JP2023152908A - ケース - Google Patents

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Abstract

Figure 2023152908000001
【課題】優れた軽量性及び剛性を両立することができるケースを提供する。
【解決手段】ケース10は、押出発泡シート1からなる。押出発泡シート1は、30質量%以上のポリカーボネート樹脂を含有し、0.4~1.0の比重を有する。これにより、優れた軽量性及び剛性を両立させることができる。ケース10は、底部11と、底部11に対して鉛直方向に延びる側壁部12とを有する。底部11は、ケースの内方に向かって窪み、かつ、所定の間隔で配列された平面視多角形状の複数の凹部111を含んでいる。これにより、さらに優れた軽量性及び剛性を両立させることができる。
【選択図】図1

Description

本開示は、スーツケース等のケースに関する。
近年、発泡樹脂は、樹脂成形体を軽量化することによって利便性を高めることができ、かつ、二酸化炭素排出量を削減することができるとして注目されている。発泡樹脂の成形方法には、物理発泡成形法と化学発泡成形法とがある。化学発泡成形法は、発泡剤として化学発泡剤を用いる。化学発泡剤は、環境負荷が高く、地球環境保護の観点から好まれない。一方で、物理発泡成形法は、発泡剤として窒素や二酸化炭素等といった物理発泡剤を用いる。物理発泡剤は、環境負荷が小さいため、地球環境保護の観点から好ましい。物理発泡成形法には、耐熱性が高いエンジニアリングプラスチック及びスーパーエンジニアリングプラスチックを発泡させる方法として、エンジニアリングプラスチック及びスーパーエンジニアリングプラスチックの溶融樹脂と高圧の超臨界流体とを剪断混錬して溶解させる方法がある。
特許第6139038号公報(特許文献1)は、高圧の超臨界流体ではなく、比較的圧力の低い窒素や二酸化炭素等の物理発泡剤を用いた発泡成形体の製造方法を開示している。この方法によれば、特別な高圧装置を用いることなく低圧の物理発泡剤によって比較的簡便なプロセスで樹脂成型体に微細な発泡セルを形成することができる。また、特許文献1は、射出成形法及び押出成形法によって発泡成形体を成形する方法を開示している。
射出成形法は、複雑な形状の発泡成形体を得ることができる。しかしながら、金型内を溶融樹脂の表層が冷却固化しながら流動する。その際、発泡成形体の表層には非発泡のスキン層が比較的薄く形成される。一方、押出成形法は、射出成形法よりも金型の大きさや負荷の制限が少なく、単一形状かつ単一厚みの発泡成形体を連続して作製するのに適している。また、押出成形法により得られるシート状の発泡成形体は、真空成形等を施すことにより、ある程度複雑な形状のもの又は比較的大きなサイズのもの等に賦形することができる。
特許第6328985号公報(特許文献2)は、ポリカーボネート樹脂組成物及びポリカーボネート樹脂組成物からなる樹脂製スーツケース筐体を開示している。ポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート系樹脂及びポリプロピレン系樹脂の合計100重量部に対し、スチレン系熱可塑性エラストマー3~15重量部、ゴム成分がブタジエンゴムまたはブタジエン-アクリル複合ゴムであるコアシェル型グラフトポリマー1~10重量部およびフェノール系熱安定剤0.05~1.0重量部を含んでいる。樹脂製スーツケース筐体は、ポリカーボネート樹脂組成物からなり、優れた軽量性、機械特性及び外観を有している。
特許第3851651号公報(特許文献3)、高密度ポリエチレン樹脂製発泡シート、及びこのシート製容器の製造方法を開示している。シート製容器は、高密度ポリエチレン樹脂製発泡シートを熱成形する際の金型温度を105~115°の温度範囲とし、容器成形後に10~20秒間アニーリングして製造される。高密度ポリエチレン樹脂製発泡シートは、0.942~0.968の密度、0.1~0.9g/10分のMFR及び2~15gの溶融張力を有する高密度ポリエチレン系樹脂75~93重量%と、1~10g/10分のMFR及び、15~25gの溶融張力を有するポリプロピレン系樹脂25~7重量%とを含む樹脂脂組成物からなり、1.1~5.0倍の発泡倍率を有し、0.5~3.0mmの厚みを有する。シート製容器は、軽量で優れた耐熱性、耐寒性及び剛性等を有する。
特許第6139038号公報 特許第6328985号公報 特許第3851651号公報
上述のように、特許文献2のポリカーボネート樹脂組成物からなる樹脂製スーツケース筐体は、優れた軽量性及び機械特性を有し、特許文献3のシート製容器は、軽量で優れた剛性を有している。しかしながら、ケース、特にスーツケース等のような携行性のあるケースにおいては、軽量性及び剛性を両立させるという観点において更なる検討の余地がある。
本開示は、より優れた軽量性及び剛性を両立できるケースを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本開示は次のような解決手段を講じた。すなわち、本開示に係るケースは、押出発泡シートからなってよい。押出発泡シートは、30質量%以上のポリカーボネート樹脂を含有し、0.4~1.0の比重を有してよい。
本開示に係るケースによれば、より優れた軽量性及び剛性を両立させることができる。
図1は、実施形態に係るケースを示す斜視図である。 図2は、図1に示すケースの底部内面の斜視図である。 図3は、図1に示すケースの底部の断面図である。 図4は、押出発泡シートを示す斜視図である。 図5は、押出発泡シートを示す断面図である。 図6は、加熱後の押出発泡シートを示す断面図である。 図7は、加熱後の押出発泡シートを示す断面図である。
上記課題を解決するために、本開示は次のような解決手段を講じた。すなわち、本開示に係るケースは、押出発泡シートからなってよい。押出発泡シートは、30質量%以上のポリカーボネート樹脂を含有し、0.4~1.0の比重を有してよい。
これにより、より優れた軽量性及び剛性を両立させたケースを得ることができる。
ケースは、底部と、底部に対して鉛直方向に延びる側壁部とを有してよい。底部は、ケースの内方に向かって窪み、かつ、所定の間隔で配列された平面視多角形状の複数の凹部を含んでよい。これにより、さらに優れた軽量性及び剛性を両立させたケースを得ることができる。
押出発泡シートは、60%未満の肉厚変化率を有してよい。肉厚変化率は、以下の式(1)により算出される。
肉厚変化率(%)=(T-T1)/T×100 ・・・(1)
式(1)中、Tは熱賦形前の押出発泡シート1の厚みを示し、T1は熱賦形後の押出発泡シート1において最も薄い箇所の厚みを示す。これにより、真空成形時のおける折り曲げ箇所の厚みを比較的大きくすることができ、ケースの変形又は破損を抑制することができる。
押出発泡シートは、60%未満の肉厚変化率を有してよい。肉厚変化率は、以下の式(2)により算出される。
肉厚変化率(%)=(T4-T1)/T4×100 ・・・(2)
式(2)中、T4は熱賦形後の押出発泡シート1において最も厚い箇所の厚みを示し、T1は熱賦形後の押出発泡シート1において最も薄い箇所の厚みを示す。これにより、真空成形時のおける折り曲げ箇所の厚みを比較的大きくすることができ、ケースの変形又は破損を抑制することができる。
発泡押出シートは、発泡樹脂からなるコア層と、非発泡樹脂からなり、コア層の一方の主面に積層された第1スキン層と、コア層の他方の主面に積層された第2スキン層とを備えてよい。これにより、ケースの機械強度の向上を図ることができる。
押出発泡シートは、下記式(2)を満たしてよい。
0.10≦(t1+t2)/T≦0.5 (3)
式(3)中、t1は第1スキン層の厚みを示し、t2は第2スキン層の厚みを示し、Tは押出発泡シートの厚みを示す。これにより、ケースの外観意匠性を向上できるとともに、ケースの軽量性及び機械強度の向上を図ることができる。
第1及び第2スキン層に含まれるポリカーボネート樹脂は、コア層に含まれるポリカーボネート樹脂に対して、1.0倍~5倍のメルトボリュームレートを有してよい。これにより、ケースの外観意匠性を向上することができる。
押出発泡シートを200℃雰囲気下で30分加熱したとき、押出発泡シートは、押出方向及び平面視において押出方向に直交する幅方向のいずれか一方において、-5~0%の寸法変化率を有してよい。これにより、真空成形等の熱賦形後におけるケースの寸法を安定させることができる。
押出発泡シートは、1.5GPa・cm/g以上の比曲げ弾性率を有してよい。これにより、ケースの軽量化を図ることができ、機械強度を向上させることができる。
押出発泡シートを250℃加熱雰囲気下で30分加熱したとき、加熱後の押出発泡シートの平均厚みt3は、加熱前の押出発泡シートの平均厚みt4に対して1.5倍以下であってよい。これにより、真空成形等の熱賦形後におけるケースの外観意匠性の向上を図ることができる。
押出発泡シートは、250℃加熱雰囲気下で30分加熱したとき、加熱によって押出発泡シートの表面に生じる膨出部を含んでよい。膨出部を含む押出発泡シートの厚みt5は、加熱前の押出発泡シートの平均厚みt4に対して1.5倍以下であってよい。加熱後の押出発泡シートは、その表面100cmあたりに1つ以下の膨出部を有してよい。これにより、真空成形等の熱賦形後におけるケースの外観意匠性の向上を図ることができる。
以下、本開示のケース10の実施形態について、図1~図7を用いて具体的に説明する。なお、図中同一及び相当する構成については同一の符号を付し、同じ説明を繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。
ケース10は、後述する押出発泡シート1(図4を参照。)を真空成形又は熱プレス成形等の熱賦形方法により製造される。すなわち、ケース10は、押出発泡シート1からなる。ケース10には、例えば、スーツケース(キャリーバッグ)の筐体、アタッシュケースの筐体、組立工場等で用いられる部品トレー、運搬用カートの収容部、コンビニエンスストア等で用いられる内照式看板の樹脂製カバー、ディスプレイ等に用いられるバックライトケース、デスク等の引出し及びルーフラック等が含まれる。ケース10は、これらに限定されるものではなく、収容物を収容する箱形状であればよい。本開示に係るケース10は、樹脂使用量を削減することができる。その結果、本実施形態に係るケース10は、資源利用効率の向上、運送負担の軽減、エネルギー使用量の削減及びCO排出量の削減に寄与することができる。ケース10を社会へ提供することにより、国際連合が制定する持続可能な開発目標(SDGs)の17の目標のうち、目標7(エネルギーをみんなにそしてクリーンに)、目標9(産業と技術革新の基盤をつくろう)、目標11(住み続けられるまちづくりを)、目標12(つくる責任つかう責任)及び目標13(気候変動に具体的な対策を)の達成に貢献することができる。以下、本開示のケース10について、スーツケースを用いて具体的に説明する。ケース10は、図1に示すように、底部11と、側壁部12と、底部11と側壁部12との間に位置する曲面部13とを備える。なお、スーツケースは、図1に示すケース10を2つ準備し、2つのケース10の開口を対向させるように連結することにより製造される。
底部11は、その外面に複数の凹部111を有する。各々の凹部111は、ケース10の内方、すなわち、収容スペースに向かって窪み、所定の間隔で配列されている。各々の凹部111は、平面視において、六角形状を有する。各々の凹部111は、ケース10の平面視において、偶数個の凹部111を含む列と奇数個の凹部111を含む列とが交互に配置されている。所定の列の凹部111と所定の列と隣り合う列の凹部111とは、ジグザグ状に配置されている。各々の凹部111は、互いに隣り合う凹部111との間に一定の間隔を開けて配置されている。一方で、図2に示すように、底部11の内面には、複数の凹部111によって凹凸が形成される。すなわち、底部11の内面には、複数の凹部111によってハニカム形状の溝が形成される。言い換えれば、複数の凹部111は、底部11の内面にハニカム形状の溝が形成されるように配列されている。底部11は、その外面に溝部112を有する。溝部112は、複数の凹部111のうち平面視において外方に位置する凹部111から側壁部12の開口端部に向かって延びている。なお、凹部111は、菱形状を有してもよい。この場合、底部11の内面には格子状の溝が形成される。このように複数の凹部111を所定の間隔で配列したことにより、ケース10の剛性を向上させることができる。また、底部11は、凹部111を設けずに平面状の外面を有していてもよい。なお、凹部111の平面視形状は、六角形状及び菱形状に限られるものではなく、その他多角形状、円形状又は楕円形状であってもよい。ただし、凹部111による補強効果によりケース10の剛性を向上させるという観点において、凹部111の平面視形状は、好ましくは四角形状とするのがよく、より好ましくは三角形状、六角形状又は円形状とするのがよい。
図3に示すように、底部11の外面113から底部11の内面114までの距離Dは、後述する押出発泡シート1の厚みTに対して2倍以上とするのがよい。これにより、凹部111による補強効果によりケース10の剛性を向上させることができる。距離Dは、押出発泡シート1の厚みに対して4倍以下、好ましくは3倍以下とするのがよい。これにより、ケース10の収容空間の容積が小さくなるのを抑制でき、凹部111の側面部115の厚みが薄くなって補強効果が低減することを抑制することができる。
図3に示すように、凹部111の側面部115は、凹部111の外面113と交差する垂線Lに対して、0~45°の角度θを有する。角度θが0°未満になると押出発泡シート1を真空成形等の熱賦形した後に型から抜けにくくなる。一方、角度θが45°以上なると、凹部111による十分な補強効果を得られず、また、凹部111が変形し易くなる。このように、ケース10の成形容易性及び補強効果の観点から、側面部115の角度θは、0°以上、好ましくは1°以上、より好ましくは3°以上にするのがよく、45°以下、好ましくは30°以下、より好ましくは15°以下にするのがよい。
側壁部12は、底部11から鉛直方向に延びている。ケース10は、底部11及び側壁部12によって囲まれた収容空間を有する。側壁部12は、その外面に上述の凹部111から延びる溝部112を有する。
曲面部13は、底部11と側壁部12との間に位置する。すなわち、曲面部13は、ケース10において底部11と側壁部12との間に形成された面取り部とも言える。曲面部13は、上述の凹部111から側壁部12の開口端部に向かって延びる溝部112を有する。すなわち、ケース10は、凹部111から側壁部12の開口端部に向かって底部11、曲面部13及び側壁部12を通る1本の溝部112を有する。
ケース10は、図4に示すように、上述の押出発泡シート1からなる。押出発泡シート1は、ポリカーボネート樹脂からなる。本実施形態に係る押出発泡シート1は、シート形状を有する。押出発泡シート1は、溶融したポリカーボネート樹脂を共押出成形することによって製造される。本開示に用いられる樹脂は、ポリカーボネート樹脂を含んでいれば他のエンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックを用いてもよい。エンジニアリングプラスチックは、100℃以上の荷重たわみ温度を有する熱可塑性樹脂である。エンジニアリングプラスチックは、例えば、ポリカーボネート樹脂(PC)のほか、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)などである。スーパーエンジニアリングプラスチックは、150℃以上の荷重たわみ温度を有する熱可塑性樹脂である。スーパーエンジニアリングプラスチックは、例えば、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリスルホン(PSU)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアミドイミド(PAI)、液晶ポリマー(LCP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などである。本開示の押出発泡シート1に用いられる樹脂は、これらエンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックからなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことができる。なお、押出発泡シート1の樹脂材料は、押出成形可能なエンジニアリングプラスチック又はスーパーエンジニアリングプラスチックであればよい。押出発泡シート1は、押出発泡シート1の質量を100としたき、30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%のポリカーボネート樹脂を含有する。これにより、ケース10の耐熱性を向上させることができる。
また、共押出シート1の樹脂材料には、熱賦形及び機械特性に著しく影響を与えない程度で、種々の種類の添加剤を含むことが出来る。添加剤の種類としては、特に限定されるものではないが、例えば、気泡核剤、結晶核剤、滑剤、界面活性剤、張力改質剤、収縮防止剤、流動性改質剤、衝撃調整剤、充填剤、強化剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、潤滑剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤(顔料、染料等)、表面効果添加剤、赤外線吸収剤、放射線安定剤、防滴材及び老化防止剤等である。添加剤の添加量は、気泡の形成等を損なわない範囲で適宜選択することができ、通常の熱可塑性樹脂の成形の際に用いられる添加量を採用することができる。
押出発泡シート1は、0.4~1.0の比重を有する。押出発泡シート1の比重は、ケース10の軽量性及び剛性を両立させるという観点から、0.4以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.6以上とするのがよく、1.0以下、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下とするのがよい。
押出発泡シート1は、60%未満の肉厚変化率を有する。ここで、肉厚変化率とは、熱賦形前の押出発泡シート1の厚みに対する熱賦形後の押出発泡シート1の厚みの変化率をいう。肉厚変化率は、以下の式により算出できる。押出発泡シート1の厚みの測定方法はJIS-K7130に準拠する。

肉厚変化率(%)=(T-T1)/T×100 ・・・(1)
式中、「T」は熱賦形前の押出発泡シート1の厚みを示し、「T1」は熱賦形後の押出発泡シート1における最も薄い箇所の厚みを示す。

押出発泡シート1を熱賦形してケース10を製造する際、上述の曲面部13は、折り曲げられて形成される。そのため、曲面部13の厚み、特に、曲面部13の中心の厚みは、底部11及び側壁部12に比べて小さくなる。曲面部13の中心とは、曲面部13を断面視したときの円弧の中心をいう。すなわち、肉厚変化率が小さいほど、ケース10の剛性を向上させることができる。このような観点から、押出発泡シート1の肉厚変化率は、60%未満、好ましくは55%未満、より好ましくは50%未満とするのがよい。
肉厚変化率は、ケース10において、底部11の厚みと曲面部13の最も薄い箇所の厚みとの対比でも同じように算出できる。すなわち、「T」は底部11の厚みT2とすることができ、「T1」は曲面部13の最も薄い箇所の厚みT3とすることができる。すなわち、肉厚変化率は、以下の式によっても表すことができる。

肉厚変化率(%)=(T2-T3)/T3×100

このように、比較的強度が低下し易い曲面部13において、熱賦形後における肉厚変化率を60%未満、好ましくは55%未満、より好ましくは50%未満としたことにより、ケース10の変形又は破損を抑制することができる。このとき、厚みT2及びT3の測定は、磁気式厚さ計(オリンパス株式会社製、Magna-Mike8600)で測定する方法、或いは、底部11及び曲面部13の各々を10mm角に切り取ったサンプルを厚さ計で測定する方法が考えられる。また、上述の賦形前の押出発泡シート1の厚みTは、これらの方法で測定した厚さのうち最も厚い部分の厚さとすることができる。押出発泡シート1は、熱賦形後において、基本的には厚みが増すことはなく、部分的に引き伸ばされて薄くなり、また、部分的に引き伸ばされずに厚みが維持される。そのため、熱賦形後の押出発泡シート1における最も厚い箇所の厚みは、熱賦形前の押出発泡シートの厚みTと同じと言える。したがって、上述の式(1)は、以下の式(2)に読み替えることができる。

肉厚変化率(%)=(T4-T1)/T4×100 ・・・(2)
式中、T4は熱賦形後の押出発泡シート1において最も厚い箇所の厚みを示し、T1は熱賦形後の押出発泡シート1において最も薄い箇所の厚みを示す。
図5に示すように、押出発泡シート1は、コア層2と、コア層2の一方の主面に積層されたスキン層3と、コア層2の他方の主面に積層されたスキン層4とを有している。図5に示すように、押出発泡シート1は、厚みTを有している。なお、図5に示す押出発泡シート1は、後述する製造方法で説明するように、共押出成形によって製造される。すなわち、コア層2、スキン層3及びスキン層4を有する押出発泡シート1は、共押出シートであるとも言える。
コア層2は、発泡樹脂からなる。コア層2は、溶融したポリカーボネート樹脂を発泡成形することにより形成することができる。すなわち、コア層2は、多数の気泡を有する。多数の気泡は、押出成形時の押出方向に沿う方向で厚み方向に切断した断面視において、押出方向に延伸した略楕円形状を有している。コア層2に含まれる多数の気泡のうち、コア層2の厚み方向中心近傍に含まれる気泡は、コア層2の厚み方向端部近傍に含まれる気泡に比べて大きい気泡径を有する。多数の気泡の気泡径は、コア層2の厚み方向中心から厚み方向端部に向かうにつれて徐々に小さくなる。
図4に示すように、スキン層3は、非発泡樹脂からなる。すなわち、スキン層3は、発泡成形されていない。スキン層3は、共押出成形法により、非発泡の状態でダイス出口より押し出され、コア層2と一体的に積層される。スキン層3は、厚みt1を有する。
スキン層3は、コア層2と良好に接着できる熱可塑性樹脂を用いればよい。より具体的に、スキン層3の樹脂材料は、コア層2と同じ樹脂材料であることが特に好ましい。また、スキン層3は、スキン層3を強化するために、無機フィラーを含有する強化樹脂から構成することができる。これらスキン層3の構成により、効率よく強度を向上させながら、軽量化と強度の向上を図ることができる。無機フィラーは、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、タルク及びマイカ等である。
スキン層3に含まれる樹脂の粘度平均分子量は、4500以上、好ましくは5000以上、より好ましくは5500以上とするのがよく、20000以下、好ましくは19500以下、より好ましくは19000以下とするのがよい。スキン層3の粘度平均分子量が小さくなり過ぎると、押出発泡シート1を熱賦形した際にケース10の肉厚が薄くなり易く、強度が低下し得る。一方、スキン層3の粘度平均分子量が大きく過ぎると押出発泡シート1の表面に押出成形時にダイスジが発生し易くなるため熱賦形後においてケース10の外観が悪化するおそれがある。
粘度平均分子量は、以下のように算出される。まず、以下の式にて算出される比粘度(ηSP)を20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求める。

比粘度(ηSP)=(t-t)/t
は塩化メチレンの落下秒数を示し、tは試料溶液の落下秒数を示す。

次に、求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量(Mv)を算出する。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度を示す。)
[η]=1.23×10-Mv0.83
スキン層4は、厚みt2を有する。スキン層4は、コア層2の他方の主面に積層されている点を除き、スキン層3と同じである。そのため、スキン層4の具体的な説明は省略する。
スキン層3の厚みt1及びスキン層4の厚みt2は、以下のように測定する。押出発泡シート1を幅方向に沿って厚み方向に切断した断面をマイクロスコープを用いて観察する。本開示では、マイクロスコープは、KEYENCE型番VHX-60000を用いる。マイクロスコープの倍率は、押出発泡シート1のスキン層3とコア層2との界面の気泡径が確認できる倍率でよい。押出発泡シート1の断面視において、多数存在する気泡のうち、押出発泡シート1の断面を幅方向に16等分した際の各々の仮想境界線上における、押出発泡シート1の表面に近い気泡を15個選定し、そのうち押出発泡シート1の表面に最も近い気泡を確認する。この最も近い気泡の上端を通り、かつ、厚み方向に直交する仮想線を引く。仮想線よりも厚み方向内方をコア層2とし、厚み方向外方をスキン層3とした。コア層2とスキン層4との境界も同様に定義し、スキン層3の厚みt1及びスキン層4の厚みt2を測定した。なお、スキン層3の厚みt1及びスキン層4の厚みt2は各々、共押出成形時における押出発泡シート1の厚みTをできるだけ均一にするという観点から、0.050mm以上であることが好ましい。
スキン層3の厚みt1とスキン層4の厚みt2とを加算したスキン層全体の厚みは、押出発泡シート1の厚みTに対して、0.10~0.5とするのがよい。すなわち、押出発泡シート1は、下記式(3)を満たす。

0.10≦(t1+t2)/T≦0.5 ・・・(3)

スキン層全体の厚み(t1+t2)が押出発泡シート1の厚みTに対して0.10未満になると、スキン層の非発泡樹脂による機械強度の補強効果が得られにくく、比曲げ弾性率等の機械強度が低下する。一方、スキン層全体の厚み(t1+t2)が押出発泡シート1の厚みTに対して0.5よりも大きくなると、押出発泡シート1の密度が大きくなる。その結果、押出発泡シート1は、発泡による軽量性を損なうことになる。押出発泡シート1の厚みTに対するスキン層全体の厚み(t1+t2)の比は、好ましくは0.15~0.45の範囲がよく、より好ましくは0.2~0.4の範囲とするのがよい。押出発泡シート1の厚みTに対するスキン層全体の厚み(t1+t2)の比をこの範囲にすることで、密度低減による軽量化を図りながら比曲げ弾性率を向上させることが出来る。また、押出発泡シート1の厚みTに対するスキン層全体の厚み(t1+t2)の比を0.2~0.4の範囲にすることで、気泡斑を均一にするコア層2の厚みの担保を図りながら、真空成形等の二次加工性を向上させることができる。
このように、押出発泡シート1の密度と押出発泡シート1の厚みTに対するスキン層3及びスキン層4の厚み(t1+t2)とを制御したことにより、ケース10の外観意匠性の悪化を抑制することができるとともに、真空成形等の熱賦形時に生じる表面の膨れや割れを抑制することができ、かつ、ケース10の機械強度をより向上させることができる。
スキン層3に含まれるポリカーボネート樹脂のメルトボリュームレート(以下、MVRという。)は、コア層2に含まれるポリカーボネート樹脂のMVRと同じか、或いは、コア層2に含まれるポリカーボネート樹脂のMVRよりも高い。スキン層3に含まれるポリカーボネート樹脂のMVRは、コア層2に含まれるポリカーボネート樹脂のMVRに対して、1.0倍~5倍であり、好ましくは1.5倍~3倍、より好ましくは1.5倍~2.8倍とするのがよい。
スキン層3に含まれる樹脂のMVRをコア層2に含まれる樹脂のMVRと同じにするか、或いは、コア層2に含まれる樹脂のMVRよりも高くすることにより、押出成形時にダイス出口から吐出された直後において、スキン層3を形成する樹脂温度を可能な限り下げることができる。その結果、ダイス出口から吐出された直後のスキン層3の粘度を低下させることができるため、コア層2に含まれる樹脂の発泡から生じるスキン層3表面の膨出または破れを抑制することができる。すなわち、スキン層3に含まれる樹脂におけるMVRの倍率が1.0倍よりも小さいと樹脂温度を低下させることが困難になるため、スキン層3表面の膨出または破れを抑制しにくくなる。また、スキン層3に含まれる樹脂におけるMVRの倍率が1.5倍以上になると、押出成形時におけるスキン層3表面の膨出または膨れをより抑制し易くなり、かつ、真空成形時の予熱時間を短縮して生産性を向上させることができる。一方、スキン層3に含まれる樹脂におけるMVRの倍率が5倍よりも大きい場合、押出成形時にスキン層3を形成する樹脂を適切にダイス内で流動させようとするとコア層2を形成する樹脂のMVRを極端に下げる必要がある。また、スキン層3に含まれる樹脂のMVRの倍率が3倍以下になると、押出発泡シート1の表面における外観意匠性に優れた面積が増加する。そのため、気泡班が均一になり易く、押出発泡シート1の真空成形等の二次加工性を向上させることができる。そのため、押出成形時においてコア層2及びスキン層3を形成する樹脂の適切な流動性を確保し、かつ、スキン層3表面の膨出または破れを抑制するための粘度に制御することを考慮すれば、スキン層3に含まれるのポリカーボネート樹脂のMVRは、コア層2に含まれるのポリカーボネート樹脂のMVRに対して、1.0倍~5倍、好ましくは1.5倍~3倍、より好ましくは1.5倍~2.8倍とするのがよい。これは、スキン層4及びコア層2においても同様である。
尚、スキン層3及びコア層2に含まれる樹脂のMFRは、キャピラリーレオメーター及びスリットダイレオメーターによるプラスチックの流れ特性試験(JISK7199、ISO11443準拠)で測定される。本開示では、キャピラリーダイの長さを5mm、内径を1mmとし、測定温度を300℃として測定する。
なお、本開示のコア層2は、上述の特許文献1に開示されているように、比較的圧力の低い窒素や二酸化炭素等の物理発泡剤を用いて発泡成形されるのが好ましく、そのうち窒素がより好ましい。これにより、物理発泡剤の圧力を比較的低い1~6MPaに設定することができ、微細な気泡を多数形成することができる。その結果、押出発泡シート1の外観意匠性を向上させ、真空成形時に高温且つ熱した際の膨出等をより確実に抑制することができる。気泡の平均気泡径は、0.1mm以上とするのがよく、1.0mm以下、好ましくは0.3mm以下とするのがよい。
押出発泡シート1は、真空成形によってケース10に賦形される。真空成形において、通常、押出発泡シート1は、約200℃に加熱されてドローダウンが始まったのち、金型等に被着して真空吸引されることによって賦形される。すなわち、押出発泡シート1は、真空成形時の加熱温度に対して変形量(加熱前後の寸法変化率)が小さいことが好ましい。押出発泡シート1は、押出発泡シート1を200℃雰囲気下で30分加熱したとき、押出方向において、-5%~0%の寸法変化率を有している。また、押出発泡シート1は、幅方向において、-5~0%の寸法変化率を有している。幅方向とは、平面視において上述の押出方向に直交する方向である。これにより、押出発泡シート1は、加熱前後における優れた寸法安定性を有する。その結果、熱賦形後におけるケース10の寸法を安定させることができる。
押出方向の寸法変化率は、以下の式の通り算出できる。

押出方向の寸法変化率(%)={(加熱後の押出方向の標線間距離-加熱前の押出方向の標線間距離)/加熱前の押出方向の標線間距離}×100

一方、幅方向の寸法変化率は、以下の式の通り算出できる。

幅方向の寸法変化率(%)={(加熱後の幅方向の標線間距離-加熱前の幅方向の標線間距離)/加熱前の幅方向の標線間距離}×100
押出発泡シート1は、1.5GPa・cm/g以上の比曲げ弾性率を有する、比曲げ弾性率とは、押出発泡シート1の密度で押出発泡シート1の曲げ弾性率を除した値である。すなわち、比曲げ弾性率が大きいほど、軽量性及び機械強度に優れるといえる。曲げ弾性率は、三点曲げ試験(ISO178又はJIS7171に準拠)にて測定される。このとき、曲げ弾性率は大気中において測定される。試験速度は10mm/minである。
押出発泡シート1は、主として真空成形等によってケース10に熱賦形される。共押出成形されたシートを加熱すると、シート表面に膨れ(膨出部)が生じることがあり、ケース10の外観意匠性が悪化し得る。したがって、押出発泡シート1の膨出部の発生を抑制することが好ましい。図6に示すように、押出発泡シート1を250℃加熱雰囲気下で30分加熱したとき、加熱後の押出発泡シート1の平均厚みt3は、加熱前の押出発泡シートの平均厚みt4に対して1.5倍以下である。なお、図6において破線で示すSは、加熱前の押出発泡シート1の表面である。すなわち、押出発泡シート1は、加熱による膨出部の発生を抑制し、加熱前と加熱後とを比較して厚みの変化を少なくすることができる。これにより、押出発泡シート1を熱賦形したケース10において、外観意匠性の向上を図ることができる。
また、図7に示すように、上述した膨出部5を含む押出発泡シート1の厚みt5は、図3に示す加熱前の押出発泡シート1の平均厚みt4に対して1.5倍以下である。加熱後の押出発泡シート1は、その表面100cmあたりに1つ以下の膨出部5を有する。すなわち、押出発泡シート1によれば、加熱によって表面に生じる膨出部5の高さを小さくし、かつ、膨出部5の発生数を抑制することができる。これにより、押出発泡シート1を熱賦形したケース10において、外観意匠性の向上を図ることができる。
押出発泡シート1は、多数の鱗片状フィラーを含有してもよい。鱗片状フィラーは、例えば、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、クレー、窒化ホウ素、クラストナイト、チタン酸カリウム、ガラスフレーク等の無機フィラーである。鱗片状フィラーにはシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、リン酸エステル系カップリング剤及び脂肪酸系カップリング剤等の表面処理を施してもよい。鱗片状フィラーは、5以上のアスペクト比を有する。アスペクト比は、鱗片状フィラーの平均粒径を平均厚みで除して算出される(平均粒径/平均厚み)。鱗片状フィラーのアスペクト比が小さくなり過ぎると、優れた表面平滑性を発揮させにくくなる。そのため、鱗片状フィラーのアスペクト比は、好ましくは10以上とするのがよく、より好ましくは30以上とするのがよい。ただし、アスペクト比が大きくなり過ぎると、後述する製造工程において、ダイス内部における混合溶融樹脂の流速をコントロールするのが容易ではなくなり、表面平滑性が悪化するおそれがある。また、押出成形時における混合溶融樹脂の粘度の上昇が大きくなり、後述する押出成形装置内での発熱によって熱可塑性樹脂の熱劣化が生じ得る。そのため、鱗片状フィラーのアスペクト比は、50未満とするのがよい。鱗片状フィラーの比表面積は、5~20m/gとするのが好ましい。鱗片状フィラーの比表面積が小さくなり過ぎると鱗片状フィラーによる表面での滑りによって表面平滑性が発現しにくくなり、比表面積が大きくなり過ぎると溶融樹脂中での鱗片状フィラーの抵抗が大きくなり、その結果、鱗片状フィラーを適切に配向しにくくなる。
コア層2は、スキン層3との境界の近傍領域において、コア層2とスキン層3との境界面に対して略平行に配向された鱗片状フィラーを含んでいてもよい。近傍領域は、コア層2の厚み方向において、コア層2とスキン層3との境界面からコア層厚みに対して5%の厚みまでの範囲に位置付けられた領域である。また、コア層2に含まれる気泡は、押出成形時の押出方向に沿って延伸した形状をしている。鱗片状フィラーは、延伸方向に延びる気泡の気泡壁に対しても略平行に配向されるため、気泡壁の強度を向上させることができる。その結果、押出発泡シート1の押出方向に沿う破れを抑制することができる。なお、鱗片状フィラーが略平行であるとは、押出発泡シート1を押出成形時の押出方向に沿う方向で厚み方向に切断した断面において、鱗片状フィラーがコア層2とスキン層3との境界面に対して0°以上5°未満の傾きを有することをいう。言い換えれば、鱗片状フィラーの表面(主面)とコア層2とスキン層3との境界面とが略平行となるように対向している状態をいう。コア層2とスキン層4との境界近傍においてコア層2に配向される鱗片状フィラーについても同様である。
コア層2とスキン層3との境界近傍領域に含まれる多数の鱗片状フィラーの配向状態については以下のように算出した。まず、押出成形時の押出方向に沿う厚み方向の断面において、近傍領域における押出方向の先端から後端までにおいて等間隔で、かつ、厚み方向中心において150×150μmの電子顕微鏡写真を50枚撮影する。これら50枚の電子顕微鏡写真に含まれる全ての鱗片状フィラーのうち、コア層2とスキン層3との境界面に対して略平行に配向された鱗片状フィラーを確認する。これにより、近傍領域に含まれる多数の鱗片状フィラーのうち、略平行に配向された鱗片状フィラーの割合を算出する。
コア層2は、コア層2の厚み方向の中心領域において、押出発泡シート1の表面に対して5°~90°の角度で傾いて配向された鱗片状フィラーを含んでいてもよい。中心領域は、コア層2の厚みを100%としたとき、厚み方向中心からコア層2とスキン層3との境界面に向かって厚み25%の領域をいう。中心領域に含まれる多数の鱗片状フィラーのうち40%以上の鱗片状フィラーが押出発泡シート1の表面Sに対して5°~90°の角度で傾いて配向されていることが好ましい。これにより、押出発泡シート1の成形性を向上させることができる。より好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上の鱗片状フィラーが表面に対して5°~90°の角度で傾いて配向されているのがよい。これにより、押出発泡シート1の成形性をより向上させることができる。コア層2の中心領域に含まれる気泡は、押出成形時に上述の近傍領域に比べて大きくなり易い。中心領域は、近傍領域に比べて押出後に冷却されにくいためである。気泡が大きくなり過ぎると、押出発泡シート1の破損の要因になる。上述のように、中心領域において鱗片状フィラーを傾かせた状態で、かつ、気泡同士の間にランダムに配置することにより、気泡の全方向への成長を抑制できる。これにより、押出発泡シート1の強度、或いは、成形時における強度、すなわち、成形性を向上させることができる。その結果、押出発泡シート1を材料に真空成形して発泡樹脂成形品を作製する際、押出発泡シート1に含まれる気泡の破泡、或いは、押出発泡シート1の破損を抑制することができる。
コア層2の中心領域に含まれる多数の鱗片状フィラーの配向状態については以下のように算出できる。まず、近傍領域の場合と同様に、コア層2の厚み方向中心において等間隔の50枚の顕微鏡写真を撮影する。これら50枚の電子顕微鏡写真に含まれる全ての鱗片状フィラーのうち、押出発泡シート1の表面に対して5°~90°の角度で傾いて配向された鱗片状フィラーを確認する。これにより、中心領域に含まれる多数の鱗片状フィラーのうち、押出発泡シート1の表面に対して5°~90°の角度で傾いて配向された鱗片状フィラーの割合を算出する。
次に、押出発泡シート1の製造方法について説明する(図示せず。)。まず、主押出機のスクリュシリンダ内に樹脂材料となる樹脂ペレットを投入する。樹脂材料はポリカーボネート樹脂である。樹脂ペレットをスクリュシリンダ内で加熱し、溶融樹脂を生成する。次に、主押出機のスクリュシリンダに取付けられた発泡剤注入用ボンベから溶融樹脂に対して発泡剤を注入する。発泡剤は、上述のスクリュシリンダにより溶融樹脂に溶解され、混練りして均一に分散される。このようにして混合溶融樹脂を生成する。混合溶融樹脂は、ダイス出口から吐出されてコア層2を形成する。同時に、2つの副押出機のスクリュシリンダ内の各々に樹脂材料となる樹脂ペレットを投入し、加熱して溶融することにより、2つの溶融樹脂を生成する。2つの溶融樹脂の一方は、ダイス出口から吐出されてスキン層3を形成し、他方は、ダイス出口から吐出されてスキン層4を形成する。混合溶融樹脂及び2つの溶融樹脂を各々の押出機からダイス内で合流させ、コア層2の主面の一方にスキン層3が積層され、かつ、コア層2の主面の他方にスキン層4が積層されるように、ダイス出口から吐出される。混合溶融樹脂は、ダイス出口から大気中に押し出される際に発泡する。このようにして押出発泡シート1が製造される。なお、発泡方法は、窒素及び炭酸ガス等の不活性ガスを発泡剤として用いる物理発泡法である。このようにして押し出された押出発泡シート1は、引き取り機によって切断機に運搬される。切断機は、押出発泡シート1を所望の形状となるように切断する。このように製造された押出発泡シート1は、真空成形等によってケース10に賦形される。
(変形例)
押出発泡シート1は、コア層2から構成されてもよい。すなわち、押出発泡シート1は、スキン層3及びスキン層4を設けず、発泡樹脂からなるシートであってもよい。また、コア層2にはスキン層3及びスキン層4のいずれか一方のみを設けてもよい。
さらに、押出発泡シート1は、加飾フィルム(図示せず。)を有してもよい。加飾フィルムは、スキン層3及びスキン層4の少なくともいずれか一方の外表面に積層される。スキン層3の外表面とは、コア層2と対向する面とは反対側のスキン層3の表面である。スキン層4の外表面においても同様である。種々のデザインが施された複数の加飾フィルムの中から所望の加飾フィルムを選択することにより、押出発泡シート1を熱賦形した成形品の用途に適した意匠性を付与することができる。加飾フィルムとしては、例えば、特に限定されるものではないが、着色フィルム、表面に任意の模様を印刷等したフィルム、シボ目、木目、石目又はカーボン調等の模様が施されたフィルム、又は、蒸着加工により金属調表面光沢を付与したものを用いることができる。加飾フィルムの材質は、例えば、PC、PMMA、PC/PMMAアロイ、ABS、AES、塩ビ、共重合PET等である。押出発泡シート1は、コア層2並びにスキン層3及びスキン層4の3層から構成されてもよく、スキン層3及びスキン層4の少なくともいずれか一方に加飾フィルムを積層して構成されてもよい。また、スキン層3及びスキン層4は、コア層2に対して公知の方法で印刷されてよい。
さらに、押出発泡シート1は、加飾フィルムの代わりに機能性シートを有してもよい。種々の物性を有した複数の機能性シートの中から所望の機能性シートを選択することにより、押出発泡シート1を熱賦形した成形品の用途に適した物性を付与することができる。機能性シートに付される物性としては、例えば、特に限定されるものではないが、蛍光性、耐衝撃性、耐摩耗性、耐候性、耐水性、ガスバリア性、耐熱性、難燃性、耐湿性、静電防止性、耐擦傷性などである。押出発泡シート1は、コア層2並びにスキン層3及びスキン層4の3層から構成されてもよく、スキン層3及びスキン層4の少なくともいずれか一方に機能性シートを積層して構成されてもよい。
加飾フィルム及び機能性シートを積層させる手法は、特に限定されるものではないが、例えば、共押出、接着剤による接着、熱ラミネート、押出ラミネート、ニップロール及びロールプレス等である。
以上、実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
(試験1)
下記表1に示すように、比較例1~5及び実施例1~11の各種押出シートを作製し、各々の押出シートを熱賦形して上述の図1に示すようなケースを作製した。その後、各々のケースについて、軽量性及び剛性を確認した。なお、表1の「樹脂」項目において、「PC」とはポリカーボネート樹脂を示し、「ABS」とはABS樹脂を示し、「PC/ABS」の配合率は各々50重量%である。「シート構造」項目において、ソリッドとは発泡されていない押出シートを示し、「発泡単層」とは、上述のコア層のみからなる押出発泡シートを示し、「発泡積層」とは、上述のコア層及びコア層の主面の両方に積層されたスキン層を有する押出発泡シートを示す。「ケース補強形状」において、「六角形」及び「菱形」とは上述の凹部における平面視形状を示す。また、「肉厚」とは各種押出シートの厚みを示す。
Figure 2023152908000002
まず、実施例1において、熱賦形後の押出シート(ケース)の各所の厚みを磁気式厚さ計(オリンパス株式会社製、Magna-Mike8600)を用いて非破壊により測定した。その結果、熱賦形後の押出シート(ケース)において最も厚い部分の厚みは、熱賦形前の押出シートの厚みと同じ3.5mmであった。すなわち、熱賦形前の押出シートの厚みTが賦形後の押出シートの最も厚い部分の厚さであると言えることが確認できた。
軽量性において、比較例1のケースに対して比較例2~5及び実施例1~12の各々のケースの軽量化率を算出した。比較例1のケースの重量(1000g)よりも軽量化できたケースを軽量化できたものとして「A」と評価し、1000g以上の重量を有するケースを軽量化できなかったものとして「B」と評価した。その結果、比較例4及び5並びに実施例1~12において、比較例1よりも軽量化したことを確認できた。
次に、剛性試験を行った。具体的には、側壁部を下方にしてケースを載置し、底部の外面の中央部に100kgf荷重を負荷した際の底部の変形量を測定した。比較例1のケースでは、底部が下方に向かって20mm湾曲変形した。この20mm以内の変形量のケースを剛性があるとして「A」と評価し、20mmよりも大きい変化量のケースを剛性がないものとして「B」と評価した。その結果、比較例1~3及び実施例1~12のケースにおいて、優れた剛性を有することを確認できた。
以上の結果から、実施例1~12のケースにおいて、押出発泡シートの比重を0.4~1.0にしたことにより、優れた軽量性及び剛性を有することが確認できた。特に、実施例1~12のケースのうち、実施例2、7、9及び11のケースにおいては、六角形の補強形状を有することにより、より優れた軽量性及び剛性を有していた。
また、剛性における肉厚変化率の影響について検討した。実施例1~12の肉厚変化率は、表1の通りであり、実施例1~12の剛性はすべて「A」の評価を得た。ただし、肉厚変化率が小さくなるにつれて実際の上述の変形量も小さくなった。特に、実施例10は、実施例12に対して上述の変形量が大きく減少した。したがって、剛性をより向上させるには、押出シートの肉厚変化率を60%未満、好ましくは55%未満、より好ましくは50%未満とするのがよいと考えられる。
(試験2)
次に、発泡積層の押出発泡シートにおいて、別途、コア層及びコア層の主面の両方に積層された各スキン層の厚みを種々変更して実施例12~18及び比較例6~9の押出発泡シートを作製し、比曲げ弾性率及びシャルピー衝撃試験での破壊有無、250℃30分加熱時における押出発泡シート表面の膨れ(真空成形後の外観意匠性)を評価する試験を行った。なお、表1において、「MM」とはMMダイによる共押出成形を示し、「FB」とはFBダイによる共押出成形を示し、「Mv」とは粘度平均分子量を示す。また、本開示は、表1及び2の実施例に限られるものではない。
Figure 2023152908000003
(実施例13)
実施例13の押出発泡シートは、共押出成形法を用いて次のように作製した。まず、主押出機のスクリュシリンダにポリカーボネート樹脂を投入し、270℃で加熱しながらせん断混錬された。その後、発泡剤のNを4MPaの圧力下で注入した。ポリカーボネート樹脂と発泡剤とを215℃で加熱溶融させ、ダイス出口の温度を215℃としてコア層を得た。同時に、副押出機のスクリュシリンダにポリカーボネート樹脂を投入し、255℃で加熱しながらせん断混錬させ、ダイスの出口温度を215℃として2つのスキン層を得た。これらコア層とスキン層とをダイス内で合流させて積層化し、ダイスの出口から吐出させた。このようにして、発泡樹脂からなるコア層の両方の主面に非発泡樹脂からなるスキン層を積層させた実施例13の押出発泡シートを得た。なお、実施例13の押出発泡シートの厚みTが表2に示す値となるようにダイスの出口ギャップを設定し、引出速度を0.7m/分として実施例13の押出発泡シートを共押出成形した。
(実施例14~19)
実施例14~19の押出発泡シートは、ダイスの出口ギャップを除き、実施例13と同様の方法で作成した。すなわち、実施例14~19の押出発泡シートは、各々の厚みが異なるものを含む。
(比較例6)
比較例6の押出発泡シートは、共押出成形法を用いて次のように作製した。まず、主押出機のスクリュシリンダにポリカーボネート樹脂を投入し、270℃で加熱しながらせん断混錬された。その後、含有量が0.53mol/kg樹脂となるように発泡剤のイソペンタンガスを注入した。ポリカーボネート樹脂と発泡剤とを215℃で加熱溶融させ、ダイス出口の温度を215℃としてコア層を得た。同時に、2つの副押出機の各々のスクリュシリンダにポリカーボネート樹脂を投入し、255℃で加熱しながらせん断混錬させ、ダイスの出口温度を215℃として2つのスキン層を得た。これらコア層とスキン層とをダイス内で合流させて積層化し、ダイスの出口から吐出させた。このようにして、発泡樹脂からなるコア層の両方の主面に非発泡樹脂からなるスキン層を積層させた比較例6の押出発泡シートを得た。なお、比較例6の押出発泡シートの厚みTが表2に示す値となるようにダイスの出口ギャップを設定し、引出速度を6.5m/分として比較例6の押出発泡シートを共押出成形した。
(比較例7)
比較例7の押出発泡シートは、押出ラミネート法を用いて次のように作製した。まず、主押出機のスクリュシリンダにポリカーボネート樹脂を投入し、270℃で加熱しながらせん断混錬された。その後、投入されたポリカーボネート樹脂1kgに対して含有量が0.53molとなるように発泡剤のイソペンタンガスを注入した。ポリカーボネート樹脂と発泡剤とを200℃で加熱溶融させ、ダイス出口の温度を200℃としてコア層を得た。比較例7の押出発泡シートの厚みTが表2に示す値となるようにダイスの出口ギャップを設定し、引出速度を6.5m/minとしてコア層を押出成形した。次に、吐出されたコア層が溶融している状態で、予め作製したポリカーボネート樹脂からなる2つのスキン層を各々コア層の両方の主面に貼り合わせて積層した。
(比較例8)
比較例8の押出発泡シートは、コア層とスキン層とを熱圧着により積層して作製した。まず、比較例7の押出発泡シートと同様に、コア層を得た。次に、冷却固化したコア層の両方の主面に、予め作製したポリカーボネート樹脂からなる2つのスキン層を各々熱プレスして積層させた。
(比較例9)
比較例9の押出発泡シートは、射出成形法によって作成した。射出成型機のスクリュシリンダにポリカーボネート樹脂を投入し、270℃で加熱しながらせん断混錬した。その後、発泡剤の窒素を8MPa圧力下で注入し、発泡剤が注入されたポリカーボネート樹脂を金型内に充填させた。その後、コアバック法を用いて金型の圧力を解放し押出発泡シートを得た。尚、押出発泡シートの厚みは3mmとなるように金型を設計した。
表2に示す寸法変化率は、次のように算出した。まず、押出発泡シートから120mm×120mmの寸法で切断した試料片を得た。このとき、試料片は、押出発泡シートの全幅に対して中央部と両端部とから採取した。中央部とは、押出発泡シートの全幅における1/2の長さに位置する部位であり、両端部とは、押出発泡シートの全幅における最端から50mm離した部位である。各々の試料片に押出方向及び幅方向の印を付け、さらに、各々の試料片の中央に押出方向及び幅方向における標線間距離を測定するための印を付けた。この押出方向及び幅方向における標線間距離を最小0.5mmまで測定できる目盛定規又は金尺を用いて測定した。その後、内底面にテフロン(登録商標)シートを敷いた金属製容器を乾燥機に入れ、金属製容器の温度が200±2℃となるように乾燥機の温度を調節した。試料片を金属製容器に載置して30分間加熱した。加熱処理終了後、金属製容器から試料片を取り出して常温に冷ましてから、押出方向及び幅方向における標線間距離を測定した。そして、上述の数式にて、寸法変化率を算出した。なお、すべての押出発泡シートにおいて、押出方向の寸法変化率の絶対値が幅方向の寸法変化率よりも大きかったため、表1には押出方向の寸法変化率を表示している。すなわち、幅方向の寸法変化率は、押出方向の寸法変化率よりも小さい。したがって、加熱の前後において幅方向の寸法は押出方向に比べて安定していた。
表2に示す押出発泡シートの厚みT及び比曲げ弾性率は、上述の測定方法に沿って測定した。また、表2に示すMFR倍率は、スキン層に含まれるポリカーボネート樹脂のコア層に含まれるポリカーボネート樹脂に対するMFRの倍率であり、上述の測定方法によって測定した。
表2中、「破壊の有無」は、衝撃試験によって各々の押出発泡シートが破壊された否かを示す。シャルピー衝撃試験(ISO179-1、JIS7111-1に準拠)にて、各々の押出発泡シートについてノッチ無しの条件でフラットワイズ垂直試験を行い、4J振り子を用いて破壊の有無を評価した。押出発泡シートが完全破壊、ヒンジ破壊又は部分破壊せずに折れ曲がっただけの状態を破壊されていない「A」とし、それ以外を破壊されたとして「B」と評価した。
表2中、「シート膨れ」は、各々のシート状の押出発泡シートにおける加熱後の表面膨れを示す。表面膨れは、上述の膨出部である。各々の押出発泡シートについて、250℃の温度で30分加熱した後のシート膨れの有無を評価した。以下、具体的な方法を述べる。加熱前の押出発泡シートの平均厚みを算出する。マイクロメーターを用いて押出発泡シートの断面を観察し、押出発泡シートの断面を幅方向に11等分したのち、端部を除いて等間隔に10点の厚みを測定し、これら厚みの算術平均値を平均厚みとした。加熱後の押出発泡シートも加熱前の押出発泡シートと同様に平均厚みを算出した。加熱後の押出発泡シートを目視確認し、加熱前の押出発泡シート表面と比べたときの膨出部の存在有無を判断した。膨出部が目視確認された場合、膨出部を含む断面をマイクロスコープを用いて観察し、膨出部を含む押出発泡シートの厚み(図7を参照。)を測定した。加熱後の押出発泡シートの平均厚みが加熱前の押出発泡シートの平均厚みに対して1.5倍よりも大きく且つ、膨出部を含む押出発泡シートの厚みが加熱前の押出発泡シートの平均厚みの1.5倍よりも大きい場合を表面膨れがあるとして「B」とし、それ以外を「A」と評価した。押出発泡シートの加熱方法について以下説明する。まず、押出発泡シートを100mm×100mmの寸法で切断した試料片を得た。このとき、試料片は、押出発泡シートの全幅に対して中央部と両端部から採取した。中央部とはシートの全幅における1/2の長さに位置する部位であり、両端部とはシートの全幅における最端から50mm離した部位である。内底面にテフロン(登録商標)シートを敷いた金属製容器を電気炉に入れ、金属製容器の温度が250±2℃となるように電気炉の温度を調節した。切断した各々の押出発泡シートを金属製容器に載置して30分間加熱した。加熱処理終了後、金属製容器から押出発泡シートを取り出した。押出発泡シートを常温に冷ましてから押出発泡シートの表面の状態を目視確認した。
(試験結果)
比較例6~8は、イソペンタンガスを発泡剤とした低密度ポリカーボネート積層樹脂シートである。これら比較例6~8の押出発泡シートにおける密度は、0.1乃至0.11であり、0.4未満であった。また、比較例6~8の押出発泡シートにおいて、押出発泡シートの厚みTに対するスキン層の厚み(t1+t2)の比は、0.15未満であった。
比較例6~8の押出発泡シートは、有機揮発性のイソペンタンガスを発泡剤として用いることで押出発泡シートの発泡倍率が大きくなる。そのため、押出発泡成形後の押出発泡シート表面において、気泡の破壊に伴う凹凸が目立つようになる。また、押出成形時のせん断速度を比較的速くしたため、押出発泡シートが押出方向に大きく引き伸ばされる。その結果、気泡が押出方向に大きく延伸した扁平形状となる。これらの要因により、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度以上の雰囲気下で押出発泡シートを加熱すると押出発泡シート内の気泡が収縮し易くなる。押出方向に大きく収縮したことにより、比較例6~8の寸法変化率は大きくなったと考えられる。このような大きく延伸した扁平形状の気泡は、さらに、押出発泡シートの密度を低下させるため、押出発泡シートの曲げ弾性率を低下させ、かつ、押出発泡シートの破壊を容易にしてしまうと考えられる。通常、ポリカーボネート樹脂からなる発泡成形体は、優れた軽量性と機械強度を有すると言われる。しかしながら、上述の試験において、比較例6~8の押出発泡シートでは優れた曲げ弾性率及び衝撃特性を得ることはできなかった。一方で、実施例13~19の押出発泡シートでは、押出発泡シートの厚みTに対するスキン層の厚み(t1+t2)を考慮し、さらに、押出発泡シートの密度を0.4~1.0g/cmとしたことにより、優れた軽量性と機械強度とを得ることができ、かつ、共押出成形時及び真空成形時における外観意匠性の向上を図ることができた。すなわち、ケースのおける軽量性及び機械強度を向上でき、さらに、外観意匠性も向上させることができた。
比較例9は、射出成形法を用いて作製した押出発泡シートである。射出成形法で作製した押出発泡シートの場合、金型内の冷却速度分布によって押出発泡シート表層にスキン層が形成される。比較例9を用いて250℃30分加熱をすると、押出発泡シートに表面膨れが生じた。射出成形法で作製した押出発泡シートのスキン層を形成する樹脂には発泡剤が含まれているため、加熱時に発泡剤が膨張し、押出発泡シートの表面膨れを生じさせた。したがって、射出成形法による成形体と押出発泡シートは差別化される。すなわち、押出発泡シートによれば、優れた外観意匠性を得ることができる。
1 押出発泡シート、2 コア層、3 スキン層、4 スキン層、5 膨出部、10 ケース、11 底部、12 側壁部、13 曲面部、111 凹部、112 溝部、113 外面、114 内面、115 側面部、T 厚み、t1 厚み、t2 厚み、t3 平均厚み、t4 平均厚み、t5 厚み

Claims (11)

  1. 押出発泡シートからなるケースであって、
    前記押出発泡シートは、30質量%以上のポリカーボネート樹脂を含有し、0.4~1.0の比重を有する、ケース。
  2. 請求項1に記載のケースであって、
    前記ケースは、底部と、前記底部に対して鉛直方向に延びる側壁部とを有し、
    前記底部は、前記ケースの内方に向かって窪み、かつ、所定の間隔で配列された平面視多角形状の複数の凹部を含む、ケース。
  3. 請求項1に記載のケースであって、
    前記押出発泡シートは、60%未満の肉厚変化率を有する、ケース。
    肉厚変化率は、以下の式(1)により算出される。
    肉厚変化率(%)=(T-T1)/T×100 ・・・(1)
    式(1)中、Tは熱賦形前の押出発泡シート1の厚みを示し、T1は熱賦形後の押出発泡シート1において最も薄い箇所の厚みを示す。
  4. 請求項1に記載のケースであって、
    前記押出発泡シートは、60%未満の肉厚変化率を有する、ケース。
    前記肉厚変化率は、以下の式(2)により算出される。
    肉厚変化率(%)=(T4-T1)/T4×100 ・・・(2)
    式(2)中、T4は熱賦形後の押出発泡シート1において最も厚い箇所の厚みを示し、T1は熱賦形後の押出発泡シート1において最も薄い箇所の厚みを示す。
  5. 請求項1に記載のケースであって、
    前記発泡押出シートは、発泡樹脂からなるコア層と、非発泡樹脂からなり、前記コア層の一方の主面に積層された第1スキン層と、前記コア層の他方の主面に積層された第2スキン層とを備える、ケース。
  6. 請求項5に記載のケースであって、
    前記押出発泡シートは、0.4~1.0g/cmの密度を有し、かつ、下記式(3)を満たす、ケース。
    0.10≦(t1+t2)/T≦0.5 (3)
    式(1)中、t1は前記第1スキン層の厚みを示し、t2は前記第2スキン層の厚みを示し、Tは前記押出発泡シートの厚みを示す。
  7. 請求項5に記載の押出発泡シートであって、
    前記第1及び第2スキン層に含まれるポリカーボネート樹脂は、前記コア層に含まれるポリカーボネート樹脂に対して、1.0倍~5倍のメルトボリュームレートを有する、ケース。
  8. 請求項1に記載のケースであって、
    前記押出発泡シートを200℃雰囲気下で30分加熱したとき、前記押出発泡シートは、押出方向及び平面視において前記押出方向に直交する幅方向のいずれか一方において、-5~0%の寸法変化率を有する、ケース。
  9. 請求項1に記載のケースであって、
    前記押出発泡シートは、1.5GPa・cm/g以上の比曲げ弾性率を有する、ケース。
  10. 請求項1に記載のケースであって、
    前記押出発泡シートを250℃加熱雰囲気下で30分加熱したとき、前記加熱後の押出発泡シートの平均厚みt3は、前記加熱前の押出発泡シートの平均厚みt4に対して1.5倍以下である、ケース。
  11. 請求項1に記載のケースであって、
    前記押出発泡シートは、250℃加熱雰囲気下で30分加熱したとき、前記加熱によって前記押出発泡シートの表面に生じる膨出部を含み、
    前記膨出部を含む前記押出発泡シートの厚みt5は、前記加熱前の押出発泡シートの平均厚みt4に対して1.5倍以下であり、
    前記加熱後の押出発泡シートは、その表面100cmあたりに1つ以下の前記膨出部を有する、ケース。
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