JP2023129122A - 摺動用炭素繊維及び摺動用炭素繊維の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】所定の未炭化炭素繊維を含む摺動用樹脂組成物を経て、所定加工によって摺動部材とした際に、相手材を損傷させること無しに、良好な摺動性等を発揮する摺動用炭素繊維、及びそのような摺動用炭素繊維の効率的な製造方法を提供する。【解決手段】所定加工によって摺動部材とする、摺動用樹脂組成物に配合するための摺動用炭素繊維であって、熱重量測定による5%減少温度を400~550℃の範囲内の値とすることを特徴とする摺動用炭素繊維等である。【選択図】図1

Description

本発明は、摺動用炭素繊維及び摺動用炭素繊維の製造方法に関する。
より具体的には、摺動用樹脂組成物に配合し、それを経て摺動部材に加工した場合に、相手材を損傷させること無しに、良好な摺動性等を発揮する摺動用炭素繊維、及びそのような摺動用炭素繊維の製造方法に関する。
従来の水中ポンプは、川や海からの揚水装置を初めとして、給湯機、床暖房機器、自動車のエンジン、インバータ、バッテリ、あるいは燃料電池等の水循環等の各種用途に用いられてきた。
かかる水中ポンプ(ウォータポンプ)の一例であるが、下記構成1)~5)を備えており、所定摺動部材(滑り軸受や、スラスト受部材)を含んで構成されていた(例えば、特許文献1参照)。
1)羽根車
2)羽根車を固定するための軸
3)軸に対し、羽根車を回転自在に支承するための羽根車に固定された滑り軸受
4)滑り軸受のそれぞれの端面と摺動するスラスト受部材
5)羽根車を収納しポンプ室を形成するケーシング及びカバー
そして、摺動部材である滑り軸受は、内径及び端面で荷重を受け、端面と同じ厚みを有する円筒状の軸受であり、直鎖型のポリフェニレンサルファイド樹脂をベース樹脂としてなる樹脂組成物に由来した射出成形品であった。
すなわち、所定ベース樹脂に対して、少なくとも炭素繊維と、ポリテトラフルオロエチレン樹脂又は黒鉛の少なくとも一つとを含む樹脂組成物に由来した射出成形品であり、しかも、炭素繊維については、1000~1500℃で焼成された炭化品であるという特徴があった。
又、補強材として、本発明の摺動用炭素繊維としての未炭化炭素繊維とは異なる、所定の未炭化炭素質繊維を用いてなる摺動部材も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
より具体的には、所定形状を有し、下記配合成分1)~3)からなる複合体を、焼結することによって得られる焼結体からなる摺動部材である。
例えば、原料ピッチを紡糸機に供給し、300℃に加熱した状態で不活性ガスによる加圧下にて、ノズルから押し出して原材料繊維を得て、次いで、得られた原材料繊維を、酸化性雰囲気中、150~500℃程度で0.5~5時間程度保持して不溶化してなる炭素繊維を、未炭化炭素質繊維として、所定量含有してなる摺動部材である。
1)550℃以下の温度で熱処理してなる未炭化炭素質繊維
2)ホウ素化合物等の無機粉末又は無機繊維
3)未炭化炭素質繊維、及びホウ素化合物等の無機粉末又は該無機繊維を埋設した自己焼結性を有する炭素質粉末
なお、未炭化炭素質繊維は、通常温度の炭化処理が施されていない状態の炭素質繊維であって、例えば、550℃以下の温度で熱処理(焼成)し、更に炭化する余地がある炭素質繊維と定義されている。
そして、特許文献2の実施例によれば、上記1)~3)からなる複合体を、いずれも常圧で、非酸化性雰囲気中又は窒素ガス雰囲気中で1000℃まで昇温し一次焼結し、更に、同雰囲気中で1300℃、1700℃、又は2000℃まで昇温し二次焼結している。よって、特許文献2の未炭化炭素質繊維は、最終的には、実質的に1000℃以上の温度の熱処理されていることになる。
特許6639592号公報(特許請求の範囲等) 特開平3-237062号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、特許文献1に記載された水中ポンプ(ウォータポンプ)に用いられる摺動部材(滑り軸受等)は、所定樹脂に対して、強化繊維として、1000~1500℃で焼成された炭化品を用いることを特徴としていた。
従って、配合している炭素繊維(炭化品)により、相手材を損傷させてしまうという問題があった。この問題は、炭素繊維として2000℃以上で焼成された黒鉛化品を用いても同様であった。
対策として、炭素繊維を使用しないことも考えられるが、その場合、使用条件によっては、摺動部材(滑り軸受)の強度が不足して、充分な耐摩耗性が得られないという問題があった。
又、特許文献2に記載された摺動部材においては、極めて低温焼成してなる未炭化炭素質繊維を用いる必要があって、良好な摺動性を得ることが未だ困難であるという問題が見られた。
すなわち、例えば、不活性ガスによる加圧下に、原料ピッチを300~400℃でノズルから押し出して原材料繊維を得て、次いで、酸化性雰囲気中、150~500℃程度で0.5~5時間程度保持してなる未炭化炭素質繊維を用いる必要があった。
これは、自己焼結性を有する炭素質粉末との界面密着性を高めるためであり、最終的には、前述のように常圧で非酸化性雰囲気中又は窒素ガス雰囲気中で1000℃まで昇温し一次焼結し、更に、同雰囲気中で1300℃、1700℃、又は2000℃まで昇温し一次焼結しなれば所望の強度を得ることができない。
更には、特許文献2に記載された摺動部材は、炭素繊維による強化炭素複合材料、所謂C/Cコンポジットに関する発明であり、特許文献2に記載された未炭化炭素質繊維を樹脂組成物に配合することについては一切記載がなく、何ら考慮されていなかった。
そこで、発明者は鋭意検討し、摺動用樹脂組成物に配合する炭素繊維として、所定条件下、熱重量測定によって得られる5重量%減少温度が所定範囲の未炭化炭素繊維(以下、単に、摺動用炭素繊維と称する場合がある。)を用いることによって、所定加工によって摺動部材とした場合に、摩擦係数が低く、かつ、摩耗量が少なくなり、良好な摺動性等が得られることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、摺動用樹脂組成物に配合され、かかる摺動用樹脂組成物を所定加工によって摺動部材とした際に、相手材を損傷させること無しに、良好な摺動性等を発揮する摺動用炭素繊維、及びそのような摺動用炭素繊維の効率的な製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、所定加工によって摺動部材とする、摺動用樹脂組成物に配合するための摺動用炭素繊維であって、熱重量測定による5重量%減少温度(以下、TG5と称する場合がある。)を400~550℃の範囲内の値とすることを特徴とする摺動用炭素繊維が提供され、上述した課題を解決することができる。
このように、摺動用樹脂組成物に配合するための添加剤としての摺動用炭素繊維における、熱重量測定による5重量%減少温度を所定範囲に規定することによって、所定摺動部材に加工した場合に、相手材(例えば、ステンレス鋼やアルミニウム合金等の金属)を損傷させること無しに、長期間に渡って良好な摺動性を発揮することができる。
又、このような摺動用炭素繊維であれば、各種の樹脂成分に対する均一混合性に優れており、比較的少ない配合量でもって、良好な摺動性を発揮することができる。
更に言えば、このような摺動用炭素繊維であれば、摺動用樹脂組成物に配合し、所定摺動部材に加工した際に、耐熱性、機械的強度、低線膨張係数、摩擦係数及び摩耗量、帯電防止性等について、十分な特性を発揮することができる。
又、本発明の摺動用炭素繊維を構成するにあたり、JIS R 7606:2000に準拠して測定される引張弾性率を10~35GPaの範囲内の値とすることが好ましい。
このように、摺動用炭素繊維の引張弾性率を規定し、それを配合した後、所定摺動部材に加工した場合に、線膨張係数、摩擦係数、及び摩耗量を所定値以下の値に調整しやすくなる。
又、本発明の摺動用炭素繊維を構成するにあたり、JIS R 7606:2000に準拠して測定される引張伸びを2~5%の範囲内の値とすることが好ましい。
このように、摺動用炭素繊維の引張伸びを規定することによって、そのような摺動用炭素繊維を配合して、摺動用樹脂組成物とした後、所定摺動部材に加工した場合に、線膨張係数、摩擦係数、及び摩耗量を所定値以下の値に更に容易に調整し、ひいては、耐久性や耐摩耗性を向上させることができる。
又、本発明の摺動用炭素繊維を構成するにあたり、JIS K 7209:2000に準拠して測定される飽和水分率を1~8重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
このように、摺動用炭素繊維の飽和水分率を規定することによって、摺動用炭素繊維に由来した摺動部材等における吸水による寸法変化を抑制し、寸法精度の維持が容易になるためである。
又、本発明の摺動用炭素繊維を構成するにあたり、表面におけるXPS元素分析による炭素量を、全体量に対して、85~96重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
このように、摺動用炭素繊維の表面におけるXPS元素分析による炭素量を規定することによって、そのような摺動用炭素繊維を配合して、摺動用樹脂組成物とした後、所定摺動部材に加工した場合に、より定量性をもって、優れた摺動性を長期間に渡って発揮することができる。
又、本発明の摺動用炭素繊維を構成するにあたり、体積抵抗率を1×100~1×104Ω・cmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように、摺動用炭素繊維の体積抵抗率を制限することによって、そのような炭素繊維を配合して、摺動用樹脂組成物とした後、所定摺動部材に加工した場合に、耐久性や耐摩耗性等のみならず、導電性や帯電防止性についても容易に調整することができる。
又、本発明の摺動用炭素繊維が配合される摺動用樹脂組成物の樹脂成分が、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリケトン樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、及び、不飽和ポリエステル樹脂からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
このように、所定の摺動用炭素繊維を配合して、摺動用樹脂組成物とする際の樹脂成分を制限することによって、所定摺動部材に加工した場合に、良好な機械的強度が得られ、ひいては、更に優れた耐久性や耐摩耗性等を発揮することができる。
なお、本発明の摺動用炭素繊維を配合して、摺動用樹脂組成物とする際に、かかる摺動用樹脂組成物には、少なくとも配合成分(a)~(c)、又は、配合成分(a)、(b)、(d)、或いは、(a)~(d)が含まれることになる。ここで、配合成分(a)とは、上記の樹脂成分であって、配合成分(b)とは、本発明の摺動用炭素繊維であり、配合成分(c)とは、後述の無機材料であり、配合成分(d)とは、後述の潤滑用添加剤である。
更に、配合成分(a)として、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を使用した場合には、配合成分(d)である潤滑用添加剤は、本発明の摺動用樹脂組成物を構成するにあたり必須の配合成分ではなく、省略することができる。
又、本発明の別の態様は、摺動用樹脂組成物に配合するための摺動用炭素繊維の製造方法であって、下記工程(1)~(2)を含むことを特徴とする摺動用炭素繊維の製造方法である。
(1)炭素繊維の原材料繊維を準備する工程
(2)炭素繊維の原材料繊維を、焼成温度が600~800℃の範囲内の値として焼成し、得られた摺動用炭素繊維の熱重量測定による5重量%減少温度を400~550℃の範囲内の値とする焼成工程。
このような工程により、摺動用樹脂組成物に配合するための添加剤として、5重量%減少温度(TG5)が所定範囲の摺動用炭素繊維を容易かつ安定的に、効率良く製造することで、摺動用樹脂組成物を経て、所定摺動部材に加工した場合に、相手材を損傷させること無しに、長期間に渡って良好な摺動性や耐摩耗性等を発揮することができる。
又、このように製造された摺動用炭素繊維であれば、各種の樹脂成分に対する均一混合性に優れており、比較的少ない配合量でもって、良好な摺動性や耐摩耗性等を発揮することができる。
図1(a)~(c)は、それぞれ炭素繊維の焼成温度と、摺動部材における線膨張係数、摩擦係数、及び、摩耗量との関係を説明するために供する図である。 図2は、炭素繊維の焼成温度と、炭素繊維の5重量%減少温度(TG5)との関係を説明するために供する図である。 図3(a)~(b)は、それぞれ炭素繊維の焼成温度と、炭素繊維の引張弾性率及び引張伸びとの関係を説明するために供する図である。 図4は、炭素繊維の焼成温度と、炭素繊維の体積抵抗率(対数表記)との関係を説明するために供する図である。 図5(a)~(c)は、それぞれ摺動用炭素繊維の配合量と、摺動部材における線膨張係数、摩擦係数、及び、摩耗量との関係を説明するために供する図である。 図6(a)~(c)は、それぞれ配合成分(b)である摺動用炭素繊維/配合成分(c)である無機材料の重量比率と、摺動部材における線膨張係数、摩擦係数、及び、摩耗量との関係を説明するために供する図である。 図7(a)~(c)は、それぞれ配合成分(b)である摺動用炭素繊維/配合成分(d)である潤滑用添加剤の重量比率と、摺動部材における線膨張係数、摩擦係数、及び、摩耗量との関係を説明するために供する図である。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、摺動部材とするための摺動用樹脂組成物に配合する摺動用炭素繊維であって、熱重量測定による5重量%減少温度を400~550℃の範囲内の値とすることを特徴とする摺動用炭素繊維である。
すなわち、本発明の摺動用炭素繊維は、図1(a)~(c)に示すように、摺動用樹脂組成物に由来した摺動部材における線膨張係数や、摩擦係数、摩耗量を制御すべく、図2に示すように、所定条件下、熱重量計測装置(TGA)によって測定される、5重量%減少温度(以下、単に、TG5と称する場合がある。)を所定範囲内とする未炭化炭素繊維である。
以下、第1の実施形態の摺動用炭素繊維につき、適宜、図面を参照しながら、より具体的に説明する。
1.種類
摺動用炭素繊維の種類に関し、TGAを用いて、空気流量100ml/min、昇温速度5℃/minの条件にて測定される5重量%減少温度(TG5)を400~550℃の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかるTG5が400℃未満になると、耐熱性や機械的強度等が過度に低下し、所定摺動部材に加工した場合に、耐久性等が著しく低下するためである。
一方、TG5が550℃を超えると、それ自体の耐熱性や機械的強度等は向上するものの、所定摺動部材に加工した場合に、摩擦係数が増大するためである。
従って、かかる未炭化炭素繊維のTG5を430~500℃の範囲内の値とすることがより好ましく、450~490℃の範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、かかるTG5は、TGAを用い、得られる減量チャートにおいて、初期重量(100重量%)から、5重量%減少温度を目安として、測定することができる。
ここで、図2に言及し、炭素繊維(摺動用炭素繊維及びそれ以外の炭素繊維を含む。以下、同様である。)の焼成温度(℃)と、その熱分解温度の一つである、TGAによる5重量%減少温度(TG5)との関係を説明する。
すなわち、図2の横軸には、炭素繊維の焼成温度(℃)が採ってあり、縦軸に、かかる炭素繊維のTG5の値(℃)が採って示してある。
そして、図2中の特性曲線は、後述するように、焼成温度のみが異なる実施例1~3、及び比較例1~2に用いた炭素繊維のTG5に関する結果に基づくものである。
又、図中において、実施例1を実1とし、比較例1を比1と記載しているが、以下同様である。
かかる図2に記載された特性曲線から理解されるように、炭素繊維の焼成温度(℃)が低いほど、TG5の値が若干低くなる傾向がある。
より具体的には、炭素繊維の焼成温度が1200℃を超えた場合、TG5は550℃を超えるが、炭素繊維の焼成温度が600~800℃の場合、TG5は400~550℃の範囲内の値であり、炭素繊維の焼成温度が600℃未満の場合、TG5は400℃未満となる場合がある。
よって、図2に示す特性曲線の結果から、炭素繊維の焼成温度を所定範囲に調整することにより、未炭化炭素繊維の焼成温度であっても、そのTG5を、所定の耐熱性を発揮する温度に制御できると言える。
又、かかる摺動用炭素繊維は、基本的に、焼成温度を比較的低く制限することによって、TG5を所定範囲内の値に制限することができる。
すなわち、従来技術の特許文献1等に記載された炭化品は、少なくとも1000℃以上、好ましくは1300~1500℃で、焼成してなる炭素繊維であり、TG5が700℃を超えてしまうことが、別途判明している。
又、従来技術の特許文献2に記載された未炭化炭素質繊維は、500℃以下の温度で焼成しているが、炭化度が相当低く、TG5が400℃未満になることが、別途判明している。
従って、かかる摺動用炭素繊維の種類につき、それを製造するに際して、通常、焼成温度を600~800℃の範囲内とすることが好ましいと言える。
よって、かかる摺動用炭素繊維のTG5は炭化程度につき、500℃以下の温度で焼成している未炭化炭素質繊維よりは高い一方、1000℃以上の温度で焼成している炭化品よりは低く、これら従来の炭素繊維と明確に区別される低温炭化物である。
すなわち、かかる摺動用炭素繊維は、未炭化炭素質繊維(低温炭化物)や炭化品とは、後述するように、引張弾性率、引張伸び、XPS元素分析(炭素量)、体積抵抗率、飽和水分率等において、大きな特性差が見られ、明確に区別することができる。
更に又、かかる摺動用炭素繊維は、焼成時間について、上述の所定温度条件下において0.1~20時間が好ましい。
この理由は、かかる焼成時間が、所定数値範囲外であると、所定温度条件下であっても、所望の性能を有する未炭化炭素繊維として得ることができないためである。
より具体的には、焼成時間が0.1時間未満になると、所定温度条件下であっても炭素化が不十分となり、得られる摺動部材の機械的強度や耐摩耗性が著しく低下したりする場合があるためである。
一方、焼成時間が20時間を超えると、所定温度条件下であっても、炭素化が過度となり、摩擦係数が増大する場合があるためである。
従って、0.2~15時間がより好ましく、0.3~10時間が更に好ましい。
2.形態
又、摺動用炭素繊維の平均繊維径(直径)としては、通常、30μm以下、好ましくは3~25μmの範囲内の値、より好ましくは5~20μmの範囲内の値であって、用途や使い勝手等に応じて、適宜定めることができる。
同様に、かかる摺動用炭素繊維の平均長さは、通常、500μm以下の値、好ましくは50~450μmの範囲内の値、より好ましくは100~400μmの範囲内の値であるが、これについても、用途や使い勝手等に応じて、適宜定めることができる。
3.引張弾性率
又、摺動用炭素繊維の引張弾性率を、通常、10~35GPaの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる摺動用炭素繊維の引張弾性率が10GPa未満の値になると、所定摺動部材に加工した場合に、機械的強度や耐摩耗性が著しく低下する場合があるためである。
一方、かかる摺動用炭素繊維の引張弾性率が35GPaを超えると、得られる摺動部材の摩擦係数が増大する場合があるためである。
従って、かかる摺動用炭素繊維の引張弾性率を、13~30GPaの範囲内の値とすることがより好ましく、16~25GPaの範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、かかる未炭化炭素繊維の引張弾性率は、JIS R 7606:2000に準拠して測定することができる。
ここで、図3(a)に言及し、炭素繊維(摺動用炭素繊維及びそれ以外の炭素繊維を含む)の焼成温度と、引張弾性率との関係を説明する。
すなわち、図3(a)の横軸に、炭素繊維の焼成温度(℃)が採ってあり、縦軸に、かかる炭素繊維の引張弾性率の値(GPa)が採って示してある。
そして、図3(a)中の特性曲線は、後述するように、焼成温度のみが異なる実施例1~3、及び比較例1~2で用いた炭素繊維の引張弾性率に基づくものである。
かかる図3(a)中の特性曲線から理解されるように、炭素繊維の焼成温度が高いほど、炭素繊維の引張弾性率の値が著しく高くなる傾向がある。
より具体的には、炭素繊維の焼成温度が600℃未満になると、引張弾性率は10GPa未満となり、炭素繊維の焼成温度が450℃の場合には、引張弾性率は1GPa未満の相当低い値となる。
又、炭素繊維の焼成温度が600~800℃であれば、引張弾性率は、少なくとも10GPa以上の値が得られ、他の製造条件(延伸条件や焼成時間)等を変えれば、最大35GPa程度の値が得られることが判明している。
更に、炭素繊維の焼成温度が1200℃を超えると、引張弾性率は35GPaを超えた値となる。
よって、炭素繊維の焼成温度を所定範囲に調整することにより、その炭素繊維の引張弾性率を、所望の範囲内の値に、確実に制御できると言える。
4.引張伸び
又、摺動用炭素繊維の引張伸びを、通常、2~5%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる摺動用炭素繊維の引張伸びが2%未満の値になると、得られる摺動部材の摩擦係数が増大する場合があるためである。
一方、かかる摺動用炭素繊維の引張伸びが5%を超えると、摺動部材に加工した場合に、機械的強度や耐摩耗性が著しく低下したりする場合があるためである。
従って、かかる引張伸びを、2.1~4%の範囲内の値とすることがより好ましく、2.2~3%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、かかる摺動用炭素繊維の引張伸びは、JIS R 7606:2000に準拠して測定することができる。
ここで、図3(b)に言及し、炭素繊維(摺動用炭素繊維及びそれ以外の炭素繊維を含む)の焼成温度と、引張伸びとの関係を説明する。
すなわち、図3(b)の横軸に、炭素繊維の焼成温度(℃)が採ってあり、縦軸に、かかる炭素繊維の引張伸びの値(%)が採って示してある。
そして、図3(b)中の特性曲線は、後述するように、炭素繊維の焼成温度のみが異なる実施例1~3、及び比較例1~2に用いた炭素繊維の引張伸びに基づくものである。
かかる図3(b)に記載された特性曲線から理解されるように、炭素繊維の焼成温度が、少なくとも600℃未満の場合には焼成温度が低いほど、炭素繊維の引張伸びの値が著しく小さくなる傾向がある。
より具体的には、炭素繊維の焼成温度が600℃未満になると、引張伸びは2%を大きく下回る値になる。
又、炭素繊維の焼成温度が600~800℃であれば、引張伸びは、少なくとも2%以上の値が得られ、他の製造条件(延伸条件や焼成時間)等を変えれば、最大5%の値が得られることが判明している。
更に、炭素繊維の焼成温度が800℃を超えると、引張伸びは2%未満の小さな値となる。
よって、炭素繊維の焼成温度を所定範囲に調整することにより、炭素繊維の引張伸びの値を、所望範囲内の値に、正確に制御できると言える。
5.XPS元素分析(炭素量)
又、摺動用炭素繊維の表面におけるXPS元素分析による炭素量を、全体量を100重量%に対して、85~96重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる炭素量を所定範囲内の値に規定することによって、従来の炭化品(黒鉛)や、未炭化炭素質繊維と異なり、所定摺動部材に加工した場合に、線膨張係数、摩擦係数及び摩耗量、がそれぞれ所定値以下となる摺動用樹脂組成物を更に容易かつ安定的に提供することができるためである。
より具体的には、かかる炭素量が、85重量%未満の値になると、得られる摺動部材の機械的強度や耐摩耗性が著しく低下したりする場合があるためである。
一方、かかる炭素量が、96重量%を超えた値になると、摩擦係数が増大する場合があるためである。
従って、かかる炭素量を、全体量に対して、86~95重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、88~94重量%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、かかる炭素量は、XPS元素分析に準拠して、炭素元素の検量線をもとに測定することができる。
6.体積抵抗率
又、摺動用炭素繊維の体積抵抗率を、通常、1×100~1×104Ω・cmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる体積抵抗率を所定範囲内の値に規定することによって、所定摺動部材に加工した場合に、従来の炭化品や、未炭化炭素質繊維と異なり、電気絶縁性や帯電防止性等に優れた摺動部材を更に容易、かつ、定量性をもって安定的に提供することができるためである。
より具体的には、かかる体積抵抗率が、1×100Ω・cm未満の値になると、帯電防止性が良好となるが、摺動部材における電気絶縁性が不十分となって、スパークする等の問題が生じる場合があるためである。
一方、かかる体積抵抗率が、1×104Ω・cmを超えた値になると、電気絶縁性が良好となるが、逆に、摺動部材に静電気がたまってしまい、帯電防止性が不十分となる場合があるためである。
従って、かかる体積抵抗率を、5×100~5×103Ω・cmの範囲内の値とすることがより好ましく、1×101~1×103Ω・cmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、かかる体積抵抗率は、四端子法に準じて、市販のデジタルボルトメーター等を用いて測定することができる。
ここで、図4に言及し、炭素繊維(摺動用炭素繊維及びそれ以外の炭素繊維を含む)の焼成温度と、体積抵抗率との関係を説明する。
すなわち、図4の横軸に、炭素繊維の焼成温度(℃)が採ってあり、縦軸に、かかる炭素繊維の体積抵抗率の値(Ω・cm)が対数表記で採って示してある。
そして、図4中の特性曲線は、後述するように、炭素繊維の焼成温度のみが異なる実施例1~3、及び比較例1~2で用いた炭素繊維の体積抵抗率に基づくものである。
かかる図4中の特性曲線から理解されるように、炭素繊維の焼成温度が高いほど、体積抵抗率が急激に低くなる傾向がある。
より具体的には、炭素繊維の焼成温度が600℃未満になると、体積抵抗率は1×104Ω・cmを大きく超える値になる。
又、炭素繊維の焼成温度が600~800℃であれば、体積抵抗率として、1×100~1×104Ω・cmの範囲内の値が得られやすくなる。
更に、炭素繊維の焼成温度が1200℃を超えると、体積抵抗率は1×10-1Ω・cm未満の小さな値となる。
よって、炭素繊維の焼成温度を所定範囲に調整することにより、体積抵抗率の値を所定範囲内の値に正確に制御でき、ひいては、炭素繊維の取り扱いが容易になり、更には、摺動部材において、所望の帯電防止性等が得られると言える。
7.飽和水分率
又、摺動用炭素繊維の飽和水分率は、プラスチックにおける吸水率の求め方を規定しているJIS K 7209:2000に準拠して測定することができるが、通常、かかる飽和水分率を、1~8重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる飽和水分率を所定範囲内の値に規定することによって、所定摺動部材に加工し、水中ポンプ用軸受等に用いた場合に、長期間にわたって、優れた摺動性等を更に容易かつ、定量性をもって得ることができるためである。
より具体的には、かかる飽和水分率が、1重量%未満の値になると、優れた摺動性等を発揮することが困難になる場合があるためである。
一方、かかる飽和水分率が、8重量%を超えた値になると、吸水による寸法変化が大きくなり、寸法精度の維持が困難になる場合があるためである。
従って、かかる飽和水分率を1.5~7重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、2~6重量%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、かかる飽和水分率は、JIS K 7209:2000に準拠して測定されるが、初期重量に対する、吸収した水分による増加重量の割合として測定することができる。
8.配合量
(1)配合量1
又、摺動用樹脂組成物において、配合成分(b)である摺動用炭素繊維の配合量を、通常、配合成分(a)である樹脂成分100重量部に対して、10~400重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、配合成分(b)である摺動用炭素繊維の配合量を所定範囲内の値に規定することによって、所定摺動部材に加工した場合に、摩擦係数及び摩耗量、線膨張係数が所定値以下となる摺動用樹脂組成物を更に容易かつ安定的に提供することができるためである。
より具体的には、かかる摺動用炭素繊維の配合量が、10重量部未満の値になると、所定摺動部材に加工した場合に、線膨張係数の値を所定範囲内に調整することが困難となったり、耐摩耗性が低下し、摩耗量が増大したりする場合があるためである。
一方、かかる摺動用炭素繊維の配合量が、400重量部を超えた値になると、摺動用樹脂組成物を摺動部材に加工した場合に、摩擦係数の値を所定範囲内に調整することが困難になったり、摺動部材に加工する際の成形加工性が著しく低下したりする場合があるためである。
従って、かかる摺動用炭素繊維の配合量を30~300重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、50~200重量部の範囲内の値とすることが更に好ましい。
ここで、図5(a)に言及し、摺動用炭素繊維の配合量と、所定摺動部材に加工した場合の、JIS K 7197:2012に準拠して測定される線膨張係数(以下、単に、線膨張係数と称する場合がある。)との関係を説明する。
すなわち、図5(a)の横軸には、配合成分(a)である樹脂成分100重量部に対する、摺動用炭素繊維の配合量(重量部)が採ってあり、縦軸に、後述する実施例1等に準拠してなる摺動用樹脂組成物を、摺動部材に加工した場合に得られる線膨張係数(1×10-5/℃)が採って示してある。
そして、図5(a)中の特性曲線は、後述するように、配合成分(a)~(d)の種類及び配合成分(a)、(c)~(d)の配合量が同一であり、配合成分(b)の配合量のみが異なる実施例1、4~5、及び比較例3、4の摺動部材の線膨張係数に関する結果に基づくものである。
かかる図5(a)に記載された特性曲線から理解されるように、摺動用炭素繊維の配合量が多いほど、若干線膨張係数が小さくなる傾向があることが理解される。
より具体的には、摺動用炭素繊維の配合量が10重量部未満になると、線膨張係数は5×10-5/℃を超えた値となるが、10重量部以上であれば、線膨張係数は、5×10-5/℃以下の値となる。
そして、更に、摺動用炭素繊維の配合量が400重量部を超えると、線膨張係数は、ほぼ4×10-5/℃程度の値になる。
次いで、図5(b)に言及し、摺動用炭素繊維の配合量と、所定摺動部材に加工した場合の摩擦係数との関係を説明する。
すなわち、図5(b)の横軸には、摺動用炭素繊維の配合量(重量部)が採ってあり、縦軸に、後述する実施例1に準拠し、摺動部材に加工した場合に得られる摩擦係数(-)が採って示してある。
そして、図5(b)中の特性曲線は、図5(a)と同様に、実施例1、4~5、及び比較例3、4の摩擦係数に関する結果に基づくものである。
かかる図5(b)に記載された特性曲線から理解されるように、摺動用炭素繊維の配合量が多いほど、摩擦係数が増大する傾向がある。
より具体的には、配合成分(a)である樹脂成分100重量部に対して、配合成分(b)である摺動用炭素繊維の配合量が、5~150重量部の範囲内であれば、摩擦係数として、0.05程度の値が得られている。
更に、摺動用炭素繊維の配合量が増えると、徐々に摩擦係数は増大し、400重量部を超えると、摩擦係数は0.4を超えた値となる傾向が得られている。
次いで、図5(c)に言及し、摺動用炭素繊維の配合量と、所定摺動部材に加工した場合の摩耗量との関係を説明する。
すなわち、図5(c)の横軸には、摺動用炭素繊維の配合量(重量部)が採ってあり、縦軸に、後述する実施例1に準拠し、摺動部材に加工した場合に、所定条件下での摩耗量(μm)が採って示してある。
そして、図5(c)中の特性曲線は、図5(a)と同様に、実施例1、4~5、及び比較例3、4の摩耗量に関する結果に基づくものである。
かかる図5(c)に記載された特性曲線から理解されるように、摺動用炭素繊維の配合量が多くなるにつれて、一旦摩耗量は減少し、その後、増大する傾向がある。
より具体的には、配合成分(a)である樹脂成分100重量部に対して、配合成分(b)である摺動用炭素繊維の配合量が、10重量部未満になると、摩耗量は100μmを超えた値となる。
又、摺動用炭素繊維の配合量が、10~400重量部の範囲であれば、諸条件に起因して多少のばらつきが見られるものの、100μm以下の低い値が得られている。
従って、図5(a)~(c)から、摺動用炭素繊維の配合量を、例えば10~400重量部の範囲内の値に制御することによって、摺動部材における線膨張係数の値、摺動性としての摩擦係数及び摩耗量を精度よく調整できることが理解される。
(2)配合量2
又、配合成分(b)である摺動用炭素繊維の配合量を、配合成分(c)の無機材料の配合量との関係で、定めることも好ましい。
より具体的には、配合成分(b)/配合成分(c)の重量比率(以下、単に、配合量の比率b/cと称する場合がある。)を1/1~10/1の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、摺動用樹脂組成物において、配合量の比率b/cを制限することによって、摺動部材に加工した場合に、更に容易に、線膨張係数、摩擦係数、及び摩耗量を所定値以下の値に調整することができるためである。
より具体的には、配合量の比率b/cが、1/1未満の値になると、摺動部材に加工した場合に、摩耗量等を所定数値範囲に調整するのが困難となる場合があるためである。
一方、配合量の比率b/cが、10/1超の値になると、摩擦係数や摩耗量等を所定数値範囲に調整するのが困難となる場合があるためである。
従って、配合量の比率b/cを、1.5/1~8/1の範囲内の値とすることがより好ましく、2/1~6/1の範囲内の値とすることが更に好ましい。
ここで、図6(a)を参照して、摺動用炭素繊維の配合量に関し、配合量の比率b/cと、線膨張係数と、の関係を説明する。
すなわち、図6(a)の横軸には、配合量の比率である配合成分(b)/配合成分(c)(-)が採ってあり、縦軸に、後述する実施例1に準拠し、摺動部材に加工した場合に得られる線膨張係数(1×10-5/℃)が採って示してある。
そして、図6(a)の特性曲線の各データは、後述するように、配合成分(a)~(d)の種類及び配合成分(a)、(c)~(d)の配合量が同一であり、配合成分(b)の配合量のみが異なる実施例1、4~5、及び比較例3、4の摺動部材の線膨張係数に関する結果に基づくものである。
かかる図6(a)中の特性曲線から理解されるように、配合量の比率b/cの値が大きいほど、線膨張係数が低くなって、安定化する傾向がある。
より具体的には、かかる配合量の比率b/cが0/1付近では、線膨張係数は5×10-5/℃を超える値となるが、かかる配合量の比率b/cが1/1程度になると、線膨張係数は5×10-5/℃未満である。
又、かかる配合量の比率b/cが更に10/1程度になると、4×10-5/℃程度の値が得られている。
又、図6(b)を参照し、摺動用炭素繊維の配合量に関し、配合量の比率b/cと、所定摺動部材に加工した場合の摩擦係数との関係を説明する。
すなわち、図6(b)の横軸には、配合量の比率である配合成分(b)/配合成分(c)(-)が採ってあり、縦軸に、後述する実施例1に準拠し、摺動部材に加工した場合に得られる摩擦係数(-)が採って示してある。
そして、図6(b)の特性曲線の各データは、図6(a)と同様に、実施例1、4~5、及び比較例3、4の摺動部材の摩擦係数に基づくものである。
かかる図6(b)中の特性曲線から理解されるように、配合量の比率b/cが大きいほど、摩擦係数が増大する傾向がある。
より具体的には、配合量の比率b/cが0/1付近~5/1付近まで、摩擦係数は0.05程度であるが、その後、徐々に増大し、配合量の比率b/cが10/1を超えると、0.1を超えた値が得られ、15/1付近では、0.5を超えた値が得られている。
又、図6(c)を参照し、摺動用炭素繊維の配合量に関し、配合量の比率b/cと、摺動部材に加工した場合の摩耗量との関係を説明する。
すなわち、図6(c)の横軸には、配合量の比率である配合成分(b)/配合成分(c)(-)が採ってあり、縦軸に、後述する実施例1に準拠し、摺動部材に加工した場合に、所定条件下での摩耗量(μm)が採って示してある。
そして、図6(c)の特性曲線の各データは、図6(a)と同様に、実施例1、4~5、及び比較例3、4の摺動部材の摩耗量に基づくものである。
かかる図6(c)中の特性曲線から理解されるように、配合量の比率b/cが大きくなるに従って、一旦摩耗量は減少し、その後、増大する傾向がある。
より具体的には、配合量の比率b/cが0/1付近では、摩耗量は100μmを超えた値となるが、配合量の比率b/cが1/1程度になると、減少して100μm以下となり、10/1を超えると、増大して、100μmを超える値となる。
従って、図6(a)~(c)から、配合量の比率b/cが、例えば1/1~10/1の範囲内の値であれば、摺動部材における線膨張係数、摺動性としての摩擦係数及び摩耗量を更に精度よく調整できることが理解される。
(3)配合量3
又、配合成分(b)である摺動用炭素繊維の配合量を、配合成分(d)の潤滑用添加剤の配合量との関係で、定めることも好ましい。
より具体的には、配合成分(b)/配合成分(d)の重量比率(以下、単に、配合量の比率b/dと称する場合がある。)を1/1~10/1の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、摺動用樹脂組成物において、配合量の比率b/dを制限することによって、摺動部材に加工した場合に、更に容易に、線膨張係数、摩擦係数、及び摩耗量を所定値以下の値に調整することができるためである。
より具体的には、配合量の比率b/dが、1/1未満の値になると、摺動部材に加工した場合に、摩耗量等を所定数値範囲に調整するのが困難となる場合があるためである。
一方、配合量の比率b/dが、10/1超の値になると、摩擦係数や摩耗量等を所定数値範囲に調整するのが困難となる場合があるためである。
従って、配合量の比率b/dを、1.5/1~8/1の範囲内の値とすることがより好ましく、2/1~6/1の範囲内の値とすることが更に好ましい。
ここで、図7(a)を参照して、摺動用炭素繊維の配合量に関し、配合量の比率b/dと、線膨張係数と、の関係を説明する。
すなわち、図7(a)の横軸には、配合量の比率である配合成分(b)/配合成分(d)(-)が採ってあり、縦軸に、後述する実施例1に準拠し、摺動部材に加工した場合の線膨張係数(1×10-5/℃)が採って示してある。
そして、図7(a)の特性曲線の各データは、後述するように、配合成分(a)~(d)の種類及び配合成分(a)、(c)~(d)の配合量が同一であり、配合成分(b)の配合量のみが異なる実施例1、4~5、及び比較例3、4の摺動部材の線膨張係数に関する結果に基づくものである。
かかる図7(a)中の特性曲線から理解されるように、配合量の比率b/dの値が大きいほど、線膨張係数が低くなって、安定化する傾向がある。
より具体的には、かかる配合量の比率b/dが0/1付近では、線膨張係数は5×10-5/℃を超えた値となるが、かかる配合量の比率b/dが1/1以上になると、線膨張係数は5×10-5/℃以下である。
又、かかる配合量の比率b/dが更に10/1程度になると、4×10-5/℃程度の値が得られている。
又、図7(b)を参照し、摺動用炭素繊維の配合量に関し、配合量の比率b/dと、所定摺動部材に加工した場合の摩擦係数との関係を説明する。
すなわち、図7(b)の横軸には、配合量の比率である配合成分(b)/配合成分(d)(-)が採ってあり、縦軸に、後述する実施例1に準拠し、所定摺動部材に加工した場合に得られる摩擦係数(-)が採って示してある。
そして、図7(b)の特性曲線の各データは、図7(a)と同様に、実施例1、4~5、及び比較例3、4の摺動部材の摩擦係数に関する結果に基づくものである。
かかる図7(b)中の特性曲線から理解されるように、配合量の比率b/dが大きいほど、摩擦係数が相当大きくなる傾向がある。
より具体的には、配合量の比率b/dが0/1付近~5/1付近では、摩擦係数は0.05程度であるが、配合量の比率b/dが10/1程度でも、0.2未満の値が得られている。
又、図7(c)を参照し、摺動用炭素繊維の配合量に関し、配合量の比率b/dと、所定摺動部材に加工した場合の摩耗量との関係を説明する。
すなわち、図7(c)の横軸には、配合量の比率である配合成分(b)/配合成分(d)(-)が採ってあり、縦軸に、後述する実施例1に準拠し、所定摺動部材に加工した場合に、所定条件下での摩耗量(μm)が採って示してある。
そして、図7(c)の特性曲線の各データは、図7(a)と同様に、実施例1、4~5、及び比較例3、4の摺動部材の摩耗量に関する結果に基づくものである。
かかる図7(c)中の特性曲線から理解されるように、配合量の比率b/dが大きくなるに従って、一旦摩耗量は減少し、その後、増大する傾向がある。
より具体的には、配合量の比率b/dが0/1付近では、摩耗量は100μmを超えた値となるが、配合量の比率b/dが1/1程度になると、減少して100μm以下となり、更に10/1を超えると、増大して100μmを超える値となる。
従って、図7(a)~(c)から、配合量の比率b/dが、例えば1/1~10/1の範囲内の値であれば、摺動部材における線膨張係数、摺動性としての摩擦係数及び摩耗量を更に精度よく調整できることが理解される。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、摺動用樹脂組成物に配合するための摺動用炭素繊維の製造方法であって、下記工程(1)~(2)を含むことを特徴とする摺動用炭素繊維の製造方法である。
(1)炭素繊維の原材料繊維を準備する工程
(2)炭素繊維の原材料繊維を、焼成温度が600~800℃の範囲内の値として焼成し、得られた摺動用炭素繊維の熱重量測定による5重量%減少温度を400~550℃の範囲内の値とする焼成工程
このような工程により、5重量%減少温度(TG5)が所定範囲の摺動用炭素繊維を容易かつ安定的に、効率良く製造することで、摺動用樹脂組成物を経て、摺動部材に加工した場合に、長期間に渡って良好な摺動性や耐摩耗性等を発揮することができる。
又、このように製造された摺動用炭素繊維であれば、それ自身の各種特性(線膨張係数、引張弾性率、引張伸び、摩擦係数等)の調整が容易になり、ひいては、所定量配合し、摺動部材に加工した場合に、長期間に渡って良好な摺動性や耐摩耗性等を発揮することができる。
1.工程1
(1)原材料繊維の選択工程
工程1は、炭素繊維の原材料繊維を準備する工程である。
第1段階として、焼成等の前の炭素繊維の原材料としては、ピッチ系等方性材料、PAN系材料があるが、それらを必要に応じて選択等して、溶融紡糸する工程である。
(2)溶融紡糸工程
1)ピッチ系等方性材料の溶融紡糸工程
ピッチ系等方性材料は、公知の製造方法に準拠して製造されるが、通常、石油や石炭から得られたピッチをそのまま原料に用いて製造される。
従って、ピッチ系等方性材料は、ナフサ由来のエチレンボトムオイル(石油系)やコールタール(石炭系)等を出発原料として、低沸点成分の除去、熱処理による重質化の進行を経て、紡糸に適したピッチを得ることができる。
但し、熱処理時に黒鉛結晶構造が発達しないように、酸素架橋を導入する等の工夫をすることが好ましい。
次いで、得られたピッチは、多数の細孔の空いた口金から吐出されて、繊維状とされることが好ましい。
次いで、水洗や延伸を行い、油剤付着と乾燥処理を行い、通常、200~300℃で加熱し、不融化処理を行い、更に延伸を行うことにより、ピッチ系等方性材料による原材料繊維とすることが好ましい。
なお、ピッチ系等方性材料の紡糸の場合、通常、短繊維連続紡糸法を採用することが好ましい。
更に言えば、ピッチ系等方性材料の紡糸の場合、紡糸ノズルの近傍に渦巻き状の気流を発生させ、旋回力で延伸する渦流法を採用することも好ましい。
3)PAN系材料の溶融紡糸工程
更に、PAN系材料についても、公知の製造方法に準拠して製造することが好ましい。
従って、まずは、モノマーのアクリロニトリル(AN)を溶媒に溶かし、重合触媒等を添加した後、所定温度で、所定時間加熱することにより、高分子量のポリアクリロニトリル(PAN)得ることが好ましい。
次いで、得られたPANを、多数の細孔の空いた口金から吐出して、繊維状とし、次いで水洗や1次延伸を行い、油剤付着と乾燥処理を行い、更に2次延伸を行うことにより PAN繊維を製造することが好ましい。
2.工程2
(1)ピッチ系等方性材料の炭化工程/黒鉛化工程
紡糸されたピッチ系等方性材料を用いて、通常、それぞれ炭化炉において、不活性ガス雰囲気中、1000~1300℃で加熱処理し、炭化させることが好ましい。
次いで、黒鉛炉において、ピッチ系等方性材料を、不活性ガス雰囲気中、2000~3000℃で加熱処理し、黒鉛化を実施することが好ましい。
但し、本発明の場合、黒鉛化工程は実施せず、炭化工程(焼成工程)のみを600~800℃で行うという特徴がある。
そして、得られた摺動用炭素繊維の熱重量測定による5重量%減少温度を400~550℃の範囲内の値となるように調整することが肝要である。
(2)PAN系材料の炭化工程/黒鉛化工程
紡糸されたPAN系材料の場合、最初に、耐炎化工程を実施する。
従って、紡糸されたPAN系材料を、連続的に耐炎化炉内を通過させながら、空気雰囲気中で200~300℃の加熱処理を行い、高温度でも融解しない耐炎化繊維に変換させ、耐炎化繊維とすることが好ましい。
次いで、炭化工程では、得られた耐炎化繊維を、連続的に炭化炉内を通過させながら、不活性ガス雰囲気(窒素ガス雰囲気)中、1000~1500℃の加熱処理を行い、炭化した炭素繊維に変換させることが好ましい。
更に、黒鉛炉において、PAN系材料を、不活性ガス雰囲気中、2000~3000℃で加熱処理し、黒鉛化を実施することが好ましい。
但し、本発明の場合、黒鉛化工程は実施せず、炭化工程(焼成工程)のみを600~800℃で行うという特徴がある。
そして、得られた摺動用炭素繊維の熱重量測定による5重量%減少温度を400~550℃の範囲内の値となるように調整することが肝要である。
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、所定加工によって摺動部材とするための摺動用樹脂組成物に配合する摺動用炭素繊維であって、熱重量測定による5重量%減少温度を400~550℃の範囲内の値とする摺動用炭素繊維を含み、少なくとも配合成分(a)~(c)、又は、配合成分(a)、(b)、(d)、或いは、(a)~(d)を有することを特徴とする摺動用樹脂組成物である。
(a)樹脂成分:100重量部
(b)5重量%減少温度が400~550℃の未炭化炭素繊維:10~400重量部
(c)無機材料:10~80重量部
(d)潤滑用添加剤:10~80重量部
1.配合成分(a)
(1)種類
配合成分(a)である樹脂成分の種類は特に制限されるものでなく、摺動部材に使用される公知の樹脂成分であれば好適に使用することができる。
より具体的には、公知の樹脂成分中、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリエーテルサルフォン樹脂(PES)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、ポリケトン樹脂(PK)、熱硬化性フェノール樹脂(PF)、エポキシ樹脂(EP)、メラミン樹脂(MF)、ジアリルフタレート樹脂(PDAP)、及び、不飽和ポリエステル樹脂(UP)からなる群から選択される少なくとも一種の耐熱性樹脂であることが好ましい。
この理由は、所定の摺動用炭素繊維を配合して、摺動用樹脂組成物とする際の樹脂成分を制限することによって、所定摺動部材に加工した場合に、良好な機械的強度が得られ、ひいては、更に優れた耐久性や耐摩耗性等を発揮することができるためである。
又、特に上記の樹脂成分の中でも、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂がより好ましい。
なお、配合成分(a)である樹脂成分(耐熱性樹脂)は、主成分として用いられれば良く、その目安としては、例えば、樹脂成分の全体量を100重量%としたときに、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることが更に好ましい。
又、配合成分(a)として、これらの耐熱性樹脂中、ポリフェニレンサルファイド樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂の変性物も含む。以下、単に、PPS樹脂と称する場合がある。)が、最も好適な樹脂成分である。
この理由は、PPS樹脂であれば、通常、結晶性の半透明な熱可塑性樹脂であって、融点が約280℃、ガラス転移点が93℃と高く、極めて高い剛性と、優れた耐熱性、寸法安定性、耐摩耗性、低吸水性等を有するためである。
しかも、PPS樹脂は、その分子構造により、架橋型、リニア型、セミリニア型があるが、それぞれ一種単独又は二種以上の組み合わせとして、好適に使用するできるためである。
そして、PPS樹脂の中でも、特に、水膜が形成されない水切れ状態、異物が噛み込んだ状態のようなアブレシブ摩耗形態を考慮した滑り軸受とするためには、靭性のあるリニア型が好ましい。
又、配合成分(a)として、ポリアミド樹脂を使用する場合、PA6(ポリアミド6、以下、同様に、略称で示す。)、PA11、PA12、PA66、PA610、PA4T、PA6T、PA6I、PA9T、PA10T、及び、PAM5Tからなる群から選択される少なくとも一種の樹脂であることが好ましい。
(2)配合量
又、配合成分(a)である樹脂成分の配合量は、得られる摺動部材の耐熱性、成形性、機械的強度等を考慮して定めることができるが、通常、摺動用樹脂組成物の全体量(100重量%)とした場合に、配合成分(a)の配合量を10~80重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる配合成分(a)の配合量が10重量%未満になると、配合成分(b)である摺動用炭素繊維(例えば、600~800℃の焼成品)や、配合成分(c)である無機材料(タルク等)の配合量が多くなることで、摺動用樹脂組成物の溶融粘度が過度に高くなり、成形加工性を悪化させ、ひいては、優れた摺動性等を発揮する摺動部材を得ることが困難となる場合があるためである。
一方、かかる配合成分(a)の配合量が80重量%を超えると、配合成分(b)である摺動用炭素繊維や、配合成分(c)である無機材料の配合量が減少して、得られる摺動部材の線膨張係数の調整が困難になったり、機械的強度等が著しく低下して、優れた摺動性を発揮できなくなったりする場合があるためである。
従って、配合成分(a)の配合量を、摺動用樹脂組成物の全体量に対して、15~60重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、20~40重量%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
2.配合成分(b)
第1の実施形態で述べた摺動用炭素繊維に関する内容と同様とすることができるため、ここでの再度の説明は省略する。
3.配合成分(c)
(1)種類
配合成分(c)である無機材料を所定量配合することを特徴とし、所定加工して得られる摺動部材において、機械的強度や耐熱性、更には、摺動性や表面平滑性等を向上させることが好ましい。
従って、無機材料の種類は特に制限されるものではないが、モース硬度が6以下となる無機材料を配合することが好ましい。
より具体的には、マイカ、タルク、黒鉛、石膏、カオリナイト、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の少なくとも一つを配合することが好ましい。
この理由は、これらの無機材料であれば、モース硬度が6以下と硬度が低いため、摺動部材とした際に、相手材との摺動抵抗を減らすことができ、摩擦係数を低く抑えることができるためである。
又、これら無機材料のうち、モース硬度が4未満であるタルク、マイカ、黒鉛、石膏、カオリナイト、あるいはその混合物(例えば、タルク/マイカの混合重量比:90/10~10/90)であれば、比較的少量の配合量であっても、良好な摺動性等を発揮できることから、より好適であると言える。
更に言えば、配合成分(c)が、タルク(含水珪酸マグネシウム:Mg3Si410(OH)2を主成分とした鉱物)であれば、比較的安価であって、配合成分(a)である樹脂成分に対して、均一に混合できることから好適である。
しかも、配合成分(c)として、タルク、或いは、上述したタルク/マイカの混合物であれば、見掛け密度が比較的均一で、かつ、その値が比較的低いという特徴がある。
より具体的には、タルク等の場合、JIS K 5101-12:2004に準拠して測定される見掛け密度を0.1~0.8g/mlの範囲内の値とすることが好ましく、0.2~0.7g/mlの範囲内の値とすることがより好ましく、0.3~0.6g/mlの範囲内の値とすることが更に好ましい。
その上、これらの無機材料であれば、射出成形や圧縮成形等によって、摺動部材を製造する際にも、所定の流動性を妨げることなく、平滑な表面が得られることから、更に好適であると言える。
(2)配合量
又、配合成分(c)である無機材料の配合量を、通常、配合成分(a)である樹脂成分100重量部に対して、10~80重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる配合成分(c)の配合量が、10重量部未満の値になると、摺動部材に加工した場合に、摺動性や耐久性が著しく低下する場合があるためである。
一方、かかる配合成分(c)の配合量が、80重量部を超えた値になると、摺動用樹脂組成物の溶融粘度が高くなり、摺動部材に加工する際の成形加工性が著しく低下する場合があるためである。
従って、かかる配合成分(c)の配合量を、配合成分(a)である樹脂成分100重量部に対して、15~60重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、20~50重量部の範囲内の値とすることが更に好ましい。
4.配合成分(d)
(1)種類
又、配合成分(d)として、配合成分(a)の樹脂成分とは異なる化合物であって、潤滑効果等を発揮する潤滑用添加剤を配合することが好ましい。
この理由は、このような潤滑用添加剤を配合することによって、摺動用樹脂組成物を構成する配合成分(a)~(b)又は配合成分(a)~(c)と相まって、加工して得られる摺動部材における摺動性等を著しく向上させることができるためである。
そして、かかる潤滑用添加剤の種類としては、所定の潤滑効果を発揮する化合物であれば特に制限されるものではないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、エチレン―テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、パーフルオロエチレン―プロペンコポリマー(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、シリコーングリース、シリコーンオイル、シリコーンコンパウド等の少なくとも一つであることが好ましい。
特に、PTFE等であれば、摩擦係数が低く、良好な耐摩耗性も発揮できるためである。又、配合成分(a)の樹脂成分として、例えば、PPS樹脂に対して、比較的広範囲の配合量であっても、均一に混合分散できるためである。
すなわち、PTFE等を用いる場合、平均粒径(レーザー回折法によるD50)を1~50μmの範囲内の値とすることが好ましく、3~20μmの範囲内の値とすることがより好ましく、5~10μmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
(2)配合量
又、配合成分(d)である潤滑用添加剤の配合量を、通常、配合成分(a)の樹脂成分100重量部に対して、10~80重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる配合成分(d)の配合量が、10重量部未満の値になると、摺動用樹脂組成物に添加しても、潤滑性付与という添加効果が発現しない場合があるためである。
一方、かかる配合成分(d)の配合量が、80重量部を超えた値になると、加工して得られる潤滑部品における線膨張係数等を所定値以下に調整することが困難となる場合があるためである。
従って、かかる配合成分(d)の配合量を、配合成分(a)である樹脂成分100重量部に対して、15~60重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、20~40重量部の範囲内の値とすることが更に好ましい。
5.その他の配合成分(e)
(1)種類
更に、配合成分(e)として、配合成分(a)~(d)以外の化合物であって、各種目的を達成するための各種添加物を配合することも好ましい。
例えば、各種添加物として、摩擦特性をより向上させるべく、変性ポリオレフィン樹脂、鉱油、エステル油、シリコーン油等の潤滑油、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、エステルワックス、部分けん化ワックス等のワックス、黒鉛、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステンの少なくとも一つを配合することが好ましい。
特に、酸化ポリエチレンワックスの中でも融点が120℃以上の酸化ポリエチレンワックスであれば、摺動部材の機械的強度や耐熱性等を維持しつつ、比較的少量配合であっても、各種配合成分の均一混合性に寄与し、更には、潤滑性、成形性等の調整が容易となることから好ましい。
一方、黒鉛であれば、その配合量や形態(平均粒径や鱗片状)を適宜変更することによって、潤滑性、成形性、導電性、隠ぺい性等の調整が比較的容易であるから、好適な配合成分(e)である。
(2)配合量
又、配合成分(e)として、黒鉛等を配合する場合、その配合量を、通常、配合成分(a)である樹脂成分100重量部に対して、1~50重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる配合成分(e)の種類にもよるが、かかる配合量が、1重量部未満の値になると、配合効果、特に、摩擦特性や潤滑性等の効果を発現しない場合があるためである。
一方、かかる配合成分(e)の配合量が、50重量部を超えた値になると、配合成分(a)の樹脂成分に対して、均一に混合することが困難となったり、潤滑性、成形性、導電性、隠ぺい性等の調整が逆に困難となったりする場合があるためである。
従って、かかる配合成分(e)の配合量を、配合成分(a)である樹脂成分100重量部に対して、1.5~30重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、2~10重量部の範囲内の値とすることが更に好ましい。
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、所定加工によって摺動部材とするための摺動用樹脂組成物に配合する摺動用炭素繊維であって、熱重量測定による5重量%減少温度を400~550℃の範囲内の値とする摺動用炭素繊維を含み、下記配合成分(a)~(c)、又は、配合成分(a)、(b)、(d)、或いは、配合成分(a)~(d)を有する摺動用樹脂組成物に由来してなる摺動部材である。
(a)樹脂成分:100重量部
(b)5重量%減少温度が400~550℃の未炭化炭素繊維:10~400重量部
(c)無機材料:10~80重量部
(d)潤滑用添加剤:10~80重量部
4.特性1(線膨張係数)
配合成分(c)として、摺動用樹脂組成物が、無機材料を所定量含む場合はもちろん、実質的に含まない場合の摺動部材の線膨張係数は、それぞれ熱機械的分析装置(TMA)を用いて、下記所定条件下にて測定することができる。
すなわち、成形加工により厚み3mm、一片の長さが5mmの方形状試験片を作成し、当該方形状試験片を、TMAを用いて、25℃から100℃まで5℃/minで昇温し、方形状試験片の長さの変化量を測定し、線膨張係数として35~80℃の樹脂の厚み方向(MD)の線膨張係数を求める。
そして、通常、かかる線膨張係数が10×10-5/℃以下であることが好ましい。
この理由は、かかる線膨張係数が10×10-5/℃を超えると、摺動熱により所望の寸法精度が維持できず、摺動部材における摺動性や耐久性が著しく低下する場合があるためである。
但し、かかる線膨張係数が、過度に小さくなると、選択可能な樹脂成分、無機材料、摺動用炭素繊維等の種類、形態、及び配合量等が過度に制限される場合がある。
従って、摺動部材としての線膨張係数を1×10-5/℃~5×10-5/℃の範囲内の値とすることがより好ましく、2×10-5/℃~4.5×10-5/℃の範囲内の値とすることが更に好ましい。
ここで、図1(a)に再度言及し、炭素繊維(摺動用炭素繊維及びそれ以外の炭素繊維を含む。)の焼成温度と、所定摺動部材に加工した場合の線膨張係数との関係を説明する。
すなわち、図1(a)の横軸には、炭素繊維の焼成温度(℃)が採ってあり、縦軸に、所定温度で焼成した炭素繊維を配合してなる摺動用樹脂組成物を、摺動部材に加工した場合に得られる線膨張係数(1×10-5/℃)との関係を示している。
そして、図1(a)の特性曲線の各データは、後述するように、配合成分(a)~(d)の種類や配合量が、それぞれ同一であって、炭素繊維の焼成温度のみが異なる実施例1~3及び比較例1~2に用いた炭素繊維の線膨張係数に基づくものである。
かかる図1(a)に記載された特性曲線から理解されるように、炭素繊維の焼成温度(℃)であれば、所定摺動部材における線膨張係数に対する顕著な影響はないことが理解される。
5.特性2(摩擦係数)
又、配合成分(c)として、摺動用樹脂組成物が、無機材料を所定量含む場合はもちろん、実質的に含まない場合の摺動部材としての摩擦係数は、JIS K 7218:1986に準じて、スラスト一方向回転法を用い、下記条件にて測定することができる。
すべり速度 :90m/min
荷重(面圧):10kg/cm2
試験時間 :20時間
試験片 :30mm(横幅)×30mm(縦幅)×3mm(厚さ)の角プレート
相手材 :中空円筒状(SUS304製、内径20mm、外径25.6mm、長さ1
5mm、表面粗さRa0.1)
潤滑条件 :無潤滑
そして、通常、かかる摩擦係数を0.4以下の値とすることが好適である。
この理由は、かかる摩擦係数が0.4を超えると、摺動部材における摺動性や耐久性が著しく低下する場合があるためである。
但し、摺動部材の目的や形態等によるが、かかる摩擦係数として、0.01~0.2の範囲内の値であることがより好ましく、0.03~0.1の範囲内の値であることが更に好ましい。
又、図1(b)は、炭素繊維(摺動用炭素繊維及びそれ以外の炭素繊維を含む。)の焼成温度と、摺動部材に加工した場合の摩擦係数との関係を説明するための図である。
すなわち、図1(b)の横軸には、炭素繊維の焼成温度(℃)が採ってあり、縦軸に、所定温度で焼成した炭素繊維を配合してなる摺動用樹脂組成物を、摺動部材に加工した場合に得られる摩擦係数(-)との関係を示している。
そして、図1(b)の特性曲線の各データは、後述するように、配合成分(a)~(d)の種類や配合量が、それぞれ同一であって、焼成温度のみが異なる実施例1~3及び比較例1~2に用いた炭素繊維の摩擦係数に関する結果に基づくものである。
かかる図1(b)の特性曲線から理解されるように、炭素繊維の焼成温度が低いほど、所定摺動部材における摩擦係数が小さくなる傾向がある。
より具体的には、炭素繊維の焼成温度が1250℃程度であれば、所定摺動部材における摩擦係数を0.4以下の値に調整でき、炭素繊維の焼成温度が800℃程度であれば、摩擦係数を0.1以下の値に調整できることが理解される。
6.特性3(耐久時間)
又、摺動部材としての摺動性の目安としての耐久時間は、上述したスラスト一方向回転法を用いて測定することができる。
そして、通常、良好な摺動性の目安として、かかる摺動部材としての耐久時間が、10時間以上であることが好適である。
但し、摺動部材の目的や形態等によるが、かかる耐久時間として、15時間以上であることがより好ましく、20時間以上であることが更に好ましい。
7.特性4(摩耗量)
又、摺動部材としての摺動性の別な目安としての摩耗量は、上述したスラスト一方向回転法を用いて測定することができる。
すなわち、スラスト一方向回転法を、所定時間(20時間)行い、20時間経過した後の、摺動部材からなる試験片の初期値からの厚さ変化を算出し、それを摩耗量とすることができる。
そして、通常、良好な摺動性の目安として、かかる試験片の摩耗量が、100μm以下であることが好適である。
但し、摺動部材の目的や形態等によるが、かかる試験片の摩耗量が80μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。
なお、20時間経過する前に、試験片に溶融現象が確認された場合には、その時点でスラスト一方向回転法による試験を終了し、摺動部材からなる試験片の初期値からの厚さ変化を算出し、それを摩耗量とする。
又、図1(c)は、炭素繊維(摺動用炭素繊維及びそれ以外の炭素繊維を含む。)の焼成温度と、それを含む摺動部材に加工した場合の所定条件下での摩耗量との関係を説明するための図である。
すなわち、図1(c)の横軸には、炭素繊維の焼成温度(℃)が採ってあり、縦軸に、所定温度で焼成した炭素繊維を配合してなる摺動用樹脂組成物を、摺動部材に加工した場合に、上述の測定条件下での摩耗量(μm)との関係を示している。
そして、図1(c)の特性曲線の各データは、後述するように、配合成分(a)~(d)の種類や配合量が、それぞれ同一であって、炭素繊維の焼成温度のみが異なる実施例1~3及び比較例1~2の摩耗量に基づくものである。
かかる図1(c)の特性曲線から理解されるように、炭素繊維の焼成温度(℃)が高くなるにつれて、一旦摩耗量は減少し、その後、増大する傾向がある。
より具体的には、炭素繊維の焼成温度(℃)が600℃未満になると、摩耗量は100μmを超えた値となるが、600℃では100μm以下となり、800℃を超えると再び100μmを超えた値となる。
従って、図1(a)~(c)に示す特性曲線の結果を併せて考慮すれば、炭素繊維の焼成温度(℃)を所定範囲(800℃以下、特に、600~800℃)に調整することによって、摺動部材に加工した場合に、線膨張係数を低く維持したまま、摺動性としての摩擦係数及び摩耗量を所定値以下にできると言える。
以下、本発明を実施例に基づき、詳細に説明する。但し、特に理由なく、本発明の権利範囲が、実施例の記載によって狭められることはない。
又、実施例において用いた配合成分(a)である樹脂、配合成分(b)である摺動用炭素繊維、配合成分(c)である無機材料、及び、配合成分(d)である潤滑用添加剤等は、以下の通りである。
(A)配合成分(a)
(A-1)ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)(ポリプラスチックス社製、商品名「ジュラファイド」、PPS樹脂の種類:リニア型)
(A-2)ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK樹脂)(ソルベイスペシャルティポリマーズ社製、商品名「キータスパイア」)
(A-3)ポリエーテルサルフォン樹脂(PES樹脂)(住友化学社製、商品名「スミカエクセル」
(B)配合成分(b)
(B-1)等方性ピッチ系未炭化炭素繊維1(焼成温度:700℃、焼成時間:30分、平均直径:15μm、平均長さ:200μm、飽和水分率:5.8重量%)
(B-2)等方性ピッチ系未炭化炭素繊維2(焼成温度:650℃、焼成時間:30分、平均直径:15μm、平均長さ:200μm、飽和水分率:5.5重量%)
(B-3)等方性ピッチ系未炭化炭素繊維3(焼成温度:750℃、焼成時間:30分、平均直径:15μm、平均長さ:200μm、飽和水分率:6.5重量%)
(B´)配合成分(b)に相当する炭素繊維
(B´-1)等方性ピッチ系炭素繊維1(焼成温度:450℃、焼成時間:30分、平均直径:15μm、平均長さ:200μm、飽和水分率:8.5重量%)
(B´-2)等方性ピッチ系炭素繊維2(焼成温度:1300℃、焼成時間:30分、平均直径:15μm、平均長さ:200μm、飽和水分率:0.5重量%)
(C)配合成分(c)
(C-1)タルク(日本タルク社製、商品名「MS-P」、平均粒径:14μm)
(C-2)マイカ(ヤマグチマイカ社製、商品名「J-31M」、平均粒径:23μm)
(D)配合成分(d)
(D-1)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(AGC社製、商品名「フルオン(登録商標)PTFE」、平均粒径:5μm)
(D-2)パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)(ダイキン工業社製、商品名「ネオフロン」、平均粒径:5μm)
(D-3)エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)(AGC社製、商品名「フルオン(登録商標)ETFE」、平均粒径:5μm)
[実施例1]
1.摺動用樹脂組成物及び評価用部材の作成
(1)摺動用樹脂組成物の作成
攪拌機付きの所定容器内に、表1に示すように、配合成分(a)の樹脂成分であるA-1としてのPPS樹脂100重量部に対して、配合成分(b)の摺動用炭素繊維として、B-1を100重量部、配合成分(c)の無機材料であるC-1を30重量部、配合成分(d)の潤滑用添加剤であるD-1を30重量部の割合となるように秤量して、収容した。
又、表2に示すように、配合成分(b)の摺動用炭素繊維のみにつき、TGAを用いて、TG5が450℃であることを別途確認した。
更に、配合成分(b)の摺動用炭素繊維の表面における炭素量につき、XPS元素分析に準じて、93重量%であることを別途確認した。
次いで、配合成分(a)~(d)が均一になるように、攪拌機として容量が20Lのミキサーを用いて、回転速度400rpm、90秒の条件で攪拌し、摺動用樹脂組成物とした。
次いで、得られた摺動用樹脂組成物を、大気中で130℃に加熱してある加熱炉を用いて、乾燥させ、含水率が0.01重量%以下の摺動用樹脂組成物(粉末状)とした。
次いで、得られた摺動用樹脂組成物(粉末状)を、二軸押出機を用いて溶融混錬し、ペレット状の組成物とした。
(2)評価用部材の作成
得られた摺動用樹脂組成物(ペレット状)を、射出成形装置を用いて所定金型内に充填した後、所定加圧条件(例えば、10~200MPa)で、5mm(横幅)×5mm(縦幅)×3mm(厚さ)のプレート状に加圧成形した評価用部材A、及び30mm(横幅)×30mm(縦幅)×3mm(厚さ)のプレート状に加圧成形した評価用部材Bをそれぞれ得た。
かかる評価用部材は、摺動用樹脂組成物を加工して得られる摺動部材における各種特性を評価するための代替部材であり、評価用部材のうち、評価用部材Aは、後述の評価6(線膨張係数)において使用し、評価用部材Bは、後述の評価7(摩擦係数)、評価8(耐久時間)、及び評価9(摩耗量)において、それぞれ使用する。
2.摺動用樹脂組成物及び摺動部材の評価
(1)評価1(焼成温度)
炭素繊維の焼成温度につき、下記評価基準に沿って、評価した。結果を表2に示す。
◎:650~750℃の温度である。
〇:600~650℃未満の温度、又は、750超~800℃の温度である。
△:500~600℃未満の温度、又は、800超~1000℃の温度である。
×:500℃未満の温度、又は、1000℃超の温度である。
(2)評価2(引張弾性率)
炭素繊維の引張弾性率を、JIS R 7606:2000に準拠して測定し、下記評価基準に沿って、評価した。結果を表2に示す。
◎:15~25GPaである。
〇:10~15GPa未満、又は、25超~35GPaである。
△:1~10GPa未満、又は、35超~50GPaである。
×:1GPa未満、又は、50GPa超である。
(3)評価3(引張伸び)
炭素繊維の引張伸びを、JIS R 7606:2000に準拠して測定し、下記評価基準に沿って、評価した。結果を表2に示す。
◎:2.3~4%である。
〇:2~2.3%未満、又は、4超~5%である。
△:1.5~2%未満、又は、5超~6%である。
×:1.5%未満、又は、6%超である。
(4)評価4(体積抵抗率)
炭素繊維の体積抵抗率を、デジタルボルトメーターを用いて、四端子法により測定し、下記評価基準に沿って、評価した。結果を表2に示す。
◎:5×100~1×103Ω・cmである。
〇:1×100~5×100Ω・cm未満、又は、1×103超~1×104Ω・cmである。
△:1×10-1~1×100Ω・cm未満、又は、1×104超~1×105Ω・cmである。
×:1×10-1Ω・cm未満、又は、1×105Ω・cm超である。
(5)評価5(TG5)
炭素繊維のTG5(5重量%減少温度)を、TGA(メトラー・トレド社製、製品名「TGA/SDTA851e」)を用いて、空気流量100ml/min、昇温速度5℃/minの条件にて測定し、下記評価基準に沿って、評価した。結果を表2に示す。
◎:430~500℃である。
〇:400~430℃未満、又は、500超~550℃である。
△:350~400℃未満、又は、550超~600℃である。
×:350℃未満、又は、600℃超である。
(6)評価6(線膨張係数)
摺動部材としての樹脂成形品の線膨張係数を、評価用部材Aを対象に、熱機械的分析装置(メトラー・トレド社製、製品名「TMA/SDTA841e」)を用いて測定し、下記評価基準に沿って、評価した。結果を表2に示す。
◎:4.5×10-5/℃以下である。
〇:5×10-5/℃以下である。
△:1×10-4/℃以下である。
×:1×10-4/℃超である。
(7)評価7(摩擦係数)
摺動部材の摺動性の目安の一つとしての摩擦係数を、評価用部材Bを対象に、JIS K 7218:1986に準じて、上述したスラスト一方向回転法を用い、上述した所定条件で測定した後、下記評価基準に沿って、評価した。結果を表2に示す。
◎:0.05以下である。
〇:0.1以下である。
△:0.4以下である。
×:0.4超である。
(8)評価8(耐久時間)
摺動部材の摺動性の目安の一つとしての耐久時間を、評価用部材Bを対象に、JIS K 7218:1986に準じて、上述したスラスト一方向回転法を用いて、下記評価基準に沿って、評価した。結果を表2に示す。
◎:溶融現象が、20時間にわたって観察されなかった。
〇:溶融現象が、10時間以上にわたって観察されなかった。
△:溶融現象が、1時間以上にわたって観察されなかった。
×:溶融現象が、1時間未満で観察された。
(9)評価9(摩耗量)
摺動部材の摺動性の目安の一つとしての摩耗量を、評価用部材Bを対象に、JIS K 7218:1986に準じて、上述したスラスト一方向回転法を用いて、20時間経過後に測定し、下記評価基準に沿って、摩耗量を評価した。結果を表2に示す。
なお、20時間経過する前に、評価用部材に溶融現象が確認された場合には、その時点でスラスト一方向回転法による試験を終了し、かかる評価用部材の初期値からの厚さ変化を算出し、それを摩耗量とした。
◎:50μm以下である。
〇:80μm以下である。
△:100μm以下である。
×:100μm超である。
[実施例2~3]
実施例2~3においては、配合成分(b)である未炭化炭素繊維にB-2、B-3を用いた以外は、実施例1と同様に、摺動用樹脂組成物及び評価用部材を作成し、それぞれの評価を行った。得られた評価結果等を表1及び表2に示す。
なお、表2に示すように、配合成分(b)の未炭化炭素繊維のみにつき、TGAを用いて、TG5が、それぞれ440℃、460℃であることを別途確認した。
更に、配合成分(b)の未炭化炭素繊維の表面における炭素量につき、XPS元素分析に準じて、それぞれ90重量%及び95重量%であることを別途確認した。
[実施例4~5]
実施例4~5においては、それぞれ配合成分(b)の未炭化炭素繊維の配合量を、配合成分(a)である樹脂成分100重量部に対して、50重量部及び150重量部に変えた以外は、実施例1と同様に、摺動用樹脂組成物及び評価用部材を作成し、それぞれの評価を行った。得られた評価結果等を表1及び表2に示す。
[実施例6~7]
実施例6~7においては、配合成分(a)の樹脂成分の種類を、それぞれA-2、及び、A-3に変えた以外は、実施例1と同様に、摺動用樹脂組成物及び評価用部材を作成し、それぞれの評価を行った。得られた評価結果等を表1及び表2に示す。
[実施例8~9]
実施例8~9においては、それぞれ配合成分(c)の無機材料の種類を、C-2、及び、C-1/C-2の混合品(混合重量比:80/20)に変えた以外は、実施例1と同様に、摺動用樹脂組成物及び評価用部材を作成し、それぞれの評価を行った。得られた評価結果等を表1及び表2に示す。
[実施例10~11]
実施例10~11においては、配合成分(c)の無機材料の配合量を、配合成分(a)の樹脂成分100重量部に対して、60重量部及び0重量部にそれぞれ変えた以外は、実施例1と同様に、摺動用樹脂組成物及び評価用部材を作成し、それぞれの評価を行った。得られた評価結果等を表1及び表2に示す。
[実施例12~13]
実施例12~13においては、配合成分(d)の潤滑用添加剤の配合量を、配合成分(a)の樹脂成分100重量部に対して、60重量部及び0重量部にそれぞれ変えた以外は、実施例1と同様に、摺動用樹脂組成物及び評価用部材を作成し、それぞれの評価を行った。得られた評価結果等を表1及び表2に示す。
[実施例14~15]
実施例14~15においては、それぞれ配合成分(d)として、潤滑用添加剤の種類を、D-2、D-3に変えた以外は、実施例1と同様に、摺動用樹脂組成物及び評価用部材を作成し、それぞれの評価を行った。得られた評価結果等を表1及び表2に示す。
[比較例1~2]
比較例1~2においては、配合成分(b)に相当する炭素繊維として、B´-1及びB´-2に、それぞれ変えた以外は、実施例1と同様に、摺動用樹脂組成物及び摺動部材を作成し、それぞれの評価を行った。得られた評価結果等を表1及び表2に示す。
なお、表2に示すように、配合成分(b)に相当する炭素繊維のみにつき、TGAを用いて、TG5が、それぞれ390℃、560℃であることを別途確認した。
更に、配合成分(b)に相当する炭素繊維の表面における炭素量につき、XPS元素分析に準じて、それぞれ84重量%及び97重量%であることを別途確認した。

[比較例3~4]
比較例3~4においては、配合成分(a)の樹脂成分100重量部に対して、配合成分(b)の未炭化炭素繊維の配合量を、5重量部及び450重量部にそれぞれ変えた以外は、実施例1と同様に、摺動用樹脂組成物及び評価用部材を作成し、それぞれの評価を行った。得られた評価結果等を表1及び表2に示す。
Figure 2023129122000002
Figure 2023129122000003
以上、詳述したように、樹脂成分に対して、本発明の摺動用炭素繊維等を配合し、摺動用樹脂組成物を経て、摺動部材に加工した場合に、相手材を損傷させること無しに、摩擦係数及び摩耗量等が低くなって、優れた摺動性等を有する摺動部材が提供できるようになった。
特に、本発明の摺動用炭素繊維等を配合してなる摺動用樹脂組成物が、所定の無機材料を所定量含んでいて、それを摺動部材に加工した場合に、優れた摺動性等を有する摺動部材が提供できるようになった。
一方、本発明の摺動用炭素繊維等を配合してなる摺動用樹脂組成物が、所定の無機材料を実質的に含んでいない場合であっても、それを摺動部材に加工した場合に、相手材の種類等にもよるが、摩擦係数が相対的に低くなって、優れた摺動性や耐久性を有する摺動部材が提供できるようになった。
従って、本発明の摺動用炭素繊維は、それを含む摺動用樹脂組成物を経て、低摩擦性及び耐摩耗性に優れた水中ポンプ用の摺動部材等において、それらを含む機械部品として、幅広い分野での使用が可能である。
すなわち、自動車のエンジン、インバータ、バッテリ、あるいは燃料電池等の冷却水、薬液、溶剤、オイル、飲料等の循環、給湯機、床暖房機器等の熱水の循環を行なうための水中ポンプ、或いは、それ以外の液体ポンプの摺動部材として、幅広く使用することが期待される。
一例として、用途として水中ポンプ用軸受を想定した場合、摺動面に水が充分存在すれば流体潤滑に近い状態となり良好な摺動性が得られるものの、ポンプ稼働初期においては、軸受と相手軸がドライ状態での摩擦になるため、ドライ条件下でも良好な摺動性が要求される。
この点、従来技術の特許文献1におけるウォータポンプの滑り軸受は、潤滑剤として、ポリテトラフルオロエチレン樹脂又は黒鉛の少なくとも一つを含んでいるものの、摺動性を得るには不十分である。すなわち、ドライ条件下でも良好な低摩擦性を得るために潤滑剤の配合割合を増やすと、軸受自体の強度が低下し、耐摩耗性を悪化させてしまうことになる。
一方、耐摩耗性を向上させるために、炭素繊維の配合割合を増やすと、低摩擦を得られなくなり、ひいては、相手材を傷つけてしまう等の問題が生じる。
しかしながら、本発明の摺動用樹脂組成物に由来した摺動部材であれば、炭素繊維の配合割合を相対的に増やした場合であっても、水中ポンプ用軸受に特有の上記の問題を効果的に抑制することができる。
従って、本発明の摺動用樹脂組成物、及びそのような摺動用樹脂組成物に由来した摺動部材は、幅広い用途の中でも、特に水中ポンプ用軸受への使用が好適である。

Claims (8)

  1. 所定加工によって摺動部材とする、摺動用樹脂組成物に配合するための摺動用炭素繊維であって、
    熱重量測定による5重量%減少温度を400~550℃の範囲内の値とすることを特徴とする摺動用炭素繊維。
  2. JIS R 7606:2000に準拠して測定される引張弾性率を10~35GPaの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の摺動用炭素繊維。
  3. JIS R 7606:2000に準拠して測定される引張伸びを2~5%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の摺動用炭素繊維。
  4. JIS K 7209:2000に準拠して測定される飽和水分率を1~8重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の摺動用炭素繊維。
  5. 表面におけるXPS元素分析による炭素量を、全体量に対して、85~96重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の摺動用炭素繊維。
  6. 体積抵抗率を1×100~1×104Ω・cmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の摺動用炭素繊維。
  7. 前記摺動用樹脂組成物における樹脂成分が、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリケトン樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、及び、不飽和ポリエステル樹脂からなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の摺動用炭素繊維。
  8. 摺動用樹脂組成物に配合するための、摺動用炭素繊維の製造方法であって、下記工程(1)~(2)を含むことを特徴とする摺動用炭素繊維の製造方法。
    (1)炭素繊維の原材料繊維を準備する工程
    (2)炭素繊維の原材料繊維を、焼成温度が600~800℃の範囲内の値として焼成し、得られた摺動用炭素繊維の熱重量測定による5重量%減少温度を400~550℃の範囲内の値とする焼成工程
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