JP2023134157A - 水素吸蔵材およびその製造方法 - Google Patents

水素吸蔵材およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023134157A
JP2023134157A JP2022039521A JP2022039521A JP2023134157A JP 2023134157 A JP2023134157 A JP 2023134157A JP 2022039521 A JP2022039521 A JP 2022039521A JP 2022039521 A JP2022039521 A JP 2022039521A JP 2023134157 A JP2023134157 A JP 2023134157A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
storage material
hydrogen storage
hydrogen
gpa
hydride
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022039521A
Other languages
English (en)
Inventor
寛之 齋藤
Hiroyuki Saito
伶那 内海
Reina Utsumi
徹 綿貫
Toru Watanuki
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology
Original Assignee
National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology filed Critical National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology
Priority to JP2022039521A priority Critical patent/JP2023134157A/ja
Publication of JP2023134157A publication Critical patent/JP2023134157A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)

Abstract

【課題】水素を吸蔵または放出するためのコストを削減する【解決手段】本発明の一態様の水素吸蔵材は、組成式でAlxMn1-xHyで表され、上記xが0.1以上かつ0.5以下である水素化物を含む。【選択図】なし

Description

特許法第30条第2項適用申請有り ・ウェブサイトのアドレス https://confit.atlas.jp/guide/event/jim2021autumn/proceedings/list 掲載日 令和3年8月31日 ・研究集会名 日本金属学会2021年秋期(第169回)講演大会 開催場所 オンライン開催 開催日 令和3年9月17日 ・刊行物名 「第62回高圧討論会講演要旨集高圧力の科学と技術 第31巻(2021年)特別号」 発行日 令和3年10月10日 発行所 日本高圧力学会 ・研究集会名 日本高圧力学会第62回高圧討論会 開催場所 アクリエひめじ 開催日 令和3年10月18日
本発明は、水素吸蔵材およびその製造方法に関する。
水素は、多様な一次エネルギー源から様々な方法で製造可能な二次エネルギーである。水素を用いたエネルギーシステムは、高いエネルギー効率、低い環境負荷等の効果を期待できることから、将来的に実用化(商業化)が期待されている。
水素の体積当たりのエネルギー密度は、天然ガスの1/3程度と低い。そのため、水素を輸送および貯蔵する際には、水素の高密度化が求められる。水素吸蔵合金は、合金表面にて水素分子を解離させて、該合金内に水素を原子状に蓄えることができる。例えば、特許文献1には、組成式で、AlMn1-x(xは0.70以上0.80以下)、または、AlMn1-y(yは0.60以上0.70以下)で示される水素吸蔵材が開示されている。
特開2019-199640号公報
ここで、水素吸蔵材では、水素を吸蔵するためのコストを削減するために、水素を吸蔵するための圧力を低くすることが求められている。また、吸蔵した水素を放出して回収するためのコストを削減するために、吸蔵した水素を放出させるための温度をより低くすることが求められている。
本発明の一態様は、水素を吸蔵または放出するためのコストを削減することができる水素吸蔵材およびその製造方法を実現することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る水素吸蔵材は、組成式でAlMn1-xで表され、前記xが0.1以上かつ0.5以下である水素化物を含む。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る水素吸蔵材の製造方法は、原子比でMnの量がAlの量に対して1~9倍となるようにAlおよびMnを秤量し、秤量したAlとMnとを混合して混合物を作製する混合物作製工程と、前記混合物を0.5GPa~2GPaの圧力、1000℃~1100℃の温度で固相反応させてAl-Mn合金を作製する固相反応工程と、前記Al-Mn合金を0.5GPa~10GPaの圧力下で水素化させる水素化工程と、を含む。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る水素吸蔵材の製造方法は、原子比でMnの量がAlの量に対して1~9倍となるようにAlおよびMnを秤量し、秤量したAlとMnとを混合して混合物を作製する混合物作製工程と、前記混合物を2000℃~3000℃の温度でアーク溶解させてAl-Mn合金を作製するアーク溶解工程と、前記Al-Mn合金を0.5GPa~10GPaの圧力下で水素化させる水素化工程と、を含む。
本発明の一態様によれば、水素を吸蔵または放出するためのコストを削減することができる。
本発明の実施例1の水素吸蔵材に対して行ったXRD測定によって得られたプロファイルである。 実施例1の水素吸蔵材に対して行った水素放出実験の結果を示すグラフである。 本発明の実施例2の水素吸蔵材に対して行ったXRD測定によって得られたプロファイルである。 実施例2の水素吸蔵材に対して行った水素放出実験の結果を示すグラフである。 本発明の実施例3の水素吸蔵材に対して行ったXRD測定によって得られたプロファイルである。 実施例3の水素吸蔵材に対して行った水素放出実験の結果を示すグラフである。 本発明の実施例4の水素吸蔵材に対して行ったXRD測定によって得られたプロファイルである。 実施例4の水素吸蔵材に対して行った水素放出実験の結果を示すグラフである。 本発明の実施例5の水素吸蔵材に対して行ったXRD測定によって得られたプロファイルである。 実施例5の水素吸蔵材に対して行った水素放出実験の結果を示すグラフである。 本発明の実施例6の水素吸蔵材に対して行ったXRD測定によって得られたプロファイルである。 実施例6の水素吸蔵材に対して行った水素放出実験の結果を示すグラフである。 実施例1~6の水素吸蔵材、AlMnH、およびMnHについて、出発材料のAlとMnとの原子比率をAl:Mn=x:1-xとしたときのxの値を横軸とし、水素放出温度を縦軸としてプロットしたグラフである。
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。なお、以下の記載は発明の趣旨をより良く理解させるためのものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上B以下」を意味する。
以下の説明においては、本発明の実施形態における水素吸蔵材等の説明に先立って、本発明の知見について概略的に説明する。本発明者らは、組成式でAlMn1-xで表され、上記xが0.1以上かつ0.5以下である水素化物を新たに発見した。そして、本発明者らは、当該水素化物が、AlMn1-xで表され、上記xが0.5よりも大きい水素化物に比べて、水素を放出する温度が低い、または、低い圧力で水素化させることができるという知見を得て本発明を完成させた。以下に、本発明の水素吸蔵材について詳細に説明する。
本実施形態における水素吸蔵材は、組成式でAlMn1-xで表され、上記xが0.1以上かつ0.5以下である水素化物(以下では、Al-Mn水素化物と称する)を含む。なお、本発明の一態様の水素吸蔵材は、上記Al-Mn水素化物のみによって構成されてもよい。本発明のAl-Mn水素化物は、以下に説明するように、hcp(hexagonal close packed)構造またはfcc(face centered cubic)構造であってもよい。
<hcp構造>
本発明の一態様の上記Al-Mn水素化物は、hcp構造であってもよい。以下の説明では、hcp構造であるAl-Mn水素化物をhcp構造水素化物と称して説明する。hcp構造水素化物は、当該hcp構造水素化物から水素を放出する温度(以下では水素放出温度とも称する)が175℃以下である。当該水素放出温度は、特許文献1に開示された水素吸蔵材の水素放出温度である約190℃を下回っており、水素を放出するためのコストを削減させることができる。なお、本明細書において、「水素放出温度」を、水素を吸蔵した水素吸蔵材を室温から所定の昇温速度で昇温させたときに、水素の放出量がピークとなる温度として定義する。
本発明の一態様のhcp構造水素化物では、上記xが0.1以上かつ0.2以下であってもよい。この場合、水素放出温度が125℃以下になるため、水素を放出するためのコストをさらに削減させることができる。
<fcc構造>
本発明の一態様の上記Al-Mn水素化物は、fcc構造であってもよい。以下の説明では、fcc構造であるAl-Mn水素化物をfcc構造水素化物と称して説明する。fcc構造水素化物は、下記で説明するAl-Mn合金に水素を吸蔵させてAl-Mn水素化物を生成するための圧力(以下では水素吸蔵圧力とも称する)を0.5~3GPaとすることができる。当該水素吸蔵圧力は、特許文献1に開示された水素吸蔵材における水素吸蔵圧力である約5GPaを下回っており、水素を吸蔵させるためのコストを削減させることができる。
(Al-Mn水素化物の製造方法)
次に、本実施形態におけるAl-Mn水素化物の製造方法について説明する。本実施形態におけるAl-Mn水素化物は、混合物作製工程と、Al-Mn合金作製工程と、水素化工程とを含む。
混合物作製工程では、まず、原子比でMnの量がAlの量に対して1~9倍となるようにAlおよびMnを秤量する。その後、秤量したAlとMnとを混合し、混合物を作製する。AlとMnとの混合方法は、特に限定されるものではなく、例えば、乳鉢を用いて混合してもよい。
Al-Mn合金作製工程は、混合物作製工程で作製したAlとMnとの混合物を合金化させてAlとMnとの合金(以下では、Al-Mn合金と称する)を作製する工程である。AlとMnとの混合物を合金化させる方法は、高圧固相反応法(固相反応工程)またはアーク溶解法(アーク溶解工程)のいずれかの方法によって行うことができる。
高圧固相反応法は、高温かつ高圧の条件下で混合物を固相反応させて、混合物を合金化する方法である。本実施形態では、0.5GPa~2GPaの圧力、1000℃~1100℃の温度でAlとMnとの混合物を固相反応させることにより、Al-Mn合金を作製することができる。固相反応させる時間は、3分~1時間とすることができる。固相反応は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
アーク溶解法は、アーク溶解炉を用いて混合物を高温に加熱することにより混合物を溶解させ、溶融体を急冷することにより、混合物を合金化する方法である。本実施形態では、2000℃~3000℃の温度でAlおよびMnを溶解させ、溶融体を急冷することにより、Al-Mn合金を作製することができる。なお、AlとMnとを十分に合金化させるために、上記工程を複数回行ってもよい。また、アーク溶解は、アルゴンガス雰囲気下で行うことが好ましい。
水素化工程は、Al-Mn合金作製工程において作製したAl-Mn合金に水素を吸蔵させてAl-Mn合金を水素化させることにより、上記Al-Mn水素化物を作製する工程である。
本研究者らは、水素化工程における圧力によって、得られるAl-Mn水素化物の構造が変化することを見出した。具体的には、Al-Mn合金を6GPa~10GPaの圧力で水素化させた場合、hcp構造のAl-Mn水素化物(すなわち、hcp構造水素化物)が得られ、0.5GPa~3GPaの圧力で水素化させた場合、fcc構造のAl-Mn水素化物(すなわち、fcc構造水素化物)が得られる。水素化処理は、650℃~800℃の温度で行うことが好ましい。また、水素化処理を行う時間は、特に限定されるものではないが、例えば、1時間~15時間とすることができる。
なお、上記xが0.5のAl-Mn合金を9GPa~10GPaの圧力で水素化させた場合には、後述する実施例において説明するように、構造が未知の水素化物が得られる。以降では、当該構造が未知の水素化物を未知構造水素化物と称する。未知構造水素化物は、MoをX線源とするXRD測定によって得られるプロファイルにおいて、少なくとも2θ=14.4°~14.6°、16.9°~17.1°、20.5°~20.7°、31.8°~32.0°のいずれかの位置にピークを有する。未知構造水素化物の水素放出温度は、hcp構造水素化物と同様に、特許文献1に開示された水素吸蔵材における水素放出温度である約190℃を下回っている。
以上のように、本発明の水素吸蔵材は、組成式でAlMn1-xで表され、上記xが0.1以上かつ0.5以下である水素化物を含む。これにより、特許文献1に開示された水素吸蔵材よりも水素放出温度が低くなっている、または、特許文献1に開示された水素吸蔵材よりも水素吸蔵圧力が低くなっている。その結果、本発明の水素吸蔵材は、水素を吸蔵または放出するためのコストを削減することができる。なお、上記xが0.1未満の場合、水素放出温度が高くなってしまうため好ましくない。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の一実施例について以下に説明する。本実施例では、以下に示す実施例1~6の水素吸蔵材を作製した。
(実施例1)
実施例1の水素吸蔵材は、以下のようにして作製した。まず、AlおよびMnの粉末を原子比でAl:Mn=3:7となるように秤量し、乳鉢を用いて混合した。混合した混合物を、圧力1GPa、1050℃の条件で固相反応させ、常温常圧下に取り出すことにより、Al-Mn合金を作製した。作製したAl-Mn合金をキュービックアンビル型高圧装置にセットし、圧力9GPa、750℃の条件で約2時間水素化し、その後室温まで冷却した後に常圧まで減圧することにより実施例1の水素吸蔵材を作製した。実施例1の水素吸蔵材は、組成式でAlMn1-xで表され、xが0.3の水素化物である。
実施例1の水素吸蔵材に対して、MoをX線源としてXRD測定を行った。XRD測定によって得られたプロファイルを図1に示す。図1に示すように、実施例1の水素吸蔵材は、XRDプロファイル上に現れたブラッグピークが格子体積v=26.47Åのhcp構造のユニットセルで指数付けが可能であった。すなわち、実施例1の水素吸蔵材は、hcp構造のAl-Mn水素化物を含んでいた。
次に、実施例1の水素吸蔵材を常圧下で加熱することにより水素を放出する温度を確認する水素放出実験を行った。水素放出実験は、熱天秤-質量分析装置を用いて、試料をHeフロー雰囲気で室温から昇温速度10℃/分で加熱することにより行った。実施例1の水素吸蔵材に対して行った水素放出実験の結果を図2に示す。図2において、縦軸としてのH イオン強度は、水素吸蔵材から放出される水素量に相当する。図2に示すように実施例1の水素吸蔵材は、水素放出温度が約171℃であった。また、実施例1の水素吸蔵材は、熱天秤を用いた水素放出時の重量減少量測定の結果から算出した結果、吸蔵水素量が1.09wt%であった。
(実施例2)
実施例2の水素吸蔵材は、出発材料のAlとMnとの原子比率をAl:Mn=2:8とした以外は、実施例1の水素吸蔵材と同様にして作製した。実施例2の水素吸蔵材は、組成式でAlMn1-xで表され、xが0.2の水素化物である。
図3は、実施例2の水素吸蔵材に対して実施例1と同様の方法で行ったXRD測定によって得られたプロファイルである。図3に示すように、実施例2の水素吸蔵材は、XRDプロファイル上に現れたブラッグピークが格子体積v=27.27Åのhcp構造のユニットセルで指数付けが可能であった。すなわち、実施例2の水素吸蔵材は、hcp構造のAl-Mn水素化物を含んでいた。
図4は、実施例2の水素吸蔵材に対して実施例1と同様の方法で行った水素放出実験の結果を示すグラフである。図4に示すように、実施例2の水素吸蔵材の水素放出温度は125℃であった。また、実施例2の水素吸蔵材は、熱天秤を用いた水素放出時の重量減少量測定の結果から算出した結果、吸蔵水素量が0.76wt%であった。
(実施例3)
実施例3の水素吸蔵材は、出発材料のAlとMnとの原子比率をAl:Mn=1:9とした以外は、実施例1の水素吸蔵材と同様にして作製した。実施例3の水素吸蔵材は、組成式でAlMn1-xで表され、xが0.1の水素化物である。
図5は、実施例3の水素吸蔵材に対して実施例1と同様の方法で行ったXRD測定によって得られたプロファイルである。図5に示すように、実施例3の水素吸蔵材は、XRDプロファイル上に現れたブラッグピークが格子体積v=26.56Åのhcp構造のユニットセルで指数付けが可能であった。すなわち、実施例3の水素吸蔵材は、hcp構造のAl-Mn水素化物を含んでいた。
図6は、実施例3の水素吸蔵材に対して実施例1と同様の方法で行った水素放出実験の結果を示すグラフである。図6に示すように、実施例3の水素吸蔵材の水素放出温度は95℃であった。また、実施例3の水素吸蔵材は、熱天秤を用いた水素放出時の重量減少量測定の結果から算出した結果、吸蔵水素量が0.98wt%であった。
(実施例4)
実施例4の水素吸蔵材は、出発材料のAlとMnとの原子比率をAl:Mn=4:6とした以外は、実施例1の水素吸蔵材と同様にして作製した。実施例4の水素吸蔵材は、組成式でAlMn1-xで表され、xが0.4の水素化物である。
図7は、実施例4の水素吸蔵材に対して実施例1と同様の方法で行ったXRD測定によって得られたプロファイルである。図7に示すように、実施例4の水素吸蔵材は、XRDプロファイル上に現れたブラッグピークが格子体積v=27.39Åのhcp構造のユニットセルで指数付けが可能であった。すなわち、実施例4の水素吸蔵材は、hcp構造のAl-Mn水素化物を含んでいた。
図8は、実施例4の水素吸蔵材に対して実施例1と同様の方法で行った水素放出実験の結果を示すグラフである。図8に示すように、実施例4の水素吸蔵材の水素放出温度は157℃であった。
(実施例5)
実施例5の水素吸蔵材は、以下のようにして作製した。まず、AlおよびMnの小片を原子比で3:7となるように秤量して混合した。混合した混合物を、アーク溶解炉を用いて2000℃以上まで加熱し溶融させ溶融体を作製し、その後、溶融体を急冷した。溶融および急冷の一連の操作を4回繰り返すことにより、Al-Mn合金のインゴットを作製した。作製したインゴットをメノウ乳鉢ですりつぶして粉末化し、得られた粉末を直径1mm、高さ0.4mmのペレットに整形した。その後、作製したペレットをキュービックアンビル型高圧装置にセットし、圧力1GPa、温度750℃の条件で約1時間水素化し、その後室温まで冷却した後に常圧まで減圧することにより実施例5の水素吸蔵材を作製した。実施例5の水素吸蔵材は、組成式でAlMn1-xで表され、xが0.3の水素化物である。
図9は、実施例5の水素吸蔵材に対して、大型放射光施設SPring-8 BL14B1において白色X線を用いたエネルギー分散法により測定されたデータのX軸を、Mo線源を用いて測定した場合の回折角2θに変換して示したプロファイルである。図9に示すように、実施例5の水素吸蔵材は、fcc構造であった。
図10は、実施例5の水素吸蔵材に対して実施例1と同様の方法で行った水素放出実験の結果を示すグラフである。図10に示すように、実施例5の水素吸蔵材は、241℃および285℃において水素放出量のピークが見られた。
(実施例6)
実施例6の水素吸蔵材は、出発材料のAlとMnとの原子比率をAl:Mn=1:1とした点、および、圧力9GPa、温度750℃の条件で約14時間水素化した点を除いて、実施例5の水素吸蔵材と同様にして作製した。実施例1の水素吸蔵材は、組成式でAlMn1-xで表され、xが0.5の水素化物である。
図11は、実施例6の水素吸蔵材に対して実施例5と同様の方法で行ったXRD測定によって得られたプロファイルである。なお、図11には、ペレット形状の実施例6の水素吸蔵材に対して測定位置を変えてXRD測定を行った結果を示している。具体的には、図11において(a)~(e)として示しているプロファイルは、ペレット形状の一方の底面からの距離がそれぞれ0mm、0.15mm、0.20mm、0.25mm、0.35mmの測定位置でXRD測定を行うことによって得られたプロファイルである。
図11に示すように、実施例6の水素吸蔵材では、既知のAl-Mn水素化物であるAlMnH由来のブラッグピーク、および、水素を含まない合金相であるAl0.45Mn0.55由来のブラッグピークに加え、図11に丸印で示す位置に構造が未知の物質由来のブラッグピークが観察された。特に、図11に(a)~(e)として示すすべてのプロファイルにおいて、2θ=14.4°~14.6°の位置に、構造が未知の物質由来のブラッグピークが観察された。
図12は、実施例6の水素吸蔵材に対して実施例1と同様の方法で行った水素放出実験の結果を示すグラフである。図12に示すように、実施例6の水素吸蔵材は、約180℃において水素放出量のピークが見られた。
図13は、実施例1~6の水素吸蔵材、従来公知の水素吸蔵材であるAlMnH、およびマンガン水素化物MnHについて、出発材料のAlとMnとの原子比率をAl:Mn=x:1-xとしたときのxの値を横軸とし、水素放出温度を縦軸としてプロットしたグラフである。なお、図13では、実施例5の水素吸蔵材の水素放出温度を241℃としてプロットしている。図13に示すように、9GPaの圧力で水素化させた実施例1~4および6の水素吸蔵材は、従来公知のAlMnHに比べて水素放出温度が低かった。特に、上記xの値が0.2である実施例2の水素吸蔵材、および、上記xの値が0.1である実施例3の水素吸蔵材では、水素放出温度が130℃以下であった。

Claims (8)

  1. 組成式でAlMn1-xで表され、前記xが0.1以上かつ0.5以下である水素化物を含む、水素吸蔵材。
  2. 前記水素化物は、hcp構造である、請求項1に記載の水素吸蔵材。
  3. 前記xが0.1以上かつ0.2以下である、請求項2に記載の水素吸蔵材。
  4. 前記水素化物は、fcc構造である、請求項1に記載の水素吸蔵材。
  5. 原子比でMnの量がAlの量に対して1~9倍となるようにAlおよびMnを秤量し、秤量したAlとMnとを混合して混合物を作製する混合物作製工程と、
    前記混合物を0.5GPa~2GPaの圧力、1000℃~1100℃の温度で固相反応させてAl-Mn合金を作製する固相反応工程と、
    前記Al-Mn合金を0.5GPa~10GPaの圧力下で水素化させる水素化工程と、を含む水素吸蔵材の製造方法。
  6. 原子比でMnの量がAlの量に対して1~9倍となるようにAlおよびMnを秤量し、秤量したAlとMnとを混合して混合物を作製する混合物作製工程と、
    前記混合物を2000℃~3000℃の温度でアーク溶解させてAl-Mn合金を作製するアーク溶解工程と、
    前記Al-Mn合金を0.5GPa~10GPaの圧力下で水素化させる水素化工程と、を含む水素吸蔵材の製造方法。
  7. 前記水素化工程において、6GPa~10GPaの圧力で水素化させる、請求項5または6に記載の水素吸蔵材の製造方法。
  8. 前記水素化工程において、0.5GPa~3GPaの圧力で水素化させる、請求項5または6に記載の水素吸蔵材の製造方法。
JP2022039521A 2022-03-14 2022-03-14 水素吸蔵材およびその製造方法 Pending JP2023134157A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022039521A JP2023134157A (ja) 2022-03-14 2022-03-14 水素吸蔵材およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022039521A JP2023134157A (ja) 2022-03-14 2022-03-14 水素吸蔵材およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023134157A true JP2023134157A (ja) 2023-09-27

Family

ID=88143681

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022039521A Pending JP2023134157A (ja) 2022-03-14 2022-03-14 水素吸蔵材およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023134157A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Lin et al. Recent advances in metastable alloys for hydrogen storage: a review
KR100922512B1 (ko) 수소 저장 조성물의 제조방법
KR100904403B1 (ko) 스캐폴드된 보라잔-리튬 하이드리드 수소 저장 물질
Puszkiel et al. Thermodynamic and kinetic studies of Mg–Fe–H after mechanical milling followed by sintering
CN113106296B (zh) 一种适用于固态储氢的稀土系金属氢化物储氢合金及其制备方法
CN112877567B (zh) 一种适用于低压固态储氢的储氢合金及其制备方法
CN112779439A (zh) 一种掺杂V改善ZrCo储氢合金性能的储氢材料及其制备方法
CN110629091B (zh) 一种燃料电池用高容量多相贮氢合金及其制备方法
Kim et al. Hydrogen sorption behaviour of Mg-5wt.% La alloys after the initial hydrogen absorption process
Ha et al. Hydrogen occupation in Ti4M2Oy compounds (M= Fe, Co, Ni, Cu, and y= 0, 1) and their hydrogen storage characteristics
JP2021032712A (ja) 中性子遮蔽材とその製造方法
US8163267B1 (en) Method of synthesizing magnesium-cobalt pentahydride
CN108097947B (zh) 一种高容量Mg-Zn-Ni三元贮氢合金及其制备方法
Zhang et al. Preliminary assessment of high-entropy alloys for tritium storage
JP2023134157A (ja) 水素吸蔵材およびその製造方法
CA2804615C (en) Method for preparing a material for storing hydrogen, including an extreme plastic deformation operation
CN111485165A (zh) 一种钇-钪-铁合金材料、钇-钛-钪-铁合金材料、制备方法及应用
CN113881880A (zh) 一种掺杂氟化物的高容量Gd-Mg-Ni基复合储氢材料及其制备方法
US4349527A (en) Iron-titanium-niobium alloy
US11802045B1 (en) Hydrided moderators for nuclear reactors
JP7207685B2 (ja) 水素吸蔵材、水素化水素吸蔵材の製造方法および水素吸蔵合金の製造方法
CN114672740B (zh) 钇-铁基储氢合金、电池及制备方法
JP7439316B1 (ja) ニッケル水素電池負極用水素吸蔵合金粉末
Myakush et al. Sorption and desorption of hydrogen in the alloys based on the ErNi 2 compound
Czub et al. Synthesis and Hydrogenation of the Ti45− xVxZr38Ni17 (5≤ x≤ 40) Mechanically Alloyed Materials. Energies 2023, 16, 5857

Legal Events

Date Code Title Description
A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20220411