JP2023142498A - 入力装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】演奏情報の入力操作を容易にする。【解決手段】それぞれ、バスドラム、スネアドラム、シンバルの音色が割り当てられた1以上のパッドを含む第1領域10、第2領域20、第3領域30を有する入力装置を提供する。第1領域10から遠ざかる方向に、順番に第2領域20、第3領域30が配置され、第1、第2、第3領域の形状は互いに異なる。【選択図】図2

Description

本発明は、入力装置に関する。
従来、演奏情報を入力する入力装置において、自然な手のフォームで速い入力操作を可能にしたものが知られている(特許文献1)。特許文献1の入力装置では、複数の操作子(パッド)が略帯状に並べられた入力エリア群が、第1の位置から第2の位置に進むに従って幅方向の左方向に曲がった形状をなしている。各操作子に音パラメータが割り当てられている。各操作子間の境界線は、中央上方に向かう方向に突出した曲がった線となっている。このような配置の工夫によって、ユーザは、人差指、中指および薬指を自然な形で各操作子に添えることができる。
特開2018-72734号公報
しかしながら、用いる頻度、連続打撃される頻度などは、操作子に割り当てられた音色によって異なる。また、互いに排他的に発音されるべき音色もあれば、同時に発音されることがある音色もある。そのため、実際の演奏の態様を考慮して各操作子の配置を検討するのが望ましい。特に、自然でない手や指の姿勢では、速い操作や正確な操作が困難であり、疲れやすく、身体にかかる負担も大きくなる。例えば、指同士の間隔を変化させたり肘の移動を伴ったりする操作によっては、多数回の繰り返しや速く正確な動作を行うのが容易でない。従って、演奏情報の入力操作を容易にする上で、改善の余地があった。
本発明の一つの目的は、演奏情報の入力操作を容易にすることができる入力装置を提供することである。
本発明の一形態によれば、バスドラムの音色が割り当てられた1以上の操作子を含む第1領域と、スネアドラムの音色が割り当てられた1以上の操作子を含む第2領域と、シンバルの音色が割り当てられた1以上の操作子を含む第3領域と、を有し、前記第1領域から遠ざかる方向に、順番に前記第2領域、前記第3領域が配置され、前記第1、第2、第3領域の形状は互いに異なる、入力装置が提供される。
本発明の一形態によれば、演奏情報の入力操作を容易にすることができる。
入力装置の平面図である。 パッド操作部の平面図である。 パッド操作態様の一例を示す図である。 変形例のパッド操作部における複数のパッドの拡大図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る入力装置の平面図である。この入力装置100は、演奏操作(演奏情報)の入力に適した入力装置であり、一例として電子楽器(電子打楽器)として構成される。
入力装置100は筐体102を有する。筐体102の上面側にはパネル103が設けられている。パネル103には、パッド操作部50、設定操作部90、表示部96、スピーカ97が配置される。設定操作部90は、ユーザ101から音パラメータの設定指示などを受け付ける操作子を含む指示受付部である。設定操作部90は、メニューボタン91、連動モード有効/無効ボタン92、入れ替えモード有効/無効ボタン93、入れ替え実行ボタン94、決定ボタン95、増減ボタン98を含む。
パッド操作部50は、ユーザ101が演奏情報を入力するための複数の操作子(以下、パッドという)を含む操作受付部である。パッド操作部50に含まれる複数のパッドには、パッドK、H1~H3、C1、C2、S1、S2、R1、R2、M1、M2、T1~T6がある。
ユーザ101は、通常、図1に示すように、パッドKが手前側となる位置で入力装置100を使用する。以降、便宜上、ユーザ101から見て手前側を前側、奥側を後ろ側とし、左右方向についてもユーザ101から見た方向を基準とする。
パッドごとに形状は異なるが、基本構成は互いに共通である。各パッドは、入力操作(演奏操作)の対象となる入力エリアを構成する物理的なスイッチである。各パッドは、表面シートと、土台プレート(図示略)と、センサ(図示略)とを有する。土台プレートは、例えば、金属の板やプラスチックの板である。土台プレートの上にはセンサが配置されており、さらにその上には表面シートが配置されている。表面シートは、パッドの表面を構成する。パッドの表面は平らになっており、パネル103から露出している。ユーザ101は、通常、入力操作をする際、指でパッドを叩く。指への衝撃を和らげるために、表面シートには、例えばゴム板などが採用される。
上記センサは、ユーザ101による入力操作を検知する。上記センサは、パッド毎に設けられている。上記センサは、例えば対応するパッドへ加わる圧力の変化を検知する圧力センサなどである。上記センサは、圧力の変化に応じた振幅の信号を、入力操作を示す情報として出力する。なお、上記センサは、圧力センサに限らず、振動センサであってもよい。
一例として、各パッドは次のように構成される。下から順に、基板上の導電パターン、導電シート、ゴムシートが配置される。導電シートの下にはスペーサがあり、ゴムシートが乗った状態でも導電パターンと導電シートは導通しないか、もしくはごく僅かに導通する。ゴムシートを指で叩く(または押し込む)などによって上から圧力を加えると、導電シートが押されて導電パターンと接触し、その接触面積に応じて電圧値が変化する。上記センサが電圧値を検出することで、指で叩いた(または押し込んだ)強さなどを検出することができる。
各パッドには、電子音の音色、例えばドラム(パーカッションを含んでもよい)の音色が割り当てられている。割り当てられる電子音の音色は問わない。ユーザ101がパッドを入力操作すると、そのパッドに対応付けられた音色の音がスピーカ97から発せられる。
図2、図3で、複数のパッドの配置を説明する。図2は、パッド操作部50の平面図である。
図2に示すように、パッド操作部50は、第1領域10と、第2領域20と、第3領域30と、第4領域40とを有する。第1、第2、第3、第4領域の並び方向が前後方向である。当該並び方向に直交する方向が左右方向である。第1領域10から遠ざかる方向(後方)に、順番に第1領域10、第4領域40、第2領域20、第3領域30が配置されている。第1領域10と第3領域30との間に第4領域40がある。第1領域10、第2領域20、第3領域30の形状は互いに異なる。第1領域10と第2領域20とは前後方向に隣り合っている。
第1領域10は、バスドラムの音色が割り当てられた1以上のパッドを含み、一例としてパッドK、M1、M2を含む。第2領域20は、スネアドラムの音色が割り当てられた1以上のパッドを含み、一例としてパッドS1、R1、R2を含む。第3領域30は、シンバルの音色が割り当てられた1以上のパッドを含み、一例としてパッドH1~H3、C1、C2を含む。第4領域40は、タム(Tom)の音色が割り当てられた1以上のパッドを含み、一例としてパッドS2、T1~T6を含む。
各パッドには次のような音色が割り当てられている。パッドKにはキックドラム(Kick)(バスドラムと呼称してもよい)の音色が割り当てられている。パッドS1、S2にはそれぞれ、第1のスネアドラム、第2のスネアドラムの音色が割り当てられている。パッドT1、T6には互いに同じフロアタムの音色が割り当てられ、パッドT2、T4には互いに同じロータムの音色が割り当てられ、パッドT3、T4には互いに同じハイタムの音色が割り当てられている。
パッドR1、R2にはそれぞれ、第1のライドシンバル(RideCup)の音色(例えば、カップを打撃する音)、第2のライドシンバル(RideTip)の音色(例えば、ボウをスティックのチップで打撃する音)が割り当てられている。パッドH2には、オープンハイハットシンバルの音色が割り当てられ、パッドH1、H3には互いに同じクローズハイハットシンバルの音色が割り当てられている。パッドC1、C2にはそれぞれ、第1のクラッシュシンバル、第2のクラッシュシンバルの音色が割り当てられている。
パッドM1、M2にはそれぞれ、演奏頻度の低いその他の音色が割り当てられている。その他の音色として、例えば、クローズドリムショット、他のキックドラム、他のスネアドラム、他のタム、特殊なシンバル(チャイナシンバル、スプラッシュシンバル)、パーカッション等の音色が挙げられる。なお、各パッドへ任意の音色を割り当て可能であってもよい。特に、パッドM1、M2にユーザ101が所望する任意の音色を割り当てることで演奏表現が広がる。
入力装置100はいわゆるフィンガードラムの形態を有する。以下に説明するように、本実施の形態では、人間の手の特性とドラム演奏での特性に適したパッドレイアウトの実現を目指した。例えば、典型的な演奏(ビート、フィルイン)を、自然な手の形で、大きな移動負担なく実現できるようにし、長時間演奏しても疲れにくくした。
パッドK、S2、S1、H2の重心をそれぞれ、G10、G40、G20、G30とする。上方から見て、G10、G40、G20、G30を通る仮想直線をP0とする。仮想直線P0は、左右方向におけるパッド操作部50の中央線でもある。仮想直線P0は、左右方向における第1領域10、第2領域20、第3領域30、第4領域40の各々の中央線でもある。入力装置100は、右利き、左利きのいずれの利き手でも操作されることを想定し、且つ、両手で操作されることも想定している。そのため、パッド全体は、仮想直線P0を中心とする左右線対称にレイアウトされている。
まず、パッドK、S2、S1、H2は左右方向における中央に配置されている。パッドT1、T2、T3とパッドT6、T5、T4とは、それぞれ、仮想直線P0に対して(仮想直線P0を中心として)線対称である。パッドM1、R1、C1とパッドM2、R2、C2とは仮想直線P0に対して線対称である。パッドH1とパッドH3とは仮想直線P0に対して線対称である。
パッド操作部50の左右方向の幅は、ユーザ101の肩幅より小さい。従って、パッドKが最も手前側となるように入力装置100にユーザ101が正対したとき、通常、両腕の肘の位置よりも手首の位置の方が仮想直線P0に近い。従って、上方から見て、自然な演奏姿勢では、前腕(肘から手首の間)は、手首に近いほど仮想直線P0に近くなるように傾斜するケースが多い。
そこで、上方から見て、左右方向に隣り合うパッド同士の互いに対向する端面は、直線で且つ、後方ほど仮想直線P0に近くなるように傾斜している。例えば、パッドS1の右端面56とパッドR2の左端面57とは平行で且つ対向する。そして右端面56と左端面57とは、上方から見て直線で、且つ、後方ほど仮想直線P0に近くなるように傾斜している。端面54、55、端面58、59、端面63、64等の、左右方向に隣り合うパッド同士の互いに対向する端面はいずれも、端面56、57と同様の関係を有する。このような構成により、ユーザの肘から指先までの構えを自然な形に誘導できる。
さらに、上方から見て、第1領域10と第4領域40との境界線51、第2領域20と第3領域30との境界線53、第4領域40と第2領域20との境界線52はいずれも、手前側に凸となっている曲線である。このような端面の傾斜や境界線の湾曲によって、無理のない自然な姿勢での演奏入力が容易となる。なお、境界線51、52、53の少なくとも一つが曲線であってもよい。
図2に示すように、第1領域10に含まれるバスドラムの音色が割り当てられたパッドKの左右方向における長さL1は、第3領域30における2以上のパッドに亘る長さL3以上である。ここで、長さL3は、左右方向におけるパッドH1~H3の配置領域の最大長さである。長さL1は、左右方向におけるパッドKの最小長さである。
同様に、第2領域20に含まれる第1のスネアドラムの音色が割り当てられたパッドS1の左右方向における長さL2も長さL3以上である。長さL2は、左右方向におけるパッドS1の最小長さである。
このように、パッドK、S1は左右方向に横長である。しかも、パッドK、S1の面積は、第3領域30におけるシンバルの音色が割り当てられたパッドH1~H3のいずれの面積よりも大きい。従って、例えば、両手を使ってパッドK、S1を連打することが容易となる。また、様々なパッドを組み合わせた演奏でも、自然な手の形を維持しやすい。例えば、パッドK、S1、H3の組み合わせだけでなく、パッドK、S1、H2、あるいはパッドK、S1、C2といった組み合わせで打撃する(叩く)ことも容易である。なお、長さL1、L2と比較される長さL3は、パッドH1~H3のうち2つの配置領域の最大長さであってもよい。なお、これらのような長さや面積の条件は、パッドK、S1の少なくとも一方で満たされてもよい。
パッドS1には、上方へ突出した凸部61、62が設けられている。ユーザは、凸部61、62のいずれかに接触することで、視覚によらずにパッドS1の位置を認識することができる。なお、この観点からは、凸部61、62に代えて、触覚により認識可能な識別部を設ければよく、例えば、凹部や切り欠きであってもよい。なお、識別部の位置や識別部を設けるパッドは例示したものに限定されない。
前後方向において第2領域20と第3領域30とは隣り合っているので、例えば、第2領域20に含まれるパッドと第3領域30に含まれるパッドとを人差指と中指とで操作容易となる。また、第1領域10、第2領域20、第3領域30に着目すると、後方に向かって順番に、第1領域10、第2領域20、第3領域30が配置されるので、第1領域10を親指で操作容易である。
図3は、パッド操作態様の一例を示す図である。以下、代表して右利きのユーザ101を想定して説明する。なお、左利きのユーザの操作は、左右対称にして理解できる。
パッドK(第1操作子)上に親指71が位置し且つ、パッドH3(第3操作子)上に中指73が位置するときに、パッドS1(第2操作子)上に人差指72が位置するように、パッドK、H3、S1が配置されている。これは、右利きのユーザ101が脱力した自然な手の姿勢のまま、親指71、中指73をそれぞれパッドK、H3に位置させると、自然に人差指72がパッドS1に位置することを意味する。このことは、上方から見て、重心G10と重心G20とを通る仮想直線P0がパッドH3を通らないことで実現されている。
ここで、キックドラム(パッドK)、第1のスネアドラム(パッドS1)、クローズハイハットシンバル(パッドH3)は、典型的な8ビート演奏において組み合せて頻繁に用いられるパッドである。これらのパッドの頻繁な使用を脱力姿勢に近い状態で実現することができるので、演奏情報の入力操作が容易である。
パッドK、H3、S1の配置について別の表現を用いると、指71、73がそれぞれパッドKの重心G10、パッドH3の重心に位置するとき、指72が重心G20に位置すると言い換えることができる。なお、脱力姿勢での指71、72、73の互いの間隔は、平均的なサイズの人の手を想定して決められる。
さらに、パッドK、S1は横長である。従って、右利きのユーザ101の場合、図3に示す指姿勢のまま手を左右に僅かにずらせば、パッドK、S1、H3の組み合わせだけでなく、パッドK、S1、H2、あるいはパッドK、S1、C2といった組み合わせで打撃する(叩く)ことも容易である。
図2に示すように、前後方向において、パッドS1とパッドH1、H2、H3とは隣り合っている。例えば、パッドS1とパッドH3に着目し、利き手である右手で典型的な8ビートを演奏することを考える。できるだけ簡単に演奏するためには、手の形が自然なまま(指の間隔の増減が少ないまま)で、手首や指の水平移動を少なくしたい。
そこで、叩く回数が多いクローズハイハットシンバル(パッドH3)は中指で叩くのに適している。中指は持久力があり、手首からの遠心力も利用しやすいからである。また、クローズハイハットシンバルの次に叩く回数が多い第1のスネアドラム(パッドS1)は人差指で叩くのに適している。人差指は中指より短いため細かく変化する動きにも対応しやすく、高速で複雑な連打をすることが多いスネアドラムの演奏特性と相性がよいからである。
また、第1のスネアドラムの次に叩く回数が多いキックドラム(パッドK)は親指で叩くのに適している。親指は細かい動きよりも安定した力を発揮することに適し、単純なパターンを繰り返すことが多いキックドラムの演奏特性と相性がよいからである。
このように、親指、人差指、中指で、それぞれパッドK、S1、H3を操作することで、典型的な8ビート演奏を楽な姿勢で実現できる。
仮想直線P0に対して線対称に配置された組のパッドは、左右のいずれの利き手にも対応が容易であり、また、オルタネート奏法のように、逆利き手を組み合せた高度な演奏も容易である。一例として、オープンハイハットシンバルの音色が割り当てられたパッドH2を挟んで両隣に、クローズハイハットシンバルの音色が割り当てられた1組のパッドH1、H3が対称位置に配置されている。ユーザは左右の中指でパッドH1、H3を交互に打撃する。すると、中指によるオルタネート奏法により16ビート演奏を容易に実現可能となる。その際、親指と人差指については、左右の手で同じパッド(パッドK、S1)に位置させることができる。
また、オープンハイハットシンバルとクローズハイハットシンバルとを組み合わせた高度な演奏を考える。理想的には、これらのパッドは、互いに近くに配置され、且つ、左右方向に並んでいるのが望ましい。これは次の理由による。まず、前後方向の移動は肘の移動を伴うが、左右方向での小さな移動であれば肘を動かすことなく手首の移動で実現容易だからである。しかも、手首と肘を比較した場合、手首の方が高速移動に適しているからである。また、指の開き具合によって打撃位置の調整は可能であるが、極端に指間隔を開いたり閉じたりした状態を脱力して長く維持するのが困難だからである。
これらのことを考慮して、パッドH1、H3は、パッドH2に対して近く、且つパッドH2の左右両側に配置されている。従って、左右の中指によるパッドH1、H3のオルタネート奏法をしつつ、途中で左右いずれかの中指によりパッドH2を打撃することが簡単である。
次に、2つのスネアドラムの叩き分けを考える。理想的には、スネアドラムとして、通常のオープンショット、オープンリムショット、クローズドリムショットを叩き分けるために、3つのパッドを設けたい。しかし、スペース上の制約がある。頻繁に叩くパッドS1と使用頻度の低いパッドS2の2種類があれば、現実的なユースケースに概ね対応できると考えられる。そこで、パッドS1、S2を前後方向において隣接して配置し、パッドS1の前方にパッドS2を配置した。パッドS1と同様に、パッドS2も人差指での打撃が想定される。人差指は、親指に対して無理のない範囲の指の開きで前後方向の位置を調整しやすいため、頻度の低いパッドS2を比較的容易に打撃することができる。
仮想直線P0に対して線対称に配置された組として、パッドC1、C2に着目し、クラッシュシンバルを組み合わせた奏法を考える。一般に、ビートの中でハイハットシンバルがクラッシュシンバルに置き換わるケースが多い。そこで、パッドC1、C2は、パッドH1、H3の近くで且つ、パッドH1、H3に対して左右方向に並んで配置される。つまり、パッドC1はパッドH1の左隣に配置され、パッドC2はパッドH3の右隣に配置されている。手首は高速に横移動できるので、パッドC1、C2は中指で打撃されることが想定される。
また、パッドC1、C2には、互いに異なるクラッシュシンバルの音色が割り当てられている。これは、同じ音色のクラッシュシンバルを両手で連打(オルタネート奏法)するケースは少ないからである。なお、パッドC1、C2には、互いに異なるライドシンバルの音色が割り当てられてもよい。
次に、クラッシュシンバルを、キックドラムまたはスネアドラムと同時に叩くことを考える。クラッシュシンバルは、単体で叩かれるケースは少ない。パッドK、S1は横長であり、各々、境目なくパッド面が連続しており、どこが打撃されても発音音色は同じである。パッドS2も比較的横に長い。上述したように、図3に示す指姿勢のまま手を左右に移動させると、パッドK、S1、C2という組み合わせでの打撃が可能となる。その際、自然な手の形が維持され、無理な力を必要としない。
次に、ハイハットシンバルをライドシンバルに置き換えた奏法を考える。ビートの中でハイハットシンバルがクラッシュシンバルに置き換わることが多い。そのため、ライドシンバルはクラッシュシンバルの近くに位置するのが望ましい。そこで、パッドC1、C2の前方に隣接して、パッドR1、R2が配置される。パッドR1、R2は中指で打撃されることが想定される。このような配置により、親指、人差指をそれぞれパッドK、S1に位置させたまま、中指でパッドR1、R2を叩くことが容易である。その際、特に親指と人差指との関係においては、自然な手の形が維持されやすい。
また、上述のように、パッドR1、R2には互いに異なるライドシンバルの音色が割り当てられている。これは、ライドシンバルを2枚以上使用するケースは少ない一方、1枚のライドシンバルにおいてRideCupとRideTipとを行き来するケースは多いからである。しかも、RideCupまたはRideTipを、両手を用いて連打するケースは少ないことから、同じ音色を対称配置する必要性が低いからである。
次に、タムの連打について考える。第4領域40において、仮想直線P0に対して線対称な組として、パッドT3とパッドT4の組、パッドT2とパッドT5の組、パッドT1とパッドT6の組がある。対称となっている複数の組が、中央に配置されたパッドS2の両側に順番に並んで配置されている。この配置により、利き手を問わず、指替操作でのタムの連打が容易となる。
まず、スネアドラムとタムとを行き来するケースが多い。また、第2のスネアドラムよりもタムの方が重要となるケースがある。そこで、第2のスネアドラム(パッドS2)の面積をパッドS1よりも小さくすると共に、パッドS2の近くにパッドT3、T4を配置した。また、スネアドラム→ハイタム→ロータム→フロアタムという順番で叩かれるケースが多い。また、左右方向への手の移動が容易というだけでなく、指を変えるだけの移動連打も可能である。
そこで、右方に向かって順番にパッドT4、T5、T6を並べて配置することにより、右手の人差指でパッドT4→中指でパッドT5→薬指でパッドT6を打撃する奏法が容易となる。左手に関しては、左方に向かって順番にパッドT3、T2、T1を並べて配置することにより、左手の人差指でパッドT3→中指でパッドT2→薬指でパッドT1を打撃する奏法が容易となる。このように、いずれの手によっても、指を替える操作によって異なるタム音色の連続発音が容易となる。なお、タムの音色の種類の数は問わない。
パッドM1、M2は、左手前と右手前の位置に配置されている。これらの位置は、演奏操作上の制約が多いことから、使用頻度の低いパッドを配置するのが望ましいからである。重要なパッドをレイアウトした後の空きスペースが有効利用される。
このほか、パネル103の上面は、手前が低くなるような傾斜を有してもよい。これに伴い、設置面からの各パッドの上端の高さも、手前側に配置されたパッドほど低くてもよい。このような構成により、全パッドの操作がしやすくなる。例えば、自然に構えた指から見てパネル103の上面が平面に近くなる。また、自然に構えると親指が下に伸びる。
本実施の形態によれば、第1領域10、第2領域20、第3領域30はそれぞれ、バスドラム、スネアドラム、シンバルの音色が割り当てられた1以上のパッドを含む。第1領域10から遠ざかる方向に、順番に第2領域20、第3領域30が配置され、第1、第2、第3領域の形状は互いに異なる。従って、演奏情報の入力操作を容易にすることができる。特に、パッドK上に親指71が位置し且つ、パッドH1~H3のいずれかに中指73が位置するときに、パッドS1上に人差指72が位置する。従って、8ビート等の頻度が高い演奏を脱力姿勢に近い状態で実現することができる。
また、前後方向において第2領域20と第3領域30とは隣り合っている。例えば、パッドS1とパッドH1~H3とは隣り合っている。従って、第2領域20のパッドと第3領域30のパッドとを人差指と中指とで操作容易となる。
また、パッドKの長さL1、パッドS1の長さL2はいずれも、左右方向におけるパッドH1~H3の長さL3以上である。しかも、パッドK、S1の面積はパッドH1~H3のいずれの面積よりも大きい。従って、両手を使ったパッドK、S1の連打が容易となる。また、様々なパッドを組み合わせた演奏でも、自然な手の形を維持しやすい。
また、境界線51、53、52はいずれも、手前側に凸となっている曲線であるので、無理のない自然な姿勢での演奏入力が容易となる。
また、第1、第2、第3領域のうち少なくとも1つの領域における少なくとも1組のパッドは、仮想直線P0に対して線対称に配置されている。例えば、パッドH2を挟んで両隣に、パッドH1、H3が対称位置に配置されている。従って、両方の利き手に対応でき、クローズハイハットシンバル等のオルタネート奏法が容易である。
また、パッドH1、H3のそれぞれの隣に、1組のパッドC1、C2が対称位置に配置されているので、パッドH1、H3とパッドC1、C2とを行き来する指の移動量を少なくすることができる。
また、第4領域40に含まれタムの音色が割り当てられた複数組のパッドT3~T1、T4~T6は、仮想直線P0に対して線対称に配置され、パッドS2の両側に順番に並んで配置されている。従って、利き手を問わず、指替操作でのタムの連打が容易である。
また、パッドS1には、凸部61、62が設けられているので、視覚によらずにパッドS1の位置を認識することができる。
なお、第4領域40を設けることは必須でない。例えば、第1領域10と第2領域20とが隣接してもよい。なお、第4領域40の配置位置は問わない。例えば、第4領域40を、第2領域20と第3領域30との間に配置してもよいし、第1領域10の前または第3領域30の後ろに配置してもよい。
なお、入力装置100は電子楽器として構成されることは必須でなく、また、発音機能を有することも必須でない。従ってスピーカ97を設けることは必須でない。例えば、入力装置100に出力端子を設け、入力操作に応じた音情報を出力端子から外部へ出力してもよい。例えば、出力端子に不図示の音発生装置を接続し、音発生装置から音を発生させてもよい。また、入力された演奏情報を不図示のメモリに記録するか、外部に出力することで、入力装置100を、記録すべき演奏情報の入力のために用いてもよい。また、入力された演奏情報を、他の装置で再生または記録してもよい。
なお、電子楽器(ポータブルキーボード等)やMIDIキーボード等、他の電子機器に本入力装置100を搭載してもよい。
なお、パッドは物理的なものに限定されず、パッド配置は、タブレットなどの画面上で実現されてもよい。
このほか、図4で示す変形例を採用してもよい。図4は、変形例のパッド操作部50における複数のパッドの拡大図である。図2に示す例では、第1領域10と第4領域40との境界線51、第2領域20と第3領域30との境界線53、第4領域40と第3領域30との境界線52はいずれも、手前側に凸となっている曲線であった。しかしこれは必須でなく、境界線51、53、52はいずれも左右方向に平行な直線であってもよい。図4において、各パッドの相対的な配置や対称関係については、図2のものと同じ構成を採用することができる。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
10 第1領域、 20 第2領域、 30 第3領域、 40 第4領域、 50 パッド操作部、 K、H1~H3、C1、C2、S1、S2、R1、R2、M1、M2、T1~T6 パッド

Claims (15)

  1. バスドラムの音色が割り当てられた1以上の操作子を含む第1領域と、
    スネアドラムの音色が割り当てられた1以上の操作子を含む第2領域と、
    シンバルの音色が割り当てられた1以上の操作子を含む第3領域と、を有し、
    前記第1領域から遠ざかる方向に、順番に前記第2領域、前記第3領域が配置され、
    前記第1、第2、第3領域の形状は互いに異なる、入力装置。
  2. 前記第1、第2、第3領域の並び方向において、前記第2領域と前記第3領域とは隣り合っている、請求項1に記載の入力装置。
  3. 前記第3領域は、複数の操作子を含み、
    前記第1領域に含まれる操作子のうち前記バスドラムの音色が割り当てられた操作子は、前記第1、第2、第3領域の並び方向に直交する方向において、前記第3領域における2以上の操作子に亘る長さ以上の長さを有する、請求項1または2に記載の入力装置。
  4. 前記第3領域は、複数の操作子を含み、
    前記第2領域に含まれる操作子のうち前記スネアドラムの音色が割り当てられた操作子は、前記第1、第2、第3領域の並び方向に直交する方向において、前記第3領域における2以上の操作子に亘る長さ以上の長さを有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の入力装置。
  5. 前記バスドラムの音色が割り当てられた操作子の面積または前記スネアドラムの音色が割り当てられた操作子の面積の少なくとも一方は、前記第3領域における前記シンバルの音色が割り当てられたいずれの操作子の面積よりも大きい、請求項3または4に記載の入力装置。
  6. 前記第1領域と他の領域との境界線、または、前記第2領域と前記第3領域との境界線、の少なくとも一方は曲線である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の入力装置。
  7. 前記第1、第2、第3領域の並び方向において、前記スネアドラムの音色が割り当てられた操作子と前記シンバルの音色が割り当てられた操作子とは隣り合っている、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の入力装置。
  8. 前記第1、第2、第3領域のうち少なくとも1つの領域における少なくとも1組の操作子は、前記第1、第2、第3領域の並び方向に平行な仮想直線に対して線対称に配置されている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の入力装置。
  9. 前記第3領域において、オープンハイハットシンバルの音色が割り当てられた操作子を挟んで両隣に、クローズハイハットシンバルの音色が割り当てられた1組の操作子が対称位置に配置されている、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の入力装置。
  10. クローズハイハットシンバルの音色が割り当てられた前記1組の操作子のそれぞれの隣に、さらに、クラッシュシンバルまたはライドシンバルの音色が割り当てられた1組の操作子が対称位置に配置されている、請求項9に記載の入力装置。
  11. 前記第1、第2、第3領域の並び方向において、前記第1領域と前記第3領域との間に第4領域があり、
    前記第4領域は、タムの音色が割り当てられた1以上の操作子を含む、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の入力装置。
  12. 前記第4領域に含まれる複数組の操作子は、前記並び方向に平行な仮想直線に対して線対称に配置され、
    前記複数組の操作子は、前記並び方向に直交する方向において、中央に配置された操作子の両側に順番に並んで配置されている、請求項11に記載の入力装置。
  13. 前記第2領域において、前記スネアドラムの音色が割り当てられた操作子には、触覚により認識可能な識別部が設けられている、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の入力装置。
  14. バスドラムの音色が割り当てられた第1操作子と、
    スネアドラムの音色が割り当てられた第2操作子と、
    シンバルの音色が割り当てられた第3操作子と、を有し、
    前記第1操作子に親指が位置し且つ前記第3操作子に中指が位置するときに、前記第2操作子に人差指が位置するように、前記第1、第2、第3操作子が配置されている、入力装置。
  15. 上方から見て、前記第1操作子の重心と前記第2操作子の重心とを通る仮想直線が前記第3操作子を通らない、請求項14に記載の入力装置。
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