JP2023147178A - 研磨用組成物、研磨方法、および半導体基板の製造方法 - Google Patents

研磨用組成物、研磨方法、および半導体基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機材料を高い研磨速度で研磨することができ、かつ研磨後のスクラッチを低減できる手段を提供する。【解決手段】ジルコニア粒子および分散媒を含む研磨用組成物であって、前記ジルコニア粒子は、正方晶系ジルコニアおよび立方晶系ジルコニアの少なくとも一方を含み、前記ジルコニア粒子の平均二次粒径は、80nm未満である、研磨用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、研磨用組成物、研磨方法、および半導体基板の製造方法に関する。
半導体装置が高集積化されるにしたがって、より微細なパターンの形成と多層構造の回路とが要求されている。このために、エッチング選択比特性が互いに異なる様々な物質の膜が必要とされている。このような様々な物質の膜の中でも、有機膜は、他のシリコン含有膜と比べてエッチング選択比特性がよいため、マスク膜や犠牲膜として使用され得る。特に、半導体製造工程では平坦化のため、化学的機械的研磨(Chemical mechanical polishing、CMP)工程を行って、当該有機膜を除去することが要求されている。
このような有機膜を研磨する技術として、例えば、特許文献1には、シリカを含む砥粒と、アリルアミン系重合体と、水と、を含有し、砥粒の含有量に対するアリルアミン系重合体の含有量の質量比が0.002~0.400であり、砥粒が研磨剤中で正の電荷を有する、研磨剤が開示されている。
特開2015-189784号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、有機膜(有機材料)の研磨速度が未だ低いという問題があった。また、近年の高品質化により、研磨後のスクラッチ数をさらに減らしたいという要求が高まっている。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、有機材料を高い研磨速度で研磨することができ、かつ研磨後のスクラッチを低減できる手段を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明者は鋭意研究を積み重ねた。その結果、特定の結晶相および大きさを有するジルコニア粒子を使用することによって、上記課題が解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、上記目的は、ジルコニア粒子および分散媒を含む研磨用組成物であって、前記ジルコニア粒子は、正方晶系ジルコニアおよび立方晶系ジルコニアの少なくとも一方を含み、前記ジルコニア粒子の平均二次粒径は、80nm未満である、研磨用組成物によって達成される。
本発明の研磨用組成物によれば、有機材料を高い研磨速度で研磨することができ、かつ研磨後のスクラッチを低減できる。
本発明は、ジルコニア粒子および分散媒を含む研磨用組成物であって、前記ジルコニア
粒子は、正方晶系ジルコニアおよび立方晶系ジルコニアの少なくとも一方を含み、前記ジルコニア粒子の平均二次粒径は、80nm未満である、研磨用組成物を提供する。本発明に係る研磨用組成物によれば、有機材料を高い研磨速度で研磨することができ、かつ研磨後のスクラッチを低減できる。
本発明に係る研磨用組成物は、典型的には研磨用組成物を含む研磨液の形態で研磨対象物に供給されて、その研磨対象物の研磨に用いられる。本発明に係る研磨用組成物は、例えば、希釈(典型的には、水により希釈)して研磨液として使用されるものであってもよく、そのまま研磨液として使用されるものであってもよい。すなわち、本発明に係る研磨用組成物の概念には、研磨対象物に供給されて該研磨対象物の研磨に用いられる研磨用組成物(ワーキングスラリー)と、希釈して研磨に用いられる濃縮液(ワーキングスラリーの原液)との双方が包含される。上記濃縮液の濃縮倍率は、例えば、体積基準で2倍~100倍程度とすることができ、通常は3倍~50倍、5倍~50倍または5倍~10倍程度が適当である。
以下、本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみには限定されず、特許請求の範囲内で種々改変することができる。本明細書に記載される実施形態は、任意に組み合わせることにより、他の実施形態とすることができる。
本明細書において、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20℃以上25℃以下)/相対湿度40%RH以上50%RH以下の条件で行う。
[研磨対象物]
本発明に係る研磨対象物は、有機材料を含むことが好ましい。当該用途において、本発明に係る研磨用組成物は、特に有効な効果を奏する。
有機材料としては、特に制限されないが、アモルファス炭素(アモルファスカーボン)、スピンオンカーボン(SOC)、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、ナノ結晶ダイヤモンド、グラフェン、炭素ドープ酸化ケイ素(SiOC)、炭化ケイ素(SiC)等の炭素含有材料が挙げられる。これらの中でも、アモルファス炭素、スピンオンカーボン、炭素ドープ酸化ケイ素(SiOC)、炭化ケイ素(SiC)またはダイヤモンドライクカーボンが好ましい。
有機材料を含む膜は、CVD、PVD、スピンコート法等によって形成することができる。
本発明に係る研磨対象物は、有機材料以外に、他の材料をさらに含んでもよい。他の材料の例としては、窒素を含む材料、酸化ケイ素、単結晶シリコン、多結晶シリコン(ポリシリコン)、非晶質シリコン(アモルファスシリコン)、n型またはp型不純物がドープされた多結晶シリコン、n型またはp型不純物がドープされた非晶質シリコン、金属単体、SiGe等が挙げられる。
窒素を含む材料としては、窒化ケイ素(Si)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)等が挙げられる。
酸化ケイ素を含む研磨対象物の例としては、例えばオルトケイ酸テトラエチルを前駆体として使用して生成されるTEOS(Tetraethyl Orthosilicate)タイプ酸化ケイ素膜(以下、「TEOS」、「TEOS膜」とも称する)、HDP(High Density Plasma)膜、USG(Undoped Silicate Glass)膜、PSG(Phosphorus Silicate Glass
)膜、BPSG(Boron-Phospho Silicate Glass)膜、RTO(Rapid Thermal Oxidation)膜等が挙げられる。
金属単体の例としては、例えば、タングステン、銅、コバルト、ハフニウム、ニッケル、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム等が挙げられる。
研磨対象物は、市販品を用いてもよいし、または公知の方法により製造してもよい。
[ジルコニア粒子]
本発明に係る研磨用組成物は、砥粒として正方晶系ジルコニアおよび立方晶系ジルコニアの少なくとも一方を含むジルコニア粒子を含む。本明細書において、正方晶系ジルコニアおよび立方晶系ジルコニアの少なくとも一方を含むジルコニア粒子を、単に「ジルコニア粒子」または「本発明に係るジルコニア粒子」とも称する。なお、通常、ジルコニアは、不可避不純物であるハフニア(HfO)を含む。本明細書中、含有量など組成に関連した数値は、不可避不純物であるハフニア(HfO)をジルコニア(ZrO)とみなして算出される数値である。
ジルコニア粒子は、研磨対象物を機械的に研磨する作用を有する。有機材料を含む研磨対象物を研磨すると、砥粒に亀裂が生じ、この亀裂周りからクラックが伝搬し、研磨速度が大きく低下してしまう。一方、正方晶系ジルコニアおよび立方晶系ジルコニアは、応力がかかると、結晶相の相転移が生じ、体積が膨脹する。このような結晶相を有するジルコニア粒子を砥粒として使用すると、応力下で生じる亀裂は、各ジルコニア粒子による体積膨脹により小さくなり、亀裂周りからのクラックの伝搬を抑制する。ゆえに、本発明に係る研磨用組成物は有機材料を高い研磨速度で研磨することができる。また、結晶相に正方晶、立方晶を含む場合、酸素欠損が生じる。この時、砥粒最表面の酸素欠損部位周辺を通じて、有機膜との間に結合形成が行われるため、研磨速度が増加する。また、本発明に係る研磨用組成物に含まれるジルコニア粒子(砥粒)は平均二次粒径が80nm未満と小さい。このため、研磨後表面のスクラッチ(引っ掻き傷)を低減して、仕上がりを綺麗にすることができる。なお、上記メカニズムは推測に基づくものであり、本発明は上記メカニズムに何ら限定されるものではない。
ジルコニア粒子は、1種単独でもまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、ジルコニア粒子は、市販品を用いてもよいし、合成品を用いてもよい。
ジルコニア粒子は、正方晶系ジルコニアおよび立方晶系ジルコニアの少なくとも一方を含む。本発明の一実施形態では、ジルコニア粒子は、正方晶系ジルコニアおよび立方晶系ジルコニアから構成される。この際、正方晶系ジルコニアおよび立方晶系ジルコニアの結晶組成(相構成)は、特に制限されないが、本発明による効果のさらなる向上(例えば、研磨速度のさらなる向上、スクラッチのさらなる低減、研磨速度のさらなる向上とスクラッチのさらなる低減とのさらに良好な両立;特記しない限り、以下同様)の観点から、ジルコニア粒子における正方晶系ジルコニアと立方晶系ジルコニアとの含有比(正方晶系ジルコニア:立方晶系ジルコニア(質量比))は、0.5:9.5以上9.5:0.5以下であることが好ましく、0.5:9.5を超え9.5:0.5未満であることがより好ましく、1:9以上5:5以下であることが特に好ましい。ここで、特に研磨速度のさらなる向上の観点から、ジルコニア粒子における正方晶系ジルコニアと立方晶系ジルコニアとの含有比(正方晶系ジルコニア:立方晶系ジルコニア(質量比))は、2:8を超え8:2未満であることがさらに好ましく、4:6以上6:4以下であることが特に好ましい。また、特にスクラッチのさらなる低減の観点から、ジルコニア粒子における正方晶系ジルコニアと立方晶系ジルコニアとの含有比(正方晶系ジルコニア:立方晶系ジルコニア(質
量比))は、0.5:9.5を超え4:6未満であることがさらに好ましく、1:9以上3:7以下であることが特に好ましい。
または、ジルコニア粒子は、正方晶系ジルコニアおよび立方晶系ジルコニアの少なくとも一方に加えて、さらに単斜晶系ジルコニアを含んでもよい。本発明の一実施形態では、ジルコニア粒子は、正方晶系ジルコニアおよび立方晶系ジルコニアの少なくとも一方に加えて、さらに単斜晶系ジルコニアを含む。すなわち、ジルコニア粒子は、正方晶系ジルコニアおよび単斜晶系ジルコニアから構成される(実施形態A)、立方晶系ジルコニアおよび単斜晶系ジルコニアから構成される(実施形態B)、または正方晶系ジルコニア、立方晶系ジルコニアおよび単斜晶系ジルコニアから構成される(実施形態C)、のいずれであってもよい。本発明による効果のさらなる向上の観点から、実施形態A、実施形態Cが好ましく、実施形態Aがより好ましい。上記実施形態A~Cにおいて、ジルコニアの結晶組成(相構成)は特に制限されないが、本発明による効果のさらなる向上の観点から、ジルコニア粒子における正方晶系ジルコニアおよび立方晶系ジルコニアと単斜晶系ジルコニアとの含有比(正方晶系ジルコニアおよび立方晶系ジルコニアの合計:単斜晶系ジルコニア(質量比))は、0.5:9.5以上9.5:0.5以下であることが好ましく、0.5:9.5を超え9.5:0.5未満であることがより好ましく、2:8以上9:1以下であることが特に好ましい。ここで、特に研磨速度のさらなる向上の観点から、ジルコニア粒子における正方晶系ジルコニアおよび立方晶系ジルコニアと単斜晶系ジルコニアとの含有比(正方晶系ジルコニアおよび立方晶系ジルコニアの合計:単斜晶系ジルコニア(質量比))は、1:9を超え5:5未満であることがさらに好ましく、2:8以上4:6以下であることが特に好ましい。また、特にスクラッチのさらなる低減の観点から、ジルコニア粒子における正方晶系ジルコニアおよび立方晶系ジルコニアと単斜晶系ジルコニアとの含有比(正方晶系ジルコニアおよび立方晶系ジルコニアの合計:単斜晶系ジルコニア(質量比))は、5:5以上9.5:0.5未満であることがさらに好ましく、7:3以上9:1以下であることが特に好ましい。なお、上記ジルコニア粒子における正方晶系ジルコニアおよび立方晶系ジルコニアと単斜晶系ジルコニアとの含有比は、上記ジルコニア粒子中の正方晶系ジルコニアおよび立方晶系ジルコニアの合計量と、上記ジルコニア粒子中の単斜晶系ジルコニアと、の含有比(質量比)を意図する。このため、例えば、ジルコニア粒子が正方晶系ジルコニアを含むが立方晶系ジルコニアを含まない場合には、上記含有比は、ジルコニア粒子における正方晶系ジルコニアと単斜晶系ジルコニアとの含有比(正方晶系ジルコニア:単斜晶系ジルコニア(質量比))である。
正方晶系ジルコニア、立方晶系ジルコニアおよび単斜晶系ジルコニアの存在および組成は、従来公知の方法によって確認できる。本明細書では、下記方法によって、XRD分析によって確認される。
(結晶相の存在および組成の評価方法)
具体的には下記の装置および条件によって、X線回折像を得る:
X線回折装置:株式会社リガク製
型式 :SmartLab
測定方法 :XRD法(2θ/θスキャン)
X線発生部 :X線管球 Cu Κα
:出力 45kV 200mA
光学系 :集中法
検出部 :一次元半導体検出器
走査条件 :走査軸 2θ/θ
:走査モード 連続走査
:走査範囲 5~90°
:ステップ幅 0.02°
:走査速度 10°/min
解析 :統合粉末X線解析ソフトウェアPDXL。
同定された化合物(ジルコニアの単斜晶、正方晶、立方晶のいずれか)のみで試料が構成されると仮定し、ライブラリパターンとのマッチングから、結晶系の比率を算出する。
所望の結晶構造(結晶相)を有するジルコニア粒子を製造する方法は、特に制限されず、公知の方法を同様にしてまたは適宜修正して適用できる。例えば、乾燥ジルコニア粒子を、約1000℃以下の温度で熱処理すると、単斜晶系の結晶構造を有するジルコニア(単斜晶系ジルコニア)が得られる。また、乾燥ジルコニア粒子を、約1000℃を超えて約2370℃以下の温度で熱処理すると、正方晶系の結晶構造を有するジルコニア(正方晶系ジルコニア)が得られる。また、乾燥ジルコニア粒子を、約2370℃を超える温度で熱処理すると、立方晶系の結晶構造を有するジルコニア(立方晶系ジルコニア)が得られる。上記熱処理条件は、約1000℃を超える温度であれば、特に制限されず、所望の結晶構造や組成に応じて適切に選択できる。例えば、1~10時間、典型的には1.2~5時間かけて室温(例えば、20~25℃)から昇温を行う。その際の昇温速度は、例えば、100~1000℃/時間、または200~800℃/時間である。その後、上記所定の温度に設定し、例えば、空気中で、0.5~10時間、典型的には1~5時間保持して、熱処理を行う。その後、室温で自然冷却を行う。
また、ジルコニア粒子の結晶構造(特に正方晶系および立方晶系)を安定して保持させるために、ジルコニア粒子は、イットリウムまたは酸化イットリウム(Y)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)等の酸化物を構造安定化剤として添加してドープ(固溶)させることが好ましく、イットリウムまたは酸化イットリウム(Y)を構造安定化剤として添加してドープ(固溶)させることがより好ましい。構造安定化剤は、1種を単独で使用してもまたは2種以上を組み合わせ使用してもよいが、好ましくは1種を単独で使用する。すなわち、本発明の好ましい形態では、研磨用組成物中のジルコニア粒子は、イットリウムもしくはその酸化物、酸化カルシウム(CaO)または酸化マグネシウム(MgO)でドープされている。本発明のより好ましい形態では、研磨用組成物中のジルコニア粒子は、イットリウムまたはその酸化物でドープされている。この際、ジルコニア粉末と所望の構造安定化剤(例えば、イットリウム粉末)とを、所定のドープ量(固溶量)となるような割合で混合した後、上記のような熱処理を行うことによって、所望の結晶相を有するジルコニア粒子を準備することが好適である。例えば、ドープされたジルコニア粒子は、コロイダルジルコニアを原料とする場合、イットリウムとジルコニウムのそれぞれの前駆体を必要モル数、事前に反応させた後に粒子化して準備することが一般的である。なお、ドープの方法については、例えば、特開2010-523451号公報、米国特許第3110681号明細書等の内容を適宜参照することができる。
ジルコニア粒子を構造安定化剤でドープ(固溶)させる際の、構造安定化剤のドープ量(固溶量)(モル%)は、例えば、0.2モル%を超え、好ましくは0.5モル%以上であり、より好ましくは3.0モル%以上である。また、構造安定化剤のドープ量(固溶量)(モル%)は、例えば、15.0モル%未満であり、好ましくは13.0モル%以下であり、7.0モル%以下である。ジルコニア粒子を構造安定化剤でドープ(固溶)させる際の、構造安定化剤のドープ量(固溶量)(モル%)は、例えば、0.2モル%を超え15.0モル%未満であり、好ましくは0.5モル%以上13.0モル%以下であり、より好ましくは3.0モル%以上7.0モル%以下である。構造安定化剤のドープ量(固溶量)(モル%)は、X線蛍光(XRF)法、または当技術分野で知られている他の任意の方法によって決定することができる。本明細書において、構造安定化剤のドープ量(固溶量)(モル%)は、構造安定化剤およびジルコニア粒子の合計モル数に対する構造安定化剤
のモル数のパーセント(%)である。ジルコニア粒子における酸化イットリウムのドープ量(固溶量)(モル%)は、公知の方法によって測定できる。例えば、構造安定化剤が酸化イットリウムである場合には、ジルコニア粒子における酸化イットリウムのドープ量(固溶量)(モル%)は、下記方法によって測定される。
(X線光電子分光(XPS)分析)
MicroCarry(Rigaku製)に2質量%ジルコニア水溶液を滴下し、45℃のヒーターで加熱して乾燥させた。これを4回繰り返して、サンプルを作製した。このサンプルを走査型X線光電子分光分析装置(XPS装置)内に導入し、下記条件にて測定を行う。ZrおよびYのみを対象として、解析を行い、それぞれのmol%を算出する。
(測定条件)
XPS装置 :PHI5000 VersaProbe2(ULVAC-PHI)
Analysis Area:100umφ
X-Ray Power :25W
Pass Energy :93.9eV
Neutralizer :On
Time per Step:20ms
Measurement Range:Zr:174-194 eV、Y:151-171 eV
eV Step :0.2 eV
Sample Tilt :45deg
Shift Setup :Zr3d5/2 @182 eV
解析ソフト :Multi pak。
なお、本明細書において記載される「X(Xは数値)以上または以下」との表現は、本明細書において、X以上であってもよいし、X以下であってもよいことを意味する。つまり、補正を行う際に、Xという数値が下限値の根拠にもなりうるし、上限値の根拠にもなりうることを意味する。
ジルコニア粒子は、一次粒子および/または二次粒子を含む凝集体である。凝集体は個々の粒子の組み合わせから形成され得、これらの個々の粒子は、当該技術分野では一次粒子として知られているが、粒子の凝集した組み合わせは、当該技術分野では二次粒子として知られている。研磨用組成物中のジルコニア粒子は、研磨用組成物中に少なくとも部分的に二次粒子の形態で存在する。ジルコニア粒子は、一次粒子の形態および二次粒子の形態の両方で存在してもよい。
ジルコニア粒子は、平均二次粒径(平均二次粒子径)が80nm未満である。ジルコニア粒子の平均二次粒径は、80nm以上であると、研磨後のスクラッチが多くなる。本発明による効果のさらなる向上(特に研磨速度の向上とスクラッチの低減とのより良好なバランス)の観点から、ジルコニア粒子の平均二次粒径は、好ましくは50nm未満であり、より好ましくは45nm以下であり、さらに好ましくは40nm以下であり、特に好ましくは40nm未満である。また、ジルコニア粒子の平均二次粒径は、例えば、10nm以上であり、好ましくは20nm以上であり、より好ましくは25nm以上であり、さらに好ましくは29nm以上であり、特に好ましくは29nmを超える。ジルコニア粒子の平均二次粒径は、例えば、10nm以上80nm未満であり、好ましくは20nm以上50nm未満であり、より好ましくは25nm以上45nm以下であり、さらに好ましくは29nm以上40nm以下であり、特に好ましくは29nmを超え40nm未満である。本明細書において、ジルコニア粒子の平均二次粒径(平均二次粒子径)は、レーザー回折散乱法により求められる粒度分布において、微粒子側から積算粒子体積が全粒子体積の50%に達するときの粒子の直径(D50、以下、単に「D50」とも称する)である。具
体的には、ジルコニア粒子の平均二次粒径(平均二次粒子径)は、実施例に記載の方法により測定される値を採用する。
ジルコニア粒子の平均一次粒径(平均一次粒子径)は、1nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましく、8nmを超えることがさらに好ましい。かような範囲であれば、高い研磨速度を維持できるため、粗研磨工程において好適に使用できる。また、ジルコニア粒子の平均一次粒径は、50nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましく、15nm未満であることがさらに好ましい。かような範囲であれば、研磨後表面のスクラッチ(引っ掻き傷)を十分低減して、仕上がりを綺麗にすることができる。ジルコニア粒子の平均一次粒径は、例えば、1nm以上50nm以下であることが好ましく、5nm以上20nm以下であることがより好ましく、8nmを超え15nm未満であることがさらに好ましい。本明細書において、ジルコニア粒子の平均一次粒径(平均一次粒子径)は、例えば、BET法で測定される砥粒の比表面積に基づいて算出される。具体的には、ジルコニア粒子の平均一次粒径(平均一次粒子径)は、実施例に記載の方法により測定される値を採用する。
ジルコニア粒子の形状は、特に制限されず、球形状であってもよいし、非球形状であってもよい。非球形状の具体例としては、三角柱や四角柱などの多角柱状、円柱状、円柱の中央部が端部よりも膨らんだ俵状、円盤の中央部が貫通しているドーナツ状、板状、中央部にくびれを有するいわゆる繭型形状、複数の粒子が一体化しているいわゆる会合型球形状、表面に複数の突起を有するいわゆる金平糖形状、棒状、菱形形状、角状、ラグビーボール形状等、種々の形状が挙げられ、特に制限されない。本発明による効果のさらなる向上の観点から、ジルコニア粒子は、角部のある形状を有することが好ましく、金平糖形状、菱形形状、角状、ラグビーボール形状、棒状を有することがより好ましく、菱形形状、ラグビーボール形状を有することがさらに好ましい。
研磨用組成物中のジルコニア粒子のゼータ電位(ζ電位)は正であることが好ましい。具体的には、研磨用組成物中のジルコニア粒子のゼータ電位(ζ電位)の下限は、10mV以上が好ましく、20mV以上がより好ましく、25mV以上がさらに好ましく、30mV以上が特に好ましい。また、研磨用組成物中のジルコニア粒子のゼータ電位(ζ電位)の上限は、特に制限されないが、70mV以下が好ましく、65mV以下がより好ましく、50mV以下がさらに好ましく、40mV未満が特に好ましい。すなわち、研磨用組成物中の砥粒のゼータ電位(ζ電位)は、10mV以上70mV以下が好ましく、20mV以上65mV以下がより好ましく、25mV以上50mV以下がさらに好ましく、30mV以上40mV未満が特に好ましい。上記のようなゼータ電位を有するジルコニア粒子であれば、有機材料をより高い研磨速度で研磨することができる。
本明細書において、ジルコニア粒子のゼータ電位は、実施例に記載の方法によって測定される値を採用する。ジルコニア粒子のゼータ電位は、ジルコニア粒子の結晶構造、研磨用組成物のpH等により調整することができる。
研磨用組成物中のジルコニア粒子の含有量(濃度)は、特に制限されない。そのまま研磨液として研磨対象物の研磨に用いられる研磨用組成物(典型的にはスラリー状の研磨液であり、ワーキングスラリーまたは研磨スラリーと称されることもある)の場合には、研磨用組成物中のジルコニア粒子の含有量の下限は、研磨用組成物の総質量に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.08質量%以上であることがよりさらに好ましく、0.1質量%超であることが特に好ましい。また、研磨用組成物中のジルコニア粒子の含有量の上限は、研磨用組成物の総質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、4質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることがさらによ
り好ましく、1質量%未満であることが特に好ましい。すなわち、ジルコニア粒子の含有量は、研磨用組成物の総質量に対して、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上5質量%以下であることがより好ましく、0.08質量%以上4質量%以下であることがさらに好ましく、0.08質量%以上1質量%以下であることがさらにより好ましく、0.1質量%超1質量%未満が特に好ましい。ジルコニア粒子の含有量がこのような範囲であれば、有機材料をより高い研磨速度で研磨することができる。また、研磨後のスクラッチ数を低減することができる。
また、希釈して研磨に用いられる研磨用組成物(すなわち濃縮液、ワーキングスラリーの原液)の場合、ジルコニア粒子の含有量は、保存安定性や濾過性等の観点から、通常は、30質量%以下であることが適当であり、25質量%以下であることがより好ましい。また、濃縮液とすることの利点を活かす観点から、砥粒の含有量は、好ましくは1質量%を超え、より好ましくは2質量%以上である。
なお、研磨用組成物が2種以上のジルコニア粒子を含む場合、ジルコニア粒子の含有量は、これらの合計量を意図する。
本発明に係る研磨用組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、ジルコニア粒子以外の他の砥粒をさらに含んでもよい。かような他の砥粒は、無機粒子、有機粒子、および有機無機複合粒子のいずれであってもよい。無機粒子の具体例としては、例えば、未変性のシリカ、カチオン変性シリカ、アルミナ、セリア、チタニア等の金属酸化物からなる粒子、窒化ケイ素粒子、炭化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等が挙げられる。有機粒子の具体例としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子が挙げられる。当該他の砥粒は、1種単独でもまたは2種以上組み合わせて使用してもよい。また、当該他の砥粒は、市販品を用いてもよいし、合成品を用いてもよい。
ただし、当該他の砥粒の含有量は、砥粒の全質量に対して、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。最も好ましくは、他の砥粒の含有量が0質量%であること、すなわち砥粒がジルコニア粒子のみからなる形態である。
[分散媒]
本発明の研磨用組成物は、各成分を分散するための分散媒を含む。分散媒としては、水;メタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類;アセトン等のケトン類等や、これらの混合物などが例示できる。これらのうち、分散媒としては水が好ましい。すなわち、本発明の好ましい形態によると、分散媒は水を含む。本発明のより好ましい形態によると、分散媒は実質的に水からなる。なお、上記の「実質的に」とは、本発明の目的効果が達成され得る限りにおいて、水以外の分散媒が含まれ得ることを意図し、より具体的には、好ましくは90質量%以上100質量%以下の水と0質量%以上10質量%以下の水以外の分散媒とからなり、より好ましくは99質量%以上100質量%以下の水と0質量%以上1質量%以下の水以外の分散媒とからなる。最も好ましくは、分散媒は水である。
研磨用組成物に含まれる成分の作用を阻害しないようにするという観点から、分散媒としては、不純物をできる限り含有しない水が好ましく、例えば、遷移金属イオンの合計含有量が100ppb以下である水が好ましい。具体的には、イオン交換樹脂にて不純物イオンを除去した後、フィルタを通して異物を除去した脱イオン水(イオン交換水)、純水、超純水、または蒸留水が好ましく使用される。
[pHおよびpH調整剤]
本発明に係る研磨用組成物のpHは、好ましくは7未満である。pHが7未満であれば、有機材料の研磨速度を高く維持できる。研磨用組成物のpHは、6.5以下であることが好ましく、6.0以下であることがより好ましく、6.0未満であることがさらに好ましい。また、当該pHの下限は、1.0以上であることが好ましく、2.0以上であることがより好ましく、2.5以上であることがさらに好ましい。すなわち、本発明に係る研磨用組成物のpHは、1.0以上6.5以下であることが好ましく、2.0以上6.0以下であることがより好ましく、2.5以上6.0未満であることがさらに好ましい。所望の成分を混合によっては上記の所望のpHが得られない場合、本発明の研磨用組成物は、pH調整剤を含んでもよい。すなわち、本発明の一実施形態では、研磨用組成物は、pH調整剤をさらに含む。本発明の一実施形態では、研磨用組成物は、ジルコニア粒子、分散媒およびpH調整剤から実質的に構成される。ここで、「研磨用組成物が、ジルコニア粒子、分散媒およびpH調整剤から実質的に構成される」とは、ジルコニア粒子、分散媒およびpH調整剤の合計含有量が、研磨用組成物に対して、99質量%を超える(上限:100質量%)ことを意図する。好ましくは、研磨用組成物は、ジルコニア粒子、分散媒およびpH調整剤から構成される(上記合計含有量=100質量%)。
pH調整剤は、無機酸、有機酸、および塩基のいずれであってもよい。pH調整剤は、1種単独でも、または2種以上組み合わせても用いることができる。
pH調整剤として使用できる無機酸の具体例としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、ホウ酸、炭酸、次亜リン酸、亜リン酸、およびリン酸が挙げられる。これらのうち、塩酸、硫酸、硝酸またはリン酸が好ましく、硝酸がより好ましい。
pH調整剤として使用できる有機酸の具体例としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2-メチル酪酸、n-ヘキサン酸、3,3-ジメチル酪酸、2-エチル酪酸、4-メチルペンタン酸、n-ヘプタン酸、2-メチルヘキサン酸、n-オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ジグリコール酸、2-フランカルボン酸、2,5-フランジカルボン酸、3-フランカルボン酸、2-テトラヒドロフランカルボン酸、メトキシ酢酸、メトキシフェニル酢酸、フェノキシ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、およびイセチオン酸等が挙げられる。
無機酸または有機酸の代わりにあるいは無機酸または有機酸と組み合わせて、無機酸または有機酸のアルカリ金属塩等の塩をpH調整剤として用いてもよい。弱酸と強塩基、強酸と弱塩基、または弱酸と弱塩基の組み合わせの場合、pHの緩衝作用が期待できる。
pH調整剤として使用できる塩基の具体例としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等を挙げることができる。pH調整剤の添加量は、特に制限されず、研磨用組成物が所望のpHとなるように適宜調整すればよい。
研磨用組成物のpHは、例えばpHメーターにより測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
[電気伝導度]
本発明に係る研磨用組成物の電気伝導度(EC)は、4.0mS/cm以下であることが好ましく、2.0mS/cm以下であることがより好ましく、1.0mS/cm以下であることがさらに好ましい。当該電気伝導度の下限は、通常0.05mS/cm以上である。
電気伝導度がこのような範囲であれば、研磨後の研磨対象物表面の平坦性をより向上させることができる。なお、電気伝導度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明において、研磨用組成物を所望の電気伝導度の値に制御する方法も特に制限されないが、例えば、研磨用組成物のpH、また、任意で添加されるpH調整剤の種類および添加量等を調節することにより制御することができる。
[その他の成分]
本発明に係る研磨用組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、分散剤、リン含有化合物、酸化剤、錯化剤、防腐剤、防カビ剤等の、研磨用組成物に用いられ得る公知の添加剤をさらに含有してもよい。これらの中でも、研磨用組成物は、酸化剤および防カビ剤の少なくとも一方を含むことが好ましい。本発明に係る研磨用組成物は、酸性である。このため、研磨用組成物は、防カビ剤を含むことがより好ましい。すなわち、本発明の一実施形態では、研磨用組成物は、ジルコニア粒子、分散媒、ならびにpH調整剤、酸化剤および防カビ剤からなる群より選択される少なくとも一種から実質的に構成される。本発明の一実施形態では、研磨用組成物は、ジルコニア粒子、分散媒、pH調整剤、ならびに酸化剤および防カビ剤の少なくとも一方から実質的に構成される。ここで、「研磨用組成物が、ジルコニア粒子、分散媒、ならびにpH調整剤、酸化剤および防カビ剤からなる群より選択される少なくとも一種から実質的に構成される」および「研磨用組成物が、ジルコニア粒子、分散媒、pH調整剤、ならびに酸化剤および防カビ剤の少なくとも一方から実質的に構成される」とは、ジルコニア粒子、分散媒、ならびにpH調整剤、酸化剤および防カビ剤(含む場合)の合計含有量が、研磨用組成物に対して、99質量%を超える(上限:100質量%)ことを意図する。好ましくは、研磨用組成物は、ジルコニア粒子、分散媒、ならびにpH調整剤、ならびに酸化剤および防カビ剤(含む場合)の少なくとも一方から構成される(上記合計含有量=100質量%)。
酸化剤は、研磨対象物の表面を酸化する作用を有し、研磨用組成物による研磨対象物の研磨速度をより向上させうる。
酸化剤の例としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、オゾン水、銀(II)塩、鉄(III)塩、過マンガン酸、クロム酸、重クロム酸、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、亜塩素酸、過塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、過硫酸、ジクロロイソシアヌル酸およびそれらの塩等が挙げられる。これら酸化剤は、1種単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。これらの中でも、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過ヨウ素酸、次亜塩素酸、およびジクロロイソシアヌル酸ナトリウムが好ましく、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウムがより好ましい。
上記酸化剤は、単独で使用されてもまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の研磨用組成物が酸化剤をさらに含む場合の、研磨用組成物中の酸化剤の含有量(濃度)は、特に制限されない。例えば、ワーキングスラリー(研磨スラリー)では、研磨用組成物中の酸化剤の含有量(濃度)は、研磨用組成物の全質量に対して、0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上2質量%以下であることがさらに好ましい。このような範囲であれば、有機材料をより高い研磨速度で研磨することができる。また、研磨後のスクラッチ数を低減することができる。なお、研磨用組成物が2種以上の酸化剤を含む場合には、酸化剤の含有量は、これらの合計量を意図する。
防カビ剤(防腐剤)は、特に制限されず、所望の用途、目的に応じて適切に選択できる。具体的には、1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)-オン(BIT)、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンや、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン等のイソチアゾリン系防腐剤、およびフェノキシエタノール等が挙げられる。
研磨用組成物が防カビ剤(防腐剤)を含む場合の、研磨用組成物中の防カビ剤(防腐剤)の含有量(濃度)は、特に制限されない。例えば、ワーキングスラリー(研磨スラリー)では、研磨用組成物中の防カビ剤(防腐剤)の含有量(濃度)は、研磨用組成物の全質量に対して、好ましくは0.0001質量%以上3質量%以下、より好ましくは0.001質量%以上3質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以上1質量%未満である。このような範囲であれば、微生物を不活性化または破壊するのに十分な効果が得られる。
上記に加えてまたは上記に代えて、研磨用組成物は、分散剤を含むことが好ましい。ここで、分散剤は、特に制限されず、所望の用途、目的に応じて適切に選択できる。貯蔵後の分散性(特にジルコニア粒子の分散性)の観点から、糖アルコールを使用することが好ましい。ジルコニア粒子(砥粒)表面は通常疎水性であり、砥粒同士が凝集しやすい。一方、糖アルコールは、側鎖に水酸基を有し、ジルコニア粒子(砥粒)と混合すると、ジルコニア粒子の疎水表面に糖アルコールの疎水性基(炭化水素基)が付着して糖アルコールの水酸基がジルコニア粒子の外側に配向し、ジルコニア粒子表面が親水化される。この親水化により、ジルコニア粒子は分散媒(特に水)と混ざりやすくなり、粒子として別個に存在できる。また、砥粒の表面に糖アルコールが付着して、立体障害が起こり、砥粒同士の凝集が抑制できる。なお、上記ジルコニア粒子の分散性向上メカニズムは推測であり、本発明は上記推測に限定されない。
すなわち、本発明の一実施形態では、研磨用組成物は、糖アルコールをさらに含む。
すなわち、本発明の一実施形態では、研磨用組成物は、ジルコニア粒子、分散媒、分散剤、ならびにpH調整剤、酸化剤および防カビ剤からなる群より選択される少なくとも一種から実質的に構成される。本発明の一実施形態では、研磨用組成物は、ジルコニア粒子、分散媒、pH調整剤および分散剤から実質的に構成される。本発明の一実施形態では、研磨用組成物は、ジルコニア粒子、分散媒、pH調整剤、分散剤、ならびに酸化剤および防カビ剤の少なくとも一方から実質的に構成される。ここで、「研磨用組成物は、ジルコニア粒子、分散媒、pH調整剤および分散剤から実質的に構成される」、「研磨用組成物が、ジルコニア粒子、分散媒、分散剤、ならびにpH調整剤、酸化剤および防カビ剤からなる群より選択される少なくとも一種から実質的に構成される」および「研磨用組成物が、ジルコニア粒子、分散媒、pH調整剤、分散剤、ならびに酸化剤および防カビ剤の少なくとも一方から実質的に構成される」とは、ジルコニア粒子、分散媒、分散剤、ならびにpH調整剤、酸化剤および防カビ剤(含む場合)の合計含有量が、研磨用組成物に対して、99質量%を超える(上限:100質量%)ことを意図する。好ましくは、研磨用組成物は、研磨用組成物は、ジルコニア粒子、分散媒、pH調整剤および分散剤から構成される(上記合計含有量=100質量%)。好ましくは、研磨用組成物は、ジルコニア粒子、分散媒、分散剤、ならびにpH調整剤、酸化剤および防カビ剤からなる群より選択される少なくとも一種から構成される(上記合計含有量=100質量%)。好ましくは、研磨用組成物は、ジルコニア粒子、分散媒、pH調整剤、分散剤、ならびに酸化剤および防カビ剤の少なくとも一方から構成される(上記合計含有量=100質量%)。
糖アルコールは、特に制限されないが、分子内に3個以上のヒドロキシ基を有することが好ましい。具体的には、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビタン、アドニトール、マルチトール、トレイトール、エリトリトール、アラビニトール、リビトール、キシリトール、イジトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、ガラクチトール、ズルシトール、タリトール、アリトール、ペルセイトール、ボレミトール、D-エリトロ-L-ガラオクチトール、D-エリトロ-L-タロオクチトール、エリトロマンノオクチトール、D-トレオ-L-ガラオクチトール、D-アラボ-D-マンノノニトール、D-グルコ-D-ガラデシトール、ボルネシトール、コンズリトール、イノシトール、オノニトール、ピニトール、ピンポリトール、クェブラキトール、バリエノール、ビスクミトールなどが挙げられる。これらのうち直鎖構造の糖アルコールがより好ましく、具体的には、ソルビトール、キシリトール、アドニトール、トレイトール、エリトリトール、アラビニトール、リビトール、イジトール、マンニトール、ガラクチトール、タリトール、アリトール、ペルセイトールが好ましく、ソルビトール、キシリトールがより好ましく、ソルビトールが特に好ましい。これら糖アルコールは、1種単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
糖アルコールの分子量は、特に制限されないが、80以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましく、120以上であることがさらに好ましい。また、糖アルコールの分子量は、特に制限されないが、1000未満であることが好ましく、600以下であることがより好ましく、400以下であることがさらに好ましい。すなわち、糖アルコールの分子量は、80以上1000未満であることが好ましく、100以上600以下であることがより好ましく、120以上400以下であることがさらに好ましい。
本発明の研磨用組成物が分散剤(特に糖アルコール)をさらに含む場合の、分散剤(特に糖アルコール)の含有量(濃度)は、特に制限されず、所望の用途、目的に応じて適切に選択できる。例えば、ワーキングスラリー(研磨スラリー)では、研磨用組成物中の分散剤(特に糖アルコール)の含有量(濃度)は、研磨用組成物の全質量に対して、例えば、0.001質量%(10ppm)以上、好ましくは0.005質量%(50ppm)以上、より好ましくは0.005質量%(50ppm)を超え、特に好ましくは0.01質量%(100ppm)以上である。また、研磨用組成物中の分散剤(特に糖アルコール)の含有量(濃度)の上限は、研磨用組成物の全質量に対して、例えば、5質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%未満、特に好ましくは0.05質量%(500ppm)以下である。すなわち、研磨用組成物中の分散剤(特に糖アルコール)の含有量(濃度)は、研磨用組成物の全質量に対して、例えば、0.001質量%以上5質量%以下、好ましくは0.005質量%以上0.5質量%以下、より好ましくは0.005質量%を超え0.1質量%未満、特に好ましくは0.01質量%以上0.05質量%以下である。分散剤の含有量がこのような範囲であれば、砥粒(特にジルコニア粒子)を長期間貯蔵した後であっても良好な分散性を維持できる。また、研磨後のスクラッチのさらなる低減効果の観点から、研磨用組成物中の分散剤(特に糖アルコール)の含有量(濃度)は、研磨用組成物の全質量に対して、好ましくは0.1質量%未満、より好ましくは0.05質量%以下、特に好ましくは0.05質量%未満である。なお、研磨用組成物中の分散剤(特に糖アルコール)の含有量(濃度)の下限は、研磨用組成物の全質量に対して、例えば、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.008質量%以上、特に好ましくは0.008質量%を超える。すなわち、研磨用組成物中の分散剤(特に糖アルコール)の含有量(濃度)は、研磨用組成物の全質量に対して、例えば、0.001質量%以上0.1質量%未満、好ましくは0.005質量%以上0.1質量%未満、より好ましくは0.008質量%以上0.05質量%以下、特に好ましくは0.008質量%超0.05質量%未満である。
上記に加えてまたは上記に代えて、研磨用組成物は、リン含有化合物を含んでもよい。ここで、リン含有化合物は、追加の研磨向上剤、特にLow-k膜研磨向上剤として作用する。このため、特に研磨対象物が低誘電率(Low-k)材料を含むまたは低誘電率(Low-k)材料から構成される場合には、研磨用組成物は、リン含有化合物を含むことが好ましい。リン含有化合物の存在により、有機材料、特に低誘電率(Low-k)材料であるSiOC(SiOにCをドープした炭素含有酸化ケイ素)、炭化ケイ素等の膜(「低誘電率(Low-k)膜」または「Low-k膜」とも称する)の研磨速度を向上できる。低誘電率(Low-k)材料は、多層配線形成工程における層間絶縁膜の材料として配線間容量を抑えることを目的として採用されつつある。
ここで、リン含有化合物は、式:-P(=O)(OH)O-の基を有する化合物を意味する。リン含有化合物が存在すると、Low-k膜表面はマイナス電荷を帯びる一方、ジルコニア粒子はプラス電荷を帯びる。このため、砥粒とLow-k膜(研磨対象物)との物理的な接触による応力が増加し、研磨速度が向上する。なお、上記研磨速度向上メカニズムは推測であり、本発明は上記推測に限定されない。
すなわち、本発明の一実施形態では、研磨用組成物は、リン含有化合物をさらに含む。
すなわち、本発明の一実施形態では、研磨用組成物は、ジルコニア粒子、分散媒、リン含有化合物ならびにpH調整剤、分散剤、酸化剤および防カビ剤からなる群より選択される少なくとも一種から実質的に構成される。本発明の一実施形態では、研磨用組成物は、ジルコニア粒子、分散媒、pH調整剤およびリン含有化合物から実質的に構成される。本発明の一実施形態では、研磨用組成物は、ジルコニア粒子、分散媒、pH調整剤、分散剤、リン含有化合物、ならびに酸化剤および防カビ剤の少なくとも一方から実質的に構成される。ここで、「研磨用組成物は、ジルコニア粒子、分散媒、pH調整剤およびリン含有化合物から実質的に構成される」、「研磨用組成物は、ジルコニア粒子、分散媒、リン含有化合物ならびにpH調整剤、分散剤、酸化剤および防カビ剤からなる群より選択される少なくとも一種から実質的に構成される」および「研磨用組成物は、ジルコニア粒子、分散媒、pH調整剤、分散剤、リン含有化合物、ならびに酸化剤および防カビ剤の少なくとも一方から実質的に構成される」とは、ジルコニア粒子、分散媒、分散剤、リン含有化合物、pH調整剤、酸化剤および防カビ剤(含む場合)の合計含有量が、研磨用組成物に対して、99質量%を超える(上限:100質量%)ことを意図する。好ましくは、研磨用組成物は、ジルコニア粒子、分散媒、pH調整剤およびリン含有化合物から構成される(上記合計含有量=100質量%)。好ましくは、研磨用組成物は、ジルコニア粒子、分散媒、リン含有化合物ならびにpH調整剤、分散剤、酸化剤および防カビ剤からなる群より選択される少なくとも一種から構成される(上記合計含有量=100質量%)。好ましくは、研磨用組成物は、ジルコニア粒子、分散媒、pH調整剤、分散剤、リン含有化合物、ならびに酸化剤および防カビ剤の少なくとも一方から構成される(上記合計含有量=100質量%)。
リン含有化合物は、式:-P(=O)(OH)O-の基を有するものであれば特に制限されない。具体的には、ホスホン酸、メチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、および1-ナフチルメチルホスホン酸等のホスホン酸基を1個含む化合物;トリポリリン酸;メチレンジホスホン酸(MDPNA)、エチレンジホスホン酸(EDPNA)、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(エチドロン酸、HEDP)等のホスホン酸基を2個含む化合物;ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)(NTMP)、エチレンジアミンテトラホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)およびジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)等のホスホン酸基を3個以上含む化合物などが挙げられる。これらのうち、低誘電率(Low-k)膜をより高い研磨速度で向上できるとの観点から、リン含有化合物は、式:-P(=O)(OH)O-の基を2個以上有することが好ましい。また、ジルコニア粒子の凝集をより効果的に抑制できるとの観点から、リン含有化合物は、式:-P(=O)(OH)O-の基を4個以下有することが好ましい。すなわち、本発明の好ましい形態では、リン含有化合物は、式:-P(=O)(OH)O-の基を2~4個有する化合物であることが好ましく、式:-P(=O)(OH)O-の基を2個または3個有する化合物であることがより好ましく、式:-P(=O)(OH)O-の基を2個有する化合物であることが特に好ましい。
すなわち、本発明の好ましい実施形態では、研磨用組成物は、さらにリン含有化合物を含み、この際、上記リン含有化合物は、メチレンジホスホン酸(MDPNA)、エチレンジホスホン酸(EDPNA)、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(エチドロン酸、HEDP)、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)(NTMP)、トリポリリン酸、エチレンジアミンテトラホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)およびジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)から構成される群より選択される少なくとも一種を含む。本発明のより好ましい実施形態では、研磨用組成物は、さらにリン含有化合物を含み、この際、上記リン含有化合物は、メチレンジホスホン酸(MDPNA)、エチレンジホスホン酸(EDPNA)、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(エチドロン酸、HEDP)、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)(NTMP)およびトリポリリン酸から構成される群より選択される少なくとも一種を含む。本発明のさらに好ましい実施形態では、研磨用組成物は、さらにリン含有化合物を含み、この際、上記リン含有化合物は、メチレンジホスホン酸(MDPNA)、エチレンジホスホン酸(EDPNA)、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(エチドロン酸、HEDP)、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)(NTMP)およびトリポリリン酸から構成される群より選択される。本発明の特に好ましい実施形態では、研磨用組成物は、さらにリン含有化合物を含み、この際、上記リン含有化合物は、メチレンジホスホン酸(MDPNA)、エチレンジホスホン酸(EDPNA)および1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(エチドロン酸、HEDP)から構成される群より選択される少なくとも一種を含む。本発明の最も好ましい実施形態では、研磨用組成物は、さらにリン含有化合物を含み、この際、上記リン含有化合物は、メチレンジホスホン酸(MDPNA)、エチレンジホスホン酸(EDPNA)および1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(エチドロン酸、HEDP)から構成される群より選択される。
本発明の研磨用組成物がリン含有化合物をさらに含む場合の、リン含有化合物の含有量(濃度)は、特に制限されず、所望の用途、目的に応じて適切に選択できる。例えば、ワーキングスラリー(研磨スラリー)では、研磨用組成物中のリン含有化合物の含有量(濃度)は、研磨用組成物の全質量に対して、例えば、0.001質量%(10ppm)以上、好ましくは0.005質量%(50ppm)以上、より好ましくは0.005質量%(50ppm)を超え、特に好ましくは0.01質量%(100ppm)以上である。また、研磨用組成物中のリン含有化合物の含有量(濃度)の上限は、研磨用組成物の全質量に対して、例えば、5質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%未満、特に好ましくは0.05質量%(500ppm)以下である。すなわち、研磨用組成物中のリン含有化合物の含有量(濃度)は、研磨用組成物の全質量に対して、例えば、0.001質量%以上5質量%以下、好ましくは0.005質量%以上0.5質量%以下、より好ましくは0.005質量%を超え0.1質量%未満、特に好ましくは0.01質量%以上0.05質量%以下である。リン含有化合物の含有量がこのような範囲であれば、低誘電率(Low-k)膜をより高い速度で研磨できる。
[研磨用組成物の製造方法]
本発明に係る研磨用組成物の製造方法は、特に制限されず、例えば、ジルコニア粒子、および必要に応じて他の添加剤(例えば、pH調整剤、分散剤、リン含有化合物、酸化剤、防カビ剤)を、分散媒中(好ましくは水中)で攪拌混合することにより得ることができる。各成分の詳細は上記の通りである。
各成分を混合する際の温度は特に制限されないが、10℃以上40℃以下が好ましく、溶解速度を上げるために加熱してもよい。また、混合時間も、均一混合できれば特に制限されない。
[研磨方法および半導体基板の製造方法]
上記のように、本発明に係る研磨用組成物は、有機材料を有する研磨対象物の研磨に好適に用いられる。よって、本発明は、本発明に係る研磨用組成物を用いて、有機材料を含む研磨対象物を研磨することを有する、研磨方法を提供する。また、本発明は、本発明に係る研磨用組成物を用いて、有機材料を含む半導体基板を研磨することを有する、半導体基板の製造方法を提供する。また、本発明は、有機材料を含む半導体基板を、本発明に係
る研磨方法により研磨することを有する、半導体基板の製造方法を提供する。
研磨装置としては、研磨対象物を有する基板等を保持するホルダーと回転数を変更可能なモーター等とが取り付けてあり、研磨パッド(研磨布)を貼り付け可能な研磨定盤を有する一般的な研磨装置を使用することができる。
研磨パッドとしては、一般的な不織布、ポリウレタン、および多孔質フッ素樹脂等を特に制限なく使用することができる。研磨パッドには、研磨液が溜まるような溝加工が施されていることが好ましい。
研磨条件については、例えば、研磨定盤およびキャリアの回転速度は、10rpm(0.17s-1)以上500rpm(8.33s-1)が好ましい。研磨対象物を有する基板にかける圧力(研磨圧力)は、0.5psi(3.4kPa)以上10psi(68.9kPa)が好ましい。
研磨パッドに研磨用組成物を供給する方法も特に制限されず、例えば、ポンプ等で連続的に供給する方法が採用される。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に本発明に係る研磨用組成物で覆われていることが好ましい。
研磨終了後、基板を流水中で洗浄し、スピンドライヤ等により基板上に付着した水滴を払い落として乾燥させることにより、金属を含む層を有する基板が得られる。
本発明に係る研磨用組成物は、一液型であってもよいし、二液型をはじめとする多液型であってもよい。また、本発明に係る研磨用組成物は、研磨用組成物の原液を水などの希釈液を使って、例えば3倍以上(または、例えば5倍以上)に希釈することによって調製されてもよい。
本発明の実施形態を詳細に説明したが、これは説明的かつ例示的なものであって限定的ではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって解釈されるべきであることは明らかである。
本発明は、下記態様および形態を包含する。
1.ジルコニア粒子および分散媒を含む研磨用組成物であって、
前記ジルコニア粒子は、正方晶系ジルコニアおよび立方晶系ジルコニアの少なくとも一方を含み、
前記ジルコニア粒子の平均二次粒径は、80nm未満である、研磨用組成物。
2.前記ジルコニア粒子の平均二次粒径は、50nm未満である、上記1.に記載の研磨用組成物。
3.前記研磨用組成物中のジルコニア粒子のゼータ電位が正である、上記1.または上記2.に記載の研磨用組成物。
4.前記研磨用組成物中のジルコニア粒子は、イットリウムまたはその酸化物でドープされている、上記1.~上記3.のいずれかに記載の研磨用組成物。
5.前記ジルコニア粒子は、正方晶系ジルコニアおよび立方晶系ジルコニアから構成される、上記1.~上記4.のいずれかに記載の研磨用組成物。
6.前記ジルコニア粒子における前記正方晶系ジルコニアと前記立方晶系ジルコニアとの含有比(質量比)は0.5:9.5以上9.5:0.5以下である、上記5.に記載の研磨用組成物。
7.さらに単斜晶系ジルコニアを含む、上記1.~上記4.のいずれかに記載の研磨用組成物。
8.前記ジルコニア粒子における前記正方晶系ジルコニアおよび前記立方晶系ジルコニア
と前記単斜晶系ジルコニアとの含有比(質量比)は0.5:9.5以上9.5:0.5以下である、上記7.に記載の研磨用組成物。
9.pHが7未満である、上記1.~上記8.のいずれかに記載の研磨用組成物。
10.pH調整剤をさらに含む、上記1.~上記9.のいずれかに記載の研磨用組成物。11.糖アルコールをさらに含む、上記1.~上記10.のいずれかに記載の研磨用組成物。
12.リン含有化合物をさらに含む、上記1.~上記11.のいずれかに記載の研磨用組成物。
13.上記1.~上記12.のいずれかに記載の研磨用組成物を用いて、有機材料を含む研磨対象物を研磨することを有する、研磨方法。
14.上記1.~上記12.のいずれかに記載の研磨用組成物を用いて、有機材料を含む半導体基板を研磨することを有する、半導体基板の製造方法。
本発明を、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。また、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)/相対湿度40%RH以上50%RH以下の条件下で行った。
[各種物性の測定方法]
各種物性は、以下の方法により測定した。
<粒径の測定>
ジルコニア粒子の一次粒径は、BET法から比表面積(SA)(nm)を算出して求めた。ジルコニア粒子を真球と仮定して、当該比表面積(SA)を基に、式:SA=4πR(SA=比表面積、R=半径)を用いて、ジルコニア粒子の直径(2R)(一次粒径)(nm)を算出し、その平均を求め、これをジルコニア粒子の平均一次粒径(nm)とする。
ジルコニア粒子の平均二次粒径(D50)は、粒子径分布測定装置(ナノトラック UPA-UT151、マイクロトラック・ベル社製)を用いた動的光散乱法により、体積平均粒子径として測定された値を採用した。詳細には、ジルコニア粒子を0.1質量%濃度で水に分散させた分散液を用い、ジルコニア粒子の粒径の測定を行った。測定機器による解析により、ジルコニア粒子の粒径の粒度分布において、微粒子側から積算粒子体積が全粒子体積の50%に達するときの粒子の直径D50(nm)を算出し、これをジルコニア粒子の平均二次粒径(D50)(nm)とする。
<ゼータ電位の測定>
ジルコニア粒子のゼータ電位(ζ電位)の測定は、大塚電子株式会社製のゼータ電位測定装置(商品名「ELS-Z」)を用いて行った。
<pHの測定>
研磨用組成物のpHは、pHメーター(株式会社堀場製作所製、型番:F-71)により測定した。
<電気伝導度(EC)の測定>
研磨用組成物(液温:25℃)の電気伝導度(EC)は、卓上型電気伝導度計(株式会社堀場製作所製 型番:DS-71)により測定した。
[研磨用組成物の調製]
実施例1
砥粒の製造方法
20%酢酸酸化ジルコニウム水溶液(東京化成工業株式会社)100gを純水200gと混合して、水溶液1を調製した。酢酸イットリウム4水和物(富士フイルム和光純薬株式会社)0.1gを純水100gに溶解し、前記水溶液1と混合した(混合液1)。この混合液1に酢酸アンモニウムを加えて、溶液の電導度を5mS/cmに調整した。オート
クレーブで180℃で8時間水熱処理し、コロイダルジルコニア(平均一次粒径=8nm、平均二次粒径(D50)=40nm、形状=菱形、ラグビーボール型、イットリウム含有量=0.5モル%、単斜晶:正方晶=8:2(質量比))(ジルコニア粒子1)を得た。また、pH調整剤として、硝酸を準備した。
ジルコニア粒子1(砥粒)と、硝酸(pH調整剤)と、純水(分散媒)とを、室温(25℃)で30分間攪拌混合することにより、研磨用組成物1を調製した。ここで、ジルコニア粒子1の含有量は、研磨用組成物1の総量に対して0.5質量%とし、硝酸の含有量は研磨用組成物1のpHが4.5となる量とした。得られた研磨用組成物1中のジルコニア粒子のゼータ電位は、35mVであった。また、研磨用組成物1中のジルコニア粒子の粒径、イットリウム含有量、および結晶組成(相構成)は、上記ジルコニア粒子1の粒径、イットリウム含有量、および結晶組成(相構成)と同様であった。
実施例2
砥粒の製造方法
20%酢酸酸化ジルコニウム水溶液(東京化成工業株式会社)100gを純水200gと混合して、水溶液2を調製した。酢酸イットリウム4水和物(富士フイルム和光純薬株式会社)2gを純水100gに溶解し、前記水溶液2と混合した(混合液2)。この混合液2に酢酸アンモニウムを加えて、溶液の電導度を5mS/cmに調整した。オートクレーブで180℃で8時間水熱処理し、コロイダルジルコニア(平均一次粒径=5nm、平均二次粒径(D50)=29nm、形状=菱形、ラグビーボール型、イットリウム含有量=13.0モル%、正方晶:立方晶=1:9(質量比))(ジルコニア粒子2)を得た。
実施例1において、上記ジルコニア粒子2をジルコニア粒子1の代わりに使用した以外は、実施例1と同様にして、研磨用組成物2を調製した。得られた研磨用組成物2中のジルコニア粒子のゼータ電位は、35mVであった。また、研磨用組成物2中のジルコニア粒子の粒径、イットリウム含有量、および結晶組成(相構成)は、上記ジルコニア粒子2の粒径、イットリウム含有量、および結晶組成(相構成)と同様であった。
実施例3
砥粒の製造方法
20%酢酸酸化ジルコニウム水溶液(東京化成工業株式会社)100gを純水200gと混合して、水溶液3を調製した。酢酸イットリウム4水和物(富士フイルム和光純薬株式会社)1gを純水100gに溶解し、前記水溶液3と混合した(混合液3)。この混合液3に酢酸アンモニウムを加えて、溶液の電導度を5mS/cmに調整した。オートクレーブで180℃で8時間水熱処理し、コロイダルジルコニア(平均一次粒径=11nm、平均二次粒径(D50)=35nm、形状=菱形、ラグビーボール型、イットリウム含有量=7.0モル%、正方晶:立方晶=5:5(質量比))(ジルコニア粒子3)を得た。
実施例1において、上記ジルコニア粒子3をジルコニア粒子1の代わりに使用した以外は、実施例1と同様にして、研磨用組成物3を調製した。得られた研磨用組成物3中のジルコニア粒子のゼータ電位は、35mVであった。また、研磨用組成物3中のジルコニア粒子の粒径、イットリウム含有量、および結晶組成(相構成)は、上記ジルコニア粒子3の粒径、イットリウム含有量、および結晶組成(相構成)と同様であった。
実施例4
砥粒の製造方法
20%酢酸酸化ジルコニウム水溶液(東京化成工業株式会社)100gを純水200gと混合して、水溶液4を調製した。酢酸イットリウム4水和物(富士フイルム和光純薬株式会社)0.4gを純水100gに溶解し、前記水溶液4と混合した(混合液4)。この
混合液4に酢酸アンモニウムを加えて、溶液の電導度を5mS/cmに調整した。オートクレーブで180℃で8時間水熱処理し、コロイダルジルコニア(平均一次粒径=12nm、平均二次粒径(D50)=35nm、形状=菱形、ラグビーボール型、イットリウム含有量=3.0モル%、単斜晶:正方晶=1:9(質量比))(ジルコニア粒子4)を得た。
実施例1において、上記ジルコニア粒子4をジルコニア粒子1の代わりに使用した以外は、実施例1と同様にして、研磨用組成物4を調製した。得られた研磨用組成物4中のジルコニア粒子のゼータ電位は、35mVであった。また、研磨用組成物4中のジルコニア粒子の粒径、イットリウム含有量、および結晶組成(相構成)は、上記ジルコニア粒子4の粒径、イットリウム含有量、および結晶組成(相構成)と同様であった。
実施例5~9
実施例1と同様にしてジルコニア粒子1(砥粒)を得た。また、pH調整剤として、硝酸を準備した。
ジルコニア粒子1(砥粒)と、硝酸(pH調整剤)と、ソルビトール(分散剤)と、純水(分散媒)とを、室温(25℃)で30分間攪拌混合することにより、研磨用組成物5~9を調製した。ここで、ジルコニア粒子1の含有量は、研磨用組成物5~9の総量に対して0.5質量%とした。ソルビトールの含有量は、研磨用組成物5~9の総量に対して、それぞれ、0.001質量%(10ppm)(実施例5)、0.005質量%(50ppm)(実施例6)、0.008質量%(80ppm)(実施例7)、0.01質量%(100ppm)(実施例8)および0.05質量%(500ppm)(実施例9)とした。硝酸の含有量は研磨用組成物5~9のpHが4.5となる量とした。得られた研磨用組成物5~9中のジルコニア粒子のゼータ電位は、35mVであった。また、研磨用組成物5~9中のジルコニア粒子のイットリウム含有量、および結晶組成(相構成)は、上記ジルコニア粒子1のイットリウム含有量、および結晶組成(相構成)と同様であった。
実施例10
実施例1と同様にしてジルコニア粒子1(砥粒)を得た。また、pH調整剤として、硝酸を準備した。
ジルコニア粒子1(砥粒)と、硝酸(pH調整剤)と、キシリトール(分散剤)と、純水(分散媒)とを、室温(25℃)で30分間攪拌混合することにより、研磨用組成物10を調製した。ここで、ジルコニア粒子1の含有量は、研磨用組成物10の総量に対して0.5質量%と、キシリトールの含有量は、研磨用組成物10の総量に対して、0.01質量%とし、硝酸の含有量は研磨用組成物10のpHが4.5となる量とした。得られた研磨用組成物10中のジルコニア粒子のゼータ電位は、35mVであった。また、研磨用組成物10中のジルコニア粒子のイットリウム含有量、および結晶組成(相構成)は、上記ジルコニア粒子1のイットリウム含有量、および結晶組成(相構成)と同様であった。
比較例1
コロイダルジルコニア(第一稀元素化学工業株式会社、ZSL-20N、平均一次粒径=12nm、平均二次粒径(D50)=70nm、形状=ウニ型、イットリウム含有量=0モル%、単斜晶)(ジルコニア粒子5)を、砥粒として準備した。
実施例1において、上記ジルコニア粒子5をジルコニア粒子1の代わりに使用した以外は、実施例1と同様にして、比較研磨用組成物1を調製した。得られた比較研磨用組成物1中のジルコニア粒子のゼータ電位は、40mVであった。また、比較研磨用組成物1中のジルコニア粒子の粒径、イットリウム含有量、および結晶組成(相構成)は、上記ジル
コニア粒子5の粒径、イットリウム含有量、および結晶組成(相構成)と同様であった。
比較例2
コロイダルジルコニア(第一稀元素化学工業株式会社、9631ZR、平均一次粒径=12nm、平均二次粒径(D50)=43nm、形状=角丸型、イットリウム含有量=0モル%、単斜晶)(ジルコニア粒子6)を、砥粒として準備した。
実施例1において、上記ジルコニア粒子6をジルコニア粒子1の代わりに使用した以外は、実施例1と同様にして、比較研磨用組成物2を調製した。得られた比較研磨用組成物2中のジルコニア粒子のゼータ電位は、40mVであった。また、比較研磨用組成物2中のジルコニア粒子の粒径、イットリウム含有量、および結晶組成(相構成)は、上記ジルコニア粒子6の粒径、イットリウム含有量、および結晶組成(相構成)と同様であった。
比較例3
コロイダルジルコニア(太陽鉱工株式会社、ZS3000-A、平均一次粒径=100nm、平均二次粒径(D50)=220nm、形状=球形、イットリウム含有量=0モル%、単斜晶(ジルコニア粒子7)を、砥粒として準備した。
実施例1において、上記ジルコニア粒子7をジルコニア粒子1の代わりに使用した以外は、実施例1と同様にして、比較研磨用組成物3を調製した。得られた比較研磨用組成物3中のジルコニア粒子のゼータ電位は、35mVであった。また、比較研磨用組成物3中のジルコニア粒子の粒径、イットリウム含有量、および結晶組成(相構成)は、上記ジルコニア粒子7の粒径、イットリウム含有量、および結晶組成(相構成)と同様であった。
各実施例および各比較例の研磨用組成物の構成を下記表1に示す。
各実施例および各比較例の研磨用組成物について、下記方法に従って、研磨速度、スクラッチ数、および保管安定性を評価した。結果を下記表1に示す。
[研磨速度1]
研磨対象物(基板)として、表面にアモルファスカーボンが厚さ5000Åで成膜されたシリコンウェーハ(株式会社アドバンテック製、200mmウェーハ、SKA、P型)(基板1)を準備した。
上記で得られた研磨用組成物を用いて、この準備した基板1を以下の研磨条件でそれぞれ研磨し、研磨速度を測定した:
(研磨条件)
研磨装置:EJ-380IN-CH(日本エンギス株式会社製)
研磨パッド:硬質ポリウレタンパッド(ニッタ・デュポン株式会社製、IC1010)
研磨圧力:1.4psi(1psi=6894.76Pa)
プラテン(定盤)回転数:80rpm
ヘッド(キャリア)回転数:60rpm
研磨用組成物の供給:掛け流し
研磨用組成物の流量:100ml/min
研磨時間:60秒間。
(研磨速度)
研磨前後の膜厚は、光干渉式膜厚測定装置(株式会社SCREENホールディングス製、型番:ラムダエースVM-2030)によって求めて、研磨前後の膜厚の差(Å)を研磨時間(min)で除することにより研磨速度(Å/min)を算出した(下記式参照)。基板1の研磨速度は、高いほど好ましい。基板1の研磨速度は、50Å/min以上であれば許容でき、100Å/min以上であることが好ましく、120Å/min以上であることがより好ましい。
[スクラッチ数1]
各研磨用組成物を用いて基板1(研磨対象物)を以下の研磨条件で研磨した。
(スクラッチ数評価用の研磨条件)
研磨装置:200mm用CMP片面研磨装置 Mirra(アプライド・マテリアルズ社製)
研磨パッド:硬質ポリウレタンパッド(ニッタ・デュポン株式会社製、IC1010)
研磨圧力:2.0psi
プラテン(定盤)回転数:83rpm
ヘッド(キャリア)回転数:77rpm
研磨用組成物の供給:掛け流し
研磨用組成物供給量:200ml/分
研磨時間:60秒間。
研磨後の研磨対象物表面のスクラッチ数は、ケーエルエー・テンコール社製のウェーハ検査装置“Surfscan(登録商標)SP2”を用いて、研磨対象物両面の全面(ただし外周2mmは除く)の座標を測定し、測定した座標をReview-SEM(RS-6000、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で全数観察することで、スクラッチ数を測定した。なお、深さが10nm以上100nm未満、幅が5nm以上500nm未満、長さが100μm以上の基板表面の傷をスクラッチとしてカウントした。スクラッチ数は、少ないほど好ましい。スクラッチ数は、15未満であれば許容でき、10未満であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、5未満であることが特に好ましい。
[保管安定性]
各研磨用組成物中のジルコニア粒子の平均二次粒径(D50)を、粒子径分布測定装置(ナノトラック UPA-UT151、マイクロトラック・ベル社製)を用いた動的光散乱法により、室温(25℃)で測定した。詳細には、測定機器による解析により、ジルコニア粒子の粒径の粒度分布において、微粒子側から積算粒子体積が全粒子体積の50%に達するときの粒子の直径D50(nm)を算出し、これをジルコニア粒子の平均二次粒径(D50)(nm)とする。
別途、各研磨用組成物100gをポリ瓶に秤量した。次に、各ポリ瓶を80℃に設定した恒温槽に入れ2週間放置する。所定期間放置後、各研磨用組成物中のジルコニア粒子の平均二次粒径(D50)(nm)を上記と同様にして測定する。
これら放置前後のジルコニア粒子の平均二次粒径(D50(nm)およびD50(nm))に基づいて、下記式に従って、平均二次粒径の増加率(%)を算出し、これを保管安定性の指標とした。保管安定性(平均二次粒径の増加率)(%)は絶対値が小さいほど保管安定性に優れることを示す。保管安定性(平均二次粒径の増加率)(%)の絶対値は、40%以下であれば許容でき、35%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましく、10%未満であることがさらに好ましく、5%未満であることが特に好ましい。
評価結果を下記表1に示す。
上記表1から明らかなように、実施例の研磨用組成物は、有機材料(カーボン)を含む研磨対象物を高い研磨速度で研磨することができ、かつ研磨後のスクラッチ数を低減することができることがわかる。
また、上記表1から、ソルビトール、キシリトール(分散剤)をさらに添加することによって、ジルコニア粒子の凝集を有効に抑制でき、貯蔵後の分散性を向上できることがわかる。
実施例11~15
実施例1と同様にしてジルコニア粒子1(砥粒)を得た。また、pH調整剤として、29質量% アンモニア水を準備した。
ジルコニア粒子1(砥粒)と、アンモニア水(pH調整剤)と、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)(実施例11)、メチレンジホスホン酸(MDPNA)(実施例12)、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)(NTMP)(実施例13)、トリポリリン酸(実施例14)およびエチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)(実施例15)(リン含有化合物)と、純水(分散媒)とを、室温(25℃)で30分間攪拌混合することにより、研磨用組成物11~15を調製した。アンモニア水の含有量は研磨用組成物11~15のpHが4.5となる量とした。得られた研磨用組成物11~15中のジルコニア粒子のゼータ電位および電気伝導度(EC)を測定した。結果を下記表2に示す。また、研磨用組成物11~15中のジルコニア粒子のイットリウム含有量、および結晶組成(相構成)は、上記ジルコニア粒子1のイットリウム含有量、および結晶組成(相構成)と同様であった。
実施例1の研磨用組成物1および実施例11~15の研磨用組成物11~15の構成を下記表2に示す。なお、下記表2において、アンモニア水(pH調整剤)は「NH」と表す。
実施例1の研磨用組成物1および実施例11~15の研磨用組成物11~15について、下記方法に従って、研磨速度、およびスクラッチ数を評価した。結果を下記表2に示す。
[研磨速度2]
研磨対象物(基板)として、表面にSiOC(Low-k材料)が厚さ5000Åで成膜されたシリコンウェーハ(アドバンスマテリアルズテクノロジー株式会社製、300mm、ブランケットウェーハ)(基板2)を準備した。
上記で得られた研磨用組成物を用いて、この準備した基板2を以下の研磨条件でそれぞれ研磨し、研磨速度を測定した:
(研磨条件)
研磨装置:300mm用CMP片面研磨装置 FREX300E(株式会社荏原製作所製)
研磨パッド:硬質ポリウレタンパッド(ニッタ・デュポン株式会社製、IC1010)
研磨圧力:2.0psi(1psi=6894.76Pa)
プラテン(定盤)回転数:93rpm
ヘッド(キャリア)回転数:87rpm
研磨用組成物の供給:掛け流し
研磨用組成物の流量:200ml/min
研磨時間:60秒間。
(研磨速度)
研磨前後の膜厚は、光学式膜厚測定器(ASET-f5x:ケーエルエー・テンコール社製)によって求めて、研磨前後の膜厚の差(Å)を研磨時間(min)で除することにより研磨速度(Å/min)を算出した(下記式参照)。基板2の研磨速度は、高いほど好ましい。
[スクラッチ数2]
各研磨用組成物を用いて基板2(研磨対象物)を以下の研磨条件で研磨した。
(スクラッチ数評価用の研磨条件)
研磨装置:200mm用CMP片面研磨装置 Mirra(アプライド・マテリアルズ社製)
研磨パッド:硬質ポリウレタンパッド(ニッタ・デュポン株式会社製、IC1010)
研磨圧力:2.0psi
プラテン(定盤)回転数:83rpm
ヘッド(キャリア)回転数:77rpm
研磨用組成物の供給:掛け流し
研磨用組成物供給量:200ml/分
研磨時間:60秒間。
研磨後の研磨対象物表面のスクラッチ数は、ケーエルエー・テンコール社製のウェーハ検査装置“Surfscan(登録商標)SP2”を用いて、研磨対象物両面の全面(ただし外周2mmは除く)の座標を測定し、測定した座標をReview-SEM(RS-6000、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で全数観察することで、スクラッチ数を測定した。なお、深さが10nm以上100nm未満、幅が5nm以上500nm未満、長さが100μm以上の基板表面の傷をスクラッチとしてカウントした。スクラッチ数は、少ないほど好ましい。スクラッチ数は、15未満であれば許容でき、10未満であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。
上記表2から明らかなように、リン含有化合物を添加することによって、実施例11~15の研磨用組成物11~15は、研磨後のスクラッチ数は低くおさえたまま、有機材料(Low-k材料であるSiOC)を含む研磨対象物をより高い研磨速度で研磨することができることがわかる。

Claims (14)

  1. ジルコニア粒子および分散媒を含む研磨用組成物であって、
    前記ジルコニア粒子は、正方晶系ジルコニアおよび立方晶系ジルコニアの少なくとも一方を含み、
    前記ジルコニア粒子の平均二次粒径は、80nm未満である、研磨用組成物。
  2. 前記ジルコニア粒子の平均二次粒径は、50nm未満である、請求項1に記載の研磨用組成物。
  3. 前記研磨用組成物中のジルコニア粒子のゼータ電位が正である、請求項1に記載の研磨用組成物。
  4. 前記研磨用組成物中のジルコニア粒子は、イットリウムまたはその酸化物でドープされている、請求項1に記載の研磨用組成物。
  5. 前記ジルコニア粒子は、正方晶系ジルコニアおよび立方晶系ジルコニアから構成される、請求項1に記載の研磨用組成物。
  6. 前記ジルコニア粒子における前記正方晶系ジルコニアと前記立方晶系ジルコニアとの含有比(質量比)は0.5:9.5以上9.5:0.5以下である、請求項5に記載の研磨用組成物。
  7. さらに単斜晶系ジルコニアを含む、請求項1に記載の研磨用組成物。
  8. 前記ジルコニア粒子における前記正方晶系ジルコニアおよび前記立方晶系ジルコニアと前記単斜晶系ジルコニアとの含有比(質量比)は0.5:9.5以上9.5:0.5以下である、請求項7に記載の研磨用組成物。
  9. pHが7未満である、請求項1に記載の研磨用組成物。
  10. pH調整剤をさらに含む、請求項1に記載の研磨用組成物。
  11. 糖アルコールをさらに含む、請求項1に記載の研磨用組成物。
  12. リン含有化合物をさらに含む、請求項1に記載の研磨用組成物。
  13. 請求項1~12のいずれか1項に記載の研磨用組成物を用いて、有機材料を含む研磨対象物を研磨することを有する、研磨方法。
  14. 請求項1~12のいずれか1項に記載の研磨用組成物を用いて、有機材料を含む半導体基板を研磨することを有する、半導体基板の製造方法。
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