JP2023132661A - 全熱交換素子用透湿フィルム及び全熱交換素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、全熱交換器用の全熱交換素子を構成するための仕切板である全熱交換素子用透湿フィルムにおいて、高い耐湿性と透湿性と気体遮蔽性を有し、透湿樹脂層同士のブロッキングのない全熱交換素子用透湿フィルムを提供することである。【解決手段】透湿樹脂層にウレタン樹脂と酢酸セルロース微粒子を含有することを特徴とする全熱交換素子用透湿フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ビル、事務所、店舗、住居等で、快適な空間を維持するために、室内に新鮮な外気を供給すると共に、室内の汚れた空気を排出する全熱交換器に搭載される、顕熱(温度)と潜熱(湿度)の交換を同時に行う全熱交換素子と、全熱交換素子の仕切板に使用される全熱交換素子用透湿フィルムに関するものである。
室内の空調において、冷暖房効率に優れた換気方法として、新鮮な外気を供給する給気流と室内の汚れた空気を排出する排気流との間で、温度(顕熱)と共に湿度(潜熱)の交換も同時に行う全熱交換がよく知られている。
全熱交換素子には、直交流型全熱交換素子と対向流型全熱交換素子があり、全熱交換用紙や全熱交換素子用透湿フィルムを加工して作製される。いずれの全熱交換素子も専用の機械を用いて作製されるが、共に、給気流が通される給気層と、排気流が通される排気層とが、透湿性を有する仕切板を介して交互に積層された積層体で構成されている。それぞれの流路には、所定の間隔を置いて配置される仕切板の間隔を保持するための間隔板が形成されている。一般的に、この間隔板としては、直交流型全熱交換素子の場合はコルゲート加工した紙製の波形の間隔板が使用され、対向流型全熱交換素子の場合は射出成型などで作製した樹脂枠が用いられる。給気流が給気流路により導かれる方向と、排気流が排気流路により導かれる方向は、直交流型全熱交換素子の場合は互いに直交しており、対向流型全熱交換素子の場合は互いに対向している。
これまでの全熱交換素子に用いる仕切板は、多孔質系素材を用いているため、例えば、二酸化炭素などの汚れた気体成分の通気性も有していて、全熱交換する際に、給気流と排気流が全熱交換素子内部で混合し、換気の効率が低下するという欠点を有していた。この給気流と排気流の混合は、全熱交換器にとっては、致命的な欠陥である。給気流と排気流が混合する全熱交換器では、室内外の空気をエネルギーで回収しながら交換しているのではなく、ただ単に室内の汚れた空気をかき回しているだけという評価になりかねない。このように、室内外の空気が混合しているようでは、換気の目的が果たせず、全熱交換器として全く機能しなくなる。
また、全熱交換器の普及に伴い、様々な場所や環境下に、全熱交換器が設置されるようになってきた。給気流と排気流との温度差や湿度差が小さい場合には問題ないが、例えば、外気の温度が低い寒冷地の結露が起こりやすい環境下や室内の湿度が高い浴室などの給気流と排気流との温度差や湿度差が大きい環境下では、全熱交換を行うに際し、仕切板が高湿度の条件に曝される場合がある。このような状態が続くと、仕切板は、多量の水分を保持することができなくなり、仕切板から水が滴下する、いわゆる「水垂れ」が発生する場合がある。水垂れを発生した場合、吸湿剤の種類によっては、補強材として使用している金属製の外枠に錆が発生するおそれがある。また、水垂れが継続する場合は、全熱交換素子が型崩れを起こし、全熱交換器として全く機能しなくなるおそれがある。
また、全熱交換素子用透湿フィルムを製造する際及び全熱交換素子用フィルムを加工して全熱交換素子用透湿フィルムを含有する全熱交換素子を製造する際に、透湿樹脂層に粘着性がある場合、全熱交換素子用透湿フィルム同士でのブロッキングが発生する場合がある。ブロッキングが発生した場合、全熱交換素子用透湿フィルムの加工時にロスが出る可能性があり、経済的に好ましくない。
このような理由から、全熱交換素子を作製する場合に、給気流と排気流が混合し難く(すなわち、気体遮蔽性に優れ)、水垂れが発生しに難く、耐湿性に優れ、高い透湿性を有する優れた仕切板が求められている。このような要望に対し、ポリオレフィン微多孔膜からなり、微多孔膜の空孔内に親水性樹脂化合物を担持するための複合膜用基材(例えば、特許文献1)が開示されている。しかし、特許文献1の技術では、基材をそのまま使用すると遮蔽性がなく、十分な交換効率が得られず、親水性樹脂化合物を担持すると、ある程度の遮蔽性は得られるものの、透湿性が低くなり、十分な交換効率が得られなかった。
また、両側に引っ張ることで多くの貫通孔を形成した合成樹脂製フィルム機材と、この合成樹脂製フィルム機材の貫通孔部分に充填された親水性高分子化合物とを備えた全熱交換素子用フィルム(例えば、特許文献2)が開示されている。しかし、特許文献2の技術では、遮蔽性は得られても、高い透湿性を得ることができず、十分な交換効率を得ることはできなかった。
また、ポリエチレンを含むポリオレフィン微多孔膜からなり、水蒸気透過量と耐水圧を規定した透水防水膜(例えば、特許文献3)が開示されている。しかし、特許文献3の技術では、遮蔽性と透湿性を両立するには改善の余地があった。
また、仕切板が、防水性、気体透過性、及び非水溶性を有する第1及び第3層と、これらの層に挟まれた第2層が気体透過性及び水蒸気透過性を有する接着剤を含む全熱交換素子(例えば、特許文献4)が開示されている。しかし、特許文献4の技術では、十分な透湿性と耐湿性が得られず、実際の製造においては経済的に不利なものであった。
特開2018-90821号公報 特開2014-66474号公報 特開2014-61505号公報 国際公開第2012/056506号パンフレット
本発明の課題は、全熱交換器用の全熱交換素子を構成するための仕切板である全熱交換素子用透湿フィルムにおいて、高い透湿性と気体遮蔽性と耐湿性を有し、透湿樹脂層同士のブロッキングのない全熱交換素子用透湿フィルムを提供し、該全熱交換素子用透湿フィルムを含有する全熱交換素子を提供することである。
本発明に係る課題は、下記手段によって解決することができる。
(1)ウレタン樹脂と酢酸セルロース微粒子とを含有する透湿樹脂層を含むことを特徴とする全熱交換素子用透湿フィルム。
(2)上記(1)に記載の全熱交換素子用透湿フィルムを含有する全熱交換素子。
本発明の全熱交換素子用透湿フィルムは、ウレタン樹脂と酢酸セルロース微粒子とを含有する透湿樹脂層を含むことを特徴とする全熱交換素子用透湿フィルムである。本発明によれば、高い透湿性と気体遮蔽性と耐湿性を有し、透湿樹脂層同士のブロッキングのない全熱交換素子用透湿フィルムを提供し、該全熱交換素子用透湿フィルムを含有する全熱交換素子を提供することができる。
以下、本発明の全熱交換素子用透湿フィルムについて詳細に説明する。
本発明において、透湿樹脂層を設ける支持体は特に制限はないが、ポリオレフィン微多孔膜を用いることが好ましい。ポリオレフィン微多孔膜は、ポリオレフィンを含んで構成された微多孔膜である。ここで、微多孔膜とは、内部に多数の微孔を有し、これら微孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体又は液体が通過可能となっている膜を意味する。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテンなどの単独重合体又は共重合体、これらの1種以上の混合体が挙げられる。この中でも、特にポリエチレン又はポリプロピレンが好ましい。ポリオレフィン微多孔膜の全質量に対して、ポリオレフィンは90質量%以上含まれていることが好ましい。ポリオレフィン微多孔膜には、ポリオレフィン以外の成分として、本発明の効果に影響を与えない範囲で、有機フィラー、無機フィラー、界面活性剤などの添加物を含ませても良い。
本発明において、ポリオレフィン微多孔膜の厚みは、特に制限はない。該厚みは、5μm~30μmが好ましく、10μm~20μmがより好ましい。該厚みが5μmより薄い場合は力学的強度が得られず、実機での加工で問題を生じる場合がある。該厚みが30μmより厚い場合は、透湿度が低下する場合がある。また、ポリオレフィン微多孔膜の空隙率についても特に制限はない。該空隙率は、30%~70%が好ましく、40%~60%がより好ましい。該空隙率が30%より低い場合、十分な透湿性を得ることができない場合がある。該空隙率が70%より高い場合、機械的強度が低下する場合がある。また、ポリオレフィン微多孔膜の平均孔径についても特に制限はない。該平均孔径は、10nm~500nmが好ましく、50nm~200nmがより好ましい。該平均孔径が10nmより小さい場合、十分な透湿性を得ることができない場合がある。該平均孔径が500nmより大きい場合、機械的強度が低下する場合がある。
本発明において、ポリオレフィン微多孔膜を得る方法は、公知の手法を用いることができ、特に限定されない。具体的な製造法の一例を以下に示す。まず、所定量のポリオレフィン系樹脂及び可塑剤に、必要に応じて、無機フィラー又は有機フィラー、各種添加剤を加えた原材料を混合機により攪拌、混合し、原料組成物を得る。次に、この原料組成物を先端にTダイを取り付けた二軸押出機に投入し、加熱溶融・混練しながらシート状に押し出し、フィルム状物を得る。次に、このフィルム状物を、適当な抽出溶剤中に浸漬し、可塑剤を抽出除去し乾燥する。次に、乾燥したフィルム状物を、少なくとも一軸方向に延伸し、所定厚さの膜に成型することで、膜全体に均一かつ微細で複雑に入り組んだ複雑な経路を有する無数の連通孔が形成されたポリオレフィン微多孔膜を得ることができる。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン及びポリメチルペンテンを含む群から選ばれる重合体の単独重合体、共重合体又は混合体が挙げられる。この中でも、特にポリエチレン及びポリプロピレンを含む群から選ばれる重合体の単独重合体、共重合体又は混合体が好ましい。また、ポリオレフィン微多孔膜は、2層以上の膜であっても良く、各層のポリオレフィン系樹脂は同一であっても良いし、異なっていても良い。
可塑剤としては、ポリオレフィン系樹脂の可塑剤となり得る材料を選択することが好ましく、ポリオレフィン系樹脂と相溶性を有し各種溶剤等で容易に抽出できる各種有機液状体が使用でき、具体的には、飽和炭化水素(パラフィン)からなる工業用潤滑油等の鉱物オイル、ステアリルアルコール等の高級アルコール、フタル酸ジオクチル等のエステル系可塑剤等が使用できる。中でも、再利用がしやすい点で、鉱物オイルが可塑剤として好ましい。可塑剤は、原料組成物中に、30~70質量%の割合で配合されることが好ましい。
前記可塑剤を抽出除去するために用いる溶剤としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の飽和炭化水素系の有機溶剤を使用することができる。
ポリオレフィン微多孔膜には、その他、必要に応じて、界面活性剤(親水化剤)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候剤、滑剤、抗菌剤、防黴剤、顔料、染料、着色剤、防曇剤、艶消し剤等の添加剤を、本発明の目的や効果を損なわない範囲で添加させてもよい。
<空隙率と平均孔径の測定方法>
ポリオレフィン微多孔膜をイオンミリング(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、型番:IM4000PLUS)を用い、冷却モードにて裁断加工を行い、FE-SEM(日本電子株式会社製、型番:JSM-6700F)で拡大撮影(50000倍)した。この拡大撮影した映像を印刷し、未印刷部分(余白部分)を切り除いて、元映像紙を得た。得られた元映像紙について、拡大撮影された断面の面積を算出し、この面積をSとした。
次いで、この元映像紙の質量(M)を電子天秤(アズワン株式会社製、型番:ITX-120)で測定した。元映像紙の開孔部に相当する部分をそれぞれ切り取り、切り取った紙を開孔部映像紙とした。全ての開孔部映像紙の質量を電子天秤で測定し、開孔部映像紙毎の質量をMとした。これより、[式1]にて空隙率(%)を求めた。
[式1]
また、開孔部毎の面積(S)を[式2]より算出した。
[式2]
各開孔部の孔径(R)を[式3]により算出した。算出したRを使用し、[式4]により平均孔径(Rave)を求めた。
[式3]
[式4]
以上のように、本発明において、ポリオレフィン微多孔膜は、ポリオレフィン系樹脂を含んで構成された微多孔膜であり、特に制限なく使用できる。ポリオレフィン微多孔膜の厚み、透気度、透湿度、空隙率、平均孔径などを調整することも可能である。これらの物性を制御する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂の平均分子量、原料組成物中のポリオレフィン系樹脂濃度、溶剤の混合比率、延伸倍率や延伸後の熱処理温度、抽出溶剤への浸漬時間などの製造条件を調整することなどが挙げられる。ポリオレフィン微多孔膜は、様々な種類のものが既に市販されており、このような市販品を本発明に用いることができる。市販品の例としては、深セン市零岩科技有限公司製の商品名:SD220202、SD216E、深セン市星源材質科技股フン有限公司(Shenzhen Senior Technology Material Co., Ltd.)製の商品名:SD21601+などが挙げられる。
透湿樹脂層は、支持体の少なくとも一方の面に形成する。透湿樹脂層は、両面に形成することもできるが、経済的な面から、どちらか一方の面だけに形成することが好ましい。透湿樹脂層の塗布方法としては、支持体にできるだけ均一に塗布させることができる方法であれば、特に制限なく一般的な塗布方式を使用することができる。塗工(バーコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ブレードコーター、エアナイフなど)、含浸(サイズプレスなど)又はスプレー等の方法によって、支持体に付与し、溶剤を乾燥などの方法で除去して、全熱交換素子用透湿フィルムを得ることができる。
透湿樹脂層の塗布量(乾燥後の質量基準)は、特に制限はないが、0.1g/m~5g/mの範囲が好ましく、0.5g/m~2g/mの範囲がより好ましい。該塗布量が0.1g/mよりも少ない場合、十分な気体遮蔽性が得られない場合がある。該塗布量が5g/mより多い場合、十分な透湿性が得られない場合がある。
本発明において、透湿樹脂層はウレタン樹脂を含有する。ウレタン樹脂は、様々な種類のものが既に市販されており、このような市販品を本発明に用いることができる。ウレタン樹脂は、ウレタン結合を有する重合体の総称で、通常イソシアネート基と水酸基を有する化合物を反応させることで得られる化合物である。本発明に用いるウレタン樹脂は、透湿性に優れたものが好ましいが、例えば、三洋化成工業(株)製の商品名:サンプレン(SANPLENE、登録商標)H-600などが挙げられる。透湿樹脂層がウレタン樹脂を含有することによって、成膜性が向上し、透湿樹脂層が薄くても、高い気体遮蔽性が得られる。
本発明において、透湿樹脂層は酢酸セルロース微粒子を含有する。酢酸セルロースは、天然の高分子であるセルロースを酢酸エステル化(アセチル化)することによって得られる半合成高分子である。酢酸セルロース微粒子の添加量は特に制限はないが、透湿樹脂層が含有する樹脂に対して、10質量%~100質量%が好ましく、10質量%超50質量%以下がより好ましい。該添加量が10質量%より少ない場合には、ブロッキングの改良効果が不足する場合がある。該添加量が100質量%より多い場合は、ブロッキングの改良効果が頭打ちになる場合がある。酢酸セルロース微粒子は既に市販されており、本発明に用いることができる。例えば、株式会社ダイセル製の商品名:BELLOCEA(登録商標)シリーズなどが挙げられる。透湿樹脂層が酢酸セルロース微粒子を含有することによって、透湿性を低下させることなく、透湿樹脂層同士のブロッキングを抑制することができる。
本発明の全熱交換素子に用いる間隔板としては、特に制限はなく、紙、フィルム、不織布、金属板などを用いることができる。該間隔版としては、加工性及び耐湿性の観点から、フィルムが好ましい。フィルムを構成する主成分としては、特に制限はないが、加工性やコストの面から、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン等が好ましく用いられる。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などの他、液晶ポリエステル等も挙げられる。また、ポリアミドとしては、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)などが挙げられる。ポリオレフィンとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などが挙げられる。このような間隔板として使用されるフィルムの目付は特に制限はないが、50~100g/mの範囲が好ましく、厚みとしても50~100μmの範囲が好ましい。
全熱交換素子には、直交流型全熱交換素子と対向流型全熱交換素子があり、仕切板である全熱交換用紙や全熱交換素子用透湿フィルムを加工して作製される。いずれの全熱交換素子も専用の機械を用いて作製されるが、共に、給気流が通される給気層と、排気流が通される排気層とが、透湿性を有する仕切板を介して交互に積層された積層体で構成されている。それぞれの流路には、所定の間隔を置いて配置される仕切板の間隔を保持するための間隔板が形成されている。一般的に、この間隔板としては、直交流型全熱交換素子の場合はコルゲート加工した紙製の波形の間隔板が使用され、対向流型全熱交換素子の場合は射出成型などで作製した樹脂枠が用いられる。給気流が給気流路により導かれる方向と、排気流が排気流路により導かれる方向は、直交流型全熱交換素子の場合は互いに直交しており、対向流型全熱交換素子の場合は互いに対向している。
本発明の全熱交換素子を製造する場合に用いられる接着剤としては、特に制限はない。該接着剤の例としては、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エーテル系セルロース系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、ポリウレタン系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、スチレン・ブタジエンゴム系接着剤等が挙げられる。接着剤の塗布量(乾燥後の質量基準)は、特に制限はないが、0.5~4.0g/mの範囲が好ましい。接着剤の使用量(塗布量)が少ないと、接着強度が弱くなる場合がある。該接着剤の使用量(塗布量)が多い場合は、接着強度は確保できるものの、透湿性が損なわれる場合がある。なお、接着剤の塗布量における間隔板の基準となる面積は、波形に加工される前の全熱交換素子作製に使用された間隔板の面積である。
本発明において、仕切板、間隔板及び接着剤には、必要に応じて、難燃剤、防カビ剤などを添加することができる。難燃剤及び防カビ剤の種類に関しては、特に制限はない。
以下に、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものでない。
なお、各実施例・比較例で得られたフィルムを、「全熱交換素子用透湿フィルム」と呼称するが、比較例で得られた「全熱交換素子用透湿フィルム」の中には、透湿性が不十分であるものも含まれる。
(実施例1)
市販のポリプロピレン微多孔膜(厚み:16μm、空隙率:47%、平均孔径:142nm、透気抵抗度(王研):165sec、透湿度:880g/m・24hr)に、ウレタン樹脂(三洋化成工業(株)製、商品名:サンプレンH-600、濃度20質量%)5質量部、酢酸セルロース微粒子(株式会社ダイセル製、商品名:BELLOCEA S7、平均粒子径7μm)0.04質量部、メチルエチルケトン(MEK)4.96質量部の透湿樹脂層用塗布液を、No.6メタバーにて片面に塗布した後、乾燥した。これにより、塗布量(乾燥後の質量基準)1.1g/mの透湿樹脂層が片面に設けられた全熱交換素子用透湿フィルム(仕切板)が得られた。
(実施例2)
ウレタン樹脂(三洋化成工業(株)製、商品名:サンプレンH-600、濃度20質量%)5質量部、酢酸セルロース微粒子(株式会社ダイセル製、商品名:BELLOCEA S7、平均粒子径7μm)0.1質量部、メチルエチルケトン(MEK)4.9質量部の透湿樹脂層用塗布液を、No.6メタバーにて片面に塗布、乾燥し、塗布量(乾燥後の質量基準)1.1g/mの透湿樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同様に行い、全熱交換素子用透湿フィルムを得た。
(実施例3)
ウレタン樹脂(三洋化成工業(株)製、商品名:サンプレンH-600、濃度20質量%)5質量部、酢酸セルロース微粒子(株式会社ダイセル製、商品名:BELLOCEA S7、平均粒子径7μm)0.2質量部、メチルエチルケトン(MEK)4.8質量部の透湿樹脂層用塗布液を、No.6メタバーにて片面に塗布、乾燥し、塗布量(乾燥後の質量基準)1.2g/mの透湿樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同様に行い、全熱交換素子用透湿フィルムを得た。
(実施例4)
ウレタン樹脂(三洋化成工業(株)製、商品名:サンプレンH-600、濃度20質量%)5質量部、酢酸セルロース微粒子(株式会社ダイセル製、商品名:BELLOCEA S7、平均粒子径7μm)0.5質量部、メチルエチルケトン(MEK)4.5質量部の透湿樹脂層用塗布液を、No.6メタバーにて片面に塗布、乾燥し、塗布量(乾燥後の質量基準)1.2g/mの透湿樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同様に行い、全熱交換素子用透湿フィルムを得た。
(実施例5)
ウレタン樹脂(三洋化成工業(株)製、商品名:サンプレンH-600、濃度20質量%)5質量部、酢酸セルロース微粒子(株式会社ダイセル製、商品名:BELLOCEA S7、平均粒子径7μm)1.0質量部、メチルエチルケトン(MEK)4.0質量部の透湿樹脂層用塗布液を、No.6メタバーにて片面に塗布、乾燥し、塗布量(乾燥後の質量基準)1.3g/mの透湿樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同様に行い、全熱交換素子用透湿フィルムを得た。
(実施例6)
ウレタン樹脂(三洋化成工業(株)製、商品名:サンプレンH-600、濃度20質量%)5質量部、酢酸セルロース微粒子(株式会社ダイセル製、商品名:BELLOCEA S7、平均粒子径7μm)1.1質量部、メチルエチルケトン(MEK)3.9質量部の透湿樹脂層用塗布液を、No.6メタバーにて片面に塗布、乾燥し、塗布量(乾燥後の質量基準)1.2g/mの透湿樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同様に行い、全熱交換素子用透湿フィルムを得た。
(比較例1)
透湿樹脂層用塗布液として、ウレタン樹脂(三洋化成工業(株)製、商品名:サンプレンH-600、濃度20質量%)5質量部、メチルエチルケトン(MEK)5質量部の透湿樹脂層用塗布液を用い、塗布量1.0g/mの透湿樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同様に行い、全熱交換素子用透湿フィルムを得た。
(比較例2)
透湿樹脂層用塗布液として、ウレタン樹脂(三洋化成工業(株)製、商品名:サンプレンH-600、濃度20質量%)5質量部、アクリル樹脂微粒子(根上工業(株)製、商品名:ART PEARL(登録商標) SE-006T、平均粒子径6μm)0.2質量部、メチルエチルケトン(MEK)4.8質量部の透湿樹脂層用塗布液を用い、塗布量1.2g/mの透湿樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同様に行い、全熱交換素子用透湿フィルムを得た。
(比較例3)
透湿樹脂層用塗布液として、ポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製、商品名:VYLON(バイロン、登録商標)24SS、濃度30質量%)4質量部、メチルエチルケトン(MEK)6質量部の透湿樹脂層用塗布液を用い、No.12メタバーにて、乾燥塗布量2.0g/mの透湿樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同様に行い、全熱交換素子用透湿フィルムを得た。
(比較例4)
透湿樹脂層用塗布液として、ポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製、商品名:バイロン24SS、濃度30質量%)4質量部、酢酸セルロース微粒子(株式会社ダイセル製、商品名:BELLOCEA S7、平均粒子径7μm)0.24質量部、トルエン5.76質量部の透湿樹脂層用塗布液を用い、No.12メタバーにて、乾燥塗布量2.4g/mの透湿樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同様に行い、全熱交換素子用透湿フィルムを得た。
(比較例5)
透湿樹脂層用塗布液として、ポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製、商品名:バイロン24SS、濃度30質量%)4質量部、アクリル樹脂微粒子(根上工業(株)製、商品名:ART PEARL SE-006T、平均粒子径6μm)0.24質量部、メチルエチルケトン(MEK)5.76質量部の透湿樹脂層用塗布液を用い、No.12メタバーにて、乾燥塗布量2.4g/mの透湿樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同様に行い、全熱交換素子用透湿フィルムを得た。
(比較例6)
原紙(目付:30g/m、厚み:40μm、透気抵抗度(王研):277万sec)に、トーコープにて、5.0g/mの塩化リチウムを含浸させ、全熱交換素子用紙を得た。
各実施例及び各比較例の全熱交換素子用透湿フィルム又は全熱交換素子用紙について、以下に示す方法により評価を行い、評価結果を表1に示した。
[透湿性:透湿度の評価方法]
JIS Z 0208:1976「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」に準拠して、透湿度を測定した。ただし、温湿度条件を23℃、相対湿度50%として、塩化カルシウムを10g使用し、測定時間を1時間に変更した。このような条件での測定により得られた質量変化を、24時間における質量変化に換算した。評価基準は、以下の通りである。
◎:透湿度が、850g/m・24hr以上である。極めて良好。
○:透湿度が、800g/m・24hr以上、850g/m・24hr未満である。良好。
△:透湿度が、750g/m・24hr以上、800g/m・24hr未満である。許容範囲内。
×:透湿度が、750g/m・24hr未満である。許容範囲外。
[気体遮蔽性:透気抵抗度(王研)の評価方法]
JIS P 8117:2009に従って、透気抵抗度(王研)を測定した。評価基準は、以下の通りである。
◎:透気抵抗度(王研)が、1.0×10sec以上で、極めて良好。
○:透気抵抗度(王研)が、1.0×10sec以上、1.0×10sec未満であり、良好。
△:透気抵抗度(王研)が、1.0×10sec以上、1.0×10sec未満であり、許容範囲内。
×:透気抵抗度(王研)が、1.0×10sec未満であり、許容範囲外。
[耐湿性:耐湿性の評価方法]
全熱交換素子用透湿フィルム及び全熱交換素子用紙を用いて、縦200mm、横200mm、高さ250mm、一段の高さ3mmの全熱交換素子を作製した。この時の間隔板としては60g/mのポリプロピレンフィルムを用いた。接着剤としてはポリ酢酸ビニル系接着剤を使用した。この全熱交換素子を、40℃、相対湿度95%の条件で、72時間放置し、水垂れの有無や全熱交換素子の形状変化を目視にて評価した。評価基準は、以下の通りである。
◎:水垂れや形状変化が全くない。極めて良好。
○:水垂れや形状変化が少ない。良好。
△:水垂れや形状変化が多少ある。許容範囲内。
×:水垂れや形状変化がある。許容範囲外。
[剥離性:ブロッキング性の評価方法]
全熱交換素子用透湿フィルムの透湿樹脂層塗布面同士を押し当て、剥離具合を評価した。得られた全熱交換素子用透湿フィルムの透湿樹脂層同士2枚を重ね、200g/cmの荷重をかけて、40℃で24時間放置した。その後、2枚の全熱交換素子用透湿フィルムを手で剥がした。剥がした時の全熱交換素子用透湿フィルムの剥がれやすさを、ブロッキング性として以下のように評価した。また、全熱交換素子用紙(比較例6)は、表裏の区別がないため、2枚を重ねて、同様の評価を行った。
◎:抵抗なく剥がれる。極めて良好。
〇:少し抵抗を感じるが、綺麗に剥がれる。良好。
△:抵抗はあるが、剥がれる。許容範囲内。
×:透湿樹脂層同士がくっ付き、支持体から剥がれる透湿樹脂層がある。許容範囲外。
実施例1~6と比較例1~5との比較から、本発明の全熱交換素子用透湿フィルムは、高い耐湿性と透湿性と気体遮蔽性を有し、透湿樹脂層同士のブロッキングのない全熱交換素子用透湿フィルムであることが判る。透湿樹脂層が酢酸セルロース微粒子を含有しない比較例1では、ブロッキングが見られた。また、透湿樹脂層が酢酸セルロース微粒子を含有せずに、アクリル樹脂微粒子を含有している比較例2では、十分な透湿性を得ることができなかった。また、透湿樹脂層がウレタン樹脂を含有しない比較例3~5では、ポリエステル樹脂自体の性質から、十分な透湿性を得ることができなかった。また、実施例3と比較例4との比較から、約2倍の乾燥塗布量であったにも係わらず、比較例4の気体遮蔽性は実施例3よりも低かった。
また、実施例1~6と比較例6との比較から、本発明の全熱交換素子用透湿フィルムは、紙製の全熱交換素子用紙と比較し、耐湿性が良好であった。
本発明の全熱交換素子用紙は、新鮮な空気を供給すると共に、室内の汚れた空気を排出する際に、温度(顕熱)と共に湿度(潜熱)の交換を行う全熱交換器の全熱交換素子に使用される。

Claims (2)

  1. ウレタン樹脂と酢酸セルロース微粒子とを含有する透湿樹脂層を含むことを特徴とする全熱交換素子用透湿フィルム。
  2. 請求項1に記載の全熱交換素子用透湿フィルムを含有する全熱交換素子。
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