JP2023123060A - 多層フィルム、包装用シート、及び、食品用容器 - Google Patents

多層フィルム、包装用シート、及び、食品用容器 Download PDF

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Abstract

【課題】多層フィルムの内層に接着剤を塗布する必要が無く、且つ、エチレン系樹脂に対する剥離が容易な外層を有する多層フィルムを実現する。【解決手段】多層フィルム10は、エチレン系樹脂を有する対外層面に対して接着及び剥離可能な外層11と、ポリスチレン系樹脂、又は、ポリプロピレン系樹脂を有する対内層面に対して接着可能な内層16とを備え、温度150℃、時間2.0秒、圧力0.2MPaの条件で対内層面と内層16とを熱融着させたときの剥離強度が、3N/15mm以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、多層フィルム、包装用シート、及び食品用容器に関する。
容器の基材に予めラミネートされ、容器の蓋材が熱融着される多層フィルムが知られている。例えば特許文献1にはポリスチレン発泡体からなる包装用容器の基材に接着剤により予め貼り付けられ、トップシール用の蓋材が接着及び剥離可能な多層フィルム(共押出積層フィルム)が開示されている。
特開2016-155584号公報
しかし、特許文献1に開示された技術では、多層フィルムは接着剤を介して基材に貼りつけられていた。そのため、基材に多層フィルムを貼り付ける熱融着工程において接着剤を塗布するステップを設ける必要があり、熱融着工程が煩雑になる場合があった。そこで、接着剤の塗布を不要とするために、多層フィルムの内層を接着層とすることが考えられる。しかし、多層フィルムの内層に接着剤を塗布せず、内層を接着層とした場合、多層フィルムの外層と内層の両方が接着層になる。このような多層フィルムの外層をエチレン系樹脂に接着させた後に剥離させようとすると、外層側より先に内層側で剥離が起こる場合があった。
そこで、多層フィルムの内層に接着剤を塗布する必要が無く、且つ、エチレン系樹脂に対する剥離が容易な外層を有する多層フィルムの実現が望まれる。
本発明に係る多層フィルムは、
エチレン系樹脂を有する対外層面に対して接着及び剥離可能な外層と、ポリスチレン系樹脂、又は、ポリプロピレン系樹脂を有する対内層面に対して接着可能な内層と、を備える多層フィルムであって、
温度150℃、時間2.0秒、圧力0.2MPaの条件で前記対内層面と前記内層とを熱融着させたときの剥離強度が、3N/15mm以上であることを特徴とする。
また、本発明に係る包装用シートは、前記対内層面を有する基材と、上記の多層フィルムと、を備え、前記対内層面に前記内層が熱融着されることで前記基材に前記多層フィルムがラミネートされている。
また、本発明に係る食品用容器は、上記の包装用シートを成形した載置体と、前記対外層面を有する蓋材と、を備え、前記蓋材の前記対外層面に前記外層が熱融着されることで、前記対外層面と前記外層との間に食品が収容可能である。
これら構成によれば、多層フィルムの内層が接着層であるので接着剤を塗布する必要が無い。また、温度150℃、時間2.0秒、圧力0.2MPaの条件で対内層面と内層とを熱融着させたときの剥離強度が3N/15mm以上であるため、内層側において十分な剥離強度が得られる。よって、エチレン系樹脂を有する対外層面に対する外層の剥離が容易となりやすい。
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定されるわけではない。
上記の多層フィルムは、一態様として、温度150℃、時間2.0秒、圧力0.2MPaの条件で前記対外層面と前記外層とを熱融着させたときの剥離強度が1~11N/15mmであることが好ましい。
この構成によれば、エチレン系樹脂を有する対外層面に対する多層フィルムの剥離を容易とすることができる。
上記の多層フィルムは、一態様として、前記内層は、接着性ポリマーを含み、当該接着性ポリマーは、エチレン-酢酸ビニル共重合体を少なくとも含むことが好ましい。
この構成によれば、ポリスチレン系樹脂、又は、ポリプロピレン系樹脂を有する対内層面に対する多層フィルムの接着性を高くできる。
上記の多層フィルムは、一態様として、前記外層と前記内層との間に、ガスバリア層をさらに含むことが好ましい。
この構成によれば、多層フィルムにガスバリア性を付与することができる。
上記の多層フィルムは、一態様として、前記ガスバリア層は、エチレン‐ビニルアルコール共重合体を含むことが好ましい。
この構成によれば、多層フィルムに高いガスバリア性を付与することができる。
上記の多層フィルムは、一態様として、厚さが40~100μmであることが好ましい。
多層フィルム10の厚さが40μm未満であると、多層フィルム10の製造不良が生じやすくなる場合がある。一方、多層フィルム10の厚さが100μmを超えると、内層16を他部材と熱融着させる際に接着面に熱が伝わりにくくなり、熱融着の不良が生じやすくなる場合がある。この構成によれば、それらの不良発生率を抑えることができる。
上記の多層フィルムは、一態様として、
前記外層と前記内層との間に設けられた保持層をさらに備え、前記保持層は、ポリエチレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂を含むことが好ましい。
この構成によれば、内層と多層フィルムのその他の部分とが剥離しにくくなる。
上記の多層フィルムは、一態様として、
前記保持層は、高密度ポリエチレン又はランダムポリプロピレンを含むことが好ましい。
この構成によれば、内層と多層フィルムのその他の部分とが更に剥離しにくくなる。
上記の食品用容器は、一態様として、
温度150℃、時間2.0秒、圧力0.2MPaの条件で前記蓋材の前記対外層面と前記外層とを熱融着させたときの剥離強度が1~11N/15mmであることが好ましい。
この構成によれば、載置体からの蓋体の剥離を容易とすることができる。
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
多層フィルムの層構成を示す断面模式図である。 包装用シートの層構成を示す断面模式図である。 ラミネート方法の一例を示す模式図である。 トップシール包装用の食品用容器の構造を示す断面模式図である。 スキンパック包装用の食品用容器の構造を示す断面模式図である。
〔多層フィルム10の構成及び製造方法〕
本発明に係る多層フィルム10の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、多層フィルム10の層構成を示す断面模式図である。多層フィルム10は、第一の面の側に設けられた外層11と、第二の面の側に設けられた内層16とを備える。外層11はポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を含み、内層16は接着層である。本実施形態の多層フィルム10では、外層11と、ガスバリア層13と、保持層15と、保持層15と接する内層16とを記載の順に備える。図示の例では、多層フィルム10は、外層11と内層16の間に外層11側から順に、第一中間接着層12、ガスバリア層13、第二中間接着層14、及び保持層15を備える。
外層11に含まれる「ポリエチレン系樹脂」とは、エチレンを少なくともモノマー単位として含む高分子である。ポリエチレン系樹脂は、ポリエチレン単独であってもよいし、ポリエチレンと他の材料との混合物により構成されていてもよい。ポリエチレン系樹脂としては、例えばポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル系樹脂、エチレン-ビニルアルコール系樹脂、エチレン-脂肪族不飽和カルボン酸系樹脂、エチレン-脂肪族不飽和カルボン酸エステル系樹脂、アイオノマー樹脂等が挙げられる。ポリエチレンとしては、特に限定されないが、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDEP)などが例示される。外層11は、好適には、ポリエチレンを3質量%以上含む。より好適には、ポリエチレンを5質量%以上含む。更に好適には、ポリエチレンを8質量%以上含む。
外層11に含まれる「ポリプロピレン系樹脂」とは、プロピレンを少なくともモノマー単位として含む高分子である。ポリプロピレン系樹脂は、ポリプロピレン単独であってもよいし、ポリプロピレンと他の材料との混合物により構成されていてもよい。ここで、単独で、又は他の材料と混合して使用されるポリプロピレンとしては、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン(すなわち、ポリプロピレンのブロックコポリマーであり、例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ランダムポリプロピレン(すなわち、ポリプロピレンのランダムコポリマーであり、例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)などが例示される。また、ポリプロピレン系樹脂がポリプロピレン以外の材料を含む場合、当該材料の例としては、ポリエチレンやエラストマーなどの高分子などが例示される。ここで、ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDEP)などが例示される。ポリプロピレン系樹脂として、ポリプロピレンと他の材料との混合物を用いると、耐寒衝撃性を付与することができる。外層11は、好適には、ポリプロピレンを3質量%以上含む。より好適には、ポリプロピレンを5質量%以上含む。更に好適には、ポリプロピレンを8質量%以上含む。
外層11はポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂をそれぞれ1種のみ含んでいてもよいし、それぞれ2種以上を含んでいても良い。また、外層11は、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂のみからなってもよいし、ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂と他の材料との混合物からなってもよい。すなわち、上述の「外層11はポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を含み、」という記載は、外層11にポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂とは異なる材料が含まれることを排除する意図を有さない。この点は、以下に説明する他の層についても同様であり、各層を構成する材料に関する例示は、例示されている材料とは異なる材料が当該層に含まれることを妨げない。
外層11は、エチレン系樹脂を有する対外層面に対して接着及び剥離可能な接着層である。本実施形態では、外層11は、エチレン系樹脂に熱融着可能な熱融着層である。ここで「エチレン系樹脂」とは、エチレンを少なくともモノマー単位として含む樹脂である。温度150℃、時間2.0秒、圧力0.2MPaの条件で、外層11をエチレン系樹脂に熱融着させたときの剥離強度は、好適には、1N/15mm以上、11N/15mm以下である。より好適には、2N/15mm以上、10N/15mm以下である。更に好適には、3N/15mm以上、9N/15mm以下である。
エチレン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル系樹脂等から構成される樹脂が例示される。エチレン系樹脂を構成するポリエチレン系樹脂としては、例えばエチレンの単独重合体、エチレンと他の単量体とのブロック共重合体、又はエチレンと他の単量体とのランダム共重合体が挙げられる。エチレン系樹脂を構成するエチレン-酢酸ビニル系樹脂としては、例えばエチレンと酢酸ビニルとの混合物又は共重合体が挙げられる。
エチレン系樹脂がポリエチレン系樹脂から構成されるポリエチレン系樹脂である場合には、温度150℃、時間2.0秒、圧力0.2MPaの条件で、外層11をポリエチレン系樹脂に熱融着させたときの剥離強度は、3N/15mm以上、11N/15mm以下が望ましい。より好適には、3N/15mm以上、10N/15mm以下である。更に好適には、3N/15mm以上、9N/15mm以下である。このようにすれば、ポリエチレン系樹脂は、例えば後述のトップシール用の食品用容器70に用いられる。
エチレン系樹脂がエチレン-酢酸ビニル系樹脂から構成されるエチレン-酢酸ビニル系樹脂の場合には、温度150℃、時間2.0秒、圧力0.2MPaで外層11をエチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂に熱融着させたときの剥離強度は、1N/15mm以上、11N/15mm以下が望ましい。より好適には、3N/15mm以上、9N/15mm以下である。更に好適には、5N/15mm以上、8N/15mm以下である。エチレン-酢酸ビニル系樹脂は、例えば後述のスキンパック包装用の食品用容器70に用いられる。
内層16は、他部材に接着可能な層である。この他部材は特に限定されないが、プラスチック、天然樹脂、紙、木材、金属等が例示される。好適には、他部材はポリスチレン系樹脂から構成される。内層16は他部材に対する接着性を有する接着性ポリマーを含む構成を有することが望ましい。好適には、接着性ポリマーは酢酸ビニルを少なくともモノマー単位として含む。この接着性ポリマーは、ポリ酢酸ビニル、又は、酢酸ビニルをモノマー単位として含む共重合体(以下、酢酸ビニル系共重合体という。)の単一成分からなってもよいし、酢酸ビニルをモノマー単位として含まない樹脂(ポリエチレン、エチレンブテン共重合体など)と、ポリ酢酸ビニル又は酢酸ビニル系共重合体との混合物からなってもよい。これらの場合は、接着性ポリマーに含まれる酢酸ビニル成分の作用により、ポリスチレン及びポリプロピレンに対する接着性を発現する。他部材は、後述の基材31に対応する。
内層16は、好適には、ポリスチレン系樹脂、又は、上記ポリプロピレン系樹脂に熱融着可能な熱融着層である。ここで、「ポリスチレン系樹脂」とは、モノマー単位としてスチレンを50mol%以上含む高分子を指し、スチレン以外のモノマー単位を有さないホモポリスチレンであってもよいし、スチレン以外のモノマー単位を含む変性ポリスチレンであってもよい。上記に例示した酢酸ビニルを少なくともモノマー単位として含む接着性ポリマーは、ポリスチレン及びポリプロピレンに対する接着性を有する接着性ポリマーである。
内層16を、温度150℃、時間2.0秒、圧力0.2MPaの条件で、ポリスチレン系樹脂、又は、ポリプロピレン系樹脂に熱融着させたときの剥離強度は、好適には、3N/15mm以上である。より好適には、4N/15mm以上である。更に好適には、9N/15mm以上である。内層16側の上記剥離強度は、同条件で熱融着させた外層11側の上記剥離強度より大きいことが望ましいが、小さくても良い。
第一中間接着層12及び第二中間接着層14は、それぞれ、その両側に隣接する層同士を接着させる機能を有する層である。すなわち、第一中間接着層12は外層11とガスバリア層13とを接着させる層であり、第二中間接着層14はガスバリア層13と保持層15とを接着させる層である。第一中間接着層12及び第二中間接着層14を構成する材料としては、公知の接着性ポリマーを用いることができ、各層が接着させるべき二層の組合せに応じて使用する材料が選択される。
ガスバリア層13は、ガスバリア性を多層フィルム10に付与するための層である。「ガスバリア性」とは、ガスの透過しにくさのことを指す。ガスバリア層13は、例えば、炭酸ガス(CO)、窒素ガス(NO)、酸素ガス(O)に対するガスバリア性を多層フィルム10に付与する。本実施形態では、ガスバリア層13は、特に酸素ガス(O)に対するガスバリア性を多層フィルム10に付与するものであり、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含む構成とされている。ここで、エチレン-ビニルアルコール共重合体として、エチレン含有率が38mol%以下のものを用いると、ガスバリア性が特に高くなるため好ましい。なお、エチレン-ビニルアルコール共重合体の他に、ガスバリア層13に含まれる材料として好適な材料の例としては、ポリアミドMXD6、ポリ塩化ビニリデンなどが例示される。また、ガスバリア層13に、ガスバリア性を有する添加剤(マイカ、粘土など)が配合されていてもよい。
ガスバリア層13の材料及び厚さは、多層フィルム10のガスバリア性に対して大きく影響するため、要求されるガスバリア性を発現する範囲でガスバリア層13の材料及び厚さが選択される必要がある。ガスバリア層13の材料及び厚さは、当該材料を当該厚さに成形したフィルムについてJIS K 7126-2:2006(等圧法)により測定した酸素透過度が、5.0ml/m・day・atm以下であるように決定される。例えば、ガスバリア層13をエチレン含有率が38mol%以下のエチレン-ビニルアルコール共重合体により構成し、その厚さを6μm以上とすると、酸素透過度5.0ml/m・day・atm以下の基準を達成しやすい。なお、ガスバリア層13の材料及び厚さは、当該材料を当該厚さに成形したフィルムの酸素透過度が3.0ml/m・day・atm以下であるように決定されることがより好ましく、1.0ml/m・day・atm以下であるように決定されることが更に好ましい。
保持層15は、内層16に接して設けられている。保持層15は、内層16と多層フィルム10のその他の部分とが剥離することを防止する機能を有する層であり、たとえば内層16を構成する材料と共通する分子構造を有する材料や、内層16を構成する材料と融点が近い材料などが用いられる。好適には、保持層15はポリエチレンを含む。ポリエチレンは、内層16に用いられているポリ酢酸ビニル又は酢酸ビニル系共重合体の主鎖部分と共通する分子構造を有するため、内層16との接着性が高く、これによって内層16の剥離を好適に防止し得る。
上記の構成の多層フィルム10の製造方法としては、例えば共押出成形が用いられる。すなわち、外層11、第一中間接着層12、ガスバリア層13、第二中間接着層14、保持層15、及び内層16を構成する各材料を押出機から押し出して、これをTダイから吐出させることによって、上記の構成の多層フィルム10が得られる(押出工程の例)。なお、その他に、層ごとにフィルム状に成形した外層11、第一中間接着層12、ガスバリア層13、第二中間接着層14、保持層15、及び内層16を互いに熱融着させる方法によっても多層フィルム10が得られる。
本実施形態に係る多層フィルム10の厚さは、たとえば60μmである。その厚さの内訳は、外層11が16.8μm(多層フィルム10の厚さの28%。以下同様。)、第一中間接着層12が5.6μm(8%)、ガスバリア層13が8.4μm(12%)、第二中間接着層14が5.6μm(8%)、保持層15が14.4μm(24%)、内層16が14.0μm(20%)である。なお、多層フィルム10の厚さは特に限定されないが、40~100μmが望ましい。多層フィルム10の厚さが40μm未満であると、ガスバリア層13が薄くなり、ガスバリア性が必要とされる水準に満たない場合がある。また、多層フィルム10の厚さが40μm未満であると、多層フィルム10を製造する際の歩留まりが低くなる可能性がある。一方、多層フィルム10の厚さが100μmを超えると、内層16を他部材と熱融着させる際に接着面に熱が伝わりにくくなり、熱融着不良が生じやすくなる場合がある。なお、各層の厚さの絶対値及び多層フィルム10の厚さに対する割合についても、上記の例示に限定されるわけではない。
〔包装用シート30の構成及び製造方法〕
本実施形態に係る包装用シート30は、基材31と多層フィルム10とを備える多層構造の包装用シートである。図2に包装用シート30の断面模式図を示す。
基材31は、ポリスチレン系樹脂、又は、ポリプロピレン系樹脂を有する対内層面31aを備えている。対内層面31aは、多層フィルム10の内層16が接着される面である。本実施形態では、基材31は、例えば、ポリスチレン系樹脂、又は、ポリプロピレン系樹脂を含むシートであり、そのシートの少なくとも一面が対内層面31aである。ポリプロピレン系樹脂としては、発泡ポリプロピレン樹脂又は非発泡ポリプロピレン樹脂が挙げられる。好適には、基材31が含むポリスチレン系樹脂は発泡ポリスチレンであることが好ましい。また、好適には、基材31が含むポリプロピレン系樹脂は発泡ポリプロピレン樹脂であることが好ましい。なお、「ポリスチレン系樹脂」及び「ポリプロピレン系樹脂」の定義は前述の通りである。
基材31は、例えば、基材31として厚さ3mm以下、密度0.05~0.5g/cm、発泡率2~20倍の発泡スチレンシートが使用される。発泡スチレンシートは、任意の形状の容器を形成しやすいことから好適に用いられる。例えば、ポリプロピレン製の容器を同形状の発泡スチレンシートから形成された容器に変更すると、包材の重量をおよそ半分に低減できる。
包装用シート30は、多層フィルム10の内層16が基材31の対内層面31aに熱融着されることで、基材31に多層フィルム10がラミネートされている。ここで、ラミネート方法は公知の方法であってよく、例えば図3に示すロール装置50を用いた溶融圧着方式が用いられ得る(ラミネート工程の例)。原料ロール51に多層フィルム10の原反ロールを、原料ロール52に基材31の原反ロールを設置する。原料ロール51及び原料ロール52からそれぞれ送り出された多層フィルム10及び基材31は、加熱ロール53A及び対向ロール53Bから構成される溶融圧着ロール53の手前で互いに接触し、溶融圧着ロール53において溶融圧着される。より詳細には、溶融圧着ロール53の手前で、多層フィルム10の内層16が基材31の対内層面31aに接触する。なお、基材31が多層フィルム10と接触する前に基材31が予熱されるように構成されてもよい。この溶融圧着は、好適には、温度150℃、時間2.0秒、圧力0.2MPaの条件で行われる。
溶融圧着ロール53のうち、加熱ロール53Aは加熱されている。加熱ロール53Aに対向して設けられている対向ロール53Bは、加熱されている場合と加熱されていない場合とが適宜選択される。加熱ロール53Aと対向ロール53Bにより多層フィルム10及び基材31は圧着され、圧着されて得られた包装用シート30は、製品ロール54に巻き取られる。
なお、上記に例示した溶融圧着方式のラミネート方法に替えて、押出ラミネート法を用いてもよい。押出ラミネート法によるラミネートを行う場合、基材31に対して多層フィルム10を溶融状態で押し出したのちに、冷却及び圧着することによってラミネートを完成させる。なおこのとき、多層フィルム10の押出方法は、多層フィルム10の製造方法の例として上述した方法と同様にしてよい。
包装用シート30は、例えば食品や薬品等の包装に用いられ得る。この場合、多層フィルム10の内層16は基材31に熱融着されるのに対し、外層11は食品や薬品等と接する。外層11は、耐油性や耐薬品性を有することが望ましい。ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂は、耐油性や耐薬品性を有するため、外層11に好適に含まれる。
〔食品用容器70の構成及び製造方法〕
食品用容器70は、包装用シート30から成形されて食品Fが載置される載置体71と、対外層面73aを有する蓋材72とを備える。対外層面73aは、多層フィルム10の外層11が接着される面であって、エチレン系樹脂を有する。食品用容器70は、蓋材72に備えられた対外層面73aに載置体71の外層11である多層フィルム10の外層11が熱融着されることで、蓋材72と外層11との間に食品Fが収容可能となっている。
図4は、トップシール包装用の食品用容器70の載置体71に食品Fを載置した後に、載置体71の開口部と蓋材72であるトップフィルムの対外層面73aとを熱融着した状態を示している。本実施形態では、蓋材72はエチレン系樹脂部73を備え、エチレン系樹脂部73がエチレン系樹脂を有する対外層面73aを備える。ここで、「トップシール包装」とは、成型された容器等の載置体71に食品F等の内容物を充填し、蓋材72としてトップフィルムを熱融着して好適には密封する包装である。蓋材72であるトップフィルムは、ポリエチレン系樹脂で構成され、図4の例では蓋材72全体がエチレン系樹脂部73となっている。
図5は、スキンパック包装用の食品用容器70の載置体71と蓋材72であるスキンフィルムとの間に食品Fを挟んで密着した状態で載置体71とスキンフィルムの対外層面73aとを熱融着した状態を示している。「スキンパック包装」とは、トレー、台紙、エアキャップ、或いはフィルム等の載置体71上に製品を置き、加熱したスキンフィルムを蓋材72として上から被せ、同時に下方から空気を抜き、蓋材72であるスキンフィルムを食品Fと載置体71に密着させて好適には密封する包装方法である。蓋材72であるスキンフィルムは、エチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂で構成され、図5の例では蓋材72全体がエチレン系樹脂部73となっている。
図4及び図5に示すように、多層フィルム10の外層11は、食品Fと接している。ここで、外層11はポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を含んでいる。これにより外層11が耐油性を有するので、食品Fが有する油分によって基材31が損傷することを回避できる。
また、蓋材72のエチレン系樹脂部73と、包装用シート30から成形された載置体71の外層11とが熱融着されている。このため、多層フィルム10と蓋材72とにより画定される空間に食品Fを密封することが可能である。例えば、多層フィルム10はガスバリア層13に由来する高いガスバリア性(特に酸素バリア性であり、酸素透過度5.0ml/m・day・atm以下である。)を有する。蓋材72が同様に高いガスバリア性を有することにより、食品Fを高いガスバリア性を有する部材により密封することができるので、食品Fの劣化を抑制できる。
輸送や陳列時に蓋材72が剥がれないために、蓋材72のエチレン系樹脂部73と載置体71の外層11との剥離強度は1N/15mm以上が求められる。また、食品用容器70から食品Fを取り出すときは、蓋材72のエチレン系樹脂部73を載置体71から剥離する。このとき蓋材72のエチレン系樹脂部73を載置体71の外層11から剥離する一方で、載置体71の内層16は基材31から剥離しないことが求められる。このため、蓋材72のエチレン系樹脂部73と外層11との剥離強度は、内層16と基材31との剥離強度より小さい値であることが好ましい。また、蓋材72を載置体71から剥離する操作は一般的に手作業で行われるので、蓋材72のエチレン系樹脂部73と外層11との剥離強度は手作業で剥離しやすい程度とすることが好ましく、具体的には11N/15mm以下とすることが好ましい。
以上のことから、蓋材72のエチレン系樹脂部73と多層フィルム10の外層11の剥離強度は、1N/15mm以上、11N/15mm以下、かつ、多層フィルム10の内層16と基材31との剥離強度より小さい値であることが好ましい。好適には、トップシール包装用の食品用容器70である場合は、剥離強度が3N/15mm以上、11N/15mm以下である。また、好適には、スキンパック包装用の食品用容器70である場合は、剥離強度が1N/15mm以上、5N/15mm以下である。
包装用シート30から載置体71を得るための加工方法(容器成形工程)としては、公知の方法を用いることができる。かかる加工方法としては、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、マッチフォーミング成形、プレス成形などの方法が例示される。
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係る多層フィルム10、包装用シート30、及び食品用容器70のその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
上記の実施形態では、多層フィルム10が、外層11、第一中間接着層12、ガスバリア層13、第二中間接着層14、保持層15、及び内層16を備える構成を例として説明した。しかし、本発明に係る多層フィルム10において、外層11及び内層16の他の層の存否は任意である。或いは、ガスバリア以外の機能を有する層が外層11と内層16との間に更に設けられていてもよい。
また、上記の実施形態では、外層11及び内層16が単層であったが単層でなくてもよい。例えば、外層11を多層構造としてもよく、この場合、外層11を構成する複数の層の最も外側に位置する最外層がポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を含んでいればよい。また、内層16を多層構造としてもよく、この場合、内層16を構成する複数の層の最も内側に位置する層、すなわち他部材に接する最内層が接着層であればよい。
また、上記の実施形態では、包装用シート30の基材31は、発泡スチレンシートである構成を例として説明した。しかし、本発明に係る包装用シート30において、基材31の材質はプラスチック、天然樹脂、紙、木材、金属等でもよく、多層フィルム10をラミネート可能な材質であればよい。
また、上記の実施形態では、蓋材72全体がエチレン系樹脂部73である構成を例として説明した。しかし、本発明に係る食品用容器70においてエチレン系樹脂部73は、蓋材72の一部であってもよい。例えば蓋材72における載置体71に接する部分のうちの一部だけがエチレン系樹脂部73であってもよい。また、上記の実施形態では、エチレン系樹脂部73に外層11が熱融着されることで、蓋材72と載置体71の外層11との間に食品Fが密封可能であったが、密封可能でなくともよい。すなわち、エチレン系樹脂部73に外層11が熱融着されることで、蓋材72と外層11との間に食品Fが収容可能であればよい。また、図4では載置体71は深皿状に成形され、図5では板状に成形されていたが、包装用シート30を成形して得られる載置体71の形状は特に限定されない。
本発明に係る多層フィルム10を構成する各層に用いられる高分子材料には、公知の添加剤が添加されてもよい。かかる添加剤としては、可塑剤、酸化防止剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、撥水材、撥油材などが例示される。
本発明に係る多層フィルム10を構成する各層に用いられる高分子材料には、公知の添加剤が添加されてもよい。かかる添加剤としては、可塑剤、酸化防止剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、撥水材、撥油材などが例示される。
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
〔多層フィルムの作製〕
以下に示す手順で、下記の試料1~試料4の多層フィルム10を製造した。
<試料1の原料樹脂>
本発明の多層フィルム10の効果を検証するために、図1に示す構成の多層フィルム10を作製した。ここで、試料1の多層フィルム10の製造に使用した各層の原料樹脂は、以下のとおりである。
「外層11」
(A)低密度ポリエチレン樹脂
原料:宇部丸善ポリエチレン(株)製、宇部ポリエチレン(商標)F324C
密度:0.924g/cm
(B)ホモポリプロピレン樹脂
原料:(株)プライムポリマー製、プライムポリプロ(商標)Y400GP
密度:0.905g/cm
(C)ポリエチレン系防曇マスターバッチ
原料 :竹本油脂(株)製、エレカットマスター(商標)L117A
ベースPEの密度:0.923g/cm
「外層の保持層」
・高密度ポリエチレン樹脂
原料:(株)プライムポリマー製、ハイゼックス(商標)3300F
密度:0.950g/cm
「第一中間接着層12」
・ポリエチレン系接着性樹脂
原料:三井化学(株)製、アドマー(商標)NF536
密度:0.905g/cm
「ガスバリア層13」
・エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂
原料 :(株)クラレ製、エバール(商標)J171B
エチレン含有量:32モル%
「第二中間接着層14」
・ポリエチレン系接着性樹脂
原料:三井化学(株)製、アドマー(商標)NF536
密度:0.905g/cm
「保持層15」
・直鎖状低密度ポリエチレン
原料:宇部丸善ポリエチレン(株)製、ユメリット(商標)1520F
密度:0.913g/cm
「内層16」
・変性ポリオレフィン樹脂
原料:東ソー(株)製、メルセン(商標)MX69A
密度:0.940g/cm
〔試料1の製造〕
上記の原料樹脂を用い、外層11、外層の保持層、第一中間接着層12、ガスバリア層13、第二中間接着層14、保持層15、及び、内層16を、この順で共押出成形することにより、多層フィルム10を製造し、試料1とした。試料1の多層フィルム10は、外層11(厚さ=6μm)、外層の保持層(厚さ=11μm)、第一中間接着層12(厚さ=5μm)、ガスバリア層13(厚さ=7μm)、第二中間接着層14(厚さ=5μm)、保持層15(厚さ=14μm)、及び内層16(厚さ=12μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、厚さが60μmのものである。
〔試料2の製造〕
「外層の保持層」を構成する樹脂として、高密度ポリエチレンの代わりに直鎖状低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン(株)製、ユメリット 1520F)を用いた点以外は試料1と同じ方法で多層フィルム10を製造し、試料2とした。試料2の多層フィルム10は、外層11(厚さ=6μm)、外層の保持層(厚さ=11μm)、第一中間接着層12(厚さ=5μm)、ガスバリア層13(厚さ=7μm)、第二中間接着層14(厚さ=5μm)、保持層15(厚さ=14μm)、及び、内層16(厚さ=12μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、厚さが60μmのものである。
<試料3の原料樹脂>
試料3の多層フィルム10の製造に使用した各層の原料樹脂は、以下のとおりである。
「外層11」
(A)エチレン-メタクリル酸共重合体樹脂
原料:三井・ダウポリケミカル(株)製、ニュクレル(商標)N0903HC
密度:0.930g/cm
(B)ランダムポリプロピレン樹脂
原料:住友化学(株)製、住友ノーブレン(商標)S131
密度:0.890g/cm
「外層の保持層」
・ランダムポリプロピレン樹脂
原料:住友化学(株)製、住友ノーブレン(商標)FL8115A
密度:0.900g/cm
「第一中間接着層12」
・ポリプロピレン系接着性樹脂
原料:三井化学(株)製、アドマー(商標)QF551
密度:0.890g/cm
「ガスバリア層13」
・エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂
原料:(株)クラレ製、エバール(商標)J171B
エチレン含有量:32モル%
「第二中間接着層14」
・ポリエチレン系接着性樹脂
原料:三井化学(株)製、アドマー(商標)NF536
密度:0.905g/cm
「保持層15」
・直鎖状低密度ポリエチレン
原料:宇部丸善ポリエチレン(株)製、ユメリット(商標)1520F
密度:0.913g/cm
「内層16」
・変性ポリオレフィン樹脂
原料:東ソー(株)製、メルセン(商標)MX69A
密度:0.940g/cm
〔試料3の製造〕
上記の原料樹脂を用い、外層11、外層の保持層、第一中間接着層12、ガスバリア層13、第二中間接着層14、保持層15、及び、内層16を、この順で共押出成形することにより、多層フィルム10を製造し、試料3とした。試料3の多層フィルム10は、外層11(厚さ=6μm)、外層の保持層(厚さ=11μm)、第一中間接着層12(厚さ=5μm)、ガスバリア層13(厚さ=7μm)、第二中間接着層14(厚さ=5μm)、保持層15(厚さ=14μm)、及び内層16(厚さ=12μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、厚さが60μmのものである。
〔試料4の製造〕
「外層の保持層」を構成する樹脂として、ランダムポリプロピレンの代わりに直鎖状低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン(株)製、ユメリット 1520F)を用いた点以外は試料3と同じ方法で多層フィルム10を製造し、試料4とした。試料4の多層フィルム10は、外層11(厚さ=6μm)、外層の保持層(厚さ=11μm)、第一中間接着層12(厚さ=5μm)、ガスバリア層13(厚さ=7μm)、第二中間接着層14(厚さ=5μm)、保持層15(厚さ=14μm)、及び、内層16(厚さ=12μm)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、厚さが60μmのものである。
〔包装用シートの作製と試験方法〕
エーシンパック工業社製パックシール機(EPK―半自動OLL)を用い、温度150℃、時間2.0秒、圧力0.2MPaの条件で、試料1~4の多層フィルム10の外層11を基材31の対内層面31aに熱融着して包装用シート30を作成した。試料1~4の多層フィルム10については、接着剤を塗布するなどの処理を行うことなく、接着層である内層16を基材31に当接させた状態で基材31と熱融着させた。
この包装用シート30について、JIS Z 0238:1998に準拠して、15mm幅で、MD方向(Machine Direction)の剥離強度を測定した(剥離強度試験)。
試料1~4の多層フィルム10を熱融着する基材31である発泡ポリスチレンとしては、厚さ3mm、密度0.066g/cm、発泡率15倍のものを用い、ポリプロピレンとしては、厚さ0.8mm、密度0.9g/cm、非発泡のものを用いた。
〔食品用容器の作製と試験方法〕
加えて、多層フィルム10を基材31の対内層面31aに対して熱融着した包装用シート30を容器形状に成型した後のカット工程でのカット不良の有無(カット性)を評価した。評価法としては、それぞれの試験例において30容器分作成し、1つでもカット不良が起こるか否かを確認した。
次に、試料1~4を用いて上記の方法で作成した包装用シート30における外層11を蓋材72の対外層面73aに温度150℃、時間2.0秒、圧力0.2MPaの条件で熱融着し、食品用容器70を作製した。この食品用容器70について、JIS Z 0238:1998に準拠して、15mm幅で、MD方向(Machine Direction)の剥離強度を測定した(剥離強度試験)。
また、試料1~4を用いて上記の方法で作成した食品用容器70において、蓋材72を包装用シート30から手で剥離した際に、包装用シート30における多層フィルム10の内層16と基材31との間におけるデラミネーション(内層側における剥離)が起こるか否かを確認した。
〔試験結果〕
試料1~4の接着層である内層16と各基材31との上記剥離強度試験の結果を表1に、試料1~4の外層11と蓋材72との上記剥離強度試験の結果を表2に示した。
Figure 2023123060000002
Figure 2023123060000003
表1に示すように、基材31(すなわち基材31の対内層面31a)は、発泡ポリスチレン又はポリプロピレンから構成されている。また、表2に示すように、蓋材72は、ポリエチレンテレフタレート(PET)又は架橋ポリエチレンから構成され、エチレン系樹脂部73(すなわち蓋材72の対外層面73a)はポリエチレン(PE)又はエチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂(EVA)でから構成されている。
表1において、各基材31に対し、試料1~4は9N/15mm以上の良好な剥離強度を示した。試験2-Aと試験2-Bの比較からは、基材31が柔らかい発泡体のようなものの場合、剛性の乏しい低密度ポリエチレン樹脂を過多とした構成では、カット性に問題が見られることが分かった。一方で、試験2-Aに対し低密度ポリエチレン樹脂の一部を高密度ポリエチレンとした試験1-A、及び、試験4-Aに対し低密度ポリエチレン樹脂の一部をランダムポリプロピレンとした試験3-Aでは良好なカット性を確認した。また、表2において、試料1、2共にポリエチレン系の蓋材72に対して良好な剥離強度を示した。また、試料3、4共にエチレン-酢酸ビニル共重合体系の蓋材72に対して良好な剥離強度を示した。また、表1及び表2に示すように、試料1~4の蓋材72と外層11との剥離強度は、同じ条件で熱融着させた基材31と内層16との剥離強度より小さい値が得られた。
本発明は、たとえば食品包装の用途に利用することができる。
10 :多層フィルム
11 :外層
12 :第一中間接着層
13 :ガスバリア層
14 :第二中間接着層
15 :保持層
16 :内層
30 :包装用シート
31 :基材
31a :対内層面
50 :ロール装置
51 :原料ロール
52 :原料ロール
53 :溶融圧着ロール
53A :加熱ロール
53B :対向ロール
54 :製品ロール
70 :食品用容器
71 :載置台
72 :蓋材
73 :エチレン系樹脂部
73a :対外層面
F :食品

Claims (11)

  1. エチレン系樹脂を有する対外層面に対して接着及び剥離可能な外層と、ポリスチレン系樹脂、又は、ポリプロピレン系樹脂を有する対内層面に対して接着可能な内層と、を備える多層フィルムであって、
    温度150℃、時間2.0秒、圧力0.2MPaの条件で前記対内層面と前記内層とを熱融着させたときの剥離強度が、3N/15mm以上である、多層フィルム。
  2. 温度150℃、時間2.0秒、圧力0.2MPaの条件で前記対外層面と前記外層とを熱融着させたときの剥離強度が1~11N/15mmである請求項1に記載の多層フィルム。
  3. 前記内層は、接着性ポリマーを含み、当該接着性ポリマーは、エチレン-酢酸ビニル共重合体を少なくとも含む、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
  4. 前記外層と前記内層との間に、ガスバリア層をさらに含む請求項1から3のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  5. 前記ガスバリア層は、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含む請求項4に記載の多層フィルム。
  6. 厚さが40~100μmである請求項1から5のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  7. 前記外層と前記内層との間に設けられた保持層をさらに備え、前記保持層は、エチレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  8. 前記保持層は、高密度ポリエチレン又はランダムポリプロピレンを含む、請求項7に記載の多層フィルム。
  9. 前記対内層面を有する基材と、請求項1から8のいずれか一項に記載の多層フィルムと、を備え、前記対内層面に前記内層が熱融着されることで前記基材に前記多層フィルムがラミネートされている包装用シート。
  10. 請求項9に記載の包装用シートを成形した載置体と、前記対外層面を有する蓋材と、を備え、
    前記蓋材の前記対外層面に前記外層が熱融着されることで、前記対外層面と前記外層との間に食品が収容可能である、食品用容器。
  11. 前記蓋材はエチレン系樹脂を前記対外層面に有し、
    温度150℃、時間2.0秒、圧力0.2MPaの条件で前記蓋材の前記対外層面と前記外層とを熱融着させたときの剥離強度が1~11N/15mmである、請求項10に記載の食品用容器。
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