JP2023145018A - 水硬性組成物用微粒子水性分散液、水硬性組成物及び水硬性組成物硬化体の製造方法 - Google Patents

水硬性組成物用微粒子水性分散液、水硬性組成物及び水硬性組成物硬化体の製造方法 Download PDF

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卓哉 大石
Takuya Oishi
章宏 古田
Akihiro Furuta
和寿 岡田
Kazuhisa Okada
和秀 齊藤
Kazuhide Saito
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Abstract

【課題】含有される微粒子の分散安定性が高く、更に、コンクリートなどの水硬性組成物硬化体の初期材齢(例えば、材齢16時間、24時間)及び中長期材齢(例えば、材齢28日)における圧縮強度を向上させる水硬性組成物用微粒子水性分散液を提供する。【解決手段】所定の有機リン酸エステル(A)、及び、無機微粒子(B)を含有し、アルカリ過中和前処理した前記有機リン酸エステル(A)のP核NMR測定において、一般式(1)で示される有機リン酸エステルP1、一般式(2)で示される有機リン酸エステルP2、及び一般式(3)で示される有機リン酸エステルP3に帰属されるP核NMR積分比率の合計を100%としたとき、一般式(1)で示される有機リン酸エステルP1に帰属されるP核NMR積分比率が、50~99%であることを特徴とする、水硬性組成物用微粒子水性分散液。【選択図】なし

Description

本発明は、水硬性組成物用微粒子水性分散液、水硬性組成物及び水硬性組成物硬化体の製造方法に関する。更に詳しくは、コンクリートなどの水硬性組成物硬化体の初期材齢(例えば、材齢16時間、24時間)及び中長期材齢(例えば、材齢28日)における圧縮強度を向上させる水硬性組成物用微粒子水性分散液、これを添加した水硬性組成物、及び、水硬性組成物硬化体の製造方法に関する。
従来、コンクリート硬化体(コンクリート製品)は、セメント、骨材、及び水等を混練して混合物(水硬性組成物)を得た後、この水硬性組成物を型枠に充填し、その後、養生を行うことで得ることができる。
ここで、水硬性組成物は、ある程度の強度が発現するためには、つまり、型枠に充填した後、脱型ができる程度に圧縮強度が確保されるには、1日程度の時間が必要であることが一般的である。
しかし、近年では、工期の短縮などから、所望する圧縮強度が確保されるまでの時間を短縮することが要求されており、水硬性組成物に硬化促進剤(例えば、特許文献1、2参照)を添加することが行われている。
特開2017-206428号公報 特表2013-520390号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載の硬化促進剤は、使用される微粒子が限定的であり、更なる改善の余地があり、水硬性組成物用の新たな硬化促進剤の開発が求められていた。
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、所望する水硬性組成物の圧縮強度が確保されるまでの時間を短縮することができ、即ち、初期材齢(例えば、材齢16時間、材齢24時間)及び中長期材齢(例えば、材齢28日)における圧縮強度を向上させることができ、更には、含有される微粒子の分散安定性が高い水硬性組成物用微粒子水性分散液の提供を課題とするものである。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、所定の有機リン酸エステル(A)及び無機微粒子(B)を含有することによって上記課題を解決できることを見出した。本発明によれば、以下の水硬性組成物用微粒子水性分散液、水硬性組成物及び水硬性組成物硬化体の製造方法が提供される。
[1] 下記有機リン酸エステル(A)、及び、無機微粒子(B)を含有し、
アルカリ過中和前処理した前記有機リン酸エステル(A)のP核NMR測定において、下記一般式(1)で示される有機リン酸エステルP1、下記一般式(2)で示される有機リン酸エステルP2、及び下記一般式(3)で示される有機リン酸エステルP3に帰属されるP核NMR積分比率の合計を100%としたとき、
下記一般式(1)で示される有機リン酸エステルP1に帰属されるP核NMR積分比率が、50~99%であることを特徴とする、水硬性組成物用微粒子水性分散液。
有機リン酸エステル(A):
下記一般式(1)で示される有機リン酸エステルP1と、下記一般式(2)で示される有機リン酸エステルP2、及び下記一般式(3)で示される有機リン酸エステルP3から選ばれる少なくとも1つと、を含むものである。
Figure 2023145018000001
(一般式(1)において、Rは、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、又は炭素数14~30のスチレン化フェニル基である。AOは、炭素数2~4のオキシアルキレン基(但し、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独又は2種以上とすることができる)である。n1は、AOの平均付加モル数であり、1~150の数である。M,Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2)、アンモニウム、又は有機アミンである。)
Figure 2023145018000002
(一般式(2)において、R,Rは、それぞれ独立に、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、又は炭素数14~30のスチレン化フェニル基である。AO,AOは、それぞれ独立に、炭素数2~4のオキシアルキレン基(但し、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独又は2種以上とすることができる)である。n2は、AOの平均付加モル数であり、1~150の数である。n3は、AOの平均付加モル数であり、1~150の数である。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2)、アンモニウム、又は有機アミンである。)
Figure 2023145018000003
(一般式(3)において、R,Rは、それぞれ独立に、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、又は炭素数14~30のスチレン化フェニル基である。AO,AOは、それぞれ独立に、炭素数2~4のオキシアルキレン基(但し、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独又は2種以上とすることができる)である。n4は、AOの平均付加モル数であり、1~150の数である。n5は、AOの平均付加モル数であり、1~150の数である。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2)、アンモニウム、又は有機アミンである。rは、2又は3の整数である。)
[2] 前記無機微粒子(B)が、シリカ、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、及び水酸化カルシウムからなる群より選択される少なくとも1つである、前記[1]に記載の水硬性組成物用微粒子水性分散液。
[3] 前記一般式(1)~(3)において、R~Rが、それぞれ独立に、炭素数1~24のアルキル基、炭素数2~24のアルケニル基、又は炭素数14~30のスチレン化フェニル基である、前記[1]または[2]に記載の水硬性組成物用微粒子水性分散液。
[4] 前記一般式(1)~(3)において、AO~AOが、それぞれ独立に、50モル%以上がポリオキシエチレン単位から構成されるものである、前記[1]~[3]のいずれかに記載の水硬性組成物用微粒子水性分散液。
[5] 前記一般式(1)~(3)において、n1~n5が、それぞれ独立に、1~75である、前記[1]~[4]のいずれかに記載の水硬性組成物用微粒子水性分散液。
[6] 前記有機リン酸エステル(A)と無機微粒子(B)の質量比((A)/(B)質量比)が0.01~1.0である、前記[1]~[5]のいずれかに記載の水硬性組成物用微粒子水性分散液。
[7] レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置により測定されるメジアン径が、10~1000nmである、前記[1]~[6]のいずれかに記載の水硬性組成物用微粒子水性分散液。
[8] 前記[1]~[7]のいずれかに記載の水硬性組成物用微粒子水性分散液を含有することを特徴とする、水硬性組成物。
[9] 少なくとも前記[1]~[7]のいずれかに記載の水硬性組成物用微粒子水性分散液、結合材、及び水を配合して水硬性組成物を調製する調製工程と、
前記水硬性組成物を硬化させて、水硬性組成物硬化体を得る硬化工程と、を有することを特徴とする、水硬性組成物硬化体の製造方法。
本発明の水硬性組成物用微粒子水性分散液は、含有される微粒子の分散安定性が高く、更に、コンクリートなどの水硬性組成物硬化体の初期材齢(例えば、材齢16時間、24時間)及び中長期材齢(例えば、材齢28日)における圧縮強度を向上させることができるという効果を奏するものである。
本発明の水硬性組成物は、本発明の水硬性組成物用微粒子水性分散液を含有することにより、形成される水硬性組成物硬化体の初期材齢(例えば、材齢16時間、24時間)及び中長期材齢(例えば、材齢28日)における圧縮強度を向上させることができるという効果を奏するものである。
本発明の水硬性組成物硬化体の製造方法は、初期材齢(例えば、材齢16時間、24時間)及び中長期材齢(例えば、材齢28日)における圧縮強度が向上された水硬性組成物の硬化体を製造できるという効果を奏するものである。
以下、本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し適宜変更、改良等が加えられ得ることが理解されるべきである。なお、以下の実施例等において、別に記載しない限り、%は質量%を、また部は質量部を意味する。
(1)水硬性組成物用微粒子水性分散液:
本発明の水硬性組成物用微粒子水性分散液は、下記有機リン酸エステル(A)(以下、「A成分」と記す場合がある)、及び、無機微粒子(B)(以下、「B成分」と記す場合がある)を含有するものである。そして、本発明の水硬性組成物用微粒子水性分散液は、アルカリ過中和前処理した有機リン酸エステル(A)のP核NMR測定において、下記一般式(1)で示される有機リン酸エステルP1、下記一般式(2)で示される有機リン酸エステルP2、及び下記一般式(3)で示される有機リン酸エステルP3に帰属されるP核NMR積分比率の合計を100%としたとき、下記一般式(1)で示される有機リン酸エステルP1に帰属されるP核NMR積分比率が、50~99%のものである。
このような水硬性組成物用微粒子水性分散液は、コンクリートなどの水硬性組成物硬化体の初期材齢(例えば、材齢16時間、24時間)及び中長期材齢(例えば、材齢28日)における圧縮強度を向上させることができる。更に、含有される微粒子の分散安定性が高く、保存性が高いものである。
Figure 2023145018000004
(一般式(1)において、Rは、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、又は炭素数14~30のスチレン化フェニル基である。AOは、炭素数2~4のオキシアルキレン基(但し、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独又は2種以上とすることができる)である。n1は、AOの平均付加モル数であり、1~150の数である。M,Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2)、アンモニウム、又は有機アミンである。)
Figure 2023145018000005
(一般式(2)において、R,Rは、それぞれ独立に、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、又は炭素数14~30のスチレン化フェニル基である。AO,AOは、それぞれ独立に、炭素数2~4のオキシアルキレン基(但し、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独又は2種以上とすることができる)である。n2は、AOの平均付加モル数であり、1~150の数である。n3は、AOの平均付加モル数であり、1~150の数である。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2)、アンモニウム、又は有機アミンである。
Figure 2023145018000006
(一般式(3)において、R,Rは、それぞれ独立に、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、又は炭素数14~30のスチレン化フェニル基である。AO,AOは、それぞれ独立に、炭素数2~4のオキシアルキレン基(但し、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独又は2種以上とすることができる)である。n4は、AOの平均付加モル数であり、1~150の数である。n5は、AOの平均付加モル数であり、1~150の数である。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2)、アンモニウム、又は有機アミンである。rは、2又は3の整数である。)
(1-1)有機リン酸エステル(A):
有機リン酸エステル(A)は、一般式(1)で示される有機リン酸エステルP1と、一般式(2)で示される有機リン酸エステルP2、及び一般式(3)で示される有機リン酸エステルP3からなる群より選択される少なくとも一つと、を含むものである。そして、有機リン酸エステル(A)は、所定のP核NMR積分比率を満たすものである。このような有機リン酸エステル(A)は、無機微粒子(B)を良好に分散させることができ、この有機リン酸エステル(A)を含有することによって、本発明の水硬性組成物用微粒子水性分散液は、含有される微粒子の分散安定性が高くなる。更には、無機微粒子(B)が良好に分散した分散液を使用することで、コンクリートなどの水硬性組成物硬化体の初期材齢(例えば、材齢16時間、24時間)及び中長期材齢(例えば、材齢28日)における圧縮強度を向上させることができる。
一般式(1)~(3)において、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~24のアルキル基、炭素数2~24のアルケニル基、又は炭素数14~30のスチレン化フェニル基であることが好ましく、更には、炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、又は炭素数14~30のスチレン化フェニル基であることが更に好ましい。このようにすると、水硬性組成物用微粒子水性分散液に含有される微粒子の分散安定性が更に高くなる。
一般式(1)~(3)において、AO~AOが、それぞれ独立に、50モル%以上がポリオキシエチレン単位から構成されるものであることが好ましく、75モル%以上がポリオキシエチレン単位から構成されるものであることが更に好ましい。このようにすると、水硬性組成物用微粒子水性分散液に含有される微粒子の分散安定性が更に高くなる。
一般式(1)~(3)において、n1~n5が、それぞれ独立に、1~75であることが好ましく、1~50であることが更に好ましい。このようにすると、水硬性組成物用微粒子水性分散液に含有される微粒子の分散安定性が更に高くなる。
(1-1a)一般式(1)で示される有機リン酸エステルP1:
における炭素数1~30のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、エイコシル基、ヘンイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基等の直鎖又は分岐アルキル基などを挙げることができる。
における炭素数2~30のアルケニル基としては、具体的には、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、エイコセニル基、ヘンイコセニル基、ヘンエイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基、ペンタコセニル基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オクタコセニル基、ノナコセニル基、トリアンコテニル基などを挙げることができる。
における炭素数14~30のスチレン化フェニル基としては、具体的には、モノスチレン化フェニル基、ジスチレン化フェニル基、トリスチレン化フェニル基などを挙げることができる。
これらの中でも、Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、エイコシル基、ヘンイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基等の炭素数1~24のアルキル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、エイコセニル基、ヘンイコセニル基、ヘンエイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基等の炭素数2~24のアルケニル基、モノスチレン化フェニル基、ジスチレン化フェニル基、トリスチレン化フェニル基等の炭素数14~30のスチレン化フェニル基であることが好ましい。更には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等の炭素数1~18のアルキル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基等の炭素数2~18のアルケニル基、モノスチレン化フェニル基、ジスチレン化フェニル基、トリスチレン化フェニル基等の炭素数14~30のスチレン化フェニル基であることがより好ましい。
一般式(1)において、AOは、炭素数2~4のオキシアルキレン基(但し、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独又は2種以上とすることができる)である。これらのオキシアルキレン基の構成割合は特に制限はないが、上述の通り、ポリオキシエチレン単位から構成されるもの(ポリオキシエチレン基)が50モル%以上であることが好ましく、75モル%以上であることが更に好ましい。また、オキシアルキレン基が2種以上の場合は、ランダム付加体、ブロック付加体、交互付加体のいずれの形態であっても良い。
n1は、AOの平均付加モル数であり、1~150の数である。このn1は、上述の通り、1~75の数であることが好ましく、1~50の数であることが更に好ましい。
,Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2)、アンモニウム、又は有機アミンである。これらの中でも、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2)、有機アミンが好ましい。なお、本明細書において、一般式(1)~(3)における「有機アミン」は、水酸基と塩を形成した状態のものである。
有機アミンとしては、例えば、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミンなどを挙げることができる。
(1-1b)一般式(2)で示される有機リン酸エステルP2:
,Rにおける炭素数1~30のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、エイコシル基、ヘンイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基等の直鎖又は分岐アルキル基などを挙げることができる。
,Rにおける炭素数2~30のアルケニル基としては、具体的には、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、エイコセニル基、ヘンイコセニル基、ヘンエイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基、ペンタコセニル基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オクタコセニル基、ノナコセニル基、トリアンコテニル基などを挙げることができる。
,Rにおける炭素数14~30のスチレン化フェニル基としては、具体的には、モノスチレン化フェニル基、ジスチレン化フェニル基、トリスチレン化フェニル基などを挙げることができる。
O,AOは、それぞれ独立に、炭素数2~4のオキシアルキレン基(但し、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独又は2種以上とすることができる)である。これらのオキシアルキレン基の構成割合は特に制限はないが、上述の通り、ポリオキシエチレン単位から構成されるもの(ポリオキシエチレン基)が50モル%以上であることが好ましく、75モル%以上であることが更に好ましい。また、オキシアルキレン基が2種以上の場合は、ランダム付加体、ブロック付加体、交互付加体のいずれの形態であっても良い。
n2は、AOの平均付加モル数であり、1~150の数である。このn2は、上述の通り、1~75の数であることが好ましく、1~50の数であることが更に好ましい。
n3は、AOの平均付加モル数であり、1~150の数である。このn3は、上述の通り、1~75の数であることが好ましく、1~50の数であることが更に好ましい。
は、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2)、アンモニウム、又は有機アミンである。これらの中でも、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2)、有機アミンが好ましい。
(1-1c)一般式(3)で示される有機リン酸エステルP3:
,Rにおける炭素数1~30のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、エイコシル基、ヘンイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基等の直鎖又は分岐アルキル基などを挙げることができる。
,Rにおける炭素数2~30のアルケニル基としては、具体的には、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、エイコセニル基、ヘンイコセニル基、ヘンエイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基、ペンタコセニル基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オクタコセニル基、ノナコセニル基、トリアンコテニル基などを挙げることができる。
,Rにおける炭素数14~30のスチレン化フェニル基としては、具体的には、モノスチレン化フェニル基、ジスチレン化フェニル基、トリスチレン化フェニル基などを挙げることができる。
O,AOは、それぞれ独立に、炭素数2~4のオキシアルキレン基(但し、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独又は2種以上とすることができる)である。これらのオキシアルキレン基の構成割合は特に制限はないが、上述の通り、ポリオキシエチレン単位から構成されるもの(ポリオキシエチレン基)が50モル%以上であることが好ましく、75モル%以上であることが更に好ましい。また、オキシアルキレン基が2種以上の場合は、ランダム付加体、ブロック付加体、交互付加体のいずれの形態であっても良い。
n4は、AOの平均付加モル数であり、1~150の数である。このn4は、上述の通り、1~75の数であることが好ましく、1~50の数であることが更に好ましい。
n5は、AOの平均付加モル数であり、1~150の数である。このn5は、上述の通り、1~75の数であることが好ましく、1~50の数であることが更に好ましい。
は、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2)、アンモニウム、又は有機アミンである。これらの中でも、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2)、有機アミンが好ましい。
rは、2又は3の整数である。
(P核NMR積分比率)
本発明の水硬性組成物用微粒子水性分散液において、有機リン酸エステル(A)は、以下のP核NMR積分比率を満たすものである。
具体的には、アルカリ過中和前処理した有機リン酸エステル(A)のP核NMR測定において、一般式(1)で示される有機リン酸エステルP1、一般式(2)で示される有機リン酸エステルP2、及び一般式(3)で示される有機リン酸エステルP3に帰属されるP核NMR積分比率の合計を100%としたとき、一般式(1)で示される有機リン酸エステルP1に帰属されるP核NMR積分比率が、50~99%であることを満たす。更に、このP核NMR積分比率は、55~99%であることが好ましく、60~99%であることがより好ましい。
このように、有機リン酸エステル(A)がP核NMR積分比率における所定の条件を満たすことにより、本発明の水硬性組成物用微粒子水性分散液は、含有される微粒子の分散安定性が高く、更に、コンクリートなどの水硬性組成物硬化体の初期材齢(例えば、材齢16時間、24時間)及び中長期材齢(例えば、材齢28日)における圧縮強度を向上させることができる。
有機リン酸エステル(A)から帰属されるP核NMR積分比率(%)は、具体的には、以下のようにして算出することができる。即ち、各有機リン酸エステル(A)に過剰のKOHを加えてpHを12以上にした条件で(即ち、アルカリ過中和前処理して)、31P-NMR(例えば、VALIAN社製の商品名MERCURY plus NMR Spectrometor System、300MHz)にて測定を行う。そして、得られた測定値を用いて、下記の式(a)~式(c)によって算出を行う。なお、溶媒は、重水/テトラヒドロフラン=8/2(体積比)の混合溶媒を用いることができる。
Figure 2023145018000007
Figure 2023145018000008
Figure 2023145018000009
上記式(a)~式(c)において、P化1、P化2、P化3は以下に示す通りである。
P化1:一般式(1)で示される有機リン酸エステルP1に帰属されるP核NMR積分値
P化2:一般式(2)で示される有機リン酸エステルP2に帰属されるP核NMR積分値
P化3:一般式(3)で示される有機リン酸エステルP3に帰属されるP核NMR積分値
「アルカリ過中和前処理」とは、有機リン酸エステル(A)に対して過剰量のアルカリを添加する前処理を意味する。31P-NMRの測定において、この「アルカリ過中和前処理」を行うと、有機リン酸エステルP1~P3に帰属されるピークを明瞭に分けることができ、上記式(a)~式(c)による各化合物に帰属されるP核NMR積分比率の計算が可能となる。
添加するアルカリとしては、特に限定されず、例えば、有機アミン、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物等を挙げることができる。また、有機リン酸エステル(A)を合成する場合に使用したアルカリと同じであってもよく、異なっていてもよい。
有機アミンとしては、例えば、メチルアミン、ジメチルアミンなどを挙げることができる。アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム等を挙げることができる。
有機リン酸エステル(A)の配合割合は、特に制限はないが、例えば、水硬性組成物用微粒子水性分散液中、0.1~20.0質量%とすることができ、0.1~18.0質量%とすることが好ましく、0.1~15.0質量%とすることが更に好ましい。このような範囲とすることによって、含有される微粒子の分散安定性が更に高くなる。
(有機リン酸エステル(A)の製造方法)
有機リン酸エステル(A)は、従来公知の方法で適宜製造することができるが、例えば、加熱攪拌条件下で各種アルコールに五酸化二燐を反応させて有機リン酸エステル化合物を得た後、必要に応じて、この有機リン酸エステル化合物を水酸化カリウム等のアルカリで中和することによって製造することができる。この合成方法の場合、有機リン酸エステル(A)は、通常、一般式(1)で示される有機リン酸エステルP1、一般式(2)で示される有機リン酸エステルP2、一般式(3)で示される有機リン酸エステルP3の混合物となる。なお、有機リン酸エステル(A)は、上記合成方法を採用せずに、一般式(1)で示される有機リン酸エステルP1、一般式(2)で示される有機リン酸エステルP2、及び、一般式(3)で示される有機リン酸エステルP3をそれぞれ合成した後、これらを混合して調製してもよい。
(1-2)無機微粒子(B):
無機微粒子(B)は、水硬性組成物を硬化体とする際に、所定の有機リン酸エステル(A)とともに含有する分散液を用いることによって、水硬性組成物硬化体の初期材齢(例えば、材齢16時間、24時間)及び中長期材齢(例えば、材齢28日)における圧縮強度を向上させることができる。
無機微粒子(B)は、その種類などに特に制限はなく適宜採用することができるが、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、水酸化カルシウム、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等が挙げられる。これらの中でも、シリカ、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、及び水酸化カルシウムからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。このような無機微粒子(B)を含有することで、水硬性組成物硬化体の初期材齢(例えば、材齢16時間、24時間)及び中長期材齢(例えば、材齢28日)における圧縮強度を十分に向上させることができる。
無機微粒子(B)の配合割合は、特に制限はないが、例えば、水硬性組成物用微粒子水性分散液中、1.0~50.0質量%とすることができ、1.0~45.0質量%とすることが好ましく、1.0~40.0質量%とすることが更に好ましい。このような範囲とすることによって、微粒子水性分散液に含有される微粒子の分散安定性が更に高くなる。
分散液における無機微粒子(B)は、そのメジアン径について特に制限はないが、10~1000nmとすることができ、10~500nmとすることが好ましく、10~250nmとすることが更に好ましい。このような範囲とすることによって、含有される微粒子の分散安定性が更に高くなる。更に、水硬性組成物硬化体の初期材齢(例えば、材齢16時間、24時間)及び中長期材齢(例えば、材齢28日)における圧縮強度を更に向上させることができる。なお、このメジアン径は、水硬性組成物用微粒子水性分散液の調製直後(具体的には調製後1時間以内)におけるメジアン径のことである。
なお、本願明細書におけるメジアン径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置等によって測定することができる。
本明細書中、「メジアン径」とは、粉粒状物を、特定の粒度を境にして、該粒度よりも小さな粒度のもの(小さな粒度の集合体)と、該粒度より大きな粒度のもの(大きな粒度の集合体)に分けた場合に、これら小さな粒度の集合体と大きな粒度の集合体とが同量(各々、50体積%ずつ)になるときの特定の粒度をいう。
(1-3)A成分とB成分の配合割合(A成分/B成分の質量比):
有機リン酸エステル(A)(A成分)と無機微粒子(B)(B成分)との配合割合(即ち、無機微粒子(B)に対する有機リン酸エステル(A)の質量比の値)は、特に制限はないが、例えば、0.01~1.00とすることができ、0.03~0.80とすることが好ましく、0.05~0.50とすることが更に好ましい。このような範囲とすることによって、含有される微粒子の分散安定性が更に高くなる。
(1-4)その他の構成成分:
本発明の水硬性組成物用微粒子水性分散液は、有機リン酸エステル(A)及び無機微粒子(B)以外に、効果が損なわれない範囲内で、その他の構成成分を更に含んでいてもよい。
その他の構成成分としては、例えば、水硬性組成物用添加剤である減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤、空気量調整剤としてAE剤、消泡剤、凝結遅延剤、収縮低減剤、増粘剤、硬化促進剤、防腐剤、防水剤、防錆剤等を挙げることができる。
その他の構成成分の含有割合としては、例えば、水硬性組成物用微粒子水性分散液100質量%中、固形分換算で0~40質量%とすることができる。
(2)水硬性組成物:
本発明の水硬性組成物は、本発明の水硬性組成物用微粒子水性分散液を含有するものである。このような水硬性組成物は、本発明の水硬性組成物用微粒子水性分散液を含有することにより、形成される水硬性組成物硬化体の初期材齢(例えば、材齢16時間、24時間)及び中長期材齢(例えば、材齢28日)における圧縮強度を向上させることができるものである。
本発明の水硬性組成物は、従来公知の水硬性組成物と同様に、結合材、水、細骨材、及び粗骨材等を含むものとすることができる。
本発明の水硬性組成物は、本発明の水硬性組成物用微粒子水性分散液の含有割合については特に制限はなく適宜設定することができるが、本発明の水硬性組成物用微粒子水性分散液の含有割合は、例えば、結合材100質量%に対して、固形分換算で、0.001~3.0質量%の割合とすることができる。
結合材としては、例えば、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント等の各種のセメントを挙げることができる。
更に、結合材は、フライアッシュ、高炉スラグ微粉末、石灰石微粉末、石粉、シリカフューム、膨張材等の各種混和材を上述した各種セメントと併用してもよい。
細骨材としては、例えば、川砂、山砂、陸砂、海砂、珪砂、砕砂、各種スラグ細骨材等が挙げられるが、粘土質等の微粒成分等を含むものであってもよい。
粗骨材としては、例えば、川砂利、山砂利、陸砂利、砕石、各種スラグ粗骨材、軽量骨材等が挙げられる。
本発明の水硬性組成物は、効果が損なわれない範囲内で、適宜その他の成分を更に含有していてもよい。このようなその他の成分としては、例えば、糖類やオキシカルボン酸塩等からなる凝結遅延成分、リグニンスルホン酸塩等からなる分散作用を有する成分、陰イオン界面活性剤等からなるAE剤、オキシアルキレン系化合物等からなる消泡剤、アルカノールアミン等からなる硬化促進剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等からなる収縮低減剤、セルロースエーテル系化合物等からなる増粘剤、イソチアゾリン系化合物等からなる防腐剤、亜硝酸塩等からなる防錆剤等を挙げることができる。
その他の成分の含有割合としては、例えば、結合材100質量%に対して、固形分換算で0~5質量%とすることができる。
本発明の水硬性組成物は、その水と結合材の比率(水/結合材比)としては従来公知の割合を適宜採用することができるが、例えば、25~70質量%とすることができる。
この水硬性組成物を型枠等に充填して室温での養生や蒸気による加熱養生等を行うことで、硬化したコンクリート等を得ることができる。
(3)水硬性組成物硬化体の製造方法:
本発明の水硬性組成物硬化体の製造方法は、少なくとも、本発明の水硬性組成物用微粒子水性分散液、結合材、及び水を配合して水硬性組成物を調製する調製工程と、上記調製工程で調製した水硬性組成物を硬化させて、水硬性組成物硬化体を得る硬化工程と、を有する方法である。
このような製造方法によれば、初期材齢(例えば、材齢16時間、24時間)及び中長期材齢(例えば、材齢28日)における圧縮強度が向上された水硬性組成物の硬化体を製造できる。特に、結合材、水、細骨材、及び粗骨材に上記微粒子水性分散液を添加することで、水硬性組成物に添加する無機微粒子の凝集が発生しにくくなるため、無機微粒子をそのまま添加する方法よりも水硬性組成物の初期材齢(例えば、材齢16時間、24時間)及び中長期材齢(例えば、材齢28日)における圧縮強度を向上できる。
また、水硬性組成物を調製する調製工程において、本発明の水硬性組成物用微粒子水性分散液は、水硬性組成物の調製の際に、この水硬性組成物の構成成分と一緒に配合することができる。即ち、セメントなどの結合材、骨材(細骨材及び粗骨材)、及び水とともに、本発明の水硬性組成物用微粒子水性分散液を配合し、混合して、水硬性組成物(上記微粒子水性分散液を配合済みのもの)を調製し、その後、この水硬性組成物を型枠等に充填し、室温での養生や蒸気による加熱養生等で養生を行うことで、水硬性組成物硬化体を製造することができる。
更に、本発明の水硬性組成物用微粒子水性分散液は、水硬性組成物用微粒子水性分散液を添加しない状態で調製された水硬性組成物に添加してもよい。すなわち、セメントなどの結合材、骨材(細骨材及び粗骨材)、及び水を混合して、水硬性組成物(上記微粒子水性分散液を配合していないもの)を調製した後、水硬性組成物用微粒子水性分散液を配合し、混合して、水硬性組成物(上記微粒子水性分散液を配合済みのもの)を調製し、その後、この水硬性組成物を型枠に充填し、室温での養生や蒸気による加熱養生等で養生を行うことで、水硬性組成物硬化体を製造することもできる。
なお、上記調製工程における水硬性組成物は、水硬性組成物用微粒子水性分散液を配合していないものであるが、既に、水硬性組成物用微粒子水性分散液を配合したものであってもよい。
水硬性組成物硬化体は、具体的には、硬化したコンクリート(コンクリート硬化体)などのことである。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、以下のようにして、有機リン酸エステル(A)である有機リン酸エステル(A-1)~(A-21)、及び、有機リン酸エステル(RA-1)を製造した。以下に、各有機リン酸エステル(A-1)~(A-21)、及び、有機リン酸エステル(RA-1)の製造方法を説明する。
(製造例1)有機リン酸エステル(A-1)の合成:
(ポリ(12モル)オキシエチレンモノスチリルフェニルエーテルの合成)
撹拌機、圧力計及び温度計を備えた圧力容器中に、モノスチレン化フェノールを主成分とする三光株式会社製のSP-F(商品名)257.0g及び水酸化カリウム1.0gを仕込んだ。続いて、反応系を120℃まで昇温させた後、反応系中を減圧下とし、1時間の脱水処理を行った。その後、反応系内を130±5℃に維持しながら、エチレンオキシド687.2gを0.4MPaのゲージ圧にて6時間かけて添加し、1時間、130±5℃を保持し、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行い、ろ過を行って、ポリ(12モル)オキシエチレンモノスチリルフェニルエーテルを得た。なお、「三光株式会社製のSP-F(商品名)」は、主成分であるモノスチレン化フェノール以外にジスチレン化フェノールなどのスチレン化フェノールを含むものである。このように、具体的に使用するスチレン化フェノールは、主成分のスチレン化フェノール化合物と、この主成分以外のスチレン化フェノール化合物(上記の場合、具体的には、ジ・トリ・ポリスチレン化フェノール化合物)とを含んだものを用いることができる。
(リン酸化)
次に、別の反応容器に、得られたポリ(12モル)オキシエチレンモノスチリルフェニルエーテル218.5gを仕込み、0.05MPa以下の条件で、120℃、2時間脱水処理した後、大気圧に戻した。続いて、60±5℃とし、撹拌しながら五酸化二燐14.2gを0.5時間かけて投入した。その後、80℃にて3時間熟成した後、イオン交換水6.6gを投入して0.5時間熟成した。そして、熟成させた反応液を50℃とした状態で、48%水酸化カリウム水溶液35.9gを滴下して中和を行い、イオン交換水224.7gを投入しつつ攪拌して、有機リン酸エステル(A-1)(A成分)の50%水溶液を得た。
(製造例2)有機リン酸エステル(A-4)の合成:
(ポリ(12モル)オキシエチレンジスチリルフェニルエーテルの合成)
撹拌機、圧力計及び温度計を備えた圧力容器中に、ジスチレン化フェノールを主成分とする四日市合成株式会社製のDSP(商品名)363.9g及び水酸化カリウム1.0gを仕込んだ。続いて、反応系を120℃まで昇温させた後、反応系中を減圧下とし、1時間の脱水処理を行った。その後、反応系内を130±5℃に維持しながら、エチレンオキシド636.1gを0.4MPaのゲージ圧にて6時間かけて添加し、1時間、130±5℃を保持し、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行い、ろ過を行って、ポリ(12モル)オキシエチレンジスチリルフェニルエーテルを得た。なお、「四日市合成株式会社製のDSP(商品名)」は、主成分であるジスチレン化フェノール以外にモノスチレン化フェノールなどのスチレン化フェノールを含むものである。このように、具体的に使用するスチレン化フェノールは、主成分のスチレン化フェノール化合物と、この主成分以外のスチレン化フェノール化合物(上記の場合、具体的には、モノ・トリ・ポリスチレン化フェノール化合物)とを含んだものを用いることができる。
(リン酸化)
次に、別の反応容器に、得られたポリ(12モル)オキシエチレンジスチリルフェニルエーテル219.1gを仕込み、0.05MPa以下の条件で、120℃、2時間脱水処理した後、大気圧に戻した。続いて、60±5℃とし、撹拌しながら五酸化二燐13.4gを0.5時間かけて投入した。その後、80℃にて3時間熟成した後、イオン交換水6.6gを投入して0.5時間熟成した。そして、熟成させた反応液を50℃とした状態で、48%水酸化カリウム水溶液36.5gを滴下して中和を行い、イオン交換水224.4gを投入しつつ攪拌して、有機リン酸エステル(A-4)(A成分)の50%水溶液を得た。
(製造例3)有機リン酸エステル(A-6)の合成:
(ポリ(18モル)オキシエチレントリスチリルフェニルエーテルの合成)
撹拌機、圧力計及び温度計を備えた圧力容器中に、トリスチレン化フェノールを主成分とする三光株式会社製のTSP(商品名)339.0g及び水酸化カリウム1.0gを仕込んだ。続いて、反応系を120℃まで昇温させた後、反応系中を減圧下とし、1時間の脱水処理を行った。その後、反応系内を130±5℃に維持しながら、エチレンオキシド661.0gを0.4MPaのゲージ圧にて6時間かけて添加し、1時間、130±5℃を保持し、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行い、ろ過を行って、ポリ(18モル)オキシエチレントリスチリルフェニルエーテルを得た。なお、「三光株式会社製のTSP(商品名)」は、主成分であるトリスチレン化フェノール以外にモノスチレン化フェノールなどのスチレン化フェノールを含むものである。このように、具体的に使用するスチレン化フェノールは、主成分のスチレン化フェノール化合物と、この主成分以外のスチレン化フェノール化合物(上記の場合、具体的には、モノ・ジ・ポリスチレン化フェノール化合物)とを含んだものを用いることができる。
(リン酸化)
次に、別の反応容器に、得られたポリ(18モル)オキシエチレントリスチリルフェニルエーテル231.4gを仕込み、0.05MPa以下の条件で、120℃、2時間脱水処理した後、大気圧に戻した。続いて、60±5℃とし、撹拌しながら五酸化二燐8.1gを0.5時間かけて投入した。その後、80℃にて3時間熟成した後、イオン交換水6.9gを投入して0.5時間熟成した。そして、熟成させた反応液を50℃とした状態で、48%水酸化カリウム水溶液22.0gを滴下して中和を行い、イオン交換水231.6gを投入しつつ攪拌して、有機リン酸エステル(A-6)(A成分)の50%水溶液を得た。
(製造例4)有機リン酸エステル(A-7)の合成:
(ポリ(45モル)オキシエチレンモノメチルエーテルの合成)
撹拌機、圧力計及び温度計を備えた圧力容器中に、ジエチレングリコールモノメチルエーテル57.3g及び28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液1.8gを仕込んだ。続いて、反応系内を140±10℃に維持しながら、エチレンオキシド939.7gを0.6MPaのゲージ圧にて6時間かけて添加し、1時間、140±10℃を保持し、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行い、ろ過を行って、ポリ(45モル)オキシエチレンモノメチルエーテルを得た。
(リン酸化)
次に、別の反応容器に、得られたポリ(45モル)オキシエチレンモノメチルエーテル243.8gを仕込み、0.05MPa以下の条件で、120℃、2時間脱水処理した後、大気圧に戻した。続いて、60±5℃とし、撹拌しながら五酸化二燐5.6gを0.5時間かけて投入した。その後、80℃にて3時間熟成した後、イオン交換水7.3gを投入して0.5時間熟成した。そして、熟成させた反応液を50℃とした状態で、トリエタノールアミン3.2gを滴下して中和を行い、イオン交換水240.1gを投入しつつ攪拌して、有機リン酸エステル(A-7)(A成分)の50%水溶液を得た。
(製造例5)有機リン酸エステル(RA-1)の合成:
(ポリ(12モル)オキシエチレントリスチリルフェニルエーテルの合成)
撹拌機、圧力計及び温度計を備えた圧力容器中に、トリスチレン化フェノールを主成分とする三光株式会社製のTSP(商品名)434.8g及び水酸化カリウム1.0gを仕込んだ。続いて、反応系を120℃まで昇温させた後、反応系中を減圧下とし、1時間の脱水処理を行った。その後、反応系内を130±5℃に維持しながら、エチレンオキシド565.2gを0.4MPaのゲージ圧にて6時間かけて添加し、1時間、130±5℃を保持し、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行い、ろ過を行って、ポリ(12モル)オキシエチレントリスチリルフェニルエーテルを得た。
(リン酸化)
次に、別の反応容器に、得られたポリ(12モル)オキシエチレントリスチリルフェニルエーテル231.2gを仕込み、0.05MPa以下の条件で、120℃、2時間脱水処理した後、大気圧に戻した。続いて、60±5℃とし、撹拌しながら五酸化二燐6.1gを0.5時間かけて投入した。その後、80℃にて3時間熟成した後、イオン交換水6.9gを投入して0.5時間熟成した。そして、熟成させた反応液を50℃とした状態で、48%水酸化カリウム水溶液26.6gを滴下して中和を行い、イオン交換水229.3gを投入しつつ攪拌して、有機リン酸エステル(RA-1)(A成分)の50%水溶液を得た。
(製造例6~22)有機リン酸エステル(A-2)~(A-3)、(A-5)、(A-8)~(A-21)の合成:
有機リン酸エステル(A-2)~(A-3)、(A-5)、(A-8)~(A-21)は、表1に示すA成分が得られるように、原料ポリエーテルの種類及び仕込み割合、五酸化二燐の仕込み割合、中和に使用するアルカリの種類を変更したこと以外は、有機リン酸エステル(A-1)の合成と同様にしてそれぞれ合成を行った。
(製造例23)α-メタクリロイル-ω-メトキシポリ(23モル)オキシエチレンとメタクリル酸の共重合体(RA-2)の合成:
イオン交換水75.2g、α-メタクリロイル-ω-メトキシポリ(23モル)オキシエチレン167.1g、メタクリル酸22.8g、及び連鎖移動剤として3-メルカプトプロピオン酸1.7g(分子量106.1)を反応容器に仕込み、撹拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて65℃に保持した。次に、10%過硫酸ナトリウム水溶液27.5gを4時間かけて滴下した。更に65℃で2時間保持して重合反応を終了した。その後、30%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、反応系をpH=6に調整し、イオン交換水にて濃度を40%に調整して、ビニル共重合体(RA-2)の40%水溶液を得た。このビニル共重合体(RA-2)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量は30000であった。
(質量平均分子量)
合成したα-メタクリロイル-ω-メトキシポリ(23モル)オキシエチレンとメタクリル酸の共重合体(RA-2)は、以下の条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて質量平均分子量を測定した。
<測定条件>
装置:Shodex GPC-101(昭和電工社製)
カラム:OHpak SB-G+SB-806M HQ+SB-806M HQ(昭和電工社製)
検出器:示差屈折計(RI)
溶離液:50mM硝酸ナトリウム水溶液
流量:0.7mL/分
カラム温度:40℃
試料濃度:試料濃度0.5質量%の溶離液溶液
標準物質:PEG/PEO(アジレント・テクノロジー社製)
(製造例24)ポリ(13モル)オキシエチレンモノオレイルエーテル(RA-3)の合成:
撹拌機、圧力計及び温度計を備えた圧力容器中に、オレイルアルコール318.9g及び水酸化カリウム1.0gを仕込んだ。その後、反応系を120℃まで昇温させた後、反応系中を減圧下とし、1時間の脱水処理を行った。その後、反応系内を130±5℃に維持しながら、エチレンオキシド681.1gを0.4MPaのゲージ圧にて6時間かけて添加し、1時間、130±5℃を保持し、反応を終了した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和を行い、ろ過を行って、ポリ(13モル)オキシエチレンモノオレイルエーテル(RA-3)を得た。
(P核NMR積分比)
有機リン酸エステル(A)から帰属されるP核NMR積分比率(%)の算出方法について以下に具体的に示す。
各有機リン酸エステル(A)に過剰のKOHを加えてpHを12以上にした条件で(即ち、アルカリ過中和前処理して)、31P-NMR(具体的には、VALIAN社製の商品名MERCURY plus NMR Spectrometor System、300MHz)に供したときの測定値を用いて、下記の式(a)~式(c)に基づいて算出される値である。なお、溶媒は、重水/テトラヒドロフラン=8/2(体積比)の混合溶媒を用いた。
Figure 2023145018000010
Figure 2023145018000011
Figure 2023145018000012
上記式(a)~式(c)において、P化1、P化2、P化3は以下に示す通りである。
P化1:一般式(1)で示される有機リン酸エステルP1に帰属されるP核NMR積分値
P化2:一般式(2)で示される有機リン酸エステルP2に帰属されるP核NMR積分値
P化3:一般式(3)で示される有機リン酸エステルP3に帰属されるP核NMR積分値
有機リン酸エステル(A)から帰属されるP核NMR積分比率(%)の算出結果を表1に示す。
Figure 2023145018000013
表1の「AO」の欄中、「付加形態」は、2種のオキシアルキレン基(EO、PO)の付加形態を示しており、「ランダム」はランダム付加体となっていることを示し、「ブロック」はブロック付加体となっていることを示している。
(実施例1~24、比較例1~5)
次に、合成した有機リン酸エステル等のA成分と、表2に示す各微粒子(無機微粒子(B)(B成分))とを表3に示す所定の割合で用いて、微粒子水性分散液(水硬性組成物用微粒子水性分散液)を調製した。
具体的には、ガラス製容器に表2に示す各微粒子、水、表1に示す各有機リン酸エステル(A)、及び直径0.5mmの球状ジルコニアビーズを加え、ペイントシェーカー(東洋精機製作所製)にて1時間、振とう処理を行った。ただし、表3に示すSP-23は、ペイントシェーカーでの振とう処理時間を30分とした。なお、ジルコニアビーズは、作製する分散液に対して200質量%となるよう使用した。振とう処理の後、篩として金網を使用してジルコニアビーズを取り除き、表3に示す各微粒子水性分散液を得た。なお、ペイントシェーカーの運転条件は、振幅650~750回/分の条件で往復運動とした。
このようにして得られた微粒子水性分散液について、表3に示すように各測定及び評価を行った。具体的には、メジアン径の測定及び分散安定性試験を行った。表3に各測定及び試験結果を示す。
なお、無機微粒子(B)(B成分)は、それぞれ以下の物を使用して、微粒子水性分散液(水硬性組成物用微粒子水性分散液)を調製した。
P-1:竹原化学工業株式会社製のNEOLIGHT SP(商品名)
P-2:日本アエロジル株式会社製のAEROSIL200(商品名)
P-3:日本アエロジル株式会社製のAEROXIDE Alu C(商品名)
P-4:日本アエロジル株式会社製のAEROXIDE TiO2 P25(商品名)
P-5:富士フイルム和光純薬株式会社製の試薬特級
RP-1:積水化成品工業株式会社製のテクポリマーSBX-4(商品名)
(メジアン径の測定)
調製した各微粒子水性分散液について、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製の商品名LA-960)を使用してメジアン径を測定した。
なお、測定の際、測定試料へ入射した光の透過率が適切な値となるように、各微粒子水性分散液を適宜希釈したものを測定試料とした。具体的には、測定試料における微粒子の質量比率が0.2質量%となるように、各微粒子水性分散液をイオン交換水で適宜希釈した。
(分散安定性の試験)
調製した各微粒子水性分散液の分散安定性について試験を行った。具体的には、調製した各微粒子水性分散液100mlを20℃で静置し、適宜(具体的には、微粒子水性分散液の調製から1日後、1週間後、2週間後)、微粒子水性分散液のメジアン径(即ち、微粒子水性分散液中における微粒子のメジアン径)を上記測定方法で測定し、微粒子水性分散液の調製直後からの変化率(%)を下記の式に基づいて算出し、分散安定性を評価した。
式:メジアン径の変化率(%)=[(各期間静置後の微粒子水性分散液のメジアン径)-(調製直後の微粒子水性分散液のメジアン径)]/(調製直後の微粒子水性分散液のメジアン径)×100
評価基準を以下に示す。
S:静置開始から2週間後における微粒子水性分散液のメジアン径の変化率が50%よりも低い。
A:静置開始から1週間後における微粒子水性分散液のメジアン径の変化率が50%よりも低いが、静置開始から2週間後における微粒子水性分散液のメジアン径の変化率が50%以上である。
B:静置開始から1日後における微粒子水性分散液のメジアン径の変化率が50%よりも低いが、静置開始から1週間後における微粒子水性分散液のメジアン径の変化率が50%以上である。
C:静置開始から1日後における微粒子水性分散液のメジアン径の変化率が50%以上である。
Figure 2023145018000014
Figure 2023145018000015
(水硬性組成物)
(実施例25~48、比較例6~11)
次に、以下のようにして水硬性組成物を調製した。まず、50Lのパン型強制練りミキサーに、表4に示した調合条件で、普通ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製、宇部三菱セメント株式会社製、及び、住友大阪セメント株式会社製の等量混合物、密度3.16g/cm)、細骨材(大井川水系陸砂、密度2.58g/cm)、粗骨材(岡崎産砕石、密度2.66g/cm)を順次投入して10秒間空練りした。次に、表3に示す微粒子水性分散液と、高性能減水剤(竹本油脂株式会社製のチューポールNV-80(商品名))と、消泡剤(竹本油脂株式会社製のAFK-2(商品名))を練混ぜ水に加え、上記微粒子水性分散液、高性能減水剤及び消泡剤を練混ぜ水の一部とみなして、練混ぜ水とともに投入し、90秒練り混ぜて、水硬性組成物を得た。
なお、高性能減水剤の添加量は、セメントに対して0.5~0.8質量%の範囲とし、調製する水硬性組成物が目標のスランプ範囲内(18±2.5cm)となる量を添加した。また、消泡剤を適宜加え、練上がりの水硬性組成物の空気量が2%以下となるようにした。
Figure 2023145018000016
得られた水硬性組成物について、スランプ及び空気量の各評価を行った。これらの評価方法は、以下の通りである。測定結果を表5に示す。
(スランプ)
練混ぜ直後の水硬性組成物について、JIS A1101に準拠して測定した。
(空気量)
練混ぜ直後の水硬性組成物について、JIS A1128に準拠して測定した。
(水硬性組成物硬化体)
次に、得られた水硬性組成物を用いて水硬性組成物硬化体を製造し、圧縮強度(材齢16時間、材齢24時間、材齢28日)を測定した。
具体的には、まず、JIS A1132に基づき、円柱型ブリキ製のコンクリート供試体成形型枠(商品名「サミットモールド」、住友商事社製、型枠の底面の直径:100mm、型枠の高さ:200mm)の型枠9個を用意し、これらの型枠にそれぞれ二層詰め方式により水硬性組成物(コンクリート)を充填し、20℃の室内にて気中(20℃)養生を行った。
水硬性組成物(コンクリート)の調製から2時間後に、型枠に充填した水硬性組成物(コンクリート)の表面を均し、水分が蒸発しないようにポリエチレン製のラップをかけた。そして、水硬性組成物(コンクリート)の調製から16時間後に、硬化した水硬性組成物(コンクリート)を型枠から脱型し、3個の供試体を得た。その後、得られた3個の供試体の材齢16時間時点の圧縮強度を測定し、それらの平均値を算出した。
また、水硬性組成物(コンクリート)の調製から24時間後に、残りの硬化した水硬性組成物(コンクリート)を型枠から脱型し、6個の供試体を得た。そのうちの3個の供試体については、供試体の材齢24時間時点の圧縮強度を測定し、それらの平均値を算出した。更に、残りの3個の供試体は、脱型直後から20℃の水中にて更に27日の期間養生し、その後供試体の材齢28日時点の圧縮強度を測定し、それらの平均値を求めた。
なお、水硬性組成物(コンクリート)硬化体の圧縮強度比(%)の欄は、各材齢における比較例11の「水硬性組成物硬化体の圧縮強度」を基準(100%)として比率を算出した値を示す。
水硬性組成物(コンクリート)硬化体の圧縮強度比の評価基準を以下に示す。
(材齢16時間、24時間)
S:水硬性組成物硬化体の圧縮強度比が126%以上
A:水硬性組成物硬化体の圧縮強度比が116%以上、126%未満
B:水硬性組成物硬化体の圧縮強度比が106%以上、116%未満
C:水硬性組成物硬化体の圧縮強度比が103%以上、106%未満
D:水硬性組成物硬化体の圧縮強度比が103%未満
(材齢28日)
S:水硬性組成物硬化体の圧縮強度比が113%以上
A:水硬性組成物硬化体の圧縮強度比が109%以上、113%未満
B:水硬性組成物硬化体の圧縮強度比が106%以上、109%未満
C:水硬性組成物硬化体の圧縮強度比が103%以上、106%未満
D:水硬性組成物硬化体の圧縮強度比が103%未満
Figure 2023145018000017
(結果)
表5に示すように、本実施例1~24の水硬性組成物用微粒子水性分散液を水硬性組成物(実施例25~48)に添加することで、比較例1~6の水硬性組成物用微粒子水性分散液を水硬性組成物(比較例6~10)に添加した場合及び水硬性組成物用微粒子水性分散液を未添加の場合(比較例11)に比べて、水硬性組成物硬化体の初期材齢(材齢16時間、材齢24時間)及び中長期材齢(材齢28日)における圧縮強度を向上させることができることが確認された。
本発明の水硬性組成物用微粒子水性分散液は、コンクリート硬化体等の水硬性組成物硬化体を形成するための水硬性組成物に用いられる添加剤として利用することができる。また、本発明の水硬性組成物は、コンクリート硬化体等の水硬性組成物硬化体を形成するものとして利用することができ、本発明の水硬性組成物硬化体の製造方法は、コンクリート硬化体等の水硬性組成物硬化体を製造する方法として採用することができる。

Claims (9)

  1. 下記有機リン酸エステル(A)、及び、無機微粒子(B)を含有し、
    アルカリ過中和前処理した前記有機リン酸エステル(A)のP核NMR測定において、下記一般式(1)で示される有機リン酸エステルP1、下記一般式(2)で示される有機リン酸エステルP2、及び下記一般式(3)で示される有機リン酸エステルP3に帰属されるP核NMR積分比率の合計を100%としたとき、
    下記一般式(1)で示される有機リン酸エステルP1に帰属されるP核NMR積分比率が、50~99%であることを特徴とする、水硬性組成物用微粒子水性分散液。
    有機リン酸エステル(A):
    下記一般式(1)で示される有機リン酸エステルP1と、下記一般式(2)で示される有機リン酸エステルP2、及び下記一般式(3)で示される有機リン酸エステルP3からなる群より選択される少なくとも1つと、を含むものである。
    Figure 2023145018000018
    (一般式(1)において、Rは、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、又は炭素数14~30のスチレン化フェニル基である。AOは、炭素数2~4のオキシアルキレン基(但し、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独又は2種以上とすることができる)である。n1は、AOの平均付加モル数であり、1~150の数である。M,Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2)、アンモニウム、又は有機アミンである。)
    Figure 2023145018000019
    (一般式(2)において、R,Rは、それぞれ独立に、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、又は炭素数14~30のスチレン化フェニル基である。AO,AOは、それぞれ独立に、炭素数2~4のオキシアルキレン基(但し、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独又は2種以上とすることができる)である。n2は、AOの平均付加モル数であり、1~150の数である。n3は、AOの平均付加モル数であり、1~150の数である。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2)、アンモニウム、又は有機アミンである。)
    Figure 2023145018000020
    (一般式(3)において、R,Rは、それぞれ独立に、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、又は炭素数14~30のスチレン化フェニル基である。AO,AOは、それぞれ独立に、炭素数2~4のオキシアルキレン基(但し、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独又は2種以上とすることができる)である。n4は、AOの平均付加モル数であり、1~150の数である。n5は、AOの平均付加モル数であり、1~150の数である。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2)、アンモニウム、又は有機アミンである。rは、2又は3の整数である。)
  2. 前記無機微粒子(B)が、シリカ、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、及び水酸化カルシウムからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の水硬性組成物用微粒子水性分散液。
  3. 前記一般式(1)~(3)において、R~Rが、それぞれ独立に、炭素数1~24のアルキル基、炭素数2~24のアルケニル基、又は炭素数14~30のスチレン化フェニル基である、請求項1または2に記載の水硬性組成物用微粒子水性分散液。
  4. 前記一般式(1)~(3)において、AO~AOが、それぞれ独立に、50モル%以上がポリオキシエチレン単位から構成されるものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の水硬性組成物用微粒子水性分散液。
  5. 前記一般式(1)~(3)において、n1~n5が、それぞれ独立に、1~75である、請求項1~4のいずれか一項に記載の水硬性組成物用微粒子水性分散液。
  6. 前記有機リン酸エステル(A)と無機微粒子(B)の質量比((A)/(B)質量比)が0.01~1.0である、請求項1~5のいずれか一項に記載の水硬性組成物用微粒子水性分散液。
  7. レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置により測定されるメジアン径が、10~1000nmである、請求項1~6のいずれか一項に記載の水硬性組成物用微粒子水性分散液。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の水硬性組成物用微粒子水性分散液を含有することを特徴とする、水硬性組成物。
  9. 少なくとも、請求項1~7のいずれか一項に記載の水硬性組成物用微粒子水性分散液、結合材、及び水を配合して水硬性組成物を調製する調製工程と、
    前記水硬性組成物を硬化させて、水硬性組成物硬化体を得る硬化工程と、を有することを特徴とする、水硬性組成物硬化体の製造方法。
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