JP2023148380A - 車両シート補強材用長繊維不織布 - Google Patents

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博明 西村
Hiroaki Nishimura
靖司 山田
Yasushi Yamada
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英夫 吉田
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Abstract

【課題】優れた伸長回復率を有する車両シート補強材用長繊維不織布を提供する。【解決手段】ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含む2成分複合紡糸の長繊維を含んで構成されており、通気度が10~150cc/cm2/sec、伸度が50%以上、10%伸長時の伸長回復率が65~95%であることを特徴とする車両シート補強材用長繊維不織布。【選択図】なし

Description

本発明は、複雑な形状に成形加工が可能で、座り心地性に優れる車両用シート補強材に適した長繊維不織布に関する。
従来、自動車や家具等のシート用クッション体としては、弾性、保湿性、軽量性などに優れたポリウレタンフォームが用いられている。(特許文献2) ポリウレタンフォームは、例えば、成型用凹凸金型にポリウレタン樹脂原液を注入し、発泡成型して得られる。得られたクッション体は、バネ、フレーム、パイプ等の取付鋼材に取付けられるが、使用時の振動や着座時に、クッション体と取付鋼材の摩擦等により異音が発生するという問題があった。このような異音の発生を防止するため、成型時にフェルトや不織布を使用してこれらをクッション体の表面に一体化させる方法が一般的である。不織布をクッション体の表面に一体化させると、当該部分の剛性が向上することから、シート用補強材として用いられる。活用例としては車両用シートにおいて、底部のポリウレタンクッションとバネの接触部に複合化させ、剛性を向上させることで耐久性を向上させる使用法が多く用いられている。
この車両用シート補強材などで用いられる不織布には、一体化させたときにバネとウレタンが直接接触し、異音が鳴らないことや、シートが破れないためのウレタン染み出し防止性が必要である。
また、ウレタン発泡時に、複雑な形状に追随するため、成形方法に関わらず、高い伸び率が求められる。
さらに、車両用シートとして繰り返し使用した際の底つき性が良好であるために、成形後の高い伸長回復性が求められる。
また、ウレタン発泡時の、ボイド発生を抑制するための適正な通気度が求められる。
このような用途に使用できる不織布として、下記の特許文献が知られている。特許文献1には、繊度0.5~10デニールで、捲縮数が2~40個/25mmの捲縮長繊維で構成され、かつ部分熱圧着率が2~15%であり、目付50~200g/m、厚さ0.5~2.0mm、通気性が0.5~100cc/cm/secの長繊維不織布からなる基布を有することを特徴とする長繊維不織布が提案されている。
また、特許文献2には、[解決手段](1) 繊度0.5 ~10d の捲縮長繊維で構成され、かつ部分熱圧着された目付50~200g/m2 、厚さ0.5 ~2.0mm の不織布を有する発泡成型用補強材基布発泡成型用の凹凸金型に馴染み易く、樹脂の滲みだしがなく、かつクッション体と取付鋼材との摩擦などによる異音発生を防止できる発泡成型用補強材基布が開示されている。前記の発泡成型用補強材基布は、繊度0.5~10dの捲縮長繊維で構成され、かつ部分熱圧着された目付50~200g/m、厚さ0.5~2.0mmの不織布を有している。
さらに、特許文献3には、緻密層の少なくとも片面に補強層が積層されてなる、発泡成形用不織布積層体が開示されている。前記補強層は、繊維径の異なる2種類の熱可塑性樹脂短繊維及び融点の異なる2種以上の樹脂を含む複合ポリエステル系短繊維から構成された短繊維不織布である。
特開2000-062061号公報 特開平06-171002号公報 国際公開2015/034069号公報
成形可能で優れた伸長回復性を有する、車両シート補強材に適した長繊維不織布は、従来、知られていない。
従来、長繊維不織布の製造方法としては、特許文献1にも開示されているように、ネット上に捕集された長繊維ウェブに対して捲縮発現処理を行い、その後、捲縮発現された長繊維ウェブに対してエンボスロールを用いて部分熱圧着接着処理を行い、間欠的な領域で低融点成分により融着固定する方法が知られている。
しかしながら、共重合ポリプロピレンが含まれる長繊維ウェブは、熱による捲縮収縮が起こりやすい。そのため、従来の長繊維不織布の製造方法では、成形可能で優れた伸長回復率を有する長繊維不織布を得ることはできなかった。例えば、特許文献1では2~15%の部分熱圧着率で熱圧着加工を施しているが、このような熱圧着加工を、共重合ポリプロピレンが含まれる長繊維ウェブに適用すると、フィラメント間で拘束が発生し、優れた伸長回復率を持つ長繊維不織布が得られなくなる。そのため、高温でエンボス加工等を施す従来の製造方法では、急激な収縮に起因して皺が発生するなどして、成形可能で優れた伸長回復率を有する長繊維不織布を得ることはできない。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含む長繊維不織布でありながら、優れた伸長回復率を有する車両シート補強材用長繊維不織布を提供することにある。
本発明者らは、ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含む長繊維不織布について、鋭意研究を行った。その結果、新規な製造方法を採用することにより、成形可能で優れた伸長回復率を有する長繊維不織布が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
前記課題を解決することができる本発明の長繊維不織布は、下記の構成を有する。
(1)ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含む2成分複合紡糸の長繊維を含んで構成されており、ウレタン成形後の通気度が10~150cc/cm/secであり、10%伸長時の伸長回復率が70~95%であることを特徴とする長繊維不織布。
上述したように、共重合ポリプロピレンが含まれる長繊維ウェブは、熱による捲縮収縮が起こりやすいため、従来の長繊維不織布の製造方法では、成形可能で優れた伸長回復率を有する長繊維不織布を得ることはできなかった。一方、本発明では、後に詳述するように、共重合ポリエステルが含まれる長繊維ウェブを仮圧着した後、仮圧着された前記長繊維ウェブに捲縮加工を施すことにより成形可能で優れた伸長回復率を有する長繊維不織布を得ることが可能となった。
このように、本発明によれば、ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルを含む、2成分複合紡糸の長繊維ウレタン成形後の通気度が10~150cm/cm/secであり、10%伸長時の伸長回復率が70~95%である長繊維不織布を提供することができる。
通気度が10~150cc/cm/secであるため、ウレタン発泡時のボイド発生を防止することができる。また、10%伸長時の伸長回復率が70~95%であるため、伸長回復性に優れ、車両用シートとして繰り返し使用した際の底づき感が良好である。
(2)前記(1)の構成においては、前記長繊維不織布は、目付が50~200g/m、厚さが0.4~2.0mmの不織布が用いられる。
不織布の目付が50g/m未満の場合は、樹脂液の滲みだしが生じ易く、クッション体の補強材効果が少ない。また目付が200g/mを超える場合は、樹脂液の滲みだしはないが、発泡成型用の凹凸金型に馴染み難く、成型加工性に劣り、クッション体の剛性が大きくなるなどの問題が生じる。好ましい目付は70~150g/mである。
また、不織布の厚みが0.4mm未満の場合は、樹脂液の滲みだしが生じ易く、クッション体の補強材効果が少ない。また、2.0mmを超える場合は、樹脂液の染み出しはないが、発泡成形用の凹凸金型に馴染み難く、成形加工性に劣り、クッション体の機械強度が大きくなるなどの問題が生じる。また好ましい厚さは0.7~1.5mmである。
(3)前記(1)又は(2)の構成において、前記長繊維は、捲縮糸であることが好ましい。
前記長繊維は、捲縮糸であると、より優れた伸長回復率が得られる。
(4)前記(1)~(3)の構成において、前記長繊維は、芯鞘構造であることが好ましい。
前記長繊維が芯鞘構造であると、製造時に、好適に捲縮加工を施すことが可能となる。
(5)前記(4)の構成において、前記芯鞘構造は、芯成分の中央が2%以上偏心されていることが好ましい。
前記芯鞘構造において、芯成分の中央が2%以上偏心されていると、製造時に、より好適に捲縮加工を施すことが可能となる。
(6)前記(1)~(3)の構成において、前記長繊維は、サイドバイサイド構造であることが好ましい。
前記長繊維がサイドバイサイド構造であると、製造時に、好適に捲縮加工を施すことが可能となる。
(7)前記(1)~(6)の構成においては、機械的交絡処理が施されていないことが好ましい。
本発明に係る長繊維不織布は、後に詳述するように、共重合ポリエステルが含まれる長繊維ウェブを仮圧着した後、仮圧着された前記長繊維ウェブに捲縮加工を施すことにより得られる。非晶性ポリエステルは、130℃付近まで接着されにくい特性があり、接着点による拘束が起こりにくいため、捲縮加工の工程では、まず、伸縮が発現する。そして、伸縮が発現した状態で密着させることができる。そのため、機械的交絡処理を必要としない。機械的交絡処理を施さない構成の場合、安価に製造することができる。また、機械的交絡処理としてニードルパンチを採用する場合と比較して、ニードル針の混入といったリスクを回避することができる。
(8)前記(1)~(7)の構成において、前記共重合ポリエステルは、ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール50~85モル%及びネオペンチルグリコール15~50モル%であることが好ましい。
前記共重合ポリエステルのジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール50~85モル%及びネオペンチルグリコール15~50モル%であると、結晶性が適度に低下し、長繊維不織布に好適な捲縮を発現させることができる。
本発明によれば、生産性の良い長繊維不織布でありながら、成形可能で優れた伸長回復率を有する車両用シート補強材用の不織布を提供することができる。
また、本発明の実施形態について説明する。
[車両用シート補強材]
本実施形態に係る長繊維不織布は、ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含む2成分複合紡糸の長繊維を含んで構成されており、通気度が10~150cc/cm/secであり、10%伸長時の伸長回復率が70~95%であることを特徴とする。
本発明において、長繊維とは、紡糸時の繊維の長さがエンドレスであるもの(無端連続繊維)をいう。ただし、最終的に得られた長繊維不織布が所定長さに切断されたものである場合、長繊維の長さは、前記長繊維不織布の長さと同一となる。一方、短繊維とは、不織布中に含まれる繊維の長さが不織布の長さ未満のものをいう。つまり、長繊維不織布とは、不織布の長さと同一の長さの繊維(長繊維)で構成された不織布であり、短繊維不織布とは、前記短繊維不織布の長さ未満の繊維(短繊維)で構成された不織布をいう。
前記長繊維がポリエチレンテレフタレートを含むため、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂を用いる場合と比較して機械的強度、耐熱性、保型性等に優れる。前記長繊維における前記ポリエチレンテレフタレートの含有割合は、好ましくは20質量%以上80質量%以下、より好ましくは30質量%以上70質量%以下、さらに好ましくは40質量%以上60質量%以下である。前記ポリエチレンテレフタレートの含有割合が前記数値範囲内であると、機械的強度、耐熱性、保型性等により優れる。なお、ポリエチレンテレフタレートは、示差走査型熱量計(DSC)による測定において、結晶化に由来する発熱ピーク、及び/又は、結晶融解に由来する吸熱ピークを示すポリエステルである。
前記非晶性ポリエステルは、示差走査熱量計(DSC)による測定において、明確な結晶化発熱ピーク及び結晶融解ピークを持たない樹脂である。また、前記非晶性ポリエステルは、ガラス転移温度(Tg)が50℃以上である。前記ガラス転移温度(Tg)は、DSCにより昇温速度20℃/minで昇温時の潜熱の転移点から求めた値である。前記非晶性ポリエステルとして、ガラス転移温度(Tg)50℃以上のものを採用することにより、耐熱性が良好となる。すなわち、前記長繊維不織布においては、耐熱性と耐衝撃性とを向上させるために、非晶性でありながらTgの高い前記共重合ポリエステルを採用している。
また、前記共重合ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(ホモポリマー)と比較して結晶性が低下している。前記長繊維不織布(前記長繊維)は、ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含む2成分複合紡糸であるため、熱処理された際に、結晶性の差に起因して収縮量に差が生じ、捲縮が発現する。
前記共重合ポリエステルの共重合成分としては、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、2,6ナフタリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカルボン酸が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール等の脂肪族グリコール;ビスフェノール、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の芳香族グリコールが挙げられる。これらは、1種又は2種以上を用いることができる。前記共重合成分は、前記共重合ポリエステルのTgが50℃以上を保持できる範囲で選択されることが好ましい。
前記共重合ポリエステルは、なかでも、以下の(a)~(d)が好ましく、(a)がより好ましい。
(a)ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール50~85モル%及びネオペンチルグリコール15~50モル%である共重合ポリエステル。
(b)ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール50~85モル%及び1,4-シクロヘキサンジメタノール15~50モル%である共重合ポリエステル。
(c)ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分が1,4ブタンジオール50~85モル%及びネオペンチルグリコール15~50モル%である共重合ポリエステル。
(d)ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分が1,4ブタンジオール50~85モル%及び1,4-シクロヘキサンジメタノール15~50モル%である共重合ポリエステル。
前記(a)及び(b)の場合、エチレングリコールの含有量は、50~85モル%がより好ましく、65~75モル%がさらに好ましい。
前記(c)及び(d)の場合、1,4ブタンジオールの含有量は、50~85モル%がより好ましく、65~75モル%がさらに好ましい。
前記(a)及び(c)の場合、ネオペンチルグリコールの含有量は、15~50モル%がより好ましく、25~35モル%がさらに好ましい。
前記(b)及び(d)の場合、1,4-シクロヘキサンジメタノールの含有量は、15~50モル%がより好ましく、25~35モル%がさらに好ましい。
前記(a)~(d)の共重合ポリエステルは、結晶性が適度に低下し、長繊維不織布に好適な捲縮を発現させることができる。また、熱安定性等の特性が好適である。
前記長繊維における前記共重合ポリエステルの含有割合は、好ましくは20質量%以上80質量%以下、より好ましくは30質量%以上70質量%以下、さらに好ましくは40質量%以上60質量%以下である。前記共重合ポリエステルの含有割合が前記数値範囲内であると、好適に捲縮を発現させることができる。
前記共重合ポリエステルの製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。
前記長繊維は、芯鞘構造であることが好ましい。前記長繊維が芯鞘構造であると、製造時に、好適に捲縮加工を施すことが可能となる。
前記芯鞘構造は、繊維断面が偏心されていることが好ましい。具体的には、芯成分の中央が2%以上偏心されていることが好ましく、3%以上偏心されていることがより好ましい。すなわち、実施例に記載の方法にて測定される偏心率が2%以上であることが好ましく、3%以上であることがより好ましい。前記芯成分の中央の偏心は、大きいほど好ましいが、例えば、80%以下、60%以下等とすることができる。
前記芯鞘構造は、好適な捲縮が得られる観点から、鞘側が共重合ポリエステルであり、芯側がポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
前記長繊維は、共重合ポリエステルとポリエチレンテレフタレートとが貼り合わせられたサイドバイサイド構造であることも好ましい。前記長繊維がサイドバイサイド構造であると、製造時に、好適に捲縮加工を施すことが可能となる。
前記長繊維の繊維径は、好ましくは5~60μm、より好ましくは10μm~50μm、さらに好ましくは12μm~40μmである。前記繊維径が5μm以上であると、スパンボンド法での可紡性がより良好となり、安定した製造が可能となる。また、前記繊維径が60μm以下であると、不織布の斑が悪くなりにくく、車両用シート補強材として使用する際に、ウレタンの染み出しを抑制することができる。
前記長繊維不織布は、機械的交絡処理が施されていないことが好ましい。機械的交絡処理としては、例えば、ニードルパンチ法やウォーターパンチ法による交絡処理等が挙げられる。前記機械的交絡処理が施されていない場合、安価に製造できる点で好ましい。また、ニードルパンチ法を採用した場合に生じ得るニードル針の混入といったリスクを回避することができる点で好ましい。また、ウォーターパンチ法は、大量の水を使用し、且つ、莫大なエネルギーを必要とする。そのため、環境保存の観点、及び、省エネルギーの観点から、前記機械的交絡処理が施されていないことが好ましい。
以上、本実施形態に係る長繊維不織布について説明した。次に、本実施形態に係る長繊維不織布の製造方法について説明する。
[スパンボンド不織布の製造方法]
以上、本実施形態に係る長繊維不織布の製造方法については、まず、溶融させたポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを紡糸口金から吐出して、冷却固化させたのち、エジェクターにて牽引、延伸して2成分複合紡糸の長繊維を形成する工程Aと、
前記工程Aで得られた前記長繊維を捕集して長繊維ウェブを形成する工程Bと、
前記長繊維ウェブを仮圧着する工程Cと、
仮圧着された前記長繊維ウェブに捲縮加工を施す工程Dとを備える。
<工程A>
本実施形態に係る長繊維不織布の製造方法においては、まず、溶融させたポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを紡糸口金から吐出して、冷却固化させたのち、エジェクターにて牽引、延伸して2成分複合紡糸の長繊維を形成する。
この工程Aは、従来公知の2成分スパンボンド紡糸機を用いて実施することができる。つまり、前記長繊維は、繊維を作る工程((紡糸工程)からそのまま不織布を製造する紡糸直結タイプの製造方法であるスパンボンド法にて製造することができる。
前記ポリエチレンテレフタレート、前記共重合ポリエステルとしては、上記の長繊維不織布の項で説明したもの採用することができる。
前記工程Aでは、紡糸速度を3500m/分以上で紡糸することが好ましい。つまり、溶融させたポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを紡糸口金から吐出して、冷却固化させたのち、エジェクターにて紡糸速度3500m/分以上で牽引、延伸して2成分複合紡糸の長繊維を形成することが好ましい。前記紡糸速度を3500m/分以上とすることにより、ポリエステルテレフタレートの配向結晶化度が高くなる。前記紡糸速度を3500m/分以上にすると、共重合ポリエステルも配向は進む。しかしながら、共重合ポリエステルは、結晶性が低いことから、その後に実施する捲縮加工工程(工程Dにおける加熱工程)において、共重合ポリエステル側の成分の収縮が起こることになり、捲縮が好適に発現する。前記紡糸速度は、より好ましくは3800m/分以上、さらに好ましくは4200m/分以上である。また、前記紡糸速度は、可紡性の観点から、好ましくは5500m/分以下、より好ましくは5000m/分以下である。
本明細書において、前記紡糸速度は、下記式(1)で定義される。
V=(10000×Q)/T (1)
ここで、Vは紡糸速度(m/分)、Tは単繊維の繊度(dtex)、Qは単孔吐出量(g/分)である。
単孔吐出量Qは、2成分の合計で、好ましくは0.2~5g/分である。前記単孔吐出量Qを0.2~5g/分に制御することにより、紡糸速度Vを所望の範囲に制御し易くなる。より好ましくは0.3~4g/分より好ましくは0.5~3g/分である。なお、単繊維の繊度T(dtex)は、10000メートルの単繊維の質量をグラム単位で表した値である。
前記工程Aにおいては、前記紡糸口金として偏心芯鞘ノズルを使用し、芯成分としての前記ポリエチレンテレフタレートと、鞘成分としての前記共重合ポリエステルを、前記偏心芯鞘ノズルから吐出する工程A-1を含むことが好ましい。前記偏心芯鞘ノズルとしては、従来公知のものを採用することができる。前記紡糸口金として偏心芯鞘ノズルを使用し、芯成分としての前記ポリエチレンテレフタレートと、鞘成分としての前記共重合ポリエステルを、前記偏心芯鞘ノズルから吐出すると、後の捲縮加工工程(工程D)において、好適に捲縮加工を施すことが可能となる。
前記工程Aにおいては、前記紡糸口金としてサイドバイサイドノズルを使用し、前記ポリエチレンテレフタレートと前記共重合ポリエステルとを繊維長さ方向にサイドバイサイド型に貼り合わせるように前記サイドバイサイドノズルから吐出する工程A-2を含むことも好ましい。前記サイドバイサイドノズルとしては、従来公知のものを採用することができる。前記紡糸口金としてサイドバイサイドノズルを使用し、前記ポリエチレンテレフタレートと前記共重合ポリエステルとを繊維長さ方向にサイドバイサイド型に貼り合わせるように前記サイドバイサイドノズルから吐出すると、後の捲縮加工工程(工程D)好適に捲縮加工を施すことが可能となる。
前記工程Aにおいては、前記工程A-1、又は、前記工程A-2のいずれかを採用することが好ましい。
前記工程A-1、前記工程A-2のいずれを採用する場合であっても、オリフィス径0.1~0.5mmの紡糸口金より紡出し、エジェクターに1.5~4.0kg/cmの圧力(ジェット圧)で乾燥エアを供給し、延伸することが好ましい。前記紡糸口金のオリフィス径は、0.15~mmであることがより好ましく、0.18~0.45mmであることがさらに好ましい。前記ジェット圧は、2.0~4.0kg/cmがより好ましく、2.5~3.8kg/cmがさらに好ましい。オリフィス径を上記範囲内に制御することにより、所望の繊維径が得られ易くなる。また、乾燥エアの供給圧力(ジェット圧)を上記範囲内に制御することにより、紡糸速度を所望の範囲に制御し易くなるとともに、適度に乾燥させることができる。
<工程B>
次に、前記工程Aで得られた前記長繊維を捕集して長繊維ウェブを形成する(工程B)。例えば、下方のコンベア上へ前記長繊維を開繊させつつ捕集して、長繊維ウェブを形成すればよい。
<工程C>
次に、前記工程Bにより得られた前記長繊維ウェブを仮圧着する(工程C)。前記仮圧着は、前記長繊維ウェブが収縮しない温度範囲内において行う。これにより、好適に搬送することが可能となる。前記仮圧着時の温度としては、50℃~80℃が好ましく、より好ましくは、55℃~75℃、さらに好ましくは、60℃~70℃である。前記仮圧着は、フラットロールを用いることができる。仮圧着時の線圧としては、好ましくは1~10kg/cm、より好ましくは3~7kg/cmである。前記線圧を前記数値範囲内にすると、搬送による破断が生じず工程通過できる。
<工程D>
次に、仮圧着された前記長繊維ウェブに捲縮加工を施す(工程D)。捲縮加工を施された長繊維は、捲縮糸となる。本高低は長繊維ウェブに熱をかけることで実現することができ、特に限定はされないが、エアスルーなど熱風による処理、加熱ローラーに接触させることによる処理、熱水や蒸気による処理などが好ましく採用される。以下に捲縮加工方法について説明する。
前記工程Dは、前記長繊維ウェブを80℃以上の沸水に浸漬する工程であることが好ましい。また、前記工程Dは、温度変調および速度比率の変更可能な2本以上の加熱ローラーを用いて、前記長繊維ウェブに、速度比率を徐々に落としながら捲縮加工を施す工程であることも好ましい。
加熱ローラーを使用する方法としては、温度変調および速度比率の変更可能な2本以上の加熱ローラーを用いて、前記長繊維ウェブに、速度比率を徐々に落としながら捲縮加工を施す。前記加熱ローラーは、捲縮が発現する温度又はそれ以上に設定することになり、収縮も発生することになるが、本実施形態では、速度比率を徐々に落としながら捲縮加工を施すため、捲縮に伴って収縮させた分、搬送の速度比率を下げるため、急激な収縮に起因した皺の発生等を抑制することができる。
前記加熱ローラーの本数は、2本以上が好ましく、4本以上がこのましい。複数の加熱ローラーを用い、徐々に速度比率を落としていくことにより、収縮量に応じて前記長繊維ウェブの面積を小さくすることができ、皺の発生等を抑制することができる。前記加熱ローラーの本数の上限は特に制限されないが、設備コストの観点から、例えば、12本以下、
10本以下等とすればよい。
捲縮加工の際の加熱温度(前記加熱ローラーの温度)としては、60~150℃が好ましく、70~140℃がより好ましく、80~130℃がさらに好ましい。前記加熱温度が前記数値範囲内であると、好適に捲縮を発現させることができる。前記搬送速度は、捲縮加工時の前記長繊維ウェブの収縮量に応じて遅くすればよい。
捲縮加工の際、必要に応じてニップを行ってもよい。ニップは、一番温度の高い加熱ローラーでの捲縮加工時に行うことが好ましい。一番温度の高い加熱ローラーでの捲縮加工時にニップを行うと、密着を向上させることができる。
熱水処理による方法としては、前記長繊維ウェブを80℃以上の沸水に浸漬する工程となる。前記沸水の温度は、80℃以上であれば特に限定されないが、85℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。前記沸水の温度は、急激な収縮に起因した皺の発生を抑制する観点から、99℃以下が好ましく、97℃以下がより好ましい。前記沸水の温度が80℃以上であるため、長繊維に好適に捲縮加工を施すことができる。
前記沸水への浸漬時間としては、特に制限されないが、好ましくは2秒以上、より好ましくは3秒以上である。前記沸水への浸漬時間が5秒以上であれば、充分に捲縮加工を施すことができる。前記沸水への浸漬時間としては、生産性の観点から、例えば、20秒以下、10秒以下等とすることができる。
沸水に使用する水分は特に限定しないが、含浸速度を向上させるために親水性を付与する液体を混ぜてもよく、環境面を考慮し中性洗剤などを適量加えることができる。
前記工程Dにおいて、前記長繊維ウェブを前記沸水に浸漬している間は、横方向に張力を加えないことが好ましい。横方向に張力を加えないことにより、嵩密度をより高めることができる。
本実施形態に係る長繊維不織布の製造方法は、前記工程Dの後、前記長繊維ウェブを横方向に延伸する工程Eを備えることが好ましい。前記工程Dの後、前記長繊維ウェブを横方向に延伸すると、延伸倍率に応じた厚さの長繊維不織布が得られる。すなわち、横方向の延伸倍率により、得られる長繊維不織布の厚さを調節することができる。
前記工程Eにおける延伸方法としては、従来公知のテンターを用いた延伸が好ましい。
前記工程Eにおける横方向の延伸倍率としては、2%以上が好ましく、5%以上がより好ましい。また、前記延伸倍率としては、20%以下が好ましく、15%以下がより好ましい。
なお、本明細書において、横方向の延伸倍率とは、延伸前の横幅に対する延伸倍率をいう。すなわち、延伸後の横幅は、延伸前の横幅100%に対して延伸倍率を加えた幅となる。例えば、延伸倍率が10%である場合、延伸後の横幅は、延伸前の横幅に対して110%となる。
本実施形態に係る長繊維不織布の製造方法は、前記工程Eの後、前記長繊維ウェブにカレンダー加工を施す工程Fを備えることが好ましい。前記工程Eの後、前記長繊維ウェブにカレンダー加工を施すと、カレンダー加工のロール間距離により、得られる長繊維不織布の厚さをより好適に調節することができる。また、厚みの均一化が図れる。
前記長繊維不織布は、通気度が10cc/cm/sec未満であるとボイドが発生し、100cc/cm/secを超えると、ウレタン染み出しが発生することから、10~100cc/cm/secであることが好ましい。また、好ましくは20~90cc/cm/sec、より好ましくは30~80cc/cm/secである。
前記長繊維不織布は、10%伸長時の伸長回復率が65~95%であり、好ましくは75%~95%、より好ましくは85%~95%である。また、前記10%伸長時の伸長回復率は、大きいほど好ましいが、例えば、95%以下、90%以下等とすることができる。前記10%伸長時の伸長回復率が70~95%であるため、伸長回復率に優れ、車両用シート補強材として使用した時、底づき感が良好である。例えば、車両用シートに座り、引き伸ばされたシートを、回復した結果、底づき感の発生を防止することができる。
前記長繊維不織布は、伸度が50%以上であり、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上である。また、伸度が50%以上であるため、成形性に優れ、複雑な形状に追随することができる。
前記長繊維不織布は、車両用シート補強材として用いられることが好ましい。つまり、前記長繊維不織布は、車両用シート補強材として好適に用いることができる。前記長繊維不織布はウレタン成形後の通気度が10~100cc/cm/secであるため、ウレタンシートと一体化した際、ウレタン染み出しを防止しつつ、ボイドの発生を抑制することができるからである。また、10%伸長時の伸長回復率が65~95%であるため、伸長回復率に優れ、車両用シート補強材として使用した時、底づき感が良好であるからである。更に、伸度が50%以上であるため、成形性に優れ、複雑な形状に追随することができるためである。
以上、本実施形態に係る長繊維不織布について説明した。
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(1)目付
JIS L1913(2000)5.2に準拠し、単位面積当たりの質量を測定した。
(2)伸度
25×150mmの試料を準備した。自記記録装置付定速伸長形引張試験機を用い、手でゆるまない程度に引っ張った状態で50mmのつかみ間隔に取り付け、初荷重を0.02N/25mmとした。この際の「(つかみ間隔)+(初荷重をかけた際に伸びた長さ)」を、L0とした。その後、引張速度25mm/分で、破断するまで引き伸ばした。この際の長さをL1とした。伸度は下記式で求めた。縦方向、横方向それぞれn=5で測定し、平均値の小数点第一位を四捨五入した。
伸度(%)=[(L1/L0)-1]×100
(3)10%伸長時の伸長回復率
25×150mmの試料を準備した。自記記録装置付定速伸長形引張試験機を用い、手でゆるまない程度に引っ張った状態で50mmのつかみ間隔に取り付け、初荷重を0.02N/25mmとした。この際の「(つかみ間隔)+(初荷重をかけた際に伸びた長さ)」を、L0とした。その後、引張速度25mm/分で、つかみ間隔の10%(25mm伸長)まで引き伸ばした。この際の長さをL1とした。その後、直ちに、同じ速度で初荷重まで除重した試料長をL2とした。10%伸長時の伸長回復率は、下記式で求めた。縦方向、横方向それぞれn=5で測定し、平均値の小数点第一位を四捨五入した。
10%伸長時の伸長回復率(%)=[(L1-L2)/(L1-L0)]×100
(4)通気度
フラジール法(JIS L1096)に準拠し、不織布を通過する空気量測定を行った。
(5)座り心地
座り心地の性能評価は、後述する実施例および比較例をそれぞれウレタンと複合化した際の座り心地を、下記の(a)~(d)で評価し、下記の総合評価を行った。
〇:座り心地が良い △:座り心地がよいとはいえない ×:座り心地が良くない
(a)クッション性:車両用シートに着座した際のソフト感
(b)底づき感:着座時にクッションを介して床をついたような感覚
(c)ホールド感:直進路走行時の着座姿勢維持
(d)ヒョコヒョコ感:シート上で体幹全体が上下するような感覚
(実施例1)
2成分スパンボンド紡糸設備でサイドバイサイドノズルを用い、ポリエチレンテレフタレート(固有粘度:0.63dl/g)と共重合ポリエステルを、質量比で55:45の割合で紡出した。なお、前記の共重合ポリエステルの組成は、ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール70モル%及びネオペンチルグリコール30モル%である。また、前記の共重合ポリエステルは、固有粘度が0.75dl/gであり、Tgが75℃であった。
紡出は、オリフィス径0.36mmの紡糸口金より単孔吐出量1.0g/分にて行った。その後、さらに、エジェクターに3.5kg/cmの圧力(ジェット圧)で乾燥エアを供給し、1段階で延伸して、下方のコンベア上へ繊維を開繊させつつ捕集し、長繊維ウェブを得た。次に、得られた前記長繊維ウェブを仮圧着した。仮圧着の条件は、仮圧着ロール温度60℃、線圧5kg/cmとした。
以上により得られた長繊維ウェブの繊維径は14.5μm、紡糸速度は4500m/分、目付量25g/mであった。
次に、得られた長繊維ウェブを沸水に浸漬した。なお、沸水への浸漬時は、横方向に張力を加えていない。
前記長繊維ウェブを90℃の沸水に5秒浸漬した後、前記長繊維ウェブを横方向に5%延伸し、前記長繊維ウェブにカレンダー加工を施した。
カレンダー温度(ロールの温度)60℃、及び、カレンダー加工のロール間距離0.2mmとした。
前記長繊維ウェブにカレンダー加工を施した後、前記長繊維ウェブを乾燥させた。乾燥温度は、110℃とした。以上により、実施例1に係る不織布を得た。
(実施例2)
偏心度が0.1mmの芯鞘ノズルを使用し、鞘側に共重合ポリエステルを配置させたこと、及び、横延伸倍率を8%に変更したこと以外は実施例1と同じ条件で不織布を得た。
なお、前記の共重合ポリエステルの組成は、ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール70モル%及びネオペンチルグリコール30モル%であった。また、得られた共重合ポリエステルは、固有粘度が0.75dl/g、Tgが75℃であった。
(実施例3)
ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルを質量比で65:35の割合に変更したこと、及び横延伸倍率を5%に変更したこと以外は実施例2と同じ条件で不織布を得た。
なお、前記の共重合ポリエステルの組成は、ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール70モル%及びネオペンチルグリコール30モル%であった。また、得られた共重合ポリエステルは、固有粘度が0.75dl/g、Tgが75℃であった。
上記実施例にて作成した車両用シート補強材をポリウレタン発泡時に複合化し使用させることにより、バネとウレタンの接触を防止する構造となり、異音防止性およびウレタン染み出し防止性が付与される。また、目付100で伸度が90%以上であるため、成形性に優れ、複雑な形状に追随できる。また、10~100cc/cm/secの通気度を持つため、ウレタン発泡時に不織布と良好に複合化が可能である。更に、10%伸長回復率が65~95%であるため、シートのクッション性、底づき感、ホールド感、ヒョコヒョコ感に優れ、座り心地性の優れた車両用シートを得ることができる。
(比較例1)
先行文献1の実施例1を参考にして実験を行った。すなわち、スパンボンド法により、ポリプロピレン樹脂を異形ノズル紡口から溶融、押し出しし、紡口下で冷却装置より糸条を側面から冷却し、牽引装置によりV型の繊維断面を有するポリプロピレン捲縮長繊維ウェブを得た。
得られたポリプロピレン捲縮長繊維ウェブは、通気度が41cc/cm/secであるため、車両用シート補強材としての異音防止性およびウレタン染み出し防止性に優れている。また、目付100g/mで、伸度がMD方向で104%、CD方向で139%であるため、成形性に優れ、複雑な形状に追随できる。しかしながら、ポリプロピレン素材であるため、車両用シート補強材として長期間使用を行うと、クリープ現象が発生し、座り心地性の優れた車両用シート補強材を得ることができない。
(比較例2)
先行文献3の実施例1を参考にして実験を行った。発泡成形用不織布積層体は、以下のように製造する。
<補強層の製造>
ポリエステル系短繊維混合体を、プレニードルパンチ機にて不織布シート状にして、補強層用のポリエステル系短繊維不織布が得られる。なお、ポリエステル系短繊維混合体は、下記PET-3を30質量%含み、下記PET-1を25質量%含み、下記PET-2を45質量%含む。
PET-3:融点が110℃である低融点ポリエステル樹脂(PETコポリマー)と、融点が250℃である高融点ポリエステル樹脂(PETホモポリマー)との芯鞘複合繊維。ユニチカ(株)製「メルティ4080」、平均繊維径14μm、平均繊維長51mm。
PET-1:融点が250℃である高融点ポリエステル樹脂の単独繊維。平均繊維径27μm、平均繊維長64mm。
PET¥2:融点が250℃である高融点ポリエステル樹脂の単独繊維。平均繊維径14μm、平均繊維長51mm。
<緻密層の製造>
MFRが60g/10分のプロピレン単重合体を用い230℃にて溶融紡糸を行い、得られた繊維を補集面上に堆積させ、目付量が6.0g/mのスパンボンド不織布層(S1)(繊維径15μm)を製造する。次に、MFRが400g/10分のプロピレン単重合体を280℃にて押出機で溶融し、得られた溶融物を、紡糸口金から吐出するとともに、吐出孔出口において280℃の加熱空気を吹付けるメルトブローン法によって繊維径3μmの繊維を前記スパンボンド不織布(S1)上に堆積させ、目付量1.0g/mのメルトブローン不織布層(M)を形成し、更にその上に前記スパンボンド不織布(S1)と同様のスパンボンド不織布(S2)を積層し、刻印面積率18%の熱エンボスロールにて3層を一体化してSMS不織布からなる緻密層が得られる。
<発泡成形用不織布積層体の製造>
前記方法で得られた緻密層と補強層とを積層し、ニードルパンチにより接合して、発泡成形用不織布積層体が得られる。
得られたポリエステル系短繊維混合体からなる発泡成形用不織布積層体は、通気度が160cc/cm/secであるため、シート形成時にウレタン染み出しが生じる。そのため、車両用シート補強材として、異音防止性およびウレタン染み出し防止性が不十分である。また、前記の不織布積層体は、目付が113g/mで、伸度がMD方向で85%、CD方向で107%である。しかしながら、厚さが2.6mmであるため、成形性に劣り、複雑な形状に追随できない。
さらに、10%伸長回復率が65%未満のため、シート成形後、シートのクッション性、底づき感、ホールド感、ヒョコヒョコ感が不十分であり、座り心地性に優れる車両用シート補強材を得ることができない。

Claims (7)

  1. ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含む2成分複合紡糸の長繊維を含んで構成されており、
    通気度が10~150cc/cm/sec、伸度が50%以上、10%伸長時の伸長回復率が70~95%であることを特徴とする車両シート補強材用長繊維不織布。
  2. 前記長繊維は、捲縮糸であることを特徴とする請求項1に記載の車両シート補強材用長繊維不織布。
  3. 前記長繊維は、芯鞘構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両シート補強材用長繊維不織布。
  4. 前記芯鞘構造は、芯成分の中央が2%以上偏心されていることを特徴とする請求項3に記載の車両シート補強材用長繊維不織布。
  5. 前記長繊維は、サイドバイサイド構造であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の車両シート補強材用長繊維不織布。
  6. 機械的交絡処理が施されていないことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の車両シート補強材用長繊維不織布。
  7. 前記共重合ポリエステルは、ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール50~85モル%及びネオペンチルグリコール15~50モル%であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の車両シート補強材用長繊維不織布。
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