JP2023122795A - 超電導層の接続構造、超電導線材、超電導コイル、超電導機器 - Google Patents

超電導層の接続構造、超電導線材、超電導コイル、超電導機器 Download PDF

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Abstract

【課題】低い電気抵抗と高い機械的強度を実現できる超電導層の接続構造を提供する。【解決手段】実施形態の超電導層の接続構造は、第1の超電導層と、第2の超電導層と、第1の超電導層と第2の超電導層との間の、希土類元素、バリウム、銅、及び酸素を含む結晶粒子を含み、長径の分布が、トリモーダル分布を含む接続層と、を備える。トリモーダル分布は、第1のピークを含む第1の分布と、第2のピークを含む第2の分布と、第3のピークを含む第3の分布と、を有し、第1のピークに対応する第1の長径、第2のピークに対応する第2の長径、第3のピークに対応する第3の長径は、この順に小さくなる。第1の分布と第2の分布に含まれる結晶粒子のアスペクト比の分布は、バイモーダル分布を含み、バイモーダル分布の中で、アスペクト比の高い側の分布の結晶粒子の長径の中央値は、アスペクト比の低い側の分布の結晶粒子の長径の中央値よりも大きい。【選択図】図2

Description

本発明の実施形態は、超電導層の接続構造、超電導線材、超電導コイル、及び超電導機器に関する。
例えば、核磁気共鳴装置(NMR)や磁気共鳴画像診断装置(MRI)では、強い磁場を発生させるために超電導コイルが用いられる。超電導コイルは、巻枠に超電導線材を巻き回すことにより形成されている。
超電導線材を長尺化するために、例えば、複数の超電導線材を接続する。例えば、2本の超電導線材の端部を、接続構造を用いて接続する。超電導線材を接続する接続構造には、低い電気抵抗と高い機械的強度が求められる。
特許5828299号公報 特許6675590号公報 特許6178779号公報
本発明が解決しようとする課題は、低い電気抵抗と高い機械的強度を実現できる超電導層の接続構造を提供することにある。
実施形態の超電導層の接続構造は、第1の超電導層と、第2の超電導層と、第1の超電導層と第2の超電導層との間に設けられ、希土類元素(RE)、バリウム(Ba)、銅(Cu)、及び酸素(O)を含む結晶粒子を含み、前記結晶粒子の長径の分布がトリモーダル分布を含む接続層と、を備え、トリモーダル分布は、第1のピークを含む第1の分布と、第2のピークを含む第2の分布と、第3のピークを含む第3の分布と、を有し、第1のピークに対応する第1の長径は、第2のピークに対応する第2の長径よりも大きく、第2の長径は、第3のピークに対応する第3の長径よりも大きく、第1の分布と第2の分布に含まれる前記結晶粒子のアスペクト比の分布は、バイモーダル分布を含み、バイモーダル分布の中で、アスペクト比の高い側の分布に含まれる結晶粒子の長径の第1の中央値は、アスペクト比の低い側の分布に含まれる結晶粒子の長径の第2の中央値よりも大きい。
第1の実施形態の超電導層の接続構造の模式断面図。 第1の実施形態の接続層の一部の拡大模式断面図。 第1の実施形態の結晶粒子の長径及び短径の定義を示す図。 第1の実施形態の接続層に含まれる結晶粒子の長径分布を示す図。 第1の実施形態の接続層に含まれる結晶粒子のアスペクト比の分布を示す図。 比較例の接続層の一部の拡大模式断面図。 第2の実施形態の超電導線材の模式断面図。 第2の実施形態の超電導線材の第1の変形例の模式断面図。 第2の実施形態の超電導線材の第2の変形例の模式断面図。 第2の実施形態の超電導線材の第3の変形例の模式断面図。 第2の実施形態の超電導線材の第4の変形例の模式断面図。 第3の実施形態の超電導コイルの模式斜視図。 第3の実施形態の超電導コイルの模式断面図。 第4の実施形態の超電導機器のブロック図。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材などには同一の符号を付し、一度説明した部材などについては適宜その説明を省略する場合がある。
本明細書中、粒子の長径とは、粒子の外周の任意の2点間の長さの中の最大の長さである。また、粒子の短径とは、長径に対応する線分の中点を通り、上記線分に垂直で、粒子の外周を両端部とする線分の長さである。粒子の長径及び短径は、例えば、走査電子顕微鏡(SEM)による断面画像の画像解析により求めることが可能である。なお、本明細書中、長径に対応する線分を長軸と称する。また、短径に対応する線分を短軸と称する。
粒子等に含まれる元素の検出及び元素の原子濃度の測定は、例えば、エネルギー分散型X線分光法(EDX)又は波長分散型X線分析法(WDX)を用いて行うことが可能である。また、粒子等に含まれる物質の同定は、例えば、粉末X線回折法を用いて行うことが可能である。
(第1の実施形態)
第1の実施形態の超電導層の接続構造は、第1の超電導層と、第2の超電導層と、第1の超電導層と第2の超電導層との間に設けられ、希土類元素(RE)、バリウム(Ba)、銅(Cu)、及び酸素(O)を含む結晶粒子を含み、結晶粒子の長径の分布がトリモーダル分布を含む接続層と、を備える。トリモーダル分布は、第1のピークを含む第1の分布と、第2のピークを含む第2の分布と、第3のピークを含む第3の分布と、を有し、第1のピークに対応する第1の長径は、第2のピークに対応する第2の長径よりも大きく、第2の長径は、第3のピークに対応する第3の長径よりも大きい。第1の分布と第2の分布に含まれる結晶粒子のアスペクト比の分布は、バイモーダル分布を含む。バイモーダル分布の中で、アスペクト比の高い側の分布に含まれる結晶粒子の長径の第1の中央値は、アスペクト比の低い側の分布に含まれる結晶粒子の長径の第2の中央値よりも大きい。
図1は、第1の実施形態の超電導層の接続構造の模式断面図である。第1の実施形態の接続構造100は、2つの超電導層を物理的及び電気的に接続する構造である。接続構造100は、例えば、2本の超電導線材を接続し、超電導線材を長尺化するために用いられる。
接続構造100は、第1の超電導部材10、第2の超電導部材20、及び接続層30を備える。接続構造100は、第1の超電導部材10と第2の超電導部材20が、接続層30によって接続される構造である。接続層30は、第1の超電導部材10と第2の超電導部材20との間に設けられる。
第1の超電導部材10は、第1の基板12、第1の中間層14、第1の超電導層16を備える。第2の超電導部材20は、第2の基板22、第2の中間層24、第2の超電導層26を備える。
第1の基板12は、例えば、金属である。第1の基板12は、例えば、ニッケル合金又は銅合金である。第1の基板12は、例えば、ニッケルタングステン合金である。
第1の超電導層16は、例えば、酸化物超電導層である。第1の超電導層16は、例えば、希土類元素(RE)、バリウム(Ba)、銅(Cu)、及び酸素(O)を含む。第1の超電導層16は、例えば、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホロミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及び、ルテチウム(Lu)から成る群のうちの少なくとも1つの希土類元素(RE)を含む。
第1の超電導層16は、例えば、(RE)BaCuδ(REは希土類元素、6≦δ≦7)で表記される化学組成を有する。第1の超電導層16は、例えば、GdBaCuδ(6≦δ≦7)、YBaCuδ(6≦δ≦7)、又はEuBaCuδ(6≦δ≦7)で表記される化学組成を有する。
第1の超電導層16は、例えば、ペロブスカイト構造を有する単結晶を含む。
第1の超電導層16は、例えば、第1の中間層14の上に、有機金属分解法(Metal Organic Decomposition法:MOD法)、パルスレーザ蒸着法(Pulsed Laser Deposition法:PLD法)、又は、有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition法:MOCVD法)を用いて形成される。
第1の中間層14は、第1の基板12と第1の超電導層16との間に設けられる。第1の中間層14は、例えば、第1の超電導層16に接する。第1の中間層14は、第1の中間層14の上に形成される第1の超電導層16の結晶配向性を向上させる機能を有する。
第1の中間層14は、例えば、希土類酸化物を含む。第1の中間層14は、例えば、複数の膜の積層構造を備える。第1の中間層14は、例えば、第1の基板12側から、酸化イットリウム(Y)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、酸化セリウム(CeO)が積層された構造を有する。
第2の基板22は、例えば、金属である。第2の基板22は、例えば、ニッケル合金又は銅合金である。第2の基板22は、例えば、ニッケルタングステン合金である。
第2の超電導層26は、例えば、酸化物超電導層である。第2の超電導層26は、例えば、希土類元素(RE)、バリウム(Ba)、銅(Cu)、及び酸素(O)を含む。第1の超電導層16は、例えば、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホロミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)から成る群のうちの少なくとも1つの希土類元素(RE)を含む。
第2の超電導層26は、例えば、(RE)BaCuδ(REは希土類元素、6≦δ≦7)で表記される化学組成を有する。第2の超電導層26は、例えば、GdBaCuδ(6≦δ≦7)、YBaCuδ(6≦δ≦7)、又はEuBaCuδ(6≦δ≦7)で表記される化学組成を有する。
第2の超電導層26は、例えば、ペロブスカイト構造を有する単結晶を含む。
第2の超電導層26は、例えば、第2の中間層24の上に、MOD法、PLD法、又はMOCVD法を用いて形成される。
第2の中間層24は、第2の基板22と第2の超電導層26との間に設けられる。第2の中間層24は、例えば、第2の超電導層26に接する。第2の中間層24は、第2の中間層24の上に形成される第2の超電導層26の結晶配向性を向上させる機能を有する。
第2の中間層24は、例えば、希土類酸化物を含む。第2の中間層24は、例えば、複数の膜の積層構造を備える。第2の中間層24は、例えば、第2の基板22側から、酸化イットリウム(Y)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、酸化セリウム(CeO)が積層された構造を有する。
接続層30は、第1の超電導層16と第2の超電導層26との間に設けられる。接続層30は、第1の超電導層16に接する。接続層30は、第2の超電導層26に接する。
接続層30は、酸化物超電導層である。接続層30は、希土類元素(RE)、バリウム(Ba)、銅(Cu)、及び酸素(O)を含む。接続層30は、例えば、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホロミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及び、ルテチウム(Lu)から成る群のうちの少なくとも1つの希土類元素(RE)を含む。
図2は、第1の実施形態の接続層の一部の拡大模式断面図である。
接続層30は、第1の結晶粒子31、第2の結晶粒子32、第3の結晶粒子33、及び空孔34を含む。接続層30は、第1の結晶粒子31、第2の結晶粒子32、及び第3の結晶粒子33が焼結することにより形成されている。
第1の結晶粒子31、第2の結晶粒子32、及び第3の結晶粒子33は、結晶粒子の一例である。
接続層30は、例えば、多孔質である。例えば、接続層30に含まれる粒子の間に空孔34(Void)が存在する。接続層30には、空孔34が存在しなくても構わない。
第1の結晶粒子31は、希土類元素(RE)、バリウム(Ba)、銅(Cu)、及び酸素(O)を含む。第1の結晶粒子31は、希土類酸化物である。第1の結晶粒子31は、例えば、ペロブスカイト構造を有する単結晶又は多結晶である。
第1の結晶粒子31は、例えば、(RE)BaCuδ(REは希土類元素、6≦δ≦7)で表記される化学組成を有する。第1の結晶粒子31は、例えば、GdBaCuδ(6≦δ≦7)、YBaCuδ(6≦δ≦7)、又はEuBaCuδ(6≦δ≦7)で表記される化学組成を有する。
第1の結晶粒子31は、超電導体である。
第1の結晶粒子31は、例えば、板状又は扁平形状である。扁平形状とは、粒子のアスペクト比が2以上であることを意味する。粒子のアスペクト比とは、粒子の短径に対する長径の比(長径/短径)である。
第1の結晶粒子31の長径の中央値は、例えば、100nm以上10μm以下である。第1の結晶粒子31の長径の中央値は、例えば、接続層30の第1の超電導層16から第2の超電導層26に向かう方向の厚さ(図2中のt)より大きい。
第1の結晶粒子31の長軸方向は、例えば、第1の超電導層16と接続層30の界面に対して傾斜する。第1の結晶粒子31の長軸方向の、第1の超電導層16と接続層30の界面に対する角度は第1の傾斜角である。第1の傾斜角は、例えば、15度以上90度以下である。
第2の結晶粒子32は、希土類元素(RE)、バリウム(Ba)、銅(Cu)、及び酸素(O)を含む。第2の結晶粒子32は、希土類酸化物である。第2の結晶粒子32は、例えば、ペロブスカイト構造を有する単結晶又は多結晶である。第2の結晶粒子32は、例えば、(RE)BaCuδ(REは希土類元素、6≦δ≦7)で表記される化学組成を有する。
第2の結晶粒子32は、超電導体である。
第2の結晶粒子32は、例えば、第1の結晶粒子31と同一の希土類元素を含む。第2の結晶粒子32の化学組成は、例えば、第1の結晶粒子31の化学組成と同一である。
第2の結晶粒子32は、例えば、第1の結晶粒子31と異なる希土類元素を含んでも構わない。第2の結晶粒子32の化学組成は、例えば、第1の結晶粒子31の化学組成と異なっても構わない。
第2の結晶粒子32は、例えば、不定形状である。第2の結晶粒子32のアスペクト比は、第1の結晶粒子31のアスペクト比よりも小さい。第2の結晶粒子32のアスペクト比は、例えば、2未満である。
第2の結晶粒子32の長径の中央値は、第1の結晶粒子31の長径よりも小さい。第2の結晶粒子32の長径の中央値は、例えば、50nm以上5μm未満である。第2の結晶粒子32の長径の中央値は、例えば、接続層30の第1の超電導層16から第2の超電導層26に向かう方向の厚さ(図2中のt)より小さい。
第3の結晶粒子33は、希土類元素(RE)、バリウム(Ba)、銅(Cu)、及び酸素(O)を含む。第3の結晶粒子33は、希土類酸化物である。第3の結晶粒子33は、例えば、ペロブスカイト構造を有する単結晶又は多結晶である。第3の結晶粒子33は、例えば、(RE)BaCuδ(REは希土類元素、6≦δ≦7)で表記される化学組成を有する。
第3の結晶粒子33は、例えば、超電導体である。
第3の結晶粒子33は、例えば、第1の結晶粒子31と同一の希土類元素を含む。第3の結晶粒子33の化学組成は、例えば、第1の結晶粒子31の化学組成と同一である。
第3の結晶粒子33は、例えば、第1の結晶粒子31と異なる希土類元素を含んでも構わない。第3の結晶粒子33の化学組成は、例えば、第1の結晶粒子31の化学組成と異なっても構わない。
第3の結晶粒子33は、例えば、第2の結晶粒子32と同一の希土類元素を含む。第3の結晶粒子33の化学組成は、例えば、第2の結晶粒子32の化学組成と同一である。
第3の結晶粒子33は、例えば、第2の結晶粒子32と異なる希土類元素を含んでも構わない。第3の結晶粒子33の化学組成は、例えば、第2の結晶粒子32の化学組成と異なっても構わない。
第3の結晶粒子33は、例えば、球状又は不定形状である。第3の結晶粒子33のアスペクト比は、例えば、2未満である。
第3の結晶粒子33の長径の中央値は、第1の結晶粒子31の長径の中央値、及び、第2の結晶粒子32の長径の中央値よりも小さい。第3の結晶粒子33の長径の中央値は、例えば、10nm以上1μm未満である。
第1の結晶粒子31の長径の中央値は、例えば、第3の結晶粒子33の長径の中央値の10倍以上1000倍以下である。第2の結晶粒子32の長径の中央値は、例えば、第3の結晶粒子33の長径の10倍以上1000倍以下である。
図3(a)、図3(b)は、第1の実施形態の結晶粒子の長径及び短径の定義を示す図である。図3(a)は第1の結晶粒子31を例にした図、図3(b)は第2の結晶粒子32を例にした図である。
粒子の長径とは、粒子の外周の任意の2点間の長さの中の最大の長さである。また、粒子の短径とは、長径に対応する線分の中点を通り、上記線分に垂直で、粒子の外周を両端部とする線分の長さである。
例えば、図3(a)に示す第1の結晶粒子31の場合の長径は、線分L1の長さである。また、図3(a)に示す第1の結晶粒子31の場合の短径は、線分S1の長さである。線分S1は線分L1の中点M1を通る。図3(a)に示す第1の結晶粒子31のアスペクト比は、L1/S1である。
例えば、図3(b)に示す第2の結晶粒子32の場合の長径は、線分L2の長さである。また、図3(b)に示す第2の結晶粒子32の場合の短径は、線分S2の長さである。線分S2は線分L2の中点M2を通る。図3(b)に示す第2の結晶粒子32のアスペクト比は、L2/S2である。
図4は、第1の実施形態の接続層に含まれる結晶粒子の長径分布を示す図である。図4は、接続層30に含まれる第1の結晶粒子31、第2の結晶粒子32、及び第3の結晶粒子33の長径分布を示す。
図4に示すように、接続層30に含まれる結晶粒子の長径分布は、トリモーダル分布を含む。トリモーダル分布は、第1のピーク(図4中のPk1)を含む第1の分布と、第2のピーク(図4中のPk2)を含む第2の分布と、第3のピーク(図4中のPk3)を含む第3の分布を有する。
なお、接続層30に含まれる結晶粒子の長径分布は、ピークが4個以上となるマルチモーダル分布であっても構わない。
第1のピークPk1に対応する長径が第1の長径(図4中のd1)である。第2のピークPk2に対応する長径が第2の長径(図4中のd2)である。第3のピークPk3に対応する長径が第3の長径(図4中のd3)である。
第1の長径d1は、第2の長径d2よりも大きい。第2の長径d2は、第3の長径d3よりも大きい。第1の長径d1は、例えば、第3の長径d3の10倍以上1000倍以下である。第2の長径d2は、例えば、第3の長径d3の10倍以上1000倍以下である。
第1の長径d1は、例えば、100nm以上10μm以下である。第2の長径d2は、例えば、50nm以上5μm以下である。第3の長径d3は、例えば、10nm以上1μm未満である。
第1の分布に含まれる結晶粒子は、主に第1の結晶粒子31である。第2の分布に含まれる結晶粒子は、主に第2の結晶粒子32である。第3の分布に含まれる結晶粒子は、第3の結晶粒子33である。
図5は、第1の実施形態の接続層に含まれる結晶粒子のアスペクト比の分布を示す図である。図5は、接続層30に含まれる結晶粒子の長径分布の中の第1の分布と第2の分布に含まれる結晶粒子のアスペクト比の分布を示す。
図5に示すように、第1の分布と第2の分布に含まれる結晶粒子のアスペクト比の分布は、バイモーダル分布を含む。
なお、第1の分布と第2の分布に含まれる結晶粒子のアスペクト比の分布は、ピークが3個以上となるマルチモーダル分布であっても構わない。
バイモーダル分布の中で、アスペクト比の高い側の分布に含まれる結晶粒子が第1の結晶粒子31である。言い換えれば、図5に示す高アスペクト比側分布に含まれる結晶粒子が第1の結晶粒子31である。
バイモーダル分布の中で、アスペクト比の低い側の分布に含まれる結晶粒子が第2の結晶粒子32である。言い換えれば、図5に示す低アスペクト比側分布に含まれる結晶粒子が第2の結晶粒子32である。
バイモーダル分布の中で、アスペクト比の高い側の分布に含まれる結晶粒子の長径の第1の中央値は、アスペクト比の低い側の分布に含まれる結晶粒子の長径の第2の中央値よりも大きい。言い換えれば、第1の結晶粒子31の長径の第1の中央値は、第2の結晶粒子32の長径の第2の中央値よりも大きい。
第1の中央値は、例えば、接続層30の第1の超電導層16から第2の超電導層26に向かう方向の厚さ(図2中のt)より大きい。また、第2の中央値は、接続層30の第1の超電導層16から第2の超電導層26に向かう方向の厚さ(図2中のt)より小さい。
バイモーダル分布の中で、アスペクト比の高い側の分布に含まれる結晶粒子のアスペクト比の中央値は2以上であり、バイモーダル分布の中で、アスペクト比の低い側の分布に含まれる結晶粒子のアスペクト比の中央値は2未満である。言い換えれば、第1の結晶粒子31のアスペクト比の中央値は2以上であり、第2の結晶粒子32のアスペクト比の中央値は2未満である。
バイモーダル分布の中で、アスペクト比の高い側の分布に含まれる結晶粒子の個数は、バイモーダル分布の中で、アスペクト比の低い側の分布に含まれる結晶粒子の個数の0.1倍以上1.1倍以下である。言い換えれば、第1の結晶粒子31の個数は、第2の結晶粒子32の個数の0.1倍以上1.1倍以下である。
バイモーダル分布の中で、アスペクト比の高い側の分布に含まれる結晶粒子は、板状又は扁平形状の結晶粒子を含む。言い換えれば、第1の結晶粒子31は、板状又は扁平形状の結晶粒子を含む。
バイモーダル分布の中で、アスペクト比の高い側の分布に含まれる結晶粒子の長軸方向の第1の超電導層16と接続層30の界面に対する傾斜角を第1の傾斜角とした場合に、例えば、第1の傾斜角の中央値は、15度以上90度以下である。言い換えれば、第1の結晶粒子31の長軸方向の、第1の超電導層16と接続層30の界面に対する第1の傾斜角の中央値は、15度以上90度以下である。
バイモーダル分布の中で、アスペクト比の低い側の分布に含まれる結晶粒子は、不定形状の結晶粒子を含む。言い換えれば、第2の結晶粒子32は、不定形状の結晶粒子を含む。
次に、第1の実施形態の超電導層の接続構造の製造方法の一例について説明する。
最初に、希土類元素(RE)、バリウム(Ba)、銅(Cu)、及び酸素(O)を含む酸化物超電導体を形成する。
酸化物超電導体は、例えば、固相反応法により形成する。酸化物超電導体の形成においては、Gd、BaCO3、及びCuOの粉末を混合して圧縮し、圧粉体を作製する。圧粉体を焼結することにより、GdBaCuδ(6≦δ≦7)組成の酸化物超電導体が形成される。
酸化物超電導体を粉砕することにより、アスペクト比が2以上の第1の結晶粒子31を形成する。また、酸化物超電導体を粉砕することにより、アスペクト比が2未満で長径が第1の結晶粒子31より小さい第2の結晶粒子32を形成する。例えば、粉砕の程度や方法を変えることによって、異なるアスペクト比及び異なる長径の結晶粒子を形成できる。
次に、例えば、MOD法を用いて接続層30を形成する。
Gd(OCOCH、Ba(OCOCH、及びCu(OCOCHの粉末を用い有機金属塩溶液を作製する。作製された有機金属塩溶液に第1の結晶粒子31及び第2の結晶粒子32を混合する。
次に、第1の結晶粒子31及び第2の結晶粒子32が混合された有機金属塩溶液を、第1の超電導層16の上に塗布する。次に、塗布された有機金属塩溶液を、第1の超電導層16と第2の超電導層26との間に挟み込んだ状態で焼成を行い、接続層30を形成する。
有機金属塩溶液の焼成により、第3の結晶粒子33が形成される。第3の結晶粒子33の長径は、第1の結晶粒子31の長径よりも小さくなる。また、第3の結晶粒子33の長径は、第2の結晶粒子32の長径よりも小さくなる。
以上の方法により、第1の超電導層16と第2の超電導層26とが接続される。以上の方法により、第1の実施形態の超電導層の接続構造100が形成される。
なお、酸化物超電導体は、固相反応法にかえて、例えば、MOD法、PLD法、又は、MOCVD法を用いて形成することも可能である。
また、接続層30は、MOD法にかえて、例えば、固相反応法により形成することも可能である。接続層30を固相反応法により形成する場合、Gd、BaCO、及びCuOの粉末と、第1の結晶粒子31及び第2の結晶粒子32が混合されたスラリーを準備する。準備したスラリーを、第1の超電導層16と第2の超電導層26との間に挟み込んだ状態で熱処理を行い、接続層30を形成する。Gd、BaCO、及びCuOの粉末が反応し、第3の結晶粒子33が形成される。
次に、第1の実施形態の超電導層の接続構造の作用及び効果について説明する。
例えば、核磁気共鳴装置(NMR)や磁気共鳴画像診断装置(MRI)では、強い磁場を発生させるために超電導コイルが用いられる。超電導コイルは、巻枠に超電導線材を巻き回すことにより形成されている。
超電導線材を長尺化するために、例えば、複数の超電導線材を接続する。例えば、2本の超電導線材の端部を、接続構造を用いて接続する。超電導線材を接続する接続構造には、低い電気抵抗と高い機械的強度が求められる。
第1の実施形態の超電導層の接続方法は、第1の超電導層16と第2の超電導層26とを接続する接続層30が、長径及びアスペクト比の大きい第1の結晶粒子31、第1の結晶粒子31よりも長径及びアスペクト比の小さい第2の結晶粒子32、第2の結晶粒子32よりも長径の小さい第3の結晶粒子33を含む。接続層30が、第1の結晶粒子31、第2の結晶粒子32、及び第3の結晶粒子33を含むことで、低い電気抵抗と高い機械的強度を備えた超電導層の接続構造100が実現できる。以下、詳述する。
第1の実施形態の超電導層の接続構造100は、長径の大きい第1の結晶粒子31を備えることで、接続層30の電気抵抗が低減する。長径の大きい第1の結晶粒子31を備えることで、接続層30の中に占める結晶粒子界面が減少する。したがって、結晶粒子界面の界面抵抗が接続層30の電気抵抗を増加させることが抑制される。
また、第1の実施形態の超電導層の接続構造100は、長径の小さい第3の結晶粒子33が、長径の大きい第1の結晶粒子31及び長径の大きい第2の結晶粒子32の間を充填している。第3の結晶粒子33により、第1の結晶粒子31及び第2の結晶粒子32が結合し、接続層30の機械的強度が向上する。
図6は、比較例の接続層の一部の拡大模式断面図である。比較例の接続層90は、第2の結晶粒子32を含まない点で、第1の実施形態の接続層30と異なる。
希土類元素(RE)、バリウム(Ba)、銅(Cu)、及び酸素(O)を含む結晶粒子を、酸化物超電導体を粉砕して形成する際、第1の結晶粒子31のようにアスペクト比の高い扁平粒子となりやすい。希土類元素(RE)、バリウム(Ba)、銅(Cu)、及び酸素(O)を含む結晶粒子には導電性に異方性がある。第1の結晶粒子31のような扁平粒子では、長軸方向の導電性が高く、短軸方向の導電性が低い。
第1の結晶粒子31を含む溶液やスラリーを第1の超電導層16の上に塗布して接続層90を形成する際、第1の結晶粒子31は、長軸が第1の超電導層16の表面に平行となるように配列しやすい。結果的に、図6に示すように、接続層90の中で、第1の結晶粒子31は、長軸が第1の超電導層16と接続層90の界面に対して平行な方向に配列しやすい。
言い換えれば、第1の結晶粒子31の長軸方向の、第1の超電導層16と接続層90の界面に対する第2の傾斜角が小さくなる。第2の傾斜角は、例えば、15度未満である。
図6に示すように、第1の結晶粒子31の長軸方向が、第1の超電導層16と接続層90の界面に対して平行となると、接続層90を流れる電流は、主に第1の結晶粒子31の短軸方向に流れることになる。したがって、接続層90の電気抵抗が高くなる。
また、第1の結晶粒子31の長軸方向が、第1の超電導層16と接続層90の界面に対して平行となると、接続層90を流れる電流の経路における結晶粒子界面の割合が増加する。したがって、接続層90の電気抵抗が高くなる。
第1の実施形態の接続層30は、アスペクト比が第1の結晶粒子31より小さく、長径が第3の結晶粒子33より大きい第2の結晶粒子32を含む。溶液やスラリーを第1の超電導層16の上に塗布して接続層30を形成する際、溶液やスラリーが、第1の結晶粒子31に加えて第2の結晶粒子32を含む。
溶液やスラリーが、第2の結晶粒子32を含むことで、第1の結晶粒子31は長軸が第1の超電導層16の表面に傾斜して配列しやすくなる。結果的に、図2に示すように、第1の結晶粒子31の長軸が、第1の超電導層16と接続層30の界面に対して傾斜した方向に配列しやすい。
言い換えれば、第1の結晶粒子31の長軸方向の、第1の超電導層16と接続層30の界面に対する第1の傾斜角が大きくなる。第1の傾斜角は、例えば、15度以上90度以下である。
第1の結晶粒子31の長軸方向が、第1の超電導層16と接続層30の界面に対して傾斜すると、接続層30を流れる電流は、主に第1の結晶粒子31の長軸方向に流れることになる。したがって、接続層30の電気抵抗が低くなる。
また、第1の結晶粒子31の長軸方向が、第1の超電導層16と接続層30の界面に対して傾斜すると、接続層30を流れる電流の経路における結晶粒子界面の割合が低減する。したがって、接続層30の電気抵抗が低くなる。
第1の実施形態の超電導層の接続構造100は、接続層30が第2の結晶粒子32を含むことで、電気抵抗が低減する。
以上のように、第1の実施形態の超電導層の接続構造100によれば、低い電気抵抗と高い機械的強度が実現できる。
接続層30の電気抵抗を低減する観点から、第1の結晶粒子31の長径の中央値は、100nm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることが更に好ましい。接続層30の電気抵抗を低減する観点から、第1の長径d1は、100nm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることが更に好ましい。
接続層30の電気抵抗を低減する観点から、第1の結晶粒子31の長径は、接続層30の第1の超電導層16から第2の超電導層26に向かう方向の厚さ(図2中のt)より大きいことが好ましい。
接続層30の電気抵抗を低減する観点から、結晶粒子のアスペクト比の分布の中のバイモーダル分布の中で、アスペクト比の高い側の分布に含まれる結晶粒子の長径の第1の中央値は、接続層30の第1の超電導層16から第2の超電導層26に向かう方向の厚さ(図2中のt)より大きいことが好ましい。
接続層30の電気抵抗を低減する観点から、第1の結晶粒子31のアスペクト比の中央値は、2以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、6以上であることが更に好ましい。接続層30の電気抵抗を低減する観点から、バイモーダル分布の中で、アスペクト比の高い側の分布に含まれる結晶粒子のアスペクト比の中央値は2以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、6以上であることが更に好ましい。
接続層30の電気抵抗を低減する観点から、第1の結晶粒子31の長軸方向の、第1の超電導層16と接続層30の界面に対する第1の傾斜角の中央値は、15度以上であることが好ましく、20度以上であることがより好ましく、30度以上であることが更に好ましい。
接続層30の電気抵抗を低減する観点から、バイモーダル分布の中で、アスペクト比の高い側の分布に含まれる結晶粒子の長軸方向の第1の超電導層16と接続層30の界面に対する傾斜角を第1の傾斜角とした場合に、第1の傾斜角の中央値は、15度以上であることが好ましく20度以上であることがより好ましく、30度以上であることが更に好ましい。
接続層30の電気抵抗を低減する観点から、第2の結晶粒子32の長径の中央値は、50nm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることが更に好ましい。接続層30の電気抵抗を低減する観点から、第2の長径d2は、50nm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることが更に好ましい。
接続層30の電気抵抗を低減する観点から、第2の結晶粒子32の長径の中央値は、5μm以下であることが好ましい。接続層30の電気抵抗を低減する観点から、第2の長径d2は、5μm以下であることが好ましい。
接続層30の電気抵抗を低減する観点から、バイモーダル分布の中で、アスペクト比の中央値の低い側の分布に含まれる結晶粒子の長径の第2の中央値は、接続層30の第1の超電導層16から第2の超電導層26に向かう方向の厚さ(図2中のt)より小さいことが好ましい。
接続層30の電気抵抗を低減する観点から、第2の結晶粒子32のアスペクト比の中央値は、2未満であることが好ましく、1.5未満であることがより好ましい。接続層30の電気抵抗を低減する観点から、バイモーダル分布の中で、アスペクト比の低い側の分布に含まれる結晶粒子のアスペクト比の中央値は2未満であることが好ましく、1.5未満であることがより好ましい。
接続層30の電気抵抗を低減する観点から、第1の結晶粒子31の個数は、第2の結晶粒子32の個数の0.1倍以上1.1倍以下であることが好ましい。接続層30の電気抵抗を低減する観点から、バイモーダル分布の中で、アスペクト比の高い側の分布に含まれる結晶粒子の個数は、バイモーダル分布の中で、アスペクト比の低い側の分布に含まれる結晶粒子の個数の0.1倍以上1.1倍以下であることが好ましい。
接続層30の機械的強度を増加させる観点から、第3の結晶粒子33の長径の中央値は、1μm未満であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、200nm未満であることが更に好ましい。接続層30の機械的強度を増加させる観点から、第3の長径d3は、1μm未満であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、200nm未満であることが更に好ましい。
接続層30の機械的強度を増加させる観点から、第1の結晶粒子31の長径の中央値は、第3の結晶粒子33の長径の10倍以上であることが好ましい。接続層30の機械的強度を増加させる観点から、第1の長径d1は、第3の長径d3の10倍以上であることが好ましい。
接続層30の機械的強度を増加させる観点から、第2の結晶粒子32の長径の中央値は、第3の結晶粒子33の長径の10倍以上であることが好ましい。接続層30の機械的強度を増加させる観点から、第2の長径d2は、第3の長径d3の10倍以上であることが好ましい。
接続層30の機械的強度を増加させる観点から、第1の結晶粒子31の化学組成と第2の結晶粒子32の化学組成が同一であることが好ましい。また、接続層30の機械的強度を増加させる観点から、第1の結晶粒子31と第3の結晶粒子33の化学組成が同一であることが好ましい。また、接続層30の機械的強度を増加させる観点から、第2の結晶粒子32と第3の結晶粒子33の化学組成が同一であることが好ましい。
以上、第1の実施形態の超電導層の接続構造によれば、低い電気抵抗と高い機械的強度を実現できる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態の超電導線材は、第1の超電導層を含む第1の超電導線材と、第2の超電導層を含む第2の超電導線材と、第1の面と第1の面と対向する第2の面を有する第3の超電導層と、第1の超電導層と第3の超電導層との間、及び、第2の超電導層と第3の超電導層との間に設けられ、希土類元素(RE)、バリウム(Ba)、銅(Cu)、及び酸素(O)を含む結晶粒子を含み、結晶粒子の長径の分布が、トリモーダル分布を含む接続層と、を備える。第1の超電導層及び第2の超電導層は、第3の超電導層の第1の面の側に位置する。トリモーダル分布は、第1のピークを含む第1の分布と、第2のピークを含む第2の分布と、第3のピークを含む第3の分布と、を有し、第1のピークに対応する第1の長径は、第2のピークに対応する第2の長径よりも大きく、第2の長径は、第3のピークに対応する第3の長径よりも大きい。第1の分布と第2の分布に含まれる結晶粒子のアスペクト比の分布は、バイモーダル分布を含み、バイモーダル分布の中で、アスペクト比の高い側の分布に含まれる結晶粒子の長径の第1の中央値は、アスペクト比の低い側の分布に含まれる結晶粒子の長径の第2の中央値よりも大きい。第2の実施形態の超電導線材は、第1の超電導線材と第2の超電導線材を接続する構造として、第1の実施形態の超電導層の接続構造を用いる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
図7は、第2の実施形態の超電導線材の模式断面図である。第2の実施形態の超電導線材400は、第1の超電導線材401、第2の超電導線材402、及び接続部材403を備える。第2の実施形態の超電導線材400は、第1の超電導線材401と第2の超電導線材402が、接続部材403を用いて接続されることで、長尺化されている。
第1の超電導線材401は、第1の基板12、第1の中間層14、第1の超電導層16、第1の保護層18を備える。第2の超電導線材402は、第2の基板22、第2の中間層24、第2の超電導層26、第2の保護層28を備える。接続部材403は、第3の基板42、第3の中間層44、第3の超電導層46を備える。
第1の超電導線材401、第2の超電導線材402、及び接続部材403は、第1の実施形態の第1の超電導部材10及び第2の超電導部材20と同様の構造を備える。
接続層30は、第1の超電導層16と第3の超電導層46との間に設けられる。接続層30は、第1の超電導層16に接する。接続層30は、第3の超電導層46に接する。
接続層30は、第2の超電導層26と第3の超電導層46との間に設けられる。接続層30は、第2の超電導層26に接する。接続層30は、第3の超電導層46に接する。
第1の超電導層16と第3の超電導層46との間の接続層30と、第2の超電導層26と第3の超電導層46との間の接続層30は連続している。
接続層30は、例えば、第1の超電導層16と第2の超電導層26との間に存在しない。第1の超電導層16と第2の超電導層26との間は、例えば、空隙(air gap)である。
接続層30は、酸化物超電導層である。接続層30は、希土類元素(RE)、バリウム(Ba)、銅(Cu)、及び酸素(O)を含む。接続層30は、例えば、希土類元素(RE)、バリウム(Ba)、銅(Cu)、及び酸素(O)を含む。接続層30は、例えば、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホロミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)から成る群のうちの少なくとも1つの希土類元素(RE)を含む。
第2の実施形態の接続層30は、図2に示す第1の実施形態の接続層30と同様の構成を備える。
第2の実施形態の超電導線材400では、例えば、第1の超電導線材401から、接続層30、接続部材403、及び接続層30を通って第2の超電導線材402に電流が流れる。
第1の超電導線材401と接続部材403とが接続層30を用いて接続されることで、第1の超電導線材401と接続部材403とを接続する接続構造は、低い電気抵抗と高い機械的強度を備える。また、第2の超電導線材402と接続部材403とが接続層30を用いて接続されることで、第2の超電導線材402と接続部材403とを接続する接続構造は、低い電気抵抗と高い機械的強度を備える。
したがって、第1の超電導線材401と第2の超電導線材402とを接続する接続構造は、低い電気抵抗と高い機械的強度を備える。よって、超電導線材400は、低い電気抵抗と高い機械的強度を備える。
なお、3本以上の超電導線材を接続し、更に長尺化した超電導線材を形成することも可能である。
(第1の変形例)
図8は、第2の実施形態の超電導線材の第1の変形例の模式断面図である。第2の実施形態の第1の変形例の超電導線材410は、補強材60を備える点で、第2の実施形態の超電導線材400と異なる。
補強材60は、第1の超電導線材401と第2の超電導線材402との間に設けられる。補強材60は、例えば、第1の超電導層16と第2の超電導層26との間に設けられる。
補強材60は、例えば、第1の超電導線材401及び第2の超電導線材402に接する。補強材60は、例えば、接続層30に接する。
補強材60を備えることで、超電導線材410の機械的強度が向上する。
補強材60は、例えば、金属又は樹脂である。補強材60は、例えば、はんだである。補強材60は、例えば、銀(Ag)及びインジウム(In)を含むはんだである。
(第2の変形例)
図9は、第2の実施形態の超電導線材の第2の変形例の模式断面図である。第2の実施形態の第2の変形例の超電導線材420は、接続層30が互いに離間した第1の領域30aと第2の領域30bを含む点で、第2の実施形態の超電導線材400と異なる。
接続層30は、第1の領域30aと第2の領域30bを含む。第1の領域30aと第2の領域30bは離間する。
第1の領域30aは、第1の超電導層16と第3の超電導層46との間に設けられる。第1の領域30aは、第1の超電導層16に接する。第1の領域30aは、第3の超電導層46に接する。
第2の領域30bは、第2の超電導層26と第3の超電導層46との間に設けられる。第2の領域30bは、第2の超電導層26に接する。第2の領域30bは、第3の超電導層46に接する。
(第3の変形例)
図10は、第2の実施形態の超電導線材の第3の変形例の模式断面図である。第2の実施形態の第3の変形例の超電導線材430は、第1の超電導層16の第3の超電導層46に対向する面の一部が露出し、第2の超電導層26の第3の超電導層46に対向する面の一部が露出する点で、第2の実施形態の第2の変形例の超電導線材420と異なる。
第1の超電導層16の上面の、第2の超電導層26側の端部の近傍に、接続層30が存在しない領域がある。また、第2の超電導層26の上面の、第1の超電導層16側の端部の近傍に、接続層30が存在しない領域がある。
(第4の変形例)
図11は、第2の実施形態の超電導線材の第4の変形例の模式断面図である。第2の実施形態の第4の変形例の超電導線材440は、補強材60を備える点で、第2の実施形態の第3の変形例の超電導線材430と異なる。
補強材60は、第1の超電導線材401と第2の超電導線材402との間に設けられる。補強材60は、例えば、第1の超電導層16と第2の超電導層26との間に設けられる。補強材60は、例えば、第1の超電導層16と第3の超電導層46との間に設けられる。補強材60は、例えば、第2の超電導層26と第3の超電導層46との間に設けられる。補強材60は、例えば、第1の領域30aと第2の領域30bとの間に設けられる。
補強材60を備えることで、超電導線材440の機械的強度が向上する。
補強材60は、例えば、金属又は樹脂である。補強材60は、例えば、はんだである。補強材60は、例えば、銀(Ag)及びインジウム(In)を含むはんだである。
以上、第2の実施形態及び変形例によれば、2本の超電導線材の接続により長尺化された、低い電気抵抗と高い機械的強度を備える超電導線材が実現できる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態の超電導コイルは、第2の実施形態の超電導線材を備える。以下、第2の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
図12は、第3の実施形態の超電導コイルの模式斜視図である。図13は、第3の実施形態の超電導コイルの模式断面図である。
第3の実施形態の超電導コイル700は、例えば、NMR、MRI、重粒子線治療器、又は、超電導磁気浮上式鉄道車両などの超電導機器の磁場発生用のコイルとして用いられる。
超電導コイル700は、巻枠110、第1の絶縁板111a、第2の絶縁板111b、及び巻線部112を備える。巻線部112は、超電導線材120と、線材間層130を有する。
図13は、第1の絶縁板111a、及び第2の絶縁板111bを除いた状態を示す。
巻枠110は、例えば、繊維強化プラスチックで形成される。超電導線材120は、例えば、テープ形状である。超電導線材120は、図13に示すように、巻回中心Cを中心に、同心円状のいわゆるパンケーキ形状に巻枠110に巻き回される。
線材間層130は、超電導線材120を固定する機能を有する。線材間層130は、超電導線材120が、超電導機器の使用中の振動や、互いの摩擦により破壊されることを抑制する機能を有する。
第1の絶縁板111a及び第2の絶縁板111bは、例えば、繊維強化プラスチックで形成される。第1の絶縁板111a及び第2の絶縁板111bは、巻線部112を外部に対して絶縁する機能を有する。巻線部112は、第1の絶縁板111aと第2の絶縁板111bとの間に位置する。
超電導線材120には、第2の実施形態の超電導線材が用いられる。
以上、第3の実施形態によれば、低い電気抵抗と高い機械的強度を備える超電導線材を備えることで、特性の向上した超電導コイルが実現できる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態の超電導機器は、第3の実施形態の超電導コイルを備えた超電導機器である。以下、第3の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
図14は、第4の実施形態の超電導機器のブロック図である。第4の実施形態の超電導機器は、重粒子線治療器800である。重粒子線治療器800は、超電導機器の一例である。
重粒子線治療器800は、入射系50、シンクロトロン加速器52、ビーム輸送系54、照射系56、制御系58を備える。
入射系50は、例えば、治療に用いる炭素イオンを生成し、シンクロトロン加速器52に入射するための予備加速を行う機能を有する。入射系50は、例えば、イオン発生源と線形加速器を有する。
シンクロトロン加速器52は、入射系50から入射された炭素イオンビームを治療に適合したエネルギーまで加速する機能を有する。シンクロトロン加速器52に、第3の実施形態の超電導コイル700が用いられる。
ビーム輸送系54は、シンクロトロン加速器52から入射された炭素イオンビームを照射系56まで輸送する機能を有する。ビーム輸送系54は、例えば、偏向電磁石を有する。
照射系56は、ビーム輸送系54から入射された炭素イオンビームを照射対象である患者に照射する機能を備える。照射系56は、例えば、炭素イオンビームを任意の方向から照射可能にする回転ガントリーを有する。回転ガントリーに、第3の実施形態の超電導コイル700が用いられる。
制御系58は、入射系50、シンクロトロン加速器52、ビーム輸送系54、及び照射系56の制御を行う。制御系58は、例えば、コンピュータである。
第4の実施形態の重粒子線治療器800は、シンクロトロン加速器52及び回転ガントリーに、第3の実施形態の超電導コイル700が用いられる。したがって、特性の優れた重粒子線治療器800が実現される。
第4の実施形態では、超電導機器の一例として、重粒子線治療器800の場合を説明したが、超電導機器は、核磁気共鳴装置(NMR)、磁気共鳴画像診断装置(MRI)、又は、超電導磁気浮上式鉄道車両であっても構わない。
(実施例1)
ハステロイ基材上に中間層とGdBaCu7-δ層(酸化物超電導層)が形成され、銀及び銅の保護層で覆われた、長さ10.5cmの酸化物超電導線材を2本用意した。片方の端部から1.0cmの部分を、硝酸及びアンモニアと過酸化水素の混合溶液を用いてウェットエッチングし、酸化物超電導層を露出させた。
GdとBaCOとCuOの粉末を用意し、適宜秤量したのちに、十分混合し、混合粉末を圧縮成形して圧粉体を作製した。得られた圧粉体を930℃で焼結することで、GdBaCu7-δ組成の酸化物超電導体を作製した。得られた酸化物超電導体を乳鉢上で叩くように粉砕し、篩などで適した径の粒子を選別することで、長径の中央値が5μm以上、短径の中央値が2μm以下のアスペクト比の高い超電導体粉末を作製した。
選別の際に得られた上記より小さい粒子をさらにボールミルを用いて3時間以上粉砕することで粒径の中央値が3μm以上のアスペクト比が2未満と低い超電導体粉末を作製した。
得られた2種類の超伝導体粉末とGd(OCOCH、Ba(OCOCH、及びCu(OCOCHを溶かした有機金属塩溶液を重量比1:1:4で混合し、スラリーを作製した。
得られたスラリーを、上記の超電導線材のうちの1本の、露出させた酸化物超電導層に塗布した。その後、超電導線材のスラリーを塗布した部分と、もう一方の超電導線材の超電導層を露出させた部分とを向かい合わせて重ね合わせた。
重ね合わせた線材を上下から治具で挟み込み、加圧した。
治具に挟み込んだまま、大気雰囲気中で780℃に加熱し、第1の熱処理を行った。その後、室温付近まで冷却し、炉に酸素ガスを導入して、酸素雰囲気中で500℃に加熱し、第2の熱処理を行い、超電導線材の接続構造を形成した。
接続後の超電導線材の両端に端子をつけ、電気抵抗の温度依存性を測定したところ、93K付近、転移幅約1Kで明確な超電導転移を確認した。本接続構造の、超電導転移後の臨界電流値を基準値1.0として、以下実施例、比較例において相対臨界電流値を示す。
(比較例1)
ハステロイ基材上に中間層とGdBaCu7-δ層(酸化物超電導層)が形成され、銀及び銅の保護層で覆われた、長さ10.5cmの酸化物超電導線材を2本用意した。片方の端部から1.0cmの部分を、硝酸及びアンモニアと過酸化水素の混合溶液を用いてウェットエッチングし、酸化物超電導層を露出させた。
GdとBaCOとCuOの粉末を用意し、適宜秤量したのちに、十分混合し、混合粉末を圧縮成形して圧粉体を作製した。得られた圧粉体を930℃で焼結することで、GdBaCu7-δ組成の酸化物超電導体を作製した。得られた酸化物超電導体を乳鉢上で叩くように粉砕し、篩などで適した径の粒子を選別のすることで、長径の中央値が5μm以上、短径の中央値が2μm以下のアスペクト比の高い超電導体粉末を作製した。
得られた超電導体粉末と、粒径が50nm程度のGd粉末と、粒径が70nm程度のBaCO粉末と、粒径が30nm程度のCuO粉末とを乳鉢を用いて混合した。得られた混合粉に水とアルギン酸ナトリウムを加え、スラリーとした。
上記の超電導線材のうちの1本の、露出させた酸化物超電導層に塗布した後、超電導線材のスラリーを塗布した部分と、もう一方の超電導線材の超電導層を露出させた部分とを向かい合わせて重ね合わせた。
重ね合わせた線材を上下から治具で挟み込み、加圧した。
治具に挟み込んだまま、大気雰囲気中で780℃に加熱し、第1の熱処理を行った。その後、室温付近まで冷却し、炉に酸素ガスを導入して、酸素雰囲気中で500℃に加熱し、第2の熱処理を行い、超電導線材の接続構造を形成した。
接続後の超電導線材の両端に端子をつけ、電気抵抗の温度依存性を測定したところ、93K付近、転移幅約1Kで明確な超電導転移を確認した。また、超電導転移後の臨界電流値は0.8となった。
(実施例2)
ハステロイ基材上に中間層とGdBaCu7-δ層(酸化物超電導層)が形成され、銀及び銅の保護層で覆われた、酸化物超電導線材を3本用意した。それぞれの長さは1本を2.2cm、残りの2本を10cmとした。2.2cmの線は両端部間を、10cmの2本は片方の端部から1.0cmの部分を、硝酸及びアンモニアと過酸化水素の混合溶液を用いてウェットエッチングし、酸化物超電導層を露出させた。
GdとBaCOとCuOの粉末を用意し、適宜秤量したのちに、十分混合し、混合粉末を圧縮成形して圧粉体を作製した。得られた圧粉体を930℃で焼結することで、GdBaCu7-δ組成の酸化物超電導体を作製した。得られた酸化物超電導体を乳鉢上で叩くように粉砕し、篩などで適した径の粒子を選別のすることで、長径の中央値が5μm以上、短径の中央値が2μm以下のアスペクト比の高い超電導体粉末を作製した。
選別の際に得られた上記より小さい粒子をさらにボールミルを用いて3時間以上粉砕することで粒径の中央値が3μm以上のアスペクト比が2未満と低い超電導体粉末を作製した。
得られた2種類の超伝導体粉末とGd(OCOCH、Ba(OCOCH、及びCu(OCOCHを溶かした有機金属塩溶液を重量比1:1:4で混合し、スラリーを作製した。
得られたスラリーを、上記2.2cmの超電導線材の、露出させた酸化物超電導層に塗布した。その後、図7に示す構造となるように、2.2cmの超電導線材のスラリーを塗布した部分と、2本の10cmの超電導線材の超電導層を露出させた部分とを向かい合わせて重ね合わせた。
重ね合わせた線材を上下から治具で挟み込み、加圧した。
治具に挟み込んだまま、大気雰囲気中で780℃に加熱し、第1の熱処理を行った。その後、室温付近まで冷却し、炉に酸素ガスを導入して、酸素雰囲気中で500℃に加熱し、第2の熱処理を行い、超電導線材の接続構造を形成した。
接続後の超電導線材の両端に端子をつけ、電気抵抗の温度依存性を測定したところ、93K付近、転移幅約1Kで明確な超電導転移を確認した。また、超電導転移後の臨界電流値は1.0となった。
(変形例1)
実施例2の手順に従い接続構造を形成した後、接続構造の10cmの超電導線材が向かい合う面に銀とインジウムを含むはんだを乗せ、200℃で加熱することではんだを溶融し接着することで補強材とした。
接続後の超電導線材の両端に端子をつけ、電気抵抗の温度依存性を測定したところ、93K付近、転移幅約1Kで明確な超電導転移を確認した。また、超電導転移後の臨界電流値は1.0となった。
(変形例2)
実施例2の手順に従い超電導線材及びスラリーを準備し、2本の10cmの超電導線材の超電導層を露出させた部分にスラリーを塗布し、2.2cmの超電導線材と2本の10cmの超電導線材のスラリーを塗布した部分とを向かい合わせて重ね合わせた。
上下から治具で挟み込み、加圧したまま実施例2と同様の熱処理を行い、超電導線材の接続構造を形成、測定を行った。
93K付近、転移幅約1Kで明確な超電導転移を確認した。また、超電導転移後の臨界電流値は1.0となった。
(変形例3)
実施例2の手順に従い超電導線材及びスラリーを準備し、2.2cmの超電導線材の、露出させた酸化物超電導層の両端からそれぞれ0.9cmの範囲にスラリーを塗布した。その後、図10に示す構造となるように、2.2cmの超電導線材のスラリーを塗布した部分と、10cmの超電導線材の超電導層を露出させた部分とを向かい合わせて重ね合わせた。
重ね合わせた線材を上下から治具で挟み込み、加圧したまま実施例2と同様の熱処理を行い、超電導線材の接続構造を形成、測定を行った。
93K付近、転移幅約1Kで明確な超電導転移を確認した。また、超電導転移後の臨界電流値は1.0となった。
(変形例4)
変形例3の手順に従い接続構造を形成した後、接続構造の10cmの超電導線材が向かい合う面に銀とインジウムを含むはんだを乗せ、200℃で加熱することではんだを溶融し接着することで補強材とした。
接続後の超電導線材の両端に端子をつけ、電気抵抗の温度依存性を測定したところ、93K付近、転移幅約1Kで明確な超電導転移を確認した。また、超電導転移後の臨界電流値は1.0となった。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
16 第1の超電導層
26 第2の超電導層
30 接続層
31 第1の結晶粒子
32 第2の結晶粒子
33 第3の結晶粒子
46 第3の超電導層
100 接続構造
400 第2の実施形態の超電導線材
401 第1の超電導線材
402 第2の超電導線材
700 超電導コイル
800 重粒子線治療器
Pk1 第1のピーク
Pk2 第2のピーク
Pk3 第3のピーク
d1 第1の長径
d2 第2の長径
d3 第3の長径

Claims (18)

  1. 第1の超電導層と、
    第2の超電導層と、
    前記第1の超電導層と前記第2の超電導層との間に設けられ、希土類元素(RE)、バリウム(Ba)、銅(Cu)、及び酸素(O)を含む結晶粒子を含み、前記結晶粒子の長径の分布がトリモーダル分布を含む接続層と、
    を備え、
    前記トリモーダル分布は、第1のピークを含む第1の分布と、第2のピークを含む第2の分布と、第3のピークを含む第3の分布と、を有し、
    前記第1のピークに対応する第1の長径は、前記第2のピークに対応する第2の長径よりも大きく、前記第2の長径は、前記第3のピークに対応する第3の長径よりも大きく、
    前記第1の分布と前記第2の分布に含まれる前記結晶粒子のアスペクト比の分布は、バイモーダル分布を含み、
    前記バイモーダル分布の中で、アスペクト比の高い側の分布に含まれる前記結晶粒子の長径の第1の中央値は、アスペクト比の低い側の分布に含まれる前記結晶粒子の長径の第2の中央値よりも大きい、超電導層の接続構造。
  2. 前記第1の中央値は、前記接続層の前記第1の超電導層から前記第2の超電導層に向かう方向の厚さより大きく、
    前記第2の中央値は、前記接続層の前記厚さよりも小さい、請求項1記載の超電導層の接続構造。
  3. 前記バイモーダル分布の中で、アスペクト比の高い側の分布に含まれる前記結晶粒子のアスペクト比の中央値は2以上であり、
    前記バイモーダル分布の中で、アスペクト比の低い側の分布に含まれる前記結晶粒子のアスペクト比の中央値は2未満である、請求項1又は請求項2記載の超電導層の接続構造。
  4. 前記バイモーダル分布の中で、アスペクト比の高い側の分布に含まれる前記結晶粒子の個数は、
    前記バイモーダル分布の中で、アスペクト比の低い側の分布に含まれる前記結晶粒子の個数の0.1倍以上1.1倍以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の超電導層の接続構造。
  5. 前記第1の長径は、100nm以上10μm以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の超電導層の接続構造。
  6. 前記バイモーダル分布の中で、アスペクト比の高い側の分布に含まれる前記結晶粒子は、板状又は扁平形状の結晶粒子を含む請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の超電導層の接続構造。
  7. 前記バイモーダル分布の中で、アスペクト比の高い側の分布に含まれる前記結晶粒子の長軸方向の、前記第1の超電導層と前記接続層との界面に対する第1の傾斜角の中央値は15度以上である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の超電導層の接続構造。
  8. 第1の超電導層を含む第1の超電導線材と、
    第2の超電導層を含む第2の超電導線材と、
    第1の面と前記第1の面と対向する第2の面を有する第3の超電導層と、
    前記第1の超電導層と前記第3の超電導層との間、及び、前記第2の超電導層と前記第3の超電導層との間に設けられ、希土類元素(RE)、バリウム(Ba)、銅(Cu)、及び酸素(O)を含む結晶粒子を含み、前記結晶粒子の長径の分布が、トリモーダル分布を含む接続層と、
    を備え、
    前記第1の超電導層及び前記第2の超電導層は、前記第3の超電導層の前記第1の面の側に位置し、
    前記トリモーダル分布は、第1のピークを含む第1の分布と、第2のピークを含む第2の分布と、第3のピークを含む第3の分布と、を有し、
    前記第1のピークに対応する第1の長径は、前記第2のピークに対応する第2の長径よりも大きく、前記第2の長径は、前記第3のピークに対応する第3の長径よりも大きく、
    前記第1の分布と前記第2の分布に含まれる前記結晶粒子のアスペクト比の分布は、バイモーダル分布を含み、
    前記バイモーダル分布の中で、アスペクト比の高い側の分布に含まれる前記結晶粒子の長径の第1の中央値は、アスペクト比の低い側の分布に含まれる前記結晶粒子の長径の第2の中央値よりも大きい、超電導線材。
  9. 前記第1の中央値は、前記接続層の前記第1の超電導層から前記第2の超電導層に向かう方向の厚さより大きく、
    前記第2の中央値は、前記接続層の前記厚さよりも小さい、請求項8記載の超電導線材。
  10. 前記バイモーダル分布の中で、アスペクト比の高い側の分布に含まれる前記結晶粒子のアスペクト比の中央値は2以上であり、
    前記バイモーダル分布の中で、アスペクト比の低い側の分布に含まれる前記結晶粒子のアスペクト比の中央値は2未満である、請求項8又は請求項9記載の超電導線材。
  11. 前記バイモーダル分布の中で、アスペクト比の高い側の分布に含まれる前記結晶粒子の個数は、
    前記バイモーダル分布の中で、アスペクト比の低い側の分布に含まれる前記結晶粒子の個数の0.1倍以上1.1倍以下である、請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の超電導線材。
  12. 前記第1の長径は、100nm以上10μm以下である請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の超電導線材。
  13. 前記バイモーダル分布の中で、アスペクト比の高い側の分布に含まれる前記結晶粒子は、板状又は扁平形状の結晶粒子を含む請求項8から請求項12のいずれか1項に記載の超電導線材。
  14. 前記バイモーダル分布の中で、アスペクト比の高い側の分布に含まれる前記結晶粒子の長軸方向の、前記第1の超電導層と前記接続層との界面に対する第1の傾斜角の中央値は15度以上である請求項8から請求項13のいずれか1項に記載の超電導線材。
  15. 前記接続層は、前記第1の超電導線材と前記第2の超電導線材との間に存在しない請求項8から請求項14のいずれか1項に記載の超電導線材。
  16. 前記第1の超電導層と前記第3の超電導層との間の前記接続層と、前記第2の超電導層と前記第3の超電導層との間の前記接続層は連続する請求項8から請求項15のいずれか1項に記載の超電導線材。
  17. 請求項8から請求項16のいずれか1項に記載の超電導線材を備える超電導コイル。
  18. 請求項17記載の超電導コイルを備える超電導機器。
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