JP2023151128A - 摩擦材 - Google Patents

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哲司 村山
Tetsuji Murayama
高志 鳥羽
Takashi Toba
真弥 高見澤
Masaya Takamizawa
琢磨 金井
Takuma Kanai
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Hitachi Astemo Ltd
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Abstract

【課題】摩擦材の耐むしれ性能の向上を図る。【課題を解決するための手段】主成分が繊維材料,結合材,潤滑材及び摩擦調整剤である摩擦材において,結合材がアラルキル変性フェノールレジンであり,潤滑材が鱗状黒鉛及び粒状黒鉛を含み,この摩擦材の組成総量に対して,鱗状黒鉛及び前記粒状黒鉛の総量が11Wt%以下となる範囲内で,鱗状黒鉛を1.5~3.0Wt%,前記粒状黒鉛を7.0~8.5Wt%含む。【選択図】 図4

Description

本発明は,自動車,自動二輪車等の車両用のブレーキシューやブレーキパッドに使用される摩擦材に関し,特に,主成分が繊維材料,結合材,潤滑材及び摩擦調整剤よりなる摩擦材の改良に関する。
かかる摩擦材において,潤滑材として,粒径を異にする少なくとも2種類の黒鉛粒子を含有させるものが下記特許文献1に記載されている。
特開平8-109369号公報
特許文献1に記載の摩擦材では,粒径を異にする少なくとも2種類の黒鉛粒子を含有させることで,黒鉛の含有量を抑えつつ,耐摩耗性の向上を図ることができるものの,ブレーキ時の耐むしれ性能については検討が充分でなかった。
ここで,ブレーキ時の「むしれ」とは,例えばディスクブレーキをウエット且つ高負荷状態で作動させたとき,その制動熱により摩擦パッド,即ち摩擦材の内部の有機成分や水分が気化することにより,摩擦パッドの表面に膨れが生じ,更に,ディスクロータに設けられた多数の孔により,膨れた表面が剥がされて荒れる現象をいう。
本発明は,かかる事情に鑑みてなされたもので,耐むしれ性能に優れた摩擦材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために,本発明は,主成分が繊維材料,結合材,潤滑材及び摩擦調整剤である摩擦材において,前記結合材がアラルキル変性フェノールレジンであり,前記潤滑材が鱗状黒鉛及び粒状黒鉛を含み,この摩擦材の組成総量に対して,前記鱗状黒鉛及び前記粒状黒鉛の総量が11Wt%となる範囲内で,前記鱗状黒鉛を1.5~3.0Wt%,前記粒状黒鉛を7.0~8.5Wt%含むことを第1の特徴とする。
また,本発明は,第1の特徴に加えて,前記粒状黒鉛の平均粒径が300~600μmであり,前記鱗状黒鉛の平均粒径が180~220μmであり,前記繊維材料は銅繊維を含み,前記摩擦調整剤は銅粉を含み,この摩擦材の組成総量に対して,前記銅繊維及び前記銅粉の総量が35.0Wt%以下となる範囲内で,前記銅繊維を4.0~7.5Wt%,前記銅粉を20.0~27.0Wt%含み,この摩擦材がさらに真鍮粉を含むことを第2の特徴とする。
さらに,本発明は,第2の特徴に加えて,この摩擦材の総量に対して,前記粒状黒鉛を2.0~2.5wt%,前記鱗状黒鉛を8.0~8.5wt%,前記銅繊維を4.5~6.0wt%,銅粉を22.0~25.0wt%含むことを第3の特徴とする。
本発明の第1の特徴によれば,摩擦材の表面を強化することができ,その耐むしれ性能の向上を図ることができる。
本発明の第2の特徴によれば,摩擦材の耐むしれ性能を維持しつつ,その摩擦材の耐摩耗性及びブレーキ効力の向上を図ることができる。
本発明の第3の特徴によれば,摩擦材の耐むしれ性能を維持しつつ,その摩擦材の耐摩耗性及びブレーキ効力の一層の向上を図ることができる。
従来例の摩擦材の組成割合,本発明に係る摩擦材の実施例の組成割合,並びに比較例1~3の組成割合を示す[表1] 従来例の摩擦材と本発明の実施例1の摩擦材とのブレーキ効力性能比較テストの結果を示す線図 従来例の摩擦材と本発明の実施例1の摩擦材との耐摩耗性比較テストの結果を示す比較線図 従来例の摩擦材と本発明の実施例1の摩擦材との耐むしれ性能比較テストの結果を示す写真
本発明に係る摩擦材は,例えば車両用ディスクブレーキに装着されるブレーキパッドに適用される。
図1の表1において,本発明の実施例1~15の摩擦材では,従来例のストレートフェノールレジンに換えて,アラルキル変性フェノールレジンを採用した。
また,本発明の実施例1~15の摩擦材では,鱗状黒鉛の組成割合を,従来例の7.5Wt%に換えて,1.5~3.0Wt%に設定すると共に,粒状黒鉛の組成割合を,従来例の5.0Wt%に換えて,実施例1では7.0~8.5Wt%に設定すると共に,この摩擦材の組成総量に対して,鱗状黒鉛及び粒状黒鉛の総量を11Wt%以下となるように設定した。
さらに,実施例1~8の摩擦材では,上記に加えて,20.0~27.0Wt%に設定し,銅繊維の組成割合を,4.0~7.5Wt%に設定すると共に,この摩擦材の組成総量に対して,銅繊維及び銅粉の総量を35Wt%以下とした。
ここで,表1における「テスト項目」について説明する。
「ブレーキ効力」は,台上試験機上での車両の50km/h走行モードにおいて,乾燥状態の摩擦材を用いて制動テストを行うことにより,その摩擦材の摩擦係数を測定してブレーキ効力性能を判定したもので,効力値が従来例の±10%以内のものを最良:◎,±20%以内のものを良:「○」,±20%の範囲を逸脱したものを不良:「×」とした。
「耐摩耗性」は,台上試験機上,各種制動モード(後述する図3と同様の条件)での摩擦材の摩耗量を測定して総合的に判定したもので,摩擦量が極めて少ないものを最良:「◎」,少ないものを良:「○」,多いものを不良:「×」とした。
「耐むしれ性能」は,台上試験機上で,車両の80km/hの走行モードから,水掛け状態の摩擦材による制動により,車両に減速度4m/s2 ,6m/s2 ,8m/s2 を発生させたとき,その摩擦材の表面にむしれ現象の発生の有無を観察して判定したもので,むしれ現象が有ったものを「有」,むしれ現象が無かったものを「無」とした。
図2は,従来例の摩擦材と実施例1の摩擦材とのブレーキ効力性能を示す線図である。この線図から分かるように,ブレーキ効力性能においては,従来例の摩擦材と実施例1の摩擦材の何れも良好である。
図3は,従来例の摩擦材と実施例1の摩擦材との耐摩耗性を示す線図である。この線図から分かるように,耐摩耗性においては,従来例の摩擦材と実施例1の摩擦材の何れも良好である。
尚,図3において,「低温制動」とは,車速50km/h,摩擦材温度50°Cの状態での制動状態,「第1制動」とは,車速50km/h,摩擦材温度80°Cの状態での制動状態,「第2制動」とは,車速80km/h,摩擦材温度120°Cの状態での制動状態,「第3制動」とは,車速120km/h,摩擦材温度150°Cの状態での制動状態,「高速制動」とは,車速150km/h,摩擦材温度250°Cの状態での制動状態である。
図4は,従来例の摩擦材と実施例1の摩擦材との前記耐むしれ性能テストの結果を示す写真である。これらの写真から分かるように,従来例の摩擦材の表面にむしれ現象が発生したのに対して,実施例1の摩擦材の表面にはむしれ現象の発生を全く認められなかった。
前記表1の結果より,実施例1~15では,従来例のストレートフェノールレジンに換えて,アラルキル変性フェノールレジンを採用し,鱗状黒鉛の組成割合を,従来例の7.5Wt%に換えて,1.5~3.0Wt%に設定すると共に,粒状黒鉛の組成割合を,従来例の5.0Wt%に換えて,7.0~8.5Wt%に設定すると共に,鱗状黒鉛及び粒状黒鉛の総量を11Wt%以下となるように設定したことによって,摩擦材に強固な表面を形成すると共に,高熱時,摩擦材の内部に発生するガスや水蒸気の逃げ道を確保できたため,上述のように摩擦材の耐むしれ性能を向上させ得たものと認められる。
また,実施例1~8のように,粒状黒鉛の平均粒径を300~600μmとし,鱗状黒鉛の平均粒径を180~220μmに設定し,繊維材料として銅繊維を選択し,摩擦調整材として銅粉を選択し,摩擦材の組成総量に対して,これら銅繊維及び銅粉の総量が35.0%以下となる範囲において,銅繊維の組成割合を4.0~7.5%,銅粉の組成割合を2.0~27.0%に設定し,さらに摩擦材に真鍮粉を含有させることにより,良好な耐むしれ性能を維持しつつ,耐摩耗性及びブレーキ効力を向上させ得たものと認められる。
さらに,実施例1~4のように,摩擦材の組成総量に対して,粒状黒鉛の組成割合を2.0~2.5Wt%,鱗状黒鉛の組成割合を8.0~8.5Wt%,銅繊維の組成割合を4.5~6.0Wt%,銅粉の組成割合を22.0~25.0Wt%に設定することによって,良好な耐むしれ性能を維持しつつ,耐摩耗性及びブレーキ効力を,より一層向上させ得たものと認められる。
以上を総合するに,本発明の注目すべき点は,結合材としてアラルキル変性フェノールレジンを選択し,潤滑材として鱗状黒鉛及び粒状黒鉛を選択し,その際,摩擦材の組成総量に対して,これら鱗状黒鉛及び粒状黒鉛の総量が11Wt%となる範囲において,鱗状黒鉛の組成割合を1.5~3.0Wt%に,粒状黒鉛の組成割合を7.0~8.5Wt%に設定することである。これにより摩擦材の耐むしれ性能の向上を図ることができる。
さらに注目すべき点は,上記に加えて,粒状黒鉛の平均粒径を300~600μmとし,鱗状黒鉛の平均粒径を180~220μmに設定し,繊維材料として銅繊維を選択し,摩擦調整剤として銅粉を選択し,摩擦材の組成総量に対して,これら銅繊維及び銅粉の総量が35.0%以下となる範囲において,銅繊維の組成割合を4.0~7.5%,銅粉の組成割合を20.0~27.0%に設定し,摩擦材に真鍮粉を含有させることである。これにより,摩擦材表面の良好な耐むしれ性能を維持しつつ,耐摩耗性及びブレーキ効力の向上を図ることができる。その際,摩擦材の総量に対して,粒状黒鉛の組成割合を2.0~2.5wt%,鱗状黒鉛の組成割合を8.0~8.5wt%,銅繊維の組成割合を4.5~6.0wt%,銅粉の組成割合を22.0~25.0wt%に設定すれば,摩擦材表面の良好な耐むしれ性能を維持しつつ,耐摩耗性及びブレーキ効力を,より一層向上させることができる。
かくして,実施例1~4の組成割合によれば,摩擦材のブレーキ効力,耐摩擦性及び耐むしれ性能の全てを充分満足させることができる。
また,実施例5~8の組成割合によれば,テスト結果から,摩擦材の耐むしれ性能については,むしれ現象「無」と判定し,ブレーキ効力及び耐摩擦性については「良」以上と判定することができた。したがって,摩擦材のブレーキ効力,耐摩擦性及び耐むしれ性能の全てを満足させることができる。
また,実施例9~15の組成割合によれば,テスト結果から,摩擦材の少なくとも耐むしれ性能については,むしれ現象「無」と判定することができ,またブレーキ効力及び耐摩擦性の一方については「良」と判定することができたが,他方については「不良」と判定した。したがって,実施例9~15の組成割合は,耐むしれ性能と,ブレーキ効力及び耐摩擦性の何れか一方とを重視する摩擦材には採用可能である。
また,比較例1~3の組成割合によれば,テスト結果から,摩擦材の耐むしれ性能が,むしれ現象「有」と判定するに至った。したがって,耐むしれ性能を重視する本発明では,これら比較例1~3の組成割合を採用することはできない。
比較例1において,ブレーキ効力が「不良」となった原因は,黒鉛量が過多であったことによる。また,耐むしれ性能が,むしれ現象「有」となった原因は,鱗状黒鉛量及び粒状黒鉛量が過多であったことによる。
比較例2において,耐摩耗性が「不良」となった原因は,黒鉛量が過小であったことによる。また,耐むしれ性能が,むしれ現象「有」となった原因は,鱗状黒鉛量及び粒状黒鉛量が過多であったことによる。
比較例3において,耐むしれ性能が,むしれ現象「有」となった原因は,結合材として,ストレートレジンを含有させたことによる。
前記表1における本発明の摩擦材の組成割合の許容範囲は,以上の結果を総合して,摩擦材の少なくとも耐むしれ性能を満足させるべく決定したものである。
而して,前記実施例1~15は本発明の請求項1の記載に対応し,前記実施例1~8は本発明の請求項2の記載に対応し,前記実施例1~4は本発明の請求項3の記載に対応する。
以上,本発明の実施形態について説明したが,本発明は上記実施形態に限定されるものではなく,特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
本発明は,自動車,自動二輪車等の車両用のブレーキシューやブレーキパッドに使用される摩擦材に関し,特に,主成分が繊維材料,結合材,潤滑材及び摩擦調整剤よりなる摩擦材の改良に関する。
かかる摩擦材において,潤滑材として,粒径を異にする少なくとも2種類の黒鉛粒子を含有させるものが下記特許文献1に記載されている。
特開平8-109369号公報
特許文献1に記載の摩擦材では,粒径を異にする少なくとも2種類の黒鉛粒子を含有させることで,黒鉛の含有量を抑えつつ,耐摩耗性の向上を図ることができるものの,ブレーキ時の耐むしれ性能については検討が充分でなかった。
ここで,ブレーキ時の「むしれ」とは,例えばディスクブレーキをウエット且つ高負荷状態で作動させたとき,その制動熱により摩擦パッド,即ち摩擦材の内部の有機成分や水分が気化することにより,摩擦パッドの表面に膨れが生じ,更に,ディスクロータに設けられた多数の孔により,膨れた表面が剥がされて荒れる現象をいう。
本発明は,かかる事情に鑑みてなされたもので,耐むしれ性能に優れた摩擦材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために,本発明は,主成分が繊維材料,結合材,潤滑材及び摩擦調整剤である摩擦材において,前記結合材がアラルキル変性フェノールレジンであり,前記潤滑材が鱗状黒鉛及び粒状黒鉛を含み,この摩擦材の組成総量に対して,前記鱗状黒鉛及び前記粒状黒鉛の総量が11Wt%以下となる範囲内で,前記鱗状黒鉛を1.5~3.0Wt%,前記粒状黒鉛を7.0~8.5Wt%含むことを第1の特徴とする。
また,本発明は,第1の特徴に加えて,前記粒状黒鉛の平均粒径が300~600μmであり,前記鱗状黒鉛の平均粒径が180~220μmであり,前記繊維材料は銅繊維を含み,前記摩擦調整剤は銅粉を含み,この摩擦材の組成総量に対して,前記銅繊維及び前記銅粉の総量が35.0Wt%以下となる範囲内で,前記銅繊維を4.0~7.5Wt%,前記銅粉を20.0~27.0Wt%含み,この摩擦材がさらに真鍮粉を含むことを第2の特徴とする。
さらに,本発明は,第2の特徴に加えて,この摩擦材の総量に対して,前記状黒鉛を2.0~2.5wt%,前記状黒鉛を8.0~8.5wt%,前記銅繊維を4.5~6.0wt%,銅粉を22.0~25.0wt%含むことを第3の特徴とする。
本発明の第1の特徴によれば,摩擦材の表面を強化することができ,その耐むしれ性能の向上を図ることができる。
本発明の第2の特徴によれば,摩擦材の耐むしれ性能を維持しつつ,その摩擦材の耐摩耗性及びブレーキ効力の向上を図ることができる。
本発明の第3の特徴によれば,摩擦材の耐むしれ性能を維持しつつ,その摩擦材の耐摩耗性及びブレーキ効力の一層の向上を図ることができる。
従来例の摩擦材の組成割合,本発明に係る摩擦材の実施例の組成割合,並びに比較例1~3の組成割合を示す[表1] 従来例の摩擦材と本発明の実施例1の摩擦材とのブレーキ効力性能比較テストの結果を示す線図 従来例の摩擦材と本発明の実施例1の摩擦材との耐摩耗性比較テストの結果を示す比較線図 従来例の摩擦材と本発明の実施例1の摩擦材との耐むしれ性能比較テストの結果を示す写真
本発明に係る摩擦材は,例えば車両用ディスクブレーキに装着されるブレーキパッドに適用される。
図1の表1において,本発明の実施例1~15の摩擦材では,従来例のストレートフェノールレジンに換えて,アラルキル変性フェノールレジンを採用した。
また,本発明の実施例1~15の摩擦材では,鱗状黒鉛の組成割合を,従来例の7.5Wt%に換えて,1.5~3.0Wt%に設定すると共に,粒状黒鉛の組成割合を,従来例の5.0Wt%に換えて,実施例1では7.0~8.5Wt%に設定すると共に,この摩擦材の組成総量に対して,鱗状黒鉛及び粒状黒鉛の総量を11Wt%以下となるように設定した。
さらに,実施例1~8の摩擦材では,上記に加えて,銅粉の組成割合を,20.0~27.0Wt%に設定し,銅繊維の組成割合を,4.0~7.5Wt%に設定すると共に,この摩擦材の組成総量に対して,銅繊維及び銅粉の総量を35Wt%以下とした。
ここで,表1における「テスト項目」について説明する。
「ブレーキ効力」は,台上試験機上での車両の50km/h走行モードにおいて,乾燥状態の摩擦材を用いて制動テストを行うことにより,その摩擦材の摩擦係数を測定してブレーキ効力性能を判定したもので,効力値が従来例の±10%以内のものを最良:◎,±20%以内のものを良:「○」,±20%の範囲を逸脱したものを不良:「×」とした。
「耐摩耗性」は,台上試験機上,各種制動モード(後述する図3と同様の条件)での摩擦材の摩耗量を測定して総合的に判定したもので,摩擦量が極めて少ないものを最良:「◎」,少ないものを良:「○」,多いものを不良:「×」とした。
「耐むしれ性能」は,台上試験機上で,車両の80km/hの走行モードから,水掛け状態の摩擦材による制動により,車両に減速度4m/ 2 ,6m/ 2 ,8m/ 2 を発生させたとき,その摩擦材の表面にむしれ現象の発生の有無を観察して判定したもので,むしれ現象が有ったものを「有」,むしれ現象が無かったものを「無」とした。
図2は,従来例の摩擦材と実施例1の摩擦材とのブレーキ効力性能を示す線図である。この線図から分かるように,ブレーキ効力性能においては,従来例の摩擦材と実施例1の摩擦材の何れも良好である。
図3は,従来例の摩擦材と実施例1の摩擦材との耐摩耗性を示す線図である。この線図から分かるように,耐摩耗性においては,従来例の摩擦材と実施例1の摩擦材の何れも良好である。
尚,図3において,「低温制動」とは,車速50km/h,摩擦材温度50°Cの状態での制動状態,「第1制動」とは,車速50km/h,摩擦材温度80°Cの状態での制動状態,「第2制動」とは,車速80km/h,摩擦材温度120°Cの状態での制動状態,「第3制動」とは,車速120km/h,摩擦材温度150°Cの状態での制動状態,「高速制動」とは,車速150km/h,摩擦材温度250°Cの状態での制動状態である。
図4は,従来例の摩擦材と実施例1の摩擦材との前記耐むしれ性能テストの結果を示す写真である。これらの写真から分かるように,従来例の摩擦材の表面にむしれ現象が発生したのに対して,実施例1の摩擦材の表面にはむしれ現象の発生を全く認められなかった。
前記表1の結果より,実施例1~15では,従来例のストレートフェノールレジンに換えて,アラルキル変性フェノールレジンを採用し,鱗状黒鉛の組成割合を,従来例の7.5Wt%に換えて,1.5~3.0Wt%に設定すると共に,粒状黒鉛の組成割合を,従来例の5.0Wt%に換えて,7.0~8.5Wt%に設定すると共に,鱗状黒鉛及び粒状黒鉛の総量を11Wt%以下となるように設定したことによって,摩擦材に強固な表面を形成すると共に,高熱時,摩擦材の内部に発生するガスや水蒸気の逃げ道を確保できたため,上述のように摩擦材の耐むしれ性能を向上させ得たものと認められる。
また,実施例1~8のように,粒状黒鉛の平均粒径を300~600μmとし,鱗状黒鉛の平均粒径を180~220μmに設定し,繊維材料として銅繊維を選択し,摩擦調整材として銅粉を選択し,摩擦材の組成総量に対して,これら銅繊維及び銅粉の総量が35.0%以下となる範囲において,銅繊維の組成割合を4.0~7.5%,銅粉の組成割合を2.0~27.0%に設定し,さらに摩擦材に真鍮粉を含有させることにより,良好な耐むしれ性能を維持しつつ,耐摩耗性及びブレーキ効力を向上させ得たものと認められる。
さらに,実施例1~4のように,摩擦材の組成総量に対して,状黒鉛の組成割合を2.0~2.5Wt%,状黒鉛の組成割合を8.0~8.5Wt%,銅繊維の組成割合を4.5~6.0Wt%,銅粉の組成割合を22.0~25.0Wt%に設定することによって,良好な耐むしれ性能を維持しつつ,耐摩耗性及びブレーキ効力を,より一層向上させ得たものと認められる。
以上を総合するに,本発明の注目すべき点は,結合材としてアラルキル変性フェノールレジンを選択し,潤滑材として鱗状黒鉛及び粒状黒鉛を選択し,その際,摩擦材の組成総量に対して,これら鱗状黒鉛及び粒状黒鉛の総量が11Wt%以下となる範囲において,鱗状黒鉛の組成割合を1.5~3.0Wt%に,粒状黒鉛の組成割合を7.0~8.5Wt%に設定することである。これにより摩擦材の耐むしれ性能の向上を図ることができる。
さらに注目すべき点は,上記に加えて,粒状黒鉛の平均粒径を300~600μmとし,鱗状黒鉛の平均粒径を180~220μmに設定し,繊維材料として銅繊維を選択し,摩擦調整剤として銅粉を選択し,摩擦材の組成総量に対して,これら銅繊維及び銅粉の総量が35.0Wt%以下となる範囲において,銅繊維の組成割合を4.0~7.5Wt%,銅粉の組成割合を20.0~27.0Wt%に設定し,摩擦材に真鍮粉を含有させることである。これにより,摩擦材表面の良好な耐むしれ性能を維持しつつ,耐摩耗性及びブレーキ効力の向上を図ることができる。その際,摩擦材の総量に対して,状黒鉛の組成割合を2.0~2.5wt%,状黒鉛の組成割合を8.0~8.5wt%,銅繊維の組成割合を4.5~6.0wt%,銅粉の組成割合を22.0~25.0wt%に設定すれば,摩擦材表面の良好な耐むしれ性能を維持しつつ,耐摩耗性及びブレーキ効力を,より一層向上させることができる。
かくして,実施例1~4の組成割合によれば,摩擦材のブレーキ効力,耐摩擦性及び耐むしれ性能の全てを充分満足させることができる。
また,実施例5~8の組成割合によれば,テスト結果から,摩擦材の耐むしれ性能については,むしれ現象「無」と判定し,ブレーキ効力及び耐摩擦性については「良」以上と判定することができた。したがって,摩擦材のブレーキ効力,耐摩擦性及び耐むしれ性能の全てを満足させることができる。
また,実施例9~15の組成割合によれば,テスト結果から,摩擦材の少なくとも耐むしれ性能については,むしれ現象「無」と判定することができ,またブレーキ効力及び耐摩擦性の一方については「良」と判定することができたが,他方については「不良」と判定した。したがって,実施例9~15の組成割合は,耐むしれ性能と,ブレーキ効力及び耐摩擦性の何れか一方とを重視する摩擦材には採用可能である。
また,比較例1~3の組成割合によれば,テスト結果から,摩擦材の耐むしれ性能が,むしれ現象「有」と判定するに至った。したがって,耐むしれ性能を重視する本発明では,これら比較例1~3の組成割合を採用することはできない。
比較例1において,ブレーキ効力が「不良」となった原因は,黒鉛量が過多であったことによる。また,耐むしれ性能が,むしれ現象「有」となった原因は,鱗状黒鉛量及び粒状黒鉛量が過多であったことによる。
比較例2において,耐摩耗性が「不良」となった原因は,黒鉛量が過小であったことによる。また,耐むしれ性能が,むしれ現象「有」となった原因は,鱗状黒鉛量及び粒状黒鉛量が過多であったことによる。
比較例3において,耐むしれ性能が,むしれ現象「有」となった原因は,結合材として,ストレートレジンを含有させたことによる。
前記表1における本発明の摩擦材の組成割合の許容範囲は,以上の結果を総合して,摩擦材の少なくとも耐むしれ性能を満足させるべく決定したものである。
而して,前記実施例1~15は本発明の請求項1の記載に対応し,前記実施例1~8は本発明の請求項2の記載に対応し,前記実施例1~4は本発明の請求項3の記載に対応する。
以上,本発明の実施形態について説明したが,本発明は上記実施形態に限定されるものではなく,特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。

Claims (3)

  1. 主成分が繊維材料,結合材,潤滑材及び摩擦調整剤である摩擦材において,
    前記結合材がアラルキル変性フェノールレジンであり,
    前記潤滑材が鱗状黒鉛及び粒状黒鉛を含み,
    この摩擦材の組成総量に対して,前記鱗状黒鉛及び前記粒状黒鉛の総量が11Wt%となる範囲内で,前記鱗状黒鉛を1.5~3.0Wt%,前記粒状黒鉛を7.0~8.5Wt%含むことを特徴とする摩擦材。
  2. 請求項1に記載の摩擦材において,
    前記粒状黒鉛の平均粒径が300~600μmであり,
    前記鱗状黒鉛の平均粒径が180~220μmであり,
    前記繊維材料は銅繊維を含み,
    前記摩擦調整剤は銅粉を含み,
    この摩擦材の組成総量に対して,前記銅繊維及び前記銅粉の総量が35.0Wt%以下となる範囲内で,前記銅繊維を4.0~7.5Wt%,前記銅粉を20.0~27.0Wt%含み,
    この摩擦材がさらに真鍮粉を含むことを特徴とする摩擦材。
  3. 請求項2に記載の摩擦材において,
    この摩擦材の総量に対して,前記粒状黒鉛を2.0~2.5wt%,前記鱗状黒鉛を8.0~8.5wt%,前記銅繊維を4.5~6.0wt%,銅粉を22.0~25.0wt%含むことを特徴とする摩擦材。
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