JP7082916B2 - 炭素繊維ミルドの製造方法 - Google Patents

炭素繊維ミルドの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7082916B2
JP7082916B2 JP2018138757A JP2018138757A JP7082916B2 JP 7082916 B2 JP7082916 B2 JP 7082916B2 JP 2018138757 A JP2018138757 A JP 2018138757A JP 2018138757 A JP2018138757 A JP 2018138757A JP 7082916 B2 JP7082916 B2 JP 7082916B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon fiber
resin
milled
carbon
length
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018138757A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019027000A (ja
Inventor
正樹 中通
敏明 曽我部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Gas Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka Gas Chemicals Co Ltd filed Critical Osaka Gas Chemicals Co Ltd
Publication of JP2019027000A publication Critical patent/JP2019027000A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7082916B2 publication Critical patent/JP7082916B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/62Plastics recycling; Rubber recycling

Description

本発明は、媒体、例えば、溶剤、具体的には、水などの水性溶剤などや、樹脂などのマトリックスなどに対する分散性に優れた炭素繊維ミルドを製造する方法、及び前記炭素繊維ミルドを添加して摺動性や電気伝導性を向上する方法に関する。
炭素繊維は、ピッチ、ポリアクリロニトリル(PAN)、レーヨンなどの原料を繊維状に炭素化させて得られる繊維であって、原料の種類や製造方法に応じて、種々の優れた性質、例えば、高強度、高弾性率、耐摩耗性、低摩擦性などの機械的特性、耐熱性、熱伝導性などの熱的特性、電気伝導性などの電気的特性、耐食性などの化学的特性、軽量性などを示すことから、様々な分野で利用されている。具体的な用途としては、例えば、グランドパッキンなどのシール部材、機械部品、建築部材、ロケット部品などの航空宇宙関連部材などの工業製品や、ラケット、自転車などのスポーツ用品、釣り竿などのレジャー用品などの比較的身近な製品に至るまで多岐にわたっている。
これらの用途に応じて、炭素繊維は長繊維又は短繊維の形態で利用され、例えば、長さ3mm以下の短繊維に調整したものは、通常、炭素繊維ミルド(又はミルドファイバー)と呼ばれている。炭素繊維ミルドは、通常、マトリックス中に添加され、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などの炭素繊維強化材料として利用されることが多い。このような炭素繊維強化材料において、炭素繊維の特性を有効に(又は効率よく)又は均一に発現させるために、炭素繊維ミルドの分散性(マトリックスとのなじみ易さ)の向上が要求されている。
優れた流動性や分散性を有する炭素繊維ミルドとして、例えば、特開平10-273882号公報(特許文献1)には、サイジング剤の付着量が調整された炭素繊維ミルドが開示されている。この文献の実施例では、エポキシ樹脂を主成分とするサイジング剤が付着したPAN系炭素繊維マルチフィラメントを用い、600℃又は700℃の熱処理でサイジング剤を熱分解し、付着量を所定の範囲に調整してから粉砕して炭素繊維ミルドを作製している。
しかし、この文献には、サイジング剤を空気中で熱分解させることは記載されているものの、付着した樹脂を炭素化させ形成した炭素繊維-炭素複合材料を粉砕して炭素繊維ミルドを調製することは何ら記載されていない。
また、特開平6-146118号公報(特許文献2)には、繊維表面に炭素質成長物が少なくとも突起状に成長している炭素繊維が開示されている。この文献には、表面に成長した炭素質成長物が、マトリックスとの機械的拘り(アンカー効果など)を大きくできるためか、少量の含有量で機械的強度を大幅に改善できることが記載されている。この文献の実施例では、フェロセンを付着させた炭素繊維を2500℃で4時間焼成して、炭素質成長物を有する炭素繊維を調製している。さらに、調製した炭素繊維とポリテトラフルオロエチレンとを含む複合材を成形し、この複合材が高い機械的特性を示したことが記載されている。
しかし、この文献には、炭素繊維の分散性については何ら記載されていない。また、この文献の実施例では、炭素質成長物を形成した炭素繊維をそのままポリテトラフルオロエチレンと混合しているため、分散性が十分ではない。
特開平10-273882号公報(特許請求の範囲、段落[0014]、実施例) 特開平6-146118号公報(特許請求の範囲、段落[0005][0019]、実施例)
従って、本発明の目的は、媒体、例えば、溶剤、具体的には、水などの水性溶剤などや、樹脂などのマトリックスなどに対する分散性に優れた炭素繊維ミルドを製造する方法、及び前記炭素繊維ミルドを添加して摺動性や電気伝導性を向上する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、環境への負荷を低減し、かつ低コストで炭素繊維ミルドを製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、炭素繊維強化炭素複合材料を粉砕する粉砕工程を経て得られる炭素繊維ミルドが、炭素化物で形成されているにもかかわらず、種々の媒体に対して意外にも優れた分散性を示すことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の炭素繊維ミルド(又はミルドファイバー)の製造方法は、炭素繊維強化炭素複合材料(C/Cコンポジット又は炭素繊維-炭素複合材料)を粉砕する粉砕工程を含む。前記炭素繊維強化炭素複合材料は、炭素繊維と樹脂とを含む炭素繊維含有樹脂組成物を炭素化処理して得られた材料であってもよい。前記炭素繊維は、ピッチ系炭素繊維であってもよい。前記樹脂は、炭素化可能な熱硬化性樹脂であってもよい。前記炭素繊維強化炭素複合材料において、前記樹脂に由来する炭素化物(樹脂炭素化物)の割合は、炭素繊維強化炭素複合材料全体に対して、例えば、3~85質量%程度であってもよい。前記炭素繊維強化炭素複合材料は、前記炭素繊維含有樹脂組成物を1000~3000℃で炭素化処理して得られた材料であってもよい。前記炭素繊維強化炭素複合材料は、例えば、加工時に生じる加工粉、端材、使用済みの製品などの廃材であってもよい。
また、本発明は、前記方法により得られる炭素繊維ミルドを包含する。前記炭素繊維ミルドは、純水の表面に載置すると、純水中に沈む(又は沈降する)性質を有していてもよい。前記炭素繊維ミルドの長さ平均繊維長(又は加重平均繊維長)は55~130μm程度であってもよい。前記炭素繊維ミルドは、金属元素を実質的に含まなくてもよい。
本発明は、前記製造方法で得られた炭素繊維ミルドを、マトリックスに添加して、マトリックスの摺動性を向上する方法を包含する。また、前記製造方法で得られた炭素繊維ミルドを、マトリックスに添加して、マトリックスの電気伝導性を向上する方法、特に、均一に向上する方法も包含する。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、置換基の炭素原子の数をC、C、C10などで示すことがある。例えば、炭素数が1のアルキル基は「Cアルキル」で示し、炭素数が6~10のアリール基は「C6-10アリール」で示す。
本発明の製造方法では、分散性に優れた炭素繊維ミルドを製造できる。そのため、前記炭素繊維ミルドをマトリックス中に添加して、摺動性や電気伝導性を有効に(又は効率よく)又は均一に向上できる。また、本発明では、炭素繊維強化炭素複合材料の廃材、例えば、加工時に生じる加工粉、端材、使用済みの製品などを有効にリサイクルして炭素繊維ミルドを製造できるため、環境への負荷を低減でき、かつ低コストで製造できる。
図1は、実施例4で得られた炭素繊維ミルドDと、微粒子状フェノールホルムアルデヒド樹脂との混合物の顕微鏡観察画像である。 図2は、比較例2で得られた炭素繊維ミルド2と、微粒子状フェノールホルムアルデヒド樹脂との混合物の顕微鏡観察画像である。 図3は、実施例5で得られた炭素繊維ミルドEと、微粒子状フェノールホルムアルデヒド樹脂との混合物の顕微鏡観察画像である。 図4は、比較例3で得られた炭素繊維ミルド3と、微粒子状フェノールホルムアルデヒド樹脂との混合物の顕微鏡観察画像である。 図5は、導電性試験において、成形体の表面抵抗率の測定箇所を説明するための概略図である。
本発明の炭素繊維ミルド(ミルドファイバー、炭素繊維複合ミルド、C/Cコンポジットミルド、C/Cコンポジット粉砕物、又は粉末状C/Cコンポジット)の製造方法は、炭素繊維強化炭素複合材料を粉砕する粉砕工程を含む。
[炭素繊維強化炭素複合材料]
炭素繊維強化炭素複合材料(C/Cコンポジット又は炭素繊維-炭素複合材料)は、通常、炭素繊維と樹脂とを含む炭素繊維含有樹脂組成物を炭素化(炭化)処理して得られる。
(炭素繊維)
炭素繊維としては、原料の種類に応じて、例えば、ピッチ系炭素繊維、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、フェノール樹脂系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ポリビニルアルコール系炭素繊維などが挙げられる。これらの炭素繊維は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの炭素繊維は用途に応じて適宜選択でき、通常、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維が汎用される。特に、摺動材や制電材の用途においては、ピッチ系炭素繊維が好ましい。
ピッチ系炭素繊維は、石炭又は石油由来のピッチを原料とする炭素繊維であり、等方性ピッチ系炭素繊維と、異方性ピッチ系炭素繊維とに大別できる。これらのピッチ系炭素繊維のうち、耐摩耗性、低摩擦性などの摺動性に優れ、適度な電気伝導性を有する観点から、等方性ピッチ系炭素繊維が好ましい。なお、等方性ピッチ系炭素繊維は、一般的に汎用炭素繊維と呼ばれ、異方性ピッチ系炭素繊維やPAN系炭素繊維に比べて機械的強度や弾性率は高くないものの、比較的安価に製造できる点でも好ましい。このような等方性ピッチ系炭素繊維は、例えば、摺動材、具体的には、グランドパッキンなどのシール材などや制電材、具体的には、帯電防止材、電磁波シールド材などの用途に有効に利用できる。
また、炭素繊維は、上述の原料による分類とは別に、製造時の熱処理(又は炭素化処理)における加熱温度(又は焼成温度)によって分類することもできる。そのため、本明細書及び特許請求の範囲において、1500℃未満、例えば、1000℃以上1500℃未満の温度で熱処理(炭素化処理又は非黒鉛化処理)された炭素繊維を「炭素質」の炭素繊維、1500℃以上、例えば、1500~3000℃程度の温度で熱処理(黒鉛化処理又は高熱処理)された炭素繊維を「黒鉛質」の炭素繊維と称する。なお、炭素繊維の構造は、通常、原料の種類や製造方法などに応じて異なり、黒鉛化度が向上し難い場合もあるため、「黒鉛質」の炭素繊維であっても、必ずしも黒鉛の結晶構造を有するわけではない。また、本明細書及び特許請求の範囲において、「炭素化」(又は「炭化」)は、上述のように1500℃未満の温度で熱処理する「炭素化(又は非黒鉛化)」と、1500℃以上の温度で熱処理する「黒鉛化」との双方を含む意味に用いる。
これらの炭素繊維は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの炭素繊維は用途に応じて適宜選択でき、摺動時の相手材の損耗(又は摩耗)を低減でき、電気伝導性も高い点から、黒鉛質の炭素繊維が好ましい。
また、黒鉛質の炭素繊維は、水分吸着量が少ないため、水分により成形性などの特性が低下し易い材料、例えば、樹脂などに対する強化材(又は添加剤)として有効に利用できる。なお、炭素質の炭素繊維を用いても、後述する炭素繊維強化炭素複合材料の形成において、1500℃以上に加熱することにより黒鉛質の炭素繊維としてもよい。
上述した炭素繊維のうち、高い電気伝導性が要求される用途においては、黒鉛質の等方性ピッチ系炭素繊維が好ましい。
炭素繊維の平均繊維径は特に制限されず、例えば、1~50μm、好ましい範囲としては、以下段階的に、5~30μm、8~20μm、10~15μmである。平均繊維径は、例えば、走査型電子顕微鏡などによる観察画像から、任意の10か所について測定し、その平均値として算出することができる。
炭素繊維は、長繊維であってもよく、短繊維であってもよい。短繊維である場合、繊維長は、目的とする炭素繊維ミルドの繊維長以上であればよい。平均繊維長としては、例えば、0.14~3mm、好ましくは0.14~1mm、さらに好ましくは0.18~0.4mm程度であってもよい。
炭素繊維の形状は、直線形状(又は直状)であってもよく、湾曲形状(又は曲状)であってもよい。これらの形状を有する炭素繊維は、それぞれ単独で用いてもよく、双方を組み合わせて用いてもよい。
炭素繊維の形態としては、例えば、ロービング、チョップドストランド、ミルドファイバーなどの一次元構造を有する形態;チョップドストランドマット、連続ストランドマットなどのマット、ロービングクロスなどの二次元構造を有する形態;フェルト、三次元織物、具体的には、三次元組ひも組織、多重連結組織、多軸組織などの三次元構造を有する形態などが挙げられる。これらの炭素繊維の形態は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの形態のうち、マットやフェルトがよく利用される。例えば、後述するディッピングによりプリプレグを調製する場合、炭素繊維としてフェルト(炭素繊維フェルト)がよく利用される。炭素繊維フェルトは、例えば、炭素繊維のマットを用いて、ニードルパンチ法などにより繊維を交絡させる方法などによって調製してもよい。フェルトの平均厚みは特に限定されず、例えば、3~15mm程度であってもよい。また、フェルトの目付は、例えば、100~1000g/m程度であってもよい。
(樹脂)
樹脂としては、後述する炭素繊維含有樹脂組成物の熱処理(又は炭素化処理)により炭素化して炭素化物(又は樹脂炭素化物)を形成できればよく(炭素化可能であればよく)、例えば、ポリアクリロニトリルなどの熱可塑性樹脂であってもよいが、生産性などの観点から、熱硬化性樹脂がよく利用される。
熱硬化性樹脂としては、例えば、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂などのフェノール樹脂(又はフェノールホルムアルデヒド樹脂);フラン樹脂;ユリア樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂などのアミノ樹脂;不飽和ポリエステル系樹脂;ジアリルフタレート樹脂;ビニルエステル樹脂(又はエポキシ(メタ)アクリレート樹脂);多官能(メタ)アクリレート系樹脂、;グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂;ウレタン系樹脂、;ビスマレイミド系樹脂などのポリイミド系樹脂などが挙げられる。
樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの樹脂のうち、通常、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂などがよく利用され、残炭率や生産性などの観点から、フェノール樹脂、特に、レゾール型フェノール樹脂が好ましい。
(炭素繊維含有樹脂組成物)
炭素繊維含有樹脂組成物は、炭素繊維と樹脂とが混合されていればよく、必要に応じて、慣用の添加物が含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、熱硬化性樹脂に対する硬化剤や硬化促進剤などが挙げられる。
硬化剤としては、熱硬化性樹脂の種類に応じて適宜選択でき、フェノール樹脂などでは、例えば、ヘキサメチレンテトラミン(ヘキサミン)、パラホルムアルデヒド、1,3,5-トリオキサンなどのホルムアルデヒド誘導体、ホルマリンなどが挙げられる。また、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂(エポキシ(メタ)アクリレート樹脂)、多官能性(メタ)アクリレート樹脂などの重合性不飽和結合を有する樹脂である場合、例えば、熱重合開始剤(熱ラジカル発生剤)、具体的には、ベンゾイルパーオキシドなどの有機過酸化物、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)などのアゾ化合物などが挙げられる。エポキシ樹脂の場合、例えば、アミン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール樹脂系硬化剤などが挙げられる。
硬化促進剤も熱硬化性樹脂の種類に応じて適宜選択でき、代表的には、エポキシ樹脂の硬化促進剤、例えば、アミン類、イミダゾール類、アルカリ金属又はアルカリ土類金属アルコキシド、ホスフィン類、アミド類、硫黄化合物、ホウ素化合物などが挙げられる。
これらの添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの添加剤の割合は、樹脂100質量部に対して、例えば、50質量部以下、好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下、特に、0~5質量部である。
炭素繊維含有樹脂組成物の製造方法は特に制限されず、炭素繊維の形態などに応じて慣用の方法、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を製造する方法、具体的には、ハンドレイアップ法、スプレーアップ法、真空バッグ法、加圧バッグ法、マッチドダイ法、シートモールディングコンパウンド法、フィラメントワインディング法、引抜法(プルトルージョン法)、連続積層法などが利用できる。通常、炭素繊維と熱硬化性樹脂とを含むプリプレグを調製し、このプリプレグ(又は熱硬化性樹脂)を硬化させて製造することが多い。
プリプレグの形態は特に制限されず、ロービングなどの、複数の炭素繊維が一方向に揃えられたUDプリプレグであってもよく、クロス、マット、フェルトなどの布帛状の炭素繊維の間に熱硬化性樹脂を含むクロスプリプレグであってもよい。なお、プリプレグに含まれる熱硬化性樹脂は、未硬化状態又は半硬化状態(Bステージ)であってもよい。
プリプレグの調製方法は、炭素繊維の形態などに応じて慣用の方法が利用でき、例えば、液体状の熱硬化性樹脂に炭素繊維を浸漬させる方法(ディッピング)、シャワー又はスプレーで樹脂を炭素繊維に吹き付ける方法、はけ、ブラシ、ローラーなどを用いて樹脂を炭素繊維に塗る方法などが挙げられる。これらの方法のうち、通常、ディッピングがよく利用される。なお、これらの方法で得られたプリプレグは必要に応じて乾燥してもよい。
これらの方法において、熱硬化性樹脂は、必要に応じて、溶剤(溶媒又は分散媒)で希釈して用いてもよい。溶剤としては、例えば、炭化水素類、具体的には、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサンなどの芳香族炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など;ハロゲン化炭化水素類、具体的には、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼンなど;アルコール類、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノールなどのC1-6アルコールなど;エーテル類、具体的には、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサンなどの環状エーテルなど;ケトン類、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど;エステル類、具体的には、酢酸メチル、酢酸ブチルなどの酢酸C1-4アルキルなど;グリコール類、具体的には、エチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの(ポリ)C2-4アルキレングリコールなど;グリコールエーテル類、具体的には、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類、カルビトールなどのカルビトール類、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどの(ポリ)C2-4アルキレングリコール(モノ又はジ)C1-4アルキルエーテルなど;グリコールエーテルアセテート類、具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどの(ポリ)C2-4アルキレングリコールモノC1-4アルキルエーテルアセテートなど;スルホキシド類、具体的には、ジメチルスルホキシドなど;アミド類、具体的には、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンなどが挙げられる。
これらの溶媒は単独で使用してもよく、2種以上組み合わせて混合溶媒として使用してもよい。これらの溶媒のうち、メタノール、エタノールなどのアルコール類がよく利用される。溶媒の使用量は特に制限されず、上記プリプレグの調製方法において、熱硬化性樹脂が適当な流動性(又は粘度)を示すよう調整すればよい。
プリプレグにおける熱硬化性樹脂の割合は、プリプレグ全体に対して、例えば、5~95質量%、好ましい範囲としては、以下段階的に、10~90質量%、10~80質量%、20~70質量%、30~60質量%、40~50質量%である。
このようにして得られたプリプレグは、単独で硬化させてもよいが、通常、複数のプリプレグを用いて所定の形状を有する成形体に加工してから硬化させることが多い。成形体の形状は特に制限されず、例えば、複数のプリプレグを積層して、平板形状の積層体としてもよい。また、プリプレグを円筒型のマンドレルに螺旋状に巻くことにより、円筒形状の成形体としてもよい。成形体は、通常、平板形状の積層体であることが多い。
プリプレグ(又はプリプレグの成形体)の硬化は、用いた熱硬化性樹脂が硬化可能な温度で熱処理(硬化処理)すればよい。加熱温度は、樹脂の種類などに応じて適宜選択でき、例えば、100~300℃、好ましくは150~250℃である。なお、硬化処理は必ずしも必要ではなく、硬化前のプリプレグを後述する炭素繊維含有樹脂組成物の炭素化処理に供して、炭素化処理の過程で硬化させつつ炭素化してもよい。
(炭素繊維含有樹脂組成物の炭素化処理)
上述のようにして得られた炭素繊維含有樹脂組成物を炭素化処理することにより、樹脂を炭素化させて炭素繊維強化炭素複合材料(C/Cコンポジット)を調製できる。
炭素化処理における加熱温度は、例えば、1000~3000℃、好ましくは1000~2500℃であり、樹脂などのマトリックスとの親和性や電気伝導性に優れる黒鉛質の炭素繊維ミルドが得易い観点から、1500℃以上、なかでも、1800~2300℃であるのが好ましい。
炭素化処理は、通常、不活性ガス雰囲気下、又は真空下で行われる。不活性ガス(又は非酸化性ガス)としては、例えば、窒素;アルゴン、ヘリウム、ネオンなどの希ガスなどが挙げられ、通常、窒素であることが多い。なお、本発明の効果を害しない限り、熱処理炉の種類などに応じて、空気や酸素などの酸化性ガスが存在、例えば、微量に存在していてもよい。
また、炭素化処理は、加圧、常圧又は減圧下で行ってもよく、通常、減圧下で行う場合が多い。
炭素化処理により得られるC/Cコンポジットにおいて、樹脂が炭素化した樹脂炭素化物の割合は、C/Cコンポジット全体に対して、例えば、1~90質量%程度、好ましくは3~85質量%の範囲から選択でき、より好ましい範囲としては、以下段階的に、5~80質量%、10~70質量%、15~60質量%、20~50質量%であり、さらに好ましくは25~40質量%、なかでも、25~35質量%である。樹脂炭素化物の割合が少なすぎると、炭素繊維ミルドの分散性を向上し難くなるおそれがあり、多すぎると炭素繊維としての特性が発現し難くなる。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、樹脂に由来する樹脂炭素化物の割合は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
C/Cコンポジットのかさ密度は、特に制限されず、例えば、0.04~1.6g/cm、好ましくは0.07~0.5g/cm、さらに好ましくは0.1~0.2g/cm程度であり、通常、1~1.6g/cmである。かさ密度が低いと、粉砕し易いようである。
[粉砕工程]
上述のようにして得られた炭素繊維強化炭素複合材料(C/Cコンポジット)を粉砕工程で粉砕することにより、分散性に優れた炭素繊維ミルドを調製できる。
粉砕は、慣用の粉砕機、例えば、ハンマーミル、カッターミル、せん断型スクリーン方式による粉砕機、衝撃型スクリーン方式による粉砕機、摩砕型粉砕方式による粉砕機、ジェットミル、ボールミルなどの媒体撹拌方式による粉砕機などを用いて行うことができる。粉砕機は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの粉砕機のうち、衝撃型スクリーン方式による粉砕機などを用いることが多い。
粉砕工程における粉砕機の種類や粉砕条件を適宜設定することによって、得られる炭素繊維ミルドの繊維長を目的の長さに調整することができる。また、必要に応じて、分級器や篩により炭素繊維ミルドの繊維長の分布を調整してもよい。
また、粉砕するC/Cコンポジットには、廃材を使用してもよい。廃材としては、例えば、C/Cコンポジット製の製品を製造する際に、切削、研磨などの加工により生じた加工粉や端材、C/Cコンポジット製の製品の廃棄物(又は使用済み品)などが挙げられる。このような廃材を粉砕することにより、資源を再利用できるため、環境への負荷を低減しつつ、低コスト化で炭素繊維ミルドを製造することができる。
[炭素繊維ミルドの性質]
このようにして得られる炭素繊維ミルドは、炭素繊維の表面の少なくとも一部が、非繊維状、例えば、粒状、塊状などの樹脂炭素化物で被覆されている。しかも、炭素化物で形成されているにもかかわらず、意外にも高い分散性を示す。この理由は定かではないが、粉砕工程で粉砕される際に生じる粉砕面(又は破砕面)、特に樹脂炭素化物の粉砕面に、活性部位、ダングリングボンド[共有結合に関与しない未結合手(又は不対電子)]が生成され、このダングリングボンドが分散性の向上に影響したためではないかと推測される。特に、黒鉛質の炭素繊維の場合、もともと不対電子などが少ないため、粉砕工程で生成するダングリングボンドにより、分散性を大きく向上できると考えられる。
炭素繊維ミルドの平均繊維長(長さ平均繊維長又は加重平均繊維長)は、例えば、30~200μm、好ましい範囲としては、以下段階的に、40~180μm、45~150μm、50~140μm、55~130μmであり、さらに好ましくは60~125μmである。長さ平均繊維長が長すぎると、分散性を向上できないおそれがある。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、長さ平均繊維長は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本明細書及び特許請求の範囲において、炭素繊維ミルドの平均繊維径は、走査型電子顕微鏡などによる観察画像から、原料の炭素繊維に由来する繊維径(樹脂炭素化物が被覆又は付着した部分を考慮しない繊維径)を任意の10か所について測定し、平均値として算出することができる。炭素繊維ミルドの平均繊維径は、例えば、前述した原料の炭素繊維の項に記載の平均繊維径と同等程度であってもよい。また、炭素繊維ミルドの形状は、原料の炭素繊維の形状に応じて、直線形状(又は直状)であってもよく、湾曲形状(又は曲状)であってもよい。
本発明の炭素繊維ミルドは、例えば、後述の実施例記載の方法などにより、水などの溶剤(又は分散媒)の表面にのせると、炭素繊維ミルドが溶剤中に沈み易い傾向があり、溶剤となじみ性に優れることが分かる。そのため、炭素繊維ミルドを溶剤に分散させて分散液として利用することができる。
溶剤としては、例えば、水;アルコール類、具体的には、メタノール、エタノールなどのC1-4アルコールなど;エーテル類、具体的には、ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサンなどの環状エーテル類など;ケトン類、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのジアルキルケトン類、シクロヘキサノンなどの環状ケトン類など;エステル類、具体的には、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類など;グリコールエーテルアセテート類、具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどの(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類など;スルホキシド類、具体的には、ジメチルスルホキシドなど;アミド類、具体的には、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなど;ニトリル類、具体的には、アセトニトリルなど;炭化水素類、具体的には、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など;ハロゲン化炭化水素類、具体的には、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼンなどが挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの溶剤のうち、水性溶剤、例えば、水、水溶性有機溶剤、具体的には、メタノール、エタノールなどのアルコール類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトンなどが好ましく、特に、水が好ましい。溶剤の割合は特に制限されず、用途に応じて炭素繊維ミルドを所望の濃度に調整できる。例えば、調製した分散液全体に対して、炭素繊維ミルドが、0.01~50質量%程度となるように調整してもよい。
また、本発明の炭素繊維ミルドは、分散性が高いため、マトリックス中に分散させて、炭素繊維強化材料の強化材(又は添加剤)として利用してもよい。炭素繊維強化材料(又は炭素繊維強化複合材料)としては、例えば、樹脂をマトリックスとする炭素繊維強化樹脂(炭素繊維強化樹脂組成物、炭素繊維強化プラスチック又はCFRP);アルミナ、ジルコニア、チタニアなどのセラミックスをマトリックスとする炭素繊維強化セラミックス;アルミニウム、マグネシウム、チタン、銅、スズ、及びこれらの合金などの金属をマトリックスとする炭素繊維強化金属などが挙げられる。これらのうち、CFRPとして利用されることが多い。
CFRPにおいて、マトリックスに用いられる樹脂(マトリックス樹脂)としては、熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂;アクリル系樹脂;スチレン系樹脂;塩化ビニル樹脂、ビニルアルコール系樹脂などのビニル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂;ビスフェノールA型ポリカーボネートなどのポリカーボネート系樹脂;ポリエステル系樹脂、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリアルキレンアリレート系樹脂、ポリアリレート、液晶ポリエステルなど;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン6T、ナイロンMXDなどのポリアミド系樹脂;ポリアセタール系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド系樹脂;ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどのポリスルホン系樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなどのポリエーテルケトン系樹脂;ポリエーテルイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂などの熱可塑性ポリイミド系樹脂;熱可塑性エラストマー;セルロース系樹脂、具体的には、トリアセチルセルロースなどのセルロースエステル系樹脂、エチルセルロースなどのセルロースエーテル系樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、前述の炭素繊維含有樹脂組成物の項に例示したフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの樹脂のうち、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、フェノール樹脂などがよく利用される。
CFRPにおいて、マトリックス樹脂と、炭素繊維ミルドとの割合は、例えば、前者/後者(質量比)=30/70~99.9/0.1、好ましくは50/50~99/1であり、例えば、制電材などとして利用する場合、好ましくは55/45~90/10、さらに好ましくは60/40~80/20、特に、65/35~75/25である。また、CFRPにおいて、マトリックス樹脂と、炭素繊維ミルドとの割合は、例えば、前者/後者(体積比)=30/70~99.9/0.1、好ましくは50/50~99/1であり、例えば、摺動材などとして利用する場合、好ましくは70/30~97/3、さらに好ましくは80/20~95/5、特に、85/15~93/7である。
CFRPは、本発明の効果を害しない限り、マトリックス樹脂及び炭素繊維ミルドに加えて、さらに添加剤などの他の成分を含んでいてもよい。添加剤としては、慣用の添加剤、例えば、本発明の炭素繊維ミルド以外の充填材又は補強材、導電剤、着色剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、安定剤、具体的には、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化安定剤など、分散剤、具体的には、界面活性剤など、レベリング剤、消泡剤、表面改質剤などを含んでいてもよい。これらの他の成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。他の成分の割合は、例えば、CFRP全体に対して、例えば、50質量%以下、好ましい範囲としては、以下段階的に、30質量%以下、10質量%以下、0~5質量%である。
本発明の炭素繊維ミルドは分散性に優れているため、マトリックス樹脂などのマトリックスに対して、炭素繊維由来の特性、例えば、摺動性や電気伝導性などを有効に(効率よく又は少ない添加量でも)、又は均一に付与できる。そのため、本発明は、粉砕工程を経て得られた炭素繊維ミルドを、マトリックスに添加して、マトリックスの摺動性及び電気伝導性を向上する方法も包含する。特に、1500℃以上で熱処理(又は炭素化処理)された黒鉛質の炭素繊維ミルド、特に、黒鉛質のピッチ系炭素繊維ミルドであると、より一層、マトリックスとの親和性及び電気伝導性を向上し易く、摺動材や制電材などの用途に好適に利用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。以下、評価方法について記載する。
[評価方法]
(長さ平均繊維長(又は加重平均繊維長))
炭素繊維ミルドを純水の入った容器に入れて、界面活性剤を用いて分散させた。得られた炭素繊維ミルド水分散液 約20mlを100mm角シャーレに移し、顕微鏡にセットした。画像解析装置(測定機器及び画像解析計測ソフトウエア:(株)ニレコ製の自動画像処理解析装置「LUZEX(登録商標)AP」)によって、任意の6000本の炭素繊維ミルドの長さから算出した。なお、長さ平均繊維長(Lv)は、下記式のように定義される。
Lv=(l×l+l×l+…+l×l)/(l+l+…+l
(式中、l~lは、それぞれ1~n番目の繊維の長さを示す)。
(水に対する分散性試験)
ガラス製の500mlのビーカーに純水300gを入れ、炭素繊維ミルド0.3gを金属製のスプーンにのせ、純水の水面の3cm上から水面上にまばらに配置した(又は静かに落とした)。なお、純水の電気伝導度の規格値は2.00μS/cm以下であった。炭素繊維ミルドの挙動を目視で確認し、以下の基準で評価した。
○:ビーカーの底にミルドが沈む
×:ほとんどのミルドが水の上に浮く。
(フェノール樹脂に対する分散性試験)
炭素繊維ミルドと、微粒子状フェノールホルムアルデヒト樹脂(エア・ウォーター・ベルバール(株)製「微粒状樹脂ベルパールS899」)とを等量(各5g)配合した。この配合物をビニール製の袋に入れて、1分間、袋を振って混合し、混合物を得た。得られた混合物の色合いを目視で観察した。炭素繊維ミルドが黒色であるのに対して、微粒子状フェノールホルムアルデヒト樹脂は黄褐色であるため、混合物の色合いが、より黒色に近くなる(黄褐色の度合いが少なくなる)場合、炭素繊維ミルドの親和性が高く、分散性が高いと評価した。
また、混合物を顕微鏡((株)キーエンス製「デジタルスコープ VHX-500F」)を用いて、倍率100~200倍で観察した。
[実施例1~5]
(複合材料の調製)
大阪ガスケミカル(株)製の平均繊維径13μmの等方性ピッチ系炭素繊維「ドナカーボ・マット」をニードルパンチ法によって炭素繊維フェルト(厚み10mm、幅1000mm、長さ1500mm、目付500g/m)を作製した。この炭素繊維フェルトを液状のレゾール型フェノール樹脂に浸漬させて、所定量のフェノール樹脂が添加されたプリプレグを作製した。なお、プリプレグには、後述する2000℃の熱処理後において、フェノール樹脂炭素化物(又はフェノール樹脂炭)の割合が、得られる炭素繊維強化炭素複合材料全体に対して、30質量%となるようにフェノール樹脂を添加した。なお、樹脂炭素化物の割合は、熱処理後の炭素繊維強化炭素複合材料と、原料の炭素繊維(炭素繊維フェルト)との質量差を、炭素繊維強化炭素複合材料の質量で除することにより算出した。このプリプレグを、重ね合わせて平板形状(厚み40mm程度)とした後、約200℃で熱処理して成形体を得た。得られた成形体を、熱処理炉を用いて、不活性雰囲気下、2000℃で熱処理して、平板形状の複合材料を得た。得られた複合材料のかさ密度は、0.16g/cmであった。
(炭素繊維ミルドの調製)
炭素繊維ミルドの調製には、前記複合材料を自動加工機にて加工した際に生じた粉末(加工粉)を回収したものを用いた。加工粉の長さ平均繊維長は310μmであった。
約100kgの加工粉を、衝撃型スクリーン方式による粉砕機を用いて粉砕し、炭素繊維ミルドA(実施例1:長さ平均繊維長63μm)、炭素繊維ミルドB(実施例2:長さ平均繊維長81μm)、炭素繊維ミルドC(実施例3:長さ平均繊維長101μm)、炭素繊維ミルドD(実施例4:長さ平均繊維長124μm)、及び炭素繊維ミルドE(実施例5:長さ平均繊維長136μm)を、それぞれ5~30kg調製した。なお、炭素繊維ミルドの平均繊維長は、粉砕機の回転数などを変えることによって調整した。
[比較例1~3]
大阪ガスケミカル(株)製の「ドナカーボ・マット」(平均繊維径13μm)を、衝撃型スクリーン方式による粉砕機を用いて粉砕した後、不活性雰囲気下、2000℃で熱処理し、炭素繊維ミルド1(比較例1:長さ平均繊維長67μm)、炭素繊維ミルド2(比較例2:長さ平均繊維長120μm)及び炭素繊維ミルド3(比較例3:長さ平均繊維長140μm)を得た。
[水に対する分散性試験]
水に対する分散性試験の評価結果を表1に示す。
Figure 0007082916000001
表1から明らかなように、実施例1~4の炭素繊維ミルドA~Dはビーカーの底に沈んだため、水との親和性が高く分散性に優れ、水系の溶剤などになじみ易いことが推測される。一方、比較例1~3の炭素繊維ミルド1~3は純水の表面に浮いており、何れも分散性が低かった。また、炭素繊維ミルドEも分散性が低い結果となった。
[フェノール樹脂に対する分散性試験]
同等の長さ平均繊維長を有する炭素繊維ミルドA(長さ平均繊維長63μm)と、炭素繊維ミルド1(長さ平均繊維長67μm)とを比較すると、各混合物は、ほぼ同等の黒色に近い色合いであった。
また、同等の長さ平均繊維長を有する炭素繊維ミルドD(長さ平均繊維長124μm)と、炭素繊維ミルド2(長さ平均繊維長120μm)とを比較すると、炭素繊維ミルドDを用いた混合物の方が、黒色に近い色合いであった。
さらに、同等の長さ平均繊維長を有する炭素繊維ミルドE(長さ平均繊維長136μm)と、炭素繊維ミルド3(長さ平均繊維長140μm)とを比較すると、炭素繊維ミルドEを用いた混合物の方が、黒色に近い色合いであった。
なお、炭素繊維ミルドB(長さ平均繊維長81μm)を用いた混合物及び炭素繊維ミルドC(長さ平均繊維長101μm)を用いた混合物は、いずれも黒色に近い色合いであった。
実施例の炭素繊維ミルドA~Eは、何れも分散性が高い結果となった。また、比較例のうち、最も繊維長が短い炭素繊維ミルド1は、分散性が高い結果となった。
また、図1及び図2に、微粒状樹脂と、炭素繊維ミルドD(長さ平均繊維長124μm)又は炭素繊維ミルド2(長さ平均繊維長120μm)との混合物の顕微鏡観察画像をそれぞれ示す。観察結果を比較すると、炭素繊維ミルドDを用いた混合物の方が、炭素繊維ミルドがよく分散されている(微粒状樹脂の集合体が小さい)のに対して、炭素繊維ミルド2を用いた混合物では、炭素繊維ミルドの分散性が低く、微粒状樹脂の大きな集合体が認められた。
図3及び図4に、微粒状樹脂と、炭素繊維ミルドE(長さ平均繊維長136μm)又は炭素繊維ミルド3(長さ平均繊維長140μm)を用いた混合物の顕微鏡観察画像をそれぞれ示す。観察結果を比較すると、上記炭素繊維ミルドD及び2の比較結果と同様に、炭素繊維ミルドEを用いた混合物の方が、微粒状樹脂がより分散されているのに対して、炭素繊維ミルド3を用いた混合物では、分散性が低く微粒状樹脂の大きな集合体が認められた。
[実施例6]
(四フッ化エチレン樹脂組成物及び成形体の作製)
四フッ化エチレン樹脂(ダイキン工業(株)製「NEW POLYFLON PTFE M-111」)に、実施例3で得られた炭素繊維ミルドC(長さ平均繊維長101μm)を体積割合で10%になるように配合した。この配合物をヘンシルミキサー(ヘンシェルミキサー)1200rpmで2分間混合した。この樹脂組成物を常温でプレス成形して、125mm×125mm×(厚み)3mm程度の平板とした。この平板をオーブンに入れて350℃程度の温度で加熱し、成形体を得た。得られた成形体のかさ密度は、2.0g/cmであった。
[実施例7]
炭素繊維ミルドCに代えて、実施例5で得られた炭素繊維ミルドE(長さ平均繊維長136μm)を用いた以外は、実施例6と同様にして成形体を調製した。得られた成形体のかさ密度は、2.0g/cmであった。
[比較例4]
炭素繊維ミルドCに代えて、市販のPAN系炭素繊維ミルド(平均繊維径7μm、長さ平均繊維長130μm)を用いた以外は、実施例6と同様にして成形体を調製した。得られた成形体のかさ密度は、2.1g/cmであった。なお、用いた市販のPAN系炭素繊維ミルドは、水に対する分散性試験においてビーカーの底にミルドが沈み、評価は〇であった。フェノール樹脂に対する分散性試験においては、混合物は黒色に近い色合いであった。
[摺動試験]
実施例6、7及び比較例4について摺動試験を実施した。摺動試験は、各成形体から30mm×30mm×3mmの試験片を切り出し、(株)エー・アンド・デイ製摩擦摩耗試験機「MODEL EMF-III-F」を用いてJIS K7218 A法に準拠して行った。相手材は、SUS304リング(表面粗さRa約0.3~0.4μm、接触面積2cm)を用いた。試験環境は、23℃±2℃、50%RH±5%RHであった。
試験(1)一定の滑り速度で荷重を上げて摺動させた場合の摩耗量の測定
この試験では、滑り速度1m/sの下、初期荷重50N(圧力250kPa)から、荷重ステップ50N/10分、すなわち、10分毎に50N荷重を上げて、荷重800N(圧力4000kPa)まで行った。試験機で、試験片の摩耗量、摩擦係数及び摺動面近傍の温度を測定した。なお、摺動面近傍の温度は、相手材に挿入された熱電対で測定した。摩耗量は、試験片を押さえているトルク軸に取り付けられている金属板との変位を、渦流式変位センサーで検知することにより求めた。
試験(2)一定の滑り速度及び荷重下に長時間摺動させた場合の摩耗量の測定
この試験では、滑り速度2m/sの下、荷重300N(圧力1500kPa)で2時間保持し、試験(1)と同様に試験片の摩耗量、摩擦係数及び摺動面近傍の温度を測定した。
表2に摺動試験の結果を示す。なお、試験(1)について、摩耗量は、荷重800N(圧力4000kPa)の試験終了時の摩耗量を示し、摩擦係数及び摺動面近傍の温度は、荷重800N(圧力4000kPa)における10分間の平均値を示す。試験(2)について、摩耗量は、試験終了時の摩耗量を示し、摩擦係数及び摺動面近傍の温度は、試験中の最も高い値を示す。
Figure 0007082916000002
表2から明らかなように、試験(1)において、実施例6及び7の成形体は、比較例4の成形体と比較して半分程度の摩耗量であった。また、実施例6及び7の成形体は、比較例4の成形体と比較して、低い摩擦係数及び摺動面近傍の温度を示した。実施例6及び7の成形体は、優れた摺動特性を示した。試験(2)においても、実施例6及び7の成形体の方が比較例4の成形体と比較して、優れた摺動特性を示した。なかでも、実施例7の成形体では、特に摩耗量が少なかった。これらのことから、炭素繊維複合材料の廃材が、従来のPAN系炭素繊維に比べて、優れた摺動性を付与できることが分かる。
[実施例8]
微粒子状フェノールホルムアルデヒト樹脂(エア・ウォーター・ベルパール(株)製「微粒状樹脂ベルパールS899」)に、実施例3で得られた炭素繊維ミルドC(長さ平均繊維長101μm)を質量割合で30%になるように配合した。この配合物をビニール製の袋に入れて、1分間袋を振って混合した。得られた混合物を金型に入れ、熱圧プレス機を用いて、100mm×100mm×(厚み)2mm程度の平板を成形した。なお、プレス機の温度は145℃に設定し、徐々に圧力を上げながら最高7.5MPa(成形圧)まで圧力を掛けて、圧力(成形圧)を約5分間保持した。得られた成形体のかさ密度は、1.3g/cmであった。
[実施例9]
実施例3で得られた炭素繊維ミルドCに代えて、実施例5で得られた炭素繊維ミルドE(長さ平均繊維長136μm)を用いた以外は、実施例8と同様にして成形体を調製した。得られた成形体のかさ密度は、1.3g/cmであった。
[比較例5]
実施例3で得られた炭素繊維ミルドCに代えて、比較例2で得られた炭素繊維ミルド2(長さ平均繊維長120μm)を用いた以外は、実施例8と同様にして成形体を調製した。得られた成形体のかさ密度は、1.2g/cmであった。
[比較例6]
実施例3で得られた炭素繊維ミルドCに代えて、比較例3で得られた炭素繊維ミルド3(長さ平均繊維長140μm)を用いた以外は、実施例8と同様にして成形体を調製した。得られた成形体のかさ密度は、1.3g/cmであった。
[導電性試験]
実施例8及び9並びに比較例5及び6で得られた成形体について、(株)三菱化学アナリテック製「ハイレスタ―UX」を用いて表面抵抗率を測定した。測定は、100mm×100mmの成形体1の表面の中央及び四隅の近傍、すなわち、図5に示す5箇所の丸印の位置(測定箇所)2にURSプローブ(大きさ約φ30mm)を当てて測定した。5点の表面抵抗率の平均値、最大値、最小値、標準偏差の結果を表3に示す。なお、制電効果を発現するには、一般的に、表面抵抗率が10~10Ω/□程度が好ましいとされている。
Figure 0007082916000003
表3から明らかなように、いずれの実施例においても、表面抵抗率の測定値が1.5×10~2.8×10Ω/□の範囲にあり、制電材に適していた。なお、表面抵抗率の値(又は桁)は、炭素繊維ミルドの平均繊維長に大きく影響され易いため、炭素繊維ミルドの平均繊維長が近い実施例及び比較例を比較(実施例8と比較例5との比較、及び実施例9と比較例6との比較)すると、いずれの場合も比較例の方が最大値と最小値の差が大きく、標準偏差も大きい値を示し、バラつきが大きかった。本発明の炭素繊維ミルドは樹脂に対する分散性が高いため、より均一な成形体が得られたものと考えられる。そのため、本発明の炭素繊維ミルドを用いた成形体の表面抵抗率は、より均一でありバラつきが小さい。
本発明で得られる炭素繊維ミルドは分散性に優れているため、例えば、塗料;インク;摺動材、具体的には、グランドパッキンなどのシール材など;帯電防止材、電磁波シールド材などの制電材;ロール、ロボットアームなどの機械部品;橋梁やコンクリート建造物などの構造物の補強材などの建築部材;ブレーキディスク、ロケット部品などの航空宇宙関連部材;自転車、ゴルフクラブ、テニスラケットなどのスポーツ用品;釣り竿などのレジャー用品などの用途に好適に利用できる。
なかでも、樹脂などのマトリックスに対して、炭素繊維ミルドが摺動性や電気伝導性などの特性を有効に(又は効率よく)、又は均一に付与できるため、摺動材、例えば、グランドパッキンなどのシール材などや、制電材、例えば、帯電防止材、電磁波シールド材などの用途に特に好適に利用できる。

Claims (8)

  1. 炭素繊維と第1の樹脂とを含む炭素繊維含有樹脂組成物を1500℃で炭素化処理して得られた複合材料を粉砕する粉砕工程を含む炭素繊維ミルドの製造方法。
  2. 炭素繊維が、ピッチ系炭素繊維である請求項記載の製造方法。
  3. 樹脂が、炭素化可能な熱硬化性樹脂である請求項又は記載の製造方法。
  4. 合材料において、第1の樹脂に由来する炭素化物の割合が、炭素繊維強化炭素複合材料全体に対して、3~85質量%である請求項のいずれかに記載の製造方法。
  5. 合材料が、炭素繊維含有樹脂組成物を1500~3000℃で炭素化処理して得られた材料である請求項のいずれかに記載の製造方法。
  6. 合材料が廃材である請求項1~のいずれかに記載の製造方法。
  7. 請求項1~のいずれかに記載の方法で得られた炭素繊維ミルドを、第2の樹脂、セラミックス及び金属から選択されるマトリックスに添加して、前記マトリックスの摺動性を向上する方法。
  8. 請求項1~のいずれかに記載の方法で得られた炭素繊維ミルドを、第2の樹脂、セラミックス及び金属から選択されるマトリックスに添加して、前記マトリックスの電気伝導性を向上する方法。
JP2018138757A 2017-07-27 2018-07-24 炭素繊維ミルドの製造方法 Active JP7082916B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017145775 2017-07-27
JP2017145775 2017-07-27

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019027000A JP2019027000A (ja) 2019-02-21
JP7082916B2 true JP7082916B2 (ja) 2022-06-09

Family

ID=65475748

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018138757A Active JP7082916B2 (ja) 2017-07-27 2018-07-24 炭素繊維ミルドの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7082916B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7325277B2 (ja) * 2019-09-13 2023-08-14 佐久間特殊鋼 株式会社 リサイクル炭素繊維含有樹脂複合材及びその製造方法
KR102289991B1 (ko) * 2019-09-30 2021-08-20 주식회사 엔바이오니아 탄소섬유 스크랩을 활용한 재생탄소섬유 매트 제조방법
CN114276158A (zh) * 2021-12-29 2022-04-05 湖南金博碳素股份有限公司 一种短切碳纤维复合材料的制备方法
JP2023129122A (ja) * 2022-03-04 2023-09-14 オイレス工業株式会社 摺動用炭素繊維及び摺動用炭素繊維の製造方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009150874A1 (ja) 2008-06-12 2009-12-17 帝人株式会社 不織布、フェルトおよびそれらの製造方法
US20160060535A1 (en) 2013-03-28 2016-03-03 Elg Carbon Fibre International Gmbh Method and device for recovering carbon fibres from carbon-fibre containing plastics
WO2018212016A1 (ja) 2017-05-17 2018-11-22 株式会社新菱 再生炭素繊維束、再生炭素繊維、再生炭素繊維ミルドの製造方法および再生炭素繊維束の製造装置、炭素繊維強化樹脂の製造方法、ならびに再生炭素繊維束

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2523229B2 (ja) * 1991-04-23 1996-08-07 東レ株式会社 炭素繊維強化樹脂成形体を再生・利用する方法
JPH04370223A (ja) * 1991-06-19 1992-12-22 Osaka Gas Co Ltd 炭素繊維およびその製造方法
JP3401865B2 (ja) * 1993-10-25 2003-04-28 東レ株式会社 炭素繊維塊およびその製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009150874A1 (ja) 2008-06-12 2009-12-17 帝人株式会社 不織布、フェルトおよびそれらの製造方法
US20160060535A1 (en) 2013-03-28 2016-03-03 Elg Carbon Fibre International Gmbh Method and device for recovering carbon fibres from carbon-fibre containing plastics
WO2018212016A1 (ja) 2017-05-17 2018-11-22 株式会社新菱 再生炭素繊維束、再生炭素繊維、再生炭素繊維ミルドの製造方法および再生炭素繊維束の製造装置、炭素繊維強化樹脂の製造方法、ならびに再生炭素繊維束

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019027000A (ja) 2019-02-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7082916B2 (ja) 炭素繊維ミルドの製造方法
Cheng et al. Fabrication and properties of aligned multiwalled carbon nanotube-reinforced epoxy composites
CA2958409C (en) Titanium-based compositions, methods of manufacture and uses thereof
Salam et al. Improvement in mechanical and thermo-mechanical properties of epoxy composite using two different functionalized multi-walled carbon nanotubes
Li et al. Simultaneous enhancement of electrical conductivity and interlaminar fracture toughness of carbon fiber/epoxy composites using plasma-treated conductive thermoplastic film interleaves
EP1735376A1 (en) Carbon-based electrically conducting filler, composition and use thereof
Kurahatti et al. Dry sliding wear behaviour of epoxyreinforced with nanoZrO2 particles
Taraghi et al. The effect of MWCNTs on the mechanical properties of woven Kevlar/epoxy composites
Vera-Agullo et al. Comparative study of the dispersion and functional properties of multiwall carbon nanotubes and helical-ribbon carbon nanofibers in polyester nanocomposites
Sabet et al. Effects of POSS functionalization of carbon nanotubes on microstructure and thermomechanical behavior of carbon nanotube/polymer nanocomposites
Li et al. Simultaneous enhancement of electrical conductivity and interlaminar shear strength of CF/EP composites through MWCNTs doped thermoplastic polyurethane film interleaves
Anandkumar et al. Investigations on the mechanical properties of natural fiber granulated composite using hybrid additive manufacturing: a novel approach
Saharudin et al. Synergistic effects of halloysite and carbon nanotubes (HNTs+ CNTs) on the mechanical properties of epoxy nanocomposites.
Nguyen et al. Study on synergies of fly ash with multiwall carbon nanotubes in manufacturing fire retardant epoxy nanocomposite
Raju et al. Mechanical properties of glass fiber reinforced polyester ZnO nanocomposites
Zaheer et al. Improving the performance of conventional glass fiber epoxy matrix composites by incorporating nanodiamonds
Shimamoto et al. Fiber orientation and flexural properties of short carbon fiber/epoxy composites
Uyor et al. Effects of carbonized particles on microstructure and mechanical properties of epoxy resin
Li Effect of multiwalled carbon nanotubes (MWNT) on the properties of high impact polystyrene (HIPS)
KR20120078342A (ko) 전도성 폴리카보네이트 수지 조성물
Luhyna et al. Novel carbyne filled carbon nanotube–Polymer nanocomposites
Ratim et al. Tensile behavior of SiCNP and MWCNTs filled toughened epoxy nanocomposites: a comparative study
Vinayagamoorthy et al. Influence of nanoparticles on the characters of polymeric composites
JP2019026808A (ja) 炭素繊維強化樹脂成形体、母材樹脂、及び複合体
Adhikari et al. Reinforcement on properties of poly (vinyl alcohol) films by embedding functionalized carbon micro coils

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210224

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220204

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220222

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220413

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220524

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220530

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7082916

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150