JP2023125248A - スラブ温度モデルの修正装置、修正方法、加熱炉の炉温制御装置、炉温制御方法、及び鋼板の製造方法 - Google Patents

スラブ温度モデルの修正装置、修正方法、加熱炉の炉温制御装置、炉温制御方法、及び鋼板の製造方法 Download PDF

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知義 小笠原
Tomoyoshi Ogasawara
行宏 松原
Yukihiro Matsubara
寛人 後藤
Hiroto Goto
豪巨 深江
Hideo Fukae
光俊 ▲剣▼持
Mitsutoshi Kemmochi
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Abstract

【課題】スラブ温度モデルを修正することで、加熱炉の抽出時のスラブの少なくとも幅中央部における長さ方向及び厚さ方向を含む温度分布を精度よく予測することができる、スラブ温度モデルの修正装置、修正方法、加熱炉の炉温制御装置、炉温制御方法、及び鋼板の製造方法を提供する。【解決手段】スラブ温度モデルの修正装置10は、モデル修正部14において、粗温度算出部13から出力された、スラブSの表面Sa又は裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tcalと、粗温度取得部11で取得した、スラブSの表面Sa又は裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tactとの偏差eの大きさが閾値未満となるように、抽出温度算出部12で用いられる、スラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式に含まれる計算パラメータを修正する。【選択図】図2

Description

本発明は、スラブを加熱炉で加熱し、加熱炉から抽出されたスラブを粗圧延する際における、加熱炉の抽出時のスラブ温度の予測に用いられるスラブ温度モデルの修正装置、修正方法、加熱炉の炉温制御装置、炉温制御方法、及び鋼板の製造方法に関する。
製鉄所において、製鋼工程において鋳造されたスラブは、一旦、スラブヤードに保管されて冷えた状態の冷片、もしくは、直送されるDHCR(Direct Hot Charge)の熱片として、熱延工程の加熱炉に装入され、所定の温度(約1200度)まで加熱される。そして、加熱炉から抽出されたスラブは、粗圧延工程にて粗圧延された後、仕上圧延工程で仕上圧延され、薄い鋼板となる。そして、鋼板は、ランナウト冷却工程を経て冷却された後、巻取工程にてコイルに巻き取られる。
ここで、ウォーキングビーム式加熱炉では、スラブは複数本(例えば8本)のスキッドビームで支えられる。スキッドビームは、固定式と移動式の2種類からなり、移動式スキッドビームが上昇、移動、及び下降を繰り返すことでスラブは抽出側へと搬送される。スラブは、幅方向、長さ方向、及び厚さ方向に所定の大きさを有する直方体形状をなし、スラブの幅方向がスラブの搬送方向となるように加熱炉内のスキッドビーム上に載置され、移動式スキッドビームが上昇、移動、及び下降を繰り返すことでスラブは抽出側へと搬送される。
このとき、加熱中のスラブはスキッドビームを介して熱が奪われることにより、スキッドビームの接触箇所が低温度となり、スキッドマークと呼ばれるスラブの長さ方向の温度変動が生じる。スキッドマークは、スラブの幅方向にスラブを横断するように延びるものがスラブの長さ方向に沿って所定ピッチで形成される。なお、加熱炉の内部は高温環境であり、スラブの表面のスケールも発生するため、放射温度計でスラブの表面温度を精度良く測定することは困難であるため、加熱炉内で前述のスキッドマークを直接測定することはできず、一般的には粗圧延機の出側での温度計測によりスキッドマークの温度変動を確認することができる。
加熱炉の操業では、熱延コイルの材質の観点から抽出温度を規定範囲に管理することが求められる。特に、昇温不足となりがちなスキッドビームの接触箇所(以下、スキッド部という)の温度を規定温度まで上昇させて抽出することが必須となる。ただし、抽出温度を過剰に上昇させると、燃料原単位(GJ/ton-steel)の悪化を招くため、適切に加熱操業を行う必要がある。
従来、加熱炉の操業方法として、例えば、特許文献1及び特許文献2に示すものが知られている。
特許文献1に示す圧延加熱炉燃焼制御方法は、スキッド間についてはスラブの厚み方向一次元の熱伝導差分方程式を、スキッド部についてはスラブの長手方向の熱伝導を係数導入によって簡略化した二次元(スラブ厚み方向×スラブ長手方向)の熱伝導差分方程式を解くことで、炉内スラブのスキッド間とスキッド部の将来温度分布を予測し、スラブの焼き上げ品質を評価することにより設定炉温を算出するものである。
特許文献1に示す圧延加熱炉燃焼制御方法によれば、少ない計算量で、炉内の全スラブに対してスキッド間とスキッド部の温度分布予測を行うことができる。
また、特許文献2に示す連続式加熱炉内のスラブ温度予測方法は、連続式加熱炉の「抽出口におけるスラブ温度測定値」と「炉温、在炉時間等から計算されるスラブ抽出温度」との誤差をスラブ抽出毎に測定し、これと別途スラブ温度計算により求めた影響係数に対し逐次最小2乗推定を行って炉内複数ゾーンの総括熱吸収率をオンラインで逐次推定すると共に、この推定値に基づいて各ゾーンの総括熱吸収率を更新することで炉内スラブの温度予測精度を向上させるものである。
特開平7-258752号公報 特開平6-264153号公報
しかしながら、特許文献1に示す圧延加熱炉燃焼制御方法及び特許文献2に示す連続式加熱炉内のスラブ温度予測方法にあっては、以下の問題点があった。
即ち、特許文献1に示す圧延加熱炉燃焼制御方法の場合、スキッド間についてはスラブの厚み方向一次元の熱伝導差分方程式を、スキッド部についてはスラブの長手方向の熱伝導を係数導入によって簡略化した二次元の熱伝導差分方程式を解くことで、炉内スラブのスキッド間とスキッド部の将来温度分布を予測しているが、その予測された炉内スラブのスキッド間とスキッド部の将来温度分布が真に正しいか否かの検証さなされていない。つまり、実際の炉内スラブのスキッド間とスキッド部の温度分布が、予測された炉内スラブのスキッド間とスキッド部の温度分布と乖離している場合に、スラブ温度モデル(前述の熱伝導差分方程式)を修正して予測値の精度を高めるようなことはしていない。このため、スラブ温度モデルを用いて加熱炉の抽出時のスラブの少なくとも幅中央部における長さ方向及び厚さ方向を含む温度の予測値の精度を担保することができない。
また、特許文献2に示す連続式加熱炉内のスラブ温度予測方法の場合、連続式加熱炉の「抽出口におけるスラブ温度測定値」と「炉温、在炉時間等から計算されるスラブ抽出温度」との誤差をスラブ抽出毎に測定しているが、一般的に加熱炉の抽出直後だとスラブ表面のスケールの影響で温度測定自体が困難であり、連続式加熱炉の適切な「抽出口におけるスラブ温度測定値」を得ることができない。このため、スラブ温度モデルを用いて加熱炉の抽出時のスラブの少なくとも幅中央部における長さ方向及び厚さ方向を含む温度の予測値の精度を担保することができない。
従って、本発明はこれら従来の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、複数の粗圧延機における隣接する粗圧延機の間あるいは複数の粗圧延機の出側に設置された粗温度測定計による温度測定値を活用してスラブ温度モデルを修正することで、加熱炉の抽出時のスラブの少なくとも幅中央部における長さ方向及び厚さ方向を含む温度分布を精度よく予測することができる、スラブ温度モデルの修正装置、修正方法、加熱炉の炉温制御装置、炉温制御方法、及び鋼板の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るスラブ温度モデルの修正装置は、スラブを加熱炉で加熱し、該加熱炉から抽出された前記スラブを複数の粗圧延機で粗圧延する際における、前記加熱炉の抽出時の前記スラブの少なくとも幅中央部における長さ方向及び厚さ方向を含む温度分布の予測に用いられるスラブ温度モデルの修正装置であって、前記複数の粗圧延機における隣接する粗圧延機の間あるいは前記複数の粗圧延機の出側に設置された粗温度測定計によって測定した前記スラブの表面又は裏面の幅中央部における長さ方向の温度分布を取得する粗温度取得部と、前記加熱炉に装入される前記スラブの装入温度を初期値として、前記スラブの加熱炉在炉中の操業条件を用いて、前記加熱炉の抽出時の前記スラブの少なくとも幅中央部における長さ方向と厚さ方向とを含む温度分布を、前記スラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式に基づき算出し、出力する抽出温度算出部と、該抽出温度算出部から出力された、前記加熱炉の抽出時の前記スラブの少なくとも幅中央部における長さ方向と厚さ方向とを含む温度分布を初期値として、前記加熱炉から抽出された前記スラブを粗圧延する際の操業条件を用いて、前記粗温度測定計が設置された位置に対応した前記スラブの少なくとも幅中央部における長さ方向と厚さ方向とを含む温度分布を、熱伝導方程式に基づき算出し、出力する粗温度算出部と、該粗温度算出部から出力された、前記スラブの表面又は裏面の幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度と、前記粗温度取得部で取得した、前記スラブの表面又は裏面の幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度との偏差の大きさが閾値未満となるように、前記抽出温度算出部で用いられる、前記スラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式に含まれる計算パラメータを修正するモデル修正部とを備えていることを要旨とする。
また、本発明の別の態様に係る加熱炉の炉温制御装置は、前述のスラブ温度モデルの修正装置によって修正されたスラブ温度モデルを用いて加熱炉の抽出時のスラブの少なくとも幅中央部における長さ方向及び厚さ方向を含む温度分布を予測するスラブ温度予測部と、該スラブ温度予測部で予測された加熱炉の抽出時の少なくとも幅中央部における長さ方向及び厚さ方向を含む温度分布の温度が最低抽出温度を上回るように、前記加熱炉内における炉温を制御する炉温制御部とを備えていることを要旨とする。
また、本発明の別の態様に係るスラブ温度モデルの修正方法は、スラブを加熱炉で加熱し、該加熱炉から抽出された前記スラブを複数の粗圧延機で粗圧延する際における、前記加熱炉の抽出時の前記スラブの少なくとも幅中央部における長さ方向及び厚さ方向を含む温度分布の予測に用いられるスラブ温度モデルの修正方法であって、前記複数の粗圧延機における隣接する粗圧延機の間あるいは前記複数の粗圧延機の出側に設置された粗温度測定計によって測定した前記スラブの表面又は裏面の幅中央部における長さ方向の温度分布を取得する粗温度取得ステップと、前記加熱炉に装入される前記スラブの装入温度を初期値として、前記スラブの加熱炉在炉中の操業条件を用いて、前記加熱炉の抽出時の前記スラブの少なくとも幅中央部における長さ方向と厚さ方向とを含む温度分布を、前記スラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式に基づき算出し、出力する抽出温度算出ステップと、該抽出温度算出ステップで出力された、前記加熱炉の抽出時の前記スラブの少なくとも幅中央部における長さ方向と厚さ方向とを含む温度分布を初期値として、前記加熱炉から抽出された前記スラブを粗圧延する際の操業条件を用いて、前記粗温度測定計が設置された位置に対応した前記スラブの少なくとも幅中央部における長さ方向と厚さ方向とを含む温度分布を、熱伝導方程式に基づき算出し、出力する粗温度算出ステップと、該粗温度算出ステップで出力された、前記スラブの表面又は裏面の幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度と、前記粗温度取得ステップで取得された、前記スラブの表面又は裏面の幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度との偏差の大きさが閾値未満となるように、前記抽出温度算出ステップで用いられる、前記スラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式に含まれる計算パラメータを修正するモデル修正ステップとを含むことを要旨とする。
また、本発明の別の態様に係る加熱炉の炉温制御方法は、前述のスラブ温度モデルの修正方法によって修正されたスラブ温度モデルを用いて加熱炉の抽出時のスラブの少なくとも幅中央部における長さ方向及び厚さ方向を含む温度分布を予測するスラブ温度予測ステップと、該スラブ温度予測ステップで予測された加熱炉の抽出時の少なくとも幅中央部における長さ方向及び厚さ方向を含む温度分布の温度が最低抽出温度を上回るように、前記加熱炉内における炉温を制御する炉温制御ステップとを含むことを要旨とする。
また、本発明の他の態様に係る鋼板の製造方法は、前述の加熱炉の炉温制御方法によって加熱炉内の炉温を制御する炉温制御工程を含むことを要旨とする。
本発明に係るスラブ温度モデルの修正装置、修正方法、加熱炉の炉温制御装置、炉温制御方法、及び鋼板の製造方法によれば、複数の粗圧延機における隣接する粗圧延機の間あるいは複数の粗圧延機の出側に設置された粗温度測定計による温度測定値を活用してスラブ温度モデルを修正することで、加熱炉の抽出時のスラブの少なくとも幅中央部における長さ方向及び厚さ方向を含む温度分布を精度よく予測することができる、スラブ温度モデルの修正装置、修正方法、加熱炉の炉温制御装置、炉温制御方法、及び鋼板の製造方法を提供できる。
本発明の一実施形態に係るスラブ温度モデルの修正装置及び加熱炉の炉温制御装置が適用される熱間圧延ラインの概略構成図である。 図1におけるスラブ温度モデルの修正装置の内部構成を示すブロック図である。 図1における加熱炉の炉温制御装置の内部構成を示すブロック図である。 粗温度測定計によって測定したスラブの裏面の幅中央部における長さ方向の温度分布の一例を示すグラフである。 粗温度算出部から出力された、粗温度測定計が設置された粗圧延機の出側の位置に対応したスラブの裏面の幅中央部における長さ方向の温度分布の一例を示すグラフである。 スラブ温度モデルの修正装置における処理の流れを説明するためのフローチャートである。 図6に示すフローチャートにおけるステップS4(モデル修正ステップ)における処理の流れの詳細を示すフローチャートである。 加熱炉の炉温制御装置における処理の流れを説明するためのフローチャートである。 スラブの形状を説明するための図である。 モデル修正部の変形例による処理を説明するための図である。 モデル修正部の変形例による処理の流れを説明するためのフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
図1には、本発明の一実施形態に係るスラブ温度モデルの修正装置及び加熱炉の炉温制御装置が適用される熱間圧延ラインの概略構成が示されている。
製鉄所において、製鋼工程において鋳造されたスラブSは、一旦、スラブヤードに保管されて冷えた状態の冷片、もしくは、直送されるDHCR(Direct Hot Charge)の熱片として、図1に示すように、熱間圧延ライン1における、加熱炉2に装入され、所定の温度(約1200度)まで加熱される。そして、加熱炉2内を搬送されて抽出されたスラブSは、複数台(本実施形態ではn台)の粗圧延機4~4によって粗圧延された後、図示しない仕上圧延機によって仕上圧延され、薄い鋼板となる。そして、この鋼板は、冷却設備5にて冷却された後、巻取り装置6によってコイル状に巻き取られる。
この加熱炉2は、スラブSの搬送方向の上流側から下流側に向けて複数(本実施形態ではn個)の燃焼制御帯2~2を備えている。そして、各燃焼制御帯2~2には、スラブSを加熱するための燃焼バーナー3が設置されている。各燃焼制御帯2~2の燃焼バーナー3は、燃料流量制御部23に接続され、それぞれの燃料流量制御部23は、加熱炉の炉温制御装置20に接続されている。
ここで、加熱炉2は、ウォーキングビーム式加熱炉であり、スラブSは複数本(例えば8本)のスキッドビームで支えられる。スキッドビームは、固定式と移動式の2種類からなり、移動式スキッドビームが上昇、移動、及び下降を繰り返すことでスラブSは抽出側へと搬送される。スラブSは、図9に示すように、矢印xで示す長さ方向、矢印yで示す幅方向、及び矢印zで示す厚さ方向のそれぞれにおいて、幅w、長さl、及び厚さtを有する直方体形状をなしている。加熱炉2内においては、スラブSは、その表面Saが上側、裏面Sbが下側となり、図1に示すように、スラブSの幅方向がスラブSの搬送方向となるように加熱炉2内のスキッドビーム上に載置され、移動式スキッドビームが上昇、移動、及び下降を繰り返すことでスラブSは抽出側へと搬送される。
加熱炉2中をスラブSが搬送される際には、スラブSはスキッドビームを介して熱が奪われることにより、スキッドビームの接触箇所が低温度となり、スキッドマークと呼ばれるスラブSの長さ方向の温度変動が生じる。スキッドマークは、スラブSの幅方向にスラブを横断するように延びるものがスラブの長さ方向に沿って所定ピッチで形成される。
加熱炉2における操業では、熱延コイルの材質の観点からスラブSの抽出温度を規定範囲に管理することが求められる。特に、昇温不足となりがちなスキッドビームの接触箇所(以下、加熱炉スキッド部という)の温度を規定温度まで上昇させて抽出することが必須となる。
このため、本実施形態においては、加熱炉2の装入時のスラブSの温度を測定する装入温度測定計7により加熱炉2に装入されるスラブSの装入温度を測定し、加熱炉の炉温制御装置20において、この加熱炉2に装入されるスラブSの装入温度を初期値として、スラブSの加熱炉在炉中の操業条件(操業条件としては、在炉時間、炉温、スキッド接触温度などが挙げられる)を用いて、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向と厚さ方向の温度分布を、スラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式に基づき算出し、この算出された加熱炉抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向と厚さ方向の温度分布から得られる、加熱炉2の抽出時のスラブSの加熱スキッド部における厚さ方向の温度が最低抽出温度(例えば、1200℃ )を上回るように、各燃料流量制御部23を制御して各燃焼バーナー3への燃料流量を制御し、加熱炉2内の炉温を制御するようにしている。
ここで、スラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式は、後述する抽出温度算出部12で用いられる(1)式~(7)式と同一である。
しかしながら、加熱炉の炉温制御装置20において、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部の長さ方向と厚さ方向の温度分布を、スラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式に基づき算出した予測値は、実測値と乖離しており、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部の長さ方向と厚さ方向の温度分布を精度よく予測することができないという問題がある。
従って、本実施形態にあっては、図1に示すように、加熱炉の炉温制御装置20にスラブ温度モデルの修正装置10を接続し、この修正装置10において、炉温制御装置20で用いられるスラブ温度モデルを修正することで、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を精度よく予測することを可能としている。
ここで、スラブ温度モデルを修正するに際し、加熱炉2の抽出直後にスラブSの表面Saあるいは裏面Sbの温度を測定し、その測定値を活用してスラブ温度モデルを修正することも考えられる。
しかしながら、一般的に、加熱炉2の抽出直後だとスラブSの表面Saあるいは裏面Sbのスケールの影響で放射温度計を用いて温度測定をすること自体が困難である。
そこで、本実施形態に係るスラブ温度モデルの修正装置10にあっては、複数の粗圧延機4~4の出側に設置された粗温度測定計8による温度測定値を活用してスラブ温度モデルを修正することで、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を精度よく予測するようにしている。
このスラブ温度モデルの修正装置10は、図1に示すように、加熱炉の炉温制御装置20に接続されている。また、スラブ温度モデルの修正装置10は、加熱炉2の入側に設置されて加熱炉2に装入されるスラブSの表面Sa及び裏面Sbの装入温度を測定する装入温度測定計7と、複数の粗圧延機4~4の出側に設置されてスラブSの裏面Sbの幅中央部における長さ方向の温度分布を測定する粗温度測定計8とに接続されている。装入温度測定計7及び粗温度測定計8は、放射温度計により構成されている。
スラブ温度モデルの修正装置10の内部構成は、図2に示されており、修正装置10は、粗温度測定計8に接続された粗温度取得部11と、装入温度測定計7に接続された抽出温度算出部12と、粗温度算出部13と、モデル修正部14と、出力部15とを備えている。
スラブ温度モデルの修正装置10は、演算処理機能を有するコンピュータシステムであり、ハードウェアに予め記憶された各種専用のコンピュータプログラムの命令により、粗温度取得部11(後に述べるステップS1)、抽出温度算出部12(ステップS2)、粗温度算出部13(ステップS3)、モデル修正部14(ステップS4)、及び出力部15(ステップS5)の各機能をソフトウェア上で実行する。
修正装置10の粗温度取得部11は、複数の粗圧延機4~4の出側に設置された粗温度測定計8によって測定したスラブSの裏面Sbの幅中央部における長さ方向の温度分布を取得する。粗温度測定計8では、複数の粗圧延機4~4の出側でスラブSの裏面Sbの温度を定期的に測定し、その結果が図示しない記録部に記録され、粗温度取得部11がその結果を取得する。
粗温度測定計8によって測定したスラブSの裏面Sbの幅中央部における長さ方向の温度分布の一例が図4に示されている。
また、抽出温度算出部12は、加熱炉2に装入されるスラブSの装入温度を初期値として、スラブSの加熱炉在炉中の操業条件(操業条件としては、在炉時間、炉温、スキッド接触温度などが挙げられる)を用いて、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を、スラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式に基づき算出し、出力する。
加熱炉2の装入時のスラブSの表面Sa及び裏面Sbの装入温度が装入温度測定計7により測定され、この測定された加熱炉2の装入時のスラブSの表面Sa及び裏面Sbの装入温度が抽出温度算出部12に入力される。そして、抽出温度算出部12は、このスラブSの装入温度を初期値として、スラブSの加熱炉在炉中の前述した操業条件を用いて、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を、スラブ温度モデルを構成する次の(1)式~(7)式で表される熱伝導方程式に基づき算出し、出力する。
Figure 2023125248000002
ここで、ρ:比重[kg/]、C:比熱[kcal/(kg・K)]、λ:熱伝導率[kcal/(m・hr・K)]、θ:温度[℃]、x:長さ方向座標[m]、y:厚さ方向座標[m]である。
(1)式の熱伝導方程式を用いての温度分布の算出では、時間方向と空間方向に差分化してスラブSの表面Sa及び裏面Sbでの境界条件を設定することで、スラブ温度を時間刻み毎に抽出時まで算出して、出力する。
この熱伝導方程式に設定される境界条件は、加熱炉2からのスラブSへの輻射入熱と加熱炉スキッド部での抜熱量とからなる。
表面(上面)Saからの輻射入熱は、次の(2)式及び(3)式により表される。
Figure 2023125248000003
また、裏面(下面)Sbからの輻射入熱は、次の(4)式及び(5)式で表される。
Figure 2023125248000004
更に、加熱炉スキッド部での抜熱量は、次の(6)式及び(7)式で表される。
Figure 2023125248000005
ここで、境界条件における変数について説明すると、qui及びqLiのそれぞれは上面熱負荷[kcal/(m・hr]、下面熱負荷[kcal/(m・hr]、ΦCGUi及びΦCGLiのそれぞれは上面総括熱吸収率[-]、下面総括熱吸収率[-]、θgU及びΦgLのそれぞれは上面炉温[℃]、θsiは1計算ステップ前の上面又は下面のスラブ温度[℃]、Vはシャドーファクター(スキッド影による補正)、Qskdは加熱炉スキッド部での抜熱量(スキッド熱負荷)[kcal/(m・hr]、αskdはスキッド接触熱伝達係数[kcal/(m・hr・K]、θはスラブ温度[℃]、θは加熱炉スキッド部での水温[℃]である。
熱伝導方程式を示す(1)式~(7)式の情報は、図示しない記録部に記録されており、抽出温度算出部12は、その記録部から熱伝導方程式を示す(1)式~(7)式の情報を取得する。
また、粗温度算出部13は、抽出温度算出部12から出力された、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を初期値として、加熱炉2から抽出されたスラブSを粗圧延する際の操業条件(操業条件としては、圧延荷重、圧延速度、冷却などが挙げられる)を用いて、粗温度測定計8が設置された位置に対応したスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を、熱伝導方程式に基づき算出し、出力する。
熱伝導方程式は、スラブSの厚さ方向の熱伝導のみを考慮した次の(8)式、もしくは厚さ方向と長さ方向を含む2次元熱伝導方程式により表される。
Figure 2023125248000006
ここで、ρ:比重[kg/]、C:比熱[kcal/(kg・K)]、λ:熱伝導率[kcal/(m・hr・K)]、θ:温度[℃]、x:厚さ方向座標[m]である。
この熱伝導方程式に設定される境界条件は、空冷区間、水冷区間、圧延区間のそれぞれに応じて以下のように設定される。
空冷区間の熱負荷qair[kcal/(m・hr]は、次の(9)式により表される。
Figure 2023125248000007
ここで、ε:放射率[-]、θ:スラブSの表面温度[℃]、θair:大気温度[℃]である。
また、水冷区間の熱負荷qwater[kcal/(m・hr]は、次の(10)式により表される。
Figure 2023125248000008
ここで、α:水冷熱伝達係数[kcal/(m・hr・K)]、θ:スラブSの表面温度[℃]、θWater:水温[℃]である。
また、圧延区間に関しては、加工発熱、ロール接触抜熱、摩擦発熱の3つの熱バランスを考慮する。
加工発熱ΔQ[kcal/(m・hr]に関しては次の(11)式を用いる。
Figure 2023125248000009
ここで、P:圧延圧力[kgf/mm]、hin:入側板厚[mm]、hout:出側板厚[mm]、A:熱の仕事当量427[kgfm/kcal]、τ:圧延接触時間[hr]である。
また、ロール接触抜熱q[kcal/(m・hr)]は次の(12)式で与えられる。
Figure 2023125248000010
ここで、λ:スラブSの熱伝導率[kcal/(m・hr・K)]、αrS:スラブSの温度拡散係数[m/hr]、τ:スラブSの接触温度[℃]、T:平衡温度[℃]である。平衡温度Tは、次の(13)式により算出される。
Figure 2023125248000011
ここで、αrS=λ/(ρ・C)、αrR=λ/(ρ・C)であり、λ:スラブSの熱伝導率[kcal/(m・hr・K)]、ρ:スラブSの比重[kg/m]、C:スラブSの比熱[kcal/(kg・K)]、λ:ロールの熱伝導率[kcal/(m・hr・K)]、ρ:ロールの比重[kg/m]、C:ロールの比熱[kcal/(kg・K)]、TR0:ロール温度[℃]、αrR:ロールの温度拡散率[m/hr]である。
また、摩擦発熱qμ[kcal/(m・hr)]は、次の(14)式で与えられる。
Figure 2023125248000012
ここで、μ:摩擦係数[-]、P:圧延圧力[kgf/mm]、VRM:ロールとスラブSの相対速度[m/hr]、A:熱の仕事当量427[kgfm/kcal]である。
圧延圧力Pは次の(15)式により表される。
Figure 2023125248000013
ここで、P:圧延荷重[tonf]、R’:偏平ロール径[mm]、hin:入側板厚[mm]、hout:出側板厚[mm]、B:スラブSの板幅[mm]である。
また、相対速度VRMは次の(16)式により表される。
Figure 2023125248000014
ここで、V:ロール速度[m/hr]、f:先進率[-]、b:後進率[-]であり、後進率bは次の(17)式により表される。
Figure 2023125248000015
粗温度算出部13から出力された、粗温度測定計8が設置された位置に対応したスラブSの裏面Sbの幅中央部における長さ方向の温度分布の一例が図5に示されている。
また、モデル修正部14は、粗温度算出部13から出力された、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tcalと、粗温度取得部11で取得した、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tactとの偏差eの大きさ(絶対値の大きさ)が閾値ε(1℃)未満となるように、抽出温度算出部12で用いられる、スラブ温度モデルを構成する(1)式~(7)式で表される熱伝導方程式に含まれる計算パラメータとしての総括熱吸収率ΦCG(上面総括熱吸収率ΦCGUi及び下面総括熱吸収率ΦCGLiのそれぞれ)を修正する。総括熱吸収率ΦCGは、上面総括熱吸収率ΦCGUi及び下面総括熱吸収率ΦCGLiのそれぞれを意味する。
ここで、粗温度算出部13から出力された、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tcalは複数ある。モデル修正部14は、粗温度算出部13から出力された、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の複数の温度Tcalのうち特定の加熱炉スキッド部とこの特定の加熱炉スキッド部に隣接する加熱炉スキッド部との間に対応する長さ方向位置の温度Tcalを選定する。
また、粗温度取得部11で取得された、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tactも複数ある。モデル修正部14は、粗温度取得部11で取得された、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の複数の温度Tactのうち前述の特定の加熱炉スキッド部とこの特定の加熱炉スキッド部に隣接する加熱炉スキッド部との間に対応する長さ方向位置の温度Tactを選定する。
そして、モデル修正部14は、選定された温度Tcalと選定された温度Tactとの偏差e=Tcal-Tactの大きさ(絶対値の大きさ)が閾値ε(1℃)未満となるように、抽出温度算出部12で用いられる、スラブ温度モデルを構成する(1)式~(7)式で表される熱伝導方程式に含まれる計算パラメータとしての総括熱吸収率ΦCGを修正する。
計算パラメータとしての総括熱吸収率ΦCGの具体的な修正の仕方については、図7に示すステップS4(モデル修正ステップ)における処理の流れの詳細を示すフローチャートに基づき後述する。
そして、修正装置10の出力部15は、モデル修正部14によって計算パラメータとしての総括熱吸収率ΦCGを修正したスラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式((1)式~(7)式)の情報を、加熱炉の炉温制御装置20のスラブ温度予測部21に対し出力する。
また、加熱炉の炉温制御装置20は、図3に示すように、スラブ温度予測部21と、炉温制御部22とを備えている。炉温制御装置20は、演算処理機能を有するコンピュータシステムであり、ハードウェアに予め記憶された各種専用のコンピュータプログラムの命令により、スラブ温度予測部21(後に述べるステップS11)、及び炉温制御部22(ステップS12)の各機能をソフトウェア上で実行する
スラブ温度予測部21は、スラブ温度モデルの修正装置10によって修正されたスラブ温度モデルの情報を修正装置10の出力部15から取得し、その情報を用いて加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を予測する。
具体的に述べると、スラブ温度予測部21は、装入温度測定計7により測定された加熱炉2の装入時のスラブSの表面Sa及び裏面Sbの装入温度を初期値として、スラブSの加熱炉在炉中の前述した操業条件を用いて、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を、修正装置10の出力部15から取得した修正されたスラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式((1)式~(7)式)に基づき算出し、この算出された値を予測値とする。
また、炉温制御部22は、スラブ温度予測部21で予測された加熱炉2の抽出時の幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布の温度が最低抽出温度(例えば、1200℃)を上回るように、加熱炉2内における炉温を制御する。
具体的に述べると、炉温制御部22は、スラブ温度予測部21で予測された加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における加熱炉スキッド部及び加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置での厚さ方向の温度が、最低抽出温度(例えば、1200℃)を上回る目標温度となるように、各燃料流量制御部23を制御して各燃焼バーナー3への燃料流量を制御し、加熱炉2内の炉温を制御する。
これにより、加熱炉2から抽出された時のスラブSの幅中央部における加熱炉スキッド部及び加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置での厚さ方向の温度が最低抽出温度を上回り、昇温不足となりがちなスキッドビームの接触箇所を規定温度まで上昇させて抽出することができ、加熱炉スキッド部の昇温不足による熱延コイルの材質不良が防止できるとともに、過加熱操業による加熱原単位を削減することができることになる。
このように本実施形態に係るスラブ温度モデルの修正装置10によれば、粗温度取得部11において、複数の粗圧延機4~4の出側に設置された粗温度測定計8によって測定したスラブSの裏面Sbの幅中央部における長さ方向の温度分布を取得し、抽出温度算出部12において、加熱炉2に装入されるスラブSの装入温度を初期値として、スラブSの加熱炉在炉中の操業条件を用いて、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向と厚さ方向の温度分布を、スラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式((1)式~(7)式)に基づき算出し、出力する。そして、粗温度算出部13において、抽出温度算出部12から出力された、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向と厚さ方向の温度分布を初期値として、加熱炉2から抽出されたスラブSを粗圧延する際の操業条件を用いて、粗温度測定計8が設置された位置に対応したスラブSの幅中央部における長さ方向と厚さ方向の温度分布を、熱伝導方程式((8)式~(17)式)に基づき算出し、出力する。そして、モデル修正部14において、粗温度算出部13から出力された、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tcalと、粗温度取得部11で取得した、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tactとの偏差eの大きさが閾値(1℃)未満となるように、抽出温度算出部12で用いられる、スラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式((1)式~(7)式)に含まれる計算パラメータとしての総括熱吸収率ΦCGを修正する。
これにより、スラブ温度モデルを用いて加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を予測するに際し、当該スラブ温度モデルを修正することで、加熱炉2の抽出時のスラブの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を精度よく予測することができることになる。
また、このスラブ温度モデルの修正に介し、モデル修正部14において、複数の粗圧延機4~4の出側に設置された粗温度測定計8によって測定した温度測定値を活用してスラブ温度モデルを修正しているので、加熱炉2の出側直後に設置される放射温度計によって加熱炉2の抽出直後のスラブSの温度を測定する必要はない。加熱炉2の抽出直後だとスラブSの表面のスケールの影響で温度測定自体が困難であるが、本実施形態に係る修正装置10によれば、このおそれはない。
そして、本実施形態に係る加熱炉の炉温制御装置20によれば、スラブ温度予測部21において、スラブ温度モデルの修正装置10によって修正されたスラブ温度モデルを用いて加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を予測し、炉温制御部22において、スラブ温度予測部21で予測された加熱炉2の抽出時の幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布の温度が最低抽出温度を上回るように、加熱炉2内における炉温を制御する。
これにより、加熱炉2から抽出された時のスラブSの幅中央部における加熱炉スキッド部及び加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置での厚さ方向の温度が最低抽出温度を上回り、昇温不足となりがちなスキッドビームの接触箇所を規定温度まで上昇させて抽出することができ、加熱炉スキッド部の昇温不足による熱延コイルの材質不良が防止できるとともに、過加熱操業による加熱原単位を削減することができることになる。
次に、本発明の一実施形態に係るスラブ温度モデルの修正方法を、図6に示されたスラブ温度モデルの修正装置における処理の流れを説明するためのフローチャート、及び図7に示された図6に示すフローチャートにおけるステップS4(モデル修正ステップ)における処理の流れを示すフローチャートを参照して説明する。
先ず、ステップS1において、修正装置10の粗温度取得部11は、複数の粗圧延機4~4の出側に設置された粗温度測定計8によって測定したスラブSの裏面Sbの幅中央部における長さ方向の温度分布を取得する(粗温度取得ステップ)。
次いで、ステップS2において、修正装置10の抽出温度算出部12は、加熱炉2に装入されるスラブSの装入温度を初期値として、スラブSの加熱炉在炉中の操業条件(操業条件としては、在炉時間、炉温、スキッド接触温度などが挙げられる)を用いて、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を、スラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式に基づき算出し、出力する(抽出温度算出ステップ)。
加熱炉2の装入時のスラブSの表面Sa及び裏面Sbの装入温度が装入温度測定計7により測定され、この測定された加熱炉2の装入時のスラブSの表面Sa及び裏面Sbの装入温度が抽出温度算出部12に入力される。そして、抽出温度算出部12は、このスラブSの装入温度を初期値として、スラブSの加熱炉在炉中の前述した操業条件を用いて、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を、スラブ温度モデルを構成する前述の(1)式~(7)式で表される熱伝導方程式に基づき算出し、出力する。
(1)式の熱伝導方程式を用いての温度分布の算出では、時間方向と空間方向に差分化してスラブSの表面Sa及び裏面Sbでの境界条件を設定することで、スラブ温度を時間刻み毎に抽出時まで算出して、出力する。
この熱伝導方程式に設定される境界条件は、加熱炉2からのスラブSへの輻射入熱と加熱炉スキッド部での抜熱量とからなる。
表面(上面)Saからの輻射入熱は、前述した通りの(2)式及び(3)式により表される。
また、裏面(下面)Sbからの輻射入熱は、前述した通りの(4)式及び(5)式で表される。
更に、加熱炉スキッド部での抜熱量は、前述した通りの(6)式及び(7)式で表される。
次いで、ステップS3において、修正装置10の粗温度算出部13は、ステップS2で出力された、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を初期値として、加熱炉2から抽出されたスラブSを粗圧延する際の操業条件(操業条件としては、圧延荷重、圧延速度、冷却などが挙げられる)を用いて、粗温度測定計8が設置された位置に対応したスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を、熱伝導方程式に基づき算出し、出力する(粗温度算出ステップ)。
熱伝導方程式は、スラブSの厚さ方向の熱伝導のみを考慮した前述した通りの(8)式、もしくは厚さ方向と長さ方向を含む2次元熱伝導方程式により表される。
また(8)式の熱伝導方程式に設定される境界条件は、前述した通り、空冷区間、水冷区間、圧延区間のそれぞれに応じて設定される。
空冷区間の熱負荷qair[kcal/(m・hr]は、前述の(9)式により表される。
また、水冷区間の熱負荷qwater[kcal/(m・hr]は、前述の(10)式により表される。
また、圧延区間に関しては、加工発熱、ロール接触抜熱、摩擦発熱の3つの熱バランスを考慮する。
加工発熱ΔQ[kcal/(m・hr]に関しては前述の(11)式を用いる。
また、ロール接触抜熱q[kcal/(m・hr)]は前述の(12)式で与えられる。
衡温度[℃]である。平衡温度Tは、前述の(13)式により算出される。
また、摩擦発熱qμ[kcal/(m・hr)]は、前述の(14)式で与えられる。圧延圧力Pは前述の(15)式により表される。また、相対速度VRMは前述の(16)式により表される。また、後進率bは前述の(17)式により表される。
次いで、ステップS4において、モデル修正部14は、ステップS3で出力された、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tcalと、ステップS1で取得した、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tactとの偏差eの大きさ(絶対値の大きさ)が閾値ε(1℃)未満となるように、ステップS2で用いられる、スラブ温度モデルを構成する(1)式~(7)式で表される熱伝導方程式に含まれる計算パラメータとしての総括熱吸収率ΦCG(上面総括熱吸収率ΦCGUi及び下面総括熱吸収率ΦCGLi)を修正する(モデル修正ステップ)。
ステップS4での処理を、図7を参照して詳細に説明する。
先ず、ステップS41において、モデル修正部14は、ステップS3で出力された、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tcalと、ステップS1で取得した、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tactとの偏差eを算出する。
ここで、モデル修正部14は、ステップS3で出力された、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の複数の温度Tcalのうち特定の加熱炉スキッド部とこの特定の加熱炉スキッド部に隣接する加熱炉スキッド部との間に対応する長さ方向位置の温度Tcalを選定する。
また、モデル修正部14は、ステップS1で取得された、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の複数の温度Tactのうち前述の特定の加熱炉スキッド部とこの特定の加熱炉スキッド部に隣接する加熱炉スキッド部との間に対応する長さ方向位置の温度Tactを選定する。
そして、モデル修正部14は、選定された温度Tcalと選定された温度Tactとの偏差e=Tcal-Tactを算出する。
次いで、ステップS42において、モデル修正部14は、ステップS41で算出した偏差eの大きさ(絶対値の大きさ)が閾値ε(=1℃)未満か否かを判定する。
ステップS42における判定結果がNO(偏差eが閾値ε未満でない)の場合、ステップS43に移行し、ステップS42における判定結果がYES(偏差eが閾値ε未満である)の場合、ステップS49に移行する。
ステップS43では、モデル修正部14は、前述の(3)式における上面総括熱吸収率ΦCGUi及び(5)式における下面総括熱吸収率ΦCGLiをそれぞれ総括熱吸収率ΦCGとし、総括熱吸収率ΦCGを微小変化後の総括熱吸収率ΦCG’=ΦCG+δに設定する。
次いで、ステップS44において、モデル修正部14は、微小変化後の総括熱吸収率ΦCG’を用いて、ステップS2における、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を算出し直し、そして、これに基づき、ステップS3での粗温度測定計8が設置された位置に対応したスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布の算出をし直し、ステップS41での、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tcal’を算出する。
次いで、ステップS45において、モデル修正部14は、ステップS41における温度Tcalと、ステップS44で算出した温度Tcal’と、ステップ43で設定した微小変化量δとから、影響係数∂Tcal/∂ΦCG=(Tcal’-Tcal)/δを算出する。
次いで、ステップS46において、モデル修正部14は、総括熱吸収率ΦCG(前述の(3)式における上面総括熱吸収率ΦCGUi及び(5)式における下面総括熱吸収率ΦCGLiのそれぞれ)をΦCG’’=ΦCG-e/(∂Tcal/∂ΦCG)に更新する。
次いで、ステップS47において、モデル修正部14は、更新後総括熱吸収率ΦCG’’(=ΦCG-e/(∂Tcal/∂ΦCG)を用いて、ステップS2における、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を算出し直し、そして、これに基づき、ステップS3での粗温度測定計8が設置された位置に対応したスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布の算出をし直し、ステップS41での、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tcal’’を算出する。
次いで、ステップS48において、モデル修正部14は、ステップS41で算出した偏差eを偏差e=Tcal’’-Tactに更新する。
そして、ステップ42に戻り、ステップS42において、モデル修正部14は、ステップS48で更新した偏差eが閾値ε(=1℃)未満か否かを判定する。
そして、ステップS42における判定結果がYESとなるまでステップS42からステップS48までを繰り返す。
ステップS42における判定結果がYESとなった場合、ステップS49に移行し、偏差eが閾値ε(=1℃)未満となったときの総括熱吸収率を総括熱吸収率ΦCG(前述の(3)式における上面総括熱吸収率ΦCGUi及び(5)式における下面総括熱吸収率ΦCGLiのそれぞれ)とする。
これにより、ステップS4での処理が終了し、総括熱吸収率ΦCGの適切な修正となる。
そして、ステップS5において、修正装置10の出力部15は、モデル修正部14によって総括熱吸収率ΦCGを修正したスラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式((1)式~(7)式)の情報を、加熱炉の炉温制御装置20のスラブ温度予測部21に対し出力する(出力ステップ)。
これにより、スラブ温度モデルの修正装置10における処理が終了する。
このように本実施形態に係るスラブ温度モデルの修正方法によれば、粗温度取得ステップ(ステップS1)において、複数の粗圧延機4~4の出側に設置された粗温度測定計8によって測定したスラブSの裏面Sbの幅中央部における長さ方向の温度分布を取得し、抽出温度算出ステップ(ステップS2)において、加熱炉2に装入されるスラブSの装入温度を初期値として、スラブSの加熱炉在炉中の操業条件を用いて、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向と厚さ方向の温度分布を、スラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式((1)式~(7)式)に基づき算出し、出力する。そして、粗温度算出ステップ(ステップS3)において、抽出温度算出ステップ(ステップS2)で出力された、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向と厚さ方向の温度分布を初期値として、加熱炉2から抽出されたスラブSを粗圧延する際の操業条件を用いて、粗温度測定計8が設置された位置に対応したスラブSの幅中央部における長さ方向と厚さ方向の温度分布を、熱伝導方程式((8)式~(17)式)に基づき算出し、出力する。そして、モデル修正ステップ(ステップS4)において、粗温度算出ステップ(ステップS3)で出力された、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tcalと、粗温度取得ステップ(ステップS1)で取得した、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tactとの偏差eの大きさが閾値(1℃)未満となるように、抽出温度算出ステップ(ステップS2)で用いられる、スラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式((1)式~(7)式)に含まれる計算パラメータとしての総括熱吸収率ΦCGを修正する。
これにより、スラブ温度モデルを用いて加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を予測するに際し、当該スラブ温度モデルを修正することで、加熱炉2の抽出時のスラブの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を精度よく予測することができることになる。
また、このスラブ温度モデルの修正に介し、モデル修正ステップ(ステップS4)において、複数の粗圧延機4~4の出側に設置された粗温度測定計8によって測定した温度測定値を活用してスラブ温度モデルを修正しているので、加熱炉2の出側直後に設置される放射温度計によって加熱炉2の抽出直後のスラブSの温度を測定する必要はない。加熱炉2の抽出直後だとスラブSの表面のスケールの影響で温度測定自体が困難であるが、本実施形態に係る修正装置10によれば、このおそれはない。
次に、本発明の一実施形態に係る加熱炉の炉温制御方法を、図8に示された加熱炉の炉温制御装置における処理の流れを説明するためのフローチャートを参照して説明する。
先ず、ステップS11において、炉温制御装置20のスラブ温度予測部21は、スラブ温度モデルの修正方法によって修正されたスラブ温度モデルの情報を修正装置10の出力部15から取得し、その情報を用いて加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を予測する(スラブ温度予測ステップ)。
具体的に述べると、スラブ温度予測部21は、装入温度測定計7により測定された加熱炉2の装入時のスラブSの表面Sa及び裏面Sbの装入温度を初期値として、スラブSの加熱炉在炉中の前述した操業条件を用いて、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を、修正装置10の出力部15から取得した修正されたスラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式((1)式~(7)式)に基づき算出し、この算出された値を予測値とする。
次いで、ステップS12において、炉温制御装置20の炉温制御部22は、スラブ温度予測ステップ(ステップS11)で予測された加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における加熱炉スキッド部及び加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置での厚さ方向の温度が、最低抽出温度(例えば、1200℃)を上回る目標温度となるように、各燃料流量制御部23を制御して各燃焼バーナー3への燃料流量を制御し、加熱炉2内の炉温を制御する。
このように、本実施形態に係る加熱炉の炉温制御方法によれば、スラブ温度予測ステップ(ステップS11)において、スラブ温度モデルの修正方法によって修正されたスラブ温度モデルを用いて加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を予測し、炉温制御ステップ(ステップS12)において、スラブ温度予測ステップ(ステップS11)で予測された加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における加熱炉スキッド部及び加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置での厚さ方向の温度が、最低抽出温度を上回るように、各燃料流量制御部23を制御して各燃焼バーナー3への燃料流量を制御し、加熱炉2内の炉温を制御する。
これにより、加熱炉2から抽出された時のスラブSの幅中央部における加熱炉スキッド部及び加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置での厚さ方向の温度が最低抽出温度を上回り、昇温不足となりがちなスキッドビームの接触箇所を規定温度まで上昇させて抽出することができ、加熱炉スキッド部の昇温不足による熱延コイルの材質不良が防止できるとともに、過加熱操業による加熱原単位を削減することができることになる。
次に、モデル修正部14の変形例による処理について、図10及び図11を参照して説明する。
前述したモデル修正部14では、粗温度算出部13から出力された、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tcalと、粗温度取得部11で取得した、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tactとの偏差eの大きさが閾値(1℃)未満となるように、抽出温度算出部12で用いられる、スラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式((1)式~(7)式)に含まれる計算パラメータとしての総括熱吸収率ΦCGを修正している。
このモデル修正部14において、粗温度算出部13から出力された、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tcalと、粗温度取得部11で取得した、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tactとの偏差eの大きさ(絶対値の大きさ)が、図10に示すように、規定値αよりも大きい場合に、規定値αを超える分の偏差e(修正後偏差e’)の大きさ(絶対値の大きさ)が前述した閾値未満となるように、抽出温度算出部12で用いられる、スラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式に含まれる計算パラメータとしての総括熱吸収率ΦCGを修正する。
このモデル修正部14の変形例による処理について、図11を参照して説明すると、先ず、ステップS401において、モデル修正部14は、ステップS3で出力された、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tcalと、ステップS1で取得した、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tactとの偏差eを算出する。
次いで、ステップS402において、モデル修正部14は、ステップS401で算出した偏差eを修正後偏差e’に変換する。修正後偏差e’は、e’=f(e)=偏差e-規定値αで表される。
次いで、ステップS403において、モデル修正部14は、ステップS402で変換した修正後偏差e’の大きさ(絶対値の大きさ)が閾値ε(=1℃)未満か否かを判定する。
ステップS403における判定結果がNO(修正後偏差e’が閾値ε未満でない)の場合、ステップS404に移行し、ステップS403における判定結果がYES(修正後偏差e’が閾値ε未満である)の場合、ステップS410に移行する。
ステップS404では、モデル修正部14は、前述の(3)式における上面総括熱吸収率ΦCGUi及び(5)式における下面総括熱吸収率ΦCGLiをそれぞれ総括熱吸収率ΦCGとし、総括熱吸収率ΦCGを微小変化後の総括熱吸収率ΦCG’=ΦCG+δに設定する。
次いで、ステップS405において、モデル修正部14は、微小変化後の総括熱吸収率ΦCG’を用いて、ステップS2における、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を算出し直し、そして、これに基づき、ステップS3での粗温度測定計8が設置された位置に対応したスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布の算出をし直し、ステップS401での、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tcal’を算出する。
次いで、ステップS406において、モデル修正部14は、ステップS401における温度Tcalと、ステップS405で算出した温度Tcal’と、ステップ404で設定した微小変化量δとから、影響係数∂Tcal/∂ΦCG=(Tcal’-Tcal)/δを算出する。
次いで、ステップS407において、モデル修正部14は、総括熱吸収率ΦCG(前述の(3)式における上面総括熱吸収率ΦCGUi及び(5)式における下面総括熱吸収率ΦCGLiのそれぞれ)をΦCG’’=ΦCG-e/(∂Tcal/∂ΦCG)に更新する。
次いで、ステップS408において、モデル修正部14は、更新後総括熱吸収率ΦCG’’(=ΦCG-e/(∂Tcal/∂ΦCG)を用いて、ステップS2における、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を算出し直し、そして、これに基づき、ステップS3での粗温度測定計8が設置された位置に対応したスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布の算出をし直し、ステップS401での、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tcal’’を算出する。
次いで、ステップS409において、モデル修正部14は、ステップS401で算出した偏差eを偏差e=Tcal’’-Tactに更新する。
そして、ステップ402に戻り、ステップS402において、モデル修正部14は、ステップS409で更新した偏差eを修正後偏差e’に変換し、ステップS403で当該修正後偏差e’の大きさ(絶対値の大きさ)が閾値ε(=1℃)未満か否かを判定する。
そして、ステップS403における判定結果がYESとなるまでステップS402からステップS409までを繰り返す。
ステップS403における判定結果がYESとなった場合、ステップS410に移行し、修正後偏差e’が閾値ε(=1℃)未満となったときの総括熱吸収率を総括熱吸収率ΦCG(前述の(3)式における上面総括熱吸収率ΦCGUi及び(5)式における下面総括熱吸収率ΦCGLiのそれぞれ)とする。
これにより、モデル修正部14の変形例による処理が終了し、総括熱吸収率ΦCGの適切な修正となる。
このモデル修正部14の変形例によれば、粗温度算出部13から出力された、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tcalと、粗温度取得部11で取得した、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tactとの偏差eの大きさ(絶対値の大きさ)が、規定値αよりも大きい場合に、規定値αを超える分の偏差e(修正後偏差e’)の大きさ(絶対値の大きさ)が閾値未満となるように、抽出温度算出部12で用いられる、スラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式に含まれる計算パラメータとしての総括熱吸収率ΦCGを修正する。
これにより、総括熱吸収率ΦCGに含まれる誤差を吸収することができる。
また、本発明の一実施形態に係る鋼板の製造方法は、前述の加熱炉の炉温制御方法によって加熱炉2内の炉温を制御する炉温制御工程を含み、この炉温制御工程によって炉温が制御された加熱炉2によって加熱され、加熱炉2から抽出されたスラブSは、複数台(本実施形態ではn台)の粗圧延機4~4による粗圧延工程で粗圧延された後、仕上圧延工程で図示しない仕上圧延機によって仕上圧延され、薄い鋼板となる。そして、この鋼板は、冷却工程で冷却設備5にて冷却された後、巻取工程で巻取り装置6によってコイル状に巻き取られて製造される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、抽出温度算出部12(ステップS2)において、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を算出しているが、スラブSの少なくとも幅中央部における長さ方向と厚さ方向を含む温度分布を算出すればよく、スラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向に限らず、例えば、スラブSの幅方向、長さ方向及び厚さ方向の温度分布を算出するようにしてもよい。
また、粗温度算出部13(ステップS3)において、粗温度測定計8が設置された位置に対応したスラブSの幅中央部における長さ方向と厚さ方向の温度分布を算出しているが、粗温度測定計8が設置された位置に対応したスラブSの少なくとも幅中央部における長さ方向と厚さ方向とを含む温度分布を算出すればよく、スラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向に限らず、例えば、スラブSの幅方向、長さ方向及び厚さ方向の温度分布を算出するようにしてもよい。
また、スラブ温度予測部21(ステップS11)において、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を予測しているが、修正されたスラブ温度モデルを用いて加熱炉2の抽出時のスラブSの少なくとも幅中央部における長さ方向及び厚さ方向を含む温度分布を予測すればよく、スラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向に限らず、例えば、スラブSの幅方向、長さ方向及び厚さ方向の温度分布を予測するようにしてもよい。つまり、スラブ温度モデルの修正装置10は、スラブSを加熱炉2で加熱し、加熱炉2から抽出されたスラブSを複数の粗圧延機4~4で粗圧延する際における、加熱炉2の抽出時のスラブSの少なくとも幅中央部における長さ方向及び厚さ方向を含む温度分布の予測に用いられるスラブ温度モデルを修正するものである。
また、粗温度測定計8は、複数の粗圧延機4~4の出側に設置されているが、複数の粗圧延機4~4における隣接する粗圧延機4~4の間に設置されていてもよい。この場合、粗温度取得部11は、複数の粗圧延機4~4における隣接する粗圧延機4~4の間に設置された粗温度測定計8によって測定したスラブSの裏面Sbの幅中央部における長さ方向の温度分布を取得する。
また、粗温度測定計8は、スラブSの裏面Sbではなく、スラブSの表面Saの幅中央部における長さ方向の温度分布を測定しても良く、この場合、粗温度取得部11は、粗温度測定計8によって測定したスラブSの表面Saの幅中央部における長さ方向の温度分布を取得する。また、この場合、モデル修正部14は、粗温度算出部13から出力された、スラブSの表面Saの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tcalと、粗温度取得部11で取得した、スラブの表面Saの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tactとの偏差eの大きさが閾値未満となるように、抽出温度算出部12で用いられる、スラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式に含まれる計算パラメータとしての総括熱吸収率ΦCGを修正する。
また、モデル修正部14(モデル修正ステップ:ステップS4)で修正される熱伝導方程式に含まれる計算パラメータとしては、総括熱吸収率ΦCG以外の計算パラメータ、例えば、スキッド接触熱伝達係数αskd[kcal/(m・hr・K]であってもよい。
本発明の効果を検証すべく、図1に示す熱間圧延ライン1において、加熱炉2で厚さ215mmのスラブSを約1100℃弱に加熱し、その後、複数の粗圧延機4~4で35mmの厚さの鋼板(スラブS)に圧延した。そして、複数の粗圧延機4~4の出側に設置された粗温度測定計8によってスラブSの裏面Sbの幅中央部における長さ方向の温度分布を測定した。
その結果、粗温度取得部11で取得した、粗温度測定計8によって測定された、スラブSの裏面Sbの幅中央部における特定の加熱炉スキッド部とこの特定の加熱スキッド部に隣接する加熱炉スキッド部との間に対応する長さ方向位置の温度Tactは900℃であった。また、粗温度算出部13から出力された、スラブSの裏面Sbの幅中央部における前述の特定の加熱炉スキッド部とこの特定の加熱スキッド部に隣接する加熱炉スキッド部との間に対応する長さ方向位置の温度Tcalは888.9であった。
このため、修正装置10のモデル修正部14は、粗温度算出部13から出力された温度Tcal=888.9℃と、粗温度取得部11で取得した温度Tact=900℃との偏差e=Tcal-Tact=-11.1℃を算出した。
そして、モデル修正部14は、この偏差eをなくすような総括熱吸収率ΦCG(上面総括熱吸収率ΦCGUi及び下面総括熱吸収率ΦCGLiの値は異なるが、一括して総括熱吸収率ΦCGを修正する方法を採った)を求めるため、算出した偏差eの大きさ(絶対値の大きさ)が閾値ε(=1℃)未満か否かを判定した。
偏差eの大きさ(絶対値の大きさ)は11.1℃であり、閾値1℃よりも大きく、判定結果がNOであったため、モデル修正部14は、総括熱吸収率ΦCGを微小変化後の総括熱吸収率ΦCG’=ΦCG+0.1に設定した。
そして、モデル修正部14は、微小変化後の総括熱吸収率ΦCG’ =ΦCG+0.1を用いて、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を算出し直し、そして、これに基づき、粗温度測定計8を設置した位置に対応したスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布の算出をし直し、スラブSの裏面Sbの幅中央部における前述の特定の加熱炉スキッド部とこの特定の加熱スキッド部に隣接する加熱炉スキッド部との間に対応する長さ方向位置の温度Tcal’を算出した。その結果、温度Tcal’は895.6℃となった。
そして、モデル修正部14は、前述の粗温度算出部13から出力された温度Tcal=888.9℃と、温度Tcal’=895.6℃と、総括熱吸収率の微小変化量δ=0.1とから、影響係数∂Tcal/∂ΦCG=(Tcal’-Tcal)/δ=67を算出した。
次いで、モデル修正部14は、総括熱吸収率ΦCGをΦCG’’=ΦCG-e/(∂Tcal/∂ΦCG)=ΦCG-11.1/67に更新した。
次いで、モデル修正部14は、更新後総括熱吸収率ΦCG’’(=ΦCG-11.1/67)を用いて、加熱炉2の抽出時のスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布を算出し直し、そして、これに基づき、粗温度測定計8が設置された位置に対応したスラブSの幅中央部における長さ方向及び厚さ方向の温度分布の算出をし直し、スラブSの裏面Sbの幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度Tcal’’=899.7℃を算出した。
次いで、モデル修正部14は、前述した偏差e=-11.1℃を偏差e=Tcal’’-Tact=899.7℃-900℃=-0.3℃に更新した。
そして、モデル修正部14は、更新した偏差e=-0.3(絶対値は0.3)が閾値ε(=1℃)未満か否かを判定し、その判定結果がYESとなったので、判定結果がYESとなったときの更新後総括熱吸収率ΦCG’’(=ΦCG-11.1/67)を総括熱吸収率ΦCGとした。
これにより、モデル修正部14での処理が終了し、適切な総括熱吸収率ΦCGが求められた。
また、本発明例に係る鋼板の製造方法によって製造された熱延コイルの長さ方向の材質は、本発明法を適用しない場合に比較して均一になり、本発明の効果が確認された。
1 熱間圧延ライン
2加熱炉
~2 燃焼制御帯
3 燃焼バーナー
~4 粗圧延機
5 冷却設備
6 巻取り装置
7 装入温度測定計
8 粗温度測定計
10 スラブ温度モデルの修正装置
11 粗温度取得部
12 抽出温度算出部
13 粗温度算出部
14 モデル修正部
15 出力部
20 加熱炉の炉温制御装置
21 スラブ温度予測部
22 炉温制御部
23 燃料流量制御部
S スラブ
Sa 表面
Sb 裏面

Claims (9)

  1. スラブを加熱炉で加熱し、該加熱炉から抽出された前記スラブを複数の粗圧延機で粗圧延する際における、前記加熱炉の抽出時の前記スラブの少なくとも幅中央部における長さ方向及び厚さ方向を含む温度分布の予測に用いられるスラブ温度モデルの修正装置であって、
    前記複数の粗圧延機における隣接する粗圧延機の間あるいは前記複数の粗圧延機の出側に設置された粗温度測定計によって測定した前記スラブの表面又は裏面の幅中央部における長さ方向の温度分布を取得する粗温度取得部と、
    前記加熱炉に装入される前記スラブの装入温度を初期値として、前記スラブの加熱炉在炉中の操業条件を用いて、前記加熱炉の抽出時の前記スラブの少なくとも幅中央部における長さ方向と厚さ方向とを含む温度分布を、前記スラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式に基づき算出し、出力する抽出温度算出部と、
    該抽出温度算出部から出力された、前記加熱炉の抽出時の前記スラブの少なくとも幅中央部における長さ方向と厚さ方向とを含む温度分布を初期値として、前記加熱炉から抽出された前記スラブを粗圧延する際の操業条件を用いて、前記粗温度測定計が設置された位置に対応した前記スラブの少なくとも幅中央部における長さ方向と厚さ方向とを含む温度分布を、熱伝導方程式に基づき算出し、出力する粗温度算出部と、
    該粗温度算出部から出力された、前記スラブの表面又は裏面の幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度と、前記粗温度取得部で取得した、前記スラブの表面又は裏面の幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度との偏差の大きさが閾値未満となるように、前記抽出温度算出部で用いられる、前記スラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式に含まれる計算パラメータを修正するモデル修正部とを備えていることを特徴とするスラブ温度モデルの修正装置。
  2. 前記モデル修正部では、前記粗温度算出部から出力された、前記スラブの表面又は裏面の幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度と、前記粗温度取得部で取得された、前記スラブの表面又は裏面の幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度との前記偏差の大きさが規定値よりも大きい場合に、前記規定値を超える分の前記偏差の大きさが前記閾値未満となるように、前記抽出温度算出部で用いられる、前記スラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式に含まれる前記計算パラメータを修正することを特徴とする請求項1に記載のスラブ温度モデルの修正装置。
  3. 前記計算パラメータは、総括熱吸収率であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスラブ温度モデルの修正装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスラブ温度モデルの修正装置によって修正されたスラブ温度モデルを用いて加熱炉の抽出時のスラブの少なくとも幅中央部における長さ方向及び厚さ方向を含む温度分布を予測するスラブ温度予測部と、該スラブ温度予測部で予測された加熱炉の抽出時の少なくとも幅中央部における長さ方向及び厚さ方向を含む温度分布の温度が最低抽出温度を上回るように、前記加熱炉内における炉温を制御する炉温制御部とを備えていることを特徴とする加熱炉の炉温制御装置。
  5. スラブを加熱炉で加熱し、該加熱炉から抽出された前記スラブを複数の粗圧延機で粗圧延する際における、前記加熱炉の抽出時の前記スラブの少なくとも幅中央部における長さ方向及び厚さ方向を含む温度分布の予測に用いられるスラブ温度モデルの修正方法であって、
    前記複数の粗圧延機における隣接する粗圧延機の間あるいは前記複数の粗圧延機の出側に設置された粗温度測定計によって測定した前記スラブの表面又は裏面の幅中央部における長さ方向の温度分布を取得する粗温度取得ステップと、
    前記加熱炉に装入される前記スラブの装入温度を初期値として、前記スラブの加熱炉在炉中の操業条件を用いて、前記加熱炉の抽出時の前記スラブの少なくとも幅中央部における長さ方向と厚さ方向とを含む温度分布を、前記スラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式に基づき算出し、出力する抽出温度算出ステップと、
    該抽出温度算出ステップで出力された、前記加熱炉の抽出時の前記スラブの少なくとも幅中央部における長さ方向と厚さ方向とを含む温度分布を初期値として、前記加熱炉から抽出された前記スラブを粗圧延する際の操業条件を用いて、前記粗温度測定計が設置された位置に対応した前記スラブの少なくとも幅中央部における長さ方向と厚さ方向とを含む温度分布を、熱伝導方程式に基づき算出し、出力する粗温度算出ステップと、
    該粗温度算出ステップ0で出力された、前記スラブの表面又は裏面の幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度と、前記粗温度取得ステップで取得した、前記スラブの表面又は裏面の幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度との偏差の大きさが閾値未満となるように、前記抽出温度算出ステップで用いられる、前記スラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式に含まれる計算パラメータを修正するモデル修正ステップとを含むことを特徴とするスラブ温度モデルの修正方法。
  6. 前記モデル修正ステップでは、前記粗温度算出ステップで出力された、前記スラブの表面又は裏面の幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度と、前記粗温度取得ステップで取得された、前記スラブの表面又は裏面の幅中央部における加熱炉スキッド間に対応する長さ方向位置の温度との前記偏差の大きさが規定値よりも大きい場合に、前記規定値を超える分の前記偏差の大きさが前記閾値未満となるように、前記抽出温度算出ステップで用いられる、前記スラブ温度モデルを構成する熱伝導方程式に含まれる前記計算パラメータを修正することを特徴とする請求項5に記載のスラブ温度モデルの修正方法。
  7. 前記計算パラメータは、総括熱吸収率であることを特徴とする請求項5又は6に記載のスラブ温度モデルの修正方法。
  8. 請求項5乃至7のいずれか一項に記載のスラブ温度モデルの修正方法によって修正されたスラブ温度モデルを用いて加熱炉の抽出時のスラブの少なくとも幅中央部における長さ方向及び厚さ方向を含む温度分布を予測するスラブ温度予測ステップと、該スラブ温度予測ステップで予測された加熱炉の抽出時の少なくとも幅中央部における長さ方向及び厚さ方向を含む温度分布の温度が最低抽出温度を上回るように、前記加熱炉内における炉温を制御する炉温制御ステップとを含むことを特徴とする加熱炉の炉温制御方法。
  9. 請求項8に記載の加熱炉の炉温制御方法によって加熱炉内の炉温を制御する炉温制御工程を含むことを特徴とする鋼板の製造方法。
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