JP2023137425A - ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム及び半導体装置の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023137425A
JP2023137425A JP2022043633A JP2022043633A JP2023137425A JP 2023137425 A JP2023137425 A JP 2023137425A JP 2022043633 A JP2022043633 A JP 2022043633A JP 2022043633 A JP2022043633 A JP 2022043633A JP 2023137425 A JP2023137425 A JP 2023137425A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
meth
adhesive layer
adhesive
acrylic resin
dicing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022043633A
Other languages
English (en)
Inventor
紗英 中嶋
Sae Nakajima
尚弘 木村
Hisahiro Kimura
恵介 大久保
Keisuke Okubo
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Resonac Holdings Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Resonac Holdings Corp filed Critical Resonac Holdings Corp
Priority to JP2022043633A priority Critical patent/JP2023137425A/ja
Publication of JP2023137425A publication Critical patent/JP2023137425A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Die Bonding (AREA)
  • Dicing (AREA)
  • Adhesive Tapes (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Abstract

Figure 2023137425000001
【課題】接着剤片付きチップのピックアップ性に優れるとともに、糊破断を抑制することが可能なダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを提供すること。
【解決手段】ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム10が提供される。当該ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム10は、基材層1と、紫外線硬化型粘着剤を含む粘着剤層3と、接着剤層5とをこの順序で備える。紫外線硬化型粘着剤は、重合性二重結合を含む重合性基を有する(メタ)アクリル系樹脂と、光重合開始剤とを含む。当該(メタ)アクリル系樹脂の水酸基価は、25mgKOH/g以下である。当該(メタ)アクリル系樹脂における重合性二重結合の量は、1.5mmol/g以下である。
【選択図】図1

Description

本開示は、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム及び半導体装置の製造方法に関する。
半導体装置は以下の工程を経て製造される。まず、ウェハにダイシング用粘着フィルムを貼り付けた状態でダイシング工程を実施する。その後、エキスパンド工程、ピックアップ工程、ダイボンディング工程等が実施される。
半導体装置の製造プロセスにおいて、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムと称されるフィルムが使用されている。このフィルムは、基材層と粘着剤層と接着剤層とがこの順序で積層された構造を有し、例えば、次のように使用される。まず、ウェハに対して接着剤層側の面を貼り付けるとともにダイシングリングでウェハを固定した状態でウェハをダイシングする。これにより、ウェハが多数のチップに個片化される。続いて、粘着剤層に対して紫外線を照射することによって接着剤層に対する粘着剤層の粘着力を低下させた後、接着剤層が個片化されてなる接着剤片とともにチップを粘着剤層からピックアップする。その後、接着剤片を介してチップを基板等にマウントする工程を経て半導体装置が製造される。なお、ダイシング工程を経て得られるチップと、これに付着した接着剤片とからなる積層体は接着剤片付きチップと称される。
従来、ウェハ及び接着剤層のダイシング方法としては、ブレード等による切断であるブレードダイシングが広く知られている。近年、半導体パッケージの高集積化及びウェハの薄化に伴い、ステルスダイシングが普及しつつある(特許文献1、2参照)。ステルスダイシングは、レーザによって加工対象物の内部に切断予定ラインを形成した後、切断予定ラインに沿ってウェハ及び接着剤層を切断することによって、接着剤片付きチップを得る方法である。
特開2003-338467号公報 特開2009-164556号公報
上記特許文献2は、基材シートと粘着剤層とを有する粘着テープと、粘着テープの粘着剤層上に設けられた接着剤フィルム(接着剤層)とを備えたウェハ加工用テープ(ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム)を用いて、ステルスダイシング適用することを開示する。特許文献2に記載の発明によれば、-15~5℃の低温条件下でエキスパンドを実施することで、接着剤フィルムの分断性を高い状態に維持しつつ、接着剤フィルムを個々のチップに対応して良好に分断することができると記載されている。
しかしながら、本発明者の検討によれば、低温条件下でエキスパンドを実施すると、ウェハ及び接着剤層とともに、粘着剤層も切断される現象(以下、この現象を「糊破断」という場合がある。)が生じる場合があることが見出された。糊破断が粘着剤層に全面に生じると、接着剤片付きチップをピックアップする際に、チップ及び接着剤片(接着剤片付きチップ)とともに、粘着剤片も剥離してしまう現象(以下、この現象を「糊剥がれ」という場合がある。)が起こることがある。このような糊剥がれが発生することにより、ピックアップエラーが生じる場合がある。
そこで、本開示は、接着剤片付きチップのピックアップ性に優れるとともに、糊破断を抑制することが可能なダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを提供することを主な目的とする。
本開示の一側面は、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムに関する。当該ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムは、基材層と、紫外線硬化型粘着剤を含む粘着剤層と、接着剤層とをこの順序で備える。紫外線硬化型粘着剤は、重合性二重結合を含む重合性基を有する(メタ)アクリル系樹脂と、光重合開始剤とを含む。当該(メタ)アクリル系樹脂の水酸基価は、25mgKOH/g以下である。当該(メタ)アクリル系樹脂における重合性二重結合の量は、1.5mmol/g以下である。
重合性二重結合を含む重合性基を有する(メタ)アクリル系樹脂の水酸基価が25mgKOH/g以下であることにより、常温(例えば、15~25℃)での粘着剤層と接着剤層との密着性が低下することから、より容易な条件で接着剤片付きチップをピックアップすることが可能となり、ピックアップ性に優れる傾向にある。重合性二重結合を含む重合性基を有する(メタ)アクリル系樹脂の重合性二重結合の量が1.5mmol/g以下であることにより、低温(例えば、-15~5℃)において充分な柔軟性を有することで、引張応力が分散し易いことから、糊破断を抑制することが可能となる。
重合性二重結合を含む重合性基を有する(メタ)アクリル系樹脂(以下、「第2の(メタ)アクリル系樹脂」という場合がある。)は、水酸基を有する(メタ)アクリル系樹脂(以下、「第1の(メタ)アクリル系樹脂」という場合がある。)と、水酸基と反応可能な官能基及び重合性二重結合を含む重合性基を有する化合物(以下、「重合性基導入化合物」という場合がある。)との反応物であってよい。
第1の(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移点は、-58℃以下であってよい。当該ガラス転移点が-58℃以下であると、低温において充分な柔軟性を有することで、引張応力が分散し易いことから、糊破断をより一層抑制することが可能となる。
粘着剤層と接着剤層との界面の-15℃におけるT字ピール強度は、0.25N/25mm以上であってよい。当該T字ピール強度が0.25N/25mm以上であると、粘着剤層と接着剤層との密着性が充分となり、引張応力が接着剤層に伝達し易い傾向にある。そのため、粘着剤層に引張応力が集中し難いことから、糊破断をより一層抑制することが可能となる。
重合性基は、アクリロイル基及びメタクリロイル基から選ばれる少なくとも1種であってよい。
紫外線硬化型粘着剤は、架橋剤をさらに含んでいていてもよい。このとき、第2の(メタ)アクリル系樹脂の少なくとも一部は、当該架橋剤により架橋されていていてもよい。
本開示の他の側面は、半導体装置の製造方法に関する。当該半導体装置の製造方法は、以下の工程を備える。
(A)上記のダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを準備する工程(準備工程)
(B)ウェハをダイシングする工程(ダイシング工程)
(C)ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの接着剤層に対してウェハを貼り付ける工程(ウェハ貼り付け工程)
(D)基材層を冷却条件下においてエキスパンドすることによって、ウェハ及び接着剤層が個片化されてなる接着剤片付きチップを得る工程(冷却エキスパンド工程)
(E)粘着剤層に紫外線を照射することによって、接着剤片付きチップに対する粘着剤層の粘着力を低下させる工程(紫外線照射工程)
(F)接着剤片付きチップを粘着剤層からピックアップする工程(ピックアップ工程)
(G)ピックアップされた接着剤片付きチップを基板又は他のチップ上にマウントする工程(マウント工程)
本開示によれば、接着剤片付きチップのピックアップ性に優れるとともに、糊破断を抑制することが可能なダイシング・ダイボンディング一体型フィルムが提供される。また、本開示によれば、このようなダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを用いた半導体装置の製造方法が提供される。
図1(a)は、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの一実施形態を示す平面図であり、図1(b)は、図1(a)に示すB-B線に沿った模式断面図である。 図2は、半導体装置の一実施形態の模式断面図である。 図3(a)及び図3(b)は、接着剤片付きチップを製造する過程を模式的に示す断面図である。 図4(a)、図4(b)、及び図4(c)は、接着剤片付きチップを製造する過程を模式的に示す断面図である。 図5(a)及び図5(b)は、図2に示す半導体装置を製造する過程を模式的に示す断面図である。
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態について詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書中、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。また、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせ可能である。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、及び、それに対応するメタクリレートの少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル酸」等の他の類似の表現においても同様である。また、「(ポリ)」とは「ポリ」の接頭語がある場合とない場合の双方を意味する。また、「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。また、以下で例示する材料は、特に断らない限り、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
[ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム]
図1(a)は、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの一実施形態を示す平面図であり、図1(b)は、図1(a)に示すB-B線に沿った模式断面図である。ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム10(以下、場合により、単に「フィルム10」という。)は、(A)工程~(G)工程を含む半導体装置の製造プロセスに好適に用いることができる。
フィルム10は、基材層1と、紫外線硬化型粘着剤を含む粘着剤層3と、接着剤層5とをこの順序で備える。本実施形態においては、正方形の基材層1の上に、粘着剤層3及び接着剤層5の積層体が一つ形成された態様を例示しているが、基材層1が所定の長さ(例えば、100m以上)を有し、その長手方向に並ぶように、粘着剤層3及び接着剤層5の積層体が所定の間隔で配置された態様であってもよい。
<基材層>
基材層1は、既知のポリマーシート又はフィルムを用いることができ、低温条件下において、エキスパンド工程を実施可能なものであれば、特に制限されない。基材層1の具体例としては、結晶性ポリプロピレン、非晶性ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、低密度直鎖ポリエチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-ヘキセン共重合体、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリフェニルスルフイド、アラミド(紙)、ガラス、ガラスクロス、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂、又は、これらに可塑剤を混合した混合物、あるいは、電子線照射により架橋を施した硬化物が挙げられる。
基材層1は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン-ポリプロピレンランダム共重合体、アイオノマー樹脂、及びポリエチレン-ポリプロピレンブロック共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を主成分とする表面を有し、この表面と粘着剤層3とが接しているものであってよい。これらの樹脂は、ヤング率、応力緩和性、融点等の特性、価格面、使用後の廃材リサイクルなどの観点からも良好な基材となり得る。基材層1は、単層であってよく、必要に応じて、異なる材質からなる層が積層された多層構造を有していてもよい。粘着剤層3との密着性を制御する観点から、基材層1は、その表面に対して、マット処理、コロナ処理等の表面粗化処理が施されていてもよい。
<粘着剤層>
粘着剤層3は、紫外線硬化型粘着剤を含む。紫外線硬化型粘着剤は、重合性二重結合を含む重合性基を有する(メタ)アクリル系樹脂(第2の(メタ)アクリル系樹脂)と、光重合開始剤とを含む。紫外線硬化型粘着剤は、架橋剤をさらに含んでいてもよい。第2の(メタ)アクリル系樹脂の少なくとも一部は、架橋剤により架橋されていていてもよい。
(紫外線硬化型粘着剤)
紫外線硬化型粘着剤は、第2の(メタ)アクリル系樹脂を含む。第2の(メタ)アクリル系樹脂は、水酸基を有する(メタ)アクリル系樹脂(第1の(メタ)アクリル系樹脂)と、水酸基と反応可能な官能基及び重合性二重結合を含む重合性基を有する化合物(重合性基導入化合物)との反応物であり得る。
・第1の(メタ)アクリル系樹脂
第1の(メタ)アクリル系樹脂は、既知の方法で合成することで得ることができる。合成方法としては、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、塊状重合法、析出重合法、気相重合法、プラズマ重合法、超臨界重合法が挙げられる。また、重合反応の種類としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、リビングラジカル重合、リビングカチオン重合、リビングアニオン重合、配位重合、イモータル重合等の他、ATRP(原子移動ラジカル重合)及びRAFT(可逆的付加開裂連鎖移動重合)といった手法も挙げられる。この中でも、溶液重合法を用いてラジカル重合により合成することは、経済性の良さ、反応率の高さ、重合制御の容易さなどの他、重合で得られた樹脂溶液をそのまま用いて配合できる等の利点を有する。
第1の(メタ)アクリル系樹脂を合成する際に用いられるモノマーとしては、一分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有するものであれば特に制限はない。その具体例としては、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、モノ(2-(メタ)アクリロイロキシエチル)スクシネート等の脂肪族(メタ)アクリレート;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、モノ(2-(メタ)アクリロイロキシエチル)テトラヒドロフタレート、モノ(2-(メタ)アクリロイロキシエチル)ヘキサヒドロフタレート等の脂環式(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、o-ビフェニル(メタ)アクリレート、1-ナフチル(メタ)アクリレート、2-ナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、p-クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、1-ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(o-フェニルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(1-ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(2-ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;2-テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-N-カルバゾール等の複素環式(メタ)アクリレート、これらのカプロラクトン変性体、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、α-エチルグリシジル(メタ)アクリレート、α-プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、α-ブチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、α-エチル-6,7-エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル等のエポキシ基及び重合性二重結合を含む重合性基を有する化合物;(2-エチル-2-オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、2-(2-エチル-2-オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(2-メチル-2-オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、3-(2-エチル-2-オキセタニル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(2-メチル-2-オキセタニル)プロピル(メタ)アクリレート等のオキセタニル基及び重合性二重結合を含む重合性基を有する化合物;2-(メタ)アクリロキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基及び重合性二重結合を含む重合性基を有する化合物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基及び重合性二重結合を含む重合性基を有する化合物などが挙げられる。これらを適宜組み合わせて目的とする第1の(メタ)アクリル系樹脂を得ることができる。
第1の(メタ)アクリル系樹脂は、一分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーに加えて、本開示の発明を阻害しない範囲で、その他のラジカル重合性モノマーを合成のために用いてもよい。その他のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、マレイミド化合物、ビニルエーテル化合物、アリル化合物、スチレン誘導体、アクリルアミド誘導体、ナジイミド誘導体等が挙げられる。
第1の(メタ)アクリル系樹脂は、後述する重合性基導入化合物又は架橋剤との反応点として、水酸基を有している。第1の(メタ)アクリル系樹脂は、水酸基に加えて、グリシジル基(エポキシ基)、アミノ基等を有していてもよい。
第1の(メタ)アクリル系樹脂(水酸基を有する(メタ)アクリル系樹脂)を合成するためのモノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基及び重合性二重結合を含む重合性基を有する化合物などが挙げられる。このような化合物をモノマーとして用いることにより、第1の(メタ)アクリル系樹脂を得ることができる。
第1の(メタ)アクリル系樹脂の水酸基価は、例えば、130mgKOH/g以下、120mgKOH/g以下、110mgKOH/g以下、100mgKOH/g以下、又は90mgKOH/g以下であってよく、60mgKOH/g以上、70mgKOH/g以上、又は75mgKOH/g以上であってよい。なお、水酸基価とは、試料1g中の水酸基に相当する水酸化カリウムのmg数を意味する。本明細書において、水酸基価は、例えば、JIS K0070:1992に準じる方法によって求めることができる。また、水酸基価は、当該方法に代替して、下記式(X)に基づき計算して求めることもできる。
試料の水酸基価(mgKOH/g)=試料中の水酸基のモル量(mmol)÷試料の質量(g)×56.1 (X)
第1の(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移点(Tg)は、-58℃以下であってよく、-59℃以下、-60℃以下、-61℃以下、又は-62℃以下であってもよい。当該ガラス転移点が-58℃以下であると、低温化において充分な柔軟性を有することで、引張応力を分散し易いことから、糊破断をより一層抑制することが可能となる。第1の(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移点(Tg)は、例えば、-80℃以上又は-70℃以上であってよい。なお、本明細書において、ガラス転移点(Tg)は、以下の関係式(FOX式)によって計算して求めることができる。
1/Tg=Σ(X/Tg) (Y)
[式(Y)中、Tgは、共重合体のガラス転移点(K)を示す。Xは、各単量体の質量分率を示し、X+X+…+X+…+X=1である。Tgは、各単量体の単独重合体のガラス転移点(単位:K)を示す。]
単独重合体のガラス転移点は、例えば、以下のとおりである。ただし、ここでのガラス転点単位は、「℃」である。
アクリル酸:120℃
メタクリル酸:185℃
メチルアクリレート:8℃
メチルメタクリレート:105℃
エチルアクリレート:-22℃
エチルメタクリレート:65℃
ブチルアクリレート:-50℃
ブチルメタクリレート:20℃
2-エチルヘキシルアクリレート:-70℃
2-エチルヘキシルメタクリレート:-10℃
2-ヒドロキシエチルアクリレート:-18℃
2-ヒドロキシエチルメタクリレート:55℃
ベンジルメタクリレート:54℃
フェノキシエチルアクリレート:-22℃
スチレン:100℃
アクリロニトリル:97℃
第1の(メタ)アクリル系樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、20万以上、30万以上、又は40万以上であってよく、100万以下、90万以下、又は80万以下であってよい。なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、東ソー株式会社製SD-8022/DP-8020/RI-8020を使用し、カラムには昭和電工マテリアルズ株式会社製Gelpack GL-A150-S/GL-A160-Sを用い、溶離液にテトラヒドロフランを用いてGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定される値を意味する。
・重合性基導入化合物
重合性基導入化合物は、水酸基と反応可能な官能基及び重合性二重結合を含む重合性基を有する化合物である。水酸基と反応可能な官能基としては、例えば、イソシアネート基、カルボキシル基、グリシジル基等が挙げられる。重合性二重結合を含む重合性基としては、例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等が挙げられる。重合性二重結合を含む重合性基は、アクリロイル基及びメタクリロイル基から選ばれる少なくとも1種であってよい。重合性基導入化合物の具体例としては、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート;α,α-ジメチル-4-イソプロペニルベンジルイソシアネート;アリルイソシアネート;1,1-(ビスアクリロキシメチル)エチルイソシアネート;ジイソシアネート化合物又はポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又は4-ヒドロキシブチルエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;ジイソシアネート化合物又はポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物等が挙げられる。これらの中でも、重合性基導入化合物は、2-メタクリロキシエチルイソシアネートであってよい。
・第2の(メタ)アクリル系樹脂
第2の(メタ)アクリル系樹脂(重合性二重結合を含む重合性基を有する(メタ)アクリル系樹脂)は、第1の(メタ)アクリル系樹脂の水酸基と重合性基導入化合物の水酸基と反応可能な官能基とを反応させることによって得ることができる。
第2の(メタ)アクリル系樹脂の水酸基価は、25mgKOH/g以下である。第2の(メタ)アクリル系樹脂の水酸基価が25mgKOH/g以下であると、常温での粘着剤層と接着剤層との密着性が低下することから、より容易な条件で接着剤片付きチップをピックアップすることが可能となり、ピックアップ性に優れる傾向にある。第2の(メタ)アクリル系樹脂の水酸基価は、23mgKOH/g以下又は21mgKOH/g以下であってもよい。第2の(メタ)アクリル系樹脂の水酸基価は、例えば、10mgKOH/g以上又は15mgKOH/g以上であってよい。
第2の(メタ)アクリル系樹脂における重合性二重結合の量は、1.5mmol/g以下である。第2の(メタ)アクリル系樹脂における重合性二重結合の量が1.5mmol/g以下であると、低温において充分な柔軟性を有することで、引張応力を分散し易いことから、糊破断を抑制することが可能となる。第2の(メタ)アクリル系樹脂における重合性二重結合の量は、1.4mmol/g以下、1.3mmol/g以下、1.2mmol/g以下、1.1mmol/g以下、又は1.0mmol/g以下であってもよい。第2の(メタ)アクリル系樹脂における重合性二重結合の量は、例えば、0.3mmol/g以上、0.5mmol/g以上、又は0.5mmol/g以上であってよい。なお、本明細書において、重合性二重結合の量は、下記式(Z)に基づき計算して求めることもできる。
重合性二重結合の量(mmol/g)=試料中に含まれる重合性基導入化合物のモル量(mmol)×重合性基導入化合物の1分子中の重合性基の数÷試料の質量(g) (Z)
紫外線硬化型粘着剤は、光重合開始剤を含む。光重合開始剤は、紫外線、電子線、及び可視光線からなる群より選ばれる少なくとも一種を照射することで連鎖重合可能な活性種を発生するものであれば、特に制限されない。光重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤が挙げられる。ここで、連鎖重合可能な活性種とは、重合性二重結合を含む重合性基と反応することで重合反応が開始される活性種を意味する。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン等のベンゾインケタール;1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン等のα-ヒドロキシケトン;2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、1,2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン等のα-アミノケトン;1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタジオン-2-(ベンゾイル)オキシム等のオキシムエステル;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド;2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体;ベンゾフェノン、N,N,N’,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、N,N,N’,N’-テトラエチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2-エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ベンズアントラキノン、2-フェニルアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、1,4-ナフトキノン、9,10-フェナントラキノン、2-メチル-1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルアントラキノン等のキノン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル化合物;9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9、9’-アクリジニルヘプタン)等のアクリジン化合物;N-フェニルグリシン、クマリンなどが挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、第2の(メタ)アクリル系樹脂の総量100質量部に対して、例えば、0.1~30質量部、0.3~10質量部、又は0.5~5質量部であってよい。光重合開始剤の含有量が0.1質量部以上であると、粘着剤層が紫外線照射後に硬化が充分となり、ピックアップ不良を防ぐことができる。光重合開始剤の含有量が30質量部以下であると、接着剤層への汚染(光重合開始剤の接着剤層への転写)を抑制することができる。
・架橋剤
紫外線硬化型粘着剤は、架橋剤をさらに含んでいていてもよい。このとき、第2の(メタ)アクリル系樹脂は、水酸基、グリシジル基(エポキシ基)、アミノ基等から選ばれる少なくとも1種を反応点として、その反応点の一部が架橋剤により架橋されていてもよい。すなわち、第2の(メタ)アクリル系樹脂の少なくとも一部は、架橋剤により架橋されていてもよい。
架橋剤は、例えば、粘着剤層の貯蔵弾性率及び/又は粘着性の制御を目的に用いられる。架橋剤は、第2の(メタ)アクリル系樹脂が有する水酸基、グリシジル基(エポキシ基)、アミノ基等から選ばれる少なくとも1種と反応可能な反応性基を一分子中に2個以上有する化合物であってよい。(メタ)アクリル系樹脂と架橋剤との反応によって形成される結合としては、例えば、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレア結合等が挙げられる。
架橋剤は、例えば、一分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートであってよい。このような多官能イソシアネートを用いると、第2の(メタ)アクリル系樹脂が有する水酸基、グリシジル基、アミノ基等と容易に反応し、強固な架橋構造を形成することができる。
一分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、3-メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-2,4’-ジイソシアネート、リジンイソシアネート等のイソシアネート化合物などが挙げられる。
架橋剤は、多官能イソシアネートと、一分子中に2個以上のヒドロキシ基を有する多価アルコールとの反応物(イソシアネート基含有オリゴマー)であってもよい。一分子中に2個以上のヒドロキシ基を有する多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール等が挙げられる。
これらの中でも、架橋剤は、一分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートと、一分子中に3つ以上のヒドロキシ基を有する多価アルコールとの反応物(イソシアネート基含有オリゴマー)であってもよい。このようなイソシアネート基含有オリゴマーを架橋剤として用いることで、粘着剤層が緻密な架橋構造を形成し、これにより、ピックアップ工程において接着剤層に粘着剤が付着することを抑制することが可能となる。
架橋剤の含有量は、粘着剤層に対して求められる凝集力、破断伸び率、接着剤層との密着性等に応じて適宜設定することができる。具体的には、架橋剤の含有量は、第2の(メタ)アクリル系樹脂の総量100質量部に対して、例えば、0.1~30質量部、0.2~20質量部、又は0.3~10質量部であってよい。架橋剤の含有量がこのような範囲にあると、ダイシング工程において粘着剤層に求められる特性と、ダイボンディング工程において粘着剤層に求められる特性とをバランスよく両立することが可能であるとともに、優れたピックアップ性も達成し得る。
架橋剤の含有量が第2の(メタ)アクリル系樹脂の総量100質量部に対して0.1質量部以上であると、架橋構造の形成が充分となり、ピックアップ工程において、接着剤層との界面密着力が充分に低下してピックアップする際の不良が発生し難い傾向にある。他方、架橋剤の含有量が第2の(メタ)アクリル系樹脂の総量100質量部に対して30質量部以下であると、粘着剤層が過度に硬くなり難く、エキスパンド工程においてチップが剥離してしまうことを防ぐことができる。
第2の(メタ)アクリル系樹脂の少なくとも一部が架橋剤により架橋されている場合、第2の(メタ)アクリル系樹脂と架橋剤との架橋物の水酸基価は、例えば、25mgKOH/g以下又は20mgKOH/g以下であってよく、5mgKOH/g以上又は8mgKOH/g以上であってよい。
紫外線硬化型粘着剤は、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、第2の(メタ)アクリル系樹脂以外の樹脂(アクリルモノマー又はオリゴマー、ウレタンモノマー又はオリゴマー等)、粘着性付与剤(タッキファイヤ等)、帯電防止性付与剤、充填剤(有機フィラー、無機フィラー等)などが挙げられる。
粘着剤層3の厚さは、エキスパンド工程の条件(温度、張力等)に応じて適宜設定することができ、例えば、1~100μm、2~50μm、3~20μm、又は5~15μmであってよい。粘着剤層3の厚さが1μm以上であると、粘着性が充分となり易く、100μm以下であると、エキスパンド時にカーフ幅が広くなって(ピン突き上げ時に応力を緩和しないで)、ピックアップが不充分になることを防ぐことが可能となる。
粘着剤層3は、基材層1上に形成されている。基材層1上に粘着剤層3を形成する方法は、既知の手法を採用することができる。基材層1上に粘着剤層3を形成する方法としては、例えば、基材層1と粘着剤層3との積層体を二層押し出し法で形成する方法、紫外線硬化型粘着剤を含むワニス(粘着剤層形成用ワニス)を調製し、これを基材層1の表面に塗工する方法、離型処理されたフィルム上に粘着剤層3を形成し、これを基材層1に転写する方法等が挙げられる。
粘着剤層形成用ワニスは、第2の(メタ)アクリル系樹脂、光重合開始剤、架橋剤等を溶解し得る有機溶剤であって加熱により揮発するものであってよい。有機溶剤の具体例としては、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、p-シメン等の芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等の環状エーテル;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の炭酸エステル;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の多価アルコールアルキルエーテルアセテート;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミドなどが挙げられる。
これらの中で、有機溶剤は、溶解性及び沸点の観点から、例えば、トルエン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びN,N-ジメチルアセトアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。ワニスの固形分(不揮発分)濃度は、通常、10~60質量%である。
粘着剤層3の-15℃における貯蔵弾性率は、例えば、1~200MPaであってよい。-15℃における貯蔵弾性率が1MPa以上であると、粘着剤層と接着剤層との密着力が適度であり、ピックアップエラーが生じ難い傾向にあり、-15℃における貯蔵弾性率が200MPa以下であると、低温下において充分な柔軟性を有することで、引張応力が分散し易いため、糊破断が抑制される傾向にある。粘着剤層3の-15℃における貯蔵弾性率は、3MPa以上又は5MPa以上であってもよく、150MPa以下、120MPa以下、100MPa以下、80MPa以下、60MPa以下、40MPa以下、30MPa以下、又は25MPa以下であってもよい。なお、本明細書において、-15℃における貯蔵弾性率は、例えば、実施例に記載の方法によって測定された値を意味する。
<接着剤層>
接着剤層5には、既知のダイボンディングフィルムを構成する接着剤組成物を適用することができる。具体的には、接着剤層5を構成する接着剤組成物は、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤と、反応性基含有(メタ)アクリル共重合体とを含んでいてもよい。接着剤層5を構成する接着剤組成物は、硬化促進剤と、フィラーとをさらに含んでいてもよい。これらの成分を含む接着剤層5によれば、チップ/基板間、チップ/チップ間の接着性に優れ、また、電極埋め込み性、ワイヤ埋め込み性等も付与可能で、かつダイボンディング工程では低温で接着でき、短時間で優れた硬化が得られる、封止剤でモールド後は優れた信頼性を有する等の特徴を有する傾向にある。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールのジグリシジリエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジリエーテル化物、フェノール類のジグリシジリエーテル化物、アルコール類のジグリシジルエーテル化物、及びこれらのアルキル置換体、ハロゲン化物、水素添加物等の二官能エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。また、多官能エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂等の一般に知られているその他のエポキシ樹脂を適用してもよい。なお、特性を損なわない範囲でエポキシ樹脂以外の成分が不純物として含まれていてもよい。
エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、フェノール化合物と2価の連結基であるキシリレン化合物とを、無触媒又は酸触媒の存在下に反応させて得ることができるフェノール樹脂等が挙げられる。フェノール樹脂の製造に用いられるフェノール化合物としては、例えば、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-エチルフェノール、p-エチルフェノール、o-n-プロピルフェノール、m-n-プロピルフェノール、p-n-プロピルフェノール、o-イソプロピルフェノール、m-イソプロピルフェノール、p-イソプロピルフェノール、o-n-ブチルフェノール、m-n-ブチルフェノール、p-n-ブチルフェノール、o-イソブチルフェノール、m-イソブチルフェノール、p-イソブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、2,4-キシレノール、2,6-キシレノール、3,5-キシレノール、2,4,6-トリメチルフェノール、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、4-メトキシフェノール、o-フェニルフェノール、m-フェニルフェノール、p-フェニルフェノール、p-シクロヘキシルフェノール、o-アリルフェノール、p-アリルフェノール、o-ベンジルフェノール、p-ベンジルフェノール、o-クロロフェノール、p-クロロフェノール、o-ブロモフェノール、p-ブロモフェノール、o-ヨードフェノール、p-ヨードフェノール、o-フルオロフェノール、m-フルオロフェノール、p-フルオロフェノール等が挙げられる。フェノール樹脂の製造に用いられる2価の連結基であるキシリレン化合物としては、次に示すキシリレンジハライド、キシリレンジグリコール及びその誘導体が用いることができる。すなわち、キシリレン化合物の具体例としては、α,α’-ジクロロ-p-キシレン、α,α’-ジクロロ-m-キシレン、α,α’-ジクロロ-o-キシレン、α,α’-ジブロモ-p-キシレン、α,α’-ジブロモ-m-キシレン、α,α’-ジブロモ-o-キシレン、α,α’-ジヨード-p-キシレン、α,α’-ジヨード-m-キシレン、α,α’-ジヨード-o-キシレン、α,α’-ジヒドロキシ-p-キシレン、α,α’-ジヒドロキシ-m-キシレン、α,α’-ジヒドロキシ-o-キシレン、α,α’-ジメトキシ-p-キシレン、α,α’-ジメトキシ-m-キシレン、α,α’-ジメトキシ-o-キシレン、α,α’-ジエトキシ-p-キシレン、α,α’-ジエトキシ-m-キシレン、α,α’-ジエトキシ-o-キシレン、α,α’-ジ-n-プロポキシ-p-キシレン、α,α’-ジ-n-プロポキシ-m-キシレン、α,α’-ジ-n-プロポキシ-o-キシレン、α,α’-ジイソプロポキシ-p-キシレン、α,α’-ジイソプロポキシ-m-キシレン、α,α’-ジイソプロポキシ-o-キシレン、α,α’-ジ-n-ブトキシ-p-キシレン、α,α’-ジ-n-ブトキシ-m-キシレン、α,α’-ジ-n-ブトキシ-o-キシレン、α,α’-ジイソブトキシ-p-キシレン、α,α’-ジイソブトキシ-m-キシレン、α,α’-ジイソブトキシ-o-キシレン、α,α’-ジ-tert-ブトキシ-p-キシレン、α,α’-ジ-tert-ブトキシ-m-キシレン、α,α’-ジ-tert-ブトキシ-o-キシレン等が挙げられる。
反応性基含有(メタ)アクリル共重合体は、例えば、エポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体であってよい。エポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体は、原料としてグリシジル(メタ)アクリレートを、得られる共重合体に対し0.5~6質量%となる量用いて得られる共重合体であってよい。グリシジル(メタ)アクリレートの含有量が0.5質量%以上であると、高い接着力を得易くなり、他方、6質量%以下であることでゲル化を抑制できる傾向にある。反応性基含有(メタ)アクリル共重合体の残部を構成するモノマーは、例えば、メチル(メタ)アクリレート等の炭素数1~8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、アクリロニトリル等であってよい。これらの中でも、反応性基含有(メタ)アクリル共重合体の残部を構成するモノマーは、エチル(メタ)アクリレート及び/又はブチル(メタ)アクリレートであってよい。混合比率は、反応性基含有(メタ)アクリル共重合体のTgを考慮して調整することができる。Tgが-10℃以上であるとBステージ状態での接着剤層5のタック性が大きくなり過ぎることを抑制できる傾向にあり、取り扱い性に優れる傾向にある。なお、エポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体のガラス転移点(Tg)は、例えば、30℃以下であってよい。重合方法は、特に制限されないが、例えば、パール重合、溶液重合等が挙げられる。市販のエポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体としては、例えば、HTR-860P-3(商品名、ナガセケムテックス株式会社製)が挙げられる。
エポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量は、接着性及び耐熱性の観点から、10万以上であってよく、30万~300万又は50万~200万であってもよい。重量平均分子量が300万以下であると、チップと、これを支持する基板との間の充填性が低下することを抑制できる。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)で標準ポリスチレンによる検量線を用いたポリスチレン換算値である。
硬化促進剤としては、例えば、第三級アミン、イミダゾール類、第四級アンモニウム塩類等が挙げられる。硬化促進剤の具体例としては、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテートが挙げられる。
フィラーは、無機フィラーであってよい。無機フィラーの具体例としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ホウ酸アルミウイスカ、窒化ホウ素、結晶質シリカ、非晶質シリカが挙げられる。
接着剤層5の厚さは、例えば、1~300μm、5~150μm、又は10~100μmであってよい。接着剤層5の厚さが1μm以上であると、接着性がより優れ、他方、300μm以下であると、エキスパンド時の分断性及びピックアップ性がより優れる傾向にある。
なお、接着剤層5は熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤)を含まない態様であってもよい。例えば、接着剤層5が反応性基含有(メタ)アクリル共重合体を含む場合、接着剤層5は、反応性基含有(メタ)アクリル共重合体と、硬化促進剤と、フィラーとを含むものであってもよい。
接着剤層5を形成する方法としては、例えば、接着剤組成物を含むワニス(接着剤層形成用ワニス)を調製し、離型処理されたフィルム上に接着剤層5を形成し、これを粘着剤層3に貼り付ける方法等が挙げられる。接着剤層形成用ワニスは、フィラー以外の各成分を溶解し得る有機溶剤であって加熱により揮発するものであってよい。有機溶剤の具体例は、粘着剤層形成用ワニスにおける有機溶剤と同様のものを例示できる。
粘着剤層3と接着剤層5との界面の-15℃におけるT字ピール強度は、0.25N/25mm以上であってよい。-15℃におけるT字ピール強度が0.25N/25mm以上であると、粘着剤層3と接着剤層5との密着性が充分となり、引張応力が接着剤層5に伝達し易い傾向にある。そのため、粘着剤層3に引張応力が集中し難いことから、糊破断をより一層抑制することが可能となる。粘着剤層3と接着剤層5との界面の-15℃におけるT字ピール強度は、0.30N/25mm以上、0.40N/25mm以上、又は0.50N/25mm以上であってもよく、150N/25mm以下、120N/25mm以下、100N/25mm以下、5.00N/25mm以下、4.00N/25mm以下、又は3.00N/25mm以下であってもよい。なお、本明細書において、-15℃におけるT字ピール強度は、例えば、実施例に記載の方法によって測定された値を意味する。
[ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの製造方法]
フィルム10は、例えば、基材層1と、基材層1上に設けられた紫外線硬化型粘着剤からなる粘着剤層3とを含む積層体(ダイシングフィルム)を準備する工程と、接着剤層5を含むダイボンディングフィルムを準備する工程と、ダイシングフィルムの粘着剤層3上に、ダイボンディングフィルムの接着剤層5を貼り合わせる工程とを備える方法によって製造することができる。
[半導体装置及びその製造方法]
図2は、半導体装置の一実施形態の模式断面図である。図2に示される半導体装置100は、基板70と、基板70の表面上に積層された四つのチップS1,S2,S3,S4と、基板70の表面上の電極(不図示)と、四つのチップS1,S2,S3,S4とを電気的に接続するワイヤW1,W2,W3,W4と、これらを封止している封止層50とを備える。
基板70は、例えば、有機基板であってよく、リードフレーム等の金属基板であってもよい。
四つのチップS1,S2,S3,S4は、接着剤片5Pの硬化物5Cを介して積層されている。平面視におけるチップS1,S2,S3,S4の形状は、例えば正方形又は長方形である。チップS1,S2,S3,S4の面積は、1~150mmであってよく、5~100mm又は10~50mmであってもよい。
チップS1,S2,S3,S4の厚さは、例えば、10~200μmであり、20~100μmであってもよい。なお、四つのチップS1,S2,S3,S4の厚さは同じであっても、互いに異なっていてもよい。また、チップの厚さは、例えば、50μm以下、40μm以下、30μm以下、又は20μm以下であってもよく、10μm以上又は15μm以上であってもよい。チップの厚さが薄くなるほど、チップの反りが起こり易い傾向にあり、接着剤片付きチップを粘着剤層からピックアップする前((F)工程より前)に、接着剤片付きチップの端部と粘着剤層との間での剥離が発生し易くなる傾向にある。そのため、チップの厚さが薄いほど、本開示の構成による効果が発現し易いということができる。
半導体装置100の製造方法は、以下の工程を備える。
(A)上記のダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを準備する工程(準備工程)
(B)ウェハをダイシングする工程(ダイシング工程)
(C)ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの接着剤層に対してウェハを貼り付ける工程(ウェハ貼り付け工程)
(D)基材層を冷却条件下においてエキスパンドすることによって、ウェハ及び接着剤層が個片化されてなる接着剤片付きチップを得る工程(冷却エキスパンド工程)
(E)粘着剤層に紫外線を照射することによって、接着剤片付きチップに対する粘着剤層の粘着力を低下させる工程(紫外線照射工程)
(F)接着剤片付きチップを粘着剤層からピックアップする工程(ピックアップ工程)
(G)ピックアップされた接着剤片付きチップを基板又は他のチップ上にマウントする工程(マウント工程)
図3及び図4を参照しながら、接着剤片付きチップ8の作製方法の一例について説明する。まず、上記のフィルム10を準備する((A)工程(準備工程))。
次いで、ウェハWの回路面Waに保護フィルム(「BGテープ」とも称される。)を貼り付け、ウェハWにレーザを照射して複数本の切断予定ラインLを形成する((B)工程(ダイシング工程)、図3(a)参照)。これをステルスダイシングという。ステルスダイシングは、厚さの薄いウェハW(例えば、100μm以下)に対して好適に用いることができる。その後、必要に応じて、ウェハWに対して、ウェハWの厚さを調整するためのバックグラインディング処理及びウェハWを研磨するためのポリッシング処理を行ってもよい。なお、ここではレーザによるステルスダイシングを説明しているが、ステルスダイシングに代えて、ブレードによってウェハWをハーフカットしてもよい。これをハーフカットダイシングという。ハーフカットは、ウェハWを切断するのではなく、ウェハWの切断予定ラインLに対応した切込みを形成することを意味する。
次いで、図3(a)に示すように、フィルム10の接着剤層5に対して、ウェハWの裏面Wbを貼り付ける((C)工程(ウェハ貼り付け工程))。このとき、粘着剤層3に対してダイシングリングDRを貼り付けてもよい。
次いで、図3(b)に示すように、0~-15℃の温度条件下での冷却エキスパンドによって、ウェハW及び接着剤層5を個片化する((D)工程(冷却エキスパンド工程))。すなわち、図3(b)に示すように、基材層1におけるダイシングリングDRの内側領域1aをリングRaで突き上げることによって基材層1に張力を付与する。これにより、ウェハWが切断予定ラインLに沿って分断されるとともに、これに伴って接着剤層5は接着剤片5Pに分断され、粘着剤層3の表面上に複数の接着剤片付きチップ8が得られる。接着剤片付きチップ8は、チップSと、接着剤片5Pとによって構成される。
次いで、基材層1におけるダイシングリングDRの内側領域1aを加熱することによって内側領域1aを収縮させる(ヒートシュリンク)。図4(a)は、ヒータHのブローによって内側領域1aを加熱している様子を模式的に示す断面図である。内側領域1aを環状に収縮させて基材層1に張力を付与することで、隣接する接着剤片付きチップ8の間隔を広げることができる。これにより、ピックアップエラーの発生をより一層抑制できるとともに、ピックアップ工程における接着剤片付きチップ8の視認性を向上させることができる。
次いで、図4(b)に示すように、紫外線の照射によって粘着剤層3の粘着力を低下させる((E)工程(紫外線照射工程))。紫外線照射ランプは、特に制限されず、例えば、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ、UV-LEDランプ等を使用することができる。粘着剤層3に対する紫外線の照度は、例えば、1~1000mW/cm、10~900mW/cm、又は30~800mW/cmあってよい。粘着剤層3に対する紫外線の照射量は、例えば、10~3000mJ/cmであり、50~2500mJ/cm、又は100~2000mJ/cmであってもよい。その後、図4(c)に示すにように、突き上げ冶具42で接着剤片付きチップ8を突き上げることによって粘着剤層3から接着剤片付きチップ8をはく離させるとともに、接着剤片付きチップ8を吸引コレット44で吸引してピックアップする((F)工程(ピックアップ工程))。
接着剤片付きチップ8は、半導体装置の組立装置(不図示)に搬送され、回路基板等に圧着される((G)工程(マウント工程))。図5(a)に示すように、接着剤片5Pを介して一段目のチップS1(チップS)を基板70の所定の位置に圧着する。次に、加熱によって接着剤片5Pを硬化させる(ダイボンディング工程)。これにより、接着剤片5Pが硬化して硬化物5Cとなる。接着剤片5Pの硬化処理は、ボイドの低減の観点から、加圧雰囲気下で実施してもよい。
基板70に対するチップS1のマウントと同様にして、チップS1の表面上に二段目のチップS2をマウントする。さらに、三段目及び四段目のチップS3,S4をマウントすることによって図5(b)に示す構造体60が作製される。チップS1,S2,S3,S4と基板70とをワイヤW1,W2,W3,W4でそれぞれ電気的に接続した後、半導体素子及びワイヤを封止するための封止層50を形成することによって、半導体素子及びワイヤを封止することによって、図2に示される半導体装置100を作製することができる。
以下、本開示について、実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に記述がない限り、薬品は全て試薬(市販品)を使用した。
実施例において、水酸基価は、上記式(X)に基づき、計算して求めた値である。ガラス転移点(Tg)は、上記式(Y)に基づき、計算して求めた値である。重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算の重量平均分子量を意味し、東ソー株式会社製SD-8022/DP-8020/RI-8020を使用し、カラムには昭和電工マテリアルズ株式会社製Gelpack GL-A150-S/GL-A160-Sを用い、溶離液にテトラヒドロフランを用いてGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定された値である。重合性二重結合の量は、上記式(Z)に基づき、計算して求めた値である。
(製造例1~7)
[第2の(メタ)アクリル系樹脂の合成]
<第1の(メタ)アクリル系樹脂の準備>
表1に示す物性の第1の(メタ)アクリル系樹脂A~Eを準備した。
Figure 2023137425000002
<製造例1:第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-1)の合成>
100質量部の第1の(メタ)アクリル系樹脂A及び136質量部の酢酸エチル(溶剤)の混合物を準備した。これに、ウレタン化触媒として、ジオクチルスズジラウレートを0.02質量部添加した後、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工株式会社製、カレンズMOI(商品名))を16.0質量部加え、70℃で6時間反応させて、室温(25℃、以下、「室温」は25℃を意味する。)に冷却した。次いで、酢酸エチルをさらに加え、固形分(不揮発分)濃度が30質量%となるよう調整し、第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-1)を含む溶液を得た。
第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-1)の水酸基価は、20.9mgKOH/gであった。第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-1)の重合性二重結合の量は、0.89mmol/gであった。
<製造例2:第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-2)の合成>
第1の(メタ)アクリル系樹脂Aを第1の(メタ)アクリル系樹脂Bに変更した以外は、製造例1と同様にして、第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-2)を含む溶液を得た。
第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-2)の水酸基価は、20.9mgKOH/gであった。第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-2)の重合性二重結合の量は、0.89mmol/gであった。
<製造例3:第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-3)の合成>
第1の(メタ)アクリル系樹脂Aを第1の(メタ)アクリル系樹脂Cに変更し、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの添加量を16.0質量部から26.7質量部に変更した以外は、製造例1と同様にして、第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-3)を含む溶液を得た。
第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-3)の水酸基価は、19.1mgKOH/gであった。第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-3)の重合性二重結合の量は、1.36mmol/gであった。
<製造例4:第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-4)の合成>
第1の(メタ)アクリル系樹脂Aを第1の(メタ)アクリル系樹脂Cに変更した以外は、製造例1と同様にして、第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-4)を含む溶液を得た。
第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-4)の水酸基価は、54.3mgKOH/gであった。第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-4)の重合性二重結合の量は、0.89mmol/gであった。
<製造例5:第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-5)の合成>
第1の(メタ)アクリル系樹脂Aを第1の(メタ)アクリル系樹脂Dに変更した以外は、製造例1と同様にして、第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-5)を含む溶液を得た。
第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-5)の水酸基価は、75.1mgKOH/gであった。第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-5)の重合性二重結合の量は、0.89mmol/gであった。
<製造例6:第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-6)の合成>
第1の(メタ)アクリル系樹脂Aを第1の(メタ)アクリル系樹脂Dに変更し、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの添加量を16.0質量部から26.7質量部に変更した以外は、製造例1と同様にして、第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-6)を含む溶液を得た。
第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-6)の水酸基価は、38.2mgKOH/gであった。第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-6)の重合性二重結合の量は、1.36mmol/gであった。
<製造例7:第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-7)の合成>
第1の(メタ)アクリル系樹脂Aを第1の(メタ)アクリル系樹脂Dに変更し、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの添加量を16.0質量部から33.4質量部に変更した以外は、製造例1と同様にして、第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-7)を含む溶液を得た。
第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-7)の水酸基価は、18.1mgKOH/gであった。第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-7)の重合性二重結合の量は、1.61mmol/gであった。
<製造例8:第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-8)の合成>
第1の(メタ)アクリル系樹脂Aを第1の(メタ)アクリル系樹脂Eに変更し、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの添加量を16.0質量部から33.4質量部に変更した以外は、製造例1と同様にして、第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-8)を含む溶液を得た。
第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-8)の水酸基価は、18.1mgKOH/gであった。第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-8)の重合性二重結合の量は、1.61mmol/gであった。
(実施例1)
[ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの作製]
<ダイシングフィルム(粘着剤層)の作製>
以下の成分を混合することで、粘着剤層形成用ワニスを調製した(表1参照)。酢酸エチル(溶剤)の量は、ワニスの総固形分含有量が25質量%となるように調整した。
(A)第2の(メタ)アクリル系樹脂
・製造例1の第2の(メタ)アクリル系樹脂(A-1)を含む溶液:100質量部(固形分)
(B)光重合開始剤
・光重合開始剤(B-1)(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IGM RESINS B.V.社製、Omnirad 184、「Omnirad」は登録商標)):1.0質量部
・光重合開始剤(B-2)(フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(IGM RESINS B.V.社製、Omnirad 819、「Omnirad」は登録商標)):0.2質量部
(C)架橋剤
・架橋剤(C-1)(多官能イソシアネート(東ソー株式会社製、コロネートL、固形分45%)):4.0質量部(固形分)
一方の面に離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム(幅450mm、長さ500mm、厚さ38μm)を準備した。離型処理が施された面に、アプリケータを用いて紫外線硬化型粘着剤のワニスを塗布した後、80℃で3分間乾燥した。これによって、ポリエチレンテレフタレートフィルムと、その上に形成された厚さ10μmの粘着剤層とを含む積層体を得た。
一方の面にコロナ処理が施されたポリオレフィンフィルム(幅450mm、長さ500mm、厚さ90μm)を準備した。コロナ処理が施された面と、上記積層体の粘着剤層とを室温にて貼り合わせた。次いで、ゴムロールで押圧することで粘着剤層をポリオレフィンフィルム(カバーフィルム)に転写した。その後、室温で5日間放置することでカバーフィルム付きのダイシングフィルムを得た。
<ダイボンディングフィルム(接着剤層)の作製>
以下の成分を混合することで、接着剤層形成用のワニスを調製した。まず、以下の成分を含む混合物に対して、シクロヘキサノン(溶剤)を加えて撹拌混合した後、さらにビーズミルを用いて90分混練した。
・エポキシ樹脂(N-500P-10(商品名)、DIC株式会社製、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量:200、軟化点:85℃):11.0質量部
・エポキシ樹脂(EXA-830CRP(商品名)、DIC株式会社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量:160、分子量:1800、軟化点:85℃):13.0質量部
・フェノール樹脂(ミレックスXLC-LL(商品名)、三井化学株式会社製、フェノール樹脂、水酸基当量:175、吸水率:1.8%、350℃における加熱重量減少率:4%):19.0質量部
・シランカップリング剤(NUC A-189(商品名)株式会社NUC製、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン):0.1質量部
・シランカップリング剤(NUC A-1160(商品名)、日本ユニカー株式会社製、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン):0.2質量部
・フィラー(SC2050-HLG(商品名)、アドマテックス株式会社製、シリカ、平均粒径0.500μm):39質量部
上記のようにして得られた混合物に以下の成分をさらに加えた後、撹拌混合及び真空脱気の工程を経て接着剤層形成用のワニスを得た。
・エポキシ基含有アクリル共重合体(HTR-860P-3(商品名)、ナガセケムテックス株式会社製、重量平均分子量:80万):18質量部
・硬化促進剤(キュアゾール2PZ-CN(商品名)、四国化成工業株式会社製、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、「キュアゾール」は登録商標)0.1質量部
一方の面に離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm)を準備した。離型処理が施された面に、アプリケータを用いて接着剤層形成用のワニスを塗布した後、140℃で5分間加熱乾燥した。これにより、ポリエチレンテレフタレートフィルム(キャリアフィルム)と、その上に形成された厚さ50μmの接着剤層(Bステージ状態)とを含む積層体を得た。
<ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの作製>
キャリアフィルムと接着剤層とを含むダイボンディングフィルムを、キャリアフィルムごと直径312mmの円形にカットした。カバーフィルム付きのダイシングフィルムからカバーフィルムを剥離し、カットしたダイボンディングフィルムの接着剤層上に、ダイシングフィルムの粘着剤層を室温で貼り付けた後、室温で1日放置した。その後、直径370mmの円形にダイシングフィルムをカットし、実施例1のダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを得た。後述の種々の評価試験に供するために、複数のダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを準備した。
(実施例2~4及び比較例1~6)
[ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの作製]
表2の実施例1の粘着剤層の組成を、表2及び表3の実施例2~6及び比較例1~3の粘着剤層の組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2~6及び比較例1~3のダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを得た。後述の種々の評価試験に供するために、複数のダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを準備した。
[評価試験]
(1)粘着剤層と接着剤層との界面の-15℃におけるT字ピール強度の測定
ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの粘着剤層側に支持テープを貼り合せ、幅25mm、長さ80~100mmのサイズに切り出して、測定用サンプルを作製した。T字ピール強度の測定には、恒温槽付オートグラフ(株式会社エー・アンド・デイ製)を用い、測定用サンプルを-15℃で600mm/分の速度で引っ張り、得られたチャートから安定した点の値の平均値を取り、その平均値をT字ピール強度とした。なお、T字ピール強度の測定では、粘着剤層側を一定の速度で引っ張ることができるように接着剤層側を固定した。結果を表2に示す。
(2)粘着剤層の-15℃における貯蔵弾性率の測定
ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの粘着剤層の作製に用いた粘着剤層形成用ワニスを用いて、粘着剤層単層フィルムを作製した。より具体的には、一方の面に離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム(幅450mm、長さ500mm、厚さ38μm)上に、アプリケータを用いて粘着剤層の厚さが10μmとなるようにギャップを調整しながら、粘着剤層形成用ワニスを塗工した後、80℃で3分間乾燥した。別途、一方の面に離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム(幅450mm、長さ500mm、厚さ25μm)を準備し、ポリエチレンテレフタレートフィルムの離型処理面と、粘着剤層付きポリエチレンテレフタレートフィルムの粘着剤層とを室温にて貼り合わせ、粘着剤層単層フィルムを得た。粘着剤層単層フィルムを、厚さが100μm程度になるまで積層し、これを幅4mmに切り出して測定試料を得た。
動的粘弾性測定装置オートグラフ(株式会社ユービーエム製)を用いて、得られた測定試料の-15℃における貯蔵弾性率を測定した。測定は、チャック間距離20mm、周波数10Hz、測定温度-50℃~30℃、及び昇温速度3℃/分の条件で行い、-15℃のときの貯蔵弾性率の値を、-15℃における貯蔵弾性率とした。結果を表2に示す。
(3)糊破断の評価
ダイシング工程、ウェハ貼り付け工程、冷却エキスパンド工程、及び紫外線照射工程を実施することで、糊破断の評価を行った。
シリコンウェハ(直径12インチ、厚さ775μm)の表面に保護テープ(BGテープ)を貼り付けた。その後、シリコンウェハのステルスダイシングを行った。すなわち、BGテープが貼り付けられた側と反対側のシリコンウェハの面(裏面)に対して以下条件でレーザ光を照射することによって、シリコンウェハ内部に改質層を形成した。
<ステルスダイシング条件>
・ステルスダイシング装置:DFL7361(株式会社ディスコ製)
・レーザ発振器型式:半導体レーザ励起Qスイッチ固体レーザ
・波長:1342nm
・周波数:90kHz
・出力:1.7W
・パス数:2
・チップサイズ:4.6mm×7.2mm
・ダイシング速度:700mm/秒
ステルスダイシング後のシリコンウェハを厚さ30μmになるまで研磨した。研磨にはグラインダポリッシャ装置(DGP8761、株式会社ディスコ製)を使用した。研磨後のシリコンウェハ及びダイシングリングにダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを以下条件で貼り付けた。その後、シリコンウェハの表面からBGテープを剥離した。
<貼付条件>
・貼付装置:DFM2800(株式会社ディスコ製)
・貼付温度:70℃
・貼付速度:10mm/s
・貼付テンションレベル:レベル1
次いで、ダイセパレータ(DDS2300、株式会社ディスコ製)を使用して以下条件で冷却エキスパンドした。その後、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの基材層(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を以下の条件でヒートシュリンクさせた。これらの工程を経て、シリコンウェハ及び接着剤層を複数の接着剤片付きチップ(サイズ4.6mm×7.2mm)に個片化した。
<冷却エキスパンド条件>
・冷却温度:-15℃
・冷却時間:80秒
・突上げ量:11mm
・突上げ速度:300mm/秒
<ヒートシュリンク条件>
・ヒータ温度:220℃
・ヒータ回転速度:7°/秒
・突上げ量:9mm
シリコンウェハ及び接着剤層を個片化した後、粘着剤層に対して以下の条件で紫外線照射を行った。これにより、粘着剤層を硬化させて接着剤層に対する粘着力を低下させた。
<紫外線照射条件>
・紫外線の照度:100mW/cm
・紫外線の照射量:150mJ/cm
紫外線照射後のウェハ及び接着剤層について、ウェハ側から顕微鏡で観察することによって、粘着剤層の糊破断を観察した。顕微鏡による観察は、ウェハ周辺部及び中央部に対して実施し、以下の基準に従って評価した。
A:糊破断の割合が0%以上10%未満であった。
B:糊破断の割合が10%以上80%未満であった。
C:糊破断の割合が80%以上であった。
なお、糊破断の割合(単位:%)は、全ラインの総本数に対する糊破断が生じたラインの本数の割合を意味する。
(4)ピックアップ性の評価
上記の糊破断の評価を実施した後、以下の条件で各突き上げ高さ及び各突き上げ速度に対して20個の接着剤片付きチップをピックアップし、20個全てピックアップ可能であったときの突き上げ高さを評価した。
<ピックアップ条件>
・ダイボンダ装置:DB-830P(ファスフォードテクノロジ株式会社製)
・突き上げ高さ:50、75、100、125、150、175、200、225、250、300μm
・突き上げ速度:1mm/秒又は10mm/秒
・突き上げ後保持時間:0秒
(3step)
・突き上げツール:1段目サイズ3.9mm×6.5mm、2段目サイズ2.2mm×4.8mm、3段目サイズ1.0mm×3.6mm、ファスフォードテクノロジ株式会社製
<評価基準>
A:ピックアップ可能な突き上げ高さが100μm以下であった。
B:ピックアップ可能な突き上げ高さが100μm超、200μm以下であった。
C:ピックアップ可能な突き上げ高さが200μm超であった。
Figure 2023137425000003
Figure 2023137425000004
粘着剤層として、水酸基が25mgKOH/g以下であり、かつ重合性二重結合の量が1.5mmol/g以下である第2の(メタ)アクリル系樹脂を用いた実施例1~4のダイシング・ダイボンディング一体型フィルムは、このような第2の(メタ)アクリル系樹脂を用いていない比較例1~6のダイシング・ダイボンディング一体型フィルムに比べて、接着剤片付きチップのピックアップ性に優れ、糊破断の割合が低かった。これらの結果から、本開示のダイシング・ダイボンディング一体型フィルムが、接着剤片付きチップのピックアップ性に優れるとともに、糊破断を抑制することが可能であることが確認された。
1…基材層、3…粘着剤層、5…接着剤層、8…接着剤片付きチップ、10…ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム、W…ウェハ。

Claims (7)

  1. 基材層と、紫外線硬化型粘着剤を含む粘着剤層と、接着剤層とをこの順序で備え、
    前記紫外線硬化型粘着剤が、重合性二重結合を含む重合性基を有する(メタ)アクリル系樹脂と、光重合開始剤とを含み、
    前記(メタ)アクリル系樹脂の水酸基価が25mgKOH/g以下であり、
    前記(メタ)アクリル系樹脂における前記重合性二重結合の量が1.5mmol/g以下である、
    ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム。
  2. 前記(メタ)アクリル系樹脂が、水酸基を有する(メタ)アクリル系樹脂と、前記水酸基と反応可能な官能基及び重合性二重結合を含む重合性基を有する化合物との反応物である、
    請求項1に記載のダイシング・ダイボンディング一体型フィルム。
  3. 前記水酸基を有する(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移点が-58℃以下である、
    請求項2に記載のダイシング・ダイボンディング一体型フィルム。
  4. 前記粘着剤層と前記接着剤層との界面の-15℃におけるT字ピール強度が0.25N/25mm以上である、
    請求項1~3のいずれか一項に記載のダイシング・ダイボンディング一体型フィルム。
  5. 前記重合性基がアクリロイル基及びメタクリロイル基から選ばれる少なくとも1種である、
    請求項1~4のいずれか一項に記載のダイシング・ダイボンディング一体型フィルム。
  6. 前記紫外線硬化型粘着剤が架橋剤をさらに含み、
    前記(メタ)アクリル系樹脂の少なくとも一部が前記架橋剤により架橋されていていてもよい、
    請求項1~5のいずれか一項に記載のダイシング・ダイボンディング一体型フィルム。
  7. (A)請求項1~6のいずれか一項に記載のダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを準備する工程と、
    (B)ウェハをダイシングする工程と、
    (C)前記ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの前記接着剤層に対して前記ウェハを貼り付ける工程と、
    (D)前記基材層を冷却条件下においてエキスパンドすることによって、前記ウェハ及び前記接着剤層が個片化されてなる接着剤片付きチップを得る工程と、
    (E)前記粘着剤層に紫外線を照射することによって、前記接着剤片付きチップに対する前記粘着剤層の粘着力を低下させる工程と、
    (F)前記接着剤片付きチップを前記粘着剤層からピックアップする工程と、
    (G)ピックアップされた前記接着剤片付きチップを基板又は他のチップ上にマウントする工程と、
    を備える、
    半導体装置の製造方法。
JP2022043633A 2022-03-18 2022-03-18 ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム及び半導体装置の製造方法 Pending JP2023137425A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022043633A JP2023137425A (ja) 2022-03-18 2022-03-18 ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム及び半導体装置の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022043633A JP2023137425A (ja) 2022-03-18 2022-03-18 ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム及び半導体装置の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023137425A true JP2023137425A (ja) 2023-09-29

Family

ID=88146146

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022043633A Pending JP2023137425A (ja) 2022-03-18 2022-03-18 ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム及び半導体装置の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023137425A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4790074B2 (ja) ダイシング・ダイボンドフィルム
WO2009090838A1 (ja) ダイシング・ダイボンドフィルム
WO2021095302A1 (ja) 半導体装置の製造方法、並びにダイシング・ダイボンディング一体型フィルム及びその製造方法
JP7059553B2 (ja) ステルスダイシング用粘着テープ及びダイシングダイボンディング一体型テープ、並びに半導体装置の製造方法
WO2005088700A1 (ja) ダイシングダイボンドシート
WO2018105613A1 (ja) 半導体加工用テープ
JP6789500B2 (ja) ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム及びその製造方法、並びに、半導体装置の製造方法
CN113396057B (zh) 保护膜形成用片及基板装置的制造方法
KR20210107032A (ko) 광경화성 점착제의 평가 방법, 다이싱·다이본딩 일체형 필름과 그 제조 방법, 및 반도체 장치의 제조 방법
WO2021095370A1 (ja) ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム及びその製造方法、並びに半導体装置の製造方法
JP2023137425A (ja) ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム及び半導体装置の製造方法
JP6535119B1 (ja) 半導体加工用テープ
WO2022255321A1 (ja) ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム及び半導体装置の製造方法
WO2022255322A1 (ja) 半導体装置の製造方法及びダイシング・ダイボンディング一体型フィルム
WO2021095369A1 (ja) ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム及びその製造方法、並びに半導体装置の製造方法
JP6860122B1 (ja) ピックアップ性の評価方法、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの評価方法及び選別方法、並びに半導体装置の製造方法
JP6835296B1 (ja) ピックアップ性の評価方法、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの評価方法及び選別方法、並びに半導体装置の製造方法
KR20190113748A (ko) 반도체 가공용 테이프
JP2019218428A (ja) ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム及びこれに用いる粘着フィルム
JP6535118B1 (ja) 半導体加工用テープ
JP2023101285A (ja) ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム及びその製造方法、並びに半導体装置の製造方法
JP2024072584A (ja) 半導体装置の製造方法