JP2023157537A - 電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】使用時に内圧が上昇しにくい電池を提供すること。【解決手段】本開示技術に係る電池1は、正負の電極板とセパレータ層とを扁平形状に捲回した扁平電極捲回体3と、扁平電極捲回体3を電解液27とともに収容する平板形の外装ケース2とを有しており、扁平電極捲回体3における一方の電極板のみが捲回されている側部の部分中の第1集電端子との接合箇所以外の箇所に、ターン部24と一端とにわたる切り欠き部11、12が形成されており、切り欠き部11、12と外装ケース2の内面との間に、電解液を収容できる空間28、29があるものである。【選択図】図4
Description
本開示技術は、電池に関する。
従来から、特許文献1に開示されているような電池が使用されている。同文献の電池では、扁平捲回電極体の一部を切除するとともに、電池ケースを、切除後の扁平捲回電極体の形状に合わせた形状のものとしている。
前記した従来の電池では、使用時において内圧が上昇しやすい傾向があった。電池ケースの内部容積が、扁平捲回電極体を収納するための最低限のものでしかないためである。このため、必要な耐圧性能を得るためには、電池ケースの板厚を厚くする必要があった。また、電池ケースにおける箱体と蓋体との接合強度も高くする必要があった。
本開示技術は、前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは、使用時に内圧が上昇しにくい電池を提供することにある。
本開示技術の一態様における電池は、第1電極板と第2電極板とを、それらの間にセパレータ層を挟み込みつつ、2箇所のターン部を有する扁平形状に捲回した扁平電極捲回体と、扁平電極捲回体を電解液とともに収容する平板形の外装ケースとを有するものであって、扁平電極捲回体は、第1電極板と第2電極板とセパレータ層とがいずれも捲回されている軸方向中央の発電部と、第1電極板のみが捲回されている軸方向の一端の側の第1側部と、第2電極板のみが捲回されている軸方向の他端の側の第2側部とを有するものであり、第1側部に接合された第1集電端子と、第2側部に接合された第2集電端子とを有し、第1側部における第1集電端子との接合箇所以外の箇所に、ターン部と一端とにわたる切り欠き部が形成されており、切り欠き部と外装ケースの内面との間に、電解液を収容できる空間がある構成としたものである。
上記態様における電池では、扁平電極捲回体における一方の電極板のみが捲回されている部位である側部の部分に、ターン部と一端とにわたる切り欠き部が形成されている。これにより外装ケース内には空間が形成されている。このことにより外装ケース内に空洞の容積がある程度存在するので、内圧が上昇する場面でもその上昇の程度が抑制される。
上記態様における電池ではさらに、外装ケースにおける一端に対面する面から他端に対面する面までの幅が、切り欠き部に対応する箇所と切り欠き部以外の部分に対応する箇所とで同一であることが望ましい。このようになっていると、外装ケースの構造が簡素であり、外装ケース内には切り欠き部に伴う空間が大きく形成される。
上記のいずれかの態様における電池ではさらに、外装ケースにおける一方のターン部に対面する面が、第1集電端子と接続された第1対外端子および第2集電端子と接続された第2対外端子を有する対外端子面であり、切り欠き部は、対外端子面と反対側のターン部と前記一端とにわたって形成されていることとすることができる。あるいは切り欠き部は、対外端子面の側のターン部と前記一端とにわたって形成されていることとすることができる。切り欠き部を対外端子面とその反対側との両方のターン部に形成してもよい。
本開示技術によれば、使用時に内圧が上昇しにくい電池が提供されている。
以下、本開示技術を具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、図1に示す電池1に本開示技術を適用したものである。図1の電池1は、外装ケース2に発電要素3を内蔵してなるものである。発電要素3は、正負の電極板を積層したものである。
外装ケース2は、箱体4と蓋体5とにより構成されている。発電要素3は箱体4に収納されている。蓋体5には、正負の対外端子6、7と、封口キャップ8とが設けられている。対外端子6、7はそれぞれ、発電要素3の正負の電極板の一方と外装ケース2内で接続されているものである。封口キャップ8は、蓋体5に設けられている注液口を塞いでいるキャップである。
発電要素3について説明する。本形態における発電要素3は、第1電極板9、第2電極板10、およびそれらの間のセパレータ層11(図2参照)を、図3に示すように扁平形状に捲回した扁平電極捲回体である。第1電極板9および第2電極板10のうち一方が正極板で他方が負極板である。図3の発電要素3は、2箇所のターン部23、24を有している。ターン部23、24は、第1電極板9、第2電極板10、セパレータ層11が折り返されている箇所である。発電要素3におけるターン部23とターン部24との間の部分は、第1電極板9、第2電極板10、セパレータ層11がほぼ平面状である中間部13である。
図3の発電要素3はまた、発電部14と第1側部15と第2側部16とを有している。発電要素3において、発電部14は捲回の軸方向中央に、第1側部15は軸方向の一端の側に、第2側部16は軸方向の他端の側に、それぞれ位置している。発電部14は、第1電極板9、第2電極板10、セパレータ層11のいずれもが捲回されている部位である。第1側部15は、第1電極板9のみが捲回されている部位である。第2側部16は、第2電極板10のみが捲回されている部位である。
本形態における第1電極板9、第2電極板10はいずれも、図2に示すように、集電箔17、18に活物質層19、20を塗工したものである。活物質層19、20は、第1電極板9、第2電極板10における発電部14の範囲内の部位にのみ塗工されている。つまり、第1側部15では集電箔17の非塗工部分のみが捲回されており、第2側部16では集電箔18の非塗工部分のみが捲回されている。図3に示すように本形態の発電要素3では、第1側部15および第2側部16のそれぞれ一部が切り欠かれて切り欠き部21、22とされている。切り欠き部21、22は、第1側部15および第2側部16の一部が、ターン部23と発電要素3の捲回軸方向の一端とにわたって切り欠かれた部位である。
電池1の内部の状況を図4により説明する。図4は、電池1の外装ケース2を図1中のA-Aの位置(対外端子6、7および封口キャップ8より手前側の位置)で切開した状態で示す正面図である。図4に示されるように、外装ケース2の内部で発電要素3は、ターン部23を蓋体5に対面させた状態で配置されている。つまり、外装ケース2においてターン部23に対面しているのは、対外端子6、7を有する対外端子面(蓋体5のこと)である。ターン部24は、対外端子面とは反対側のターン部である。
対外端子6の下方に第1側部15が位置している。対外端子6と第1側部15とは、第1集電端子25により接続されている。対外端子6は第1対外端子である。対外端子7の下方に第2側部16が位置している。対外端子7と第2側部16とは、第2集電端子26により接続されている。対外端子7は第2対外端子である。図4中では対外端子6と第1側部15との接合箇所32および対外端子7と第2側部16との接合箇所33を単に黒丸で示しているが、これらの接合箇所は図4中でもっとも上下に長い範囲であってもよい。
外装ケース2内で発電要素3は、フィルム12に包まれている。フィルム12は、発電要素3と外装ケース2とを絶縁するために設けられているものである。外装ケース2内には発電要素3の他に電解液27も収容されている。フィルム12には適宜隙間が開いている箇所があり、電解液27が通過することができる。
発電要素3の第1側部15、第2側部16に設けられている前述の切り欠き部21、22は、外装ケース2内では図4中で下向きに位置している。つまり切り欠き部21は、第1側部15の一部が、対外端子面とは反対側のターン部24と発電要素3の軸方向の一端とにわたって切り欠かれた箇所である。切り欠き部22は、第2側部16の一部が、ターン部24と発電要素3の軸方向の一端とにわたって切り欠かれた箇所である。切り欠き部22は、第1側部15、第2側部16と第1集電端子25、第2集電端子26との接合箇所以外の箇所に形成されている。
本形態の電池1では、切り欠き部21、22と箱体4との間に空間28、29が形成されている。空間28、29には、電解液27が溜まることができる。外装ケース2内に収容されている電解液27の一部が空間28、29に溜まっている。空間28、29の一部は、電解液27で占められている。
外装ケース2の箱体4には、発電要素3の軸方向の一端(第1側部15)に対面する側面30と、発電要素3の他端(第2側部16)に対面する側面31とが設けられている。図4中には、外装ケース2における側面30から側面31までの幅として、幅W1と幅W2とを示している。幅W1は、切り欠き部21、22に対応する箇所における幅である。幅W2は、発電要素3における切り欠き部21、22以外の箇所に対応する箇所における幅である。幅W1と幅W2とは同じである。すなわち、本形態における箱体4の側面30、31には、切り欠き部21、22に対応した段差は設けられていない。
本形態の電池1にて外装ケース2内に、切り欠き部21、22により空間28、29を設けていることにより、次の利点がある。電池1の使用段階における外装ケース2の内圧が上昇する場面で、内圧の上昇の程度が抑制されるのである。電池1の内圧が上昇する原因としては例えば、電解液27の分解による気体発生、外装ケース2を透過して進入してきた水分と電解液27との反応による気体発生、が挙げられる。これらの事象により外装ケース2内に存在する気体の量が増えるので、その分内圧は上昇する。また、電池1が拘束された状態で使用される場合には、拘束による荷重も内圧を上昇させる要因となる。しかし本形態の電池1では、切り欠き部21、22の空間28、29によりもともと外装ケース2内の空洞部分の容積が大きい。このため、内圧の上昇の程度が抑制されるのである。
本形態の電池1では、切り欠き部21、22が設けられていることにより、さらに次のような利点もある。第1に、電解液27の液回り性の向上が挙げられる。第2に、外装ケース2の簡素化が挙げられる。第3に、電池1のコンパクト性が挙げられる。
液回り性の向上について説明する。ここでいう液回り性とは、外装ケース2内にて、液体として収容されている電解液27と発電要素3に含浸されている電解液との入れ替わりが起こりやすいことをいう。発電要素3に切り欠き部21、22が設けられていない場合には、電池1の製造過程で箱体4に発電要素3を挿入する段階で、第1側部15または第2側部16の集電箔に皺寄り等の変形が生じる可能性がある。皺寄りに伴いセパレータ層11が損傷することもありうる。発電要素3と箱体4の内面との間に寸法の余裕がほとんどないからである。変形が生じた箇所では集電箔同士が強く密着して、電解液が通過しにくい場所が生じることがある。このような場所が生じると、その後の電池1の使用過程にて、発電要素3への電解液27の含浸が不足して発電性能の低下を起こすことがある。
本形態では、切り欠き部21、22が設けられていることにより、発電要素3と箱体4の内面との間に寸法の余裕がある。このため第1側部15または第2側部16の集電箔に皺寄り等の変形が生じる可能性は低い。このため、使用過程にて発電要素3への電解液27の液回り性が低下した箇所が生じることがあまりない。皺寄りに伴うセパレータ層11の損傷も防止される。また、切り欠き部21、22の箇所では、第1側部15または第2側部16の端部から発電部14までの距離が短い。このことも、発電部14への液回り性の向上に貢献している。このように本形態の電池1では、液回り性が悪いことによる発電性能の低下が起こることはほとんどない。
外装ケース2の簡素化について述べる。前述のように本形態では、箱体4の側面30、31は段差のない単純な平面で十分である。この点で箱体4は、複雑な形状のものである必要がない。また、内圧の上昇の程度が抑制されているので、箱体4および蓋体5は比較的薄肉なもので十分である。また、箱体4と蓋体5との接合強度もさほど強力でなくてよい。これらの点で、外装ケース2の構成が比較的簡素なもので十分である。
電池1のコンパクト性について述べる。本形態の電池1では、前述のように切り欠き部21、22の箇所の空間28、29により液回り性の向上に貢献している。そしてその分、切り欠き部21、22以外の箇所では、発電要素3の寸法に対する箱体4の内寸の余裕を最小限で済ますことができる。このことと前述の外装ケース2の簡素化もあり、本形態の電池1は蓄電容量に対して比較的コンパクトに構成することができる。
ここまでの説明での切り欠き部21、22は、第1側部15および第2側部16の下側(ターン部24の側)を折れ線状に切り欠いたものとした。しかしこれには限らず、切り欠き部21、22には種々の変形例がある。図5に示す第1の変形形態では、切り欠き部21、22が、下側ではなく上側(対外端子面側のターン部23の側)に形成されている。図6に示す第2の変形形態では、切り欠き部21、22が、下側に形成されているが折れ線状でなく司直線状に切り欠かれている。図7に示す第3の変形形態では、切り欠き部21、22が、下側に形成されているが曲線状に切り欠かれている。これらの変形例でも同様の効果が奏される。むろん、上側に直線状あるいは曲線状の切り欠き部21、22を形成してもよい。上下両方に切り欠き部21、22を形成してもよい。
発電要素3における切り欠き部21、22は、捲回終了後に第1側部15および第2側部16の該当箇所を切除することにより形成できる。切り欠き部21、22の形成と、第1側部15および第2側部16のへの第1集電端子25および第2集電端子26の接合との順序は、どちらが先でもよい。ただし図5のように上側を切り欠く場合には、先に切り欠き部21、22を形成しておいてから集電端子の接合を行った方がよい。捲回前に集電箔17、18の非塗工部分の該当各箇所をあらかじめ切除しておいてその後に捲回するという手順も可能である。
以上詳細に説明したように本実施の形態によれば、扁平電極捲回体である発電要素3の側部の部分に切り欠き部21、22を設けて外装ケース2内に空間28、29が形成されるようにしている。これにより、内圧が上昇する使用局面でもその上昇の程度が緩和され、使用時に内圧が上昇しにくい電池が実現されている。
本実施の形態および実施例は単なる例示にすぎず、本開示技術を何ら限定するものではない。したがって本開示技術は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、電池1の電池種は問わない。発電要素3の第1側部15と第2側部16との両方ではなくいずれか一方のみに切り欠き部を形成したものであってもよい。両方に切り欠き部を形成する場合でも、第1側部15と第2側部16とで切り欠きの位置、形状が違っていてもよい。切り欠きの範囲は、接合箇所32、33、発電部14に掛からない範囲内でぎりぎりまで大きくしてもよい。フィルム12は、外装ケース2が絶縁性のものであるかまたはその内面が絶縁コーティングされているものである場合には不要である。
1 電池 21 切り欠き部
2 外装ケース 22 切り欠き部
3 発電要素 23 ターン部
4 箱体 24 ターン部
5 蓋体 25 第1集電端子
6 対外端子 26 第2集電端子
7 対外端子 27 電解液
9 正極板 28 空間
10 負極板 29 空間
11 セパレータ層 30 側面
14 発電部 31 側面
15 第1側部 32 接合箇所
16 第2側部 33 接合箇所
2 外装ケース 22 切り欠き部
3 発電要素 23 ターン部
4 箱体 24 ターン部
5 蓋体 25 第1集電端子
6 対外端子 26 第2集電端子
7 対外端子 27 電解液
9 正極板 28 空間
10 負極板 29 空間
11 セパレータ層 30 側面
14 発電部 31 側面
15 第1側部 32 接合箇所
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Claims (4)
- 第1電極板と第2電極板とを、それらの間にセパレータ層を挟み込みつつ、2箇所のターン部を有する扁平形状に捲回した扁平電極捲回体と、前記扁平電極捲回体を電解液とともに収容する平板形の外装ケースとを有する電池であって、
前記扁平電極捲回体は、
前記第1電極板と前記第2電極板と前記セパレータ層とがいずれも捲回されている軸方向中央の発電部と、
前記第1電極板のみが捲回されている軸方向の一端の側の第1側部と、
前記第2電極板のみが捲回されている軸方向の他端の側の第2側部とを有するものであり、
前記第1側部に接合された第1集電端子と、
前記第2側部に接合された第2集電端子とを有し、
前記第1側部における前記第1集電端子との接合箇所以外の箇所に、前記ターン部と前記一端とにわたる切り欠き部が形成されており、
前記切り欠き部と前記外装ケースの内面との間に、電解液を収容できる空間がある電池。 - 請求項1に記載の電池であって、
前記外装ケースにおける前記一端に対面する面から前記他端に対面する面までの幅が、前記切り欠き部に対応する箇所と前記切り欠き部以外の部分に対応する箇所とで同一である電池。 - 請求項1または請求項2に記載の電池であって、
前記外装ケースにおける一方の前記ターン部に対面する面が、前記第1集電端子と接続された第1対外端子および前記第2集電端子と接続された第2対外端子を有する対外端子面であり、
前記切り欠き部は、前記対外端子面と反対側の前記ターン部と前記一端とにわたって形成されている電池。 - 請求項1または請求項2に記載の電池であって、
前記外装ケースにおける一方の前記ターン部に対面する面が、前記第1集電端子と接続された第1対外端子および前記第2集電端子と接続された第2対外端子を有する対外端子面であり、
前記切り欠き部は、前記対外端子面の側の前記ターン部と前記一端とにわたって形成されている電池。
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