JP2023144538A - 接合構造およびh形断面部材 - Google Patents

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真人 二階堂
Masato Nikaido
信孝 清水
Nobutaka Shimizu
博巳 平山
Hiromi Hirayama
聡 北岡
Satoshi Kitaoka
浩資 伊藤
Hiroshi Ito
隼 吉本
Hayato Yoshimoto
安男 加賀美
Yasuo Kagami
顕祐 安藤
Kensuke Ando
俊臣 板谷
Toshiomi Itaya
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Abstract

【課題】簡易な工程でスカラップ底へのひずみの集中を効果的に緩和する。【解決手段】フランジおよびウェブを有するH形断面梁を被接合部材に接合する接合構造であって、上記被接合部材に溶接される上記H形断面梁の材軸方向の端部では、上記フランジに接する上記ウェブの一部分を切り欠いたスカラップが形成され、上記スカラップに隣接して、上記ウェブに開孔が形成される接合構造が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、接合構造およびH形断面部材に関する。
例えば柱に接合されるH形断面梁の端部には、フランジに接するウェブの一部分を切り欠いたスカラップが形成される。スカラップを形成することによって、H形断面梁の端部でフランジに形成される溶接部とウェブとの干渉を避けることができる。しかしながら、断面欠損部分であるスカラップにひずみが集中することによってき裂が発生し、き裂の進展によってフランジが破断することもあった。
この問題に対し、例えば特許文献1には、フランジの外側にテーパープレートを接合することによってH形断面梁でスカラップが形成される部分を補強する技術が記載されている。特許文献2には、フランジの溶接後にスカラップを溶接で充填して補強する技術が記載されている。また、非特許文献1から非特許文献3には、ひずみが集中しにくいスカラップの形状として、例えば異なる曲率半径の円弧を組み合わせた形状や、円弧と直線とを組み合わせた形状が記載されている。
特開2013-7194号公報 特開2015-224427号公報
日本建築学会:鉄骨工事技術指針・工場製作編、日本、2007年2月15日、第5版、p.208-211 中込忠男、藤田哲也:角形鋼管柱に通しダイアフラム形式で溶接接合される圧延H形鋼梁端部の力学的性能 梁スカラップの有無および形状と目違いが破壊性状に及ぼす影響、日本建築学会構造系論文集第455号、1994年1月、p.187-196 J.M.Ricles,J.W.Fisher,Le-Wu Lu,E.J.Kaufmann;Development of improved welded moment connections for earthquake-resistant design、Journal of Constructional Steel Research、2002年、58号、p.565-604
しかしながら、上記の非特許文献1から非特許文献3に記載されたようなスカラップの形状でも、H形断面梁のフランジに近いスカラップの開口縁近傍、いわゆるスカラップ底へのひずみの集中は十分に解消できていない。フランジに近いスカラップ底で発生したき裂はフランジの破断につながる可能性が高いため、これを防止するために特許文献1や特許文献2などに記載されたような補強の工程が必要になる。
そこで、本発明は、簡易な工程でスカラップ底へのひずみの集中を効果的に緩和することが可能な接合構造およびH形断面部材を提供することを目的とする。
[1]フランジおよびウェブを有するH形断面梁を被接合部材に接合する接合構造であって、上記被接合部材に溶接される上記H形断面梁の材軸方向の端部では、上記フランジに接する上記ウェブの一部分を切り欠いたスカラップが形成され、上記スカラップに隣接して、上記ウェブに開孔が形成される接合構造。
[2]上記H形断面梁には、上記フランジと上記ウェブとを溶接する隅肉溶接部、または上記フランジと上記ウェブとの圧延成形によるフィレット部が形成され、上記開孔は、上記ウェブと、上記隅肉溶接部または上記フィレット部とにまたがって形成される、[1]に記載の接合構造。
[3]上記ウェブに対して直交する方向で見た場合に、上記開孔の形状の図心は上記ウェブ側に位置する、[2]に記載の接合構造。
[4]上記開孔は、円形であり、上記スカラップの縁部は、1または複数の円弧部分を含み、上記開孔の半径は、上記1または複数の円弧部分の曲率半径のうち最小の曲率半径以上である、[1]から[3]のいずれか1項に記載の接合構造。
[5]上記スカラップと上記開孔との間の上記材軸方向での最短距離は、上記ウェブの板厚の1.25倍以下である、[1]から[4]のいずれか1項に記載の接合構造。
[6]上記スカラップと上記開孔とを連通させる切り欠きがさらに形成される、[1]に記載の接合構造。
[7]フランジおよびウェブを有するH形断面部材であって、上記H形断面部材の材軸方向の少なくとも一方の端部では、上記フランジに接する上記ウェブの一部分を切り欠いたスカラップが形成され、上記スカラップに隣接して、上記ウェブに開孔が形成されるH形断面部材。
上記の構成によれば、H形断面梁のウェブにスカラップに加えて開孔を形成することによって、スカラップの周辺の補強やスカラップ自体を埋める加工などを必要とせずに、比較的簡易な工程でスカラップへのひずみの集中を効果的に緩和することができる。また、スカラップの形状にかかわらず開孔を形成してひずみの集中を緩和することが可能であり、例えば特殊な形状のスカラップの加工方法などが必要とされない点でも有利である。
本発明の一実施形態に係る接合構造の例を示す図である。 図1のII-II線に沿った断面図である。 図1のIII-III線に沿った断面図である。 本発明の一実施形態に係るH形断面部材の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る接合構造の変形例を示す図である。 実施例において設定された各部材の寸法を示す図である。 実施例において設定された各部材の応力-ひずみ関係を示すグラフである。 実施例における相当塑性ひずみと距離xとの関係を示すグラフである。 実施例における相当塑性ひずみと距離yとの関係を示すグラフである。 比較例1の(a)相当塑性ひずみおよび(b)せん断ひずみのコンター図である。 実施例1の(a)相当塑性ひずみおよび(b)せん断ひずみのコンター図である。 実施例2の(a)相当塑性ひずみおよび(b)せん断ひずみのコンター図である。 実施例3の(a)相当塑性ひずみおよび(b)せん断ひずみのコンター図である。 実施例4の(a)相当塑性ひずみおよび(b)せん断ひずみのコンター図である。 実施例5の(a)相当塑性ひずみおよび(b)せん断ひずみのコンター図である。 比較例2の(a)相当塑性ひずみおよび(b)せん断ひずみのコンター図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
図1は本発明の一実施形態に係る接合構造の例を示す図である。図示された例において、接合構造は、H形断面梁1と、被接合部材2との間に形成される。被接合部材2は、例えば柱に取り付けられるダイアフラムのような板状部材として図示されているが、柱の側面であってもよい。H形断面梁1は、フランジ11およびウェブ12を有し、フランジ11が被接合部材2に溶接される。具体的には、フランジ11の材軸方向の端面と被接合部材2との間に形成された開先に、裏当て金3を用いて溶接金属を充填または積層することによって溶接部4が形成される。なお、フランジ11は下フランジとして例示されているが、上フランジについても同様の構成が可能である。一方、H形断面梁1のウェブ12は、フランジ11とは別に被接合部材に接合される。フランジ11およびウェブ12がそれぞれ接合される被接合部材は必ずしも一体的な部材ではなくてもよく、例えばフランジ11はダイアフラムに溶接され、ウェブ12はダイアフラムが取り付けられている柱の側面に接合されてもよい。この場合は、柱および柱に取り付けられたダイアフラムが、H形断面梁1に対する被接合部材を構成する。
被接合部材2に接合されるH形断面梁1の材軸方向の端部では、フランジ11に接するウェブ12の一部分を切り欠いたスカラップ121が形成される。スカラップ121は、例えばフランジ11およびウェブ12を被接合部材2に接合する前に、切削などによって形成される。あるいは、後述する例のようにH形断面梁1が組立H形鋼である場合、フランジ11にウェブ12を溶接する前にスカラップ121が形成されてもよい。スカラップ121を形成することによって、フランジ11と被接合部材2との間の溶接部4がウェブ12に干渉するのを避けることができる。図示された例において、スカラップ121の縁部は2つの円弧部分を含み、フランジ11に近い方の円弧部分の曲率半径r2は、フランジ11から遠い方の円弧部分の曲率半径r1よりも小さい(r1>r2)。
さらに、本実施形態では、スカラップ121に隣接して、ウェブ12に開孔122が形成される。スカラップ121に隣接して開孔122を形成することによって、地震等で接合構造に大きな力が作用したときに塑性化する領域がスカラップ121の近傍だけではなく開孔122の近傍にも拡大し、スカラップ121の縁部、特にスカラップ121がフランジ11に交差または近接するスカラップ底へのひずみの集中を緩和することができる。ひずみを効果的に緩和するためには開孔122がスカラップ121からの所定の距離の範囲内に形成されることが好ましい。具体的には、例えば、H形断面梁1の材軸方向におけるスカラップ121と開孔122との間の最短距離xは、ウェブ12の板厚の1.25倍以下であることが好ましい。なお、最短距離xの下限値は特に限定されず、0以下であってもよい。この場合、開孔122とスカラップ121とは連続して形成される。また、後述する例のように、スカラップ121と開孔122とを連通させる切り欠きが形成されてもよい。
図示された例において、開孔122は円形である。楕円形や長円形の開孔が形成されてもよいが、円形の開孔122は、例えばドリルを用いて加工するのが容易であるという点で有利である。円形の開孔122の半径Rは、スカラップ121の縁部に含まれる円弧部分の曲率半径r1,r2のうち最小の曲率半径以上であることが好ましい。上述のように、開孔122はスカラップ121へのひずみの集中を緩和するために設けられるため、開孔122の縁部にもひずみが発生する。このとき、半径Rが大きい方が、開孔122の縁部でのひずみがスカラップ121に比べて大きくなることはなく、開孔122の縁部でき裂が発生したとしても、開孔122のない梁でスカラップ121で発生したき裂を起点に破断する接合構造に比べて繰り返し変形性能を向上させることができる。
図2および図3は、それぞれ図1のII-II線およびIII-III線に沿った断面図である。図1に示されたH形断面梁1は組立H形鋼であっても圧延H形鋼であってもよく、図2は組立H形鋼の場合を、図3は圧延H形鋼の場合をそれぞれ示す(図1のII-II線およびIII-III線は同じ線である)。図2に示された例において、H形断面梁1のフランジ11とウェブ12とは隅肉溶接部131によって溶接される。この隅肉溶接部131によって、フランジ11とウェブ12との間の連結部13が形成される。なお、図示された例のようにウェブ12の両面側の隅肉溶接部131の間にウェブ12とフランジ11との不溶着部が存在してもよいし、両面側の隅肉溶接部131が一体化して不溶着部が存在しなくてもよい。また、隅肉溶接にあたってウェブ12の端部に開先が形成されていてもよい。以下の説明において、連結部13は、フランジ11とウェブ12との間に形成される部分であって、フランジ11およびウェブ12のそれぞれの板厚範囲内(図2および図3において仮想線で示す)にはない部分を意味する。図2の例において、ウェブ12側の連結部13の端縁は、隅肉溶接部131の止端である。
上記のような図2に示された例において、開孔122は、ウェブ12と隅肉溶接部131とにまたがって形成される。地震等で接合構造に大きな力が作用した場合において、スカラップ121の近傍では隅肉溶接部131の止端とスカラップ底部とでせん断ひずみが卓越するが、上記のように開孔122を形成して隅肉溶接部131の止端に開孔122の縁部を交差させることによって、隅肉溶接部131の止端で発生するせん断ひずみをより卓越させることができ、より効果的にスカラップ121へのひずみの集中を緩和することができる。
一方、図3に示された例では、H形断面梁1のフランジ11とウェブ12とは圧延成形によって一体的に形成され、フランジ11とウェブ12との間には圧延時に発生するフィレット部132が形成される。このフィレット部132によって、フランジ11とウェブ12との間の連結部13が形成される。図3に示された例において、開孔122は、ウェブ12とフィレット部132にまたがって形成される。地震等で接合構造に大きな力が作用した場合において、スカラップ121の近傍では形状変化点であるフィレット部132のウェブ12側の端縁とスカラップ底部とでせん断ひずみが卓越するが、上記のように開孔122を形成してフィレット部132の端縁に開孔122の縁部を交差させることによって、フィレット部132のウェブ12側の端縁で発生するせん断ひずみをより卓越させることができ、より効果的にスカラップ121へのひずみの集中を緩和することができる。
再び図1を参照して、図示された例において、ウェブ12と連結部13とにまたがって形成される円形の開孔122の中心Pは、連結部13側ではなくウェブ12側に位置する。このような開孔122の配置によって、スカラップ121から開孔122に分散されたひずみによって開孔122の縁部からき裂が発生した場合に、き裂を連結部13の端縁、すなわち隅肉溶接部131の止端部またはフィレット部132の端縁に沿って、H形断面梁1の材軸方向に誘導することができる。ひずみの集中によるき裂の発生を抑制し、かつき裂が発生した場合にもき裂をH形断面梁1の材軸方向に誘導することによって、スカラップ121や開孔122で発生したき裂がフランジ11側に進展することによるフランジ11の破断を効果的に防止できる。なお、開孔122が円形ではない場合も、円形の場合と同様に、ウェブ12に対して直交する方向で見た場合の開孔122の形状の図心をウェブ12側に位置させることによって同様の効果が得られる。
図4は、本発明の一実施形態に係るH形断面部材の例を示す図である。図4には、図1に示された接合構造に用いられるH形断面梁1が、被接合部材に接合される前の状態が示されている。H形断面梁1のフランジ11の材軸方向の端部には、開先面111が形成されている。この例のように、開孔122は、H形断面梁1が被接合部材に接合される前に形成されてもよい。具体的には、工場でのH形断面梁1の製造時に開孔122が形成されてもよいし、H形断面梁1を施工現場に搬入した後に、被接合部材への接合の前作業として開孔122が形成されてもよい。あるいは、図4とは異なる例として、開孔122が形成されていないH形断面梁1を被接合部材2に接合した後に、開孔122が形成されてもよい。いずれの場合も、開孔122は、ドリルを用いた加工の他、例えばガス切断を用いた加工などによって形成されてもよい。
図5は、本発明の一実施形態に係る接合構造の変形例を示す図である。図示された例では、H形断面梁1に、スカラップ121と開孔122とを連通させる切り欠き123がさらに形成される。上述のように、開孔122はスカラップ121へのひずみの集中を緩和するために形成されるため、スカラップ121と開孔122とが離隔している必要性はない。従って、既に述べたように開孔122がスカラップ121に連続して形成されてもよいし、図5の例のように切り欠き123によってスカラップ121と開孔122とが連通させられてもよい。
以上で説明したような本発明の実施形態によれば、H形断面梁1のウェブ12にスカラップ121に加えて開孔122を形成することによって、スカラップ121の周辺の補強やスカラップ自体を埋める加工などを必要とせずに、比較的簡単な工程でスカラップ121へのひずみの集中を緩和することができる。また、本発明の実施形態は、スカラップ121の形状にかかわらず開孔122を形成してひずみの集中を緩和することが可能であり、例えば特殊な形状のスカラップの加工方法などが必要とされない点でも有利である。
以下では、本発明の実施例に係る解析結果について説明する。解析では、図6に示すように各部材の寸法を設定し、図7に示すように各部材の応力-ひずみ関係を設定した。なお、図7に示す応力-ひずみ関係は、過去の実験における素材の引張試験結果を真応力-真ひずみ関係に変換し、多直線近似したものを用いた。H形断面梁のフランジとウェブとはサブマジアーク溶接(SAW)で接合されるものとし、SAWの脚長は12mmとした。また、フランジと被接合部材とはCO溶接で接合されるものとした。フランジおよびウェブの降伏応力(σ,σwy)はいずれも367N/mmとし、梁端全塑性耐力時の部材角θは0.00765rad、全塑性モーメントMは1705.3kNmとした。
開孔の半径は15mmとし、表1に示すように、開孔が形成されない比較例1と、H形断面梁の材軸方向におけるスカラップと開孔との間の最短距離xを変化させた実施例1から実施例5と、フランジ上面(ウェブに接合される側の面)から開孔の中心までの距離yを大きくして開孔をスカラップから離れた位置に形成した比較例2とについて、ひずみ緩和の効果を検証した。要素には8節点要素を用い、載荷方法は梁先端に強制変位Dを一方向に与える単調載荷とした。降伏条件にはvon Misesの降伏条件を採用し、解析には汎用非線形構造解析プログラム「Marc2021」を用いた。
Figure 2023144538000002
図8は、実施例1から実施例5および比較例1について、部材角が3θを迎えたときにスカラップの中で最もひずみが高まる要素(以下、スカラップ底ともいう)の相当塑性ひずみεeqと距離xとの関係を示すグラフである。比較例1における相当塑性ひずみが基準値として示され、その80%にあたる値も示されている。図9は、同様に実施例1、比較例1および比較例2について、相当塑性ひずみεeqと距離yとの関係を示すグラフである。また、図10から図16は、各実施例および比較例の(a)相当塑性ひずみおよび(b)せん断ひずみのコンター図である。
図10のコンター図に示されるように、開孔が形成されない比較例1では、スカラップ底および溶接止端の2箇所で塑性せん断ひずみが高まり、それに伴って両箇所で相当塑性ひずみも高まる。これに対して、図11から図15のコンター図に示されるように、開孔が形成される実施例1から実施例5では、載荷時に開孔およびSAW止端の塑性せん断ひずみが卓越することでSAW止端の降伏が先行し、それに伴ってスカラップ底の塑性せん断ひずみおよび相当塑性ひずみが緩和される。
ここで、図8のグラフに示されるように、スカラップ底の相当塑性ひずみεeqは距離xが短いほど小さくなる傾向を示す。より具体的には、距離xが15mm以下、すなわちウェブ板厚の1.25倍以下である実施例1から実施例3では、相当塑性ひずみεeqが比較例1に比べて20%以上緩和される。距離xが15mm以下である実施例1から実施例3の相当塑性ひずみεeqの近似直線は、距離xが15mm以上である実施例3から実施例5の相当塑性ひずみεeqの近似直線よりも傾きが急である。つまり、実施例に係る解析結果では、距離xがウェブ板厚の1.25倍以下である場合に、ひずみを緩和する効果がより顕著になる。
図11および図12のコンター図に示されるように、距離xが15mmよりもさらに短く、開孔がスカラップに近い実施例1や実施例2では、スカラップ底の相当塑性ひずみが顕著に緩和され、開孔からSAW止端に沿った方向にせん断ひずみがより高まる。このようにSAW止端に沿った方向にせん断ひずみが高まると、開孔にき裂が進展した場合にはそこからSAW止端に沿った方向にき裂が進展するため、スカラップ底や開孔からフランジ板厚方向に進展するようなき裂は発生しにくい。
その一方で、図16のコンター図に示されるように、距離yを大きくして開孔をスカラップから梁せい方向に離れた位置に形成した比較例2では、SAW止端部のせん断ひずみを高めることができないため、スカラップ底のひずみは緩和されず、むしろ開孔による断面欠損が影響して、開孔が形成されない比較例1に比べてもひずみが大きくなる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において、各種の変形例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1…H形断面梁、2…被接合部材、3…裏当て金、4…溶接部、11…フランジ、12…ウェブ、13…連結部、111…開先面、121…スカラップ、122…開孔、123…切り欠き、131…隅肉溶接部、132…フィレット部。

Claims (7)

  1. フランジおよびウェブを有するH形断面梁を被接合部材に接合する接合構造であって、
    前記被接合部材に溶接される前記H形断面梁の材軸方向の端部では、前記フランジに接する前記ウェブの一部分を切り欠いたスカラップが形成され、
    前記スカラップに隣接して、前記ウェブに開孔が形成される接合構造。
  2. 前記H形断面梁には、前記フランジと前記ウェブとを溶接する隅肉溶接部、または前記フランジと前記ウェブとの圧延成形によるフィレット部が形成され、
    前記開孔は、前記ウェブと、前記隅肉溶接部または前記フィレット部とにまたがって形成される、請求項1に記載の接合構造。
  3. 前記ウェブに対して直交する方向で見た場合に、前記開孔の形状の図心は前記ウェブ側に位置する、請求項2に記載の接合構造。
  4. 前記開孔は、円形であり、
    前記スカラップの縁部は、1または複数の円弧部分を含み、
    前記開孔の半径は、前記1または複数の円弧部分の曲率半径のうち最小の曲率半径以上である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の接合構造。
  5. 前記スカラップと前記開孔との間の前記材軸方向での最短距離は、前記ウェブの板厚の1.25倍以下である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の接合構造。
  6. 前記スカラップと前記開孔とを連通させる切り欠きがさらに形成される、請求項1に記載の接合構造。
  7. フランジおよびウェブを有するH形断面部材であって、
    前記H形断面部材の材軸方向の少なくとも一方の端部では、前記フランジに接する前記ウェブの一部分を切り欠いたスカラップが形成され、
    前記スカラップに隣接して、前記ウェブに開孔が形成されるH形断面部材。
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