JP2023143748A - 重荷重用タイヤ及び重荷重用タイヤの製造方法 - Google Patents

重荷重用タイヤ及び重荷重用タイヤの製造方法 Download PDF

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仁 井藤
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哲哉 北野
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Abstract

【課題】転がり抵抗の増加を招くことなく、ビード耐久性の向上を達成できる、重荷重用タイヤ2の提供。【解決手段】このタイヤ2の子午線断面において、カーカス12の輪郭CLは、湾曲部44と逆湾曲部46とを備える。湾曲部44と逆湾曲部46との境界は変曲点PVである。湾曲部44の一部又は全部は、変曲点PVを含む第一の円弧で表される。逆湾曲部46の一部又は全部は、変曲点PVを含む第二の円弧で表される。第一の円弧と第二の円弧とは変曲点PVにおいて接する。赤道面から変曲点PVまでの軸方向距離Xの、軸方向外端PWまでの軸方向距離Wに対する比率(X/W)は70%以上85%以下である。ビードベースラインから変曲点PVまでの径方向距離Yの、輪郭CLと赤道面との交点PEまでの径方向距離Hに対する比率(Y/H)は15%以上22%以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、重荷重用タイヤ及び重荷重用タイヤの製造方法に関する。
重荷重用タイヤのビード部には大きな荷重が作用する。タイヤにおいては変形と復元とが繰り返される。ビード部における損傷の発生を防止するために、ビード耐久性の向上を目指した検討が行われている(例えば、下記の特許文献1)。
特開2005-112042号公報
ビード耐久性の向上のために、ビード部を構成する要素の厚みを増す、フィラー等の要素を新たに追加する等の対策が施される。このような対策はビード耐久性を向上させる。その一方でタイヤの質量が増加する。
質量の増加は転がり抵抗の増加を招く。環境への配慮から車両においては燃費性能の向上が求められている。タイヤにおいては、転がり抵抗の増加を招くことなく、ビード耐久性を向上できる技術の確立が求められている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、転がり抵抗の増加を招くことなく、ビード耐久性の向上を達成できる、重荷重用タイヤ及び重荷重用タイヤの製造方法を提供することである。
本発明の一態様に係る重荷重用タイヤは、一対のビードと、一対の前記ビードのうちの第一のビードと第二のビードの間を架け渡すカーカスとを備える。前記ビードは、コアと、前記コアの径方向外側に位置するエイペックスとを備える。前記カーカスはカーカスプライを備える。前記カーカスプライは並列した多数のカーカスコードを含み、それぞれのカーカスコードがスチールコードである。前記タイヤの子午線断面において、前記カーカスの輪郭は、外向きに膨らむ湾曲部と、前記湾曲部の径方向内側に位置し内向きに窪む逆湾曲部とを備える。前記逆湾曲部が前記湾曲部に連なり、前記湾曲部と前記逆湾曲部との境界が変曲点である。前記湾曲部の一部又は全部が、前記変曲点を含む第一の円弧で表され、前記逆湾曲部の一部又は全部が、前記変曲点を含む第二の円弧で表される。前記第一の円弧と前記第二の円弧とは前記変曲点において接する。前記タイヤの赤道面から前記変曲点までの軸方向距離の、前記赤道面から前記カーカスの輪郭の軸方向外端までの軸方向距離に対する比率は70%以上85%以下である。前記タイヤのビードベースラインから前記変曲点までの径方向距離の、前記ビードベースラインから前記カーカスの輪郭と前記赤道面との交点までの径方向距離に対する比率が15%以上22%以下である。
好ましくは、この重荷重用タイヤでは、前記コアはコア本体を備え、前記コア本体は周方向に巻き回されたワイヤを含む。前記コア本体は、前記タイヤが組まれるリムのシートに対向するように配置される底面を有する。前記タイヤの子午線断面において、前記底面の輪郭は直線で表される。前記変曲点における前記カーカスの輪郭の接線と、前記底面の輪郭を表す直線とがなす角度は25度以上30度以下である。
好ましくは、この重荷重用タイヤでは、前記変曲点における、前記エイペックスの厚さの、前記タイヤの厚さに対する比率は、42%以上50%以下である。
好ましくは、この重荷重用タイヤでは、前記タイヤをリムに組み、前記タイヤの内圧を50kPaから正規内圧に変化させた場合の、前記変曲点の移動距離は、5mm以下である。
好ましくは、この重荷重用タイヤでは、前記エイペックスは、内側エイペックスと、前記内側エイペックスの径方向外側に位置する外側エイペックスとを備える。前記内側エイペックスは、径方向外向きに先細りの外端を有する。前記カーカスプライは、第一の前記コアと第二の前記コアとの間を架け渡すプライ本体と、前記プライ本体に連なりそれぞれのコアの周りにて軸方向内側から外側に向かって折り返される一対の折り返し部とを有する。前記変曲点PVは、軸方向において前記コアの径方向外端と前記内側エイペックスの外端との間に位置し、径方向において前記折り返し部の端と前記内側エイペックスの外端との間に位置する。
本発明の一態様に係る重荷重用タイヤの製造方法は、一対のビードと、一対の前記ビードのうちの第一ビードと第二ビードの間を架け渡すカーカスとを備える、タイヤを製造するための方法である。この製造方法は、前記タイヤの未加硫状態である、生タイヤを準備する工程と、前記生タイヤをモールド内で加圧及び加熱する工程とを含む。前記モールドのクリップ幅の、前記タイヤが組まれるリムのリム幅に対する比は1.02以上1.17以下である。
本発明によれば、転がり抵抗の増加を招くことなく、ビード耐久性の向上を達成できる、重荷重用タイヤが得られる。
図1は、本発明の一実施形態に係る重荷重用タイヤの一部を示す断面図である。 図2は、カーカスの輪郭を示す断面図である。 図3は、カーカスの輪郭の特定を説明する断面図である。 図4は、別のカーカスの輪郭の特定を説明する断面図である。 図5は、ビード部を示す断面図である。 図6は、変曲点の移動を説明する断面図である。 図7は、タイヤの製造方法を説明する断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて、本発明が詳細に説明される。
本開示において、タイヤを正規リムに組み込み、タイヤの内圧が正規内圧に調整され、このタイヤに荷重がかけられていない状態は、正規状態と称される。
タイヤを正規リムに組み込み、タイヤの内圧が50kPaに調整され、このタイヤに荷重がかけられていない状態は、基準状態と称される。
本開示においては、特に言及がない限り、タイヤ各部の寸法及び角度は、正規状態で測定される。
正規リムにタイヤを組んだ状態で測定できない、タイヤの子午線断面における各部の寸法及び角度は、回転軸を含む平面に沿ってタイヤを切断することにより得られる、タイヤの断面において、左右のビード間の距離を、正規リムに組んだタイヤにおけるビード間の距離に一致させて、測定される。
正規リムとは、タイヤが依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。
正規内圧とは、タイヤが依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。
正規荷重とは、タイヤが依拠する規格において定められた荷重を意味する。JATMA規格における「最大負荷能力」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「LOAD CAPACITY」は、正規荷重である。
本開示において、タイヤのトレッド部とは、路面と接地する、タイヤの部位である。ビード部とは、リムに嵌め合わされる、タイヤの部位である。サイド部とは、トレッド部とビード部との間を架け渡す、タイヤの部位である。タイヤは、部位として、トレッド部、一対のビード部及び一対のサイド部を備える。
本開示において、タイヤを構成する要素のうち、架橋ゴムからなる要素の硬さは、JIS K6253の規定に準じて、23℃の温度条件下でタイプAデュロメータを用いて測定される。
本開示において、並列したコードを含むタイヤの要素、5cm幅あたりに含まれるコードの本数は、この要素に含まれるコードの密度(単位は、エンズ/5cmである。)として表される。コードの密度は、特に言及がない限り、コードの長さ方向に対して垂直な面で切断することにより得られる要素の断面において得られる。
図1は、本発明の一実施形態に係る重荷重用タイヤ2(以下、単に「タイヤ2」とも称する。)の一部を示す。このタイヤ2は、トラック、バス等の車両に装着される。
図1は、タイヤ2の回転軸を含む平面に沿った、このタイヤ2の断面(以下、子午線断面)の一部を示す。図1において、左右方向はタイヤ2の軸方向であり、上下方向はタイヤ2の径方向である。図1の紙面に対して垂直な方向は、タイヤ2の周方向である。一点鎖線ELはタイヤ2の赤道面を表す。
タイヤ2はリムRに組まれる。リムRは正規リムである。タイヤ2の内部には空気が充填され、タイヤ2の内圧が調整される。リムRに組まれたタイヤ2は、タイヤ-リム組立体とも称される。タイヤ-リム組立体は、リムRと、このリムRに組まれたタイヤ2とを備える。
リムRは、シートRSとフランジRFとを備える。タイヤ2をリムRに組むことで、径方向内側からシートRSがビード部と接触し、軸方向外側からフランジRFがビード部と接触する。
図1において、軸方向に延びる実線BBLはビードベースラインである。このビードベースラインは、リムRのリム径(JATMA等参照)を規定する線である。図1において符号WRで示される長さはリムRのリム幅(JATMA等参照)である。
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のチェーファー8、一対のビード10、カーカス12、ベルト14、一対のクッション層16、一対のスチールフィラー18及びインナーライナー20を備える。
トレッド4は、トレッド面22において路面と接地する。このタイヤ2のトレッド4には、4本の周方向溝24が刻まれる。これにより、トレッド4には5本の陸部26が構成される。これら陸部26は軸方向に並ぶ。
トレッド4は、ベース部28と、キャップ部30とを備える。このタイヤ2のトレッド4には一対のベース部28が設けられる。これらベース部28は赤道面を挟んで配置される。ベース部28はベルト14の端の部分を覆う。ベース部28は低発熱性の架橋ゴムからなる。キャップ部30はベース部28の径方向外側に位置する。キャップ部30はトレッド面22を含む。キャップ部30は耐摩耗性及びグリップ性能が考慮された架橋ゴムからなる。
図1において符号PCは、トレッド面22と赤道面との交点である。交点PCはタイヤ2の赤道である。赤道PCはタイヤ2の径方向外端である。
図1において符号SHで示される長さはビードベースラインからこのタイヤ2の赤道PCまでの径方向距離である。径方向距離SHは、このタイヤ2の断面高さ(JATMA等参照)である。
それぞれのサイドウォール6はトレッド4の端に連なる。サイドウォール6は、トレッド4の端から径方向内向きにのびる。サイドウォール6はトレッド4の径方向内側に位置する。サイドウォール6は耐カット性が考慮された架橋ゴムからなる。
それぞれのチェーファー8はサイドウォール6の径方向内側に位置する。チェーファー8は、リムRと接触する。チェーファー8は、耐摩耗性が考慮された架橋ゴムからなる。
それぞれのビード10はチェーファー8の軸方向内側に位置する。ビード10はサイドウォール6の径方向内側に位置する。ビード10は、コア32と、エイペックス34とを備える。コア32は周方向にのびる。エイペックス34はコア32の径方向外側に位置する。エイペックス34は先細りな形状を有する。
符号PSで示される位置は、コア32の径方向外端である。本発明においては、コア32の径方向外端PSは、後述するコア本体32mの径方向外端で表される。
コア32は、コア本体32mとラッピング層32rとを備える。
コア本体32mは、周方向にのびるリングである。図示されないが、コア本体32mは周方向に巻き回されたスチール製のワイヤを含む。コア本体32mの断面形状はワイヤを規則正しく巻き回すことで整えられる。これにより、コア本体32mの断面においては、略軸方向に並列された複数のワイヤの断面からなる断面ユニットが略径方向に複数段積層される。コア本体32mの断面形状は、コア本体32mに外接する線で表される。図1に示されるように、コア本体32mは六角形様の断面形状を有する。このコア本体32mが四角形様の断面形状を有していてもよい。
コア本体32mは概ね6つの側面32msを有する。図1に示されるように、6つの側面32msのうち一つの側面32msbがリムRのシートRSに対向するように配置される。本開示においては、リムRのシートRSに対向するように配置された側面32msbが、コア本体32mの底面である。コア本体32mは、リムRのシートRSに対向するように配置される底面32msbを有する。タイヤ2の子午線断面において底面32msbの輪郭は直線で表される。
ラッピング層32rはコア本体32mの周囲を包囲する。ラッピング層32rはコア本体32mを被覆する。ラッピング層32rはコア本体32mがばらけるのを防止する。
ラッピング層32rとしては、コア本体32mがばらけることを防止できればよく、その構成に特に制限はない。ラッピング層32rは、コア本体32mの周囲に螺旋状に巻回したコードや、コア本体32mの周囲に巻き付けたゴム引き布等で構成される。
エイペックス34は内側エイペックス34uと外側エイペックス34sとを備える。
内側エイペックス34uはコア32から径方向外向きに延びる。内側エイペックス34uは径方向外向きに先細りである。内側エイペックス34は、径方向外向きに先細りの外端を有する。内側エイペックス34uの外端は尖端とも呼ばれる。内側エイペックス34uの外端はエイペックス34の内側面に位置する。内側エイペックス34uの外端は、内側エイペックス34uと外側エイペックス34sとの境界の径方向外端である。内側エイペックス34uの外端はエイペックス34の外端の径方向内側に位置する。内側エイペックス34uは硬質な架橋ゴムからなる。具体的には、内側エイペックス34uの硬さは83以上98以下である。
外側エイペックス34sは内側エイペックス34uの径方向外側に位置する。外側エイペックス34sは内側エイペックス34uの外端付近において厚く、この外端部分から径方向内向きに先細りであり、径方向外向きに先細りである。外側エイペックス34sの内端はエイペックス34の外側面に位置する。外側エイペックス34sの内端はコア32の近くに位置する。外側エイペックス34sの外端は内側エイペックス34uの外端の径方向外側に位置する。外側エイペックス34sの外端はエイペックス34の外端である。外側エイペックス34sは内側エイペックス34uよりも軟質な架橋ゴムからなる。具体的には、外側エイペックス34sの硬さは45以上65以下である。
このタイヤ2のエイペックス34は、プライエッジストリップ34pをさらに備えることができる。プライエッジストリップ34pはシート状であり、外側エイペックス34sに積層される。プライエッジストリップ34pはエイペックス34の外側面の一部をなす。図1に示されるように、後述するカーカスプライの折り返し部の端がプライエッジストリップ34pに積層される。プライエッジストリップ34pは外側エイペックス34sよりも硬質な架橋ゴムからなる。
カーカス12は、トレッド4、一対のサイドウォール6、及び一対のチェーファー8の内側に位置する。カーカス12は一対のビード10のうちの第一のビード10と第二のビード10との間を架け渡す。
カーカス12は少なくとも1枚のカーカスプライ38を備える。このタイヤ2のカーカス12は1枚のカーカスプライ38からなる。カーカスプライ38は、それぞれのコア32の周りにて軸方向内側から外側に向かって折り返される。カーカスプライ38は、一対のコア32である第一のコア32と第二のコア32との間を架け渡すプライ本体38aと、このプライ本体38aに連なりそれぞれのコア32の周りにて軸方向内側から外側に向かって折り返される一対の折り返し部38bとを有する。
カーカスプライ38は並列された多数のカーカスコードを含む。これらカーカスコードはトッピングゴムで覆われる。それぞれのカーカスコードは赤道面と交差する。このタイヤ2では、カーカスコードが赤道面に対してなす角度(以下、カーカスコードの交差角度)は70°以上90°以下である。このカーカス12はラジアル構造を有する。このタイヤ2のカーカスコードはスチールコードである。
このタイヤ2では、プライエッジストリップ34pとチェーファー8との間に、中間ストリップ36が設けられる。図1に示されるように、中間ストリップ36は、軸方向外側から折り返し部38bの端を覆う。この中間ストリップ36は、前述のプライエッジストリップ34pとともに、折り返し部38bの端に生じる歪を緩和する。中間ストリップ36の材質はプライエッジストリップ34pのそれと同じである。
ベルト14は径方向においてトレッド4とカーカス12との間に位置する。ベルト14はカーカス12の径方向外側に位置する。ベルト14は径方向に積層された複数のベルトプライ40からなる。このタイヤ2のベルト14は4枚のベルトプライ40からなる。4枚のベルトプライ40は径方向内側から第一ベルトプライ40A、第二ベルトプライ40B、第三ベルトプライ40C及び第四ベルトプライ40Dである。4枚のベルトプライ40のうち、軸方向幅が最も広いベルトプライ40は第二ベルトプライ40Bである。第二ベルトプライ40Bの端がベルト14の端である。
ベルト14の軸方向幅は、このタイヤ2の断面幅(JATMA等参照)の70%以上80%以下である。
図示されないが、ベルト14を構成する各ベルトプライ40は並列した多数のベルトコードを含む。ベルトコードはスチールコードである。各ベルトプライ40におけるベルトコードの密度は、15エンズ/5cm以上30エンズ/5cm以下である。
各ベルトプライ40においてベルトコードは周方向に対して傾斜する。このタイヤ2では、第二ベルトプライ40Bのベルトコードの傾斜の向きは第三ベルトプライ40Cのベルトコードの傾斜の向きと逆向きである。第一ベルトプライ40Aのベルトコード及び第四ベルトプライ40Dのベルトコードの傾斜の向きはタイヤ2の仕様に応じて適宜設定される。各ベルトプライ40におけるベルトコードの傾斜角度は10度以上60度以下の範囲で適宜設定される。
それぞれのクッション層16は、ベルト14の端において、ベルト14とカーカス12(詳細には、カーカスプライ38のプライ本体38a)との間に位置する。このタイヤ2の子午線断面においてクッション層16は、三角形様の断面形状を有する。クッション層16の内端はベルト14の端の軸方向内側に位置する。クッション層16の外端はベルト14の端の軸方向外側に位置する。クッション層16の外端はサイドウォール6の外端の径方向内側に位置する。クッション層16は軟質な架橋ゴムからなる。クッション層16はベルト14の端に生じる歪を緩和する。
それぞれのスチールフィラー18は、ビード部に位置する。スチールフィラー18は、カーカスプライ38に沿ってコア32の周りにて軸方向内側から外側に向かって折り返される。図示されないが、スチールフィラー18は並列した多数のフィラーコードを含む。フィラーコードとしてスチールコードが用いられる。
軸方向において内側に位置するスチールフィラー18の第一端はコア32の径方向外側に位置する。軸方向において外側に位置するスチールフィラー18の第二端の位置は径方向において第一端の位置と一致するか、この第二端は第一端の径方向外側に位置する。前述の折り返し部38bの端はスチールフィラー18の第二端の径方向外側に位置する。
インナーライナー20はカーカス12の内側に位置する。インナーライナー20は、架橋ゴムからなるインスレーション(図示されず)を介してカーカス12の内面に接合される。インナーライナー20はタイヤ2の内面を構成する。インナーライナー20は、空気遮蔽性に優れた架橋ゴムからなる。インナーライナー20はタイヤ2の内圧を保持する。
図2は、基準状態のタイヤ2の子午線断面におけるカーカス12の輪郭CLを示す。
図2に示されたカーカス12の輪郭CLは、例えばX線を用いたコンピュータ断層撮影法(以下、X線CT法)により撮影される、タイヤ2の断面画像を用いて特定できる。この場合、X線CT法により撮影された、タイヤ2の断面画像をCAD(Computer-Aided Design)に取り込み、このCAD上でカーカス12の輪郭CLが特定される。
図3は、このタイヤ2の子午線断面の一部を示す。図3に示されるように、カーカス12の輪郭CLは、プライ本体38aに含まれるカーカスコード42の中心を繋いで得られるラインによって表される。図4には、カーカス12の変形例として、このカーカス12が複数のカーカスプライ38で構成される場合の例として、このカーカス12が2枚のカーカスプライ38で構成される場合が示される。この場合は、内側に位置するプライ本体38aに含まれるカーカスコード42の内端と、外側に位置するプライ本体38aに含まれるカーカスコード42の外端との間の中心を繋いで得られるラインによってカーカス12の輪郭CLが表される。符号は付していないが、図3及び図4において、カーカスコード42の両側に位置する要素は、カーカスコード42を覆うトッピングゴムである。
図2において、符号PEで示される位置はカーカス12の輪郭CL(以下、ケースラインCL)と赤道面との交点である。交点PEは、ケースラインCLにおける赤道である。符号Hで示される長さは、ビードベースラインから赤道PEまでの径方向距離である。
このタイヤ2では、赤道PEはケースラインCLの径方向外端に一致する。径方向距離Hはカーカス12の断面高さでもある。
図2において、符号PWで示される位置はケースラインCLの軸方向外端である。ケースラインCLは軸方向外端PWにおいて最大の断面幅を示す。この軸方向外端PWはケースラインCLの最大幅位置である。符号Wで示される長さは、赤道面から軸方向外端PWまでの軸方向距離である。この図2には示されないが、エイペックス34の外端は最大幅位置PWの径方向内側に位置する。
図2において、符号MEで示される位置はコア本体32mの径方向外端である。符号MLで示される実線は、径方向外端MEを通り軸方向にのびる直線である。符号PMで示される位置は、直線MLとケースラインCLとの交点である。交点PMは、コア本体32mの径方向外端MEに対応するケースラインCL上の位置である。交点PMは、ケースラインCLの基準点である。
このタイヤ2では、ケースラインCLは、複数の円弧を組み合わせて、必要あれば円弧同士を直線でつなぎながら構成される。このケースラインCLは、トレッド部においては外向きに凸な形状を有し、サイド部と、ビード部の径方向外側部分とにおいては外向きに凸な形状を有し、そして、ビード部の径方向内側部分においては内向きに凹んだ形状を有する。ビード部には、外向きに膨らむ部分と、内向きに窪む部分との変曲点が存在する。
本開示において、外向きに膨らむとは、タイヤの内面側から外面側に向かって湾曲した形状を意味し、内向きに窪むとは、タイヤの外面側から内面側に向かって湾曲した形状を意味する。
発明者らは、基準状態におけるケースラインCLについて詳細に検討し、外向きに膨らむ部分と、内向きに窪む部分との変曲点が存在するビード部におけるケースラインCLが特定の形状を有することでビード耐久性が格段に向上することを見出し、本発明を完成するに至っている。以下に、図2に示されたケースラインCLに基づいて、ビード耐久性の向上に貢献できるケースラインCL、すなわちカーカス12の輪郭について説明する。
このタイヤ2では、ケースラインCLのうち、軸方向外端PWから径方向内側部分、具体的には、軸方向外端PWから基準点PMまでの部分は、外向きに膨らむ湾曲部44と、内向きに窪む逆湾曲部46とを備える。逆湾曲部46は湾曲部44の径方向内側に位置し、この湾曲部44に連なる。湾曲部44と逆湾曲部46との境界が前述の変曲点である。図2において、符号PVで示される位置が変曲点である。
図2に示されたタイヤ2の湾曲部44は単一の円弧で表される。この円弧は、軸方向外端PWを通り軸方向にのびる直線(図2の実線LW)上に中心Caを有し、軸方向外端PWと、変曲点PVとを含む。図2において符号R1で示される矢印は、この円弧の半径である。
図示されないが、このタイヤ2では、湾曲部44が、直線LW上に中心を有し軸方向外端PWを含む円弧(以下、円弧a)と、この円弧aに接し変曲点PVを含む円弧(以下、円弧b)とで表されてもよい。この場合、円弧aの中心と、円弧aと円弧bとの接点とを通る直線上に、円弧bの中心は位置する。
このタイヤ2では、直線LW上に中心を有し軸方向外端PWを含む円弧と、変曲点PVを含む円弧とが、1又は2以上の円弧で繋げられていてもよい。この場合、湾曲部44は、直線LW上に中心を有し軸方向外端PWを含む円弧と、変曲点PVを含む円弧とを含む、複数の円弧で表され、隣り合う2つの円弧が互いに接するように構成される。
いずれの場合も、湾曲部44は変曲点PVを含む円弧を含む。本開示においては、この変曲点PVを通る円弧が第一の円弧である。
このタイヤ2では、湾曲部44の一部又は全部が変曲点PVを通る第一の円弧で表される。
図2に示されたタイヤ2では、逆湾曲部46も単一の円弧で表される。この円弧は、湾曲部44を表す円弧(第一の円弧)の中心Caと変曲点PVとを通る直線(図2の実線LAB)上に中心Cbを有し、変曲点PVと、基準点PMとを含む。図2において符号R2で示される矢印は、この円弧の半径である。
図示されないが、このタイヤ2では、逆湾曲部46が、変曲点PVを含む円弧(以下、円弧c)と、この円弧cに接し基準点PMを含む円弧(以下、円弧d)とで表されてもよい。この場合、円弧cの中心と、円弧cと円弧dとの接点を通る直線上に、円弧dの中心は位置する。このタイヤ2では、変曲点PVを含む円弧と、基準点PMを含む円弧とが、1又は2以上の円弧で繋げられていてもよい。この場合、逆湾曲部46は、変曲点PVを含む円弧と、基準点PMを含む円弧とを含む、複数の円弧で表され、隣り合う2つの円弧が互いに接するように構成される。
いずれの場合も、逆湾曲部46は変曲点PVを含む円弧を含む。本開示においては、この変曲点PVを通る円弧が第二の円弧である。
ケースラインCLの構成が不明な場合、湾曲部44を表す第一の円弧、逆湾曲部46を表す第二の円弧、そして変曲点PVは次のようにして得られる。
X線CT法により撮影された、タイヤの断面画像に基づいてケースラインCLが特定される。ケースラインCLの軸方向外端PWが求められる。軸方向外端PWを通り軸方向にのびる直線LW上に中心を有し、軸方向外端PWを含む、外向きに凸な円弧(以下、外向き円弧)が描かれる。半径を変えながら外向き円弧を描くことで、軸方向外端PWからのケースラインCLとの重複長さが最大となる外向き円弧(以下、第一外向き円弧)が求められる。この第一外向き円弧で湾曲部44の全てを表すことができない場合は、第一外向き円弧の端と、この第一外向き円弧の中心とを通る直線上に中心を有する、別の外向き円弧が描かれる。半径を変えながら外向き円弧を描き、第一外向き円弧の端からのケースラインCLとの重複長さが最大となる外向き円弧(以下、第二外向き円弧)が求められる。外向き円弧でケースラインCLをトレースできなくなるまで、この外向き円弧による、ケースラインCLのトレースが繰り返される。最後に描いた外向き円弧のコア本体32m側の端が変曲点PVとして特定され、この外向き円弧が、変曲点PVを含み、湾曲部44の一部又は全部を表す第一の円弧として特定される。
このようにして特定された第一の円弧の中心と変曲点PVとを通る直線上であって、変曲点PVを挟んで第一の円弧の中心と反対側に中心を有し、変曲点PVを含む、内向きに凸な円弧(以下、内向き円弧)が描かれる。半径を変えながら内向き円弧を描くことで、変曲点PVからのケースラインCLとの重複長さが最大となる内向き円弧(以下、第一内向き円弧)が求められる。この第一内向き円弧が、変曲点PVを含み、逆湾曲部46の一部又は全部を表す第二の円弧として特定される。第一内向き円弧で逆湾曲部46全体を描くことができなければ、基準点PMを含む最後の内向き円弧が描かれるまで、内向き円弧によるトレースが繰り返される。
このタイヤ2では、逆湾曲部46の一部又は全部が変曲点PVを通る第二の円弧で表される。湾曲部44の一部又は全部を表す第一の円弧と、逆湾曲部46の一部又は全部を表す第二の円弧とは、変曲点PVにおいて接する。第一の円弧の中心と第二の円弧の中心との間に変曲点PVが位置し、第一の円弧の中心、変曲点PV及び第二の円弧の中心は同一直線上に位置する。
図2に示されたケースラインCLでは、湾曲部44を表す第一の円弧と、逆湾曲部46を表す第二の円弧とが変曲点PVにおいて接する。第一の円弧の中心Caと第二の円弧の中心Cbとの間に変曲点PVが位置し、第一の円弧の中心Ca、変曲点PV及び第二の円弧の中心Cbは同一直線LAB上に位置する。
図2において符号Xで示される長さは、このタイヤ2の赤道面から変曲点PVまでの軸方向距離である。符号Yで示される長さは、ビードベースラインから変曲点PVまでの径方向距離である。
このタイヤ2では、その赤道面から変曲点PVまでの軸方向距離Xの、赤道面から軸方向外端PWまでの軸方向距離Wに対する比率(X/W)は70%以上85%以下であり、ビードベースラインから変曲点PVまでの径方向距離Yの、ビードベースラインから赤道PEまでの径方向距離Hに対する比率(Y/H)は15%以上22%以下である。
比率(X/W)が70%以上であり、比率(Y/H)が15%以上であるので、変曲点PVがコア32から適度な間隔をあけて配置される。荷重の作用により生じる撓みが大きくなることが抑えられるので、ビード部に生じる歪が低減される。このタイヤ2では、ビード耐久性が向上する。この観点から、比率(X/W)は75%以上であり、比率(Y/H)は17%以上であることが好ましい。
比率(X/W)が85%以下であり、比率(Y/H)が22%以下であるので、変曲点PVが最大幅位置PWから適度な間隔をあけて配置される。タイヤ2のインフレート時のビード部におけるカーカス12の変形が抑えられるので、ビード部に生じる歪が低減される。このタイヤ2では、良好なビード耐久性が維持される。この観点から、比率(X/W)は80%以下であり、比率(Y/H)は20%以下であることが好ましい。
このタイヤ2では、湾曲部44と逆湾曲部46の境界である変曲点PVの位置が、コア32の位置と、軸方向外端PWの位置とを考慮して決められる。このタイヤ2では、特に、ビード部におけるカーカス12の動きが効果的に抑制される。荷重の作用による歪の発生が抑えられるので、このタイヤ2では、ビード耐久性の向上が図れる。
しかもこのタイヤ2では、ビード耐久性の向上のために、ビード部を構成する要素の厚みを増す、フィラー等の要素を新たに追加する等の対策は不要である。それどころか、後述するように、このタイヤ2はエイペックス34のボリュームを低減できる。このタイヤ2では、質量の増加が抑えられる。
このタイヤ2は、転がり抵抗の増加を招くことなく、ビード耐久性の向上を達成できる。このタイヤ2は、車両の燃費性能の向上にも貢献できる。
図1に示されるように、このタイヤ2の変曲点PVは、軸方向においてコア32の径方向外端PSと内側エイペックス34uの外端との間に位置し、径方向において折り返し部38bの端と内側エイペックス34uの外端との間に位置する。
詳細には、変曲点PVの位置は軸方向においてコア32の径方向外端PSの位置と一致する、又は、変曲点PVはコア32の径方向外端PSの軸方向外側に位置する。変曲点PVの位置は軸方向において内側エイペックス34uの外端の位置と一致する、又は、変曲点PVは内側エイペックス34uの外端の軸方向内側に位置する。変曲点PVの位置は径方向において折り返し部38bの端の位置と一致する、又は、変曲点PVは折り返し部38bの端の径方向外側に位置する。変曲点PVの位置は径方向において内側エイペックス34uの外端の位置と一致する、又は、変曲点PVは内側エイペックス34uの外端の径方向内側に位置する。
このタイヤ2では、特に、ビード部におけるカーカス12の動きが効果的に抑制される。荷重の作用による歪の発生が抑えられるので、このタイヤ2では、ビード耐久性の向上が図れる。
しかもこのタイヤ2では、ビード耐久性の向上のために、ビード部を構成する要素の厚みを増す、フィラー等の要素を新たに追加する等の対策は不要である。それどころか、後述するように、このタイヤ2はエイペックス34のボリュームを低減できる。このタイヤ2では、質量の増加が抑えられる。
このタイヤ2は、転がり抵抗の増加を招くことなく、ビード耐久性の向上を達成できる。このタイヤ2は、車両の燃費性能の向上にも貢献できる。この観点から、変曲点PVは、軸方向においてコア32の径方向外端PSと内側エイペックス34uの外端との間に位置し、径方向において折り返し部38bの端と内側エイペックス34uの外端との間に位置するのが好ましい。この変曲点PVは、軸方向においてベルト14の端と内側エイペックス34uの外端との間に位置し、径方向において折り返し部38bの端と内側エイペックス34uの外端との間に位置するのがより好ましい。
前述したように、このタイヤ2では、その赤道面から変曲点PVまでの軸方向距離Xの、赤道面から軸方向外端PWまでの軸方向距離Wに対する比率(X/W)は70%以上85%以下であり、ビードベースラインから変曲点PVまでの径方向距離Yの、ビードベースラインから赤道PEまでの径方向距離Hに対する比率(Y/H)は15%以上22%以下である。
このタイヤ2が、転がり抵抗の増加を招くことなく、ビード耐久性の向上を効果的に達成できる観点から、赤道面から変曲点PVまでの軸方向距離Xの、赤道面から軸方向外端PWまでの軸方向距離Wに対する比率(X/W)が70%以上85%以下であり、ビードベースラインから変曲点PVまでの径方向距離Yの、ビードベースラインから赤道PEまでの径方向距離Hに対する比率(Y/H)が15%以上22%以下であり、変曲点PVが、軸方向においてコア32の径方向外端PSと内側エイペックス34uの外端との間に位置し、径方向において折り返し部38bの端と内側エイペックス34uの外端との間に位置するのがより好ましい。同様の観点から、比率(X/W)が70%以上85%以下であり、比率(Y/H)が15%以上22%以下であり、変曲点PVが、軸方向においてベルト14の端と内側エイペックス34uの外端との間に位置し、径方向において折り返し部38bの端と内側エイペックス34uの外端との間に位置するのがさらに好ましい。
図2において実線LVは変曲点PVにおけるケースラインCLの接線である。実線LTは、タイヤ2の子午線断面においてコア本体32mの底面32msbの輪郭を表す直線を含む直線である。角度θは、接線LVと直線LTとがなす角度である。本開示においては、この角度θが、変曲点PVにおけるカーカス12の輪郭の接線LVと、底面32msbの輪郭を表す直線とがなす角度である。
このタイヤ2では、角度θは25度以上30度以下であることが好ましい。
角度θが25度以上に設定されることにより、ビード部におけるケースラインCLの倒れ込みが効果的に抑えられる。荷重の作用による生じる撓みが大きくなることが抑えられるので、ビード部に生じる歪が低減される。このタイヤ2では、ビード耐久性が向上する。この観点から、この角度θは26度以上であることがより好ましい。
角度θが30度以下に設定されることにより、タイヤ2のインフレート時のビード部におけるカーカス12の変形が抑えられるので、ビード部に生じる歪が低減される。このタイヤ2では、良好なビード耐久性が維持される。この観点から、この角度θは29度以下であることがより好ましい。
図5は、図1に示されたタイヤ2のビード部を示す。
図5において実線LNは、基準状態のケースラインCLにおいて特定された変曲点PVを通る、カーカス12のプライ本体38aとエイペックス34との界面の法線である。
符号TTで示される長さは、法線LNに沿って計測される、タイヤ2の厚さである。本開示においては、この厚さTTが、変曲点PVにおけるタイヤ2の厚さである。
符号TAで示される長さは、法線LNに沿って計測される、エイペックス34の厚さである。本開示においては、この厚さTAが、変曲点PVにおけるエイペックス34の厚さである。
回転軸を含む平面に沿ってタイヤ2を切断することにより得られる、タイヤ2の断面において、各厚さが計測される場合、図2に示されたケースラインCLにおける、折り返し部38bの端から変曲点PVまでの長さと、同じ長さを示す、折り返し部38bの端からの位置が、変曲点PVの位置として用いられる。
このタイヤ2では、変曲点PVにおける、エイペックス34の厚さTAの、タイヤ2の厚さTTに対する比率(TA/TT)は42%以上50%以下であることが好ましい。
比率(TA/TT)が42%以上に設定されることにより、エイペックス34がビード部の剛性を効果的に高める。これにより、ビード部に生じる歪が低減される。このタイヤ2では、ビード耐久性が向上する。この観点から、この比率(TA/TT)は44%以上であることがより好ましい。
比率(TA/TT)が50%以下に設定されることにより、タイヤ2のインフレート時のビード部におけるカーカス12の変形が抑えられる。ビード部に生じる歪が低減される。このタイヤ2では、良好なビード耐久性が維持される。この観点から、この比率(TA/TT)は49%以下であることがより好ましい。
このタイヤ2では、前述の法線LNは内側エイペックス34uとも交差する。図5において、符号TUで示される長さは、この法線LNに沿って計測される内側エイペックス34uの厚さである。本開示においては、この厚さTUが、変曲点PVにおける内側エイペックス34uの厚さである。
このタイヤ2では、ビード耐久性の向上の観点から、変曲点PVにおける、内側エイペックス34uの厚さTUの、エイペックス34の厚さTAに対する比率(TU/TA)は0.30以上が好ましく、0.35以上がより好ましい。この比率(TU/TA)は0.45以下が好ましく、0.40以下がより好ましい。
図5において符号HVで示される長さは、ビードベースラインから、基準状態のケースラインCLにおいて特定された変曲点PVまでの径方向距離である。この径方向距離HVは変曲点高さである。符号HAで示される長さは、ビードベースラインからエイペックス34の外端までの径方向距離である。この径方向距離HAはエイペックス高さである。符号HUで示される長さは、ビードベースラインから内側エイペックス34uの外端までの径方向距離である。この径方向距離HUは内側エイペックス高さである。
このタイヤ2では、エイペックス高さHAの、変曲点高さHVに対する比(HA/HV)は2.0以上2.4以下であることが好ましい。
比率(HA/HV)が2.0以上に設定されることにより、エイペックス34がビード部の剛性を効果的に高める。これにより、ビード部に生じる歪が低減される。このタイヤ2では、ビード耐久性が向上する。この観点から、この比(HA/HV)は2.1以上であることがより好ましい。
比(HA/HV)が2.4以下に設定されることにより、タイヤ2のインフレート時のビード部におけるカーカス12の変形が抑えられる。ビード部に生じる歪が低減される。このタイヤ2では、良好なビード耐久性が維持される。この観点から、この比(HA/HV)は2.3以下であることがより好ましい。
このタイヤ2では、内側エイペックス高さHUの、変曲点高さHVに対する比(HU/HV)は1.2以上1.6以下であることが好ましい。
比率(HU/HV)が1.2以上に設定されることにより、内側エイペックス34uがビード部の剛性を効果的に高める。これにより、ビード部に生じる歪が低減される。このタイヤ2では、ビード耐久性が向上する。この観点から、この比(HU/HV)は1.3以上であることがより好ましい。
比(HU/HV)が1.6以下に設定されることにより、タイヤ2のインフレート時のビード部におけるカーカス12の変形が抑えられる。ビード部に生じる歪が低減される。このタイヤ2では、良好なビード耐久性が維持される。この観点から、この比(HU/HV)は1.5以下であることがより好ましい。
図6は、タイヤ2の子午線断面における、ケースラインCLを示す。この図6は、基準状態から正規状態にタイヤ2の状態を変化させた場合、言い換えれば、タイヤ2をリムRに組み、タイヤ2の内圧を50kPaから正規内圧に変化させた場合の、ケースラインCLの動きを示す。
図6において点線CLbが基準状態のケースラインCLを表し、実線CLrが正規状態のケースラインCLを表す。図6において符号PVbで示される位置が基準状態のケースラインCLにおける変曲点PVの位置であり、符号PVrで示される位置が正規状態のケースラインCLにおける変曲点PVの位置である。正規状態のケースラインCLにおける変曲点PVの位置PVrは、折り返し部38bの端からの長さが、基準状態のケースラインCLにおける折り返し部38bの端から変曲点PVの位置PVbまでの長さと同じになる位置によって特定される。
図6に示されるように、タイヤ2の状態を基準状態から正規状態に変化させることで、トレッド部とサイド部との境界付近におけるケースラインCLは内向きに移動し、ビード部におけるケースラインCLは外向きに移動する。図6において、符号DVで示される矢印は、変曲点PVの移動距離である。この移動距離DVは位置PVbと位置PVrとを結ぶ線分の長さで表される。
前述したように、このタイヤ2では、湾曲部44と逆湾曲部46との境界である変曲点PVの位置がケースラインCLの動きをコントロールし、特に、ビード部におけるケースラインCLの動きが抑えられる。具体的には、タイヤ2をリムRに組み、タイヤ2の内圧を50kPaから正規内圧に変化させた場合の、変曲点PVの移動距離DVは5mm以下である。このタイヤ2では、インフレート時のビード部におけるカーカス12の変形が抑えられる。ビード部に生じる歪が低減される。このタイヤ2では、良好なビード耐久性が維持される。この観点から、この移動距離DVは3mm以下であることが好ましい。
次に、このタイヤ2の製造方法について説明する。このタイヤ2の製造では、成形機(図示されず)において、トレッド4、サイドウォール6等の部材を組み合わせて、図1に示されたタイヤ2のための、未架橋状態のタイヤ2、すなわち、生タイヤが準備される。後述する加硫機のモールド内において、この生タイヤを加圧及び加熱することでタイヤ2が得られる。このタイヤ2の製造方法は、タイヤ2の未加硫状態である、生タイヤを準備する工程、及び、この生タイヤをモールド内で加圧及び加熱する工程を含む。
図7には、このタイヤ2の製造方法で用いられる加硫機52の一部が示される。図7において、左右方向はタイヤ2の軸方向に相当し、上下方向はタイヤ2の径方向に相当する。図7の紙面に対して垂直な方向は、タイヤ2の周方向である。
本開示においては、説明の便宜のために、加硫機52はタイヤ2の次元に基づいて説明される。
このタイヤ2の製造方法では、加硫機52において生タイヤ2rは加硫される。この加硫機52は、モールド54とブラダー56とを備える。
モールド54は、その内面にキャビティ面58を備える。このキャビティ面58は、生タイヤ2rの外面に当接し、タイヤ2の外面を形づける。詳述しないが、このモールド54は割モールドである。
ブラダー56は、モールド54の内側に位置する。ブラダー56は、架橋ゴムからなる。このブラダー56の内部には、スチーム等の加熱媒体や、窒素ガス等の加圧媒体が充填される。これにより、ブラダー56は膨張する。図7に示されたブラダー56は、加熱媒体が充填され膨張した状態にある。このブラダー56は、生タイヤ2rの内面に当接し、タイヤ2の内面を形づける。なお、このタイヤ2の製造方法では、ブラダー56に代えて金属製の剛性中子(図示されず)が用いられてもよい。剛性中子は、トロイダル状の外面を備える。この外面の形状は、空気が充填され内圧が正規内圧の5%に保持された状態にあるタイヤ2の内面の形状に近似される。
このタイヤ2の製造では、所定の温度に設定されたモールド54に生タイヤ2rは投入される。投入後、モールド54は閉じられる。加熱媒体の充填により膨張したブラダー56が、キャビティ面58に生タイヤ2rを内側から押し付ける。加圧媒体の充填により膨張したブラダー56が、キャビティ面58に生タイヤ2rを内側からさらに押し付ける。生タイヤ2rは、モールド54内で所定時間加圧及び加熱される。これにより、生タイヤ2rのゴム組成物が架橋し、タイヤ2が得られる。
図7において、実線RBLは、前述のビードベースラインに対応する基準線である。この基準線は、ビードリングラインとも称される。符号PRBは、ビードリングラインとキャビティ面58との交点である。この交点PRBは、クリップ幅基準点とも称される。符号WCで示される長さは第一のクリップ幅基準点PRBから第二のクリップ幅基準点PRBまでの軸方向距離である。この軸方向距離WCがこのモールド54のクリップ幅である。このクリップ幅WCは、モールド54で得られるタイヤ2が組まれるリムRのリム幅WRに対応する。
この製造方法では、モールド54のクリップ幅WCはリムRのリム幅WRよりも広い。具体的には、クリップ幅WCのリム幅WRに対する比(WC/WR)は1.02以上1.17以下である。
タイヤ2をリムRに組む際、タイヤ2の内部に空気が充填される。これにより、ビード部がリムRのシートRS上を軸方向に移動し、このビード部がリムRのフランジRFに接触する。これにより、タイヤ2がリムRに組まれる。
この製造方法では、比(WC/WR)が1.02以上であるので、このモールド54で製造されるタイヤ2をリムRに組む際、タイヤ2の内圧が高くなり過ぎることなく適正な圧力で維持される。このタイヤ2はリムRに組みやすい。この観点から、この比(WC/WR)は1.05以上であることが好ましい。
この比(WC/WR)が1.17以下であるので、このモールド54で製造されるタイヤ2では、適正な形状を有するケースラインCLが形成される。このモールド54は、ケースラインCLの変曲点PVを前述した位置に構成させることに貢献する。このタイヤ2では、インフレート時のビード部におけるカーカス12の変形が効果的に抑えられるので、ビード部に生じる歪が低減される。このタイヤ2では、ビード耐久性の向上が図られる。この観点から、この比(WC/WR)は1.13以下であることが好ましく、1.10以下であることがより好ましい。
この製造方法で得られるタイヤ2では、ビード耐久性の向上が図られる。しかもこのタイヤ2では、ビード耐久性の向上のために、ビード部を構成する要素の厚みを増す、フィラー等の要素を新たに追加する等の対策は不要である。この製造方法では、転がり抵抗の増加を招くことなく、ビード耐久性の向上を達成できる、タイヤ2が得られる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、転がり抵抗の増加を招くことなく、ビード耐久性の向上を達成できる、重荷重用タイヤ2が得られる。
以上説明された、転がり抵抗の増加を招くことなく、ビード耐久性の向上を達成できる技術は、種々のタイヤに適用されうる。
2・・・タイヤ
2r・・・生タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
10・・・ビード
12・・・カーカス
32・・・コア
32m・・・コア本体
34・・・エイペックス
34u・・・内側エイペックス
34s・・・外側エイペックス
34p・・・プライエッジストリップ
38・・・カーカスプライ
38a・・・プライ本体
38b・・・折り返し部
42・・・カーカスコード
44・・・湾曲部
46・・・逆湾曲部
54・・・モールド
58・・・キャビティ面

Claims (6)

  1. 一対のビードと、一対の前記ビードのうちの第一のビードと第二のビードの間を架け渡すカーカスとを備えるタイヤであって、
    前記ビードが、コアと、前記コアの径方向外側に位置するエイペックスとを備え、
    前記カーカスがカーカスプライを備え、
    前記カーカスプライが並列した多数のカーカスコードを含み、それぞれのカーカスコードがスチールコードであり、
    前記タイヤの子午線断面において、前記カーカスの輪郭が、外向きに膨らむ湾曲部と、前記湾曲部の径方向内側に位置し内向きに窪む逆湾曲部とを備え、
    前記逆湾曲部が前記湾曲部に連なり、
    前記湾曲部と前記逆湾曲部との境界が変曲点であり、
    前記湾曲部の一部又は全部が、前記変曲点を含む第一の円弧で表され、
    前記逆湾曲部の一部又は全部が、前記変曲点を含む第二の円弧で表され、
    前記第一の円弧と前記第二の円弧とが前記変曲点において接し、
    前記タイヤの赤道面から前記変曲点までの軸方向距離の、前記赤道面から前記カーカスの輪郭の軸方向外端までの軸方向距離に対する比率が70%以上85%以下であり、
    前記タイヤのビードベースラインから前記変曲点までの径方向距離の、前記ビードベースラインから前記カーカスの輪郭と前記赤道面との交点までの径方向距離に対する比率が15%以上22%以下である、
    重荷重用タイヤ。
  2. 前記コアがコア本体を備え、前記コア本体が周方向に巻き回されたワイヤを含み、
    前記コア本体が、前記タイヤが組まれるリムのシートに対向するように配置される底面を有し、
    前記タイヤの子午線断面において、前記底面の輪郭が直線で表され、
    前記変曲点における前記カーカスの輪郭の接線と、前記底面の輪郭を表す直線とがなす角度が25度以上30度以下である、
    請求項1に記載の重荷重用タイヤ。
  3. 前記変曲点における、前記エイペックスの厚さの、前記タイヤの厚さに対する比率が、42%以上50%以下である、
    請求項1に記載の重荷重用タイヤ。
  4. 前記タイヤをリムに組み、前記タイヤの内圧を50kPaから正規内圧に変化させた場合の、前記変曲点の移動距離が5mm以下である、
    請求項1に記載の重荷重用タイヤ。
  5. 前記エイペックスが、内側エイペックスと、前記内側エイペックスの径方向外側に位置する外側エイペックスとを備え、
    前記内側エイペックスが、径方向外向きに先細りの外端を有し、
    前記カーカスプライが、第一の前記コアと第二の前記コアとの間を架け渡すプライ本体と、前記プライ本体に連なりそれぞれのコアの周りにて軸方向内側から外側に向かって折り返される一対の折り返し部とを有し、
    前記変曲点PVが、軸方向において前記コアの径方向外端と前記内側エイペックスの外端との間に位置し、径方向において前記折り返し部の端と前記内側エイペックスの外端との間に位置する、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の重荷重用タイヤ。
  6. 一対のビードと、一対の前記ビードのうちの第一ビードと第二ビードの間を架け渡すカーカスとを備える、タイヤを製造するための方法であって、
    前記タイヤの未加硫状態である、生タイヤを準備する工程と、
    前記生タイヤをモールド内で加圧及び加熱する工程と
    を含み、
    前記モールドのクリップ幅の、前記タイヤが組まれるリムのリム幅に対する比が1.02以上1.17以下である、
    重荷重用タイヤの製造方法。
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