JP2023136356A - 皮膚表上脂質由来rnaの調製方法 - Google Patents

皮膚表上脂質由来rnaの調製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】SSLに含まれるRNAを効率よく回収するための、RNAの調製方法を提供する。【解決手段】皮膚表上脂質由来RNAの調製方法であって、被験体の皮膚表上脂質からRNAを溶出、分離及び回収するRNA抽出工程において、p-ブロモアニソールを添加する工程を含む、方法。【選択図】なし

Description

本発明は、皮膚表上脂質由来RNAの調製方法に関する。
生体の様々な組織の中でも、皮膚は、外界と接していることから、侵襲性低く生体試料を採取できる組織として注目されている。最近、皮膚表上脂質(skin surface lipids;SSL)に被験体の皮膚細胞に由来するRNAが含まれていること、SSLに含まれるRNAを生体の解析用の試料として有用であることが見出された(特許文献1)。
生体試料からのRNA等の核酸の抽出には、一般に、フェノール/クロロホルム法、AGPC(acid guanidinium thiocyanate-phenol-chloroform extraction)法、それらの変法などが用いられている。これらの原理に基づく核酸抽出試薬(例えばTRIzol(登録商標)など)が市販されている。
また、特許文献2には、4.0未満のpHのフェノールを用いてサンプルを処理し、水層から精製RNAを回収する方法や、少量の有機溶媒を含む酸性化サンプルからRNAを沈殿させる方法が開示されている。また、特許文献3には生体材料を溶解してそこに含まれる核酸を溶出させること、溶出した核酸を含む溶液に最終濃度で10~60体積%となるように水溶性有機溶媒を加えてライセート溶液を調製すること、及び、該ライセート溶液と固体材料とを接触させ、固体材料に核酸を吸着させて回収することを含む、核酸抽出法が開示されている。
しかし、RNA解析用の試料としてSSLを用いる場合、回収できるSSLの量は多くなく、またそこに含まれるRNAの量も多くはないため、1被験体のSSLから調製できるRNAの量は微量である。また、SSL試料には、スキンケア品やメイク品由来の成分が含まれる場合があり、これにより従来の核酸抽出法ではRNAの収量が低下し、解析ができない、或いは解析精度が低下する等の問題が生じ、SSLからのRNAの収量の向上が望まれていた。
国際公開公報第2018/008319号 特表2007-532140号公報 特開2007-117084号公報
本発明は、SSLに含まれるRNAを効率よく回収するための、RNAの調製方法を提供することに関する。
本発明者らは、上記課題に鑑み、検討した結果、SSLからRNAを抽出する工程において、p-ブロモアニソールを添加することにより、SSLからのRNAの回収率を向上できることを見出した。
すなわち、本発明は、皮膚表上脂質由来RNAの調製方法であって、被験体の皮膚表上脂質からRNAを溶出、分離及び回収するRNA抽出工程において、p-ブロモアニソールを添加する工程を含む、方法を提供する。
本発明の方法によれば、SSLに含まれるRNAを高収量で回収することができる。本発明は、SSLを試料として用いたRNA解析(例えば、遺伝子解析、診断等)の効率や精度を向上させる。
本明細書中で引用された全ての特許文献、非特許文献、及びその他の刊行物は、その全体が本明細書中において参考として援用される。
本発明において、「皮膚表上脂質(skin surface lipids;SSL)」とは、皮膚の表上に存在する脂溶性画分をいい、皮脂と呼ばれることもある。一般に、SSLは、皮膚にある皮脂腺等の外分泌腺から分泌された分泌物を主に含み、皮膚表面を覆う薄い層の形で皮膚表上に存在している。
本発明において、「皮膚」とは、特に限定しない限り、角層、表皮、真皮、毛包、ならびに汗腺、皮脂腺及びその他の腺などの組織を含む領域の総称である。
本発明の方法における被験体は、皮膚上にSSLを有する生物であればよい。被験体の例としては、ヒト及び非ヒト哺乳動物を含む哺乳動物が挙げられ、好ましくはヒトである。例えば、該被験体は、自身の核酸の解析を必要とするか又は希望するヒト又は非ヒト哺乳動物であり得る。あるいは、該被験体は、皮膚における遺伝子発現解析、又は核酸を用いた皮膚もしくは皮膚以外の部位の状態の解析を必要とするか又は希望するヒト又は非ヒト哺乳動物であり得る。
被験体のSSLは、該被験体の皮膚細胞で発現したRNAを含み、好ましくは該被験体の表皮、皮脂腺、毛包、汗腺、及び真皮のいずれかで発現したRNAを含み、より好ましくは該被験体の表皮、皮脂腺、毛包、及び汗腺のいずれかで発現したRNAを含む(特許文献1参照)。したがって、本発明の方法により調製されるSSL由来RNAは、好ましくは被験体の表皮、皮脂腺、毛包、汗腺及び真皮から選択される少なくとも1部位由来のRNAであり、より好ましくは表皮、皮脂腺、毛包及び汗腺から選択される少なくとも1部位由来のRNAである。
本発明の方法で調製されるSSL由来RNAは、mRNA、tRNA、rRNA、small RNA(例えば、microRNA(miRNA)、small interfering RNA(siRNA)、Piwi-interacting RNA(piRNA)等)、long intergenic non-coding(linc)RNA、などを含み得る。上記に上げたRNAの1種又は2種以上がSSLに含まれ得る。
被験体のSSLが採取される皮膚の部位としては、頭、顔、首、体幹、手足等の身体の任意の部位の皮膚、アトピー、ニキビ、乾燥、炎症(赤み)、腫瘍等の疾患を有する皮膚、創傷を有する皮膚、などが挙げられるが、特に限定されない。
被験体の皮膚からのSSLの採取には、皮膚からのSSLの回収又は除去に用いられているあらゆる手段を採用することができる。好ましくは、後述するSSL吸収性素材、SSL接着性素材、又は皮膚からSSLをこすり落とす器具を使用することができる。SSL吸収性素材又はSSL接着性素材としては、SSLに親和性を有する素材であれば特に限定されず、例えばポリプロピレン、パルプ等が挙げられる。皮膚からのSSLの採取手順のより詳細な例としては、あぶら取り紙、あぶら取りフィルム等のシート状素材へSSLを吸収させる方法、ガラス板、テープ等へSSLを接着させる方法、スパーテル、スクレイパー等によりSSLをこすり落として回収する方法、などが挙げられる。SSLの吸着性を向上させるため、脂溶性の高い溶媒を予め含ませたSSL吸収性素材を用いてもよい。一方、SSL吸収性素材が水溶性の高い溶媒や水分を含んでいると、SSLの吸着が阻害されるため好ましくない。SSL吸収性素材は、乾燥した状態で用いることが好ましい。
被験体から採取されたRNA含有SSLは、後述するRNA調製に用いるまで保存されてもよい。該RNA含有SSLは、SSL吸収性素材又はSSL接着性素材に吸収又は接着させた状態のまま保存することができる。該RNA含有SSLは、従来一般的なRNAの保存条件(例えば-80℃)で保存されてもよいが、よりもマイルドな条件で保存することが可能である(国際出願番号PCT/JP2019/043040)。例えば、該RNA含有SSLの保存の温度条件は、0℃以下であればよく、好ましくは-10℃以下、より好ましくは-20℃以下であればよい。該保存の期間は、特に限定されないが、好ましくは12ヶ月以下、より好ましくは6ヶ月以下、さらに好ましくは3ヶ月以下である。
一般に、生体試料からのRNAの調製は、試料中のRNAを溶出、分離及び回収するRNA抽出工程、抽出されたRNAの単離工程からなるが、本発明によるSSL由来RNAの調製方法は、被験体の皮膚表上脂質からRNAを溶出、分離及び回収するRNA抽出工程において、p-ブロモアニソール(別名:4-ブロモ-1-メトキシベンゼン)を添加する工程を含む。
本発明において、皮膚表上脂質からRNAを溶出、分離及び回収する方法としては、限定されないが、酸性フェノール(例えば、水飽和フェノール)とクロロホルムの混液を用いる古典的なRNA抽出のためのフェノール/クロロホルム法、及びその変法、例えばPCI(Phenol/Chloroform/Isoamyl alcohol)法、AGPC(acid guanidinium thiocyanate-phenol-chloroform extraction)法、グアニジンチオシアネートとフェノールをあらかじめ混合しておくAGPC変法等が挙げられ、好ましくはAGPC変法である。
フェノール/クロロホルム法を用いた生体試料からのRNA抽出手順は、基本的には、1)被験体から採取されたRNAを含む試料に、酸性フェノールを加えて混合するRNAの溶出工程、次いで2)クロロホルムを加えて混合し、遠心分離して、RNAを含む水層とフェノール-クロロホルム層、場合によってはさらに中間層に分離する分離工程、3)分離されたRNAを含む水性溶液(水層)を回収する回収工程からなる。
該RNAの溶出に用いる酸性フェノールとしては、水飽和フェノールを単独で用いてもよいが、フェノールを含む試薬混合液を用いてもよい。例えば、グアニジンチオシアネートを含む市販のRNA抽出用試薬(例えばTRIzol(登録商標)Reagent、QIAzol Lysis Reagent、ISOGEN等)を含む、生体試料からのRNA抽出用の試薬液を、該フェノールを含む試薬混合液として用いることができる。SSLからのRNA抽出効率の観点からは、上述したような市販のRNA抽出用の試薬液を用いることが好ましい。すなわちAGPC変法でRNA抽出を行うのが好ましい。
なお、該RNA抽出に用いるクロロホルムとしては、クロロホルムを単独で用いることが好ましいが、必要な量のRNAが水層に分配される限りにおいて、クロロホルムを含む試薬混合液を用いてもよい。
また、必要に応じて、回収されたRNAを含む水性溶液を、再度フェノール及びクロロホルムと混合し、遠心分離して水層を回収してもよい。この手順を2回以上繰り返してもよい。さらに、該RNAを含む水性溶液を、再度クロロホルムと混合し、遠心分離して水層を回収してもよい。この手順を2回以上繰り返してもよい。
本発明において、p-ブロモアニソールの添加は、上記のRNA抽出過程(溶出工程、分離工程、回収工程)の何れでもよいが、RNA収量に影響を与える夾雑物を除去する点から、回収工程において回収されたRNAを含む水性溶液に添加処理するのが好ましい。
該RNAを含む水性溶液にp-ブロモアニソールを添加する場合のp-ブロモアニソールの添加量は特に限定されないが、例えば、その最終濃度(RNAを含む水性溶液とp-ブロモアニソールとの混合液におけるp-ブロモアニソール濃度)が、0.1体積%以上1体積%以下、好ましくは0.2体積%以上0.8体積%以下、さらに好ましくは0.3体積%以上0.7体積%以下である。該混合液におけるp-ブロモアニソールの濃度を上記の範囲に調整することで、SSLからのRNAの収量が向上する。なお、本発明において体積%とは、25℃、1気圧における体積%を意味する(以下、同様)。
回収工程においてp-ブロモアニソールを、RNAを含む水性溶液に添加した場合には、添加後よく混合した後、再度遠心分離して水層がRNAを含む水性溶液として回収される。
回収されたRNAを含む水性溶液(水層)からRNAを単離する方法は、特に限定されないが、例えばRNAを含む水性溶液に水溶性有機溶媒を添加してRNAを単離させた後、ろ過や固相材料に吸着させ、回収することが挙げられる。
ここで、用いられる水溶性有機溶媒としては、1級アルコール、2級アルコール、3級アルコールなどのアルコール類が挙げられ、このうちメタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール及びブタノールが好ましく使用され得る。ブタノールは直鎖状及び分岐状のいずれでもよい。これらのアルコール類は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。環境負荷及び作業者への有毒性を低減する観点からは、エタノールがより好ましい。このとき、該RNAを含む水性溶液と該水溶性有機溶媒との混合液(以下、RNA-溶媒混合液ともいう)における該水溶性有機溶媒の最終濃度(後述する固相材料にロードし、接触させる直前の濃度)は、39体積%以上50体積%以下であればよく、好ましくは40体積%以上46体積%以下であり、より好ましくは41体積%以上45.5体積%以下、さらに好ましくは42体積%以上45体積%以下である。
固相材料を用いたRNAの単離は、例えば、RNA-溶媒混合液を該固相材料に接触させて、該混合液中のRNAを該固相材料に吸着させる。次いで、必要に応じて該固相材料から夾雑物を洗浄した後、該固相材料からRNAを脱離させ回収する。
該固相材料としては、核酸吸着性の固相材料であればよく、例えばシリカベースの固相材料が挙げられる。RNAの吸着性の観点からは、該固相材料は、多孔性のシリカメンブレンを有する固相材料であることが好ましい。夾雑物の洗浄やRNAの溶出の操作を容易にする観点からは、該固相材料は、スピンカラム、カラム付きピペットチューブ、又は遠心チューブもしくはピペットチューブに装着可能なカラムカートリッジの形態であることが好ましく、さらに汚染防止と操作効率の観点からは、スピンカラム又は遠心チューブに装着可能なカラムカートリッジの形態であることがより好ましい。さらに、個々の被験体からSSLを介して採取されるRNAの量が比較的少ないことを考慮すると、該固相材料は、ミニプレップカラムなどの少量のRNAを精製できる形態であることが好ましい。該固相材料には、市販のRNA精製用カラムを用いることができ、その例としては、RNeasy(登録商標)Spin Column(GIAGEN)、NucleoSpin(登録商標) RNA Column(タカラバイオ)等が挙げられる。
該固相材料からの夾雑物の洗浄に用いられる洗浄液としては、水溶性有機溶媒及び水溶性塩の少なくとも1種を含む溶液(例えば水溶液)などを用いることができる。該洗浄液に含まれる水溶性有機溶媒としては、アルコール類を用いることができる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール及びブタノールなどが挙げられる。ブタノールは直鎖状及び分岐状のいずれでもよい。これらアルコールは、複数種類を併用することもできる。中でもエタノールを用いることが好ましい。該洗浄液中に含まれる該水溶性有機溶媒の量は、該固相材料上のRNAを保持し夾雑物を洗浄できる量であればよく、当業者が適宜決定することができるが、30~100体積%が好ましく、35~50体積%がより好ましい。一方、該洗浄液に含まれる水溶性塩は、ハロゲン化物の塩であることが好ましく、中でも塩化物塩が好ましい。また、該水溶性塩は、一価又は二価のカチオン塩であることが好ましく、より好ましくはアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩であり、さらに好ましくはナトリウム塩及びカリウム塩であり、なお好ましくはナトリウム塩である。該水溶性塩が洗浄液中に含まれる場合、その濃度は10mmol/L以上が好ましく、20mmol/L以上がより好ましい。一方、濃度の上限は、不純物の溶解性を損なわない範囲であれば特に問わないが、1mol/L以下が好ましく、0.1mol/L以下がより好ましい。さらに好ましくは、該水溶性塩は塩化ナトリウムであり、その洗浄液中の濃度は20mmol/L以上且つ0.1mol/L以下であると好ましい。
該固相材料からのRNAの脱離は、好ましくは、該固相材料に溶出液を流し、RNAを溶出させることで行われ得る。該RNAの溶出に用いられる溶出液としては、水やTris-EDTA(TE)バッファーなどを用いることができる。該洗浄液及び溶出液には、市販のRNA精製用カラムに付属の洗浄液及び溶出液を用いてもよい。該固相材料の洗浄や溶出は、通常の手順で行うことができる。例えば、該固相材料がスピンカラムに装着されている場合、カラムにRNA-溶媒混合液を通液し、RNAが吸着したカラムに洗浄液を添加し、遠心して洗浄液とともに夾雑物を洗い流す。続いて、カラムに溶出液を添加し、遠心してRNAをカラムから溶出、単離する。
必要に応じて、該RNAが吸着した固相材料をDNaseで処理してもよい。DNase処理により、混入したDNAを除去して回収するRNAの純度を向上させることができる。該DNase処理は、該固相材料の洗浄とRNA溶出との間に行われることが好ましい。
斯くして単離されたRNAは、被験体のSSL由来RNAであり、各種解析に使用することができる。例えば、該SSL由来RNAに含まれるmRNAをOligo(dT)プライマーを用いてcDNAに変換した後、遺伝子発現解析、トランスクリプトーム解析などに用いることができる。あるいは、被験体のSSL由来RNAにおける標的RNAの有無を調べることで、該被験体の機能解析、疾患の診断、該被験体に投与した薬物の効能評価などを行うことができる。
本発明はまた、例示的実施形態として以下を包含する。但し、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
<1>皮膚表上脂質由来RNAの調製方法であって、被験体の皮膚表上脂質からRNAを溶出、分離及び回収するRNA抽出工程において、p-ブロモアニソールを添加する工程を含む、方法。
<2>p-ブロモアニソールの添加が、RNA抽出過程で回収されたRNAを含む水性溶液に対して行われる、<1>の方法。
<3>p-ブロモアニソールが、最終濃度0.1体積%以上1体積%以下、好ましくは0.2体積%以上0.8体積%以下、さらに好ましくは0.3体積%以上0.7体積%以下で、前記水性溶液に添加される、<2>の方法。
<4>RNA抽出工程におけるRNAの溶出、分離及び回収が、フェノール/クロロホルム法又はその変法により行われる、<1>~<3>のいずれかの方法。
<5>さらに、RNA抽出後、回収されたRNAを含む水性溶液に水溶性有機溶媒を混合し、該混合液を固相材料に接触させ、該混合液中のRNAを該固相材料に吸着させてRNAを単離する工程を含む、<1>~<4>のいずれかの方法。
<6>前記水溶性有機溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール及びブタノールからなる群より選択される少なくとも1種である、<5>の方法。
<7>前記固相材料がシリカベースの固相材料である、<5>又は<6>の方法。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1 SSLからのRNA分離
1)健常女性5名を被験者とした。1枚のあぶら取りフィルム(5×8cm、ポリプロピレン製、3Mジャパン)を用いて、洗顔を行い、化粧を施してから2~3時間経過した被験者の全顔から皮脂(SSL)を回収した。なお、SSLは2日連続で採取した。2枚のSSLを含むあぶら取りフィルムをそれぞれ適当な大きさに切断し、1枚分ずつ別々の5mLチューブに入れ、QIAzol(登録商標) Lysis Reagent(QIAGEN)を1.425mLずつ添加し、よく混合してフィルム上の皮脂からRNAを溶出させた。得られた溶出溶液1.3mLを回収し、それぞれにクロロホルム260μLを添加し、よく混合した後、遠心(15,000rpm、4℃、15分間)し、水層(上層)0.715mLずつを、RNAを含む水性溶液として1本のチューブに回収して混合した。
2)上記1)で得た5名分のRNAを含む水性溶液のそれぞれを、2つに分け、片方に終濃度が0.5体積%となる量のp-ブロモアニソールを添加し、よく混合した。室温(15~24℃)で5分静置後、遠心(12,000rpm、4℃、10分間)し、水層(上層)0.7mLをRNAを含む水性溶液として回収した(p-ブロモアニソール処理)。もう一方はp-ブロモアニソールを添加せず、そのまま以降の処理に用いた(従来法)。p-ブロモアニソール処理及び従来法により回収した水性溶液それぞれに、最終エタノール濃度が42.5体積%となる量のエタノールを添加し、混合液を調製した。該混合液の全量をシリカベースカラム(RNeasy(登録商標)spin column;QIAGEN)に通した。その後はRNeasy(登録商標)に付属のプロトコルに準じて、キット付属洗浄液でカラムを洗浄し、次いでRNase-free waterにてRNAを溶出させ、単離したRNAを含む溶出液を回収した。
3)得られた溶出液中のRNA定量は、Agilent 4200 TapeStation system(アジレント・テクノロジー株式会社)にて、High Sensitivity RNA Screen Tape(アジレント・テクノロジー株式会社)及びHigh Sensitivity RNA ScreenTape Sample buffer(アジレント・テクノロジー株式会社)を用いて実施した。
4)上記2)で調製した従来法とp-ブロモアニソール処理それぞれの混合液から回収した溶出液中のRNAの濃度、及び従来法に対するp-ブロモアニソール処理のRNAの相対収量を表1に示す。p-ブロモアニソール処理では、従来法に比べて、RNA収量が向上した。
Figure 2023136356000001
5)上記2)で調製した従来法とp-ブロモアニソール処理の混合液から回収された溶出液中のRNAをテンプレートとし、SuperScript(登録商標)VILO cDNA Synthesis kit(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)を用いて42℃、30分間逆転写を行い、cDNAを合成した。逆転写反応のプライマーには、キットに付属しているランダムプライマーを使用した。得られたcDNAからマルチプレックスPCRにより、20802遺伝子に由来するDNAを含むライブラリーを調製した。マルチプレックスPCRは、Ion AmpliSeq Transcriptome Human Gene Expression Kit(ライフテクノロジーズジャパン株式会社)を用いて、[99℃、2分→(99℃、15秒→60℃、16分)×20サイクル→4℃、Hold]の条件で行った。調製したライブラリーのPCR産物濃度をTapeStation(アジレント・テクノロジー株式会社)とHigh Sensitivity D1000 ScreenTape(アジレント・テクノロジー株式会社)を用いて測定した。
6)上記2)で調製した従来法とp-ブロモアニソール処理それぞれの混合液から調製したライブラリーのPCR産物の濃度、及び従来法に対するp-ブロモアニソール処理のPCR産物の相対収量を表2に示す。p-ブロモアニソール処理では、従来法に比べて、PCR産物収量が向上した。
Figure 2023136356000002

Claims (7)

  1. 皮膚表上脂質由来RNAの調製方法であって、被験体の皮膚表上脂質からRNAを溶出、分離及び回収するRNA抽出工程において、p-ブロモアニソールを添加する工程を含む、方法。
  2. p-ブロモアニソールの添加が、RNA抽出過程で回収されたRNAを含む水性溶液に対して行われる、請求項1記載の方法。
  3. p-ブロモアニソールが、最終濃度0.1体積%以上1体積%以下で、前記水性溶液に添加される、請求項2記載の方法。
  4. RNA抽出工程におけるRNAの溶出、分離及び回収が、フェノール/クロロホルム法又はその変法により行われる、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
  5. さらに、RNA抽出後、回収されたRNAを含む水性溶液に水溶性有機溶媒を混合し、該混合液を固相材料に接触させ、該混合液中のRNAを該固相材料に吸着させてRNAを単離する工程を含む、請求項1~4のいずれか1項記載の方法。
  6. 前記水溶性有機溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール及びブタノールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項5記載の方法。
  7. 前記固相材料がシリカベースの固相材料である、請求項5又は6記載の方法。
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