JP2000125860A - 核酸の単離方法および核酸抽出用組成物 - Google Patents

核酸の単離方法および核酸抽出用組成物

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JP2000125860A JP10227157A JP22715798A JP2000125860A JP 2000125860 A JP2000125860 A JP 2000125860A JP 10227157 A JP10227157 A JP 10227157A JP 22715798 A JP22715798 A JP 22715798A JP 2000125860 A JP2000125860 A JP 2000125860A
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Fumikiyo Kawakami
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Abstract

(57)【要約】 【課題】核酸結合性固相への核酸の吸着を利用して核酸
を精製する方法において、ホウ酸含有物から核酸を効率
良く単離することのできる核酸単離方法及びそれに用い
る組成物を提供する。 【解決手段】ホウ酸含有物から核酸を単離する方法であ
って、(1)核酸を含むホウ酸含有物に糖アルコールを
含有する吸着液および核酸結合性担体を添加する工程、
(2)核酸結合性担体を分離する工程、(3)核酸結合
性担体より核酸を溶離する工程を少なくとも含まれるこ
とを特徴とする核酸の単離方法並びにそれに用いる核酸
抽出用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホウ酸含有物中に
含有される核酸を単離するための試薬組成および方法に
関する。より詳しくは、トリス−ホウ酸−EDTA緩衝
液(以下、TBEという)により調製されたアガロース
ゲルもしくはアクリルアミドゲルなどの電気泳動担体よ
り核酸を単離するための方法および核酸抽出用組成物に
関する。該核酸抽出用組成物は、例えば、TBE緩衝液
にて調製されたアガロースゲルを用いて核酸を電気泳動
した後に、ある特定の核酸断片のみを切り出し、精製す
るためのキットやそのキットを用いた自動核酸抽出装置
にも適用することができるものである。
【0002】
【従来の技術】近年、分子生物学の分野における核酸の
分析方法として、電気泳動法が盛んに用いられている。
特に、アガロースゲルを担体としたアガロースゲル電気
泳動は核酸の分離に適しており、広く行われている。ま
た、アガロースゲルにて分離したある特定のDNA(デ
オキシリボ核酸)断片を泳動後に切り出してそのゲルか
ら核酸を回収し、次の実験に供することも有効な手段と
して研究者の間で盛んに行われている。
【0003】一般的には、フェノール/クロロホルムな
どの有機溶媒によりゲルからの核酸の回収が行われる
が、カオトロピック物質を含む溶液中で、核酸がシリ
カ、ガラスなどに吸着する性質を使用した方法も報告さ
れている〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,76,615 (1979)〕。
この方法は、まずアガロースをヨウ化ナトリウム溶液中
で溶解し、その後シリカ粒子を添加し、核酸を粒子表面
に物理的に吸着させ、余分な成分のみを洗浄した後、低
塩濃度溶液中に核酸を溶出するものであり、フェノール
などの危険な物質を使用しないことが特徴である。
【0004】また、Boomらにより生体材料より同様
な方法を用いて核酸を単離する方法も紹介されている
が、この方法はカオトロピック物質としてグアニジンチ
オシアン酸塩を用いることが特徴である〔J.Clin.Micro
biol.,28(3) 495-503 (1990)〕。この方法は、生体材料
以外の、例えばアガロースゲルなどから核酸を単離する
場合においても有効である。
【0005】一方、核酸をシリカ担体に結合させて精製
する方法においては、TBE緩衝液にて調製したゲルか
らの核酸の回収効率がトリス−酢酸−EDTA緩衝液
(以下、TAEという)にて調製したゲルに比べて極端
に低下することが知られている。これは、TBE緩衝液
中のホウ酸に起因していることは明らかであり、ホウ酸
が核酸と複合体を容易に形成する性質によるものであ
る。TBE緩衝液はTAE緩衝液に比べて緩衝能が強
く、TAE緩衝液より使用されることが多い電気泳動用
緩衝液である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したような理由か
ら、シリカ表面への核酸の吸着を利用して核酸の精製を
行う方法において、TBEゲルからの核酸を回収率を向
上させる方法が求められている。すなわち、本発明の目
的は、核酸結合性固相への核酸の吸着を利用して核酸を
精製する方法において、ホウ酸含有物から核酸を効率良
く単離することのできる核酸単離方法及びそれに用いる
組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記事情
に鑑み、シリカ表面への核酸の吸着を利用して核酸の精
製を行う方法において、TBEアガロースゲル担体など
のホウ酸含有物から核酸を効率よく回収する効果のある
添加剤の検討を行った結果、吸着液にD−グルシトール
(ソルビトール)などの糖アルコールを添加することに
より、ホウ酸の影響を受けにくくなる現象を見出し、本
発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は以下の
ような構成からなる。
【0008】(1)ホウ酸含有物から核酸を単離する方
法であって、核酸を含むホウ酸含有物に糖アルコールを
含有する吸着液および核酸結合性担体を添加する工程、
核酸結合性担体を分離する工程、核酸結合性担体より核
酸を溶離する工程を少なくとも含まれることを特徴とす
る核酸の単離方法。 (2)ホウ酸含有物がゲル状物質である(1)記載の核
酸の単離方法。 (3)吸着液がカオトロピック物質を含有する(1)ま
たは(2)に記載の核酸の単離方法。 (4)糖アルコールがソルビトール(グルシトール)、
マンニトール、キシリトールよりなる群から選ばれた少
なくとも1種である(1)〜(3)のいずれかに記載の
核酸の単離方法。 (5)核酸結合性担体がシリカである(1)〜(4)の
いずれかに記載の核酸の単離方法。 (6)糖アルコールがカオトロピック物質を含有する溶
液中に含まれることを特徴とする(1)〜(5)のいず
れかに記載の核酸の単離方法において用いられる核酸抽
出用組成物。 (7)糖アルコールがソルビトール(グルシトール)、
マンニトール、キシリトールよりなる群から選ばれた少
なくとも1種である(6)記載の核酸抽出用組成物。 (8)カオトロピック物質を含有する溶液中に有機溶媒
が含有される(6)または(7)に記載の核酸抽出用組
成物。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において用いられる糖アル
コールとしては、例えば、ソルビトール(グルシトー
ル)、マンニトール、キシリトール等が挙げられる。な
かでも、ソルビトール(グルシトール)が特に好まし
い。その含有濃度は吸着液1mlあたり10〜80mg
程度が好ましいが、糖アルコールの種類によって多少溶
解度が異なるので、用いる糖アルコールの種類により至
適濃度を見出す必要がある。
【0010】本発明において用いられるカオトロピック
剤としては、例えば、グアニジンチオシアン酸塩、グア
ニジン塩酸塩、ヨウ化ナトリウム等が挙げられる。より
好ましくは、グアニジンチオシアン酸塩を4.0〜5.
2Mの範囲で用いる。また、カオトロピック剤溶液はp
H4〜6の酸性溶液であることが好ましい。さらに、該
カオトロピック剤溶液に、必要に応じてエチレングリコ
ール、エタノール、ベンジルアルコール、アセトニトリ
ル等の有機溶媒を添加することも回収量を上昇させるの
に効果的である。
【0011】本発明の主用途は、アガロースゲル電気泳
動によって分離した核酸を精製することであるが、精製
する際にはアガロースゲルを溶解する必要がある。本発
明において好適に使用されるグアニジンチオシアン酸塩
およびヨウ化ナトリウムはアガロースゲルを溶解する能
力が高いことが知られており、本発明においては特に好
ましいカオトロピック剤である。さらには、グアニジン
チオシアン酸塩溶液は糖アルコールの溶解度も高く、本
発明においてはグアニジンチオシアン酸塩を使用するこ
とが好ましい。
【0012】本発明において用いられる核酸結合性担体
としては、シリカ粒子が挙げられる。好ましくは、二酸
化珪素結晶及び他の珪素酸化物、珪藻土、ガラス粉末、
化学修飾シリカ及びシリカと超常磁性金属酸化物などと
の複合体などからなる。また、本発明の方法は、ラテッ
クス粒子などのシリカ粒子以外の粒子およびフィルタ
ー、カラムなどを用いる方法にも応用可能である。
【0013】本発明の方法は、ホウ酸を含有する物質中
から核酸を単離する方法であって、該物質に糖アルコー
ルを含有するカオトロピック剤溶液および核酸結合性担
体を添加し、必要に応じて洗浄を行い、核酸結合性担体
を分離する工程よりなる核酸の単離方法である。上記洗
浄工程は必ずしも必要ではないが、回収した核酸の用途
によっては、洗浄を行った方が良好な解析結果をもたら
す場合が多い。洗浄は、カオトロピック剤溶液、アルコ
ール溶液などが用いられる。好ましくは、カオトロピッ
ク剤溶液にて洗浄を行った後に、アルコール溶液を用い
て洗浄を行う。これは、残留したアガロースがアルコー
ルに不溶性であるためである。
【0014】洗浄工程で使用されるカオトロピック剤と
しては、例えば、グアニジンチオシアン酸塩、グアニジ
ン塩酸塩、ヨウ化ナトリウム等が挙げられる。好ましく
はグアニジン塩酸塩を使用する。これは、回収した核酸
の吸光度における濃度測定を容易とするためである。チ
オシアン酸は紫外領域に強い吸収を有する。
【0015】洗浄工程で使用される上記アルコール溶液
としては、エタノール溶液もしくはイソプロパノール溶
液が使用される。好ましくは70〜90%エタノール溶
液を使用する。エタノールで洗浄することにより、粒子
表面に残留した塩の成分を除去することができる。エタ
ノールは必要に応じて、乾燥させることにより溶出液へ
の残留を防ぐことが可能である。
【0016】粒子からの核酸の溶出に際しては、低塩濃
度溶液が使用される。該低塩濃度溶液としては、水、低
濃度トリス緩衝液等が好ましい。また、溶出の効率を高
めるために、50〜70℃にて加熱することも効果的で
ある。
【0017】本発明は、TBEアガロースゲル以外に
も、ホウ酸を含有する溶液からの核酸の分離にも応用可
能である。ホウ酸は、構造中に隣接したシス型配置の水
酸基を有する化合物と反応して、負に帯電した錯体を形
成することが知られており、溶液中で核酸中のリボース
もしくはデオキシリボースと何らかの相互作用をしてい
ることが予想される。よって、この溶液に糖などの水酸
基を有する物質を添加することにより、ホウ酸と核酸の
相互作用を低減させることは可能である。
【0018】しかしながら、上述したように、本発明の
特徴は糖アルコールを用いることにある。すなわち、糖
アルコールは、糖のアルデヒド基がアルコール基に置換
したものである。本発明者らの検討により、糖もしくは
糖酸においては効果が低かったことから、糖アルコール
の有する何らかの性質が効果的に作用しているものと考
えられる。特に、グルシトール、キシリトールおよびマ
ンニトールにおいて効果が顕著である。このことは、糖
アルコールの特定の立体構造がホウ酸と核酸の相互作用
の低減効果に大きく影響することを示唆するものであ
る。特に、グルシトール、キシリトールは一部共通の構
造を有しており、OH基の立体配位が重要であることが
示唆される。
【0019】本発明の一実施形態としては、10〜80
mg/mlで糖アルコールを含有するpH4〜6に調整
された4.5〜5.5Mグアニジンチオシアン酸塩水溶
液からなる組成物である。該組成物は、アガロースゲル
の溶解および吸着用溶液として使用されうる。糖アルコ
ールとしては、グルシトール、キシリトール、マンニト
ール等が選択される。
【0020】本発明の方法により単離された核酸は優れ
た純度を有しており、制限酵素反応、ライゲーション反
応、アルカリホスファターゼ反応、シーケンス反応、P
CR、逆転写反応などに用いることができる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を例示することによっ
て、本発明の効果をより具体的に示す。
【0022】実施例1 TBEアガロースゲルからのD
NA断片の回収における糖類の影響 (1)TBE及びTAE緩衝液の調製 TBE緩衝液は、10.8gのトリス(ヒドロキシメチ
ル)アミノメタン〔ナカライテスク製〕、0.75gの
エチレンジアミン四酢酸二水素ナトリウム二水和物〔ナ
カライテスク製〕を1Lの蒸留水に溶解した後、5.5
gのホウ酸〔ナカライテスク製〕を溶解することにより
調製した。TAE緩衝液は4.84gのトリス(ヒドロ
キシメチル)アミノメタン〔ナカライテスク製〕、0.
372gのエチレンジアミン四酢酸二水素ナトリウム二
水和物〔ナカライテスク製〕を1Lの蒸留水に溶解した
後、0.412gの酢酸ナトリウム〔ナカライテスク
製〕を溶解することに溶解することにより調製した。
【0023】(2)アガロースゲルの調製 1gのNuSieve GTGアガロース(FMC社
製)および1gのSeaKem GTGアガロース(F
MC社製)を100mlのTBE緩衝液に懸濁した後、
電子レンジで加温することによりアガロースを溶解させ
た。完全に溶解した後、電気泳動用のゲル作成容器(G
elMate:東洋紡績製)に流し込み、室温にて固化
させた。TAEアガロースゲルも同様に調製した。
【0024】(3)吸着液の調製 6Mグアニジンチオシアン酸塩溶液800μl、2M酢
酸ナトリウム緩衝液(pH5.2)37.5μl、ベン
ジルアルコール418μlおよび糖類粉末35mgを混
合し溶解した。試薬は全てナカライテスク社製のものを
使用した。今回使用した糖類は以下の通りである。 1.D−グルシトール(ソルビトール) 2.D−マンノース 3.D−ガラクシトール(ズルシトール) 4.D−キシリトール 5.D−リビトール 6.D−グルコース 7.D−グルコン酸ナトリウム
【0025】(4)洗浄液の調製 8Mグアジニン塩酸塩溶液700μl、1Mトリス緩衝
液(pH6.4)40μlおよび蒸留水60μlを混合
し、調製した。
【0026】(5) 80%エタノールの調製 エタノール80mlと蒸留水20mlを混合し、調製し
た。
【0027】(6)磁性シリカ溶液 磁性シリカ粒子(粒径1〜10μm、Fe3 4 粒子3
0%含有、比表面積280m2 /g、表面細孔直径2〜
6nm、細孔容積0.025ml/g:鈴木油脂製)
0.25gを5M塩化リチウム溶液1mlに懸濁し調製
した。
【0028】(7)核酸断片の調製 以下の試薬を混合し、PCRによる増幅反応を行い調製
した。 蒸留水:70.2μl 2mM dNTPs:10μl 100μM SKHT primer (GGCCGCTCTAGAACTAGTGGAT
C):0.4μl 100μM T3SK primer(AATTAACCCTCACTAAAGGGAAC):
0.4μl 25mM 塩化マグネシウム溶液:6μl 10×taq polymerase用緩衝液:10μl rTaq polymerase (5U/μl):1μl 1ng/μl pBluescript II SK(+) (Stratagene社
製):2μl
【0029】PCR反応には、Perkin-Elmer社製サーマ
ルサイクラー(GeneAmp PCR System2400 )を用いた。
温度条件としては、94℃(45秒間)、55℃(45
秒間)、72℃(1分間)の条件を30サイクル繰り返
して行なった。この条件により増幅された約120bp
の核酸断片を、PCR増幅産物として以下の実験に使用
した。
【0030】(8)核酸の抽出 2%アガロースゲル75mgを1.5mlマイクロチュ
ーブにはかり取り、PCR増幅産物25μlを添加し
た。次に、100μlの吸着液を添加し、55℃にて約
5分間ゲルが溶解するまで加温した。ゲルが完全に溶解
したことを確認した後、磁性シリカ懸濁液12μlを添
加し、20秒間攪拌した後、40秒間静置し、核酸を磁
性シリカの表面に吸着させた。
【0031】その後、マイクロチューブをMCP磁性ス
タンド(DYNAL社製)に立て、磁性ビーズを分離し
た。上清をピペットにて除去した後、洗浄液を120μ
l添加し、ボルテックスミキサーにて10秒間攪拌し
た。磁気分離を行い、上清を除去した後、80%エタノ
ール溶液450μlを添加し、10秒間攪拌した。この
操作をもう一度繰り返した後、軽く遠心してピペットに
てエタノールを完全に除去した。マイクロチューブの蓋
をあけ、55℃にて約5分間エタノールを完全に蒸発さ
せた後、蒸留水25μlを添加し攪拌した。55℃にて
2分間加温した後、磁気分離を行い、上清を回収した。
今回試した組み合わせは表1に示す通りである。
【0032】
【表1】
【0033】(9)電気泳動解析 回収液9μlと色素液(50%グリセロール、0.25
% Orange G)1μlを混合し、2%TAEア
ガロースゲルにて色素が端に移動されるまで、100V
にて泳動を行った。その後、ゲルをエチジウムブロマイ
ド溶液に約10分間浸し、蒸留水で軽く洗浄した後、U
V照射下で写真撮影を行った(図1)。
【0034】(10)バンドの定量 UV照射下で写真撮影を行った後に、写真画像をPDI
システムにて画像取り込みを行った後、バンド強度の測
定を行った。
【0035】(11)結果 上記結果を表2に示す。回収率は電気泳動のバンド強度
より算出した。
【0036】
【表2】
【0037】糖類無添加の吸着液を用いた場合、TBE
ゲルにおいてはTAEゲルに比べて顕著に回収量が少な
い結果となった。これはTBEゲル中に含まれるホウ酸
の影響であると推察される。
【0038】TBEゲルからの核酸の回収における、吸
着液への糖類の添加の影響についてはD−グルシトール
(ソルビトール)、D−キシリトールおよびマンニトー
ルに効果がみられた。しかし、D−ガラクチトールおよ
びD−リビトールには効果がみられなかった。また、D
−グルシトールと同様の水酸基の配置を有するD−グル
コースおよびD−グルコン酸ナトリウムにも効果がみら
れなかった。このことは、特定の構造を有する糖アルコ
ールのみが効果的であることを示唆している。特に効果
的であったD−グルシトールとD−キシリトールは、部
分的に同様な立体配置を有していることからも裏付けら
れる。なお、吸着液にベンジルアルコールを添加してい
るが、これは糖類の影響を見やすくするためである。
【0039】実施例2 D−グルシトール濃度と回収量
の検討 (1)吸着液の調製 6Mグアニジンチオシアン酸塩溶液800μl、2M酢
酸ナトリウム緩衝液(pH5.2)37.5μl、ベン
ジルアルコール418μlおよびD−グルシトール0、
15、30、60mgをそれぞれ混合し吸着液を調製し
た。試薬は全てナカライテスク社製のものを使用した。
【0040】(2)核酸の抽出 核酸の抽出は実施例1の方法に従って行った。アガロー
スゲルはTBEにて調製したものを75mg使用した。
【0041】(3)電気泳動、バンドの定量 電気泳動、バンドの検出は実施例1の方法に従って行っ
た。UV照射下で写真撮影を行った後に、写真画像をP
DIシステムにて画像取り込みを行った後、バンド強度
の測定を行った。
【0042】(4)結果 結果を図2に示した。グラフよりD−グルシトールの濃
度を増すとDNA断片の回収量の増大が認められた。
【0043】実施例3 TBEアガロースゲル量と糖ア
ルコール添加の効果 (1)吸着液の調製 6Mグアニジンチオシアン酸塩溶液800μl、2M酢
酸ナトリウム緩衝液(pH5.2)37.5μl、D−
グルシトール40mgを混合し溶解した。また、D−グ
ルシトールを含まないものについても調製を行った。試
薬は全てナカライテスク社製のものを使用した。他の試
薬については、実施例1の方法に従って調製した。
【0044】(2)核酸の抽出 2%アガロースゲル(TBE)100、150、200
mgおよびPCR増幅産物25μlを1.5mlマイク
ロチューブにはかり取った。次に、200μlの吸着液
を添加し、55℃にて約5分間ゲルが溶解するまで加温
した。ゲルが完全に溶解したことを確認した後、磁性シ
リカ懸濁液15μlを添加し、約3分間攪拌し核酸を磁
性シリカの表面に吸着させた。その後、マイクロチュー
ブをMCP磁性スタンド(DYNAL社製)に立て、磁
性ビーズを分離した。上清をピペットにて除去した後、
洗浄液を350μl添加し、ボルテックスミキサーにて
10秒間攪拌した。
【0045】磁気分離を行い上清を除去した後、80%
エタノール溶液450μlを添加し、10秒間攪拌し
た。この操作をもう一度繰り返した後、軽く遠心してピ
ペットにてエタノールを完全に除去した。マイクロチュ
ーブの蓋をあけ、55℃にて約5分間エタノールを完全
に蒸発させた後、蒸留水25μlを添加し攪拌した。5
5℃にて2分間加温した後、磁気分離を行い上清を回収
した。
【0046】(3)電気泳動、バンドの定量 電気泳動、バンドの検出は実施例1の方法に従って行っ
た。UV照射下写真撮影を行った後に、写真画像をPD
Iシステムにて画像取り込みを行った後、バンドのシグ
ナル強度の測定を行った。
【0047】(4)結果 上記結果を図3に示した。100mgのアガロースから
の核酸断片の回収においては、D−グルシトール添加の
有無に関わらず同等の回収率であったが、アガロースゲ
ル量が増加するに従い、D−グルシトール無添加の場合
では核酸の回収率が直線的に低下したのに対し、D−グ
ルシトールを添加した場合においては回収率の低下は顕
著ではなかった。このことは、吸着液にD−グルシトー
ルを添加することにより、より多くのホウ酸を含有する
物質からのDNAの回収が可能になることを示してい
る。D−グルシトールを添加しなかった場合は、ホウ酸
の量が増加するに従い、濃度依存的にDNAの回収量が
低下する現象がみられ、ホウ酸の量が許容量を越えると
DNAの回収量の急激な低下が観察されることが確認さ
れた。
【0048】
【発明の効果】上述したように、本発明により核酸をシ
リカ担体に結合させて精製する方法においては、TBE
緩衝液にて調製したゲルからの核酸の回収効率を顕著に
向上させることが可能である。また、本方法の組成物
は、TBE緩衝液にて調製されたアガロースゲルから核
酸を精製するキットおよび、核酸抽出装置などへの適用
が可能である。そして、本発明の方法を用いることによ
り、従来からの方法に比べ、再現性のある確実な結果が
得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 TBEアガロースゲルからの核酸の回収率に
及ぼす吸着液への糖類の添加の影響を示す図である。
【図2】 D−グルシトール濃度とTBEアガロースゲ
ルからのDNAの回収量の関係を示す図である。
【図3】 吸着液へのD−グルシトールの添加の有無と
TBEアガロースゲル量と回収率の関係を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川村 良久 福井県敦賀市東洋町10番24号 東洋紡績株 式会社敦賀バイオ研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホウ酸含有物から核酸を単離する方法で
    あって、(1)核酸を含むホウ酸含有物に糖アルコール
    を含有する吸着液および核酸結合性担体を添加する工
    程、(2)核酸結合性担体を分離する工程、(3)核酸
    結合性担体より核酸を溶離する工程を少なくとも含まれ
    ることを特徴とする核酸の単離方法。
  2. 【請求項2】 ホウ酸含有物がゲル状物質である請求項
    1記載の核酸の単離方法。
  3. 【請求項3】 吸着液がカオトロピック物質を含有する
    請求項1または2に記載の核酸の単離方法。
  4. 【請求項4】 糖アルコールがソルビトール(グルシト
    ール)、マンニトール、キシリトールよりなる群から選
    ばれた少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに
    記載の核酸の単離方法。
  5. 【請求項5】 核酸結合性担体がシリカである請求項1
    〜4のいずれかに記載の核酸の単離方法。
  6. 【請求項6】 糖アルコールがカオトロピック物質を含
    有する溶液中に含まれることを特徴とする請求項1〜5
    のいずれかに記載の核酸の単離方法において用いられる
    核酸抽出用組成物。
  7. 【請求項7】 糖アルコールがソルビトール(グルシト
    ール)、マンニトール、キシリトールよりなる群から選
    ばれた少なくとも1種である請求項6記載の核酸抽出用
    組成物。
  8. 【請求項8】 カオトロピック物質を含有する溶液中に
    有機溶媒が含有される請求項6または7に記載の核酸抽
    出用組成物。
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