JP2023126191A - 焼結体、焼結体の製造方法、粉末、及び、仮焼体 - Google Patents

焼結体、焼結体の製造方法、粉末、及び、仮焼体 Download PDF

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Abstract

【課題】動的強度及び静的強度のいずれの強度も高い焼結体、その焼結体の製造方法、粉末、及び、仮焼体の少なくともいずれかを提供する。【解決手段】安定化元素を含有し、該安定化元素がイットリウム以外の希土類元素を少なくとも1種含有し、平均結晶粒径が0.05μm以上0.75μm以下であり、かつ、塑性変形する領域を有するジルコニア焼結体。【選択図】図7

Description

本開示は、高い耐衝撃性を有し、ジルコニアを主相とする焼結体、焼結体の製造方法、粉末、及び、仮焼体に関する。
ジルコニアをマトリックスとする焼結体(以下、「ジルコニア焼結体」ともいう。)は、粉砕媒体や構造材料など強度を必要とする従来用途に加え、時計、携帯電子機器、自動車、家電等の装飾部品などの装飾用途への適用が検討されている。装飾用途へ適用される焼結体は、外的な衝撃による破壊を防ぐため、高強度・高靭性であることが求められる。これまで、信頼性の高い材料として、高強度及び高靭性を備える種々の焼結体が報告されている。
近年、高強度及び高靭性といった特徴に加えて、より実用に近い衝撃が与えられた場合の破壊抵抗が改善された焼結体も報告されている(特許文献1)。
特許文献1では、3.4~5.0mol%のセリア、0.7~1.2mol%のイットリアを含有するジルコニア粉末と、アルミナ粉末と、を混合した粉末を焼結することで得られる焼結体が報告されている。当該焼結体は、落球試験による動的負荷に対して塑性変形による衝撃痕を形成することで、高い耐衝撃性、すなわち動的強度を示すことが報告されている。
特開2021-91601号公報
外装部材等の実用途への適用の観点から、焼結体は、動的強度に加え、静的強度も高いことが求められる。しかしながら、特許文献1の焼結体は、高い静的強度を有することは報告されていない。
本開示は、動的強度及び静的強度のいずれの強度も高い焼結体、その製造方法、粉末、及び、仮焼体の少なくともいずれかを提供することを目的とする。
本発明者らは、動的強度が高いジルコニアの焼結体の静的強度、特に曲げ強度、について検討した。その結果、特許文献1におけるイットリウム及びセリウムの固溶は、動的強度が著しく改善するのに対し、静的強度の改善は限定的であることに着目した。更に、イットリウムとセリウムの固溶による静的強度の改善に比べて、イットリウムとセリウムの組み合せ以外の安定化元素の固溶により、高い動的強度及び静的強度を兼備したジルコニアの焼結体が得られることを見出した。
すなわち、本発明は特許請求の範囲のとおりであり、また、本開示の要旨は以下のとおりである。
[1] 安定化元素を含有し、該安定化元素がイットリウム以外の希土類元素を少なくとも1種含有し、平均結晶粒径が0.05μm以上0.75μm以下であり、かつ、塑性変形する領域を有するジルコニアの焼結体。
[2] 前記安定化元素の含有量が0.1mol%以上3.0mol%未満である[1]に記載の焼結体。
[3] 前記希土類元素がネオジム、ガドリニウム、イッテルビウム、ホルミウム及びサマリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む[1]又は[2]に記載の焼結体。
[4] 前記安定化元素がさらにイットリウムを含む[1]乃至[3]のいずれかひとつに記載の焼結体。
[5] イットリウムの含有量が0mol%以上1.2mol%以下である[1]乃至[4]に記載の焼結体。
[6] アルミナを含む[1]乃至[5]のいずれかひとつに記載の焼結体。
[7] 前記アルミナの含有量が0.1質量%以上30質量%以下である[6]に記載の焼結体。
[8] 安定化元素を含有し、単斜晶率が70%を超えるジルコニアを含み、該安定化元素がイットリウム以外の希土類元素を少なくとも1種含むジルコニア粉末。
[9] 前記希土類元素の含有量が0.1mol%以上3.0mol%未満である[8]に記載の粉末。
[10] 前記希土類元素がネオジム、ガドリニウム、イッテルビウム、ホルミウム及びサマリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む[8]又は[9]に記載の粉末。
[11] 前記安定化元素がさらにイットリウムを含む[8]乃至[10]のいずれかひとつに記載の粉末。
[12] イットリウムの含有量が0mol%以上1.2mol%以下である[8]乃至[11]に記載の粉末。
[13] ジルコニアの単斜晶の結晶子径が15nmを超え80nm以下である[8]乃至[12]のいずれかひとつに記載の粉末。
[14]BET比表面積が8m/g以上40m/g未満である[8]乃至[13]のいずれかひとつに記載のジルコニア粉末。
[15] アルミナを含む[8]乃至[14]のいずれかひとつに記載の粉末。
[16] 前記アルミナの含有量が0.1質量%以上30質量%以下である[15]に記載の粉末。
[17] 上記[8]乃至[16]のいずれかひとつに記載の粉末を焼結する焼結体の製造方法。
[18] 安定化元素を含有し、単斜晶率が70%を超えるジルコニアを含み、該安定化元素がイットリウム以外の希土類元素を少なくとも1種含む仮焼体。
本開示により、動的強度及び静的強度のいずれの強度も高い焼結体、焼結体の製造方法、粉末、及び、仮焼体の少なくともいずれかを提供することができる。
デュポン式落球試験機を使用した落球試験の様子を示す模式図 落球試験後の撃芯部(凹部の形成)の一例を示す模式図。 従来の焼結体の落球試験後の撃芯部付近の一例を示す模式図 落球試験における測定試料の配置の一例を示す模式図 衝撃痕の深さの測定方法を示す模式図 落球試験により破壊の態様の一例を示す模式図 (a)破壊が生じた状態、(b)破壊が生じていない状態 落球試験後の実施例11の焼結体の外観 ビッカース硬度測定後の実施例4の焼結体のビッカース圧痕の外観 ビッカース硬度測定後の実施例4の焼結体のビッカース圧痕付近のラマンラインマッピング結果
以下、本開示の焼結体及び粉末について、実施形態の一例を示して説明する。
本実施形態における各用語は以下の通りである。
「単斜晶率」及び「正方晶率」は、それぞれ、ジルコニアの結晶相に占める単斜晶及び正方晶の割合である。粉末X線回折(以下、「XRD」ともいう。)パターンを使用し、単斜晶率は以下の式(1)から、正方晶率は以下の式(2)から、それぞれ、求めることができる。
={I(111)+I(11-1)}
/[I(111)+I(11-1)+It,c(111)]×100 (1)
=I(111)
/[I(111)+I(11-1)+It,c(111)]×100 (2)
式(1)及び(2)において、fは単斜晶率(%)、fは正方晶率(%)、I(111)及びI(11-1)は、それぞれ、単斜晶の(111)面及び(11-1)面に相当するXRDピークの面積強度、It,c(111)は正方晶の(111)面に相当するXRDピークの面積強度と立方晶の(111)面に相当するXRDピークの面積強度の合計である。
測定条件として、以下の条件が挙げられる。
線源 :CuKα線(λ=1.5418Å)
管電圧 :45kV
管電流 :40mA
測定モード :連続スキャン
スキャンスピード:4°/分
ステップ幅 :0.02°
測定範囲 :2θ=26°以上33°以下
ゴニオメータ :半径185mm
ジルコニアの「単斜晶の結晶子径」(以下、「D」ともいう。)は、粉末のXRDパターンから以下の式(3)を使用して求まる値であり、「正方晶の結晶子径」(以下、「Dt」ともいう。)は、粉末のXRDパターンから、以下の式(4)を使用して求まる値である。
=κλ/(βcosθ) (3)
=κλ/(βcosθ) (4)
式(3)及び式(4)において、Dは単斜晶の結晶子径(nm)、Dは正方晶の結晶子径(nm)、κはシェラー定数(κ=1)、λはXRD測定に使用した光源の波長(nm)、βは粒度を25μm以上90μm以下とした石英砂(和光純薬工業社製)を使用して機械的広がりを補正した後の半値幅(°)、θはXRD測定における単斜晶の(11-1)面に相当する反射のブラッグ角(°)、θはXRD測定における正方晶の(111)面に相当する反射のブラッグ角(°)である。XRD測定の光源にCuKα線を用いた場合、λは0.15418nmである。
「BET比表面積」はJIS R 1626-1996に準じ、吸着物質を窒素(N)としたBET1点法により求められる値である。
「平均結晶粒径」は、焼結体を構成するジルコニア結晶粒子の個数を基準にした平均径であり、鏡面研磨した焼結体を熱処理後、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」ともいう。)観察して得られるSEM観察図を画像解析することで求められる。
SEM観察は一般的な走査電子顕微鏡(例えば、JSM-IT500LA、日本電子社製)により行えばよい。画像解析する結晶粒子(SEM観察図において結晶粒界が途切れずに観察される結晶粒子(後述))の数が150±50個となるように、SEM観察は、観察倍率を適宜設定して行えばよい。SEM観察箇所の相違による、観察される結晶粒子のバラツキを抑制するため、2以上、好ましくは3以上5以下のSEM観察図によって観察される結晶粒子の合計が上述の結晶粒子数となるように、SEM観察図を得ることが好ましい。SEM観察の条件として、以下の条件が例示できる。
加速電圧 :5~15kV
観察倍率 :5000倍~40000倍
SEM観察図の画像解析は、画像解析ソフト(例えば、Mac-View Ver.5、MOUNTECH社製)により行えばよい。具体的には、SEM観察図において結晶粒界が途切れずに観察される結晶粒子を抽出し、抽出した結晶粒子毎の面積[μm]を求める。求まった面積から、これと等しい面積を有する円の直径[μm]を換算し、得られる直径(heywood径;以下、「円相当径」ともいう。)を結晶粒子の結晶粒径とみなせばよい。抽出した結晶粒子の円相当径の平均値をもって、焼結体の平均結晶粒径とすればよい。
また、鏡面研磨した焼結体は結晶粒界のコントラストが観察しづらいため、結晶粒径の変化しない範囲で熱処理を行う必要がある。
焼結体の熱処理の条件としては、例えば、焼結温度よりも50℃以上低い温度で0.1時間以上保持することが挙げられ、以下の条件が例示できる。
熱処理温度:1100℃以上1500℃以下
熱処理時間:0.1時間以上1.0時間以下
以下、本開示の焼結体について、実施形態の一例を示して説明する。
(塑性変形領域)
本実施形態の焼結体は、塑性変形する領域を有する。塑性変形する領域とは、例えば、衝撃力が印加された場合に衝撃痕が形成される領域が挙げられる。本実施形態において「塑性変形」とは、外力の印加により生じる焼結体の変形であって、なおかつ、該外力の除去後に焼結体に残るものをいう。そのため、塑性変形は、外力を取り去った後に変形が残らない変形(いわゆる、弾性変形)や、焼結体が変形しないまま、亀裂などの欠陥の発生及び進展による破壊(いわゆる、脆性破壊)とは異なる。さらに、本実施形態における塑性変形は、高温域(例えば、800℃以上の温度域)で一定のひずみ速度で変形させた場合において、結晶粒界すべりが連続的に発生することで延びる現象、いわゆる超塑性現象による変形とも異なる。本実施形態の焼結体の耐衝撃性が改善する理由、すなわち耐衝撃性が向上する理由のひとつとして、衝撃痕が形成される領域などの塑性変形する領域(以下、「塑性変形領域」ともいう。)が、印可された衝撃力によって、伝わるエネルギーを吸収及び分散する機能を示すことが考えられる。これにより、衝撃力が印加された場合に、少なくとも、脆性破壊の発生に先立ち塑性変形が生じ、その結果、脆性破壊の発生が抑制され、耐衝撃性が向上することが考えられる。
本実施形態の焼結体は、少なくとも焼結体の一部に塑性変形領域を有していればよい(すなわち、塑性変形領域を有する焼結体であればよい)が、主として塑性変形領域からなっていてもよく、塑性変形領域からなる焼結体であってもよい。
「衝撃力」とは、焼結体にエネルギーを伝える力であり、特に動的な外力、好ましくは焼結体の破壊抵抗を超える外力、より好ましくは焼結体の破壊抵抗を超える動的な外力、さらには弾性エネルギーを焼結体に及ぼす動的な外力である。
「衝撃力が印加される」とは、少なくとも焼結体の一部にエネルギーが加えられることであり、例えば、焼結体の落下による地面等への接触や、落下物の焼結体への接触など、焼結体が被接触物と接触することによって焼結体にエネルギーが動的に加えられること、が挙げられる。
「衝撃痕」とは、焼結体に衝撃力が印加された痕跡、好ましくは衝撃力の印加によって焼結体に形成された痕跡である。換言すると、衝撃痕は、焼結体に塑性変形が生じた痕跡であり、破壊に先立ち発生した塑性変形の痕跡である。具体的な衝撃痕の態様として、撃芯部(後述)における、凹部や凹凸部、更には凹部、また更には衝撃力の印加方向に沿った凹部が例示できる。
本実施形態において、焼結体が塑性変形領域を有するか否かは、任意の方法で焼結体に衝撃力(例えば、当該焼結体の破壊を進行させる動的な外力)を印加することで、これを確認することができる。例えば、焼結体に対して衝撃力を印加し、印加後の焼結体に、凹部や凹凸部など、塑性変形が生じた痕跡(特に、破壊に先立ち変形が生じた痕跡)としての衝撃痕の形成が確認できることによって、焼結体が塑性変形領域を有することを確認できる。本実施形態の焼結体において、衝撃痕は、塑性変形に由来して形成されるが、その後(衝撃痕の形成後)に発生する亀裂などの脆性破壊に基づく欠陥を含んでいてもよい。一方、衝撃力の印加後において、亀裂などの脆性破壊に基づく欠陥のみを有する場合(すなわち、塑性変形による衝撃痕の形成を伴わずに欠陥のみが確認される場合)や、ヘルツ破壊のように破壊に由来する変形のみを有する場合(すなわち、最初に発生した亀裂等の破壊の進展により形成された変形のみが確認される場合)は、塑性変形領域を有さないと判断することができる。
塑性変形領域の存在を確認する好ましい方法として、例えば、JIS K 5600 5-3に準拠したデュポン式落球試験機を使用し、室温下、300gの落下重りを、落下高さ200mmから落下させる落球試験(以下、単に「落球試験」ともいう。)、が挙げられる。
図1はデュポン式落球試験機を使用した落球試験を示す模式図である。図1に示すように、落球試験において、測定試料(101)は保護テープ(107)を裏面に貼付し、円筒状の落球試験機の試料台(106)に配置され、固定用テープ(105)をその側面に貼付されることで試料台に固定されている。落下重りは、重り(104)と打ち型(ポンチ:punch;102)からなり、打ち型(102)は測定試料(101)の表面に配置されている。落球試験は、該打ち型から落下高さに相当する高さ(図1中、両矢印部に相当する高さ;200mm)から重り(104)を投下させることで行えばよい。打ち型(102)は球状(半球状)の先端を備えた円柱形状を有している。重り(104)をデュポン式落球試験機のガイド(103a,103b)に沿って落とすことで、打ち型(102)を介して測定試料(101)に所望の衝撃力を印加することができる。
図2は落球試験後の本実施形態の焼結体の外観を示す模式図である。図2で示すように、本実施形態の焼結体は、落球試験によって落下重り(打ち型)による衝撃力が印可された領域(以下、「撃芯部」ともいう。)に衝撃痕が形成されたことが確認できる。図2における衝撃痕は、撃芯部付近に凹部が形成された状態を示しており、塑性変形領域を有することが目視で確認できる。なお、図示はしていないが凹部付近に、亀裂などの脆性破壊に基づく欠陥を有していてもよい。これに対し、図3は、落球試験後の従来の焼結体の外観を示す模式図である。図3で示すように、従来の焼結体は、撃芯部での衝撃痕の形成が確認できず、亀裂など脆性破壊に基づく欠陥のみが発生している。
塑性変形領域の存否は、目視及び光学顕微鏡による観察の少なくともいずれか、更には目視、により確認すればよい。光学顕微鏡による観察における観察倍率として、1~100倍、好ましくは10~50倍が例示できる。
なお、図示はしていないが、破壊靭性が高い従来の焼結体は、落球試験前後でその外観に変化はなく、衝撃痕を確認することができない。一方、塑性変形領域を有する焼結体においては、脆性破壊に先立ち塑性変形が生じる。そのため、衝撃痕を確認することができない場合、衝撃痕が確認できるまで落下高さを高くして繰り返し落球試験を行い、凹部の形成等の衝撃痕の形成を確認することで、塑性変形領域の存否を確認することもできる。
時計や携帯電子機器の外装材などの装飾部品として許容される耐衝撃性を備えた塑性変形領域の有無を評価するため、本実施形態において、300gの落下重りを、落下高さ200mmから落下する落球試験によって塑性変形領域の有無を確認することが好ましい。
本実施形態における落球試験は、JIS K 5600 5-3に準拠したデュポン式落球試験機を使用し、室温下(20~30℃)で行うことができる。落球試験の条件として、以下の条件が挙げられる。
落下重り : (形状)半径6.35mmの球状の先端を備えた円柱状の打ち型
(質量)300g
落球高さ : 200mm
測定試料 : 縦40mm×横30mm×厚み2mmの板状であり、両表面の表面粗さRaが0.02μm以下である焼結体
測定試料は、試料片の飛散防止のため、落球試験機の試料台と、測定試料の一方の表面(縦40mm×横30mmの面;主面)を両面テープで固定して、測定試料を配置する。配置後の測定試料を固定した面と対になる主面の縦方向に沿って固定用テープ(保護テープ)を貼付し、測定試料を固定する(図4)。固定後の測定試料に対して落球試験を実施すればよい。
落球試験により形成される衝撃痕の深さとして、例えば、焼結体の厚み[mm](図2:203)に対する衝撃痕の最深部の深さ[mm](図2:204)として、0%を超え3.5%以下、0.05%以上3%以下、更には0.5%以上3%以下であること、が挙げられる。なお、図2における衝撃痕(凹部)の深さ(204)は深さを強調して示している。
本実施形態において、衝撃痕の深さは、一般的なレーザー顕微鏡(例えば、VK-9500/VK-9510、キーエンス社製)もしくは接触式の表面形状測定機(例えば、Dektak XTL、ブルカー社製)を使用して測定することができる。レーザー顕微鏡での測定の場合、観察倍率としては10~50倍、更には20倍であること、及び、レーザー波長は408nmであることが例示できる。
図5に、衝撃痕の深さの測定方法の一例を示す模式図を示す。衝撃痕の深さの測定方法は、以下に示す方法に限定されるものではない。本実施形態における衝撃痕の深さの測定は、落球面の上面視で略円形状に形成される衝撃痕の最大径方向であるX軸方向(503A)、及び、X軸方向に直交し、かつ、落球面内に延びるY軸方向(503B)に、それぞれラインプロファイルを行い、X軸及びY軸と直交するZ軸方向に関して、落球面の高さと衝撃痕表面の高さの差、すなわち衝撃痕の深さ(504)を測定する。X軸方向に沿って測定した最大深さをL1、Y軸方向に沿って測定した最大深さをL2とし、最大深さを平均し(=(L1+L2)/2)、得られた長さをもって、試料の衝撃痕の深さとすればよい。レーザー顕微鏡を用いる場合、最深部の長さの計測における計測条件は、0.5μm/ステップが例示できる。なお、測定に先立ち、パターン長さが既知である装置付属の標準試料(例えば、パターンが刻まれたSi基板等)を測定し、その解析精度を調整すればよい。
このようなラインプロファイル及びZ軸方向の最深部の計測などの解析は、レーザー顕微鏡に付属された解析ソフト等(例えば、ソフト名:VK-H1A9VK ANALYZER Version3.0.1.0)による画像解析で行うことができる。
(焼結体)
本実施形態の焼結体は、安定化元素を含有し、該安定化元素がイットリウム以外の希土類元素を少なくとも1種含む。
安定化元素は、ジルコニアを安定化させる元素であり、例えば希土類元素を挙げることができる。本実施形態の焼結体に含まれるジルコニアは、安定化元素として、イットリウム(Y)以外の希土類元素を少なくとも1種を含む。該希土類元素はセリウム(Ce)以外であることが好ましい。該希土類元素は、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、イッテルビウム(Yb)及びホルミウム(Ho)の群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム及びイッテルビウムの群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましく、ネオジム、サマリウム及びガドリニウムの群より選ばれる少なくとも1種を含むことが更に好ましい。希土類元素は、本実施形態の焼結体を青色の色調とできる点でネオジムを含むことが好ましく、本実施形態の焼結体を黄色の色調とできる点でサマリウムを含むことが好ましく、本実施形態の焼結体の落球強度が高くなりやすい点でガドリニウムを含むことが好ましく、本実施形態の焼結体の水熱劣化耐性が高くなりやすい点でイッテルビウムを含むことが好ましい。本実施形態の焼結体に含まれるジルコニアは、該希土類元素を2種類以上含んでいてもよい。
本実施形態の焼結体に含まれるジルコニアにおいて、安定化元素がさらにイットリウムを含んでいてもよい。すなわち、本実施形態の焼結体に含まれる安定化元素は、(i)ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、イッテルビウム及びホルミウムの群より選ばれる少なくとも1種、又は、(ii)ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、イッテルビウム及びホルミウムの群より選ばれる少なくとも1種及びイットリウム、であることが好ましい。
安定化元素の含有量(以下、「安定化元素量」ともいう。)は、ジルコニアが部分安定化される量であればよい。安定化元素量は、酸化物換算で0mol%超、0.1mol%以上、0.2mol%以上、0.5mol%以上、1.0mol%以上又は1.5mol%以上であり、かつ、3mol%未満、2.5mol%以下、2.3mol%以下、2.0mol%以下又は2.0mol%未満であることが挙げられる。例えば、安定化元素量は、0mol%を超え3mol%未満、更には0.1mol%以上3mol%未満であることが挙げられ、0mol%を超え2.5mol%以下であることが好ましく、0.5mol%以上2.0mol%以下であることがより好ましい。本実施形態において、安定化元素量は、ジルコニア及び酸化物換算した安定化元素の合計に対する、酸化物換算した安定化元素の合計の割合(mol%)である。
安定化元素の酸化物換算は、ネオジムがNd、サマリウムがSm、ガドリニウムがGd、イッテルビウムがYb、ホルミウムがHo、及び、イットリウムがYとすればよい。
安定化元素としてネオジム、サマリウム、ガドリニウム、イッテルビウム及びホルミウムの少なくとも1種を含有するジルコニアを含む焼結体において、各安定化元素の含有量(以下、安定化元素がネオジム等である場合の各安定化元素の含有量を、それぞれ、「ネオジム含有量」等ともいう。)は、0mol%超、0.1mol%以上、0.2mol%以上、0.5mol%以上、1.0mol%以上又は1.5mol%以上であり、かつ、3.0mol%未満、2.5mol%以下、2.3mol%以下又は2.0mol%以下であることが挙げられる。
本実施形態における各安定化元素の含有量は、ジルコニア及び酸化物換算した安定化元素量の合計に対する、酸化物換算した各安定化元素の割合(mol%)である。
本実施形態の焼結体は、上述の安定化元素量を満たしていれば、各安定化元素の含有量は任意である。本実施形態の焼結体における各安定化元素の含有量として、ネオジム含有量が、例えば、0.1mol%以上、0.2mol%以上又は0.5mol%以上であり、かつ、3.0mol%未満であることが挙げられ、サマリウム含有量が0.1mol%以上、0.3mol%又は0.5mol%以上であり、かつ、3.0mol%未満であることが挙げられる。
また、本実施形態の焼結体において、ガドリニウム含有量は、例えば、0.3mol%以上又は0.5mol%以上であり、3.0mol%未満又は2.5mol%以下であることが挙げられ、イッテルビウム量は0.1mol%以上又は0.5mol%以上であり、また、3.0mol%未満又は2.5mol%以下であることが挙げられ、ホルミウム含有量は0.1mol%以上又は0.5mol%以上であり、また、3.0mol%未満又は2.5mol%以下であることが挙げられる。
イットリウム含有量は、0mol%以上である。すなわち、本実施形態の焼結体がイットリウムを含んでいなくともよく、また、イットリウムを含んでいてもよい。本実施形態の焼結体のイットリウム含有量は、0mol%以上、0.1mol%以上、0.3mol%以上又は0.5mol%以上であり、かつ、2.5mol%以下、2.0mol%以下、1.5mol%以下又は1.2mol%以下であることが挙げられる。
安定化元素はジルコニアに固溶していることが好ましく、本実施形態の焼結体は、未固溶の安定化元素を含まないことが好ましい。本実施形態において、未固溶の安定化元素を含まないとは、焼結体のXRDパターンにおいて、安定化元素の化合物のXRDピークを有さないことである。
本実施形態の焼結体は、顔料成分を含んでいてもよい。焼結体に含まれる顔料成分とは、焼結体を着色する機能を有する成分をいう。これにより、焼結体がジルコニア本来の色調とは異なる任意の色調を呈することができる。本実施形態の焼結体に含まれる顔料成分は、ジルコニアを着色する機能を有する希土類元素以外の元素及びその化合物の少なくともいずれかであり、例えば、金属元素を含む化合物、更には遷移金属元素及びこれを含む化合物であることが好ましい。具体的な顔料成分として、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及び亜鉛(Zn)の群から選ばれる1種以上の元素、並びにこれらを1種以上含む化合物であることがより好ましく、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル及び亜鉛の群から選ばれる元素を1種以上含む酸化物であることがさらに好ましい。顔料成分としては、例えば、ジルコニア粉末に顔料成分の粉末を混合したものを焼結することで、顔料成分の粉末由来の着色元素またはその着色元素を含む化合物が、ジルコニア焼結体中に顔料成分として含まれうる。
本実施形態の焼結体における顔料成分の形態は任意であり、顔料成分は粒子(第2相粒子)して含まれていてもよく、ジルコニア中に固溶していてもよい。
本実施形態の焼結体は、顔料成分の含有量が少ないほど、塑性変形が発現しやすい傾向がある。顔料成分の含有量は0質量%を超え、0.001質量%以上であることが好ましい。焼結体が塑性変形領域を有していれば、顔料成分の含有量は任意であるが、顔料成分の含有量は、例えば、10質量%以下、7.5質量%未満、5.0質量%以下、3.5質量%以下、3.0質量%以下であることが挙げられる。顔料成分を含む場合、その含有量として0質量%超10質量%以下、0.001質量%以上7.5質量%未満、0.01質量%以上5質量%以下、又は、0.04質量%以上1質量%以下が挙げられる。顔料成分の含有量は、本実施形態の焼結体の質量に対する、酸化物換算した顔料成分の合計質量の割合、として求めることができる。顔料成分の酸化物換算は、例えば、コバルトはCoO、鉄はFe、マンガンはMn、亜鉛はZnOであればよい。また、顔料成分が複合酸化物を形成している場合の顔料成分の含有量は、本実施形態の焼結体の質量に対する、複合酸化物換算した顔料成分の合計質量の割合、として求めることができる。
本実施形態の焼結体は、アルミナ(Al)を含んでいてもよい。本実施形態の焼結体は、アルミナを含まなくてもよいため、アルミナ含有量は0質量%以上である。アルミナを含む場合、アルミナ含有量は0質量%を超え30質量%未満が挙げられ、好ましくは0質量%を超え25質量%以下、より好ましくは0.005質量%以上20質量%以下である。また、アルミナ含有量は0質量%以上、0質量%超、0.005質量%以上、0.05質量%以上又は0.25質量%以上であり、なおかつ、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下であってもよい。本実施形態の焼結体が透過性を得やすい点で、アルミナを含まないことが好ましく、比較的低温で緻密な焼結体を得られやすい観点から、アルミナ含有量は0.05質量%以上が好ましく、本実施形態の焼結体の機械的特性、例えば静的強度のような機械的特性、が高くなりやすいことから、アルミナ含有量は30質量%以下であることが好ましい。アルミナ含有量は、ジルコニア、酸化物換算した安定化元素、酸化物換算した顔料成分及びAl換算したアルミニウムの合計量に対する、Al換算したアルミニウムの質量割合、として求めればよい。
アルミナは、本実施例の焼結体の機械的特性に与える影響が大きく、ジルコニアを着色する効果がほとんどない。そのため、本実施形態においてアルミナ、すなわち金属元素等と複合酸化物を形成していないアルミニウムの酸化物、は顔料成分に含まれないものとす
る。
本実施形態の焼結体は、アルミナ以外にも、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、酸化ガリウム(Ga)、酸化ゲルマニウム(GeO)、酸化ニオブ(Nb)及び酸化タリウム(Ta)の群から選ばれる1種以上の添加剤、更にはシリカ、チタニア、酸化ガリウム及び酸化ゲルマニウムの群から選ばれる1種以上の添加剤、の少なくともいずれかを含んでいてもよい。添加剤を含むことで、所望の機械的特性を有する焼結体を得ることができる。添加剤を含む場合、その含有量として0質量%超5質量%以下、0.001質量%以上3質量%未満、0.01質量%以上1質量%以下、又は、0.05質量%以上0.5質量%以下が挙げられる。
本実施形態の焼結体は、ハフニア(HfO)等の不可避不純物を含んでいてもよいが、安定化元素、ジルコニア、必要に応じてアルミナ及び顔料成分、並びに、不可避不純物以外は含まないことが好ましい。本実施形態において、ハフニアの含有量の算出は、ジルコニアの含有量中の2質量%がハフニアの含有量であるとみなして算出すればよい。
例えば、本実施形態の焼結体が、顔料成分として、それぞれ、ABO又はABで表される複合酸化物、アルミナを含み、なおかつ、安定化元素としてホルミウム及びイットリウムを含むジルコニアの焼結体である場合、各成分の含有量は以下のように求めればよい。なお以下の式において、ZrOの項、すなわちジルコニアの含有量は、焼結体の全量から組成分析により求められる他の成分(すなわち、顔料成分、アルミナ及び安定化元素)の含有量を除いた量として算出すればよく、2質量%のハフニアを含む不可避不純物の質量を考慮する必要はない。
顔料成分量[質量%]={(ABO+AB)/(Ho+Y+ZrO
+Al+ABO+AB)}×100
アルミナ量[質量%]={Al/(Ho+Y+ZrO
+Al+ABO+AB)}×100
安定化元素量[mol%]={(Ho+Y)/
(Ho+Y+ZrO)}×100
ホルミウム量[mol%]={(Ho)/
(Ho+Y+ZrO)}×100
イットリウム量[mol%]={(Y)/
(Ho+Y+ZrO)}×100
(焼結体の密度)
本実施形態の焼結体は、密度が高いことが好ましく、相対密度として95%以上、好ましくは98%以上100%以下である。
本実施形態において、実測密度はアルキメデス法で求まる体積に対する、質量測定により求まる質量として求まる値である。また本実施形態において、相対密度は真密度に対する実測密度の割合から求めることができる。本実施形態において、真密度(g/cm)は、添加物や顔料成分を含まない場合、焼結体のジルコニアの結晶相が全て正方晶であるとみなし、かつ、該ジルコニアの単位格子体積(cm)に対する単位格子質量(g)から求めればよい。単位格子体積は、以下の条件で測定されるXRDパターンにおける、正方晶(004)面に相当するXRDピーク(以下、「I(004)」ともいう。)及び正方晶(220)面に相当するXRDピーク(以下「I(220)」ともいう。)のピークトップの2θとブラッグの式を使用して面間隔を求め、ここから算出した格子定数より求めればよい。また、単位格子質量は、焼結体の組成分析の結果を使用し、該単位格子に含まれる陽イオン及び陰イオンの合計質量として求めればよい。
本実施形態の焼結体が添加物や顔料成分を含む場合、焼結体の真密度は、上記の方法で算出したジルコニア部分の真密度ρZr、及び、以下に示す添加物や顔料成分の真密度を使用して求めればよい。すなわち、焼結体中に含まれる各成分の質量割合を、それぞれの成分の真密度で除して足し合わせたものの逆数が、焼結体の真密度である。例えば、アルミナをX質量%、酸化鉄をY質量%含む焼結体の場合、真密度ρthは以下のように求めればよい。
ρth=100/[(X/3.987)+(Y/5.24)+(100―X―Y)/ρZr
添加物及び顔料成分の真密度は以下の値を使用した。
アルミナ(Al):3.987 [g/cm
酸化ゲルマニウム(GeO):4.25 [g/cm
酸化ニオブ(Nb):4.6 [g/cm
酸化鉄(Fe):5.24 [g/cm] 酸化ニッケル(NiO):6.67 [g/cm
酸化マンガン(Mn):4.81 [g/cm
コバルトアルミネート(CoAl):4.29 [g/cm
本実施形態の焼結体の平均結晶粒径は、0.05μm以上であり、0.10μm以上又は0.15μm以上であることがあげられ、かつ、0.75μm以下0.50μm以下又は0.40μm以下である。結晶粒径がこの範囲内にあることで、焼結体が高い曲げ強度を示しやすい。好ましい平均結晶粒径は0.10μm以上0.40μm以下、又は、0.25μm以上0.40μm以下が挙げられる。
本実施形態の焼結体のジルコニアの結晶相は、少なくとも正方晶を含むことが好ましく、正方晶と、立方晶及び単斜晶の少なくともいずれかとからなっていてもよい。
本実施形態において、焼結体の粉末X線回折パターンは、一般的な結晶性解析X線回折装置(例えば、装置名:UltimaIV、RIGAKU社製)により測定することができる。
測定条件として、以下の条件が挙げられる。
線源 :CuKα線(λ=1.5418Å)
管電圧 :45kV
管電流 :40mA
測定モード :連続スキャン
スキャンスピード:4°/分
ステップ幅 :0.02°
測定範囲 :2θ=20°以上80°以下
ゴニオメータ :半径185mm
上記測定において、正方晶の(004)面に相当するXRDピークの回折強度は、2θ=72.5±1°にピークトップを有するXRDピークの面積強度として、正方晶の(220)面に相当するXRDピークの回折強度は、2θ=74±1°にピークトップを有するXRDピークの面積強度として、それぞれ、確認される。
本実施形態の焼結体は、以下の式から求まる落球破壊エネルギー(以下、「落球強度」ともいう。)が0.5J以上、さらには0.6J以上であることが好ましい。落球強度は耐衝撃性を示す指標のひとつであり、この値が高いほど耐衝撃性が高くなる。焼結体の落球強度として、例えば、5J以下、2J以下又は1J以下が例示できる。
落球強度(J)= 落下重り質量(g)×落下高さ(mm)×重力加速度(m/s)×10-6
重力加速度として、9.8m/sを使用すればよい。
落球強度は、落球高さを以下に示す任意の高さとすること以外は、上述の落球試験と同様な方法により測定することができる。
落球高さ : 50~500mm
破壊の判定は、測定試料が2以上に分割された状態をもって破壊が生じているとみなすことができる(図6(a))。一方、一端から他端まで達していない亀裂が生じた場合(図6(b))は、破壊が生じていないとみなせばよい。特定の落下高さにおける落球試験で破壊が生じなかった場合、破壊が生じるまで、落下高さを500mmまで一定の高さずつ(例えば、50mmずつ)高くして繰り返し落球試験を行い、同様に目視による観察を行えばよい。若しくは、落球高さの代わりに落下重りの重さを変更して繰り返し落球試験を行ってもよい。例えば、落球高さが500mmに達しても破壊が生じなかった場合、落下重りの質量を300gから500gに変更して、再度350~500mmの落下高さにて落球試験を行うことで、より高い落球強度まで測定が可能である。
本実施形態の焼結体のビッカース硬度(GPa)は特に限定されないが、焼結体表面に傷がつきにくくなるため、例えば8.0GPa以上であることが挙げられ、8.5GPa以上であることが好ましく、9.0GPa以上であることがより好ましい。ビッカース硬度は20.0GPa以下、17.5GPa以下又は15.0GPa以下であることが例示できる。好ましいビッカース硬度として8.0GPa以上20.0GPa以下、8.5GPa以上17.5GPa以下、又は、9.0GPa以上15.0GPa以下、が例示できる。
本実施形態において、ビッカース硬度は、JIS R1610:2003に準じた方法によって測定することができる。ビッカース硬度の測定条件として、以下の条件が例示できる。
測定試料 :(試料厚み) 1.5±0.5mm
(測定表面粗さ)Ra≦0.02μm
測定荷重 :10kgf
測定は、ダイヤモンド製の正四角錘の圧子を備えた一般的なビッカース試験機(例えば、MV-1、マツザワ社製)を使用して行うことができる。測定は、圧子を静的に測定試料表面に押し込み、測定試料表面に形成した押込み痕を形成させ、該押込み痕の対角長さをビッカース試験機に内蔵された光学顕微鏡もしくは一般的な光学顕微鏡(例えば、VHX-7000、キーエンス社製)にて計測して行う。得られた対角長さを使用して、以下の式からビッカース硬度を求めることができる。
Hv=F/{d/2sin(α/2)}
上の式において、Hvはビッカース硬度、Fは測定荷重(10kgf=9.80665N)、dは押込み痕の対角長さ(mm)、及び、αは圧子の対面角(136°)である。
本実施形態における焼結体の破壊抵抗の指標として、破壊靭性値が例示できる。JIS R 1607で規定されるSEPB法によって測定される本実施形態の焼結体の破壊靭性値(MPa・m0.5)は、5MPa・m0.5以上又は6MPa・m0.5以上であり、かつ、20MPa・m0.5以下又は15MPa・m0.5以下であることが例示でき、5MPa・m0.5以上20MPa・m0.5以下、又は、6MPa・m0.5以上15MPa・m0.5以下であることが好ましい。
本実施形態において、曲げ強度は、JIS R 1601に準じた3点曲げ試験によって測定することができる。本実施形態の焼結体の曲げ強度としては900MPa以上又は950MPa以上であり、また、1500MPa以下、1400MPa以下又は1250MPa以下であることが挙げられ、900MPa以上1500MPa以下、950MPa以上1400MPa以下、又は、950MPa以上1200MPa以下であることが好ましい。
本実施形態の焼結体の色調は任意であるが、CIE1976(L)色空間におけるLが0以上95以下、aが-15以上15以下又は-5以上15以下、かつ、bが-40以上40以下又は-30以上40以下であることが挙げられる。
明度L及び色度a、bは、JIS Z 8722に準じた方法で、一般的な分光測色計(例えば、CM-700d、コニカミノルタ社製)を使用して測定することができる。明度L及び色度a、bの測定条件として、以下の条件が挙げられる。測定は、背景として黒色板を使用した測定(いわゆる黒バックの測定)とすることが好ましい。
光源 : D-65光源
視野角 : 10°
測定方式 : SCI
測定試料として、直径20mm×厚さ2.7mmの円板形状の焼結体を使用し、評価する表面を鏡面研磨処理(Ra≦0.02μm)し、色調を評価すればよい。また、色調評価有効面積として直径10mmが挙げられる。
本実施形態の焼結体の形状は、例えば、球状、略球状、楕円状、円板状、円柱状、立方体状、直方体状、多面体状及び略多面体状の群から選ばれる少なくともいずれかが挙げられる。更に、各種用途等、所期の目的を達成するための任意の形状であればよい。
本実施形態の焼結体は、従来の焼結体、特に構造材料、光学材料、歯科用材料等のジルコニア焼結体の用途に適用できるが、装飾品、時計や筐体などのアクセサリーのカバー用途、携帯電話などの携帯電子機器の外装部材など、比較的高い耐衝撃性が要求される部材として使用することができる。
(粉末)
本実施形態の粉末は、安定化元素を含有し、単斜晶率が70%を超えるジルコニアを含み、該安定化元素がイットリウム以外の希土類元素を少なくとも1種含むジルコニアの粉末、である。
本実施形態の粉末は、安定化元素を含有し、単斜晶率が70%を超えるジルコニアを含む。すなわち、本実施形態の粉末は、結晶相が主として単斜晶からなる、安定化元素含有ジルコニア、を含む。本実施形態の粉末は、主としてジルコニアからなる、いわゆるジルコニア粉末である。
本実施形態の粉末に含まれるジルコニアは、安定化元素として、イットリア以外の希土類元素を少なくとも1種を含む。該希土類元素はセリウム(Ce)以外であることが好ましい。該希土類元素は、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、イッテルビウム(Yb)及びホルミウム(Ho)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、イッテルビウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましく、ネオジム、サマリウム及びガドリニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが更に好ましい。希土類元素は、本実施形態の粉末から得られる焼結体を青色の色調とできる点でネオジムを含むことが好ましく、本実施形態の粉末から得られる焼結体を黄色の色調とできる点でサマリウムを含むことが好ましく、本実施形態の粉末から得られる焼結体の落球強度が高くなりやすい点でガドリニウムを含むことが好ましく、本実施形態の粉末から得られる焼結体の水熱劣化耐性が高くなりやすい点でイッテルビウムを含むことが好ましい。本実施形態の粉末に含まれるジルコニアは、該希土類元素を2種類以上含んでいてもよい。
なお本実施形態の粉末に含まれるジルコニアは、安定化元素としてイットリウムを含んでいてもよい。すなわち、本実施形態の粉末に含まれるジルコニアが含有する安定化元素は、(i)ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、イッテルビウム及びホルミウムの群より選ばれる少なくとも1種、又は、(ii)ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、イッテルビウム及びホルミウムの群より選ばれる少なくとも1種及びイットリウム、であればよい。
本実施形態の粉末の安定化元素量は、本実施形態の粉末を焼結して得られる焼結体と同じ量であればよく、ジルコニアが部分安定化される量であればよい。安定化元素量は、酸化物換算で0mol%超、0.1mol%以上又は0.5mol%以上であり、また、3mol%未満、2.5mol%以下、2.0mol%以下又は2.0mol%未満であることが挙げられ、更に、0mol%を超え3mol%未満であることが挙げられ、0mol%を超え2.5mol%以下であることが好ましく、1.0mol%以上2.0mol%以下であることがより好ましい。本実施形態において、安定化元素量は、ジルコニア及び酸化物換算した安定化元素の合計に対する、酸化物換算した安定化元素の合計の割合(mol%)である。
安定化元素としてネオジム、サマリウム、ガドリニウム、イッテルビウム及びホルミウムの少なくとも1種を含有するジルコニアを含む粉末において、各安定化元素の含有量は0mol%超、0.1mol%以上、0.2mol%以上、0.3mol%以上、0.5mol%以上、1.0mol%以上又は1.5mol%以上であり、かつ、3mol%未満、2.5mol%以下、2.3mol%以下又は2.0mol%以下であることが挙げられる。
本実施形態における各安定化元素の含有量は、ジルコニア及び酸化物換算した安定化元素量の合計に対する、酸化物換算した各安定化元素の割合(mol%)である。
本実施形態の粉末は、上述の安定化元素量を満たしていれば、各安定化元素の含有量は任意である。本実施形態の粉末における各安定化元素の含有量として、ネオジム含有量が、例えば、0.1mol%以上、0.2mol%以上又は0.5mol%以上であり、かつ、3.0mol%未満であることが挙げられ、サマリウム含有量が0.1mol%以上、0.3mol%又は0.5mol%以上であり、かつ、3.0mol%未満であることが挙げられる。
また、本実施形態の粉末は、ガドリニウム含有量が、例えば、0.3mol%以上又は0.5mol%以上であり、3.0mol%未満又は2.5mol%以下であることが挙げられ、イッテルビウム量が0.1mol%以上又は0.5mol%以上であり、また、3.0mol%未満又は2.5mol%以下であることが挙げられ、ホルミウム含有量は0.1mol%以上又は0.5mol%以上であり、また、3.0mol%未満又は2.5mol%以下であることがより好ましい。
安定化元素はジルコニアに固溶していることが好ましく、本実施形態の粉末は、未固溶の安定化元素を含まないことが好ましい。
本実施形態の粉末は、顔料を含んでいてもよい。これにより、焼結体がジルコニア本来の色調とは異なる色調を呈する。本実施形態の粉末に含まれる顔料は、希土類元素以外でジルコニアを着色する機能を有する元素及びその化合物の少なくともいずれかであり、例えば、金属元素を含む化合物、更には遷移金属元素を含む化合物であることが好ましい。具体的な顔料として、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛、の群から選ばれる元素を1種以上含む化合物であることがより好ましく、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル及び亜鉛の群から選ばれる元素を1種以上含む酸化物であることがさらに好ましい。
本実施形態の粉末から得られる焼結体は、顔料成分の含有量が少ないほど、塑性変形が発現しやすいため、本実施形態の粉末における顔料の含有量は0質量%を超え、0.001質量%以上であることが好ましい。塑性変形領域を有する焼結体が得られれば、粉末の顔料の含有量は任意であるが、顔料の含有量として、例えば、10質量%以下、7.5質量%未満、5.0質量%以下、3.5質量%以下であることが挙げられる。顔料の含有量は、酸化物換算した本実施形態の粉末の質量に対する、酸化物換算した顔料の合計質量の割合、として求めることができる。酸化物換算における顔料は、例えば、コバルトはCoO、鉄はFe、マンガンはMn、亜鉛はZnOとすればよい。また、顔料成分が複合酸化物を形成している場合の顔料成分の含有量は、本実施形態の焼結体の質量に対する、複合酸化物換算した顔料成分の合計質量の割合、として求めることができる。
本実施形態の粉末は、アルミナを含んでいてもよい。本実施形態の粉末は、アルミナを含まなくてもよいため、アルミナ含有量は0質量%以上である。アルミナを含む場合、アルミナ含有量は0質量%を超え30質量%未満が挙げられ、好ましくは0質量%を超え25質量%以下、より好ましくは0.005質量%以上20質量%以下である。また、アルミナ含有量は0質量%以上、0質量%超、0.005質量%以上、0.05質量%以上又は0.25質量%以上であり、なおかつ、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下であってもよい。本実施形態の粉末から得られる焼結体が透過性を得やすい点で、アルミナを含まない場合が好ましく、比較的低温で緻密な焼結体を得られやすい観点から、アルミナ含有量は0.05質量%以上が好ましく、焼結体の機械的特性、例えば静的強度のような機械的特性、が高くなりやすいことから、アルミナ含有量は30質量%以下であることが好ましい。アルミナ含有量は、ジルコニア、酸化物換算した安定化元素、及びAl換算したアルミニウムの合計量に対する、Al換算したアルミニウムの質量割合、として求めればよい。
本実施形態の粉末は、アルミナ以外にも、シリカ、チタニア、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ及び酸化タンタルの群から選ばれる1種以上、更にはシリカ、チタニア、酸化ガリウム及び酸化ゲルマニウムの群から選ばれる1種以上、などの添加剤の少なくともいずれかを含んでいても良い。このような添加剤を含むことで、所望の機械的特性を有する焼結体を得ることができる。
本実施形態の粉末は、ハフニア等の不可避不純物を含んでいてもよい。が、安定化元素、ジルコニア、アルミナ、必要に応じて顔料成分、及び不可避不純物以外は含まないことが好ましい。本実施形態において、ハフニアの含有量の算出は、ジルコニアの含有量中の2質量%がハフニアの含有量であるとみなして算出すればよい。
例えば、本実施形態の焼結体が、顔料成分として、それぞれABO及びABで表される2の複合酸化物、並びに、アルミナを含み、なおかつ、安定化元素としてホルミウム及びイットリウムを含むジルコニアの焼結体である場合、各成分の含有量は以下のように求めればよい。なお以下の式において、ZrOの項、すなわちジルコニアの含有量は、焼結体の全量から組成分析により求められる他の成分(すなわち、顔料成分、アルミナ及び安定化元素)の含有量を除いた量として算出すればよく、2質量%のハフニアを含む不可避不純物は、ジルコニアの含有量に含まれるものとすればよい。
例えば、本実施形態の粉末が、顔料成分としてそれぞれABO及びABで表される2の複合酸化物、並びに、アルミナを含み、なおかつ、安定化元素としてホルミウム及びイットリウムを含むジルコニアの粉末である場合、各成分の含有量は以下のように求めればよい。なお以下の式において、ZrOの項、すなわちジルコニアの含有量は、粉末の全量から組成分析により求められる他の成分(すなわち、顔料成分、アルミナ及び安定化元素)の含有量を除いた量として算出すればよく、2質量%のハフニアを含む不可避不純物は、ジルコニアの含有量に含まれるものとすればよい。
顔料成分量[質量%]={(ABO+AB)/(Ho+Y+ZrO
+Al+ABO+AB)}×100
アルミナ量[質量%]={Al/(Ho+Y+ZrO
+Al+ABO+AB)}×100
安定化元素量[mol%]={(Ho+Y)/
(Ho+Y+ZrO)}×100
ホルミウム量[mol%]={(Ho)/
(Ho+Y+ZrO)}×100
イットリウム量[mol%]={(Y)/
(Ho+Y+ZrO)}×100
本実施形態の粉末に含まれるジルコニアの単斜晶率は、70%を超え、75%以上であることが好ましく、78%以上であることがより好ましい。単斜晶率は100%以下であり、ジルコニアが正方晶及び立方晶の少なくともいずれかを含む場合、単斜晶率は100%未満となる。また、正方晶率と立方晶率の合計は30%未満、25%以下であることが好ましく、22%以下であることがより好ましい。正方晶率と立方晶率の合計は0%以上であればよく、すなわち、正方晶及び立方晶は含まれていなくともよい。
単斜晶の結晶子径(D)は15nmを超え80nm以下であり、16nm以上60nm以下であることが好ましく、18nm以上55nm以下であることが好ましい。
本実施形態の粉末は、BET比表面積が8m/g以上40m/g未満、10m/g以上40m/g未満、9m/g以上35m/g以下、15m/g以上35m/g以下、10m/g以上30m/g以下又は17m/g以上30m/g以下であることが好ましい。BET比表面積が8m/g以上、好ましくは10m/g以上であることで、比較的低い焼結温度でも緻密な焼結体を得ることが可能であり、40m/g未満であることで粉末の噴流性が低くなる傾向にある。
本実勢形態の粉末は、メジアン径が0.05μm以上0.3μm以下であることが好ましく、0.1μm以上0.3μm以下であることが好ましい。
本実施形態の粉末は、体積粒子径分布曲線がマルチモーダルの分布であることが例示でき、体積粒子径分布曲線が少なくとも粒子径0.05μm以上0.2μm以下及び粒子径0.3μm以上0.5μmにピーク(極値)を有する分布であることが好ましい。体積粒子径分布曲線が、例えばバイモーダルの分布など、マルチモーダルの分布である粉末は、成形時の充填性が高くなりやすい。得られる成形体の密度が高くなる傾向があるため、体積粒子径分布曲線における粒子径0.05μm以上0.2μm以下のピークに対する、粒子径0.3μm以上0.5μmのピークの割合(以下、「粒子径ピーク比」ともいう。)は、好ましくは0を超え2.5未満、より好ましくは0.1以上2.0以下、更に好ましくは0.2以上1.8以下である。
本実施形態の粉末は成形性が高いことが好ましい。具体的には、本実施形態の粉末を圧力50±5MPaで一軸加圧成形した後に、圧力196±5MPaで冷間静水圧プレス(以下、「CIP」ともいう。)で処理して成形体とした場合の該成形体の相対密度(以下、「成形体密度」ともいう。)が49%以上56%以下であることが好ましく、50%以上54%以下であることがより好ましい。
本実施形態の粉末は、仮焼体や焼結体の前駆体として使用することができ、装飾品、時計や筐体などのアクセサリーのカバー用途、携帯電話などの携帯電子機器の外装部材など、比較的高い耐衝撃性が要求される部材の原料粉末に適している。
本実施形態の粉末を仮焼体又は焼結体等とする場合、仮焼又は焼結に先立って成形によって成形体(圧粉体)としてもよい。成形、仮焼及び焼結は、いずれも公知の方法で行うことができる。
本実施形態の粉末を成形体とする場合、成形は公知の方法、例えば、一軸加圧(粉末プレス)成形、冷間静水圧プレス、スリップキャスティング及び射出成形の群から選ばれる少なくとも1種、によって行えばよい。
形状安定性の改善のため、成形体は結合剤を含んでいてもよい。結合剤は、セラミックスの成形に使用される有機バインダーであればよく、例えば、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ワックス及び可塑剤の群から選ばれる1以上が挙げられる。結合剤の含有量として、成形体の体積に占める結合剤の割合が25体積%以上65体積%以下であることが例示できる。また、成形体100質量%中、結合剤が0質量%を超え10質量%であることが例示できる。
成形体の形状は、焼結による収縮を考慮し、目的に応じた任意の形状であればよく、例えば、球状、略球状、楕円状、円板状、円柱状、立方体状、直方体状、多面体状及び略多面体状の群から選ばれる少なくともいずれかが挙げられる。
仮焼は、粉末の焼結温度未満で熱処理すればよく、例えば、大気雰囲気、600℃以上1200℃未満で熱処理すればよい。焼結は、公知の方法、例えば加圧焼結、真空焼結及び常圧焼結の群から選ばれる1以上、が適用できる。簡便であり、工業的に適用しやすいため、焼結は常圧焼結であることが好ましく、大気雰囲気、1150℃以上1550℃以下、好ましくは1200℃以上1500℃以下の常圧焼結がより好ましい。
(粉末の製造方法)
以下、本実施形態の粉末の製造方法について説明する。
本実施形態の焼結体は、上記の要件を満たす粉末が得られればその製造方法は任意である。本実施形態の粉末の製造方法の一例として、平均ゾル粒径が100nm以上400nm以下であり単斜晶を含有するジルコニアを含むジルコニアゾル、及び安定化元素源、を含む組成物を、500℃以上1250℃以下で熱処理して仮焼粉末とする工程、及び、該仮焼粉末を粉砕する工程、を含む製造方法、が挙げられる。
平均ゾル粒径が100nm以上400nm以下であり単斜晶を含有するジルコニアを含むジルコニアゾル、及び安定化元素源、を含む組成物を、500℃以上1250℃以下で熱処理して仮焼粉末とする工程(以下、「粉末仮焼工程」ともいう。)により、本実施形態の粉末の前駆体である仮焼粉末が得られる。
粉末仮焼工程では、500℃以上1250℃以下、更には600℃以上1250℃以下で熱処理する。熱処理が600℃以上であることで、常圧焼結で緻密化しやすい粉末が得られる。一方、熱処理が1250℃以下であることで、粉砕によって分散しやすい粉末が得られやすくなる。熱処理の時間は熱処理温度により異なるが、例えば30分以上10時間以下が挙げられる。
熱処理の雰囲気は任意であり、酸化雰囲気、運元雰囲気、不活性雰囲気及び真空雰囲気の群から選ばれるいずれかが例示でき、酸化雰囲気であることが好ましく、大気雰囲気であることがより好ましい。
ジルコニアゾルは、平均ゾル粒径が100nm以上であり、150nm以上であることが好ましく、かつ、400nm以下であり、350nm以下又は300nm以下であることが好ましい。ジルコニアゾルは単斜晶を含有するジルコニアを含み、結晶性ジルコニアからなるジルコニアを含むジルコニアゾル(以下、「結晶性ジルコニアゾル」ともいう。)であることが好ましく、主相が単斜晶である結晶性ジルコニアを含むジルコニアゾルであることがより好ましい。
粉砕しやすくなる傾向があるため、ジルコニアゾルは、以下の式で求められるジルコニウム元素量(以下、「吸着ジルコニウム量」ともいう。)が1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。
zr=(m/m)×100
上記式において、Wzrは吸着ジルコニウム量(質量%)である。mはジルコニアゾルを純水に分散させたスラリーを、分画分子量が500以上300万以下である限外濾過膜を使用した限外濾過することで得られる濾液中のジルコニウム量をジルコニア(ZrO)換算した質量(mg)である。濾液中のジルコニウム量はICP分析で測定すればよい。mは、限外濾過前のジルコニアゾルを大気雰囲気下、1000℃、2時間で熱処理した後の質量(mg)である。
粉末仮焼工程に供するジルコニアゾルは、上述の特徴を有していればよく、その製造方法は任意であり、中和共沈法、水熱合成法及び加水分解法の少なくともいずれかが例示できる。水熱合成法では、溶媒存在下でジルコニウム塩とアルカリ等とを混合して得られる共沈物を100~200℃で熱処理することでジルコニアゾルが得られる。また、加水分解法では、溶媒存在下でジルコニウム塩を加熱することで該ジルコニウム塩が加水分解してジルコニアゾルが得られる。このように、ジルコニアゾルは水熱合成法又は加水分解法で得られるジルコニアゾルであることが例示でき、加水分解法で得られるジルコニアゾルであることが好ましい。
ジルコニアゾルの製造方法で使用される前駆体としてジルコニウム塩が挙げられる。ジルコニウム塩は、オキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム及び硫酸ジルコニウムの群から選ばれる1種以上が例示でき、硝酸ジルコニウム及びオキシ塩化ジルコニウムの少なくともいずれかであることが好ましく、オキシ塩化ジルコニウムであることがより好ましい。
以下、ジルコニアゾルの好ましい製造方法として、加水分解法を例に挙げて説明する。加水分解の条件は、ジルコニウム塩の加水分解が十分に進行する任意の条件であればよく、例えば、ジルコニウム塩水溶液を130時間以上200時間以下で煮沸還流することが挙げられる。ジルコニウム塩水溶液中の陰イオン濃度を0.2mol/L以上0.6mol/L以下、更には0.3mol/L以上0.6mol/L以下として加水分解することで、平均ゾル粒子径が大きくなる傾向がある。
安定化元素源は、安定化元素を含む化合物であればよく、ネオジア、サマリア、ガドリニア、イッテルビア及びホルミア、若しくはこれらの前駆体となるネオジム、サマリウム、ガドリニウム、イッテルビウム及びホルミウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物、好ましくはネオジム、サマリウム、ガドリニウム、イッテルビウム及びホルミウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む塩化物、であればよい(以下、安定化元素がネオジム等である場合の安定化元素源を、それぞれ、「ネオジム源」等ともいう。)。本実施形態の粉末は、安定化元素源として、イットリア、若しくはその前駆体となるイットリウムを含む化合物をさらに含んでいてもよい。
ネオジム源は、ネオジア(酸化ネオジム)及びその前駆体となるネオジム化合物の少なくともいずれかであればよく、塩化ネオジム、ネオジア及び炭酸ネオジムの群から選ばれる1以上が挙げられ、塩化ネオジム及び酸化ネオジムの少なくともいずれかであることが好ましい。
サマリウム源は、サマリア(酸化サマリウム)及びその前駆体となるサマリウム化合物の少なくともいずれかであればよく、塩化サマリウム、サマリア及び炭酸サマリウムの群から選ばれる1以上が挙げられ、塩化サマリウム及び酸化サマリウムの少なくともいずれかであることが好ましい。
ガドリニウム源は、ガドリニア(酸化ガドリニウム)及びその前駆体となるガドリニウム化合物の少なくともいずれかであればよく、塩化ガドリニウム、ガドリニア及び炭酸ガドリニウムの群から選ばれる1以上が挙げられ、塩化ガドリニウム及び酸化ガドリニウムの少なくともいずれかであることが好ましい。
イットリウム源は、イットリア(酸化イットリウム)及びその前駆体となるイットリウム化合物の少なくともいずれかであればよく、塩化イットリウム、イットリア及び炭酸イットリウムの群から選ばれる1以上が挙げられ、塩化イットリウム及び酸化イットリウムの少なくともいずれかであることが好ましい。
粉末仮焼工程に供する組成物は、上述のジルコニアゾル、及び安定化元素源を含んでいればよく、安定化元素源の全部又は一部がジルコニアゾルに固溶していてもよい。
例えば、ジルコニウム塩と安定化剤源とを混合して加水分解すること、又は、ジルコニウム塩、安定化元素源及びアルカリ等を混合して共沈物とすること、などの方法により、安定化元素源の少なくとも一部がジルコニアに固溶しやすくなる。
粉末仮焼工程に供する組成物は、アルミナ源を含有してもよい。アルミナ源は、アルミナ及びその前駆体となるアルミニウム化合物の少なくともいずれかであり、アルミナ、水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム及び塩化アルミニウムの群から選ばれる1種以上が例示できる。
ジルコニアゾル、安定化元素源及びアルミナ源は、目的とする粉末の組成と同様な組成となるように、これらを混合すればよい。
仮焼粉末の物性として、それぞれ、BET比表面積が3m/g以上50m/g以下であること、単斜晶の結晶子径が5nm以上100nm以下であることが例示できる。
仮焼粉末を粉砕する工程(以下、「粉砕工程」ともいう。)では、仮焼粉末を粉砕処理する。仮焼粉末を粉砕処理することで焼結時の歩留まりが高くなりやすくなる傾向がある。
所望の組成の粉末を得るため、粉砕工程では、仮焼粉末に代わり、仮焼粉末、アルミナ源、その他添加物の混合粉末を粉砕してもよい。アルミナ源は、上述のアルミナ源が例示できる。その他添加物としては、シリカ、チタニア、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ及び酸化タンタルの群より選ばれる少なくともいずれかが例示でき、好ましくは酸化ゲルマニウム、酸化ニオブが例示できる。その他添加物源は、添加物及びその前駆体の少なくともいずれかであればよい。
また本実施形態の粉末から得られる焼結体を着色する目的で、粉砕工程では、仮焼粉末に代わり、仮焼粉末及び顔料の混合粉末を粉砕してもよい。
顔料源は、顔料及びその前駆体の少なくともいずれかであればよい。顔料の前駆体としては、ジルコニアを着色する機能を有する元素を含む化合物が挙げられ、例えば金属元素を含む化合物が好ましく、金属の、酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、蓚酸塩、硫酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩化物、フッ化物、臭化物及びヨウ化物の群から選ばれる1以上が例示でき、好ましく金属の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物及び炭酸塩の群から選ばれる1以上が挙げられる。具体的な顔料の前駆体として、酸化マンガン、酸化鉄及び酸化コバルトの群から選ばれる1以上が挙げられる。
顔料はペロブスカイト構造(ABO)又はスピネル構造(AB)を有する金属酸化物を含んでいてもよく、また、当該金属酸化物に含まれる各遷移金属の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、蓚酸塩、硫酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩化物、フッ化物、臭化物及びヨウ化物の群から選ばれる1以上を含んでいてもよい。ペロブスカイト構造(ABO)又はスピネル構造(AB)を有する金属酸化物は、これに含まれる各遷移金属の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、蓚酸塩、硫酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩化物、フッ化物、臭化物及びヨウ化物の群から選ばれる1以上を混合し、大気雰囲気、1200℃~1500℃で焼成することで得ることができる。顔料はこのような複合金属酸化物を含んでいてもよいし、該複合金属酸化物を構成する複数の金属元素の単独酸化物をそれぞれ含んでいてもよい。
顔料源は市販されているものを使用してもよく、好ましい顔料源として、CoAl、Mn、Fe、NiO及びZnOの群から選ばれる1以上、更にはCoAl、Mn、Fe、NiO及びZnOが例示できる。
粉砕方法は任意であり、湿式粉砕及び乾式粉砕の少なくともいずれかであればよく、湿式粉砕であることが好ましい。具体的な湿式粉砕として、ボールミル、振動ミル及び連続式媒体撹拌ミルの群から選ばれる1以上が例示でき、ボールミルであることが好ましい。
ボールミルによる粉砕条件として、例えば、仮焼粉末及び溶媒を混合して、スラリー質量に対する仮焼粉末の質量割合が30質量%以上60質量%以下であるスラリーとし、該スラリーを直径1mm以上15mm以下のジルコニアボールを粉砕媒体として、10時間以上100時間以下、粉砕することが挙げられる。
湿式粉砕後、任意の方法で乾燥して粉末とすればよい。乾燥条件として、大気雰囲気、110℃以上130℃以下が例示できる。
粉末の操作性を向上させるため、本実施形態の粉末の製造方法において、粉末を顆粒化する工程(以下、「顆粒化工程」ともいう。)を含んでいてもよい。顆粒化は任意の方法であるが、粉末と溶媒とを混合したスラリーを噴霧造粒すること、が挙げられる。該溶媒は水及びアルコールの少なくともいずれか、好ましくは水である。顆粒化された粉末(以下、「粉末顆粒」ともいう。)は、平均顆粒径が30μm以上80μm以下、更には40μm以上70μm以下であること、及び、嵩密度が1.00g/cm以上1.70g/cm以下、更には1.10g/cm以上1.65g/cm以下であることが挙げられる。
(焼結体の製造方法)
次に、本実施形態の焼結体の製造方法について説明する。
本実施形態の焼結体の製造方法は特に限定されないが、少なくとも本実施形態の粉末を焼結する工程(以下、「焼結工程」ともいう。)を有する方法によって、本実施形態の焼結体が得られる。上記で得られた粉末を焼結して製造する場合、焼結に先立ち、上記の粉末を成形して成形体(圧粉体)としてもよい。
成形体における安定化元素源の含有量は、目的とする焼結体の安定化元素量と同等であればよい。
成形体は、アルミナ源を含んでいてもよい。アルミナ源は、アルミナ(Al)及びその前駆体となるアルミニウム(Al)を含む化合物の少なくともいずれかであり、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、水酸化アルミニウム及びアルミナの群から選ばれる1以上が挙げられ、アルミナであることが好ましい。
成形体におけるアルミナ源の含有量は、目的とする焼結体のアルミナ含有量と同等であればよい。
成形体は、アルミナ源以外の添加物を含んでいても良い。成形体における添加物含有量は、目的とする焼結体の添加物含有量と同等であればよい。
ジルコニアとして、安定化元素含有ジルコニアを使用する場合、ジルコニアに安定化元素を含有させる方法は任意である。例えば、水和ジルコニアゾルと、目的とする安定化元素含有量と同等の安定化元素源とを混合し、乾燥、仮焼及び水洗することが挙げられる。
成形体は、必要に応じ、顔料成分源を含んでいてもよい。成形体における顔料成分源の含有量は、目的とする焼結体の顔料成分の含有量と同等であればよい。例えば、上記の粉末と、顔料成分源を混合した混合粉末を成形体することで、顔料成分源を含む成形体を得ることができる。
上記の粉末と、顔料成分源との混合方法は任意であり、好ましくは乾式混合及び湿式混合の少なくともいずれか、より好ましくは湿式混合、更に好ましくはボールミルを使用した湿式混合である。
成形方法は、混合粉末を圧粉体としうる公知の成形方法であればよく、好ましくは一軸加圧成形、等方加圧成形、射出成形、押出成形、転動造粒及び鋳込み成形の群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは一軸加圧成形及び等方加圧成形の少なくともいずれか、更に好ましくは冷間静水圧プレス処理及び一軸加圧成形(粉末プレス成形)の少なくいずれかであり、一軸加圧成形後に冷間静水圧プレス処理をする方法がより好ましい。
焼結に先立ち、成形体を仮焼して仮焼体を得る工程(以下、「仮焼工程」ともいう。)を有していてもよい。成形体を仮焼することにより、成形体から結合剤を除去することができる。
仮焼工程の条件は本実施形態の焼結体が得られれば任意であるが、大気雰囲気、400℃以上1100℃未満で熱処理することが例示できる。得られる仮焼体は、安定化元素を含有し、単斜晶率が70%を超えるジルコニアを含み、該安定化元素がイットリウム以外の希土類元素を少なくとも1種含むことが好ましい。
焼結工程は、成形体又は仮焼体を焼結して焼結体を得る。焼結方法は任意であり、常圧焼結、加圧焼結、真空焼結等、公知の焼結方法が例示できる。好ましい焼結方法として常圧焼結が挙げられ、簡便であるため、焼結方法は常圧焼結のみであることが好ましい。これにより、本実施形態の焼結体を、いわゆる常圧焼結体として得ることができる。常圧焼結とは、焼結時に成形体(又は仮焼体)に対して外的な力を加えず、単に加熱することによって焼結する方法である。
常圧焼結の条件は、焼結温度として、1100℃以上1600℃以下、1200℃以上1580℃以下、1200℃以上1560℃以下、が好ましく、さらに、1200℃以上1500℃以下、又は1200℃以上1450℃以下が例示できる。また、焼結雰囲気として、大気雰囲気及び酸素雰囲気の少なくともいずれかが挙げられ、大気雰囲気であることが好ましい。
焼結時間は、焼結方法、焼結に供する粉末(成形体)のサイズや量、及び、使用する焼結炉の性能に応じて適宜調整すればよいが、例えば、0.5時間以上8時間以下が挙げられる。
以下、実施例により本開示を具体的に説明する。しかしながら、本開示はこれら実施例に限定されるものではない。
(平均ゾル粒径)
ジルコニアゾルの平均ゾル粒径は、動的光散乱式粒子径分布測定装置(装置名:UPA-UT151、マイクロトラック・ベル社製)を用いて測定した。試料の前処理として、水和ジルコニアゾル含有溶液を純水に懸濁させ、超音波ホモジナイザーを用いて3分間攪拌させた。
(単斜晶率、正方晶率、D及びD
一般的なX線回折装置(装置名:UltimaIV、RIGAKU社製)を使用し、粉末試料のXRDパターンを得た。XRD測定の条件は以下の通りである。
線源 :CuKα線(λ=1.5418Å)
管電圧 :45kV
管電流 :40mA
測定モード :連続スキャン
スキャンスピード:4°/分
ステップ幅 :0.02°
測定範囲 :2θ=26°以上33°以下
ゴニオメータ :半径185mm
得られたXRDパターンを使用し、式(1)~(4)により、それぞれ、単斜晶率、正方晶率、D及びDを求めた。
(BET比表面積)
一般的な流動式比表面積自動測定装置(装置名:フローソーブIII2305、島津製作所社製)、及び吸着ガスとして窒素を使用し、粉末試料のBET比表面積を測定した。測定に先立ち、粉末試料は大気雰囲気、250℃で30分間の脱気処理を施し、前処理した。
(粒子径分布測定)
マイクロトラック粒度分布計(装置名:MT3000II、マイクロトラック・ベル社製)のHRAモードにより、粉末試料の体積粒子径分布曲線を、メジアン径を測定した。測定に先立ち、粉末試料を純水に懸濁させ、超音波ホモジナイザーを用いて10分間分散させ前処理とした。
(平均結晶粒径)
平均結晶粒径は、鏡面研磨した焼結体を熱エッチングした試料について、SEM-EDS(装置名:JSM-IT500LA、日本電子社製)、及び、画像解析ソフト(ソフト名:Mac-View Ver.5、MOUNTECH社製)を使用し、上述の方法で求めた。なお熱エッチングは、焼結体における焼結温度よりも100℃低い値で0.5時間の熱処理を行った。熱エッチングした試料をSEM用蒸着装置(DII-29010SCTR Smart Coater、日本電子社製)を用いて、Auコーティングを施した後にSEM観察を行った。
画像解析ソフトに取り込んだSEM観察図について、該ソフト上でジルコニア結晶粒子の粒界をトレースすることで、結晶粒界が途切れていない結晶粒子を抽出した。抽出後、該画像解析ソフトで、結晶粒子の面積、及び、円相当径を求め、平均結晶粒径を求めた。なお顔料成分やアルミナを含有し、かつ顔料成分やアルミナが結晶粒として析出した焼結体においては、SEM観察図中に顔料成分の結晶粒子、アルミナ結晶粒子及びジルコニア結晶粒子が含まれる。この場合、アルミナ粒子や顔料成分の結晶粒子はジルコニア粒子と比べて黒みを帯びた色調として観察されるほか、SEM-EDSにて検出できるため、このような結晶粒は除外して、結晶粒子を150±50個となるように抽出後、結晶粒子の面積、及び、円相当径を求め、平均結晶粒径を求めた。
(焼結体密度)
焼結体試料の実測密度は質量測定で測定された質量に対する、アルキメデス法で測定される体積の割合(g/cm)として求めた。測定に先立ち、乾燥後の焼結体の質量を測定した後,焼結体を水中に配置し、これを1時間煮沸し、前処理とした。真密度(g/cm)は、顔料成分やアルミナ、その他添加物を含まない場合、焼結体のジルコニアの結晶相が全て正方晶であるとみなし、かつ、該ジルコニアの単位格子体積(cm)に対する単位格子質量(g)から求めた。単位格子体積は、本実施形態の焼結体を測定した粉末X線回折パターンにおける、正方晶(004)面に相当するXRDピーク及び正方晶(220)面に相当するXRDピークのピークトップの2θ(2θ=72.5±1°及び74±1°)とブラッグの式を使用して面間隔を求め、ここから算出した格子定数より求めた。XRD測定の条件は以下の通りである。顔料成分やアルミナ、その他添加物を含有する場合、上述の方法でジルコニア部分の真密度を算出後、顔料成分やアルミナ、その他添加物の真密度を用いて、焼結体の真密度を算出した。
線源 :CuKα線(λ=1.5418Å)
管電圧 :45kV
管電流 :40mA
測定モード :連続スキャン
スキャンスピード:2°/分
ステップ幅 :0.02°
測定範囲 :2θ=72°以上76°以下
ゴニオメータ :半径185mm
また、単位格子質量は、焼結体の組成分析の結果を使用し、該単位格子に含まれる陽イオン及び陰イオンの合計質量として求めた。真密度(ρ)に対する実測密度(ρ)の値から相対密度(%)を求め、焼結体密度とした。
(塑性変形領域の確認)
JIS K 5600 5-3に準拠したデュポン式落球試験機(装置名:H-50、東洋精機社製)を使用した落球試験により、焼結体試料の塑性変形領域の存否を確認した。試験条件を以下に示す。
落下重り : (形状)半径6.35mmの球状の先端を備えた円柱状の打ち型
(質量)300g、すなわちSUS製、横80mm×厚み20mm×高さ30mmの直方体状の質量300gの重り
落球高さ : 200mm
測定試料 : 縦40mm×横30mm×厚み2mmの板状であり、両表面(縦40mm×横30mmの面;主面)の表面粗さがRa≦0.02μmの焼結体
測定試料は、試料片の飛散防止のため、落球試験機の試料台と、測定試料の一方の表面(縦40mm×横30mmの面)を両面テープで固定して、測定試料を配置した。配置後の測定試料の固定した面と対になる面の縦方向に沿ってテープを貼付し、測定試料を固定した)。固定後の測定試料の中央付近に落下重りが落ちるように、打ち型を配置し、落球試験を実施した。
(落球強度の測定)
落球高さを変更したこと以外は、塑性変形領域の確認における落球試験と同様な方法で落球強度を測定した。すなわち、落下重り投下後の測定試料の状態を目視で確認し、測定試料に破壊が生じていた落球高さにおける落球強度を以下の式から求めた。
落球強度(J)= 落下重り質量(g)×落下高さ(mm)×重力加速度(9.8m/s)×10-6
破壊の判定は、測定試料が2以上に分断された状態をもって破壊が生じているとみなした。なお、チッピングのような極微小な破片が生じ、測定試料が板状形状を維持している状態は破壊とはみなさなかった。特定の落下高さにおける落球試験で破壊が生じなかった場合、破壊が生じるまで、落下高さを50mmから500mmまで50mmずつ高くして落球試験を繰り返した。落球高さが500mmに達しても破壊が生じなかった場合、落下重りの質量を300gから500g、500gから1kgに変更して、再度500mmの落下高さにて落球試験を行った。落下重りの質量が1kgで落下高さ500mmの落球試験において破壊が生じなかった測定試料については、便宜的に、落球強度を>5J(5J超)とした。
(ビッカース硬度)
ビッカース硬度は、ダイヤモンド製の正四角錘の圧子を備えた一般的なビッカース試験機(装置名:MV-1、マツザワ社製)を使用して行った。
圧子を静的に測定試料表面に押し込み、測定試料表面に形成した押込み痕の対角長さをビッカース試験機に内蔵された光学顕微鏡もしくは一般的な光学顕微鏡(装置名:VHX-7000、キーエンス社製)にて測定し、得られた対角長さを使用して、上述の式からビッカース硬度(GPa)を求めた。
焼結体試料は、直径20mm×厚さ1.8mmの円板形状のものを鏡面研磨処理して使用した。
(破壊靭性)
焼結体試料の破壊靭性値は、JIS R 1607に規定されるSEPB法に準じた方法で測定した。
(曲げ強度)
焼結体試料の曲げ強度は、JIS R 1601に準じた三点曲げ試験で測定した。
(色調の測定)
JIS Z 8722に準じた方法で、焼結体試料の色調を測定した。測定には、一般的な分光測色計(装置名:CM-700d、コニカミノルタ社製)を使用し、背面に黒色板を使用した黒バック測定とした。測定条件は以下のとおりである。
光源 : D-65光源
視野角 : 10°
測定方式 : SCI
焼結体試料は、直径20mm×厚さ2.7mmの円板形状のものを鏡面研磨処理して使用した。焼結体試料の一方の表面を鏡面研磨処理(Ra≦0.02μm)し、当該表面を評価面として色調を評価した。色調評価有効面積は直径10mmとした。
(ビッカース圧痕付近の外観観察)
ビッカース硬度測定後の焼結体における、ビッカース圧子と接触しその圧子形状を反映した正方形状の圧痕部位(以下、「ビッカース圧痕」ともいう。)を、ビッカース試験機に内蔵された光学顕微鏡もしくは一般的な光学顕微鏡(装置名:VHX-7000、キーエンス社製)で観察した。
(ビッカース圧痕周辺の顕微ラマン測定)
一般的なラマン分光光度計(装置名:NRS-5100、日本分光株式会社製)を用い、装置に内蔵された光学顕微鏡でビッカース圧痕を撮影し、図9に破線で示す、線分B-B‘に沿って、ラインマッピングを実施した。線分B-B‘は、ビッカース圧痕の中心点Aから150μmの距離にあり、正方形状のビッカース圧痕の一辺と平行な線分長500μmの線分である。なお、ビッカース圧痕の中心点Aとは、圧子の先端が接触した部分をいい、線分B-B‘の中点は、点Aから150μmの距離にある点Hである。図9中、x[μm]は線分B-B‘上の点Bからの距離を表す。マッピング条件は以下の通りである。
測定領域:500μm
測定間隔:1μm
測定点数:500点
ラインマッピング後、下記の式より焼結体表面の単斜晶率を算出した。
m.r=Im.r/(K×It.r+Im.r
ここで、Vm.r:単斜晶率であり、Im.r:179cm-1及び189cm-1
におけるラマンピーク強度の合計値、It.r:149cm-1におけるラマンピーク強度値、K:感度補正係数(2.2)である。
実施例1
ジルコニウム濃度及び塩化物イオン濃度が、それぞれ、0.4mol/Lであるオキシ塩化ジルコニウム水溶液を加水分解した。加水分解後の水溶液は限外ろ過膜(分画分子量:6000)を使用して限外ろ過し、平均ゾル粒径250nmであるジルコニアゾルを得た。得られたジルコニアゾルのWzrは検出限界以下(0.01質量%以下)であった。
限外ろ過後のジルコニアゾル水溶液2500gに、ガドリニウム含有量が1.6mol%となるように、塩化ガドリニウム6水和物を混合した後、アンモニア水溶液を添加することによって共沈させ、沈殿物を得た。得られた沈殿物は、純水洗浄及び大気雰囲気での乾燥後、大気雰囲気、仮焼温度1000℃で2時間仮焼して仮焼粉末とした。得られた仮焼粉のBET比表面積は13.6m/g、及び単斜晶の結晶子径は15nmであった。
当該仮焼粉末を純水に混合してスラリーとした後に、直径2mmのジルコニア製ボールを粉砕媒体としたボールミルで、24時間、粉砕した。粉砕後のスラリーを大気雰囲気、110℃で乾燥後、篩分けにより凝集径180μmを超える粗大粒を取り除くことで、ガドリニウム含有量が1.6mol%のガドリニア含有ジルコニアからなる粉末を得、これを本実施例の粉末とした。本実施例の粉末におけるジルコニアの結晶相は、単斜晶及び正方晶からなっていた。また、メジアン径は0.21μmであり、体積粒子径分布曲線は粒子径0.14μm及び粒子径0.36μmにピークを有するバイモーダルの分布であり、粒子径ピーク比は0.90であった。
本実施例の粉末を、圧力50MPaの一軸加圧成形、及び圧力196MPaのCIP処理し、成形体とした。得られた成形体を大気雰囲気、焼結温度1350℃、2時間の常圧焼結をして焼結体を得た。
実施例2
アルミナ含有量が0.25質量%となるように、仮焼粉末とアルミナゾルとを純水に混合してスラリーとしたこと以外は実施例1と同様な方法で、0.25質量%のアルミナ及び1.6mol%のガドリニウムを含有するジルコニアの粉末を得た。本実施例の粉末におけるジルコニアの結晶相は、単斜晶または正方晶、すなわち単斜晶及び正方晶からなっていた。また、メジアン径は0.22μmであり、体積粒子径分布曲線は粒子径0.14μm及び粒子径0.36μmにピークを有するバイモーダルの分布であり、粒子径ピーク比は1.01であった。
当該粉末を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で成形体及び焼結体を得た。
実施例3
限外ろ過後のジルコニアゾル水溶液に、ガドリニアが2.0mol%となるように塩化ガドリニウム6水和物を添加したこと、及び、アルミナ含有量が0.25質量%となるように、仮焼粉末と、アルミナゾルと純水に混合してスラリーとしたこと以外は実施例1と同様な方法で、0.25質量%のアルミナ及び2.0mol%のガドリニウムを含有するジルコニアからなる本実施例の粉末を得た。本実施例の粉末におけるジルコニアの結晶相は、単斜晶または正方晶、であり、すなわち単斜晶及び正方晶からなっていた。また、メジアン径は0.16μmであり、体積粒子径分布曲線は粒子径0.14μm及び粒子径0.35μmにピークを有するバイモーダルの分布であり、粒子径ピーク比は0.72であった。
当該粉末を使用したこと、及び焼結温度を1450℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で成形体及び焼結体を得た。
実施例4
ガドリニアが1.8mol%となるように、実施例1と実施例3の仮焼粉末を混合したこと、及び、アルミナ含有量が0.25質量%となるように、混合した仮焼粉末と、アルミナゾルを純水に混合してスラリーとしたこと以外は実施例1と同様な方法で、0.25質量%のアルミナ、及び、1.8mol%のガドリニウムを含有するジルコニアからなる本実施例の粉末を得た。本実施例の粉末におけるジルコニアの結晶相は、単斜晶または正方晶であり、すなわち単斜晶及び正方晶からなっていた。また、メジアン径は0.15μmであり、体積粒子径分布曲線は粒子径0.14μm及び粒子径0.35μmにピークを有するバイモーダルの分布であり、粒子径ピーク比は0.60であった。当該粉末を使用したこと、及び焼結温度を1400℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で成形体及び焼結体を得た。
実施例5
アルミナ含有量が5質量%となるように、仮焼粉末と、アルミナ粉末を純水に混合してスラリーとしたこと以外は実施例1と同様な方法で、5質量%のアルミナ、及び、1.6mol%のガドリニウムを含有するジルコニアからなる本実施例の粉末を得た。本実施例の粉末におけるジルコニアの結晶相は、単斜晶または正方晶であり、すなわち単斜晶及び正方晶からなっていた。当該粉末を使用したこと、及び焼結温度を1400℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で成形体及び焼結体を得た。
実施例6
アルミナ含有量が10質量%となるように、仮焼粉末と、アルミナ粉末を純水に混合してスラリーとしたこと以外は実施例1と同様な方法で、10質量%のアルミナ、及び、1.6mol%のガドリニウムを含有するジルコニアからなる本実施例の粉末を得た。本実施例の粉末におけるジルコニアの結晶相は、単斜晶または正方晶であり、すなわち単斜晶及び正方晶からなっていた。当該粉末を使用したこと、及び焼結温度を1400℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で成形体及び焼結体を得た。
実施例7
アルミナ含有量が20質量%となるように、仮焼粉末と、アルミナ粉末を純水に混合してスラリーとしたこと以外は実施例1と同様な方法で、20質量%のアルミナ、及び、1.6mol%のガドリニウムを含有するジルコニアからなる本実施例の粉末を得た。本実施例の粉末におけるジルコニアの結晶相は、単斜晶または正方晶であり、すなわち単斜晶及び正方晶からなっていた。また、メジアン径は0.23μmであり、体積粒子径分布曲線は粒子径0.14μm及び粒子径0.36μmにピークを有するバイモーダルの分布であり、粒子径ピーク比は1.72であった。当該粉末を使用したこと、及び焼結温度を1450℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で成形体及び焼結体を得た。
実施例8
限外ろ過後のジルコニアゾル水溶液に、サマリウム含有量が2.0mol%となるように塩化サマリウム6水和物を添加したこと、及び、アルミナ含有量が0.25質量%となるように、仮焼粉末と、アルミナゾルを純水に混合してスラリーとしたこと以外は実施例1と同様な方法で、0.25質量%のアルミナ、及び、2.0mol%のサマリウムを含有するジルコニアからなる本実施例の粉末を得た。本実施例の粉末におけるジルコニアの結晶相は、単斜晶または正方晶であり、すなわち単斜晶及び正方晶からなっていた。また、メジアン径は0.17μmであり、体積粒子径分布曲線は粒子径0.14μm及び粒子径0.34μmにピークを有するバイモーダルの分布であり、粒子径ピーク比は0.35であった。当該粉末を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で成形体及び焼結体を得た。
実施例9
限外ろ過後のジルコニアゾル水溶液に、イットリウム含有量が1.6mol%となるように塩化イットリウム6水和物を添加したこと、及び、アルミナ含有量が0.25質量%となるように、仮焼粉末と、アルミナゾルを純水に混合してスラリーとしたこと以外は実施例1と同様な方法で、0.25質量%のアルミナ、及び、1.6mol%のイットリウムを含有するジルコニアからなる粉末を得た。
また、限外ろ過後のジルコニアゾル水溶液に、ネオジム含有量が2.0mol%となるように塩化ネオジム6水和物を添加したこと、及び、アルミナ含有量が0.25質量%となるように、仮焼粉末と、アルミナゾルを純水に混合してスラリーとしたこと以外は実施例1と同様な方法で、0.25質量%のアルミナ、及び、2.0mol%のネオジムを含有するジルコニアからなる粉末を得た。
その後、ネオジウム含有量が0.5mol%、イットリウム含有量が1.2mol%となるように、上記で得られた2種の粉末を混合したこと以外は実施例1と同様な方法で、0.25質量%のアルミナを含み、0.5mol%のネオジム及び1.2mol%のイットリウムを含有するジルコニアからなる本実施例の粉末を得た。本実施例の粉末におけるジルコニアの結晶相は、単斜晶及び正方晶からなっていた。当該粉末を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で成形体及び焼結体を得た。
実施例10
限外ろ過後のジルコニアゾル水溶液に、ネオジム含有量が2.4mol%となるように塩化ネオジム6水和物を添加したこと、及び、アルミナ含有量が0.25質量%となるように、仮焼粉末と、アルミナゾルを純水に混合してスラリーとしたこと以外は実施例1と同様な方法で、0.25質量%のアルミナ、及び、2.4mol%のネオジムを含有するジルコニアからなる粉末を得た。当該粉末と、実施例9と同様な方法で得られた0.25質量%のアルミナ、1.6mol%のイットリウムを含有するジルコニアからなる粉末を混合して、0.25質量%のアルミナを含み、1.8mol%のネオジム及び0.4mol%のイットリウムを含有するジルコニアからなる本実施例の粉末を得た。本実施例の粉末におけるジルコニアの結晶相は、単斜晶及び正方晶からなっていた。当該粉末を使用したこと、及び、焼結温度を1300℃としたこと以外は実施例9と同様な方法で、成形体及び焼結体を得た。
比較例1
ジルコニウム濃度及び塩化物イオン濃度が、それぞれ、0.6mol/Lであるオキシ塩化ジルコニウム水溶液を加水分解した。加水分解後の水溶液は限外ろ過膜(分画分子量:6000)を使用して限外ろ過し、平均ゾル粒径100nmであるジルコニアゾルを得た。得られたジルコニアゾルのWzrは検出限界以下(0.01質量%以下)であった。限外ろ過後のジルコニアゾル水溶液に、イットリウム含有量が2.0mol%となるように、塩化イットリウム6水和物を混合した後、アンモニア水溶液を添加することによって共沈させ、沈殿物を得た。得られた沈殿物は、純水洗浄及び大気雰囲気での乾燥後、大気雰囲気、仮焼温度1000℃で2時間仮焼して仮焼粉末とした。
当該仮焼粉末を純水に混合してスラリーとした後に、直径10mmのジルコニア製ボールを粉砕媒体としたボールミルで、24時間、粉砕した。粉砕後のスラリーを大気雰囲気、110℃で乾燥後、篩分けにより凝集径180μmを超える粗大粒を取り除くことで、2.0mol%のイットリウムを含有するジルコニアからなる粉末を得、これを本比較例の粉末とした。本比較例の粉末におけるジルコニアの結晶相は、単斜晶または正方晶であり、すなわち単斜晶及び正方晶からなっていた。本比較例の粉末を、圧力50MPaの一軸加圧成形、及び圧力196MPaのCIP処理し、成形体とした。得られた成形体を大気雰囲気、焼結温度1450℃、2時間の常圧焼結をして焼結体を得た。
比較例2
限外ろ過後のジルコニアゾル水溶液に、セリウム含有量が4.0mol%、イットリウム含有量が1.0mol%となるよう塩化セリウム7水和物及び塩化イットリウム6水和物を混合したこと以外は比較例1と同様な方法で、4.0mol%のセリウム及び1.0mol%のイットリウムを含有するジルコニアからなる本比較例の粉末を得た。本比較例の粉末におけるジルコニアの結晶相は、単斜晶または正方晶であり、すなわち単斜晶及び正方晶からなっていた。当該粉末を使用したこと、及び焼結温度を1450℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で成形体及び焼結体を得た。
比較例3
限外ろ過後のジルコニアゾル水溶液に、ガドリニアが0.5mol%、イットリウム含有量が1.5mol%となるよう塩化ガドリニウム6水和物及び塩化イットリウム6水和物を混合したこと以外は比較例1と同様な方法で、0.5mol%のガドリニウム及び1.5mol%のイットリウムを含有するジルコニアからなる本比較例の粉末を得た。本実施例の粉末におけるジルコニアの結晶相は、単斜晶及び正方晶からなっていた。当該粉末を使用したこと、及び焼結温度を1650℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で成形体及び焼結体を得た。
実施例及び比較例の粉末の評価結果を表1に、焼結体の評価結果を表2に示す。
上表の安定化元素含有量及び添加物の欄における「-」は、その安定化元素及び添加物が含まれていないことを表す。
上表において、落球試験後に衝撃痕が確認できたものについて、「衝撃痕の形成」欄を「〇」とし、衝撃痕が確認できなかったものを「×」として示した。ビッカース硬度試験後の圧痕周囲の模様については、模様が確認されたものを「有」とし、確認されなかったものを「無」とし、観察を行っていないものを「-」とした。図7に実施例8の焼結体の落球試験後の焼結体の外観を示す。図7より、落球試験による落下重りが接触した領域が、亀裂等の破壊を伴わずに、衝撃痕(凹部)を形成していること、すなわち、塑性変形の痕跡としての衝撃痕(凹部)が目視により確認できる。
実施例1乃至10の焼結体はいずれも、目視により塑性変形の痕跡としての衝撃痕を確認することができ、落球破壊エネルギーは1.0J以上であった。これらの焼結体は、目視により、図7と同様な、塑性変形の痕跡としての衝撃痕を確認することができた。
実施例1乃至10の焼結体はいずれも、1350℃以上1450℃以下で焼結することで、98%以上の相対密度を有していた。
実施例1乃至10の焼結体は、安定化元素としてイットリウムのみを含有する比較例1の焼結体と比較して、破壊靭性値、落球破壊エネルギー共に、高い値であることが確認できる。また、実施例1乃至10の焼結体の曲げ強度は900MPa以上であり、安定化元素としてセリウムを含み、安定化元素総量が多い比較例2の焼結体や、平均結晶粒径が1.5μmを超える比較例3の焼結体と比較して、曲げ強度が高い。
以上より、実施例の焼結体は高い破壊強度、破壊靭性及び優れた耐衝撃性を有することが確認された。
また、図8に実施例4のビッカース圧痕付近の外観を示す。図8より、実施例4はビッカース圧痕の周囲に特異な模様が形成されていることが確認できる。実施例1乃至実施例4、及び実施例8乃至実施例10の焼結体においても図8と同様な模様が確認された。図9に実施例4の焼結体におけるビッカース圧痕付近の顕微ラマンライン測定結果を示す。図9より、ビッカース圧痕周辺の模様に沿って、単斜晶が生成していることが確認できる。実施例4の焼結体は、ビッカース圧子から焼結体に対して荷重が印加された際に、荷重の印加点周縁部で、正方晶から単斜晶への相変態が起こったと考えられる。
(酸化ニオブ又は酸化ゲルマニウムの添加)
実施例11
アルミナゾルの代わりに酸化ニオブ(Nb)を0.05質量%添加したこと以外は実施例3と同様の方法で、0.05質量%の酸化ニオブを含み、2.0mol%のガドリニウムを含有するジルコニアからなる本実施例の粉末を得た。本実施例の粉末におけるジルコニアの結晶相は、単斜晶及び正方晶からなっていた。当該粉末を使用したこと以外は実施例3と同様の方法で、成形体及び焼結体を得た。
実施例12
酸化ニオブ(Nb)の添加量を0.5質量%添加したこと以外は実施例11と同様の方法で、0.5質量%の酸化ニオブを含み、2.0mol%のガドリニウムを含有するジルコニアからなる本実施例の粉末を得た。本実施例の粉末におけるジルコニアの結晶相は、単斜晶及び正方晶からなっていた。当該粉末を使用したこと及び焼結温度を1400℃としたこと以外は実施例11と同様の方法で、成形体及び焼結体を得た。
実施例13
粉砕時にアルミナに加えて、酸化ゲルマニウム(GeO)を0.25質量%添加したこと以外は実施例10と同様の方法で、0.25質量%のアルミナ、0.25質量%の酸化ゲルマニウムを含み、1.8mol%のネオジム及び0.4mol%のイットリウムを含有するジルコニアからなる本実施例の粉末を得た。本実施例の粉末におけるジルコニアの結晶相は、単斜晶及び正方晶からなっていた。当該粉末を使用したこと及び焼結温度を1300℃としたこと以外は実施例3と同様の方法で、成形体及び焼結体を得た。
実施例14
限外ろ過後のジルコニアゾル水溶液に、ネオジム含有量が2.0mol%となるように塩化ネオジム6水和物を添加したこと、及び、酸化ゲルマニウム含有量が0.5質量%となるように、仮焼粉末と酸化ゲルマニウムとの混合粉末をボールミル処理したこと以外は実施例1と同様な方法で、0.5質量%の酸化ゲルマニウム及び、2.0mol%のネオジムを含有するジルコニアからなる本実施例の粉末を得た。本実施例の粉末におけるジルコニアの結晶相は、単斜晶及び正方晶からなっていた。当該粉末を使用したこと及び焼結温度を1250℃としたこと以外は実施例11と同様の方法で、成形体及び焼結体を得た。
これらの実施例の粉末の評価結果を表3に、焼結体の評価結果を表4に示す。
上表より、添加剤としてアルミナの代わりにNbを添加することにより、添加量が少ない実施例11は焼結体の曲げ強度、すなわち静的強度が、添加量が多い実施例12は焼結体の破壊靭性値が向上していることが確認できる。また、添加剤としてGeOを添加した場合、焼結体の曲げ強度が向上していることが確認できる。また、いずれの添加物を加えた場合についても、未添加の場合と比較して、焼結体の色合いにほとんど変化がないことが確認できる。 (顔料成分の添加)
実施例15
ジルコニウム濃度及び塩化物イオン濃度が、それぞれ、0.6mol/Lであるオキシ塩化ジルコニウム水溶液を加水分解した。加水分解後の水溶液は限外ろ過膜(分画分子量:6000)を使用して限外ろ過し、平均ゾル粒径100nmであるジルコニアゾルを得た。得られたジルコニアゾルのWzrは検出限界以下(0.01質量%以下)であった。
限外ろ過後のジルコニアゾル水溶液に、ガドリニウム含有量が1.4mol%、イットリウム濃度が0.4mol%となるように、塩化ガドリニウム6水和物、塩化イットリウム6水和物を混合した後、アンモニア水溶液を添加することで共沈して沈殿物を得た。得られた沈殿物は、純水洗浄及び大気雰囲気での乾燥後、大気雰囲気、仮焼温度1150℃で2時間仮焼して仮焼粉末とした。
当該仮焼粉末を純水に混合してスラリーとした後に、仮焼粉末に対してFe濃度が0.1質量%となるように酸化鉄(Fe)を添加後、直径2mmのジルコニア製ボールを粉砕媒体としたボールミルで、24時間、粉砕混合した。粉砕混合後のスラリーを大気雰囲気、110℃で乾燥後、篩分けにより凝集径180μmを超える粗大粒を取り除くことで、酸化鉄を0.1質量%含み、ガドリニウム含有量が1.4mol%、イットリウム含有量が0.4mol%のガドリニア及びイットリア含有ジルコニアからなる本実施例の粉末を得た。本実施例の粉末におけるジルコニアの結晶相は、単斜晶及び正方晶からなっていた。
本実施例の粉末を、圧力50MPaの一軸加圧成形、及び圧力196MPaのCIP処理し、成形体とした。得られた成形体を大気雰囲気、焼結温度1400℃、2時間の常圧焼結をして焼結体を得た。
実施例16及び17
組成を表5に示す組成としたこと以外は実施例15と同じ方法で、実施例16及び17の粉末、成形体、及び焼結体を作製した。
実施例18
仮焼温度を1000℃としたこと以外は、実施例15と同様の方法で、ガドリニウム含有量が1.4mol%及びイットリウム含有量が0.4mol%である本実施例の仮焼粉末を得た。酸化鉄の添加量を1.0質量%としたこと、及び、酸化鉄に加えてアルミナを10質量%添加したこと以外は実施例15と同様の方法で、ガドリニウム含有量が1.4mol%、イットリウム含有量が0.4mol%のガドリニア及びイットリア含有ジルコニアに対して酸化鉄を1.0質量%、及び、アルミナを10質量%含む本実施例の粉末を得た。本実施例の粉末におけるジルコニアの結晶相は、単斜晶及び正方晶からなっていた。
実施例19乃至21
組成を表5に示す組成とした以外は実施例15と同じ方法で、実施例19乃至21の粉末を作製した。これらの実施例の粉末におけるジルコニアの結晶相は、単斜晶及び正方晶からなっていた。当該粉末を使用したこと、及び焼結温度を1650℃としたこと以外は、実施例15と同様の方法で成形体及び焼結体を得た。
実施例22乃至25
実施例1と同様の仮焼粉末を使用したこと、及び、表5に示す組成としたこと以外は実施例15と同様の方法で、実施例22乃至25の粉末を作製した。これらの実施例の粉末におけるジルコニアの結晶相は、単斜晶及び正方晶からなっていた。当該粉末を使用したこと、及び焼結温度を表6に示す焼結温度としたこと以外は、実施例15と同様の方法で成形体及び焼結体を得た。
これらの実施例の粉末の評価結果を表5に、焼結体の評価結果を表6に示す。
上表より、実施例15乃至25の焼結体は、顔料成分の添加により白色とは異なる色調を示すことが確認された。また、実施例15乃至25の焼結体は塑性変形の痕跡としての衝撃痕を確認することができ、また、曲げ強度も950MPa以上と高いことから、動的強度及び静的強度のいずれの強度も高いことが確認された。
100: 落球試験の概要を示す外観図
101: 焼結体
102: 打ち型(ポンチ)
103a、103b: ガイド
104: 落下重り
105: 固定用テープ
106: 落球試験機の試料台
107: 保護テープ
200: 落球試験後の本実施形態の焼結体
201: 焼結体
202: 衝撃痕(凹部)
203: 衝撃痕(凹部)の深さ
300: 落球試験後の従来の焼結体
301: 焼結体
302: 欠陥(亀裂)
400: 落球試験機の試料台への焼結体の設置状態を示す図
401: 焼結体
402: 固定用テープ
403: 落球試験機の試料台
404: 両面テープ(保護テープ)
500: 衝撃痕深さの測定方法を示す図
501: 焼結体
502: 衝撃痕(凹部)
503A,B: ラインプロファイル
504: 衝撃痕の深さ
601: 分割された状態の焼結体
602: 欠陥(亀裂)
702: 衝撃痕(凹部)
803: ビッカース圧痕

Claims (18)

  1. 安定化元素を含有し、該安定化元素がイットリウム以外の希土類元素を少なくとも1種含有し、平均結晶粒径が0.05μm以上0.75μm以下であり、かつ、塑性変形する領域を有するジルコニアの焼結体。
  2. 前記安定化元素の含有量が0.1mol%以上3.0mol%未満である請求項1に記載の焼結体。
  3. 前記希土類元素がネオジム、ガドリニウム、イッテルビウム、ホルミウム及びサマリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1又は2に記載の焼結体。
  4. 前記安定化元素がさらにイットリウムを含む請求項1又は2に記載の焼結体。
  5. イットリウムの含有量が1.2mol%以下である請求項4に記載の焼結体。
  6. アルミナを含む請求項1又は2に記載の焼結体。
  7. 前記アルミナの含有量が0.1質量%以上30質量%以下である請求項6に記載の焼結
    体。
  8. 安定化元素を含有し、単斜晶率が70%を超えるジルコニアを含み、該安定化元素がイットリウム以外の希土類元素を少なくとも1種含むジルコニア粉末。
  9. 前記希土類元素の含有量が0.1mol%以上3.0mol%未満である請求項8に記載の粉末。
  10. 前記希土類元素がネオジム、ガドリニウム、イッテルビウム、ホルミウム及びサマリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項8又は9に記載の粉末。
  11. 前記安定化元素がさらにイットリウムを含む請求項8又は9に記載の粉末。
  12. イットリウムの含有量が1.2mol%以下である請求項11に記載の粉末。
  13. ジルコニアの単斜晶の結晶子径が15nmを超え80nm以下である請求項8又は9に記載の粉末。
  14. BET比表面積が8m/g以上40m/g未満である請求項8又は9に記載のジルコニア粉末。
  15. アルミナを含む請求項8又は9に記載の粉末。
  16. 前記アルミナの含有量が0.1質量%以上30質量%以下である請求項15に記載の粉末。
  17. 上記請求項8又は9に記載の粉末を焼結する焼結体の製造方法。
  18. 安定化元素を含有し、単斜晶率が70%を超えるジルコニアを含み、該安定化元素がイットリウム以外の希土類元素を少なくとも1種含む仮焼体。
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