JP2023145349A - 粘着剤用水性組成物、粘着剤及びその製造方法、貼付材、並びに粘着テープ - Google Patents

粘着剤用水性組成物、粘着剤及びその製造方法、貼付材、並びに粘着テープ Download PDF

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牧人 中村
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Abstract

【課題】ヘイズ変化が小さい粘着剤を製造でき、かつ塗工性が良好である、ポットライフが良好な粘着剤用水性組成物、該粘着剤用水性組成物を硬化させて得られる粘着剤及びその製造方法、該粘着剤を含む粘着剤層を有する貼付材、並びに、前記粘着剤を含む粘着剤層を有する粘着テープを提供する。【解決手段】所定のオキシアルキレン重合体(A)と、ポリイソシアネート化合物(Y)と、感温性触媒(Z)とを含む粘着剤用水性組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤用水性組成物、粘着剤及びその製造方法、貼付材、並びに粘着テープに関する。
従来より、例えば、テレビ、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話、携帯端末等の電子機器に広く使用されているフラットパネルディスプレイ(液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等)、及び、フラットパネルディスプレイとタッチパネルとを組み合わせたタッチパネルディスプレイには、これらの表面を保護する表面保護フィルムとして、基材上に粘着剤層が形成されたものが広く用いられている。
一般に、表面保護フィルムを製造するために用いられる粘着剤組成物には、アクリルポリマーやプレポリマータイプのもの(例えば、特許文献1参照)等からなるポリマー成分と、有機溶剤とが含まれることが知られている。
斯かる粘着剤組成物に含まれる有機溶剤は、焼却処分による二酸化炭素の排出等の環境への悪影響、臭気、健康障害等を引き起こす可能性があるため、粘着剤組成物に含まれる有機溶剤の使用量を低減することの要望が高まっている。
特開2018-131500号公報
そこで、水系のウレタンプレポリマータイプの表面保護フィルム用の粘着剤用水性組成物を塗工し、乾燥し、積層し、加熱養生することにより硬化物を得ることが検討されている。しかしながら、粘着剤用水性組成物を調製及び塗工している間にウレタンプレポリマーと硬化剤との反応が進行し、硬化物(粘着剤)が白濁し、ヘイズが高くなりやすいため、粘着剤用水性組成物の調製及び塗工の作業時間を十分にとれないという問題があった。
本発明は、上記問題に鑑み、ヘイズ変化が小さい粘着剤を製造でき、かつ塗工性が良好である、ポットライフが良好な粘着剤用水性組成物、該粘着剤用水性組成物を硬化させて得られる粘着剤及びその製造方法、該粘着剤を含む粘着剤層を有する貼付材、並びに、前記粘着剤を含む粘着剤層を有する粘着テープを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、所定のオキシアルキレン重合体(A)と、ポリイソシアネート化合物(Y)と、感温性触媒(Z)とを含む粘着剤用水性組成物を用いることにより、前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。これは、感温性触媒(Z)が活性化する温度(発熱ピーク温度)に到達するまでは、オキシアルキレン重合体(A)とポリイソシアネート化合物(Y)とが反応しないで、感温性触媒(Z)が活性化する温度(発熱ピーク温度)に到達してはじめて、オキシアルキレン重合体(A)とポリイソシアネート化合物(Y)とが反応することに基づくものと推定される。
すなわち、本発明は下記の通りである。
[1]オキシエチレン基を有し、1分子当たりの平均水酸基数が1.6以上8.0以下であるオキシアルキレン重合体(A)と、ポリイソシアネート化合物(Y)と、感温性触媒(Z)とを含む粘着剤用水性組成物であって、前記オキシアルキレン重合体(A)のオキシアルキレン基の総量に対するオキシエチレン基の含有割合は15質量%以上90質量%以下である、粘着剤用水性組成物。
[2]前記感温性触媒(Z)は、ピペラジン系アミン触媒、モルホリン系アミン触媒、及びジアザビシクロ化合物系触媒からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]の粘着剤用水性組成物。
[3]前記ポリイソシアネート化合物(Y)は、水分散性ポリイソシアネート化合物である、[1]又は[2]の粘着剤用水性組成物。
[4]前記水分散性ポリイソシアネート化合物は、及び脂環式ポリイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1種である、[3]の粘着剤用水性組成物。
[5]前記オキシアルキレン重合体(A)の水酸基価換算分子量は、1,000以上50,000以下である、[1]~[4]のいずれかの粘着剤用水性組成物。
[6]前記粘着剤用水性組成物の固形分含量は、10質量%以上95質量%以下である、[1]~[5]のいずれかの粘着剤用水性組成物。
[7][1]~[6]のいずれかの粘着剤用水性組成物を硬化させて得られる、粘着剤。
[8]基材と、前記基材の少なくとも一方の表面に設けられた、[7]の粘着剤を含む粘着剤層とを有する、貼付材。
[9]基材と、前記基材の少なくとも一方の表面に設けられた、[7]の粘着剤を含む粘着剤層とを有する、粘着テープ。
[10][1]~[6]のいずれかの粘着剤用水性組成物を用いて粘着剤を製造する粘着剤の製造方法であって、前記オキシアルキレン重合体(A)と、前記ポリイソシアネート化合物(Y)と、前記感温性触媒(Z)とを含む粘着剤用水性組成物を調製し、前記粘着剤用水性組成物を基材上に塗工し、前記粘着剤用水性組成物が塗工された基材を加熱し、前記粘着剤用水性組成物の調製を前記感温性触媒(Z)の発熱ピーク温度よりも低い温度で行い、前記加熱を前記感温性触媒(Z)の発熱ピーク温度よりも高い温度で行う、粘着剤の製造方法。
本発明によれば、ヘイズ変化が小さい粘着剤を製造でき、かつ塗工性が良好である、ポットライフが良好な粘着剤用水性組成物、該粘着剤用水性組成物を硬化させて得られる粘着剤及びその製造方法、該粘着剤を含む粘着剤層を有する貼付材、並びに、前記粘着剤を含む粘着剤層を有する粘着テープを提供できる。
本明細書における、用語の定義や意味は以下の通りである。
本明細書において、好ましいとされているものは任意に採用でき、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましいといえる。
また、本明細書において、「XX~YY」との記載は、「XX以上YY以下」を意味する。
また、本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせ得る。例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、本明細書において、重合体を構成する「単位」とは、単量体が重合により形成する原子団を意味する。
また、本明細書において、「オキシアルキレン重合体」とは、ポリオキシアルキレン鎖を有する重合体のことである。また、アルキレンオキシドに基づく繰り返し単位を「アルキレンオキシド単位」という。
また、本明細書において、例えば、後述する実施例において、グリセリンにKOH触媒でプロピレンオキシドを水酸基価換算分子量3,000になるまで付加反応させたポリオール(開始剤A)を用いてオキシアルキレン重合体(A1-1)を調製しているが、この場合、オキシアルキレン重合体(A1-1)の開始剤は、「ポリオール(開始剤A)」ではなく、出発原料であるグリセリンを意味する。
また、本明細書において、オキシアルキレン重合体の混合物を購入する場合は、オキシアルキレン重合体の開始剤の種類とモル比を、13C-NMRを用いて特定することによりオキシアルキレン重合体の平均水酸基数を算出できる。一方、オキシアルキレン重合体をそれぞれ開始剤から製造する場合は、用いた開始剤の水酸基数そのものがオキシアルキレン重合体の平均水酸基数となり、用いた開始剤の水酸基数からオキシアルキレン重合体の平均水酸基数を認識できる。
また、本明細書において、「水酸基価換算分子量」は、後述する実施例に記載の方法で測定乃至算出された分子量である。
また、本明細書において、「感温性触媒」とは、水酸基価換算分子量約2,000のポリプロピレングリコールの100質量部と、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)をイソシアネートインデックスが105となる量添加し、触媒1.16質量部を混合した混合液において、以下の測定条件における示差走査熱量測定(DSC)にて、最大ヒートフローが1mcal/s以上の発熱ピークが30~90℃の温度範囲に観測される触媒のことである。
[DSC測定条件]
測定機器:セイコーインスツルメンツ DSC-6100
測定する混合液の量:10mg
測定温度範囲:0~200℃
昇温/降温速度:10℃/分
測定雰囲気:窒素
さらに、本明細書において、「固形分」とは、オキシアルキレン重合体(A)、ポリイソシアネート化合物(Y)、任意成分としてのウレタン化触媒、及び任意成分としての酸化防止剤を意味する。また、上記固形分を含む粘着剤用水性組成物を40℃のオーブン中にて乾燥させた前後の重量変化から、「固形分(%)=乾燥後重量/乾燥前重量×100」の計算式を用いて「固形分」を算出することができる。
(粘着剤用水性組成物)
本発明の粘着剤用水性組成物は、オキシアルキレン重合体(A)と、ポリイソシアネート化合物(Y)と、感温性触媒(Z)と、を含み、水を含むことが好ましく、さらに必要に応じて、その他の成分を含む。
本発明の粘着剤用水性組成物の固形分含量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは18質量%以上、特に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下である。
前記固形分含量が上記範囲内であると、固形分の水分散性がより良好となりやすい。
<オキシアルキレン重合体(A)>
オキシアルキレン重合体(A)(以下、重合体(A)ともいう。)は、オキシエチレン基を有し、1分子当たりの平均水酸基数が1.6以上8.0以下であるオキシアルキレン重合体である。重合体(A)は、複数のオキシアルキレン重合体を含み得る。
重合体(A)の1分子当たりの平均水酸基数は、1.6以上8.0以下である限り、特に制限はないが、好ましくは1.7以上5.0以下、より好ましくは1.8以上4.0以下、さらに好ましくは1.9以上3.0以下である。
重合体(A)の平均水酸基数が上記範囲内であると、得られる粘着剤の基材に対する粘着力を適度な範囲にできる。
重合体(A)の1分子当たりの平均水酸基数は、13C-NMRを用いて開始剤の種類とモル比を特定することにより、算出できる。13C-NMRによる分析では、開始剤に特徴的なピークが見られるため、ピークの位置とピーク面積から、開始剤の種類とモル比を特定できる。
通常、オキシアルキレン重合体の1分子当たりの水酸基数は、そのオキシアルキレン重合体の合成をする際に使用した開始剤の1分子当たりの水酸基数に一致する。開始剤として、例えば、グリセリンを用いてオキシアルキレン重合体を合成した場合は、通常、1分子当たりの水酸基数が3のオキシアルキレン重合体が得られる。また、開始剤として、例えば、ペンタエリスリトールを用いてオキシアルキレン重合体を合成した場合は、通常、1分子当たりの水酸基数が4のオキシアルキレン重合体が得られる。また、開始剤として、例えば、ジプロピレングリコールを用いてオキシアルキレン重合体を合成した場合は、通常、1分子当たりの水酸基数が2のオキシアルキレン重合体が得られる。
また、重合体(A)の1分子当たりの平均水酸基数は、開始剤の種類に基づく1分子当たりの水酸基数と開始剤の質量分率からも算出できる。例えば、グリセリンが30質量%、ジプロピレングリコールが70質量%である場合、平均水酸基数は、3×0.3+2×0.7=2.3となる。
重合体(A)を合成する際に用いるアルキレンオキシドは、エチレンオキシド(EO)を含む。重合体(A)のオキシアルキレン基の総量に対するオキシエチレン基の含有割合(以下、「EO単位含有量」ともいう。)は15質量%以上が好ましい。重合体(A)を合成する際に用いるアルキレンオキシドは、EO単独であってもよいが、EOと炭素数3~5のアルキレンオキシドとの併用が好ましく、EOとプロピレンオキシド(PO)との併用がより好ましい。
2種以上のアルキレンオキシドを開環付加させる場合、各アルキレンオキシドに由来する単位の配列は、ランダムでもよく、ブロックでもよく、テーパーでもよい。ここで、重合体(A)は、EO単位及びPO単位の配列がランダムの場合、通常、PO単位のブロック体と、EO単位及びPO単位のランダム体とを有していてもよく、また、EO単位のブロック体と、EO単位及びPO単位のランダム体とを有していてもよい。また、重合体(A)は、EO単位及びPO単位の配列がブロックの場合、PO単位のブロック体と、EO単位のブロック体と、PO単位のブロック体とをこの順で有してもよいし(「POブロック-EOブロック-POブロック」の構造である)、EO単位のブロック体と、PO単位のブロック体と、EO単位のブロック体とをこの順で有してもよい(「EOブロック-POブロック-EOブロック」の構造である)。さらに、オキシアルキレン重合体(A)は、EO単位及びPO単位の配列がテーパーの場合、通常、PO単位のブロック体と、EO単位及びPO単位とのランダム体と、EO単位のブロック体とを有する。
アルキレンオキシドとしてEO及びEO以外のアルキレンオキシドを併用する場合における、EO単位とEO単位以外のアルキレンオキシド単位とのモル比は、重合体(A)のオキシアルキレン基の総量に対するEO単位含有量が15質量%以上となるように選択される。EO単位含有量が多いほど、重合体(A)の親水性が向上し、EO単位含有量が少ないほど、重合体(A)の結晶性が低下する傾向がある。
また、重合体(A)は、末端がEO単位である場合、末端が一級水酸基となるので、末端がPO単位である場合よりも、ポリイソシアネート化合物との反応性が高くなる傾向がある。
重合体(A)のオキシアルキレン基の総量に対するEO単位含有量は、15質量%以上であり、好ましくは16質量%以上、より好ましくは18質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、また、90質量%以下であり、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、特に好ましくは60質量%以下、最も好ましくは50質量%以下である。
重合体(A)のオキシアルキレン基の総量に対するEO単位含有量が上記範囲内であると、重合体(A)が非結晶となりやすいため取り扱いやすく、また、得られる水酸基末端ウレタンプレポリマーの水溶性がより良好となる。
重合体(A)としては、オキシアルキレン基の総量に対するEO単位含有量が15質量%未満であるオキシアルキレン重合体(A0)を含みうる。オキシアルキレン重合体(A0)を含む場合、重合体(A)の質量に対するオキシアルキレン重合体(A0)の含有量が40質量%以下であることが好ましい。
重合体(A)のオキシアルキレン基の総量に対するEO単位含有量は、13C-NMRを用いてオキシアルキレン鎖のモノマー単位組成を求めることにより、算出したものである。例えば、重合体(A)がPO単位とEO単位からなるポリオールである場合、プロピレンオキシド単位中のメチル基のシグナルとPO単位中及びEO単位中のメチレン基のシグナルの面積比から、EO単位含有量を求め得る。
重合体(A)の水酸基価換算分子量としては、特に制限はないが、好ましくは1,000以上、より好ましくは3,000以上、さらに好ましくは5,000以上、特に好ましくは6,000以上であり、また、好ましくは50,000以下、より好ましくは30,000以下、さらに好ましくは20,000以下、特に好ましくは15,000以下である。重合体(A)の水酸基価換算分子量が上記好ましい範囲内であると、得られる粘着剤の柔軟性がより良好なものとなる。
2種以上の重合体(A)を含む場合、それぞれの重合体(A)の数平均分子量が上記好ましい範囲内であることが好ましい。
重合体(A)の数平均分子量(Mn)は、特に制限はないが、好ましくは1,000以上、より好ましくは3,000以上、さらに好ましくは5,000以上、特に好ましくは7,000以上であり、また、好ましくは50,000以下、より好ましくは30,000以下、さらに好ましくは20,000以下、特に好ましくは15,000以下である。重合体(A)のMnが上記好ましい範囲内であると、得られる粘着剤の柔軟性がより良好なものとなる。
2種以上の重合体(A)を含む場合、それぞれの重合体(A)のMnが上記好ましい範囲内であることが好ましい。
重合体(A)の分子量分布(数平均分子量に対する重量平均分子量の比率(Mw/Mn))は、特に制限はないが、好ましくは、1.40未満であり、より好ましくは1.20未満である。重合体(A)のMw/Mnを1.20未満とすることで、反応性が良好となりやすく、粘度がより低下しやすい。
2種以上の重合体(A)を含む場合、それぞれの重合体(A)のMw/Mnが上記好ましい範囲内であることが好ましい。
重合体(A)のMn及びMw/Mnは、以下に記載する方法により測定して得られた値である。
分子量測定用の標準試料として重合度の異なる単分散ポリスチレンの数種類について、市販のGPC測定装置(HLC-8320GPC、東ソー社製)を用いて測定し、ポリスチレンの分子量と保持時間との関係をもとに検量線を作成し、測定試料である重合体(A)をテトラヒドロフランで0.5質量%に希釈し、孔径0.5μmのフィルターを通過させた後、該測定試料について、上記GPC測定装置を用いて測定する。上記検量線を用いて、測定試料のGPCスペクトルをコンピュータ解析することにより、測定試料のMn及びMwを求める。
分子量分布(Mw/Mn)は、上記MwとMnより算出した値である。
重合体(A)の不飽和度は、特に制限はないが、好ましくは0.015meq/g以下、より好ましくは0.014meq/g以下、さらに好ましくは0.013meq/g以下である。重合体(A)の不飽和度は、ゼロであってもよい。重合体(A)の不飽和度が上記上限値以下であれば、粘着剤用水性組成物の硬化性がより良好となる。
重合体(A)の不飽和度は、JISK 1557-3:2007の方法に従って測定した値である。
重合体(A)の水酸基価は、特に制限はないが、好ましくは2mgKOH/g以上、より好ましくは5mgKOH/g以上、さらに好ましくは8mgKOH/g以上であり、また、好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは45mgKOH/g以下、さらに好ましくは40mgKOH/g以下である。重合体(A)の水酸基価が上記上限値以下であれば、得られる粘着剤の柔軟性がより良好である。
重合体(A)の水酸基価は、JIS K 1557-1:2007のB法に従って、測定して算出した値である。
本発明の一態様として、重合体(A)は、1分子当たりの水酸基数が3であるオキシアルキレン重合体a(以下、「重合体a」という。)及び1分子当たりの水酸基数が2であるオキシアルキレン重合体b(以下、「重合体b」という。)からなるものであってもよい。重合体(A)が重合体a及び重合体bを含むと、重合体(A)の粘度が低くなりやすく、より取り扱いやすくなり、また、基材に対する粘着力をより適度な範囲としやすい。
重合体(A)における重合体aの質量の割合は、特に制限はなく、0質量%であってもよいが、好ましくは10~90質量%、より好ましくは20~80質量%、さらに好ましくは30~70質量%である。
重合体(A)に含まれる重合体aの質量の割合は、例えば、13C-NMRを用いて、重合体(A)に含まれる開始剤の種類とそのモル比を特定し、そのピーク面積の比率として算出できる。
重合体aを合成するためには、1分子中に3個の水酸基を有する開始剤を用いる。重合体aを合成するための開始剤としては、グリセリンが好ましい。グリセリンは低コストで入手可能であり、重合体aの合成コストを低減できる。
重合体aの合成に用いるアルキレンオキシドは、上述した重合体(A)を合成する際に用いるアルキレンオキシドと同様である。
重合体(A)の合成に用いる原料に水分が含まれると、水を開始剤として、上記アルキレンオキシドが付加重合することにより、1分子当たりの水酸基数が2である重合体(重合体bに相当する。)を副生成物として生成し得る。得られる重合体(A)の平均水酸基数が1.6以上8.0以下となる限りにおいて、該副生成物は、重合体(A)中に含まれていてもよい。
重合体(A)における重合体bの質量の割合は、特に制限はなく、100質量%であってもよいが、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。
重合体(A)に含まれる重合体bの質量の割合は、上述の重合体(A)に含まれる重合体aの質量の割合を算出する場合と同様にして算出できる。
重合体bを合成するためには、水又は1分子中に2個の水酸基を有する開始剤を用いる。重合体bを合成するための1分子中に2個の水酸基を有する開始剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上が好ましく、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールから選択される1種以上がより好ましく、プロピレングリコールが特に好ましい。プロピレングリコールは低コストで入手可能であり、重合体bの合成コストを低減できる。
重合体bの合成に用いるアルキレンオキシドは、上述した重合体(A)を合成する際に用いるアルキレンオキシドと同様であり、好ましい態様も同様である。
重合体(A)は、上記重合体a及びb以外のオキシアルキレン重合体を含んでいてもよい。重合体a及び重合体b以外のオキシアルキレン重合体としては、1分子当たりの水酸基数が4以上のオキシアルキレン重合体c(以下、「重合体c」という。)及び1分子当たりの水酸基数が1であるオキシアルキレン重合体d(以下、「重合体d」という。)が挙げられる。
重合体cを合成するためには、1分子中に4個以上の水酸基を有する開始剤を用いる。1分子中に4個以上の水酸基を有する開始剤としては、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びトリペンタエリスリトール等の4価以上の多価アルコール類、並びにグルコース、ソルビトール、デキストロース、フラクトース、蔗糖及びメチルグルコシド等の糖類又はその誘導体が挙げられる。
重合体dを合成するためには、1分子中に1個の水酸基を有する開始剤を用いる。1分子中に1個の水酸基を有する開始剤としては、低コストで入手可能である点で、炭素数が2~4の1価アルコールが好ましく、プロパノール(n-プロピルアルコール)、2-プロパノール(イソプロピルアルコール)、1-ブタノール(n-ブチルアルコール)、2-ブタノール(sec-ブチルアルコール)、2-メチル-1-プロパノール(イソブチルアルコール)、2-メチル-2-プロパノール(tert-ブチルアルコール)がより好ましく、1-ブタノール(n-ブチルアルコール)、2-ブタノール(sec-ブチルアルコール)、2-メチル-1-プロパノール(イソブチルアルコール)、2-メチル-2-プロパノール(tert-ブチルアルコール)が特に好ましい。
重合体c又は重合体dの合成に用いるアルキレンオキシドは、上述した重合体(A)を合成する際に用いるアルキレンオキシドと同様であり、好ましい態様も同様である。
重合体(A)における重合体a及び重合体bの合計の質量に対する、重合体c及び重合体dの合計の質量の割合は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下であり、含まれていなくてもよい。
開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させる触媒としては、従来公知の触媒を用い得る。例えば、KOHのようなアルカリ触媒、有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる錯体のような遷移金属化合物-ポルフィリン錯体触媒、複合金属シアン化物錯体触媒(DMC触媒)、ホスファゼン化合物からなる触媒が挙げられる。触媒の使用量は従来公知の量を採用することができる。例えば、DMC触媒を用いる場合は、反応液中にDMC触媒の金属濃度が1~500質量ppmとなるような使用量が好ましい。
DMC触媒を用いてオキシアルキレン重合体(A)を得る場合、得られるオキシアルキレン重合体(A)の分子量分布を狭くでき、粘度の低いオキシアルキレン重合体(A)が得られやすい点から好ましい。
DMC触媒は、従来公知の化合物を用い得、DMC触媒を用いた重合体の製造方法も公知の方法を採用できる。例えば、国際公開第2003/062301号、国際公開報第2004/067633号、特開2004-269776号公報、特開2005-015786号公報、国際公開第2013/065802号、特開2015-010162号公報等に開示される化合物及び製造方法を用い得る。
開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させて重合体(A)を得る方法としては、従来公知の方法を採用できる。例えば、国際公開第2011/125951号、特許第5648797号公報等に開示される製造方法を用い得る。
<ポリイソシアネート化合物(Y)>
ポリイソシアネート化合物(Y)としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物である。また、ポリイソシアネート化合物(Y)は、脱ブロック化等によりポリイソシアネート化合物となるブロックイソシアネートであってもよい。
ポリイソシアネート化合物(Y)の25℃における粘度は、水酸基末端ウレタンプレポリマー(X)及び感温性触媒(Z)と混合しやすい観点から、好ましくは10,000mPa・s以下、より好ましくは7,000mPa・s以下、さらに好ましくは5,000mPa・s以下、また、好ましくは20mPa・s以上、より好ましくは100mPa・s以上、さらに好ましくは200mPa・s以上である。
ポリイソシアネート化合物(Y)の25℃における粘度は、E型粘度計で測定することができる。
ポリイソシアネート化合物(Y)としては、水分散性ポリイソシアネート化合物が好ましく、水分散性ポリイソシアネート化合物としては、粘着剤の黄変の抑制の観点から、脂肪族ポリイソシアネート、及び脂環式ポリイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、脂肪族ポリイソシアネートがさらに好ましい。
水分散性ポリイソシアネート化合物としては、ポリエチレンオキシド、カルボキシル基又はスルホン酸基等の親水性基によって変性して自己乳化型にした形態のポリイソシアネート化合物(自己乳化型ポリイソシアネート化合物);界面活性剤等によって乳化して水分散可能にした形態の化合物(強制乳化型ポリイソシアネート化合物)が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物(Y)の具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート等の直鎖又は分岐の脂肪族ポリイソシアネート;トルエンジイソシアネート(TDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、水添キシリレンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)等の脂環式ポリイソシアネート;上述した各種ジイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体;上述した各種ジイソシアネート化合物のビウレット変性体;上述した各種ジイソシアネート化合物のアロファネート変性体;上述した各種ジイソシアネート化合物と1分子中に2個以上の水酸基を有するポリオールとを反応させて得られる、2官能以上のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(アダクト体);ブロックドイソシアネートの脱ブロック体;等が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用い得る。
イソシアヌレート変性体の市販品としては、例えば、デュラネートTPA-100、デュラネートTKA-100(旭化成社製)、コロネートHX(東ソー社製)が挙げられる。
ビウレット変性体の市販品としては、例えば、デュラネート24A-100、デュラネート22A-75P(旭化成社製)が挙げられる。
3官能以上のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの市販品としては、例えば、コロネートL、コロネートL-55E、コロネートL-45E(いずれも東ソー社製)等が挙げられる。
水分散性ポリイソシアネートの市販品としては、例えば、デュラネートWB40-100、デュラネートWB40-80D、デュラネートWT20-100、デュラネートWT30-100、デュラネートWL70-100、デュラネートWE50-100、デュラネートWR80-70P(いずれも旭化成社製)、アクアネート105、アクアネート130、アクアネート140(AQ-140)、アクアネート200、アクアネート210(いずれも東ソー社製)、タケネートWDシリーズ(タケネートWD-720、タケネートWD-725、タケネートWD-220、タケネートXWD-HS7、タケネートXWD-HS30等)(いずれも三井ケミカルズ社製)、Bayhydur3100、BayhydurXP2487/1、(いずれもバイエルマテリアルサイエンス社製)、BasonatHW100、BasonatHA100(いずれもBASF社製)等が挙げられる。
ブロックドイソシアネートの市販品としては、例えば、SU-268A、NBP-211、メイカネートCX、メイカネートTP-10、DM-6400(いずれも明成化学工業社製);WM44-L70G(旭化成社製);Aqua BI200、Aqua BI220(いずれもBaxenden chemicals社製);タケラックW、タケラックWPB(いずれも三井化学社製);バーノック(DIC社製);エラストロン(第一工業社製);等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン重合体(A)と、ポリイソシアネート化合物(Y)とを反応させて、本発明の粘着剤用水性組成物を製造する際のイソシアネートインデックスは、好ましくは100超、より好ましくは105以上、さらに好ましくは150以上であり、また、好ましくは2,000以下、より好ましくは1,750以下、さらに好ましくは1,500以下である。イソシアネートインデックスは、ポリオキシアルキレン重合体(A)の水酸基のモル数に対するポリイソシアネート化合物(Y)のイソシアネート基のモル数の比率を100倍した値である。
ポリイソシアネート化合物(Y)の含有量は、特に制限はないが、ポリオキシアルキレン重合体(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。
<感温性触媒(Z)>
感温性触媒(Z)としては、上述した所定の示差走査熱量測定(DSC)にて、最大ヒートフローが1mcal/s以上の発熱ピークを30~90℃の温度範囲に観測する触媒である限り、特に制限はなく、ピペラジン系アミン触媒、モルホリン系アミン触媒、及びジアザビシクロ化合物系触媒からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、ジアザビシクロ化合物系触媒が、反応性がより良好であることからより好ましい。
ピペラジン系アミン触媒としては、例えば、ジメチルピペラジン、N-メチル-N’-(2-ジメチルアミノ)エチルピペラジン、N-メチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン等が挙げられる。
モルホリン系アミン触媒としては、例えば、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、等が挙げられる。
ジアザビシクロ化合物系触媒とは、アミジン部位に由来する強塩基性を有するビシクロ化合物のことを意味する。例えば、1,8-ジアザビシクロ-[5,4,0]-ウンデセン-7(略称DBU)、1,5-ジアザビシクロ-[4,3,0]-ノネン-5(略称DBN)、1,8-ジアザビシクロ-[5,3,0]-デセン-7(略称DBD)、1,4-ジアザビシクロ-[3,3,0]-オクテン-4(略称DBO)が挙げられる。また、これらのトリアゾール塩、フェノール塩、ギ酸塩、オクチル酸塩、オレイン酸塩等の有機塩が挙げられる。
感温性触媒(Z)としては、反応性がより良好であることから、DBUの、トリアゾール塩、フェノール塩、ギ酸塩、オクチル酸塩、オレイン酸塩;DBNの、トリアゾール塩、フェノール塩、ギ酸塩、オクチル酸塩、オレイン酸塩;DBDのトリアゾール塩;DBOのトリアゾール塩が好ましく、DBUの、トリアゾール塩、オクチル酸塩;DBNの、トリアゾール塩、オクチル酸塩;DBDのトリアゾール塩;DBOのトリアゾール塩がより好ましく、DBUのトリアゾール塩、オクチル酸塩;DBNのオクチル酸塩がさらに好ましい。
感温性触媒(Z)の含有量は、特に制限はないが、ポリオキシアルキレン重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上、さらに好ましくは0.008質量部以上であり、また、好ましくは3質量部以下、より好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0.5質量部以下である。
<水>
本発明の粘着剤用水性組成物中における水の含有量は、ポリオキシアルキレン重合体(A)100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは25質量部以上であり、また、好ましくは90質量部以下、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは70質量部以下である。前記含有量が上記範囲内であると、塗工性をより向上させることができる。
<その他の成分>
本発明の粘着剤用水性組成物は、その他の成分として、酸化防止剤;アルコール等の溶媒;加水分解抑制剤;紫外線吸収剤;光安定剤;帯電防止剤;レベリング剤;アルキレンオキシド、ポリオール(開始剤)、アルキレンオキシドを開環付加重合させる触媒等のポリオキシアルキレン重合体(A)を調製する際に用いた原料;他の任意成分等を含んでいてもよい。
本発明の粘着剤用水性組成物中におけるその他の成分の含有量は、通常、20質量%以下である。
-酸化防止剤-
酸化防止剤としては、フェノール系化合物、アミン系化合物等のラジカル捕捉剤;硫黄系化合物及びリン系化合物等の過酸化物分解剤;等が挙げられる。酸化防止剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用い得る。
フェノール系化合物としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、ステアリン-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-ジヒドロキシ-3,3’-ジ(α-メチルシクロヘキシル)-5,5’-ジメチルジフェニルメタン(精工化学社製品名CBP)、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ベンゼンプロパン酸,3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-,C7-C9側鎖アルキルエステル(BASF社製品名Irganox1135)、2,6-ジ-t-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール(BASF社製品名Irganox565)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-t-ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5-トリス(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H、3H、5H)トリオン、トコフェノール等が挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、N-フェニルベンゼンアミンと2,4,4-トリメチルペンテンとの反応生成物(商品名:IRGANOX(登録商標)5057(BASFジャパン社製))、トリス(2-〔(2,4,8,10-テトラキスブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン-6-イル)オキシ〕エチル)アミン等が挙げられる。
硫黄系化合物としては、例えば、ジドデシル-3,3’-チオプロピオネート、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート、テトラキス-メチレン-3-ラウリルチオプロピオネートメタン、ジステアリル-3,3’-メチル-3,3’-チオジプロピオネート、ラウリルステアリル-3,3’-チオジプロピオネート、ビス[2-メチル-4-(3-n-アルキルチオプロピオニルオキシ)-5-t-ブチルフェニル]スルフィド、β-ラウリルチオプロピオネート、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプト-5-メチルベンゾイミダゾール、ジステアリル-3,3’-チオジプロチオネート等が挙げられる。
リン系化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジフォスファイト、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-デシロキシ-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
酸化防止剤を用いることで、オキシアルキレン重合体(A)の熱劣化を防ぎ得る。
酸化防止剤の添加量は、特に制限はないが、オキシアルキレン重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.2質量部以上であり、また、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。
酸化防止剤としては、安定性と酸化防止効果の観点から、ラジカル捕捉剤であるフェノール系化合物を1種以上用いることが好ましい。ラジカル捕捉剤である1種以上フェノール系化合物と過酸化物分解剤である1種以上のリン系化合物とを併用することもできる。また、酸化防止剤として、ラジカル捕捉剤であるフェノール系化合物と過酸化物分解剤であるリン系化合物とを併用し、これら酸化防止剤と後述の加水分解抑制剤とを併用することもできる。
-溶媒-
本発明の粘着剤用水性組成物には、必要に応じて、溶媒が含まれていてもよい。
溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;酢酸エチル等のエステル;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;等が挙げられる。溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて、使用できる。
また、溶媒の使用量は、オキシアルキレン重合体(A)とポリイソシアネート化合物(Y)の合計100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
-加水分解抑制剤-
加水分解抑制剤としては、カルボジイミド系、オキサゾリン系、エポキシ系等が挙げられる。加水分解抑制剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用い得る。
これらの中でも、加水分解抑制効果の観点から、カルボジイミド系が好ましい。
カルボジイミド系加水分解抑制剤は、1分子中に1つ以上のカルボジイミド基を有する化合物である。
モノカルボジイミド化合物としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ナフチルカルボジイミド等が挙げられる。
ポリカルボジイミド化合物は、カルボジイミド化触媒の存在下でジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させて生成できる。
ジイソシアネートとしては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1-メトキシフェニル-2,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
カルボジイミド化触媒としては、例えば、1-フェニル-2-ホスホレン-1-オキシド、3-メチル-2-ホスホレン-1-オキシド、1-エチル-3-メチル-2-ホスホレン-1-オキシド、1-エチル-2-ホスホレン-1-オキシド、これらの3-ホスホレン異性体等のホスホレンオキシド等が挙げられる。
オキサゾリン系加水分解抑制剤としては、例えば、2,2’-o-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-m-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-p-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-p-フェニレンビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’-m-フェニレンビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’-p-フェニレンビス(4,4’-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-m-フェニレンビス(4,4’-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-エチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-テトラメチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-ヘキサメチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-オクタメチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-エチレンビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’-ジフェニレンビス(2-オキサゾリン)等が挙げられる。
エポキシ系加水分解抑制剤としては、例えば、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等の脂肪族ジオールのジグリシジルエーテル;ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、グリセロール、トリメチロールプロパン等の脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル;シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ポリオールのポリグリシジルエーテル;テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族又は芳香族の多価カルボン酸のジグリシジルエステル又はポリグリシジルエステル;レゾルシノール、ビス-(p-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス-(p-ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス-(p-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2-テトラキス(p-ヒドロキシフェニル)エタン等の多価フェノールのジグリシジルエーテル又はポリグリシジルエーテル;N,N-ジグリシジルアニリン、N,N-ジグリシジルトルイジン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-ビス(p-アミノフェニル)メタン等のアミンのN-グリシジル誘導体;アミノフェールのトリグリシジル誘導体;トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート;トリグリシジルイソシアヌレート;オルソクレゾール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂;等が挙げられる。
加水分解抑制剤の添加量は、特に制限はないが、オキシアルキレン重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4.5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。
-紫外線吸収剤-
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物等が挙げられる。紫外線吸収剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用い得る。
紫外線吸収剤の添加量は、特に制限はないが、オキシアルキレン重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.2質量部以上であり、また、好ましくは3質量部以下、より好ましくは2.5質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。
-光安定剤-
光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードピペリジン系化合物等が挙げられる。光安定剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用い得る。
光安定剤の添加量は、特に制限はないが、オキシアルキレン重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.2質量部以上であり、また、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1.5質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下である。
-帯電防止剤-
帯電防止剤としては、無機塩、多価アルコール化合物、イオン性液体、界面活性剤等が挙げられる。帯電防止剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用い得る。
これらの中でもイオン性液体が好ましい。なお、「イオン性液体」は、常温溶融塩ともいい、25℃で流動性がある塩である。
帯電防止剤の添加量は、特に制限はないが、オキシアルキレン重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上、さらに好ましくは0.05質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。
無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、過塩素酸リチウム、塩化アンモニウム、塩素酸カリウム、塩化アルミニウム、塩化銅、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム等が挙げられる。
多価アルコール化合物としては、例えば、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
イオン性液体としては、例えば、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1,3-ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド等のイミダゾリウムイオンを含むイオン性液体;1-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-ブチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-ヘキシルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-オクチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-ヘキシル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-ヘキシル-4-メチルピリジニウムヘキサフルオロリン酸塩、1-オクチル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-オクチル-4-メチルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-メチルピリジニウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、1-メチルピリジニウムビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド等のピリジニウムイオンを含むイオン性液体;トリメチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジエチル-N-メチル-N-プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジエチル-N-メチル-N-ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジエチル-N-メチル-N-ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリ-n-ブチルメチルアンモニウムビストリフルオロメタンスルホンイミド等のアンモニウムイオンを含むイオン性液体;ピロリジニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩等の他のイオン性液体;等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド等の非イオン性の低分子界面活性剤;アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルホスフェート等のアニオン性の低分子界面活性剤;テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩等のカチオン性の低分子界面活性剤;アルキルベタイン、アルキルイミダゾリウムベタイン等の両性の低分子界面活性剤;ポリエーテルエステルアミド型、エチレンオキシド-エピクロルヒドリン型、ポリエーテルエステル型等の非イオン性の高分子界面活性剤;ポリスチレンスルホン酸型等のアニオン性の高分子界面活性剤;第4級アンモニウム塩基含有アクリレート重合体型等のカチオン性の高分子界面活性剤;高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤等の両性の高分子界面活性剤;等が挙げられる。
-レベリング剤-
レベリング剤としては、例えば、アクリル系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤等が挙げられる。レベリング剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用い得る。
これらの中でも、アクリル系レベリング剤が好ましい。
レベリング剤の添加量は、特に制限はないが、オキシアルキレン重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、さらに好ましくは0.1質量部以上であり、また、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1.5質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下である。
-他の任意成分-
他の任意成分としては、例えば、オキシアルキレン重合体(A)以外の他の樹脂、充填剤(タルク、炭酸カルシウム、及び酸化チタン等)、金属粉、着色剤(顔料等)、箔状物、軟化剤、導電剤、シランカップリング剤、潤滑剤、腐食防止剤、耐熱安定剤、重合禁止剤、消泡剤等が挙げられる。
<粘着剤用水性組成物の製造方法>
オキシアルキレン重合体(A)と、ポリイソシアネート化合物(Y)、感温性触媒(Z)とを含む、本発明の粘着剤用水性組成物を製造する方法について説明する。
本発明の粘着剤用水性組成物は、オキシアルキレン重合体(A)と、ポリイソシアネート化合物(Y)と、感温性触媒(Z)とを含む一液型であってもよい。オキシアルキレン重合体(A)と、ポリイソシアネート化合物(Y)を含む第1剤に、感温性触媒(Z)を含む第2剤を混合する二液型でもよく、オキシアルキレン重合体(A)と、感温性触媒(Z)を含む第1剤に、ポリイソシアネート化合物(Y)を含む第2剤を混合する二液型でもよい。
オキシアルキレン重合体(A)と、ポリイソシアネート化合物(Y)と、感温性触媒(Z)とを含む粘着剤用水性組成物を加熱することにより、ウレタン結合の形成が進行して、粘着剤が得られる。
本発明の粘着剤用水性組成物は、さらに、感温性触媒(Z)以外の触媒、溶媒、粘着剤用水性組成物に配合可能な任意成分等を含んでもよい。
二液型の場合における、第1剤及び第2剤は、それぞれ別の容器に収容される。容器は、チューブ、瓶等、様々なものを利用できる。
本発明の粘着剤用水性組成物を硬化させる際の反応温度は、好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上、さらに好ましくは40℃以上であり、また、140℃以下、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは120℃以下である。反応温度を上記範囲内にするとウレタン化反応以外の副反応を抑制しやすいため、所望のポリマーを得やすい。
(粘着剤)
本発明の粘着剤は、本発明の粘着剤用水性組成物を硬化させて得られる。
本発明の粘着剤中のオキシアルキレン基の総量に対するEO単位含有量は、特に制限はないが、好ましくは10質量%以上、より好ましくは12質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、よりさらに好ましくは20質量%以上であり、特に好ましくは25質量%以上であり、また、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下、特に好ましくは40質量%以下である。本発明の粘着剤中のオキシアルキレン基の総量に対するEO単位含有量が下限値以上であると、粘着
剤のヘイズが抑制されやすく、ポットライフが向上しやすい。本発明の粘着剤中のオキシアルキレン基の総量に対するEO単位含有量が上限値以下であると、粘着剤の基材に対する粘着性がより向上しやすい。
なお、粘着剤中のオキシアルキレン基の総量に対するEO単位含有量は、13C-NMRを用いてオキシアルキレン鎖のモノマー組成を求めることにより、算出したものである。
<粘着剤の製造方法>
オキシアルキレン重合体(A)と、ポリイソシアネート化合物(Y)、感温性触媒(Z)とを反応させて、本発明の粘着剤を製造する方法について説明する。
粘着剤の製造方法においては、オキシアルキレン重合体(A)とポリイソシアネート化合物(Y)と感温性触媒(Z)とを混合した粘着剤用水性組成物を調製し、粘着剤用水性組成物を基材上に塗工し、粘着剤用水性組成物を塗工した基材を加熱する。
<<混合>>
オキシアルキレン重合体(A)とポリイソシアネート化合物(Y)と感温性触媒(Z)との混合(粘着剤用水性組成物の調製)は、感温性触媒(Z)の発熱ピーク温度よりも低い温度で行われる。
オキシアルキレン重合体(A)とポリイソシアネート化合物(Y)と感温性触媒(Z)とを混合する際の混合方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法、例えば、ロールミルによる分散混合、回転翼による撹拌混合、遊星式撹拌混合機による混合、ホモジナイザーによる混合、ニーダーによる混合、等が挙げられる。
<<塗工>>
粘着剤用水性組成物を基材上に塗工する際の塗工方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法、例えば、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、等が挙げられる。
<<加熱>>
粘着剤用水性組成物が塗工された基材の加熱は、感温性触媒(Z)の発熱ピーク温度よりも高い温度で行われる。
(貼付材)
本発明の貼付材は、基材と、その基材の少なくとも一方の表面に設けられた、本発明の粘着剤を含む粘着剤層と、を有する。
本発明の貼付材の形態は、基材フィルムの一方の面に粘着剤層が設けられ、粘着剤層の粘着面を覆って剥離可能に積層された剥離ライナー又は担持フィルムを有することが好ましい。
本発明の貼付材は、例えば、担持フィルム上に本発明の粘着剤を水に溶解(分散)させた粘着剤用水性組成物を、塗工用アプリケータを用いて塗工し、塗工された粘着剤用水性組成物を乾燥させて粘着剤層を形成し、形成された粘着剤層の担持フィルムとは反対側の表面に基材フィルムを積層し、養生することにより製造される。
また、本発明の貼付材は、例えば、担持フィルム上に本発明の粘着剤用水性組成物を、塗工用アプリケータを用いて塗工し、塗工された粘着剤用水性組成物を乾燥させて樹脂層を形成し、形成された樹脂層の担持フィルムとは反対側の表面に基材フィルムを積層し、養生して粘着剤層を形成することにより製造される。
ここで、上記貼付材の製造方法において、担持フィルム上に粘着剤層(樹脂層)を形成し、形成された粘着剤層(樹脂層)の担持フィルムとは反対側の表面に基材フィルムを積層する代わりに、基材フィルム上に粘着剤層(樹脂層)を形成し、形成された粘着剤層(樹脂層)の基材フィルムとは反対側の表面に担持フィルムを積層してもよい。
上記基材フィルムの厚さは、特に制限はないが、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、また、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。基材フィルムの厚さが上記好ましい範囲内であると、貼付材が破断する可能性を小さくできる。
上記基材フィルムの材料は、例えば、ポリエーテルウレタン、ポリエステルウレタン等のウレタン系ポリマー;ポリエーテルポリアミドブロックポリマー等のアミド系ポリマー;ポリアクリレート等のアクリル系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系ポリマー;ポリエーテルポリエステル等のエステル系ポリマー;等が挙げられる。基材フィルムの材料としては、エステル系ポリマーが好ましい。
基材フィルムの材料は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用い得る。さらに、異なる材料から製造された基材フィルムを積層した積層フィルムでもよい。基材フィルムは、織布、不織布、編布又はネット等の布帛と積層できる。
粘着剤層の厚さは、特に制限はないが、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、また、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。粘着剤層の厚さがこの範囲内であると、より良好な粘着性が得られる。
本発明の貼付材は、粘着剤層の表面の汚染を防ぐために、使用するまで粘着剤層表面を剥離ライナー又は担持フィルムにて被覆しておくことが好ましい。
剥離ライナーとしては、具体的には、上質紙、グラシン紙若しくはパーチメント紙等の表面にシリコーン樹脂若しくはフッ素樹脂等の剥離性能を有する剥離剤をコーティングしたもの;又は上質紙に樹脂をアンカーコートしたもの若しくは上質紙をポリエチレンラミネートしたもの等の表面にシリコーン樹脂若しくはフッ素樹脂等の剥離性能を有する剥離剤をコーティングしたもの;を使用できる。
担持フィルムの素材としては、特に制限はないが、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルムが好ましい。上記基材フィルムの、粘着剤層が形成された面と反対側の面において、担持フィルムを剥離可能に積層できる。
担持フィルムを基材フィルムの背面に剥離可能に貼り合わせるには、インフレーション成形、押出ラミネート成形、積層成形又はキャスティング等の方法を用い得る。
担持フィルムの厚さは、素材によっても異なるが、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上であり、また、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。
(粘着テープ)
本発明の粘着テープは、基材と、その基材の少なくとも一方の表面に設けられた、本発明の粘着剤を含む粘着剤層と、を有する。
本発明の粘着テープでは、粘着剤層は、基材の表面の一方にのみ設けられていてもよいし、基材の表面の両方に設けられていてもよい。
本発明の粘着テープの一形態は、基材フィルムの一方の面に粘着剤層が設けられ、粘着剤層の粘着面を覆って剥離可能に積層された剥離ライナー又は担持フィルムを有することが好ましい。この形態を、特に、片面粘着テープという。
基材フィルム、剥離ライナー及び担持フィルムは、本発明の貼付材と同様である。また、粘着剤層の厚さは、本発明の貼付材における粘着剤層の厚さと同様である。
また、本発明の粘着テープは、本発明の貼付材と同様に製造し得る。
本発明の粘着テープの別の形態は、基材フィルムの両方の面に粘着剤層が設けられ、粘着剤層の粘着面を覆って剥離可能に積層された剥離ライナー又は担持フィルムを有することが好ましい。この形態を、特に、両面粘着テープという。
基材フィルム、剥離ライナー及び担持フィルムは、本発明の貼付材と同様である。また、粘着剤層の厚さは、本発明の貼付材における粘着剤層の厚さと同様である。
本発明の粘着テープのさらに別の形態は、剥離可能な基材フィルムの一方の面に粘着剤層が設けられ、粘着剤層の粘着面を覆って剥離可能に積層された剥離ライナー又は担持フィルムを有することが好ましい。この形態を、特に、粘着剤転写テープという。
剥離可能な基材フィルムは、本発明の貼付材に使用可能な基材フィルムの表面にシリコーン樹脂又はフッ素樹脂等の剥離性能を有する剥離剤をコーティングしたものが好ましい。剥離ライナー及び担持フィルムは、本発明の貼付材と同様である。また、粘着剤層の厚さは、本発明の貼付材における粘着剤層の厚さと同様である。
以下、例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は下記例により限定されるものではない。
例1~4及び9~11が実施例であり、例5~8が比較例である。
<物性の測定方法>
[水酸基価]
JIS K 1557:2007のB法に準拠して、フタル化試薬を用いた方法にて、オキシアルキレン重合体の水酸基価を算出した。
[水酸基価換算分子量]
オキシアルキレン重合体の水酸基価換算分子量は、56100/(水酸基価)×(1分子中の水酸基数)の式から算出した値である。なお、「1分子中の水酸基数」は、オキシアルキレン重合体の水酸基数又は平均水酸基数である。
[Mn、Mw、Mw/Mn]
オキシアルキレン重合体及び水酸基末端ウレタンプレポリマーにおける数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw及び分子量分布Mw/Mnは、以下に記載する方法により測定して得られた値である。
分子量測定用の標準試料として重合度の異なる単分散ポリスチレンの数種類について、市販のGPC測定装置(HLC-8320GPC、東ソー社製)を用いて測定し、ポリスチレンの分子量と保持時間との関係をもとに検量線を作成し、測定試料であるオキシアルキレン重合体をテトラヒドロフランで0.5質量%に希釈し、孔径0.5μmのフィルターに通過させた後、該測定試料について、上記GPC測定装置を用いて測定した。上記検量線を用いて、測定試料のGPCスペクトルをコンピュータ解析することにより、測定試料のMn及びMwを求めた。Mw/Mnは、上記MwとMnより算出した。
[不飽和度]
オキシアルキレン重合体の不飽和度は、JIS K 1557-3:2007の方法に従って測定した値である。
[オキシエチレン基の含有割合(EO単位含有量)]
オキシアルキレン重合体、水酸基末端ウレタンプレポリマー及び硬化物(粘着剤)におけるオキシアルキレン基の総量に対するオキシエチレン基の含有割合(EO単位含有量)は、13C-NMRを用いてオキシアルキレン鎖のモノマー組成を求めることにより、算出した値である。
例えば、オキシアルキレン重合体がPO単位とEO単位からなるポリオールである場合、PO単位中のメチル基のシグナルとPO単位中及びEO単位中のメチレン基のシグナルの面積比から、EO単位含有量を求めることができる。
<オキシアルキレン重合体の合成>
[合成例1:重合体(A1-1)の合成]
(工程a)
開始剤としてグリセリンにKOH触媒でプロピレンオキシドを水酸基価換算分子量3,000になるまで付加反応させたポリオール(開始剤A)を用いた。
まず、耐圧反応容器内に、開始剤Aを1,970gと、配位子がt-ブタノールであるヘキサシアノコバルテート錯体(以下、TBA-DMC触媒ともいう。)スラリーを加えて反応液とした。TBA-DMC触媒スラリーの量は、反応液中におけるTBA-DMC触媒の金属の濃度が50質量ppmとなる量とした。
次いで、耐圧反応容器内を窒素置換した後、反応液を撹拌しながら加熱し、140℃に達したら加熱を止め、撹拌を続けながら、プロピレンオキシド98g(開始剤100質量部に対して5.0質量部)を耐圧反応容器内に供給して反応させた。
(工程b)
反応液の温度上昇が止まった後に140℃まで冷却し、反応液を撹拌しながら、プロピレンオキシド2,043gとエチレンオキシド703gの混合物を耐圧反応容器内に供給した。内圧の変化がなくなったことを確認した後、合成吸着剤(キョーワード600S、協和化学工業社製)を用いて、触媒を中和し、除去して、重合体(A1-1)を得た。
こうして得られた重合体(A1-1)の水酸基数、水酸基価、水酸基価換算分子量、Mn、Mw/Mn、不飽和度、EO単位含有量を表1に示す。なお、これらの値は、上述の方法により測定した値である。以下の合成例2~6において得られたオキシアルキレン重合体(A1-2)、(A2-1)、(A2-2)、(C1-1)、(C1-2)についても同様に表1に示す。
また、表1における「水酸基数」は、合成の際に用いた開始剤の水酸基数(グリセリンの水酸基数は3であり、プロピレングリコールの水酸基数は2である。)であり、これらの数値はそれぞれのオキシアルキレン重合体の水酸基数となる。
[合成例2:重合体(A1-2)の合成]
(工程a)における開始剤Aを、グリセリンを開始剤としKOH触媒でプロピレンオキシドを水酸基価換算分子量1,000になるまで付加反応させたポリオール(開始剤B)に変更し、開始剤Bの質量を1,002g、(工程a)におけるプロピレンオキシドの質量を100g(開始剤100質量部に対して10.0質量部)、(工程b)におけるプロピレンオキシドの質量を3,149g、エチレンオキシドの質量を2,845gに変更した点を除き、合成例1と同様にして、重合体(A1-2)を合成した。
[合成例3:重合体(A2-1)合成]
(工程a)における開始剤Aを、プロピレングリコールを開始剤としTBA-DMC触媒でプロピレンオキシドを水酸基価換算分子量2,000になるまで付加反応させたポリオール(開始剤C)に変更し、開始剤Cの質量を1,310g、(工程a)におけるプロピレンオキシドの質量を130g(開始剤100質量部に対して10.0質量部)、(工程b)におけるプロピレンオキシドの質量を3,554g、エチレンオキシドの質量を2,079gに変更した点を除き、合成例1と同様にして、重合体(A2-1)を合成した。
[合成例4:重合体(A2-2)の合成]
(工程a)における開始剤Aを、プロピレングリコールを開始剤としKOH触媒でプロピレンオキシドを水酸基価換算分子量1,000になるまで付加反応させたポリオール(開始剤D)に変更し、開始剤Dの質量を762g、(工程a)におけるプロピレンオキシドの質量を80g(開始剤100質量部に対して10.0質量部)、(工程b)におけるプロピレンオキシドの質量を2,659g、エチレンオキシドの質量を2,336gに変更した点を除き、合成例1と同様にして、重合体(A2-2)を合成した。
[合成例5:重合体(C1-1)の合成]
(工程a)
開始剤としてグリセリンにKOH触媒でプロピレンオキシドを水酸基価換算分子量1,500になるまで付加反応させたポリオール(開始剤E)を用いた。
まず、耐圧反応器内にDMC触媒である亜鉛へキサシアノコバルテート-グライム錯体を1.4g、及び開始剤Eを1,050g加えて反応液とした。耐圧反応容器内を窒素置換した後、反応液を撹拌しながら加熱し、140℃に達したら加熱を止め、撹拌を続けながら、プロピレンオキシド105g(開始剤100質量部に対して10.0質量部)を耐圧反応容器内に供給して反応させた。
(工程b)
130℃の窒素雰囲気下として、プロピレンオキシド5,110gを5時間反応させ、触媒を失活させた。その後、KOH触媒を22.1g加え、120℃で2時間脱水処理を行い、アルコラート化後、エチレンオキシド840gを反応させた後、合成吸着剤(キョーワード600S、協和化学工業社製)を用いて触媒中和、除去作業を行い末端にエチレンオキシドが付加した重合体(C1-1)を得た。
[合成例6:重合体(C1-2)の合成]
(工程a)における開始剤Eを、開始剤としてプロピレングリコールにKOH触媒でプロピレンオキシドを水酸基価換算分子量700になるまで付加反応させたポリオール(開始剤F)に変更し、開始剤Fの質量を350g、(工程a)におけるDMC触媒である亜鉛へキサシアノコバルテート-グライム錯体の質量を0.37g、(工程a)におけるプロピレンオキシドの質量を35g(開始剤100質量部に対して10.0質量部)、(工程b)におけるKOH触媒の質量を6.3g、(工程b)におけるプロピレンオキシドの質量を1,490g、エチレンオキシドの質量を160gに変更した点を除き、合成例5と同様にして、重合体(C1-2)を合成した。
<例1>
重合体(A1-1)の100質量部と、硬化剤としてのポリイソシアネート化合物(Y)(水分散性のヘキサメチレンジイソシアネート、AQ-140(アクアネート140)、東ソー社製、イソシアネート基含量18.2質量%)15質量部と、硬化触媒としての感温性触媒(Z)(DB30、東ソー社製、ジアザビシクロウンデセン(DBU)トリアゾール塩、アミン価490~520mgKOH/g)0.1質量部、水30質量部を均一に混合し、4時間静置して脱泡し、粘着剤用水性組成物を得た。得られた粘着剤用水性組成物を、厚さ38μmのポリエステルフィルム(基材フィルム)上に、ナイフコータを用いて乾燥膜厚20μmとなるように塗布し、次いで、110℃で10分間乾燥(養生)して硬化させ、粘着剤を得た。得られた粘着剤中のオキシアルキレン基の総量に対するEO単位含有量は26質量%であった。
<例2~11>
表2に示す通りの配合量(質量部)として、例1と同様にして、粘着剤を得た。
表2に、粘着剤用水性組成物を硬化して得られた粘着剤中のオキシアルキレン基の総量に対するEO単位含有量、得られた粘着剤のポットライフの測定結果及び評価結果を示す。
表2中、「WR80-70P」は、「デュラネートWR80-70P(旭化成社製、水分散性のヘキサメチレンジイソシアネート)」を示す。「Kat24」は、「Borchi Kat24(Borchers社製、ビスマス系ウレタン硬化触媒)」を示す。「U-CAT SA102」は、「U-CAT SA102(サンアプロ社製、DBUの2-エチルヘキサン酸塩(オクチル酸塩))」を、「U-CAT 1102」は、「U-CAT 1102(サンアプロ社製、DBNの2-エチルヘキサン酸塩(オクチル酸塩))」を示す。「-」は、その成分を配合していないことを示す。
DB30、Kat24、U-CAT SA102及びU-CAT 1102のそれぞれについて、以下の方法に従って最大ヒートフローを測定すると、DB30、U-CAT SA102及びU-CAT 1102は、30~90℃の温度範囲に最大ヒートフローが1mcal/s以上の発熱ピークが観測され、Kat24は、30~90℃の温度範囲に最大ヒートフローが1mcal/s以上の発熱ピークが観測されなかった。
[最大ヒートフローの測定]
水酸基価換算分子量約2,000のポリプロピレングリコールの100質量部と、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)をイソシアネートインデックスが105となる量添加し、DB30、Kat24、U-CAT SA102又はU-CAT 1102の1.16質量部を混合して混合液を得た。この混合液について、以下の測定条件の示差走査熱量測定(DSC)によって、DB30、Kat24、U-CAT SA102又はU-CAT 1102の最大ヒートフローを測定した。
(測定条件)
測定機器:セイコーインスツルメンツ DSC-6100
測定する混合液の量:10mg
測定温度範囲:0~200℃
昇温/降温速度:10℃/分
測定雰囲気:窒素
[塗工性の評価]
例1~11において、基材フィルム上に形成した粘着剤(層)を目視にて観察して、異物及びハジキの有無を確認した。
異物やハジキがなく均一な粘着剤層が得られている場合をA(平滑)とし、異物やハジキが観察された場合をB(凹凸有)として評価した。評価結果を表2に示す。
[ヘイズの評価]
(1)例1~11において、基材フィルム上に形成した粘着剤(層)の上に、剥離処理を施したポリエステルフィルム(担持フィルム、厚さ38μm)を貼り合わせた後、熱風乾燥機中に60℃の雰囲気下で5日間保存して、粘着剤層の架橋反応を完結させて、粘着剤層を備えた貼付材(粘着テープ)を作製した。得られた貼付材から担持フィルムをはがして得られた粘着剤層について、色彩・濁度同時測定器(日本電色工業社製、COH400)を用いて、ヘイズ(H)を測定した。
(2)例1~11において、脱泡のための静置時間を30分間とした他は、上記と同様の操作によって得られた貼付材(粘着テープ)についても、同様にヘイズ(H)を測定した。
下式(a)に従って、経時的なヘイズの変化(%)を算出した。ヘイズHの値が8%未満であれば、貼付材の透明性が高いことを表し、かつ、ヘイズの変化が3%未満であれば経時的な変化が少ないことを示し、貼付材の透明性が高く維持されていることを示す。
(H-H)・・・(a)
[ポットライフ]
上記の塗工性及びヘイズの変化の値を総合して、以下のように判定した。判定結果を表2に示す。
A・・・ヘイズの変化が3%未満かつ塗工性がAである場合
B・・・ヘイズの変化が3%未満かつ塗工性がBである場合
C・・・ヘイズの変化が3%以上かつ塗工性がAである場合
D・・・ヘイズの変化が3%以上かつ塗工性がBである場合
[粘着力]
上記のヘイズの評価における(1)と同様にして得られた貼付材(粘着テープ)を、幅25mm、長さ150mmに切断し、評価用サンプルとした。
温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で、評価用サンプルの粘着剤層とガラス板(フロートガラス)とを貼り合わせて、評価用サンプルの基材フィルム側が上となるように水平面に静置して、基材フィルム側から2.0kgのローラーを1往復させて上記粘着剤層とガラス板とを圧着させた。温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で30分間養生した後、万能引張試験機(エー・アンド・デイ社製、製品名:テンシロンRTG-1310)を用い、剥離角度180°、引っ張り速度300mm/minで試験用サンプルの上記粘着剤層とガラス板との界面を剥離し、粘着剤層の粘着力を測定した。以下のように判定した粘着力を表2に示す。
A・・・粘着力が0.10N/25mm以下である場合
B・・・粘着力が0.10N/25mmを超える場合
表2に示すように、例1~4及び9~11では、粘着剤用水性組成物のポットライフが良好であり、表面保護フィルム用に適する粘着性(微粘着性)を有するという結果が得られた。ポリオキシアルキレン重合体におけるEO単位含有量が15質量%に満たないポリオキシアルキレン重合体を用いた例5及び6では、例1~4及び9~11と比べて、ポットライフが劣る結果が得られた。
感温性触媒を含まない例7及び8では、粘着剤のポットライフが劣る結果が得られた。
本発明により得られる粘着剤は、テレビ、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話、携帯端末等の電子機器に広く使用されているフラットパネルディスプレイ(液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等)及びタッチパネルディスプレイ、並びに、これらの製造工程で製造又は使用される基板(ガラス基板、ガラス基板上にITO(インジウム酸化錫)膜が形成されたITO/ガラス基板等)及び光学部材等の表面を保護する表面保護フィルム用の粘着剤として好適に用いられる。

Claims (10)

  1. オキシエチレン基を有し、1分子当たりの平均水酸基数が1.6以上8.0以下であるオキシアルキレン重合体(A)と、ポリイソシアネート化合物(Y)と、感温性触媒(Z)とを含む粘着剤用水性組成物であって、
    前記オキシアルキレン重合体(A)のオキシアルキレン基の総量に対するオキシエチレン基の含有割合は15質量%以上90質量%以下である、粘着剤用水性組成物。
  2. 前記感温性触媒(Z)は、ピペラジン系アミン触媒、モルホリン系アミン触媒、及びジアザビシクロ化合物系触媒からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の粘着剤用水性組成物。
  3. 前記ポリイソシアネート化合物(Y)は、水分散性ポリイソシアネート化合物である、請求項1に記載の粘着剤用水性組成物。
  4. 前記水分散性ポリイソシアネート化合物は、脂肪族ポリイソシアネート、及び脂環式ポリイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項3に記載の粘着剤用水性組成物。
  5. 前記オキシアルキレン重合体(A)の水酸基価換算分子量は、1,000以上50,000以下である、請求項1に記載の粘着剤用水性組成物。
  6. 前記粘着剤用水性組成物の固形分含量は、10質量%以上95質量%以下である、請求項1に記載の粘着剤用水性組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の粘着剤用水性組成物を硬化させて得られる、粘着剤。
  8. 基材と、前記基材の少なくとも一方の表面に設けられた、請求項7に記載の粘着剤を含む粘着剤層とを有する、貼付材。
  9. 基材と、前記基材の少なくとも一方の表面に設けられた、請求項7に記載の粘着剤を含む粘着剤層とを有する、粘着テープ。
  10. 請求項1~6のいずれか1項に記載の粘着剤用水性組成物を用いて粘着剤を製造する粘着剤の製造方法であって、
    前記オキシアルキレン重合体(A)と、前記ポリイソシアネート化合物(Y)と、前記感温性触媒(Z)とを含む粘着剤用水性組成物を調製し、前記粘着剤用水性組成物を基材上に塗工し、前記粘着剤用水性組成物が塗工された基材を加熱し、
    前記粘着剤用水性組成物の調製を前記感温性触媒(Z)の発熱ピーク温度よりも低い温度で行い、
    前記加熱を前記感温性触媒(Z)の発熱ピーク温度よりも高い温度で行う、粘着剤の製造方法。
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