JP2023131452A - 六価クロム含有灰の処理方法、及び六価クロム含有灰の処理装置 - Google Patents

六価クロム含有灰の処理方法、及び六価クロム含有灰の処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】六価クロム溶出抑制剤としてチオ硫酸化合物を用いて、六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を好適に抑制することができる六価クロム含有灰の処理方法を提供することを目的とする。【解決手段】六価クロム化合物を含有する六価クロム含有灰に、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を抑制する六価クロム溶出抑制剤を添加して混練する六価クロム含有灰の処理方法であって、前記六価クロム溶出抑制剤が、チオ硫酸化合物又は前記チオ硫酸化合物の溶液からなり、前記六価クロム溶出抑制剤の添加量が、前記六価クロム化合物を構成する六価クロムイオンに対する、前記チオ硫酸化合物を構成するチオ硫酸イオンのモル比で25以上となる添加量であり、前記混練を非加熱下で行う六価クロム含有灰の処理方法である。【選択図】図2

Description

本発明は、六価クロム含有灰の処理方法、及び六価クロム含有灰の処理装置に関する。
廃棄物処理施設で発生した飛灰には、一般的に、六価クロム(Cr(VI))等の重金属類が多く含まれている。このような飛灰等の、重金属類を多く含む重金属含有灰は、例えば、埋立処分等に用いられると、前記重金属含有灰から重金属類が溶出されることがあり、この溶出された重金属類によって、環境が汚染されること等が懸念されている。このことから、重金属含有灰を埋立処分に用いる際には、前記重金属含有灰からの重金属類の溶出量が少ないことが求められる。具体的には、埋立処分に用いる重金属含有灰には、各重金属類の溶出濃度を環境省告示第13号試験に基づく所定の基準値以下に低減させることが求められる。このことを実現するために、重金属含有灰に対して、重金属類の溶出量を低下させる処理、すなわち、重金属含有灰からの重金属類の溶出を抑制させる処理が求められる。このような処理としては、例えば、前記重金属含有灰が、例えば、六価クロム化合物を含有する六価クロム含有灰である場合には、六価クロムの溶出を抑制させる処理等が挙げられる。また、前記重金属含有灰からの重金属類の溶出を抑制させる技術分野において、六価クロム化合物の水溶性が比較的高いことから、六価クロムの溶出を抑制させる処理はより求められている。
このような重金属含有灰からの重金属類の溶出を抑制させる処理としては、例えば、特許文献1~5に記載の技術を用いる処理が挙げられる。
特許文献1には、焼却灰の溶融処理設備におけるダストの処理方法であって、焼却灰の溶融処理設備における集塵装置で分離されたダストに水および塩化第1鉄および/または硫酸第1鉄を添加・混練する処理方法が記載されている。特許文献1によれば、従来より行なわれているキレート処理法に塩化第1鉄および/または硫酸第1鉄の添加による還元および不溶出効果を加味することによって、高価なキレート剤の使用量を低減できるとともに、同じキレート剤量であれば、より低いレベルまで重金属の溶出量を下げることができ、またキレート剤を必要としない重金属の不溶化処理も可能である旨が開示されている。
特許文献2には、重金属類含有灰にチオ硫酸化合物の溶液を添加して混練し、その後、重金属類含有灰を加熱処理する重金属類含有灰の不溶化方法が記載されている。特許文献2によれば、重金属類含有灰に含有されるセレンや6価クロム、水銀の溶出を簡易に効率よく安いコストで不溶化処理してその溶出を防止することができる旨が開示されている。
特許文献3には、ジチオカルバミン酸系塩がアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムなどの群から選ばれた一種で構成される化合物に硫黄化合物を混合した薬剤が記載されている。特許文献3によれば、固体廃棄物などに含有される重金属および六価クロムCr(VI)を複数の化合物または溶液などの併用も不要で、単独の化合物の添加で、同時に無害化(不溶出化)処理できる旨が開示されている。
特許文献4には、焼却残渣中の6価クロムを不溶化する処理方法において、該焼却残渣に、ジチオカルバミン酸塩を官能基として有する重金属捕集剤とチオ硫酸塩とを添加して混合する6価クロム不溶化処理方法が記載されている。特許文献4によれば、従来の6価クロムの再溶出や有害ガスの発生の問題を解決し、焼却残渣中の6価クロム等の有害な重金属を確実に固定化し、その溶出を長期に亘り防止することができる旨が開示されている。
特許文献5には、廃棄物を、セメント類、還元性の金属類、及びチオ硫酸ナトリウムを含有する廃棄物処理材とともに混合し、必要に応じて水を添加したものを混練し、養生固化させる廃棄物処理方法が記載されている。特許文献5によれば、種々の有害重金属等を含有する廃棄物を確実に固化封入して安定化した後の固化物の取扱い、持ち運び、埋立が容易である旨が開示されている。
特許文献6には、六価クロムを含む処理対象物に、チオ硫酸塩、並びに、ナフタレン系重合体、ポリカルボン酸系重合体、リグニンスルホン酸系重合体、及びメラミン系重合体から選ばれる1種以上の化合物を混合する、六価クロムの溶出低減方法が記載されている。特許文献6によれば、水硬性組成物、土壌同化物、産業廃棄物などの六価クロムを含む対象物からの、六価クロムの溶出をより効率的に低減できる旨が開示されている。
特開平7-60219号公報 特開2005-13958号公報 特開2006-299004号公報 特開2003-145089号公報 特開平7-185499号公報 特開2020-75826号公報
特許文献1に記載の処理方法では、塩化第1鉄及び硫酸第1鉄の少なくとも一方を、焼却灰に添加し、混練している。塩化第1鉄及び硫酸第1鉄は、六価クロムの溶出を抑制する効果があるが、強酸性の薬剤である。このため、薬注配管及び混練機等における、前記薬剤と接触する接液部に対して腐食の問題が生じるおそれがある。よって、この処理方法を用いる設備では、腐食防止のために、材質変更等の改造が必要になる。
特許文献2に記載の不溶化方法では、重金属類含有灰にチオ硫酸化合物の溶液を添加して混練しているが、チオ硫酸化合物の適切な添加量を検討していない。また、特許文献2に記載の不溶化方法では、加熱しており、ランニングコストが上昇するおそれがある。これらのことから、特許文献2からは、加熱しない場合における、チオ硫酸化合物の適切な添加量が不明である。
特許文献3には、薬剤に添加する硫黄化合物として、チオ硫酸ナトリウムが例示されているものの、六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を抑制する六価クロム溶出抑制剤としてチオ硫酸化合物を用いた場合の適切な添加量については記載されていない。
特許文献4には、使用する6価クロム不溶化処理材として、チオ硫酸塩を含有することが記載されているものの、チオ硫酸塩は、ジチオカルバミン酸塩を官能基として有する重金属捕集剤ともに含有することが記載されている。このことから、特許文献4には、チオ硫酸化合物又は前記チオ硫酸化合物の溶液からなる六価クロム溶出抑制剤を用いた場合の適切な添加量については記載されていない。また、特許文献4には、前記六価クロム溶出抑制剤の添加量を、前記六価クロム化合物を構成する六価クロムイオンに対する、前記チオ硫酸化合物を構成するチオ硫酸イオンのモル比では記載されていない。
特許文献5には、チオ硫酸ナトリウムを含有する廃棄物処理材が記載されているものの、特許文献5に記載の発明は、セメント類を含有する廃棄物処理材とともに混合することによって、セメントで固化する廃棄物の処理方法に係る発明である。このことから、特許文献5には、チオ硫酸化合物又は前記チオ硫酸化合物の溶液からなる六価クロム溶出抑制剤を用いた場合の適切な添加量については記載されていない。また、特許文献5には、前記六価クロム溶出抑制剤の添加量を、前記六価クロム化合物を構成する六価クロムイオンに対する、前記チオ硫酸化合物を構成するチオ硫酸イオンのモル比では記載されていない。
特許文献6には、六価クロムを含む処理対象物に混合する化合物として、チオ硫酸塩が含まれているものの、チオ硫酸塩以外にも、ナフタレン系重合体等の他の化合物も含まれている。このことから、特許文献6には、六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を抑制する六価クロム溶出抑制剤としてチオ硫酸化合物を用いた場合の適切な添加量については記載されていない。
上記の先行技術等からもわかるように、チオ硫酸化合物を、他の六価クロム溶出抑制剤と併用することによって、六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を抑制させることは検討されていた。一方で、六価クロム溶出抑制剤を前記六価クロム含有灰に添加することによって、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を抑制させる処理において、六価クロム溶出抑制剤の種類毎の適切な添加量はあまり検討されてこなかった。前記六価クロム溶出抑制剤として、チオ硫酸化合物を用いた場合の、適切な添加量も検討されてこなかった。チオ硫酸化合物の適切な添加量が検討されてこなかった以上、前記六価クロム含有灰における六価クロム化合物の含有量に応じた、チオ硫酸化合物の適切な添加量も検討されてこなかった。以上のことから、六価クロム溶出抑制剤としてチオ硫酸化合物を用いて、六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を好適に抑制させることが充分に検討されてこなかった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされた発明であって、六価クロム溶出抑制剤としてチオ硫酸化合物を用いて、六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を好適に抑制することができる、六価クロム含有灰の処理方法及び六価クロム含有灰の処理装置を提供することを目的とする。
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。
本発明の一態様に係る六価クロム含有灰の処理方法は、六価クロム化合物を含有する六価クロム含有灰に、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を抑制する六価クロム溶出抑制剤を添加して混練する六価クロム含有灰の処理方法であって、前記六価クロム溶出抑制剤が、チオ硫酸化合物又は前記チオ硫酸化合物の溶液からなり、前記六価クロム溶出抑制剤の添加量が、前記六価クロム化合物を構成する六価クロムイオンに対する、前記チオ硫酸化合物を構成するチオ硫酸イオンのモル比で25以上となる添加量であり、前記混練を非加熱下で行う、六価クロム含有灰の処理方法である。
このような構成によれば、六価クロム溶出抑制剤としてチオ硫酸化合物を用いて、六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を好適に抑制することができる。このことは、以下のことによると考えられる。前記六価クロム溶出抑制剤の添加量が、前記六価クロム化合物を構成する六価クロムイオンの量に応じた、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を抑制するのに好適な添加量である。すなわち、前記六価クロム溶出抑制剤の添加量は、前記六価クロム含有灰に含有される前記六価クロム化合物の含有量に応じて、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を好適に抑制することができる添加量である。そして、前記六価クロム溶出抑制剤としてチオ硫酸化合物を前記添加量で前記六価クロム含有灰に添加した後、混練させることによって、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を好適に抑制することができる。よって、前記六価クロム含有灰の処理方法によれば、六価クロム溶出抑制剤としてチオ硫酸化合物を用いて、六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を好適に抑制することができる。さらに、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出が好適に抑制されることから、前記混練が非加熱下で行われる場合であっても、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を好適に抑制することができる。前記混練を非加熱下で行うことによって、前記六価クロム含有灰の処理方法を省エネルギで行うことができる。
また、前記六価クロム含有灰の処理方法において、前記チオ硫酸化合物の溶液が、チオ硫酸ナトリウム水溶液であることが好ましい。
このような構成によれば、六価クロム溶出抑制剤としてチオ硫酸化合物を用いて、六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出をより好適に抑制することができる。
また、前記六価クロム含有灰の処理方法において、前記六価クロム含有灰は、投入される廃棄物を熱分解し、前記熱分解により発生する熱分解ガス中の灰分を溶融しスラグ化するガス化溶融炉、又は投入される廃棄物を焼却する焼却炉を備える廃棄物処理施設における、前記ガス化溶融炉又は前記焼却炉から排出される排ガス中に含まれ、集塵装置にて捕集された飛灰であってもよい。
前記飛灰は、六価クロム化合物を比較的多く含有する六価クロム含有灰である。また、前記飛灰は、六価クロムの溶出が抑制されることが求められている。このような飛灰を、前記六価クロム含有灰として、前記六価クロム含有灰の処理方法で処理することによって、六価クロム溶出抑制剤としてチオ硫酸化合物を用いて、六価クロムの溶出を好適に抑制することができる。六価クロムが溶出されることの抑制に対する要求の高い前記飛灰から六価クロムの溶出を好適に抑制することができる点で好ましい。
また、前記六価クロム含有灰の処理方法において、前記混練は、前記六価クロム含有灰の温度が100℃以下で行うことが好ましい。
このような構成によれば、前記六価クロム含有灰に前記六価クロム溶出抑制剤としてのチオ硫酸化合物を添加した後に、前記六価クロム含有灰の温度が上記範囲内になるように非加熱下で混練する。そうすることによって、前記六価クロム溶出抑制剤としてのチオ硫酸化合物によって、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出をより好適に抑制できる。
また、本発明の他の一態様に係る六価クロム含有灰の処理装置は、六価クロム化合物を含有する六価クロム含有灰に、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を抑制する六価クロム溶出抑制剤を添加する添加部と、前記六価クロム含有灰と前記六価クロム溶出抑制剤とを混練する混練部とを備え、前記六価クロム溶出抑制剤が、チオ硫酸化合物又は前記チオ硫酸化合物の溶液からなり、前記六価クロム溶出抑制剤の添加量が、前記六価クロム化合物を構成する六価クロムイオンに対する、前記チオ硫酸化合物を構成するチオ硫酸イオンのモル比で25以上となる添加量であり、前記混練部は、前記混練を非加熱下で行う、六価クロム含有灰の処理装置である。
このような構成によれば、前記添加部で、六価クロム化合物を含有する六価クロム含有灰に、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を抑制する六価クロム溶出抑制剤を添加する。このときに前記添加部で添加する前記六価クロム溶出抑制剤の量が、上述したような、前記六価クロム化合物を構成する六価クロムイオンの量に応じた添加量である。この添加量が、前記六価クロム化合物を構成する六価クロムイオンの量に応じた、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を抑制するのに好適な添加量、すなわち、前記六価クロム含有灰に含有される前記六価クロム化合物の含有量に応じて、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を好適に抑制することができる添加量であると考えられる。前記六価クロム含有灰に前記六価クロム溶出抑制剤としてチオ硫酸化合物を添加した後、前記混練部で、前記六価クロム含有灰と前記六価クロム溶出抑制剤とを、非加熱下で混練する。そうすることによって、好適な量の前記六価クロム溶出抑制剤を前記六価クロム含有灰に均一に分散させることができ、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を好適に抑制することができる。よって、前記六価クロム含有灰の処理装置によれば、六価クロム溶出抑制剤としてチオ硫酸化合物を用いて、六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を好適に抑制することができる。さらに、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出が好適に抑制されることから、前記混練が非加熱下で行われる場合であっても、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を好適に抑制することができる。前記混練を非加熱下で行うことによって、六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を省エネルギで抑制することができる。
また、前記六価クロム含有灰の処理装置において、前記チオ硫酸化合物の溶液が、チオ硫酸ナトリウム水溶液であることが好ましい。
このような構成によれば、六価クロム溶出抑制剤としてチオ硫酸化合物を用いて、六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出をより好適に抑制することができる。
また、前記六価クロム含有灰の処理装置において、前記六価クロム含有灰は、投入される廃棄物を熱分解し、前記熱分解により発生する熱分解ガス中の灰分を溶融しスラグ化するガス化溶融炉、又は投入される廃棄物を焼却する焼却炉を備える廃棄物処理施設における、前記ガス化溶融炉又は前記焼却炉から排出される排ガス中に含まれ、集塵装置にて捕集された飛灰であってもよい。
前記飛灰は、六価クロム化合物を比較的多く含有する六価クロム含有灰である。また、前記飛灰は、六価クロムの溶出が抑制されることが求められている。このような飛灰を、前記六価クロム含有灰として、前記六価クロム含有灰の処理装置で処理することによって、六価クロム溶出抑制剤としてチオ硫酸化合物を用いて、六価クロムの溶出を好適に抑制することができる。六価クロムが溶出されることの抑制に対する要求の高い前記飛灰から六価クロムの溶出を好適に抑制することができる点で好ましい。
また、前記六価クロム含有灰の処理装置において、前記混練部は、前記六価クロム含有灰の温度が100℃以下で、前記混練を行うことが好ましい。
このような構成によれば、前記添加部で、前記六価クロム含有灰に前記六価クロム溶出抑制剤としてのチオ硫酸化合物を添加した後に、前記混練部で、前記六価クロム含有灰の温度が上記範囲内になるように非加熱下で混練する。そうすることによって、前記六価クロム溶出抑制剤としてのチオ硫酸化合物によって、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出をより好適に抑制できる。
本発明によれば、六価クロム溶出抑制剤としてチオ硫酸化合物を用いて、六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を好適に抑制することができる、六価クロム含有灰の処理方法及び六価クロム含有灰の処理装置を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る六価クロム含有灰の処理装置を備える廃棄物処理施設の全体構成を示す概略図である。 図2は、六価クロム化合物を構成する六価クロムイオン(Cr6+)に対する、チオ硫酸ナトリウムを構成するチオ硫酸イオン(S 2-)のモル比(S 2-/Cr6+)と、飛灰からの六価クロムCr(IV)の溶出量との関係を示すグラフである。
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る六価クロム含有灰の処理方法は、六価クロム化合物を含有する六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を抑制する六価クロム溶出抑制剤を添加して混練する六価クロム含有灰の処理方法である。前記六価クロム含有灰の処理方法において、前記六価クロム溶出抑制剤は、チオ硫酸化合物又は前記チオ硫酸化合物の溶液からなる。前記添加において、前記六価クロム溶出抑制剤(チオ硫酸化合物又は前記チオ硫酸化合物の溶液からなる六価クロム溶出抑制剤)の添加量が、前記六価クロム化合物を構成する六価クロムイオン(Cr6+)に対する、前記チオ硫酸化合物を構成するチオ硫酸イオン(S 2-)のモル比(S 2-/Cr6+)が25以上となる添加量である。このような添加量は、前記六価クロム含有灰の量ではなく、前記六価クロム化合物を構成する六価クロムイオン(Cr6+)の量に応じた、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を抑制するのに好適な添加量である。すなわち、前記六価クロム含有灰の量にかかわらず、前記六価クロム含有灰に含まれる六価クロム化合物を構成する六価クロムイオン(Cr6+)の量に応じた、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を抑制するのに好適な添加量である。具体的には、前記六価クロム含有灰の量が少なくても、前記六価クロム含有灰中の前記六価クロムイオンの濃度が高い等の事情に基づき、前記六価クロムイオンが多ければ、前記六価クロム溶出抑制剤の添加量が多くなる。これに対して、前記六価クロム含有灰の量が多くても、前記六価クロム含有灰中の前記六価クロムイオンの濃度が低い等の事情に基づき、前記六価クロムイオンが少なければ、前記六価クロム溶出抑制剤の添加量が少なくてもよい。このことから、前記六価クロム溶出抑制剤としてチオ硫酸化合物を前記添加量で前記六価クロム含有灰に添加した後、混練させることによって、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を好適に抑制することができる。よって、前記六価クロム含有灰の処理方法によれば、六価クロム溶出抑制剤としてチオ硫酸化合物を用いて、六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を好適に抑制することができる。具体的には、前記六価クロム含有灰に対して、前記六価クロム含有灰の処理方法を施すことによって、前記六価クロム含有灰における六価クロム化合物の濃度にかかわらず、処理済みの前記六価クロム含有灰からの、環境省告示第13号試験に基づく六価クロムイオン(Cr6+)の溶出濃度を、国の基準(金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令 別表1に記載の基準)である1.5mg/L以下にすることができる。例えば、1mg/L以下にすることができる。さらに、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出が好適に抑制されることから、前記混練が非加熱下で行われる場合であっても、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を好適に抑制することができる。このため、前記六価クロム含有灰の処理方法によって、前記混練は、非加熱下で行う。前記混練を非加熱下で行うことによって、前記六価クロム含有灰の処理方法を省エネルギで行うことができる。
前記六価クロム溶出抑制剤の添加量は、前記六価クロム化合物を構成する六価クロムイオン(Cr6+)に対する、前記チオ硫酸化合物を構成するチオ硫酸イオン(S 2-)のモル比(S 2-/Cr6+)で、25以上であり、30以上であることが好ましく、30~70であることがより好ましい。前記添加量が少なすぎると、六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を抑制する効果が不充分になる傾向があり、前記添加量が上記範囲内であることによって、その後の混練を非加熱下で行っても、好適に抑制することができる。その一方で、前記添加量が多すぎても、六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を抑制する効果が飽和してしまい、前記六価クロム溶出抑制剤の不必要な使用量が増えてしまう傾向がある。また、前記添加量が多すぎると、酸化硫黄ガス等の有害なガスが発生するおそれがある。
前記六価クロム含有灰の処理方法において、前記添加の後に行う混練は、前記六価クロム含有灰と、前記六価クロム含有灰に添加された六価クロム溶出抑制剤とが好適に混ざり合う混練であれば、特に限定されない。前記混練は、前記のように、非加熱下で混練すればよく、具体的には、混練時の前記六価クロム含有灰の温度が、100℃以下であることが好ましく、10~50℃であることがより好ましい。混練時の前記六価クロム含有灰の温度が上記のような温度であっても、本実施形態に係る六価クロム含有灰の処理方法では、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出が好適に抑制されることから、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出の抑制を省エネルギで行うことができる。前記六価クロム含有灰の温度は、前記六価クロム含有灰の表面温度を検出する温度センサで測定することができる。前記温度センサとしては、非接触で温度を検出可能な温度センサ等が挙げられ、非接触で温度を検出可能な赤外線サーモグラフィや非接触で温度を検出可能な赤外線放射温度計等が挙げられる。前記混練時の条件は、混練時の前記六価クロム含有灰の温度以外、前記六価クロム含有灰と前記六価クロム溶出抑制剤とが好適に混ざり合う条件であれば、特に限定されない。例えば、混練時間は、1~10分間であることが好ましい。また、前記混練は、混練装置を用いて行うことができ、前記混練装置としては、前記六価クロム含有灰と前記六価クロム溶出抑制剤とを混練することができれば、特に限定されない。前記混練装置は、例えば、公知の混練機等が挙げ、具体的には、廃棄物処理施設に備えられる混練装置等が挙げられる。
前記六価クロム溶出抑制剤は、チオ硫酸化合物又は前記チオ硫酸化合物の溶液からなる。前記チオ硫酸化合物としては、前記六価クロム含有灰と混練することによって、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を抑制できれば、特に限定されない。また、前記六価クロム溶出抑制剤は、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を抑制できる成分がチオ硫酸化合物からなるものであればよく、上述したように、溶媒を含む溶液であってもよい。前記チオ硫酸化合物としては、例えば、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸マグネシウム、チオ硫酸カルシウム、及びチオ硫酸アンモニウム等が挙げられる。前記チオ硫酸化合物の溶液を構成する溶媒としては、前記チオ硫酸化合物を溶解させることができ、前記六価クロム含有灰からの六価クロム溶出の抑制を阻害しないものであれば、特に限定されず、例えば、水等が挙げられる。すなわち、前記チオ硫酸化合物の溶液としては、例えば、チオ硫酸化合物水溶液等が挙げられる。
前記チオ硫酸化合物が、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を抑制できることは、例えば、以下のような反応によると考えられる。前記チオ硫酸化合物として、チオ硫酸イオン(S 2-)を含む化合物、具体的には、チオ硫酸ナトリウム(Na)を用い、前記六価クロム含有灰からの溶出される六価クロムイオンとして、クロム酸イオン(CrO 2-)を用いて、説明する。以下のような反応により、水酸化クロム(III)(Cr(OH))が生成されることによって、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を抑制できることができる。
Na → 2Na + S 2-
2S 2- → S 2- + 2e
CrO 2- + 4HO +3e → Cr(OH)↓ + 5OH
2CrO 2- + 6S 2- + 8HO → 6Cr(OH) + 3S 2- + 10OH
前記六価クロム含有灰の処理方法は、前記六価クロム溶出抑制剤とともに、六価クロム以外の重金属の溶出を抑制するための抑制剤(六価クロム溶出抑制剤以外の重金属溶出抑制剤)を前記六価クロム含有灰に添加してもよい。前記六価クロム溶出抑制剤以外の重金属溶出抑制剤としては、前記チオ硫酸化合物としては、前記六価クロム含有灰と混練することによって、重金属類(前記六価クロム含有灰からの六価クロム以外の重金属類)の溶出を抑制できれば、特に限定されない。前記六価クロム溶出抑制剤以外の重金属溶出抑制剤としては、具体的には、鉛(Pb)の溶出を抑制するPb用溶出抑制剤等が挙げられる。Pb用溶出抑制剤としては、例えば、ジカリウム=ピペラジン-1,4-ジカルボジチオアート(重金属処理剤TS-275)等のジチオカルバミン酸塩類等が挙げられる。
前記六価クロム化合物としては、六価クロム含有灰に含まれることによって、その六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出が懸念される六価クロム化合物であれば、特に限定されない。前記六価クロム化合物としては、例えば、クロム酸、二クロム酸塩、及びクロム酸塩等が挙げられる。前記二クロム酸塩としては、例えば、二クロム酸ナトリウム、二クロム酸カリウム、及び二クロム酸アンモニウム等が挙げられる。前記クロム酸塩としては、例えば、クロム酸ナトリウム、クロム酸カリウム、クロム酸アンモニウム、クロム酸鉛、クロム酸亜鉛、クロム酸ストロンチウム、及びクロム酸カルシウム等が挙げられる。
前記六価クロム含有灰は、六価クロム化合物を含有する灰であれば、特に限定されない。前記六価クロム含有灰としては、例えば、廃棄物処理施設から発生する灰等が挙げられる。前記廃棄物処理施設から発生する灰としては、焼却灰、及び焼却飛灰や溶融飛灰等の飛灰等が挙げられる。また、前記飛灰としては、例えば、焼却炉及び溶融炉等を備える廃棄物処理施設から発生する飛灰等が挙げられる。前記飛灰としては、より具体的には、流動床式ガス化焼却炉及びストーカー式焼却炉等を備える廃棄物処理施設から発生する飛灰等が挙げられる。飛灰は、一般的に、六価クロム化合物等の重金属類を、焼却灰より多く含む灰である。また、溶融飛灰は、一般的に、六価クロム化合物等の重金属類を、焼却飛灰より多く含む灰である。本実施形態に係る六価クロム含有灰の処理方法は、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を好適に抑制することができる。このことから、前記六価クロム含有灰の処理方法は、前記六価クロム含有灰として、六価クロム化合物をより多く含む六価クロム含有灰を用いた(六価クロム化合物をより多く含む六価クロム含有灰に対して前記六価クロム含有灰の処理方法を行った)ほうが、六価クロムの溶出抑制効果をより発揮できる。このことから、前記六価クロム含有灰としては、焼却飛灰及び溶融飛灰等の飛灰が好ましく、溶融飛灰がより好ましい。前記焼却飛灰としては、例えば、投入される廃棄物を焼却する焼却炉を備える廃棄物処理施設における、前記焼却炉から排出される排ガス中に含まれ、集塵装置にて捕集された飛灰等が挙げられる。また、前記溶融飛灰としては、例えば、投入される廃棄物を熱分解し、前記熱分解により発生する熱分解ガス中の灰分を溶融しスラグ化するガス化溶融炉を備える廃棄物処理施設における、前記ガス化溶融炉から排出される溶融排ガス中に含まれ、集塵装置にて捕集された飛灰等が挙げられる。これらの中でも、前記ガス化溶融炉から排出される溶融排ガス中に含まれ、集塵装置にて捕集された飛灰が好ましい。この溶融飛灰としては、より具体的には、図1に示す廃棄物処理施設から発生する飛灰等が挙げられる。なお、前記廃棄物としては、前記廃棄物処理施設で処理できる廃棄物であれば、特に限定されず、一般廃棄物であっても、産業廃棄物であってもよい。前記廃棄物としては、例えば、都市ごみ、及び下水汚泥等の各種廃棄物が挙げられる。
前記六価クロム含有灰は、上述したように、例えば、図1に示すような廃棄物処理施設から発生する飛灰等が挙げられ、この飛灰(六価クロム含有灰)は、図1に示すような廃棄物処理施設において、前記六価クロム含有灰の処理方法を施してもよい。すなわち、前記六価クロム含有灰の処理方法は、例えば、図1に示すような廃棄物処理装置に備えられる六価クロム含有灰の処理装置で実現してもよい。本実施形態に係る六価クロム含有灰の処理装置は、六価クロム化合物を含有する六価クロム含有灰に、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を抑制する六価クロム溶出抑制剤を添加する添加部と、前記六価クロム含有灰と前記六価クロム溶出抑制剤とを混練する混練部とを備える。前記六価クロム含有灰の処理装置において、前記添加部によって、前記六価クロム溶出抑制剤(チオ硫酸化合物又は前記チオ硫酸化合物の溶液からなる六価クロム溶出抑制剤)を、その添加量が、前記六価クロム化合物を構成する六価クロムイオン(Cr6+)に対する、前記チオ硫酸化合物を構成するチオ硫酸イオン(S 2-)のモル比(S 2-/Cr6+)が25以上となる添加量で、添加する。その後、前記混練部によって、前記六価クロム含有灰と前記六価クロム溶出抑制剤とを非加熱下で混練する。なお、図1は、本実施形態に係る六価クロム含有灰の処理装置を備える廃棄物処理施設1の全体構成を示す概略図を示す。
前記廃棄物処理施設1は、ガス化溶融炉20と、前記ガス化溶融炉20に対して廃棄物であるごみを供給するごみ供給部10と、前記ガス化溶融炉20から排出される溶融排ガスを処理するための排ガス処理部30と、前記溶融排ガスから分離される飛灰に対して、無害化処理(前記六価クロム含有灰の処理方法等)をする飛灰処理装置40とを備える。
前記ごみ供給部10は、ごみピット11と、ごみ搬送装置12と、給塵装置13とを備える。前記ごみピット11は、廃棄物処理施設外から搬入される処理対象であるごみを受け入れ、これを一旦貯留する。前記ごみ搬送装置12は、ごみクレーン14を備え、このごみクレーン14が前記ごみピット11内のごみをつかんで前記給塵装置13へ搬送する。前記給塵装置13は、ごみ投入ホッパ15を備え、このごみ投入ホッパ15が、前記ごみ搬送装置12から投入されるごみを受け入れる。そして、前記給塵装置13は、ごみ搬送用のスクリューコンベア16を内蔵し、前記ごみ投入ホッパ15内に投入されたごみを前記ガス化溶融炉20に供給する。
前記ガス化溶融炉20は、ガス化炉21と溶融炉22とを備える。前記ガス化炉21は、前記給塵装置13から供給されるごみを熱分解し、これによって熱分解ガスを生じさせる。このガス化炉21としては、公知のガス化炉を用いることができ、例えば、流動床炉やキルン炉等が挙げられる。前記溶融炉22は、前記熱分解ガス中の可燃成分を高温燃焼させるとともに、同ガス中の灰分を溶融してスラグを生じさせる。このスラグは、溶融炉22内、例えば、溶融炉22の炉壁に付着する。前記溶融炉22の炉底にはスラグ排出口23が設けられる。このスラグ排出口23は、前記炉壁に付着し流下するスラグを炉外へ排出するためのものである。また、この溶融炉22では、その炉内温度の調節のために必要に応じて図略のバーナーによる補助燃料の燃焼が行われてもよい。
前記排ガス処理部30は、廃熱ボイラ31と、ガス減温塔32と、集塵装置34と、誘引送風機35と、煙突36とを備える。前記廃熱ボイラ31は、前記溶融炉22から排出される高温の溶融排ガスから熱を回収するためのものである。具体的には、例えば、前記溶融排ガスの保有する熱を利用して蒸気を生成し排出するものである。前記ガス減温塔32は、前記廃熱ボイラ31から排出される溶融排ガスが導入される塔本体と、この塔本体内に冷却水を噴霧する噴霧装置と、当該塔本体の出口でのガス温度を検出する温度センサと、この温度センサにより検出される出口ガス温度を一定に保つように前記噴霧装置による冷却水供給流量を調節するコントローラとを備える。前記廃熱ボイラ31及び前記ガス減温塔32は、前記溶融排ガスの温度を後段の前記集塵装置34の使用に適した温度まで降下させる。前記集塵装置34は、前記ガス減温塔32から排出される溶融排ガス中の飛灰をろ過分離することによって、前記飛灰を捕集する。前記集塵装置34としては、例えば、前記ガス減温塔32から排出される溶融排ガス中の飛灰をろ過分離するバグフィルタを備える装置等が挙げられる。前記集塵装置34で捕集された飛灰が、前記六価クロム含有灰に相当する。この集塵装置34により飛灰が除去された排ガスは、前記誘引送風機35を経て、前記煙突36から排出される。
前記飛灰処理装置40は、前記集塵装置34によって分離され捕集される飛灰からの重金属の溶出を抑制し、飛灰を無毒化処理するための装置である。なお、前記飛灰処理装置40が、前記六価クロム含有灰の処理装置に相当する。前記飛灰処理装置40は、飛灰搬送装置41と、飛灰貯留槽42と、飛灰投入ホッパ43と、混練装置44と、重金属溶出抑制剤添加部45とを備える。
前記飛灰搬送装置41は、前記集塵装置34によって分離され捕集される飛灰を、前記飛灰貯留槽42に搬送する。前記飛灰貯留槽42は、前記飛灰搬送装置41によって搬送される飛灰を受け入れ、これを一旦貯留し、その後、前記飛灰投入ホッパ43に投入する。投入のタイミングは、所定量貯留される毎であってもよいし、所定時間経過後であってもよい。前記飛灰投入ホッパ43は、前記飛灰貯留槽42から投入される飛灰を受け入れ、前記混練装置44に搬送する。前記重金属溶出抑制剤添加部45は、前記飛灰投入ホッパ43によって搬送される飛灰に、重金属溶出抑制剤を添加する。なお、前記重金属溶出抑制剤添加部45が、添加部に相当する。前記混練装置44は、前記飛灰と、前記重金属溶出抑制剤添加部45によって、前記飛灰に添加される重金属溶出抑制剤とを混練する。なお、前記混練装置44が、前記混練部に相当する。
前記重金属溶出抑制剤添加部45は、重金属溶出抑制剤貯留槽47とポンプ48とを備える。前記重金属溶出抑制剤貯留槽47は、飛灰からの重金属の溶出を抑制するための重金属溶出抑制剤を貯留する。前記ポンプ48は、前記重金属溶出抑制剤貯留槽47に貯留されている重金属溶出抑制剤を前記混練装置44に添加する。前記重金属溶出抑制剤には、前記六価クロム溶出抑制剤を含む。前記重金属溶出抑制剤の添加量は、各重金属に応じて、その重金属の溶出を抑制する溶出抑制剤を適宜調整する。例えば、鉛(Pb)の溶出を抑制するPb用溶出抑制剤を、鉛の溶出を抑制するのに適した添加量に調整する。また、前記六価クロム溶出抑制剤は、その添加量を、上述したように、前記六価クロム化合物を構成する六価クロムイオンに対する、前記チオ硫酸化合物を構成するチオ硫酸イオンのモル比で25以上となる添加量に調整する。
以上のことから、本実施形態に係る六価クロム含有灰の処理装置を備える廃棄物処理施設は、前記廃棄物処理施設から発生される飛灰を、六価クロムの溶出を好適に抑制された飛灰にすることができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
飛灰(六価クロム含有灰、流動床式ガス化溶融炉を備える廃棄物処理施設から発生する飛灰)100gを、密閉式袋の中に入れた。次に、前記密閉式袋の中に入れた前記飛灰に対して、水30gを入れた(前記密閉式袋の中に、前記飛灰に対して30質量%となるように水を入れた)。その後、前記密閉式袋の中に、所定量の30質量%のチオ硫酸ナトリウム水溶液を入れた。前記チオ硫酸ナトリウム水溶液を入れる量(添加量)としては、前記飛灰に含有される六価クロム化合物を構成する六価クロムイオン(Cr6+)に対する、前記チオ硫酸ナトリウムを構成するチオ硫酸イオン(S 2-)のモル比(S 2-/Cr6+)が図2に示す値になる量とした。具体的には、以下の量とした。
まず、前記飛灰における六価クロム化合物の含有量を、エネルギ分散型蛍光X線分析装置(アワーズテック株式会社製のOURSTEX160)を用いて測定した。この得られた六価クロム化合物の含有量から、図2に示す各モル比(S 2-/Cr6+)となる、30質量%のチオ硫酸ナトリウム水溶液の添加量を算出した。
前記チオ硫酸ナトリウム水溶液を添加した後、均一に混合し、混練機(株式会社新日南製のダウミキサ)で混練した。この混練した後の飛灰を環境省告示第13号試験に基づき溶出試験を行い、六価クロムの溶出量[Cr(IV)溶出量(mg/L)]を測定した。
得られた結果を図2に示す。図2には、六価クロム化合物を構成する六価クロムイオン(Cr6+)に対する、チオ硫酸ナトリウムを構成するチオ硫酸イオン(S 2-)のモル比(S 2-/Cr6+)と、飛灰からの六価クロムCr(IV)の溶出量との関係を示す。
図2からわかるように、前記モル比(S 2-/Cr6+)が同じであっても、Cr(IV)の溶出量にばらつきが発生するものの、前記モル比(S 2-/Cr6+)が25以上となるように、六価クロム溶出抑制剤であるチオ硫酸ナトリウム水溶液を添加すると、Cr(IV)の溶出量が1mg/L以下であった。これに対して、前記モル比(S 2-/Cr6+)が25未満であると、Cr(IV)の溶出量が1mg/Lを超える場合があった。このことから、前記六価クロム含有灰の処理方法(前記モル比(S 2-/Cr6+)が25以上となるように、六価クロム溶出抑制剤であるチオ硫酸ナトリウム水溶液を添加する方法)であれば、六価クロム溶出抑制剤としてチオ硫酸化合物を用いて、六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を好適に抑制することができることがわかる。
1 廃棄物処理施設
10 ごみ供給部
11 ごみピット
12 ごみ搬送装置
13 給塵装置
14 ごみクレーン
15 ごみ投入ホッパ
16 スクリューコンベア
20 ガス化溶融炉
21 ガス化炉
22 溶融炉
23 スラグ排出口
30 排ガス処理部
31 廃熱ボイラ
32 ガス減温塔
34 集塵装置
35 誘引送風機
36 煙突
40 飛灰処理装置(六価クロム含有灰の処理装置)
41 飛灰搬送装置
42 飛灰貯留槽
43 飛灰投入ホッパ
44 混練装置(混練部)
45 重金属溶出抑制剤添加部(添加部)
47 重金属溶出抑制剤貯留槽
48 ポンプ

Claims (8)

  1. 六価クロム化合物を含有する六価クロム含有灰に、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を抑制する六価クロム溶出抑制剤を添加して混練する六価クロム含有灰の処理方法であって、
    前記六価クロム溶出抑制剤が、チオ硫酸化合物又は前記チオ硫酸化合物の溶液からなり、
    前記六価クロム溶出抑制剤の添加量が、前記六価クロム化合物を構成する六価クロムイオンに対する、前記チオ硫酸化合物を構成するチオ硫酸イオンのモル比で25以上となる添加量であり、
    前記混練を非加熱下で行うことを特徴とする六価クロム含有灰の処理方法。
  2. 前記チオ硫酸化合物の溶液が、チオ硫酸ナトリウム水溶液である請求項1に記載の六価クロム含有灰の処理方法。
  3. 前記六価クロム含有灰は、投入される廃棄物を熱分解し、前記熱分解により発生する熱分解ガス中の灰分を溶融しスラグ化するガス化溶融炉、又は投入される廃棄物を焼却する焼却炉を備える廃棄物処理施設における、前記ガス化溶融炉又は前記焼却炉から排出される排ガス中に含まれ、集塵装置にて捕集された飛灰である請求項1に記載の六価クロム含有灰の処理方法。
  4. 前記混練は、前記六価クロム含有灰の温度が100℃以下で行う請求項1~3のいずれか1項に記載の六価クロム含有灰の処理方法。
  5. 六価クロム化合物を含有する六価クロム含有灰に、前記六価クロム含有灰からの六価クロムの溶出を抑制する六価クロム溶出抑制剤を添加する添加部と、
    前記六価クロム含有灰と前記六価クロム溶出抑制剤とを混練する混練部とを備え、
    前記六価クロム溶出抑制剤が、チオ硫酸化合物又は前記チオ硫酸化合物の溶液からなり、
    前記六価クロム溶出抑制剤の添加量が、前記六価クロム化合物を構成する六価クロムイオンに対する、前記チオ硫酸化合物を構成するチオ硫酸イオンのモル比で25以上となる添加量であり、
    前記混練部は、前記混練を非加熱下で行うことを特徴とする六価クロム含有灰の処理装置。
  6. 前記チオ硫酸化合物の溶液が、チオ硫酸ナトリウム水溶液である請求項5に記載の六価クロム含有灰の処理装置。
  7. 前記六価クロム含有灰は、投入される廃棄物を熱分解し、前記熱分解により発生する熱分解ガス中の灰分を溶融しスラグ化するガス化溶融炉、又は投入される廃棄物を焼却する焼却炉を備える廃棄物処理施設における、前記ガス化溶融炉又は前記焼却炉から排出される排ガス中に含まれ、集塵装置にて捕集された飛灰である請求項5に記載の六価クロム含有灰の処理装置。
  8. 前記混練部は、前記六価クロム含有灰の温度が100℃以下で、前記混練を行う請求項5~7のいずれか1項に記載の六価クロム含有灰の処理装置。
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