JP2023156998A - 立体的細胞組織の製造方法及び立体的細胞組織 - Google Patents

立体的細胞組織の製造方法及び立体的細胞組織 Download PDF

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Abstract

【課題】経時的に培養しても、立体的細胞組織の経時的な厚さの減少を抑制して、立体的細胞組織の厚さを維持できる立体的細胞組織の製造方法及び立体的細胞組織の提供。【解決手段】第1の細胞、カチオン性物質、細胞外マトリックス成分及び高分子電解質を混合して第1の混合物を得る工程と、前記第1の混合物から第1の細胞集合体を形成する工程と、前記第1の細胞集合体を培地中で8時間~52時間培養して第1の細胞組織を得る工程と、第2の細胞、前記カチオン性物質、前記細胞外マトリックス成分及び前記高分子電解質とを混合して第2の混合物を得る工程と、前記第1の細胞組織上に前記第2の混合物を積層し第2の細胞集合体を形成する工程と、前記第2の細胞集合体を前記培地中で培養する工程を含む、立体的細胞組織の製造方法。【選択図】図2

Description

本発明は、立体的細胞組織の製造方法及び立体的細胞組織に関する。
近年、再生医療、及び生体に近い環境が求められる薬剤のアッセイ系等の分野において、平板上で成育させた細胞よりも立体的に組織化させた立体的細胞組織を使用することの優位性が示されている。このため、生体外で立体的細胞組織を構築するための様々な技術が開発されている。
特許文献1には、細胞が、カチオン性緩衝液、細胞外マトリックス成分及び高分子電解質を少なくとも含む溶液に懸濁されている混合物を得る工程と、得られた前記混合物から前記細胞を集め、基材上に細胞集合体を形成する工程と、前記細胞を培養し、立体的細胞組織を得る工程と、を含む、立体的細胞組織の製造方法が開示されている。立体的細胞組織は、例えば、生体組織モデル又は固形癌モデル等に使用して、薬物スクリーニング等の様々なアッセイに利用することができる。
特許第6639634号公報
特許文献1に記載の方法で立体的細胞組織を製造すると、経時的に立体的細胞組織の厚みが減少してしまう場合がある。立体的細胞組織の厚みが経時的に減少してしまうと、例えば、がん細胞等を立体的細胞組織内に配置しても、立体的細胞組織が薄くなり、がん組織が露出してしまう場合がある。また、立体的細胞組織の厚みが経時的に減少すると、免疫細胞の遊走性に関連した評価の再現性が低下する場合がある。
そこで、本発明は、経時的に培養しても、立体的細胞組織の経時的な厚さの減少を抑制して、立体的細胞組織の厚さを維持できる、立体的細胞組織の製造方法及び立体的細胞組織を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を含む。
[1]第1の細胞、カチオン性物質、細胞外マトリックス成分及び高分子電解質を混合して第1の混合物を得る工程と、前記第1の混合物から第1の細胞集合体を形成する工程と、前記第1の細胞集合体を培地中で8時間~52時間培養して第1の細胞組織を得る工程と、第2の細胞、前記カチオン性物質、前記細胞外マトリックス成分及び前記高分子電解質とを混合して第2の混合物を得る工程と、前記第1の細胞組織上に前記第2の混合物を積層し第2の細胞集合体を形成する工程と、前記第2の細胞集合体を前記培地中で培養する工程を含む、立体的細胞組織の製造方法。
[2]前記第1の混合物を得る工程は、前記カチオン性物質、前記細胞外マトリックス成分及び前記高分子電解質とを混合して第1の混合液を得る工程と、前記第1の細胞と前記第1の混合液とを混合して前記第1の混合物を得る工程を含み、前記第2の混合物を得る工程は、前記カチオン性物質、前記細胞外マトリックス成分及び前記高分子電解質とを混合して第2の混合液を得る工程と、前記第2の細胞と前記第2の混合液とを混合して前記第2の混合物を得る工程を含む、[1]に記載の立体的細胞組織の製造方法。
[3]前記第1の細胞集合体は、理論層数が5層以上20層以下となる数の前記第1の細胞を含み、前記第2の細胞集合体は、理論層数が5層以上20層以下となる数の前記第2の細胞を含む、[1]又は[2]に記載の立体的細胞組織の製造方法。
[4]前記第1及び第2の細胞は、少なくとも間質細胞を含む、[1]~[3]のいずれか一項に記載の立体的細胞組織の製造方法。
[5]前記細胞外マトリックス成分が、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、エラスチン、テネイシン、エンタクチン、フィブリン、プロテオグリカン及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、[1]~[4]のいずれか一項に記載の立体的細胞組織の製造方法。
[6]前記高分子電解質が、グリコサミノグリカン、デキストラン硫酸、ラムナン硫酸、フコイダン、カラギナン、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリアクリル酸及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、[1]~[5]のいずれか一項に記載の立体的細胞組織の製造方法。
[7]細胞、カチオン性物質、細胞外マトリックス成分及び高分子電解質を含む立体的細胞組織であって、培養開始日の前記立体的細胞組織の厚さを100%としたときの培養開始日から7日目の前記立体的細胞組織の厚さの減少率が35%以下である立体的細胞組織。
[8]前記細胞は少なくとも間質細胞を含む、[7]に記載の立体的細胞組織。
本発明によれば、経時的に培養しても、立体的細胞組織の経時的な厚さの減少を抑制して、立体的細胞組織の厚さを維持できる立体的細胞組織の製造方法及び立体的細胞組織を提供できる。
実験例1~3において測定した、立体的細胞組織の厚さの経時変化のグラフである。 実験例1の培養4日目の立体的細胞組織の顕微鏡写真である。 実験例2の培養4日目の立体的細胞組織の顕微鏡写真である。 実験例3の培養4日目の立体的細胞組織の顕微鏡写真である。 実験例4~6において測定した、立体的細胞組織の厚さの経時変化のグラフである。
本明細書において、数値範囲を例えば「1~10mm」と記載した場合、1mmから10mmまでの範囲を意味し、下限値である1mmと上限値である10mmを含む数値範囲を意味する。
(第1実施形態)
1実施形態において、本発明は、第1の混合物を得る工程と、第1の細胞集合体を形成する工程と、第1の細胞組織を得る工程と、第2の混合物を得る工程と、第2の細胞集合体を形成する工程と、前記第2の細胞集合体を前記培地中で培養する工程と、を含む立体的細胞組織の製造方法を提供する。第1の混合物を得る工程では、第1の細胞、カチオン性物質、細胞外マトリックス成分及び高分子電解質とを混合する。第1の細胞集合体を得る工程では、第1の混合物から第1の細胞集合体を形成する。第1の細胞組織を得る工程では、第1の細胞集合体を培地中で8時間~52時間培養する。第2の混合物を得る工程では、第2の細胞、前記カチオン性物質、前記細胞外マトリックス成分及び前記高分子電解質とを混合する。第2の細胞集合体を得る工程では、前記第1の細胞組織上に前記第2の混合物を積層し、前記第2の細胞集合体を形成する。立体的細胞組織を得る工程では、前記第2の細胞集合体を前記培地中で培養する。
本実施形態の製造方法によれば、経時的に培養しても、立体的細胞組織の経時的な厚さの減少を抑制して、立体的細胞組織の厚さを維持することができる。具体的には、細胞と、カチオン性物質、細胞外マトリックス成分及び高分子電解質を含む立体的細胞組織は、培養開始日の立体的細胞組織の厚さを100%としたときの培養開始日から7日目の立体的細胞組織の厚さの減少率が35%以下である。本明細書において、培養開始日、つまり培養0日目は、立体細胞組織を構成する全ての細胞の積層が完了した日と定義する。
本明細書において、立体的細胞組織の厚さとは、立体的細胞組織の上面から見たときの重心を通る線に沿って取得した切片の厚さであり、立体的細胞組織のほぼ中央部における切片の厚さである。立体的細胞組織の形状は、立体的細胞組織の製造に使用した容器によって異なるが、例えば、円柱形状のセルカルチャーインサートを用いて立体的細胞組織を製造した場合には、円柱形状となる。この場合、立体的細胞組織を上面から見たときの形状は円であり、上面から見たときの重心は、円の中心となる。立体的細胞組織の形状は、円柱形状に限定されず、目的に応じて任意の形状であることができる。具体的には、例えば、三角柱形状、四角柱形状等の多角柱形状等が例示できる。
培養開始日の立体的細胞組織の厚さを100%としたときの培養開始日から7日目の立体的細胞組織の厚さの減少率は、35%以下であり、30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましい。
培養開始日の立体的細胞組織の厚さを100%としたときの培養開始日から10日目の立体的細胞組織の厚さの減少率は、30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましく、20%以下であることがより好ましい。
本実施形態の製造方法において、培養開始日から4日目の立体的細胞組織の厚さは、80μm以上であることが好ましく、例えば85μm以上、例えば90μm以上、例えば95μm以上、例えば100μm以上、例えば110μm以上、例えば120μm超、例えば130μm以上、例えば140μm以上、例えば150μm以上、例えば160μm以上、例えば170μm以上、例えば180μm以上、例えば190μm以上、例えば200μm以上であってもよい。最終積層日から4日目の立体的細胞組織の厚さの上限値は特に限定されないが、一例として1000μmが挙げられる。
また、立体的細胞組織の厚さが80μm以上となる培養期間は、培養開始日から少なくとも3日間であることが好ましく、例えば4日間、例えば5日間、例えば6日間、例えば7日間、例えば8日間、例えば9日間、例えば10日間、例えば11日間、例えば12日間、例えば13日間、例えば14日間、例えば15日間、例えば16日間、例えば17日間、例えば18日間、例えば19日間、例えば20日間であってもよい。
立体的細胞組織の形態に特に制限は無く、例えば、セルカルチャーインサート等の容器の内部で細胞を培養して形成した立体的細胞組織であってもよいし、コラーゲン等の天然生体高分子や合成高分子によって構成されたスキャフォールド内で細胞を培養して形成した立体的細胞組織であってもよいし、細胞凝集体(スフェロイドともいう)であってもよいし、シート状の細胞構造体であってもよい。
本明細書において、「立体的細胞組織」とは、立体的な細胞の集合体を意味する。立体的細胞組織の用途としては、生体組織モデル、固形癌モデルが挙げられるが、これらに限定されない。生体組織モデルとしては、皮膚、毛髪、骨、軟骨、歯、角膜、血管、リンパ管、心臓、肝臓、膵臓、神経及び食道等のモデルが挙げられる。固形癌モデルとしては、胃癌、食道癌、大腸癌、結腸癌、直腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腎細胞癌及び肝癌等のモデルが挙げられる。
<立体的細胞組織の製造方法>
本発明の一実施形態に係る立体的細胞組織の製造方法は、細胞集合体を得る工程と、細胞集合体を培養する工程とを繰り返して細胞を積層し、立体的細胞組織を得る。このようにして得た立体的細胞組織は、培養開始日の前記立体的細胞組織の厚さを100%としたときの培養開始日から7日目の前記立体的細胞組織の厚さの減少率が35%以下である。
立体的細胞組織は、工程(A)~工程(C)をこの順で少なくとも2回繰り返すことによって製造する。
(A)細胞、カチオン性物質、細胞外マトリックス成分及び高分子電解質とを混合して混合物を得る工程
(B)得られた混合物から細胞集合体を形成する工程
(C)細胞集合体の細胞を8~52時間培養する工程
工程(A)は、細胞、カチオン性物質、細胞外マトリックス成分及び高分子電解質とを混合して混合物を得る工程である。工程(A)は、カチオン性物質、細胞外マトリックス成分及び高分子電解質とを混合して混合液を得る工程と、細胞と混合液とを混合して混合物を得る工程とを含んでいてもよい。
(カチオン性物質)
カチオン性物質としては、細胞の生育及び後述する細胞集合体の形成に悪影響を及ぼさない限り、任意の正電荷を有する物質を用いることができる。カチオン性物質には、トリス-塩酸、トリス-マレイン酸、ビス-トリス及びHEPES等のカチオン性緩衝剤、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリリシン、ポリヒスチジン及びポリアルギニン等が挙げられるが、これらに限定されない。なかでもカチオン性緩衝剤が好ましく、トリス-塩酸がより好ましい。
カチオン性物質としてカチオン性緩衝剤を用いる場合、カチオン性緩衝液のpHは、細胞の生育及び細胞集合体の形成に悪影響を及ぼさない限り、特に限定されない。本実施形態で用いられるカチオン性緩衝液のpHは6.0~8.0であることが好ましい。例えば、本実施形態で用いられるカチオン性緩衝液のpHは、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9又は8.0であってよい。本実施形態で用いられるカチオン性緩衝液のpHは、7.2~7.6であることがより好ましく、約7.4であることが更に好ましい。
(細胞外マトリックス成分)
細胞外マトリックス成分としては、細胞の生育及び後述する細胞集合体の形成に悪影響を及ぼさない限り、細胞外マトリックス(ECM)を構成する任意の成分を用いることができる。細胞外マトリックス成分としては、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、エラスチン、テネイシン、エンタクチン、フィブリン、プロテオグリカン、及びこれらの組み合わせ等が挙げられるが、これらに限定されない。細胞外マトリックス成分は、上述したものの改変体又はバリアント等であってもよい。細胞外マトリックス成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
プロテオグリカンとしては、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、ケラタン硫酸プロテオグリカン及びデルマタン硫酸プロテオグリカンが挙げられる。細胞外マトリックス成分としては、なかでも、コラーゲン、ラミニン及びフィブロネクチンが好ましく、コラーゲンが特に好ましい。
工程(A)における混合液中の細胞外マトリックス成分の含有量の合計は、細胞の生育及び細胞集合体の形成に悪影響を及ぼさない限り、特に限定されず、0.005mg/mL以上1.5mg/mL以下であってもよく、0.005mg/mL以上1.0mg/mL以下であってもよく、0.01mg/mL以上1.0mg/mL以下であってもよく、0.025mg/mL以上1.0mg/mL以下であってもよく、0.025mg/mL以上0.1mg/mL以下であってもよい。細胞外マトリックス成分は、適切な溶媒に溶解して用いることができる。溶媒としては、水、緩衝液及び酢酸等が挙げられるが、これらに限定されない。なかでも、緩衝液又は酢酸が好ましい。
(高分子電解質)
本明細書において、高分子電解質とは、高分子鎖中に解離可能な官能基を有する高分子を意味する。本実施形態で用いられる高分子電解質としては、細胞の生育及び細胞集合体の形成に悪影響を及ぼさない限り、任意の高分子電解質を用いることができる。高分子電解質としては、ヘパリン、コンドロイチン硫酸(例えば、コンドロイチン4-硫酸、コンドロイチン6-硫酸)、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸及びヒアルロン酸等のグリコサミノグリカン;デキストラン硫酸、ラムナン硫酸、フコイダン、カラギナン、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリアクリル酸、及びこれらの組み合わせ等が挙げられるが、これらに限定されない。高分子電解質は、上述したものの誘導体であってもよい。これらの高分子電解質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
高分子電解質は、グリコサミノグリカンであることが好ましい。なかでも、ヘパリン、コンドロイチン硫酸及びデルマタン硫酸が好ましく、ヘパリンが特に好ましい。
工程(A)における混合物中の高分子電解質の濃度は、細胞の生育及び細胞集合体の形成に悪影響を及ぼさない限り、特に限定されない。細胞外マトリックス成分と異なり、高分子電解質は溶解の限界以下であれば、どのような濃度であっても効果があり、また、細胞外マトリックス成分による効果を阻害しない。高分子電解質の濃度は0.005mg/mL以上であることが好ましく、0.005mg/mL以上1.0mg/mL以下であってもよく、0.01mg/mL以上1.0mg/mL以下であってもよく、0.025mg/mL以上1.0mg/mL以下であってもよく、0.025mg/mL以上0.1mg/mL以下であってもよい。
高分子電解質は、適切な溶媒に溶解して用いることができる。溶媒の例としては、水及び緩衝液が挙げられるが、これらに限定されない。上述のカチオン性物質としてカチオン性緩衝液が用いられる場合、高分子電解質をカチオン性緩衝液に溶解して用いてもよい。
工程(A)における混合物中の高分子電解質と細胞外マトリックス成分との配合比(終濃度比)は、1:2~2:1であることが好ましく、1:1.5~1.5:1であってもよく、1:1であってもよい。
細胞は、少なくとも間質細胞を含むことが好ましい。間質細胞とは、上皮細胞の支持組織を構成する細胞を意味する。本実施形態で用いられる間質細胞としては、線維芽細胞、免疫細胞、血管内皮細胞及び平滑筋細胞等が挙げられる。免疫細胞としては、リンパ球、好中球、及びマクロファージ等が挙げられる。間質細胞は、組織の維持に必須であるとともに、炎症反応や創傷治癒反応等に重要な役割を担っている。本発明において、間質細胞は、制御対象細胞の維持をすることができる。
間質細胞の由来としては特に限定はされず、ヒト、サル、イヌ、ネコ、ウサギ、ブタ、ウシ、マウス及びラット等の哺乳動物に由来する細胞を使用することができる。
工程(A)において、細胞、カチオン性物質、細胞外マトリックス成分及び高分子電解質との混合、又は細胞と混合液との混合は、ディッシュ、チューブ、フラスコ、ボトル、ウェルプレート及びセルカルチャーインサート等の適当な容器中で行うことができる。これらの混合は、工程(B)及び工程(C)で使用する容器中で行ってもよい。
工程(B)は、上記混合物から細胞集合体を得る工程である。工程(B)において、上記混合物から液体部分を除去して細胞集合体を得てもよい。本明細書において、「細胞集合体」とは、細胞の集団を意味する。細胞集合体には、遠心分離やろ過等によって得られる細胞の沈殿体も含まれる。ある実施形態では、細胞集合体はスラリー状の粘稠体である。「スラリー状の粘稠体」とは、Akihiro Nishiguchi et al., Cell-cell crosslinking by bio-molecular recognition of heparin-based layer-by-layer nanofilms, Macromol Biosci., 15 (3), 312-317, 2015.に記載されるようなゲル様の細胞集合体を指す。
液体部分を除去する手段としては、当業者に公知の手法を用いることができる。例えば、遠心分離やろ過によって、液体部分を除去してもよい。遠心分離の条件は、細胞の生育及び細胞集合体の形成に悪影響を及ぼさない限り、特に限定されない。例えば、混合物の入ったマイクロチューブを、室温、400~1,000×gで1~2分間の遠心分離に供して液体部分と細胞集合体とを分離することによって、液体部分を除去してもよい。あるいは、自然沈降によって細胞を集めた後、液体部分を除去してもよい。この結果、細胞集合体を得ることができる。
工程(C)は、上記の細胞集合体を培地中で培養し、細胞組織を得る工程である。なお、工程(B)と工程(C)の間に、細胞集合体を溶液に懸濁する工程を行ってもよい。溶液は、細胞の生育及び立体的細胞組織の形成に悪影響を及ぼさない限り、特に限定されない。例えば、細胞集合体を構成する細胞に適した細胞培養培地又は緩衝液等を用いることができる。細胞集合体の懸濁は、ディッシュ、チューブ、フラスコ、ボトル及びプレート等の適当な容器中で行うことができる。
細胞集合体を溶液に懸濁した場合、培養の前に細胞を沈殿させて基材上に細胞の沈殿体を形成してもよい。基材としては、細胞の培養に用いるための培養容器が挙げられる。培養容器は、細胞や微生物の培養に通常用いられている素材及び形状を有する容器であってよい。培養容器の素材としては、ガラス、ステンレス及びプラスチック等が挙げられるが、これらに限定されない。培養容器としては、ディッシュ、チューブ、フラスコ、ボトル、プレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。基材は、例えば、液体中の細胞を通過させず、液体を通すことが可能な材料である。基材は、透過膜であることが好ましい。かかる透過膜を有する容器としては、Transwell(登録商標)インサート、Netwellインサート、Falcon(登録商標)セルカルチャーインサート及びMillicell(登録商標)セルカルチャーインサートなどのセルカルチャーインサートが挙げられるが、これらに限定されない。
細胞の沈殿は、例えば、遠心分離、磁性分離又はろ過等により行うことができる。遠心分離の条件は、細胞の生育及び細胞集合体の形成に悪影響を及ぼさない限り、特に限定されない。例えば、細胞集合体の懸濁液をセルカルチャーインサートに播種し、室温、400~1,000×gで1~2分間の遠心分離に供して沈殿させてもよい。あるいは、自然沈降によって細胞を沈殿させてもよい。また、集めた細胞は層構造を形成していてもよい。
細胞集合体、又は、細胞集合体を懸濁した場合には懸濁液は、培養容器において理論層数が5層以上20層以下となる数の細胞を含むことが好ましい。理論層数は、5層以上15層以下であることがより好ましく、5層以上10層以下であることがさらに好ましい。「理論層数」は、使用する培養容器及び細胞種に基づいて、以下の方法で算出することができる。使用する培養容器と使用する細胞の組合せを用いて細胞数を複数の水準(例えば0.2×10個~1.0×10個の間で1~10段階の水準)でそれぞれ培養を行う。培養開始から1日目(24時間後)の細胞断面の顕微鏡写真から得られる層数と細胞数との比を求めることにより1層あたりの細胞数を算出する。細胞集合体に含まれる細胞数における理論層数は、得られた1層あたりの細胞数で、細胞集合体に含まれる細胞数を除することで得られる。
細胞が間質細胞である場合、細胞集合体又は懸濁液に含まれる細胞の数は、培養容器の底面積1mmあたり1.57×10~6.29×10個であることが好ましく、1.57×10~4.72×10個であることがより好ましく、1.57×10~3.15×10個であることがさらに好ましい。例えば、培養容器の底面積1mmあたりの細胞数が1.57×10~3.15×10個となるように細胞集合体又は懸濁液を調製することで理論層数を5~10層とすることができる。細胞集合体を溶液に懸濁する工程、及び、細胞を沈殿させる工程を実施することにより、より均質な立体的細胞組織を得ることができる。
工程(C)は、上述の細胞集合体を培地中で8~52時間培養して細胞組織を得る工程である。細胞集合体の培養は、培養される細胞に適した培養条件下で行うことができる。当業者は、細胞の種類や所望の機能に応じて適切な培地を選択することができる。細胞培養培地としては特に限定されないが、DMEM、E-MEM、MEMα、RPMI-1640、Mccoy’5a及びHam’s F-12等の基本培地や、これらの基本培地にCS(ウシ血清)、FBS(ウシ胎児血清)及びHBS(ウマ胎児血清)等の血清を1~20容量%程度になるように添加した培地が挙げられる。培養環境の温度や大気組成等の諸条件もまた、当業者であれば容易に決定することができる。
細胞の培養時に、構築された立体的細胞組織の変形(例えば、組織の収縮及び組織末端の剥離等)を抑制するための物質を培地に添加してもよい。このような物質としては、選択的ROCK(Rho-associated coiled-coil forming kinase/Rho結合キナーゼ)阻害剤であるY-27632が挙げられるが、これに限定されない。
工程(C)における培養時間は、8時間~52時間であり、12時間~48時間であることが好ましく、20~28時間であることがより好ましい。工程(C)において上記培養時間で培養を行った後に工程(A)~工程(C)を繰り返すことで、経時的に培養しても厚さの減少が抑制される立体的細胞組織を作製することができる。
本実施形態において、工程(A)~工程(C)を少なくとも2回繰り返す。即ち、工程(C)の後に少なくとも下記工程(A-2)~工程(C-2)を行う。
(A-2)第2の細胞、カチオン性物質、細胞外マトリックス成分及び高分子電解質を混合して混合液を得る工程
(B-2)工程(C)で得られた細胞組織上に第2の混合物を積層し、第2の混合物から液体部分を除去して第2の細胞集合体を形成する工程
(C-2)第2の細胞集合体の細胞を8~52時間培養する工程
工程(A-2)~(C-2)は、上述の工程(A)~工程(C)と同じ条件で行うことができるが、以下のように条件を設定してもよい。
工程(A-2)のカチオン性物質、細胞外マトリックス成分及び高分子電解質は、1回目の工程(A)で用いたものと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
工程(A-2)の第2の細胞は、1回目の工程(A)の細胞と同じ細胞種であってもよく、異なる細胞種であってもよい。また、第2の細胞及び1回目の工程(A)の細胞が複数種の細胞を含む場合、第2の細胞は、1回目の工程(A)の細胞種と異なる細胞種のみを含んでもよいし、1回目の工程(A)の少なくとも一部の細胞種と同一の細胞種を含んでいてもよい。
工程(A-2)の細胞集合体に含まれる第2の細胞数は、1回目の工程(A)に含まれる細胞数と同じであってもよいし、異なってもよい。
工程(B-2)は、1回目の工程(C)で形成された細胞組織上に第2の混合物を積層する点が1回目の工程(B)と異なる。工程(B-2)で形成される第2の細胞集合体は、工程(C)で形成された細胞組織と工程(A-2)で得られた細胞集合体とを含んでいる。また、工程(B-2)における液体部分を除去する方法は、1回目の工程(C)と同じでもよく、異なっていてもよい。
工程(C-2)の培養時間は、1回目の工程(C)と同じでもよく、異なっていてもよい。工程(A)~工程(C)の繰り返し回数が2回である場合、つまり、工程(C-2)が最後の培養工程であり、これにより立体的細胞組織が作成される場合、培養期間は、52時間超であってもよく、4日間、5日間、6日間、7日間、10日間又は14日間でもよい。
工程(A)~工程(C)は、所望の立体的細胞組織の厚さが得られるよう3回以上繰り返してもよいし、4回、6回又は8回以上繰り返してもよい。工程(A)~工程(C)の繰り返し回数の上限値は、特に限定されないが例として20回が挙げられる。工程(A)~工程(C)の繰り返し回数が3回以上である場合、つまり、工程(A)~工程(C)の繰り返し回数がn回(n≧3)の場合、工程(A-n)~工程(C-n)は、上記工程(A-2)~工程(C-2)に記載の条件で行うことができる。また、培養開始日は、工程(A)~(C)の繰り返しにおいて最後の工程(C-n)を開始した日である。
以上の工程(A)~工程(C)を繰り返すことにより、経時的に培養しても厚さの減少が抑制される立体的細胞組織を作製することができる。
(第2実施形態)
本発明のもう一つの態様は、細胞、カチオン性物質、細胞外マトリックス成分及び高分子電解質を含む立体的細胞組織であって、培養開始日の前記立体的細胞組織の厚さを100%としたときの培養開始日から7日目の前記立体的細胞組織の厚さの減少率が35%以下である、立体的細胞組織である。
本実施形態の立体的細胞組織は、上述の第1実施形態により作製することができる。従って、細胞、カチオン性物質、細胞外マトリックス成分及び高分子電解質は、第1実施形態に記載の通りである。
本実施形態においても、培養開始日は、工程(A)~(C)の繰り返しにおいて最後の工程(C)を開始した日である。
培養開始日の立体的細胞組織の厚さを100%としたときの培養開始日から7日目の立体的細胞組織の厚さの減少率は、35%以下であり、30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましい。
培養開始日の立体的細胞組織の厚さを100%としたときの培養開始日から10日目の立体的細胞組織の厚さの減少率は、30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましく、20%以下であることがより好ましい。
培養開始日から4日目の立体的細胞組織の厚さは、80μm以上であることが好ましく、例えば85μm以上、例えば90μm以上、例えば95μm以上、例えば100μm超、例えば110μm以上、例えば120μm以上、例えば130μm以上、例えば140μm以上、例えば150μm以上、例えば160μm以上、例えば170μm以上、例えば180μm以上、例えば190μm以上、例えば200μm以上であってもよい。最終積層日から4日目の立体的細胞組織の厚さの上限値は特に限定されないが、一例として1000μmが挙げられる。
本実施形態の立体的細胞組織によれば、経時的に培養しても厚さの減少が抑制されているため、立体的細胞組織内に他の細胞(例えばがん細胞)を配置し、培養を継続しても他の細胞が露出しにくい。また、立体的細胞組織を用いた免疫細胞の遊走性に関連した評価の再現性が低下しにくい。
以下に実施例を示して本発明をより詳細かつ具体的に説明するが、実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
[実験例1]
間質細胞として、ヒト新生児由来皮膚線維芽細胞(NHDF)(型番:CC-2509、Lonza社製)を用い、立体的細胞組織を作成した。立体的細胞組織を作成するにあたり、高分子電解質として、ヘパリン(Heparin sodium salt from porcine intestinal mucosa Grade I-A)(型番:H3393-100KU、Sigma社製)を用い、細胞外マトリックス成分として、コラーゲン(Collagen Type I,Bovine Skin,Acid Soluble)(型番:ASC-1-100-100、NIP社製)を用いた。
まず、ヘパリン/コラーゲン混合溶液として、0.1mg/mLのヘパリン/50mM トリス-塩酸緩衝液(pH7.4)溶液と、0.1mg/mLのコラーゲン/酢酸溶液(pH3.7)とを等量ずつ混合した溶液(すなわち、コラーゲン及びヘパリンの終濃度はそれぞれ0.05mg/mLであった)を調製した。次いで、ヘパリン/コラーゲン混合溶液にヒト新生児由来皮膚線維芽細胞(NHDF)を加えて懸濁し、室温下、400×g、5分間遠心した後、上清を除き培養用培地を添加して細胞懸濁液を調製した。培養用培地は、ペニシリンストレプトマイシン溶液(×100)(型番:168-23191、富士フィルム和光純薬社製)と56℃、30分間の非働化処理をしたウシ胎児血清(FBS)(型番:10437028、ThermoFisher SCIENTIFIC社製)を添加した10%FBS含有高グルコースD-MEM(型番:043-30085、富士フィルム和光純薬社製)を用いた。
次いで、トランズウェルインサート一体型96ウェルプレート(0.4μm孔サイズポリエステルメンブレン、型番:7369、Corning社製)に、当該細胞懸濁液を1ウェル当たり135μL(NHDFが2.25×10個含まれるように調製した細胞濃度、理論細胞層数が5となる量)播種した後、当該細胞懸濁液を分注したプレートを、室温下、400×g、1分間遠心分離し、COインキュベーター(37℃、5%CO)内で培養した。細胞懸濁液をウェルに播種した日を積層開始0日目とし、積層開始1日目(24時間後)にウェル内の上清を除いた後、上述の方法で調製した細胞懸濁液を1ウェル当たり135μLを播種した後、室温下、400×g、1分間遠心分離し、COインキュベーター(37℃、5%CO)内で培養した。次いで、積層開始2日目(48時間後)と積層開始3日目(72時間後)に積層開始1日目(24時間後)と同様の操作を行い、積層開始0日目から3日目までの合計で20層の間質細胞を積層した。
積層開始3日目を培養開始日とし、COインキュベーター(37℃、5%CO)内で4日間培養した。
[実験例2]
[実験例1]の積層開始0日目の手順と同様に積層開始0日目の積層(理論細胞層数5)を行った。次いで、積層開始1日目(24時間後)にウェル内の上清を除いた後、細胞が入っていない新しい培養用培地を135μL加え、室温下、400×g、1分間遠心分離し、COインキュベーター(37℃、5%CO)内で培養した。次いで、積層開始2日目(48時間後)に[実験例1]に記載した方法と同様にして調製した細胞懸濁液を1ウェル当たり135μL(NHDFが4.5×10個含まれるように調製した細胞濃度、理論細胞層数が10となる量)を播種した後、室温下、400×g、1分間遠心分離し、COインキュベーター(37℃、5%CO)内で培養した。次いで、積層開始3日目(72時間後)に積層開始0日目と同様の操作を行い、積層開始0日目から3日目までの合計で20層の間質細胞を積層した。
積層開始3日目を培養開始日とし、COインキュベーター(37℃、5%CO)内で4日間培養した。
[実験例3]
[実験例1]に記載した方法と同様にして調製した細胞懸濁液を1ウェル当たり135μL(NHDFが9×10個含まれるように調製した細胞濃度、理論細胞層数が20となる量)を播種した後、室温下、400×g、1分間遠心し、COインキュベーター(37℃、5%CO)内で培養した。積層開始0日目を培養開始日とし、COインキュベーター(37℃、5%CO)内で7日間培養した。
[厚さの測定方法]
実験例1と2については積層0日目と培養0日目と培養4日目に、実験例3については培養0日目、4日目及び7日目に得られた立体的細胞組織を、PBSで2回洗浄し、10%ホルマリン緩衝液(型番「062-01661」、富士フィルム和光純薬社製)100μLを、セルカルチャーインサート内に添加し、10分間静置した後に、PBSで3回洗浄し、立体的細胞組織の固定を行った。
続いて、立体的細胞組織をセルカルチャーインサートから取り出し、パラフィンで包埋後、立体的細胞組織の上面(セルカルチャーインサートの上面)から見たときの重心を通る線に沿って薄切切片を作製した。続いて、薄切切片をヘマトキシリン・エオジン(HE)染色を行い、HE染色した薄切切片を光学顕微鏡(MX51、オリンパス社)で撮影し、画像解析ソフトImageJ(アメリカ国立衛生研究所製)を用いて、立体的細胞組織の自重と垂直方向(つまり横方向)における中央付近の厚さを測定した。
実験例1~3の立体的細胞組織の厚さの経時変化のグラフを図1に示す。なお、図1中、誤差範囲のバーは標準偏差を示す。図2は、実験例1の培養4日目の立体的細胞組織の顕微鏡写真である。図3は、実験例2の培養4日目の立体的細胞組織の顕微鏡写真である。図4は、実験例3の培養4日目の立体的細胞組織の顕微鏡写真である。
実験例3(積層0日目に20層積層した場合)では、積層0日目の立体的細胞組織の厚さは平均120.4μmであった。しかしながら、培養4日目には66.8μmであり、培養0日目の厚さに対し45%減少した。培養7日目には厚みが42.0μmまで減少し、培養0日目の厚さに対し65%減少した。
実験例1(積層0日目から積層3日目まで理論細胞層数で5層ずつ、計20層積層した場合)では、培養0日目(つまり、積層3日目)に立体的細胞組織の厚さが117.0μmとなった。また、培養4日目の立体的細胞組織の厚さは123.6μmであり、培養0日目の厚さに対し6%増加した。実験例2(積層0日目に5層、積層2日目に10層、積層3日目に5層積層し、計20層積層した場合)では、培養0日目(つまり、積層3日目)に立体的細胞組織の厚さが119.3μmとなった。また、培養4日目の立体的細胞組織の厚さは96.2μmであった。培養4日目の厚さは、培養0日目の厚さに対し20%減少したが、100μm程度の厚さを維持することができた。
実験例1~3より培養期間を長くした場合の立体的細胞組織の厚みの変化を調べるため、実験例4~6を行った。
[実験例4]
実験例1とは異なるロット番号のNHDF(型番:CC-2509、Lonza社製)を用いて、実験例1と同じ手順で積層開始0日目から3日目までの合計で20層の間質細胞を積層し、立体的細胞組織を作成した。その後、積層開始3日目を培養開始日とし、COインキュベーター(37℃、5%CO)内で10日間培養した。
[実験例5]
実験例4と同じロット番号のNHDFを用いて、実験例2と同じ手順で積層開始0日目から3日目までの合計で20層の間質細胞を積層し、立体的細胞組織を作成した。その後、積層開始3日目を培養開始日とし、COインキュベーター(37℃、5%CO)内で14日間培養した。その後、積層開始3日目を培養開始日とし、COインキュベーター(37℃、5%CO)内で10日間培養した。
[実験例6]
実験例4と同じロット番号のNHDFを用いて、実験例3に記載した方法と同様に培養した。積層開始0日目を培養開始日とし、COインキュベーター(37℃、5%CO)内で14日間培養した。
実験例4~6の立体的細胞組織の厚さの経時変化のグラフを図5に示す。なお、図5中、誤差範囲のバーは標準偏差を示す。
実験例6(積層0日目に20層積層した場合)では、積層0日目の立体的細胞組織の厚さを100%としたときの培養7日目の厚さの減少率は、47%であった。また、培養0日目の立体的細胞組織の厚さを100%としたときの培養10日目の厚さの減少率は、39%であった。
実験例4(積層0日目から積層3日目まで理論細胞層数で5層ずつ、計20層積層した場合)では、培養0日目(つまり、積層3日目)の立体的細胞組織の厚さを100%としたときの培養7日目(つまり、積層10日目)の厚さの減少率は、22%であった。また、培養0日目の立体的細胞組織の厚さを100%としたときの培養10日目の厚さの減少率は、20%であった。実験例5(積層0日目に5層、積層2日目に10層、積層3日目に5層積層し、計20層積層した場合)では、培養0日目の立体的細胞組織の厚さを100%としたときの培養7日目の厚さの減少率は、34%であった。

Claims (8)

  1. 第1の細胞、カチオン性物質、細胞外マトリックス成分及び高分子電解質を混合して第1の混合物を得る工程と、
    前記第1の混合物から第1の細胞集合体を形成する工程と、
    前記第1の細胞集合体を培地中で8時間~52時間培養して第1の細胞組織を得る工程と、
    第2の細胞、前記カチオン性物質、前記細胞外マトリックス成分及び前記高分子電解質とを混合して第2の混合物を得る工程と、
    前記第1の細胞組織上に前記第2の混合物を積層し第2の細胞集合体を形成する工程と、
    前記第2の細胞集合体を前記培地中で培養する工程を含む、立体的細胞組織の製造方法。
  2. 前記第1の混合物を得る工程は、
    前記カチオン性物質、前記細胞外マトリックス成分及び前記高分子電解質とを混合して第1の混合液を得る工程と、
    前記第1の細胞と前記第1の混合液とを混合して前記第1の混合物を得る工程を含み、
    前記第2の混合物を得る工程は、
    前記カチオン性物質、前記細胞外マトリックス成分及び前記高分子電解質とを混合して第2の混合液を得る工程と、
    前記第2の細胞と前記第2の混合液とを混合して前記第2の混合物を得る工程を含む、請求項1に記載の立体的細胞組織の製造方法。
  3. 前記第1の細胞集合体は、理論層数が5層以上20層以下となる数の前記第1の細胞を含み、
    前記第2の細胞集合体は、理論層数が5層以上20層以下となる数の前記第2の細胞を含む、請求項1又は2に記載の立体的細胞組織の製造方法。
  4. 前記第1及び第2の細胞は、少なくとも間質細胞を含む、請求項1又は2に記載の立体的細胞組織の製造方法。
  5. 前記細胞外マトリックス成分が、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、エラスチン、テネイシン、エンタクチン、フィブリン、プロテオグリカン及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1又は2に記載の立体的細胞組織の製造方法。
  6. 前記高分子電解質が、グリコサミノグリカン、デキストラン硫酸、ラムナン硫酸、フコイダン、カラギナン、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリアクリル酸及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1又は2に記載の立体的細胞組織の製造方法。
  7. 細胞、カチオン性物質、細胞外マトリックス成分及び高分子電解質を含む立体的細胞組織であって、培養開始日の前記立体的細胞組織の厚さを100%としたときの培養開始日から7日目の前記立体的細胞組織の厚さの減少率が35%以下である、立体的細胞組織。
  8. 前記細胞は、少なくとも間質細胞を含む、請求項7に記載の立体的細胞組織。
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