JP2023146891A - 放射線撮像システム、制御装置、放射線撮像装置、及びそれらの制御方法、コンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】オフセットデータの取得の実行、不実行を制御することにより検査効率の低下を防止または低減する。
【解決手段】放射線撮像システムは、自動露出制御の機能を有する放射線撮像装置と制御装置とを有し、放射線撮像装置において、開始要求信号を受け付けた後、放射線の照射開始を許可する前に、自動露出制御に用いられる検出画素のためのオフセットデータを取得する処理を行う。放射線撮影システムは、自動露出制御を実行するか否かを判定し、自動露出制御を実行すると判定された場合は、オフセットデータを取得した後に放射線の照射開始を許可し、自動露出制御を実行しないと判定された場合は、オフセットデータの取得を省略して放射線の照射開始を許可するよう制御する。
【選択図】図1
【解決手段】放射線撮像システムは、自動露出制御の機能を有する放射線撮像装置と制御装置とを有し、放射線撮像装置において、開始要求信号を受け付けた後、放射線の照射開始を許可する前に、自動露出制御に用いられる検出画素のためのオフセットデータを取得する処理を行う。放射線撮影システムは、自動露出制御を実行するか否かを判定し、自動露出制御を実行すると判定された場合は、オフセットデータを取得した後に放射線の照射開始を許可し、自動露出制御を実行しないと判定された場合は、オフセットデータの取得を省略して放射線の照射開始を許可するよう制御する。
【選択図】図1
Description
本発明は、放射線撮像システム、制御装置、放射線撮像装置、及びそれらの制御方法、コンピュータプログラムに関する。
近年、医療分野で用いられているX線などの放射線を検出する放射線検出器の多機能化が検討されている。その一つとして、放射線の照射量をモニタする機能を放射線検出器に内蔵することが検討されている。この機能によって、例えば、自動露出制御(Automatic Exposure Control:AEC)が可能となる。AECでは、被検者を透過した放射線の積算照射量を検知し、検知した積算照射量が適正量に達した時点で放射線発生部による放射線の照射を停止させる。
AEC機能は、放射線検出器内部の、自動露出制御用に使用する放射線を計測する放射線検知領域(採光野)に配置された、AECのための検出画素により放射線量を検出することで実現される。この種のAECでは、AECのための検出画素に対してオフセット補正をするためのデータ(オフセットデータ)を放射線が照射していないタイミングで取得することが行われる。特許文献1には、放射線に対する感度が検出画素より低い補正画素を設け、放射線照射を開始する前に補正画素と検出画素からデータを取得することで、採光野のオフセット補正のためのデータの取得時間を短縮する放射線撮像システムが記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、AECを使用するか否かに関わらず、放射線照射を開始する直前に採光野のオフセット補正をするためのオフセットデータが取得される。このため、AECを用いない放射線撮像においても、放射線の照射開始までの遅延が発生する可能性がある。
本発明は、オフセットデータの取得の実行、不実行を制御することにより検査効率の低下を防止または低減する技術を提供する。
本発明の一態様による放射線撮像システムは、
自動露出制御の機能を有する放射線撮像装置と制御装置とを有する放射線撮像システムであって、
前記放射線撮像装置において、開始要求信号を受け付けた後、放射線の照射開始を許可する前に、前記自動露出制御に用いられる検出画素のためのオフセットデータを取得する取得手段と、
前記自動露出制御を実行するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記自動露出制御を実行すると判定された場合に、前記取得手段によりオフセットデータを取得した後に放射線の照射開始を許可し、前記自動露出制御を実行しないと判定された場合に、前記取得手段によるオフセットデータの取得を省略して放射線の照射開始を許可する制御手段と、を備える。
自動露出制御の機能を有する放射線撮像装置と制御装置とを有する放射線撮像システムであって、
前記放射線撮像装置において、開始要求信号を受け付けた後、放射線の照射開始を許可する前に、前記自動露出制御に用いられる検出画素のためのオフセットデータを取得する取得手段と、
前記自動露出制御を実行するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記自動露出制御を実行すると判定された場合に、前記取得手段によりオフセットデータを取得した後に放射線の照射開始を許可し、前記自動露出制御を実行しないと判定された場合に、前記取得手段によるオフセットデータの取得を省略して放射線の照射開始を許可する制御手段と、を備える。
本発明によれば、オフセットデータの取得の実行、不実行の制御により検査効率の低下が防止または低減される。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
[第1実施形態]
図1(a)は、第1実施形態に係る放射線撮像システム10の概略構成の一例を示す模式図である。放射線撮像システム10は、放射線撮像装置100、制御装置200、放射線発生部300、RIS410、PACS420、HIS430を備えている。なお、RISは、Radiology Information Systems(放射線部門内情報システム)の略称である。PACSは、Picture Archiving and Communication Systems(画像サーバ)の略称である。HISは、Hospital Information Systems(院内情報システム)の略称である。
図1(a)は、第1実施形態に係る放射線撮像システム10の概略構成の一例を示す模式図である。放射線撮像システム10は、放射線撮像装置100、制御装置200、放射線発生部300、RIS410、PACS420、HIS430を備えている。なお、RISは、Radiology Information Systems(放射線部門内情報システム)の略称である。PACSは、Picture Archiving and Communication Systems(画像サーバ)の略称である。HISは、Hospital Information Systems(院内情報システム)の略称である。
制御装置200は、表示部230、操作部240を有し、放射線発生部300と有線で接続され、放射線撮像装置100とは有線通信または無線通信で接続されて、各機器と通信してその動作を制御する。有線通信はEthernet(登録商標)等のLAN(Local Area Network)を介して行うことができるが、他の有線通信方式により通信を行ってもよい。また、無線通信のための構成は、例えばアンテナと通信用ICを備える。通信用ICを備える回路基板は、アンテナを介して無線LANに基づいたプロトコルの通信処理を行う。なお、無線通信における周波数帯、規格や方式には特に限定無くNFC、Bluetoothなどの近接無線やUWBなどの方式を使用してもよく、複数の無線通信の方式を有し適宜選択して通信を行っても良い。また、制御装置200は、RIS410、PACS420、HIS430とネットワーク400を介して接続されており、放射線画像や患者情報等をやり取りすることができる。
表示部230は、制御装置200の制御下で、撮像検査情報、撮像された放射線画像、各種の情報等を表示する。例えば、制御装置200は、放射線撮像装置100により取得された放射線画像データに対して画像処理を施して、放射線画像として表示部230に表示する。操作部240は、操作者からの入力情報を受け付け、その操作信号を制御装置200へ供給する。本実施形態では、表示部230は、例えば、液晶ディスプレイ等のモニタを備える。また、操作部240は、キーボード、ポインティング装置(例えば、マウス等)、タッチパネルを備える。
放射線発生部(放射線発生装置)300は、放射線を発生させる放射線管を具備しており、患者等の被写体1000に対して放射線を照射する。なお、本実施形態では図1(a)のように、放射線発生部300は、放射線撮像を行う部屋に設置されており、放射線発生部300が放射線を照射する場所的範囲は一定の範囲に限定されている例を説明するがこれに限られるものではない。例えば、放射線発生部300が可搬であってもよい。
放射線撮像装置100は、放射線発生部300から照射された放射線に基づき画像を生成する。放射線撮像装置100は自動露出制御(以下、AEC)を行う機能(AEC機能116)を有しており、図1(b)に示されるように、放射線を計測するための放射線検知領域(以下、採光野301)が一つ乃至複数箇所に配置されている。予め選択された1つまたは複数箇所の採光野301で被写体を透過した放射線の線量を計測し、予め決められた線量に到達したところで放射線の照射停止の制御を行う。放射線撮像装置100は、放射線発生部300が放射線を照射する場所的範囲に応じて、部屋や机に設置されている。
なお、本実施形態に係る放射線撮像システム10は、RIS410、PACS420、HIS430を含むものとして説明を行うが、これらの少なくとも一部を含まない構成にしてもよい。また、図1(a)では、放射線発生部および放射線検出器として、放射線発生部300、放射線撮像装置100が存在する例を示しているが、放射線発生部および放射線検出器の組み合わせはこれに限られない。例えば、さらなる放射線発生部および放射線検出器の組み合わせが放射線撮像システム10に含まれていてもよい。
次に、本実施形態に係る制御装置200の構成例について説明する。図2(a)は、制御装置200のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。制御装置200は、CPU201と、RAM202と、ROM203と、外部メモリ204と、通信I/F部205とを備えており、バス206を介して相互に接続されている。
CPU(中央演算処理装置)201は、制御装置200の動作を統括的に制御するものであり、図2(a)に示す各構成部(RAM202~通信I/F部205)とバス206を介して接続され、これらを制御する。RAM(書込み可能メモリ)202は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU201は、処理の実行に際して、ROM203から必要なコンピュータプログラム2031や基本データ等をRAM202にロードし、当該コンピュータプログラム2031等を実行することで各種の機能動作を実現する。ROM(読出し専用メモリ)203には、CPU201が処理を実行するために必要なコンピュータプログラム2031や基本データ等が記憶されている。なお、コンピュータプログラム2031は、外部メモリ204に記憶されていてもよい。
外部メモリ204は大容量記憶装置であり、例えば、ハードディスク装置やICメモリ等により実現される。外部メモリ204には、例えば、CPU201がコンピュータプログラム2031等を用いた処理を行う際に必要な各種のデータや各種の情報等が記憶されている。また、外部メモリ204には、例えば、CPU201がコンピュータプログラム2031等を用いた処理を行うことにより得られた各種のデータや各種の情報等が記憶される。通信I/F部205は、外部との通信を司る。例えば、通信I/F部205は、放射線撮像装置100と接続し、駆動回路150、読出回路160の駆動を制御するための信号を放射線撮像装置100に送信する。また、例えば、通信I/F部205は、後述の信号処理部170により取得された、デジタルの放射線画像を放射線撮像装置100から受信する。また、通信I/F部205は、ネットワーク400と接続し、RIS410、PACS420、HIS430との通信を可能にする。
バス206は、CPU201と、RAM202、ROM203、外部メモリ204及び通信I/F部205を通信可能に接続する。なお、本実施形態に係る制御装置200は専用の組込み機器として提供されるが、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット端末等の汎用の情報処理装置により実現されてもよい。
図2(b)は、本実施形態に係る制御装置200の機能構成例を示すブロック図である。制御装置200は、制御部211、通信部212、画像取得部213、保持部214、AEC制御部215、判定部216を備えている。各機能は、CPU201がROM203に格納されたコンピュータプログラム2031をRAM202に展開して実行することで実現される。なお、各機能が専用のハードウェアにより実現されてもよいし、コンピュータプログラムとハードウェアの協働により実現されてもよい。
制御部211は、放射線撮像システム10に設定されている各種設定情報の判定、作成及び編集をする。通信部212は、放射線発生部300及び放射線撮像装置100と通信する。画像取得部213は、放射線撮像装置100から通信部212を介して放射線画像を取得する。保持部214は、放射線撮像システム10の各種設定情報や通信部212を介して取得された各種情報などを記憶部(例えば、RAM202、外部メモリ204)に保持する。AEC制御部215は、判定部216の判定結果(オフセットデータ取得を実行するか否か、AECを使用するか否か)に応じて、放射線撮像装置100におけるオフセットデータの取得、AECの実行を制御する。判定部216は、採光野301のオフセットデータを取得するか否か、AECを用いた放射線撮像を実行するか否か等を判定する。なお、上述した各機能ブロックはあくまでも一例であり、制御装置200は、上述の各機能ブロックの一部を含まない構成としてもよいし、あるいは、さらなる機能ブロックを含む構成としてもよい。
図3は、第1実施形態に係る放射線撮像装置100の構成例を示す。放射線撮像装置100は、複数の行及び複数の列を構成するように撮像領域IRに配列された複数の画素と、複数の駆動線110と、複数の信号線120とを有する。複数の駆動線110は、画素の複数の行に対応して配置されており、各駆動線110が何れか1つの画素行に対応する。複数の信号線120は、画素の複数の列に対応して配置されており、各信号線120が何れか1つの画素列に対応する。
複数の画素は、放射線画像を取得するために用いられる複数の撮像画素101と、放射線の照射量をモニタするために用いられる1つ以上の検出画素104と、放射線の照射量を補正するために用いられる1つ以上の補正画素107とを含む。放射線に対する補正画素107の感度は、放射線に対する検出画素104の感度よりも低い。採光野301とは、このような検出画素104が配置された領域である。
撮像画素101は、放射線を電気信号に変換する変換素子102と、対応する信号線120と変換素子102とを互いに接続するスイッチ素子103とを含む。検出画素104は、放射線を電気信号に変換する変換素子105と、対応する信号線120と変換素子105とを互いに接続するスイッチ素子106とを含む。検出画素104は、複数の撮像画素101によって構成される行及び列に含まれるように配置される。補正画素107は、放射線を電気信号に変換する変換素子108と、信号線120と変換素子108とを互いに接続するスイッチ素子109とを含む。補正画素107は、複数の撮像画素101によって構成される行及び列に含まれるように配置される。図3では、変換素子102、変換素子105及び変換素子108に対して相異なるハッチングを付すことによって撮像画素101、検出画素104及び補正画素107を区別する。
変換素子102、変換素子105及び変換素子108は、放射線を光に変換するシンチレータと、光を電気信号に変換する光電変換素子とによって構成されてもよい。シンチレータは、一般的に、撮像領域IRを覆うようにシート状に形成され、複数の画素によって共有される。これに代えて、変換素子102、変換素子105及び変換素子108は、放射線を直接に電気信号に変換する変換素子で構成されてもよい。
スイッチ素子103、スイッチ素子106及びスイッチ素子109は、例えば、非晶質シリコンまたは多結晶シリコンなどの半導体で活性領域が構成された薄膜トランジスタ(TFT)を含んでもよい。
変換素子102の第1電極は、スイッチ素子103の第1主電極に接続され、変換素子102の第2電極は、バイアス線130に接続される。1つのバイアス線130は、列方向に延びていて、列方向に配列された複数の変換素子102の第2電極に共通に接続される。バイアス線130は、電源回路140からバイアス電圧Vsを受ける。1つの列に含まれる1つ以上の撮像画素101のスイッチ素子103の第2主電極は、1つの信号線120に接続される。1つの行に含まれる1つ以上の撮像画素101のスイッチ素子103の制御電極は、1つの駆動線110に接続される。
検出画素104及び補正画素107も撮像画素101と同様の画素構成を有しており、対応する駆動線110及び対応する信号線120に接続される。検出画素104と補正画素107とは、信号線120に排他的に接続されている。すなわち、検出画素104が接続されている信号線120に補正画素107は接続されていない。また、補正画素107が接続されている信号線120に検出画素104は接続されていない。撮像画素101は、検出画素104又は補正画素107と同じ信号線120に接続されてもよい。
駆動回路150は、駆動部218からの制御信号に従って、複数の駆動線110を通じて、駆動対象の画素に対して駆動信号を供給するように構成される。本実施形態では、駆動信号は、駆動対象の画素に含まれるスイッチ素子をオンにするための信号である。各画素のスイッチ素子は、ハイレベルの信号でオンとなり、ローレベルの信号でオフとなる。そのため、このハイレベルの信号を駆動信号と呼ぶ。画素に駆動信号が供給されることによって、この画素の変換素子に蓄積された信号が読出回路160によって読み出し可能な状態となる。駆動線110が検出画素104及び補正画素107の少なくとも一方に接続されている場合に、その駆動線110を検出駆動線111と呼ぶ。
読出回路160は、複数の信号線120を通じて、複数の画素から信号を読み出すように構成される。読出回路160は、複数の増幅部161と、マルチプレクサ162と、ADC163とを含む。複数の信号線120のそれぞれは、読出回路160の複数の増幅部161のうち対応する増幅部161に接続される。1つの信号線120は、1つの増幅部161に対応する。マルチプレクサ162は、複数の増幅部161を所定の順番で選択し、選択した増幅部161からの信号をADC163に供給する。ADC163は、供給された信号をデジタル信号に変換して出力する。
撮像画素101から読み出された信号は、信号処理部170に供給され、信号処理部170によって演算、記憶などの処理がなされる。具体的に、信号処理部170は演算部171及び記憶部172を含んでおり、演算部171が撮像画素101から読み出された信号に基づいて放射線画像を生成し、駆動制御部180へ供給する。検出画素104及び補正画素107から読み出された信号は、信号処理部170に供給され、その演算部171によって演算、記憶などの処理がなされる。具体的に、信号処理部170は、検出画素104及び補正画素107から読み出された信号に基づいて、放射線撮像装置100に対する放射線の照射を示す情報を出力する。例えば、信号処理部170は、放射線撮像装置100に対する放射線の照射を検出したり、放射線の照射量及び/または積算照射量を決定したりする。
駆動制御部180は、信号処理部170からの情報に基づいて、駆動回路150及び読出回路160を制御する。駆動制御部180は、信号処理部170からの情報に基づいて、例えば、露出(撮像画素101による照射された放射線に対応する電荷の蓄積)の開始及び終了を制御する。
放射線の照射量を決定するために、駆動制御部180は、駆動回路150を制御することによって、検出駆動線111のみを走査し、検出画素104及び補正画素107からの信号だけを読み出し可能な状態にする。次に、駆動制御部180は、読出回路160を制御することによって、検出画素104及び補正画素107に対応する列の信号を読み出し、放射線の照射量を示す情報として出力する。そのような動作により、放射線撮像装置100は、検出画素104における照射情報を放射線照射中に得ることができる。
放射線撮像装置100は、照射された放射線の線量の積算値が閾値に到達したら、放射線発生部300に終了要求信号を送信する。終了要求信号は、放射線の照射終了を要求する信号である。放射線発生部300は、終了要求信号を受信したことに応じて、放射線の照射を終了する。なお、終了要求信号は、通信I/F503より制御装置200へ送信され、制御装置200を介して放射線発生部300に送信されてもよいし、放射線撮像装置100から放射線発生部300へ直接送信されてもよい。線量の閾値は、線量の入力値、放射線照射強度、各ユニット間の通信ディレイ、処理ディレイ等に基づいて、駆動制御部180によって決定される。制御装置200が線量の閾値を決定し、駆動制御部180に設定するようにしてもよい。放射線の照射時間が、入力された照射上限時間に達した場合に、放射線発生部300は、終了要求信号を受信していなくても、放射線の照射を停止する。
放射線の照射停止後、放射線撮像装置100は、撮像画素101のみが接続された駆動線110(検出駆動線111以外の駆動線110)を順次走査し、各撮像画素101の画像信号を読出回路160により読み出すことによって、放射線画像を取得する。検出画素104に蓄積された電荷は放射線の照射中に読み出されており、補正画素107は遮光されているため、これらの画素からの信号は放射線画像の形成に使用できない。そこで、放射線撮像装置100の信号処理部170は、検出画素104及び補正画素107の周囲の撮像画素101の画素値を用いて補間処理を行うことによって、これらの画素の位置における画素値を補間する。
図4を参照して、放射線撮像装置100の動作例について説明する。この動作は、駆動回路150及び読出回路160を制御する駆動制御部180と、信号処理部170とが連携することによって実行される。そのため、信号処理部170と駆動制御部180との組み合わせを露出決定部と呼んでもよい。図4において、「放射線」は、放射線撮像装置100に放射線が照射されているか否かを示す。ローの場合に放射線が照射されておらず、ハイの場合に放射線が照射されている。「Vg1」~「Vgn」は、駆動回路150から複数の駆動線110に供給される駆動信号を示す。「Vgk」はk行目(k=1,...,駆動線の合計本数)の駆動線110に対応する。上述のように、複数の駆動線110の一部は、検出駆動線111とも呼ばれる。j番目の検出駆動線111を「Vdj」(j=1,...,検出駆動線の合計本数)と表す。φSHは、増幅部161のサンプルホールド回路SHに供給される制御信号のレベルを示す。φRは、増幅部161の差動増幅回路AMPに供給される制御信号のレベルを示す。「検出画素信号」は、検出画素104から読み出された信号の値を示す。「補正画素信号」は、補正画素107から読み出された信号の値を示す。「積算照射量」は、放射線撮像装置100に照射された放射線の積算値を示す。この積算値の決定方法については後述する。
時刻t0で、駆動制御部180は、複数の画素のリセット動作を開始する。リセット動作とは、各画素の変換素子に蓄積した電荷を除去する動作のことであり、具体的には駆動線110に駆動信号を供給することによって各画素のスイッチ素子を導通状態にすることである。駆動制御部180は、駆動回路150を制御することによって、1行目の駆動線110に接続された各画素をリセットする。続いて、駆動制御部180は、2行目の駆動線110に接続された各画素をリセットする。駆動制御部180は、この動作を最後の行の駆動線110まで繰り返す。時刻t1において、駆動制御部180は、最後の行の駆動線110のリセット動作を終了した後、再び1行目の駆動線110からリセット動作を繰り返す。
時刻t2で、駆動制御部180は、制御装置200から開始要求信号を受信する。開始要求信号の受信に応じて、駆動制御部180は、最後の行までリセット動作を行い、時刻t3でリセット動作を終了する。なお、駆動制御部180は、最後の行までリセット動作を行う前にリセット動作を終了し、次の処理に移行してもよい。例えば、駆動制御部180は、k行目の駆動線110のリセット動作中に開始要求信号の受信した場合に、k+1行目以降の駆動線110のリセット動作を行わずに次の処理に移行してもよい。この場合に、放射線画像を取得するための駆動の調整や放射線画像に対する画像処理を行うことによって、放射線画像に発生しうる段差を軽減してもよい。
時刻t3より、駆動制御部180は、放射線撮像装置100に照射中の放射線の量を決定するための決定動作を開始する。決定動作において、駆動制御部180は、検出画素104及び補正画素107から読み出す読出し動作を繰り返し実行する。複数回の読出し動作のうち、前半の1回以上の読出し動作は補正値を決定するために行われ、後半の繰り返される読出し動作は、各時点の放射線の量を継続的に決定するために行われる。
読出し動作は、検出駆動線111に対して実行され、それ以外の駆動線110に対しては実行されない。具体的に、駆動回路150は、複数の駆動線110のうち検出画素104及び補正画素107の少なくとも一方に接続された駆動線110(すなわち検出駆動線111)に駆動信号を供給する。しかし、駆動回路150は、複数の駆動線110のうち検出画素104及び補正画素107の何れにも接続されていない駆動線110に駆動信号を供給しない。また、駆動回路150は、複数の駆動線110のうち検出画素104及び補正画素107の少なくとも一方に接続された駆動線110に同時に駆動信号を供給する。それによって、同じ信号線120に接続されている複数の画素からの信号が合わさって読出回路160に読み出される。検出画素104と補正画素107とは排他的に信号線120に接続されているので、読出回路160は、感度の異なる画素の信号を分離して読み出せる。
1回の読出し動作において、駆動制御部180は、時刻t3~時刻t4の動作を行う。具体的に駆動制御部180は、1つ以上の検出駆動線111に一時的に駆動信号を供給する。その後、駆動制御部180は、制御信号φSHを一時的にハイレベルにすることによって、信号線120を通じて画素から読出回路160に読み出された信号をサンプルホールド回路SHに保持する。その後、駆動制御部180は、制御信号φRを一時的にハイレベルにすることによって、読出回路160(具体的にはその増幅部161の差動増幅回路AMP)をリセットする。撮像領域IR内に関心領域が設定されている場合に、この関心領域に含まれない検出画素104から信号を読み出さなくてもよい。
駆動制御部180は、補正値を決定するために、読出し動作を1回以上の所定の回数行う。信号処理部170は、所定の回数の読出し動作によって検出画素104から読み出された信号に基づく補正値Odと、この所定の回数の読出し動作によって補正画素107から読み出された信号に基づく補正値Ocとを決定する。補正値Odの決定について詳細に説明する。所定の回数が1回であれば、検出画素104から読み出される信号は1つであるので、信号処理部170はその信号の値を補正値Odとする。所定の回数が複数回の場合に、信号処理部170は、読み出された複数個の信号の平均値を補正値Odとする。平均値に代えて他の統計値が用いられてもよい。補正画素107から読み出された信号に基づいて、補正値Ocも同様に決定される。信号処理部170は、このようにして決定した補正値Od、Ocを記憶部172に格納し、後続の処理に使用可能にする。
1回以上読出し動作を終了すると、駆動制御部180は、時刻t5で、通信I/F503へ開始可能信号を送信する。上述の補正値Od、Ocの決定は、開始可能信号の送信前に行われてもよいし、送信後に行われてもよい。駆動制御部180は、開始可能信号を送信した後に、上述の読出し動作を繰り返し実行する。信号処理部170は、読出し動作ごとに放射線の照射量DOSEを測定し、その積算値が閾値を超えたか否かを判定する。時刻t5の後に時刻t6から放射線の照射が開始される。
照射量DOSEの決定方法について以下に説明する。直近の読出し動作によって検出画素104から読み出された信号の値をSdと表す。直近の読出し動作によって補正画素107から読み出された信号の値をScと表す。信号処理部170は、Sd、Sc、Od及びOcを以下の式(1)に適用することによって、DOSEを算出する。
DOSE=(Sd-Od)-(Sc-Oc) …式(1)
この式では、開始可能信号を送信した後に補正画素107から読み出された信号の値Scと、開始可能信号を送信する前に補正画素107から読み出された信号に基づいて決定された補正値Ocとの差分に基づいてDOSEが決定される。
この式では、開始可能信号を送信した後に補正画素107から読み出された信号の値Scと、開始可能信号を送信する前に補正画素107から読み出された信号に基づいて決定された補正値Ocとの差分に基づいてDOSEが決定される。
また、信号処理部170は、式(1)に代えて、Sd、Sc、Od及びOcを以下の式(2)に適用することによって、DOSEを算出してもよい。
DOSE=Sd-Od×Sc/Oc ...式(2)
この式では、開始可能信号を送信した後に補正画素107から読み出された信号の値Scと、開始可能信号を送信する前に補正画素107から読み出された信号に基づいて決定された補正値Ocとの比率に基づいてDOSEが決定される。
この式では、開始可能信号を送信した後に補正画素107から読み出された信号の値Scと、開始可能信号を送信する前に補正画素107から読み出された信号に基づいて決定された補正値Ocとの比率に基づいてDOSEが決定される。
図4に示すように、検出画素104から読み出される信号は、リセット動作の終了直後(時刻t3の直後)に大きく時間変化し、時間の経過とともに(例えば100ms程度で)安定する。そのため、検出画素104から得られるSd及びOdだけを用いてDOSEを算出しても、オフセット量を十分に除去できない。検出画素104から読み出される信号が安定するまで補正値Odを取得するための読出し動作の開始を遅らせると、開始要求信号の送信から実際の放射線の照射開始までの時間(時刻t2~t6までの時間、いわゆる曝射ディレイ)が長くなる。
本実施形態では、補正画素107から読み出された信号の値(Sc及びOc)をさらに用いて照射量DOSEを決定する。補正画素107は放射線に対する感度が非常に低いため、放射線の照射開始後に補正画素107から読み出された信号の値Scは、検出画素104から読み出された信号の値Sdのオフセット成分を表すとみなせる。さらに、本実施形態では、放射線の照射開始前に検出画素104及び補正画素107から読み出された信号に基づく補正値Od及びOcを用いて照射量DOSEを決定している。それによって、各画素の固有の特性違い(検出回路のチャネルの差異、各画素寄生抵抗、寄生容量の差異など)を補正できる。
駆動制御部180は、時刻t7で積算照射量が閾値に到達したら、終了要求信号を出力する。これに代えて、駆動制御部180は、積算照射量が閾値に到達する時刻を推定し、この推定時間に終了要求信号を出力してもよい。時刻t8で、放射線発生部300は、終了要求信号に応じて放射線の照射を終了する。
上述の例で、駆動制御部180は、リセット動作の終了直後に、補正値Od及びOcを決定するための所定の回数の読出し動作を開始した。これに代えて、駆動制御部180は、リセット動作の終了後、所定の時間(例えば、数ms~数十ms)経過してから所定の回数の読出し動作を開始してもよい。これによって、時間変動が特に大きい期間に信号を読み出すことを抑制できる。
以上のように、放射線撮像システム10では、AECを用いるために、オフセットデータを取得するための期間(t3~t5)が必要である。すなわち、放射線撮像装置100は、開始要求信号を受信し、リセット動作を終えた後、オフセットデータの取得期間を経て開始可能信号を出力する。しかしながら、このようなオフセットデータの取得を行う期間は、AECを用いない撮像を行う場合には無駄な時間である。そこで、本実施形態では、放射線撮像システム10がAECを行うか否かによって、採光野301のオフセットデータの取得実施の可否を決定し、不必要なオフセットデータの取得による照射開始時刻の遅延を低減もしくは防止する。
図5は、本実施形態による制御装置200の処理を説明するフローチャートである。まず、ステップS501において、制御装置200の制御部211は、通信部212を介して放射線撮像装置100と接続する。また、制御部211は、通信部212を介してネットワーク400と接続し、RIS410、PACS420、HIS430から必要な情報を取得することもできる。ステップS502において、判定部216は、保持部214から放射線撮像システム10の情報を取得する。ここで取得される情報には、AECを使用した放射線撮像を行うか否かを判定するための情報が含まれる。放射線撮像を行うか否かは、例えば、放射線撮像システム10のサービスマンや特定のユーザが、所定の操作を行うことにより設定される。
ステップS503において、判定部216は、ステップS502で保持部214から取得した放射線撮像システム10の情報からAECを使用した撮像を行うか否かを判定する。放射線撮像システム10がAECを使用した撮像を行うと判定された場合(S503でYES)、処理はステップS504に進む。一方、AECを使用しないと判定された場合(S503でNO)、処理はステップS507に進む。ステップS504において、判定部216は放射線撮像装置100に内蔵されている採光野301のオフセット補正に用いられるオフセットデータの取得が必要であるか否かを判定する。オフセットデータの取得が必要であると判定された場合(S504でYES)、処理はステップS505に進む。一方、オフセットデータの取得が必要でないと判定された場合(S504でNO)、処理はステップS506に進む。なお、オフセットデータの取得が必要であるか否かは、例えば、前回のオフセットデータの取得から一定時間が経過しているか否かにより判定され得る。前回のオフセットデータの取得から一定時間が経過している場合にオフセットデータの取得が必要であると判定される。
ステップS505において、AEC制御部215は、通信部212を介して、AECの実行とオフセットデータの取得の実行を、放射線撮像装置100の駆動制御部180に設定する。また、ステップS506では、AEC制御部215は、AECの実行と、オフセットデータの取得の不実行を、通信部212を介して、駆動制御部180に設定する。なお、ステップS505とステップS506において、AEC制御部215は、線量の閾値を設定するようにしてもよい。また、ステップS507では、AEC制御部215は、AECとオフセットデータ取得をともに不実行とすることを、通信部212を介して、駆動制御部180に設定する。なお、AECを実行する際には放射線撮影の開始前にオフセットデータを必ず取得するシステムであれば、ステップS504とステップS506は省略可能である。
次に、AEC制御部215によるAECとオフセットデータ取得の実行/不実行の設定に応じた、駆動制御部180による放射線撮像装置100の駆動制御を説明する。図6は、本実施形態の駆動制御部180による、放射線撮像装置100の駆動制御を説明するフローチャートである。
ステップS601において、駆動制御部180は、制御装置200からの、オフセットデータ取得の実行/不実行およびAECの実行/不実行の設定を、通信I/F503を介して部受け付ける。これらの設定は、AEC制御部215により、上述したステップS505~S507においてなされる。ステップS602において、駆動制御部180は、開始要求信号の有無を判定する。開始要求信号が無ければ(ステップS602でNO)、処理はステップS601に戻る。他方、開始要求信号を受け付けたと判定された場合(ステップS602でYES)、処理はステップS603へ進む。これは、図4の時刻t2に対応する。
ステップS603において、駆動制御部180は、実行中のリセット動作が完了するのを待つ。リセット動作が完了すると、処理はステップS604へ進む。これは、図4の時刻t3に対応する。ステップS604において、駆動制御部180は、今回の撮像においてオフセットデータ取得を実行するか否かを判定する。図5のステップS505においてAEC制御部215によりオフセットデータ取得の実行が設定されている場合(ステップS604でYES)、ステップS605において、駆動制御部180はオフセットデータの取得を実行する。すなわち、駆動制御部180は、図4の時刻t3~t5(補正値決定期間)の駆動を実行する。他方、図5のステップS506またはS507においてAEC制御部215によりオフセットデータ取得の不実行が設定されている場合(ステップS603でNO)、処理はステップS605をスキップしてステップS606へ進む。すなわち、オフセットデータ取得の不実行が設定されている場合は、オフセットデータの取得が省略される。
オフセットデータの取得が終了すると、ステップS606において、駆動制御部180は、曝射の開始を許可する開始可能信号を出力する(図4の時刻t5)。以上の処理により、オフセットデータの取得を実行することが設定されている場合には、時刻t3~t5に示されるオフセットデータ取得処理が実行され、そうでない場合には、リセット動作の終了後に直ちに開始可能信号が出力される。放射線発生部300は、開始可能信号に応じて放射線の照射を開始する。
ステップS607において、駆動制御部180は、AEC制御部215によりAECを実行することが設定されているか否かを判定する。ステップS505またはステップS506においてAEC制御部215によりAECの実行が設定されている場合(ステップS607でYES)、処理はステップS608へ進む。ステップS608において、駆動制御部180は、図4により上述したAECを実行する。すなわち、信号処理部170は、上述した式(1)または式(2)により積算照射量を計算し、駆動制御部180が計算された積算照射量と閾値との比較により終了判定を行う。積算照射量が閾値を超えると、駆動制御部180は終了要求信号を放射線発生部300へ出力する。これは、図4の時刻t7に対応する。なお、図5のステップS506においてAEC制御部215によりAECの実行とオフセットデータ取得の不実行が設定されている場合、駆動制御部180は、取得済みとなっている過去のオフセットデータを流用して積算照射量を計算する。流用されるオフセットデータとして、例えば、過去のオフセットデータの内、最新のオフセットデータが用いられ得る。駆動制御部180は、終了要求信号を出力した後、ステップS610において、撮像領域IRに配列された複数の撮像画素から画像信号の読み出しを行う(図4の時刻t8~t9に対応)。駆動制御部180は、こうして取得された画像信号から放射線画像を生成し、制御装置200に出力する。
他方、ステップS507においてAEC制御部215によりAECを実行しないことが設定されている場合(ステップS607でNO)、処理はステップS609へ進む。ステップS609において、駆動制御部180は、例えば、タイマーにより曝射終了を判定し、終了要求信号を放射線発生部300へ出力する。なお、タイマーによる曝射終了の判定は、放射線発生部300においてなされてもよい。駆動制御部180は、例えば、検出画素104によって放射線が検出されなくなったことに応じて、照射終了を判定する。
なお、図5のフローチャートにより示された処理の少なくとも一部が駆動制御部180により実行されてもよい。例えば、制御装置200からAECを使用する設定を受け付けた場合に、駆動制御部180がオフセットデータの取得の要否を判定して、オフセットデータ取得の実行、不実行を決定するようにしてもよい。また、AECを用いない場合に、放射線野照射時間の設定忘れを防止するために、ステップS503でNOと判定された場合に、制御部211が表示部230を用いてAECを実行しない旨を報知するようにしてもよい。
以上説明したように、第1実施形態では、AEC機能を内蔵する放射線撮像装置を用いた放射線撮像システムであっても、放射線撮像システムがAECを行わない場合は、採光野のオフセットデータの取得が省略される。これにより、オフセットデータ取得のために生じる放射線照射までの遅延をなくすまたは減少させることができ、検査効率が向上する。また、AECを実行する場合でも、前回のオフセットデータの取得から所定の時間が経過していなければオフセットデータの取得が省略されるので、検査効率のさらなる向上が期待できる。
[第2実施形態]
第1実施形態では、放射線撮像システムがAEC(自動露出制御)を行うか否かによってオフセットデータを取得するかどうかを決定する例を説明した。図1により説明したように、放射線撮像装置100と制御装置200は通信により接続されるため、ユーザは撮像に使用する放射線撮像装置を選択することが可能である。すなわち、放射線撮像システム10に複数の放射線撮像装置を登録し、放射線撮像を行う部屋や撮像部位などによって、撮像に使用する放射線撮像装置をユーザが選択可能とする構成が考えられる。その場合、放射線撮像システムがAECを使用する設定であっても、AEC機能を有していない放射線撮像装置が選択されると、AECを用いた放射線撮像を行うことはできない。また、その場合、ユーザは、撮影手技に適した照射時間等を設定するか、AEC機能を有する放射線撮像装置に交換することが必要となる。そこで、第2実施形態では、AEC機能を有するかどうかを放射線撮像装置ごとに判定し、AECの実行可否を通知する構成を説明する。
第1実施形態では、放射線撮像システムがAEC(自動露出制御)を行うか否かによってオフセットデータを取得するかどうかを決定する例を説明した。図1により説明したように、放射線撮像装置100と制御装置200は通信により接続されるため、ユーザは撮像に使用する放射線撮像装置を選択することが可能である。すなわち、放射線撮像システム10に複数の放射線撮像装置を登録し、放射線撮像を行う部屋や撮像部位などによって、撮像に使用する放射線撮像装置をユーザが選択可能とする構成が考えられる。その場合、放射線撮像システムがAECを使用する設定であっても、AEC機能を有していない放射線撮像装置が選択されると、AECを用いた放射線撮像を行うことはできない。また、その場合、ユーザは、撮影手技に適した照射時間等を設定するか、AEC機能を有する放射線撮像装置に交換することが必要となる。そこで、第2実施形態では、AEC機能を有するかどうかを放射線撮像装置ごとに判定し、AECの実行可否を通知する構成を説明する。
第2実施形態による放射線撮像システム10の構成は第1実施形態(図1~図4)と同様である。図7は、第2実施形態に係る制御装置200の処理を示すフローチャートである。図7に示される処理は、第1実施形態(図5)の処理と置き換わるものであり、第1実施形態と同様の処理については同一の符号を付してある。
ステップS701において、判定部216は、通信部212を介して、接続中の放射線撮像装置100と通信し、放射線撮像装置100の情報を取得する。ここで取得される放射線撮像装置100の情報は、接続中の放射線撮像装置100がAECの機能を有しているか否かに関する情報を含む。放射線撮像システム10がAECを使用する設定である場合(ステップS503でYES)、処理はステップS702に進む。ステップS702において、判定部216はステップS701で取得した放射線撮像装置100の情報から、放射線撮像装置100がAEC機能を有するか否かを判定する。なお、ステップS701では放射線撮像装置100の型番を取得し、判定部216が放射線撮像装置の型番とAEC機能の有無の対応を示すテーブルを参照して、放射線撮像装置100がAEC機能を有するか否かを判定するようにしてもよい。
放射線撮像装置100がAEC機能を有すると判定された場合(S702でYES)、処理はステップS504に進む。一方、放射線撮像装置100がAEC機能を有しないと判定された場合(S702でNO)、処理はステップS703に進む。この場合、放射線撮像システム10ではAEC機能を使用することが指定されているにもかかわらず、接続されている放射線撮像装置がAEC機能を有していないためにAECを使用した撮像ができない。したがって、ステップS703において、AEC制御部215は、例えば、表示部230を介して、AECを使用できないことをユーザに報知する。その後、処理は、ステップS507へ進む。
以上説明したように、第2実施形態では、AEC機能を有するか否かが放射線撮像装置ごとに判定される。このため、放射線撮像システムがAECを使用する設定であるにもかかわらずAEC機能を有しない放射線撮像装置が接続されている場合には、その旨が報知され得る。これにより、ユーザは、AEC機能を有する放射線撮像装置に交換するように促される。或いは、AEC機能を有しない放射線撮像装置を使用する際の照射時間の設定し忘れなどを防止することができ、検査効率の向上が可能となる。なお、第1実施形態と同様に、図7のフローチャートにより示された処理の少なくとも一部が駆動制御部180により実行されてもよい。
[第3実施形態]
第1実施形態では、放射線撮像システムがAEC(自動露出制御)を行うか否かによってオフセットデータを取得するかどうかを決定する例を説明した。第3実施形態では、更に、採光野のオフセット補正をするためのデータを取得するかどうかを撮像手技ごとに判定し、AECを行うか否かを決定する構成を説明する。AEC機能を有する放射線撮像装置を用いた撮像であっても、撮像手技によってAEC(自動露出制御)を使用しない撮像を行う場合がある。例えば、放射線量を検出する採光野が配置されている箇所と患者の撮像部位とが一致しない場合などが考えられ、そのような撮像手技については予め自動露出制御を使用しない設定がされるのが一般的である。AECを使用しない撮像手技では、AEC機能を有する放射線撮像装置を用いた撮像であっても、採光野のオフセット補正をするためのオフセットデータの取得は不要となる。このような不要なオフセットデータの取得が実行されると、検査効率の低下に繋がる可能性がある。
第1実施形態では、放射線撮像システムがAEC(自動露出制御)を行うか否かによってオフセットデータを取得するかどうかを決定する例を説明した。第3実施形態では、更に、採光野のオフセット補正をするためのデータを取得するかどうかを撮像手技ごとに判定し、AECを行うか否かを決定する構成を説明する。AEC機能を有する放射線撮像装置を用いた撮像であっても、撮像手技によってAEC(自動露出制御)を使用しない撮像を行う場合がある。例えば、放射線量を検出する採光野が配置されている箇所と患者の撮像部位とが一致しない場合などが考えられ、そのような撮像手技については予め自動露出制御を使用しない設定がされるのが一般的である。AECを使用しない撮像手技では、AEC機能を有する放射線撮像装置を用いた撮像であっても、採光野のオフセット補正をするためのオフセットデータの取得は不要となる。このような不要なオフセットデータの取得が実行されると、検査効率の低下に繋がる可能性がある。
第3実施形態による放射線撮像システム10の構成は第1実施形態(図1~図4)と同様である。図8は、第3実施形態に係る制御装置200の処理を示すフローチャートである。図8に示される処理は、第1実施形態の処理(図5)、第2実施形態の処理(図7)と置き換わるものであり、第1実施形態および第2実施形態と同様の処理については同一の符号を付してある。
ステップS801において、判定部216は撮像手技の情報を取得する。例えば、判定部216は、撮像手技の情報をRIS410から受け取ることができる。或いは、例えば、判定部216は、放射線技師が操作部240を介して設定した撮像手技の情報を取得することができる。ステップS802において、判定部216はステップS801で取得した撮像手技の情報から撮像手技がAECを使用した撮像であるか判定する。判定部216は、例えば、図9(a)に示されるような、撮像手技とAECの使用可否が紐づけられたテーブル900を有しており、このテーブル900を参照してステップS801で取得された撮像手技がAECを使用するか否かを判定する。AECを使用すると判定された場合(S802でYES)、処理はステップS702に進む。一方、AECを使用しないと判定された場合(S802でNO)、処理はステップS803に進む。ステップS803において、AEC制御部215は、AECを使用しない撮影手技であることをとユーザに報知する。その後、処理はステップS507へ進む。
なお、採光野の配置が異なる複数の放射線撮像装置を利用可能な場合、接続されている放射線撮像装置の種類(採光野の配置)と撮像手技との関係からAECの使用の可否を判定するようにしてもよい。この場合、例えば、判定部216は、図9(b)に示されるような、撮像手技と、放射線撮像装置の種別(例えば型番)と、AECを使用するか否かの設定との対応を示すテーブル901を保持する。そして、判定部216は、ステップS701で取得された放射線撮像装置の情報(型番)と、ステップS801で取得された撮像手技の情報から、テーブル901を参照してAECを使用するか否かを判定する。
以上説明したように、第3実施形態によれば、採光野のオフセット補正をするためのデータの取得を撮像手技ごとに判定することで、AEC機能を有する放射線撮像装置であっても、AECを使用しない撮像手技の場合は取得しないようにすることができる。これにより、自動露出制御を使用しない撮像手技においてはオフセットデータの取得と採光野のオフセット補正処理による放射線照射までの遅延をなくし検査効率の更なる向上が可能となる。また、撮像手技に基づいてAECを実行しないことが決定された場合にその旨が報知されるので(ステップS803)、照射時間の設定忘れなどを防止できる。なお、第1実施形態および第2実施形態と同様に、図8のフローチャートにより示された処理の少なくとも一部が駆動制御部180により実行されてもよい。
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
10:放射線撮像システム、200:制御装置、230:表示部、240:操作部、300:放射線発生部、100:放射線撮像装置、410:RIS、420:PACS、430:HIS、211:制御部、212:通信部、213:画像取得部、214:保持部、215:AEC制御部、216:判定部、170:信号処理部、150:駆動回路
Claims (17)
- 自動露出制御の機能を有する放射線撮像装置と制御装置とを有する放射線撮像システムであって、
前記放射線撮像装置において、開始要求信号を受け付けた後、放射線の照射開始を許可する前に、前記自動露出制御に用いられる検出画素のためのオフセットデータを取得する取得手段と、
前記自動露出制御を実行するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記自動露出制御を実行すると判定された場合に、前記取得手段によりオフセットデータを取得した後に放射線の照射開始を許可し、前記自動露出制御を実行しないと判定された場合に、前記取得手段によるオフセットデータの取得を省略して放射線の照射開始を許可する制御手段と、を備えることを特徴とする放射線撮像システム。 - 自動露出制御を実行するか否かを示す設定情報を保持する保持手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記保持手段に保持されている前記設定情報に従って自動露出制御を実行するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の放射線撮像システム。 - 実行すべき放射線撮像の撮像手技を示す情報を取得する取得手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記撮像手技に基づいて自動露出制御を実行するか否かを判定することを特徴とする請求項1または2に記載の放射線撮像システム。 - 撮像手技と自動露出制御を実行するか否かの対応を示すテーブルを備え、
前記判定手段は、前記テーブルを参照して、自動露出制御を実行するか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載の放射線撮像システム。 - 放射線撮像装置の種別ごとに撮像手技と自動露出制御を実行するか否かの対応を示すテーブルを備え、
前記判定手段は、前記テーブルを参照して、前記放射線撮像装置の種別と前記取得手段により取得された前記撮像手技とに基づいて、自動露出制御を実行するか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載の放射線撮像システム。 - 前記放射線撮像装置が自動露出制御の機能を有するか否かを示す情報を前記放射線撮像装置から受信する受信手段と、
前記判定手段が自動露出制御を実行すると判定したが、前記放射線撮像装置が自動露出制御の機能を有しない場合に、自動露出制御を実行できないことを報知する報知手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の放射線撮像システム。 - 前記判定手段は、自動露出制御を実行すると判定した場合に、更に、前記放射線撮像装置において自動露出制御のためのオフセットデータの取得を実行するか否かを判定し、
前記制御手段は、自動露出制御を実行する場合であっても、オフセットデータの取得を実行しないと判定された場合には、前記取得手段によるオフセットデータの取得を省略することを特徴とする請求項1に記載の放射線撮像システム。 - 前記判定手段は、前回に実行されたオフセットデータの取得から一定時間が経過しているか否かに基づいてオフセットデータの取得を実行するか否かを判定することを特徴とする請求項7に記載の放射線撮像システム。
- 放射線撮像装置と通信可能に接続される制御装置であって、
前記放射線撮像装置と通信する通信手段と、
自動露出制御を実行するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定の結果に従って、自動露出制御を実行するか否かを、前記通信手段を介して前記放射線撮像装置に設定する設定手段と、を備えることを特徴とする制御装置。 - 自動露出制御を行うための検出画素と、放射線撮像を行うための撮像画素とを有する放射線撮像装置であって、
開始要求信号を受け付けた後、放射線の照射開始を許可する前に、前記自動露出制御に用いられる検出画素のためのオフセットデータを取得する取得手段と、
外部の制御装置から自動露出制御を実行するか否かを示す設定情報を受け付ける通信手段と、
前記設定情報が前記自動露出制御を実行することを示す場合に、前記取得手段によりオフセットデータを取得した後に放射線の照射開始を許可し、前記設定情報が前記自動露出制御を実行しないことを示す場合に、前記取得手段によるオフセットデータの取得を省略して放射線の照射開始を許可する制御手段と、を備えることを特徴とする放射線撮像装置。 - 前記設定情報は、更にオフセットデータの取得を実行するか否かの設定を含み、
前記制御手段は、前記設定情報がオフセットデータの取得を実行しないことを示す場合は、自動露出制御を実行する設定であっても、前記取得手段によるオフセットデータの取得を省略することを特徴とする請求項10に記載の放射線撮像装置。 - 前記設定情報が、自動露出制御を実行するがオフセットデータの取得を実行しないことを示す場合、過去に取得されたオフセットデータを流用して自動露出制御が実行されることを特徴とする請求項11に記載の放射線撮像装置。
- 自動露出制御の機能を有する放射線撮像装置と制御装置とを有する放射線撮像システムの制御方法であって、
前記放射線撮像装置において、開始要求信号を受け付けた後、放射線の照射開始を許可する前に、前記自動露出制御に用いられる検出画素のためのオフセットデータを取得する取得工程と、
前記自動露出制御を実行するか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程により前記自動露出制御を実行すると判定された場合に、前記取得工程によりオフセットデータを取得した後に放射線の照射開始を許可し、前記判定工程により前記自動露出制御を実行しないと判定された場合に、前記取得工程によるオフセットデータの取得を省略して放射線の照射開始を許可する制御工程と、を有することを特徴とする放射線撮像システムの制御方法。 - 通信手段を介して放射線撮像装置と通信可能に接続される制御装置の制御方法であって、
自動露出制御を実行するか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程による判定の結果に従って、自動露出制御を実行するか否かを、前記通信手段を介して前記放射線撮像装置に設定する設定工程と、を有することを特徴とする制御装置の制御方法。 - 自動露出制御を行うための検出画素と、放射線撮像を行うための撮像画素とを有する放射線撮像装置の制御方法であって、
開始要求信号を受け付けた後、放射線の照射開始を許可する前に、前記自動露出制御に用いられる検出画素のためのオフセットデータを取得する取得工程と、
外部の制御装置から自動露出制御を実行するか否かを示す設定情報を受け付ける通信工程と、
前記設定情報が前記自動露出制御を実行することを示す場合に、前記取得工程によりオフセットデータを取得した後に放射線の照射開始を許可し、前記設定情報が前記自動露出制御を実行しないことを示す場合に、前記取得工程によるオフセットデータの取得を省略して放射線の照射開始を許可する制御工程と、を有することを特徴とする放射線撮像装置の制御方法。 - コンピュータを、請求項9に記載された制御装置の各手段として機能させるためのプログラム。
- コンピュータを、請求項10乃至12のいずれか1項に記載された放射線撮像装置の各手段として機能させるためのプログラム。
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