JP2023136571A - 密封装置 - Google Patents

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大介 仲田
Daisuke Nakada
健太郎 大森
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Abstract

【課題】トルクの増大を抑えるとともに、環状空間内に封入されているグリースに対するグリース漏れの抑制効果を向上させた密封装置を提供する。【解決手段】相対的に同軸回転する内側部材及び外側部材からなる2部材のうちの一方の部材に装着されるとともに、他方の部材には前記一方の部材側に突出する段差部が設けられ、前記2部材間に形成された環状空間S内に封入されているグリースを密封する密封装置10であって、前記一方の部材に嵌合される芯体11と、該芯体に固着される弾性部材12と、を備え、前記弾性部材は、前記環状空間側とは反対側に延出するとともに前記他方の部材に摺接する第1リップ121と、前記環状空間側に延出する第2リップ122と、を備え、前記第2リップは、前記段差部の周面との間に存在する第1ラビリンスR1と、前記段差部よりも前記環状空間側に位置する前記他方の部材の前記周面との間に存在する第2ラビリンスR2と、を構成するとともに、前記他方の部材及び前記段差部に対して非接触のグリースリップである。【選択図】図2

Description

本発明は、相対的に同軸回転する内側部材及び外側部材からなる2部材間の環状空間を密封する密封装置に関する。
例えば、自動車等の車輪の軸受装置には、環状空間内に封入されているグリースを密封する密封装置が装着されている。このような密封装置では、環状空間側に延出するグリースリップがいずれかの部材に摺接することによって、グリースが密封装置内に侵入することが抑制される。さらに、環状空間とは反対側に延出するサイドリップがいずれかの部材に摺接することにより、外方空間からの泥水等が環状空間内にまで侵入することが抑制される。
このような密封装置では、グリースリップ及びサイドリップがいずれかの部材に摺接しているため、トルクが増大しやすいという問題がある。
そのため、下記特許文献1,2では、グリースの漏れを抑制するとともにトルクの増大を抑制することを目的として、グリースリップは、スリンガ部材とわずかな隙間を介して対峙した状態で非接触とすることで、ラビリンスシールを構成している。
特開2007-187218号公報 特開2009-030631号公報
しかしながら、上記特許文献1,2のようなグリースリップとスリンガ部材との間に1つのラビリンスシールが構成される密封装置では、グリースがグリースリップを超えてサイドリップにまで到達するおそれがある。サイドリップには、環状空間内に封入されているグリースとは別種のグリースが使用されていることがあるため、環状空間内のグリースがサイドリップに到達してしまうと異なる種類のグリースが混ざってしまい性能が低下するおそれがある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、トルクの増大を抑えるとともに、環状空間内に封入されているグリースに対するグリース漏れの抑制効果を向上させた密封装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の密封装置は、相対的に同軸回転する内側部材及び外側部材からなる2部材のうちの一方の部材に装着されるとともに、他方の部材には前記一方の部材側に突出する段差部が設けられ、前記2部材間に形成された環状空間内に封入されているグリースを密封する密封装置であって、前記一方の部材に嵌合される芯体と、該芯体に固着される弾性部材と、を備え、前記弾性部材は、前記環状空間側とは反対側に延出するとともに前記他方の部材に摺接する第1リップと、前記環状空間側に延出する第2リップと、を備え、前記第2リップは、前記段差部の周面との間に存在する第1ラビリンスと、前記段差部よりも前記環状空間側に位置する前記他方の部材の前記周面との間に存在する第2ラビリンスと、を構成するとともに、前記他方の部材及び前記段差部に対して非接触のグリースリップであることを特徴とする。
本発明の密封装置は上述した構成とされるため、トルクの増大を抑えるとともに、環状空間内に封入されているグリースに対するグリース漏れの抑制効果を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る密封装置が装着される軸受装置の一例を示す概略的縦断面図である。 図1のX部の拡大図であって、本発明の一実施形態に係る密封装置を模式的に示す概略的縦断面図及びその要部拡大図である。 本発明の一実施形態に係る密封装置を複数積み重ねた状態を模式的に示す概略的縦断面図である。 本発明の一実施形態の変形例に係る密封装置を模式的に示す概略的縦断面図及びその要部拡大図である。 本発明の一実施形態の他の変形例に係る密封装置を模式的に示す概略的縦断面図及びその要部拡大図である。 (a)は本発明の他の実施形態に係る密封装置を模式的に示す概略的縦断面図、(b)は(a)の変形例を模式的に示す概略的縦断面図である。 本発明のさらに他の実施形態に係る密封装置を模式的に示す概略的縦断面図及びその要部拡大図である。 図1のY部の拡大図であって、本発明のさらに他の実施形態に係る密封装置を模式的に示す概略的縦断面図及びその要部拡大図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、一部の図には、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
密封装置10,20は、相対的に同軸回転する内側部材及び外側部材からなる2部材のうちの一方の部材に装着されるとともに、他方の部材には一方の部材側に突出する段差部が設けられ、2部材間に形成された環状空間S内に封入されているグリースを密封する。密封装置10,20は、一方の部材に嵌合される芯体11,21と、芯体11,21に固着される弾性部材12,22と、を備える。弾性部材12,22は、環状空間S側とは反対側に延出するとともに他方の部材に摺接する第1リップ121,221と、環状空間S側に延出する第2リップ122,222と、を備える。第2リップ122,222は、段差部の周面との間に存在する第1ラビリンスR1と、段差部よりも環状空間S側に位置する他方の部材の周面との間に存在する第2ラビリンスR2と、を構成する。そして、第2リップ122,222は、他方の部材及び段差部に対して非接触のグリースリップである。
以下、詳述する。
<第1実施形態>
第1実施形態について、図1~図3を参照しながら説明する。
図1は、機械装置である自動車の車輪(不図示)を軸Lの周りに回転(軸回転)可能に支持する軸受装置1を示す。この軸受装置1は、自動車の駆動輪を回転自在に支持するハブベアリングである。軸受装置1は、車体(不図示)に固定される上記外側部材に相当する外輪2と、上記内側部材に相当するハブ輪4を含んで構成される内輪6と、外輪2と内輪6との間に介装される2列の転動体(玉)3・・・とを含んで構成される。内輪6は、ハブ輪4と内輪部材5とで構成され、内輪部材5はハブ輪4の車体側に嵌合一体とされる。ハブ輪4には、等速ジョイント8を介して不図示の駆動源(駆動伝達部)に連結するドライブシャフト7が同軸的にスプライン嵌合される。ドライブシャフト7は、ナット7aによってハブ輪4と一体化され、ハブ輪4からの抜脱が防止されている。内輪6(ハブ輪4及び内輪部材5)は外輪2に対して、軸L回りに同軸回転可能とされる。外輪2と内輪6との間には、転動体3・・・がリテーナ3aに保持された状態で、外輪2の外輪側軌道輪2aと、ハブ輪4及び内輪部材5の内輪側軌道輪4a,5aとを転動し得るように介装されている。転動体3・・・の介装部分を含む外輪2と内輪6との間が環状の被密封空間としての環状空間Sとされ、この環状空間Sには、転動体3・・・の転動を円滑にするための潤滑剤(例えば、グリース)が充填される。ハブ輪4には、ドライブシャフト7がスプライン嵌合される円筒状のハブ輪本体40と、ハブ輪本体40の車輪側一端部40aから連続して拡径して形成されたフランジ部41と、フランジ部41を介して外径側に延出されたハブフランジ42を有する。ハブフランジ42にボルト43及び不図示のナットによって車輪が取付固定される。以下において、軸方向に沿って車輪に向く側(図1において左側)を車輪側、車体に向く側(図1において右側)を車体側と言う。また、各図において、弾性部材12の二点鎖線で示している部分は、変形前の原形状を表している。
環状空間Sの車体側の端部と車輪側の端部における外輪2と内輪6との間には、密封装置10,20が装着される。これら密封装置10,20が、環状空間Sを密封し、環状空間S内への外方空間からの泥水等の異物の侵入が抑制され、また、環状空間S内に充填されるグリース等の潤滑剤の外部漏出が抑制される。なお、図2~図6に示す密封装置10は、環状空間Sの車体側の端部に装着されるものであり、図7に示す密封装置20は、環状空間Sの車輪側の端部に装着されるものである。
次に、図1のX部の拡大図である図2に示す、第1実施形態の密封装置10を構成する各部材について説明する。なお、本実施形態においては、相対的に同軸回転する内側部材及び外側部材の2部材のうち、外側部材である外輪2を一方の部材として説明する。また、本実施形態では、他方の部材は、内側部材である内輪6に加え、内輪6の外周面6aに嵌合(外嵌)されるスリンガ部材9を含む。
密封装置10は、一方の部材である外輪2に嵌合される芯体11と、芯体11に固着される弾性部材12とを備えている。芯体11は、SPCC又はSUS等の鋼板をプレス加工して形成されている。芯体11は、外輪2の内周面2bに嵌合(内嵌)される円筒部110と、円筒部110の車輪側の端部110aから内径側に延出した円板部111とを備えている。
弾性部材12は、ゴム材等の弾性材料からなり、加硫成型により、シール基部120を介して芯体11に固着一体とされる。シール基部120は、芯体11の円板部111の内径側の端部111bを回り込むように配され、円板部111の車体側の面111a及び円筒部110の内周面110bを覆うともに、車体側の端部110cをも回り込むように配され、弾性部材12は芯体11に固着一体とされる。
弾性部材12は、シール基部120と、シール基部120から延出する、第1リップ121と第2リップ122と第3リップ123と、を有している。第1リップ121は、最も外径側に位置し外方空間に近い位置に配されている。第2リップ122は、最も内径側に位置し環状空間Sに近い位置に配されている。第3リップ123は、第1リップ121と第2リップ122との間の位置に配されている。第1リップ121は、環状空間Sとは反対側(車体側)に向けて次第に拡径して延出し、その先端部が外径側を向くように形成され、後述するスリンガ部材9の円板部91の環状空間S側の面91cに摺接(弾接)するサイドリップである。また、第3リップ123は、環状空間Sとは反対側(車体側)に向けて延出し、その先端部が内径側を向くように形成され、後述するスリンガ部材9の第1円筒部90の外周面90bに摺接(弾接)するラジアルリップである。一方、第2リップ122は、環状空間S側(車輪側)に延出し、内輪6(内輪部材5)の外周面6a及び後述する段差部であるスリンガ部材9の第1円筒部90に対して非接触のグリースリップである。第2リップ122は、シール基部120から環状空間S側(車輪側)に延出する第2リップ基部122aを備える。さらに第2リップ122は、第2リップ基部122aの内径側において、車輪側の一部から内径側に延出するリップ円板部122bと、リップ円板部122bの内径側の端部122baから環状空間S側に延出するリップ円筒部122cとを備える。
弾性部材12において、芯体11の円筒部110の外周面110dを覆う部分には、外径側に隆起する環状突部124が形成されている。この環状突部124は、芯体11が外輪2に内嵌された際、外輪2の内周面2bと芯体11の円筒部110の外周面110dとの間に圧縮状態で介在するように形成されている。環状突部124が、外輪2と芯体11の円筒部110の外周面110dとの間で圧縮された状態で介在することにより、外輪2と芯体11との嵌合部位へ泥水等が浸入することを抑制し、発錆を抑制する。なお、図中、環状突部124の二点鎖線部は圧縮前の原形状を示している。
さらに弾性部材12は、シール基部120の芯体11の円板部111の車輪側の面111cの内径側の面を覆う部分から車輪側に延出した接触防止突起125が設けられている。図2に示すように、接触防止突起125は、その縦断面形状が車輪側に向けて次第に先細る形状となっている。接触防止突起の先端部125aは、第2リップ122のリップ円筒部122cよりも環状空間S側に位置している。
また、密封装置10は、他方の部材である内輪6の外周面6aに嵌合(外嵌)されることで段差部を構成する第1円筒部90と、第1円筒部90の車体側の端部90aから軸方向の外径側に延出する円板部91とを含むスリンガ部材9を備える。さらにスリンガ部材9は、円板部91の外径側の端部91aから車輪側に延出する第2円筒部92を備える。円板部91の車体側の面91bには、磁性ゴム等の磁性材料からなる環状の部材である、磁性体93が固着されている。磁性体93は、スリンガ部材9の円板部91の車体側の面91bの全面を覆い、第2円筒部92の外周面92aの全面を覆い、第2円筒部92の車輪側の端部92bに回り込んで至る。磁性体93の被検出面93aは、N極とS極とが周方向に交互に着磁されている。この被検出面93aに対向して磁気センサ(不図示)が配置されており、内輪6が軸L周りに回転すれば、磁性体93による磁気変化が磁気センサによって検出される。この磁気変化の検出によって、車輪の回転数等の回転状態のデータを得ることができる。
スリンガ部材9の第1円筒部90が他方の部材である内輪6の外周面6aに嵌合(外嵌)されることで、軸受装置1は、内輪6から外径側(一方の部材である外輪2側)に突出する段差部としてスリンガ部材9の第1円筒部90を得る。
上述のようにして構成された密封装置10は、芯体11の円筒部110が外輪2に嵌合(内嵌)され、スリンガ部材9の第1円筒部90が内輪6に嵌合(外嵌)されることで、軸受装置1に装着される。第2リップ122は、段差部である第1円筒部90の外周面90b及び車輪側の端面90cと内輪6の外周面6aとに接触しないように構成されている。そして、第2リップ122は、他方の部材である内輪6と段差部であるスリンガ部材9の第1円筒部90との間に、3つのラビリンスを構成する。第2リップ122の第2リップ基部122aの内周面122aaが、スリンガ部材9の第1円筒部90の外周面90bに対して間隙を設けた状態で対向して略平行に配されることで、軸方向に延びる第1ラビリンスR1が構成される。第2リップ122のリップ円板部122bの車体側の面122bbが、スリンガ部材9の第1円筒部90の車輪側の端面90cに対して間隙を設けた状態で対向して略平行に配されることで、径方向に延びる第3ラビリンスR3が構成される。第2リップ122のリップ円筒部122cの内周面122caが、内輪6の外周面6aに対して間隙を設けた状態で対向して略平行に配されることで、軸方向に延びる第2ラビリンスR2が構成される。
第1,2,3ラビリンスR1,R2,R3の間隙の幅寸法r1,r2,r3は、それぞれ約0.1~0.5mmの間の寸法で構成されている。第1,2,3ラビリンスR1,R2,R3の間隙の幅寸法r1,r2,r3は、略同一の寸法に設定されている。間隙の幅寸法r1,r2,r3は、0.1mmより小さい値とするとラビリンス隙間を構成し難く、0.5mmより大きい値とすると、泥水等が浸入しやすい傾向となる。本実施形態によれば、このようなわずかな間隙を介して第2リップ122が他の部材と非接触であるので、トルクの増大が抑制される。また、軸方向に延びる第1ラビリンスR1と、径方向に延びる第3ラビリンスR3と、軸方向に延びる第2ラビリンスR2とが連通することで、段差部であるスリンガ部材9の第1円筒部90を活かして、複数のラビリンス構造を構成することができる。そして、このようなラビリンス構造とラビリンスの間隙の幅寸法とによって、環状空間S内に充填されているグリースが、第3リップ123の先端部にまで到達しにくくなり、密封装置10のグリース漏れ防止性能が向上する。また、仮にグリースが第3リップ123の先端部まで到達したとしても、上述したようなラビリンス構造とラビリンスの間隙の幅寸法により、到達するまでの時間を遅らせることができるので、シール性能が向上する。また、環状空間S内に充填されているグリースが第3リップ123に到達しにくくなるので、環状空間S内に充填されているグリースと第3リップ123の先端部に塗布されているリップ用のグリースとの混在を抑制することができる。さらに、環状空間S側に最も近い第2ラビリンスR2の軸方向の寸法l2は、リップ円筒部122cにより、第1ラビリンスR1の軸方向の寸法l1よりも大きくなるように構成されている。環状空間S側に位置する第2ラビリンスR2の軸方向の寸法l2が大きいことにより、グリースの侵入がより抑制される。第2ラビリンスR2の軸方向の寸法l2は、第1ラビリンスR1の軸方向の寸法l1及び第3ラビリンスR3の径方向の寸法l3よりも大きくなるように構成されている。第3ラビリンスR3の径方向の寸法l3は、第1ラビリンスR1の軸方向の寸法l1よりも大きくなるように構成されている。
上述したように、第2リップ122は非接触のグリースリップであるので、密封装置10のトルクの増大が抑制される。また上述したように、第2リップ122は、段差部であるスリンガ部材9の第1円筒部90や内輪6の外周面6aとの間に、3つのラビリンスが構成される。3つのラビリンスが構成されることにより、本実施形態に係る密封装置10は、1つしかラビリンスが構成されていないようなものと比べて、グリース漏れ防止性能及びシール性能が向上する。
さらに弾性部材12には、第2リップ122よりも環状空間S側に位置している先端部125aを有する環状の接触防止突起125が設けられている。図3に示すように、複数の密封装置10を積み重ねる際には、下方を向いた接触防止突起125の先端部125aが、他方の密封装置10の磁性体93の被検出面93aに接触するようにして複数の密封装置10を積み重ねる。このように複数の密封装置を積み重ねると、接触防止突起125の先端部125aが磁性体93の被検出面93aに接触するので、第2リップ122が他の部材に接触することが防止され、第2リップ122の変形や他の装置への吸着を防止することができる。
また、密封装置10は、芯体11の円筒部110の内周面110b側に固着しているシール基部120と、スリンガ部材9の第2円筒部92の外周面92aに固着している磁性体93との間に軸方向に延びるラビリンスR4が構成される。スリンガ部材9の円板部91及びラビリンスR4により、外方空間からの泥水等の異物が密封装置10内に侵入することが抑制される。
次いで、密封装置10の変形例や他の実施形態について、それぞれ図面を参照して説明する。なお、上述した第1実施形態の密封装置10と共通する部分の構成や効果等の説明は省略する。
<第1実施形態の変形例>
図4に示す密封装置10’は、図2に示す第1実施形態に係る密封装置10の変形例である。図4の密封装置10’は、第1実施形態の密封装置10と比べて、弾性部材12の構成、特に第2リップ122の構成が異なり、その他の構成は略同一である。
第2リップ122は、シール基部120から車輪側に延出する第2リップ基部122aと、第2リップ基部122aの内径側において、車輪側の一部から内径側に延出するリップ円板部122bとを備える。図4に示す密封装置10’は、第1実施形態の密封装置10と異なり、第2リップ122がリップ円筒部122cを備えていない構成となっている。リップ円筒部122cがなくとも、リップ円板部122bの内径側の端面122bcが、内輪6の外周面6aに対して間隙を設けた状態で対向して略平行に配されることで、軸方向に延びる第2ラビリンスR2が構成される。上述したようにリップ円筒部122cを備えていなくとも、リップ円板部122bの内径側の端面122bcにより第2ラビリンスR2を構成することができる。第1実施形態と同様に、第2リップ122の第2リップ基部122aの内周面122aaが、スリンガ部材9の第1円筒部90の外周面90bに対して間隙を設けた状態で対向して略平行に配されることで、軸方向に延びる第1ラビリンスR1が構成される。また、第1実施形態と同様に、第2リップ122のリップ円板部122bの車体側の面122bbが、スリンガ部材9の第1円筒部90の車輪側の端面90cに対して間隙を設けた状態で対向して略平行に配されることで、径方向に延びる第3ラビリンスR3が構成される。第1,2,3ラビリンスR1,R2,R3の間隙の幅寸法r1,r2,r3は、第1実施形態と同様に、それぞれ約0.1~0.5mmの間の長さの寸法で構成されている。第1,2,3ラビリンスR1,R2,R3の間隙の幅寸法r1,r2,r3は、第1実施形態と同様に、略同一の寸法とされる。なお、第1実施形態とは異なり、第2ラビリンスR2の軸方向の寸法l2は、第1ラビリンスR1の軸方向の寸法l2及び第3ラビリンスR3の径方向の寸法l3よりも小さくなるように構成されている。第3ラビリンスR3の軸方向の寸法l3が小さくとも、第1,2,3ラビリンスR1,R2,R3によるラビリンス構造により、密封装置10’はグリース漏れ防止性能及びシール性能を有する。
図5に示す密封装置10’’は、図2に示す第1実施形態に係る密封装置10の変形例である。図5の密封装置10’’は、第1実施形態の密封装置10と比べて、弾性部材12の構成、特に第2リップ122の構成が異なり、その他の構成は略同一である。
第2リップ122は、第2リップ基部122aの内径側において、環状空間S側の一部から内径側に延出するリップ円板部122bと、リップ円板部122bの内径側の端部122baから環状空間Sとは反対側に延出するリップ円筒部122cとを備える。つまり、本実施形態の密封装置10’’は、第2リップ122のリップ円筒部122cの軸方向に延出する方向が、第1実施形態のリップ円筒部122cと比べて軸方向の反対側となっている。リップ円筒部122cの車体側の端面122cbが、スリンガ部材9の第1円筒部90の車輪側の端面90cに対して間隙を設けた状態で対向して略平行に配されることで、第3ラビリンスR3が構成される。そして、第2リップ基部122aの内周面122aaとリップ円筒部122cの外周面122ccとの間に、空隙の空間部126が構成される。リップ円筒部122cの外周面122ccは、スリンガ部材9の第1円筒部90の外周面90bよりも内径側に位置するように構成されている。環状空間Sに充填されていたグリースが第3ラビリンスR3に到達したとしても、リップ円筒部122cの外周面122ccを伝って空間部126内に至って貯留されやすくなっているため、第1ラビリンスR1に向かうグリースの量が低減される。第1実施形態と同様に、第2リップ122の第2リップ基部122aの内周面122aaが、スリンガ部材9の第1円筒部90の外周面90bに対して間隙を設けた状態で対向して略平行に配されることで、軸方向に延びる第1ラビリンスR1が構成される。また、第1実施形態と同様に、第2リップ122のリップ円筒部122cの内周面122caが、内輪6の外周面6aに対して間隙を設けた状態で対向して略平行に配されることで、軸方向に延びる第2ラビリンスR2が構成される。
<第2実施形態>
次に、図6(a)に示す第2実施形態に係る密封装置10A及び図6(b)に示す密封装置10A’について説明する。なお、図2に示す第1実施形態の密封装置10と共通する構成及びその効果の説明は省略する。
図6(a)では、弾性部材12の構成が第1実施形態のものと異なっており、第3リップ123を備えない点、第2リップ122がスリンガ9と協働して第3ラビリンスR3を構成しない点で異なる。また、図6(b)では、さらにスリンガ部材9が磁性体93を備えない点で第1実施形態のものと異なっている。
図6(a)の密封装置10Aの弾性部材12は、シール基部120から延出する、第1リップ121と第2リップ122とを有する。本実施形態の弾性部材12は、第1実施形態の弾性部材12が有するスリンガ部材9の第1円筒部90の外周面90bに摺接(弾接)するラジアルリップである第3リップ123を有さない構成となっている。
第1リップ121は、環状空間Sとは反対側(車体側)に向けて次第に拡径して延出し、その先端部が外径側を向くように形成され、スリンガ部材9の円板部91の環状空間S側の面91cに摺接(弾接)するサイドリップである点で、第1実施形態のものと概ね同一である。
第2リップ122は、スリンガ部材9の第1円筒部90に対して非接触のグリースリップである。第2リップ122は、第2リップ基部122aの内周面122aaがスリンガ部材9の第1円筒部90の外周面90bに対して間隙を設けた状態で対向して配されることで、軸方向に延びる第1ラビリンスR1が構成される。第2リップ基部122aの内周面122aaは、環状空間S側に向けて次第に縮径するように内径側に傾斜して構成されている。そのため、第1ラビリンスR1は、環状空間S側に向けて間隙の幅寸法がr1からr1’に次第に小さくなるように傾斜して構成される。
また、第2リップ122は、第2リップ基部122aの内周面122aaから内径側に突出する突出部122dを備えている。突出部122dは、環状空間Sとは反対側の面122daが環状空間S側に向けて次第に縮径するように内径側に傾斜して構成されている。そのため、第1実施形態とは異なり、第2リップ122は、スリンガ部材9の第1円筒部90の車輪側の端面90cとの間に第3ラビリンスR3を構成しないものとなっている。
第2リップ122は、突出部122dの内周面122dbが内輪6の外周面6aに対して間隙を設けた状態で対向して略平行に配されることで、軸方向に延びる第2ラビリンスR2が構成される。なお図6(a)・(b)では、第2ラビリンスR2の軸方向の寸法l2が第1ラビリンスR1の軸方向の寸法l1よりも小さくなるように構成されているが、第2ラビリンスR2の軸方向の寸法l2が第1ラビリンスR1の軸方向の寸法l1よりも大きくなるように構成されてもよい。
また、第2リップ基部122aの環状空間S側の面122abは径方向に沿って構成され、突出部122dの環状空間S側の面122dcは径方向に沿って構成されている。第2リップ基部122aの環状空間S側の面122ab及び突出部122dの環状空間S側の面122dcは、面一に構成されて平坦面部127を構成する。平坦面部127は、芯体11よりも環状空間S側に突出して設けられている。そのため、図3の第1実施形態の密封装置10のように、平坦面部127を下方に向けることで複数の密封装置10Aを安定した状態で積み重ねることができる。
第2実施形態の密封装置10Aは、第1実施形態の密封装置10と同様に、芯体11の円筒部110の内周面110b側に固着しているシール基部120と、スリンガ部材9の第2円筒部92の外周面92aに固着している磁性体93との間に軸方向に延びるラビリンスR4が構成される。スリンガ部材9の円板部91及びラビリンスR4により、外方空間からの泥水等の異物が密封装置10内に侵入することが抑制される。また、密封装置10Aは、第1実施形態の密封装置10と異なり第3ラビリンスR3を有さない構成とされ、第2リップ122と段差部であるスリンガ部材9の第1円筒部90や内輪6の外周面6aとの間に第1,2ラビリンスR1,R2が構成される。このような構成であっても、ラビリンスR4により、外方空間からの泥水等の異物が密封装置10内に侵入することが抑制され、ラビリンスR4を通過したとしても第1リップ121及び第1ラビリンスR1、第2ラビリンスR2により、異物の侵入速度を遅らせて、軸受装置1の駆動により発生する遠心力により異物が密封装置10Aの外部に排出されやすくなる。また、第2リップ122は非接触のグリースリップであり、スリンガ9に摺接するリップは第1リップ121のみであるので、密封装置10Aは低トルクなものにすることができる。
また、第1実施形態と同様にスリンガ9に磁性体93が固着されているので、磁性体93に対向して磁気センサが配置されていれば、磁性体93による磁気変化が磁気センサによって検出され、車輪の回転数等の回転状態のデータを得ることができる。
<第2実施形態の変形例>
次に、第2実施形態の密封装置10Aの変形例である密封装置10A’について、図6(b)を参照しながら説明する。なお、密封装置10Aと共通する部分の構成及び効果の説明は省略する。
密封装置10A’は、スリンガ9が磁性体93を備えておらず、芯体11の円筒部110の内周面110b側に固着しているシール基部120と、スリンガ9の第2円筒部92の外周面92aとの間に軸方向に延びるラビリンスR4が構成される。
また、密封装置10A’の第2リップ122は、密封装置10Aのものと同様に内輪6との間に第3ラビリンスR3を構成しない点が共通する。さらに密封装置10A’の第2リップ122は、密封装置10Aのものと同様にスリンガ9の第1円筒部90との間に第1ラビリンスR1を構成する点、第2リップ基部122aから内径側に突出した突出部122dが内輪6との間に第2ラビリンスR2を構成する点が共通する。密封装置10A’は、第2リップ基部122aの環状空間S側の面122abが環状空間S側に向けて次第に縮径するように内径側に傾斜して構成されている点が密封装置10Aと異なっている。そのため、密封装置10A’は、図6(a)に密封装置10Aが備える平坦面部127を備えない構成となっている。
図6(b)の密封装置10A’は、スリンガ9が磁性体93を備えず、また、弾性部材12が平坦面部127を備えない構成となっているが、スリンガ9に摺接する第1リップ121及び非接触のグリースリップである第2リップ122を備える。さらに、芯体11の円筒部110の内周面110b側に固着しているシール基部120と、スリンガ9の第2円筒部92の外周面92aとの間に軸方向に延びるラビリンスR4と、第2リップ122と段差部であるスリンガ部材9の第1円筒部90や内輪6の外周面6aとの間に第1,2ラビリンスR1,R2が構成される。そのため、図6(b)の密封装置10A’は、図6(a)の密封装置10Aと略同様の密封性能を有する。

※以降の説明は、前回の第2実施形態以降の説明です。P002521の実施形態の追加に伴い図番と符号を繰り下げています。
<第3実施形態>
次に、図7に示す第3実施形態に係る密封装置10Bについて説明する。
図7では軸受装置1の構成が第1実施形態までのものと比べて内輪6の構成が異なっている。ハブ輪4とで内輪6を構成する内輪部材5は、外周面6aの環状空間Sとは反対側の一部分が外径側に突出して段差部となる突出部60が構成されている。
次に、密封装置10Bを構成する各部材について説明する。
密封装置10Bは、芯体11と芯体11に固着される弾性部材12とを備える。本実施形態では、第1実施形態とは異なり、密封装置10Bはスリンガ部材を備えない構成となっている。
芯体11は、SPCC又はSUS等の鋼板をプレス加工して形成されている。芯体11は、外輪2に嵌合(内嵌)される円筒部110と、円筒部110の環状空間Sとは反対側の端部110cから内径側に延出する円板部111とを備える。芯体11の円筒部110の環状空間S側の端部110aは、後述する弾性部材12の第2リップ122よりも環状空間S側に位置する。
弾性部材12は、ゴム材等の弾性材料からなり、加硫成型により、シール基部120を介して芯体11に固着一体とされる。シール基部120は、芯体11の円板部111の車輪側の面111cの内径側の面を覆って円板部111の内径側の端部111bを回り込み、円板部111の環状空間Sとは反対側の面111aの全面を覆う。
弾性部材12は、環状空間S側とは反対側に延出する第1リップ121と、環状空間S側に延出する第2リップ122と、を備えている。第1リップ121は、その先端部が内径側を向くように形成され、内輪6の突出部60の外周面60aに摺接(弾接)するラジアルリップである。一方、第2リップ122は、内輪6の外周面6a及び突出部60に対して非接触のグリースリップである。第2リップ122は、シール基部120から内径側に延出する第2リップ基部122aを備える。さらに第2リップ122は、第2リップ基部122aの内径側において、環状空間S側の一部から内径側に延出するリップ円板部122bと、リップ円板部122bの内径側の端部122baから環状空間S側に延出するリップ円筒部122cとを備える。
弾性部材12において、芯体11の円板部111の最外径側に至る部分には、外径側に隆起する環状突部124が形成されている。この環状突部124は、芯体11が外輪2に内嵌された際、外輪2の内周面2bと芯体11の円板部111との間に圧縮状態で介在するように形成されている。環状突部124が、外輪2と芯体11の円板部111との間で圧縮された状態で介在することにより、外輪2と芯体11との嵌合部位へ泥水等が浸入することを抑制し、発錆を抑制する。なお、図中、環状突部124の2点鎖線部は圧縮前の原形状を示している。
本実施形態では、芯体11の円筒部110の環状空間S側の端部110aが弾性部材12の第2リップ122よりも環状空間S側に位置する。そのため、弾性部材12は、第1実施形態のような接触防止突起125を備えていない。図3と同様にして複数の密封装置10Aを積み重ねた場合、芯体11の円筒部110が、第1実施形態における接触防止突起125と同じような効果を発揮し、弾性部材12の第2リップ122が他方の密封装置10Aの部材に接触することを防止する。
弾性部材12の第2リップ122は、他方の部材である内輪6と段差部である突出部60との間に、3つのラビリンスを構成する。第2リップ基部122aの内周面122aaが、内輪6の突出部60の外周面60aに対して間隙を設けた状態で対向して略平行に配されることで、軸方向に延びる第1ラビリンスR1が構成される。また、第2リップ122のリップ円筒部122cの内周面122caが、内輪6の外周面6aに対して間隙を設けた状態で対向して略平行に配されることで、軸方向に延びる第2ラビリンスR2が構成される。そして、第2リップ122のリップ円板部122bの車体側の面122bbが、突出部60の車輪側の端面60bに対して間隙を設けた状態で対向して略平行に配されることで、径方向に延びる第3ラビリンスR3が構成される。
第1,2,3ラビリンスR1,R2,R3はそれぞれ連通しており、軸方向、径方向、軸方向に延びるラビリンスが連続し、段差部である突出部60の存在を活かして密封装置10Aは複数のラビリンス構造を構成できる。よって、環状空間S内に充填されているグリースが、第1リップ121の先端部にまで到達しにくくなり、グリース漏れ防止性能が向上する。また、仮にグリースが第1リップ121の先端部まで到達したとしても、上述したようなラビリンス構造とラビリンスの間隙の幅寸法により、到達するまでの時間を遅らせることができるので、シール性能が向上する。また、環状空間S内に充填されているグリースが第1リップ121に到達しにくくなるので、環状空間S内に充填されているグリースと第1リップ121の先端部に塗布されているリップ用のグリースとの混在が抑制される。また、第2ラビリンスR2の軸方向の寸法l2は、第1実施形態と同様に、第1ラビリンスR1の軸方向の寸法l1及び第3ラビリンスR3の径方向の寸法l3よりも大きくなるように構成されている。環状空間S側に位置する第2ラビリンスR2の軸方向の寸法l2が大きいことにより、グリースの侵入がより抑制される。
上述のように、第2リップ122は、内輪6の外周面6aや突出部60に接触しない、非接触のグリースリップであるのでトルクの増大が抑制される。また上述したように、第2リップ122は、段差部である突出部60や内輪6の外周面6aとの間に、3つのラビリンスが構成される。3つのラビリンスが構成されることにより、密封装置10Aは、1つのラビリンスしか構成されていないような従来の密封装置と比べて、グリース漏れ防止性能及びシール性能が向上する。
<第4実施形態>
次に、図1のY部の拡大図である図8に示す第4実施形態に係る密封装置20について説明する。
第4実施形態に係る密封装置20は、第1,2,3実施形態に係る密封装置10,10A,10Bとは異なり、環状空間Sの車輪側の端部に装着されるものである。
密封装置20は、芯体21と芯体21に固着される弾性部材22とを備える。
芯体21は、SPCC又はSUS等の鋼板をプレス加工して形成されている。芯体21は、外輪2に嵌合(内嵌)される円筒部210と、円筒部210の車輪側の端部210aから内径側に延出する円板部211とを備える。なお、芯体21の円筒部210の車体側の端部210bは、後述する弾性部材22の第2リップ222よりも車体側に位置する。
弾性部材22は、ゴム材等の弾性材料からなり、加硫成型により、芯体21に固着一体とされる。弾性部材22は、芯体21の円板部211の車体側の面211aの内径側の面を覆って円板部211の内径側の端部211bを回り込み、円板部211の車輪側の面211cの全面を覆うシール基部220を有している。
弾性部材22は、シール基部220から延出するとともに最も外径側に位置し外方空間に近い位置に配されている第1リップ221を有している。さらに、弾性部材22は、シール基部220から延出するとともに最も内径側に位置し環状空間Sに近い位置に配されている第2リップ222と、シール基部220から延出するとともに第1リップ221と第2リップ222との間の位置に配されている第3リップ223と、を有している。なお、本実施形態では、第1,2,3実施形態とは異なり、環状空間S側は車体側であり、環状空間S側の反対側とは車輪側である。第1リップ221は、環状空間Sとは反対側(車輪側)に向けて次第に拡径して延出し、その先端部が外径側を向くように形成され、後述するスリンガ部材9Aの円板部91Aの環状空間S側の面91Aaに摺接(弾接)するサイドリップである。第3リップ223は、環状空間Sとは反対側(車輪側)に向けて延出し、その先端部は外径側を向くように形成され、後述するスリンガ部材9Aの円板部91Aの環状空間S側の面91Aaに摺接(弾接)するサイドリップである。第2リップ222は、シール基部220から環状空間S側(車体側)に延出する第2リップ基部222aを備える。さらに第2リップ222は、第2リップ基部222aの内径側において、車体側の一部から内径側に延出するリップ円板部222bと、リップ円板部222bの内径側の端部222baから車体側に延出するリップ円筒部222cとを備える。
弾性部材22において、芯体21の円板部211の最外径側に至る部分には、外径側に隆起する環状突部224が形成されている。この環状突部224は、芯体21が外輪2に内嵌された際、外輪2の内周面2bと芯体21の円板部211との間に圧縮状態で介在するように形成されている。環状突部224が、外輪2と芯体21の円板部211との間で圧縮された状態で介在することにより、外輪2と芯体21との嵌合部位へ泥水等が浸入することを抑制し、発錆を抑制する。なお、図中、環状突部224の2点鎖線部は圧縮前の原形状を示している。
なお、本実施形態では、芯体21の円筒部210の環状空間S側の端部210bが弾性部材22の第2リップ222よりも環状空間S側に位置するため、第1実施形態のような接触防止突起を弾性部材22は備えていない。図3と同様にして複数の密封装置20を積み重ねた場合、芯体21の円筒部210が、第1実施形態における接触防止突起125と同じような効果を発揮し、弾性部材22の第2リップ222が他方の密封装置20の部材に接触することを防止する。
密封装置20は、他方の部材である内輪6の外周面6aに嵌合されるとともに段差部を構成する円筒部90Aと、円筒部90Aの車輪側の端部90Aaから軸方向の外径側に延出する円板部91Aとを含むスリンガ部材9Aを備える。スリンガ部材9Aの円板部91Aの環状空間Sとは反対側の面91Abは、ハブ輪4のフランジ部41の環状空間S側の面41aに当接する。
スリンガ部材9Aの円筒部90Aが内輪6の外周面60aに嵌合することで、軸受装置1は、一方の部材(外輪2)側に突出する段差部としてスリンガ部材9Aの円筒部90Aを得る。
上述のようにして構成された密封装置20は、芯体21の円筒部210が外輪2に嵌合(内嵌)され、スリンガ部材9Aの円筒部90Aが内輪6に嵌合(外嵌)されることで、軸受装置1に装着される。第2リップ222は、段差部であるスリンガ部材9Aの円筒部90A及び内輪6の外周面6aに接触しないように構成されている。そして、第2リップ222は、スリンガ部材9Aの円筒部90Aや、内輪6の外周面6aとの間に、3つのラビリンスを構成する。第2リップ基部222aの内周面222aaが、スリンガ部材9Aの円筒部90Aの外周面90Abに対して間隙を設けた状態で対向して略平行に配されることで、軸方向に延びる第1ラビリンスR1が構成される。第2リップ222のリップ円板部222bの車輪側の面222bbが、スリンガ部材9Aの円筒部90Aの車体側の端面90Acに対して間隙を設けた状態で対向して略平行に配されることで、径方向に延びる第3ラビリンスR3が構成される。第2リップ122のリップ円筒部222cの内周面222caが、内輪6の外周面6aに対して間隙を設けた状態で対向して略平行に配されることで、軸方向に延びる第2ラビリンスR2が構成される。
軸方向に延びる第1ラビリンスR1と、径方向に延びる第3ラビリンスR3と、軸方向に延びる第2ラビリンスR2とが連通することで、段差部を構成する円筒部90Aを活かして複数のラビリンス構造が構成される。このように複数のラビリンスによって、環状空間S内に充填されているグリースが、第3リップ223の先端部にまで到達しにくくなり、グリース漏れ性能が向上する。また、仮にグリースが第3リップ223の先端部まで到達したとしても、上述したようなラビリンス構造とラビリンスの間隙の幅寸法により、到達するまでの時間を遅らせることができるので、シール性能が向上する。また、環状空間S内に充填されているグリースが第3リップ223に到達しにくくなるので、環状空間S内に充填されているグリースと第3リップ223の先端部に塗布されているリップ用のグリースとの混在が抑制される。また、第2ラビリンスR2の軸方向の寸法l2は第1,2実施形態と同様に、第1ラビリンスR1の軸方向の寸法l1及び第3ラビリンスR3の径方向の寸法l3よりも大きくなるように構成されている。環状空間S側に位置する第2ラビリンスR2の軸方向の寸法l2が大きいことにより、グリースの侵入がより抑制される。
上述のように、第2リップ222は、非接触のグリースリップであるので、トルクの増大が抑制される。また、第2リップ222は、段差部であるスリンガ部材9Aの円筒部90Aや内輪6の外周面6aとの間に、3つのラビリンスが構成される。3つのラビリンスが構成されることにより、本実施形態に係る密封装置20は、1つしかラビリンスが構成されていないようなものと比べて、シール性能及びグリース漏れ防止性能が向上する。また、外方空間から泥水等の異物が侵入したとしても、スリンガ部材9Aの円板部91Aの環状空間S側の面91Aaに摺接する第1リップ221及び第3リップ223により、泥水等の異物が第2リップ222まで到達することが抑制される。
なお、第1,2,3ラビリンスR1,R2,R3の構成は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、第1ラビリンスR1の幅寸法r1、第2ラビリンスR2の幅寸法r2、第3ラビリンスR3の幅寸法r3を適宜変更してもよい。例えば、第1ラビリンスR1の幅寸法r1は、第3ラビリンスR3の幅寸法r3よりも大きく、第3ラビリンスR3の幅寸法r3は第2ラビリンスR2の幅寸法r2よりも大きくなるような関係に変更してもよい。また、第1ラビリンスR1の幅寸法r1は、第3ラビリンスR3の幅寸法r3よりも小さく、第3ラビリンスR3の幅寸法r3は第2ラビリンスR2の幅寸法r2よりも小さくなるような関係に変更してもよい。第1ラビリンスR1の軸方向の寸法l1、第3ラビリンスR3の径方向の寸法l3、及び第2ラビリンスR2の軸方向の寸法l2を適宜変更してもよい。例えば、第1ラビリンスR1の軸方向の寸法l1を、第3ラビリンスR3の径方向の寸法l3及び第2ラビリンスR2の軸方向の寸法l2より大きく構成してもよい。また、第3ラビリンスR3の径方向の寸法l3を、第2ラビリンスR2の軸方向の寸法l2よりも大きく構成してもよい。
なお、上述した各実施形態の密封装置10,10’,10’’,10A,10A’10B,20は、図面の形状・構成に限定されるものではない。例えば、芯体11,21は、SPCC又はSUS等の鋼板ではなく、その他の金属材料や樹脂材料等で構成されてもよい。スリンガ部材9,9Aも同様に、SPCC又はSUS等の鋼板ではなく、その他の金属材料や樹脂材料等で構成されてもよい。また、弾性部材12,22が備える各リップの形状や個数についても図例の形状・構成に限定されるものではない。
1 軸受装置
2 外輪(外側部材)
4 ハブ輪
5 内輪部材
6 内輪(内側部材)
6a 外周面
60 突出部(段差部)
60a 外周面
60b 端面
10,20 密封装置
11,21 芯体
12,22 弾性部材
121,221 第1リップ
122,222 第2リップ
122c,222c リップ円筒部
9 スリンガ部材
90 第1円筒部(段差部)
90b 外周面
90c 端面
91 円板部
9A スリンガ部材
90A 円筒部(段差部)
90Ab 外周面
90Ac 端面
91A 円板部
L 軸
R1 第1ラビリンス
R2 第2ラビリンス
R3 第3ラビリンス
S 環状空間

図6(b)の密封装置10A’は、スリンガ9が磁性体93を備えず、また、弾性部材12が平坦面部127を備えない構成となっているが、スリンガ9に摺接する第1リップ121及び非接触のグリースリップである第2リップ122を備える。さらに、芯体11の円筒部110の内周面110b側に固着しているシール基部120と、スリンガ9の第2円筒部92の外周面92aとの間に軸方向に延びるラビリンスR4と、第2リップ122と段差部であるスリンガ部材9の第1円筒部90や内輪6の外周面6aとの間に第1,2ラビリンスR1,R2が構成される。そのため、図6(b)の密封装置10A’は、図6(a)の密封装置10Aと略同様の密封性能を有する

Claims (6)

  1. 相対的に同軸回転する内側部材及び外側部材からなる2部材のうちの一方の部材に装着されるとともに、他方の部材には前記一方の部材側に突出する段差部が設けられ、前記2部材間に形成された環状空間内に封入されているグリースを密封する密封装置であって、
    前記一方の部材に嵌合される芯体と、該芯体に固着される弾性部材と、を備え、
    前記弾性部材は、前記環状空間側とは反対側に延出するとともに前記他方の部材に摺接する第1リップと、前記環状空間側に延出する第2リップと、を備え、
    前記第2リップは、前記段差部の周面との間に存在する第1ラビリンスと、前記段差部よりも前記環状空間側に位置する前記他方の部材の前記周面との間に存在する第2ラビリンスと、を構成するとともに、前記他方の部材及び前記段差部に対して非接触のグリースリップであることを特徴とする密封装置。
  2. 請求項1において、
    前記第2ラビリンスは、前記第1ラビリンスよりも軸方向の寸法が大きいことを特徴とする密封装置。
  3. 請求項1又は2において、
    前記第2リップは、径方向において前記他方の部材側に延びて形成され、
    前記第2ラビリンスは、前記第2リップの前記他方の部材側の端部と前記他方の部材の前記周面とによって構成されることを特徴とする密封装置。
  4. 請求項3において
    前記第2リップは、前記第2リップの前記他方の部材側の端部から軸方向に延びるリップ円筒部を備え、
    前記第2ラビリンスは、前記リップ円筒部の前記他方の部材側の周面と前記他方の部材の前記周面とによって構成されることを特徴とする密封装置。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
    前記第2リップは、前記段差部の前記環状空間側の端面との間に存在するとともに、前記第1ラビリンス及び前記第2ラビリンスに連通する第3ラビリンスを構成することを特徴とする密封装置。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、
    前記他方の部材の周面に嵌合されるとともに軸方向の一方端部により前記段差部を構成する円筒部と、前記円筒部の軸方向の他方端部から径方向に延出する円板部とを含むスリンガ部材を備え、
    前記第1リップは、前記スリンガ部材の前記円板部に摺接することを特徴とする密封装置。

JP2022042316A 2022-03-17 2022-03-17 密封装置 Pending JP2023136571A (ja)

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