JPH07256754A - 熱収縮性ポリプロピレン系フィルム - Google Patents

熱収縮性ポリプロピレン系フィルム

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JPH07256754A
JPH07256754A JP5032794A JP5032794A JPH07256754A JP H07256754 A JPH07256754 A JP H07256754A JP 5032794 A JP5032794 A JP 5032794A JP 5032794 A JP5032794 A JP 5032794A JP H07256754 A JPH07256754 A JP H07256754A
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JP
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resin
film
heat
polypropylene
shrinkable
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JP5032794A
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English (en)
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Kiyomi Kaminomachi
清巳 上ノ町
Masao Ogasa
眞男 小笠
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低温収縮性、均一収縮性などに優れ、特に、
個包装用フィルム、集積包装用フィルム、および各種容
器用収縮ラベルとして有用な熱収縮性フィルムを提供す
ることにある。 【構成】 重量平均分子量が80,000〜500,0
00の範囲内にあるポリプロピレン系樹脂であり、クロ
ス分別法による0℃以下での樹脂溶出量が全ポリプロピ
レン系樹脂量の25〜55重量%であり、0℃超95℃
以下での樹脂溶出量が全ポリプロピレン系樹脂量の10
〜40重量%であり、95℃超110℃以下での樹脂溶
出量が全ポリプロピレン系樹脂量の3〜20重量%であ
り、そして110℃超130℃以下での樹脂溶出量が全
ポリプロピレン系樹脂量の10〜40重量%である範囲
内の組成を有するポリプロピレン系樹脂から成形され
る、熱収縮性ポリプロピレン系フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱収縮性ポリプロピレ
ン系フィルムに関し、詳細には、低温収縮性、均一収縮
性などに優れ、特に、個包装用フィルム、集積包装用フ
ィルム、および各種容器用収縮ラベルとして有用な熱収
縮性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】熱収縮性フィルムは、加熱によって収縮
する性質を利用して、個包装、集積包装、収縮ラベル、
キャップシールなどの用途に広く用いられている。
【0003】ポリエチレンテレフタレート(PET)容
器、ガラス容器などの各種容器用のラベルとして用いら
れる収縮ラベルには、塩化ビニル系樹脂、発泡ポリスチ
レンなどからなる一軸延伸フィルムが主に用いられてい
る。その中でも、熱収縮性塩化ビニル系樹脂フィルム
は、低温収縮性および印刷適性が良好であるために汎用
されている。しかし、塩化ビニル系樹脂は、焼却時に塩
化水素を発生するという問題を抱えている。熱収縮性塩
化ビニル系樹脂フィルムはまた、PET容器の収縮ラベ
ルとして用いた場合には、このPET容器からPET樹
脂を再利用のため回収する際に、混入した塩化ビニル樹
脂をPET樹脂の比重差から分離することは困難である
という問題もある。
【0004】このため、焼却時に有害物質を発生せず、
PET樹脂との分離も容易である、熱収縮性フィルムが
望まれていた。
【0005】従来より、ポリエチレン、ポリプロピレン
などのポリオレフィン系樹脂の熱収縮性フィルムは、集
積包装、個包装などの用途に多く使用されている。しか
し、これらのポリオレフィン系樹脂フィルムは、温度上
昇に伴って収縮率が急激に増大するという収縮特性を有
するため、収縮むらやシワが生じ易く、外観が重要視さ
れる商品の包装や、収縮ラベル用には使用できなかっ
た。
【0006】収縮特性を改良した熱収縮性ポリオレフィ
ン系フィルムとして、特開昭63−268743号公報
には、結晶性エチレン−プロピレンランダムコポリマー
または結晶性エチレン−プロピレン−α−オレフィンタ
ーポリマーに、石油樹脂類または水素化石油樹脂類と結
晶核剤とを配合して得られる樹脂組成物を、押出、延伸
してなる高収縮性および高密着性ポリオレフィンフィル
ムが開示されている。特開平1−168426号公報に
はまた、特定の高密度ポリエチレンと線状低密度ポリエ
チレンと石油樹脂とからなる組成物より得られる未延伸
シートに、電子線照射などにより表面層を架橋させた
後、一軸延伸してなる、透明性、低温収縮性、および、
レトルト適性の優れたシュリンクラベル用フィルムが開
示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
熱収縮性フィルムも、未だに、温度上昇に伴って収縮率
が急激に増大するという収縮特性の改善は不十分であ
り、収縮むらやシワが生じ易い。このため、収縮工程で
の生産性の低下、収縮むらの発生などの問題はさけられ
ない。
【0008】上記熱収縮性フィルムを収縮ラベルとして
使用する場合、特にボトルのような首の部分と胴の部分
で大きさが異なる容器の収縮ラベルとして用いる場合に
は、温度上昇に伴う急激な収縮率の増大により、密着性
の不均一や印刷のゆがみを生じ、実用上重大な問題とな
る。
【0009】上記熱収縮性フィルムを集積包装用または
個包装用収縮フィルムとして使用する場合にはまた、シ
ワが生じ、外観が良くないという問題がある。
【0010】本発明は、上記従来の欠点を克服するもの
であり、その目的は、特定のポリプロピレン系樹脂を用
いることによって、低温収縮性が良好で、かつ収縮むら
のない均一な収縮が達成できる熱収縮性ポリプロピレン
系フィルムを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
した結果、樹脂成分として、特定の重量平均分子量を有
し、かつ特定温度における樹脂溶出量が一定の範囲にあ
るポリプロピレン系樹脂をフィルムに成形することで、
上記目的を達成できることを見いだし、その知見に基づ
いて本発明を完成するに至った。
【0012】本発明の熱収縮性ポリプロピレン系フィル
ムは、重量平均分子量が80,000〜500,000
の範囲内にあるポリプロピレン系樹脂から成形される。
このポリプロピレン系樹脂は、クロス分別法による0℃
以下での樹脂溶出量が全ポリプロピレン系樹脂量の25
〜55重量%であり、0℃超95℃以下での樹脂溶出量
が全ポリプロピレン系樹脂量の10〜40重量%であ
り、95℃超110℃以下での樹脂溶出量が全ポリプロ
ピレン系樹脂量の3〜20重量%であり、そして110
℃超130℃以下での樹脂溶出量が全ポリプロピレン系
樹脂量の10〜40重量%である範囲内の組成を有す
る。
【0013】本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂
は、チタン化合物触媒およびアルミニウム化合物触媒の
存在下で、まず第1のプロピレン系樹脂を第1段階目で
重合し、次いで第2段階目以降において、生成したチタ
ン含有プロピレン系樹脂と上記化合物触媒存在下で、プ
ロピレンとエチレン、プロピレンとα−オレフィン、あ
るいはエチレンとα−オレフィンとを共重合させて得ら
れるものである。
【0014】上記α−オレフィンとしては、炭素数4以
上のα−オレフィン、例えば、1−ブテン、1−ペンテ
ン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オ
クテンなどが挙げられる。
【0015】以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】本発明では、樹脂の重量平均分子量は、例
えば、WATERS社製高温GPC(150CV)で測
定され得る。本発明に使用されるポリプロピレン系樹脂
の重量平均分子量は80,000〜500,000であ
り、好ましくは80,000〜450,000であり、
さらに好ましくは、100,000〜400,000で
ある。重量平均分子量が80,000未満ではフィルム
の強度が不十分であり、延伸時にフィルムが切れ易いと
いう問題があり、500,000を超えるとフィルムの
延伸性が悪くなり、延伸時に延伸むらや白化が起こる。
【0017】本発明で用いたクロス分別法による樹脂の
溶出量の測定は以下のように行われる。ポリプロピレン
系樹脂をまず140℃あるいはポリプロピレン系樹脂が
完全に溶解する温度のο−ジクロロベンゼンに溶解し、
一定速度で冷却し、予め用意した不活性担体表面に薄い
ポリマー層を結晶性の高い順および分子量の大きい順に
生成させる。次に、この生成したポリマー層を連続また
は段階的に昇温し、順次溶出した成分の濃度を検出し、
その組成分布(結晶性分布)を測定する<温度上昇溶離
分別>。同時に、その成分について高温型GPCにより
分子量および分子量分布を測定する。例えば、上記の温
度上昇溶離分別(TREF=TemperatureRising Elutio
n Fractionation)部分と高温GPC(SEC=Size Ex
clution Chromatograph)部分とをシステムとして備え
ているクロス分別クロマトグラフ装置<CFC−T15
0A型:三菱油化社製>が使用され得る。
【0018】本発明で用いるポリプロピレン系樹脂は、
上記クロス分別法による0℃以下での樹脂溶出量が全ポ
リプロピレン系樹脂量の25〜55重量%であり、好ま
しくは30〜50重量%である。この溶出量が、25重
量%未満ではフィルムの熱収縮開始温度が高くなり、5
5重量%を超えるとフィルムとして充分な強度が得られ
ない。
【0019】この樹脂は、上記クロス分別法による0℃
超95℃以下での樹脂溶出量が全ポリプロピレン系樹脂
量の10〜40重量%であり、好ましくは15〜35重
量%である。10重量%未満の場合および40重量%を
超える場合には、温度上昇に伴って収縮率が急激に増大
する、収縮特性の悪いフィルムが得られる。
【0020】上記クロス分別法による95℃超110℃
以下での樹脂溶出量は全ポリプロピレン系樹脂量の3〜
20重量%であり、好ましくは5〜15重量%である。
3重量%未満の場合および20重量%を超える場合に
は、温度上昇に伴って収縮率が急激に増大する、収縮特
性の悪いフィルムが得られる。
【0021】最後に、上記クロス分別法による110℃
超130℃以下での樹脂溶出量は全ポリプロピレン系樹
脂量の10〜40重量%であり、好ましくは15〜40
重量%である。10重量%未満では低温でのフィルムの
収縮率が高すぎ、収縮フィルムが保管中に自然収縮を起
こし易くなり、40重量%を超えるとフィルムの収縮開
始温度が高くなりすぎる。
【0022】本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂
において、各温度域での溶出量および重量平均分子量が
上記範囲内にあることは、フィルムの収縮特性を、温度
上昇に伴い、収縮率が緩やかに増加するように制御する
上で非常に重要である。
【0023】本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂
は、例えば以下のような多段重合法により製造される。
まず、第1段階として、チタン化合物触媒およびアルミ
ニウム化合物触媒の存在下においてプロピレンモノマー
および必要に応じてエチレンモノマーまたはα−オレフ
ィンモノマーを用いて重合を行い、第1のポリプロピレ
ン系樹脂を得る。この第1のポリプロピレン系樹脂はプ
ロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、
プロピレン−α−オレフィン共重合体などであり得る。
第2段階として、前記のチタン化合物触媒およびアルミ
ニウム化合物触媒を含有したままの上記第1のポリプロ
ピレン系樹脂と、オレフィンモノマー(例えば、エチレ
ン、プロピレン、またはα−オレフィン)とを共重合さ
せて、第2のポリオレフィン系樹脂を得る。この2段階
反応により得られる第2のポリオレフィン系樹脂は、プ
ロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−α−オレフ
ィン共重合体、またはエチレン−α−オレフィン共重合
体であり得る。以下同様に目的に応じて多段階の共重合
反応を行い得る。この製造方法の特徴は、重合を1段階
で終了するのではなく、2段階以上の多段重合を行うこ
とにある。このことにより、複数の種類のポリマーを続
けて作り上げることが可能であり、通常のポリマーブレ
ンドとは全く異なる、分子レベルでのブレンドタイプの
共重合体が生成される。
【0024】通常、ポリマーブレンドの場合、低温から
徐々に収縮率が増加するような収縮特性をもたせるに
は、柔軟性および伸縮性を有する、分子量の高いゴム成
分をプロピレン系樹脂にブレンドするのがひとつの方法
である。本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂の場
合、このゴム成分にあたるのは上記の2段階以降の反応
で生成する成分(α−オレフィン−プロピレン、エチレ
ン−プロピレン、エチレン−α−オレフィン)であり、
この成分は分子量が高いため、溶融粘度が高い。このゴ
ム成分は上記の多段重合法を用いることにより、第1段
階で得られる第1のポリプロピレン樹脂中に微分散させ
ることができる。しかし、通常の押出機などを用いたブ
レンド法では、このように分子量の高いゴム成分を用い
ると、溶融粘度が高いため、本発明で用いられるポリプ
ロピレン系樹脂のような微分散モルフォロジーを有する
樹脂は作製し得ない。さらに、従来の反応により得られ
るポリプロピレン系のブロック共重合体のような樹脂で
は、共重合されるエチレン、α−オレフィンなどのブロ
ック成分は、主成分であるポリプロピレンに対してその
製造プロセス上、約50重量%程度含有させるのが限界
であり、通常その含有量は30重量%までである。この
ためポリプロピレン系樹脂において、塩化ビニル樹脂の
ような収縮特性を実現するのは非常に困難であった。し
かし、上記のような方法を用いれば、前記の共重合成分
を約80〜95重量%まで含有させることが可能とな
り、塩化ビニル樹脂と同様な収縮特性を有するポリプロ
ピレン系樹脂が得られる。
【0025】このような製造方法としては例えば、特開
平4−224809号公報に記載の方法がある。この方
法ではチタン化合物としては、例えば三塩化チタンと塩
化マグネシウムとを共粉砕し、これをオルトチタン酸n
−ブチル、2−エチル−1−ヘキサノール、p−トルイ
ル酸エチル、四塩化ケイ素、フタル酸ジイソブチルなど
で処理して得られる、平均粒子径15μmの球状固体チ
タン触媒が用いられている。この方法ではさらに重合槽
に電子供与体としてケイ素化合物、特にジフェニルジメ
トキシシランを添加し、さらにヨウ化エチルも添加して
いる。さらに、特開平3−97747号公報にはチタン
化合物として、塩化マグネシウムとアルコールの付加物
を四塩化チタンおよび電子供与体で処理したものを用い
ることが記載されている。これらの方法の他にも、例え
ば、特開平4−96912号公報、同4−96907号
公報、同3−174410号公報、同2−170803
号公報、同2−170802号公報、同3−20543
9号公報、同4−153203号公報および特開昭61
−42553号公報などに、このような製造方法の記載
がある。本発明の熱収縮性フィルムを形成するポリプロ
ピレン系樹脂を製造する際には、上記のような公知の任
意の方法が使用し得る。このような製造方法により得ら
れる実際の樹脂としては徳山曹達社の「PER」および
ハイモント社の「キャタロイ」などが挙げられる。これ
らはいずれも本発明に用いられ得る。本発明に用いられ
るポリプロピレン系樹脂には、酸化防止剤、紫外線吸収
剤などの安定剤、沈降性硫酸バリウム、タルク、炭酸カ
ルシウム、マイカ、酸化チタンなどの充填剤、着色剤な
どを添加できる。
【0026】本発明の熱収縮性フィルムは、上記ポリプ
ロピレン系樹脂を、Tダイ法、インフレーション法など
の従来の方法によりシート状に溶融押し出し、未延伸フ
ィルムを得、次いで、この未延伸フィルムを、ロール、
テンター、チューブラー法などにより、少なくとも一軸
方向に1.5〜6倍程度延伸することによって得ること
ができる。
【0027】なお、熱収縮性ポリプロピレン系フィルム
の厚みは、外観および収縮速度から10〜120μm、
好ましくは30〜70μmの範囲が適している。
【0028】本発明のポリプロピレン系フィルムの加熱
収縮率の好ましい範囲は、次のとおりである:60℃で
は0〜15%、70℃では5〜20%、80℃では10
〜50%、90℃では20〜60%、100℃では30
〜65%、110℃では35〜70%、120℃では4
0〜70%、および130℃では45〜70%。
【0029】本発明の熱収縮性ポリプロピレン系フィル
ムを収縮ラベルとして使用するには、例えば、上記フィ
ルムにコロナ放電処理を施し、次いでその処理面にグラ
ビア印刷などの印刷を施す。このフィルムがフラットフ
ィルムの場合には、このフィルムをチューブ状に接合す
る。この収縮ラベルは、その後、所定の長さに切断し、
容器に被せた後、シュリンクトンネル(加熱炉)を通し
て収縮、密着させる。コロナ放電処理を行う場合、フィ
ルムの表面張力を38dyn/cm以上とすることが好
ましい。印刷は、フラットフィルムの場合は、裏印刷が
美麗さの点から好ましい。フラットフィルムをチューブ
状に接合する方法には、ヒートシール、超音波ウエルダ
ー、または接着剤による接合などが用いられる。上記接
着剤としては、例えば、通常使用されるいずれの接着剤
でも用いられ得、特に限定されないが、例えば、アクリ
ル系、ゴム系、シリコーン系、ビニルエーテル系、ウレ
タン系、エポキシ系などの各種接着剤が挙げられる。こ
れらの接着剤は、溶剤系、エマルジョン系、ホットメル
トなどの任意の形態であり得る。
【0030】
【作用】本発明の熱収縮性ポリプロピレン系フィルム
は、上記組成を有するプロピレン系樹脂から成膜延伸さ
れ、熱収縮性塩化ビニル系樹脂フィルムとほぼ同じ70
℃前後の低温収縮性を有している。さらに、熱収縮が開
始する温度から温度上昇に伴い、熱収縮率が徐々に増大
する傾向を示す。
【0031】したがって、本発明の熱収縮性ポリプロピ
レン系フィルムを、ボトルなどの首の部分のような細い
所と、胴の部分のような太い所とを有する容器の収縮ラ
ベルとして用いると、収縮率が徐々に増大するため、細
い所と太い所とにわたってチューブ状の収縮ラベルを適
用しても、収縮が不均一となることはなく、密着性が良
好で、印刷のゆがみも生じない。本発明の熱収縮性ポリ
プロピレン系フィルムはまた、塩化ビニル系樹脂フィル
ムのように焼却時に塩化水素を発生することがない。さ
らに、本発明の熱収縮性ポリプロピレン系フィルムを、
PET容器用のラベルとして使用した場合、このポリプ
ロピレン系樹脂の比重は、1よりも小さいので、PET
樹脂との分離が容易である。すなわち、ラベルを付けた
まま容器を粉砕しても、水中で比重差により、ラベルの
成分であるポリプロピレン系樹脂とPET樹脂との分離
を容易に行うことができ(すなわち、再利用が可能であ
り)、経済的である。
【0032】このように、本発明の熱収縮性ポリプロピ
レン系フィルムは、従来の熱収縮性ポリプロピレン系フ
ィルムに比べて、低温で収縮するため生産性が向上し、
かつフィルムの温度上昇に伴い、収縮率が徐々に増加す
るため、収縮むらが発生しないなどの優れた収縮特性を
発揮する。
【0033】本発明の熱収縮性ポリプロピレン系フィル
ムが、上記のような優れた特徴を有する理由は、以下の
ように推定される。
【0034】本発明のポリプロピレン系フィルムは、ポ
リプロピレン樹脂にエチレン−プロピレン共重合体など
に代表される非晶性ポリマーが重合中に大量に導入され
てアロイされたようになっていると考えられる。非常に
活性が高く、寿命が長いチタン系触媒の使用により、こ
の種の樹脂の製造が一部のメーカーで可能になっている
ようである。このような重合によるポリマー中には、分
子構造の異なる共重合体が数種存在し、そのためポリプ
ロピレンなどの通常樹脂部とこれら共重合体部のアロイ
において特徴あるモルフォロジーが発現していると考え
られる。この結果、本発明の熱収縮性ポリプロピレン系
フィルムは、熱収縮が開始する温度から、温度上昇に伴
い、熱収縮率が徐々に増大する傾向を示すと考えられ
る。
【0035】
【実施例】以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に
説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】(実施例1)重量平均分子量370,00
0、クロス分別法による各温度での溶出量が0℃以下で
39.2重量%、0℃超95℃以下で27.1重量%、
95℃超110℃以下で9.2重量%、110℃超13
0℃以下で24.5重量%であるポリプロピレン系樹脂
(ハイモント社製:キャタロイ)を、Tダイにより、金
型温度約240℃で押し出して未延伸フィルム(厚み1
60μm)を得た。この未延伸フィルムを70℃で横方
向に4.0倍に延伸し、厚み40μmの熱収縮性フィル
ムAを得た。
【0037】この熱収縮性フィルムAについて、60〜
110℃の温度域の10℃毎における横方向の各収縮率
を測定した。収縮率の測定は、フィルムを横方向に長さ
100mm、幅10mmに切断し、測定温度に設定した
熱風の中で、10秒間収縮させて行った。
【0038】さらに、上記熱収縮性フィルムAに格子状
の模様を印刷し、横方向に巻いてヒートシールしてチュ
ーブ状熱収縮性ラベルとした。このラベルをPETボト
ルに被せ、130℃のオーブン中で、それぞれ収縮させ
装着した後、各ラベルの印刷の歪みやしわの発生の有無
についての外観を目視にて観察評価した。
【0039】(比較例1)上記ポリプロピレン系樹脂の
代わりに、密度0.90、メルトインデックス0.5、
エチレン含量3.4重量%のプロピレン−エチレンラン
ダム共重合体を用い、延伸温度を120℃にしたこと以
外は、実施例1と同様にしてフィルムを作成し、評価し
た。
【0040】(比較例2)上記ポリプロピレン系樹脂の
代わりに、密度0.90、メルトインデックス0.5、
エチレン含量3.4重量%のプロピレン−エチレンラン
ダム共重合体100重量部と、密度0.86、メルトイ
ンデックス3.2、プロピレン含量26重量%、ムーニ
ー粘度ML1+4(100℃)=24のエチレンープロピレンラ
ンダム共重合体40重量部との配合物を用いたこと以外
は、実施例1と同様にしてフィルムを作成し、評価し
た。
【0041】実施例1、比較例1および比較例2で用い
た樹脂の分子量、クロス分別法による各温度での溶出
量、その樹脂を用いて得られた延伸フィルムの加熱収縮
率、ラベルとしての外観についての結果を以下の表1に
示す。
【0042】
【表1】
【0043】実施例1で得られたポリプロピレン系フィ
ルムは、低温収縮性および均一収縮性共に優れており、
収縮ラベルとして有用であると考えられる。比較例1で
得られたフィルムは、低温収縮性および均一収縮性が共
に劣っており、比較例2で得られたフィルムは、低温収
縮性は良いが、収縮温度上昇に伴い収縮率が急激に増大
し、均一収縮性に劣っているため、比較例1および比較
例2のいずれのフィルムも収縮ラベルとして使用するに
は、好ましくない。
【0044】
【発明の効果】本発明の熱収縮性ポリプロピレン系フィ
ルムは、低温収縮が可能で、かつ収縮温度上昇に伴い収
縮率が急激に増大することなく、徐々に増加し、収縮む
らの均一な収縮を達成できる。従って、本発明の熱収縮
性ポリプロピレン系フィルムは、PET容器などの各種
容器用収縮ラベルなどに好適に用いられ得る。本発明の
熱収縮性ポリプロピレン系フィルムはまた、インスタン
ト食品、紙パック飲料、医薬品、化粧品、エアゾールな
どの個包装や、缶、瓶、紙パック、食品、文具、雑貨な
どの集積包装にも好適に用いられ得る。
【0045】さらに本発明の熱収縮性ポリプロピレン系
フィルムは、塩化ビニル系樹脂のように焼却時に塩化水
素を発生することがなく、本発明のフィルムをPET容
器に使用した場合には、PET容器の再利用のための回
収の際に、ラベルを付けたまま粉砕しても、ラベルとし
て使用した本発明のフィルムのポリプロピレン系樹脂と
容器のPET樹脂との分離が、水との比重差を利用して
非常に容易に行うことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 7:00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均分子量が80,000〜50
    0,000の範囲内にあるポリプロピレン系樹脂であ
    り、クロス分別法による0℃以下での樹脂溶出量が全ポ
    リプロピレン系樹脂量の25〜55重量%であり、0℃
    超95℃以下での樹脂溶出量が全ポリプロピレン系樹脂
    量の10〜40重量%であり、95℃超110℃以下で
    の樹脂溶出量が全ポリプロピレン系樹脂量の3〜20重
    量%であり、そして110℃超130℃以下での樹脂溶
    出量が全ポリプロピレン系樹脂量の10〜40重量%で
    ある範囲内の組成を有するポリプロピレン系樹脂から成
    形される、熱収縮性ポリプロピレン系フィルム。
JP5032794A 1994-03-22 1994-03-22 熱収縮性ポリプロピレン系フィルム Pending JPH07256754A (ja)

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