JP2023145296A - ポリプロピレン系熱収縮性フィルム - Google Patents

ポリプロピレン系熱収縮性フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 比重が0.95以下でかつ、低温収縮性に優れた自然収縮が小さい熱収縮性ポリプロピレンフィルムを提供すること。【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂組成物から構成される延伸フィルムであって、下記(1)~(6)を満たすことを特徴とするポリプロピレン系熱収縮性フィルム。(1)90℃の温水に上記フィルムを10秒間浸漬したときの温湯熱収縮率が、フィルム幅方向で40%以上80%以下である。(2)90℃の温水に上記フィルムを10秒間浸漬したときの温湯熱収縮率が、フィルム長手方向で-5%以上12%以下である。(3)フィルムの比重が0.87以上0.95以下である。(4)示差走査熱量計にて測定される融解ピーク温度を70℃以上100℃以下、100℃を超えて170℃以下の範囲にそれぞれ1つ以上有する(5)幅方向の屈折率(Ny)と長手方向の屈折率(Nx)の差Ny‐Nx が0.015以上0.030以下である(6)前記ポリプロピレン系熱収縮性フィルムを40℃65%RH雰囲気下で672時間エージングした後の幅方向の自然収縮率が0.1%以上3.0%以下である【選択図】なし

Description

本発明は、熱収縮性ラベルに適したポリプロピレン系熱収縮性フィルム、当該フィルムを用いたラベルおよびラベルを用いた包装体に関する。
熱収縮性フィルムは、主にガラス瓶やプラスチックボトルの内容物の汚損防止、改ざん防止、包装物品の保護と商品の保護を兼ねたラベルとして広く用いられている。特に使用量が多い用途が、飲料用PETボトルのラベル用途である。一般的に熱収縮性フィルムをラベルとしてPETボトルに装着する際は、ラベルをかぶせたPETボトルをコンベアのついたラインで蒸気を満たしたトンネルへ搬送し、トンネル内で蒸気を吹き付けてフィルムを70℃~100℃程度まで加熱させることで収縮させて装着する。そのため、低温での熱収縮性に優れたポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルを延伸したフィルムが広範に用いられている。
一方で、飲料用PETボトルは再生可能な資源として注目されている。PETボトルは、使用後に回収されて再度成形用レジンとして再生されるが、ラベルはPETボトルと素材が異なるプラスチックを使用している点や印刷等がされていることから、ボトルとの分別が必要である。
すなわち、ラベルが混入するとPETボトル再生時の品質低下を招くため、ラベルをボトルからはがしてリサイクルすることが必要であるが、実際にはラベルをはがさぬまま回収されるケースは多数ある。現在はこれらを回収者が剥がす必要があり、リサイクルの負担を大きくしている。これは、ポリスチレンやポリエステル、ポリ塩化ビニルはPETボトルとの比重差が小さいため、水中での浮沈分離が困難であることに起因する。比重差による浮沈分離は工業的に極めて容易であり、特にPETボトルは比重が1.3程度以上あるのに対し、ラベルが1.0以下の比重であれば水による比重分離が可能である。このようなラベルを用いれば、たとえラベルがPETボトル回収時に混入しても極めて効率的に分別が可能であるため、回収時の負担を大幅に低減させるだけでなく、回収PETボトルから得られる再生レジンの品質向上も可能となる。
このような状況において、ポリプロピレンは比重が0.9程度と軽く、PETに対して水による浮遊分離が可能なため、その利用に期待がかかるが、蒸気で収縮させるのに必要となる90℃での収縮性が不十分であるという問題を有していた。
この低温収縮性の改善を目的に、これまでも各種提案がなされている。
例えば、特許文献1では、石油樹脂やポリエチレンを添加することで低温での延伸を可能とし、低温収縮性を向上させている。しかしながら、石油樹脂を添加すると比重が増加して浮沈分離の効率を低下させるだけでなく、低温で延伸して得られたフィルムは室温下での後収縮(自然収縮)が大きく、フィルム寸法が変化したり、ロール巻き状態のフィルムでは変形により二次加工時に印刷ずれやシワが発生するなどのトラブルが生じやすくなる。
自然収縮率の低減を目的に、特許文献2ではポリプロピレンの分子量分布を小さく制御したり、環状オレフィン樹脂等のガラス転移温度が高い非晶性樹脂と積層したフィルムが提案されている。しかしながら、飲料ラベル向けに要求される収縮率に対して、これらのフィルムは低温収縮性が不十分であった。また、環状オレフィン樹脂は比重が大きいという問題がある。
特許5690103号公報 特許4574462号公報
In-situ investigation on the structural evolution of mesomorphic isotactic polypropylene in a continuous heating process:Polymer 105 (2016) 133-143
本発明は上記課題を克服すべく、比重が0.95以下でかつ、低温収縮性に優れた自然収縮が小さい熱収縮性ポリプロピレンフィルムを提供することを課題としている。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
1.ポリプロピレン系樹脂組成物から構成される延伸フィルムであって、下記(1)~(6)を満たすことを特徴とするポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
(1)90℃の温水に上記フィルムを10秒間浸漬したときの温湯熱収縮率が、フィルム幅方向で40%以上80%以下である。
(2)90℃の温水に上記フィルムを10秒間浸漬したときの温湯熱収縮率が、フィルム長手方向で-5%以上12%以下である。
(3)フィルムの比重が0.87以上0.95以下である。
(4)示差走査熱量計にて測定される融解ピーク温度を70℃以上100℃以下、100℃を超えて170℃以下の範囲にそれぞれ1つ以上有する
(5)幅方向の屈折率(Ny)と長手方向の屈折率(Nx)の差Ny‐Nx が0.015以上0.030以下である
(6)前記ポリプロピレン系熱収縮性フィルムを40℃65%RH雰囲気下で672時間エージングした後の幅方向の自然収縮率が0.1%以上3.0%以下である
2.フィルムのヘイズが1%以上15%以下であることを特徴とする1.に記載のポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
3.温度変調走査熱量計にて測定されるノンリバースヒートフローで20℃以上60℃以下の範囲にピークを有し、該ピークの吸熱量が0.3J/g以上0.95J/g以下であることを特徴とする1.又は2.に記載のポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
4.幅方向の屈折率Nyが1.490以上、1.530以下であることを特徴とする1.~3.のいずれかに記載のポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
5.前記ポリプロピレン系熱収縮性フィルムの厚みが12μm以上100μm以下であることを特徴とする1.~4.のいずれかに記載のポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
6.前記ポリプロピレン系熱収縮性フィルムを構成するポリプロピレン系樹脂組成物において、エチレンまたは1-ブテンを共重合成分として含むことを特徴とする1.~5.のいずれかに記載のポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
7.前記1.~6.のいずれかに記載のポリプロピレン系熱収縮性フィルムを基材とし、ミシン目あるいは一対のノッチが設けられたラベル。
前記1.~6.のいずれかに記載のポリプロピレン系熱収縮性フィルムを環状にしたラベル又は7.に記載のラベルを包装対象物の外周の少なくとも一部に有することを特徴とする包装体。
本発明のポリプロピレン系熱収縮性フィルムは、90℃での高い収縮率を有しており、飲料ラベルとしてシワや収縮不足のない良好な仕上がりを呈することが出来るだけでなく、自然収縮率が小さいため、フィルムを保管して時間が経過した後であっても寸法変化やシワの発生が小さく実用性に優れる。また、比重が小さいため、PETボトルとの浮沈分離を効率よく行うことができるのでリサイクル性に優れる。
実施例1と比較例1のフィルムの示差走査型熱量計による測定から得られたヒートフローチャートとチャート中の融解ピークの位置を示したものである。 実施例1と比較例4のフィルムの温度変調示差走査型熱量計による測定から得られたノンリバースヒートフローチャートである。
本発明で使用するポリプロピレン樹脂組成物を延伸して得られるポリプロピレン系熱収縮性フィルムは、示差走査型熱量計(DSC)で測定される融点(融解ピーク温度)を70℃以上100℃以下と100℃を超えて170℃以下の範囲にそれぞれ少なくとも1つ以上有することが必要である。PETボトルラベル用熱収縮フィルムは、一般的に蒸気によって70℃から100℃の温度で加熱されて収縮するため、70℃以上100℃以下に融点を持つことで部分的に延伸フィルム中の配向した結晶が融解して収縮特性が発現する。一方で、100℃以上170℃に融点を持つことで耐熱性を向上させることが出来、加熱時の融着やブロッキングを抑制できるため好ましい。また、75℃以上97℃以下、110℃以上165℃以下の範囲にそれぞれ融点を有するとより好ましく、80℃以上95℃以下、115℃以上160℃以下の範囲にそれぞれ融点を有すると特に好ましい。
本発明で使用するポリプロピレン樹脂としては、プロピレンホモポリマーだけでなく、プロピレンと他のα-オレフィンとの共重合体や、低立体規則性のポリプロピレン等を好適に用いることができる。プロピレンと他のα-オレフィンとの共重合体に用いるα-オレフィン共重合成分としては、炭素数が2~8のα-オレフィン、たとえば、エチレン、1-ブテンが特に好ましく、1-ペンテン、1-ヘキセン、1、4-メチル-1-ペンテン等を用いることも可能である。また、共重合体は、プロピレンに上記に例示されるα-オレフィンを1種または2種以上重合して得られたランダムまたはブロック共重合体であることが好ましい。また、使用するプロピレンホモポリマーあるいは、プロピレン-α-オレフィン共重合体によって得られる樹脂組成物は0.85以上0.95以下、好ましくは0.86以上0.93以下、特に好ましくは0.87以上0.92以下であることが望ましい。比重が0.85以下のポリプロピレン系樹脂は一般的に結晶性が非常に小さいため、延伸フィルムを製膜しても必要となる収縮率を得られにくいため好ましくない。また、比重が0.95以上であると、製膜後に得られるフィルムの比重が0.95より大きくなってしまうため好ましくない。
なお、前述のように本発明においては、環状オレフィン樹脂は比重を増加させて低温収縮性を低減させるので、含有しないことが好ましい。また、石油樹脂(炭化水素樹脂と称される場合もある)やその水素化樹脂についても、前述のように比重を増加させて自然収縮率を大きくするので、含有しないことが好ましい。
上記ポリプロピレン系樹脂組成物より得られた未延伸シートを延伸して得られるポリプロピレン系熱収縮性フィルムの比重は0.87以上0.95以下であることが必要である。また比重が0.88以上、0.94以下であるとより好ましく、比重0.88以上、0.93以下であると特に好ましい。比重が0.87以下になるような原料を使用すると結晶性低下により収縮率が低下したり、耐熱性が低下するため好ましくない。また比重が0.95より大きいと、熱収縮性フィルムをラベルとして使用する際に印刷等を施すと浮沈分離する際の効率が低下する場合があるため好ましくない。
またポリプロピレン樹脂の融点は、α―オレフィンの種類や量を調整することによってコントロールすることが可能であり、上記2つの温度範囲に異なる融点ピークを持つポリプロピレン系樹脂組成物を得るためには、それぞれ異なる融点を有する共重合体を適当な比率で混合したもの、あるいはα―オレフィンをブロック共重合させたものを使用することが好ましい。また、ポリプロピレン樹脂組成物に含まれる合計のα-オレフィンの共重合比率は、8モル%以上24モル%以下であると好ましく、10モル%以上22モル%以下であるとより好ましい。
また、ポリプロピレン樹脂組成物の230℃におけるメルトフローレート(MFR)は、0.1~30g/10min.の範囲内であると好ましく、0.5~20g/10min.の範囲内であるとより好ましく、1.0~15g/10min.の範囲内であると特に好ましい。MFRが0.1g/min.以下だと押出時の圧力が高くなりダイスからスジが発生しやすくなるため好ましくない。また、30g/10minより大きいと吐出が不安定になったり、延伸時の応力が低下して厚みムラが大きくなる他、粘性が低下して延伸時に破断しやすくなるため好ましくない。なお、メルトフローレートは、JIS-K-7210に準拠した方法によって測定することができる。
本発明において、用いる樹脂には必要に応じて、特性を阻害しない範囲で、各種添加材、充填材、たとえば、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、核剤、難燃剤、顔料、染料、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、マイカ、タルク、クレー、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、抗菌剤、防曇剤、自然分解性を付与する添加剤等を添加することが可能である。特に、取り扱い性の面、および、滑り性、帯電防止性、耐熱ブロッキング性を付与する意味から、脂肪酸アミドに代表される有機系滑剤や脂肪酸アルキルアミン、脂肪酸アルキルアミンエステル、脂肪酸モノグリセリンエステルに代表される界面活性剤、シリカ、PMMAに代表されるアンチブロッキング剤を添加することが好ましい。界面活性剤を添加する場合は20000ppmを上限として必要となる帯電防止性が得られるように適宜調整する。また、アンチブロッキング剤を添加する場合は、300ppm以上10000ppm以下の範囲で調整する。なお、これらの添加量が上記の上限を超えるとヘイズが低下して透明性が損なわれるため好ましくない。さらにまた、その他の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム類等を本発明のフィルムの特性を害さない範囲で配合しても良い。
本発明のフィルムは、その特性を阻害しない範囲で、表面に同種のポリプロピレン系樹脂層および他の樹脂層、たとえば、ポリエチレンや、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物、ポリビニルアルコール等のガスバリア性樹脂層を積層しても良い。
本発明のフィルムには、必要に応じて本発明の特性を阻害しない範囲で、表面処理を行うことができる。表面処理の方法としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理等を例示することができ、特に制限はない。連続処理が可能であり、このフィルムの製造過程の巻き取り工程前に容易に実施できるコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理を行うのが好ましく、表面の濡れ張力を向上させる手段としてはコロナ放電処理が特に好ましい。
本発明のポリプロピレン系熱収縮性フィルムは、単層で製膜することも可能であるが、スキン層とコア層、あるいはそれ以上の多数の層から成る積層構造としてもよい。積層する方法としては、多層共押出法等を挙げることができる。2層以上の積層構成とする場合は、各層がいずれもポリプロピレン系樹脂組成物から構成されることが好ましい。
さらに、本発明のポリプロピレン系熱収縮性フィルムの厚みは、12μm以上100μm以下の範囲にあることが好ましい。さらに、フィルムの厚みは、15μm以上80μm以下の範囲内にあるとより好ましい。フィルムの厚みが12μm以下だと腰感が低下するためラベルとして装着する際にシワが入りやすくなり好ましくない。また、厚みが100μm以上だと、フィルムの原料費が大きくなってしまうことから好ましくない。
本発明の包装体は、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムから得られた、好ましくはミシン目またはノッチを有するラベルが、包装対象物の少なくとも外周の一部に被覆して熱収縮させて形成されるものである。包装対象物としては、飲料用のPETボトルを始め、各種の瓶、缶、菓子や弁当等のプラスチック容器、紙製の箱等を挙げることができる。なお、通常、それらの包装対象物に、熱収縮性ポリプロピレン系フィルムから得られるラベルを熱収縮させて被覆させる場合には、当該ラベルを約5~40%程度熱収縮させて包装体に密着させる。なお、包装対象物に被覆されるラベルには、印刷が施されていても良いし、印刷が施されていなくても良い。
ラベルを作製する方法としては、長方形状のフィルムを丸めて端部を重ね合わせる際に、片面の端部から少し内側に有機溶剤を塗布して接着する、あるいは端部を重ね合わせてヒートシールや溶断シール等の加熱シールを使用して熱融着させる方法、超音波シールを使用して熱融着させる方法などを用いることができる。その他、ホットメルト接着剤や紫外線硬化接着剤、クロロプレンや酸変性ポリオレフィン、塩素化ポリオレフィン等を用いた溶剤系接着剤、フェノール樹脂やポリ酢酸ビニル等を用いた水系接着剤、エポキシ樹脂やウレタン樹脂、シリコン樹脂などを用いた化学反応型接着剤等の各種接着剤をフィルム端部に塗布して接着してもよく、これらの各種方法をフィルムの加工方法に応じて用いることができる。有機溶剤や各種フィルムに塗布できる液体状の接着剤を使用して端部同士の接着を実施する場合は、ロール状に巻き取ったフィルムの片面の端部から少し内側に溶剤あるいは接着剤を塗布し、直ちにフィルムを丸めて端部を重ね合わせて接着して、チューブ状体としたものをカットしてラベル状とする方法を用いても良い。
本発明のポリプロピレン系フィルムをラベルとする際に接着させるための有機溶剤としては、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、フェノール等のフェノール類、テトラヒドロフラン等のフラン類等、あるいはこれらの混合溶剤を用いることができるが、シクロヘキサンを接着用の溶剤として用いると、より高い溶剤接着強度を発現させることができるので好ましい。
本発明のポリプロピレン系熱収縮性フィルムは、90℃の温水中にて無荷重状態で10秒間に亘って処理したときに、収縮前後の長さから、下式1により算出したフィルムの幅方向の熱収縮率(すなわち、90℃の温湯熱収縮率)が、40%以上80%以下であることが必要である。
熱収縮率={(収縮前の長さ-収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%)・・式1
90℃における幅方向の温湯熱収縮率が40%未満であると、収縮量が小さいために、熱収縮した後のラベルにシワやタルミが生じてしまうので好ましくない。温湯熱収縮率の上限に関しては特に制限はないが、本発明の技術上達成可能なのは80%が上限である。なお、90℃における幅方向の温湯熱収縮率の下限値は、42%以上であると好ましく、45%以上であるとより好ましく、50%以上であると特に好ましい。
また、本発明のポリプロピレン系熱収縮性フィルムは、90℃の温水中で無荷重状態で10秒間に亘って処理したときの長手方向の温湯熱収縮率が、―5%以上12%以下であることが必要である。長手方向の温湯熱収縮率が―5%を下回ると、ラベルとして用いた場合にフィルムが膨張してしまい歪みが生じ易くなるので好ましくない。また、90℃における長手方向の温湯熱収縮率が12%を上回ると、ラベルとして用いた場合に縦ひけが大きく歪みが生じやすくなってしまうため好ましくない。また、より好ましい長手方向の収縮率の範囲は、-3%以上11%以下、特に好ましくは―1%以上10%以下である。
本発明のポリプロピレン系熱収縮性フィルムのヘイズは1%以上15%以下であることが好ましい。ヘイズが15%以上であると、透明性が低いため外観として不適であるため好ましくない。また、本発明の技術上のヘイズの下限値は1%までであり、実用上は下限が2%であっても十分である。ヘイズの上限に関して、より好ましくは12%以下、特に好ましくは10%以下である。なお、ヘイズは滑剤などの添加物量によって変化する他、上記したポリプロピレン樹脂組成物にα―オレフィンを共重合したポリプロピレンを使用することで球晶発生を抑制し低下させることができる。ヘイズはJIS K 7105に準拠した方法で測定される。
本発明のポリプロピレン系熱収縮性フィルムは40℃65%RH雰囲気下で672時間エージングした後の幅方向の自然収縮率(寸法変化率)が3.0%以下であることが必要である。好ましくは2.5%以下、より好ましくは2.0%以下である。40℃65%RH下での自然収縮率を3.0%以下とすることによって、室温下や夏場の倉庫内で保管した際のフィルムの経時による寸法変化や、ロールの状態で保管した際の経時収縮によるシワの発生や印刷ずれなどの二次加工時のトラブルを減らすことができる。特に本発明においては、延伸倍率が大きい幅方向の自然収縮率が大きくなりやすいため低減が必要となる。幅方向の自然収縮率が大きいと。保管中に使用できるフィルムの幅が低下して、加工する際の歩留まりを悪化させる他、ロールの状態だと幅方向はフィルム両端部が把持されていないため、保管中の自然収縮によりフィルムがロール中で座屈変形して波打ち状のシワが発生しやすく好ましくない。また、自然収縮率の下限は0%に近いほど好ましいが、本発明の場合は、0.1%が技術的な下限である。
本発明のポリプロピレン系熱収縮性フィルムは、温度変調示差走査熱量計(温度変調DSC)によって測定される20℃以上60℃以下に見られるノンリバースヒートフローの吸熱量が0.30J/g以上0.95J/g以下であることが好ましい。吸熱量が0.95J/g以下であれば、自然収縮率を3.0%以下まで低減することができる。吸熱量は小さい方が自然収縮率をより低減出来るので好ましいが、本発明の技術的な下限は0.30J/gである。また上限については、さらに好ましくは0.90J/g以下であり、特に好ましくは0.85J/g以下である。この吸熱成分について以下に詳細を記載する。
本発明者らは、低温で延伸して得たポリプロピレン系熱収縮性フィルムの経時による自然収縮を低減させる方法を検討したところ、通常、70℃以上の高温で発現する熱収縮率に関係する融点や融解熱量は自然収縮率と相関していないことが判明した。また、自然収縮は樹脂の融点よりもかなり低い室温下で時間をかけて不可逆的に生じることから、室温以下で見られる非晶分子鎖の運動が関係すると考えた。
そこで、非晶分子鎖の運動について、非特許文献1「In-situ investigation on the structural evolution of mesomorphic isotactic polypropylene in a continuous heating process:Polymer 105 (2016) 133-143」のP138のFig.9において、急冷により低結晶化したポリプロピレンにおいて、通常のポリプロピレンのガラス転移温度である0℃よりも高い40℃~60℃の温度にて剛直非晶成分に由来する吸熱ピークが現れることが報告されている。非特許文献1にはフィルムの熱収縮率や自然収縮率について何ら記載されていないが、この剛直非晶成分の不可逆的な変化について調べるため、本発明者らが検討しているポリプロピレン系熱収縮性フィルムについて温度変調DSCのノンリバースヒートフローを解析した。その結果、20℃~60℃の温度域に吸熱ピークがあることを確認し、さらに自然収縮率とこの吸熱ピークに由来する吸熱量が正の相関を示すことを見出した。すなわち、この20℃から60℃の範囲にみられる吸熱量をコントロールすることで自然収縮率を制御できることを見出し、本発明を完成するに至った。吸熱量をコントロールする方法については、後述する製膜方法の説明において記載する。
本発明のポリプロピレン系熱収縮性フィルムは、アッベ屈折率計で測定される幅方向の屈折率(Ny)が1.490以上1.530以下であることが好ましく、1.500以上1.520以下であるとより好ましい。Nyが1.490以下だと配向がほとんど進んでいないため必要となる温湯収縮率が得られないため好ましくない。また、Nyが1.530以上だと配向が高いため、配向結晶化により高融点の結晶が増加して幅方向の温湯収縮率が低下するため好ましくない。
本発明のポリプロピレン系熱収縮性フィルムは、アッベ屈折率計で測定される幅方向の屈折率(Ny)から長手方向の屈折率(Nx)を引いた値(Ny‐Nx)が0.015以上0.030以下であることが必要である。また、より好ましくは0.016以上0.028以下、特に好ましくは0.018以上0.026以下である。長手方向と幅方向の屈折率のバランスがかかる範囲内となるように延伸することで、必要となる長手方向、幅方向の温湯収縮率を得ることができる。
本発明者らはポリプロピレン系原料を延伸して高い収縮率を得るために鋭意検討した結果、幅方向に延伸する前に所定の条件で熱処理および冷却を施すことによって、70℃以上100℃以下の低融点範囲での結晶成分を生じるようにコントロールし、その状態から低温で幅方向に延伸することで、延伸方向に配向した低融点の結晶を有する構造を形成させて高い収縮率を得られることを見出している。さらに、前記方法で延伸後のフィルムの自然収縮率を低減させる方法についても検討を行い、延伸後のフィルムについて適切な条件下で弛緩処理(リラックス)を施すことによって、延伸によって得られた収縮率を損なうことなく自然収縮率を低減できる方法を突き止めた。そして、本発明者らは、それらの知見に基づいて本発明に至った。具体的な方法について以下に記載する。
原料樹脂を溶融押し出しする際には、ポリプロピレン系樹脂原料をホッパードライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥するのが好ましい。そのようにポリオレフィン系樹脂原料を乾燥させた後に、押出機を利用して、200~300℃の温度で溶融しフィルム状に押し出す。かかる押し出しに際しては、Tダイ法、チューブラー法等、既存の任意の方法を採用することができる。
そして、押し出し後のシート状の溶融樹脂を30℃以下に急冷することによって未延伸フィルムを得ることができる。なお、溶融樹脂を急冷する方法としては、溶融樹脂を口金より冷却チラー等で低温にコントロールした回転ドラム上にキャストして急冷固化することにより実質的に未配向の樹脂シートを得る方法を好適に採用することができる。
本発明においては、上記の通り未延伸シートを得た後、生産速度や強度向上の観点から長手方向の延伸を施してもよい。長手方向に延伸する場合は、一般的な延伸フィルム製膜で実施されているように、加熱ロールで予熱した未延伸シートについて、ロールの速度差を利用することによって延伸することができる。ロールの温度は50℃以上100℃以下で実施することが好ましい。ロール温度が50℃より低いと、フィルムがスリップしてしまい延伸が安定しにくいため好ましくない。また、100℃より高いとフィルムが加熱ロールに融着しやすくなり、ロールにフィルムが巻き付くなどのトラブルが生じやすくなるので好ましくない。より好ましいロール温度の範囲は55℃以上、90℃以下である。また、長手方向の延伸倍率は1.1倍以上2.0倍以下が好ましく、1.2倍以上、1.7倍以下がより好ましい。延伸倍率が2.0倍より大きいと長手方向の収縮を低減することが難しくなる他、熱処理時の歪みが大きくなり、厚みムラが悪化しやすくなるため好ましくない。また1,1倍を下回ると長手方向の収縮率は低くすることができるが、生産速度向上の面では効果がほとんど得られない。
以下、幅方向への延伸とその前後の工程における好ましい条件について詳述する。
(1)幅方向延伸前における熱処理
本発明のフィルムの製造においては、幅方向へ延伸する前に70℃以上140℃以下の温度で3.0秒以上50.0秒以下の時間に亘って熱処理することが好ましい。熱処理はフィルム搬送中に熱風やセラミックヒーター等を利用して熱処理を行うラインを設けて加熱することができ、あるいはテンターにおいて幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で幅方向への延伸前に実施することもできる。かかる熱処理を行うことによって、70℃以上100℃以下の低温範囲に融点を持つ結晶成分を選択的に生じさせることで、幅方向に延伸した後にも低融点の結晶成分を残すことが出来るため、高収縮率の熱収縮性フィルムを得ることが可能となる。また、長手方向に延伸を施している場合は、この熱処理により長手方向の収縮率を低減させる効果も有する。
中間熱処理の温度が140℃を上回ると、100℃以上の高融点の結晶成分が形成されやすくなり、幅方向に延伸後の収縮率が低下するため好ましくない。反対に、熱処理の温度が70℃を下回ると、熱処理による低融点の結晶成分形成がほとんど進行しなくなるため、幅方向延伸時の収縮率が低下しやすくなり好ましくない。また、長手方向に延伸している場合は、長手方向の収縮率が高くなってしまうため好ましくない。また、熱処理の温度の下限は、80℃以上であると好ましく、90℃以上であるとより好ましい。一方、熱処理の温度の上限は、135℃以下であると好ましく、130℃以下であるとより好ましい。一方、熱処理の時間は、1.0秒以上50.0秒以下の範囲内で原料組成に応じて適宜調整することが好ましい。
(2)熱処理後の冷却と幅方向への延伸
上述する熱処理を施した後、幅方向に延伸する前にフィルムを70℃以下に冷却することが好ましい。このように冷却を実施することで低融点の結晶成分を残すことができる。かかる冷却の後、テンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で、2.5倍以上10.0倍以下の倍率となるように幅方向への延伸を行うことが好ましい。また、横延伸の倍率の上限は、9.0倍以下であるとより好ましく、8.0倍以下であると特に好ましい。
さらに、延伸は二段以上に分けて行うこともできる。すなわち、テンター内部で幅方向に一度延伸した後、延伸を実施しないゾーンを設け、その後再度テンター内で幅方向に延伸を行う。一段目の延伸倍率は1.5倍以上7倍以下が好ましく、2倍以上5.5倍以下であるとより好ましい。二段目の延伸倍率については、1.5倍以上5倍以下であることが好ましく、1.8倍以上3.5倍以下のであるとより好ましい。また、合計の倍率は2.5倍以上10.0倍以下の倍率となるように上記の範囲で各段の倍率を調整する。かかる方法で延伸を分けて実施することで、延伸中の破断を少なくすることができる他、延伸による自然収縮率の増加を小さくしやすい。
また、延伸温度は50℃以上100℃以下の範囲で実施することが好ましい。延伸温度が50℃を下回ると、延伸中に微小なボイドが発生してヘイズが高くなったり、破断しやすくなるため好ましくなく、反対に100℃を上回ると、低融点の結晶成分が融解して幅方向の収縮率が低下するだけでなく、幅方向の厚み斑が大きくなるので好ましくない。
幅方向への延伸の温度の下限は、55℃以上であるとより好ましく、60℃以上であると特に好ましい。また、横延伸の温度の上限は、90℃以下であるとより好ましく、85℃以下であると特に好ましい。
(3)幅方向への弛緩処理(リラックス処理)
加えて、本発明の横延伸法によるフィルムの製造においては、上記の如く、幅方向への延伸後にテンター内で幅方向の両端際をクリップによって把持した状態で、60℃以上100℃以下の温度で、0.5秒以上20.0秒以下の時間内において、式2で求められるリラックス率が幅方向に13%以上40%の長さの範囲になるようテンターを幅方向に狭めてフィルムを弛緩して収縮(リラックス)させることが必要である。
リラックス率 ={(リラックス前の長さ-リラックス後の長さ)/リラックス前の長さ}×100(%)・・式2
弛緩処理を実施する温度が60℃より低いと、弛緩させた際にフィルムが十分収縮せずシワが発生してしまうため好ましくない。また100℃より高温だと収縮率の低下が大きくなり、熱収縮性フィルムとして使用する際に収縮が不足するため好ましくない。弛緩処理を実施する際のより好ましい温度は65℃以上95℃以下、特に好ましくは70℃以上90℃以下である。
また、弛緩処理で狭める幅方向の長さが処理前の13%より小さいと、温度変調DSCで観測される20℃~60℃の範囲におけるピークの吸熱量が十分低減できないため、自然収縮率が高くなるので好ましくない。また40%より大きいと90℃収縮率が低下する他、生産性が低下するので好ましくない。弛緩処理はより好ましくは15%以上35%以下、特に好ましくは17%以上33%以下の範囲で実施するのが望ましい。
かかる弛緩処理を行うことによって、最終的なフィルムの低融点の結晶成分を残し、熱収縮性フィルムとして必要な収縮率を維持したまま、自然収縮率を低減させることが可能となる。また、弛緩処理は幅方向の延伸を二段以上に分けて行う場合は、各延伸後に弛緩処理を分けて実施することも可能である。弛緩処理は、テンターを幅方向に狭めて実施する他、テンター出口付近で熱をかけた状態でフィルム端部を把持しているクリップを開放して幅方向に収縮させながらフィルムを巻き取ることで実施することも可能である。
なお、上記した(1)~(3)の手段の内の特定の何れかのみが、フィルムの幅方向
における熱収縮性の向上、自然収縮率低減、安定した製膜性に有効に寄与するものではなく、(1)~(3)の手段を全て組み合わせて用いることにより、非常に効率的に、幅方向における熱収縮性の向上、自然収縮率の低減、安定した製膜性を発現させることが可能となるものと考えられる。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することが可能である。実施例、比較例で使用した原料、および実施例、比較例で使用した原料配合、フィルムの製造条件(延伸・熱処理条件等)を表1、表2、表3に示す。なお、表1における樹脂原料PP1~PP6およびPE、COP、石油樹脂、非晶PETは、以下の通りである。
・樹脂原料PP1:ポリプロピレン-ブテンランダム共重合体(三井化学株式会社製 商品名「タフマーXM7070」、MFR=7.0g/10分、融点77℃、比重0.88)
・樹脂原料PP2:ポリプロピレン-ブテンランダム共重合体(三井化学株式会社製 商品名「タフマーXM7080」、MFR=7.0g/10分、融点83℃、比重0.88)
・樹脂原料PP3:ポリプロピレン-エチレンランダム共重合体(日本ポリプロ株式会社製 商品名「ノバテックEG6D」 、MFR=1.9g/10分、融点145℃、比重0.90)
・樹脂原料PP4:ポリプロピレン-エチレンランダム共重合体(日本ポリプロ化学株式会社製 商品名「ウィンテックWFX6」 MFR=2.0g/10分、融点125℃、比重0.90)
・樹脂原料PP5:ポリプロピレン(住友化学株式会社製 商品名「FS2011DG3」 MFR=2.5g/10分、融点159℃、比重0.91)
・樹脂原料PP6:ポリプロピレン-エチレンランダム共重合体(日本ポリプロ株式会社製 ウィンテックWFX4T MFR=7.0g/10分、融点125℃、比重0.90)
・樹脂原料PE:低密度ポリエチレン樹脂(住友化学株式会社製 商品名「エクセレンFX307」、MFR=3.2g/10分、融点83℃、比重0.89」
・樹脂原料COP:環状オレフィン樹脂(Topas Advanced Polymers社製:商品名「TOPAS9506F」、MFR=6.0g/10分、ガラス転移温度65℃、比重1.01)
・石油樹脂1:脂環式炭化水素樹脂系の石油樹脂(荒川化学工業株式会社製:商品名「アルコンP-125」,軟化点125℃、比重1.04)
・非晶PET:ネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート(ネオペンチルグリコール含有30モル%、固有粘度0.72dL/g、ガラス転移温度75℃)
なお、MFRはポリプロピレン系樹脂および環状オレフィン樹脂については230℃における値、ポリエチレン樹脂については190℃における値を記載した。
また、フィルムの評価方法は下記の通りである。
[Tm(融点)]
島津製作所製の示差走査熱量計(型式:DSC60)を用いて、アルミニウムパンにフィルム5mgを採取し、-40℃から昇温速度10℃/分で200℃まで昇温したときの各温度でのヒートフロー(単位:W/g)をサンプリング間隔0.5秒で測定し、縦軸にヒートフロー(負の方向を吸熱とする)、横軸に温度(単位:℃)を取ってヒートフロー曲線を得た。
ヒートフロー曲線の55~60℃の範囲の値で回帰直線を作成した。ヒートフローについて60℃から175℃まで低温側から順に、回帰直線上の値からヒートフロー曲線上の値を引いた差を各温度で求めたときに、その差が初めて0.001W/gを超える温度を融解開始温度とした。
同様にヒートフロー曲線の175℃~180℃の値で回帰直線を作成した。175℃から60℃までのヒートフローについて、高温側から順に、回帰直線上の値からヒートフロー曲線上の値を引いた差を求めたときに、その差が初めて0.001W/gを超える温度を融解終了温度とした。
この融解開始温度と融解終了温度におけるヒートフロー曲線上の点を通る直線をベースラインとした。70℃~170℃の各温度におけるヒートフローについて、ベースライン上の値からヒートフロー曲線上の値を引いた差を求めた。各温度におけるそれらの差の値のうち、値が0.02W/gより大きく、なおかつ温度に対して極大値となっているところをヒートフロー曲線の融解ピークとし、融解ピークの温度を融点とした。
[温度変調DSCのノンリバースヒートフローにおける吸熱量]
温度変調示差走査熱量計(TM DSC)「DSC250」(TA instruments社製)を用い、フィルムをT-ZEROパン内に5mg秤量し、ヒートオンリーモードで、-40℃から200℃まで平均昇温速度2℃/min、変調周期40秒で昇温してノンリバースヒートフローをサンプリング間隔0.1秒で測定し、縦軸にノンリバースヒートフロー(単位:W/g 負の方向を吸熱とする)、横軸に温度(単位:℃)を取ったノンリバースヒートフロー曲線を得た。
ノンリバースヒートフロー曲線について18~20℃の値から回帰直線を作成した。ノンリバースヒートフローについて、回帰直線上の値からノンリバースヒートフロー曲線上の値を引いた差を、20℃~60℃の範囲で低温側から順番に求め、その値が初めて0.0005W/g以上になる温度を吸熱開始温度とした。
同様に60℃~62℃のノンリバースヒートフロー曲線の値から回帰直線を作成した。回帰直線上の値から、ノンリバースヒートフロー曲線上の値を引いた差を60℃から順番に20℃まで求めたとき、差の値が初めて0.0005W/g以上になる温度を吸熱終了温度とした。
この吸熱開始温度と吸熱終了温度におけるノンリバースヒートフロー曲線上の点を結んだ直線をベースラインとして、ノンリバースヒートフロー曲線とベースラインに囲まれた部分の面積を求めてピークの吸熱量(単位:J/g)とした。
[α―オレフィン成分の同定]
プロピレン-α-オレフィン共重合体中のエチレンやブテンなどのα-オレフィンの種類は、高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第615~617頁に記載された方法により、13CNMRスペクトル法によって決定する。なお、同書の256頁「(i)ランダム共重合体」の項記載の方法によってIRスペクトル法で決定することも可能である。
[熱収縮率(温湯熱収縮率)]
フィルムをロール巻き出し方向と平行になるように10cm×10cmの正方形に裁断し(以下裁断したフィルムについて、裁断前におけるロール巻き出し方向を長手方向、フィルム面上で巻き出し方向と垂直な方向を幅方向と記載する)、所定温度±0.5℃の温水中に無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、23℃±0.5℃の水中に10秒間浸漬し、水中から引き出してフィルムの長手および幅方向の寸法を測定し、上式1にしたがって、それぞれ熱収縮率を求めた。
[自然収縮率]
フィルムをロール巻き出し方向と平行になるように210mm×210mmの正方形状にフィルムを切り出し、切り出したサンプルの長手方向と幅方向にそれぞれ200mmの標線を引き、40℃、65%RHの雰囲気下に672時間放置してエージングを行った。自然収縮率(幅方向)は、下記式3で求めた。
自然収縮率={(エージング前の幅方向標線長さ-エージング後の幅方向標線長さ)/エージング前の幅方向標線長さ}×100(%) 式3
[ヘイズ]
JIS K 7105に準じて23℃雰囲気下で、ヘイズメータ(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて測定した。なお、測定は2回行い、その平均値を求めた。
[比重]
JIS K7112に準拠して、密度勾配管法により測定したフィルムの密度と温度23℃における水の密度との比により、フィルムの比重を計算した。
[屈折率]
アタゴ社製の「アッベ屈折計4T型」を用いて、各収縮させる前の試料フィルムを23±2℃ 、65±5%RHの雰囲気中で2時間以上放置した後に、長手方向および幅方向について屈折率(Nx、Ny)を測定した。
[収縮仕上り性]
[ラベルの収縮歪み]
予め10mm間隔の格子模様を入れた熱収縮性フィルムの両端部を5mm重ねてインパルスシーラー「HAKKO311」(白光社製)で熱溶断することにより、円筒状のラベル(熱収縮性フィルムの主収縮方向を周方向としたラベル)を作製した。ラベルに500mlのPETボトル(胴直径67mm、ネック部の最小直径25mm、商品名「十六茶」)にラベルを被せ、ゾーン温度85℃のFuji Astec Inc製スチームトンネル(型式;SH-1500-L)内を、10.0秒で通過させることにより、ラベルを熱収縮させてボトルに装着した。なお、装着の際には、ネック部においては、直径43mmの部分がラベルの一方の端になるように調整した。収縮後の仕上り性の評価として、溶断部を含む格子を除く、装着されたラベル胴部の360度方向における格子模様の水平面からのずれの大きさを歪みとして測定し、歪みの最大値を求めた。評価は、以下の基準に従って行った。
◎:最大歪み 1.0mm未満
○:最大歪み 1.0mm以上2.0mm未満
×:最大歪み 2.0mm以上
[ラベルのシワ]
上記したラベルの収縮歪みの条件と同一の条件で、PETボトルにラベルを装着し、シワの発生状態を、以下の基準に従って評価した。
◎:大きさ2mm以上のシワの数が0個。
○:大きさ2mm以上のシワの数が1個以上2個以下。
×:大きさ2mm以上のシワの数が3個以上。
[経時後のロール外観評価]
(40℃×672時間保管後の外観変化)
幅300mm、長さ300mのロールにフィルムをスリットして巻き取り、そのロールを、40℃、65±10%RHの雰囲気に調整された恒温室に入れ、672時間保管後に恒温室より取り出し、ロールからフィルムを3m巻きだした際のシワの状態を以下の基準に従って評価した。
◎:大きさ1cm以上の波打ちシワの数が0個。
○:1cm以上の波打ちシワの数が1個以上2個以下。
×:1cm以上の波打ちシワの数が3個以上。
[耐熱ブロッキング性評価]
100mm×100mmの正方形状にフィルムを2枚切り出し、2枚のフィルムを角の位置を45°ずらして重ね合わせた状態で、厚さ1mmの150mm×150mmの正方形のアルミ板2枚で挟み、重りを載せて500gの荷重をかけたまま80±0.5℃に設定した熱風オーブンに1分間入れて加熱した。その後、アルミ板に挟んだままフィルムを取り出し、23℃±0.5℃の冷水に10秒浸して冷やした後に、重ね合わせたフィルムのブロッキング状態を以下の基準に従って評価した。
〇:フィルム同士を剥がすことができ、ブロッキングしていない
×:フィルム同士がくっついており、ブロッキングしている
[浮沈分離適正評価]
100mm×100mmの正方形状にフィルムを切り出し、底面の直径130mmの円筒状容器に2Lの水を入れて23℃±2℃に調整した後、泡が付着しないように注意してフィルムを底に沈めてフィルムが水中から浮かび上がるかを以下の基準に従って目視で評価した。
○:フィルムが水面まで浮かび上がる
×:フィルムが水面まで浮かんでこない
[実施例1]
押出機からポリプロピレン系樹脂PP1とPP3を60/40の重量比でドライブレンドしたものに、滑剤としてSiO2(富士シリシア社製サイリシア266)を500ppm加え、230℃で溶融押出し、20℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚み215μmの未延伸フィルム(ポリプロピレン系樹脂シート)を得た。このときの未延伸フィルムの引取速度(金属ロールの回転速度)は、約7.5m/min.であった。
しかる後、得られた未延伸フィルムを、複数のロール群を連続的に配置した搬送ライン上において設けた熱処理ゾーンにおいて、熱風によりフィルム温度が100℃になるまで熱処理した後、60℃まで空冷し、横延伸ゾーン、リラックス処理ゾーンを連続的に設けたテンターに導いた。
フィルム温度が60℃になるまで予熱した後、横延伸ゾーンで幅方向に60℃にて3.0倍で一段目の延伸を行い、更に60℃にて二段目の2.2倍の延伸を行い、弛緩処理ゾーンで7秒間の間に75℃で20%のリラックス処理をすることによって厚み40μmの横一軸延伸フィルムを得た。
上記の如く横一軸延伸した後のフィルムについて端部をスリットし、紙管に巻き取ることによって、幅500mm、厚み40μmの横一軸延伸フィルム(ポリプロピレン系熱収縮性フィルム)を所定の長さだけ捲回したフィルムロールを得た。そして、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表2に示す。図1に示すようにDSCによる融点は2つ確認され、低温側が93℃、高温側が145℃であった。
[実施例2]
使用するポリプロピレン樹脂についてPP1とPP3の重量比を75/25に変更した以外は実施例1と同様の方法によって製膜を行い、厚み40μmの横一軸延伸フィルムを得た。評価結果を表2に示す。
[実施例3]
使用するポリプロピレン樹脂についてPP1とPP3の重量比を45/55に変更した以外は実施例1と同様の方法によって製膜を行い、厚み40μmの横一軸延伸フィルムを得た。評価結果を表2に示す。
[実施例4]
使用するポリプロピレン樹脂をPP2とPP3に変更し、重量比60/40で混合した以外は実施例1と同様の方法によって製膜を行い、厚み40μmの横一軸延伸フィルムを得た。評価結果を表2に示す。
[実施例5]
使用するポリプロピレン樹脂をPP1とPP4に変更し、重量比60/40で混合した以外は実施例1と同様の方法によって製膜を行い、厚み40μmの横一軸延伸フィルムを得た。評価結果を表2に示す。
[実施例6]
使用するポリプロピレン樹脂をPP1とPP5に変更し、重量比60/40で混合した以外は実施例1と同様の方法によって製膜を行い、厚み40μmの横一軸延伸フィルムを得た。評価結果を表2に示す。
[実施例7]
熱処理ゾーンでの加熱温度を75℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって製膜を行い、厚み40μmの横一軸延伸フィルムを得た。評価結果を表2に示す。
[実施例8]
熱処理ゾーンでの加熱温度を125℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって製膜を行い、厚み40μmの横一軸延伸フィルムを得た。評価結果を表2に示す。
[実施例9]
未延伸フィルムの引取速度(金属ロールの回転速度)を、約6.3m/minで行い、厚み258μmに調整した以外は、実施例1と同様にして得られた未延伸シートを、複数のロール群を連続的に配置した縦延伸機へ導き、予熱ロール上でフィルム温度が60℃になるまで予備加熱した後に、表面温度60℃に設定された低速延伸ロールと内部の循環水の温度が30℃に設定された高速延伸ロールとの間で1.2倍に延伸した。なお、低速ロールの速度(低速ロールとともに移動するフィルムの速度)は、6.3m/min.に調整し、高速ロールの速度(高速ロールとともに移動するフィルムの速度)は、7.5m/min.に調整することにより、厚み215μmの縦一軸延伸フィルムを得た。
得られた縦一軸延伸フィルムを、実施例1と同様の方法によって熱処理、延伸、弛緩処理を行い、厚み40μmの二軸延伸フィルムを得た。評価結果を表2に示す。
[実施例10]
未延伸フィルムの引取速度を約4.2m/minで行い、厚み366μmに調整した以外は、実施例1と同様にして得られた未延伸シートを、縦延伸機において、低速ロールの速度を、4.4m/min.に調整し、高速ロールの速度を7.5m/min.に調整することで、延伸倍率を1.7倍に変更した以外は、実施例9と同様の方法によって製膜を行い、厚み40μmの二軸延伸フィルムを得た。評価結果を表2に示す。
[実施例11]
実施例1と同じ条件で、吐出量のみ変更して厚み225μmの未延伸シートを製膜し、得られた未延伸シートを実施例1と同じ方法で熱処理してテンターに導いた後、延伸後のリラックス率を15%とした以外は、実施例1と同様の方法によって製膜を行い、厚み40μmの横一軸延伸フィルムを得た。評価結果を表2に示す。
[実施例12]
実施例1と同じ条件で、吐出量のみ変更して厚み225μmの未延伸シートを製膜し、得られた未延伸シートを実施例1と同じ方法で熱処理してテンターに導いた後、フィルム温度が60℃になるまで予熱した後、横延伸ゾーンで幅方向に60℃で3.0倍で一段目の延伸を行い、弛緩処理ゾーンへ導き60℃で5秒間で5%リラックスした後、更に60℃で二段目の2.2倍の延伸を行い、弛緩処理ゾーンで5秒間の間に75℃で15%のリラックス処理をすることによって厚み40μmの横一軸延伸フィルムを得た以外は、実施例1と同様の方法によって製膜を行い、厚み40μmの横一軸延伸フィルムを得た。評価結果を表2に示す。
[実施例13]
実施例1と同じ条件で、吐出量のみ変更して厚み200μmの未延伸シートを製膜し、得られた未延伸シートを実施例1と同じ方法で熱処理してテンターに導いた後、一段目の延伸倍率を6.6倍として、弛緩処理ゾーンでのリラックスを75℃で15秒間に25%で行い、二段目の延伸は実施しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法によって製膜を行い、厚み40μmの横一軸延伸フィルムを得た。評価結果を表2に示す。
[実施例13]
実施例1と同じ条件で、吐出量のみ変更して厚み175μmの未延伸シートを製膜し、得られた未延伸シートを実施例1と同じ方法で熱処理してテンターに導いた後、延伸倍率6.6倍で幅方向に延伸を行い、その後75℃に設定した弛緩処理ゾーン内で端部を把持しているクリップを開放し、そのまま巻き取りながら端部をスリットし、その後紙管に巻き取ることによって、幅500mm、厚み40μmの横一軸延伸フィルムを得た。スリット前のテンター出口での原反幅からリラックス率を算出すると35%であった。評価結果を表2に示す。
[実施例14]
実施例1と同じ条件で、吐出量のみ変更して厚み110μmの未延伸シートを製膜した以外は、実施例1と同様の方法によって熱処理、延伸、弛緩処理を行い、厚み20μmの横一軸延伸フィルムを得た。評価結果を表2に示す。
[実施例15]
実施例1と同じ条件で、吐出量のみ変更して厚み420μmの未延伸シートを製膜した以外は、実施例1と同様の方法によって熱処理、延伸、弛緩処理を行い、厚み80μmの横一軸延伸フィルムを得た。評価結果を表2に示す。
[比較例1]
使用するポリプロピレン樹脂をPP3のみに変更した以外は実施例1と同様の方法によって製膜を行い、厚み40μmの横一軸延伸フィルムを得た。評価結果を表3に示す。また、DSCで測定した融点は図1に示すように145℃にのみ見られた。低融点の樹脂を使用していないため、延伸時にボイドにより白化してヘイズが大きくなった。また、収縮率が低いため、設定した通りのリラックス処理を行うことが出来ず、製膜中にフィルムにシワが入ってしまった。得られたフィルムは収縮率が大きく不足するため、熱収縮性フィルムとして実用に足るものではなかった。
[比較例2]
使用するポリプロピレン樹脂をPP1のみに変更した以外は実施例7と同様の方法によって製膜を行い、厚み40μmの横一軸延伸フィルムを得た。評価結果を表3に示す。高融点の樹脂を使用していないため、フィルムが融解して変形するので90℃の温湯収縮率を測定することが出来なかった。また、仕上がり性評価を行うと、加熱した際にフィルムがPETボトルと融着してしまい、融着部でシワが発生した。耐熱ブロッキング性評価においてもブロッキングが生じてしまい、耐熱性不足により実用に不適なフィルムであった。
[比較例3]
実施例1と同じ方法で厚み215μmの未延伸シートを製膜し、熱処理ゾーンでの加熱温度を60℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって製膜を行い、厚み40μmの横一軸延伸フィルムを得た。評価結果を表3に示す。熱処理温度が低いために、融解ピークが100℃以下で形成されず、得られたフィルムの熱収縮率も不足していた。仕上がり性評価においても、収縮不足による密着不足やシワの発生が見られ、熱収縮性フィルムとして実用性に劣るものであった。
[比較例4]
実施例1と同じ方法で厚み260μmの未延伸シートを製膜し、得られた未延伸シートをテンターに導いた後、各弛緩処理ゾーンにおけるリラックス率を0%に変更した以外は、実施例1と同様の方法で製膜を行った。仕上がり性は良好であったが、延伸後のリラックス処理を実施していないため、表3および図2に見られるように、実施例1と比較して温度変調DSCで20℃~60℃に見られる吸熱量が大きく、自然収縮率を低減出来ていなかった。エージング後にロールから巻きだした外観においても自然収縮による波打ちシワが発生しており、保管のしやすさにおいて実用性に劣るフィルムであった。
[比較例5]
押出機から環状オレフィン樹脂COP1とポリエチレン樹脂PE1を50/50の重量比でドライブレンドしたものを230℃で溶融押出し、20℃に冷却された約7.5m/min.で回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚み160μmの未延伸フィルムを得た。その後、得られた未延伸フィルムをテンターに導き、80℃に予熱して80℃で4倍に延伸し、その後冷却して実施例1と同様にスリットして紙管に巻き取ることで横一軸延伸フィルムを得た。評価結果を表3に示す。環状オレフィン樹脂を使用しているため自然収縮は比較的小さかったものの、温湯収縮率が不足しており収縮仕上がり性において実用上十分ではなかった。また比重も実施例で得られたフィルムより大きくなった。
[比較例6]
押出機から非晶PET樹脂(ネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート)を260℃で溶融押出して、20℃に冷却された約7.5m/min.で回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚み160μmの未延伸フィルムを得た。その後、得られた未延伸フィルムをテンターに導き、80℃に予熱して80℃で4倍に延伸し、その後冷却して実施例1と同様にスリットして弛緩に巻き取ることで横一軸延伸フィルムを得た。評価結果を表3に示す。収縮仕上がり性は良好であるが、比重が1.0より大きいため浮沈分離に適したフィルムではなかった。
[比較例7]
三層共押出しのダイスと2台の押出機を用いて、表面層であるA層と中間層であるB層から成るABAの三層構成の厚さ350μmの未延伸シートをABAの層厚みの比が1:8:1となるように、巻き取り速度約7.5m/minで製膜した。このとき、A層は、PP6の樹脂を使用し、B層はPP4とPE1と石油樹脂1を45/20/35の割合で混合したものを使用した。得られた未延伸シートをテンターに導き、80℃に加熱して7倍に延伸して厚み50μmの横一軸延伸フィルムを得た。上記の如く横一軸延伸した後のフィルムについて端部をスリットし、紙管に巻き取ることによって、幅500mm、厚み50μmの横一軸延伸フィルム(ポリプロピレン系熱収縮性フィルム)を所定の長さだけ捲回したフィルムロールを得た。そして、得られたフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
収縮仕上がり性は良好であったが、自然収縮率が大きく、エージング後にロールから巻きだしたフィルムには波打ち状のシワが生じていた。
表2から明らかなように、実施例1~16で得られたフィルムは、いずれも幅方向への収縮性が高く、直交する長手方向への収縮性は低いため、収縮仕上げにおいても良好な結果であった。また、リラックス処理を実施することにより、自然収縮率を低減出来ており、エージング後のシワの発生はほとんど見られず、熱収縮性フィルムとして実用に足るものであった。また、ポリプロピレン系樹脂のみを使用しているため比重が非常に小さく、PETボトルとの浮沈分離に適したフィルムである。それに対して、比較例1~7で得られたフィルムは、表3および上記各比較例の項に記載した通り、いずれもその特性が熱収縮性フィルムとして実用に足るフィルム、あるいは浮沈分離に適したフィルムではなかった。
本発明のポリプロピレン系熱収縮性フィルムは、上記の如く優れた収縮特性を有しているので、PETボトル用のラベルをはじめとした各種の物品の包装用用途に好適に用いることができる。また、比重が1.0より小さいためPETボトルとの浮沈分離に適しており、PETボトルのリサイクル効率化に貢献することができる。

Claims (8)

  1. ポリプロピレン系樹脂組成物から構成される延伸フィルムであって、下記(1)~(6)を満たすことを特徴とするポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
    (1)90℃の温水に上記フィルムを10秒間浸漬したときの温湯熱収縮率が、フィルム幅方向で40%以上80%以下である。
    (2)90℃の温水に上記フィルムを10秒間浸漬したときの温湯熱収縮率が、フィルム長手方向で-5%以上12%以下である。
    (3)フィルムの比重が0.87以上0.95以下である。
    (4)示差走査熱量計にて測定される融解ピーク温度を70℃以上100℃以下、100℃を超えて170℃以下の範囲にそれぞれ1つ以上有する
    (5)幅方向の屈折率(Ny)と長手方向の屈折率(Nx)の差Ny‐Nx が0.015以上0.030以下である
    (6)前記ポリプロピレン系熱収縮性フィルムを40℃65%RH雰囲気下で672時間エージングした後の幅方向の自然収縮率が0.1%以上3.0%以下である
  2. フィルムのヘイズが1%以上15%以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
  3. 温度変調走査熱量計にて測定されるノンリバースヒートフローで20℃以上60℃以下の範囲にピークを有し、該ピークの吸熱量が0.3J/g以上0.95J/g以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
  4. 幅方向の屈折率Nyが1.490以上、1.530以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
  5. 前記ポリプロピレン系熱収縮性フィルムの厚みが12μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
  6. 前記ポリプロピレン系熱収縮性フィルムを構成するポリプロピレン系樹脂組成物において、エチレンまたは1-ブテンを共重合成分として含むことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のポリプロピレン系熱収縮性フィルム。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載のポリプロピレン系熱収縮性フィルムを基材とし、ミシン目あるいは一対のノッチが設けられたラベル。
  8. 請求項1~6のいずれかに記載のポリプロピレン系熱収縮性フィルムを環状にしたラベル又は請求項7に記載のラベルを包装対象物の外周の少なくとも一部に有することを特徴とする包装体。
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