JP2023136377A - ポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents

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誠 長谷川
Makoto Hasegawa
卓也 高橋
Takuya Takahashi
真弥 秋定
Masaya Akisada
富美弥 河野
Fumiya Kono
真理 藤井
Mari Fujii
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Abstract

【課題】本発明の課題は、フィルムの物性に大きな影響を与えうる乾燥温度、イミド化触媒・脱水反応剤の条件を変更することなく、簡便な方法で、迅速に乾燥するポリイミドフィルムの製造方法を提供することである。【解決手段】ポリアミド酸と溶媒を含むポリアミド酸溶液を支持体上に流延塗布し、乾燥させ自己支持性を有するフィルムを得、これを引き剥がし、その両端を固定して加熱、乾燥させてポリイミドフィルムを製造する、ポリイミドフィルムの製造方法であって、前記溶媒は、アミド系の主溶媒と副溶媒を含み、副溶媒もアミド系溶媒である場合は、主溶媒に対し副溶媒を0.1~15wt%含み、副溶媒がアミド系溶媒でない場合は、主溶媒に対し副溶媒を0.1~8wt%含むことを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法によって上記課題を解決しうる。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミドフィルムの製造方法に関するものである。
ポリイミドフィルムは、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の有機溶媒溶液を、金属ドラムなどの回転する支持体上に流延塗布し、自己支持性を有するまで乾燥および硬化させてゲルフィルムを得、これを引き剥がし、その両端を固定してゲルフィルムの幅を保持または広げつつ加熱炉へ搬送して加熱し、さらなる乾燥・硬化を進めることで連続的に製造されている。
上述のような連続搬送方式においては、フィルムの搬送速度を増加させることで生産性の向上を図るが、その際、乾燥にかかる時間が短縮されるため、自己支持性のゲルフィルムを取得した時点での乾燥が不十分になること、すなわち、ゲルフィルムが多量の揮発性成分を含むことが想定される。乾燥不十分なゲルフィルムがその後、加熱炉に搬送され加熱されるとき、大量の残留揮発性成分がフィルムから放出され、加熱炉内で安全性が問題となる場合がある。の発火や爆発の危険性を生じる可能性がある。そのため、生産速度を向上できないという問題があった。
従来単一溶媒であったポリアミド酸溶液を混合溶剤系とすることで、特許文献1には混合溶媒系のポリアミド酸に関する記載があるが、塗布性に優れ、塗布ムラなどの欠陥のない垂直液晶配向膜に関する内容であり、ポリアミド酸溶液の乾燥挙動に関する記述はない。
特許第4645823号
従来のポリイミドの製造方法においてゲルフィルムの残留揮発性成分を低減させようとした場合、設定温度やイミド化触媒・脱水反応剤の処方変更によって一定の効果は発現する。しかしながら、最終的なフィルム物性への影響や、製造上の安全性の観点から、大きな制限があった。そこで、本発明が解決しようとする課題は、設定温度やイミド化触媒・脱水反応剤の処方変更によらず、簡便な方法で、迅速にゲルフィルムを乾燥させ、高生産性のポリイミドフィルムの製造方法を提供することである。
本発明は、以下の新規なポリイミドフィルムの製造方法により上記課題を解決しうる。
(1).ポリアミド酸と溶媒を含むポリアミド酸溶液を支持体上に流延塗布し、乾燥させ自己支持性を有するフィルムを得、これを引き剥がし、その両端を固定して加熱、乾燥させてポリイミドフィルムを製造する、ポリイミドフィルムの製造方法であって、
前記溶媒は、アミド系の主溶媒と副溶媒を含み、
副溶媒もアミド系溶媒である場合は、主溶媒に対し副溶媒を0.1~10wt%含み、
副溶媒がアミド系溶媒でない場合は、主溶媒に対し副溶媒を0.1~4wt%含むことを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
(2).前記主溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、3-メトキシ-N.N-ジメチルプロパンアミド、3-メトキシ-N,N-ジブチルプロパンアミドから選択される1種以上のアミド系溶媒であり、
前記副溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、3-メトキシ-N.N-ジメチルプロパンアミド、3-メトキシ-N,N-ジブチルプロパンアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジオキソラン、1,4-ジオキサン、1,3,5-トリオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、γ-ブチロラクトン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレンから選択される1種以上の溶媒であることを特徴とする(1)に記載のポリイミドフィルムの製造方法。(但し、主溶媒と副溶媒は異なる溶媒である。)
(3).前記主溶媒が、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドから選択される1種以上のアミド系溶媒であることを特徴とする(2)に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
(4).前記副溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、γ-ブチロラクトン、トルエンから選択される1種以上の溶媒であることを特徴とする(2)または(3)に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
(5).前記主溶媒よりも前記副溶媒の沸点の方が高いことを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
(6).前記溶媒は、アミド系の主溶媒と副溶媒を含み、
副溶媒もアミド系溶媒である場合は、主溶媒に対し副溶媒を0.1~10wt%含み、
副溶媒がアミド系溶媒でない場合は、主溶媒に対し副溶媒を0.1~4wt%含むことを特徴とする(1)~(5)のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
(7).ポリアミド酸溶液が脱水反応剤および/またはイミド化触媒を含有することを特徴とする(1)~(6)のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
(8).脱水反応剤として無水酢酸を含有することを特徴とする(1)~(7)のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
(9).イミド化触媒としてピリジン、イソキノリン、β位および/またはγ位にアルキル基が置換したピリジン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする(1)~(8)のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
(10).前記ポリアミド酸が、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4'-オキシジフタル酸二無水物からなる群より選択される少なくとも一種の酸二無水物成分と、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ジアミノベンゼン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニルからなる群より選択される少なくとも一種のジアミン成分を重合して得られるポリアミド酸であることを特徴とする(1)~(9)のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
(11).前記ポリアミド酸は、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4'-オキシジフタル酸二無水物からなる群より選択される少なくとも1種の酸二無水物成分と、1,4-ジアミノベンゼンと1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンからなる群より選択される少なくとも1種のジアミン成分とを重合して得られるポリアミド酸であることを特徴とする(1)~(10)のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
(12).(1)~(11)のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム上に接着層を積層した多層構造ポリイミドフィルムの製造方法。
(13).前記接着層がポリアミド酸とポリイミドの少なくとも一方であることを特徴とする(12)に記載の多層構造ポリイミドフィルムの製造方法。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法は、樹脂処方や乾燥・焼成条件を変更することなく、溶剤組成の変更という簡便な方法によって迅速にゲルフィルムを乾燥させ、生産性を高めることができる。
溶剤混合比率とゲルフィルムの残留揮発性成分量比率の関係を示す図である。
本発明の実施の形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意味する。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法は、ポリアミド酸と溶媒を含むポリアミド酸溶液を支持体上に流延塗布し、乾燥させ自己支持性を有するフィルムを得、これを引き剥がし、その両端を固定して加熱、乾燥させてポリイミドフィルムを製造する、ポリイミドフィルムの製造方法であって、前記溶媒は、アミド系の主溶媒と副溶媒を含み、
副溶媒もアミド系溶媒である場合は、主溶媒に対し副溶媒を0.1~15wt%含み、
副溶媒がアミド系溶媒でない場合は、主溶媒に対し副溶媒を0.1~8wt%含むことを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法である。
迅速な乾燥を実現する、すなわち、ゲルフィルムの残留揮発性成分量を減少させるためには、ゲルをより高温で乾燥させることが第一の手段であるが、ポリアミド酸が解重合して分子量低下を引き起こす可能性がある。分子量が低下した分子鎖を含むフィルム材料は、機械強度の低下を引き起こし、割れ・裂け等の欠陥の原因になる。設定温度変更によらず、ゲルフィルムの残留揮発性成分を低減する方策としては、ポリアミド酸のイミド化反応を促進するためにイミド化触媒・脱水反応剤の処方変更が有効である。これはイミド化による硬化収縮のために、揮発性成分をフィルム外部に排出することができるためである。ポリアミド酸に添加するイミド化触媒・脱水反応剤を増量することで、イミド化反応が促進され、迅速乾燥に寄与できる。
しかしながら、イミド化触媒・脱水反応剤の処方が変更されたことで、ポリイミドの高次構造が変化し、最終物性に影響が及ぶ可能性がある。例えば結晶化度が変化したことで、機械強度が低下することや、フィルムと金属箔を圧着させた際の密着性が低下することにつながることが考えられる。このような実情から、設定温度やイミド化触媒・脱水反応剤処方を変更することなく、ゲルフィルムの残留揮発性成分を低減させる方法が有用であると考え、本発明者らはポリアミド酸溶液を構成する溶媒組成に着目し、ポリアミド酸を溶解させ、樹脂溶液の大部分を占めている主溶媒に加えて、異種溶剤を特定の比率で添加することで、ゲルフィルムの残留揮発性成分量を低減できることを見出した。
本発明の特徴は、前記ポリアミド酸溶液が含有する溶媒は、アミド系の主溶媒と副溶媒を含み、副溶媒もアミド系溶媒である場合は、主溶媒に対し副溶媒を0.1~15wt%含み、副溶媒がアミド系溶媒でない場合は、主溶媒に対し副溶媒を0.1~8wt%含んでいる点にある。さらに添加する異種溶剤の沸点に関わらず、複数の添加溶媒で本効果の発現を発見したのは驚くべきことである。これにより、溶剤組成の変更の自由度が高く、ポリアミド酸の溶解性を損なうことなく、ポリアミド酸溶液を調製することができる。溶剤組成の変更はポリアミド酸の分子量低下に影響を与えず、イミド化反応挙動に対する影響も少ないと考えられ、ポリイミドフィルムの物性を損なうことなく迅速乾燥が可能となる。以下に、本発明のポリアミド酸、溶媒、脱水反応剤およびイミド化触媒、多層ポリイミドフィルムの製造の順により詳しく説明する。
(ポリアミド酸)
まず、非熱可塑性ポリイミド層を形成するためのポリイミド前駆体溶液について説明する。ポリイミド前駆体のポリアミド酸の製造方法としては公知のあらゆる方法を用いることができ、通常、実質的等モル量の芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンとを有機溶媒中に溶解させた溶液を、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。ポリアミド酸溶液は通常5~35重量%、好ましくは10~30重量%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を有する。
重合方法としてはあらゆる公知の方法及びそれらを組み合わせた方法を用いることができる。代表的な重合方法として次のような方法が挙げられる。1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法、2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法、3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法、4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法、5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。これら方法を単独で用いても良いし、部分的に組み合わせて用いることもできる。
原料であるジアミンと酸二無水物の添加順序についても特に限定されないが、原料の化学構造だけでなく、添加順序を制御することによっても、得られるポリイミドの特性を制御することが可能である。
使用できるモノマーの種類は特に限定されるものでなく、一般的にポリアミド酸合成に用いられる酸二無水物モノマー、ジアミンモノマーであれば使用可能である。本発明では、中でも、前記ポリアミド酸(A)が、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4'-オキシジフタル酸二無水物からなる群より選択される少なくとも一種の酸二無水物成分と、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ジアミノベンゼン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニルからなる群より選択される少なくとも一種のジアミン成分を重合して得られるポリアミド酸であることが好ましく、特に前記ポリアミド酸(A)が、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4'-オキシジフタル酸二無水物からなる群より選択される少なくとも1種の酸二無水物成分と、1,4-ジアミノベンゼンと1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンからなる群より選択される少なくとも1種のジアミン成分とを重合して得られるポリアミド酸であることがより好ましい。
上記ポリアミド酸には、摺動性、熱伝導性、導電性、耐コロナ性、ループスティフネス等のフィルムの諸特性を改善する目的でフィラーを添加することもできる。フィラーとしてはいかなるものを用いても良いが、好ましい例としてはシリカ、酸化チタン、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、雲母などが挙げられる。
(溶媒)
本発明にかかるポリアミド酸有機溶媒溶液の形態は2種以上の溶剤で構成されている。溶媒混合の方法は特に限定されない。例えば、あらかじめ2種以上混合した溶媒でポリアミド酸を重合し、当該ポリアミド酸溶液を使用してポリイミドフィルムを製造してもよいし、単一の溶媒で重合・取得したポリアミド酸溶液に対して後から副溶媒を添加してもよいし、あらかじめ2種以上混合した溶媒でポリアミド酸を重合し、取得したポリアミド酸溶液に対して後から副溶媒を添加してもよい。
主溶媒は、全溶剤に占める比率が最も高いためにポリアミド酸の溶解に主に関与する溶剤であることから、ポリアミド酸を溶解できることが求められる。例えばポリアミド酸の溶解性が高いアミド系溶媒であるN,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、3-メトキシ-N.N-ジメチルプロパンアミド、3-メトキシ-N,N-ジブチルプロパンアミドが好ましく用いられる。1-メチルピロリドン、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドから選択される1種以上のアミド系溶媒であることが好ましい。中でも1-メチルピロリドン、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドから選択される1種以上のアミド系溶媒がより好ましい。
副溶媒は、それ単独としては、必ずしもポリアミド酸を溶解させる性質を有している必要はなく、主溶媒と混合した場合に、均一に混和し、かつポリアミド酸が溶解できていればよい。例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、3-メトキシ-N.N-ジメチルプロパンアミド、3-メトキシ-N,N-ジブチルプロパンアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジオキソラン、1,4-ジオキサン、1,3,5-トリオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、γ-ブチロラクトン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレンから選択される1種以上の溶媒であることが好ましい。中でもN,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、γ-ブチロラクトン、トルエンから選択される1種以上の溶媒であることがより好ましい。
副溶媒は主溶剤よりも高沸点である場合も含む。ここで沸点とは1気圧において、溶媒の飽和蒸気圧が外圧と等しくなる温度である。
主溶媒と副溶媒の添加比率は、主溶媒としてアミド系溶媒と副溶媒もアミド系溶媒である場合は、主溶媒に対し副溶媒を0.1~15wt%含み、0.1~10wt%含むことが好ましく、0.5~10wt%含むことがより好ましく、0.5~7wt%含むことが更に好ましい。副溶媒がアミド系溶媒でない場合は、主溶媒に対し副溶媒を0.1~8wt%含み、0.1~5wt%含むことが好ましく、0.5~5wt%含むことがより好ましく、0.5~3wt%含むことが更に好ましくい。副溶媒が過剰に含まれると、ポリアミド酸が析出することがある。また、本発明の迅速乾燥効果が得られないことがあり、むしろ残留揮発性成分量が増加することがある。逆に副溶媒量が過少であれば、乾燥効果も低減する。
(脱水反応剤およびイミド化触媒について)
一般的にポリイミドは、ポリイミドの前駆体、即ちポリアミド酸からの脱水転化反応により得られる。当該転化反応を行う方法としては、熱によってのみ行う熱キュア法と、化学硬化剤を使用する化学キュア法の2法が最も広く知られている。中でも、化学硬化剤を使用する化学キュア法は生産性が向上し、フィルムの機械的強度が確保できる。本発明では、いずれの手法を用いても構わない。しかし、迅速乾燥を実現するためには特に化学キュア法が好ましく、この場合フィルム化の直前に、ポリイミド前駆体溶液に対して脱水反応剤及びイミド化触媒を含有させる。
ここで、化学硬化剤とは、脱水反応剤及びイミド化触媒を含むものである。ここでいう脱水反応剤とは、ポリアミド酸に対する脱水閉環剤であり、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、N,N′-ジアルキルカルボジイミド、低級脂肪族ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪族酸無水物、アリールスルホン酸ジハロゲン化物、チオニルハロゲン化物またはそれら2種以上の混合物を好ましく用いることができる。その中でも脂肪族酸無水物及び芳香族酸無水物がより良好に作用する。特に好ましいのは無水酢酸である。脱水反応剤の好適な導入量は、溶液に含まれるポリアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して0.5~4.0モル、好ましくは0.7~4.0モル、特に好ましくは1.0~4.0モルである。前記範囲を超えると、導体が腐食することがある。また、前記範囲を下回ると、硬化速度が充分でなく、本発明の効果を発揮できないことがある。
また、イミド化触媒とは硬化剤のポリアミド酸に対する脱水閉環作用を促進する効果を有する成分であるが、例えば、脂肪族3級アミン、芳香族3級アミン、複素環式3級アミンを用いることができる。そのうち、ピリジン、イミダゾ-ル、ベンズイミダゾ-ル、イソキノリン、キノリン、β位および/またはγ位にアルキル基が置換したピリジン化合物などの含窒素複素環化合物であることが好ましい。特に、ピリジン、イソキノリン、β位および/またはγ位にアルキル基が置換したピリジン化合物であることが好ましい。イミド化触媒の好適な導入量は、イミド化触媒を含有させる溶液に含まれるポリアミド酸中のアミド酸ユニット1モルに対して0.05~2.0モル、好ましくは0.1~2.0モル、特に好ましくは0.2~2.0モルである。前記範囲を超えると、ポリイミド層にイミド化触媒が残存し、長期耐熱性に劣る場合がある。また、前記範囲を下回ると、硬化速度が充分でなく、本発明の効果を発揮できないことがある。
さらに、脱水反応剤及びイミド化触媒からなる化学硬化剤溶液中に、有機極性溶媒を導入することも適宜選択されうる。この有機極性溶剤の種類・量は特に限定されないが、ポリアミド酸と化学硬化剤溶液を混合した際にポリアミド酸を析出させないことが求められる。従って、例えばポリアミド酸を良好に溶解させる、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、3-メトキシ-N.N-ジメチルプロパンアミド、3-メトキシ-N,N-ジブチルプロパンアミドが好ましく用いられる。1-メチルピロリドン、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどが好ましい。また、化学硬化剤溶液に上述の副溶媒を混合しておき、最終的にポリアミド酸溶液と混合してもよい。従って、化学硬化剤溶液自体に1-メチルピロリドン、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、3-メトキシ-N.N-ジメチルプロパンアミド、3-メトキシ-N,N-ジブチルプロパンアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジオキソラン、1,4-ジオキサン、1,3,5-トリオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、γ-ブチロラクトン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレンから選択される1種以上の溶媒を含んでいてもよい。化学硬化剤溶液中に、有機極性溶媒を導入した場合、それを本発明の主溶媒または副溶媒に含めることとする。ただし、脱水反応剤およびイミド化触媒自体は溶媒には含めない。
(多層ポリイミドフィルムの製造方法)
本発明の多層ポリイミドフィルムを得るには、以下の工程i)有機溶剤中でジアミンと酸二無水物を反応させてポリアミド酸溶液を得る工程、ii)上記ポリアミド酸溶液を含む製膜ドープを支持体上に流延する工程、iii)支持体上で加熱した後、支持体からゲルフィルムを引き剥がす工程、iv)更に加熱して、残ったポリアミド酸をイミド化し、かつ乾燥させる工程、により非熱可塑性ポリイミドフィルムを製造した後、当該非熱可塑性ポリイミドフィルムを非熱可塑性ポリイミド層として用い、その少なくとも片面に、塗工などにより接着層を設ける方法がある。また、上記ii)工程において複数の流路を有する共押出しダイを使用して、非熱可塑性ポリイミド層を形成するポリイミド樹脂の前駆体を含む溶液と、接着層を形成するためのポリイミド樹脂の前駆体を含む溶液とを支持体上に流延・塗布することにより、複層の樹脂層を同時に形成する方法(共押出流延・塗布法)もある。
本発明の接着層に用いられる、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸溶液の製造方法は、(ポリアミド酸)で記載した方法と同様の方法が使用できる。接着層には、ポリアミド酸やポリイミド樹脂の他、誘電特性や接着特性を損なわない範囲でエポキシ樹脂、フェノキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなどの熱可塑性樹脂が含まれていてもよいが、ポリアミド酸とポリイミドの少なくとも一方であることが好ましい。
接着層に含まれるポリイミドの前駆体であるポリアミド酸は、少なくとも一種のジアミンと少なくとも1種の酸二無水物を有機溶媒中で実質的に略等モルになるように混合、反応することにより得られる。接着層として機能を発現する程度に軟化する特性を付与するには、柔軟な構造を持つジアミンや酸二無水物を用いることにより調整が可能である。本発明の接着層に含まれるポリイミド樹脂は二種以上のポリイミド樹脂を混合するよりも、一種のポリイミド樹脂を用いる方がより好ましい。本発明の多層ポリイミドフィルムの厚みは、12.5μm以上であることを特徴とする。多層ポリイミドフィルムの厚みの上限は特にはないが、多層ポリイミドフィルムの製造のしやすさ、生産性などを考慮すると、50μm以下であることが好ましい。
このようにして得られる多層ポリイミドフィルムは、多層ポリイミドフィルムの少なとも片面に金属箔を設けてフレキシブル金属箔積層体とすることができる。多層ポリイミドフィルム上に金属箔を形成する手段としては、下記a)やb)を例示することができる。a)上述のようにして多層ポリイミドフィルムを得た後、加熱加圧により金属箔を貼り合せてフレキシブル金属箔積層体を得る手段。b)金属箔上に、ポリアミド酸を含有する有機溶剤溶液をキャストし、加熱により溶剤除去、イミド化を行ってフレキシブル金属箔積層体を得る手段。a)ならびにb)の詳細について、以下説明する。a)の手段では、得られた多層ポリイミドフィルムに、金属箔を加熱加圧(ラミネート)により貼り合せることにより、本発明のフレキシブル金属箔積層体が得られる。金属箔を貼り合せる手段、条件については、従来公知のものを適宜選択すればよい。
b)の手段では、金属箔上にポリアミド酸を含有する有機溶剤溶液をキャストする手段については特に限定されず、ダイコーターやコンマコーター(登録商標)、リバースコーター、ナイフコーターなどの従来公知の手段を使用できる。そして、本発明のフレキシブル金属張積層板を製造するには、金属箔上に、接着層を形成するためのポリイミド樹脂の前駆体を含む溶液を金属箔上にキャストし、加熱・乾燥させて溶剤を除去し、次いで非熱可塑性ポリイミド層を形成するためのポリイミド樹脂の前駆体を含む溶液をキャストし、熱・乾燥させて溶剤を除去する。このようにして得られる多層ポリアミド酸層を形成した後、これを加熱・イミド化してフレキシブル金属張積層体を製造する。接着層をさらに設けるなど層の数に応じて上述の工程を繰り返して多層ポリアミド酸層を形成した後、これを加熱・イミド化してフレキシブル金属張積層体を得ればよい。溶剤除去、イミド化を行うための加熱手段についても従来公知の手段を利用可能であり、例えば熱風炉、遠赤外線炉が挙げられる。
b)の手段もa)の手段と同様に、化学イミド化法によって加熱時間を短縮し、生産性を向上させることが出来る。しかし、イミド化の過程で脱水閉環剤である酸無水物から酸が生成するため、金属箔の種類によっては酸化が進行してしまう場合がある。脱水閉環剤の添加については、金属箔の種類や加熱条件に応じて適宜選択することが好ましい。樹脂層の両面に金属箔層を設ける場合、加熱加圧により反対側の樹脂層面に金属箔を貼り合わせれば良い。用いることができる金属箔としては特に限定されるものではないが、電子機器・電気機器用途に本発明のフレキシブル金属張積層板を用いる場合には、例えば、銅または銅合金、ステンレス鋼またはその合金、ニッケルまたはニッケル合金(42合金も含む)、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる箔を挙げることができる。一般的なフレキシブル積層板では、圧延銅箔、電解銅箔といった銅箔が多用されるが、本発明においても好ましく用いることができる。なお、これらの金属箔の表面には、防錆層や耐熱層あるいは接着層が塗布されていてもよい。また、上記金属箔の厚みについては特に限定されるものではなく、その用途に応じて、十分な機能が発揮できる厚みであればよい。このようにして得られたフレキシブル金属張積層板の金属層を公知の方法によりエッチングすることによりフレキシブルプリント基板が得られる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、合成例、実施例及び比較例における残留揮発性成分量の評価方法は次の通りである。
(ゲルフィルムの残留揮発性成分量比率の評価方法)
実施例並びに比較例で得られたゲルフィルムフィルムを中央部、左端から50mmの位置および右端から50mmの位置から、50mm×50mmの大きさに横一列に3枚切り出し、それぞれ重量を測定した(重量をwとする)。このゲルフィルム3枚を350℃の熱風オーブンで10分間加熱して取り出し、再度フィルムの重量を測定した(重量をwとする)。下記式(1)に従って固形分に対する残留揮発性成分量比率(%)を算出した。
残留揮発性成分量比率(%)=(w-w)/w×100 (1)
また、下記比較例の残留揮発性成分量比率(X)に対する下記実施例i (i=1,2,3,・・・)の残留揮発性成分量比率(Xi)の低下割合(%)を下記式(2)に従って算出した。この値が大きいほど、混合溶媒を適用したことによる残留揮発性成分量の低下が大きく、好ましい。
残留揮発性成分量比率の低下割合(%)=100-Xi/X×100 (2)
(合成例1)
容量500mlのガラス製フラスコにN,N-ジメチルホルムアミド(DMFと称する)を164.2g、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-Rと称する)を3.0g、p-フェニレンジアミン(p-PDAと称する)6.4gを溶解した。ここにs-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDAと称する)を12.2g、4,4’-オキシフタル酸二無水物(ODPAと称する)7.9gを添加して30分撹拌して溶解させた。さらにこの溶液に別途調製してあったピロメリット酸二無水物(PMDAともいう)のDMF溶液(PMDA0.5g/DMF5.8g)を注意深く添加し、粘度が1500ポイズ程度に達したところで添加を止めた。1時間撹拌を行って固形分濃度約15重量%、23°Cでの回転粘度が1500~2000ポイズのポリアミド酸溶液を得た。
(比較例1)
合成例1で取得したポリアミド酸溶液60gに、無水酢酸/イソキノリン/DMF(5.62g:8.20g:10.18g)からなる硬化剤を添加して0°C以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に流延塗布した。この樹脂膜を120°C×320秒間乾燥させた後、速やかにゲルフィルムを切り出し、上記(ゲルフィルムの残留揮発性成分量の評価方法)にあるように残留揮発性成分量比率の評価を実施した。その結果を表1および図1に示した。
評価に使用しなかったゲルフィルムはアルミ箔から引き剥がして、ゲルフィルムが収縮しないように注意しながら金属製の固定枠に固定した。金属製の固定枠に固定したゲルフィルムを、あらかじめ予熱された熱風循環オーブンで170℃20秒、300℃99秒、遠赤外線(IR)オーブン380℃97秒加熱し、固定枠から切り離して厚み34μmのポリイミドフィルムを得た。外観評価の結果を表1に示す。外観は発泡や表面の凹凸がなく平滑な外観を有するものを〇、発泡や表面の凹凸が見られるものを×と表す。
(実施例1)
合成例1で取得したポリアミド酸溶液60gに、NMP0.51gと、無水酢酸/イソキノリン/DMF(56.2g:8.20g:9.67g)からなる硬化剤を添加したこと以外は、比較例と同様にしてゲルフィルムを評価、フィルムを取得した。その結果を表1および図1に示した。
(実施例2)
合成例1で取得したポリアミド酸溶液60gに、NMP1.02gと、無水酢酸/イソキノリン/DMF(56.2g:8.20g:9.17g)からなる硬化剤を添加したこと以外は、比較例と同様にしてゲルフィルムを評価、フィルムを取得した。その結果を表1および図1に示した。
(実施例3)
合成例1で取得したポリアミド酸溶液60gに、NMP1.53gと、無水酢酸/イソキノリン/DMF(56.2g:8.20g:8.66g)からなる硬化剤を添加したこと以外は、比較例と同様にしてゲルフィルムを評価、フィルムを取得した。その結果を表1および図1に示した。
(実施例4)
合成例1で取得したポリアミド酸溶液60gに、NMP5.09gと、無水酢酸/イソキノリン/DMF/NMP(56.2g:8.20g:5.09g)からなる硬化剤を添加したこと以外は、比較例と同様にしてゲルフィルムを評価、フィルムを取得した。その結果を表1および図1に示した。
(実施例5)
合成例1で取得したポリアミド酸溶液60gに、DMAc1.02gと、無水酢酸/イソキノリン/DMF(5.62g:8.20g:9.17g)からなる硬化剤を添加したこと以外は、比較例と同様にしてゲルフィルムを評価、フィルムを取得した。その結果を表1および図1に示した。
(実施例6)
合成例1で取得したポリアミド酸溶液60gに、DMAc1.53gと、無水酢酸/イソキノリン/DMF(5.62g:8.20g:8.66g)からなる硬化剤を添加したこと以外は、比較例と同様にしてゲルフィルムを評価、フィルムを取得した。その結果を表1および図1に示した。
(実施例7)
合成例1で取得したポリアミド酸溶液60gに、DMAc5.09gと無水酢酸/イソキノリン/DMF(5.62g:8.20g:5.09g)からなる硬化剤を添加したこと以外は、比較例と同様にしてゲルフィルムを評価、フィルムを取得した。その結果を表1および図1に示した。
(実施例8)
合成例1で取得したポリアミド酸溶液60gに、ジオキソラン1.02gと、無水酢酸/イソキノリン/DMF(5.62g:8.20g:9.17g)からなる硬化剤を添加したこと以外は、比較例と同様にしてゲルフィルムを評価、フィルムを取得した。その結果を表1および図1に示した。
(比較例2)
合成例1で取得したポリアミド酸溶液60gに、ジオキソラン5.09gと、無水酢酸/イソキノリン/DMF(5.62g:8.20g:5.09g)からなる硬化剤を添加したこと以外は、比較例と同様にしてゲルフィルムを評価、フィルムを取得した。その結果を表1および図1に示した。
(比較例3)
合成例1で取得したポリアミド酸溶液60gに、へプタン1.02gと無水酢酸/イソキノリン/DMF(5.62g:8.20g:9.17g)からなる硬化剤を添加したこと以外は、比較例と同様にしてゲルフィルムを評価、フィルムを取得した。その結果を表1および図1に示した。
(比較例4)
合成例1で取得したポリアミド酸溶液60gに、へプタン5.09gと無水酢酸/イソキノリン/DMF(5.62g:8.20g:5.09g)からなる硬化剤を添加して、0°C以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に流延塗布したが、ポリアミド酸溶液と硬化剤が良好に混合せず、均一に流延塗布することができず、作業を打ち切った。その結果を表1に示した。
(実施例9)
合成例1で取得したポリアミド酸溶液60gに、酢酸エチル1.02gと無水酢酸/イソキノリン/DMF(5.62g:8.20g:9.17g)からなる硬化剤を添加したこと以外は、比較例と同様にしてゲルフィルムを評価、フィルムを取得した。その結果を表1および図1に示した。
(比較例5)
合成例1で取得したポリアミド酸溶液60gに、酢酸エチル5.09gと無水酢酸/イソキノリン/DMF(5.62g:8.20g:5.07g)からなる硬化剤を添加したこと以外は、比較例と同様にしてゲルフィルムを評価、フィルムを取得した。その結果を表1および図1に示した。
以上、比較例1~6および実施例1~9のゲルフィルムの残留揮発性成分量比率とその低下度の値を表に示し、その増減を図に示した。へプタン以外のすべての溶剤で残留揮発性成分量比率の低下が確認できた。

Claims (13)

  1. ポリアミド酸と溶媒を含むポリアミド酸溶液を支持体上に流延塗布し、乾燥させ自己支持性を有するフィルムを得、これを引き剥がし、その両端を固定して加熱、乾燥させてポリイミドフィルムを製造する、ポリイミドフィルムの製造方法であって、
    前記溶媒は、アミド系の主溶媒と副溶媒を含み、
    副溶媒もアミド系溶媒である場合は、主溶媒に対し副溶媒を0.1~15wt%含み、
    副溶媒がアミド系溶媒でない場合は、主溶媒に対し副溶媒を0.1~8wt%含むことを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
  2. 前記主溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、3-メトキシ-N.N-ジメチルプロパンアミド、3-メトキシ-N,N-ジブチルプロパンアミドから選択される1種以上のアミド系溶媒であり、前記副溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、3-メトキシ-N.N-ジメチルプロパンアミド、3-メトキシ-N,N-ジブチルプロパンアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジオキソラン、1,4-ジオキサン、1,3,5-トリオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、γ-ブチロラクトン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレンから選択される1種以上の溶媒であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルムの製造方法。(但し、主溶媒と副溶媒は異なる溶媒である。)
  3. 前記主溶媒が、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドから選択される1種以上のアミド系溶媒であることを特徴とする請求項2に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  4. 前記副溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、γ-ブチロラクトン、トルエンから選択される1種以上の溶媒であることを特徴とする請求項2または3に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  5. 前記主溶媒よりも前記副溶媒の沸点の方が高いことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  6. 前記溶媒は、アミド系の主溶媒と副溶媒を含み、
    副溶媒もアミド系溶媒である場合は、主溶媒に対し副溶媒を0.1~10wt%含み、
    副溶媒がアミド系溶媒でない場合は、主溶媒に対し副溶媒を0.1~5wt%含むことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  7. 前記ポリアミド酸溶液が脱水反応剤および/またはイミド化触媒を含有することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  8. 脱水反応剤として無水酢酸を含有することを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  9. イミド化触媒としてピリジン、イソキノリン、β位および/またはγ位にアルキル基が置換したピリジン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  10. 前記ポリアミド酸が、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4'-オキシジフタル酸二無水物からなる群より選択される少なくとも一種の酸二無水物成分と、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ジアミノベンゼン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニルからなる群より選択される少なくとも一種のジアミン成分を重合して得られるポリアミド酸であることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  11. 前記ポリアミド酸は、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4'-オキシジフタル酸二無水物からなる群より選択される少なくとも1種の酸二無水物成分と、1,4-ジアミノベンゼンと1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンからなる群より選択される少なくとも1種のジアミン成分とを重合して得られるポリアミド酸であることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム上に接着層を積層した多層構造ポリイミドフィルムの製造方法。
  13. 前記接着層がポリアミド酸とポリイミドの少なくとも一方であることを特徴とする請求項12に記載の多層構造ポリイミドフィルムの製造方法。
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