JP2023139490A - シリカ系粒子分散液、それを含む磁気ディスク基板研磨用研磨スラリー、それを含む磁気ディスク基板研磨用組成物およびシリカ系粒子群の製造方法 - Google Patents

シリカ系粒子分散液、それを含む磁気ディスク基板研磨用研磨スラリー、それを含む磁気ディスク基板研磨用組成物およびシリカ系粒子群の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】研磨用砥粒分散液や研磨スラリーとして使用した場合、対象がNiPメッキされた被研磨被膜およびシリカ系基板であっても、高速で研磨することができ、同時に高面精度を達成することができるシリカ系微粒子分散液の提供【解決手段】シリカ系粒子群を含むシリカ系粒子分散液であって、前記シリカ系粒子群が下記の条件を満たす、シリカ系粒子分散液。比表面積換算粒子径が特定範囲であること。走査型電子顕微鏡による画像解析から得られる粒子径個数分布図において、粒子径の小さい粒子からの累積1%粒子径(D1)および累積99%粒子径(D99)の粒子径差(D99-D1)の1/6を区切りとして、D1からD99までを6等分したそれぞれの面積をS1~S6とした際に、S1からS6の面積の変動係数が110%以下であること。走査型電子顕微鏡による画像解析から得られる短径/長径比の平均値が0.8以上であること。【選択図】なし

Description

本発明は、シリカ系粒子分散液等に関する。詳細には、研磨材として好ましい粒子径、粒子径分布を有するシリカ系粒子群を含み、特に、磁気ディスク製造においてNiPメッキされた被研磨基板およびシリカ系基板を化学機械的研磨(ケミカルメカニカルポリッシング、CMP)により平坦化するための研磨用砥粒分散液として好適なシリカ系粒子分散液等に関する。
磁気ディスクや半導体などの製造プロセスでは、Siウエハ、ガラスHD、アルミHDなどの基板を平坦化させるために、化学機械的研磨(CMP)が適用されている。この化学機械的研磨では、シリカやセリアなどの砥粒を水に分散させ、さらに研磨性能を制御するためにケミカル成分を添加した、いわゆる研磨スラリーが用いられている。特に、砥粒は研磨性能に大きな影響を及ぼすことが知られており、砥粒に求められる性能としては、高い研磨速度を得ることができ且つ研磨面にスクラッチ(線条痕)などのディフェクト(欠陥)が生じない事、研磨後の基板の表面が平滑であること(低表面粗さ)が挙げられる。しかし、通常は、研磨速度を高くしようとして粒子サイズや粒子径の形状を変えると、研磨速度は高くなるものの、ディフェクトが増加し、基板の表面粗さも悪化する傾向にある。
高い研磨速度を得る方法としては、大きな粒子径の砥粒を使用する事が一般的である。しかし、砥粒の粒子径が大きくなり過ぎると、質量当たりの砥粒個数が減少するため逆に研磨速度が低下し、さらにスクラッチも増加する傾向にある。そこで、高い研磨速度を得るために、砥粒を非球形とする、つまり砥粒を異形形状の粒子(異形粒子)とすることが有効である事が知られている。
研磨材に適した粒子径を有する異形シリカ粒子を含むシリカ粒子群を調製する方法としては、水ガラスを原料として核生成時にシリカ粒子を凝集させる方法や、この方法などから調製した異形のシード粒子に珪酸液を添加して粒子径を大きく成長させる方法(特許文献1)が従来から知られている。
異形粒子は、異形度(重量平均粒子径と投影面積相当粒子径との比)が高いほど研磨速度が向上するが、それにともなってスクラッチが多発し、また研磨基板の表面粗さが悪化する傾向にある。スクラッチを抑制するために、異形度を下げるとスクラッチは抑制されるものの研磨速度が向上せず、研磨速度とスクラッチの発生がトレードオフの関係にある。
一方、真球状粒子はスクラッチが抑制され、基板の表面粗さを平滑にできるものの、研磨速度が低く生産が悪いという課題があった。真球状粒子の研磨速度を向上させるためには、一般的には粒子径を大きくすることが行われているが、粒子径を大きくし過ぎるとスクラッチが生じ易く、研磨後の基板の面精度も悪化する。また同一シリカ濃度で考えた場合、粒子個数が減少するため研磨速度もさほど向上しない。
真球状粒子の研磨速度を向上させる別の方法として、シリカ砥粒の粒度分布を調整する方法が知られており、特許文献2では80~500nmの大粒径シリカと5~70nmの小粒径シリカを混合させる方法が開示されている。しかし本願発明者らが実際に検討してみたところ、研磨速度は向上するものの十分ではなかった。
更に、このような粒度配合は、2種類以上の粒子を混合するため必然的に小粒子成分と大粒子成分が存在する。通常、砥粒の粒子径分布は正規分布を備えるため、複数種の粒子を粒度配合しても、小粒子成分の粒子径分布における小粒子はかなり小さな極小粒子を含む。同様に大粒子成分の粒子径分布における大粒子成分はかなり大きな極大粒子を含む。そのため、研磨後の基板に極小粒子が残留したり、極大粒子がスクラッチを引き起こす懸念があった。
特許第5127452号公報 特開2015-093932号公報
本発明は、研磨用途に適用した場合、例えば、シリカ系基板あるいはNiPメッキされた被研磨基板に対して、高い研磨速度及び高面積度を達成することが可能なシリカ系粒子群と、このシリカ系粒子群を含むシリカ系粒子分散液およびこのシリカ系粒子群の製造方法を提供する事を目的とする。
より詳細には、研磨砥粒分散液については、より高速での研磨が求められており、更に併せて、かつ極小研磨粒子の基板への残留抑制と、極大粒子による基板でのスクラッチ抑制が求められていた。
これに対し、従来、例えば、粒子径分布が正規分布であって、最頻値に差がある粒子群どうしを複数種混合して、混合系の研磨砥粒ないし研磨砥粒分散液を調製することが行われていた。しかしながら、この場合、それぞれの元の粒子群の粒子径分布が、小粒子側と、大粒子側にテーリングしており、結果として、極小研磨粒子の基板への残留抑制と、極大粒子による基板でのスクラッチ抑制を達成するには至っていなかった。
本発明者は上記課題を解決するため、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、小粒子径側から大粒子径側までの広範な粒子径分布を備えており、その粒子径分布が非正規分布であり、該非正規分布は、粒子径分布に対応する粒子径範囲〔粒子径の小さい粒子からの累積1%粒子径(D1)と、同累積99%粒子径(D99)の粒子径差(D99-D1)に相当〕を6等分し、この6等分した各粒子径範囲に対応する粒子径分布の領域の面積が比較的均等な分布を備えるシリカ系粒子群を含むシリカ系粒子分散液である。
このようなシリカ系粒子分散液に含まれるシリカ系粒子群は、その粒子径分布が広範な粒子径範囲に及ぶにも拘わらず、極小粒子並びに極大粒子を含む割合が極めて小さいので、同シリカ系粒子分散液は高い研磨速度を示し、かつ極小粒子の基板への残留を抑制でき、極大粒子によるスクラッチも抑制することができる。
従来、シリカゾルの製造法では、水硝子をイオン交換樹脂で脱塩して得られる珪酸液と、アルカリ源として水硝子や水酸化ナトリウムが原料として用いられている。シリカゾルの製法の一例として、珪酸液を必要に応じて純水で希釈し、アルカリを添加して均一に混合後に、加熱してシード液を調製し、次いで珪酸液を添加することでシリカゾルを得る方法がある。この場合、シード液のpH、温度を適切に選択して過飽和度を調整することでシード液から核粒子が生成する。次に、生成した核粒子は連続して添加される珪酸液で所望のサイズに粒子成長させる。この工程で生じる核粒子は、正規分布または正規分に近い粒子径分布を備えていると推定され、粒子成長後に得られるシリカゾルの粒子径分布は、通常、正規分布または正規分に近い粒子径分布を備える。核生成の条件を選択する事で、粒子径分布が広いシリカゾルを得ることもできるが、分布が広い場合であっても、その分布形状は正規分布となる。また粒子成長のために添加する珪酸液の添加速度が速すぎる場合などは、珪酸液による自己核生成が生じ、2峰分布となることがあるが、このような場合であっても2峰それぞれが正規分布となる。更に、サイズの異なる複数種のシリカゾルを混合した場合、粒子径分布は広くなり、配合する粒子のサイズによっては非正規分布となり得るが、配合するそれぞれの粒子が正規分布を備えているため、配合後に極小粒子と極大粒子が存在することになる。
本発明者は、小粒子径側から大粒子径側までの広範な粒子径分布を備えており、その粒子径分布が非正規分布であり、該非正規分布は、粒子径分布に対応する粒子径範囲〔粒子径の小さい粒子からの累積1%粒子径(D1)と、同累積99%粒子径(D99)の粒子径差(D99-D1)に相当〕を6等分し、この6等分した各粒子径範囲に対応する粒子径分布の領域の面積が比較的均等な分布を備えるシリカ系粒子群を含むシリカ系粒子分散液を得る製造方法として、所定の温度範囲のアルカリ水溶液(ないしは希釈アルカリ水溶液)に、種粒子としてシリカゾルを連続的または断続的に添加して、種粒子を粒子成長させる方法を検討した。
より詳細には、所定の温度範囲のアルカリ水溶液(ないしは希釈アルカリ水溶液)に、種粒子としてシリカゾルを連続的または断続的に添加した場合、添加初期に添加した種粒子(例えば、種粒子としての微小シリカゾル)は比較的大きく成長し、添加後期ないし終期に添加した種粒子は、殆ど粒子成長が進行しない。このような方法で調合して得られたシリカゾルの粒子径分布は正規分布を示さず、極小粒子と極大粒子の発生を抑制することができる。
前記知見に基づき、本発明者は、研磨材として好適な非正規分布であり、粒子径個数分布を6つの領域に分割し、各領域の面積が比較的均等な分布を備えるシリカ系粒子群およびそれらを効率よく製造する方法である本発明を完成させた。
本発明は以下の(1)~(6)である。
(1)シリカ系粒子群を含むシリカ系粒子分散液であって、前記シリカ系粒子群が下記[1]~[3]の条件を満たす、シリカ系粒子分散液。
[1]比表面積換算粒子径DSAが5nm以上300nm以下であること。
[2]走査型電子顕微鏡(SEM)による画像解析から得られる粒子径個数分布図において、粒子径の小さい粒子からの累積1%粒子径(D1)および累積99%粒子径(D99)の粒子径差(D99-D1)の1/6を区切りとして、D1からD99までを6等分したそれぞれの面積をS1~S6とした際に、S1からS6の面積の変動係数が110%以下であること。
[3]走査型電子顕微鏡(SEM)による画像解析から得られる短径/長径比の平均値が0.8以上であること。
(2)前記シリカ系粒子群の粒子径個数分布における尖度が0以下である、上記(1)に記載のシリカ系粒子分散液。
(3)上記(1)または(2)に記載のシリカ系粒子分散液を含む、磁気ディスク基板研磨用研磨スラリー。
(4)上記(1)または(2)に記載のシリカ系粒子分散液を含む、磁気ディスク基板研磨用組成物。
(5)下記工程1から工程3を含む、球状シリカ系粒子を含むシリカ系粒子群の製造方法。
(工程1)アルカリを含む希釈アルカリ水溶液を加熱する工程。
(工程2)工程1によって得られた加熱された前記希釈アルカリ水溶液に、種粒子を連続的または断続的に添加しながら珪酸液を添加して前記種粒子を粒子成長させる工程。
(工程3)種粒子および珪酸液の添加終了後に、温度を保ったまま熟成させる工程。
(6)下記工程Aから工程Cを含む、球状シリカ系粒子を含むシリカ系粒子群の製造方法。
(工程A)アルカリを含む希釈アルカリ水溶液に第一の種粒子を添加して加熱する工程。
(工程B)工程Aによって得られた加熱されたアルカリ及び第一の種粒子を含む溶液に、第二の種粒子を連続的または断続的に添加しながら更に珪酸液を添加して、第一の種粒子及び第二の種粒子を粒子成長させる工程。
(工程C)工程Bにおいて前記第二の種粒子および珪酸液の添加終了後に、温度を保ったまま熟成させる工程。
本発明のシリカ系粒子群は、研磨材として好適な粒子径、粒子径個数分布を有しているので、これを含むシリカ系粒子分散液を、例えば研磨用砥粒分散液として使用した場合、あるいはこの研磨用砥粒分散液をそのまま研磨スラリーとして使用した場合、対象がNiPメッキされた被研磨被膜およびシリカ系基板であっても、高速で研磨することができる。また、被研磨基板の面精度に関わる指標に関しては、極小粒子の基板への残留や極大粒子による被研磨基板でのスクラッチの発生を抑制することに優れ、かつ、被研磨基板の表面粗さ(Ra)は実用的な水準を示すことができる。更に被研磨基板上でのうねりの発生を抑制する効果も期待される。
さらに、本発明のシリカ系粒子群の製造方法では、調合工程において核粒子を連続的または断続的に添加して粒子成長させるため、その粒子径個数分布は非正規分布であって、面積を6等分した場合の各面積の変動係数が小さい粒子を効率よく製造することができる。
本発明について説明する。
本発明は、シリカ系粒子群を含むシリカ系粒子分散液であって、前記シリカ系粒子群が下記[1]~[3]の条件を満たす、シリカ系粒子分散液である。
[1]比表面積換算粒子径DSAが5nm以上300nm以下であること。
[2]走査型電子顕微鏡(SEM)による画像解析から得られる粒子径個数分布図において、粒子径の小さい粒子からの累積1%粒子径(D1)および累積99%粒子径(D99)の粒子径差(D99-D1)の1/6を区切りとして、D1からD99までを6等分したそれぞれの面積をS1~S6とした際に、S1からS6の面積の変動係数が110%以下であること。
[3]走査型電子顕微鏡(SEM)による画像解析から得られる短径/長径比が0.8以上であること。
このようなシリカ系微粒子分散液を、以下では「本発明の分散液」ともいう。
また、本発明の分散液が含む、上記[1]~[3]の条件を満たすシリカ系粒子群を、以下では「本発明のシリカ系粒子群」ともいう。
また、本発明は、下記工程1から工程3を含む、球状シリカ系粒子を含むシリカ系粒子群の製造方法である。
(工程1)アルカリを含む希釈アルカリ水溶液を加熱する工程。
(工程2)工程1によって得られた加熱された前記希釈アルカリ水溶液に、種粒子を連続的または断続的に添加しながら珪酸液を添加して前記種粒子を粒子成長させる工程。
(工程3)前記種粒子および前記珪酸液の添加終了後に、温度を保ったまま熟成させる工程。
このような製造方法を、以下では「本発明の第1の製造方法」ともいう。
さらに本発明は、下記工程Aから工程Cを含む、球状シリカ系粒子を含むシリカ系粒子群の製造方法である。
(工程A)アルカリを含む希釈アルカリ水溶液に、第一の種粒子を添加して加熱する工程。
(工程B)工程Aによって得られた加熱された前記アルカリ及び前記第一の種粒子を含む溶液に、第二の種粒子を連続的または断続的に添加しながら更に珪酸液を添加して、前記第一の種粒子及び前記第二の種粒子を粒子成長させる工程。
(工程C)工程Bにおいて前記第二の種粒子および前記珪酸液の添加終了後に、温度を保ったまま熟成させる工程。
このような製造方法を、以下では「本発明の第2の製造方法」ともいう。
以下において単に「本発明の製造方法」と記す場合、「本発明の第1の製造方法」および「本発明の第2の製造方法」のいずれをも意味するものとする。
また、以下において単に「本発明」と記す場合、「本発明のシリカ系粒子群」、「本発明の分散液」、「本発明の第1の製造方法」および「本発明の第2の製造方法」のいずれをも意味するものとする。
本発明について具体的に説明する。なお、本発明において「粒子群」の文言は、多数の粒子の集合を意味する。
<本発明のシリカ系粒子群>
本発明のシリカ系粒子群について説明する。
<比表面積換算粒子径(DSA)>
本発明のシリカ系粒子群の比表面積換算粒子径(DSA)は5~300nmであり、10~200nmが好ましく、10~100nmであることがより好ましく、10~50nmであることが最も好ましい。比表面積換算粒子径(DSA)が5~300nmの範囲にあるシリカ系粒子群を砥粒として用いた場合は、高い研磨速度を得ることができ、且つスクラッチが発生しにくい。なお、比表面積換算粒子径(DSA)が5nm未満であるシリカ系粒子群を砥粒として用いた場合は、必要な研磨速度が得にくく、さらに小さな粒子が研磨後の基板に残留しやすい傾向にある。また、比表面積換算粒子径(DSA)が300nm超であるシリカ系粒子群を砥粒として用いた場合は、スクラッチが発生したり研磨後の基板の表面粗さが悪化したりする傾向にある。さらに、比表面積換算粒子径をこれ以上大きくしても、質量当たりの砥粒個数が減少するため、逆に研磨速度が低下する傾向にある。
なお、本発明において比表面積換算粒子径(DSA)とは、比表面積換算の平均粒子径を意味し、原則としてBET法により測定される比表面積(SA:m2/g)と、粒子の密度(ρ)[シリカの場合ρ=2.2]を用い、(DSA)=6000/(SA×ρ)の式から算出される。
ここでBET法とは、次のような方法である。
初めに、測定対象であるシリカ系粒子分散液50ml(固形分濃度20質量%)を硝酸によりpHを3.5に調整し、これに1-プロパノールを40ml加えて110℃で16時間乾燥した試料について、乳鉢で粉砕後、マッフル炉にて500℃、1時間焼成して測定用試料とする。そして、公知の比表面積測定装置(例えばユアサアイオニクス製、型番マルチソーブ12など)を使用し、窒素吸着法(BET法)を用いて窒素の吸着量からBET1点法により比表面積を算出する。比表面積測定装置では、焼成後の試料0.5gを測定セルに取り、窒素30vol%/ヘリウム70vol%混合ガス気流中、300℃で20分間脱ガス処理を行い、その上で試料を上記混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に平衡吸着させる。次いで、上記混合ガスを流しながら試料温度を徐々に室温まで上昇させ、その間に脱離した窒素の量を検出し、予め作成した検量線により試料中のシリカ系粒子の比表面積(SA)を算出する。
また、シリカ系粒子群の比表面積が高い場合には、BET法における焼成時に焼結が進むため、その比表面積(SA)が100m2/g以上となった場合には、タイトレーション法により比表面積(SA)を求め、(DSA)=6000/(SA×ρ)の式から比表面積換算粒子径(DSA)を算出する。
ここでタイトレーション法とは、次のような方法である。
まず初めに、SiO2として1.5gに相当する試料をビーカーに採取してから、恒温反応槽(25℃)に移し、純水を加えて液量を90mlにする(以下の操作は、25℃に保持した恒温反応槽中にて行う)。次に、pH3.6になるように0.1モル/L塩酸水溶液をここに加える。さらに、塩化ナトリウムを30g加え、純水で150mlに希釈し、10分間攪拌する。そして、pH電極をセットし、攪拌しながら0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液を滴下してpH4.0に調整する。さらに、pH4.0に調整した試料を0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液で滴定し、pH8.7~9.3の範囲での滴定量とpH値を4点以上記録して、0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の滴定量をX、その時のpH値をYとして、検量線を作る。そして、V=(A×f×100×1.5)/(W×C)の式からSiO21.5g当たりのpH4.0~9.0までに要する0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の消費量V(ml)を求め、これを用いて、SA=29.0V-28の式に従って比表面積を求める。
なお、上記式中において、AはSiO21.5g当たりpH4.0~9.0までに要する0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の滴定量(ml)、fは0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の力価、Cは試料のSiO2濃度(%)、Wは試料採取量(g)を意味する。
<粒子径個数分布>
本願において粒子径個数分布とは、シリカ系粒子の粒子径毎に対応する粒子径のシリカ系粒子が存在する個数を表した関係図(ヒストグラム)である。その測定方法等は次のとおりである。
<粒子径個数分布の測定方法>
粒子径個数分布とは、次のような方法により測定、算出されたものである。
シリカ系粒子分散液(固形分濃度:10質量%)をコロジオン膜上に1滴を滴下し、乾燥させた後、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、シリカ系粒子群の無作為に定めた箇所を、倍率3000倍で1視野当たり1.1×10-3mm2の面積で15視野撮影する。そして、この各視野において撮影された個々の画像に含まれる全てのシリカ系粒子について、画像解析システムを用いて個々の粒子の投影面積を測定し、この測定された各面積に相当する円形の粒子の粒子径(円の直径;等面積円相当径)を算出し、粒子径個数分布図(粒子径(μm)と頻度(個数)との関係図)を作成し、粒子径個数分布図とした。
前記画像解析システムとしては、例えば、SEM用画像解析ソフトウェア(株式会社オリンパス製Scandium)を用いることができる。本願においては、前記画像解析システムとしては、同ソフトウェアを用いた。
前記走査型電子顕微鏡としては、公知の走査型電子顕微鏡を使用できる。本願においては、日本電子株式会社製:JSM-5300型を使用した。
<粒子径個数分布の変動係数>
上記のようにして走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて得られた粒子径個数分布図において、粒子径の小さい方からの累積1%粒子径(D1)および累積99%粒子径(D99)を求め、その粒子径差(D99-D1)を算出する。この粒子径差を6で除した値を粒子径の区切りとして、D1からD99までを6分割したそれぞれの粒子径範囲に対応する粒子径個数分布領域の面積を、小粒子側からそれぞれS1、S2、S3、S4、S5及びS6とした際に、S1からS6の面積の変動係数(CV値)[%]を算出する。
具体的にはD99-D1[μm]の値を6で割って得た商をaとしたとき、累積1%粒子径D1及び累積99%粒子径D99を算出するために画像解析法によって求めた累積粒子径と粒子の個数との関係を示す粒子径個数分布図における、D1~D1+a[μm]の領域の面積をS1、D1+a~D1+2a[μm]の領域の面積をS2、D1+2a~D1+3a[μm]の領域の面積をS3、D1+3a~D1+4a[μm]の領域の面積をS4、D1+4a~D1+5a[μm]の領域の面積をS5、D1+5a~D1+6a(=D99)[μm]の領域の面積をS6とする。
そして、このS1からS6の面積について標準偏差(δ)、ならびに単純平均値(μ)を求め、CV=δ/μの算定値に100を掛けて得られた値を変動係数(CV値)[%]とした。
本発明のシリカ系粒子群は、このようにして求めた変動係数が110%以下の範囲であり、100%以下の範囲が好ましく、90%以下の範囲が最も好ましい。変動係数が小さいシリカ粒子群とは、6つの領域の面積が比較的均等であり、通常は、その粒子径個数分布は非正規分布である。この変動係数が高い場合は、6つの領域の面積において、極端に面積が少ない領域と極端に面積が多い領域が存在することを示している。通常は正規分布であるため、そのような分布は小粒子側及び大粒子側の面積が徐々に減少している分布を示す。そのため、そのようなシリカ系粒子には、極小粒子と極大粒子を多く含むため、極小粒子は基板への残留が懸念され、極大粒子はスクラッチを生じる懸念がある。
<尖度>
本発明のシリカ系粒子群の粒子径個数分布における尖度は0以下であることが好ましく、負の値をとることがより好ましい。ここで尖度とは、粒子の形状や大きさには関係なく、粒子径個数分布からのみ算出されるものであり、尖度がゼロ(正規分布)に近い場合は、正規分布に近い粒子であることを示している。また尖度がゼロよりも大きな値を取る粒子径個数分布は、ピークの中央が正規分布と比較して尖り、分布の裾の左右が広がった分布である事を示し、尖度がゼロよりも小さな値を示す粒子径個数分布は、ピークが平坦で分布の裾の左右が広がっていない形状である事を示している。
尖度が負であるシリカ系粒子群は、正規分布と比較した小粒子側および大粒子側の分布の立ち上がりが急峻であることを示している。そのため、平均粒子径が同じであっても正規分布であるシリカ系粒子群と比較すると、極小粒子や極大粒子の含有量が非常に少ない。そのため、極小粒子が基板に残留する傾向は小さく、極大粒子によるスクラッチの発生は抑制される傾向にある。さらに粒子径個数分布も比較的広範であるため、研磨速度が高く、研磨後により平滑な(表面粗さ(Ra)が小さく、基板のうねり(Wa)も小さく、スクラッチが少ない)表面の基板を得ることができる。
<短径/長径比>
本発明のシリカ系粒子群は、短径/長径比の平均値が0.8以上である。短径/長径比の平均値が0.8以上であるような粒子は、粒子の形状が真球状であることを示している。真球状の粒子は、研磨基板のスクラッチを抑制でき、更に基板の表面を平滑に仕上げることができる。一方、短径/長径比の平均値が0.8未満である粒子は、実質的に異形粒子である。このような異形粒子と研磨用途に用いた場合、研磨速度は高いものの、スクラッチが多発し、基板の表面粗さも粗くなる傾向にある。
なお、本発明のシリカ系粒子群は、短径/長径比の平均値は、次のように求めた値を意味するものとする。
初めに、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、シリカ系粒子群の任意の箇所を倍率3000倍で観察し、画像解析ソフト(例えば、西華デジタルイメージ株式会社製の画像解析ソフトRaduis)を用いてアスペクト比を求め、アスペクト比の逆数を短径/長径比とする。具体的には、任意の1000個以上のシリカ系粒子を対象とし、個々のシリカ系粒子に対する外接四角形において、長さと幅の比が最大となる外接四角形を求め、その外接四角形のアスペクト比、すなわち外接四角形の長径/短径比を求めることができる。このアスペクト比の逆数が短径/長径比となる。1000個以上のシリカ系粒子に対する短径/長径比を単純平均したものが、シリカ系粒子群の短径/長径比である。
<研磨用砥粒分散液>
本発明のシリカ系粒子分散液は、研磨用砥粒分散液(以下では「本発明の研磨用砥粒分散液」ともいう)として好ましく用いることができる。本発明の研磨用砥粒分散液またはこれを含む分散液は、磁気ディスク基板研磨用組成物として、特に、磁気ディスクを研磨するために好ましく用いることができる。さらに、SiO2絶縁膜が形成された半導体基板の平坦化用の研磨用砥粒分散液として好適に使用することができる。また、研磨性能を制御するためにケミカル成分を添加し、研磨スラリーとしても好適に用いることができる。つまり、本発明の研磨用砥粒分散液またはこれを含む分散液は、磁気ディスク基板研磨用研磨スラリーとして好ましく用いることができる。
そして、本発明の研磨用砥粒分散液(本発明のシリカ系粒子分散液)を含む研磨スラリーまたは研磨用組成物は磁気ディスクや半導体基板などを研磨する際の研磨速度が高く、また研磨時に研磨面のスクラッチが少ない、基板への砥粒の残留が少ないなどの効果に優れ、研磨作業の効率を格段に高めることができる。
本発明の研磨用砥粒分散液(本発明のシリカ系粒子分散液)は、分散溶媒として水および/または有機溶媒を含む。この分散溶媒として、例えば純水、超純水、イオン交換水のような水を用いることが好ましい。さらに、本発明の研磨用砥粒分散液に、研磨性能を制御するための添加剤として、研磨促進剤、界面活性剤、複素環化合物、pH調整剤、pH緩衝剤および沈降抑制剤からなる群より選ばれる1種以上を添加することで、研磨スラリーとしてより好適に用いられる。
<研磨促進剤>
本発明の研磨用砥粒分散液に、被研磨材の種類によっても異なるが、必要に応じて従来公知の研磨促進剤を添加することで研磨スラリーとして、使用することができる。この様な例としては、過酸化水素、過酢酸、過酸化尿素など及びこれらの混合物を挙げることができる。このような過酸化水素等の研磨促進剤を含む研磨剤組成物を用いると、被研磨材が金属の場合には効果的に研磨速度を向上させることができる。
研磨促進剤の別の例としては、硫酸、硝酸、リン酸、シュウ酸、フッ酸等の無機酸、酢酸等の有機酸、あるいはこれら酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩およびこれらの混合物などを挙げることができる。これらの研磨促進剤を含む研磨用組成物の場合、複合成分からなる被研磨材を研磨する際に、被研磨材の特定の成分についての研磨速度を促進することにより、最終的に平坦な研磨面を得ることができる。
本発明の研磨用砥粒分散液が研磨促進剤が添加されたものである場合、その含有量としては、添加後において0.1~10質量%であることが好ましく、0.5~5質量%であることがより好ましい。
<界面活性剤および/または親水性化合物>
本発明の研磨用砥粒分散液の分散性や安定性を向上させるためにカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性系の界面活性剤または親水性化合物を添加することができる。界面活性剤と親水性化合物は、いずれも被研磨面への接触角を低下させる作用を有し、均一な研磨を促す作用を有する。界面活性剤および/または親水性化合物としては、例えば、以下の群から選ばれるものを使用することができる。
陰イオン界面活性剤として、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩が挙げられ、カルボン酸塩として、石鹸、N-アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド;スルホン酸塩として、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンおよびアルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、N-アシルスルホン酸塩;硫酸エステル塩として、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩;リン酸エステル塩として、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテルリン酸塩を挙げることができる。
陽イオン界面活性剤として、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩;両性界面活性剤として、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイドを挙げることができる。
非イオン界面活性剤として、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型が挙げられ、エーテル型として、ポリオキシエチレンアルキルおよびアルキルフェニルエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが挙げられ、エーテルエステル型として、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、エステル型として、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル、含窒素型として、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が例示される。その他に、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
界面活性剤としては陰イオン界面活性剤もしくは非イオン系界面活性剤が好ましく、また、塩としては、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等が挙げられ、特にアンモニウム塩およびカリウム塩が好ましい。
さらに、その他の界面活性剤、親水性化合物等としては、グリセリンエステル、ソルビタンエステルおよびアラニンエチルエステル等のエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリエチレングリコール、アルキルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリエチレングリコール、アルケニルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルケニルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリプロピレングリコール、アルキルポリプロピレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリプロピレングリコール等のエーテル;アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、カードランおよびプルラン等の多糖類;グリシンアンモニウム塩およびグリシンナトリウム塩等のアミノ酸塩;ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸アンモニウム塩、ポリメタクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマル酸、ポリ(p-スチレンカルボン酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アミノポリアクリルアミド、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリアミド酸アンモニウム塩、ポリアミド酸ナトリウム塩およびポリグリオキシル酸等のポリカルボン酸およびその塩;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびポリアクロレイン等のビニル系ポリマ;メチルタウリン酸アンモニウム塩、メチルタウリン酸ナトリウム塩、硫酸メチルナトリウム塩、硫酸エチルアンモニウム塩、硫酸ブチルアンモニウム塩、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、1-アリルスルホン酸ナトリウム塩、2-アリルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3-エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩等のスルホン酸およびその塩;プロピオンアミド、アクリルアミド、メチル尿素、ニコチンアミド、コハク酸アミドおよびスルファニルアミド等のアミド等を挙げることができる。
なお、適用する被研磨基材がガラス基板等である場合は、何れの界面活性剤であっても好適に使用できるが、半導体集積回路用シリコン基板などの場合であって、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはハロゲン化物等による汚染の影響を嫌う場合にあっては、酸もしくはそのアンモニウム塩系の界面活性剤を使用することが望ましい。
本発明の研磨用砥粒分散液が界面活性剤および/または親水性化合物が添加されたものである場合、その含有量は、総量として、添加後の研磨用砥粒分散液の1L中、0.001~10gとすることが好ましく、0.01~5gとすることがより好ましく0.1~3gとすることが特に好ましい。
なお、界面活性剤および/または親水性化合物の含有量は、充分な効果を得る上で、これらを添加後の研磨用砥粒分散液の1L中、0.001g以上が好ましく、研磨速度低下防止の点から10g以下が好ましい。
界面活性剤または親水性化合物は1種のみでもよいし、2種以上を使用してもよく、異なる種類のものを併用することもできる。
<複素環化合物>
本発明の研磨用砥粒分散液については、被研磨基材に金属が含まれる場合に、金属に不動態層または溶解抑制層を形成させて、被研磨基材の侵食を抑制する目的で、複素環化合物を添加しても構わない。ここで、「複素環化合物」とはヘテロ原子を1個以上含んだ複素環を有する化合物である。ヘテロ原子とは、炭素原子、または水素原子以外の原子を意味する。複素環とはヘテロ原子を少なくとも一つ持つ環状化合物を意味する。ヘテロ原子は複素環の環系の構成部分を形成する原子のみを意味し、環系に対して外部に位置していたり、少なくとも一つの非共役単結合により環系から分離していたり、環系のさらなる置換基の一部分であるような原子は意味しない。ヘテロ原子として好ましくは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、およびホウ素原子などを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。複素環化合物の例として、イミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、テトラゾールなどを用いることができる。より具体的には、1,2,3,4-テトラゾール、5-アミノ-1,2,3,4-テトラゾール、5-メチル-1,2,3,4-テトラゾール、1,2,3-トリアゾール、4-アミノ-1,2,3-トリアゾール、4,5-ジアミノ-1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、3-アミノ1,2,4-トリアゾール、3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾールなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の研磨用砥粒分散液に複素環化合物を添加する場合の含有量については、添加後において0.001~1.0質量%であることが好ましく、0.001~0.7質量%であることがより好ましく、0.002~0.4質量%であることがさらに好ましい。
<pH調整剤>
上記各添加剤の効果を高めるためなどに必要に応じて酸または塩基およびそれらの塩類化合物を添加して研磨用組成物のpHを調節することができる。
本発明の研磨用砥粒分散液、これを含む研磨用スラリー(磁気ディスク基板研磨用研磨スラリー)、またはこれを含む研磨用組成物(磁気ディスク基板研磨用組成物)をpH7以上に調整するときは、pH調整剤として、アルカリ性のものを使用する。望ましくは、水酸化ナトリウム、アンモニア水、炭酸アンモニウム、エチルアミン、メチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルアミンなどのアミンが使用される。
本発明の研磨用砥粒分散液、これを含む研磨用スラリー(磁気ディスク基板研磨用研磨スラリー)、またはこれを含む研磨用組成物(磁気ディスク基板研磨用組成物)をpH7未満に調整するときは、pH調整剤として、酸性のものが使用される。例えば、酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリセリン酸などのヒドロキシ酸類の様な、塩酸、硝酸などの鉱酸が使用される。
<pH緩衝剤>
本発明の研磨用砥粒分散液、これを含む研磨用スラリー(磁気ディスク基板研磨用研磨スラリー)、またはこれを含む研磨用組成物(磁気ディスク基板研磨用組成物)のpH値を一定に保持するために、pH緩衝剤を使用しても構わない。pH緩衝剤としては、例えば、リン酸2水素アンモニウム、リン酸水素2アンモニウム、4ホウ酸アンモ四水和水などのリン酸塩およびホウ酸塩または有機酸塩などを使用することができる。
<沈降抑制剤>
本発明の研磨用砥粒分散液、これを含む研磨用スラリー(磁気ディスク基板研磨用研磨スラリー)、またはこれを含む研磨用組成物(磁気ディスク基板研磨用組成物)は、沈降を抑制し、仮に沈降した場合であって易分散化させる目的で沈降抑制剤を添加しても構わない。沈降抑制剤としては特に制限はないが、ポリカルボン酸系界面活性剤、陰イオン系高分子界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボン酸系共重合体ナトリウム塩、カルボン酸系共重合体アンモニウム塩、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸、スルホン酸系共重合体ナトリウム塩、脂肪酸塩、α-スルホ脂肪酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩エステル、アルキル硫酸トリエタノールアミン、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、アルキルピリジウムクロリド、アルキルカルボキシベタイン、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン結合物、カルボキシメチルセルロース、オレフィン・無水マレイン酸共重合物、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ポリアルキレンポリアミン、ポリアクリルアミド、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレンブロック、ポリマーでんぷん、ポリエチレンイミン、アミノアルキルアクリレート共重合体、ポリビニルイミダソリン、サトキンサンなどが挙げられる。
なお、本発明の研磨用砥粒分散液に沈降抑制剤を添加する場合の含有量については、総量として、添加後における研磨用砥粒分散液の1L中、0.001~10gとすることが好ましく、0.01~5gとすることがより好ましく、0.1~3gとすることが特に好ましい。この含有量は、充分な効果を得る上で、添加後における研磨用砥粒分散液の1L中、0.001g以上が好ましく、研磨速度低下防止の点から10g以下が好ましい。
また、本発明の研磨用砥粒分散液、これを含む研磨用スラリー(磁気ディスク基板研磨用研磨スラリー)、またはこれを含む研磨用組成物(磁気ディスク基板研磨用組成物)の分散溶媒として、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、メチルイソカルビノールなどのアルコール類;アセトン、2-ブタノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、3,4-ジヒドロ-2H-ピランなどのエーテル類;2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;2-メトキシエチルアセテート、2-エトキシエチルアセテート、2-ブトキシエチルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、エチレンカーボネートなどのエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、1,2-ジクロルエタン、ジクロロプロパン、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;N-メチル-2-ピロリドン、N-オクチル-2-ピロリドンなどのピロリドン類などの有機溶媒を用いることができる。これらを水と混合して用いてもよい。
本発明の研磨用砥粒分散液、これを含む研磨用スラリー(磁気ディスク基板研磨用研磨スラリー)、またはこれを含む研磨用組成物(磁気ディスク基板研磨用組成物)に含まれる固形分濃度は0.3~50質量%の範囲にあることが好ましい。この固形分濃度が低すぎると研磨速度が低下する可能性がある。逆に固形分濃度が高すぎても研磨速度はそれ以上向上する場合は少ないので、不経済となり得る。
<本発明の第1の製造方法>
次に、本発明の第1の製造方法を具体的に説明する。
これは、アルカリを希釈して、希釈アルカリ水溶液を加熱する工程1と、加熱した希釈アルカリ水溶液に、種粒子を添加しながら珪酸液を添加する工程2と、種粒子および珪酸液の添加終了後に、温度を保ったまま熟成させる工程3とを備える方法である。また工程1の後に、限外膜やロータリーエバポレーターなど従来公知の濃縮方法でシリカゾルのシリカ濃度を高めることができる。
[工程1]
この工程は、アルカリを必要に応じて純水で希釈して加熱する工程(すなわち、希釈アルカリ水溶液を加熱する工程)であり、工程2で添加する種粒子を珪酸液で粒子成長させるために、pHを調整することで必要な過飽和度を調整することを目的としている。アルカリ源は、アルカリ金属水酸化物であっても、珪酸アルカリでも良いが、アルカリ源として珪酸アルカリを使用する場合、珪酸アルカリを希釈して得た希釈アルカリ水溶液のシリカ濃度は0.1~10質量%の範囲が好ましい。シリカ濃度が0.1質量%未満の場合は、シリカ濃度が低いため、工程2終了後のシリカ濃度も低くなり、工程3で濃度を上げる工程に負荷がかかるため経済性が低下するため望ましくない。一方で、シリカ濃度が10質量%超の場合、アルカリ濃度も高くなり、更にシリカ濃度も高くなるため、工程2において粒子が凝集したり、異形化する傾向にあるため望ましくない。
工程1における希釈アルカリ水溶液のpHは8.5~13の範囲が好ましい。pHが8.5未満の場合、粒子成長のために添加した珪酸液が溶解し難くなり、珪酸液による自己核生成が生じるため好ましくない。pHが13超の場合は、多量のアルカリが必要となり、反応系のイオン強度が高くなり過ぎ、粒子が凝集する傾向にあるため好ましくない。
加温後の希釈アルカリ水溶液の温度は40℃~100℃未満の範囲が好ましい。工程2において添加した珪酸液は反応液中で溶解して、その後、種粒子の表面に沈着するが、上記温度が40℃を下回る場合は、珪酸液が溶解せずに自己核生成する傾向にある。珪酸液が自己核生成した場合、種粒子を所望のサイズに粒子成長させることができない。一方、上記温度が100℃以上の場合は、オートクレーブを用いて調合を行う必要があり、設備が高額となるため経済性が悪くなる。また100℃以上の温度で調合を行う場合、粒子が凝集し易くなり、仕上げ研磨用として用いた場合、スクラッチが多発する傾向にある。
上記温度は、より好適には60℃~100℃の範囲が推奨される。
さらに、加熱により目標温度に到達したのち、温度を保持することが好ましい。工程1で希釈アルカリ水溶液が珪酸アルカリなどのシリカを含む場合、温度を保持することでシリカの溶解と沈着やpHなどを平衡状態にすることができ反応系を均一化させることができる。温度の保持時間は10分~3時間が好ましく、30分から2時間がより好ましい。
[工程2]
工程2は、種粒子を連続的または断続的に添加しながら同時に珪酸液を添加し、種粒子を所望のサイズに粒子成長させる工程である。通常のシリカゾルの粒子成長工程では、必要量の種粒子全量を反応容器に添加し、その後、珪酸液を添加して所望の粒子径に粒子成長させる。通常、シリカゾルの粒子径個数分布は、正規分布を示し、粒子成長工程では種粒子が均一に成長するため粒子成長後の粒子径個数分布も、種粒子の粒子径個数分布と同様に正規分布を示す。従って、種粒子の粒子径個数分布における粒子径の小さな種粒子は粒子成長後の粒子径個数分布においても、粒子径が小さい領域に位置し、逆に粒子径の大きな粒子は、粒子成長後の粒子径個数分布においても粒子径が大きい領域に位置する。
しかし、本発明の第1の製造方法では種粒子を連続的または断続的に添加しながら珪酸液を添加して粒子成長させるため、元の種粒子の分布の影響は小さくなる。種粒子の添加において初期に添加された粒子は同時に添加される珪酸液によって粒子成長がはじまり、珪酸液の添加が終了するまで粒子成長が行われる。一方、添加後期で添加された種粒子は、初期に添加された種粒子と比較してあまり粒子成長しない。そのため、条件によっては、初期に添加された種粒子中の小粒子成分は、後期に添加された種粒子中の大粒子よりも大きくなり得る。その結果、粒子成長後の粒子径個数分布は正規分布を示さない。
一般的に、シリカゾルの限界粒子径は3nmとも言われており、これ以下のサイズの粒子は安定的に存在し得ず、製造する事が困難である。また工業的に販売されているシリカゾルの最小粒子径は概ね5nm以上である。本発明の第1の製造方法における種粒子とは、平均粒子径が3nm以上のものを示す。
また、本発明の第1の製造方法において種粒子の平均粒子径は3~200nmであることが好ましい。
本発明の第1の製造方法において種粒子の粒子径個数分布は通常正規分布に近い。
また、本発明の第1の製造方法における珪酸液とは、珪酸アルカリ水溶液から陽イオン交換樹脂などでアルカリを除去したものや、テトラエチルオルソシリケートなどのシリコンアルコキシドを酸で加水分解したものである。これらの方法によって得られた珪酸液は、珪酸の重合があまり進んでいないシリカの高分子であり、コロイドのような光散乱性を示さない。また珪酸液を乾燥させて電子顕微鏡で観察しても、明確な粒子の形状は認められない。
珪酸液の添加量は、種粒子のサイズにもよるが、種粒子のSiO2モル数に対して該珪酸液のSiO2モル数が0.5~20モル倍になる範囲が好ましい。珪酸液の添加量が前記範囲より少ないと、初期と後期に添加した種粒子の粒子成長幅が近くなり、得られた粒子径個数分布は正規分布に近くなるからである。一方、上記のSiO2モル数が20モル倍超の場合は、粒子成長幅が大き過ぎ、珪酸液による自己核生成が生じたり、反応容器を過大に大きくする必要があるため好ましくない。また、珪酸液は連続的または断続的に添加することが望ましい。
珪酸液の添加時間は、1~36時間が望ましい。珪酸液の添加時間が1時間未満の場合、珪酸液の添加速度が速すぎて、種粒子の表面に沈着せずに、珪酸液が自己核生成してしまうため望ましくない。珪酸液の添加時間が36時間超の場合、珪酸液の自己核生成は発生しないが、添加時間が長すぎるため、経済性が低下する。珪酸液の添加時間は3~30時間が望ましく、5~24時間がより好ましい。
また工程2において、前記希釈アルカリ水溶液に前記種粒子および前記珪酸液を添加し終わったときの溶液中のシリカ濃度(SiO2換算濃度。仕上がり濃度ともいう)は0.5~10%の範囲が好ましい。シリカ濃度が0.5%未満では濃度が薄いため経済性が低下する。10%以上では、条件にもよるが粒子が凝集して所望の粒子径個数分布やサイズが得られない場合がある。粒子成長中のシリカ濃度は1~8%が好ましく、2~6%がより好ましい。
[工程3]
工程3は、工程2の反応を完結させるために、加熱熟成を行う工程である。加熱熟成温度は工程2の反応温度と同様であってよい。また加熱熟成時間は15分から5時間が好ましい。加熱熟成時間が15分未満の場合は、添加した珪酸液が粒子に沈着せず溶媒中に残存し、後工程において粒子凝集を引き起こす可能性があるため好ましくない。熟成時間が5時間以上は、熟成の効果はそれ以上向上せず、熟成時間が長くなる事で経済性が低下するため、好ましくない。熟成時間は30分から3時間が好ましく、30分から2時間がより好ましい。
また、工程3の後に、限外濃縮やロータリーエバポレーターなど公知の濃縮方法を用いて所望の濃度に濃縮することもできる。乾燥による粗大な凝集塊が生じ難いという観点から、濃縮は、限外ろ過膜による濃縮が好ましい。
さらに、粗大な粒子を除去するために、遠心分離をしてもよい。
<本発明の第2の製造方法>
本発明の第2の製造方法は、アルカリまたは珪酸アルカリを希釈等して得た希釈アルカリ水溶液に、第一の種粒子を添加し、その後、加熱する工程Aと、加熱した溶液に第二の種粒子を添加しながら、珪酸液を同時に添加する工程Bと、第二の種粒子と珪酸液の添加終了後に、温度を保ったまた熟成させる工程Cとを備える方法である。
[工程A]
本発明の第2の製造方法では、2種類の種粒子を用いる事が特徴である。すなわち工程Aにおいて第一の種粒子を用い、工程Bにおいて第2の種粒子を用いる。
工程Aでは、アルカリを含む希釈アルカリ水溶液に第一の種粒子を添加し、その後、加熱する。
第一の種粒子は本発明の第1の製造方法の工程2において用いる種粒子と同じであってよいが、珪酸液であっても良い。第一の種粒子が珪酸液の場合は、所定の温度、pHなどを調整することで工程Aや工程Bにおいて、珪酸液から核粒子が生成する。従って、第一の種粒子が珪酸液である場合、厳密には珪酸液は種粒子そのものではなく、種粒子の前駆体というべきであるが、種粒子に直接的に影響を及ぼすものであり、ここでは種粒子として扱う。
第一の種粒子が珪酸液の場合、その珪酸液は本発明の第1の製造方法の工程2において用いる珪酸液と同じであってよい。
工程Aにおけるアルカリの種類、pH、シリカ濃度、加熱温度(希釈アルカリに第一の種粒子を添加した液の温度)等は、本発明の第1の製造方法の工程1の場合と同じであってよい。
また、工程Aでは、珪酸液から生成した核粒子に、珪酸液を添加して所望の粒子サイズに成長させてもよい。
[工程B]
次に工程Bでは、第一の種粒子を含む反応槽(希釈アルカリに第一の種粒子を添加した液)に、第二の種粒子を連続的または断続的に添加し、珪酸液を同時に添加する。そのため、第一の種粒子は添加された珪酸液で一様に粒子成長するが、第二の種粒子は同時に添加される珪酸液によって粒子成長する。この際、第二の種粒子は添加初期と後期とで粒子成長幅が異なるため、粒子径個数分布が広くなる。さらに第一の種粒子は一様に粒子成長するものの、最適なサイズを選択すると第二粒子の粒子径個数分布と重なって粒子成長するため、本発明のシリカ系粒子群は、粒子径個数分布の幅が広く、非正規分布である。
第二の種粒子は本発明の第1の製造方法の工程2において用いる種粒子と同じであってよい。
また、工程Bにおいて用いる珪酸液は、本発明の第1の製造方法の工程2において用いる珪酸液と同じであってよい。
工程Bにおける珪酸液の添加量、珪酸液の添加時間等は、本発明の第1の製造方法の工程2の場合と同じであってよい。
第一の種粒子と第二の種粒子との比率は格別に制限されるものではないが、通常はSiO2換算の質量比で1:0.8~1:30の範囲で添加される。
[工程C]
工程Cは工程3と同様に熟成させることで反応を完結させる。また工程Cの後に、公知の方法で濃縮して任意のシリカ濃度に調整することもできる。
以下、本発明の実施例を比較例と共に示す。なお、実施例および比較例において、平均粒子径の測定(画像解析)、シリカ系粒子群の比表面積の測定、比表面積換算粒子径(DSA)の算出、粒子径個数分布における尖度の算出、S1~S6面積の変動係数、短径/長径比の測定・算出および研磨試験は以下のように行った。
[平均粒子径の測定](画像解析法)
シリカ系粒子分散液(固形分濃度:10質量%)をコロジオン膜上に1滴を滴下し、乾燥させた後、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、シリカ系粒子群の無作為に定めた箇所を倍率3000倍で1視野当たり1.1×10-3mm2の面積で15視野撮影し、全ての撮影画像内の全てのシリカ系粒子について長径(DL)および短径(DS)を測定し、長径(DL)の単純平均値を求め、平均粒子径とした。
前記画像解析システムとしては、例えば、SEM用画像解析ソフトウェア(株式会社オリンパス製Scandium)を用いることができる。本願においては、前記画像解析システムとしては、同ソフトウェアを用いた。
前記走査型電子顕微鏡としては、公知の走査型電子顕微鏡を使用できる。本願においては、日本電子株式会社製:JSM-5300型を使用した。
[比表面積の測定]
前述のBET法(窒素吸着法)又はタイトレーション法(滴定法)により比表面積(SA)を測定、算出した。
[比表面積換算粒子径(DSA)の算出]
前記方法によって測定した比表面積(SA)と、粒子の密度(ρ=2.2)を用い、DSA=6000/(SA×ρ)の式から、比表面積換算粒子径(DSA)を算出した。
[S1~S6面積の変動係数]
前述の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた方法によって粒子径個数分布図を求め、累積D1%粒子径(D1)および累積99%粒子径(D99)を求め、S1~S6を求めて、S1からS6の面積の変動係数(CV値)を算出した。
[尖度の算出]
前述のSEMによる画像解析法で得られた粒子径個数分布を使用して、SAS Institute Japan社製JMP Ver.13.2を用いて尖度を算出した。
[短径/長径比の測定・算出]
本発明のシリカ系粒子群は、短径/長径比の平均値は、次のように求める。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、シリカ系粒子群の任意の箇所を倍率3000倍で観察し、西華デジタルイメージ株式会社製の画像解析ソフトRaduisを用いてアスペクト比を求め、アスペクト比の逆数を短径/長径比とする。具体的には、任意の1000個以上のシリカ系粒子を対象とし、個々のシリカ系粒子に対する外接四角形において、長さと幅の比が最大となる外接四角形を求め、その外接四角形のアスペクト比、すなわち外接四角形の長径/短径比を求めることができる。このアスペクト比の逆数が短径/長径比となる。1000個以上のシリカ系粒子に対する短径/長径比を単純平均したものが、シリカ系粒子群の短径/長径比である。
[研磨試験]
被研磨基板
被研磨基板として、ハードディスク用ニッケルメッキしたアルミ基板(東洋鋼鈑社製ニッケルメッキサブストレート)を使用した。本基板はドーナツ形状の基板である(外径95mmφ、内径25mmφ、厚さ1.27mm)。
研磨試験
9質量%のシリカ系粒子分散液344gを作製し、これに31質量%過酸化水素水を5.65g加えた後に10質量%硝酸にてpHを1.5に調整して研磨スラリーを作製した。
上記被研磨基板を研磨装置(ナノファクター社製:NF300)にセットし、研磨パッド(FILWEL社製「ベラトリックスNO178」)を使用し、基板荷重0.05MPa、定盤回転数50rpm、ヘッド回転数50rpmで、研磨スラリーを40g/分の速度で供給しながら1μm研磨を行った。
研磨速度
研磨前後の研磨基板の重量差と研磨時間より研磨速度を算出した。実施例及び比較例での研磨速度と、比較例での研磨速度を100としたときの各実施例での研磨速度比を表1に示した。表には比較例1の研磨速度を100とした相対値で示した。
基板の平滑性(スクラッチ)
研磨試験により得られた研磨基板を、超微細欠陥・可視化マクロ装置(VISION PSYTEC社製、製品名:Maicro-Max)を使用し、Zoom15にて全面 観察し、65.97cm2に相当する研磨処理された基板表面に存在するスクラッチ(線状痕)の個数を数えて合計した。なお、比較例1で発生したスクラッチ本数を100として、各実施例で発生したスクラッチ本数の比を表1に示した。
表面粗さ(AFM Ra)
研磨基材の表面の平滑性(表面粗さRa)[単位:nm]を原子間力顕微鏡(AFM、株式会社日立ハイテクサイエンス社製)を用いて測定した。
Figure 2023139490000001
<合成例1>
〔珪酸液の調製〕
7%濃度の珪酸ナトリウム(3号水硝子)の7,000gを限外モジュール(旭化成社製SIP-1013)に通液し濾水を回収し精製水硝子を得た。この精製水硝子のシリカ濃度が5%になるように純水を添加した。そして、このシリカ濃度5%の水硝子6,500gを強酸性陽イオン交換樹脂SK1BH(三菱化学社製)2.2Lに空間速度3.1で通液させることで珪酸液6,650gを得た。得られた珪酸液のシリカ濃度は4.7%であった。
<比較例1>
〔シリカゾルの調製〕
珪酸ナトリウム(3号水硝子、SiO2濃度24.28質量%)46.5gに純水705.9gを添加してシリカ濃度1.5質量%の珪酸ナトリウム水溶液752.4gを調製した。この珪酸ナトリウム水溶液に、合成例1で得た珪酸液12.9gを添加し、攪拌した後に、83℃に昇温し、83℃にて、30分間保持し、核粒子分散液とした。
次に、15℃に冷却した前記合成例1で得た珪酸液917.3gを添加速度5.1g/分にて、3時間かけて連続的に添加した。続いて、15℃に冷却した前記合成例1で得た珪酸液5497.2gを添加速度7.6g/分にて、12時間かけて連続的に添加した。添加終了後、83℃にて1時間保った後、室温まで冷却した。
得られたシリカゾルを限外濾過膜(製品名:SIP-1013、旭化成株式会社製)を用いてシリカ濃度が12質量%になるまで濃縮した。ついでロータリーエバポレーターで20%濃度まで濃縮した。
得られたシリカ系粒子分散液は、画像解析法により測定された平均粒子径が31.9nm、タイトレーション法による比表面積は107m2/gであった。
<実施例1>
〔シリカゾルの調製〕
珪酸ナトリウム(3号水硝子、SiO2濃度24.28質量%)28.8gに純水473.0gを添加してシリカ濃度1.4質量%の珪酸ナトリウム水溶液501.8gを調製した。この珪酸ナトリウム水溶液に、合成例1で得た珪酸液27.0gを添加し、攪拌した後に、70℃に昇温し、70℃にて、30分間保持し、第一の種粒子分散液とした。
次に、シリカゾル(日揮触媒化成株式会社製:カタロイドSI-550、平均粒子径5nm、シリカ濃度20.5%)87.8gに水を加えて、1153.9gとして、添加用の第二の種粒子分散液を調製した。
<1段目添加>
第一の種粒子分散液に、15℃に冷却した珪酸液8406.4g(合成例1で得たもの)と、第二の種粒子分散液(シリカゾル)1153.9g(シリカ濃度1.56質量%)を同時に添加し、溶液1を得た。添加中は、攪拌しながら溶液の温度を70℃に保つように加熱した。珪酸液および第二の種粒子分散液添加終了後、溶液1の温度は、83℃に昇温した。
<2段目添加>
続けて、溶液1の全量に、15℃に冷却した珪酸液25119.6g(合成例1で得た)を9時間かけて添加した。添加終了後は攪拌を続けながら83℃で1時間保持し、室温まで冷却し、シリカ系粒子分散液を得た。
<濃縮>
得られたシリカ系粒子分散液を限外濾過膜(製品名:SIP-1013、旭化成株式会社製)を用いてシリカ濃度が12質量%になるまで濃縮した。ついでロータリーエバポレーターで20%濃度まで濃縮した。
得られたシリカ系粒子分散液は、画像解析法により測定された平均粒子径が18.5nm、タイトレーション法による比表面積は165m2/gであった。
<実施例2>
〔シリカゾルの調製〕
珪酸ナトリウム(3号水硝子、SiO2濃度24.28質量%)53.5gに純水827.0gを添加して希釈珪酸ナトリウム水溶液880.5gを調製した。この希釈珪酸ナトリウム水溶液に、珪酸液23.8gを添加し、攪拌した後に、70℃に昇温し、70℃にて、30分間保持し、第一核粒子分散液とした。
次に、シリカゾル(日揮触媒化成株式会社製:カタロイドSI-550、ナトリウム滴定法により測定される平均粒子径5nm、シリカ濃度20.5%)58.5gに水を加えて、750.0gとして、添加用の第二の種粒子分散液を調製した。
<1段目添加>
次に第一の種粒子分散液に、15℃に冷却した珪酸液142.6g(合成例1で得た)と、第二種粒子分散液(シリカゾル)214.3g(シリカ濃度:1.60質量%)を、2時間かけて同時添加した。添加中は、攪拌しながら溶液の温度は70℃に保つように加熱し、溶液1を得た。
<2段目添加>
続いて、溶液1の全量に、15℃に冷却した珪酸液2553.2g(合成例1で得た)と、第二の種粒子分散液(シリカゾル)535.7g(シリカ濃度1.60質量%)を5時間かけて同時添加し、溶液2を得た。添加中は、攪拌しながら溶液の温度を70℃に保った。
<3段目添加>
続いて、溶液2の全量に、15℃に冷却した珪酸液5814.9g(前記合成例1で得た)を8時間かけて添加した。添加中は攪拌しながら70℃に保持して、添加終了後、83℃昇温し、83℃にて1時間保った後、室温まで冷却して、シリカ系粒子分散液を得た。
得られたシリカ系粒子分散液を限外濾過膜(製品名:SIP-1013、旭化成株式会社製)を用いてシリカ濃度が12質量%になるまで濃縮した。ついでロータリーエバポレーターで20%濃度まで濃縮した。
得られたシリカ系粒子分散液は、画像解析法により測定された平均粒子径が11.2nmであった。
本発明のシリカ系粒子群は、好適な粒子径、粒子径個数分布、異形度および粒子強度を有しているため、これを含むシリカ系粒子分散液は、NiPメッキされた被研磨基板やシリカ系基板などの表面研磨に好ましく用いることができる。

Claims (6)

  1. シリカ系粒子群を含むシリカ系粒子分散液であって、前記シリカ系粒子群が下記[1]~[3]の条件を満たす、シリカ系粒子分散液。
    [1]比表面積換算粒子径DSAが5nm以上300nm以下であること。
    [2]走査型電子顕微鏡(SEM)による画像解析から得られる粒子径個数分布図において、粒子径の小さい粒子からの累積1%粒子径(D1)および累積99%粒子径(D99)の粒子径差(D99-D1)の1/6を区切りとして、D1からD99までを6等分したそれぞれの面積をS1~S6とした際に、S1からS6の面積の変動係数が110%以下であること。
    [3]走査型電子顕微鏡(SEM)による画像解析から得られる短径/長径比の平均値が0.8以上であること。
  2. 前記シリカ系粒子群の粒子径個数分布における尖度が0以下である、請求項1に記載のシリカ系粒子分散液。
  3. 請求項1または請求項2に記載のシリカ系粒子分散液を含む、磁気ディスク基板研磨用研磨スラリー。
  4. 請求項1または請求項2に記載のシリカ系粒子分散液を含む、磁気ディスク基板研磨用組成物。
  5. 下記工程1から工程3を含む、球状シリカ系粒子を含むシリカ系粒子群の製造方法。
    (工程1)アルカリを含む希釈アルカリ水溶液を加熱する工程。
    (工程2)工程1によって得られた加熱された前記希釈アルカリ水溶液に、種粒子を連続的または断続的に添加しながら珪酸液を添加して前記種粒子を粒子成長させる工程。
    (工程3)前記種粒子および前記珪酸液の添加終了後に、温度を保ったまま熟成させる工程。
  6. 下記工程Aから工程Cを含む、球状シリカ系粒子を含むシリカ系粒子群の製造方法。
    (工程A)アルカリを含む希釈アルカリ水溶液に第一の種粒子を添加して加熱する工程。
    (工程B)工程Aによって得られた加熱された前記アルカリ及び前記第一の種粒子を含む溶液に、第二の種粒子を連続的または断続的に添加しながら更に珪酸液を添加して、前記第一の種粒子及び前記第二の種粒子を粒子成長させる工程。
    (工程C)工程Bにおいて前記第二の種粒子および前記珪酸液の添加終了後に、温度を保ったまま熟成させる工程。
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