JP2023126997A - 感光性樹脂組成物、感光性樹脂膜、パターン樹脂膜、硬化物、パターン硬化物、電子装置の製造方法、および電子装置 - Google Patents

感光性樹脂組成物、感光性樹脂膜、パターン樹脂膜、硬化物、パターン硬化物、電子装置の製造方法、および電子装置 Download PDF

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洋介 村上
Yosuke Murakami
健史 細井
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Abstract

【課題】アルカリ溶解速度に優れ、かつ、比較的高い溶解コントラストを発現する感光性樹脂膜を形成可能な感光性樹脂組成物を提供する。【解決手段】フェノール性水酸基及びアミノ基をそれぞれ、分子内に2個有し、2個のベンゼン環がトリフルオロメチレン基で連結された化合物とジカルボン酸又はジカルボン酸クロライドで縮合したポリベンゾオキサゾール前駆体と感光剤とを含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、感光性樹脂膜、パターン樹脂膜、硬化物、パターン硬化物、電子装置の製造方法、および電子装置に関する。
従来、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜には、優れた耐熱性や電気特性、機械特性等を併せ持つポリイミド樹脂が用いられてきた。近年、プロセスの簡略化を目的として、感光剤であるキノンジアジド化合物等を組み合わせることにより、樹脂自身に感光特性を付与したポジ型感光性樹脂組成物も開発されている。
特公平1-46862号公報 特公平6-12449号公報 特開2014-111718号公報
しかし、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸は、アルカリ現像液への溶解性が極めて高いため、キノンジアジド化合物を添加しても露光部と未露光部の溶解速度差(溶解コントラスト)が小さく、良好なパターンが得られないという問題があった。
キノンジアジド化合物を添加して、比較的良好な溶解コントラストが得られるのは、フェノール性水酸基を有する化合物であり、中でも耐熱性や電気特性等に優れるという観点から、ポリベンゾオキサゾール前駆体が本用途において好適に用いられている(特許文献1)。
また、透明性等の観点から、構造中にフッ素原子を含むポリベンゾオキサゾール前駆体がしばしば採用される(特許文献2)。ポリベンゾオキサゾール前駆体にフッ素原子を導入する場合は、原料の価格や入手容易性から、「-C(CF-」構造を採用することが当業者にとって一般的と考えられる。
一方、近年では、チップを封止剤で封止した後に再配線を形成するモールディングファースト工法が登場しており、封止剤の耐熱性の観点から、再配線用材料としては、低温(例えば220℃)で硬化可能な材料が求められている。一般に、ポリベンゾオキサゾール前駆体を含む樹脂組成物は、低温では環化反応が十分に進行せず、硬化物の耐熱性や耐薬品性、伸び率等の機械特性に問題が生じることが多い。これらの改善策として、「-C(CF-」構造を有するポリベンゾオキサゾール前駆体を含む感光性樹脂組成物に対し、例えば、エポキシ化合物等の架橋剤を加える方法が提案されている(特許文献3)。しかしながら、アルカリ溶解性等において十分な性能とは言えなかった。
近年、感光性樹脂組成物に対する要求は高まり、残膜率を高い値に維持しつつ、より高い露光部溶解速度を達成できる感光性樹脂組成物が求められている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的の1つは、アルカリ溶解速度に優れ、かつ、比較的高い溶解コントラストを発現する感光性樹脂膜を形成可能な感光性樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた結果、特定の構造単位を有するポリアミドおよび感光剤を含む感光性樹脂組成物であれば、アルカリ溶解速度に優れ、かつ、比較的高い溶解コントラストを発現する感光性樹脂膜を形成可能であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記一般式[1]で表される構造単位を有するポリアミドおよび感光剤を含む感光性樹脂組成物である。
Figure 2023126997000001
(上記一般式[1]中、Rは下記一般式[2]で表される4価の有機基であり、Rは2価の有機基である。)
Figure 2023126997000002
(上記一般式[2]中、2つのnはそれぞれ独立して0~3の整数であり、Rは1価の置換基である。Rは複数ある場合は、同一であっても異なっていてもよい。Rに結合する2つのOH基はそれぞれ、*1または*2に1つ結合し、かつ*3または*4に1つ結合している。)
また、本発明は、上記感光性樹脂組成物を支持基材上に塗布した塗布物とし、該塗布物の乾燥したものである感光性樹脂膜である。
また、本発明は、上記感光性樹脂組成物または上記感光性樹脂膜の硬化物である。
また、本発明は、上記感光性樹脂膜をパターン露光、現像したものであるパターン樹脂膜である。
また、本発明は、上記パターン樹脂膜の硬化物であるパターン硬化物である。
また、本発明は、上記感光性樹脂組成物を支持基材上に塗布する塗布工程と、
塗布された感光性樹脂組成物に含まれる溶剤を除去させることにより、ポリアミドを含む感光性樹脂膜を得る乾燥工程と、
上記感光性樹脂膜をパターン露光して樹脂膜を得る露光工程と、
上記樹脂膜を、アルカリ水溶液を用いて現像し、パターン樹脂膜を得る現像工程と、
上記パターン樹脂膜を加熱処理してパターン硬化物とする加熱工程と、
を含む、電子装置の製造方法である。
また、本発明は、上記パターン硬化物を含む電子装置である。
本発明によれば、アルカリ溶解速度に優れ、かつ比較的高い溶解コントラストを発現する感光性樹脂膜を形成可能な感光性樹脂組成物が提供される。
以下に、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
本明細書中、数値範囲の説明における「x~y」との表記は、特に断らない限り、x以上y以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「有機基」の語は、特に断りが無い限り、有機化合物から1つ以上の水素原子を除いた原子団のことを意味する。例えば、「1価の有機基」とは、任意の有機化合物から1つの水素原子を除いた原子団のことを表す。
本明細書中の化学式において、「Me」の表記は、メチル基(CH)を表す。
本明細書中、「フルオラール」の語は、トリフルオロアセトアルデヒドを意味する。
<感光性樹脂組成物>
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、下記一般式[1]で表される構造単位を有するポリアミド(ポリヒドロキシアミド)および感光剤を含む感光性樹脂組成物である。
Figure 2023126997000003
(上記一般式[1]中、Rは下記一般式[2]で表される4価の有機基であり、Rは2価の有機基である。)
Figure 2023126997000004
(上記一般式[2]中、2つのnはそれぞれ独立して0~3の整数であり、Rは1価の置換基である。Rは複数ある場合は、同一であっても異なっていてもよい。Rに結合する2つのOH基はそれぞれ、*1または*2に1つ結合し、かつ*3または*4に1つ結合している。)
<ポリアミド>
本実施形態に係るポリアミド(ポリヒドロキシアミド)は上記一般式[1]で表される構造単位を有し、構造単位中に上記一般式[2]で表される4価の有機基を有する。4価の有機基はフッ素原子を含む。即ち、一般式[2]における「-C(CF)H-」部にフッ素原子が存在する。このような一般式[2]を有する、「Ph-C(CF)H-Ph」構造を、本発明ではBis-EF構造と称する。ただし、ここでPhはフェニル基であり、Phは多価置換可能である。「-C(CF)H-」部を有することにより、本実施形態に係る感光性樹脂組成物はアルカリ溶解速度に優れ、かつ比較的高い溶解コントラストを発現する感光性樹脂膜を形成可能となると推測される。また、「-C(CF)H-」部により、比誘電率や誘電正接を小さくすることができると考えられる。
また、本実施形態のポリアミドを環化して得られる、後述するポリベンゾオキサゾールはおそらくは剛直な環状骨格に起因して、高い耐熱性を有する。
一般式[1]で表される構造単位は、繰り返し単位であってもよい。また、ポリアミドは、単独重合体、共重合体であってもよい。共重合体の形態は特に限定されず、例えば、交互共重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体であってもよい。
ポリアミドにフッ素を導入する場合は、原料の価格や入手容易性から、「-C(CF-」構造を採用することが当業者にとって一般的と考えられる。本実施形態の「-C(CF)H-」構造は、「-C(CF-」構造に比べて対称性に劣る(非対称性が増す)ことから、より柔軟なポリマー鎖が得られ、そしてより低温での環化反応が可能となると考えられる。また、非対称性が増すことは、ポリマー鎖のパッキングを疎にすることとなり、結果として、ポリマーの低密度化、低誘電率化さらにはアルカリ溶解速度の向上に繋がると考えられる。
すなわち、「-C(CF)H-」構造は、当業者にとって一般的と考えられる「-C(CF-」構造よりもフッ素原子が少ないが、ポリマー鎖のパッキングがより疎であることにより、アルカリ溶解速度の向上を示しつつ、低温硬化性に優れる、と推測される。
一般式[2]中、Rの1価の置換基は特に限定されないが、例えば、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、シアノ基、ニトロ基、シリル基、およびハロゲノ基(例えば、フルオロ基)等が挙げられる。これらはさらにフッ素原子やカルボキシル基などの置換基を有していてもよい。
の1価の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、フッ素化アルキル基(例えば、トリフルオロメチル基)、ハロゲノ基(例えば、フルオロ基)およびニトロ基が好ましい。
におけるアルキル基としては、炭素数1~6の直鎖または分岐のアルキル基が具体的に挙げられる。中でも、n-ブチル基、s-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、エチル基およびメチル基が好ましく、エチル基とメチル基がより好ましい。
におけるアルコキシ基としては、炭素数1~6の直鎖または分岐のアルコキシ基が具体的に挙げられる。中でも、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、エトキシ基およびメトキシ基が好ましく、エトキシ基とメトキシ基が特に好ましい。
におけるアルキル基やアルコキシ基は、その任意の炭素上に、例えばハロゲン原子、アルコキシ基及び、ハロアルコキシ基が任意の数かつ任意の組み合わせで置換されたものであってもよい。さらに、Rの数が2以上である場合、これら2つ以上のRが連結して、飽和または不飽和の、単環または多環の、炭素数3~10の環式基を形成してもよい。
一般式[2]において、nは好ましくは0~2、より好ましくは0~1、さらに好ましくは0である。
特に好ましいRとしては、以下のBis-EF構造を有する基を挙げることができる。以下では、メチル基をMeと明記することで、単なる結合手と区別している。
Figure 2023126997000005
一般式[1]中、Rの2価の有機基は特に限定されないが、感光性樹脂組成物に要求される耐熱性や、より良好なアルカリ溶解速度などの観点から、ベンゼン環等の芳香環を含有する2価の有機基であることが好ましい。より具体的には、Rの2価の有機基は、「-Phe-」、「-Phe-Z-Phe-」などであることができる。ここで、Pheは置換または無置換のフェニレン基であり、Zは単結合またはフェニレン基以外の2価の連結基(例えば炭素数1~3の直鎖または分岐アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、スルホン基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基など)である。
特に好ましいRとして、以下を挙げることができる。
Figure 2023126997000006
一般式[1]で表される構造単位の好ましい例を以下に示す。
Figure 2023126997000007
Figure 2023126997000008
Figure 2023126997000009
このとき、本実施形態に係る上記ポリアミドが、下記一般式[3]で表される構造単位と下記一般式[4]で表される構造単位を有する共重合体であることが好ましい。
Figure 2023126997000010
(上記一般式[3]中、R、Rは上述の通りである。また、mはそれぞれ独立して0~3の整数である。)
Figure 2023126997000011
(上記一般式[4]中、Rは2価の有機基であり、pは1または2であり、Rは下記一般式[5]~[8]のいずれかで表される3価または4価の有機基である。)
Figure 2023126997000012
(上記一般式[5]中、Xは単結合または2価の連結基であり、2つのqはそれぞれ独立して0~3の整数である。Rは1価の置換基である。Rは複数ある場合は、同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 2023126997000013
(上記一般式[6]中、Rは1価の置換基を表す。)
Figure 2023126997000014
Figure 2023126997000015
上記ポリアミドが一般式[3]で表される構造単位と一般式[4]で表される構造単位を有する共重合体であれば、露光後において、高い露光溶解速度を維持しつつ、より一層、未露光部における高い残膜率を発現する感光性樹脂組成物とすることができる。
また、本実施形態の感光性樹脂組成物は、下記一般式[9]で表される構造単位を有する第一重合体(ポリアミド)に加え、更に下記一般式[10]で表される構造単位を有する第二重合体を含んでもよい。
要は、本実施形態の感光性樹脂組成物においては、一般式[4]または[10]で表されるような「-C(CFOH」基含有構造単位が、Bis-EF構造を有するポリアミド中に含まれていてもよいし、Bis-EF構造を有するポリアミドとは別の樹脂として感光性樹脂組成物に含まれていてもよい。
Figure 2023126997000016
(上記一般式[9]中、R、Rは上述の通りである。また、2つのrはそれぞれ独立して0~3の整数である。)
Figure 2023126997000017
(上記一般式[10]中、Rは2価の有機基であり、sは1または2であり、Rは下記一般式[11]~[14]のいずれかで表される3価または4価の有機基である。)
Figure 2023126997000018
(上記一般式[11]中、Xは単結合または2価の連結基であり、2つのtはそれぞれ独立して0~3の整数である。R10は1価の置換基である。R10は複数ある場合は、同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 2023126997000019
(上記一般式[12]中、R11は1価の置換基を表す。)
Figure 2023126997000020
Figure 2023126997000021
本実施形態に係るポリアミドが、第一重合体と第二重合体を含むものであっても、露光後において、高い露光溶解速度を維持しつつ、より一層、未露光部における高い残膜率を発現する感光性樹脂組成物とすることができる。
このとき、一般式[4]のRが以下から選択される少なくとも1つの3価または4価の有機基であることが好ましい。また、一般式[10]のRが以下から選択される少なくとも1つの3価または4価の有機基であることが好ましい。Bis-EF構造の有機基を有することで、非対称性が増すため、アルカリ溶解速度の向上に繋がる。また、Bis-EF構造を有さない有機基であればコストと入手容易性に優れる。
Figure 2023126997000022
また、上記一般式[3]におけるRおよび上記一般式[4]におけるRは、それぞれ独立して以下から選択される少なくとも1つの2価の有機基であることが好ましい。また、上記一般式[9]におけるRおよび上記一般式[10]におけるRは、それぞれ独立して以下から選択される少なくとも1つの2価の有機基であることが好ましい。これらの有機基は入手容易性に優れ、また感光性樹脂組成物により良好なアルカリ溶解速度を付与することができる。
Figure 2023126997000023
上記一般式[3]または上記一般式[9]で表される、具体的な構造単位は例えば下記が挙げられる。
Figure 2023126997000024
Figure 2023126997000025
Figure 2023126997000026
また、上記一般式[4]または上記一般式[10]で表される、具体的な構造単位は例えば下記が挙げられる。
Figure 2023126997000027
Figure 2023126997000028
Figure 2023126997000029
上記一般式[4]または上記一般式[10]で表される構造単位は、例えば、以下のように合成することができる。
アミン置換のRまたはRと、ヘキサフルオロアセトンまたはヘキサフルオロアセトン3水和物を反応させることで、ヘキサフルオロイソプロパノール(-C(CFOH)基を有するアミンを得る。ここで、RおよびRは上記の通りである。
本反応に用いるヘキサフルオロアセトンまたはヘキサフルオロアセトン3水和物の量は、1molのアミン置換のRまたはRに対して、2mol以上10mol以下が好ましく、更に好ましくは、2.5mol以上5mol以下である。このようにすれば、収率よくヘキサフルオロイソプロパノール基を有するアミンを得られる。
また、本反応は、通常、20℃以上、180℃以下の範囲内で行われるが、50℃以上、150℃以下が好ましく、特に90℃以上、140℃以下が好ましい。このようにすれば、反応がよく進行する。
本反応は、触媒を使用しなくても行うことができるが、酸触媒を利用することで反応を促進させることが好ましい。使用される酸触媒としては、例えば、塩化アルミニウム、塩化鉄(III)、フッ化ホウ素等のルイス酸、ベンゼンスルホン酸、カンファ―スルホン酸(CAS)、メタンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。触媒量は、アミン置換のRまたはRに対しmol%で表して、1mol%以上50mol%以下が好ましく、より好ましくは3mol%以上40mol%以下である。このようにすれば、効率よく反応を進行させることができる。
本反応は、溶媒を使用して反応を行っても、用いずに行ってもよい。溶媒を使用する場合、溶媒としては、反応に関与しないものであれば特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、あるいは、水を用いることができる。使用する溶媒の量は特に制限されない。
本反応をオートクレーブ等の密封反応容器で行う場合、ヘキサフルオロアセトンとヘキサフルオロアセトン3水和物のいずれを用いるかで操作が異なる。ヘキサフルオロアセトンを用いる場合、最初にアミン置換のRまたはRと必要に応じて酸触媒および溶媒を反応容器内に仕込み、次いで、反応容器内圧が所定の圧力を越えないように昇温しつつ、ヘキサフルオロアセトンを逐次添加して反応させる。
ヘキサフルオロアセトン3水和物を用いる場合には、初めに、アミン置換のRまたはRと必要量のヘキサフルオロアセトン3水和物を反応容器内に仕込むことができ、さらに必要に応じて酸触媒および溶媒を反応容器内に仕込むことで反応を行う。
本反応の反応時間は8時間以上、48時間以下であることが好ましく、この範囲内で、温度や用いる溶媒の量等に依存して好ましい反応時間は異なる。従って、ガスクロマトグラフィー等の分析手段により、反応の進行を確認しつつ反応を実施し、原料化合物が十分に反応に消費されたことを確認したあと、反応を終了することが好ましい。反応終了後、抽出、蒸留または析出等の手段により、ヘキサフルオロイソプロパノール基を有するアミンを得ることができる。また、必要に応じてカラムクロマトグラフィーあるいは再結晶等により精製することもできる。
上記のヘキサフルオロイソプロパノール基を有するアミンを用い、例えば、ジカルボン酸塩化物等と反応させることで、一般式[4]または一般式[10]で表される構造単位を得ることができる。
本実施形態に係る上記ポリアミドのモル比は特に限定されないが、一般式[3]で表される構造単位と一般式[4]で表される構造単位のモル比(一般式[3]:一般式[4])は、99.9:0.1~10:90とすることが好ましく、90:10~30:70とすることがさらに好ましい。また、一般式[9]で表される構造単位と一般式[10]で表される構造単位のモル比(一般式[9]:一般式[10])は、99.9:0.1~10:90とすることが好ましく、90:10~30:70とすることがさらに好ましい。
本実施形態のポリアミドの重量平均分子量は、特に限定されない。しかしながら、硬化膜としたときの性能や基材上への成膜のしやすさなどから、ポリアミドの重量平均分子量は、好ましくは1,000以上1,000,000以下、より好ましくは10,000以上100,000以下である。
重量平均分子量や数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準物質として測定することができる。
また、上記ポリアミドの末端構造は、末端封止剤と反応することで得られる封止構造であることが好ましい。即ち、末端封止剤との反応物の封止構造を含むものからなっていてよい。このような感光性樹脂組成物であれば、分子量の経時変化や、樹脂の着色による感度の低下を抑制することができる。
末端封止剤は、公知の末端封止剤を用いることができ、ヒドロキシアニリン、アミノ安息香酸、ジヒドロキシアニリン、カルボキシヒドロキシアニリン、ジカルボキシアニリンなどのモノアミン、無水マレイン酸、無水フタル酸、ナジック酸無水物、エチニル無水フタル酸、ヒドロキシ無水フタル酸などのジカルボン酸無水物、安息香酸、エチニル安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフトエ酸、エチニルナフトエ酸などのモノカルボン酸、およびこれらのモノカルボン酸のヒドロキシ基を塩素原子で置換したモノカルボン酸塩化物や、これらのモノカルボン酸またはモノカルボン酸塩化物と1-ヒドロキシベンゾトリアゾールやN-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸イミドとの反応により得られる活性エステル化合物などのカルボン酸誘導体で封止してもよい。中でも、好ましくはカルボン酸誘導体であり、より好ましくはモノカルボン酸塩化物であり、さらに好ましくは塩化ベンゾイルである。カルボン酸誘導体、モノカルボン酸塩化物、または塩化ベンゾイルであれば、より効率よくポリアミドを末端封止することができる。
<有機溶剤>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、さらに有機溶剤を含むことが好ましい。有機溶剤は、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、芳香族系溶剤、ハロゲン系溶剤およびラクトン系溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これら溶剤は、本実施形態のポリアミドを良く溶解する。これら溶剤の具体例としては、後述する<ポリアミドの製造方法>で挙げている、反応(縮重合)に用いられる有機溶媒と同様のものを挙げることができる。ちなみに、ポリアミド溶液を調製するに際して、反応(縮重合)に用いた有機溶媒と同じ有機溶剤を用いることは、製造工程の簡略化などの観点で好ましい。
ポリアミドの濃度は、用途や目的に応じて適宜設定すればよい。良好な成膜性などの観点で、有機溶剤を含む感光性樹脂組成物のポリアミドの濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、また好ましくは、50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、有機溶剤のほか、1種または2種以上の添加剤を含んでもよい。例えば、塗布性、レベリング性、成膜性、保存安定性、消泡性などを向上させる目的で、界面活性剤等の添加剤を用いることができる。
界面活性剤の市販品としては、DIC株式会社製の商品名メガファック、品番F142D、F172、F173もしくはF183、住友スリーエム株式会社製の商品名フロラード、品番FC-135、FC-170C、FC-430もしくはFC-431、AGCセイミケミカル株式会社製の商品名サーフロン、品番S-112、S-113、S-131、S-141もしくはS-145、または東レ・ダウコーニング株式会社製の商品名ダウシル、品番SH-28PA、SH-190、SH-193、SZ-6032もしくはSF-8428が挙げられる(メガファックはDIC株式会社製のフッ素系添加剤(界面活性剤・表面改質剤)の商品名、フロラードは住友スリーエム株式会社製のフッ素系界面活性剤の商品名、サーフロンはAGCセイミケミカル株式会社製のフッ素系界面活性剤の商品名、およびダウシルは東レ・ダウコーニング株式会社製のシリコーン系添加剤の商品名であり、各々商標登録されている)。
界面活性剤を用いる場合、その量は、ポリアミド100質量部に対して、通常、0.001~10質量部である。
<ポリアミドの製造方法>
本実施形態のポリアミド(一般式[1]で表される構造単位を有する)は、典型的には、ジアミン化合物(モノマー)またはその誘導体と、その他の化合物(モノマー)と、を反応(縮重合)させることで製造することができる。反応は、通常、ジアミン化合物(モノマー)またはその誘導体と、その他の化合物(モノマー)とを、有機溶媒中で反応させる。
ジアミン化合物またはその誘導体としては、好ましくは、以下一般式[DA]で表されるジアミンまたはその塩を挙げることができる。
Figure 2023126997000030
(一般式[DA]中、nおよびRの定義や具体的態様は、一般式[2]におけるnおよびRと同様である。)
一般式[DA]で表されるジアミンは、例えば、(i)2-アミノフェノールまたはその誘導体(具体的には、2-アミノフェノールに、一般式[2]および[DA]における置換基Rが置換したもの)と、(ii)フルオラールと、を反応させることにより得ることができる。(i)と(ii)の反応のモル比は通常2:1である。
また、一般式[DA]で表されるジアミンは、対応するニトロ基含有化合物(一般式[DA]におけるアミノ基がニトロ基に置き換わったもの)を還元することで得てもよい。
また、上記のようにして得られたジアミンと酸とを反応させることで、ジアミンの塩を得ることができる。具体的な反応条件の例およびフルオラールについては後述する。
一般式[DA]で表されるジアミンとしては、以下が好ましく挙げられる。もちろん、使用可能なジアミンはこれらのみに限定されない。
Figure 2023126997000031
コストや性能調整の観点から、一般式[DA]で表されるジアミン化合物またはその塩と、それ以外のジアミン化合物またはその塩とを併用してもよい。併用できるジアミン化合物としては、5-(トリフルオロメチル)-1,3-フェニレンジアミン、2-(トリフルオロメチル)-1,3-フェニレンジアミン、4-(トリフルオロメチル)-1,3-フェニレンジアミン、2-(トリフルオロメチル)-1,4-フェニレンジアミン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’-ジフルオロ-4,4’-ジアミノジフェニル、2,2’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニル、2,2’-ジブロモ-4,4’-ジアミノジフェニル、2,4-ジアミノトルエン、2,5-ジアミノトルエン、2,4-ジメチル-1,3-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-1,3-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-1,4-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-1,4-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-1,4-フェニレンジアミン、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン、2,2’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジアミン、2,2’-ジメトキシ-4,4’-ジアミノジフェニル、2,2’-ジエトキシ-4,4’-ジアミノジフェニル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ) ビフェニル、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ )フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、これらの塩(例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩)などが挙げられる。ただし、十二分な性能を得る観点で、ポリマー製造に用いられる全てのジアミン化合物中の50mol%以上が一般式[DA]で表されるジアミン化合物またはその塩であることが好ましい。
ポリアミドの製造に際しては、(i)一般式[DA]に該当するジアミン化合物またはその塩を1種のみ用いてもよいし、(ii)一般式[DA]に該当するジアミン化合物またはその塩を2種以上併用してもよいし、(iii)1種または2種以上の一般式[DA]に該当するジアミン化合物またはその塩と、1種または2種以上の一般式[DA]に該当しないジアミン化合物またはその塩とを併用してもよい。
ジアミン化合物(モノマー)またはその塩と反応させるその他の化合物(モノマー)としては、好ましくは、ジカルボン酸またはその誘導体(ジエステル、ジカルボン酸ハライド、活性エステル化合物など)などを挙げることができる。ジカルボン酸またはその誘導体については、好ましくは、以下一般式[DC-1]または[DC-2]で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2023126997000032
(一般式[DC1]中、Rは一般式[1]におけるRと同義であり、2つのAはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、または、炭素数6~10の芳香族炭化水素基を表す。)
Figure 2023126997000033
(一般式[DC2]中、Rは一般式[1]におけるRと同義であり、2つのYはそれぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子または活性エステル基を表す。)
Yが「活性エステル基」である化合物は、例えば、ジカルボン酸と活性エステル化剤とを脱水縮合剤の存在下で反応させることで得られる。好ましい脱水縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン、1,1’-カルボニルジオキシ-ジ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネート等が挙げられる。好ましい活性エステル化剤としては、N-ヒドロキシスクシンイミド、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸イミド、2-ヒドロキシイミノ-2-シアノ酢酸エチル、2-ヒドロキシイミノ-2-シアノ酢酸アミド等が挙げられる。
ジカルボン酸そのもの、または、ジカルボン酸誘導体の元となるジカルボン酸の具体例としては、脂肪族ジカルボン酸としてのシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸またはセバシン酸、芳香族ジカルボン酸としてのフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、3,3’-ジカルボキシルジフェニルエーテル、3,4-ジカルボキシルジフェニルエーテル、4,4’-ジカルボキシルジフェニルエーテル、3,3’-ジカルボキシルジフェニルメタン、3,4-ジカルボキシルジフェニルメタン、4,4’-ジカルボキシルジフェニルメタン、3,3’-ジカルボキシルジフェニルジフルオロメタン、3,4-ジカルボキシルジフェニルジフルオロメタン、4,4’-ジカルボキシルジフェニルジフルオロメタン、3,3’-ジカルボキシルジフェニルスルホン、3,4-ジカルボキシルジフェニルスルホン、4,4’-ジカルボキシルジフェニルスルホン、3,3’-ジカルボキシルジフェニルスルフィド、3,4-ジカルボキシルジフェニルスルフィド、4,4’-ジカルボキシルジフェニルスルフィド、3,3’-ジカルボキシルジフェニルケトン、3,4-ジカルボキシルジフェニルケトン、4,4’-ジカルボキシルジフェニルケトン、3,3’-ジカルボキシルジフェニルメタン、3,4-ジカルボキシルジフェニルメタン、4,4’-ジカルボキシルジフェニルメタン、2,2-ビス(3-カルボキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,4’-カルボキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3,4’-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス(3-カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-カルボキシフェノキシ)ベンゼン、3,3’-(1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン))ビス安息香酸、3,4’-(1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン))ビス安息香酸、4,4’-(1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン))ビス安息香酸、2,2-ビス(4-(3-カルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-カルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(3-カルボキシフェノキシ)フェニル )ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-(4-カルボキシフェノキシ)フェニル )ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-(3-カルボキシフェノキシ)フェニル )スルフィド、2,2-ビス(4-(4-カルボキシフェノキシ)フェニル)スルフィド、2,2-ビス(4-(3-カルボキシフェノキシ)フェニル)スルホンまたは2,2-ビス(4-(4-カルボキシフェノキシ)フェニル)スルホン、パーフルオロノネニルオキシ基含有ジカルボン酸としての4-(パーフルオロノネニルオキシ)フタル酸、5-(パーフルオロノネニルオキシ)イソフタル酸、2-(パーフルオロノネニルオキシ)テレフタル酸または4-メトキシ-5-(パーフルオロノネニルオキシ)イソフタル酸、パーフルオロヘキセニルオキシ基含有ジカルボン酸としての4-(パーフルオロヘキセニルオキシ)フタル酸、5-(パーフルオロヘキセニルオキシ)イソフタル酸、2-(パーフルオロヘキセニルオキシ)テレフタル酸または4-メトキシ-5-(パーフルオロヘキセニルオキシ)イソフタル酸を例示することができる。
ジカルボン酸またはその誘導体は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
ジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体の好ましい例としては、芳香族ジカルボン酸またはその誘導体を挙げることができる。特に好ましいジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体の例としては、以下を挙げることができる。以下において、Aの定義および具体的態様は一般式[DC-1]と同様であり、Yの定義および具体的態様は一般式[DC-2]と同様である。
Figure 2023126997000034
Figure 2023126997000035
反応(縮重合)に用いられる有機溶媒としては、原料化合物が溶解するものを特に制限なく用いることができる。具体的には、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族系溶媒、ハロゲン系溶媒、ラクトン系溶媒などを挙げることができる。より具体的には、アミド系溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドまたはN-メチル-2-ピロリドン、エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたはトリオキサン、芳香族系溶媒としては、ベンゼン、アニソール、ニトロベンゼンまたはベンゾニトリル、ハロゲン系溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタンまたは1,1,2,2-テトラクロロエタン、ラクトン系溶媒としては、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、ε-バレロラクトン、ε-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン、またはα-メチル-γ-ブチロラクトンを例示することができる。有機溶媒は1種のみ用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
反応の際の温度は、例えば-100~100℃の間で適宜設定すればよい。また、反応は窒素やアルゴン等の不活性ガス環境下で行われてもよい。
ポリアミドの製造にあたっては、公知のポリアミド樹脂でしばしば行われる、付加反応性基による末端修飾がなされてもよい。
付加反応性基は、熱や光によって付加重合反応(硬化反応)を行う基であれば特に限定されず、アクリロイル基等の二重結合、またはエチニル基等の三重結合を含む基が挙げられる。
付加反応性基は、分子中に付加反応性基を有するジカルボン酸無水物、カルボン酸誘導体、またはモノアミンが、ポリマー末端のアミノ基、カルボキシル基またはその誘導体と反応することによって、ポリマー末端に導入される。このような化合物としては、例えば、4-エチニルアニリン、4-(2-フェニルエチニル)アニリン、4-エチニル無水フタル酸、4-(2-フェニルエチニル)無水フタル酸、フェニルエチニルトリメリット酸無水物、ナジック酸無水物、マレイン酸無水物、塩化アクリロイルが挙げられる。
また、ポリアミドの製造にあたっては、その末端を、ヒドロキシアニリン、アミノ安息香酸、ジヒドロキシアニリン、カルボキシヒドロキシアニリン、ジカルボキシアニリンなどのモノアミン、無水マレイン酸、無水フタル酸、ナジック酸無水物、エチニル無水フタル酸、ヒドロキシ無水フタル酸などのジカルボン酸無水物、安息香酸、エチニル安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフトエ酸、エチニルナフトエ酸などのモノカルボン酸、およびこれらのモノカルボン酸のヒドロキシ基を塩素原子で置換したモノカルボン酸塩化物や、これらのモノカルボン酸またはモノカルボン酸塩化物と1-ヒドロキシベンゾトリアゾールやN-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸イミドとの反応により得られる活性エステル化合物などのカルボン酸誘導体で封止してもよい。
縮重合反応の終了後、残存モノマーや低分子量体などを除去する目的で、貧溶媒(例えば水、アルコールなど)に反応溶液を加え、ポリアミドを沈殿、単離精製することが好ましい。これにより、不純物が低減されたポリアミドを製造することができる。なお、不純物が低減されたポリアミドを、再度、有機溶剤に溶解させてもよい。
<ジアミンまたはその塩、およびその製造方法>
本発明に係るポリアミドの合成のためのモノマーとして使用可能な、以下一般式[DA]で表されるトリフルオロメチル基を1つ有するジアミンまたはその塩は、例えば、下記の反応式で示すように、以下一般式[DN]で表されるビスニトロフェノールの還元(具体的には水素添加やヒドラジン類を用いた還元など)により得ることができる。また、例えば一般式[DA]で表されるジアミンと酸とを作用させることで、ジアミンの塩を得ることができる。塩の種類は特に限定されないが、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などを挙げることができる。
Figure 2023126997000036
(一般式[DN]中、2つのnおよびRの定義および具体的態様は、一般式[DA]と同様(すなわち一般式[2]におけるnおよびRと同様)である。)
一般式[DN]で表されるビスニトロフェノールは、下記の反応式で示されるように、フルオラール/フッ化水素の混合物と、ニトロフェノールと、を反応させることにより得ることができる。
Figure 2023126997000037
(上記反応式において、nおよびRの定義および具体的態様は、一般式[DN]と同様(すなわち一般式[2]におけるnとRと同様)である。)
出発原料のフルオラールの調製は、それの等価体として市販品(東京化成工業株式会社品)の水和物やフルオラールのヘミアセタールが利用可能であり、一方、特開平5-97757号公報等の文献に記載の方法でフルオラールの水和物やフルオラールのヘミアセタール体を調製できる。
一般的に、フルオラールは水和物やヘミアセタール体として用いることが多い。よって、フルオラールを無水条件下で用いる場合、フルオラールの水和体やヘミアセタール体を脱水させることで無水フルオラールを調製できる。
一方、特開平3-184933号公報に記載の方法の通り、安価なクロラールの触媒気相フッ素化反応により、ほぼ定量的にフルオラールへ変換させることが可能であり、これを利用することで、無水フルオラールを調製することもできる。
特開2019-026628号公報に記載の通り、フルオラールは低沸点化合物であり、一般的に自己反応性が高く、取り扱いが困難な化合物であるが、フルオラールはフッ化水素溶液中で非常に安定に取り扱うことが可能であり、好適に用いられる。フルオラールをフッ化水素中で取り扱った場合、下記スキームで表す通り、フルオラールとフッ化水素からなる付加体である、1,2,2,2-テトラフルオロエタノールが生成する。
Figure 2023126997000038
このように、1,2,2,2-テトラフルオロエタノールは、該フルオラールと該付加体との間で平衡状態が形成され、さらに系内にフッ化水素が過剰に存在することにより、平衡状態が保たれ、その結果、フルオラールの分解が抑制されているものと推測される。前述したフッ化水素中のフルオラールは、化合物の安定性の向上だけではなく、沸点の上昇も確認されており、低沸点化合物であるフルオラールをフッ化水素の付加体として、室温付近でも容易に取り扱える。
調製したフルオラールをフッ化水素との混合物として取り扱う場合、用いるフッ化水素の添加量は、調製されたフルオラール1モルに対し、通常0.1~100モルであり、好ましくは1~75モル、更に好ましくは2~50モルである。0.1モルよりフッ化水素の添加量が多いことで、十分な安定化効果を得やすい。また、100モル以上のフッ化水素を添加しても同様の安定効果は期待できるが、生産性や経済性の面から好ましくない。また、本工程で用いるフルオラール/フッ化水素の混合物には、過剰量のフッ化水素が含まれる場合もあるが、それはフッ化水素自身が持つ酸性物質としての機能を有する故、酸触媒や脱水剤として効果的に作用し、反応を促進させる添加剤としても利用できる場合もある。つまり、フルオラールを、フルオラール/フッ化水素の混合物として取り扱う利点はあると言える。
ビスニトロフェノールの原料であるニトロフェノール化合物の使用量は、フルオラール1molに対し、1mol以上あればよい。通常は2~10molを用いると反応が円滑に進行するため好ましく、さらに、後処理操作を考慮すると2~5molが特に好ましい。
一般式[DN]で表されるビスニトロフェノールを得る工程は、反応溶媒の存在下、行うことができる。反応溶媒は脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系、エーテル系、エステル系、アミド系、ニトリル系、スルホキシド系等が挙げられる。具体例としては、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの反応溶媒は、単独または組み合わせて用いることができる。
本工程において、フルオラール/フッ化水素の混合物とニトロフェノールと共に、ルイス酸またはブレンステッド酸を反応系に添加することは、縮合反応の変換率を向上させることができることから、好ましい態様の一つとして挙げられる。
使用可能なルイス酸としては、ホウ素(III:酸化数をいう。以下、本明細書で同じ)、スズ(II)、スズ(IV)、チタン(IV)、亜鉛(II)、アルミニウム(III)、アンチモン(III)及びアンチモン(V)からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属ハロゲン化物である。なお、用いる金属ハロゲン化物としては、通常取りうる最大の原子価を有する金属のハロゲン化物が好ましい。
これらの金属を用いた金属ハロゲン化物のうち、三フッ化ホウ素(III)、三塩化アルミニウム(III)、二塩化亜鉛(II)、四塩化チタン(IV)、四塩化スズ(IV)、五塩化アンチモン(V)が特に好ましい。
ルイス酸を添加剤として機能させるには、その使用量は、フルオラール1モルに対し、0.001モル以上、通常は0.01~2.0モル用いるのが良い。このようにすれば、コスト面でも優れる。
ブレンステッド酸は無機酸または有機酸であり、無機酸の具体的な例はリン酸、塩化水素、臭化水素、濃硝酸、濃硫酸、発煙硝酸及び発煙硫酸等が挙げられ、有機酸の具体的な例は、ギ酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。ブレンステッド酸は無機酸または有機酸であり、無機酸の具体的な例はリン酸、塩化水素、臭化水素、濃硝酸、濃硫酸、発煙硝酸及び発煙硫酸等が挙げられ、有機酸の具体的な例は、ギ酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。
ブレンステッド酸を添加剤として機能させるには、その使用量は、フルオラール1モルに対し、0.001モル以上、通常は0.01~2.0モル用いるのが良い。このようにすれば、コスト面でも優れる。
温度条件は、-20から+200℃の範囲で行えば良く、通常は-10から+180℃が好ましく、中でも0から+160℃が特に好ましい。
圧力条件は、大気圧から4.0MPa(絶対圧、以下、同じ)の範囲で行えば良く、通常は大気圧から2.0MPaが好ましく、特に大気圧から1.5MPaがより好ましい。
使用可能な反応容器としては、ステンレス鋼、モネル(商標)、ハステロイ(商標)、ニッケルなどの金属製容器や、四フッ化エチレン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、PFA樹脂、プロピレン樹脂、そしてポリエチレン樹脂などを内部にライニングしたもの等が挙げられる。常圧又は加圧下で十分反応を行うことができる反応器を使用することが好ましい。
反応時間は、通常は24時間以内である。フルオラール/フッ化水素の混合物とアリール化合物の組み合わせ、および添加剤であるルイス酸やブレンステッド酸の使用量に起因した反応条件の違いにより適宜調節すればよい。ガスクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、出発基質が殆ど消失した時点を反応の終点とすることが好ましい。
反応後の後処理としては、例えば、反応終了液に対して通常の精製操作、例えば反応終了液を水またはアルカリ金属の無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム等)の水溶液に注ぎ込み、有機溶媒(例えば、酢酸エチル、トルエン、メシチレン、塩化メチレン等)で抽出する。こうすることにより、目的とする一般式[DN]で表されるビスニトロフェノール化合物の単体を容易に得ることができる。目的生成物は、必要に応じて、活性炭処理、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等により、さらに高い化学純度品へ精製することができる。
また、一般式[DA]で表されるジアミンを得る工程は、ニトロ基をアミノ基へ還元する一般的な還元法を用いて行うことができる。還元剤としては、例えば、水素、ヒドラジン、スズ、亜鉛、鉄、水素化アルミリウムリチウム、水素化ホウ素リチウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、ボラン、アランなどのうち1または2以上を用いることができる。還元剤としては水素およびヒドラジンが特に好ましい。
還元方法の具体例を以下に挙げる。
(1)金属触媒を用いる水素添加による還元
使用可能な反応溶剤としては、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系、エーテル系、エステル系、アミド系、スルホキシド系等が挙げられる。具体例としては、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、1,2-メトキシエタン、ジグリム、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。反応溶媒は、単独または組み合わせて用いることができる。使用量はビスニトロフェノール化合物100質量部に対し、10~2000質量部、より好ましくは100~1000質量部である。
金属触媒は、例えば、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、及び白金からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属(遷移金属)、または、該金属を含む金属化合物を担体に担持した金属化合物担持触媒である。具体的には、ルテニウム(0価)やパラジウム金属(0価)やロジウム金属(0価)や白金金属(0価)、またはルテニウム化合物、パラジウム化合物、ロジウム化合物、白金化合物を担体に担持した化合物担持触媒を用いることができる。
担体としては、活性炭または金属酸化物が好ましく挙げられる。具体的には活性炭、アルミナ、ジルコニア、シリカ、ゼオライト、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。担持触媒における金属化合物は、遷移金属の酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、臭化物、酸化物、水酸化物等の各種化合物が挙げられる。
遷移金属化合物の担持触媒は、含浸法等の従来公知の方法により調製することもできるし、市販品を用いてもよい。遷移金属化合物の担持触媒のうち、入手容易性や経済性、反応性及び選択性の点から、カーボンまたはアルミナに担持された触媒が好ましい。例えば、エヌ・イーケムキャット社の5%パラジウムカーボンSTDタイプや5%ロジウムアルミナ粉末、そして2%白金カーボン粉末(含水品)を好適に用いることができる。
遷移金属触媒の使用量は、ビスニトロフェノール化合物100質量部に対して、金属量として、通常0.0001~10.00質量部であり、好ましくは0.001~5.00質量部、更に好ましくは、0.01~2.50質量部である。このようにすれば、生産性および経済性に優れる。
温度条件は、通常、-20~+200℃の範囲で行えばよく、-10~+180℃が好ましく、+20~+90℃がより好ましい。
水素圧は、通常、0.2~4.0MPa(絶対圧、以下、同じ)の範囲で行えばよく、0.2~2.0MPaが好ましく、0.4~1.0MPaがより好ましい。反応容器としては、ステンレス鋼、モネル(商標)、ハステロイ(商標)、ニッケルなどの金属製容器や、四フッ化エチレン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、PFA樹脂、プロピレン樹脂、そしてポリエチレン樹脂などを内部にライニングしたもの等を挙げることができる。常圧又は加圧下で十分反応を行うことができる反応器を使用することが好ましい。
反応時間は、通常は24時間以内である。ビスニトロフェノール、反応溶媒や金属触媒の使用量、および水素圧に起因した反応条件の違いにより好適な反応時間は異なってくる。薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、出発物質が殆ど消失した時点を反応の終点とすることが好ましい。
反応後の後処理は、例えば、反応終了液を濾過して金属触媒を除き、その後、溶媒を留去することで目的とする一般式[DA]で表されるジアミンの単体を容易に得ることができる。目的生成物は、必要に応じて、活性炭処理、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等により、さらに高い化学純度品へ精製することができる。
(2)ヒドラジン類を用いる還元
使用可能なヒドラジン類としては、例えばヒドラジン、ヒドラジン一水和物、メチルヒドラジン、ヒドラジウム塩、塩酸ヒドラジン、または硫酸ヒドラジン等が挙げられる。これら還元剤は、溶液として、例えば水溶液、アルコール溶液、エーテル溶液として用いることもできる。
ビスニトロフェノール1mol当たり、ヒドラジン類の使用量は1.0~20.0mol、より好ましくは2.0~5.0mol使用される。
使用可能な反応溶剤としては、水系、アルコール系、ニトリル系、エステル系、アミド系、スルホキシド系等が挙げられる。具体例としては、水、メタノール、エタノール、1-プロパール、2-プロパノール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、ジグリム、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの反応溶媒は、単独または組み合わせて用いることができる。使用量はビスニトロフェノール100質量部に対し、50~2000質量部、より好ましくは100~1000質量部である。
使用可能な触媒としては、ハロゲン化鉄類、ラネーニッケル、パラジウムカーボン、ルテニウムカーボン等が挙げられ、中でもハロゲン化鉄類が特に好ましい。ハロゲン化鉄触媒としては、塩化第一鉄、塩化第二鉄、臭化第一鉄、臭化第二鉄の水和物および無水物が挙げられる。ハロゲン化鉄の使用量はビスニトロフェノール100質量部に対し、0.01~100質量部、好ましくは0.10~20.0質量部使用される。
温度条件については、通常は-20~+200℃であり、-10~+150℃が好ましく、+20~+100℃がより好ましい。
反応時間は、通常は24時間以内である。ビスニトロフェノール、反応溶媒、金属触媒の使用量、ヒドラジン類の量に起因した反応条件の違いなどにより異なってくる。薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、出発基質が殆ど消失した時点を反応の終点とすることが好ましい。
反応後の後処理は、単に溶媒を留去することで目的とする一般式[DA]で表されるジアミンの単体を容易に得ることができる。目的生成物は、必要に応じて、活性炭処理、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等により、さらに高い化学純度品へ精製することができる。反応後、均一状態ならば溶液へ貧溶媒を加えて再沈殿することでも精製することができる。
水素添加やヒドラジンによるニトロ基還元を伴うジアミン類の合成においては、通常、副反応としてトリフルオロメチル基の脱ハロゲン化が避けられない。通常、還元反応後に含まれるジアミン中に含まれるフッ素イオン濃度は50ppm以上である。これをこのままポリマー化に供した場合、着色などの品質に対して悪影響を引き起こす場合が多い。よって、モノマー原料中に含まれるフッ素イオン濃度を低減させる処理を行うことが好ましい。ジアミン中に含まれるフッ素イオンの濃度は、好ましくは20ppm未満、より好ましくは10ppm未満、さらに好ましくは2ppm未満である。フッ素イオンの濃度は低ければ低いほどよいが、現実的には例えば0.1ppm以上である。
本実施形態の製造方法により、一般式[DA]で表されるトリフルオロメチル基を一つ有するジアミンまたはその塩を簡便に製造することができる。好ましいジアミンとしては、例えば、下記式[DA-1]で表されるジアミンまたはその塩が挙げられる。
Figure 2023126997000039
また、一般式[DA]で表されるジアミンまたはその塩としては、原料のコストや合成容易性などから、以下一般式[DA-2]または[DA-3]表されるジアミンまたはその塩が挙げられる。
Figure 2023126997000040
(一般式[DA-2]中、2つのRはそれぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基またはハロゲン原子を表す。)
Figure 2023126997000041
特に、一般式[DA]で表される化合物の中でも、以下式[DA-4]~[DA-7]で表される化合物またはその塩は、上述の方法により高純度、高収率で製造されうる。
式[DA-4]で表されるジアミンの化合物名は、1,1,1-トリフルオロ-2,2-ビス(3-アミノ-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)エタンである。
式[DA-5]で表されるジアミンの化合物名は、1,1,1-トリフルオロ-2,2-ビス(3-アミノ-5-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)エタンである。
式[DA-6]表されるジアミンの化合物名は、1,1,1-トリフルオロ-2,2-ビス(3-アミノ-5-イソプロピル-4-ヒドロキシフェニル)エタンである。
式[DA-7]で表されるジアミンの化合物名は、1,1,1-トリフルオロ-2,2-ビス(3-アミノ-6-メチル-4-ヒドロキシフェニル)エタンである。
Figure 2023126997000042
Figure 2023126997000043
Figure 2023126997000044
Figure 2023126997000045
<感光剤>
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、感光剤を含む。感光剤は、公知の感光剤を用いることができ、光により露光箇所が硬化するネガ型でも、光により露光箇所が可溶化するポジ型でもよい。感光剤としては、例えば、光重合開始剤、またはキノンジアジド化合物が挙げられる。このとき、特にキノンジアジド化合物を好適に用いることができる。
光重合開始剤は、可視~紫外領域の光が照射され、ラジカルを発生することにより、重合性不飽和化合物などの重合を開始する。光源としては汎用光源を用いることができ、例えば、高圧水銀灯を用いることができる。具体的には、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体等が挙げられ、好ましい光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾインメチルエーテル、チオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1などが挙げられるがこれらに限定されない。
重合性不飽和化合物としては、例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の二重結合、プロパギル基等の三重結合を有する化合物が挙げられる。具体的には、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、1,3-ジアクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロパン、1,3-ジメタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロパン、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルメタクリレートN-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタムなどが挙げられ、これらは単独で用いても2種類以上を組み合わせてもよい。また、感光性樹脂組成物に含まれるポリアミドに、付加反応性基による末端修飾を行うことで、これらの重合性不飽和化合物と反応し、より効果的に硬化を進行させることができる。
光重合開始剤は、可視~紫外領域の光が照射されることにより、ラジカルを発生し、重合を開始する。光源としては汎用光源を用いることができ、例えば、高圧水銀灯を用いることができる。具体的には、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体等が挙げられ、好ましい光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾインメチルエーテル、チオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1などが挙げられるがこれらに限定されない。
キノンジアジド化合物は、例えば、1,2-キノンジアジド基など、キノンジアジド基を有する化合物である。1,2-キノンジアジド化合物としては、例えば、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-4-スルホン酸、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-4-スルホニルクロリド、及び1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホニルクロリドが挙げられる。キノンジアジド化合物を用いれば、一般的な紫外線である水銀灯のi線(波長365nm)、h線(波長405nm)、g線(436nm)に感光するポジ型の感光性樹脂組成物を得ることができる。
本実施形態においては、特に、キノンジアジド化合物を用いることが好ましい。キノンジアジド化合物を用いて感光性樹脂組成物をポジ型とすることにより、特に良好なアルカリ溶解速度や溶解コントラストを発現可能である。
キノンジアジド化合物の市販品としては、東洋合成工業株式会社製のNTシリーズ、4NTシリーズ、PC-5、株式会社三宝化学研究所製のTKFシリーズ、PQ-C等が挙げられる。
<感光性樹脂膜>
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、支持基材上に塗布することができる。これにより、塗布物とすることができる。特に、感光性樹脂組成物を上記有機溶剤に溶解し、塗布することが好ましく、また上記有機溶剤に溶解した感光性樹脂組成物の塗布物を乾燥させて感光性樹脂膜とすることが好ましい。
支持基材は、特に限定されないが、無機基材または有機基材が適当である。具体的には、ガラス、シリコンウェハ、ステンレス、アルミナ、銅、ニッケル等、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレングリコールテレフタレート、ポリエチレングリコールナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンスルフィド等を挙げることができる。
これらのうち、耐熱性等の観点から、無機基材を用いることが好ましく、ガラス、シリコンウェハ、ステンレス等の無機基材を用いることがより好ましい。
また、塗布方法は特に限定されず、公知の塗布方法を採用することができる。塗布膜厚や溶液の粘度等に応じて、スピンコーター、バーコーター、ドクターブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ロータリーコーター、フローコーター、ダイコーター、リップコーター等の公知塗布装置を適宜使用できる。
また、上記感光性樹脂膜を、パターン露光、現像することができる。パターンの形成や露光は特に限定されないが、例えば格子状パターンのマスクを介して高圧水銀ランプで露光することができる。また、露光後の感光性樹脂膜をテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液等のアルカリ水溶液で現像することが好ましい。このようにすれば、パターン樹脂膜とすることができる。
また感光性樹脂膜は、後述する加熱工程に記載の温度で加熱することにより、予め部分的に環化反応を進行させたものであってもよい。
<硬化物>
また、本実施形態に係る感光性樹脂組成物、上記感光性樹脂膜またはパターン樹脂膜を硬化物とすることができる。感光性樹脂組成物、感光性樹脂膜またはパターン樹脂膜を高温で熱処理することで硬化させることができる。加熱により、感光性樹脂組成物または樹脂膜のポリアミドの環化反応が進行し、一般式[1]で表される構造単位は、下記一般式[15]で示すポリベンゾオキサゾールを含む硬化物となる。これにより、感光性樹脂組成物及び感光性樹脂膜は硬化物に、パターン樹脂膜はパターン硬化物にすることができる。
また、一般式[4]、一般式[10]を含む場合、一般式[4]、一般式[10]中のヒドロキシ基と、アミドのカルボニル基が反応し、最終的に水が脱離することで閉環構造が形成される。
Figure 2023126997000046
(上記一般式[15]中、RおよびRは前述の通りである。)
本実施形態に係る感光性樹脂組成物、感光性樹脂膜、パターン樹脂膜およびそれらの硬化物は、電子装置へと好適に用いることができる。ここで電子装置とは、半導体チップ、半導体素子、MEMS、プリント配線基板、電気回路ディスプレイ装置、情報通信端末、発光ダイオード、物理電池、化学電池など、電子工学の技術が適用された素子、デバイス、最終製品等を包含する意味で用いられる。
<電子装置の製造方法>
本実施形態に係る感光性樹脂組成物を用いた電子装置は以下のように製造することが好ましい。即ち、
感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布する塗布工程と、
塗布された感光性樹脂組成物に含まれる溶剤を除去させることにより、ポリアミドを含む感光性樹脂膜を得る乾燥工程と、
上記感光性樹脂膜をパターン露光して樹脂膜を得る露光工程と、
上記樹脂膜を、アルカリ水溶液を用いて現像し、パターン樹脂膜を得る現像工程と、
上記パターン樹脂膜を加熱処理してパターン硬化物とする加熱工程と、
を含む方法により製造することができる。
(塗布工程)
塗布する感光性樹脂組成物は、溶剤に溶解されたものを用いることができる。また、塗布工程における塗布方法は上記と同様、公知の塗布方法を採用することができる。また、塗布工程における単位面積当たりの塗布量や、塗布に用いる感光性樹脂組成物中のポリアミドの濃度を調節することで、最終的に得られるパターン硬化物の厚みを調整することができる。
最終的に得られるパターン硬化物の厚みを1μm以上、好ましくは5μm以上とすることができる。厚みが1μm以上あることで、硬化物の強度を十分なものとすることができる。また厚みを1000μm以下、好ましくは500μm以下とすることができる。厚みが1000μm以下であれば、ハジキ、ヘコミ、ワレ等の欠陥を抑えることができる。
(乾燥工程)
乾燥工程は、通常、ホットプレートを用いた加熱により、塗布された感光性樹脂組成物中の溶剤を揮発させる。乾燥工程における加熱温度は、溶剤の種類にもよるが、乾燥温度を50℃以上、好ましくは80℃以上とすることができる。また、乾燥温度を150℃以下、好ましくは120℃以下とすることができる。
乾燥温度を50℃以上とすれば、乾燥が十分に行われやすくなる。また、乾燥温度を150℃以下とすれば、急激な溶剤蒸発によるハジキ、ヘコミ、ワレ等の欠陥を抑制することができ、均一な感光性樹脂膜を形成できる。
乾燥工程における温度は通常、後述する加熱工程の温度よりも低い温度で行う。
(露光工程)
露光工程では、乾燥工程で得た感光性樹脂膜を露光する。露光はパターン露光であれば特に限定されないが、例えば上述のように、格子状パターンのマスクを介して露光することができる。また、光源の種類は特に限定されず、例えば、半導体レーザー、高圧水銀灯(g線(波長436nm)、h線(405nm)、i線(365nm))、エキシマレーザー等を用いることができる。
(現像工程)
現像工程では、パターン露光した上記樹脂膜をアルカリ水溶液で現像する。アルカリ水溶液であれば、特に限定されず、上記TMAHを含む水溶液の他、TMAH非含有の現像液を用いることができる。TMAH非含有の現像液としては、例えば、関東化学株式会社のTMKシリーズ等が挙げられる。
アルカリ水溶液を用いて現像することにより、パターン樹脂膜を得ることができる。
(加熱工程)
加熱工程では、現像工程で得られたパターン樹脂膜を高温で熱処理させることで硬化させる。加熱によりパターン樹脂膜中のポリアミドの環化反応が進行し、上記一般式[15]で示したポリベンゾオキサゾールを含むパターン硬化物となる。また、一般式[4]、一般式[10]を含む場合、一般式[4]、一般式[10]中のヒドロキシ基と、アミド基のカルボニル基が反応し、最終的に水が脱離することで閉環構造を含むパターン硬化物となる。
加熱工程では、乾燥工程で取り除くことができなかった残存溶剤の除去の他、環化率の向上、物性特性の向上が期待される。加熱工程の温度は、150℃以上、好ましくは200℃以上とすることができる。このようにすれば、環化反応を十分に進行させることができる。また、加熱工程の温度を400℃以下、好ましくは350℃とすることができる。このようにすれば、ひび割れ等の欠陥発生を抑制することができる。
加熱工程は、イナートガスオーブンやホットプレート、箱型乾燥機、コンベヤー型乾燥機の装置を用いて行うことが好ましいが、これらの装置の使用に限定されない。加熱工程は、樹脂膜の酸化防止や残存溶剤除去の観点から、不活性ガス気流下で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン等が挙げられる。不活性ガス中に含まれる酸素濃度を低くすることで、加熱時の樹脂膜の酸化による着色や性能低下を抑えられることから、不活性ガス中の酸素濃度を500ppm以下、好ましくは100ppm以下、より好ましくは20ppm以下とすることができる。
目的や用途に応じて、加熱工程後に支持基材からパターン硬化物を剥離し、パターン硬化物を基板として得る剥離工程を行ってもよい。剥離工程は、加熱後、室温(25℃)から40度程度まで冷却した後に行うことができる。剥離を容易にするため、あらかじめ支持基材に剥離剤を塗布しておいてもよい。剥離剤は特に限定されず、例えばシリコーン系またはフッ素系の剥離剤を用いることができる。
本実施形態に係るパターン硬化物は、上述の一般式[15]で表される構造単位を有するポリベンゾオキサゾールを含む。また、パターン硬化物は更に、一般式[1]で表される構造単位を有するポリアミドを含んでもよい。
本実施形態に係るパターン硬化物は、上述の電子装置に好適に用いることができる。従って、本実施形態に係るパターン硬化物を含む電子装置とすることが好ましい。
本実施形態に係るパターン硬化物は、恐らくは「-C(CF)H-」部に由来する低比誘電率や低誘電正接から、例えば、再配線層(RDL)用の層間絶縁膜として好適に用いることができる。また、恐らくは剛直な構造に由来する耐熱性等からバッファーコートなど表面保護膜としても好適に用いることができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に述べたが、これらは本発明の例示である。また、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態を、実施例及び比較例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<ジアミン(ポリアミド前駆体)の合成>
[触媒調製例]
896gの特級試薬CrCl・6HOを純水に溶かして3.0Lの溶液を調製した。この溶液に粒状アルミナ400gを浸漬し、一昼夜放置した。放置後、溶液を濾過してアルミナを取り出し、熱風循環式乾燥器中で100℃に保ち、さらに一昼夜乾燥した。このようにしてクロム担持アルミナを得た。
得られたクロム担持アルミナを、電気炉を備えた直径4.2cm長さ60cmの円筒形SUS316L製反応管に充填した。そして、その反応管内に窒素ガスを約20mL/分の流量で流しながら300℃まで昇温した。水の流出が見られなくなった時点で、窒素ガスにフッ化水素を同伴させ、その濃度を徐々に高めた。充填されたクロム担持アルミナのフッ素化によるホットスポットが反応管出口端に達したところで反応器温度を350℃に上げ、その状態を5時間保った。以上により触媒を調製した。
[調製例1:以下スキームで表されるフルオラールの調製]
Figure 2023126997000047
電気炉を備えた円筒形反応管からなる気相反応装置(SUS316L製、直径2.5cm・長さ40cm)に、触媒として上記の触媒調製例で調製した触媒を125mL充填した。
触媒が充填された反応管内に約100mL/分の流量で空気を流しながら、反応管の温度を280℃に上げ、フッ化水素を約0.32g/分の速度で1時間にわたり導入した。次いで、原料であるクロラール(トリクロロアセトアルデヒド)を約0.38g/分(接触時間15秒)の速度で反応管へ供給開始した。反応開始1時間後には反応は安定したので、反応器から流出するガスを、-15℃の冷媒にて冷却した吹き込み管付きSUS304製シリンダーへ18時間かけて捕集した。
上記で得たフルオラール含有の484.8gの捕集液について、滴定により、フッ化水素含量、塩化水素含量、そして有機物含量を算出した。その結果は、フッ化水素40質量%、塩化水素11質量%、そして有機物含有量49質量%であり、有機物の回収率は88%(供給原料クロラールモル数基準)であった。また、回収した有機物の一部を樹脂製のNMRチューブに採取し、19F-NMRにてフッ素化度を確認すると、低次フッ素化物はほぼ未検出であり、定量的にフッ素化が進行していることを確認した。
次に、捕集したフルオラール含有の混合物の一部、450g(フッ化水素:40質量%、塩化水素:11質量%、有機物:49質量%)を、-15℃の冷媒を通液させた冷却管と温度計と攪拌機を備え付けた500mlのSUS製反応器に仕込み、反応器を25℃になるように加温した。常圧下、冷却管にてフッ化水素を還流させながら、冷却管の頂塔からすり抜ける塩化水素を、水に吸収させて除去した。5時間の還流後、反応器からサンプリングを行い、サンプリングした混合物を滴定した。滴定により、フッ化水素含量、塩化水素含量、そして有機物含量を算出すると、フッ化水素:44質量%、塩化水素:1質量%、有機物:55質量%であった。また、混合物の一部を樹脂製NMRチューブに採取し、19F-NMR測定した。得られたチャートから算出された積分比より、無水フッ化水素中のフルオラールは、フルオラール/フッ化水素の組成物である1,2,2,2-テトラフルオロエタノールへ変換していることが確認された。一方、塩化水素の吸収に用いた水を滴定に供したところ、飛沫同伴によるフッ化水素の含有は一部認められるものの、有機物はほぼ含まれていなかった。
[NMRデータ]
1,2,2,2-テトラフルオロエタノール:
19F-NMR(400MHz,CFCl)δ(ppm):-85.8(3F,s),-137.8(1F,d,J=54.9Hz)
フッ化水素:
19F-NMR(400MHz,CFCl)δ(ppm):-193.4(1F,s)
(合成例1:以下スキームで表されるビスニトロフェノールの合成)
Figure 2023126997000048
圧力計、温度計保護管、挿入管、そして攪拌モーターを備えた200mLステンレス鋼製オートクレーブ反応器内に、調製例1で得られたフルオラール含有の混合物(フッ化水素:44質量%、塩化水素:1質量%、有機物:55質量%)を39.2g(フルオラール:220mmol、フッ化水素:862mmol)と、フッ化水素74.3g(3.72mol)、2-ニトロフェノール60.1g(432mmol)を入れ、120℃のオイルバスで加熱し、絶対圧1.2MPaで18時間反応させた。反応後、反応液を氷水200gと酢酸エチル270gの混合物へ注ぎ込んだ。分離した有機層を240gの10質量%炭酸カリウム水、さらに120gの水にて洗浄し、その後、二層分離にて有機層を回収した。回収した有機層をエバポレーターで濃縮後、酢酸エチル67gとn-ヘプタン155gより再結晶することで、目的物である1,1,1-トリフルオロ-2,2-ビス(3-ニトロ-4-ヒドロキシフェニル)エタンを47.0g、収率61%、純度99.8%(GC)で黄色固体として得た。
[NMRデータ]
1,1,1-トリフルオロ-2,2-ビス(3-ニトロ-4-ヒドロキシフェニル)エタン:
H-NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):4.69(1H,q,J=9.4Hz),7.20(2H,d,J=8.9Hz),7.55(2H,dd,J=8.7,2.3Hz),8.09(2H,d,J=2.3Hz),10.57(2H,s)
19F-NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):-66.9(3F,d,J=8.7Hz)
(合成例2:以下スキームで表されるジアミンの合成)
Figure 2023126997000049
圧力計、温度計保護管、水素ボンベと接続した気体導入管、そして攪拌モーターを備えた200mLステンレス鋼製オートクレーブ反応器内に、合成例1で得られた1,1,1-トリフルオロ-2,2-ビス(3-ニトロ-4-ヒドロキシフェニル)エタン22.1g(61.7mmol)とエヌ・イーケムキャット社の50%含水品5質量%パラジウムカーボン221mg、酢酸エチル119gを入れ、70℃のオイルバスで加熱し、絶対圧0.6MPaで連続的に水素を導入しながら9時間反応させた。反応液中のフッ素イオン濃度をイオン電極法装置にて測定したところ、80ppmであった。
反応終了後、加圧濾過により触媒を除去し、その後、得られた濾液をエバポレーターで70gになるまで濃縮した。この濃縮液へトルエン80gを滴下して結晶を析出させることで、目的物である1,1,1-トリフルオロ-2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)エタンを、15.4g、収率84%、純度99.6%(LC)で白色固体として得た。また、精製して得られた目的物のフッ素イオン濃度は1ppm未満であった。
[NMRデータ]
1,1,1-トリフルオロ-2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)エタン:
H-NMR(400MHz,CDCN)δ(ppm):4.03(4H,br-s),4.45(1H,q,J=10.2Hz),6.51(2H,d,J=8.1Hz),6.63(2H,d,J=8.7Hz),6.67(2H,s),6.88(2H,br-s)
19F-NMR(400MHz,CDCN)δ(ppm):-66.1(3F,d,J=8.7Hz)
<ポリアミド(ポリベンゾオキサゾール(PBO)前駆体)の製造>
(合成例3)
ポリアミド(A-1)の合成
攪拌機、温度計を備えた300mLのガラス製3つ口フラスコ中に、窒素雰囲気下、N-メチル-2-ピロリドン87gを仕込み、1,1,1-トリフルオロ-2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)エタン8.95g(30.0mmol)を攪拌溶解させた。次いで、塩基としてピリジン5.22g(66.0mmol)を加えた後、フラスコを氷浴に浸し、温度を0~10℃に保ちながら、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド7.53g(25.5mmol)を添加し、30分間撹拌した。室温(25℃)に昇温後、塩化ベンゾイル1.27g(9.00mol)を加え、さらに2時間攪拌した。得られた反応液をメタノール水溶液1Lに投入し、析出した固体を回収後、メタノール水溶液で3回洗浄し、減圧乾燥してポリアミド(A-1)を得た。後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた重量平均分子量は21,400、分散度は2.89であった。
Figure 2023126997000050
(合成例4)
ポリアミド(A-2)の合成
攪拌機、温度計を備えた300mLのガラス製3つ口フラスコ中に、窒素雰囲気下、N-メチル-2-ピロリドン104gを仕込み、1,1,1-トリフルオロ-2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)エタン4.47g(15.0mmol)および3,3’-ビス(1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-2,2,2-トリフルオロエチル)-4,4’-オキシジアニリン7.98g(15.0mmol)を攪拌溶解させた。次いで、塩基としてピリジン5.22g(66.0mmol)を加えた後、フラスコを氷浴に浸し、温度を0~10℃に保ちながら、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド7.53g(25.5mmol)を添加し、30分間撹拌した。室温(25℃)に昇温後、塩化ベンゾイル1.27g(9.00mol)を加え、さらに2時間攪拌した。得られた反応液をメタノール水溶液1Lに投入し、析出した固体を回収後、メタノール水溶液で3回洗浄し、減圧乾燥してポリアミド(A-2)を得た。GPCにより求めた重量平均分子量は25,500、分散度は4.34であった。
Figure 2023126997000051
(合成例5:比較)
ポリアミド(R-1)の合成
攪拌機、温度計を備えた300mLのガラス製3ッ口フラスコ中に、窒素雰囲気下、N-メチル-2-ピロリドン97gを仕込み、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン11.0g(30.0mmol)を攪拌溶解させた。次いで、塩基としてピリジン5.22g(66.0mmol)を加えた後、フラスコを氷浴に浸し、温度を0~10℃に保ちながら、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド7.53g(25.5mmol)を添加し、30分間撹拌した。室温(25℃)に昇温後、塩化ベンゾイル1.27g(9.00mol)を加え、さらに2時間攪拌した。得られた反応液をメタノール水溶液1Lに投入し、析出した固体を回収後、メタノール水溶液で3回洗浄し、減圧乾燥してポリアミド(R-1)を得た。GPCにより求めた重量平均分子量は25,200、分散度は2.60であった。
Figure 2023126997000052
(重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn))
重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、東ソー株式会社製HLC-8320)を用いて、ポリスチレンを標準物質として用いて測定した。移動相はN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、カラムはTSKgel SuperHZM-Hを用いた。
(実施例1)
<感光性樹脂組成物の調製>
合成例3で得たポリアミド(A-1)、感光剤(B-1)としてナフトキノンジアジド化合物(株式会社三宝化学研究所製 TKF-528)、溶剤(*1)としてN-メチル-2-ピロリドン、を表1に示した割合で配合した。
<パターン樹脂膜の作製>
得られた感光性樹脂組成物を、スピンコーターを用いてシリコンウェハ上に塗布し、110℃7分間乾燥し、膜厚約3μmの感光性樹脂膜を得た。得られた感光性樹脂膜に、高圧水銀ランプを用いて、所定のマスクを介して450mJ/cmのi線を照射し、露光した。露光後、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で現像し、水でリンスして、パターン樹脂膜を得た。
<パターン硬化物の製造>
得られたパターン樹脂膜を、オーブンを用いて、窒素雰囲気下、130℃/30分間、200℃/1時間、320℃/2時間加熱してパターン硬化物を得た。
<露光部溶解速度・未露光部残膜率の評価>
現像を開始し、露光部の膜厚が0になった時点での、経過時間を現像時間、未露光部の膜厚を現像後膜厚とし、以下の式にて算出した。
露光部溶解速度(nm/s)=現像前膜厚(nm)/現像時間(s)
未露光部残膜率(%)={現像後膜厚(μm)/現像前膜厚(μm)}×100
結果を表1に併せて示す。
(実施例2)
合成例3で得たポリアミド(A-1)を、合成例4で得たポリアミド(A-2)に変えた以外は実施例1と同様に行った。実施例2の配合及び結果を表1に併せて示す。
(比較例)
合成例3で得たポリアミド(A-1)を、合成例5で得たポリアミド(R-1)に変えた以外は実施例1と同様に行った。比較例の配合及び結果を表1に併せて示す。
Figure 2023126997000053
実施例1の「-C(CF)H-」構造を有するポリアミドを含む樹脂膜は、比較例の「-C(CF-」構造を有するポリアミドを含む樹脂膜よりも露光部溶解速度に優れる。例えば、現像時間を短縮することができ、生産性が向上するという点で有用である。また、露光部溶解速度が高いにも関わらず、未露光部残膜率に優れる。従って、比較的高い溶解コントラストを有することが分かった。
一般にポリアミック酸などの溶解性が高い樹脂膜は、感光剤を加えても十分な溶解抑止効果が得られない、または、得られたとしてもスカムが発生するなどの問題が生じる。一方、実施例1の樹脂膜は、高い露光部溶解速度を有しながら、未露光残膜率に優れ、かつ、スカムの発生なくL/S=20/20(μm)のパターンを得ることができる。理由は明らかでないが、「-C(CF)H-」構造を有するポリアミドを含む樹脂膜は、感光剤との相容性に優れる等の理由が考えられる。
また、実施例2の樹脂膜は、アルカリ溶解性の極めて低い「ヘキサフルオロイソプロピル基を芳香環の隣接位に有するアミド」構造を含むにもかかわらず、比較例よりも高い溶解速度が得られている。すなわち、実施例1の「-C(CF)H-」構造を有するポリアミド、およびその組成物は、他の成分(アルカリ難溶性ポリマー等)を組み合わせたとしても、比較的良好なアルカリ溶解性を維持することができる。例えば、アルカリ溶解速度を所望の範囲に調整できる、組み合わせる成分に由来する物性を付与できるという点で有用である。
実施例の「-C(CF)H-」構造を有するポリアミドを含む樹脂膜の、アルカリ溶解速度が高い理由は明らかではないが、当業者にとって一般的な「-C(CF-」構造を有するポリアミドに比べて対称性に劣る(非対称性が増す)ことに由来すると考えられる。すなわち、非対称性が増すことで、ポリマー鎖のパッキングを疎にすることとなり、結果として、ポリマーのアルカリ現像液への溶解性向上に繋がると考えられる。

Claims (29)

  1. 下記一般式[1]で表される構造単位を有するポリアミドおよび感光剤を含む感光性樹脂組成物。
    Figure 2023126997000054
    (上記一般式[1]中、Rは下記一般式[2]で表される4価の有機基であり、Rは2価の有機基である。)
    Figure 2023126997000055
    (上記一般式[2]中、2つのnはそれぞれ独立して0~3の整数であり、Rは1価の置換基である。Rは複数ある場合は、同一であっても異なっていてもよい。Rに結合する2つのOH基はそれぞれ、*1または*2に1つ結合し、かつ*3または*4に1つ結合している。)
  2. 請求項1に記載の感光性樹脂組成物であって、
    が、以下から選択される少なくとも1つの4価の有機基である感光性樹脂組成物。
    Figure 2023126997000056
  3. 請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物であって、
    が、以下から選択される少なくとも1つの2価の有機基である感光性樹脂組成物。
    Figure 2023126997000057
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物であって、
    前記ポリアミドが下記一般式[3]で表される構造単位と下記一般式[4]で表される構造単位を有する共重合体である感光性樹脂組成物。
    Figure 2023126997000058
    (上記一般式[3]中、RおよびRの定義は前記一般式[1]および[2]と同様であり、2つのmはそれぞれ独立して0~3の整数である。)
    Figure 2023126997000059
    (上記一般式[4]中、Rは2価の有機基であり、pは1または2であり、Rは下記一般式[5]~[8]のいずれかで表される3価または4価の有機基である。)
    Figure 2023126997000060
    (上記一般式[5]中、Xは単結合または2価の連結基であり、2つのqはそれぞれ独立して0~3の整数である。Rは1価の置換基である。Rは複数ある場合は、同一であっても異なっていてもよい。)
    Figure 2023126997000061
    (上記一般式[6]中、Rは1価の置換基を表す。)
    Figure 2023126997000062
    Figure 2023126997000063
  5. 請求項4に記載の感光性樹脂組成物であって、
    が、以下から選択される少なくとも1つの3価または4価の有機基である感光性樹脂組成物。
    Figure 2023126997000064
  6. 請求項4または請求項5に記載の感光性樹脂組成物であって、
    前記一般式[3]におけるR及び前記一般式[4]におけるRは、それぞれ独立して、以下から選択される少なくとも1つの2価の有機基である感光性樹脂組成物。
    Figure 2023126997000065
  7. 請求項4~6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物であって、
    前記ポリアミド中の前記一般式[3]で表される構造単位と前記一般式[4]で表される構造単位のモル比が99.9:0.1~10:90である感光性樹脂組成物。
  8. 請求項1~3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物であって、
    前記ポリアミドが下記一般式[9]で表される構造単位を有する第一重合体であって、
    更に下記一般式[10]で表される構造単位を有する第二重合体を含む感光性樹脂組成物。
    Figure 2023126997000066
    (上記一般式[9]中、RおよびRの定義は前記一般式[1]および[2]と同様であり、2つのrはそれぞれ独立して0~3の整数である。)
    Figure 2023126997000067
    (上記一般式[10]中、Rは2価の有機基であり、sは1または2であり、Rは下記一般式[11]~[14]のいずれかで表される3価または4価の有機基である。)
    Figure 2023126997000068
    (上記一般式[11]中、Xは単結合または2価の連結基であり、2つのtはそれぞれ独立して0~3の整数である。R10は1価の置換基である。R10は複数ある場合は、同一であっても異なっていてもよい。)
    Figure 2023126997000069
    (上記一般式[12]中、R11は1価の置換基を表す。)
    Figure 2023126997000070
    Figure 2023126997000071
  9. 請求項8に記載の感光性樹脂組成物であって、
    が、以下から選択される少なくとも1つの3価または4価の有機基である感光性樹脂組成物。
    Figure 2023126997000072
  10. 請求項8または9に記載の感光性樹脂組成物であって、
    前記一般式[9]におけるR及び前記一般式[10]におけるRは、それぞれ独立して、以下から選択される少なくとも1つの2価の有機基である感光性樹脂組成物。
    Figure 2023126997000073
  11. 請求項8~10のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物であって、
    前記一般式[9]で表される構造単位と前記一般式[10]で表される構造単位のモル比が99.9:0.1~10:90である感光性樹脂組成物。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物であって、
    前記ポリアミドの重量平均分子量が、1,000以上100,000以下である感光性樹脂組成物。
  13. 請求項1~12のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物であって、
    前記ポリアミドが、末端封止剤と反応することで得られる封止構造を有するものを含む感光性樹脂組成物。
  14. 請求項13に記載の末端封止剤がカルボン酸誘導体である感光性樹脂組成物。
  15. 請求項14に記載のカルボン酸誘導体が酸塩化物である感光性樹脂組成物。
  16. 請求項15に記載の酸塩化物が塩化ベンゾイルである感光性樹脂組成物。
  17. 請求項1~16のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物であって、
    前記感光剤が、キノンジアジド化合物である感光性樹脂組成物。
  18. 請求項1~17のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物であって、
    さらに有機溶剤を含む感光性樹脂組成物。
  19. 請求項18に記載の有機溶剤が、
    アミド系溶剤、エーテル系溶剤、芳香族系溶剤、ハロゲン系溶剤およびラクトン系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種である感光性樹脂組成物。
  20. 請求項18または19に記載の感光性樹脂組成物であって、
    前記ポリアミドの濃度が、0.1質量%以上50質量%以下である感光性樹脂組成物。
  21. 請求項18~20のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を支持基材上に塗布した塗布物とし、該塗布物を乾燥して得られる感光性樹脂膜。
  22. 請求項1~20のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物または請求項21に記載の感光性樹脂膜の硬化物。
  23. 請求項21に記載の感光性樹脂膜をパターン露光、現像して得られるパターン樹脂膜。
  24. 請求項23に記載のパターン樹脂膜を硬化して得られるパターン硬化物。
  25. 請求項18~20のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を支持基材上に塗布する塗布工程と、
    塗布された感光性樹脂組成物に含まれる溶剤を除去させることにより、ポリアミドを含む感光性樹脂膜を得る乾燥工程と、
    前記感光性樹脂膜をパターン露光して樹脂膜を得る露光工程と、
    前記樹脂膜を、アルカリ水溶液を用いて現像し、パターン樹脂膜を得る現像工程と、
    前記パターン樹脂膜を加熱処理してパターン硬化物とする加熱工程と、
    を含む、電子装置の製造方法。
  26. 請求項25に記載の電子装置の製造方法であって、
    前記パターン硬化物の厚さを1μm以上1000μm以下とする、電子装置の製造方法。
  27. 請求項25または26に記載の電子装置の製造方法であって、
    前記乾燥工程の温度を50℃以上150℃以下とする、電子装置の製造方法。
  28. 請求項25~27のいずれか1項に記載の電子装置の製造方法であって、
    前記加熱工程の温度を150℃以上400℃以下とする、電子装置の製造方法。
  29. 請求項24に記載のパターン硬化物を含む電子装置。

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