JP2023129150A - 合成樹脂蓋 - Google Patents

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龍一 塚本
Ryuichi Tsukamoto
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Abstract

【課題】容器のボトル口に容器蓋を繰り返し装着する際にボトル口の損傷を抑制可能な合成樹脂蓋を提供する。【解決手段】本発明における合成樹脂蓋は、天面壁と、天面壁の周縁から垂下してボトル口の外周面と嵌合するスカート壁と、スカート壁よりも内周側で且つ該天面壁から垂下してボトル口の内周面と密着可能なインナーリングと、インナーリングの内周側で天面壁から連続するように延出する押圧可能な内筒と、内筒とインナーリングの内周面とを接続すると共に内筒の下方への押圧に追従して可動する環状可動板と、を備え、容器との非嵌合時におけるインナーリングの最外径L1はボトル口の内径L2よりも小さく、容器との嵌合に伴って内筒が軸方向に移動することで環状可動板が変位しインナーリングの最外径L1がボトル口の内周面に密着するよう拡径する。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば定置された際に鉛直上方に向けて延出する円筒形状の液体流入ノズルを備えた液体分配機(液体が水の場合は「ウォーターサーバー」とも称される) に適用される容器のための合成樹脂蓋に関する。
飲料水などの液体が充填された容器を逆さ向きで連結した後に、下方に設けられた注ぎ口から容器内の液体を取り出して提供するウォーターサーバーが知られている。ウォーターサーバーに連結される容器は、例えば液体分配機のうち鉛直上方に向けて延出する円筒形状の液体流入ノズルに対して容器蓋(キャップ)が装着された逆さ状態で使用され、容器内の液体が液体分配機外に漏出することなく注ぎ口へと供給される。
上記した容器は、一般的にリターナブル容器として知られており、内容物を全て注出した後は液体分配器から分離回収される。その後、回収された容器は、洗浄や殺菌処理などが施された後に、再び液体が充填された後に新たな容器蓋でボトル口が密封されて液体分配機へと搬送されて再利用に供される。
特開2017-65697号公報 特開2019-73340号公報
上述のように、リターナブル容器として再利用されることが前提の容器は、回収された際に既使用の容器蓋(キャップ)をボトル口から外して殺菌洗浄などを行った後に、新たな液体を充填すると共に新たな容器蓋をボトル口に装着する。
このとき、ボトル口への嵌合のために容器蓋にはインナーリング(例えば特許文献1における「筒状内側シール片16」に相当)が設けられており、このインナーリングと容器蓋の外周壁とで容器のボトル口への嵌合がなされる。
このときリターナブル容器を繰り返し使用する際の搬送や洗浄などの工程でボトル口の上端部に傷がつく場合がある。例えば特開2019-73340号公報においてボトルの筒状口部10の上端部に傷のある状態でボトルキャップ1を打栓し、ボトルの筒状口部10の内面を止水リブ23aで密封を試みた際には、止水リブ23aの外側面は筒状口部10の上端部に接触しながら装着される。このため、止水リブ23aの外側面にも傷がつき、結果として容器の密封機能が損なわれる虞がある。このようにボトル口の上端部に損傷が発生した場合には、容器蓋でボトル口を密封することが困難となって内容物の漏洩が生じるおそれがある。
このように上記特許文献を含む従来技術では未だに改善の余地はあり、本発明が有する目的の一例としては、容器のボトル口に容器蓋を繰り返し使用でボトル口の上端部に傷がついた場合でも密封機能を発揮することが可能な合成樹脂蓋を提供することが挙げられる。
上記課題を解決するため、本発明の一形態における合成樹脂蓋は、(1)上方に延出する筒状のボトル口を有する容器のための合成樹脂蓋であって、天面壁と、前記天面壁の周縁から垂下して前記ボトル口の外周面と嵌合するスカート壁と、前記スカート壁よりも内周側で、且つ該天面壁から垂下して前記ボトル口の内周面と密着可能なインナーリングと、前記インナーリングの内周側で前記天面壁から連続するように延出する押圧可能な内筒と、前記内筒と前記インナーリングの内周面とを接続すると共に、前記内筒の下方への押圧に追従して可動する環状可動板と、を備え、前記容器との非嵌合時における前記インナーリングの最外径L1は、前記ボトル口の内径L2よりも小さく、前記容器との嵌合に伴って前記内筒が前記軸方向に移動することで、前記環状可動板が変位し前記インナーリングの最外径L1が前記ボトル口の内周面に密着するよう拡径することを特徴とする。
なお上記した(1)に記載の合成樹脂蓋においては、(2)前記環状可動板は、一端が前記内筒と接続された短辺部と、前記短辺部の他端と一端が接続されると共に他端が前記インナーリングの内周面と接続される長辺部とを備えた断面L字状部材であることが好ましい。
また上記した(2)に記載の合成樹脂蓋においては、(3)前記短辺部における肉厚は、前記長辺部における肉厚よりも厚いことが好ましい。
さらに上記した(2)又は(3)に記載の合成樹脂蓋においては、(4)前記長辺部は、前記非嵌合時においては前記一端が前記他端よりも前記天面壁側に位置するように前記軸方向に対して上方傾斜し、前記嵌合したときにおいては前記他端が前記一端よりも前記天面壁側に位置するように前記軸方向に対して下方傾斜することが好ましい。
また上記した(2)~(4)のいずれかに記載の合成樹脂蓋においては、(5)前記長辺部の他端は、前記インナーリングの下端から所定の距離だけ離れた接続位置で接続されてなることが好ましい。
そして上記した(1)~(5)のいずれかに記載の合成樹脂蓋においては、(6)前記インナーリングは、前記容器に打栓嵌合した際、前記ボトル口の上端から間隔をおいて前記ボトル口の内周壁に密着することが好ましい。
また上記した(1)~(6)のいずれかに記載の合成樹脂蓋は、(7)前記内筒は、前記環状可動板が接続される外壁部と、前記外壁部と所定の間隙を隔てて配置されて下端に分離可能な封止部を備えた内壁部と、前記外壁部と前記内壁部とを連結する頂壁部と、を少なくとも含んで構成されていることが好ましい。
また上記した(1)~(7)のいずれかに記載の合成樹脂蓋は、(8)前記内筒は、前記非嵌合時においては前記頂壁部が前記天面壁から突出するように前記環状可動板を介して支持され、前記嵌合のとき前記環状可動板の移動に追従して前記頂壁部と前記天面壁の前記軸方向における高さが同じとなることが好ましい。
また上記した(1)~(8)のいずれかに記載の合成樹脂蓋は、(9)前記内筒の内周面には、弱化部を介して少なくとも一部が離脱可能で前記容器に貯留された内容液を注出可能な開口予定部が設けられてなることが好ましい。
また上記した(9)に記載の合成樹脂蓋は、(10)前記容器は、上方に延出する液体流入ノズルを備えた液体分配機に対して前記ボトル口が鉛直下方を向いた状態で取付られると共に、前記液体流入ノズルによって前記弱化部が破断されて前記開口予定部が開口されて前記内容液が取り出し可能となることが好ましい。
本発明の合成樹脂蓋によれば、例えば繰り返し使用される容器のボトル口に対して、当該ボトル口の上端部に傷があってもインナーリングは傷を回避し密封機能に影響を及ぼすことがなく、例えば容器が繰り返し使用される際にも内容物の漏洩を防止することが可能となる。
実施形態における合成樹脂蓋の外観斜視図である。 合成樹脂蓋を上方から見た上面図である。 合成樹脂蓋を底面から見た底面図である。 合成樹脂蓋の側方から見た部分断面図と側面図である。 合成樹脂蓋を斜視した場合の断面図である。 図4におけるα部分の拡大図である。 容器のボトル口に実施形態の合成樹脂蓋が装着された状態の部分断面図である。 容器のボトル口に容器蓋が装着された状態を斜視した際の部分断面図である。 従来構造の容器蓋が容器のボトル口に装着される際の状態遷移図である。 実施形態の容器蓋が容器のボトル口に装着される際の状態遷移図である。
以下、本発明を好適に実施するための実施形態について説明する。
なお本実施形態においては、説明の便宜上、図を用いた説明においてX、Y及びZ方向を適宜設定したが、説明の便宜上であって本発明を何ら過度に限定するものではない。また、以下で詳述する構成以外については、公知の容器や蓋(キャップ)の構造を適宜援用することができる。
≪合成樹脂蓋100≫
図1~6を参照しつつ、本実施形態に係る容器蓋としての合成樹脂蓋100の構造について詳細に説明する。
これらの図に示すとおり、本実施形態の合成樹脂蓋100は、後述するウォーターサーバーなどの液体分配器に装着される液体容器(以下、「容器200」と称する)のボトル口210に装着される。一例として、本実施形態の合成樹脂蓋100は、容器200のボトル口210に対して嵌合するように打栓される形態であってもよい。
これらの図に示すように、合成樹脂蓋100は、上方に延出する筒状のボトル口210を有する容器200に対して打栓によって嵌合されると共に、天面壁10と、スカート壁20と、インナーリング30と、内筒40と、環状可動板50と、を含んで構成されている。
なお合成樹脂蓋100の材質としては、特に制限はなく、例えばポリエチレンやポリプロピレンなど公知の合成樹脂が例示できる。
天面壁10は、図1などに示すように、容器200に貯留された内容物の注出口を有する内筒40とこの内筒40を軸方向に関して移動可能に支持する環状可動板50とを支持する円環状の部位である。
スカート壁20は、この天面壁10の周縁から垂下してボトル口210の外周面と嵌合する環状突起21を有して構成されている。そして容器200に合成樹脂蓋100が装着されたとき、容器200のボトル口210における外周面の少なくとも一部が上記スカート壁20で覆われる。
インナーリング30は、上記したスカート壁20よりも内周側で、且つ天面壁10から垂下してボトル口210の内周壁と密着可能に構成されている。後述するとおり、容器200との非嵌合時におけるインナーリング30の最外径L1は、ボトル口の内径L2よりも小さくなるように設定されている。これによりボトル口210の上端部210tに傷があっても合成樹脂蓋100はインナーリング30がボトル口210の内面に接触しながら装着されることがないため、キャップとしての密封機能を損なうことが抑制される。
内筒40は、図2及び図3などから理解されるとおり、前記したインナーリング30の内周側で天面壁10から連続するように延出する。また、本実施形態の内筒40は、後述する環状可動板50を介して合成樹脂蓋100の軸方向(図1における内筒40の中心を通ってZ軸に平行な方向)に押圧可能に構成されている。
内筒40は、図4及び図5などから理解されるとおり、後述する環状可動板50が接続される外壁部41と、外壁部41と所定の間隙を隔てて配置されて下端に分離可能な封止部43を備えた内壁部42と、外壁部41と内壁部42とを連結する頂壁部44と、を少なくとも含んで構成されている。
そして本実施形態においては、封止部43は弱化部WPを介して内壁部42に接続されている。かような弱化部WPとしては、例えば薄肉化されて引き裂き可能なスコアラインなど所定の押圧などで破断可能な公知の種々の破断構造が例示できる。
上述のとおり合成樹脂蓋100が容器200のボトル口210に装着されるとき、上記した弱化部WPが破断して封止部43の少なくとも一部が内壁部42から離脱することで内容物の注出口が形成される。従って本実施形態の弱化部WPは、将来的に破断することで開口が形成される開口予定部として機能する。
このように本実施形態の内筒40の内周面には、弱化部WPを介して少なくとも一部が離脱可能で容器200に貯留された内容液を注出可能な開口予定部が設けられてなることが好ましい。
環状可動板50は、それぞれ前記した内筒40とインナーリング30の内周面とを接続する機能を有すると共に、この内筒40の下方への押圧に追従して可動する機能を有して構成されている。
より具体的に本実施形態の環状可動板50は、図4~6などに示されるとおり、一端51aが内筒40と接続された短辺部51と、この短辺部51の他端51bと一端52aが接続されると共に他端52bがインナーリング30の内周面と接続される長辺部52とを備えた断面L字状部材であってもよい。
また、図6に示すように、短辺部51の他端51bと長辺部52の一端52aは、実質的に断面L字状部材の同じ領域に相当し、共に上記した断面L字状部材のうち折れ曲がった角部を構成している。
また、図6から理解されるとおり、短辺部51の一端51aにおける上面側は所望の深さの窪み部dp1が形成されると共に、長辺部52の他端52bにおける上面側にも同様な窪み部dp2が形成されることが好ましい。これにより、後述するとおり内筒40が使用者の押圧によって軸方向に沿って移動するときに環状可動板50がスムーズに規定された可動を実現できる。
なお、本実施例では窪み部dp1、dp2は、それぞれ短辺部51、長辺部52の上面側に形成されているが、これらの少なくとも1つを下面側に形成することや上面側と下面側の両方に設けるようにしてもよい。
また、図6に示すように、環状可動板50のうち短辺部51における肉厚t1は、長辺部52における肉厚t2よりも厚いことが好ましい。これにより、内筒40が押圧されたときに長辺部52を短辺部51が着実にサポート可能となりインナーリング30をボトル口210の内周面210iに押圧してシールポイントを着実に形成することが可能となる。
なお本実施形態の環状可動板50では短辺部51の肉厚t1が長辺部52の肉厚t2よりも厚くなるように構成されていたが、本発明は上記形態に限定されない。
すなわち、例えば短辺部51の肉厚t1が長辺部52の肉厚t2よりも薄くなるように構成されていてもよい。これにより、長辺部52が意図せず変形してインナーリング30とボトル口210とのシールポイントが弱化することを抑制することが可能となる。
あるいは短辺部51の肉厚t1と長辺部52の肉厚t2とが実質的に同じ厚みとなるように構成されていてもよい。
また本実施形態においては、例えば図3~図5を参照すると理解されるとおり、外壁部41と内壁部42の間には、環状可動板50の移動による外壁部41の変形を抑制する補強リブ45が配設されていてもよい。かような補強リブ45は、例えば外壁部41のうち内壁部42と対向する側の面において軸方向に沿って延在するように形成されていてもよい。また、補強リブ45は、内壁部42のうち外壁部41と対向する側の面において形成されていてもよいし、周方向(θz)に沿って所定の間隙を有して断続的に複数形成されていてもよい。
また、上記した周方向に断続的に複数形成される補強リブ45の周方向におけるそれぞれ幅は、図4に示すように、各々の補強リブ45で同じ幅を有していてもよい。
このように内筒40が補強リブ45を備えることで、例えば利用者が内筒40を軸方向に沿って容器側へ押圧することで環状可動板50の移動するが、この環状可動板50の移動によって外壁部41が中央側に過度に変形してしまうことを抑制できる。
≪合成樹脂蓋付き容器≫
次に図7及び図8を参照して、本実施形態の合成樹脂蓋100がボトル口210に装着された状態の容器200について説明する。
これらの図を参照すると理解されるとおり、飲料水などの内容物が充填された後の容器200には本実施形態の合成樹脂蓋100が装着される。
好適には本実施形態の合成樹脂蓋100は打栓式キャップであり、合成樹脂蓋100におけるスカート壁20の内周面には環状突起21が形成されており、上記した装着時にはこの環状突起21をボトル口210が乗り越えて合成樹脂蓋100がボトル口210に嵌合されることが好ましい。
ここで、図7などに示すように、本実施形態における容器200は、ボトル口210の頂面を含む上端部210tを有している。なお上端部210tは、同図から理解されるとおり、ボトル口210の内周面210iと上記した頂面の交点(すなわちボトル口の頂上角部)を含んで構成されている。
このように本実施形態の容器200は、上方に延出する液体流入ノズルを備えた公知の液体分配器(ウォーターサーバーなど)に対してボトル口210が鉛直下方を向いた状態で取付られることが好ましいが、容器200の液体分配器への取付態様は特に上記に限定されない。
本実施形態の合成樹脂蓋100で密封された容器200が液体分配器に取り付けられる際に、液体分配器の液体流入ノズルによって後述する合成樹脂蓋100の弱化部WPが破断されることで、開口予定部が開口されて容器200の内容液が取り出し可能となってもよい。
ここで、本実施形態に好適な容器200としては、例えば飲料水など公知の種々の液体を貯留可能な容器が例示でき、材質として例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂など公知の樹脂材料が適用できる。
なお本実施形態では容器200に貯留される液体として飲料水を例示するが、必ずしも液体であることを要せず薬剤や食品など公知の固体材料あるいはゲル状の公知の半固体材料を適用してもよい。
<従来の合成樹脂蓋による容器200への装着態様>
次に図9を参照しつつ、従来の容器蓋110による上記した容器200への装着態様について説明する。
同図から明らかなように、従来の容器蓋110のうち天面板10´の周縁で垂下するスカート壁20´の内側には、容器200のボトル口210と嵌合するためのインナーリング30´が天面板10´から垂下している。
このときインナーリング30´がボトル口210の内壁に確実に密着して着実に嵌合できるように、インナーリング30´における容器蓋110の中心からの最外径L0は、ボトル口210の内径L2よりも大きく設定(L0>L2)されている。従って、図9に示すように、容器蓋110を容器200のボトル口210に打栓などによって嵌合する際には、ボトル口210の上端部210tがインナーリング30´とまず接触する。
その後、容器蓋110がボトル口210に押し下げられることで、インナーリング30´が内周側に若干反りながら当該ボトル口210の上端部210tと摺動して最終的に容器蓋110がボトル口210に嵌合することとなる。
このように従来のインナーリング構造(換言すればL2>L0となる構造)を備えた容器蓋110では、容器200のボトル口210の上端部210tに傷が生じていた場合、容器蓋110が嵌合するとき、インナーリング30´の外側部分などがボトル口210の上端部210tと摺動して損傷が発生してしまうことが懸念される。
このような懸念は、特に容器200をリターナブルボトルとして繰り返し使用することが前提の液体分配器(ウォーターサーバーなど)に用いられる容器でより顕著となる。
<本実施形態の合成樹脂蓋100による容器200への装着態様>
次に本実施形態における合成樹脂蓋100を用いた容器200への装着態様を図10に示す。
図10から明らかなとおり、容器200のボトル口210への嵌合前段階(すなわち非嵌合時)における合成樹脂蓋100は、上記した内筒40の頂壁部44が天面壁10から突出するように環状可動板50を介して支持された状態となっている。より具体的に図10(a)に示すように、上記した非嵌合時において、環状可動板50の長辺部52は、前記した一端52aが他端52bよりも天面壁10側に位置するように軸方向(Z方向)に対して傾斜した状態(このような向きの長辺部52の傾斜態様を「上方傾斜」と称する)となっている。
このとき、合成樹脂蓋100のインナーリング30における非嵌合時の最外径L1は、上記した容器200におけるボトル口210の内径L2よりも小さく設定(L2>L1)されている。
図10(a)及び(b)を参照して理解されるとおり、容器200のボトル口210に対して合成樹脂蓋100を嵌合させるときは、まず内筒40の頂壁部44が天面壁10から突出した状態でボトル口210に対して合成樹脂蓋100を装着させる。このとき上記したL2>L1の関係から、ボトル口210に合成樹脂蓋100を装着させるときにボトル口210の上端部210tに対してインナーリング30が摺動することはない。
次いで図10(c)及び(d)を参照して理解されるとおり、合成樹脂蓋100がボトル口210に装着した状態で、内筒40をボトル口210の下方に向けて軸方向下側(マイナスZ方向)に押圧する。するとこの内筒40の下降に追従して環状可動板50が回転し、環状可動板50のうち長辺部52がインナーリング30を径方向外側に押し広げるように押圧するとともに、短辺部51は内筒40の外壁部41に密着するように旋回する。
このように容器200との嵌合に伴って内筒40が軸方向に移動することで、環状可動板50が変位してインナーリング30の最外径L1がボトル口210の内周面210iに密着するよう拡径する(すなわち、L1>L2となる)。そして本実施形態ではこの拡径動作と並行して短辺部51は内筒40の外壁部41に密着することから、長辺部52がインナーリング30を押し広げる力をサポートすることが可能となっている。これにより、インナーリング30の外側部分とボトル口210の内周壁とでシールポイントが形成されて合成樹脂蓋100が容器200のボトル口210に嵌合された状態となる。
図10(d)に示すように、このとき環状可動板50の長辺部52は、合成樹脂蓋100がボトル口210に嵌合したときにおいては他端52bが一端52aよりも天面壁10側に位置するように軸方向に対して傾斜する状態(このような向きの長辺部52の傾斜態様を「下方傾斜」と称する)となる。
このように本実施形態における環状可動板50の長辺部52は、上記した非嵌合時と嵌合時において正反対の向き(上記した上方傾斜と下方傾斜)に傾斜した状態となるように変位する。
また図6及び図10(d)に示すように、環状可動板50のうち長辺部52の他端52bは、インナーリング30の下端30zから所定の距離L3だけ離れた接続位置30xで接続されてなる。これにより、このインナーリング30の接続位置30xが長辺部52によって径方向外側に押圧されることから、当該接続位置30x周辺を含み、軸方向下方に30zに至る部分が上記したボトル口210の内周壁と密着することで上記したシールポイントが形成される。
このように本実施形態における合成樹脂蓋100のインナーリング30は、容器200に打栓嵌合された際に、ボトル口210の上端部210tから間隔をおいて(すなわち軸方向の下方で)ボトル口210の内周壁に密着している。これにより、例えば従来の容器蓋110が意図せず過去に用いられてボトル口210の上端部210tに傷がついていたとしても、上記したシールポイントを問題なく形成することが可能となっている。
さらに図10(d)に示すように、本実施形態における合成樹脂蓋100の内筒40は、 前記した嵌合時には環状可動板50の移動に追従して頂壁部44と天面壁10の軸方向における高さ(Z方向の位置)が同じとなっている。このように内筒40の頂壁部44と天面壁10とが実質的に面一となることで、合成樹脂蓋100が装着された容器200の液体分配器への装着性を向上させることが可能となっている。
なお上記した実施形態は一例であって、本願の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変形が可能である。例えば上記した実施形態において合成樹脂蓋100は容器200のボトル口210に対して打栓嵌合する形態であったが、公知のねじ構造を適用して容器200に対して合成樹脂蓋100を装着する態様であってもよい。
また、上記した実施形態において、合成樹脂蓋100の内筒40は、周方向に関して所定の間隙を有する外壁部41と内壁部42で構成された二重壁構造となっていた。しかしながら本発明は上記態様に限定されず、外壁部41と内壁部42が一体化された単壁構造の内筒40となっていてもよい。かような場合には、内筒40の下端において弱化部WPを介して封止部43が設けられることとなる。
本発明は、容器のボトル口に容器蓋を繰り返し装着する際にボトル口の損傷を抑制可能な合成樹脂蓋を実現するのに好適である。
100 合成樹脂蓋
10 天面壁
20 スカート壁
30 インナーリング
40 内筒
50 環状可動板
200 容器
210 ボトル口

Claims (10)

  1. 上方に延出する筒状のボトル口を有する容器のための合成樹脂蓋であって、
    天面壁と、
    前記天面壁の周縁から垂下して前記ボトル口の外周面と嵌合するスカート壁と、
    前記スカート壁よりも内周側で、且つ該天面壁から垂下して前記ボトル口の内周面と密着可能なインナーリングと、
    前記インナーリングの内周側で前記天面壁から連続するように延出する押圧可能な内筒と、
    前記内筒と前記インナーリングの内周面とを接続すると共に、前記内筒の下方への押圧に追従して可動する環状可動板と、を備え、
    前記容器との非嵌合時における前記インナーリングの最外径L1は、前記ボトル口の内径L2よりも小さく、
    前記容器との嵌合に伴って前記内筒が前記軸方向に移動することで、前記環状可動板が変位し前記インナーリングの最外径L1が前記ボトル口の内周面に密着するよう拡径する、
    ことを特徴とする合成樹脂蓋。
  2. 前記環状可動板は、一端が前記内筒と接続された短辺部と、前記短辺部の他端と一端が接続されると共に他端が前記インナーリングの内周面と接続される長辺部とを備えた断面L字状部材である、
    請求項1に記載の合成樹脂蓋。
  3. 前記短辺部における肉厚は、前記長辺部における肉厚よりも厚い、
    請求項2に記載の合成樹脂蓋。
  4. 前記長辺部は、
    前記非嵌合時においては前記一端が前記他端よりも前記天面壁側に位置するように前記軸方向に対して上方傾斜し、
    前記嵌合したときにおいては前記他端が前記一端よりも前記天面壁側に位置するように前記軸方向に対して下方傾斜する、
    請求項2又は3に記載の合成樹脂蓋。
  5. 前記長辺部の他端は、前記インナーリングの下端から所定の距離だけ離れた接続位置で接続されてなる、
    請求項2~4のいずれか一項に記載の合成樹脂蓋。
  6. 前記インナーリングは、前記容器に打栓嵌合した際、前記ボトル口の上端から間隔をおいて前記ボトル口の内周壁に密着する、
    請求項1~5のいずれか一項に記載の合成樹脂蓋。
  7. 前記内筒は、
    前記環状可動板が接続される外壁部と、
    前記外壁部と所定の間隙を隔てて配置されて下端に分離可能な封止部材を備えた内壁部と、
    前記外壁部と前記内壁部とを連結する頂壁部と、を少なくとも含んで構成されている、
    請求項1~6のいずれか一項に記載の打栓式合成樹脂蓋。
  8. 前記内筒は、
    前記非嵌合時においては前記頂壁部が前記天面壁から突出するように前記環状可動板を介して支持され、
    前記嵌合のとき前記環状可動板の移動に追従して前記頂壁部と前記天面壁の前記軸方向における高さが同じとなる、
    請求項1~7のいずれか一項に記載の打栓式合成樹脂蓋。
  9. 前記内筒の内周面には、弱化部を介して少なくとも一部が離脱可能で前記容器に貯留された内容液を注出可能な開口予定部が設けられてなる、
    請求項1~8のいずれか一項に記載の合成樹脂蓋。
  10. 前記容器は、
    上方に延出する液体流入ノズルを備えた液体分配機に対して前記ボトル口が鉛直下方を向いた状態で取付られると共に、前記液体流入ノズルによって前記弱化部が破断されて前記開口予定部が開口されて前記内容液が取り出し可能となる、
    請求項9に記載の合成樹脂蓋。
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