JP2023139420A - 繊維強化樹脂成形体 - Google Patents

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Hiroyuki Kato
彬 岩田
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Abstract

【課題】リブ部を有する複雑形状の繊維強化樹脂成形体において、良好な成形性と、優れた力学特性を両立させる。【解決手段】少なくとも2層以上の繊維強化樹脂層から構成されるとともに、平板部と、該平板部から立設されたリブ部とを有する繊維強化樹脂成形体であって、前記リブ部の側面の少なくとも最表層から1層または2層以上が、前記リブ部の側面のみ被覆し、稜線を被覆しないリブ補強層である繊維強化樹脂成形体。【選択図】図2

Description

本発明は、航空機部材、自動車部材、スポーツ用具等に用いられる、リブ部が形成された繊維強化樹脂成形体に関するものである。
近年、航空機や自動車部材の軽量化要求に伴う繊維強化樹脂(FRP)の需要拡大に伴い、FRP部材のハイサイクル生産技術開発が進んでいる。プリプレグによるFRP部材の成形においては脱オートクレーブ化が進み、プレス成形による高速成形技術の開発が進んでいる。しかしながら、一般的なFRP部材は、繊維束が連続繊維であるが故、優れた力学特性を有する一方、プレス成形により凹凸を有する複雑形状に成形することは難しかった。
このような点を踏まえ、近年は、単純なプレスによる成形が難しい複雑形状を有する自動車部材などを対象に、繊維束に切り込みを入れることで流動性を向上させたプリプレグや(特許文献1)、繊維束をチョップしてランダムに分散させた不連続繊維からなるシートモルディングコンパウンド(SMC)等の、不連続繊維を用いた中間基材(特許文献2)の需要が増えている。しかしながら、不連続繊維を用いたFRP部材は、連続繊維を用いたFRP部材と比較し、力学特性では大きく劣る問題があった。
特許第5315692号明細書 特許第6652071号明細書
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたもので、リブ部を有する複雑形状の繊維強化樹脂成形体において、良好な成形性と、優れた力学特性を両立させることを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のいずれかの方法を採用するものである。すなわち、
(1)少なくとも2層以上の繊維強化樹脂層から構成されるとともに、平板部と、該平板部から立設されたリブ部とを有する繊維強化樹脂成形体であって、前記リブ部の側面の少なくとも最表層から1層または2層以上が、前記リブ部の側面のみを被覆し、稜線を被覆しないリブ補強層である繊維強化樹脂成形体。
(2)前記リブ補強層のうち少なくとも1層が、前記リブ部の延在方向と略直交する方向に配向する強化繊維を含む層である、(1)に記載の繊維強化樹脂成形体
(3)前記リブ補強層のうち少なくとも1層が、一方向に配向した連続繊維を含む層である、(1)または(2)に記載の繊維強化樹脂成形体。
(4)前記リブ補強層のうち少なくとも1層が、リブ部の延在方向と略直交する方向に配向した連続繊維を含む連続繊維強化樹脂層である、(3)に記載の繊維強化樹脂成形体。
(5)前記リブ補強層以外の繊維強化樹脂が、n層(nは2以上の整数)の不連続繊維強化樹脂層を有する、(1)~(4)のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形体。
(6)前記リブ補強層以外の繊維強化樹脂が、n層(nは2以上の整数)の不連続繊維強化樹脂層と、連続繊維強化樹脂層とで構成される、(5)に記載の繊維強化樹脂成形体。
(7)nが3以上の整数であり、第x層(xは1以上n以下の整数)の不連続繊維強化樹脂層に含まれる不連続繊維の平均繊維長をLxとしたとき、L1<L2・・・<Lnである、(5)または(6)に記載の繊維強化樹脂成形体。
(8)前記第n層の不連続繊維強化樹脂層よりもリブ部先端側に存在する連続繊維強化樹脂層の繊維配向方向が、前記リブ部の延在方向と略一致する方向である、(6)または(7)に記載の繊維強化樹脂成形体。
(9)前記第n層の不連続繊維強化樹脂層よりも前記リブ部の基底側に、前記リブ部の延在方向と略直交する方向を繊維方向とする1層以上の連続繊維強化樹脂層を有する、請求項(1)~(8)のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形体。
(10)前記リブ部の高さhが、(全積層材合計厚さ×1.5)<hを満たす、(1)~(9)のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形体。
(11)前記リブ部の幅wが、(全積層材合計厚さ×3.0)>wを満たす、(1)~(10)のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形体。
本発明の繊維強化樹脂成形体は、リブ部を有する複雑形状への良好な成形性と、優れた力学特性を両立し得る。
本発明の実施形態に係る、繊維強化樹脂成形体の模式図である。 本発明の実施形態に係る、繊維強化樹脂成形体の層構造を示す、断面斜視図(A)および(A)中に枠線11で示す領域の拡大断面図(B)、(A)中に枠線12で示す領域の拡大断面図(C)である。 本発明の一実施形態に係る、プリフォーム基材と成形型の概要を示す模式図である。 本発明の他の実施形態に係る、プリフォーム基材と成形型の概要を示す模式図である。 実施例および比較例の圧縮試験シミュレーションから得られる、変位-荷重曲線である。
以下、理解を容易にするため、適宜図面を参照しつつ本発明を説明するが、本発明はこれらの図面によって何ら限定されるものではない。また、図面に示される特定の実施形態についての説明は、上位概念としての本発明の説明としても理解し得るものである。
図1は、本発明の一実施形態に係る繊維強化樹脂成形体(以下、単に「成形体」という場合がある)を示す模式図である。繊維強化樹脂成形体1は少なくとも2層以上の繊維強化樹脂層から構成される。なお、本明細書において、繊維強化樹脂層、リブ補強層、連続繊維強化樹脂層、不連続繊維強化樹脂層等の「層」とは、複数枚の繊維強化樹脂基材を積層したプリフォームにおける各々の基材1枚、あるいは当該プリフォームを成形して得られた成形体における各々の基材1枚に由来する部分を指す概念である。
繊維強化樹脂成形体1は、XY平面に平行に存在し、実質的に厚みの変動がない厚みtを有する平板部2と、XY平面から+Z方向に向かって突出し、X方向に延在するリブ部3とを有している。ここで、「実質的に厚みの変動がない」とは、成形体におけるZ軸方向における最小長さ(以下、平板部の成形体の厚みtという)から変動率が小さい箇所を指し、好ましくは変動率が20%以内、より好ましくは10%以内の変動率の範囲内の厚さを有することを指す。
リブ部3は、複数の繊維強化樹脂層からなるプリフォームを図3または図4に示すような狭長形状の凹陥部23、33を有する成形型に供して加熱・加圧成型する際、当該凹陥部にプリフォームの少なくとも一部の層が引き込まれるように嵌入することで当該凹陥部の形状に略対応するよう形成される狭長形状の突出部である。
リブ部の形状は、全体として狭長形状をなす突出部である限り特に限定されず、平面視(+Zから-Zを見た状態)で直線状である形状に限らず曲線状であってもよいが、典型的には、リブ部の始点と終点、すなわち端と端におけるリブ部の幅方向の中心点を結ぶ直線(以下、このような直線を「リブの近似直線」という)の長さを1とした場合、リブ部始点から終点まで稜線に沿った長さが1.2以下の、略直線的な形状が想定される。
成形品におけるリブ部の主な役割は、剛性や強度等の力学特性の担保であり、リブ部の高さが極端に小さいと役割期待に対する効果が低い。本発明は、リブ部の高さhが、(全積層材合計厚さ×1.5)<hを満たす成形体に適用することが好ましい。なお、リブ部の高さとは、図1においてhとして示されるように、成形体におけるリブ部の基底側の面と、リブ部の頂点(リブ部の高さが同一のリブ内で変動する場合には、最も高い部分の頂点)とを結ぶ最短距離を指す。
また、リブ部の幅が極端に大きいと、成形型の凹陥部23、33にプリフォームの少なくとも一部の層が引き込まれるように嵌入しにくくなる。本発明は、リブ部の幅wが、(全積層材合計厚さ×3.0)>wを満たす成形体に適用することが好ましい。なお、リブ部の幅とは、図1において、wとして示されるように、リブ部の突出高aの中間点における、リブ直交方向のリブ厚さを指す。リブ部の突出高aとは、図1において、aとして示されるように、前記リブ部の高さhから、平板部における成形体の厚みtを引いた高さである。
本発明の成形体においては、リブ部の側面の少なくとも最表層から1層または2層以上が、前記リブ部の側面のみを被覆し、稜線を被覆しないリブ補強層である。図1に示す実施形態においては、成形体1は、リブ部3の頂点箇所をリブの延在方向(X方向)に結んだ稜線5を除いた側面部に、1層のリブ補強層4を有している。言い換えれば、リブ補強層4はリブ部3の稜線5を跨ぐことなく、稜線5によって分断された状態で存在している。リブ補強層の層数については、特に限定はされないが、リブ部の高さ方向の力学特性を向上させるために、2層以上配置することが好ましい。ただし、リブ部の幅wの範囲内で補強層の割合が多い場合、リブ部の成形性が低下する。そのため、特に限定されるものではないが、リブ部の幅wの範囲内における補強層の割合は20%以内、より好ましくは10%以内である。
リブ補強層は、成形体を構成する繊維強化樹脂層の少なくとも最表層を構成する。リブ補強層は前述の通りリブ部の側面のみを被覆するため、平板部の最表層とはならないが、本明細書においては平板部とリブ部を一体として捉え、成形体の平面視において一部のみに存在する層であっても1層の繊維強化樹脂層を構成するものと考えるものとする。加熱・加圧成型する際に、リブ補強層がリブ部の綾線に跨って配置される場合、リブ補強層中の繊維が突っ張って成形型の凹陥部に入りにくくなるため、リブ部の成形性が低下する。そのため、本発明においては、リブ補強層はリブ部の稜線を除いた側面のみに配置される。言い換えれば、本発明におけるリブ補強層は、リブ部の稜線を跨がないように配置されている。
リブ部の高さ方向からの変形を抑制するためには、前記リブ補強層は、少なくともリブ部の側面の片側に存在するとよいが、リブ部の側面の両側に存在することがリブ部の高さ方向からの変形を抑制できる点で、より効果的である。
なお、以下本明細書において、「リブ方向」とは、図1においてX方向として示されるような、リブ部の狭長形状の長手方向、すなわちリブ部の延在方向を意味し、より具体的にはリブの近似直線の方向を意味するものとする。リブ方向と略一致する方向とは、リブの近似直線を0°として±45°未満の角度をなす方向であり、好ましくは±30°未満、より好ましくは±20°未満の角度をなす方向である。「リブ直交方向」とは、リブの近似直線と90°の角度をなす方向を意味するものとする。
リブ補強層に含まれる強化繊維の繊維方向は特に限定されないが、リブ部の高さ方向からの変形を抑制するために、リブ補強層のうち少なくとも1層が、リブ直交方向に配向した強化繊維を含む繊維強化樹脂層であることが好ましく、リブ補強層の全層がそのような層であることがより好ましい。
本発明においては、局所的かつ効率的にリブ部の高さ方向からの変形を抑制する観点から、好ましい態様において、リブ補強層のうち少なくとも1層、好ましくは全層が、一方向に配向した連続繊維に樹脂が含浸された連続繊維強化樹脂層である。本明細書において、連続繊維とは、成形体を構成する各層の略全長に渡って分断なく存在する強化繊維を集合的に呼称する表現であり、リブ補強層に含まれる連続繊維においては、リブ部の一側面を被覆する層の略全長に渡って分断なく存在する強化繊維を指す。
本発明の特に好ましい態様において、リブ補強層のうち少なくとも1層、好ましくは全層が、リブ直交方向に配向した連続繊維を含む連続繊維強化樹脂層である。このような態様においては、リブ補強層に含まれる強化繊維の繊維長がリブ部の突出高と略一致することになる。
本発明において、リブ補強層を除く部分の繊維強化樹脂(以下、「本体」という場合がある。)の層構成は特に限定されないが、加熱・加圧成型する際の繊維流動性を高める観点から、少なくとも一層以上、不連続繊維に樹脂が含浸されてなる不連続繊維強化樹脂層を含むことが好ましい。不連続繊維とは、成形体を構成する各層の略全長に渡って連続せずに、層中に分断された状態で存在する繊維であり、典型的には繊維長が30mm以下の繊維である。一般的に、連続繊維のみからなる繊維強化樹脂の成形においては、弾性率の高い繊維方向には流動変形し難く、弾性率が低い繊維直交方向には流動変形し易い。本発明の繊維強化樹脂成形体においては、不連続繊維強化樹脂層を設けて繊維方向にも流動変形し易くすることにより、リブ部の形成を容易にすることができる。
不連続繊維強化樹脂層は、一方向に配列した連続繊維が分断されることによって不連続とされた不連続繊維を含む層、あるいは分散した不連続繊維を含む層であることができる。一方向に配列した連続繊維が分断されることによって不連続とされた不連続繊維は、典型的には、一方向に配列した連続繊維を含むプリプレグに挿入された切込等によって当該連続繊維が分断された状態にある不連続繊維である。分散した不連続繊維とは、予め所定の繊維長に切断した不連続繊維を分散させて配置した状態にある不連続繊維である。前者の不連続繊維を含む不連続繊維強化樹脂層を形成するための基材の例としては、いわゆる切込プリプレグが挙げられ、後者の不連続繊維を含む不連続繊維強化樹脂層を形成するための基材の例としては、いわゆるシートモルディングコンパウンド(SMC)が挙げられる。なお、分散した不連続繊維という場合、不連続繊維は完全に等方的に配向して分散している必要はなく、分散された不連続繊維が方向性をもって配向した状態を含むものとする。
リブ部の形成過程において、リブ部の先端側の層はリブ部の内部に大きく嵌入するため、形成し易さへの影響が大きく、リブ部の基底側の層になるほどリブ部の内部には嵌入しにくいため、リブ部の形成し易さへの影響が小さくなる。また、不連続繊維は繊維長が短い程流動変形し易く、繊維長が長い程流動変形し難い。以上を踏まえると、本体のうちリブ部の先端側の不連続繊維強化樹脂層においては繊維長を短くし、基底側の不連続繊維強化樹脂層では繊維長を長くすることによって、リブ部の形成し易さと弾性率や強度等の力学特性を両立できる。
具体的には、本発明においては、本体がn層(nは2以上の整数)の不連続繊維強化樹脂層を有するとしたとき、n層の不連続繊維強化樹脂層のうち、リブ部の最も先端側の層から順に、第1層、第2層とし、リブ部の最も基底側の層を第n層とし、第x層(xは1以上n以下の整数)の不連続繊維強化樹脂層に含まれる不連続繊維の平均繊維長をLxとしたとき、第1層の不連続繊維の平均繊維長L1と、第n層の不連続繊維の平均繊維長Lnとが、L1<Lnを満たす。特に、3層以上の不連続繊維強化樹脂層を有する場合(nが3以上の整数である場合)は、繊維長変化による弾性率や強度等の力学特性の急激な変化を回避するために、L1<L2・・・<Lnであることがさらに好ましい。
図2は、本発明の一実施形態に係る繊維強化樹脂成形体1の断面斜視図(A)および図2(A)中に枠線11で示す領域の拡大断面図(B)、図2(A)中に枠線12で示す領域の拡大断面図(C)である。平板部2は、リブ部3の延在方向(X軸方向)を繊維方向とする連続繊維15に樹脂17が含侵してなる連続繊維強化樹脂層13と、不連続繊維16に樹脂17が含侵してなる不連続繊維強化樹脂層14とをそれぞれ4層有する。この4層の不連続繊維強化樹脂層14のうち、リブ部3の最も先端側、すなわちZ方向側の層から順に、第1層、第2層、第3層、第4層としたとき、第1層の不連続繊維16の平均繊維長L1と、第4層の不連続繊維16の平均繊維長L4とが、L1<L4を満たすことが好ましく、L1<L2<L3<L4を満たすことがより好ましい。
また、本体を構成する不連続繊維強化樹脂層のうち少なくとも一部の層が、リブ直交方向に配向した不連続繊維を含む層であることが好ましい。リブ直交方向を繊維方向とする繊維を含む層は、流動変形の方向が弾性率の高い繊維方向のため流動変形し難く、リブ部は形成し難い。従って、リブ直交方向を繊維方向とする繊維を含む層を、連続繊維強化樹脂層と比較し繊維方向にも流動変形し易い不連続繊維強化樹脂層とすることにより、リブ部が成形しやすくなる。なお、不連続繊維がリブ直交方向に配向している、とは、不連続繊維の配向方向がリブ直交方向を0°として±45°未満、好ましくは±30°未満、より好ましくは±10°未満の角度をなすことを意味する。不連続繊維強化樹脂層が分散した不連続繊維を含む層である場合は、分散された不連続繊維のうち25%以上がリブ直交方向に配向していることが好ましく、50%以上がリブ直交方向に配向していることがより好ましい。
本体が不連続繊維強化樹脂層のみで構成される場合、繊維が連続で無いが故、リブ部の成形性は高いが、力学特性が低い。そのため、本体は、不連続繊維強化樹脂層に加え、力学特性が高い連続繊維強化樹脂層を有していても良い。
本体が連続繊維強化樹脂層と不連続繊維強化樹脂層とから構成される場合、その積層順は、特に限定されないが、連続繊維強化樹脂層と不連続繊維強化樹脂層が交互に積層された構造を少なくとも一部に有することが好ましい。また、連続繊維強化樹脂層と不連続繊維強化樹脂層の全積層枚数の中央に存在する層または層間を境に、対称に積層されることも好ましい。さらに、当該中央となる層または層間を境に、連続繊維強化樹脂層と不連続繊維強化樹脂層が交互に積層された構造が対称に積層されていることも好ましい。
最も基底側の不連続繊維強化樹脂層よりリブ部先端側に存在する連続繊維強化樹脂層の繊維配向方向は、リブ方向であることが好ましい。これにより、繊維強化樹脂成形体の成形過程において流動変形を必要とする、図1~図2に示すY方向が弾性率の低い繊維直交方向となるため、リブ部の形成が容易になる。図2に示す実施態様においては、4層の連続繊維強化樹脂層13は全てリブ方向(リブ部3の延在方向)を繊維方向とする層である。
また、リブ部の最も基底側から1層または2層以上が、リブ直交方向を繊維方向とする連続繊維強化樹脂層であることも好ましい。(以下、このような層を「基底層」という場合がある。)本発明の成形体のリブ部においては、リブ部側面にリブ補強層を設けることで、強度や剛性等の力学特性が担保できる。しかしながら、平板部においては、リブ方向はリブ方向を繊維方向とする連続繊維強化樹脂層を設けることで力学特性の担保が出来るものの、リブ直交方向については、力学特性が低い。そこで、成形性への影響が比較的小さいリブ部の基底側に、リブ直交方向を繊維方向とする連続繊維強化樹脂層、すなわち基底層を配置することで、力学特性が向上する。ここで、リブ直交方向を繊維方向とする、とは、連続繊維の配向方向が、リブ直交方向を0°として±45°未満、好ましくは±30°未満、より好ましくは±10°未満の角度をなすことを意味する。連続繊維強化樹脂層は、リブ直交方向を繊維方向とする連続繊維を含む以外は特に限定されず、配向方向が規則的に分散した織物クロス材でも良い。
基底層に含まれる連続繊維は、繊維座屈による弾性率や強度等の力学特性の低下を避けるために、リブ部に嵌入していないことが好ましい。逆に言えば、基底層以外の本体に存在する連続繊維および不連続繊維のうち少なくとも一部は、リブ部に嵌入していることが好ましい。なお、繊維がリブ部に嵌入している、とは、リブ部の延在方向に並行な断面において、リブ部の隆起の開始点を結んだ直線より当該突起の先端側に繊維の少なくとも一部が存在していることを意味する。
このような基底層を有する成形体は、一例として、前述の繊維強化樹脂成形体の製造方法において、リブ部から見て最も基底側に、リブ方向と略直交する方向を繊維方向とする連続繊維強化樹脂層を積層したプリフォームを図3または図4に示すような成形型に供し、加熱・加圧成型する製造方法により作製することができる。
本発明において、繊維強化樹脂層に含まれる強化繊維種は特に限定されないが、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリパラフェニレン・ベンゾビス・オキサゾール(PBO)繊維などを用いることができ、これらのうち2種類以上を併用してもよい。
また、繊維強化樹脂層に含まれる樹脂種も特に規定されず、熱硬化性、熱可塑性いずれの樹脂であってもよい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂などを用いることができ、繊維との接着性や成形性を考慮するとエポキシ樹脂やビニルエステル樹脂を用いることが好ましい。また、熱可塑性樹脂としては、ABS樹脂、ナイロン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリオレフィン樹脂などを用いることができる。なお、樹脂としてこれら列挙した樹脂種を2種類以上併用してもよい。
本発明の効果である成形性と力学特性の両立を確認するために、有限要素法により、力学特性の確認として圧縮試験シミュレーションを実施した。なお、全ての連続繊維強化樹脂層と不連続繊維強化樹脂層に含まれる繊維および樹脂は、全て同一の力学特性を有するものとして評価した。圧縮試験シミュレーションは、リブ部の力学特性を確認するために、図1から2におけるZ軸のマイナス方向にリブ部を圧縮する試験である。
(実施例1)
実施例1に係る解析モデルは、平板部、リブ部で構成される繊維強化樹脂成形体であり、平板部は、リブ方向を繊維方向とする4層の連続繊維強化樹脂層と、リブ直交方向を繊維方向とする3層の不連続繊維強化樹脂層を備えている。3層の不連続繊維強化樹脂層に含まれる不連続繊維の平均繊維長は、リブ部の最も先端側の層から順に、5mm、10mm、20mmとした。そして、さらに第3層の不連続繊維強化樹脂層よりもさらにリブ部の最も基底側に、リブ直交方向を繊維方向とする1層の連続繊維強化樹脂層を有している。リブ部は、リブ方向を繊維方向とする4層の連続繊維強化樹脂層と、リブ直交方向を繊維方向とする3層の不連続繊維強化樹脂層と、リブ部の稜線を除いた側面部の最表層に1層のリブ補強層を有している。
図5に、圧縮試験シミュレーションで得られた変位-荷重曲線グラフを示している。実線41は実施例1の解析モデルの変位-荷重曲線を示し、実施例1の破壊荷重を43で示す。本発明の効果を確認するため、シミュレーションより得られた実施例1の破壊荷重を100とし、他構成の比較例1と後述で比較する。なお、破壊荷重とは圧縮試験シミュレーション過程における破壊直前の最大荷重値であり、破壊とは、試験過程で得られる変位-荷重曲線において、最大荷重値から50%低下するタイミングを指すものとする。
(比較例1)
比較例1の解析モデルは、平板部、リブ部で構成される繊維強化樹脂成形体である。平板部は、実施例1と同じ構成である。リブ部は、リブ方向を繊維方向とする4層の連続繊維強化樹脂層と、リブ直交方向を繊維方向とする3層の不連続繊維強化樹脂層を有し、リブ補強層を有しない点が実施例1の解析モデルと異なる。
図5の破線42は比較例1の解析モデルの変位-荷重曲線を示し、比較例1の破壊荷重を44で示す。
Figure 2023139420000002
本発明の実施形態である実施例1は、リブ部の稜線を除いた側面部の最表層にリブ補強層を有しない比較例1と比較し、リブ補強層を設けることで、圧縮方向に連続繊維が配置されたことでリブの座屈を防ぎ、リブ部のリブ直交方向の力学特性が高く、約30%の強度向上効果を有し、力学特性の高さを確認した。
1 繊維強化樹脂成形体
2 平板部
3 リブ部
4 リブ補強層
5 稜線
11 拡大断面図を示す領域
12 拡大断面図を示す領域
13 連続繊維強化樹脂層
14 不連続繊維強化樹脂層
15 連続繊維強化樹脂層を構成する連続繊維
16 不連続繊維強化樹脂層を構成する不連続繊維
17 樹脂
18 リブ補強層を構成する連続繊維
21 プレス成形前のプリフォーム基材
22 成形型
23 凹陥部
31 プレス成形前のプリフォーム基材
32 成形型
33 凹陥部
41 実施例1の圧縮試験シミュレーション変位荷重曲線
42 比較例1の圧縮試験シミュレーション変位荷重曲線
43 実施例1の圧縮試験破壊荷重
44 比較例1の圧縮試験破壊荷重
h リブ部の高さ
w リブ部の幅
a リブ部の突出高
t 平板部における成形体の厚み

Claims (11)

  1. 少なくとも2層以上の繊維強化樹脂層から構成されるとともに、平板部と、該平板部から立設されたリブ部とを有する繊維強化樹脂成形体であって、
    前記リブ部の側面の少なくとも最表層から1層または2層以上が、前記リブ部の側面のみを被覆し、稜線を被覆しないリブ補強層である繊維強化樹脂成形体。
  2. 前記リブ補強層のうち少なくとも1層が、前記リブ部の延在方向と略直交する方向に配向する強化繊維を含む層である、請求項1に記載の繊維強化樹脂成形体。
  3. 前記リブ補強層のうち少なくとも1層が、一方向に配向した連続繊維を含む層である、請求項1または2に記載の繊維強化樹脂成形体。
  4. 前記リブ補強層のうち少なくとも1層が、リブ部の延在方向と略直交する方向に配向した連続繊維を含む連続繊維強化樹脂層である、請求項3に記載の繊維強化樹脂成形体。
  5. 前記リブ補強層以外の繊維強化樹脂が、n層(nは2以上の整数)の不連続繊維強化樹脂層を有する、請求項1~4のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形体。
  6. 前記リブ補強層以外の繊維強化樹脂が、n層(nは2以上の整数)の不連続繊維強化樹脂層と、連続繊維強化樹脂層とで構成される、請求項5に記載の繊維強化樹脂成形体。
  7. nが3以上の整数であり、第x層(xは1以上n以下の整数)の不連続繊維強化樹脂層に含まれる不連続繊維の平均繊維長をLxとしたとき、L1<L2・・・<Lnである、請求項5または6に記載の繊維強化樹脂成形体。
  8. 前記第n層の不連続繊維強化樹脂層よりもリブ部先端側に存在する連続繊維強化樹脂層の繊維配向方向が、前記リブ部の延在方向と略一致する方向である、請求項6または7に記載の繊維強化樹脂成形体。
  9. 前記第n層の不連続繊維強化樹脂層よりも前記リブ部の基底側に、前記リブ部の延在方向と略直交する方向を繊維方向とする1層以上の連続繊維強化樹脂層を有する、請求項1~8のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形体。
  10. 前記リブ部の高さhが、(全積層材合計厚さ×1.5)<hを満たす、請求項1~9のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形体。
  11. 前記リブ部の幅wが、(全積層材合計厚さ×3.0)>wを満たす、請求項1~10のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形体。
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