JP2023150634A - トナー及び二成分系現像剤 - Google Patents

トナー及び二成分系現像剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2023150634A
JP2023150634A JP2022059846A JP2022059846A JP2023150634A JP 2023150634 A JP2023150634 A JP 2023150634A JP 2022059846 A JP2022059846 A JP 2022059846A JP 2022059846 A JP2022059846 A JP 2022059846A JP 2023150634 A JP2023150634 A JP 2023150634A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
resin
mass
acid
crystalline
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022059846A
Other languages
English (en)
Inventor
武 橋本
Takeshi Hashimoto
萌 椎野
Moe Shiino
隼人 井田
Hayato Ida
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2022059846A priority Critical patent/JP2023150634A/ja
Priority to US18/189,415 priority patent/US20230314972A1/en
Priority to CN202310317708.9A priority patent/CN116893587A/zh
Priority to DE102023108126.8A priority patent/DE102023108126A1/de
Publication of JP2023150634A publication Critical patent/JP2023150634A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/0821Developers with toner particles characterised by physical parameters
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/087Binders for toner particles
    • G03G9/08784Macromolecular material not specially provided for in a single one of groups G03G9/08702 - G03G9/08775
    • G03G9/08795Macromolecular material not specially provided for in a single one of groups G03G9/08702 - G03G9/08775 characterised by their chemical properties, e.g. acidity, molecular weight, sensitivity to reactants
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/087Binders for toner particles
    • G03G9/08702Binders for toner particles comprising macromolecular compounds obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • G03G9/08726Polymers of unsaturated acids or derivatives thereof
    • G03G9/08728Polymers of esters
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/0825Developers with toner particles characterised by their structure; characterised by non-homogenuous distribution of components
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/087Binders for toner particles
    • G03G9/08742Binders for toner particles comprising macromolecular compounds obtained otherwise than by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • G03G9/08755Polyesters
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles
    • G03G9/087Binders for toner particles
    • G03G9/08784Macromolecular material not specially provided for in a single one of groups G03G9/08702 - G03G9/08775
    • G03G9/08797Macromolecular material not specially provided for in a single one of groups G03G9/08702 - G03G9/08775 characterised by their physical properties, e.g. viscosity, solubility, melting temperature, softening temperature, glass transition temperature

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】低い定着温度であっても定着性にきわめて優れ、かつ文字再現性やドット再現性に優れたトナー、及び該トナーを用いた二成分系現像剤を提供すること。【解決手段】結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、該トナーを円板状に圧縮成型した成型試料に対して行う、90℃で、該成型試料の歪みを変化させた粘弾性測定において、歪み1%における該成型試料の貯蔵弾性率G’(1)が、7500Pa~30000Paであり、歪み50%における該成型試料の貯蔵弾性率G’(50)が、950Pa~6000Paであることを特徴とするトナー。【選択図】なし

Description

本開示は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式、トナージェット方式に用いられるトナー及び該トナーを用いた二成分系現像剤に関する。
近年、電子写真方式のフルカラー複写機が広く普及するに従い、高速印刷化や省エネルギー対応への要求がさらに高まっている。特に国連において採択された「持続可能な開発目標(SDGs)のもと、COをはじめとした温室効果ガス抑制への取り組みが世界各国で行われており、省エネルギー化に対する要求はますます強くなっている。省エネルギー対応策として、定着工程での消費電力を低下させるために、トナーをより低い温度で定着させる技術が検討されている。
トナーの結着樹脂の主成分を、シャープメルト性を有する結晶性樹脂にすることで、主成分が非晶性樹脂であるトナーに比べて優れた低温定着性が得られることが知られている。そのため、シャープメルト性を有する結晶性樹脂を使用したトナーが各種提案されている。
例えば、特許文献1では、結晶性ポリエステルを主成分とするトナーや、結晶性ポリエステルと非晶性樹脂を併用したトナーが開示されている。
特開2005-266546号公報
シャープメルト性を有する結晶性樹脂を主成分とするトナーにより、従来よりも低い定着温度でトナーを定着することが可能になってきた。しかしながら、本発明者らの検討により、そのようなトナーの文字再現性やドット再現性は、従来のトナーよりも劣るという新たな課題が見つかった。
本開示は、低い定着温度であっても定着性にきわめて優れ、かつ文字再現性やドット再現性に優れたトナー、及び該トナーを用いた二成分系現像剤を提供するものである。
本開示の第一の態様は、
結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナーを円板状に圧縮成型した成型試料に対して行う、90℃で、該成型試料の歪みを変化させた粘弾性測定において、
歪み1%における該成型試料の貯蔵弾性率G’(1)が、7500Pa~30000Paであり、
歪み50%における該成型試料の貯蔵弾性率G’(50)が、950Pa~6000Paであることを特徴とするトナーに関する。
また、本開示の第二の態様は、
結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂が、結晶性樹脂を含有し、
該結晶性樹脂が、
下記式(1)で表される第一のモノマーユニットを少なくとも有し、
さらに下記式(2)で表される第二のモノマーユニットからなる群から選択される少なくとも二のモノマーユニットを有するか、又は
さらに下記式(2)で表される第二のモノマーユニット及び下記式(3)で表される第三のモノマーユニットを有する
結晶性ビニル樹脂であり、
該トナーのテトラヒドロフラン不溶分の焼却灰分の含有割合が、該トナーの質量を基準として、5質量%~30質量%であることを特徴とするトナーに関する。
Figure 2023150634000001

(式(1)中、RZ1は、水素原子又はメチル基を表し、Rは、炭素数18~36のアルキル基を表す。
式(2)中、Rは、-C≡N、
-C(=O)NHR10(R10は、水素原子若しくは炭素数1~4のアルキル基を表す。)、
ヒドロキシ基、
-COOR11(R11は、水素原子若しくは炭素数1~6のアルキル基を表す。)又は
-NH-C(=O)-N(R13(2つのR13は、それぞれ独立して、水素原子若しくは炭素数1~6のアルキル基)を表し、
は、水素原子又はメチル基を表す。
式(3)中、Xは、O又はNHを表し、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、炭素数2~6のアルキレンを表す。)
本開示によれば、低い定着温度であっても定着性にきわめて優れ、かつ文字再現性やドット再現性に優れたトナー、及び該トナーを用いた二成分系現像剤を提供することができる。
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを意味する。
数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
「モノマーユニット」とは、ポリマー中のモノマー物質の反応した形態をいう。例えば、ポリマー中のビニル系モノマーが重合した主鎖中の、炭素-炭素結合1区間を1ユニッ
トとする。ビニル系モノマーとは下記式(Z)で示すことができる。
Figure 2023150634000002

(式(Z)中、Zは、水素原子、又はアルキル基(好ましくは炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基)を表し、Zは、任意の置換基を表す。)
結晶性樹脂とは、示差走査熱量計(DSC)測定において明確な吸熱ピークを示す樹脂を指す。
以下、第一の態様のトナーに関して記載された事項と、第二の態様のトナーに関して記載された事項に関して、一方の態様のトナーに関して記載された事項を、必要に応じて他方の態様のトナーに関して記載された事項とすることができる。
本開示の第一の態様は、
結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナーを円板状に圧縮成型した成型試料に対して行う、90℃で、該成型試料の歪みを変化させた粘弾性測定において、
歪み1%における該成型試料の貯蔵弾性率G’(1)が、7500Pa~30000Paであり、
歪み50%における該成型試料の貯蔵弾性率G’(50)が、950Pa~6000Paであることを特徴とするトナーに関する。
本発明者らは、先述したトナーの文字再現性やドット再現性が、従来のトナーよりも劣る原因について以下のように考察した。
結晶性樹脂を多く含有するトナーに代表される低温定着性に優れたトナーにおいては、トナーが変形開始するために必要な温度が、従来のトナーよりも低い。そのため、用紙上に転写されたトナーが、定着工程において定着ベルトやフィルムから受ける熱と圧力により変形するよりも前に、これらの部材から受ける輻射熱などにより変形し用紙上に広がってしまう。その結果、文字再現性やドット再現性が低下してしまうと考えた。
この現象を抑制するためには、定着工程において熱だけでは変形せず、熱とともに圧力を受けてはじめて変形するような特性をトナーに持たせることが必要であると考えた。
本発明者らは、まず、優れた低温定着性を有するにもかかわらず文字やドットの再現性が低下するトナーの定着時における温度が90℃前後であることを突き止めた。これをもとに、90℃における特性をさまざまに変化させたトナーの検討を鋭意行い、本開示を見出すに至った。
第一の態様のトナーは、トナーを円板状に圧縮成型した成型試料に対して行う、90℃で、該成型試料の歪みを変化させた粘弾性測定において、歪み1%における成型試料の貯蔵弾性率G’(1)が、7500Pa~30000Paであり、歪み50%における成型試料の貯蔵弾性率G’(50)が、950Pa~6000Paである。
ここで、成型試料に印加する応力が0Paのときの成型試料の歪みを0%とする。成型試料の粘弾性測定によって得られる貯蔵弾性率は、後述の通りトナーの弾性率に対応する。
また、後述の成型試料の歪みを変化させた粘弾性測定において、歪みの値を設定することができる。
歪み1%における成型試料の貯蔵弾性率G’(1)は、トナーが定着工程においてほとんど圧力を受けていないときの、トナーの弾性率に対応していると考えられる。
G’(1)が7500Pa~30000Paの範囲であることで、文字やドットの再現性が良好となる。好ましくは8200Pa~28000Paであり、より好ましくは10000Pa~27000Paであり、さらに好ましくは13000Pa~26000Paであり、特に好ましくは15000Pa~25000Paである。
G’(1)が7500Pa未満であると、トナーが熱のみで変形しやすくなり、文字再現性やドット再現性が低下する。一方、G’(1)が30000Paを超えると後述するG’(50)が本開示の範囲に入ることが困難になり、特に低温定着性が低下する。
歪み50%における成型試料の貯蔵弾性率G’(50)は、トナーが定着工程において熱と圧力を受けたときのトナーの硬さに対応していると考えられる。本発明者らの検討によれば、定着前後で用紙上のトナー層の厚みは約半分となることがわかっているため、歪み50%で測定した成型試料の貯蔵弾性率G’(50)の数値が重要となる。
G’(50)が950Pa~6000Paの範囲であると、優れた低温定着性を発現することができる。好ましくは1000Pa~5500Paであり、より好ましくは1500Pa~4000Paであり、1800Pa~3000Paであることが特に好ましい。
G’(50)が950Pa未満であると、定着工程においてトナーに熱と圧力がかかった際に貯蔵弾性率が小さくなりすぎるため、ホットオフセット性が低下する。一方、G’(50)が6000Paを超えると、低温定着性が低下する。
貯蔵弾性率の測定方法については後述する。
上記のような貯蔵弾性率G’(1)及びG’(50)を達成するトナー構成について説明する。
使用する結着樹脂を適宜選択することで、G’(1)又はG’(50)を上記の範囲とすることができる。結着樹脂を選択する基準としては、例えば、非晶性樹脂を主成分とする結着樹脂であれば、その分子量やガラス転移温度、軟化点、非晶性樹脂を構成するモノマーを適宜選択することがあげられる。また、結晶性樹脂を主成分とする結着樹脂であれば、その融点、分子量、軟化点、結着樹脂を構成するモノマーを適宜選択することがあげられる。
また、トナーの貯蔵弾性率を調整する他の手段を用いて、成型試料の貯蔵弾性率G’(1)又はG’(50)を調整することも可能である。
他の手段としては特に限定されるものではないが、例えば、非晶性樹脂を主成分とする結着樹脂に対し、可塑効果を有する結晶性樹脂や可塑剤を添加することで貯蔵弾性率を減少させるという手段や、フィラー効果を有する微粒子や化合物を添加して貯蔵弾性率を増加させるという手段などが挙げられる。
しかしながら、上記の手段のみではG’(1)及びG’(50)を上記の範囲とすることは難しい。
一般に、歪みを変えて粘弾性を測定すると、歪みが大きくなるにつれて貯蔵弾性率はほぼ同じ値を示すか、やや低下する傾向がある。本発明者らの検討によると、公知技術によるトナー構成において、G’(50)はG’(1)に比べ最大でも1割程度しか低下しない。つまり、単に前述した手段を用いてG’(1)又はG’(50)の一方を上記の範囲に制御したとしても、他方の貯蔵弾性率を満足することができるわけではない。
そこで、本発明者らは、歪みの大きさにより貯蔵弾性率が大きく変化するようなトナー特性を付与することに想到し、鋭意検討を行った。
その結果、例えば、結着樹脂のモノマーとして適切なものを選択する手段や、トナー粒子中に複数種のフィラー成分を含有させる手段、これらの手段を組み合わせた手段によって、歪みの大きさにより貯蔵弾性率が大きく変化するようなトナー特性を付与できること
を見出した。その結果、G’(1)及びG’(50)を上記の範囲とすることができた。
より具体的には、結着樹脂として特定のモノマーユニットを有する結晶性樹脂を使用し、無機微粒子のフィラー成分やサブミクロンの粒子径を有する有機顔料のフィラー成分と、結着樹脂のゲル成分を併用することで、歪みの大きさにより貯蔵弾性率が大きく変化しやすいことがわかった。
トナーは、トナー粒子を有する。また、トナー粒子は、結着樹脂を含有する。
結着樹脂は、結晶性樹脂を含有することが好ましい。結着樹脂の結晶性樹脂の含有割合は特に限定されないが、35質量%~75質量%であることが好ましく、40質量%~70質量%であることがより好ましく、50質量%~60質量%であることが好ましい。
結晶性樹脂としては、公知の結晶性樹脂を用いることができる。例えば、結晶性ポリエステル、結晶性ビニル樹脂、結晶性ポリウレタン、及び結晶性ポリウレアが挙げられる。また、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メチルアクリレート共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体などのエチレン共重合体等も挙げられる。
中でも、低温定着性の観点から、結晶性ポリエステル樹脂や結晶性ビニル樹脂が好ましい。高温高湿環境における帯電安定性の観点から、結晶性ビニル樹脂を用いることがさらに好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数2以上22以下の脂肪族ジオールと、炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸とを主成分として含む単量体組成物の縮重合物であることが好ましい。主成分とはその含有割合が単量体組成物の50質量%以上であることをいう。より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
炭素数2以上22以下(より好ましくは炭素数6以上12以下)の脂肪族ジオールとしては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジオールであることが好ましく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-ブタジエングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ノナメチレングリコール、デカメチレングリコール、ドデカメチレングリコ-ル、ネオペンチルグリコールが挙げられる。これらの中でも、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール及び1,12-ドデカンジオールが好ましく例示される。
また、上記脂肪族ジオール以外の多価アルコール単量体を用いることもできる。該多価アルコール単量体のうち2価アルコール単量体としては、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールAなどの芳香族アルコール;1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
また、該多価アルコール単量体のうち3価以上の多価アルコール単量体を用いることが好ましい。通常、結晶性ポリエステルは主鎖の末端にヒドロキシ基又はカルボキシ基を有するが、これらの3価以上の多価アルコール単量体を用いることで、ポリエステル主鎖に直接結合していないヒドロキシ基を有する結晶性ポリエステル樹脂を得やすくなる。このような結晶性ポリエステル樹脂を使用することで、本開示の第一の態様の物性を満たしやすい結着樹脂が得られやすくなる。
該多価アルコール単量体のうち3価以上の多価アルコール単量体としては、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼンなどの芳香族アルコール;ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセリン、2-メチルプロパントリオール、2-メチル
-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの脂肪族アルコール等が挙げられる。
さらに、結晶性ポリエステル樹脂の特性を損なわない程度に1価のアルコ-ルを用いてもよい。該1価のアルコールとしては、例えばn-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、n-ヘキサノール、n-オクタノール、ラウリルアルコール、2-エチルヘキサノール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ドデシルアルコールなどの1官能性アルコールなどが挙げられる。
一方、炭素数2以上22以下(より好ましくは炭素数6以上12以下)の脂肪族ジカルボン酸化合物としては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。具体例としてはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,11-ウンデカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸が挙げられ、これらの酸無水物又は低級アルキルエステルを加水分解したものなども含まれる。より好ましくは、アジピン酸、セバシン酸、1,10-デカンジカルボン酸が挙げられる。
上記炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸化合物以外の多価カルボン酸(以下、その他の多価カルボン酸ともいう。)を用いることもできる。
その他の多価カルボン酸単量体のうち、2価のカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族カルボン酸;n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸の脂肪族カルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸が挙げられ、これらの酸無水物又は低級アルキルエステルなども含まれる。
また、その他のカルボン酸単量体のうち、3価以上の多価カルボン酸としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸などの芳香族カルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシ-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、などの脂肪族カルボン酸が挙げられ、これらの酸無水物又は低級アルキルエステルなどの誘導体等も含まれる。
また、該多価カルボン酸単量体のうち3価以上の多価カルボン酸単量体を用いることが好ましい。通常、結晶性ポリエステルは主鎖の末端にヒドロキシ基又はカルボキシ基を有するが、これらの3価以上の多価カルボン酸単量体を用いることで、ポリエステル主鎖に直接結合していないカルボキシ基を有する結晶性ポリエステル樹脂を得やすくなる。このような結晶性ポリエステル樹脂を使用することで、本開示の第一の態様の物性を満たしやすい結着樹脂が得られやすくなる。
さらに、結晶性ポリエステル樹脂の特性を損なわない程度に1価のカルボン酸を含有していてもよい。1価のカルボン酸としては、例えば安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4-メチル安息香酸、3-メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸などのモノカルボン酸が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂は、通常のポリエステル合成法に従って製造することができる。例えば、前記したカルボン酸単量体とアルコール単量体とをエステル化反応、又はエステル交換反応せしめた後、減圧下又は窒素ガスを導入して常法に従って縮重合反応させることで所望の結晶性ポリエステル樹脂を得ることができる。
上記エステル化又はエステル交換反応は、必要に応じて硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウムなどの通常のエステル化触媒又
はエステル交換触媒を用いて行うことができる。
また、上記縮重合反応は、通常の重合触媒、例えばチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなど公知の触媒を使用して行うことができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、適宜に決めればよい。
エステル化若しくはエステル交換反応又は縮重合反応において、得られる結晶性ポリエステル樹脂の強度を上げるために全単量体を一括仕込みしたり、低分子量成分を少なくするために2価の単量体をまず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させたりするなどの方法を用いてもよい。
結晶性樹脂は、結晶性ビニル樹脂であることがより好ましく、下記式(1)で表される第一のモノマーユニット(以下、単に第一のモノマーユニットともいう。)を有することがさらに好ましい。
また、結晶性ビニル樹脂中の第一のモノマーユニットの含有割合が、20.0質量%~100.0質量%であると、ビニル樹脂が結晶性を有し、低温定着性及び耐ホットオフセット性を両立しやすいことから好ましい。
Figure 2023150634000003

式(1)中、RZ1は、水素原子又はメチル基を表し、Rは、炭素数18~36のアルキル基を表す。Rは炭素数18~30のアルキル基であることが好ましい。また、アルキル基は直鎖構造であることが好ましい。
第一のモノマーユニットは、側鎖にRで示される炭素数18~36のアルキル基を有しており、この部分があることで、結晶性ビニル樹脂は結晶性を発現しやすい。
結晶性ビニル樹脂中の第一のモノマーユニットの含有割合が、20.0質量%未満である場合、結晶性が発現しにくく、低温定着性が低下しやすい。結晶性ビニル樹脂中の第一のモノマーユニットの含有割合は、40.0質量%以上であることが好ましく、50.0質量%以上であることがより好ましい。上限は特に限定はないが、後述する他のモノマーユニットを含有する場合、90.0質量%以下が好ましく、80.0質量%以下がさらに好ましい。
また、結晶性ビニル樹脂は、側鎖に結晶性を有する構造をとるためか、従来からよく知られている結晶性樹脂である結晶性ポリエステルと比較し、高温高湿環境における帯電維持性に優れている。
第一のモノマーユニットは、炭素数18~36のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一(第一の重合性単量体)によるモノマーユニットであることが好ましい。
炭素数18~36のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、炭素数18~36の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)
アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ヘンエイコサニル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸リグノセリル、(メタ)アクリル酸セリル、(メタ)アクリル酸オクタコシル、(メタ)アクリル酸ミリシル、(メタ)アクリル酸ドトリアコンチルなど]及び炭素数18~36の分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸2-デシルテトラデシルなど]が挙げられる。
これらの内、トナーの低温定着性の観点から、炭素数18~36の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一が好ましい。より好ましくは、炭素数18~30の直鎖のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一である。さらに好ましくは、直鎖の(メタ)アクリル酸ステアリル及び(メタ)アクリル酸ベヘニルからなる群から選択される少なくとも一である。
第一のモノマーユニットを形成するモノマーは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
結晶性ビニル樹脂は。第一のモノマーユニット以外のその他のモノマーユニットを含有してもよい。
第一のモノマーユニット以外のその他のモノマーユニットを形成する重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。また、その他のモノマーユニットを形成する重合性単量体は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
第一のモノマーユニット以外のその他のモノマーユニットは、下記式(2)で表される第二のモノマーユニット(以下、単に第二のモノマーユニットともいう。)、下記式(3)で表される第三のモノマーユニット(以下、単に第三のモノマーユニットともいう。)並びに第一、第二及び第三のモノマーユニット以外のモノマーユニットに大別される。
Figure 2023150634000004

式(2)中、Rは、-C≡N、
-C(=O)NHR10(R10は、水素原子若しくは炭素数1~4のアルキル基を表す。)、
ヒドロキシ基、
-COOR11(R11は、水素原子若しくは炭素数1~6のアルキル基を表す。)又は
-NH-C(=O)-N(R13(2つのR13は、それぞれ独立して、水素原子若しくは炭素数1~6のアルキル基)を表し、
は、水素原子又はメチル基を表す。
式(3)中、Xは、O又はNHを表し、Rは、水素原子又はメチル基を表し、R
、炭素数2~6のアルキレンを表す。
第二のモノマーユニットは、結晶性ビニル樹脂の主鎖に直接結合した極性基を有する。第二のモノマーユニットを形成する重合性単量体の例としては、以下の重合性単量体が挙げられる。
ニトリル基を有する単量体;例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど。
ヒドロキシ基を有する単量体;例えば、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピルなど。
アミド基を有する単量体;例えば、アクリルアミド、炭素数1~30のアミンとエチレン性不飽和結合を有する炭素数2~30のカルボン酸(アクリル酸及びメタクリル酸など)を公知の方法で反応させた単量体。
ウレア基を有する単量体:例えば、炭素数3~22のアミン[1級アミン(ノルマルブチルアミン、t-ブチルアミン、プロピルアミン及びイソプロピルアミンなど)、2級アミン(ジノルマルエチルアミン、ジノルマルプロピルアミン、ジノルマルブチルアミンなど)、アニリン及びシクロキシルアミンなど]と、エチレン性不飽和結合を有する炭素数2~30のイソシアネートとを公知の方法で反応させた単量体など。
カルボキシ基を有する単量体;例えば、メタクリル酸、アクリル酸、(メタ)アクリル酸-2-カルボキシエチル。
ビニルエステル類;例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、及びオクチル酸ビニル。
第三のモノマーユニットは、主鎖から離れた位置に極性を有するヒドロキシ基が存在する。第三のモノマーユニットを形成する重合性単量体の例としては、以下の重合性単量体が挙げられる。
(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルアミド、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルアミド。
第一、第二及び第三のモノマーユニット以外のモノマーユニットを形成する重合性単量体の例としては、以下の重合性単量体が挙げられる。
スチレン、o-メチルスチレンなどのスチレン及びその誘導体、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸-t-ブチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステル類。
エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンのような不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンのような不飽和ポリエン類。
芳香族ジビニル化合物;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類;ポリエステル型ジアクリレート類;多官能の架橋剤。該芳香族ジビニル化合物としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなど。
該アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオー
ルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものなど。
第一、第二及び第三のモノマーユニット以外のモノマーユニットを形成する重合性単量体としては、スチレンが高温高湿下での帯電安定性が向上しやすいため好ましい。
第一のモノマーユニット以外のその他のモノマーユニットを形成する重合性単量体としては、ニトリル基、アミド基、ウレタン基又はウレア基を有する単量体を使用することが好ましい。より好ましくは、ニトリル基、アミド基、ウレタン基、及びウレア基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体である。これらの単量体を用いると、低湿環境での帯電の立ち上がり性がより向上する。
結晶性樹脂は、第二のモノマーユニットを有することが好ましく、第二のモノマーユニットから選択される少なくとも二のモノマーユニットを有するか、第二のモノマーユニット及び第三のモノマーユニットを有することがより好ましく、第二のモノマーユニット及び第三のモノマーユニットを有することがさらに好ましい。これらの場合には、第二のモノマーユニットを形成する重合性単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも一が好ましく、第三のモノマーユニットを形成する重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピルからなる群から選ばれる少なくとも一が好ましい。第二のモノマーユニットを形成する重合性単量体としては、アクリロニトリル、メタクリニトリルからなる群から選ばれる少なくとも一がさらに好ましい。
このような重合性単量体の併用によって、文字再現性、ドット再現性及び低温定着性を高いレベルで両立することが可能となる。
エチレン性不飽和結合に直接ニトリル基やカルボキシ基が結合した単量体としては、アクリロニトリル又はメタクリロニトリルがより好ましい。
このような構成にすることで、結晶性ビニル樹脂の主鎖に直接結合したニトリル基又はカルボキシ基といった極性基を有するモノマーユニット(第二のモノマーユニット)と、結晶性ビニル樹脂の主鎖に直接結合していないヒドロキシ基を有するモノマーユニット(第三のモノマーユニット)が樹脂の中で共存することになる。
トナー溶融時においては、結晶性ビニル樹脂中の極性基同士が電気双極子相互作用することによって、極性基を有しない樹脂に比べ、トナーの粘度や弾性率が増加する。
第二のモノマーユニットは、分子運動性に大きく寄与する主鎖に、極性を有する官能基が直接結合している。そのため、トナー溶融後において、結晶性ビニル樹脂の主鎖に直接結合した極性基を有しない樹脂と比べ、貯蔵弾性率が高くなる。
一方、第三のモノマーユニットは、主鎖から離れた位置に極性を有するヒドロキシ基が存在する。そのため、トナー溶融後においては、結晶性ビニル樹脂の主鎖に直接結合した極性基を有する樹脂と比べ、貯蔵弾性率は高くなりにくい。
第二のモノマーユニットと第三のモノマーユニットが共存する場合、トナーの歪みが小さいときには、第三のモノマーユニットが有する極性基の一部は、第二のモノマーユニットが有する極性基と相互作用していると考えられる。その結果、第二のモノマーユニットにおける主鎖に直接結合した極性基の作用が強く貯蔵弾性率が高くなる。
さらに定着部材から圧力を受けると第三のモノマーユニットの極性基と、第二のモノマーユニットの極性基の相互作用が小さくなり、分子運動性が増大するため、トナーが低粘度化すると考えられる。すなわち、熱のみを受けているときと、熱とともに外力を受けているときとで、貯蔵弾性率を大きく変化させることができる。
結晶性ビニル樹脂がビニル系樹脂である場合、例示した重合性単量体と重合開始剤を用いて製造することができる。該重合開始剤は、効率の観点から、重合性単量体100.00質量部に対して、0.05質量部以上10.00質量部以下で用いるとよい。
該重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。
2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、ジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレート、1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)、2-カーバモイルアゾイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、2-フェニルアゾ-2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドのようなケトンパーオキサイド類、2,2-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ブタン、tert-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、tert-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’-ビス(tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m-トリオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロビルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3-メチル-3-メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシアセテート、tert-ブチルパーオキシイソブチレート、tert-ブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシラウレート、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ-tert-ブチルパーオキシイソフタレート、tert-ブチルパーオキシアリルカーボネート、tert-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-tert-ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ-tert-ブチルパーオキシアゼレート。
本開示の結着樹脂として使用される結晶性樹脂は、帯電安定性の観点で、酸価が0mgKOH/g~100mgKOH/gであることが好ましく、10mgKOH/g~60mgKOH/gであることがより好ましく、15mgKOH/g~50mgKOH/gであることがさらに好ましく、20mgKOH/g~30mgKOH/gであることが特に好ましい。
同様に、水酸基価は0mgKOH/g~100mgKOH/gであることが好ましく、10mgKOH/g~75mgKOH/gであることがより好ましく、15mgKOH/g~70mgKOH/gであることがさらに好ましく、18mgKOH/g~60mgKOH/gであることが特に好ましい。
第一の態様のトナーにおいて、結着樹脂としてさらに非晶性樹脂を含有することが好ましい。結着樹脂の非晶性樹脂の含有割合は特に限定されないが、25質量%~65質量%であることが好ましく、30質量%~60質量%であることがより好ましく、40質量%~50質量%であることがさらに好ましい。
非晶性樹脂としては、公知の非晶性樹脂を用いることができる。例えば、以下のものが挙げられる。
ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイ
ン酸樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン-インデン樹脂、石油系樹脂、ビニル系樹脂。
これらの中でも、ビニル系樹脂とポリエステル樹脂が結合したハイブリッド樹脂、ポリエステル樹脂及びビニル系樹脂からなる群より選択される少なくとも一の樹脂を含有することが好ましい。
さらに好ましくは非晶性ポリエステル樹脂である。非晶性ポリエステル樹脂を用いることで、貯蔵弾性率G’(1)の値を大きくすることが容易となる。その結果、G’(1)とG’(50)とを上記の範囲とすることができる。その結果、ホットオフセット性、低温定着性及びドット再現性を高いレベルで両立しやすくなる。
非晶性ポリエステル樹脂としては、通常トナーに使用されるポリエステル樹脂を好適に用いることができる。該ポリエステル樹脂に用いられるモノマーとしては、多価アルコール(2価又は3価以上のアルコール)と、多価カルボン酸(2価又は3価以上のカルボン酸)、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとが挙げられる。
該多価アルコールとしては、以下のものが挙げられる。
2価アルコールとして、以下のビスフェノール誘導体が挙げられる。
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)-ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンなど。
その他の多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセリン、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
これらの多価アルコールは、単独であるいは複数を併用して用いることができる。
該多価カルボン酸としては、以下のものが挙げられる。
2価のカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、n-ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n-ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n-オクテニルコハク酸、n-オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物及びこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、n-ドデセニルコハク酸、アジピン酸が好ましく用いられる。
特に、結晶性樹脂として前述した結晶性ビニル樹脂を使用する場合、2価のカルボン酸として、n-ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n-オクテニルコハク酸、イソオクテニルコハク酸などのアルケニルコハク酸を用いることが好ましい。アルケニル
コハク酸を用いることで、非晶性樹脂が、アルケニルコハク酸によるのモノマーユニットを含有することができる。アルケニルコハク酸によるのモノマーユニットはアルケニル基を有するため、結晶性ビニル樹脂の炭素数18~30の長鎖アルキルユニットと相互作用しやすい。この相互作用は、極性基同士の相互作用よりも小さい。そのため、トナーの歪みが小さいときには、この相互作用によりフィラー効果を発現しやすいが、トナーの歪みが大きいときにはこの相互作用が働きにくくなるため、フィラー効果を発現しにくい。それにより、G’(1)とG’(50)とを上記の範囲とすることができる。
3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとしては、以下のものが挙げられる。
1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシ-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸無水物又はこれらの低級アルキルエステル。
これらのうち、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)又はその酸無水物などの誘導体が安価で、反応制御が容易であるため、好ましく用いられる。
これらの多価カルボン酸は、単独であるいは複数を併用して用いることができる。
ポリエステル樹脂の製造方法については、特に制限されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、前述の多価アルコール及び多価カルボン酸を同時に仕込み、エステル化反応又はエステル交換反応、及び縮合反応を経て重合し、ポリエステル樹脂を製造する。また、重合温度は、特に制限されないが、180℃以上290℃以下の範囲が好ましい。ポリエステル樹脂の重合に際しては、例えば、チタン系触媒、スズ系触媒、酢酸亜鉛、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなどの重合触媒を用いることができる。
該非晶性樹脂に用いるポリエステル樹脂は、チタン系触媒及びスズ系触媒の少なくとも一方を使用して縮重合されたものが好ましい。
非晶性樹脂として使用するビニル樹脂は、例えば、エチレン性不飽和結合を含む重合性単量体の重合体が挙げられる。エチレン性不飽和結合とは、ラジカル重合することが可能な炭素-炭素二重結合を指し、例えば、ビニル基、プロペニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。
重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。
スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-フェニルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、p-メトキシスチレン、p-クロルスチレン、3,4-ジクロルスチレン、m-ニトロスチレン、o-ニトロスチレン、p-ニトロスチレンなどのスチレン系単量体;
アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸-n-オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸-2-クロルエチル、アクリル酸フェニルのようなアクリル酸及びアクリル酸エステル類などのアクリル酸エステル類;
メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸-n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-n-オクチル、メタ
クリル酸ドデシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルのようなα-メチレン脂肪族モノカルボン酸及びそのエステル類;
また、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなど。
さらに、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸エステル類、4-(1-ヒドロキシ-1-メチルブチル)スチレン、4-(1-ヒドロキシ-1-メチルヘキシル)スチレンのようなヒドロキシ基を有する重合性単量体。これらは単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。
中でも、アクリル酸-n-オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸-n-オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリルといった、アクリル酸又はメタクリル酸と炭素数6~22のアルコールとの縮合物である単量体を使用することが好ましい。
これらの単量体は、結晶性ビニル樹脂の炭素数18~30の長鎖アルキルユニットと相互作用しやすい。この相互作用は極性基同士の相互作用よりも小さい。そのため、トナーの歪みが小さいときには、相互作用によりフィラー効果を発現しやすいが、トナーの歪みが大きいときにはこの相互作用が働きにくくなるため、フィラー効果を発現しにくい。それにより、G’(1)とG’(50)とを上記の範囲とすることができる。
ビニル樹脂には、上記以外に、ビニル重合が可能な種々の重合性単量体を必要に応じて併用してもよい。
該重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。
エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンのような不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンのような不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルのようなハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニルのようなビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンのようなビニルケトン類;N-ビニルピロール、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルインドール、N-ビニルピロリドンのようなN-ビニル化合物;ビニルナフタリン類;マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸のような不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物のような不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルのような不飽和塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸のような不飽和塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸のようなα,β-不飽和酸の酸無水物;該α,β-不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルのようなカルボキシ基を有する重合性単量体。
また、ビニル樹脂は、必要に応じて以下に例示するような架橋性重合性単量体で架橋された重合体であってもよい。
該架橋性重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。
芳香族ジビニル化合物;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類;芳香族基及びエーテル結合を含む
鎖で結ばれたジアクリレート化合物類;ポリエステル型ジアクリレート類;多官能の架橋剤。
該芳香族ジビニル化合物としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどが挙げられる。
アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものなどが挙げられる。
ビニル樹脂は、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-フェニルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、p-メトキシスチレン、p-クロルスチレン、3,4-ジクロルスチレン、m-ニトロスチレン、o-ニトロスチレン、p-ニトロスチレン、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸-n-オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸-2-クロルエチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸-n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-n-オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-(1-ヒドロキシ-1-メチルブチル)スチレン、及び4-(1-ヒドロキシ-1-メチルヘキシル)スチレンからなる群より選ばれた少なくとも一を含む重合性単量体の重合体であることが好ましい。
また、ビニル樹脂は、当該群より選ばれた少なくとも一の重合性単量体、及び、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,5-ペンタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、及びネオペンチルグリコールジメタクリレートからなる群より選ばれた少なくとも一の架橋性重合性単量体、を含む単量体の共重合体であってもよい。単量体中の架橋性重合体の含有割合は、0.5質量%~5.0質量%程度にするとよい。
ビニル樹脂は、重合開始剤を用いて製造された樹脂であってもよい。該重合開始剤は、効率の観点から、重合性単量体100.00質量部に対して、0.05質量部以上10.00質量部以下で用いるとよい。該重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。
2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、ジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレート、1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)、2-カーバモイルアゾイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン
)、2-フェニルアゾ-2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドのようなケトンパーオキサイド類、2,2-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ブタン、tert-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、tert-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’-ビス(tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m-トリオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロビルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3-メチル-3-メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシアセテート、tert-ブチルパーオキシイソブチレート、tert-ブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシラウレート、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ-tert-ブチルパーオキシイソフタレート、tert-ブチルパーオキシアリルカーボネート、tert-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-tert-ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ-tert-ブチルパーオキシアゼレート。
ビニル樹脂とポリエステル樹脂が結合したハイブリッド樹脂を形成するのに使用されるビニル樹脂及びポリエステル樹脂としては、前述した非晶性樹脂として使用するビニル樹脂及びポリエステル樹脂と同様のものを使用することができる。
ビニル系樹脂とポリエステル樹脂が結合したハイブリッド樹脂を製造する方法としては、例えば、両樹脂を生成するモノマーのいずれとも反応しうる化合物(以下「両反応性化合物」という)を用いて重合する方法が挙げられる。
両反応性化合物としては、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸、シトラコン酸、マレイン酸、及びフマル酸ジメチルなどの化合物が挙げられる。これらのうち、フマル酸、アクリル酸、及びメタクリル酸が好ましく用いられる。
ビニル樹脂とポリエステル樹脂が結合したハイブリッド樹脂を用いた場合、該ハイブリッド樹脂中のビニル樹脂の含有割合は、10質量%以上、20質量%以上、40質量%以上、60質量%以上、80質量%以上であることが好ましく、100質量%以下、90質量%以下であることが好ましい。
本開示の結着樹脂として使用される非晶性樹脂は、帯電安定性の観点で、酸価が0mgKOH/g~100mgKOH/gであることが好ましく、10mgKOH/g~60mgKOH/gであることがより好ましく、15mgKOH/g~50mgKOH/gであることがさらに好ましく、20mgKOH/g~30mgKOH/gであることが特に好ましい。
同様に、水酸基価は0mgKOH/g~100mgKOH/gであることが好ましく、10mgKOH/g~75mgKOH/gであることがより好ましく、15mgKOH/g~70mgKOH/gであることがさらに好ましく、18mgKOH/g~60mgKOH/gであることが特に好ましい。
結着樹脂のテトラヒドロフラン(THF)不溶分の含有割合は、結着樹脂の質量を基準
として、0.1質量%~60.0質量%であることが好ましい。結着樹脂のTHF不溶分は、無機微粒子などのTHF不溶分に比べ柔らかく、低温定着性への悪影響が小さいため好ましく用いられる。結着樹脂のTHF不溶分の含有割合が前述の範囲であることで、文字再現性やドット再現性に優れたトナーとなりやすい。好ましくは1.0質量%~50.0質量%であり、より好ましくは1.0質量%~40.0質量%であり、さらに好ましくは5.0質量%~30.0質量%である。THF不溶分は、結晶性樹脂のものでもよいし、非晶性樹脂のものでもよい。ホットオフセット性の観点からは、非晶性樹脂のものであることが好ましい。結着樹脂のTHF不溶分の含有割合は、例えば、ポリエステル樹脂であれば、3価以上のアルコールや酸を使用する方法や、不飽和ポリエステルを合成したのちに重合開始剤で架橋を行うなどの方法で制御することができる。ビニル樹脂であれば、先述した架橋性単量体を使用するなどの方法で制御することができる。
結着樹脂のTHF不溶分の量及び含有割合の測定方法は後述する。
トナーは、トナー粒子が含有する結着樹脂が、結晶性樹脂を含有し、トナーを試料とする示差走査熱量測定(DSC)において、1回目の昇温における、結晶性樹脂に対応する吸熱ピークのピーク温度が、50℃~70℃であり、吸熱ピークの吸熱量ΔH(J/g)が、ΔH≧5を満たすことが好ましい。吸熱ピークのピーク温度は、55℃~65℃であることがより好ましい。吸熱ピークの吸熱量ΔHは、ΔH≧7を満たすことがより好ましく、ΔH≧10を満たすことがさらに好ましい。
1回目の昇温における、結晶性樹脂に対応する吸熱ピークのピーク温度が、50℃~70℃であり、吸熱ピークの吸熱量が、ΔH≧5を満たすことは、トナー粒子中の結晶性樹脂成分が多いことを示す。その結果、トナーがシャープメルト性を有し、低温定着性が向上するため好ましい。また、歪み50%における貯蔵弾性率G’(50)の値を小さくすることができるため好ましい。
また、結晶性樹脂に対応する吸熱ピークのピーク温度や、吸熱ピークの吸熱量は、結晶性樹脂の原料として用いるモノマーの種類を変更することによって、適宜調整することができる。
トナーのテトラヒドロフラン(THF)不溶分の含有割合が、トナーの質量を基準として、12質量%~60質量%であることが好ましく、13質量%~55質量%であることがより好ましく、15質量%~50質量%であることがさらに好ましく、18質量%~45質量%であることが特に好ましい。トナーのTHF不溶分の量及び含有割合の測定方法は後述する。
後述の方法で得られるトナーのTHF不溶分には、トナーの着色剤として含有される無機顔料や有機顔料、トナー粒子中に含有される微粒子、外添剤として使用される微粒子、結着樹脂に含まれるTHF不溶分が含まれる。そのため、これらの含有量を調整することで、トナーのTHF不溶分の含有割合を調整することができる。
トナーのTHF不溶分の含有割合が上記範囲であると、トナーのTHF不溶分のうち、有機成分も多くなる。有機成分は、結着樹脂との相互作用が強い。その結果、結着樹脂に結晶性樹脂を使用した場合においても、トナーの貯蔵弾性率を増加させることが容易となり、G’(1)とG’(50)とを上記の範囲とすることができる。
トナーのテトラヒドロフラン(THF)不溶分の焼却灰分(以下、単に焼却灰分ともいう。)の含有割合が、トナーの質量を基準として、5質量%~30質量%であることが好ましく、6質量%~23質量%であることがより好ましく、8質量%~20質量%であることがさらに好ましい。焼却灰分の含有割合の測定方法は後述する。
後述の方法で得られるトナーのTHF不溶分の焼却灰分である固形分は、トナーの着色剤として含有される無機顔料や有機顔料、外添剤として使用される微粒子、及び結着樹脂のTHF不溶分に含まれる無機成分である。そのため、これらの含有量を調整することで、焼却灰分の含有割合を調整することができる。
無機成分は、トナー溶融時において樹脂との相互作用が有機成分に比べ小さい。そのため、トナーが大きい歪みを受けた際のフィラー効果が小さくなる。その結果、トナーの歪みを変えて測定した貯蔵弾性率の変化が大きくなりやすくなり、G’(1)とG’(50)とを上記の範囲とすることができる。
トナーのテトラヒドロフラン(THF)不溶分の焼却灰分の含有割合が、トナーのTHF不溶分の含有割合を基準として、24質量%~85質量%であることが好ましく、26質量%~77質量%であることがより好ましく、30質量%~70質量%であることがさらに好ましく、35質量%~65質量%であることが特に好ましい。
上述の通り、トナーのTHF不溶分の含有割合に対する焼却灰分の含有割合は、トナーのTHF不溶分中の無機成分の割合を示す。逆に、トナーのTHF不溶分のうち焼却灰分を除いた成分は、有機成分とみなせる。トナーのTHF不溶分中の有機成分も、無機成分と同様、トナー溶融時にフィラーとして作用する。しかし、トナーのTHF不溶分中の有機成分は、結着樹脂との相互作用が強いため、低歪み時においてフィラー効果を無機成分よりも強く発現させる。
すなわち、トナーのTHF不溶分の含有割合に対する焼却灰分の含有割合を上記範囲とすることで、低歪み時に強くフィラー効果を発揮する有機成分と、高歪み時のフィラー効果が小さい無機の焼却灰分とを組み合わせることができる。その結果、G’(1)とG’(50)とを上記の範囲とすることができる。
トナーに含まれる結着樹脂が、結晶性樹脂及び非晶性樹脂を含有し、透過型電子顕微鏡によるトナー粒子の断面観察において、結晶性樹脂を含むマトリクスと、非晶性樹脂を含むドメインとで構成されるドメインマトリクス構造を有していることが好ましい。
マトリクス中に結晶性樹脂を含むことで優れた低温定着性を示す。また、ドメイン中に非晶性樹脂を含むことで非晶性樹脂のドメインがフィラーとして作用する。トナー粒子がドメインマトリクス構造を有していることにより、歪みに応じて貯蔵弾性率の変化を引き起こしやすくなる。その結果、低温定着性、文字再現性及びドット再現性に優れたトナーとすることができる。
結晶性樹脂と非晶性樹脂の組成を適宜変更することで、トナー粒子がドメインマトリクス構造を有することができる。
さらに、ドメインの個数平均径は、0.05μm~3.00μmであることが好ましく、0.10μm~2.00μmであることがより好ましく、0.10μm~1.00μmであることがさらに好ましい。ドメインの個数平均径が上記の範囲であると、トナー溶融時に非晶性樹脂がフィラーとして作用しやすく、歪みに応じて貯蔵弾性率の変化を引き起こしやすくなるため好ましい。その結果、低温定着性、文字再現性及びドット再現性に優れたトナーとすることができる。
ドメインの個数平均径は、結晶性樹脂を構成するモノマーの組成、非晶性樹脂を構成するモノマーの組成、トナー粒子の製造条件などにより制御することが可能である。
トナー粒子の断面観察において、トナー粒子の断面の面積に対するドメインの面積の割合(以下、単にドメインの面積率ともいう)が、15%~80%であることが好ましく、20%~70%であることがより好ましく、30%~65%であることがさらに好ましく、38%~61%であることが特に好ましい。
90℃で、成型試料の歪みを変化させた粘弾性測定において、歪み1%における成型試料の貯蔵弾性率G’(1)と、歪み1%における成型試料の損失弾性率G”(1)が、G’(1)>G”(1)を満たすことが好ましい。
G’(1)>G”(1)を満たすことは、成型試料の粘弾性測定において歪みが小さいときに弾性項が粘性項よりも大きいことを示し、トナーが弾性的な挙動をすることを意味
している。そのため、定着工程において大きな圧力が印加される前の段階で変形が少なくなり、文字やドットの再現性がより向上するため好ましい。
G’(1)>G”(1)となるトナー粘弾性を達成する手段としては、結晶性樹脂を構成するモノマーの組成、非晶性樹脂を構成するモノマーの組成、トナー粒子に含まれるフィラー成分の種類や量を変えることが挙げられる。
本開示の第二の態様は、
結着樹脂を含有するトナー粒子を含有するトナーであって、
該結着樹脂は、結晶性樹脂を含有し、
該結晶性樹脂が、
下記式(1)で表される第一のモノマーユニットを少なくとも有し、
さらに下記式(2)で表される第二のモノマーユニットからなる群から選択される少なくとも二のモノマーユニットを有するか、又は
さらに下記式(2)で表される第二のモノマーユニット及び下記式(3)で表される第三のモノマーユニットを有する
結晶性ビニル樹脂であり、
該トナーのテトラヒドロフラン不溶分の焼却灰分の含有割合が、該トナーの質量を基準として、5質量%~30質量%であることを特徴とするトナーに関する。
Figure 2023150634000005

式(1)中、RZ1は、水素原子又はメチル基を表し、Rは、炭素数18~36のアルキル基を表す。
式(2)中、Rは、-C≡N、
-C(=O)NHR10(R10は、水素原子若しくは炭素数1~4のアルキル基を表す。)、
ヒドロキシ基、
-COOR11(R11は水素原子若しくは炭素数1~6のアルキル基を表す。)又は
-NH-C(=O)-N(R13(2つのR13は、それぞれ独立して、水素原子若しくは炭素数1~6のアルキル基)を表し、
は、水素原子又はメチル基を表す。
式(3)中、Xは、O又はNHを表し、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、炭素数2~6のアルキレンを表す。
以下、本開示の第二の態様について説明する。
第二の態様のトナーは、トナー粒子を有する。また、トナー粒子は、結着樹脂を含有する。結着樹脂は、結晶性樹脂を含有する。また、結晶性樹脂は、結晶性ビニル樹脂であり、下記式(1)で表される第一のモノマーユニットを有する。
また、結晶性ビニル樹脂中の第一のモノマーユニットの含有割合が、20.0質量%~
100.0質量%であると、ビニル樹脂が結晶性を有し、低温定着性及び耐ホットオフセット性を両立しやすいことから好ましい。
Figure 2023150634000006

式(1)中、RZ1は、水素原子又はメチル基を表し、Rは、炭素数18~36のアルキル基を表す。Rは炭素数18~30のアルキル基であることが好ましい。また、アルキル基は直鎖構造であることが好ましい。
第一のモノマーユニットは、側鎖にRで示される炭素数18~36のアルキル基を有しており、この部分があることで、結晶性ビニル樹脂は結晶性を発現しやすい。
結晶性ビニル樹脂中の第一のモノマーユニットの含有割合が、20.0質量%未満である場合、結晶性が発現しにくく、低温定着性が低下しやすい。結晶性ビニル樹脂中の第一のモノマーユニットの含有割合は、40.0質量%以上であることが好ましく、50.0質量%以上であることがより好ましい。上限は特に限定はないが、90.0質量%以下が好ましく、80.0質量%以下がさらに好ましい。
また、結晶性ビニル樹脂は、側鎖に結晶性を有する構造をとるためか、従来からよく知られている結晶性樹脂である結晶性ポリエステルと比較し、高温高湿環境における帯電維持性に優れている。
第二の態様における式(1)で表される第一のモノマーユニットは、第一の態様において示されているものを同様の理由で好適に用いることができ、第二の態様における第一のモノマーユニットを形成する重合性単量体は、第一の態様において示されているものを同様の理由で好適に用いることができる。
第二の態様の結晶性樹脂は、式(2)で表される第二のモノマーユニット(以下、単に第二のモノマーユニットともいう。)からなる群から選択される少なくとも二のモノマーユニットを有するか、又は第二のモノマーユニット及び式(3)で表される第三のモノマーユニット(以下、単に第三のモノマーユニットともいう。)を有する。好ましくは、式(2)で表される第二のモノマーユニット及び式(3)で表される第三のモノマーユニットを有する。
第二のモノマーユニットは、結晶性ビニル樹脂の主鎖に直接結合した極性基を有する。また、第三のモノマーユニットは、結晶性ビニル樹脂の主鎖とヒドロキシ基との間に炭素数2~6のアルキレン基を有しており、主鎖から離れた位置に極性を有するヒドロキシ基が存在する。
第二のモノマーユニットからなる群から選択される少なくとも二のモノマーユニットを有するか、又は第二のモノマーユニット及び第三のモノマーユニットを有することで、これらのモノマーユニットが有しないときに比べ、トナー溶融時におけるトナーの粘度が増加する。これは、結晶性ビニル樹脂中の極性基が電気双極子相互作用することによる。
第二のモノマーユニットは、分子運動性に大きく寄与する主鎖に、極性を有する官能基が直接結合している。そのため、トナー溶融後において、結晶性ビニル樹脂の主鎖に直接
結合した極性基を有しない樹脂と比べ、貯蔵弾性率が高くなる。
定着工程において、定着部材から熱のみを受けている段階では、第二のモノマーユニットの効果により、トナーの変形を最小限に抑えることができる。
一方、第三のモノマーユニットは、主鎖から離れた位置に極性を有するヒドロキシ基が存在する。そのため、トナー溶融後においては、結晶性ビニル樹脂の主鎖に直接結合した極性基を有する樹脂と比べ、貯蔵弾性率は高くなりにくい。
第二のモノマーユニットと第三のモノマーユニットが共存する場合、トナーの歪みが小さいときには、第三のモノマーユニットが有する極性基の一部は、第二のモノマーユニットが有する極性基と相互作用していると考えられる。このとき、定着部材から熱のみを受けている段階では、先述した第二のモノマーユニットの効果により、トナーの変形を最小限に抑えることができる。
さらに定着部材から圧力を受けると第三のモノマーユニットの極性基と、第二のモノマーユニットの極性基の相互作用が小さくなり、分子運動性が増大するため、トナーが低粘度化すると考えられる。すなわち、熱のみを受けているときと、熱とともに外力を受けているときとで、貯蔵弾性率を大きく変化させることができる。その結果、低温定着性、文字再現性及びドット再現性を高いレベルで両立できる。
結晶性ビニル樹脂中の第二のモノマーユニットの含有割合W2は、1.0質量%以上であることが好ましく、5.0質量%以上であることがより好ましい。また、70.0質量%以下であることが好ましく、30.0質量%以下であることがより好ましく、20.0質量%以下であることがさらに好ましい。
結晶性ビニル樹脂中の第三のモノマーユニットの含有割合W3は、1.0質量%以上であることが好ましく、5.0質量%以上であることがより好ましい。また、70.0質量%以下であることが好ましく、30.0質量%以下であることがより好ましく、20.0質量%以下であることがさらに好ましい。
第二のモノマーユニットと、第三のモノマーユニットの含有割合の比W2/W3は、0.1~10.0であることが好ましく、0.5~5.0であることがさらに好ましい。
第二のモノマーユニット及び第三のモノマーユニットを形成する重合性単量体は、第一の態様において示されているものを同様の理由で好適に用いることができる。
第二の態様のトナーの結晶性樹脂は、必要に応じて、本開示の効果を損なわない程度に、第一、第二及び第三のモノマーユニット以外のモノマーユニットを含んでもよい。第一、第二及び第三のモノマーユニット以外のモノマーユニットを形成する重合性単量体は、第一の態様において示されているものを同様の理由で好適に用いることができる。
結晶性樹脂中の第一、第二及び第三のモノマーユニット以外のモノマーユニットの含有割合は、50質量%以下が好ましく、40質量%以下が好ましい。
第二の態様のトナーは、トナーのテトラヒドロフラン(THF)不溶分の焼却灰分(以下、単に焼却灰分ともいう。)の含有割合が、トナーの質量を基準として、5質量%~30質量%である。焼却灰分の含有割合は、6質量%~23質量%であることが好ましく、8質量%~20質量%であることがより好ましい。焼却灰分の含有割合の測定方法は後述する。
後述の方法で得られるトナーのTHF不溶分の焼却灰分である固形分は、トナーの着色剤として含有される無機顔料や有機顔料、外添剤として使用される微粒子、及び結着樹脂のTHF不溶分に含まれる無機成分である。そのため、これらの含有量を調整することで、焼却灰分の含有割合を調整することができる。
無機成分は、トナー溶融時において樹脂との相互作用が有機成分に比べ小さい。そのため、トナーが大きい歪みを受けた際のフィラー効果が小さくなる。その結果、定着工程において定着部材から圧力を受けないときはフィラー効果により溶融しにくく、定着部材か
ら圧力を受けることで溶融が進行する。そのため、文字再現性、ドット再現性及び低温定着性を高いレベルで両立することが可能となる。
第二の態様のトナーにおいて、第一の態様のトナーと同様の理由で、結着樹脂のテトラヒドロフラン(THF)不溶分の含有割合は、結着樹脂の質量を基準として、0.1質量%~60.0質量%であることが好ましく、1.0質量%~50.0質量%であることがより好ましく、1.0質量%~40.0質量%であることがさらに好ましく、5.0質量%~30.0質量%であることが特に好ましい。
第二の態様のトナーは、トナーのテトラヒドロフラン(THF)不溶分の含有割合が、トナーの質量を基準として、12質量%~60質量%であることが好ましく、13質量%~55質量%であることがより好ましく、15質量%~50質量%であることがさらに好ましく、18質量%~45質量%であることが特に好ましい。トナーのTHF不溶分の量及び含有割合の測定方法は後述する。
後述の方法で得られるトナーのTHF不溶分には、トナーの着色剤として含有される無機顔料や有機顔料、トナー粒子中に含有される微粒子、外添剤として使用される微粒子、結着樹脂に含まれるTHF不溶分が含まれる。そのため、これらの含有量を調整することで、トナーのTHF不溶分の含有割合を調整することができる。
トナーのTHF不溶分の含有割合が上記範囲であると、トナーのTHF不溶分のうち、有機成分も多くなる。有機成分は、結着樹脂との相互作用が強い。そのため、低歪み時においてフィラー効果を強く発現させる。
結果として、文字再現性、ドット再現性及び低温定着性を高いレベルで両立することが可能となる。
第二の態様のトナーは、トナーのテトラヒドロフラン(THF)不溶分の焼却灰分の含有割合が、トナーのTHF不溶分の含有割合を基準として、24質量%~85質量%であることが好ましく、26質量%~77質量%であることがより好ましく、30質量%~70質量%であることがさらに好ましく、35質量%~65質量%であることが特に好ましい。
上述の通り、トナーのTHF不溶分の含有割合に対する焼却灰分の含有割合は、トナーのTHF不溶分中の無機成分の割合を示す。逆に、トナーのTHF不溶分のうち焼却灰分を除いた成分は、有機成分とみなせる。トナーのTHF不溶分中の有機成分も、無機成分と同様、トナー溶融時にフィラーとして作用する。しかし、トナーのTHF不溶分中の有機成分は、結着樹脂との相互作用が強いため、低歪み時においてフィラー効果を無機成分よりも強く発現させる。
すなわち、トナーのTHF不溶分の含有割合に対する焼却灰分の割合を上記範囲とすることで、低歪み時に強くフィラー効果を発揮する有機成分と、高歪み時のフィラー効果が小さい無機の焼却灰分とを組み合わせることができる。その結果、文字再現性、ドット再現性及び低温定着性を高いレベルで両立することが可能となる。
第二の態様のトナーにおいて、結着樹脂としてさらに非晶性樹脂を含有することが好ましい。第二の態様における非晶性樹脂は、第一の態様において示されているものを同様の理由で好適に用いることができる。
第二の態様のトナーは、第一の態様のトナーと同様の理由で、透過型電子顕微鏡によるトナー粒子の断面観察において、結晶性樹脂を含むマトリクスと、非晶性樹脂を含むドメインとで構成されるドメインマトリクス構造を有していることが好ましい。
さらに、ドメインの個数平均径は、第一の態様のトナーと同様の理由で、0.05μm~3.00μmであることが好ましく、0.10μm~2.00μmであることがより好
ましく、0.10μm~1.00μmであることがさらに好ましい。
第二の態様のトナーは、トナーの断面観察において、トナー粒子の断面の面積に対するドメインの面積の割合(以下、単にドメインの面積率ともいう)が、15%~80%であることが好ましい。
第二の態様のトナーは、第一の態様のトナーと同様の理由で、90℃で、トナーの歪みを変化させた粘弾性測定において得られる、歪み1%におけるトナーの貯蔵弾性率G’(1)と、歪み1%におけるトナーの損失弾性率G”(1)が、G’(1)>G”(1)の関係を満たすことが好ましい。
以下、本開示の第一の態様及び第二の態様に共通する事項について説明する。
結着樹脂は、顔料分散性を向上させるなどの目的により、本開示の効果を損なわない程度に、上記結晶性樹脂及び非晶性樹脂以外の樹脂を含有してもよい。
該樹脂としては、以下のものが挙げられる。
ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン-インデン樹脂、石油系樹脂。
トナー粒子は着色剤を含有してもよい。着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したもの;が挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点から好ましい。
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。
C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパースバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1~5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
着色剤の含有量は、結着樹脂100.0質量部に対して、0.1質量部~30.0質量部であることが好ましく、0.1質量部~20.0質量部であることがより好ましい。上記範囲とすることで、本開示の粘弾性を実現しやすくすることができる。
着色剤として顔料を用いる場合、顔料の一次粒子の個数平均径は、30nm~300nmであることが好ましく、40nm~200nmであることが好ましい。上記範囲であると、歪みを変えて粘弾性を測定した際の貯蔵弾性率の変化が大きくなりやすい。顔料の一次粒子の個数平均径は、走査型電子顕微鏡などの公知の手段を用いて測定することができる。
トナー粒子はワックスを含有してもよい。該ワックスとしては、以下のものが挙げられる。
マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。
さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸のような飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸のような不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのような飽和アルコール類;ソルビトールのような多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸のような脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのようなアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドのような脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドのような飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドのような不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドのような芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムのような脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸のようなビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物。
ワックスの含有量は、結着樹脂100.0質量部に対して、2.0質量部~30.0質量部であることが好ましい。
トナー粒子は、必要に応じて荷電制御剤を含有してもよい。該荷電制御剤としては、公
知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩又はスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩又はカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。
荷電制御剤はトナー粒子に対して内添してもよいし外添してもよい。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100.0質量部に対して、0.2質量部~10.0質量部が好ましい。
トナーには、必要に応じて無機微粒子を含有させることもできる。無機微粒子は、トナー粒子に内添してもよいし外添剤としてトナー粒子と混合してもよい。特に、トナー粒子に内添することで、歪みの大きさによる貯蔵弾性率の変化の制御がしやすくなり、低温定着性、文字再現性及びドット再現性を高いレベルで両立することができる。
トナー粒子中に内添される無機微粒子としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸ストロンチウムやチタン酸カルシウムなどのチタン酸金属塩、炭酸カルシウムなどが好ましい。
トナー粒子中に内添される無機微粒子の一次粒子の個数平均径が、40nm~800nmであることが好ましく、80nm~600nmであることがより好ましく、100nm~500nmであることがさらに好ましく、150nm~450nmであることが特に好ましい。上記範囲であると、歪みを変えて粘弾性を測定した際の貯蔵弾性率の変化が大きくなりやすい。無機微粒子の一次粒子の個数平均径は、走査型電子顕微鏡などの公知の手段を用いて測定することができる。
トナーは、上記無機微粒子以外の外添剤を含有してもよい。例えば、トナー粒子に外添剤を外添してトナーとしてもよい。外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸金属塩のような無機微粒子が好ましい。外添剤として使用される無機微粒子は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
流動性向上のための外添剤としては、BET比表面積が50m/g~400m/gの無機微粒子が好ましく、耐久性安定化のためには、BET比表面積が10m/g~50m/gの無機微粒子であることが好ましい。流動性向上や耐久性安定化を両立させるためには、BET比表面積が上記範囲の無機微粒子を併用してもよい。トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーのような公知の混合機を用いることができる。
トナー粒子中に含有させる無機微粒子及びトナー粒子に外添される無機微粒子の合計含有割合は、トナー粒子に対して0.1質量%~30.0質量%であることが好ましい。
トナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることが、長期にわたり安定した画像が得られるという点で好ましい。すなわち、トナー及び磁性キャリアを含有する二成分系現像剤であって、トナーが上述のトナーであることが好ましい。
磁性キャリアとしては、鉄粉又は表面を酸化した鉄粉;鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類のような金属粒子、それらの合金粒子又はそれらの酸化物粒子;フェライトなどの磁性体;該磁性体と、
該磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア);など、一般に公知のものが例示できる。
トナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、二成分系現像剤中のトナーの含有割合は、2質量%~15質量%であることが好ましく、4質量%~13質量%であることがより好ましい。
トナー粒子の製造方法は、特に制限されず、懸濁重合法、乳化凝集法、溶融混練法、溶解懸濁法など従来公知の製造方法を採用できる。
以下、溶融混練法を例に挙げて説明するが、これらに限定されるわけではない。
まず、原料混合工程において、トナー粒子を構成する材料として、結晶性樹脂及び非晶性樹脂又は結晶性樹脂及び非晶性樹脂を含有する結着樹脂、並びに、必要に応じて、ワックス、着色剤、荷電制御剤などの他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、混合された材料を溶融混練して、結晶性樹脂及び非晶性樹脂を含有する結着樹脂中に該他の成分を分散させる。溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーのようなバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。さらに、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロールなどで圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
溶融混練工程の混錬温度、スクリューの回転数などにより、結晶性樹脂と非晶性樹脂の分散状態、ドメインの個数平均径などを制御することが可能である。
また、結晶性樹脂と未架橋の非晶性樹脂の混合物を混練しながら重合開始剤により架橋を行ってもよい。これにより、結晶性樹脂と非晶性樹脂の分散状態を高めつつ結着樹脂のTHF不溶分の量及び含有割合を制御することが可能である。
また、トナーを製造する前に予め、結晶性樹脂と未架橋の非晶性樹脂の混合物を混練しながら重合開始剤により非晶性樹脂の架橋を行う方法や、溶剤に結晶性樹脂と未架橋の非晶性樹脂を溶解、共存させた系で攪拌しながら重合開始剤を添加し架橋反応を行う方法で、結晶性樹脂中に非晶性樹脂を微分散させる方法も有効である。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルのような粉砕機で粗粉砕した後、さらに、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)のような分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得るとよい。
トナー及び原材料の各種物性の測定法について以下に説明する。
<成型試料の歪みを変化させた粘弾性測定>
測定装置としては、回転平板型レオメーター「ARES」(TA INSTRUMENTS社製)を用いる。測定試料としては、トナーを0.1g秤量し、室温(25℃)の環境下で、錠剤成型圧縮機を用いて、直径8.0mm、厚さ1.5±0.3mmの円板状に10MPaで、60秒間圧縮成型した成型試料を用いる。
成型試料を直径8.0mmのパラレルプレートに装着し、室温(25℃)から90℃に5分間で昇温して、10分間保持してから測定を開始する。この際、初期のノーマルフォースが0になるようにサンプルをセットする。また、以下に述べるように、その後の測定においては、自動テンション調整(Auto Tension Adjustment ON)にすることで、ノーマルフォースの影響をキャンセルできる。
測定は、以下の条件で行う。
(1)直径8.0mmのパラレルプレートを用いる。
(2)周波数(Frequency):1Hzとする。
(3)歪み0.1%、1%、5%、10%、50%、100%の6点を歪み掃引モードで測定を行う。なお、測定においては、以下の自動調整モードの設定条件で行う。
(4)最大トルク(Max Allowed Torque)を200.0[g・cm]に設定し、最低トルク(Min Allowed Torque)を0.2[g・cm]に設定する。
(5)自動テンションディレクション(Auto Tension Direction)をコンプレッション(Compression)に設定する。
(6)初期スタティックフォース(Initial Static Force)を10gに設定し、自動テンションセンシティビティ(Auto Tension Sensitivity)を10.0gに設定する。
(7)自動テンション(Auto Tension)の作動条件は、サンプルモデュラス(Sample Modulus):1.00×10Pa以上とする。
上記条件で、温度90℃、周波数1Hzで測定した際の、歪み1%における成型試料の貯蔵弾性率G’(1)、歪み1%における成型試料の損失弾性率G”(1)、及び歪み50%における成型試料の貯蔵弾性率G’(50)を測定する。
<トナー若しくは結着樹脂のTHF不溶分の含有割合、焼却灰分の含有割合の算出>
THF不溶分の含有量及び含有割合を測定するトナー1.0g(樹脂単体のTHF不溶分を測定する場合は0.7g)を精秤(w1[g])し、予め精秤した円筒濾紙(商品名:No.86R、サイズ28×100mm、アドバンテック社製)に入れてソックスレー抽出器にセットする。
溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)200mLを用いて18時間抽出し、その際に溶媒の抽出サイクルが約5分に一回になるような還流速度で抽出を行う。
抽出終了後、円筒ろ紙を取り出して風乾した後、40℃で8時間真空乾燥し、抽出残分を含む円筒濾紙の質量を秤量し、円筒濾紙の質量を差し引くことにより、抽出残分の質量(w2[g])を算出する。
w2/w1を計算し、トナー又は結着樹脂のTHF不溶分の含有割合とする。
THF不溶分のうちの焼却灰分量w3[g]は以下のように求める。
予め秤量した30mLの磁性るつぼに、上記の抽出残分を含む円筒濾紙をのせる。
磁性るつぼを電気炉に入れ、約900℃で約3時間加熱し、電気炉中で放冷し、常温下でデシケーター中に1時間以上放冷し、焼却残灰分を含むるつぼの質量を秤量し、るつぼの質量と円筒濾紙の質量を差し引くことにより焼却灰分量(w3[g])を算出する。
そして、w3/w2により、THF不溶分の焼却灰分の含有割合を算出する。
<結晶性樹脂及び非晶性樹脂の酸価の測定方法>
酸価とは、試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。結晶性樹脂及び非晶性樹脂の酸価はJIS K 0070-1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従う。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。特級水酸化カリウム7gを5mLの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガスなどに触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。該水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/L塩酸25mLを三角フラスコに取り、該フェノールフタレイン溶液を数滴加え、該水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した該水酸化カリウム溶液の量から求める。該0.1モル/L塩酸は、JIS K 8001-1998に準じて作製されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した結晶性樹脂又は非晶性樹脂の試料2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として該フェノールフタレイン溶液を数滴加え、該水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C-B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料の質量(g)である。
<結晶性樹脂及び非晶性樹脂の水酸基価の測定方法>
水酸基価とは、試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。該水酸基価はJIS K 0070-1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従う。
(1)試薬の準備
特級無水酢酸25gをメスフラスコ100mLに入れ、ピリジンを加えて全量を100mLにし、十分に振りまぜてアセチル化試薬を得る。得られたアセチル化試薬は、湿気、炭酸ガスなどに触れないように、褐色びんにて保存する。
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム35gを20mLの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガスなどに触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。該水酸化カリウム溶液のファクターは、0.5モル/L塩酸25mLを三角フラスコに取り、該フェノールフタレイン溶液を数滴加え、該水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した該水酸化カリウム溶液の量から求める。該0.5モル/
L塩酸は、JIS K 8001-1998に準じて作製されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した結晶性樹脂又は非晶性樹脂の試料1.0gを200mL丸底フラスコに精秤し、これに該アセチル化試薬5.0mLを、ホールピペットを用いて正確に加える。この際、試料がアセチル化試薬に溶解しにくいときは、特級トルエンを少量加えて溶解する。
フラスコの口に小さな漏斗をのせ、約97℃のグリセリン浴中にフラスコ底部約1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首の温度が浴の熱を受けて上昇するのを防ぐため、丸い穴をあけた厚紙をフラスコの首の付根にかぶせることが好ましい。
1時間後、グリセリン浴からフラスコを取り出して放冷する。放冷後、漏斗から水1mLを加えて振り動かして無水酢酸を加水分解する。さらに完全に加水分解するため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱する。放冷後、エチルアルコール5mLで漏斗及びフラスコの壁を洗う。
指示薬として該フェノールフタレイン溶液を数滴加え、該水酸化カリウム溶液で滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
結晶性樹脂又は非晶性樹脂の試料を用いない以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、水酸基価を算出する。
A=[{(B-C)×28.05×f}/S]+D
ここで、A:水酸基価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料の質量(g)、D:該試料の酸価(mgKOH/g)である。
<トナー粒子の断面観察>
まず、存在量の基準サンプルとなる薄片を作製する。
可視光硬化性樹脂(アロニックス LCRシリーズ D800)中に結晶性樹脂を十分に分散させた後、短波長光を照射し硬化させる。得られた硬化物を、ダイアモンドナイフを備えたウルトラミクロトームで切り出し、250nmの薄片状サンプルを作製する。同様にして非晶性樹脂についても薄片状サンプルを作製する。
また、結晶性樹脂と非晶性樹脂を質量基準で0/100、30/70、70/30、0/100で混合し、溶融混練した混練物を作製する。これらについても同様に可視光硬化性樹脂中に分散させ硬化させたのちに切り出すことで薄片状サンプルを作製する。
次いで、切り出したサンプルを透過型電子顕微鏡(日本電子社製電子顕微鏡JEM-2800)(TEM―EDX)を用いてこれら基準サンプルの断面を観察し、EDXを用いて元素マッピングを行う。マッピングする元素としては、炭素、酸素、窒素とする。
マッピング条件としては、以下の通りとする。
加速電圧:200kV
電子線照射サイズ:1.5nm
ライブタイムリミット:600sec
デッドタイム:20~30
マッピング分解能:256×256
各元素の(10nm四方の面積における平均)スペクトル強度をもとに(酸素元素の強度/炭素元素強度)及び(窒素元素強度/炭素元素強度)を算出し、結晶性樹脂と非晶性樹脂の質量比率に対して検量線を作成する。結晶性樹脂のモノマーユニットに窒素原子が含まれる場合には(窒素元素強度/炭素元素強度)の検量線を用いて今後の定量を行う。
次に、トナーサンプルの分析を行う。
可視光硬化性樹脂(アロニックス LCRシリーズ D800)中にトナーを十分に分散させた後、短波長光を照射し硬化させる。得られた硬化物を、ダイアモンドナイフを備えたウルトラミクロトームで切り出し、250nmの薄片状サンプルを作製する。
次いで、切り出したサンプルに対し透過型電子顕微鏡(日本電子社製電子顕微鏡JEM-2800)(TEM―EDX)を用いた観察を行う。トナー粒子の断面画像を取得し、EDXを用いて元素マッピングを行う。マッピングする元素としては、炭素、酸素、窒素とする。
なお、観察するトナー粒子断面は以下のように選択する。まずトナー粒子断面画像から、トナー粒子の断面積を求め、その断面積と等しい面積を持つ円の直径(円相当径)を求める。この円相当径とトナーの重量平均粒径(D4)との差の絶対値が1.0μm以内のトナー粒子断面画像についてのみ観察する。
観察画像について、トナー粒子断面を10nm四方のエリアに分割する。各エリアにおいて各元素の(10nm四方の平均)スペクトル強度をもとに(酸素元素の強度/炭素元素強度)及び/又は(窒素元素強度/炭素元素強度)を算出し、前記検量線と比較することにより結晶性樹脂と非晶性樹脂を区別する。結晶性樹脂又は非晶性樹脂が80質量%以上含まれる場合、その10nm四方のエリアはその結晶性樹脂又は非晶性樹脂が占めるとみなす。ここで、非晶性樹脂が占めるエリア群が結晶性樹脂のエリア群に囲まれて孤立して存在しているとき、その非晶性樹脂が占めるエリアを非晶性ドメインと特定する。また、結晶性樹脂のエリア群が連続相として存在するとき、マトリクスと特定する。このようなマトリクス及びドメインを有することから、トナー粒子が結晶性樹脂を含むマトリクスと、非晶性樹脂を含むドメインとで構成されるドメインマトリクス構造を有することを特定する。
その後、二値化処理を行い、トナー粒子断面画像に存在するドメイン粒径を測定する。粒径はドメインの長径とする。トナー粒子断面画像における10個のトナー粒子断面に対して、トナー粒子断面1つあたり10点のドメイン粒径を測定し、合計100個のドメイン粒径の算術平均値をドメインの個数平均径(μm)とする。
一方、ドメインの面積については、一つのトナー断面画像に存在する全てのドメインの面積を合計して総面積を求め、S1とする。これをトナーサンプル1つあたり10点測定し、トナー10個のドメインの総面積(すなわち、S1+S2・・・+S100)を算出し、その算術平均値を「ドメインの面積」とする。
トナー粒子断面の面積については、ドメインの面積を求める際に用いたトナー粒子断面画像から求めたトナーの断面積の総計(トナーサンプル1つあたり10点、及びトナー10個分)を求め、その算術平均値を「トナー粒子の断面の面積」とする。そして、[ドメインの面積]/[トナーの断面の面積]×100を、トナー粒子の断面の面積に対するドメインの面積の割合(ドメインの面積率(%))とする。
なお、二値化処理及び面積率の計算には、Image Pro PLUS(日本ローパー株式会社製)を用いる。
<結晶性樹脂及び非晶性樹脂を構成するモノマーユニットの同定並びにモノマーユニットの含有割合の測定方法>
結晶性樹脂及び非晶性樹脂を構成するモノマーユニットの同定並びにモノマーユニットの含有割合の測定は、H-NMRにより以下の条件にて行う。
測定装置 :FT NMR装置 JNM-EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数 :64回
測定温度 :30℃
試料 :測定試料50mgを内径5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒として重クロロホルム(CDCl)を添加し、これを40℃の恒温槽内で溶解させて調製する。
得られたH-NMRチャートより、モノマーユニットAの構成要素に帰属されるピークの中から、他のモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択し、このピークの積分値Sを算出する。同様に、樹脂が、モノマーユニットBの構成要素に帰属されるピークの中から、他のモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択し、このピークの積分値Sを算出する。樹脂が、さらにモノマーユニットCなど、モノマーユニットXを有する場合も同様にして、積分値Sを算出する。
モノマーユニットAの含有割合は、上記積分値を用いて、以下のようにして求める。なお、n、n、nはそれぞれの部位について着眼したピークが帰属される構成要素における水素の数である。
モノマーユニットAの含有割合(モル%)=
{(S/n)/((S/n)+(S/n)・・・+(S/n))}×100
同様に、モノマーユニットBの含有割合は以下のように求める。
モノマーユニットBの含有割合(モル%)=
{(S/n)/((S/n)+(S/n)・・・+(S/n))}×100
モノマーユニットXを有する場合にも、同様にモノマーユニットXの含有割合を求める。
なお、結晶性樹脂及び非晶性樹脂において、例えば、ビニル基以外の構成要素に水素原子が含まれない重合性単量体が使用されている場合は、13C-NMRを用いて測定原子核を13Cとし、シングルパルスモードにて測定を行い、H-NMRと同様にして算出する。モノマーユニットの分子量をもとに、モル%から重量%に変換することができる。
<ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた、樹脂などの重量平均分子量(Mw)の測定方法>
樹脂などのテトラヒドロフラン(THF)可溶分の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、樹脂などをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8220 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10mL
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A
-1000、A-500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<トナー及び樹脂などの融点、並びに、吸熱ピーク及び吸熱量の測定方法>
トナー及び樹脂などの融点、並びに、吸熱ピーク及び吸熱量の測定は、DSC Q1000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約5mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、示差走査熱量測定を行う。リファレンスとしては銀製の空パンを用いる。1回目の昇温過程における最大吸熱ピークのピーク温度を、融点とする。なお、最大吸熱ピークとは、ピークが複数あった場合に、吸熱量が最大となるピークのことである。さらに、該最大吸熱ピークの吸熱量を求める。前述したトナーから分離した各材料単体のDSC測定を行うことによって各ピークの帰属を決定することができる。
(無機微粒子のBET比表面積の測定)
無機微粒子のBET比表面積の測定は、JIS Z8830(2001年)に準じて行なう。具体的な測定方法は、以下の通りである。
測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置 TriStar3000(島津製作所社製)」を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、本装置に付属の専用ソフト「TriStar3000 Version4.00」を用いて行い、また装置には真空ポンプ、窒素ガス配管、ヘリウムガス配管が接続されている。窒素ガスを吸着ガスとして用い、BET多点法により算出した値を本開示における無機微粒子のBET比表面積とする。
なお、BET比表面積は以下のようにして算出する。
まず、無機微粒子に窒素ガスを吸着させ、そのときの試料セル内の平衡圧力P(Pa)と無機微粒子の窒素吸着量Va(モル・g-1)を測定する。そして、試料セル内の平衡圧力P(Pa)を窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)で除した値である相対圧Prを横軸とし、窒素吸着量Va(モル・g-1)を縦軸とした吸着等温線を得る。
次いで、無機微粒子の表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量である単分子層吸着量Vm(モル・g-1)を、下記のBET式を適用して求める。
Pr/Va(1-Pr)=1/(Vm×C)+(C-1)×Pr/(Vm×C)
(ここで、CはBETパラメーターであり、測定サンプル種、吸着ガス種、吸着温度により変動する変数である。)
BET式は、X軸をPr、Y軸をPr/Va(1-Pr)とすると、傾きが(C-1)/(Vm×C)、切片が1/(Vm×C)の直線と解釈できる(この直線をBETプロットという)。
直線の傾き=(C-1)/(Vm×C)
直線の切片=1/(Vm×C)
Prの実測値とPr/Va(1-Pr)の実測値をグラフ上にプロットして最小二乗法により直線を引くと、その直線の傾きと切片の値が算出できる。これらの値を用いて該の傾きと切片の連立方程式を解くと、VmとCが算出できる。
さらに、該で算出したVmと窒素分子の分子占有断面積(0.162nm)から、下記の式に基づいて、無機微粒子のBET比表面積S(m/g)を算出する。
S=Vm×N×0.162×10-18
(ここで、Nはアボガドロ数(モル-1)である。)
本装置を用いた測定は、装置に付属の「TriStar3000 取扱説明書V4.0
」に従うが、具体的には、以下の手順で測定する。
充分に洗浄、乾燥した専用のガラス製試料セル(ステム直径3/8インチ、容積約5ml)の風袋を精秤した。そして、ロートを使ってこの試料セルの中に約0.1gの無機微粒子を入れる。
無機微粒子を入れた該試料セルを真空ポンプと窒素ガス配管を接続した「前処理装置 バキュプレップ061(島津製作所社製)」にセットし、23℃にて真空脱気を約10時間継続する。なお、真空脱気の際には、無機微粒子が真空ポンプに吸引されないよう、バルブを調整しながら徐々に脱気する。セル内の圧力は脱気とともに徐々に下がり、最終的には約0.4Pa(約3ミリトール)となる。
真空脱気終了後、窒素ガスを徐々に注入して試料セル内を大気圧に戻し、試料セルを前処理装置から取り外す。そして、この試料セルの質量を精秤し、風袋との差から無機微粒子の正確な質量を算出する。なお、この際に、試料セル内の無機微粒子が大気中の水分等で汚染されないように、秤量中はゴム栓で試料セルに蓋をしておく。
次に、無機微粒子が入った該試料セルのステム部に専用の「等温ジャケット」を取り付ける。そして、この試料セル内に専用のフィラーロッドを挿入し、該装置の分析ポートに試料セルをセットする。なお、等温ジャケットとは、毛細管現象により液体窒素を一定レベルまで吸い上げることが可能な、内面が多孔性材料、外面が不浸透性材料で構成された筒状の部材である。
続いて、接続器具を含む試料セルのフリースペースの測定を行なう。フリースペースは、23℃においてヘリウムガスを用いて試料セルの容積を測定し、続いて液体窒素で試料セルを冷却した後の試料セルの容積を、同様にヘリウムガスを用いて測定して、これらの容積の差から換算して算出する。また、窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)は、装置に内蔵されたPoチューブを使用して、別途に自動で測定される。
次に、試料セル内の真空脱気を行った後、真空脱気を継続しながら試料セルを液体窒素で冷却する。その後、窒素ガスを試料セル内に段階的に導入して無機微粒子に窒素分子を吸着させる。この際、平衡圧力P(Pa)を随時計測することにより該吸着等温線が得られるので、この吸着等温線をBETプロットに変換する。
なお、データを収集する相対圧Prのポイントは、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30の合計6ポイントに設定する。
得られた測定データに対して最小二乗法により直線を引き、その直線の傾きと切片からVmを算出する。さらに、このVmの値を用いて、上述したように無機微粒子のBET比表面積を算出する。
<無機微粒子及び顔料の一次粒子の個数平均径の測定方法>
無機微粒子及び顔料の一次粒子の個数平均径の測定は、走査型電子顕微鏡「S-4800」(商品名;日立製作所製)及びエネルギー分散型X線分析(EDS)による元素分析を組み合わせて行う。無機微粒子及び顔料が内添されたトナーを観察して、最大20万倍に拡大した視野において、無機微粒子及び顔料を撮影する。撮影された画像から、無機微粒子及び顔料を選び出し、無機微粒子及び顔料の一次粒子の長径を、それぞれランダムに100個測定して、無機微粒子と顔料の個数平均径を求める。観察倍率は、無機微粒子及び顔料の大きさによって適宜調整する。
<トナー(粒子)の重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナー(粒子)の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約
1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー(粒子)約10mgを少量ずつ電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー(粒子)を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
本開示を以下に示す実施例により具体的に説明する。しかし、これらは本開示をなんら限定するものではない。以下の処方の「部」は特に断りがない場合、全て質量基準である。
<結晶性樹脂1の製造例>
・溶媒:トルエン 100.0部
・単量体組成物 100.0部
(単量体組成物は、以下のアクリル酸ベヘニル、アクリロニトリル、アクリル酸及びスチレンを以下に示す割合で混合したものである)
アクリル酸ベヘニル 50.0部
スチレン 30.0部
アクリロニトリル 15.0部
アクリル酸2-ヒドロキシエチル 5.0部
・重合開始剤 0.5部
[t-ブチルパーオキシピバレート(日油社製:パーブチルPV)]
還流冷却管、攪拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、窒素雰囲気下、上記材料を投入した。反応容器内を200rpmで撹拌しながら、70℃に加熱して12時間重合反応を行い、単量体組成物の重合体がトルエンに溶解した溶解液を得た。続いて、上記溶解液を25℃まで降温した後、1000.0部のメタノール中に上記溶解液を撹拌しながら投入し、メタノール不溶分を沈殿させた。得られたメタノール不溶分をろ別し、さらにメタノールで洗浄後、40℃で24時間真空乾燥して第一の樹脂1(結晶性樹脂1)を得た。物性を表2に示す。
<結晶性樹脂2~12,14~16の製造例>
結晶性樹脂1の製造例において、それぞれの単量体及び質量部数を表1となるように変更した以外は同様にして反応を行い、結晶性樹脂2~12、結晶性樹脂14~16を得た。物性を表2に示す。
Figure 2023150634000007
表1中の略号は以下の通り。
BEA:アクリル酸ベヘニル
STA:アクリル酸ステアリル
MYA:アクリル酸ミリシル
HDA:アクリル酸ヘキサデシル
St:スチレン
ACN:アクリロニトリル
MCN:メタクリトニトリル
HEA:アクリル酸2-ヒドロキシエチル
HPA:アクリル酸2-ヒドロキシプロピル
HEMA:メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
HPMA:メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル
HEAA:アクリル酸2-ヒドロキシエチルアミド
AA:アクリル酸
HDDA:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート
<結晶性樹脂13の製造例>
・1,10-デカンジオール 33.9部
(多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・ドデカン二酸 66.1部
(多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2-エチルヘキサン酸錫 0.5部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。次に、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、4時間反応させた。その後、反応槽内を5kPa以下へ減圧して200℃で3時間反応させることにより、結晶性樹脂13を得た。物性を表2に示す。
Figure 2023150634000008

表中、AVは酸価を示し、OHVは水酸基価を示し、Tは結晶性樹脂に対応する吸熱ピークのピーク温度を示し、Mwは重量平均分子量を示し、THF不溶分は、結晶性樹脂のテトラヒドロフラン不溶分の含有割合を示す。
<非晶性樹脂1の製造例>
還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、窒素雰囲気下、下記材料を投入した。
・ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:71.4質量部(多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:14.7質量部(多価カルボン酸総モル数に対して50.0mol%)・アジピン酸:5.2質量部(多価カルボン酸総モル数に対して20.0mol%)
・フマル酸:4.1質量部(多価カルボン酸総モル数に対して20.0mol%)
・ドデセニルコハク酸無水物:4.7質量部(多価カルボン酸総モル数に対して10.0mol%)
・チタニウムテトラブトキシド:2.0質量部
次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌し、生成する水を留去しながら2時間反応させた。さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・無水トリメリット酸:8.2質量部(0.02モル;多価カルボン酸総モル数に対して5.0mol%)
・tert-ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度150℃に維持したまま4時間反応させ、温度を下げることで反応を止め、(第2反応工程)、第二の樹脂1を得た。物性を表4に示す。
<非晶性樹脂2~6の製造例>
非晶性樹脂1の製造例において、それぞれの単量体及び質量部数を表3となるように変更した以外は同様にして反応を行い、非晶性樹脂2~6を得た。物性を表4に示す。
Figure 2023150634000009
表3中の略号は以下の通り
BPO-EO:ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン
TPA:テレフタル酸
FA:フマル酸
AA:アジピン酸
DSA:ドデセニルコハク酸無水物
<非晶性樹脂7の製造例>
オートクレーブにキシレン50.0質量部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下、密閉状態で185℃まで昇温した。ここに、スチレン70.0質量部、アクリル酸-n-ブチル20.0質量部、及びメタクリル酸メチル3.0質量部、アクリル酸5.0質量部、ジビニルベンゼン2.0質量部並びに、ジ-tert-ブチルパーオキサイド1.0部及びキシレン20.0部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を190℃にコントロールしながら、3時間連続的に滴下し重合させた。さらに同温度で1時間保ち重合を完了させ、溶媒を除去し、非晶性樹脂7を得た。物性を表4に示す。
<非晶性樹脂8の製造例>
オートクレーブにキシレン50.0質量部を仕込み、窒素で置換した後、撹拌下、密閉状態で185℃まで昇温した。ここに、スチレン30.0質量部、アクリル酸-n-ブチル40.0質量部、及びアクリル酸ステアリル23.0質量部、アクリル酸5.0質量部、ジビニルベンゼン2.0質量部並びに、ジ-tert-ブチルパーオキサイド1.0部及びキシレン20.0部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を190℃にコントロールしながら、3時間連続的に滴下し重合させた。さらに同温度で1時間保ち重合を完了させ、溶媒を除去し、非晶性樹脂8を得た。物性を表4に示す。
Figure 2023150634000010

表中、AVは酸価を示し、OHVは水酸基価を示し、Mwは重量平均分子量を示す。
<結着樹脂1の製造例>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中で、非晶性樹脂1 40部及び結晶性樹脂1 60部を混合し、170℃で均一化した。その後ジ-t-ブチルパーオキシド2部を投入し、170℃で1時間反応を行った。その後、170℃で2時間1.0kPaの条件で減圧し、開始剤による分解生成物を除去した。得られたものを冷却することにより、結着樹脂1を得た。
<結着樹脂2~22の製造例>
結着樹脂1の製造例において、非晶性樹脂及び結晶性樹脂の種類・質量部数を表5となるように変更した以外は同様にして反応を行い、結着樹脂2~22を得た。
Figure 2023150634000011
<無機微粒子1の製造例>
燃焼炉として、内炎と外炎が形成できる二重管構造の炭化水素-酸素混合型バーナーを用いた。バーナー中心部にスラリー噴射用の二流体ノズルが接地され、原料の珪素化合物を導入した。二流体ノズルの周囲から炭化水素-酸素の可燃性ガスを噴射させ、還元雰囲気である内炎及び外炎を形成させた。
可燃性ガスと酸素の量及び流量の制御により、雰囲気と温度、火炎の長さ等を調整した。火炎中において珪素化合物からシリカ微粒子が形成され、さらに所望の粒径になるまで融着させた。その後、冷却後、バグフィルター等により捕集することによってシリカ微粒子を得た。原料のケイ素化合物としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサンを用いて、シリカ微粒子を製造した。次に、得られたシリカ微粒子100部に対して、ヘキサメチルジシラザン4部で表面処理を行い、無機微粒子1として、一次粒子の個数平均径が100nmのシリカ微粒子を得た。
<無機微粒子4~5の製造例>
無機微粒子1の製造例において、可燃性ガス及び酸素の量並びに流量を制御することにより一次粒子の個数平均径を調整し、無機微粒子4~5を得た。
<無機微粒子2の製造例>
エタノール/水の50%200mL液を-20℃~10℃に冷やし、Ca(OH)を160g加えスラリー状とした。強撹拌しながら容器下部から炭酸ガス/窒素ガス30%の組成の混合ガスを500mL/min~5000mL/minの流速で導入し、スラリーのpHが低下し始めるまで反応させた。このとき一次粒子の個数平均径が200nmになるように反応温度及び炭酸ガスの導入速度を調節し、合成炭酸カルシウムスラリーを得た。さらに、この分散液を低温状態のままろ過し、純水で十分に洗浄してから乾燥させ、合成炭酸カルシウムを得た。
得られた合成炭酸カルシウムに固形分10質量%となるように70℃に調整した水を加え、攪拌型分散機を用いてスラリーとした。この合成炭酸カルシウムのスラリー1kgを分散機により攪拌させながら、鹸化したステアリン酸1.0gを添加し、20分間攪拌した後、プレス脱水した。このとき、脂肪酸添加量及び攪拌時間をふって脂肪酸処理量および脂肪酸処理分布の異なる疎水化炭酸カルシウムのスラリーとした。得られた脱水ケーキを乾燥後、解砕して粉末化することにより、無機微粒子2として、脂肪酸で疎水化表面処理された炭酸カルシウム約100gが得られた。
<無機微粒子3の製造例>
無機微粒子2の製造例において、反応温度及び炭酸ガスの導入速度を変更すること以外は同様の方法にて製造を行い、無機微粒子3を得た。
<トナー粒子1の製造例>
・結着樹脂1 80質量部
・炭化水素ワックス(フィッシャートロプシュ法で製造された融点90℃のもの)
5質量部
・着色剤(シアン顔料 大日精化製:Pigment Blue 15:3) 5質量部・無機微粒子1(表5に示すシリカ微粒子) 10質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、日本コークス工業株式会社製)を用いて、回転数20s-1、回転時間3minで混合した。温度120℃に設定した二軸混練機(PCM-30型、株式会社池貝製)にてスクリュー回転数250rpm、吐出温度110℃にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T-250、フロイントターボ(株
)製)にて微粉砕した。
さらにファカルティF-300(ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、重量平均粒径約6.0μmのトナー粒子1aを得た。運転条件は、分級ローター回転数を130s-1、分散ローター回転数を120s-1とした。
<トナー粒子2~44の製造例>
トナー粒子1の製造例において、使用する結着樹脂、結晶性樹脂、非晶性樹脂、無機微粒子及び着色剤の種類・部数を表6-1、表6-2、表7及び表8のものに変更したこと以外は同様にして製造を行い、トナー粒子2~44を得た。
Figure 2023150634000012

表中、C/Hは、結着樹脂中の結晶性樹脂の含有割合を示す。
Figure 2023150634000013

Figure 2023150634000014

Figure 2023150634000015
<トナー1の製造例>
・トナー粒子1 100部
・無機微粒子1 3部
上記の材料をヘンシェルミキサーFM-10C型(三井三池化工機製)で回転数50s-1、回転時間10minで混合して、トナー1を得た。トナー1の物性を表9に示す。
<トナー2~44の製造例>
トナー1の製造例において、材料として用いるトナー粒子をそれぞれトナー粒子2~44とし、無機微粒子の種類及び質量部を表6-2の「外添処方」の項目に記載のものとしたこと以外は同様にして製造を行い、トナー2~44を得た。得られたトナー2~44の物性を表9に示す。
Figure 2023150634000016

表中、THF不溶分は、トナー中における、テトラヒドロフラン不溶分の含有割合を示し、焼却灰分は、トナー中の、テトラヒドロフラン不溶分の焼却灰分の含有割合を示す。
なお、トナー44は断面観察において非晶性樹脂を含むドメインが観察されなかった。
<磁性キャリア1の製造例>
・個数平均粒径0.30μm、(1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さ65Am/kg)のマグネタイト1
・個数平均粒径0.50μm、(1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さ65Am/kg)のマグネタイト2
上記の材料それぞれ100部に対し、4.0部のシラン化合物(3-(2-アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内にて100℃以上で高速混合撹拌し、それぞれの微粒子を処理した。
・フェノール:10質量%
・ホルムアルデヒド溶液:6質量%(ホルムアルデヒド40質量%、メタノール10質量%、水50質量%)
・上記シラン化合物で処理したマグネタイト1:58質量%
・上記シラン化合物で処理したマグネタイト2:26質量%
上記材料100部と、28質量%アンモニア水溶液5部、水20部をフラスコに入れ、攪拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温及び保持し、3時間重合反応させて、生成するフェノール樹脂を硬化させた。その後、硬化したフェノール樹脂を30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体分散型の球状の磁性キャリア1を得た。磁性キャリア1の体積基準の50%粒径(D50)は、34.2μmであった。
<二成分系現像剤1の製造例>
92.0部の磁性キャリア1に対して、8.0部のトナー1を加え、V型混合機(V-20、セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤1を得た。
<二成分系現像剤2~44の製造例>
二成分系現像剤1の製造例において、トナーを表10のように変更する以外は同様にして製造を行い、二成分系現像剤2~44を得た。
Figure 2023150634000017
<実施例1>
上記二成分系現像剤1を用いて、評価を行った。画像形成装置として、キヤノン製デジタル商業印刷用プリンターimageRUNNER ADVANCE C7770改造機を用い、シアン用現像器に二成分系現像剤1を入れた。装置の改造点としては、定着温度、プロセススピード、現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及び、レーザーパワーを自由に設定できるように変更した。画像出力評価は、所望の画像比率のFFh画像(ベタ画像)を出力し、紙上におけるFFh画像上のトナーの載り量が所望になるようにVDC、VD、及びレーザーパワーを調整して、後述の評価を行った。
FFhとは、256階調を16進数で表示した値であり、00hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFhが256階調の256階調目(ベタ部)である。以下の評価方法に基づいて評価し、その結果を表11に示す。
<低温定着性>
・紙:GFC-081(81.0g/m
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
・紙上のトナーの載り量:0.70mg/cm
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーにより調整)
・評価画像:上記A4用紙の中心に2cm×15cmの画像を配置
・試験環境:低温低湿環境:温度15℃/湿度10%RH(以下「L/L」)
・定着温度:100℃
・プロセススピード:300mm/sec
上記評価画像を出力し、低温定着性を評価した。画像濃度低下率の値を低温定着性の評価指標とした。画像濃度低下率は、X-Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X-Rite社製)を用い、まず、中心部の画像濃度を測定した。次に、画像濃度を測定した部分に対し、4.9kPa(50g/cm)の荷重をかけてシルボン紙により定着画像を摩擦(10往復)し、画像濃度を再度測定した。そして、下記式を用いて摩擦前後での画像濃度の低下率を算出した。得られた画像濃度の低下率を下記の評価基準に従って評価した。
画像濃度の低下率=
(摩擦前の画像濃度-摩擦後の画像濃度)/(摩擦前の画像濃度)×100
(評価基準)
A:画像濃度の低下率2.0%未満
B:画像濃度の低下率2.0%以上5.0%未満
C:画像濃度の低下率5.0%以上10.0%未満
D:画像濃度の低下率10.0%以上
<耐ホットオフセット性>
・紙:CS-064(64.0g/m
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
・紙上のトナーの載り量:0.08mg/cm
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーにより調整)
・評価画像:上記A4用紙の通紙方向長端に2cm×20cmの画像を紙先端から2mmの余白を置いて配置
・試験環境:常温低湿環境:温度23℃/湿度5%RH(以下「N/L」)
・定着温度:100℃から5℃おきに昇温
・プロセススピード:300mm/sec
上記評価画像を出力し、ホットオフセットの生じない最高定着温度にて、耐ホットオフセット性を以下の基準で評価した。
(評価基準)
A:140℃以上
B:120℃以上140℃未満
C:100℃以上120℃未満
D:100℃未満
<文字再現性>
・紙:GFC-081(81.0g/m
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
・紙上のトナーの載り量:0.40mg/cm
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーにより調整)
・試験環境:温度23℃/湿度50%RH
・定着温度:100℃
・プロセススピード:300mm/sec
上記の条件で、以下の評価画像を出力した。先端後端余白5mm、左右余白5mmで、漢字の「電」文字(6ポイント、明朝体)を10mm間隔で100個(10個×10個)配置した画像を出力した。
そして100個の電文字をルーペで観察し、文字の欠けが起こっている個数をカウントし、以下の基準により文字再現性を判定した。
A.文字欠けが3個未満である。
B.文字欠けが3個以上6個未満である。
C.文字欠けが6個以上10個未満である。
D.文字欠けが10個以上である。
<ドット再現性>
・紙:GFC-081(81.0g/m
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
・紙上のトナーの載り量:0.40mg/cm
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーにより調整)
・試験環境:温度23℃/湿度50%RH
・定着温度:100℃
・プロセススピード:300mm/sec
上記の条件で、以下の評価画像を出力した。先端後端余白5mm、左右余白5mmで、孤立ドットで形成したハーフトーン画像を出力した(ドット印字率10%)。
該画像を、ルーペを用いて100個の孤立ドットをランダムに観察し、各ドットの短径と長径を測定して長径と短径の比(長径を短径で除した値)を求めた。そして100個の孤立ドットのうち、長径と短径の比の最大値を用いて、以下の基準によりドット再現性を判定した。
A.長径と短径の比の最大値が1.10未満である。
B.長径と短径の比の最大値が1.10以上1.20未満である。
C.長径と短径の比の最大値が1.20以上1.30未満である。
D.長径と短径の比の最大値が1.30以上である。
<高温高湿環境下での帯電性(帯電維持性)>
静電潜像担持体上のトナーを金属円筒管と円筒フィルターを用いて吸引捕集することにより、トナーの摩擦帯電量を算出した。具体的には、静電潜像担持体上のトナーの摩擦帯電量は、ファラデー・ケージ(Faraday-Cage)によって測定した。ファラデー・ケージとは、同軸の2重筒のことで内筒と外筒は絶縁されている。この内筒の中に電荷量Qの帯電体を入れたとすると、静電誘導によりあたかも電荷量Qの金属円筒が存在するのと同様になる。この誘起された電荷量をエレクトロメーター(ケスレー6517A ケスレー社製)で測定し、内筒中のトナー質量M(kg)で電荷量Q(mC)を割ったもの(Q/M)をトナーの摩擦帯電量とした。
トナーの摩擦帯電量(mC/kg)=Q/M
まず、静電潜像担持体上に耐ホットオフセット性で使用した評価画像を形成し、中間転写体に転写される前に、静電潜像担持体の回転を止め、静電潜像担持体上のトナーを、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集し、[初期のQ/M]を測定した。引き続き、高温高湿(H/H)環境(32℃、80%RH)において評価機内に現像器を入れたまま2週間放置させた後、放置前と同様の操作を行い、放置後の静電潜像担持体上の単位質量当たりの電荷量Q/M(mC/kg)を測定した。上記の放置前の静電潜像担持体上の単位質量当たりのQ/Mを[初期のQ/M]とし、放置後の静電潜像担持体上の単位質量当たりのQ/Mを[放置後のQ/M]とし、([放置後のQ/M]/[初期のQ/M]×100)を帯電維持率として算出し、以下の基準で判断した。
(評価基準)
A:維持率が85%以上
B:維持率が80%以上85%未満
C:維持率が70%以上80%未満
D:維持率が70%未満
<保存性>
100mLの樹脂製カップにトナー5gを入れ、温度及び湿度可変型の恒温槽(50℃54%)に72時間放置し、放置後にトナーの凝集性を評価した。凝集性は、ホソカワミクロン社製パウダーテスタPT-Xにて0.5mmの振幅にて10秒間、目開き150μmのメッシュで振るった際に、残ったトナーの残存率を評価指標とした。C以上を良好と判断した。
(評価基準)
A:残存率2.0%未満
B:残存率2.0%以上5.0%未満
C:残存率5.0%以上10.0%未満
D:残存率10.0%以上
<実施例2~実施例35、及び、比較例1~比較例9>
二成分系現像剤1の代わりに二成分系現像剤2~二成分系現像剤44を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表11に示す。
Figure 2023150634000018

Claims (11)

  1. 結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該トナーを円板状に圧縮成型した成型試料に対して行う、90℃で、該成型試料の歪みを変化させた粘弾性測定において、
    歪み1%における該成型試料の貯蔵弾性率G’(1)が、7500Pa~30000Paであり、
    歪み50%における該成型試料の貯蔵弾性率G’(50)が、950Pa~6000Paであることを特徴とするトナー。
  2. 前記トナーのテトラヒドロフラン不溶分の含有割合が、前記トナーの質量を基準として、12質量%~60質量%である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記トナーのテトラヒドロフラン不溶分の焼却灰分の含有割合が、前記トナーの質量を基準として、5質量%~30質量%である請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記結着樹脂が、結晶性樹脂を含有し、前記トナーを試料とする示差走査熱量測定において、
    1回目の昇温における、該結晶性樹脂に対応する吸熱ピークのピーク温度が、50℃~70℃であり、該吸熱ピークの吸熱量ΔH(J/g)が、
    ΔH≧5
    を満たす、請求項1~3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 前記結着樹脂が、さらに非晶性樹脂を含有し、
    該非晶性樹脂が、ポリエステル樹脂である、請求項4に記載のトナー。
  6. 前記結着樹脂が、結晶性樹脂及び非晶性樹脂を含有し、
    透過型電子顕微鏡による前記トナー粒子の断面観察において、
    該結晶性樹脂を含むマトリクスと、該非晶性樹脂を含むドメインとで構成されるドメインマトリクス構造を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のトナー。
  7. 前記非晶性樹脂が、アルケニルコハク酸によるモノマーユニットを含有する、請求項5又は6に記載のトナー。
  8. 90℃で、前記成型試料の歪みを変化させた粘弾性測定において、
    前記G’(1)と、歪み1%における前記成型試料の損失弾性率G”(1)が、
    G’(1)>G”(1)
    を満たす、請求項1~7のいずれか一項に記載のトナー。
  9. 結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該結着樹脂が、結晶性樹脂を含有し、
    該結晶性樹脂が、
    下記式(1)で表される第一のモノマーユニットを少なくとも有し、
    さらに下記式(2)で表される第二のモノマーユニットからなる群から選択される少なくとも二のモノマーユニットを有するか、又は
    さらに下記式(2)で表される第二のモノマーユニット及び下記式(3)で表される第三のモノマーユニットを有する
    結晶性ビニル樹脂であり、
    該トナーのテトラヒドロフラン不溶分の焼却灰分の含有割合が、該トナーの質量を基準として、5質量%~30質量%であることを特徴とするトナー。
    Figure 2023150634000019

    (式(1)中、RZ1は、水素原子又はメチル基を表し、Rは、炭素数18~36のアルキル基を表す。
    式(2)中、Rは、-C≡N、
    -C(=O)NHR10(R10は、水素原子若しくは炭素数1~4のアルキル基を表す。)、
    ヒドロキシ基、
    -COOR11(R11は、水素原子若しくは炭素数1~6のアルキル基を表す。)又は
    -NH-C(=O)-N(R13(2つのR13は、それぞれ独立して、水素原子若しくは炭素数1~6のアルキル基)を表し、
    は、水素原子又はメチル基を表す。
    式(3)中、Xは、O又はNHを表し、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、炭素数2~6のアルキレンを表す。)
  10. 前記結晶性樹脂が、前記式(1)で表される第一のモノマーユニット、前記式(2)で表される第二のモノマーユニット、及び前記式(3)で表される第三のモノマーユニットを有する結晶性ビニル樹脂である、請求項9に記載のトナー。
  11. トナー及び磁性キャリアを含有する二成分系現像剤であって、
    該トナーが、請求項1~10のいずれか一項に記載のトナーである二成分系現像剤。
JP2022059846A 2022-03-31 2022-03-31 トナー及び二成分系現像剤 Pending JP2023150634A (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022059846A JP2023150634A (ja) 2022-03-31 2022-03-31 トナー及び二成分系現像剤
US18/189,415 US20230314972A1 (en) 2022-03-31 2023-03-24 Toner and two-component developer
CN202310317708.9A CN116893587A (zh) 2022-03-31 2023-03-29 调色剂和双组分显影剂
DE102023108126.8A DE102023108126A1 (de) 2022-03-31 2023-03-30 Toner und zweikomponentenentwickler

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022059846A JP2023150634A (ja) 2022-03-31 2022-03-31 トナー及び二成分系現像剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023150634A true JP2023150634A (ja) 2023-10-16

Family

ID=88018779

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022059846A Pending JP2023150634A (ja) 2022-03-31 2022-03-31 トナー及び二成分系現像剤

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20230314972A1 (ja)
JP (1) JP2023150634A (ja)
CN (1) CN116893587A (ja)
DE (1) DE102023108126A1 (ja)

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4285289B2 (ja) 2004-03-19 2009-06-24 富士ゼロックス株式会社 電子写真用トナー及びその製造方法、電子写真用現像剤並びに画像形成方法

Also Published As

Publication number Publication date
US20230314972A1 (en) 2023-10-05
DE102023108126A1 (de) 2023-10-05
CN116893587A (zh) 2023-10-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10401748B2 (en) Toner
EP2889691B1 (en) Toner and two-component developer
JP7551449B2 (ja) トナー及びトナーの製造方法
US11835873B2 (en) Toner and two component developer
JP7493963B2 (ja) トナー及びトナーの製造方法
JP5677031B2 (ja) トナー
US20220299902A1 (en) Toner and method for manufacturing toner
JP2023150634A (ja) トナー及び二成分系現像剤
JP2022189436A (ja) トナー
JP2024131586A (ja) トナー及びトナーの製造方法
JP7353956B2 (ja) トナー
JP2019120816A (ja) トナー
US20220326630A1 (en) Toner
US11624986B2 (en) Toner and method for manufacturing toner
US11662670B2 (en) Toner
JP2022111992A (ja) トナー
JP7419111B2 (ja) トナー
JP2024128378A (ja) トナー
US20220236653A1 (en) Toner
JP5610940B2 (ja) トナー
EP4394514A1 (en) Toner and toner production method
JP2018084731A (ja) トナー
JP2023019195A (ja) トナー及びトナーの製造方法
JP2023145106A (ja) トナー
JP2022174943A (ja) トナー