JP2023148684A - 六方晶窒化ホウ素粉末およびその製造方法 - Google Patents

六方晶窒化ホウ素粉末およびその製造方法 Download PDF

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【課題】しっとり感が良好であり、且つ高い展延性を有する六方晶窒化ホウ素粉末を提供すること。【解決手段】吸油量70ml/100g以上、温度20℃において、六方晶窒化ホウ素粉末にフタル酸ジブチルを添加したときのトルク変化とフタル酸ジブチル(DBP)の添加量より得られるDBP滴下量-トルク曲線において、前記六方晶窒化ホウ素粉末に対してフタル酸ジブチルを40ml/100g~70ml/100g添加した範囲におけるトルクの最大値T1と、前記六方晶窒化ホウ素粉末に対してフタル酸ジブチルを70ml/100g~Xml/100g(ただし、Xは70ml/100g~130ml/100gにおいてトルクが最大となる点におけるフタル酸ジブチルの添加量)添加した範囲におけるトルクの最小値T2の比(T1/T2)が1.8以上、動摩擦係数が0.50以下である六方晶窒化ホウ素粉末。【選択図】図1

Description

本発明は、新規な六方晶窒化ホウ素粉末およびその製造方法に関するものである。詳しくは、粉末化粧料に配合した場合において、展延性としっとり感の双方が良好となる六方晶窒化ホウ素粉末を提供するものである。
パウダーファンデーションなどの化粧料においては、展延性、潤滑性、透明感、放熱性(冷感)、しっとり感などが重視されている。化粧料には様々な粉末基材が配合されるが、上記物性を考慮して選択されることが多い。このうち、しっとり感については、湿潤性を高めつつ、滑り性(延展性)を適度な値に抑えることが重要であり、滑り性を高めるために動摩擦係数を低くすると、高いしっとり感が得られないことが知られている(特許文献1、非特許文献1)。
六方晶窒化ホウ素粉末は、六方晶系の層状構造を有する白色顔料であり、展延性、潤滑性、透明感、放熱性(冷感)に優れていることから、化粧料に配合される粉末基材として広く使われている。特許文献1では、六方晶窒化ホウ素粉末において、動摩擦係数を適度な値に調整して、高いしっとり感を得ている。
WO2019/172440
Bulletin of the Chemical Society of Japan,2020,93,399-405
上記のように、化粧料の粉末基材として使用される六方晶窒化ホウ素粉末には、展延性、潤滑性、透明感、放熱性、しっとり感などが求められている。しかしながら、展延性を向上させるために動摩擦係数を低くすると、高いしっとり感を得ることができなくなってしまう。そのため、特許文献1の六方晶窒化ホウ素粉末は、しっとり感は良好であるものの、高い展延性は得られていなかった。これらの事情を顧み、本発明では、しっとり感が良好であり、且つ高い展延性を有する六方晶窒化ホウ素粉末を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、特定の条件の還元窒化法により合成した窒化粉を特定の条件で湿式解砕することにより、動摩擦係数が低く、且つJISK6217-4準拠の手法で得られるDBP滴下量-トルク曲線が従来とは異なる挙動を示す六方晶窒化ホウ素粉末が得られるとの知見を得た。更に、該六方晶窒化ホウ素粉末を化粧料に配合すると、しっとり感と延展性に優れた化粧料が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、吸油量70ml/100g以上の六方晶窒化ホウ素粉末であって、温度20℃において、六方晶窒化ホウ素粉末にフタル酸ジブチルを添加したときのトルク変化とフタル酸ジブチル(DBP)の添加量より得られるDBP滴下量-トルク曲線において、前記六方晶窒化ホウ素粉末に対してフタル酸ジブチルを40ml/100g~70ml/100g添加した範囲におけるトルクの最大値T1と、前記六方晶窒化ホウ素粉末に対してフタル酸ジブチルを70ml/100g~Xml/100g(ただし、Xは70ml/100g~130ml/100gにおいてトルクが最大となる点におけるフタル酸ジブチルの添加量)添加した範囲におけるトルクの最小値T2の比(T1/T2)が1.8以上であり、動摩擦係数が0.50以下であることを特徴とする、六方晶窒化ホウ素粉末である。
前記六方晶窒化ホウ素粉末は、平均粒径が3.0~20.0μm、アスペクト比が7.0~18.0であることが好ましい。
前記六方晶窒化ホウ素粉末は、化粧料用途であることが好ましい。また、本発明の一形態は、前記六方晶窒化ホウ素粉末と油剤成分とを含み、前記六方晶窒化ホウ素粉末100質量部に対する前記油剤成分の含有量が40~70容量部である、パウダーファンデーションである。
さらに本発明の一形態は、含酸素ホウ素化合物と、含酸素アルカリ土類金属化合物と、炭素源とを含み、含酸素ホウ素化合物のホウ素原子(B)と前記炭素源の炭素原子(C)の原子比(B/C)が0.80~2.00であり、酸化物換算での前記含酸素アルカリ土類金属化合物(MO;Mはアルカリ土類金属)と、前記含酸素ホウ素化合物とのモル比(MO/BO)が0.002~0.12である原料粉を、窒素雰囲気下、1780℃以上に加熱して窒化粉を得る還元窒化工程と、前記窒化粉を、スラリー濃度5容量%以上、ディスククリアランス35μm以上の条件で、湿式回転ディスクミルにより湿式解砕する湿式解砕工程を含む六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法である。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末により、延展性としっとり感の双方に優れた化粧料を提供することが可能となる。これにより、例えば、従来は六方晶窒化ホウ素粉末で延展性としっとり感を両立させることが難しかったため、シリコーン樹脂など他の成分の種類や配合量を調整することによりこれらの物性の両立を図っていたが、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末を使用することにより、他の成分の配合に関する制限が減少し、化粧料設計の自由度を高めることができる。
実施例1の六方晶窒化ホウ素粉末のDBP滴下量-トルク曲線を示す図である。
<六方晶窒化ホウ素粉末>
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、吸油量が70ml/100g以上であって、温度20℃において、六方晶窒化ホウ素粉末にフタル酸ジブチルを添加した時のトルク変化とフタル酸ジブチルの添加量より得られるDBP滴下量-トルク曲線において、前記六方晶窒化ホウ素粉末に対してDBPを40ml/100g~70ml/100g添加した範囲におけるトルクの最大値T1と、前記六方晶窒化ホウ素粉末に対してフタル酸ジブチルを70ml/100g~Xml/100g(ただし、Xは70ml/100g~130ml/100gにおいてトルクが最大となる点におけるフタル酸ジブチルの添加量)添加した範囲におけるトルクの最小値T2の比(T1/T2)が1.8以上であり、動摩擦係数が0.50以下であることを特徴とする。
前記T1/T2が1.8以上であることにより、該六方晶窒化ホウ素粉末を配合した化粧料に、高いしっとり感を付与することが可能となる。この理由は定かではないが、本発明者らは以下のように考えている。
すなわち、パウダーファンデーションなどの化粧料は、油剤成分と六方晶窒化ホウ素などの粉末成分を含んでおり、一般的にその配合比は六方晶窒化ホウ素粉末100gに対して、油剤成分が40ml~70ml程度である。そして、この化粧料を皮膚上に塗布すると、化粧料と皮膚上の油脂(皮脂)が混ざり合い、六方晶窒化ホウ素粉末に対する油剤成分の量は増加することになる。ここで、六方晶窒化ホウ素粉末に対してDBPを40ml/100g~70ml/100g添加した範囲におけるトルクにより皮膚に塗布した直後の化粧料における六方晶窒化ホウ素粉末の挙動を評価することができ、この範囲においてトルクが大きい、すなわちT1が大きいことは、皮膚に塗布した直後には湿潤性が低いことを意味していると推察される。さらに、T1/T2が1.8以上であることは、化粧料を皮膚に塗布した後に、皮脂と化粧料が混ざり合った場合に、大きなトルクの低下が発生すること、すなわち、化粧料を皮膚に低下した後に湿潤性が向上することを意味していると推測される。そして、しっとり感は化粧料を塗布した後に湿潤性の変化があることにより、化粧料の使用者は湿潤性の影響を強く感じることになり、しっとり感に対する湿潤性の寄与が増加し、相対的に滑り性の影響が低下して、高い滑り性でありながら、高いしっとり感も得られるものと推察される。一方で、T1/T2が低い一般的な六方晶窒化ホウ素粉末は、この湿潤性の変化が無いので、相対的に湿潤性の影響が小さく、滑り性を適度に制御しなければ、高いしっとり感が得られないものと推測される。
前記T1/T2は、2.0以上であることが好ましく、2.3以上であることがより好ましい。前記T1/T2の上限は特に限定されないが、この値が高すぎる場合には皮脂と化粧料が混ざり合った際の変化が急激で、化粧崩れが発生しやすくなる場合があるため、4.0以下であることが好ましく、3.5以下であることがより好ましい。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末におけるT1の値は特に限定されないが、一般的には0.05Nm以上、特には0.10Nm以上であり、0.40Nm以下、特には0.30Nm以下である。また、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の吸油量は70ml/100g以上である。これにより、化粧料に適した操作感を付与することができる。吸油量は、80ml/100g以上であることが好ましい。また、吸油量の上限は特に限定されないが、一般的には130ml/100g以下、特には120ml/100g以下である。吸油量は実施例に記載の方法で測定することができる。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、動摩擦係数が0.50以下である。動摩擦係数の値が小さいほど、化粧料の延展性に優れたものとなる。動摩擦係数は0.45以下であることが好ましく、0.40以下であることがさらに好ましい。動摩擦係数は実施例に記載の方法で測定することができる。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は平均粒径が3.0~20.0μmであることが好ましく、5.0μm~12.0μmであることがより好ましく、6.0μm~10.0μmであることがさらに好ましい。平均粒径が3.0μm未満であると、粒子同士の付着力が高くなり、肌に塗布して伸ばした場合に展延性が低下する虞がある。また、平均粒径が20.0μmを超えると、粒子同士の付着力が低くなりすぎるため、なめらかさが低下し、粉感、乾燥感が発生する虞がある。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末のアスペクト比は7.0~18.0であることで好ましく、8.0~15.0があることがより好ましい。アスペクト比が上記範囲であることにより、皮膚に塗布した際に、ぎらつきを抑えながら、展延性よく塗り広げることが容易となる。アスペクト比が7.0未満になると、塗布時に抵抗感が発生し、展延性が低下する虞がある。またアスペクト比が18.0を超えると、塗布後にぎらつきが発生する虞がある。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末のタップ嵩密度は、0.20~0.50g/mlであることが好ましく、0.25~0.45g/mlであることがより好ましい。タップ嵩密度が上記の範囲内であることで、ハンドリングが良くなり、化粧料等への加工・混合がしやすくなる。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の溶出ホウ素量は、20ppm以下であることが好ましい。前記溶出ホウ素量は、医薬部外品原料規格2006に定められた方法で測定することができる。
<六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法>
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、特定の条件の還元窒化法によって得られた窒化粉を、特定の条件で湿式解砕する製造方法によって簡便に得ることができる。具体的には、含酸素ホウ素化合物と、含酸素アルカリ土類金属化合物と、炭素源とを含み、含酸素ホウ素化合物のホウ素原子(B)と前記炭素源の炭素原子(C)の原子比(B/C)が0.80~2.00であり、酸化物換算での前記含酸素アルカリ土類金属化合物(MO;Mはアルカリ土類金属)と、前記含酸素ホウ素化合物とのモル比(MO/BO)が0.002~0.12である原料粉を、窒素雰囲気下、1780℃以上に加熱して窒化粉を得る還元窒化工程と、前記窒化粉を、スラリー濃度5容量%以上、ディスククリアランス35μm以上の条件で、湿式回転ディスクミルにより湿式解砕する湿式解砕工程を含む六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法により、簡便に製造することができる。
前記製造方法によって本発明の六方晶窒化ホウ素粉末が得られる理由は定かではないが、本発明者らは以下のように推測している。一般的に六方晶窒化ホウ素粉末の製造時には、先ずは多量の凝集体が含まれる窒化粉が得られる。六方晶窒化ホウ素粉末中に凝集体が多量に存在すると、延展性に劣ると共に、吸油性が高いため、DBP滴下量が70ml~Xmlの範囲においてもトルクは大きくT2が高い値となり、T1/T2を1.8以上にすることが困難である。そのため、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末を得るためには、窒化粉を適度に解砕する必要があるが、一般的な解砕処理では微粉の増加や単粒子表面の剥がれなどが発生し、動摩擦係数を低く保つことが困難となったり、微粉の再凝集によってT1/T2を1.8以上とすることが困難になったりする。一方、前記還元窒化反応で得られる窒化ホウ素粉末は、凝集体が比較的少なく、なおかつ発生した凝集は脆く砕けやすいため、比較的穏やかな解砕方法である前記条件での湿式解砕により、微粉の発生や単粒子表面の剥がれを抑制しつつ窒化粉を適度に解砕し、滑り性に優れ、T1/T2が1.8以上である六方晶窒化ホウ素粉末を得ることが可能になると推察される。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法における還元窒化工程では、含酸素ホウ素化合物と、含酸素アルカリ土類金属化合物と、炭素源を含む原料粉を、窒素雰囲気下で加熱処理することで、窒化粉を得ることができる。
前記含酸素ホウ素化合物としては、例えば、三酸化二ホウ素(酸化ホウ素)、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、メタホウ酸、過ホウ酸、オルトホウ酸などを挙げられる。一般的には、入手が容易なホウ酸、酸化ホウ素が好適に用いられる。また含酸素ホウ素化合物の平均粒径は特に制限されないが、操作性および反応性の観点から、30~800μmが好ましく、100~500μmがより好ましい。平均粒径が30μmより大きいことで、吸湿性を抑えることができ取り扱いが容易となる。800μm以下とすることで原料成分の偏りを抑えることができ、反応の制御が容易となる。
前記含酸素アルカリ土類金属化合物は、反応を促進させる反応助剤として添加され、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウムなどが挙げられる。含酸素アルカリ土類金属化合物は、アルカリ土類金属の炭酸塩であることが好ましい。炭酸塩を用いることで、反応過程において炭酸ガスが発生し原料混合粉内部に気孔を生じ、窒素ガスが浸透しやすくなる。また、同様に炭酸塩を用いることで、原料粉内に気孔を生じるために、窒化で生成される単粒子間に気泡が入り込み、凝集の生成を抑えることができ、さらには生成される凝集自体の密度も低下し、脆く壊れやすい凝集にすることが容易となる。
前記炭素源としては、例えば、カーボンブラック、活性炭、ナノカーボン、グラファイト、カーボンファイバーなどが挙げられる。一般的には、入手容易で安価なカーボンブラックが用いられる。
前記原料粉中の、含酸素アルカリ土類金属化合物と含酸素ホウ素化合物のモル比(MO/BO)は0.002~0.12であり、0.01~0.10であることがより好ましい。このモル比が0.12を超えると、反応により得られる六方晶窒化ホウ素が過度に成長しやすくなり、粒径やアスペクト比の制御が困難となる場合があり、0.002未満では反応が促進されず、目的の粒径よりも著しく小さい微粉が増える虞がある。
混合粉中の、含酸素ホウ素化合物のホウ素原子(B)と前記炭素源の炭素原子(C)の原子比(B/C)は0.80~2.00であり、0.90~1.20がより好ましい。B/Cを0.80~2.00とすることで、窒化ホウ素の収率を低下させることなく、効率よく反応を完結させることができる。B/Cが0.80未満の場合、窒化時の温度分布や原料の偏析具合にもよるが、未反応の炭素源が残存する可能性が高くなり、その結果、得られる窒化ホウ素粉末の純度が低下する虞がある。B/Cが2.00を超えると、還元剤である炭素源に対してホウ素源が大過剰であるため、反応後に得られる窒化粉に未反応のホウ素源が残存し、コスト面で不利となる。
原料粉は、上記の含酸素ホウ素化合物、含酸素アルカリ土類金属化合物、カーボン源を所定量計量し、混合することで得ることができる。混合方法は、各成分を均一に分散できれば特に制限されず、振動ミル、ビーズミル、ボールミル、ミキサーなどの一般的な混合機を使用して行うことができる。
前記原料粉を、窒素雰囲気下で加熱して反応させると同時に、窒化ホウ素の結晶性を高める還元窒化反応を行うことにより、窒化粉を得ることができる。加熱温度は、1780℃以上とすれば特に限定されないが、最高温度までの温度プロファイルを、反応過程と焼成過程として、それぞれの温度域に段階的に昇温していき加熱保持することが好ましい。加熱温度として、反応過程では1400℃~1650℃の範囲が好ましく、1450~1600℃の範囲がより好ましい。反応過程での加熱温度を前記範囲とすることで、原料の揮発を抑制しながら反応を効率的に進めることができる。焼成過程では、加熱温度として1780℃~2000℃の範囲が好ましく、1800℃~1900℃の範囲がより好ましい。焼成過程での加熱温度を前記範囲とすることで、粒径やアスペクト比を過度な値に制御しつつ結晶性を高めることが可能である。
また、反応過程での保持時間は、1時間~8時間が好ましく、2時間~6時間がより好ましい。反応過程での保持時間が短すぎると、未反応原料が残存する虞があり、長すぎると生産性が低下する。焼成過程での保持時間は、1時間~5時間が好ましく、2時間~4時間がより好ましい。焼成過程での保持時間が短すぎると粒子の成長が不十分となり、結晶性が低下すると共に、粒径制御が困難となる虞があり、長すぎると生産性が低下する。
反応雰囲気は、窒素雰囲気であれば制限されず、加圧下であっても、常圧であっても良い。また、流通下であってもよい。
原料混合物を加熱する形態は、窒素ガスと原料混合物の接触が妨げられなければ、特に制限されず、例えば、カーボン容器、窒化ホウ素被覆カーボン容器、窒化ホウ素焼結体容器などに充填し、黒鉛製タンマン炉に配す手法が挙げられる。
前記窒化粉を湿式回転ディスクミルで湿式解砕することで、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末を得ることができる。湿式回転ディスクミルによる湿式解砕とは、高速回転しているディスクの間に窒化粉のスラリーを流し込み、せん断力により解砕を行う方法であり、微粉の増加や単粒子表面の剥がれなどを抑制しつつ凝集の解砕を行うことが可能である。湿式回転ディスクミルとしては、例えばディスパライザー(新東工業株式会社製)等を挙げることができる。
湿式回転ディスクミルでの湿式解砕は、窒化粉のスラリーを湿式回転ディスクミルに投入して解砕を行えば良い。前記スラリーの溶媒は窒化粉を均一に分散させることが出来れば特に限定されないが、一般的には水が使用される。スラリー濃度は、窒化粉がスラリー中の5容量%以上となるように調整する。これにより、十分な解砕を行い、T1/T2を1.8以上に調節することが可能となる。スラリー濃度が5容量%未満であると、凝集が十分に解砕できず、T2の値が上昇するため、T1/T2の値が低くなる虞があるとともに、凝集が残ることで動摩擦係数が高くなる傾向にある。
スラリー濃度の上限は特に限定されないが、濃度が高いと単粒子が破損する虞があるため、窒化粉がスラリー中の20容量%以下であることが好ましく、10容量%以下であることがより好ましい。
湿式解砕におけるディスク間の隙間(ディスククリアランス)は35μm以上とする。ディスククリアランスが狭すぎると、単粒子の破損による微粉の発生や単粒子表面の剥がれが発生してしまう。ディスククリアランスは40μm以上が好ましい。ディスククリアランスが大きすぎると、凝集を効率的に解砕できない場合があるため、120μm以下が好ましく、90μm以下がより好ましく、60μm以下が更に好ましい。
ディスクの回転数は特に限定されないが、一般的には8000rpm~12000rpmである。
湿式解砕では、解砕後の六方晶窒化ホウ素粉末と溶媒のスラリーとして解砕物が得られるため、このスラリーから溶媒を除去するために乾燥処理を行う。乾燥の条件は特に制限されないが、六方晶窒化ホウ素の加水分解を抑制しながら効率的に乾燥を進めるため、ろ過により水分率を30%程度とした後に、減圧雰囲気下(好ましくは10kPa以上80kPa以下)で80℃~280℃(好ましくは120℃~220℃)で加熱することが好ましい。
前記還元窒化工程で得られた窒化粉には、副生成物として、アルカリ金属塩、含酸素ホウ素化合物などが含まれており、酸を用いて窒化粉を洗浄し、これらの副生成物を除去することが好ましい。これにより、化粧料用途で特に好適な高純度の六方晶窒化ホウ素粉末を得ることが容易となる。洗浄で用いる酸は特に制限されず、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸などが挙げられる。洗浄の方法は特に制限されず、例えば、窒化粉100質量に対して50~200質量部の濃塩酸(37%塩化水素水溶液)と200~500質量部の純水を混合し塩酸スラリーとして、6時間以上攪拌する方法が挙げられる。
酸による洗浄を行った後は、酸を除去するために純水による洗浄を行うことが好ましい。純水を用いた洗浄の方法は、酸を除去することができれば特に制限されず、例えば、前記酸スラリーをろ過して溶媒を除いた後に、純水を加え水スラリーとする。この操作を、水スラリーがpH6.0~7.0の範囲を示すまで、繰り返し行うという方法が挙げられる。
洗浄工程は、前記湿式解砕工程の前に行っても良いし後に行っても良いが、解砕のしやすさなどから湿式解砕工程の前に行うことが好ましい。湿式解砕工程の前に洗浄工程を実施する場合、洗浄工程後に窒化粉を乾燥させてから湿式解砕のためのスラリーを調整しても良いが、必ずしも洗浄工程時の溶媒を完全に除去する必要はなく、ろ過などで洗浄工程の溶媒をある程度取り除いた後に湿式解砕工程の溶媒を加えて湿式解砕工程のスラリーを調整しても良い。
本発明の製造方法では、湿式解砕工程の後に分級を行っても良い。分級の方法は特に制限されず、例えば、振動ふるい機、風力分級機、サイクロン、湿式ふるい機などによる分級が挙げられる。
<六方晶窒化ホウ素粉末の用途>
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、化粧料用として使用することが好ましい。具体的な化粧料としては、例えば、パウダーファンデーション、固形ファンデーション、クリームファンデーション、フェイスパウダー、フェイスカラー、日焼止めパウダーなどが挙げられ、特に、六方晶窒化ホウ素粉末100質量部に対して、油剤成分が40~70容量部含まれたパウダーファンデーションに適している。
<化粧料>
本発明の一形態としては、前記六方晶窒化ホウ素粉末と油剤成分とを含み、前記六方晶窒化ホウ素粉末100質量部に対する前記油剤成分の含有量が40~70容量部である化粧料、特にはパウダーファンデーションを挙げることができる。
化粧料全体に対しての前記六方晶窒化ホウ素粉末の含有割合は特に制限はないが、1質量%~30質量%であることが好ましく、10質量%~25質量%であることがより好ましい。上記の範囲で、前記六方晶窒化ホウ素粉末を化粧料に配合することで、化粧料の延展性やしっとり感の改善効果を感じやすくなる。
油剤としては、化粧料に一般的に配合されるものを特に制限なく使用することが可能であり、例えば、動物油、植物油、合成油等の起源及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モクロウ、モンタンワックス、フィッシャトロプスワックス等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、ラノリン、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ロジン酸、12-ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、フッ素変性シリコーン等のシリコーン類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロオクチルトリエトキシシラン等のフッ素系油脂類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
前記化粧料には、六方晶窒化ホウ素粉末と油剤以外のその他成分として、公知の成分を配合することができる。その他成分としては、例えば、六方晶窒化ホウ素粉末の粉体(顔料など)、水性成分、界面活性剤、ゲル化剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、防腐剤、ビタミン類、消炎剤、生薬、キレート剤、香料、美容成分等が挙げられる。
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例を記載するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における各項目の測定は以下の方法によって行った。
(1)DBP滴下量-トルク曲線
六方晶窒化ホウ素粉末について、JIS-K6217-4に準拠して測定を行い、横軸:DBP滴下量(ml/100g)、縦軸:トルク(Nm)としたDBP滴下量-トルク曲線を得た。すなわち、六方晶窒化ホウ素粉末15gを70mLの混合室に投入後、回転翼にて125rpmで攪拌しながら、4.0ml/minでDBPを滴下しトルクを経時測定し、滴下量が20mlとなった時点で測定を終了した。その測定結果からDBP滴下量-トルク曲線を作成した。測定装置として、吸油量測定装置S-500(株式会社あさひ総研製)を用いて測定した。
(2)吸油量
上記手法(1)により得られたDBP滴下量-トルク曲線の最大トルク値をT3として、T3の70%トルク値におけるDBP滴下量を吸油量とした。なお、DBP滴下量-トルク曲線において、T3におけるDBP滴下量より小さい範囲内に、T3の70%トルク値となるDBP滴下量が複数存在する場合は、これらのうち最も大きな値を吸油量とした。
(3)トルク比(T1/T2)
上記手法(1)により得られたDBP滴下量-トルク曲線において、DBP滴下量が40ml/100g~70ml/100gの範囲(六方晶窒化ホウ素粉末に対してDBPを40ml/100g~70ml/100g添加した範囲)におけるトルクの最大値をT1、DBP滴下量が70ml/100g~Xml/100gの範囲(六方晶窒化ホウ素粉末に対してDBPを70ml/100g~Xml/100g添加した範囲)におけるトルクの最小値をT2として、トルク比(T1/T2)を算出した。なお、Xは70ml/100g~130ml/100gにおいてトルクが最大となる点におけるフタル酸ジブチルの添加量である。
(4)六方晶窒化ホウ素粉末の平均粒径(D50)
レーザー回折・散乱式粒径測定装置MT3000(マイクロトラック・ベル株式社製)を用いて、レーザー回折法により測定した。詳しくは、エタノール50ccが充填されている装置付属の混合槽に六方晶窒化ホウ素粉末0.1gを投入し、出力40Wで20秒間の条件で超音波分散したサンプルを測定に使用し、体積基準の平均粒径(D50)を算出した。
(5)六方晶窒化ホウ素粉末のタップ嵩密度
タップデンサーKYT-5000(セイシン企業製)を用いてタップ嵩密度(g/cm)を測定した。
(6)六方晶窒化ホウ素粉末のアスペクト比
エポキシ樹脂(ヘンケル社製、EA E-30CL)100質量部中に六方晶窒化ホウ素粉末10質量部を分散し、得られた樹脂組成物を減圧脱泡した後、10mm角、厚さ1mmの型枠に流し込み、温度70℃にて硬化させた。
次いで、硬化した樹脂組成物を型枠から抜き出し、両面が平衡になるように研磨した後に、さらに、樹脂組成物の厚み方向に垂直な面のうち一方の面について、その中央を断面ミリング加工し、その加工面を倍率2500倍の条件でSEMにより画像を撮影した。得られた画像の中から六方晶窒化ホウ素粒子100個を無作為に選び、粒子の長辺(長径)と短辺(厚み)を測定し、各平均値をそれぞれ平均長径(μm)、平均厚み(μm)とし、さらに、平均長径を平均厚みで除した値をアスペクト比(平均長径/平均厚み)とした。
(7)動摩擦係数(MIU)
摩擦感テスターKES-SE(カトーテック株式会社製)を用いて計測をおこなった。詳しくは、人工皮革サプラーレPBZ13001 BK(出光テクノファイン株式会社製)上に、六方晶窒化ホウ素粉末を0.8g載せて、その上に上記摩擦感テスターのセンサー部(10mm角シリコン)を当て測定した。測定条件は感度をH、試験台移動速度を1mm/秒、静荷重25gfとして、3回測定し、その平均値をMIUとした。
(実施例1)
酸化ホウ素400g、カーボンブラック150g、炭酸カルシウム50gを混合撹拌機にて混合した。この混合物を、黒鉛製タンマン炉を用いて、窒素ガス雰囲気下1500℃まで5℃/minで昇温し、1500℃で2時間保持した。1500℃保持後1850℃まで3℃/minで昇温し、1850℃で2時間保持し、還元窒化法により窒化粉を得た。次いで、得られた窒化粉を、ポリエチレン製容器に投入し、窒化粉250gに対して250gの塩酸(37質量%)と750gの純水を加えて酸スラリーを調整し、15時間攪拌することで酸による洗浄を行った。洗浄後、ブフナー漏斗を用いて酸スラリーをろ過した後に、窒化粉の10倍量(質量比)以上の純水を加えて水スラリーとし、その後、吸引ろ過により窒化粉の水分率が40%以下となるように脱水を行った。その後、窒化粉濃度が8容量%となるように純水を加え、水スラリーとし、湿式回転ディスクミル(ディスパライザー)を用いてディスク回転数12000rpm、ディスククリアランス50μmの条件下で湿式解砕処理を行った。湿式解砕後の水スラリーを吸引ろ過により水分率40%以下となるように脱水したのちに、30kPaAの減圧下、200℃で15時間加熱することで減圧乾燥させた。乾燥後の粉末を、目開き45μmの縦振動型振動篩で分級を行うことで白色の六方晶窒化ホウ素粉末を得た。製造条件と、得られた六方晶窒化ホウ素粉末の評価結果を表1に示す。
また、得られたDBP滴下量-トルク曲線を図1に示す。本発明の六方晶窒化ホウ素粉末のDBP滴下量-トルク曲線は、DBP滴下量が40ml/100g~70ml/100gの範囲にピークを有し、70ml~Xml/100gに谷部を有する形状であり、従来の六方晶窒化ホウ素粉末よりもT1/T2が高い値を示した。
(実施例2~5、比較例2~4、6)
製造条件を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして六方晶窒化ホウ素粉末を得た。製造条件と、得られた六方晶窒化ホウ素粉末の評価結果を表1に示す。
(比較例1)
酸化ホウ素400g、カーボンブラック150g、炭酸カルシウム50gを混合撹拌機にて混合した。この混合物を、黒鉛製タンマン炉を用いて、窒素ガス雰囲気下1500℃まで5℃/minで昇温し、1500℃で2時間保持した。1500℃保持後1850℃まで3℃/minで昇温し、1850℃で2時間保持し、還元窒化法により窒化粉を得た。次いで、得られた窒化粉を、ポリエチレン製容器に投入し、窒化粉250gに対して250gの塩酸(37質量%)と750gの純水を加えて酸スラリーを調整し、15時間攪拌することで酸による洗浄を行った。洗浄後、ブフナー漏斗を用いて酸スラリーをろ過した後に、窒化粉の10倍量(質量比)以上の純水を加えて水スラリーとし、その後、吸引ろ過により窒化粉の水分率が40%以下となるように脱水を行ったのちに、30kPaAの減圧下、200℃で15時間加熱することで減圧乾燥させた。乾燥後の粉末を、目開き45μmの縦振動型振動篩で分級を行うことで白色の六方晶窒化ホウ素粉末を得た。製造条件と、得られた六方晶窒化ホウ素粉末の評価結果を表1に示す。
(比較例5)
酸化ホウ素400g、カーボンブラック150g、炭酸カルシウム50gを混合撹拌機にて混合した。この混合物を、黒鉛製タンマン炉を用いて、窒素ガス雰囲気下1500℃まで5℃/minで昇温し、1500℃で2時間保持した。1500℃保持後1850℃まで3℃/minで昇温し、1850℃で2時間保持し、窒化粉を得た。次いで、得られた窒化粉を、ポリエチレン製容器に投入し、窒化粉250gに対して250gの塩酸(37質量%)と750gの純水を加えて酸スラリーを調整し、15時間攪拌することで酸による洗浄を行った。洗浄後、ブフナー漏斗を用いて酸スラリーをろ過した後に、窒化粉の10倍量(質量比)以上の純水を加えて水スラリーとし、その後、吸引ろ過により窒化粉の水分率が40%以下となるように脱水を行った後、30kPaAの減圧下、200℃で15時間加熱することで減圧乾燥させた。その後、石臼型摩砕機(マスコロイダー)を使用して、ディスククリアランス10μm、回転数2000rpmの条件で乾式解砕を行った。次いで、目開き45μmの縦振動型振動篩で分級を行うことで白色の六方晶窒化ホウ素粉末を得た。製造条件と、得られた六方晶窒化ホウ素粉末の評価結果を表1に示す。
(比較例7)
ホウ酸300gとメラミン270gを混合し、蓋つき黒鉛ルツボに充填後、黒鉛タンマン炉を用いて窒素ガス雰囲気下、1000℃で8時間加熱し、低結晶性窒化粉末を得た。得られた低結晶性窒化粉末に、炭酸カルシウム100gを加え、ボールミルにて混合粉砕したのちに、黒鉛タンマン炉を用いて窒素雰囲気下、1900℃で6時間加熱をおこない、メラミン法により窒化粉を得た。次いで、得られた窒化粉を、ポリエチレン製容器に投入し、窒化粉末120gに対して120gの塩酸(37質量%)と360gの純水を加えて酸スラリーを調整し、15時間攪拌することで酸による洗浄を行った。洗浄後、ブフナー漏斗を用いて酸スラリーをろ過した後に、窒化粉の10倍量(質量比)以上の純水を加えて水スラリーとし、その後、吸引ろ過により窒化粉の水分率が40%以下となるように脱水を行った。その後、窒化粉濃度が10容量%となるように純水を加え、水スラリーとし、湿式回転ディスクミル(ディスパライザー)を用いてディスク回転数12000rpm、ディスククリアランス40μmの条件下で湿式解砕処理を行った。湿式解砕後の水スラリーを吸引ろ過により水分率40%以下となるように脱水したのちに、30kPaAの減圧下、200℃で15時間加熱することで減圧乾燥させた。乾燥後の粉末を、目開き45μmの縦振動型振動篩で分級を行うことで白色の六方晶窒化ホウ素粉末を得た。製造条件と、得られた六方晶窒化ホウ素粉末の評価結果を表2に示す。
(比較例8)
ホウ酸300gとメラミン270gを混合し、蓋つき黒鉛ルツボに充填後、黒鉛タンマン炉を用いて窒素ガス雰囲気下、1000℃で8時間加熱し、低結晶性窒化粉末を得た。得られた低結晶性窒化粉末に、炭酸カルシウム100gを加え、ボールミルにて混合粉砕したのちに、黒鉛タンマン炉を用いて窒素雰囲気下、1900℃で6時間加熱をおこない、メラミン法により窒化粉を得た。次いで、得られた窒化粉を、ポリエチレン製容器に投入し、窒化粉120gに対して120gの塩酸(37質量%)と360gの純水を加えて酸スラリーを調整し、15時間攪拌することで酸による洗浄を行った。洗浄後、ブフナー漏斗を用いて酸スラリーをろ過した後に、窒化粉の10倍量(質量比)以上の純水を加えて水スラリーとし、その後、吸引ろ過により窒化粉の水分率が40%以下となるように脱水を行ったのちに、30kPaAの減圧下、200℃で15時間加熱することで減圧乾燥させた。乾燥後の粉末を、目開き45μmの縦振動型振動篩で分級を行うことで白色の六方晶窒化ホウ素粉末を得た。製造条件と、得られた六方晶窒化ホウ素粉末の評価結果を表2に示す。
(比較例9)
ホウ酸300gとメラミン270gを混合し、蓋つき黒鉛ルツボに充填後、黒鉛タンマン炉を用いて窒素ガス雰囲気下、1000℃で8時間加熱し、低結晶性窒化粉末を得た。得られた低結晶性窒化粉末に、炭酸カルシウム100gを加え、ボールミルにて混合粉砕したのちに、黒鉛タンマン炉を用いて窒素雰囲気下、1900℃で6時間加熱をおこない、メラミン法により窒化粉を得た。次いで、得られた窒化粉を、ポリエチレン製容器に投入し、窒化粉120gに対して120gの塩酸(37質量%)と360gの純水を加えて酸スラリーを調整し、15時間攪拌することで酸による洗浄を行った。洗浄後、ブフナー漏斗を用いて酸スラリーをろ過した後に、窒化粉の10倍量(質量比)以上の純水を加えて水スラリーとし、その後、吸引ろ過により窒化粉の水分率が40%以下となるように脱水を行った後、30kPaAの減圧下、200℃で15時間加熱することで減圧乾燥させた。その後、石臼型摩砕機(マスコロイダー)を使用して、ディスククリアランス10μm、回転数2000rpmの条件で乾式解砕を行った。次いで、目開き45μmの縦振動型振動篩で分級を行うことで白色の六方晶窒化ホウ素粉末を得た。製造条件と、得られた六方晶窒化ホウ素粉末の評価結果を表2に示す。
また、上記実施例1~5および比較例1~9で得られた六方晶窒化ホウ素粉末を用いて、以下の組成でファンデーションを作製した。なお、本ファンデーションにおいては、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルとパーフルオロオクチルトリエトキシシランが油剤成分に該当し、これらの合計量は、六方晶窒化ホウ素粉末100質量部に対して55質量部(51容量部)である。
六方晶窒化ホウ素粉末 20.0質量%
マイカ 15.0質量%
合成金雲母 12.0質量%
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 8.0質量%
(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー 8.0質量%
(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/
シルセスキオキサン)クロスポリマー 8.0質量%
ナイロン12 3.0質量%
シリカ 3.0質量%
タルク 3.0質量%
アクリレーツクロスポリマー 3.0質量%
パーフルオロオクチルトリエトキシシラン 3.0質量%
酸化亜鉛 3.0質量%
ポリメチルメタクリレートポリマー 3.0質量%
シリコーン処理ベンガラ(赤酸化鉄) 1.0質量%
シリコーン処理黄酸化鉄 0.6質量%
シリコーン処理黒酸化鉄 0.4質量%
シリコーン処理酸化チタン 6.0質量%
上記配合で得られたファンデーションの延展性としっとり感について、20名の専門パネラーにより、官能評価を行った。良好と感じたパネラーが30%未満である場合は×、30%以上60%未満である場合を△、60%以上80%未満である場合を○、80%以上である場合を◎として評価を行った。評価結果を表1、表2に示す。
Figure 2023148684000002
Figure 2023148684000003
評価結果において、含酸素ホウ素化合物と、含酸素アルカリ土類金属化合物と、炭素源とを含み、含酸素ホウ素化合物のホウ素原子(B)と前記炭素源の炭素原子(C)の原子比(B/C)が0.80~2.00であり、酸化物換算での前記含酸素アルカリ土類金属化合物(MO;Mはアルカリ土類金属)と、前記含酸素ホウ素化合物とのモル比(MO/BO)が0.002~0.12である原料粉を、窒素雰囲気下、1780℃以上に加熱して窒化粉を得る還元窒化工程と、前記窒化粉を、スラリー濃度5容量%以上、ディスククリアランス35μm以上の条件で、湿式回転ディスクミルにより湿式解砕する湿式解砕工程を含む製造方法により製造された実施例1~5の六方晶窒化ホウ素粉末は、全てT1/T2が1.8以上であり、動摩擦係数が0.50以下であった。そして、これらの六方晶窒化ホウ素粉末を配合したファンデーションは、官能評価において、良好な延展性としっとり感を示した。なお、全ての六方晶窒化ホウ素粉末において、T1は0.10Nm以上0.30Nm以下の値であった。
一方、湿式解砕工程を行わなかった比較例1では、凝集が残りT1/T2が1.8未満、動摩擦係数が0.50超になった。そして、これを配合したファンデーションは良好な延展性としっとり感を得ることが出来なかった。
湿式解砕工程を行ったが、ディスククリアランスが35μm未満である比較例2は、T1/T2が1.8未満となった。そして、これを配合したファンデーションは良好なしっとり感を得ることが出来なかった。
湿式解砕工程を行ったが、その際のスラリー濃度が5容量%未満である比較例3は、動摩擦係数が高くなった。これを配合したファンデーションは良好な延展性としっとり感を得ることが出来なかった。
還元窒化工程におけるMO/BOが0.12を超える比較例4は、粒子が成長してアスペクト比が小さくなった。そして、これを配合したファンデーションは良好な延展性を得ることが出来なかった。
湿式解砕工程を行わずに乾式解砕を行った比較例5は、T1/T2が1.8未満となった。穏やかな解砕ではないため微粉が増加し、再凝集が発生したためと考えられる。そして、これを配合したファンデーションは良好なしっとり感を得ることが出来なかった。
還元窒化反応時の温度が1780℃未満である比較例6は、粒子成長が不十分で動摩擦係数を0.50以下とすることが出来なかった。そして、これを配合したファンデーションは良好な延展性を得ることが出来なかった。
還元窒化反応ではなく、メラミン法によって製造した比較例8は、硬い凝集が多く、T1/T2を1.8以上、動摩擦係数を0.50以下とすることが出来なかった。これを湿式解砕した比較例7も、凝集を破壊することが出来ずに同様であった。そして、これらを配合したファンデーションは、良好な延展性としっとり感を得ることが出来なかった。また、乾式解砕した比較例9は、凝集を解砕することができたため動摩擦係数を0.50以下とすることはできたが、T1/T2を1.8以上とすることは出来ず、これを配合したファンデーションは良好なしっとり感を得ることはできなかった。

Claims (5)

  1. 吸油量70ml/100g以上の六方晶窒化ホウ素粉末であって、
    温度20℃において、六方晶窒化ホウ素粉末にフタル酸ジブチルを添加したときのトルク変化とフタル酸ジブチル(DBP)の添加量より得られるDBP滴下量-トルク曲線において、前記六方晶窒化ホウ素粉末に対してフタル酸ジブチルを40ml/100g~70ml/100g添加した範囲におけるトルクの最大値T1と、前記六方晶窒化ホウ素粉末に対してフタル酸ジブチルを70ml/100g~Xml/100g(ただし、Xは70ml/100g~130ml/100gにおいてトルクが最大となる点におけるフタル酸ジブチルの添加量)添加した範囲におけるトルクの最小値T2の比(T1/T2)が1.8以上であり、
    動摩擦係数が0.50以下である、
    六方晶窒化ホウ素粉末。
  2. 平均粒径が3.0~20.0μm、アスペクト比が7.0~18.0である、請求項1記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
  3. 化粧料用である、請求項1または請求項2に記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
  4. 請求項3記載の六方晶窒化ホウ素粉末と油剤成分とを含み、前記六方晶窒化ホウ素粉末100質量部に対する前記油剤成分の含有量が40~70容量部である、パウダーファンデーション。
  5. 含酸素ホウ素化合物と、含酸素アルカリ土類金属化合物と、炭素源とを含み、含酸素ホウ素化合物のホウ素原子(B)と前記炭素源の炭素原子(C)の原子比(B/C)が0.80~2.00であり、酸化物換算での前記含酸素アルカリ土類金属化合物(MO;Mはアルカリ土類金属)と、前記含酸素ホウ素化合物とのモル比(MO/BO)が0.002~0.12である原料粉を、窒素雰囲気下、1780℃以上に加熱して窒化粉を得る還元窒化工程と、前記窒化粉を、スラリー濃度5容量%以上、ディスククリアランス35μm以上の条件で、湿式回転ディスクミルにより湿式解砕する湿式解砕工程を含む六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法。
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