JP2023136867A - 湿式摩擦材、および湿式摩擦材を用いた湿式摩擦板 - Google Patents

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Mutsumi Setoi
賢一 磯
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Naoko Sugano
浩成 木野
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Abstract

【課題】適用される環境から受ける影響を低減することができる湿式摩擦材、および当該湿式摩擦材を用いた湿式摩擦板を提供すること。【解決手段】基材ペーパーは、セルロースナノファイバーの内、0.2mm以上の繊維長を有する繊維が、基材ペーパーに含まれるセルロースナノファイバーの全量に対して1~10重量%の割合で含有され、且つセルロースナノファイバーの内、20μm以上の繊維幅を有する繊維が、基材ペーパーに含まれるセルロースナノファイバーの全量に対して5~40重量%の割合で含有されると共に、基材ペーパーに含まれるセルロースナノファイバーのフィブリル面積比が10~60面積%となるように構成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、自動車等の自動変速機に組み込まれる湿式クラッチ或いは湿式ブレーキに用いられる湿式摩擦材、および当該湿式摩擦材を用いた湿式摩擦板に関する。
自動車等の駆動装置のひとつである自動変速機の構成部品として、湿式摩擦板を用いた湿式クラッチ或いは湿式ブレーキがある。近年、自動車の動力の変化において電動化への適用要求がある。電動化の動力源として、例えば電動モータを用いた場合、従来の動力源と比較すると高速回転の環境となる場合がある。高速回転下においては振動が大きく影響するため、変速時における湿式クラッチ或いは湿式ブレーキの性能の低下、すなわち湿式摩擦板に用いられている湿式摩擦材の性能が低下することへの懸念がある。
特許文献1には、湿式摩擦材のベース材における材質表面へフィブリル化ナノファイバーを成分配合させることによる摩擦材自体の耐熱耐久性や摩擦性能の向上についての効果が記載されている。
特開2017-171921号公報
従来の解決法では、湿式摩擦材の強度を向上させる場合に気孔性がトレードオフとなり、強度は製品の継続使用に直結し、一方気孔性は耐熱耐久性や摩擦性能といった製品性能に直結するため、製品としての必要強度を維持しつつ製品性能を向上させるには限界があり、更なる性能向上の要求に対応することができない。
さらに、湿式摩擦材に関しては適用される環境から受ける影響を低減するための性能向上の要求がある。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、自動変速機内の湿式クラッチ或いは湿式ブレーキに用いられる湿式摩擦材であって、適用される環境から受ける影響を低減することができる湿式摩擦材、および当該湿式摩擦材を用いた湿式摩擦板を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る湿式摩擦材は、
繊維基材を用いて形成された基材ペーパーと、
前記基材ペーパーを硬化させるための結合材とを含む湿式摩擦材であって、
前記基材ペーパーには適度に外部フィブリル化したセルロースナノファイバーが配合され、
前記基材ペーパーは、0.2mm以上の繊維長を有する繊維が、前記基材ペーパーに含まれる前記セルロースナノファイバー内の含有割合として1~10重量%の割合で含有され、且つ20μm以上の繊維幅を有する繊維が、前記基材ペーパーに含まれる前記セルロースナノファイバー内の含有割合として5~40重量%の割合で含有されると共に、前記基材ペーパーに含まれる前記セルロースナノファイバーのフィブリル面積比が10~60面積%となるように構成されていることを特徴とする。
尚、ここで説明する前記フィブリル面積比は、JIS P 8226-2:2011に規定の繊維長測定装置で試料を撮影し、画像解析することにより得られる数値で、1本の繊維から枝分かれしたフィブリルの面積を、フィブリルを含めた繊維全体の面積で除した値について、長さ加重平均として算出したものである。
また、前記基材ペーパーに含まれる前記セルロースナノファイバーは、市場に流通しているセルロースナノファイバー製品のように、繊維幅が1μm以下レベルまで解繊されたナノ繊維に加え、繊維幅が1μm以上でナノ繊維までは解繊されていない繊維も含有している、適度に外部フィブリル化した集合体を示すものである。
本発明によれば、自動変速機内の湿式クラッチ或いは湿式ブレーキに用いられる湿式摩擦材であって、適用される環境から受ける影響を低減することができる湿式摩擦材、および当該湿式摩擦材を用いた湿式摩擦板を提供することができる。
図1は本実施形態に係る湿式摩擦材および湿式摩擦板を用いた湿式摩擦係合装置の軸方向に沿った部分断面図である。 図2は本実施形態に係る湿式摩擦材を用いた湿式摩擦板を模式的に示す正面図である。
以下、本発明の実施形態に係る湿式摩擦材および当該湿式摩擦材を用いた湿式摩擦板について説明する。
本実施形態の湿式摩擦材および湿式摩擦板は、車両等の自動変速機内の湿式摩擦係合装置すなわち湿式多板クラッチ或いは湿式多板ブレーキに用いられるものである。以下の説明においては、湿式摩擦材および湿式摩擦板を、それぞれ「摩擦材」および「摩擦板」と略記する場合がある。また、本明細書において軸方向は湿式摩擦係合装置の軸方向とし、湿式摩擦係合装置の軸線と直交する方向を径方向とする。
図1は、本実施形態に係る湿式摩擦材および湿式摩擦板を用いた湿式摩擦係合装置の例である湿式多板クラッチの軸方向に沿った部分断面図である。
湿式多板クラッチ1は、軸方向の一方の端部で開放した略円筒状のハウジング2と、ハウジング2の内周側にハウジング2と同心に配置され、ハウジング2と相対回転可能なハブ3とを備えている。ハウジング2の内周面に設けられたスプライン4には、環状のセパレータプレート5が軸方向に移動可能に複数嵌合されている。セパレータプレート5はスプライン4に嵌合するスプライン部8を備えている。ハブ3の外周面に設けられたスプライン6には、環状の湿式摩擦板7が軸方向に移動可能に複数嵌合されている。湿式摩擦板7はスプライン6に嵌合するスプライン部9を備えている。摩擦板7とセパレータプレート5とは軸方向に交互に配置されている。
摩擦板7は、その軸方向の両面に所定の摩擦係数を有する湿式摩擦材19が接着剤により固定されている。なお、湿式摩擦材19は、摩擦板7の片面のみに設けることもできる。セパレータプレート5は摩擦板7の摩擦係合相手部材である。
湿式多板クラッチ1はさらに、セパレータプレート5と摩擦板7とを軸方向に押圧し締結させるピストン10と、ハウジング2の内周側部分に設けられ、セパレータプレート5および摩擦板7を軸方向の一端で固定状態に保持するためのエンドプレート11と、エンドプレート11をハウジング2の内周側部分に保持するための止め輪12とを備えている。また、ハブ3には径方向に貫通した潤滑油供給口15が設けられ、この潤滑油供給口15を介して湿式多板クラッチ1の内径側から外径側へと潤滑油が供給されている。
ピストン10は、ハウジング2の閉口端側の内周面において、該内周面に対して軸方向摺動自在に配置されている。ピストン10の外周面とハウジング2の内周面との間にはOリング13が介装されている。ピストン10の内周面と、ハウジング2の内筒部(不図示)の外周面との間にもシール部材(不図示)が介装され、これによりハウジング2の閉口端側の内周面とピストン10との間に油密状態の油圧室14が画成される。
このように構成された湿式多板クラッチ1は、次のように係合すなわち締結および解除をする。図1の状態は、クラッチ解除状態を示しており、セパレータプレート5と摩擦板7とはそれぞれ離れている。クラッチ解除状態では、不図示のリターンスプリングの付勢力により、ピストン10はハウジング2の閉口端に当接している。
この状態で湿式多板クラッチ1を係合させるには、油圧室14に油圧を供給する。油圧の上昇に伴い、図示しないリターンスプリングの付勢力に抗して、ピストン10は、図1において右方に移動し、セパレータプレート5と摩擦板7とを密着させる。これにより湿式多板クラッチ1が係合される。
湿式多板クラッチ1の係合後、湿式多板クラッチ1を再度解除するには、油圧室14の油圧を解除する。油圧が解除されると、ピストン10は図示しないリターンスプリングの付勢力により、ハウジング2の閉口端に当接する位置まで移動する。すなわち、湿式多板クラッチ1が解除される。
図2は本実施形態に係る湿式摩擦材19を用いた湿式摩擦板7を模式的に示す正面図である。
本実施形態に係る湿式摩擦材19および湿式摩擦板7の製法は次のとおりである。すなわち摩擦材19は、繊維基材を抄紙して基材ペーパーを作製し、得られた基材ペーパーに結合材として、例えば熱硬化性樹脂等を含浸させ、硬化させることにより作製される。摩擦板7は、上記製法によって造られた摩擦材19を所定の形状に打ち抜き、芯金である金属製の円環状のコアプレート17に接着することにより造られる。
繊維基材としては、天然パルプ繊維、有機合成繊維、無機化合物を含む繊維の一種又は複数を用いることができる。
本実施形態の湿式摩擦材19は、基材ペーパーを構成する主な繊維基材としてアラミド繊維を用いている。これを抄紙して基材ペーパーを作製する際、他の繊維基材として所定量のセルロースナノファイバーを配合している。
尚、前記セルロースナノファイバーは、市場に流通しているセルロースナノファイバー製品のように、繊維幅が1μm以下レベルまで解繊されたナノ繊維に加え、繊維幅が1μm以上でナノ繊維までは解繊されていない繊維も含有している、適度に外部フィブリル化した集合体を示すものである。
外部フィブリル化とは繊維の叩解状態であり、これにより繊維同士の絡み合いが増え、ペーパー材としたときに強度が向上する。一方で外部フィブリル化が過度になると微細な繊維同士が凝集し、ペーパー材とした際に繊維と繊維との間の空間が埋められ気孔性が損なわれる。適度に外部フィブリル化されたセルロースナノファイバーは、抄紙時に、水中において繊維同士が凝集することを防止し、水中に均一に分散するようにし、ペーパー材としたときに繊維と繊維との間に適度な空間が保持される。このような抄紙工程を経て得られた基材ペーパーは、成分が均一化されると共に、繊維間の空間が保持されることによって気孔性が確保される。したがって、適度に外部フィブリル化したセルロースナノファイバーが配合された基材ペーパーに、結合材として熱硬化性樹脂を含浸させて湿式摩擦材19としたとき、当該湿式摩擦材19は強度および油保持性の向上を図ることができる。
本願の発明者は、セルロースナノファイバーの性状について研究した結果、所定以上の繊維長を所定範囲内で含有するセルロースナノファイバーが、抄紙の際に水中において繊維同士が凝集しにくく、より均一に分散されるという知見を得た。本願の発明者は更に、所定以上の繊維幅を所定範囲内で含有するセルロースナノファイバーが、抄紙の際に水中において繊維同士が凝集しにくく、より均一に分散されるという知見を得た。本願の発明者は更に、フィブリル面積比が所定範囲内となるセルロースナノファイバーが、抄紙の際に水中において繊維同士が凝集しにくく、より均一に分散されるという知見を得た。本実施形態の摩擦材19は、これらの知見に基き、更に上記の繊維長或いは繊維幅或いはフィブリル面積比を有するセルロースナノファイバーについて検討を重ねて構成されたものである。以下に、本実施形態の摩擦材19に配合されるセルロースナノファイバーの性状等について説明する。
本実施形態の摩擦材19は、基材ペーパーに含まれるセルロースナノファイバーについて、以下の繊維長に関する条件を満たしている。すなわち、本実施形態の摩擦材19の基材ペーパーは、0.2mm以上の繊維長を有する繊維が、基材ペーパーに含まれるセルロースナノファイバー内の含有割合として1~10重量%の割合で含有されている。更に、本実施形態の摩擦材19は、基材ペーパーに含まれるセルロースナノファイバーについて、以下の繊維幅に関する条件を満たしている。すなわち、本実施形態の摩擦材19の基材ペーパーは、20μm(マイクロメートル)以上の繊維幅を有する繊維が、基材ペーパーに含まれるセルロースナノファイバー内の含有割合として5~40重量%の割合で含有されている。
本実施形態の摩擦材19は更に、基材ペーパーに含まれるセルロースナノファイバーについて、以下の面積に関する条件を満たしている。すなわち、本実施形態の摩擦材19の基材ペーパーに含まれるセルロースナノファイバーは、フィブリル面積比が10~60面積%となるように構成されている。
本実施形態の摩擦材19は、基材ペーパーをこのような構成とすることにより、後述するように優れた性能を発揮することができる。
なお、セルロースナノファイバーの内、0.2mm以上の繊維長を有する繊維の含有割合が基材ペーパーに含まれるセルロースナノファイバー全量の1重量%を下回ると、繊維長が0.2mmよりも小さい繊維同士が凝集した状態のものが多数存在する状態となり、摩擦材としての気孔性が損なわれてしまい、摩擦性能が不十分となってしまう。また、セルロースナノファイバーの内、0.2mm以上の繊維長を有する繊維の含有割合が基材ペーパーに含まれるセルロースナノファイバー全量の10重量%を上回ると、気孔性は十分に確保されるが、摩擦材全体の強度が不十分となり、耐久性が不十分となってしまう。
また、セルロースナノファイバーの内、20μm以上の繊維幅を有する繊維の含有割合が基材ペーパーに含まれるセルロースナノファイバー全量の5重量%を下回ると、繊維幅が20μmよりも小さい繊維同士が凝集した状態のものが多数存在する状態となり、摩擦材としての気孔性が損なわれてしまい、摩擦性能が不十分となってしまう。また、セルロースナノファイバーの内、20μm以上の繊維幅を有する繊維の含有割合が基材ペーパーに含まれるセルロースナノファイバー全量の40重量%を上回ると、気孔性は十分に確保されるが、摩擦材全体の強度が不十分となり、耐久性が不十分となってしまう。
また、フィブリル面積比とは、JIS P 8226-2:2011に規定の繊維長測定装置で試料を撮影し、画像解析することにより得られる数値で、1本の繊維から枝分かれしたフィブリルの面積を、フィブリルを含めた繊維全体の面積で除した値について、長さ加重平均として算出したものであるが、この値が60面積%を上回ると、強度には有利であるがペーパー材とした時に繊維間の空隙が埋められ、摩擦性能の低下を招く恐れがある。また、フィブリル面積比が10面積%を下回ると、摩擦材全体の強度が不十分となり、耐久性が不十分となってしまう。尚、フィブリル面積比は、35~55面積%であることが好ましい。
(実施例)
以下、本実施形態に係る湿式摩擦材19の実施例と、当該実施例および比較例を用いた評価について説明する。なお、以下の評価は、本実施形態に係る湿式摩擦材19を湿式クラッチとして用いた場合の評価であるが、本実施形態に係る湿式摩擦材19を湿式ブレーキとして用いても同様である。
上述した製法によって、実施例1に係る湿式摩擦材を得た。実施例1の湿式摩擦材は、基材ペーパーに含まれるセルロースナノファイバーについて、繊維長分布の含有割合に関する条件、繊維幅分布の含有割合に関する条件、およびフィブリル面積比に関する条件の全てを満たすものである。具体的には、実施例1の湿式摩擦材は、セルロースナノファイバーの内、0.2mm以上の繊維長を有する繊維が、基材ペーパーに含まれるセルロースナノファイバー全量に対して3重量%の割合で含有され、また、セルロースナノファイバーの内、20μm(マイクロメートル)以上の繊維幅を有する繊維が、基材ペーパーに含まれるセルロースナノファイバー全量に対して22重量%の割合で含有され、また、基材ペーパーに含まれるセルロースナノファイバーのフィブリル面積比が40面積%となるように構成されている。
比較例1に係る湿式摩擦材は、従来の一般的な構成の湿式摩擦材であり、基材ペーパーにセルロースナノファイバーが配合されてないものである。具体的には、比較例1に係る湿式摩擦材は、アラミド繊維を主材料とする繊維基材に充填剤或いは摩擦調整剤として珪藻土等を配合したものを抄紙して基材ペーパーとし、これに結合材として熱硬化性樹脂を含浸させ、硬化させることにより作製されたものである。
比較例2に係る湿式摩擦材は、実施例1と同様の製法によって作製されたものであるが、基材ペーパーに含まれるセルロースナノファイバーについて、繊維長分布の含有割合に関する条件を満足していないが、繊維幅分布の含有割合に関する条件およびフィブリル面積比に関する条件は満たしているものである。具体的には、比較例2の湿式摩擦材は、セルロースナノファイバーの内、0.2mm以上の繊維長を有する繊維が、基材ペーパーに含まれるセルロースナノファイバー全量に対して0.3重量%の割合で含有され、セルロースナノファイバーの内、20μm(マイクロメートル)以上の繊維幅を有する繊維が、基材ペーパーに含まれるセルロースナノファイバー全量に対して6重量%の割合で含有され、基材ペーパーに含まれるセルロースナノファイバーのフィブリル面積比が27面積%となるように構成されている。
ここで、実施例1と同様の製法によって作製された湿式摩擦材であるが、基材ペーパーに含まれるセルロースナノファイバーについて、繊維長分布の含有割合に関する条件、繊維幅分布の含有割合に関する条件、およびフィブリル面積比に関する条件のうち、何れか1つ又は2つを満足しないもの、或いは3つ全てを満足しないものは、本発明の範囲外となる。
次に、実施例1、比較例1および比較例2に係る湿式摩擦材を用いた、強度及び気孔性の評価について説明する。強度については摩擦材製品のせん断強度測定によって、気孔性については摩擦材製品の油浸透速度測定によって評価を行った。表1に、各実施例および比較例のせん断強度、油浸透速度における評価結果の値を示す。せん断強度及び油浸透速度の評価結果に関しては、比較例1の値を100とした場合の相対値で示しており、評価値が100より大きい場合は性能が向上していると判断される。表1より、実施例1はせん断強度及び油浸透速度の評価値が100より大きくなり、かつ比較例1及び比較例2に対して最も高いことがわかる、したがって実施例1に係る湿式摩擦材は、強度及び気孔性を向上させることができる。
Figure 2023136867000002
次に、実施例1、比較例1および比較例2に係る湿式摩擦材を用いた、車両の自動変速機における変速時の振動特性、すなわちジャダー特性に関する評価について説明する。振動特性に関する評価はまず、各実施例および比較例に係る摩擦材を用いて、表2に示す評価条件にてすべり摩擦性能評価を行った。すべり摩擦性能評価は、油温が40℃と120℃のそれぞれの条件について、面圧を0.2MPaとした場合と2.0MPaとした場合とについて行った。したがって4つの試験環境において評価を行った。なお、回転数は、段階的に200rpmまで上げていった。
Figure 2023136867000003
すべり摩擦性能評価の結果は、振動特性に関する指標であるΔμ-Vを用いて示す。本すべり摩擦性能評価についてのΔμ-Vの値は、回転数が200rpm時の摩擦係数(μ)から回転数が50rpm時の摩擦係数(μ)を引いた値とした。Δμ-Vの値は、正の値になれば、摩擦材としての性能が良いという指標になる。表3に、各実施例および比較例のすべり摩擦性能評価の結果としてΔμ-Vの値を示す。
Figure 2023136867000004
表3より、実施例1は、比較例よりも多くの条件でΔμ-Vの値が正の値になることから、適用される環境に依存することなく優れた摩擦性能を発揮していることがわかる。したがって実施例1に係る湿式摩擦材は、適用される環境から受ける影響を低減することができ、製品としての必要強度を維持しつつ製品性能を向上させることができた。
以上説明したように、本実施形態によれば、自動変速機内の湿式クラッチ或いは湿式ブレーキに用いられる湿式摩擦材であって、適用される環境から受ける影響を低減することができ、製品としての必要強度を維持しつつ製品性能を向上させる湿式摩擦材、および当該湿式摩擦材を用いた湿式摩擦板を提供することができる。
1 湿式多板クラッチ
2 ハウジング
3 ハブ
5 セパレータプレート
7 湿式摩擦板
10 ピストン
14 油圧室
17 コアプレート
19 湿式摩擦材

Claims (2)

  1. 繊維基材を用いて形成された基材ペーパーと、
    前記基材ペーパーを硬化させるための結合材とを含む湿式摩擦材であって、
    前記基材ペーパーには適度に外部フィブリル化したセルロースナノファイバーが配合され、
    前記基材ペーパーは、0.2mm以上の繊維長を有する繊維が、前記基材ペーパーに含まれる前記セルロースナノファイバー内の含有割合として1~10重量%の割合で含有され、且つ20μm以上の繊維幅を有する繊維が、前記基材ペーパーに含まれる前記セルロースナノファイバー内の含有割合として5~40重量%の割合で含有されると共に、前記基材ペーパーに含まれる前記セルロースナノファイバーのフィブリル面積比が10~60面積%となるように構成されていることを特徴とする。
  2. 請求項1に記載の湿式摩擦材を有することを特徴とする湿式摩擦板。
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