29は搬送ローラ28の回転に連れて回転する。搬送ローラ28は、給送路26を介して給送ローラ24により給送された記録媒体Pを従動ローラ29とともに挟持して、当該記録媒体Pを搬送する。拍車32は、拍車34に対して記録媒体Pが搬送される方向である搬送方向(Y方向)の上流側に配置されている。拍車34は、排出ローラ30に付勢されており、排出ローラ30の回転に連れて回転する。拍車32は、記録媒体Pの浮き上がりを抑えるための構成となっている。
記録部18は、搬送方向において搬送ローラ28と排出ローラ30との間に設けられ、搬送される記録媒体Pを支持するプラテン36と、プラテン36に支持される記録媒体Pに対してインクを吐出して記録する記録ヘッド38とを備えている。また、記録部18は、搬送方向と交差(本実施形態では直交)する方向(X方向)に往復移動可能なキャリッジ40を備えている。キャリッジ40には、記録ヘッド38が搭載される。このとき、記録ヘッド38は、インクを吐出する吐出口314(後述する吐出口314a、314b)が形成された吐出口面38aがプラテン36と対向するように搭載される。これにより、記録ヘッド38は、吐出口面38aをプラテン36と対向した状態で、キャリッジ40を介してX方向に往復移動可能な構成となっている。
(記録ヘッドの構成)
次に、記録ヘッド38の構成について説明する。図2は、記録ヘッドの概略を示す斜視構成図。図3は、記録ヘッドの吐出口面および吐出口列を示す図である。図3(a)は、吐出口面を示す図である。図3(b)は、吐出口面に形成された、ブラックインクを吐出する複数の吐出口から形成される吐出口列を示す図である。図3(c)は、吐出口面に形成された、プロセスカラーインクを吐出する複数の吐出口から形成される吐出口列を示す図である。
記録ヘッド38は、コンタクトパッド200を介して制御部400から、記録信号を受信するとともに、記録ヘッド38の駆動に必要な電力が供給される。記録ヘッド38の吐出口面38aには、X方向上流側にブラック(K)インクを吐出する吐出口が形成されたチップ202と、X方向下流側にプロセスカラーインクを吐出する吐出口が形成されたチップ204とが配置されている。本実施形態では、プロセスカラーインクとして、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、およびイエロー(Y)インクが用いられるものとする。なお、記録ヘッド38において、吐出可能なインクの種類およびインクの数は、上記に限定されるものではない。また、記録ヘッド38からはインクだけでなく、吐出したインクに対して所定の処理を行う処理液などの液体を吐出可能な構成としてもよい。
チップ202には、Kインクを吐出する複数の吐出口から形成され、Y方向に沿って延在する吐出口列302Kが形成されている。チップ204には、Cインクを吐出する複数の吐出口から形成され、Y方向に沿って延在する吐出口列302Cが形成されている。また、チップ204には、Mインクを吐出する複数の吐出口から形成され、Y方向に沿って延在する吐出口列302Mが形成されている。さらに、チップ204には、Yインクを吐出する複数の吐出口から形成され、Y方向に沿って延在する吐出口列302Yが形成されている。なお、チップ204では、吐出口列302C、302M、302Yはそれぞれ2つずつ形成されている。
また、チップ202には、Y方向の両端部近傍に、温度検出素子に相当するダイオードセンサ304、306が配置されている。さらに、チップ202には、340Ωの抵抗により構成されるインク加熱用のサブヒータ308が設けられている。チップ204には、+Y方向下流側の端部近傍に、温度検出素子に相当するダイオードセンサ309が配置されている。さらに、チップ204には、340Ωの抵抗により構成されるインク加熱用のサブヒータIが設けられている。
吐出口列302Kは、Y方向に延在するインク液室312のX方向における両側において、吐出口314aがY方向に沿って複数配置されている。X方向上流側およびX方向下流側に位置する吐出口314aは、互いに1/1200inchずつY方向にずれて配置されている。吐出口314aと対応する位置には、ヒータ316が配置されている。ヒータ316は、例えば、電気熱変換素子であって、駆動電圧がかかると発熱し、ヒータ316上のインクを発泡させ、対応する吐出口314aからインクを吐出させる。
1つの吐出口314aから吐出されるKインクの吐出量は、例えば、12ngである。吐出口列302Kにおける吐出口314aの数は、1280個である。吐出口列302KのY方向における吐出口314aの間隔は、1/1200inchとなる。このように、記録ヘッド38では、記録画素密度が1200dpiとなるように構成されている。また、吐出口列302KのY方向における長さは、1280×(1/1200inch)=1.07inchとなっている。
吐出口列302C、吐出口列302M、および吐出口列302Yは、同じ構成である。従って、以下の説明では、吐出口列302Cについて説明し、吐出口列302Mおよび吐出口列302Yの詳細な説明は省略する。吐出口列302Cは、Y方向に延在するインク液室313のX方向の両側において、吐出口314bがY方向に沿って複数配置されている。X方向上流側およびX方向下流側に位置する吐出口314bは、互いに1/1200inchずつY方向にずれて配置されている。吐出口314bと対応する位置には、ヒータ318が配置されている。ヒータ318は、電気熱変換素子であって、駆動電圧がかかると発熱し、ヒータ318上にインクを発泡させ、対応する吐出口314bからインクを吐出させる。
1つの吐出口314bから吐出されるCインクの吐出量は、例えば、6ngである。吐出口列302Cにおける吐出口314bの数は、512個である。吐出口列302CのY方向における吐出口314bの間隔は、1/1200inchとなる。このように、記録ヘッド38では、記録画素密度が1200dpiとなるように構成されている。また、吐出口列302CのY方向における長さは、512×(1/1200inch)=0.43inchとなっている。
ヒータ316の抵抗値は、ヒータ318の抵抗値よりも大きい。従って、ヒータ318の発熱量は、ヒータ316の発熱量に比べて小さくなる。これは、1つの吐出口からのインクの吐出量が、Kインクと比べてCインク(Mインク、Yインク)の方が小さいために、Cインクの吐出に必要なエネルギーは、Kインクの吐出に必要なエネルギーと比べて少なくて済むためである。同時に、1つの吐出口からのインク吐出時の昇温量は、Kインクと比べてCインクの方が小さくなる。
記録装置10は、記録ヘッド38におけるインクを所定の温度まで加熱するために、サブヒータ308、310を用いたサブヒータ加熱と、ヒータ316、318を用いた短パルス加熱との2種類の加熱制御を実行可能な構成となっている。サブヒータ加熱による加熱制御では、サブヒータ308、310に、例えば、32Vの電圧を印加することにより、記録ヘッド38内のインクを間接的に加熱する。また、短パルス加熱による加熱制御では、ヒータ316、318にインクが吐出されない程度の短パルス(駆動パルス)を印加し、ヒータ316、318を駆動させることで記録ヘッド38内のインクを直接的に加熱する。
上記したサブヒータ加熱による加熱制御と短パルス加熱による加熱制御とでは、短パルス加熱による加熱制御の方が、記録ヘッド38内のインクに対して発生する単位時間当たりの熱エネルギーの量が多い。つまり、短パルス加熱による加熱制御の方が、サブヒータ加熱による加熱制御よりも、記録ヘッド38内のインクの加熱能力が高い。このため、短パルス加熱による加熱制御の方が、短時間で、記録ヘッド38内のインクの温度を上昇させることができる。
なお、記録中には、ヒータ316、318はインクの吐出に用いられているため、短パルス加熱による加熱制御を行うことはできない。このため、本実施形態では、記録中の加熱制御については、サブヒータ加熱により実行し、非記録中の加熱制御については、短パルス加熱により実行するものとする。
(記録装置の制御系の構成)
次に、記録装置10の制御系の構成について説明する。図4は、記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。記録装置10は、記録装置10の動作の制御処理や各種のデータ処理などを実行する中央処理装置(CPU)402を備えている。また、記録装置10は、CPU402が実行する制御プログラムや組み込みオペレーティングシステム(OS)プログラムなどを格納したROM404を備えている。さらに、記録装置10は、SRAMなどで構成され、プログラム制御変数、登録された設定値、記録装置10の管理データなどを格納し、各種ワーク用バッファ領域として用いられるRAM406を備えている。本実施形態では、CPU402、ROM404、およびRAM406により、記録装置10の全体の動作を制御する制御部400を構成している。
記録装置10は、フラッシュメモリなどで構成され、電源がオフされた後でも保存しておきたいデータを格納するための不揮発性メモリ408を備えている。不揮発性メモリ408に格納するデータとしては、例えば、レジストレーション調整値、過去に接続したホストコンピュータ450(後述する)などの情報である。また、記録装置10は、ユーザからの操作を受け付ける操作部410を備えている。操作部410としては、例えば、電源ボタン、STOPボタンの各種のボタンなどで構成されるようにしてもよいし、タッチパネルで構成されるようにしてもよい。
記録装置10は、記録ヘッド38を制御する記録ヘッドドライバ412を備えている。記録ヘッドドライバ412は、制御部400からの信号に基づいて、ヒータ316、318およびサブヒータ308、310の駆動を制御し、インクの吐出およびインクの加熱制御を行う。なお、インクを加熱する加熱制御時には、記録装置10に設けられたクロック411による時間に応じて、加熱制御を行うこととなる。また、記録ヘッドドライバ412は、例えば、10msec周期でダイオードセンサ304、306、309の出力値を取得し、取得した値を温度に変換して、RAM406に出力する。RAM406では入力した温度を記憶する。本実施形態では、ダイオードセンサ304、306の出力値に基づいて、Kインクの温度を測定する構成となっており、ダイオードセンサ309の出力値に基づいて、Cインク、Mインク、Yインクの温度を測定する構成となっている。
記録装置10は、記録ヘッド38が搭載されたキャリッジ40を移動させるキャリッジモータ414を駆動するキャリッジモータドライバ416を備えている。また、記録装置10は、給送部14および搬送部16において記録媒体Pを搬送するローラを駆動する搬送モータ418を駆動する搬送モータドライバ420を備えている。搬送モータ418により駆動されるローラは、ピックアップローラ22、給送ローラ24、搬送ローラ28、および排出ローラ30を含む。
記録装置10は、インターフェース(I/F)部422を備えており、I/F部422を介して、別体で設けられたホストコンピュータ450に接続される。ホストコンピュータ450では、ユーザによって、記録画像の作成および加工などとともに、記録品位、記録媒体のサイズ、記録媒体の種類、記録面情報などの記録情報の設定などが行われる。そして、ホストコンピュータ450は、ユーザによって記録動作の実行の指示が入力された場合には、記録画像や記録情報などをとりまとめて記録装置10に出力するためのプリンタドライバ452を備えている。なお、記録装置10では、上記した各構成部材は、CPU402が管理するシステムバス424を介して、相互に接続されている。
(本実施形態による特徴的な技術)
以上の構成において、記録動作の開始が指示されると、記録装置10は、給送動作により記録媒体Pを記録の開始位置まで給送し、その後、記録動作により当該開始位置に給送された記録媒体Pを搬送しながら記録を行うこととなる。なお、記録装置10では、記録終了後から次の記録媒体Pに対する記録を開始するまでの間、つまり、トレイ20に載置された記録媒体Pを記録の開始位置まで給送する給送動作時に、記録ヘッド38を記録の開始位置まで移動する移動動作を行う。さらに、給送動作時に、記録ヘッド38内のインクを目標温度(以下、「所定の温度」とも称する。)まで加熱する加熱制御を行う。
ここで、特許文献1に開示された技術では、記録媒体への記録終了後から次の記録媒体に対する記録開始までの間に、記録モードに応じた加熱制御を行うことが記載されている。しかしながら、記録装置10では、記録媒体Pへの記録終了後から次の記録媒体Pに対する記録開始までの間には、記録ヘッド38および記録媒体Pをそれぞれ、記録を開始する位置まで移動させる必要がある。こうした記録ヘッド38および記録媒体Pの移動では、キャリッジモータ414および搬送モータ418が駆動するが、これらモータの駆動と、加熱制御とが同時に実行されると、同時に実行される期間において、記録装置10での消費電力が増大してしまう。特に、キャリッジ40は、記録ヘッド38が搭載されるなど重量があり、こうしたキャリッジ40を駆動するキャリッジモータ414の駆動時には、給送動作中の搬送動作よりも、消費電力が特に大きくなる。また、移動動作時のキャリッジモータ414および給送動作時の搬送モータ418では、駆動開始から所定時間までの間(以下、「初動部分」と適宜に称する。)についても、静止状態のキャリッジ40や記録媒体を移動させることとなるため、消費電力が大きくなる。
さらに、キャリッジモータ414および搬送モータ418の駆動力は、公知の伝達機構によって対応するローラに対して伝達される。こうした伝達機構では、ギアなどの種々の部品を介して駆動力が伝達されるが、こうした部品の種類、形状、構成材料などによって、当該部品が動作する角度が位置などの動作位置に応じて、モータ側に生じる負荷が大きくなる。なお、本実施形態では、上記した「部品が動作する角度や位置などの動作位置」を、「メカの動作位置」と称することとする。メカの動作位置によって高負荷が駆動源であるモータに生じると、モータを駆動するための消費電力は大きくなる。
そこで、本実施形態では、記録媒体への記録終了後から次の記録媒体に対する記録開始までの間の、消費電力が大きくなるタイミングに応じて、記録ヘッド38内のインクの加熱制御を実行するようにした。
<記録装置で実行される加熱制御の概要>
記録装置において実行される、給送動作中の記録ヘッド38内のインクの加熱制御について説明する。
=インク温度が目標温度に近いとき=
まず、給送開始時の記録ヘッド38内のインクの温度が、目標温度に近い温度のときの加熱制御について説明する。図5は、給送開始時の記録ヘッド38内のインクの温度が、目標温度に近い温度ときの、加熱制御を説明する図である。図5では、横軸に給送開始後の時間を示し、縦軸に記録ヘッド38内のインクの温度、つまり、ダイオードセンサの出力値に基づく温度を示す。横軸において、図中左側の「0」が、給送動作が開始される給送開始時間であり、図中右側の点Fが、給送動作が終了する給送終了時間である。Fの値は、記録媒体の種類などによって変化する。縦軸では、図中上方側に向かって温度が高くなる。また、図上部の白枠は、給送動作中に用いられる各ローラの搬送動作のタイミング、記録ヘッド38の移動動作のタイミング、記録ヘッド38内のインクへの加熱制御のタイミングを示すものなっている。さらに、図5では、消費電力が比較的大きくなる、つまり、消費電力が所定量以上となる搬送動作および移動動作の初動部分などを大消費区間(以下、「所定区間」とも称する。)として示している。上記所定量については、例えば、記録装置10で許容可能な消費電力に応じて設定される。
本実施形態では、記録媒体Pの給送動作中に、記録ヘッド38の記録の終了位置から記録の開始位置までの移動動作と、記録ヘッド38内のインクを目標温度まで加熱する加熱制御とが行われる。
給送動作では、ピックアップローラ22、給送ローラ24などの記録媒体Pの記録の開始位置への給送に用いられる各ローラによる搬送動作がある。図5では、4つのローラによる搬送動作があることを示している。なお、給送動作中は、これらのローラがタイミングを合わせて駆動することで、記録媒体Pをスムーズに搬送して、スループットの低下を抑制している。
移動動作は、給送終了時までに記録ヘッド38の記録の開始位置までの移動が終了していればよい。本実施形態では、加熱制御のための時間を確保するために、給送開始時に移動動作を開始するようにする。なお、移動動作の開始位置は、給送開始と同時に実行することに限定されるものではない。移動動作での移動対象となる記録ヘッド38を備えたキャリッジ40は、その重量が比較的大きいため、移動動作時の消費電力は大きくなる。このため、本実施形態では、移動動作のタイミングに応じた加熱制御を実行することにより、記録装置10における消費電力を抑制するようにしている。
加熱制御は、給送終了時間Fにおいて、記録ヘッド38内のインクの温度が目標温度に達してればよい。このため、本実施形態では、記録ヘッド38内のインクの温度が給送終了時に目標温度に達するようにする。なお、加熱制御の終了位置は、給送終了時に限定されるものではない。以下の説明では、記録ヘッド38内のインクの温度を、単に「インクの温度」、「インク温度」と適宜に称する。また、目標温度とは、吐出口314からインクを吐出する際に、インクが吐出されない、適したインク量で吐出されないなどの吐出不良を生じない温度とする。
また、加熱制御としては、非記録中に行われるため、短パルス加熱による加熱制御を行う。より詳細には、加熱制御は、所定数のノズルに対応するヒータ316(318)を駆動して、インクを加熱する第1加熱制御と、所定数よりも少ない数のノズルに対応するヒータを駆動してインクを加熱する第2加熱制御とを含む。つまり、第1加熱制御は、第2加熱制御に比べて、加熱能力が高く、かつ、消費電力が大きくなっている。このため、消費電力が大きくなる移動動作を行っていないタイミングで、加熱能力の高い第1加熱制御を行うこととなる。
・大消費区間を考慮しない場合
図5を参照しながら、大消費区間を考慮しない場合の加熱制御について説明する。加熱制御を開始する時間Tを決定するために、まず、第1加熱制御を開始する時間T1を決定する。
給送開始時から時間T1までは、インク温度は時間経過に伴って徐々に下降する。そして、時間T1から第1加熱制御が実行されるため、インク温度は時間経過に伴って徐々に上昇する。インク温度の下降、上昇はそれぞれ、温度下降関数fd1、温度上昇関数fu1から、時間変化に対する温度変化が算出される。温度下降関数fd1は、給送開始時の温度(ここでの説明では目標温度の近い温度)を切片とし、非加熱制御時の単位時間当たりのインクの温度下降量を傾きとする一次関数である。また、温度上昇関数fu1は、第1加熱制御時の単位時間当たりのインクの温度上昇量を傾きとし、座標(F、目標温度)を通る一次関数である。温度下降関数fd1および温度上昇関数fu1の傾きは、使用するインクの種類、記録ヘッド38の構成材料、外気温などに応じて変化する。従って、これらの傾きは、例えば、インクの種類や外気温などに対応付けて予め記憶されている。
時間T1を取得するには、まず、給送開始前に給送終了時間Fを取得する。取得した給送終了時間Fに目標温度に達するとして、温度上昇関数fu1に基づいて、給送終了時間から給送開始時間に向かって、時間(後述するサンプル時間)ごとの温度予測値を取得する。なお、ここでは、大消費区間を考慮しないので、予め設定されている目標温度をそのまま用いる。一方、給送開始時間から給送終了時間向かっては、給送開始時に測定したインク温度を開始温度とし、温度下降関数fd1に基づいて、時間ごとの温度予測値を取得する。
そして、温度上昇関数fu1に基づいて取得した温度予測値により形成される直線l1と、温度下降関数fd1に基づいて取得した温度予測値により形成される直線l2との交点(またはその近傍)となる時間を、第1加熱制御を開始する時間T1とする。この時間T1は、図5では、時間T1(大消費区間を考慮せず)として示されている。
ここで、時間T1から第1加熱制御を行うこととなるが、加熱能力の高い第1加熱制御は、移動動作が終了する時間TCRよりも後に行われる必要がある。これは、消費電力の大きい第1加熱制御と、消費電力が大きい移動動作とが同時に実行されると、記録装置10における消費電力が増大してしまうためである。従って、時間TCR<時間T1であることを確認し、この条件が満たされていれば、時間T1を、加熱制御を開始する時間Tとして決定する。こうして決定した時間Tから第1加熱制御を行うことで、消費電力の大きい移動動作と同時に消費電力の大きい第1加熱制御を行うことがなくなる。これにより、加熱制御による給送動作時の記録装置における消費電力の増大を抑制することができるようになる。
・大消費区間を考慮する場合
次に、図5を参照しながら、大消費区間を考慮する場合の加熱制御について説明する。時間Tを決定するには、まず、大消費区間を考慮しない場合と同様にして取得した時間T1を仮の時間T1とする。この仮の時間T1は、図5では、時間T1(大消費区間を考慮せず)となる。
次に、給送動作中の大消費区間を取得する。図5では、給送開始時から順に、1つ目の搬送動作および移動動作の大消費区間が重なった区間Se1と、2つ目の搬送動作の大消費区間である区間Se2と、メカの動作位置による大消費区間である区間Se3とが存在する。また、区間Se3の後では、3つ目の搬送動作の大消費区間である区間Se4と、4つ目の搬送動作の大消費区間である区間Se5とが存在する。
そして、取得した大消費区間の中で、仮の時間T1から給送終了時間Fまでの間に存在する大消費区間を取得する。図5では、区間Se4、Se5が取得されることとなる。なお、ここで、仮の時間T1から給送終了時間Fまでの間に存在する大消費区間がない場合には、仮の時間T1を、時間T1として、以降の処理は、大消費区間を考慮しない場合と同様にして行われる。
その後、取得した大消費区間である区間Se4、Se5において、下降するインク温度の下降量を示す値ts1を取得する。即ち、ここでは、搬送動作の大消費区間である区間Se4、Se5では、加熱制御を行わない。このため、区間Se4、Se5では、インク温度は下降することとなる。区間Se4、Se5において下降するインク温度は、単位時間当たりの温度下降量に区間Se4、Se5の合計時間を積算したものである。単位時間当たりの温度下降量は、温度下降関数fd1の傾きから取得できる。こうして取得した、区間Se4、Se5におけるインク温度の下降量を示す値ts1を、補正値ts1として取得する。
次に、補正値ts1と、設定された目標温度とを加算した値を、新たな目標温度とし、給送終了時間Fに、この新たな目標温度に達するとして、温度上昇関数fu1´に基づいて、給送終了時間から給送開始時間に向かって、時間ごとの温度予測値を取得する。温度上昇関数fu1´は、第1加熱制御時の単位時間当たりの温度上昇量を傾きとし、座標(F、新たな目標温度)を通る一次関数となる。このように、大消費区間を考慮する場合には、大消費区間におけるインク温度の下降量を示す補正値ts1を用いて、目標温度を設定値よりも高く補正するようにしている。これにより、取得する時間ごとの温度予測値では、大消費区間におけるインク温度の下降量が補償されている。
一方、給送開始時間から給送終了時間に向かっては、大消費区間を考慮しない場合と同様に、給送開始時に測定したインク温度を開始温度として、温度下降関数fd1に基づいて、時間ごとの温度予測値を取得する。そして、温度上昇関数fu1´に基づいて取得した温度予測値により形成される直線l3と、温度下降関数fd1に基づいて取得した温度予測値による直線l2とが交差した時間を、加熱動作を開始する時間とする時間T1とする。この時間T1は、図5では、時間T1(大消費区間を考慮する)として示されている。図5からもわかるように、大消費区間を考慮した場合には、大消費区間を考慮しなかった場合に比較して、速いタイミングで加熱制御が開始されることとなる。
その後、時間TCR<時間T1であることを確認し、この条件が満たされていれば、時間T1を、加熱制御を開始する時間Tとして決定する。こうして決定した時間Tから第1加熱制御を行うことで、消費電力の大きい移動動作と同時に消費電力の大きい第1加熱制御を行うことがなくなる。これにより、加熱制御による給送動作時の記録装置における消費電力の増大を抑制することができるようになる。また、大消費区間を考慮しているため、大消費電力を考慮しない場合と比較して、より確実に加熱制御による給送動作時の記録装置における消費電力の増大を抑制することができるようになる。なお、図5で説明した目標温度に近い温度は、大消費区間を考慮しても、しなくても、時間TCR<時間T1の条件を満たす温度となっている。つまり、温度下降関数fd1の切片(給送動作前のインクの温度)が第1の閾値より大きい場合には、大消費区間を考慮する、考慮しないに関わらず、時間TCR<時間T1の条件を満たすこととなる。
=インク温度が目標温度から離れているとき=
次に、給送開始時の記録ヘッド38内のインクの温度が、目標温度から離れている温度のときの加熱制御について説明する。図6は、記録開始時の記録ヘッド38内のインクの温度が、目標温度から離れている温度ときの、加熱制御を説明する図である。図6での表示項目の内容については、図5と同様である。なお、本実施形態では、消費電力が小さくなる移動動作後には、消費電力は大きいが加熱能力の高い第1加熱制御を行い、消費電力が大きくなる移動動作中には、加熱能力は低いが消費電力が小さい第2加熱制御を行う。図6では、加熱制御として第1加熱制御を行う区間、つまり、移動動作が行われていない区間を、第1加熱制御区間として示している。また、図6では、加熱制御として第2加熱制御を行う区間、つまり、移動動作が行われている区間を、第2加熱制御区間として示している。
・大消費区間を考慮しない場合
図6を参照しながら、大消費区間を考慮しない場合の加熱制御について説明する。加熱制御を開始する時間Tを決定するために、まず、第1加熱制御を開始する時間T1を決定する。まず、給送開始前に給送終了時間Fを取得する。取得した給送終了時間Fに目標温度に達するとして、温度上昇関数fu1に基づいて、給送終了時間から給送開始時間に向かって、時間ごとの温度予測値を取得する。なお、ここでは、大消費区間を考慮しないので、予め設定されている目標温度をそのまま用いる。一方、給送開始時間から給送終了時間向かっては、給送開始時に測定したインク温度(目標温度から離れている温度)を開始温度とし、温度下降関数fd1に基づいて、時間ごとの温度予測値を取得する。
そして、温度上昇関数fu1に基づいて取得した温度予測値により形成される直線l11と、温度下降関数fd1に基づいて取得した温度予測値により形成される直線l12との交点(またはその近傍)となる時間を、仮の時間T1とする。ここで、仮の時間T1から、第1加熱制御を行うことを想定しているが、消費電力の大きい第1加熱制御は、移動動作が終了する時間TCRより後に行われるため、時間TCR<時間T1であることを確認する。ここでは、図6のように、仮の時間T1は、時間TCRよりも小さいため、この条件を満たしていない。つまり、この場合、移動動作中から第1加熱制御を行わない限り、給送終了時にインク温度が目標温度に到達しないこととなる。そこで、時間TCR以前、つまり、消費電力が大きくなる移動動作中では、第1加熱制御よりも消費電力の小さい第2加熱制御を行うようにする。
従って、時間TCR<仮の時間T1を満たしていない場合には、第2加熱制御を開始する時間T2を決定するために、まず、温度上昇関数fu1から、時間TCRでの温度を中間目標温度として取得する。この中間目標温度(以下、「第1の温度」とも称する。)は、図6では、中間目標温度(大消費区間を考慮せず)として示されている。そして、時間TCRにおいて中間目標温度に達するとして、温度上昇関数fu2に基づいて、時間TCRから給送開始時間に向かって、時間ごとの温度予測値を取得する。ここで、温度上昇関数fu2は、第2加熱制御の単位時間当たりの温度上昇量を傾きとし、座標(TCR、中間目標温度)を通る一次関数である。
その後、給送開始時間から給送終了時間に向かって、給送開始時に測定したインク温度を開始温度とし、温度下降関数fd1に基づいて、時間ごとの温度予測値を取得する。そして、取得した温度上昇関数fu2に基づいて取得した温度予測値により形成される直線l13と、直線112との交点(またはその近傍)となる時間を、時間T2とする。この時間T2は、図6では、時間T2(大消費区間を考慮せず)として示されている。
ここで、時間T2から第2加熱制御を行うものであるが、第2加熱制御は、時間TCR以前に実行される。このため、時間T2≦時間TCRであることを確認し、この条件が満たされていれば、時間T2を、加熱制御を開始する時間Tとして決定する。従って、この場合、時間T2から時間TCRまでは第2加熱制御が行われ、時間TCRから給送終了時間Fまでは第1加熱制御が行われる。こうした加熱制御を行うことで、消費電力の大きい移動動作中には、消費電力の低い第2加熱制御を行い、移動動作が終了後には、消費電力が大きく、加熱能力が高い第1加熱制御を行うようになる。これにより、給送動作時の記録装置10における消費電力の増大を抑制しつつ、インク温度を確実に目標温度まで上昇させることができるようになる。
・大消費区間を考慮する場合
次に、図6を参照しながら、大消費区間を考慮する場合の加熱制御について説明する。時間Tを決定するには、まず、大消費区間を考慮しない場合と同様にして、仮の時間T1を取得する。次に、給送動作中の大消費区間を取得し、取得した大消費区間の中で、仮の時間T1から給送終了時間Fまでの間に存在する大消費区間を取得する。図6では、区間Se4、Se5が取得されることとなる。
そして、取得した大消費区間である区間Se4、Se5において、下降するインク温度の下降量を示す補正値ts1を取得する。その後、補正値ts1と、設定された目標温度とを加算した値を新たな目標温度とし、給送終了時間Fに、この新たな目標温度に達するとして、温度上昇関数fu1´に基づいて、給送終了時間から給送開始時間に向かって、時間ごとの温度予測値を取得する。温度上昇関数fu1´は、第1加熱制御時の単位時間当たりの温度上昇量を傾きとし、座標(F、新たな目標温度)を通る一次関数となる。一方、給送開始時間から給送終了時間に向かっては、大消費区間を考慮しない場合と同様に、給送開始時に取得したインク温度を開始温度として、温度下降関数fd1に基づいて、時間ごとの温度予測値を取得する。
そして、温度上昇関数fu1´に基づいて取得した温度予測値により形成される直線l14と、直線l12とが交差する時間を、仮の時間T1´とする。その後、時間TCR<時間T1´であることを確認し、この条件が満たされていなければ、第2加熱制御を開始する時間を決定するために、温度上昇関数fu1´から、時間TCRでの温度を中間目標温度として取得する。この中間目標温度は、図6では、中間目標温度(大消費区間を考慮する)として示されている。そして、時間TCRにおいて中間目標温度に達するとして、温度上昇関数fu2に基づいて、時間TCRから給送開始時間に向かって、時間ごとの温度予測値を取得する。そして、給送開始時間から給送終了時間に向かって、給送開始時に測定したインク温度を開始温度とし、温度下降関数fd1に基づいて、時間ごとの温度予測値を取得する。取得した温度上昇関数fu2に基づいて取得した温度予測値により形成された直線l15と、直線l12との交点(またはその近傍)となる時間を、仮の時間T2とする。
次に、仮の時間T2から時間TCRまでの間に存在する大消費区間を取得する。図6では、区間Se3が取得される。そして、取得した大消費区間である区間Se3において、下降するインク温度の下降量を示すts2を取得する。即ち、ここでは、メカの動作位置による大消費区間である区間Se3では、インク温度は下降することとなる。区間Se3において下降するインク温度は、単位時間当たりの温度下降量に区間Se3の時間を積算したものである。こうして取得した区間Se3において下降するインク温度を、補正値ts2として取得する。
その後、補正値ts2と、中間目標温度とを加算した新たな値を中間目標温度とし、時間TCRに新たな中間目標温度に達するとして、温度上昇関数fu2´に基づいて、給送終了時間から給送開始時間に向かって、時間ごとの温度予測値を取得する。温度上昇関数fu2´は、第2加熱制御時の単位時間当たりの温度上昇量を傾きとし、座標(TCR、中間目標温度)を通る一次関数となる。
そして、再度、温度下降関数fd1に基づいて、時間ごとの温度予測値を取得する。そして、温度上昇関数fu2´に基づいて取得した温度予測値により形成される直線l16と、直線l12とが交差した時間を、時間T2とする。そして、時間T2≦時間TCRであることを確認し、図6では、この条件が満たされているので、時間T2を、加熱制御を開始する時間Tとして決定する。この時間Tは、図6では、時間T2(大消費区間を考慮する)として示されている。
従って、この場合、時間T2から時間TCRまでは第2加熱制御が行われ、時間TCRから給送終了時間Fまでは第1加熱制御が行われる。こうした加熱制御を行うことで、消費電力の大きい移動動作中には、消費電力の低い第2加熱制御を行い、移動動作が終了後には、消費電力が大きく、加熱能力が高い第1加熱制御を行うようになる。これにより、給送動作時の記録装置10における消費電力の増大を抑制しつつ、インク温度を確実に目標温度まで上昇させることができるようになる。つまり、温度下降関数fd1の切片(給送動作前のインクの温度)が第2の閾値以下の場合には、大消費区間を考慮する、考慮しないに関わらず、時間TCR≧時間T1の条件を満たすこととなる。
=インク温度が中間の温度とき=
次に、給送開始時の記録ヘッド38内のインクの温度が、上記した目標温度に近いときと離れているときとの中間の温度のとき、つまり、第2閾値より大きく、かつ、第1の閾値以下となる温度のときの加熱制御について説明する。図7は、記録開始時の記録ヘッド38のインクの温度が、上記した目標温度に近いときと離れているときとの中間の温度ときの、加熱制御を説明する図である。図7での表示項目の内容については、図5および図6と同様である。
・大消費区間を考慮しない場合
まず、図7を参照しながら、大消費区間を考慮しない場合の加熱制御について説明する。加熱制御を開始する時間Tを決定するために、まず、時間T1を決定する。時間T1を決定するには、まず、給送開始前に給送終了時間Fを取得する。取得した給送終了時間Fに目標温度に達するとして、温度上昇関数fu1に基づいて、給送終了時間から給送開始時間に向かって、時間ごとの温度予測値を取得する。なお、ここでは、大消費区間を考慮しないので、予め設定されている目標温度をそのまま用いる。一方、給送開始時間から給送終了時間向かっては、給送開始時に測定したインク温度(上記した中間の温度)を開始温度とし、温度下降関数fd1に基づいて、時間ごとの温度予測値を取得する。
そして、温度上昇関数fu1に基づいて取得した温度予測値により形成される直線l1と、温度下降関数fd1に基づいて取得した温度予測値により形成される直線l2との交点(またはその近傍)となる時間を、加熱制御を開始する時間T1とする。この時間T1は、図7では、時間T1として示されている。そして、時間TCR<時間T1であることを確認し、この条件が満たされていれば、時間T1を、加熱制御を開始する時間Tとして決定する。こうして決定した時間Tから第1加熱制御を行うことで、消費電力の大きい移動動作と同時に消費電力の大きい第1加熱制御を行うことがなくなる。これにより、加熱制御による給送動作時の記録装置における消費電力の増大を抑制することができるようになる。
・大消費区間を考慮する場合
次に、図7を参照しながら、大消費区間を考慮する場合の加熱制御について説明する。加熱制御を開始する時間Tを決定するために、まず、時間T1を決定する。具体的には、大消費区間を考慮しない場合と同様にして、仮の時間T1を取得する。図7では、時間T1が仮の時間T1に相当する。次に、給送動作中の大消費区間を取得し、取得した大消費区間の中で、仮の時間T1から給送終了時までの間に存在する大消費区間を取得する。図6では、区間Se4、Se5が取得される。
そして、取得した大消費区間である区間Se4、Se5において、下降するインク温度の下降量を示す補正値ts1を取得する。その後、補正値ts1と、設定された目標温度とを加算した値を新たな目標温度とし、給送終了時間Fに、この新たな目標温度に達するとして、温度上昇関数fu1´に基づいて、給送終了時間から給送開始時間に向かって、時間ごとの温度予測値を取得する。温度上昇関数fu1´は、第1加熱制御時の単位時間当たりの温度上昇量を傾きとし、座標(F、新たな目標温度)を通る一次関数となる。
また、給送開始時間から給送終了時間に向かっては、大消費区間を考慮しない場合と同様に、給送開始時に取得したインク温度を開始温度として、温度下降関数fd1に基づいて、時間ごとの温度予測値を取得する。そして、温度上昇関数fu1´に基づいて取得した温度予測値により形成される直線l24と、温度下降関数fd1に基づいて取得した温度予測値により形成される直線l22とが交差して時間を、仮の時間T1´とする。
その後、時間TCR<仮の時間T1´であることを確認する。図7では、この条件が満たされていないので、第2加熱制御を開始する時間T2を決定するために、温度上昇関数fu1´から、時間TCRでの温度を中間目標温度として取得する。そして、時間TCRにおいて中間目標温度に達するとして、温度上昇関数fu2に基づいて、時間TCRから給送開始時間に向かって、時間ごとの温度予測値を取得する。そして、給送開始時間から給送終了時間に向かって、給送開始時に測定したインク温度を開始温度とし、温度下降関数fd1に基づいて、時間ごとの温度予測値を取得する。取得した温度上昇関数fu2に基づいて取得した温度予測値により形成された直線l25と、直線l12との交点(またはその近傍)となる時間を、仮の時間T2とする。
次に、仮の時間T2から時間TCRまでの間に存在する大消費区間を取得する。図7では、大消費区間は存在しないため、その後、仮の時間T2≦時間TCRであることを確認し、この条件が満たされているため、仮の時間T2を、加熱制御を開始する時間Tとして決定する。従って、この場合、時間Tから時間TCRまでは第2加熱制御が行われ、時間TCRから給送終了時間Fまでは第1加熱制御が行われる。こうした加熱制御を行うことで、消費電力の大きい移動動作中には、消費電力の低い第2加熱制御を行い、移動動作が終了後には、消費電力が大きく、加熱能力が高い第1加熱制御を行うようになる。これにより、給送動作時の記録装置10における消費電力の増大を抑制しつつ、インク温度を確実に目標温度まで上昇させることができるようになる。
<決定処理>
次に、給送動作中に行われる記録ヘッド38における加熱制御のパターン(後述する)を決定するために、記録装置10で行われる決定処理について、詳細に説明する。この決定処理は、記録ジョブに基づいて記録媒体に対して記録を行う記録処理に先行して行われる。そして、決定処理により決定された加熱制御のパターンに基づいて、記録処理において、給送動作時に記録ヘッド38における加熱制御が行われる。
図8および図9は、決定処理の詳細な処理ルーチンを示すフローチャートである。図8および図9のフローチャートで示される一連の処理は、CPU402がROM404に記憶されているプログラムコードをRAM406に展開して実行されることにより行われる。あるいはまた、図8および図9におけるステップの一部または全部の機能をASICまたは電気回路などのハードウェアで実行してもよい。なお、各処理の説明における符号「S」は、フローチャートにおけるステップであることを意味する。
決定処理が開始されると、まず、CPU402は、記録媒体の種類に関する情報を取得する(S802)。S802では、例えば、ホストコンピュータ450などを介して入力された記録ジョブに含まれる記録媒体の種類に関する情報を取得する。そして、CPU402は、取得した記録媒体の種類に関する情報に基づいて、給送開始時を基準として、給送終了時間の予測値KTを取得する(S804)。
記録媒体の種類により搬送時の特性は異なる。このため、S804では、S802で取得した記録媒体の種類に関する情報に基づいて、搬送速度を取得し、当該搬送速度と給送経路の長さとに基づいて、給送終了時間の予測値KTを算出する。この予測値KTは、図5などの説明での給送終了時間Fに相当する。つまり、記録媒体を、トレイ20に載置された状態から、記録の開始位置まで給送(搬送)することに要する時間を算出することとなる。なお、例えば、ROM406などの記録装置10の記憶領域には、記録媒体の種類に関する情報ごとに搬送速度が対応付けられた情報が記憶されている。従って、S804では、当該情報に基づいて、S802で取得した記録媒体に対応付けられた搬送速度を取得することとなる。給送経路の長さとは、記録媒体が給送される際の経路の長さであって、給送経路の長さは、例えば、記録装置10の記憶領域に記憶されている。
次に、CPU402は、給送開始時を基準として、移動動作の実行時間を推定する(S806)。本実施形態では、給送動作を開始するタイミングで移動動作を開始するため、S806では、給送動作を開始するタイミングから移動動作の終了時間までを推定することとなる。つまり、本実施形態では、S806において、図5などにおいて時間TCRとして示す時間を推定することとなる。時間TCRは、具体的には、記録ヘッド38が、記録終了後の位置から記録媒体への記録の開始位置までの移動が完了した時間である。このため、記録終了時の記録ヘッド38の位置によっては、時間TCRが発生しない、つまり、移動動作がない場合もある。この場合には、時間TCRは「0」となる。
また、CPU402は、給送動作中に並行して実行される各種動作において、消費電力が大きくなる大消費区間を取得する(S808)。S808では、各大消費区間について、給送開始時を基準として、大消費区間の開始時間と終了時間とが取得される。S808では、図5などで説明した、各モータにおける搬送動作および記録ヘッド38の移動動作の初動部分ならびにメカの動作位置による大消費区間を算出することとなる。例えば、記録媒体に関する情報から算出される駆動モータの駆動情報を取得し、この駆動情報に基づいて搬送動作時の大消費区間を算出する。また、メカの動作位置から事前に確認されたメカ駆動負荷の大きい時間帯を取得し、この情報に基づいてメカの動作位置による大消費区間を算出する。さらに、記録ヘッド38を、記録の開始位置へ戻すためのキャリッジ40の動作情報を取得し、取得した動作情報に基づいて移動動作時の大消費区間を算出する。なお、駆動モータの駆動情報、メカ駆動負荷の大きい時間帯、キャリッジ40の動作情報については、記録装置10の記憶領域に保持されている。また、大消費区間を考慮しない場合には、S808は省略される。
次に、CPU402は、加熱制御のパターン(以下、「加熱パターン」および「パターン」とも称する。)を決定するための情報を取得する(S810)。加熱パターンとは、給送動作時に実行される加熱制御の内容を示すものであり、加熱制御のタイプ、加熱制御の開始、停止、終了のタイミングなどを含む。S810では、給送動作開始前の記録ヘッド38内のインクの温度STTMP(図5などでの説明における開始温度に相当)を取得する。STTMPは、ダイオードセンサ304、306、309の出力値に基づく。また、S810では、給送終了時のインクの目標温度TARTMP1を取得する。TARTMP1は、図5などの説明における目標温度であり、例えば、インクの種類などに応じて予め設定されており、記録装置10の記憶領域に記憶されている。
さらに、S810では、第1加熱制御の単位時間当たりの温度上昇特性ΔTUP1を取得する。ΔTUP1は、図5などの説明における温度上昇関数fu1の傾き、つまり、第1加熱制御時の単位時間当たりのインクの温度上昇量に相当する。さらにまた、S810では、第2加熱制御の単位時間当たりの温度上昇特性ΔTUP2を取得する。ΔTUP2は、図6などの説明における温度上昇関数fu2の傾き、つまり、第2加熱制御時の単位時間当たりのインクの温度上昇量に相当する。また、S810では、加熱制御しないときの温度下降特性ΔTDNを取得する。ΔTDNは、図5などの説明における温度下降関数fd1の傾き、つまり、非加熱制御時の単位時間当たりのインクの温度下降量に相当する。
ΔTUP1、ΔTUP2、およびΔTDNは、例えば、インクの種類などに応じて予め設定されており、記録装置10の記憶領域に記憶されている。記録装置10のように異なる種類のインクを複数用いる場合、例えば、最も早く加熱制御を開始する必要のあるインク種類に対する値、つまり、最も温度が上がり難い値となるΔTUP1、ΔTUP2を用いる。あるいは、最も温度が下がり易い値となるΔTDNを用いるようにする。なお、この場合、インク温度の上がりやすい種類のインクについては、加熱制御時の温度を監視し、目標温度に到達した際には、加熱を停止することで、過剰にインク温度が上昇することを防止することができるようになる。また、ΔTUP1、ΔTUP2、およびΔTDNは、事前に実験などで測定した特性値であってもよいし、記録装置10での実特性を測定し、装置の固体差などのばらつきを吸収した特性値であってもよい。
そして、CPU402は、補正値ts1を「0」に設定する(S812)。また、CPU402は、後述する移動動作外での加熱制御を開始する温度Tを算出する際に用いる変数tを初期化、つまり、t=0とする(S814)。この温度Tは、図5、6、7で説明した温度T1に相当する。変数tは、給送終了時点を起点として、給送開始に向けて時間を遡る値となっている。即ち、t=0は、給送終了時間を表し、t=n(nは自然数)は、給送終了時間からnサンプル時間だけ給送開始に遡った時間を表すこととなる。このため、給送開始時からの時間を、サンプル時間をSaとして、変数tを用いて表すと、「KT-t・Sa」となる。
その後、CPU402は、変数tでのインク温度を算出する(S816)。S816では、給送開始側および給送終了側からのインク温度を取得する。具体的には、インク温度は、給送終了時に向かってΔTUP1に基づいて上昇していく。従って、S816では給送終了側からのインク温度は、インク温度が目標温度になることを起点として、時間t・Saだけ遡ったタイミングでの温度を求めることとなる。具体的には、変数tでの上昇時のインク温度であるUPTMP1は、下記(1)式で求められる。
UPTMP1=(TARTMP1+ts1)-ΔTUP1×t・Sa ・・・ (1)
また、インク温度は、給送開始時から給送終了時に向かってΔTDNに基づいて下降していく。従って、S816では給送開始側からのインク温度は、給送開始時のインク温度STTMPを起点として、時間(KT-t・Sa)だけ経過したタイミングでの温度を求めることとなる。具体的には、時間(KT-t・Sa)での下降時のインク温度であるDNTMP1は、下記(2)式で求められる。
DNTMP1=STTMP-ΔTDN×(KT-t・Sa) ・・・ (2)
次に、CPU402は、DNTMP1≧UPTMP1であるか否かを判定する(S818)。S818では、ΔTDNに応じて下降したDNTMP1が、ΔTUP1に応じて上昇するUPTMP1以上となるか否かを判定している。DNTMP1≧UPTMP1を満たす場合には、変数tを用いて表される時間(時間(KT-t・Sa))またはその近傍において、図5などで説明した、温度下降関数fd1による直線と、温度上昇関数fu1による直線とが交差したことを示すものとなる。従って、DNTMP1≧UPTMP1を満たしたときの変数tを用いて表される時間を、仮の時間Tt1とする。一方、DNTMP1≧UPTMP1を満たさない、つまり、DNTMP1<UPTMP1となる場合には、このときの変数tを用いて表される時間から加熱制御を行っても給送終了時には目標温度であるTARTMP1に到達できないこととなる。
S818において、DNTMP1≧UPTMP1でないと判定されると、CPU402は、KT-t・Sa≦0であるか否かを判定する(S820)。KT-t・Sa≦0となる場合には、第1加熱制御を給送開始時から行っても、給送終了時にインク温度が目標温度であるTARTMP1に到達しないことになる。このため、S820において、KT-t・Sa≦0であると判定されると、変数tを用いて表される時間を仮の時間Tt1とし、仮の時間Tt1を「0」、つまり、給送開始時に設定し(S822)、後述するS902に進む。また、S820において、KT-t・Sa≦0でないと判定されると、変数tをインクリメントし(S824)、S816に戻る。
一方、S818において、DNTMP1≧UPTMP1であると判定されると、CPU402は、変数tを用いて表される時間を仮の時間Tt1と設定し、仮の時間Tt1からKTまでの間に大消費区間が存在するか否かを判定する(S826)。S826では、仮の時間Tt1からKTまでの間に、S808で取得した大消費区間が存在するか否かを判定することとなる。S826において、仮の時間Tt1からKTまでの間に大消費区間が存在しないと判定されると、後述するS902に進む。
また、S826において、仮の時間Tt1からKTまでの間に大消費区間が存在すると判定されると、CPU402は、補正値ts1が「0」であるか否かを判定し(S828)、ts1=0でないと判定されると、後述するS902に進む。S828において、ts1=0であると判定されると、CPU402は、仮の時間Tt1からKTまでの間に存在する大消費区間を取得して、補正値ts1を設定し(S830)、S814に戻る。S830では、仮の時間Tt1からKTまでの間に存在する大消費区間において、下降するインク温度の下降量を取得し、取得した下降量を補正値ts1の値に設定する。
なお、大消費区間を考慮しない場合には、S826からS830が省略され、S818において、DNTMP1≧UPTMP1であると判定されると、CPU402は、変数tを用いて表される時間を仮の時間Tt1と設定して、S902に進むこととなる。
図9に切り替わる。S902に進むと、CPU402は、仮の時間Tt1>時間TCRであるか否かを判定する。時間TCRはS806で取得している。S902において、仮の時間Tt1>時間TCRであると判定されると、CPU402は、仮の時間Tt1を、加熱制御を開始する時間Tとし、時間Tから第1加熱制御を実行する加熱パターンに決定し(904)、この決定処理を終了する。仮の時間Tt1>時間TCRであると、仮の時間Tt1が、移動動作後に位置しているため、仮の時間Tt1から第1加熱制御による加熱を行っても、記録装置10の消費電力の増大を抑制することができるようになる。
S904で決定される加熱パターンでは、時間TCRより後の時間Tから第1加熱制御を開始し、大消費区間を考慮しない場合には、給送終了時まで継続して第1加熱制御を行うものとなる。また、大消費区間を考慮する場合には、時間Tから第1加熱制御を開始し、給送終了時まで加熱制御を行うが、大消費区間となる時間では第1加熱制御を停止するものとなる。
S902において、仮の時間Tt1>時間TCRでない、つまり、仮の時間Tt1≦時間TCRであると判定されると、CPU402は、時間TCRにおける温度TARTMP2を取得する(S906)。TARTMP2は、図6などの説明における中間目標温度に相当する。TARTMP2は、下記(3)式により求められる。なお、下記(3)式で用いられる補正値ts1は、直近のS816での(1)式で用いた値と一致する。
TARTMP2=(TARTMP1+ts1)-ΔTUP1×(KT-TCR)
・・・ (3)
また、CPU402は、補正値ts2を「0」に設定し(S908)、移動動作中での加熱制御を開始する時間Tを算出する際に用いる変数mを初期化、つまり、m=0とする(S910)。この温度Tは、図6、7で説明した時間T2に相当する。変数mは、時間TCRを起点として、給送開始に向けて時間を遡る値となっている。即ち、m=0は、時間TCRを表し、m=n(nは自然数)は、時間TCRからnサンプル時間だけ給送開始に遡った時間を表すこととなる。変数mにおけるサンプル時間と、変数tにおけるサンプル時間とは、一致してもよいし、異なっていてもよい。以下の説明では、サンプル時間が一致するものとして説明する。このため、記録開始時からの時間を、サンプル時間Saとして、変数mを用いて表すと、「TCR-m・Sa」となる。
次に、CPU402は、変数mでのインク温度を算出する(S912)。S912では、給送開始側および時間TCR側からのインク温度を取得する。なお、給送開始から時間TCRまでは、移動動作が行われている。従って、消費電力の増大を抑制するために、移動動作中では、消費電力の小さい第2加熱制御が行われる。このため、給送開始から時間TCRまでは、インク温度は、給送終了時に向かってΔTUP2に基づいて上昇していく。従って、時間TCR側からのインク温度は、インク温度が中間目標温度(TARTMP2)になることを起点として、時間m・Saだけ遡ったタイミングでの温度を求めることとなる。具体的には、変数mでの上昇時のインク温度であるUPTMP2は、下記(4)式で求められる。
UPTMP2=(TARTMP2+ts2)-ΔTUP2×m・Sa ・・・ (4)
また、インク温度は、給送開始時から時間TCRに向かってΔTDNに基づいて下降していく。従って、給送開始側からのインクの温度は、給送開始時のインクの温度STTMPを起点として、時間(TCR-m・Sa)だけ経過したタイミングでの温度を求めることとなる。具体的には、時間(TCR-m・Sa)での下降時のインク温度であるDNTMP2は、下記(5)式で求められる。
DNTMP2=STTMP-ΔTDN×(TCR-m・Sa) ・・・ (5)
次に、CPU402は、DNTMP2≧UPTMP2であるか否かを判定する(S914)。S914では、ΔTDNに応じて下降したDNTMP2が、ΔTUP2に応じて上昇するUPTMP2以上となるか否かを判定している。DNTMP2≧UPTMP2を満たす場合には、変数mを用いて表される時間(時間(TCR-m・Sa))またはその近傍において、図6などで説明した、温度下降関数fd1による直線と、温度上昇関数fu2による直線とが交差したことを示すものとなる。従って、DNTMP2≧UPTMP2を満たしたときの変数mを用いて表される時間を、仮の時間Tt2とする。一方、DNTMP2≧UPTMP2を満たさない、つまり、DNTMP2<UPTMP2となる場合には、このときの変数mを用いて表される時間から加熱制御を行っても時間TCRには中間目標温度であるTARTMP2に到達できないこととなる。
S914において、DNTMP2≧UPTMP2でないと判定されると、CPU402は、TCR-m・Sa≦0であるか否かを判定する(S916)。TCR-m・Sa≦0となる場合には、第2加熱制御を給送開始時から行っても、時間TCRにおいてインク温度が中間目標温度であるTARTMP2に到達しないことになる。このため、S916において、TCR-m・Sa≦0であると判定されると、変数mを用いて表される時間を仮の時間Tt2とし、仮の時間Tt2を「0」、つまり、給送開始時に設定し(S918)、後述するS928に進む。また、S916において、TCR-m・Sa≦0でないと判定されると、変数mをインクリメントし(S920)、S912に戻る。
一方、S914において、DNTMP2≧UPTMP2であると判定されると、CPU402は、変数mを用いて表される時間を仮の時間Tt2と設定し、仮の時間Tt2からTCRまでの間に大消費区間が存在するか否かを判定する(S922)。S922では、仮の時間Tt2から時間TCRまでの間に、S808で取得した大消費区間が存在するか否かを判定することとなる。S922において、仮の時間Tt2から時間TCRまでの間に大消費区間が存在しないと判定されると、後述するS928に進む。
また、S922において、仮の時間Tt2から時間TCRまでの間に大消費区間が存在すると判定されると、CPU402は、補正値ts2が「0」であるか否かを判定し(S924)、ts2=0でないと判定されると、後述するS928に進む。S924において、ts2=0であると判定されると、CPU402は、仮の時間Tt2から時間TCRまでの間に存在する大消費区間を取得して、補正値ts2を設定する(S926)。S926では、仮の時間Tt2から時間TCRまでの間に存在する大消費区間において、下降するインク温度の下降量を取得し、取得した下降量を補正値ts2の値に設定する。
また、S926において、補正値ts2の値が、直近のS912での(4)式で用いた値と一致したと判定されると、S928に進み、CPU402は、仮の時間Tt2≦時間TCRであるか否かを判定する。そして、S928において、仮の時間Tt2≦時間TCRでないと判定されると、例えば、加熱パターンを決定できない旨を通知するなどの警告を行って、この決定処理を終了する。また、S928において、仮の時間Tt2≦時間TCRであると判定されると、CPU402は、仮の時間Tt2を、加熱制御を開始する時間Tとする加熱パターンを決定し(S930)、この決定処理を終了する。
なお、大消費区間を考慮しない場合には、S922からS926が省略され、S914において、DNTMP2≧UPTMP2であると判定されると、CPU402は、変数mで表される時間を仮の時間Tt2と設定して、S928に進むこととなる。
S930で決定される加熱パターンでは、大消費区間を考慮しない場合には、移動動作中の時間Tから時間TCRまで継続して第2加熱制御を行い、移動動作後である時間TCR後から給送終了時まで継続して第1加熱制御を行うものとなる。一方、大消費区間を考慮する場合には、移動動作中の時間Tから時間TCRまで第2加熱制御を行い、移動動作後である時間TCR後から給送終了時まで第1加熱制御を行うが、大消費区間となる時間では、第1加熱制御および第2加熱制御を停止するものとなる。
このように、本実施形態では、制御部400(CPU402)が、インクを加熱する加熱制御の内容およびその開始の時間を決定する決定部として機能している。また、大消費区間を考慮する場合には、決定処理により決定された加熱制御に基づいて、給送動作中に制御部400の制御により、大消費区間において加熱制御を停止して、記録ヘッド38内のインクを加熱することとなる。このように、本実施形態では、制御部400が、大消費区間において加熱制御の停止を行いながら、記録ヘッド38内のインクの加熱を制御することができる加熱制御部として機能している。
なお、記録装置10では、大消費区間を考慮するモードおよび大消費区間を考慮しないモードのどちらか一方を実行可能な構成であってもよいし、上記した2つのモードのいずれか一方を選択可能な構成であってもよい。上記した2つのモードの一方を選択可能な場合は、例えば、ホストコンピュータ450や操作部410を介してユーザがモードを選択する構成とする。
以上において説明したように、本実施形態では、記録ヘッド38におけるインク温度を目標温度とするために、加熱能力が高く、消費電力の大きい第1加熱制御を、消費電力が大きい動作である記録ヘッド38の移動動作とは異なるタイミングで実行するようにした。これにより、加熱制御が実行される記録装置10における給送動作時の消費電力の増大を抑制することができるようになる。
また、本実施形態では、記録ヘッド38の移動動作とは異なるタイミングにおける第1加熱制御では、記録媒体の給送終了時に目標温度に到達することができない場合に、移動動作中に、第1加熱制御よりも消費電力の小さい第2加熱制御を行うようにした。なお、第2加熱制御は、第1加熱制御よりも加熱能力は低い。これにより、給送終了時にインク温度を、より確実に目標温度に到達させることができるようになる。
さらに、本実施形態では、大消費区間を考慮する場合、移動動作および記録媒体の搬送動作の初度部分ならびにメカの動作位置による大消費区間では、加熱制御を行わないようにした。これにより、より確実に、記録装置10における給送動作時の消費電力の増大を抑制することができるようになる。
さらにまた、本実施形態では、大消費区間を考慮しない場合、移動動作および搬送動作の初動部分ならびにメカの動作位置による大消費区間でも加熱制御を行うようにした。これにより、消費電力の増大を抑制する効果は低減するが、加熱パターンを決定する決定処理時の処理工程が低減され、CPU402での処理負荷が少なくなる。
(他の実施形態)
なお、上記した実施形態は、以下の(1)乃至(8)に示すように変形してもよい。
(1)上記実施形態では、第1加熱制御を開始する時間T1を取得し、当該時間T1から第1加熱制御を実行するようにしたが、これに限定されるものではない。時間T1が、時間TCRよりも大きい場合には、時間TCR直後から、つまり、移動動作が終了した直後から第1加熱制御を開始するようにしてもよい。この場合、制御部400では、ダイオードセンサ304、306、309の出力値に基づいて、インク温度の監視を行う。また、この場合、目標温度に到達する時間が、給送終了時よりも早くなることがある。このときには、目標温度から一定温度が下降した段階で再度加熱制御により目標温度まで加熱して目標温度近傍に維持する制御を行うこととなる。この目標温度に維持する際の加熱制御については、第1加熱制御であってもよいし、第2加熱制御であってもよい。
また、例えば、給送開始時のインクの温度が所定閾値を超えたか否かに基づいて、時間T1が時間TCR以下となるか否かを判定してもよい。そして、この判定結果に基づいて第1加熱制御のみで加熱制御するパターンと、第1加熱制御と第2加熱制御との2段階で加熱制御するパターンとを決定するようにしてもよい。これにより、例えば、第1加熱制御のみで加熱制御するパターンのときには、S902において、Tt1>TCRでないと判定されると、警告を通知し、決定処理を終了するようにする。このため、CPU402の処理負荷を低減することができるようになるとともに、加熱パターンの決定を速やかに実行することができるようになる。なお、記録装置10では、例えば、この他の実施形態(1)で説明した技術を適用するか否かを選択異可能な構成としてもよい。
(2)上記実施形態では、記録装置10は、シリアルスキャンタイプの記録装置として説明したが、これに限定されるものではない。記録装置10は、例えば、記録ヘッドが記録媒体の幅方向に亘って延在する、所謂、フルラインタイプの記録装置としてもよい。この場合、移動動作はなくなるが、例えば、消費電力が大きくなるメカの動作位置による大消費区間以外で第1加熱処理を行い、メカの動作位置による大消費区間中には第2加熱処理を実行するようになる。また、記録装置10としては、記録機能のみを備えた装置に限定されるものではなく、読取装置などを備えた複合機であってもよい。
(3)上記実施形態では、記録装置10の制御部400において、加熱パターンを決定する決定処理を実行するようにしたが、これに限定されるものではない。つまり、ホストコンピュータなどの記録装置10と別体に設けられた情報処理装置において決定処理を実行するようにしてもよい。また、上記実施形態では特に記載しなかったが、記録装置10において、サイズの異なる記録媒体を収容する複数のトレイが高さ方向に並設されている場合、トレイの高さ方向における位置によって、給送動作時の記録媒体の搬送動作において消費電力が異なる。また、記録モードの種類および記録媒体の種類の違いでも消費電力が異なる。このため、記録装置10では、こうした消費電力の違いに対応して、大消費区間が設定される。
(4)本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記録媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
(5)上記実施形態では、大消費期間を考慮する場合には、大消費区間において、加熱制御を行わないようにしたが、これに限定されるものではない。つまり、大消費区間では、その消費電力に応じた、小さい消費電力の加熱制御を実行するようにしてもよい。例えば、図5などの説明では、区間Se1では、1回目の搬送動作および移動動作の初動部分が重なっているため、区間Se2、Se4、Se5などと比較して、消費電力は大きい。従って、区間Se1では、区間Se2、Se4、Se5に適用させる加熱制御よりも消費電力の小さい加熱制御が適用される。
この場合、加熱制御時の消費電力の調整については、例えば、インクを直接的に加熱可能なヒータを駆動するノズル数を調整することで実現するようにしてもよいし、公知の種々の技術を用いて調整することで実現するようにしてもよい。また、大消費区間で実行される加熱制御での消費電力については、例えば、各大消費区間における消費電力と、記録装置10において許容可能な消費電力との差分から算出される。
(6)上記実施形態では、給送終了時に目標温度となるようにして加熱制御の開始時間を取得するようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、目標温度に到達するタイミングを設定可能な仕様とすることで、設定したタイミングで目標温度となる加熱制御の開始時間を取得することができるようになる。このようにして、加熱制御の実行時間を取得する構成としてもよい。
(7)上記実施形態および上記した(1)乃至(6)に示す各種の形態は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
(8)上記実施形態の開示は、以下の構成および方法を含む。
(構成1)
記録媒体を給送する給送手段と、
前記給送手段により給送された記録媒体に対してインクを吐出して記録する記録手段と、
前記記録手段において、吐出するインクを加熱可能な加熱手段と、
前記加熱手段によるインクの加熱を制御する加熱制御手段と、を有し、
前記加熱制御手段は、
前記給送手段における記録媒体の搬送動作によって該記録媒体を記録の開始位置まで給送する給送動作中に、前記記録手段におけるインクの温度を所定の温度まで加熱し、
インクの温度を前記所定の温度まで加熱する際には、前記搬送動作および前記搬送動作と並行して実行される動作の少なくとも一方において、消費電力が所定量以上となる所定区間において、実行する加熱制御を停止する、ことを特徴とする記録装置。
(構成2)
前記加熱制御手段は、インクを所定の温度まで加熱する加熱制御を開始する時間を、給送動作を開始する前のインクの温度、前記給送動作の終了時間、前記所定の温度、加熱制御によるインクの温度上昇特性、およびインクの温度下降特性に基づいて決定する、ことを特徴とする構成1に記載の記録装置。
(構成3)
前記所定区間において加熱制御を停止する場合には、該停止によって生じるインクの温度の下降量を補正値として、前記所定の温度の加算した値を、新たな前記所定の温度として、再度、加熱制御を開始する時間を決定する、ことを特徴とする構成2に記載の記録装置。
(構成4)
前記記録手段は、前記搬送動作による記録媒体の搬送方向と交差する方向に移動しながら記録を行い、
前記搬送動作と並行して実行される動作は、前記記録手段が記録を終了した位置から記録を開始する位置まで移動する移動動作を含む、ことを特徴とする構成1から3のいずれか1項に記載の記録装置。
(構成5)
前記加熱制御手段は、
第1加熱制御と、前記第1加熱制御よりも消費電力の小さい第2加熱制御とを実行可能であり、
前記第1加熱制御を、前記移動動作と異なるタイミングで実行し、
前記第2加熱制御を、前記移動動作中に実行する、ことを特徴とする構成4に記載の記録装置。
(構成6)
前記所定区間は、前記搬送動作および前記移動動作の初動部分である、ことを特徴とする構成4または5に記載の記録装置。
(構成7)
前記所定区間は、前記給送手段に対して駆動源からの駆動力を伝達する機構を構成する部品の動作位置に応じて、該駆動源に高負荷が生じる区間である、ことを特徴とする構成1から6に記載の記録装置。
(構成8)
前記加熱制御手段は、前記所定区間の加熱制御を停止するモードと、前記所定区間の加熱制御を停止しないモードと、を選択可能である、ことを特徴とする構成1から7のいずれか1項に記載の記録装置。
(構成9)
前記所定区間は、記録媒体を収容するトレイの位置、記録モード、または記録媒体に応じて変化する、ことを特徴とする構成1から8のいずれか1項に記載の記録装置。
(構成10)
前記記録手段は、特性の異なるインクを吐出可能であり、
前記加熱制御手段は、前記複数のインクのうち、最も早く加熱制御を実行する必要のあるインクに対する加熱制御の開始時間に基づいて加熱制御を実行する、ことを特徴とする構成1から9のいずれか1項に記載の記録装置。
(構成11)
前記加熱制御手段は、加熱制御時の各インクの温度を監視し、前記所定の温度に達したインクに対する加熱制御を停止する、ことを特徴とする構成10に記載の記録装置。
(構成12)
前記加熱手段は、前記記録手段において、インクを吐出するためにインクを発泡させる電気熱変換素子であって、
前記加熱制御手段は、
加熱制御時には、インクを吐出することなく前記電気熱変換素子を駆動することが該インクを加熱し、
駆動する前記電気熱変換素子の数に応じて、消費電力を変化させる、ことを特徴とする構成1から11のいずれか1項に記載の記録装置。
(構成13)
前記加熱制御手段は、前記加熱制御を開始する時間が、前記移動動作よりも後のときには、
前記移動動作が終了した直後から前記第1加熱制御による加熱を実行し、
記録媒体を記録の開始位置まで給送させる前にインクの温度が前記所定の温度に到達すると、前記第1加熱制御または前記第2加熱制御を行って前記所定の温度の維持する、ことを特徴とする構成5に記載の記録装置。
(構成14)
記録媒体を給送する給送手段と、
前記給送手段により給送された記録媒体に対してインクを吐出して記録する記録手段と、
前記記録手段において、吐出するインクを加熱する加熱可能な加熱手段と、を有する記録装置の制御方法であって、
前記給送手段における記録媒体の搬送動作によって該記録媒体を記録の開始位置まで給送する給送動作中に、前記記録手段におけるインクの温度を所定の温度まで加熱し、
インクの温度を前記所定の温度まで加熱する際には、前記搬送動作および前記搬送動作と並行して実行される動作の少なくとも一方において、消費電力が所定量以上となる所定区間において、実行する加熱制御を停止する、ことを特徴とする制御方法。
(構成15)
記録媒体を記録の開始位置まで給送する給送動作を開始する前のインクの温度、前記給送動作の終了時間、インクの吐出に適した所定の温度、加熱制御によるインクの温度上昇特性、およびインクの温度下降特性に基づいて、加熱制御を開始する時間を決定する決定手段を備え、
前記決定手段において第1加熱制御を開始する時間を決定した後に、前記第1加熱制御を開始する時間から前記給送動作が終了する時間までの間に、前記給送動作中に記録媒体を搬送する搬送動作および前記搬送動作と並行して実行される動作の少なくとも一方において、消費電力が所定量以上となる所定区間が存在すると、前記所定区間におけるインクの温度の下降量を前記所定の温度に加算した値を、新たな前記所定温度として、再度、加熱制御を開始する時間を決定する、ことを特徴とする情報処理装置。
10 記録装置
14 給送部
16 搬送部
38 記録ヘッド
316、318 ヒータ
400 制御部

Claims (15)

  1. 記録媒体を給送する給送手段と、
    前記給送手段により給送された記録媒体に対してインクを吐出して記録する記録手段と、
    前記記録手段において、吐出するインクを加熱可能な加熱手段と、
    前記加熱手段によるインクの加熱を制御する加熱制御手段と、を有し、
    前記加熱制御手段は、
    前記給送手段における記録媒体の搬送動作によって該記録媒体を記録の開始位置まで給送する給送動作中に、前記記録手段におけるインクの温度を所定の温度まで加熱し、
    インクの温度を前記所定の温度まで加熱する際には、前記搬送動作および前記搬送動作と並行して実行される動作の少なくとも一方において、消費電力が所定量以上となる所定区間において、実行する加熱制御を停止する、ことを特徴とする記録装置。
  2. 前記加熱制御手段は、インクを所定の温度まで加熱する加熱制御を開始する時間を、前記給送動作を開始する前のインクの温度、前記給送動作の終了時間、前記所定の温度、加熱制御によるインクの温度上昇特性、およびインクの温度下降特性に基づいて決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記所定区間において加熱制御を停止する場合には、該停止によって生じるインクの温度の下降量を補正値として、前記所定の温度の加算した値を、新たな前記所定の温度として、再度、加熱制御を開始する時間を決定する、ことを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
  4. 前記記録手段は、前記搬送動作による記録媒体の搬送方向と交差する方向に移動しながら記録を行い、
    前記搬送動作と並行して実行される動作は、前記記録手段が記録を終了した位置から記録を開始する位置まで移動する移動動作を含む、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の記録装置。
  5. 前記加熱制御手段は、
    第1加熱制御と、前記第1加熱制御よりも消費電力の小さい第2加熱制御とを実行可能であり、
    前記第1加熱制御を、前記移動動作と異なるタイミングで実行し、
    前記第2加熱制御を、前記移動動作中に実行する、ことを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
  6. 前記所定区間は、前記搬送動作および前記移動動作の初動部分である、ことを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
  7. 前記所定区間は、前記給送手段に対して駆動源からの駆動力を伝達する機構を構成する部品の動作位置に応じて、該駆動源に高負荷が生じる区間である、ことを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
  8. 前記加熱制御手段は、前記所定区間の加熱制御を停止するモードと、前記所定区間の加熱制御を停止しないモードと、を選択可能である、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の記録装置。
  9. 前記所定区間は、記録媒体を収容するトレイの位置、記録モード、または記録媒体に応じて変化する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の記録装置。
  10. 前記記録手段は、特性の異なる複数のインクを吐出可能であり、
    前記加熱制御手段は、前記複数のインクのうち、最も早く加熱制御を実行する必要のあるインクに対する加熱制御の開始時間に基づいて加熱制御を実行する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の記録装置。
  11. 前記加熱制御手段は、加熱制御時の各インクの温度を監視し、前記所定の温度に達したインクに対する加熱制御を停止する、ことを特徴とする請求項10に記載の記録装置。
  12. 前記加熱手段は、前記記録手段において、インクを吐出するためにインクを発泡させる電気熱変換素子であって、
    前記加熱制御手段は、
    加熱制御時には、インクを吐出することなく前記電気熱変換素子を駆動することが該インクを加熱し、
    駆動する前記電気熱変換素子の数に応じて、加熱制御時の消費電力を変化させる、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の記録装置。
  13. 前記加熱制御手段は、前記加熱制御を開始する時間が、前記移動動作よりも後のときには、
    前記移動動作が終了した直後から前記第1加熱制御による加熱を実行し、
    記録媒体を記録の開始位置まで給送させる前にインクの温度が前記所定の温度に到達すると、前記第1加熱制御または前記第2加熱制御を行って前記所定の温度の維持する、ことを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
  14. 記録媒体を給送する給送手段と、
    前記給送手段により給送された記録媒体に対してインクを吐出して記録する記録手段と、
    前記記録手段において、吐出するインクを加熱する加熱可能な加熱手段と、を有する記録装置の制御方法であって、
    前記給送手段における記録媒体の搬送動作によって該記録媒体を記録の開始位置まで給送する給送動作中に、前記記録手段におけるインクの温度を所定の温度まで加熱し、
    インクの温度を前記所定の温度まで加熱する際には、前記搬送動作および前記搬送動作と並行して実行される動作の少なくとも一方において、消費電力が所定量以上となる所定区間において、実行する加熱制御を停止する、ことを特徴とする制御方法。
  15. 記録媒体を記録の開始位置まで給送する給送動作を開始する前のインクの温度、前記給送動作の終了時間、インクの吐出に適した所定の温度、加熱制御によるインクの温度上昇特性、およびインクの温度下降特性に基づいて、加熱制御を開始する時間を決定する決定手段を備え、
    前記決定手段において第1加熱制御を開始する時間を決定した後に、前記第1加熱制御を開始する時間から前記給送動作が終了する時間までの間に、前記給送動作中に記録媒体を搬送する搬送動作および前記搬送動作と並行して実行される動作の少なくとも一方において、消費電力が所定量以上となる所定区間が存在すると、前記所定区間におけるインクの温度の下降量を前記所定の温度に加算した値を、新たな前記所定の温度として、再度、加熱制御を開始する時間を決定する、ことを特徴とする情報処理装置。
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