JP2023132110A - 内燃機関のバランサ装置 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023132110000001
【課題】内燃機関に残る起振力によるこもり音や、ギアの歯打ち音をできるだけ少なくして静粛性を向上した新規な内燃機関のバランサ裝置を提供する。
【解決手段】内燃機関に取り付けられるハウジングと、ハウジング内に配置され、端部から順番に配置された、クランクシャフトに取り付けられた機関側ギアと噛合うバランサ駆動ギアと、バランサ駆動ギアと隣接した第1ギアと、ハウジングに軸受けされる第1軸受部と、第1バランサウエイトとを有する第1バランサシャフトと、ハウジング内に第1バランサシャフトと並んで配置され、端部から順番に配置された、第1ギアに噛み合う第2ギアと、ハウジングに軸受けされる第2軸受部と、第2バランサウエイトを有する第2バランサシャフトを備えたバランサ装置を特徴とする。
【選択図】図9

Description

本発明は内燃機関のバランサ装置に係り、特にオイルポンプを備えた内燃機関のバランサ装置に関するものである。
一般的な内燃機関においては、例えば特開2020-90996号公報(特許文献1)に記載されているように、クランクシャフトによって駆動される第1バランサシャフトと、この第1バランサシャフトによって駆動される第2バランサシャフトとを回転自在に収容してなるバランサ装置を設け、このバランサ装置によって内燃機関で生じる振動を低減するようにしている。
そして、これらの第1バランサシャフト、及び第2バランサシャフトには第1バランサウエイト、第2バランサウエイトが設けられており、これら第1バランサシャフト、及び第2バランサシャフトをクランクシャフトの回転数の2倍で回転させ、クランクシャフトに生じる慣性力と第1バランサシャフト、及び第2バランサシャフトで生じる慣性力とを釣り合わせることによって、内燃機関の振動を低減している。
また、バランサ装置を内燃機関本体の下部に締結してオイルパン内に配置し、両バランサシャフトのうちの第1バランサシャフトをクランクシャフトによって回転駆動し、この第1バランサシャフトによって第2バランサシャフトを同期用のギア伝動手段を介して駆動すると共に、第2バランサシャフトによってオイルポンプを駆動することも知られている。
このバランサ装置においては、平行に配置された第1バランサシャフト、及び第2バランサシャフトを設け、第1バランサシャフト、及び第2バランサシャフトの一端側に、第1ギア及び第2ギアを夫々噛み合わせたギア伝動機構を設けている。この場合、第1ギアと第2ギアは同じ歯数であり、第1バランサシャフト及び第2バランサシャフトは同じ回転数で同期回転するようになっている。
また、第2バランサシャフトの他端にはオイルポンプ駆動用の減速ギアを設けており、この減速ギアは、オイルポンプの回転軸に固定されたポンプ駆動ギアに噛み合わされている。そして、内燃機関によって回転される機関側ギアと第1バランサシャフトのバランサ駆動ギアが噛み合わされているので、内燃機関によって機関側ギアが回転されると、この回転は、機関側ギア⇒バランサ駆動ギア⇒第1バランサシャフト⇒第1ギア⇒第2ギア⇒第2バランサシャフト⇒減速ギア⇒ポンプ駆動ギアに伝えられ、最終的にオイルポンプが回転されるものである。
特開2020-90996号公報
ところで、オイルポンプを設けたバランサ装置では、バランサ駆動ギア、第1ギア、及び第2ギアは、オイルポンプとは反対側に配置することが設計的に合理的である。
そして、バランサ駆動ギアは、第1バランサシャフトの端部側に固定され、第1ギアは、第1バランサシャフトを軸支する第1軸受を介して第1バランサシャフトに固定されている。つまり、第1バランサシャフトに対して、バランサ駆動ギア、第1軸受、第1ギア、第1バランサウエイトの順序で配置されている。
また、第2ギアは、第2バランサシャフトを軸支する第2軸受に隣接して第2バランサシャフトの固定されている。ここで、第2ギアは第1ギアと噛み合うため、第2バランサシャフトに対して、第2軸受、第2ギア、第2バランサウエイトの順序で配置されている。
このような構成のバランサ装置においては、バランサ駆動ギアから第1バランサウエイトまでの回転力の伝達経路と、バランサ駆動ギアから第2バランサウエイトまでの回転力の伝達経路があり、伝達経路の長さが異なっている。
この伝達経路の長さの違いによって、クランクシャフトの回転変動による第1バランサシャフトと第2バランサシャフトのねじれ量に差が発生し、内燃機関側の起振力とバランサ装置側の起振力に位相差が生じることで両者の起振力の差が大きくなって、こもり音(内燃機関に残る起振力)やギアの歯打ち音が生じる恐れがあった。そして、起振力の位相差は、第1ギアとバランサ駆動ギアの間の距離が長いことに起因していることが判明した。この現象については後述する。
本発明の目的は、内燃機関に残る起振力によるこもり音や、ギアの歯打ち音をできるだけ少なくして静粛性を向上した新規な内燃機関のバランサ裝置を提供することにある。
本発明の特徴は、内燃機関に取り付けられるハウジングと、ハウジング内に設けられ端部から順番に配置された、クランクシャフトに取り付けられた機関側ギアと噛合うバランサ駆動ギアと、バランサ駆動ギアと隣接した第1ギアと、第1ギアに隣接しハウジングに軸受けされる第1軸受部と、第1軸受部に隣接する第1バランサウエイトとを有する第1バランサシャフトと、ハウジング内に第1バランサシャフトと並んで設けられ、端部から順番に配置された、第1ギアに噛み合う第2ギアと、第2ギアに隣接しハウジングに軸受けされる第2軸受部と、第2軸受部に隣接する第2バランサウエイトを有する第2バランサシャフトとを備えるバランサ装置にある。
本発明によれば、バランサ駆動ギアに隣接して第1ギアを配置し、第1軸受部を第1ギアと第1バランサウエイトの間、及び第2軸受部を第2ギアと第2バランサウエイトの間に配置することで、第1ギアとバランサ駆動ギアの間の距離を短くして起振力の位相差を少なくでき、内燃機関に残る起振力によるこもり音や、ギアの歯打ち音を抑制して静粛性を向上することができる。
先行技術によるバランサ装置を模式的に示した模式図である。 先行技術によるバランサ装置における起振力を説明する説明図である。 本発明によるバランサ装置を模式的に示した模式図である。 本発明によるバランサ装置における起振力を説明する説明図である。 内燃機関とバランサ装置の取り付け関係を示した構成図である。 本発明の実施形態になるバランサ装置を構成要件毎に分解して斜め上方から眺めた分解斜視図である。 図4に示すバランサ装置を組み上げて一体化して斜め上方から眺めた外観斜視図である。 図5に示すバランサ装置を上部側ハウジングから見た上面図である。 図5に示すバランサ装置を下部側ハウジングから見た下面図である。 図6に示すバランサ装置をX方向から見た側面図である。 図6に示すバランサ装置で上部側ハウジングを取り外した状態の上面図である。 図6のA-A断面線に沿った断面を示す断面図である。 図6のB-B断面線に沿った断面を示す断面図である。 図7のC-C断面線に沿った断面を示す断面図である。 バランサ装置に取り付けたオイルポンプを取り外し、オイルポンプ側から見た側面図である。 上部側ハウジングの変形例を示すもので、下部側ハウジングから見た下面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
先ず、本発明の実施形態を説明する前に、本発明の基本的な考え方について説明する。図1は、「発明が解決しようとする課題」で説明した先行技術であるバランサ装置の模式図であり、図2は、本発明であるバランサ装置の模式図である。
図1Aにおいて、機関側ギア100によって駆動されるバランサ駆動ギア110は、第1バランサシャフト120の端部側に固定され、第1ギア130は、第1バランサシャフト120を軸支する第1軸受部140を介して第1バランサシャフト120に固定されている。そして、第1バランサシャフト120に対して、バランサ駆動ギア110、第1軸受部140、第1ギア130、第1バランサウエイト150の順序で配置されている。
また、第2ギア160は、第2バランサシャフト170を軸支する第2軸受部180に隣接して第2バランサシャフト170に固定されている。ここで、第2ギア160は、第1ギア130と噛み合うため、第2バランサシャフト170に対して、第2軸受部180、第2ギア160、第2バランサウエイト190の順序で配置されている。したがって、夫々のバランサシャフトの軸方向で見て、第1、第2軸受部と、第1ギア、第2ギアの位置は同じ位置となっている。
そして、第1バランサシャフト系と第2バランサシャフト系における回転力(トルク)の伝達経路は破線で示す通りである。この状態で、バランサ駆動ギア110と第1ギア130の間の距離は距離(Lc)である。尚、この距離(Lc)は第1軸受部140を配置するための間隔である。そして、この距離(Lc)によって起振力に位相差が発生する。
図1Bに内燃機関のピストン・コンロッドの上下起振力(実線)とバランサ装置による上下起振力(位相差なし/大間隔破線、位相差あり/小間隔破線)、及び内燃機関に残る起振力(一点鎖線)の関係を示している。尚、内燃機関に残る起振力は、ピストン・コンロッドの上下起振力(実線)とバランサ装置による上下起振力(位相差あり/小間隔破線)の差である。この図から判るように、バランサ装置の起振力に位相差が生じると、内燃機関に残る起振力の最大値(A1)が大きくなる傾向にある。そして、バランサ装置の起振力の位相差(Δθ1)は、バランサ駆動ギア110と第1ギア130の間の距離(Lc)に依存している。
そこで、本発明ではバランサ装置の起振力の位相差は、バランサ駆動ギア110と第1ギア130の間の距離(Lc)に依存していることから、距離(Lc)を短くする構成を提案するものである。
図2Aにおいて、機関側ギア100によって駆動されるバランサ駆動ギア110は、第1バランサシャフト120の端部側に固定され、このバランサ駆動ギア110に隣接して第1ギア130が、第1バランサシャフト120に固定されている。更に第1ギア130と隣接し、第1ギア130と第1バランサウエイト150の間に第1軸受部140が配置されている。そして、第1バランサシャフト120に対して、バランサ駆動ギア110、第1ギア130、第1軸受部140、第1バランサウエイト150の順序で配置されている。
また、第2ギア160は、第2バランサシャフト170を軸支する第2軸受部180に対して、第2バランサウエイト190とは反対側で第2バランサシャフト170に固定されている。したがって、第2ギア160は、第1ギア130と噛み合うため、第2バランサシャフト170に対して、第2ギア160、第2軸受部180、第2バランサウエイト190の順序で配置されている。この場合も、夫々のバランサシャフトの軸方向で見て、第1、第2軸受部と、第1ギア、第2ギアの位置は同じ位置となっている。
そして、第1バランサシャフト系と第2バランサシャフト系における回転力(トルク)の伝達経路は破線で示す通りである。この状態で、バランサ駆動ギア110と第1ギア130の間の距離は距離(Li)である。尚、この距離(Li)は第1軸受部140を配置しないため、図1に示す先行技術の距離(Lc)に対して短くなっている。
図2Bに内燃機関のピストン・コンロッドの上下起振力(実線)とバランサ装置による上下起振力(位相差なし/大間隔破線、位相差あり/小間隔破線)、及び内燃機関に残る起振力(一点鎖線)の関係を示している。尚、内燃機関に残る起振力は、ピストン・コンロッドの上下起振力(実線)とバランサ装置による上下起振力の差である。この図から判るように、バランサ駆動ギア110と第1ギア130の間の距離(Li)が短いため、内燃機関に残る起振力の最大値(A2)を小さくすることができる。
このように、バランサ駆動ギア110に隣接して第1ギア13を配置し、第1軸受部140を第1ギア130と第1バランサウエイト150の間、及び第2軸受部180を第2ギア160と第2バランサウエイト190の間に配置することで、第1ギア130とバランサ駆動ギア110の間の距離を短くして起振力の位相差を少なくでき、内燃機関に残る起振力によるこもり音や、ギアの歯打ち音を抑制して静粛性を向上することができる。
次に、上述した考え方に基づいた本発明の具体的な実施形態について図面を用いながら説明を行う。尚、以下の説明では、参照番号を変更している。
先ず、図3に基づいて内燃機関とバランサ装置の設置状態を簡単に説明する。尚、この図は内燃機関とバランサ装置の関係を示しているだけであり、以下に説明する本実施形態のバランサ装置そのものではない。
図3は内燃機関01を示しており、内燃機関01は例えば、直列4気筒のレシプロ方式の内燃機関である。シリンダヘッド02の下部には、シリンダブロック03が設けられており、シリンダブロック03の下面には、シリンダブロック04が固定されている。シリンダブロック04には、図示しないクランクシャフトが回転自在に支持されており、クランクシャフトは、その軸方向を内燃機関の前後方向に沿って配置されている。
内燃機関01は、車体前後方向に対してクランクシャフトが横向きとなるように車両に搭載されており、クランクシャフトの軸方向における一部分には、図示しないクランクギアが固定されている。クランクギアは後述するバランサ装置10を駆動するための機関側ギアである。
更に、シリンダブロック04の下部には、内部に潤滑オイルが貯留されるオイルパン05が取り付けられており、このオイルパン05の内部には、内燃機関01の二次振動を抑制するためのバランサ装置20が収容されている。オイルパン05は、内燃機関とは反対側(地側)に設けられており、内燃機関の摺動部分を潤滑するに潤滑オイルを貯留している。
バランサ装置10は、詳細は後述するが、上部側ハウジング、下部側ハウジング、バランサ本体、及びオイルポンプ11を有している。上部側ハウジング、及び下部側ハウジングは、複数のバランサ固定ボルト06により、重力方向で見て上下方向に重なる状態でシリンダブロック04の下面に固定されている。また、オイルポンプ11は、バランサ装置10に複数のオイルポンプ固定ボルト07によって連結されて一体化されている。オイルポンプ11は、所定の運転状態に応じてポンプ室の容積変化量を変化させる可変容量形オイルポンプである。
本実施形態に使用される可変容量形オイルポンプは、ポンプ高回転時にポンプ室の容積変化量を減少させる機構を有するベーンポンプであり、例えば、特開2011-111926号公報等に記載された公知のものが用いられている。オイルポンプ11は、複数のオイルポンプ固定ボルト07により、上部側ハウジングの正面側に固定されている。
図4は、本実施形態になるバランサ装置10を分解して示したものであり、大まかに、上部側ハウジング13、及び下部側ハウジング12は、複数のバランサ固定ボルト27により、重力方向で見て上下方向に重なる状態で一体的に固定される構成となっている。また、オイルポンプ11は、バランサ装置10に複数のオイルポンプ固定ボルト07によって連結されて一体化される構成となっている。
上部側ハウジング13、及び下部側ハウジング12とで形成される空間には、バランサ本体10Aが収納されている。バランサ本体10Aは、第1バランサシャフト、第2バランサシャフト、バランサ駆動ギア、第1ギア、第2ギア、減速ギア、及びポンプ駆動ギアを備えている。尚、これらの詳細は後述する。
次に本発明の代表的な実施形態について、図5~図9に基づいて詳細に説明する。尚、必要に応じて、図10~図12を引用して説明する。
先ず、図5は、組み上げられたバランサ装置10を斜め上方から眺めた外観を示しており、図面の手前側が車両の前側(フロント側)であり、図面の奥側が車両の後側(リア側)である。図6は、バランサ装置10を上部側ハウジング13の側から見た外観を示しており、図7は、バランサ装置10を下部側ハウジング12の側から見た外観を示しており、図8は、バランサ装置10を図6のX方向の側から見た外観を示しており、図9は、図6に示したバランサ装置10から上部側ハウジング13を取り外した外観を示している。
図5において、バランサ装置10のフロント側には、オイルポンプ11が固定されており、バランサ装置10に内蔵された第2バランサシャフト(図示せず)によって、ポンプ本体(図示せず)が回転駆動されるものである。バランサ装置10は、内燃機関に取り付けられた状態で、重力方向で見て下側に位置する下部側ハウジング12と、下部側ハウジングより上側に位置する上部側ハウジング13を備えている。
そして、これらの両ハウジング12、13によって形成された収納空間に、バランサ本体10A(図4参照)が収納されている。上部側ハウジング13には、シリンダブロック04に、バランサ固定ボルト06(図3参照)によってバランサ装置10を固定するための固定部14が形成されている。
フロント側に設けられたオイルポンプ11は、ポンプフランジ15によって、上部側ハウジング13の端面部に、オイルポンプ固定ボルト07によって固定されている。ポンプフランジ15のバランサ装置10とは反対側の面は、ポンプ本体(図示せず)が収納されたポンプカバー16によって覆われている。ポンプカバー16のカバーフランジ17は、ポンプフランジ15にフランジ固定ボルト18によって固定されている。これによって、ポンプフランジ15とポンプカバー16とは一体化されている。尚、ポンプフランジ15、及びポンプカバー16は、一体的に鋳込みやプレスで制作することもできる。
バランサ装置10のオイルポンプ11とは反対側には、バランサ駆動ギア19が、上側ハウジング13から露出されており、このバランサ駆動ギア19は、クランクシャフトによって回転される機関側ギア(図示せず)と噛み合って、バランサ本体10Aを回転させる回転伝達系を構成する。バランサ駆動ギア19は、下部側ハウジング12に収容されると共に、上部側ハウジング13に形成された上部開口20から露出されて、機関側ギアと噛み合わされる構成である。
図6に示すように、バランサ駆動ギア19の内側には、第1バランサシャフト21に固定された第1ギア22が隣接して配置され、その隣には、第2バランサシャフト23に固定された第2ギア24が配置され、第1ギア22から第2ギア24に回転が伝達されている。尚、第1バランサシャフト21と第2バランサシャフト23には、周知のバランサウエイトが設けられている。バランサ本体10Aの構成については、図9に示している。
そして、図6に示しているように本実施形態では、バランサ駆動ギア19をオイルポンプ11の側とは反対側に配置される構成としたので、オイルポンプ11の側の上部側ハウジング13に、バランサ駆動ギア19の露出用の上部開口20を設ける必要性がなくなる。このため後述するように、上部側ハウジング13のオイルポンプ11の側の端面部25と、ポンプフランジ15のバランサ装置10側の端面部26とを密着させる構成とすることができる。
これによって潤滑オイルがギア収納空間に侵入するのを抑制することができる。詳細は後述するが、上部側ハウジング13のオイルポンプ11の側の端面部25と、ポンプフランジ15のバランサ装置10側の端面部26とで構成されるギア収納空間には、オイルポンプ11を駆動するポンプ駆動ギア(図示せず)と、このポンプ駆動ギアを駆動する、第2バランサシャフト23に固定された減速ギア(図示せず)が収納されている。
したがって、上部側ハウジング13のオイルポンプ11の側の端面部25とポンプフランジ15のバランサ装置10の側の端面部26とが密着されているので、内燃機関側から落下する潤滑オイルが、ポンプ駆動ギアや減速ギアの側に流れることを抑制できる。
次に図7において、下部側ハウジング12は、ハウジング固定ボルト27によって上部側ハウジング13に固定されている。また、下部側ハウジング12のオイルポンプ11の側の端面部28と、ポンプフランジ15のバランサ装置10の側の端面部29との間には、幅(W)、長さ(L)の矩形状の潤滑オイルを排出するオイル排出孔30が形成されている。
このオイル排出孔30は、下部側ハウジング12のオイルポンプ11の側の端面部を、オイルポンプ11の側とは反対側に切り欠いて形成された凹部によって形成されている。このように、下部側ハウジング12にオイル排出孔30を形成する切り欠きを設けると、下部側ハウジング12の端面を単に切り欠くことでオイル排出孔30を形成でき、製造する上で有利である。
そして、ポンプ駆動ギアと減速ギアが収納される、上部側ハウジング13のオイルポンプ11の側の端面部25とポンプフランジ15のバランサ装置10側の端面部26とで構成されるギア収納空間、及び下部側ハウジング12のオイルポンプ11の側の端面部28とポンプフランジ15のバランサ装置10側の端面部29とで構成されるギア収納空間とに溜まる潤滑オイルを、オイルパンに戻すように機能する。
また、本実施形態においては、オイルポンプ11は、ポンプフランジ15を介して上部側ハウジング13に、オイルポンプ固定ボルト07で固定されている。一方、下部側ハウジング12とは固定されていない。仮に、下部側ハウジング12にもオイルポンプ11を組み付ける場合、上部側ハウジング13と下部側ハウジング12との間の組み付け誤差の影響が排除できないが、上部側ハウジング13側だけに固定すると、組み付けた時のオイルポンプ11の吐出孔や締結ねじ孔、シール面等の位置精度を向上させることができる。尚、このような影響を排除できる場合は、下部側ハウジング12にもオイルポンプ11を組み付けても良い。
図8において、オイルポンプ11の反対側には、上部側ハウジング13に形成した開口部20からバランサ駆動ギア19が露出されており、このバランサ駆動ギア19は、クランクシャフトによって回転される機関側ギアCGによって回転駆動される。また、バランサ駆動ギア19の回転は、上述したように第1ギア22に伝達され、更に第2ギア24に伝達される。
次に、バランサ装置10の内部構成について、図9を用いて説明する。尚、図9は、図6に示す上部側ハウジング13を取り外した状態を示している。
バランサ本体10Aは、バランサウエイトを有する第1回転系と、これもバランサウエイトを有する第2回転系から構成され、第1回転系の回転をギア伝動機構で反転させて第2回転系を回転させる構成となっている。そして、第1回転系と第2回転系を回転させることで、起振力を発生させ、ピストンの往復運動に起因する内燃機関の起振力二次成分と逆位相の起振力を発生させて内燃機関の振動の低減を図るようにしている。尚、これらの構成は良く知られている。
第1回転系は、第1バランサシャフト21のオイルポンプ11とは反対側の端部に固定されたバランサ駆動ギア19、バランサ駆動ギア19に隣接した第1ギア22、第1ギア22に隣接し、第1バランサシャフト21を軸支するフロント側第1ジャーナル軸受31、フロント側第1ジャーナル軸受31に隣接し、第1バランサシャフト21に設けられた第1バランサウエイト33、及び第1バランサウエイト33に隣接し、第1バランサシャフト21を軸支するリア側第1ジャーナル軸受32から構成されている。
フロント側第1ジャーナル軸受31とリア側第1ジャーナル軸受32は、下部側ハウジング12と上部側ハウジング13の間で支持され、これによって第1バランサシャフト21を回転、支持するものである。尚、第1バランサシャフト21のオイルポンプ11側には、円形の第1スラスト受部34が形成されている。
このように、本実施形態では、第1バランサシャフト21のオイルポンプとは反対側の端部からオイルポンプ11の側に向けて順番に、バランサ駆動ギア19、第1ギア22、フロント側第1ジャーナル軸受31、第1バランサウエイト33、及びリア側第1ジャーナル軸受32が配置されている。
一方、第2回転系は、第2バランサシャフト23のオイルポンプとは反対側の端部に固定され、第1ギア22と噛み合う第2ギア24、第2ギア24に隣接し、第2バランサシャフト23を軸支するフロント側第2ジャーナル軸受36、フロント側第2ジャーナル軸受36に隣接し、第2バランサシャフト23に設けられた第2バランサウエイト38、及び第2バランサウエイト38に隣接し、第2バランサシャフト23を軸支するリア側第2ジャーナル軸受37から構成されている。
フロント側第2ジャーナル軸受36とリア側第2ジャーナル軸受37は、下部側ハウジング12と上部側ハウジング13の間で支持され、これによって第2バランサシャフト23を回転、支持するものである。尚、第2バランサシャフト23のオイルポンプ11側には、円形の第2スラスト受部35が形成されている。
ここで、第2バランサシャフト23のオイルポンプ11側で、第2スラスト受部40に隣接して減速ギア35が固定されている。減速ギア35はオイルポンプ11の回転軸に結合されたポンプ駆動ギア39と噛み合わされ、ポンプ駆動ギア39を回転させるものである。
このように、本実施形態では、第2バランサシャフト23のオイルポンプとは反対側の端部からオイルポンプ11の側に向けて順番に、第2ギア24、フロント側第2ジャーナル軸受36、第2バランサウエイト38、及びリア側第2ジャーナル軸受37が配置されている。
ここで、第1バランサシャフト21の端部に固定されたバランサ駆動ギア19の重量に対する重量分配を考慮することも重要である。このため、第2バランサシャフト23の第2ギア24の反対側に、オイルポンプ11のポンプ構成部を配置することも有効である。ポンプ構成部は、ポンプロータやベーン等から構成されているので重量が重く、バランサ駆動ギア19との重量的な配置関係におけるバランスを向上することができる。
図10は、図6の第1バランサシャフト21の軸線に沿ったA-A断面を示している。オイルポンプ11の反対側の第1バランサシャフト21の端部には、バランサ駆動ギア19が固定されており、これに隣接して第1ギア22も第1バランサシャフト21に固定されている。バランサ駆動ギア19、及び第1ギア22は、圧入や焼き嵌め、キー溝等の手法によって固定されている。
第1バランサシャフト21と第1バランサウエイト33は、鍛造等の手法によって一体的に形成されている。そして、第1ギア22と第1バランサウエイト33の間は、フロント側第1ジャーナル軸受31によって軸支されている。このフロント側第1ジャーナル軸受31は、いわゆる「滑り軸受」であり、下部側ハウジング12と上部側ハウジング13に挟まれたメタルブッシュ50から構成されている。このメタルブッシュ50には、潤滑オイルが供給されており、これによって第1バランサシャフト21を軸受けしている。メタルブッシュ50は、上側ハウジング13と下側ハウジング12によって支持されている。
また、第1バランサシャフト21のオイルポンプ側の端部の第1スラスト受部34と第1バランサウエイト33の間は、リア側第1ジャーナル軸受32によって軸支されている。このリア側第1ジャーナル軸受32も、いわゆる「滑り軸受」であり、メタルブッシュ51から構成されている。このメタルブッシュ51には、潤滑オイルが供給されており、これによって第1バランサシャフト21を軸受けしている。メタルブッシュ51も、上側ハウジング13と下側ハウジング12によって支持されている。
また、第1バランサシャフト21の軸線方向のメタルブッシュ51の両端面の側は、上側ハウジング13と下側ハウジング12に形成された第1移動規制部54によって、第1バランサシャフト21の軸方向の移動を規制している。一方、リア側第1ジャーナル軸受32のメタルブッシュ50の両端面には移動規制部は形成されていない。
このように、バランサ駆動ギア19の側のリア側第1ジャーナル軸受32に移動規制部がないので、第1バランサウエイト33をよりバランサ駆動ギア19と第1ギア22の方に近づけることが可能であり、内燃機関の側の上下起振力とバランサ装置による上下起振力の位相差を小さくできる。
尚、フロント側第1ジャーナル軸受31、リア側第1ジャーナル軸受32は「、滑り軸受」を使用しているが、金属ボールや金属柱を使用した「転がり軸受」を使用することもできる。
図11は、図6の第2バランサシャフト21の軸線に沿ったB-B断面を示している。オイルポンプ11の反対側の第2バランサシャフト23の端部には、第2ギア24が固定されている。第2ギア24は、圧入や焼き嵌め、キー溝等の手法によって固定されている。
第2バランサシャフト23と第2バランサウエイト38は、鍛造等の手法によって一体的に形成されている。そして、第2ギア24と第2バランサウエイト38の間は、リア側第2ジャーナル軸受37によって軸支されている。このリア側第2ジャーナル軸受37は、いわゆる「滑り軸受」であり、下部側ハウジング12と上部側ハウジング13に挟まれたメタルブッシュ52から構成されている。このメタルブッシュ52には、潤滑オイルが供給されており、これによって第2バランサシャフト23を軸受けしている。メタルブッシュ52は、上側ハウジング13と下側ハウジング12によって支持されている。
また、第2バランサシャフト23のオイルポンプ側の端部の第2スラスト受部40と第2バランサウエイト38の間は、フロント側第2ジャーナル軸受36によって軸支されている。このフロント側第2ジャーナル軸受36も、いわゆる「滑り軸受」であり、メタルブッシュ53から構成されている。このメタルブッシュ53には、潤滑オイルが供給されており、これによって第2バランサシャフト23を軸受けしている。メタルブッシュ53も、上側ハウジング13と下側ハウジング12によって支持されている。
第2スラスト受部40のオイルポンプ11の側の第2バランサシャフト23の端部には減速ギア35が固定されており、ポンプ駆動ギア39と噛み合わされてポンプ駆動ギア39を回転させることができる。
また、第2バランサシャフト23の軸線方向のメタルブッシュ53の両端面の側は、上側ハウジング13と下側ハウジング12に形成された第2移動規制部55によって、第2バランサシャフト23の軸方向の移動を規制している。一方、リア側第2ジャーナル軸受37のメタルブッシュ52の両端面には移動規制部は形成されていない。
このように、第2ギア24の側に移動規制部がないので、第2バランサウエイト38をより第2ギア24の方に近づけることが可能であり、内燃機関の側の上下起振力とバランサ装置による上下起振力の位相差を小さくできる。
尚、フロント側第2ジャーナル軸受36、リア側第2ジャーナル軸受37は、「滑り軸受」を使用しているが、金属ボールや金属柱を使用した「転がり軸受」を使用することもできる。
図12は、図9のバランサシャフト21、23の軸線に直交するC-C線の断面を示している。図12において、第1バランサウエイト33の軸方向においては、第1凹部56が形成されて軽量化が図られている。同様に第2バランサウエイト38の軸方向においては、第2凹部57が形成されて軽量化が図られている。
つまり、第1バランサウエイト33は、第1バランサシャフト21の回転軸心「C」の方向に延びる第1軸部58と、第1軸部58から径方向外側に突出する断面が半月状の第1ウエイト部59とを有し、第1軸部58は、径方向において第1ウエイト部59の反対側から第1ウエイト部59に向けて、回転軸心「C」を超えるように肉抜きされた第1凹部56を有している。
また、第2バランサウエイト38は、第2バランサシャフト23の回転軸心「C」の方向に延びる第2軸部60と、第2軸部60から径方向外側に突出する断面が半月状の第2ウエイト部61とを有し、第2軸部60は、径方向において第2ウエイト部61の反対側から第2ウエイト部61に向けて、回転軸心「C」を超えるように肉抜きされた第2凹部57を有している。
このように、バランスウエイトの回転中心付近は、イナーシャと剛性に影響が少ないため、その部分を肉抜きすることで重量の低減とイナーシャと剛性確保が両立できるようになる。
特に図9から判るように、本実施形態では、オイルポンプ11の反対側の端部から順番に配置された、クランクシャフトに取り付けられた機関側ギアと噛合うバランサ駆動ギア19と、第1ギア22と、リア側第1ジャーナル軸受32と、第1バランサウエイト33と、フロント側第1ジャーナル軸受31を有する第1バランサシャフトと、第1バランサシャフト21と並んで配置され、オイルポンプ11の反対側の端部から順番に配置された、第2ギア24と、リア側第2ジャーナル軸受37と、第2バランサウエイト38と、フロント側第2ジャーナル軸受36を有するバランサ装置を特徴としている。
そして、このような構成のバランサ装置10においては、バランサ装置10の上方に配設されているクランクシャフトに固定された機関側ギアが回転すると、この機関側ギアの回転数の2倍の回転数で、バランサ駆動ギア19が回転し、バランサ駆動ギア19が固定された第1バランサシャフト21も回転されるようになる。
また、第1バランサシャフト21に固定された第1ギア22と噛み合った第2ギア24が回転することで、第1バランサシャフト21と位相調整された第2バランサシャフト23を回転させ、バランサ起振力を発生させている。このバランサ装置10は、ピストンの往復運動に起因する内燃機関の起振力の二次成分と逆位相の起振力を発生させて、内燃機関の振動を低減するものである。
この実施形態によれば、バランサ駆動ギア19に隣接して第1ギア22を配置し、リア側第1ジャーナル軸受32を第1ギア22と第1バランサウエイト33の間、及びリア側第2ジャーナル軸受37を第2ギア24と第2バランサウエイト38の間に配置することで、第1ギア22とバランサ駆動ギア19の間の距離を短くして起振力の位相差を少なくでき、内燃機関に残る起振力によるこもり音や、ギアの歯打ち音を抑制して静粛性を向上することができる。
また、オイルポンプ11が、第1ギア22、第2ギア24とは反対側に取り付けられているので、オイルポンプ11の回転による脈動がバランサシャフト21、23の側に伝達される。しかしながら、オイルポンプ11からの第1ギア22、第2ギア24との距離が長くなっているため、脈動が減衰されて第1ギア22、第2ギア24の歯打ち音への影響が抑えられる。
また、上部側ハウジング13に形成した開口部20には、バランサ駆動ギア19、第1ギア22、及び第2ギア24が露出する形状とされている。これによって、開口部20を介して、潤滑オイルオイルが3つのギアに同時に供給されるため、潤滑性を向上することができる。
次に、上部側ハウジング13のオイルポンプ11の側の端面部25と、ポンプフランジ15のバランサ装置10側の端面部26とで構成されるギア収納空間、及び下部側ハウジング12のオイルポンプ11の側の端面部28と、ポンプフランジ15のバランサ装置10側の端面部29とで構成されるギア収納空間の構成について説明する。
図13は、オイルポンプ11が固定されたポンプフランジ15を、上部側ハウジング13から取り外した状態で、バランサシャフト21、23の軸方向にオイルポンプ11の側から見た側面を示している。
図13において、上部側ハウジング13のバランサシャフト21、23の軸方向に直交する側面(SS;ポンプフランジ15が取り付けられる面)には、上部側ハウジング13の端面部25が形成されている。この端面部25は、ポンプ駆動ギア39と減速ギア35が収納されるギア収納空間41を形成するものである。端面部25は、ポンプ駆動ギア39と減速ギア35を上側から覆い、しかも上部側ハウジング13と下部側ハウジング12の結合面42付近まで延びるように形成されている。
端面部25のバランサシャフト21、23の軸方向の側の長さは、ポンプ駆動ギア39と減速ギア35を収納するため、ポンプ駆動ギア39と減速ギア35の軸方向の厚さより長く決められており、後述のポンプ固定部に取り付けられるポンプフランジ15の端面部26の平面領域と接触する長さに設定されている。したがって、両端面部25、26の接触部分は潤滑オイルが浸入し辛い接触形態となっている。
以下では、この端面部25を、「上部側突出隔壁部25」として説明する。また、この上部側突出隔壁部25は、バランサシャフト21、23の軸方向で、オイルポンプ11の側に向けて突出する板状に形成されている。
この上部側突出隔壁部25の周囲形状は、収納されるポンプ駆動ギア39と減速ギア35の形状に合わせた形状とされている。更に上部側突出隔壁部25には、ギア収納空間41から離れる方向に延びる一対の上側補強突出隔壁部43U、下側補強突出隔壁部43Bが形成されている。この補強突出隔壁部43U、43Bは、ポンプ固定部44まで延びており、上部側突出隔壁部25の変形を防ぐ補強機能を備えている。ポンプ固定部44は、ポンプフランジ15が固定される固定面である。
ポンプ固定部44には、ポンプフランジ15が取り付けられ、ポンプ固定ボルト07によってオイルポンプ11が固定されるボルト固定孔45が形成されている。上部側突出隔壁部25の肉厚は、ポンプ固定部44の肉厚より薄く形成されている。これによって、上部側突出隔壁部25を軽量化すると共に、ポンプ固定部44の強度を高めている。尚、上部側突出隔壁部25を薄くすると強度が減少するので、補強突出隔壁部43U、43Bで強度を補強している。
一方、下部側ハウジング12のバランサシャフト21、23の軸方向に直交する側面(SS)には、下部側ハウジング12の端面部28が形成されている。この端面部28は、ポンプ駆動ギア39と減速ギア35が収納されるギア収納空間41を形成するものである。端面部28は、ポンプ駆動ギア39と減速ギア35を下側から覆い、しかも上部側ハウジング13と下部側ハウジング12の結合面42付近まで延びるように形成されている。
端面部28のバランサシャフト21、23の軸方向の側の長さは、ポンプ駆動ギア39と減速ギア35を収納するための長さに設定されている。ただし、上述したようにオイル排出孔30を形成するために、上部側ハウジング13の端面部25より短い長さとなっている。以下では、この端面部28を、「下部側突出隔壁部28」として説明する。また、この下部側突出隔壁部28は、バランサシャフト21、23の軸方向で、オイルポンプ11の側に向けて突出する板状に形成されている。
この下部側突出隔壁部28の周囲形状は、収納されるポンプ駆動ギア39と減速ギア35の形状に合わせた形状とされている。そして、下部側突出隔壁部28とポンプフランジ15の端面部29間には、潤滑オイルを排出できるように重力方向で下側にオイル排出孔30が形成される。そして、ギア収納空間41に存在する潤滑オイルは、オイル排出孔30から流出して、オイルパンに戻される。このように、潤滑オイルが円滑にオイルパンに戻されるので、循環される潤滑オイルのオイル不足を抑制することができる。
また、図9にあるように、減速ギア35は、第2バランサウエイト38と減速ギア35との間に設けられた円形の第2スラスト受部40よりも小径に形成され、また、ポンプ駆動ギア39は、第1ジャーナル軸受部31とポンプ駆動ギア39との間に設けられた円形の第1スラスト受部34よりも大径に形成されている。このような構成を採用することで、第1バランサシャフト21のスラスト受部34からの潤滑オイルで、ポンプ駆動ギア39、減速ギア35を少ない潤滑オイル量で潤滑でき、減速ギア35には不必要に潤滑オイルがかからなくてすむという作用を奏する。
また、上部側ハウジング13の側面SSであるオイルポンプ11との取付面には、第1バランサシャフト21、及び第2バランサシャフト23を挟むように、一対の位置決めピン46L、46Rが設けられている。この位置決めピン46L、46Rによって、ポンプフランジ15の位置決めが可能となり、結果的にオイルポンプ11の取付精度を向上できる。
また、バランサ装置10を内燃機関に取り付けるため、第1バランサシャフト21の回転軸心に対して直角方向に延びる複数の固定部14には、ボルト挿通孔47を有し、上部側ハウジング13は、第1バランサシャフト21の回転軸心に沿った方向においてオイルポンプ11が取り付けられるための複数のボルト固定孔45を有している。更に、複数のボルト挿通孔47のうちの少なくとも1つと、複数のボルト固定孔45の少なくとも1つが隣接している。これによって、オイルポンプ11の取付剛性を向上することができる。
また、オイルポンプ11は、第1バランサシャフト21と第2バランサシャフト23の回転軸線方向(並び方向)の第1バランサシャフト21と第2バランサシャフト23を挟んで、両側において複数のボルトでハウジングに取り付けられている。そして、複数のボルト固定孔45の2つが、ボルト挿通孔47の方向に並んでおり、かつ、複数のボルト挿通孔47のうちの1つと隣接している構成とされている(図13の左側の領域部分)。これによって、2つのボルト固定孔45が縦に並んでおり、これがボルト挿通孔47と並んでいるため、剛性を高くすることができる。
図9に戻って、減速ギア35とポンプ駆動ギア39は、ヘリカルギアから構成されている。そしてこれらのヘリカルギアのねじり角は、減速ギア35とポンプ駆動ギア39の回転によって、潤滑オイルがオイル排出孔30に向かって移動する作用を高める角度に形成されているのが好ましい。これによって、潤滑オイルを円滑にオイルパンに排出することができるようになる。
また、減速ギア35とポンプ駆動ギア39を構成するヘリカルギアのねじり角は、ポンプ駆動ギア39をオイルポンプ11の側に偏倚させるスラスト力を発生する角度に設定されるのが好ましい。これによると、第1スラスト受部34との間の隙間が大きくなり、ギア収納空間41内の潤滑オイルの流れが円滑になり、潤滑オイルの排出が容易になるという作用を奏することができる。
図14は、上部側ハウジング13の変形例を示している。この変形例は、ボルト挿入孔14とポンプ固定部44との間に補強リブを形成したことを特徴としている。
図14において、オイルポンプ11が固定されるポンプ取付固定部44を上部側ハウジング13の端面に形成し、オイルポンプ11とポンプ取付固定部44との間に、ポンプ駆動ギア39と減速ギア35が収納されるギア収納空間41を形成されている。上部側ハウジング12の下部側ハウジングの側の表面において、ポンプ取付固定部44と固定部14とを結ぶ剛性補強部48を、上部側ハウジング13と一体的に形成している。これは、ダイキャスト法によって形成することができる。
このような構成を採用することによって、オイルポンプ11の駆動による上下、及び/或いは左右に揺れる力が作用しても、この力を剛性補強部48によって受け止めることができるようになる。
以上述べた通り、本発明は、内燃機関に取り付けられるハウジングと、ハウジング内に設けられ端部から順番に配置された、クランクシャフトに取り付けられた機関側ギアと噛合うバランサ駆動ギアと、バランサ駆動ギアと隣接した第1ギアと、第1ギアに隣接しハウジングに軸受けされる第1軸受部と、第1軸受部に隣接する第1バランサウエイトとを有する第1バランサシャフトと、ハウジング内に第1バランサシャフトと並んで設けられ、端部から順番に配置された、第1ギアに噛み合う第2ギアと、第2ギアに隣接しハウジングに軸受けされる第2軸受部と、第2軸受部に隣接する第2バランサウエイトを有する第2バランサシャフトとを備える、ことを特徴としている。
これによれば、バランサ駆動ギアに隣接して第1ギアを配置し、第1軸受部を第1ギアと第1バランサウエイトの間、及び第2軸受部を第2ギアと第2バランサウエイトの間に配置することで、第1ギアとバランサ駆動ギアの間の距離を短くして起振力の位相差を少なくでき、内燃機関に残る起振力によるこもり音や、ギアの歯打ち音を抑制して静粛性を向上することができる。
尚、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。
例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
07…オイルポンプ固定ボルト、10…バランサ装置、11…オイルポンプ、12…下部側ハウジング、13…上部側ハウジング、15…ポンプフランジ、19…バランサ駆動ギア、21…第1バランサシャフト、22…第1ギア、23…第2バランサシャフト、24…第2ギア、33…第1バランサウエイト、30…オイル排出孔、31…フロント側第1ジャーナル軸受、32…リア側第1ジャーナル軸受、35…減速ギア、36…フロント側第2ジャーナル軸受、37…リア側第2ジャーナル軸受、38…第2バランサウエイト、39…ポンプ駆動ギア。

Claims (10)

  1. 内燃機関に取り付けられるハウジングと、
    前記ハウジング内に設けられ端部から順番に配置された、クランクシャフトに取り付けられた機関側ギアと噛合うバランサ駆動ギアと、前記バランサ駆動ギアと隣接した第1ギアと、前記第1ギアに隣接し前記ハウジングに軸受けされる第1軸受部と、前記第1軸受部に隣接する第1バランサウエイトとを有する第1バランサシャフトと、
    前記ハウジング内に前記第1バランサシャフトと並んで設けられ、端部から順番に配置された、前記第1ギアに噛み合う第2ギアと、前記第2ギアに隣接し前記ハウジングに軸受けされる第2軸受部と、前記第2軸受部に隣接する第2バランサウエイトを有する第2バランサシャフトとを備える
    ことを特徴とする内燃機関のバランサ装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関のバランサ装置において、
    前記第1軸受部と前記第2軸受部は、ジャーナル軸受である
    ことを特徴とする内燃機関のバランサ装置。
  3. 請求項1に記載の内燃機関のバランサ装置において、
    前記第1ギア、及び前記第2ギアの反対側の前記ハウジングの端面にオイルポンプが設けられており、前記第2バランサシャフトの回転によって前記オイルポンプが回転駆動される
    ことを特徴とする内燃機関のバランサ装置。
  4. 請求項3に記載の内燃機関のバランサ装置において、
    前記オイルポンプのポンプ構成部は、前記第2バランサシャフトの前記第2ギアとは反対側の位置に配置されている
    ことを特徴とする内燃機関のバランサ装置。
  5. 請求項3に記載の内燃機関のバランサ装置において、
    前記ハウジングは、前記内燃機関に取り付けるための前記第1バランサシャフトの回転軸心に対して直角方向に延びる複数のボルト挿通孔を有し、
    更に前記ハウジングは、前記回転軸心に沿った方向において前記オイルポンプが取り付けられるための複数のボルト固定孔を有し、
    複数の前記ボルト挿通孔のうちの少なくとも1つと、複数の前記ボルト固定孔の少なくとも1つが隣接して配置されている
    ことを特徴とする内燃機関のバランサ装置。
  6. 請求項5に記載の内燃機関のバランサ装置において、
    前記オイルポンプは、前記第1バランサシャフトと前記第2バランサシャフトの回転軸線に直交する方向で、前記第1バランサシャフトと前記第2バランサシャフトを挟む両側において複数の善意ボルト固定孔にボルトによって前記ハウジングに取り付けられており、
    複数の前記ボルト固定孔の2つが、前記ボルト挿通孔の方向に並び、かつ複数の前記ボルト挿通孔のうちの1つと隣接している
    ことを特徴とする内燃機関のバランサ装置。
  7. 請求項3に記載の内燃機関のバランサ装置において、
    前記ハウジングは、前記バランサ駆動ギア、前記第1ギア、及び前記第2ギアが露出する開口部を有する
    ことを特徴とする内燃機関のバランサ装置。
  8. 請求項1に記載の内燃機関のバランサ装置において、
    前記第1バランサシャフトは、前記第1バランサウエイトを挟んで前記第1軸受部と反対側で前記第1バランサウエイトに隣接し前記ハウジングに軸受けされる第3軸受部を有する共に、前記第3軸受部の両側に設けられ、前記第1バランサシャフトの軸方向の移動を規制する第1規制部を有し、
    前記第2バランサシャフトは、前記第2バランサウエイトを挟んで前記第2軸受部と反対側で前記第2バランサウエイトに隣接し前記ハウジングに軸受けされる第4軸受部を有する共に、前記第4軸受部の両側に設けられ、前記第1バランサシャフトの軸方向の移動を規制する第2規制部を有する
    ことを特徴とする内燃機関のバランサ装置。
  9. 請求項1に記載の内燃機関のバランサ装置において、
    前記第1バランサウエイトは、前記第1バランサシャフトの回転軸心の方向に延びる第1軸部と、前記第1軸部から径方向外側に突出する断面が半月状の第1ウエイト部とを有すると共に、前記第1軸部は、径方向において前記第1ウエイト部の反対側から前記第1ウエイト部に向けて、回転軸心を超えるように肉抜きされた第1凹部を有し、
    前記第2バランサウエイトは、前記第2バランサシャフトの回転軸心の方向に延びる第2軸部と、前記第2軸部から径方向外側に突出する断面が半月状の第2ウエイト部とを有すると共に、前記第2軸部は、径方向において前記第2ウエイト部の反対側から前記第2ウエイト部に向けて、回転軸心を超えるように肉抜きされた第2凹部を有していることを特徴とする内燃機関のバランサ装置。
  10. 内燃機関に取り付けられるハウジングと、
    前記ハウジング内に設けられ端部から順番に配置された、クランクシャフトに取り付けられた機関側ギアと噛合うバランサ駆動ギアと、前記バランサ駆動ギアと隣接した第1ギアと、前記第1ギアに隣接し前記ハウジングに軸受けされる第1ジャーナル軸受と、前記第1ジャーナル軸受に隣接する第1バランサウエイトと、前記第1バランサウエイトに隣接し前記ハウジングに軸受けされる第3ジャーナル軸受とを有する第1バランサシャフトと、
    前記ハウジング内に前記第1バランサシャフトと並んで設けられ、端部から順番に配置された、前記第1ギアに噛み合う第2ギアと、前記第2ギアに隣接し前記ハウジングに軸受けされる第2ジャーナル軸受と、前記第2ジャーナル軸受に隣接する第2バランサウエイトと、前記第2バランサウエイトに隣接し前記ハウジングに軸受けされる第4ジャーナル軸受と、前記第4ジャーナル軸受に隣接した減速ギアとを有する第2バランサシャフトと、
    前記バランサ駆動ギア、前記第1ギア、及び前記第2ギアが位置する側とは反対側の前記ハウジングの端面に取り付けられたオイルポンプと、前記オイルポンプを駆動し前記減速ギアと噛み合うポンプ駆動ギアとを備えた
    ことを特徴とする内燃機関のバランサ装置。
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