JP2023121990A - 酸化物超電導積層体、酸化物超電導線材および接続構造体 - Google Patents

酸化物超電導積層体、酸化物超電導線材および接続構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】接続部における接続抵抗を低くできる酸化物超電導積層体、酸化物超電導線材および接続構造体を提供する。【解決手段】酸化物超電導積層体5は、基板1と、酸化物超電導体により形成された超電導層3と、超電導層3上に超電導層3に接して設けられた保護層4と、を備える。保護層4の内部には空隙が形成されている。保護層4に形成された前記空隙のうち、超電導層3との界面と接する前記空隙の数は、保護層4の厚さ方向に沿う断面において、前記界面の長さ1μmあたり12個未満である。【選択図】図1

Description

本発明は、酸化物超電導積層体、酸化物超電導線材および接続構造体に関する。
特許文献1には、基材上に、中間層、超電導層、および保護層が順に積層された構造を有する酸化物超電導線材が開示されている。酸化物超電導線材は、はんだ接続などによって接続対象物(他の超電導線材、電極など)に接続して使用することができる。
特開2014-89954号公報
酸化物超電導線材は、接続対象物との接続部における接続抵抗が高くなることがある。
本発明の一態様は、接続部における接続抵抗を低くできる酸化物超電導積層体、酸化物超電導線材および接続構造体を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、基板と、前記基板上に設けられ、酸化物超電導体により形成された超電導層と、前記超電導層上に、前記超電導層に接して設けられた保護層と、を備え、前記保護層の内部には空隙が形成されており、前記保護層に形成された前記空隙のうち、前記超電導層との界面と接する前記空隙の数は、前記保護層の厚さ方向に沿う断面において、前記界面の長さ1μmあたり12個未満である、酸化物超電導積層体を提供する。
前記界面と接する前記空隙の数は、前記界面の長さ1μmあたり0個であることが好ましい。
前記界面と接する前記空隙の数は、前記界面の長さ1μmあたり3個以上であることが好ましい。
前記界面と接する前記空隙の、前記界面の長さ方向のサイズは、11.0nm~70.2nmであることが好ましい。
前記超電導層と前記保護層との間に、前記保護層の部分領域と前記超電導層の部分領域とが混在する混在領域が形成されていることが好ましい。
前記混在領域の断面視において、酸化物超電導線材の幅方向又は長手方向の長さ(L)に対する前記超電導層と前記保護層との界面長さ(Li)の比率(Li/L)は.03~1.56の範囲であることが好ましい。
前記混在領域における前記超電導層と前記保護層との前記界面の少なくとも一部は、前記超電導層の酸化物超電導体の結晶のab面に沿う方向と交差することが好ましい。
本発明の一態様は、前記酸化物超電導積層体の外周に安定化層が形成されている酸化物超電導線材を提供する。
本発明の一態様は、前記酸化物超電導線材を有する接続構造体を提供する。
本発明の一態様によれば、接続部における接続抵抗を低減できる酸化物超電導積層体、酸化物超電導線材および接続構造体を提供することができる。
実施形態に係る酸化物超電導線材の断面図である。 酸化物超電導層および保護層の断面の一部を示す模式図である。 酸化物超電導層および保護層の断面の一部を示す図である。 実施形態に係る酸化物超電導線材を用いた接続構造体を示す断面図である。 (A)比較例の酸化物超電導層および保護層の断面の画像である。(B)(A)を拡大した画像である。
以下、本発明の実施形態に係る酸化物超電導積層体および酸化物超電導線材について、図面を参照して詳細に説明する。説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするため、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
[酸化物超電導積層体および酸化物超電導線材]
実施形態に係る酸化物超電導積層体および酸化物超電導線材について、図1を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る酸化物超電導積層体5および酸化物超電導線材10を示す断面図である。図1は、酸化物超電導積層体5および酸化物超電導線材10の長さ方向に直交する断面を示す図である。
酸化物超電導線材10は、酸化物超電導積層体5と、安定化層6とを備えている。
酸化物超電導積層体5は、金属基板1と、中間層2と、酸化物超電導層3と、保護層4とを備える。酸化物超電導積層体5は、金属基板1上に中間層2を介して酸化物超電導層3および保護層4が形成された構造を有する。すなわち、酸化物超電導積層体5は、金属基板1の一方の面に、中間層2、酸化物超電導層3、および保護層4がこの順に積層された構成を有する。酸化物超電導積層体5は「積層体」の一例である。
酸化物超電導積層体5は、テープ状に形成されている。Y方向は、酸化物超電導積層体5の厚さ方向であり、金属基板1、中間層2、酸化物超電導層3、保護層4が積層される方向である。X方向は、酸化物超電導積層体5の幅方向であり、酸化物超電導積層体5の長さ方向および厚さ方向に直交する方向である。
金属基板1は、金属で形成されている。金属基板1を構成する金属の具体例として、ハステロイ(登録商標)などのニッケル合金;ステンレス鋼;ニッケル合金に集合組織を導入した配向Ni-W合金などが挙げられる。金属基板1の厚さは、目的に応じて適宜調整すればよく、例えば10~500μmの範囲である。金属基板1の一方の面(中間層2が形成された面)を第1主面1aといい、第1主面1aと反対の面を第2主面1bという。金属基板1は「基板」の一例である。第1主面1aは「主面」の一例である。
中間層2は、金属基板1と酸化物超電導層3との間に設けられる。中間層2は、金属基板1の第1主面1aに形成される。中間層2は、多層構成でもよく、例えば金属基板1側から酸化物超電導層3側に向かう順で、拡散防止層、ベッド層、配向層、キャップ層等を有してもよい。これらの層は必ずしも1層ずつ設けられるとは限らず、一部の層を省略する場合や、同種の層を2以上繰り返し積層する場合もある。なお、中間層2は、酸化物超電導線材10において必須な構成ではなく、金属基板1自体が配向性を備えている場合は中間層2が形成されていなくてもよい。
拡散防止層は、金属基板1の成分の一部が拡散し、不純物として酸化物超電導層3側に混入することを抑制する機能を有する。拡散防止層は、例えば、Si、Al、GZO(GdZr)等から構成される。拡散防止層の厚さは、例えば10~400nmである。
拡散防止層の上には、金属基板1と酸化物超電導層3との界面における反応を低減し、その上に形成される層の配向性を向上するためにベッド層を形成してもよい。ベッド層の材質としては、例えばY、Er、CeO、Dy、Eu、Ho、La等が挙げられる。ベッド層の厚さは、例えば10~100nmである。
配向層は、その上のキャップ層の結晶配向性を制御するために2軸配向する物質から形成される。配向層の材質としては、例えば、GdZr、MgO、ZrO-Y(YSZ)、SrTiO、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等の金属酸化物を例示することができる。配向層はIBAD(Ion-Beam-Assisted Deposition)法で形成することが好ましい。
キャップ層は、上述の配向層の表面に成膜されて、結晶粒が面内方向に自己配向し得る材料からなる。キャップ層の材質としては、例えば、CeO、Y、Al、Gd、ZrO、YSZ、Ho、Nd、LaMnO等が挙げられる。キャップ層の厚さは、50~5000nmの範囲が挙げられる。
酸化物超電導層3は、酸化物超電導体から構成される。酸化物超電導体としては、特に限定されないが、例えば一般式REBaCu(RE123)で表されるRE-Ba-Cu-O系酸化物超電導体(REBCO系酸化物超電導体)が挙げられる。希土類元素REとしては、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうちの1種又は2種以上が挙げられる。中でも、Y、Gd、Eu、Smの1種か、又はこれら元素の2種以上の組み合わせが好ましい。一般に、Xは、7-x(酸素欠損量x:約0~1程度)である。酸化物超電導層3の厚さは、例えば0.5~5μm程度である。この厚さは、長手方向に均一であることが好ましい。酸化物超電導層3は、中間層2の主面2a(金属基板1側とは反対の面)に形成されている。
酸化物超電導層3は「超電導層」の一例である。酸化物超電導層3は、中間層2を介して金属基板1の第1主面1a上に設けられる。
保護層4は、事故時に発生する過電流をバイパスしたり、酸化物超電導層3と保護層4の上に設けられる層との間で起こる化学反応を抑制する等の機能を有する。保護層4の材質としては、例えば銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、金と銀との合金、その他の銀合金、銅合金、金合金などが挙げられる。保護層4は、少なくとも酸化物超電導層3の主面3a(中間層2側とは反対の面)を覆っている。保護層4は、酸化物超電導層3の主面3aに接している。保護層4の厚さは、特に限定されないが、例えば1~100μm程度が挙げられる。
5aは酸化物超電導積層体5の第1主面(保護層4の主面4a)である。第1主面5aは、酸化物超電導積層体5の、酸化物超電導層3が形成された側の面である。5bは酸化物超電導積層体5の側面(金属基板1の側面、中間層2の側面、酸化物超電導層3の側面、および保護層4の側面)である。5cは、第1主面5aとは反対の面であって、酸化物超電導積層体5の第2主面(金属基板1の第2主面1b)である。第2主面5cは、酸化物超電導積層体5の、金属基板1が形成された側の面である。
安定化層6は、酸化物超電導積層体5の第1主面5a、側面5b,5bおよび第2主面5cを覆う。安定化層6は、酸化物超電導積層体5の外周を囲んで形成されている。安定化層6は、酸化物超電導層3が常電導状態に転移した時に発生する過電流を転流させるバイパス部としての機能を有する。
安定化層6の構成材料としては、銅、銅合金(例えばCu-Zn合金、Cu-Ni合金等)、アルミニウム、アルミニウム合金、銀等の金属が挙げられる。安定化層6の厚さは、例えば10~300μm程度である。安定化層6は、めっき法(例えば電解めっき法)によって形成することができる。
図2は、酸化物超電導積層体5の酸化物超電導層3および保護層4の断面の一部を示す模式図である。図2は、保護層4の厚さ方向に沿う断面(酸化物超電導線材10の長さ方向に直交する断面)を示す。図2に示すように、「7」は酸化物超電導層3と保護層4との界面である。図2の模式図に示すように、酸化物超電導層3と保護層4との界面7は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察することができる。酸化物超電導線材10の断面をTEMで観察するときには、任意の倍率に拡大して観察することができる。例えば、図2に示される酸化物超電導層3と保護層4との断面図は、描画領域の幅が1μmであり、直線状の界面7の全長も1μmである。
保護層4の内部には、1または複数の空隙が形成されている。空隙は、界面7と接していてもよいし、界面7と接していなくてもよい。空隙内には、空気、酸素、有機化合物ガスなどの気体が存在していてもよい。
保護層4の内部に、界面7と接する空隙がある場合、その数は、界面7の長さ1μmあたり12個未満である。これにより、酸化物超電導層3と保護層4との接触面積の低下を抑制できる。そのため、酸化物超電導層3と保護層4との間の界面抵抗を小さくできる。界面7と接する空隙がある場合、その空隙においては、酸化物超電導層3と保護層4とは電気的に非接触である。そのため、界面7と接する空隙の数は少ないほど界面抵抗を小さくすることができる。界面7と接する空隙の数は、界面7の長さ1μmあたり0個、または3個以上12個未満が好ましい。界面7と接する空隙の数が界面7の長さ1μmあたり0個、または3個以上12個未満であると、酸化物超電導層3と保護層4との間の界面抵抗を小さくできる。界面7と接する空隙が0個である場合は、図2において、界面7の全長が酸化物超電導層3に接する。
図2において、保護層4は、次に示す(i)と(ii)のうちいずれかの形態をとる。(i)界面7と接する空隙が0個である(すなわち、界面7の全長が酸化物超電導層3に接している)。(ii)界面7と接する空隙が、界面7の長さ1μmあたり0個を越え、12個未満である。
界面7と接する空隙の数は、酸化物超電導層3と保護層4との界面を視野に含む断面の複数の観察像(例えば、数μm四方の視野範囲のTEM画像)における空隙数の平均値であってよい。界面7と接する空隙の数は、例えば、3以上の観察像における空隙数の平均値であってよい。界面7と接する空隙の数は、例えば、3μm以上の長さの界面7について、界面7の長さ1μmあたりの平均数であってもよい。
図2に示す例では、保護層4の内部に形成された空隙V1~V8は、界面7と接している。そのため、界面7と接する空隙の数は、界面7の長さ1μmあたり8個である。なお、空隙V9~V16は界面7に接していないため、「界面7と接する空隙の数」には算入されない。
界面7と接する空隙のサイズ(界面7の長さ方向の寸法)は、特に限定されない。酸化物超電導層3と保護層4との間の界面抵抗に影響を与え得る空隙のサイズは、例えば、0.1nm以上である。空隙のサイズは、例えば、100nm以下である。空隙のサイズとしては、11.0nm~70.2nmを例示できる。界面7の長さ方向は、保護層4の厚さ方向に直交する方向(図2において左右方向)である。
図2では、空隙V1~V8の形状は半円形状であるが、界面7と接する空隙の形状は特に限定されない。保護層4の断面における空隙の形状は、弓形状、円形状、楕円形状などでもよい。空隙の立体形状は、例えば、半球状である。
図3は、酸化物超電導積層体5の酸化物超電導層3および保護層4の断面の一部を示す図である。図3において、図中に示した破線は、酸化物超電導層3と保護層4との界面7を示す。図3において、図中に示した破線の長さは、界面7の長さである。
図3に示すように、酸化物超電導層3と保護層4との間には、混在領域8が形成されていてもよい。混在領域8は、酸化物超電導層3の部分領域3Aと、保護層4の部分領域4Aと、が混在する領域である。
部分領域3Aは、酸化物超電導層3から保護層4内に突出する凸状部分であってもよいし、独立した島状であってもよい。部分領域4Aは、保護層4から酸化物超電導層3内に突出する凸状部分であってもよいし、独立した島状であってもよい。
図3に示されるように、混在領域8が形成されていると、酸化物超電導層3と保護層4との界面7は平坦面とはならない。界面7は、層3,4が上下に入り組んで形成されている。図3に示された界面7の長さ(破線の長さ)は、同図内のスケールバーから換算すると約5.6μmとなる。界面7の長さは、図3の画像の幅(約3.6μm)よりも長い。そのため、混在領域8が形成されていると、混在領域8が形成されていない平坦な界面の場合よりも酸化物超電導層3と保護層4との接触面積が大きくなる。したがって、酸化物超電導層3と保護層4との間の界面抵抗は低くなる。酸化物超電導層3と保護層4との接触面積は、酸化物超電導層3および保護層4の断面観察によって得られる界面7の長さと相関関係があると言える。たとえば、酸化物超電導層3および保護層4の断面を観察したとき、界面7が直線状である場合と、界面7が層3,4の厚さ方向に湾曲して観察される場合とを比較すると、後者(界面7が厚さ方向に湾曲して観察される場合)のほうが、接触面積が大きい。
また、酸化物超電導体を構成する結晶は電気的異方性をもつことから、混在領域8が形成されていると界面抵抗が低くなる理由として、次の推測が可能である。
酸化物超電導層3に含まれる酸化物超電導体は結晶性を有している。結晶のa軸とb軸は酸化物超電導層3の面方向に沿う。結晶のc軸は酸化物超電導層3の面方向に対して垂直な方向に沿う。a軸とb軸から構成される面(ab面)は、酸化物超電導層3の面方向(図3の左右方向)と一致する。酸化物超電導体は、ab面に沿う方向には電気が流れ易く、c軸方向には電気が流れにくいという性質をもつ。そのため、酸化物超電導層3と保護層4との界面7がab面に対して垂直であれば、酸化物超電導3と保護層4との間の界面抵抗は低くなると考えられる。酸化物超電導層3と保護層4との界面7がab面に対して平行であれば、酸化物超電導層3と保護層4との間の界面抵抗は高くなると考えられる。
混在領域8においては、酸化物超電導層3と保護層4とが互いに入り組んでいるため、混在領域8における酸化物超電導層3と保護層4との界面7の少なくとも一部は、酸化物超電導層3の酸化物超電導体の結晶のab面に沿う方向と交差する。よって、この界面においては界面抵抗を低くすることができる。
混在領域8における酸化物超電導層3と保護層4との界面7の少なくとも一部は、酸化物超電導体の結晶のab面に沿う方向と直交していてもよい。
混在領域8における酸化物超電導層3と保護層4との界面とは、例えば、部分領域3Aと保護層4との界面と、部分領域4Aと酸化物超電導層3との界面と、部分領域3Aと部分領域4Aとの界面とのうち、少なくとも一つである。
[酸化物超電導積層体および酸化物超電導線材の製造方法]
次に、酸化物超電導積層体および酸化物超電導線材10の製造方法の一例について説明する。なお、以下で説明する製造方法は一例であり、他の製造方法を採用してもよい。
図1に示すように、金属基板1上に中間層2を形成する。中間層2は、例えば、公知のIBAD法を用いて形成できる。
次に、中間層2上に酸化物超電導層3を形成する。酸化物超電導層3は、PLD法、MOCVD法などの蒸着法を用いて形成できる。
例えば、酸化物超電導層3は、第1工程と、第2工程とによって形成することができる。第1工程では、例えば、REBCO系材料で構成されたターゲットを用いたPLD法によって成膜を行う。第2工程では、例えば、REBCO系材料およびAgで形成されたターゲットを用いたPLD法によって成膜を行う。第2工程は、酸化物超電導体と、保護層4の材料とを含むターゲットを用いて蒸着を行う工程である。第2工程で用いるターゲットにおいてはAgの含有量は10~50vol%である。
PLD法における材料の蒸着速度は、例えば、PLD装置のレーザのパルス周波数、成膜時の雰囲気圧力などを調整することで適宜設定可能である。
第2工程のPLD法における蒸着速度を変更することで、保護層4、または超電導層3と保護層4との界面に含まれる空隙の数を調整できる。例えば、蒸着速度を大きくすれば、保護層4、または超電導層3と保護層4との界面に含まれる空隙の数が減少する傾向となる。逆に、蒸着速度を小さくすれば、保護層4、または超電導層3と保護層4との界面に含まれる空隙の数は増大する傾向となる。空隙のサイズは蒸着速度によらず概ね同程度である。
次に、酸化物超電導層3上に保護層4を形成する。保護層4は、スパッタ法等によって形成できる。これにより、酸化物超電導積層体5が得られる。この保護層4を形成することによって、上述した混在領域8が形成される。
次に、酸素アニール処理を行う。詳しくは、酸化物超電導積層体5を酸素雰囲気下(酸素含有ガスの存在下)で、例えば300~1000℃に加熱する。酸素含有ガスは、例えば、酸素ガス、空気などである。この酸素アニール処理は、保護層4を形成したあとに行ってもよいし、保護層4を形成する前(酸化物超電導層3を形成した後)に行ってもよい。
以上の工程によって、図1に示す酸化物超電導積層体5が得られる。
次に、酸化物超電導積層体5を得たあと、酸化物超電導積層体5の外周に安定化層6を形成する。安定化層6は、めっき法等により形成できる。
以上の工程によって、図1に示す酸化物超電導線材10を得る。
[接続構造体]
図4は、酸化物超電導線材10を用いた接続構造体20を示す断面図である。
図4に示すように、接続構造体20は、2つの酸化物超電導線材10が互いに接続されて構成されている。一方の酸化物超電導線材10の安定化層6と、他方の酸化物超電導線材10の安定化層6とは、はんだ層9を介して電気的に接続されている。
接続構造体20によれば、接続抵抗が低減された長尺の酸化物超電導線材を製造することができる。
図4に示された接続構造体20は、一方の酸化物超電導線材10の安定化層6と他方の酸化物超電導線材10の安定化層6とが、はんだ層9を介して接続された構造であるが、一方の酸化物超電導線材10の保護層4と、他方の酸化物超電導線材10の保護層4とが、はんだ層9を介して接続されていてもよい。または、一方の酸化物超電導線材10の保護層4と、他方の酸化物超電導線材10の安定化層6とが、はんだ層9を介して接続されていてもよい。一方の酸化物超電導線材10の安定化層6を部分的に除去して保護層4を露出させ、露出させた保護層4に対して他方の酸化物超電導線材10の保護層4または安定化層6をはんだ層9を介して接続することもできる。
図4に示す接続構造体20では、2つの酸化物超電導線材10が互いに接続されているが、接続構造体は、2つの酸化物超電導線材と、これらを中継する中継接続体である酸化物超電導線材とを備えた構造であってもよい。中継接続体のみに本実施形態の構成を採用した場合でも、接続抵抗を低くすることができる。
酸化物超電導線材10は、他の超電導線材に限らず、電極などの接続対象物に電気的に接続することもできる。その場合でも、酸化物超電導線材10と前記接続対象物との接続部において、接続抵抗を低くすることができる。
[実施形態の酸化物超電導積層体および酸化物超電導線材が奏する効果]
酸化物超電導積層体5および酸化物超電導線材10は、保護層4において界面7と接する空隙の数が少ないため、酸化物超電導層3と保護層4との接触面積を大きくできる。そのため、酸化物超電導層3と保護層4との間の界面抵抗を小さくできる。したがって、酸化物超電導積層体または酸化物超電導線材10を接続対象物(他の超電導線材、電極など)と接続したときに、接続部における電気抵抗を低くできる。
酸化物超電導積層体および酸化物超電導線材10では、接続部における電気抵抗が低いため、接続部で発生するジュール熱を小さくできる。酸化物超電導層3と保護層4との間の界面抵抗が小さいため、クエンチ時に酸化物超電導層3から保護層4へバイパス電流が流れやすくなる。
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、酸化物超電導積層体の構造は、図1に示す構造に限定されない。酸化物超電導積層体には、金属基板、中間層、酸化物超電導層、および保護層以外の層が含まれていてもよい。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
図1に示す酸化物超電導線材10のサンプルを次のようにして作製した。
ハステロイ(登録商標)で構成されるテープ状の金属基板1の一方の面(第1主面1a)に、IBAD法等を用いて中間層2を形成した。
中間層2の上に、第1工程と、第2工程とによって酸化物超電導層3を形成した。第1工程では、REBCO系材料(EuBaCu)で形成されたターゲットを用いたPLD法によって成膜を行った。第2工程では、REBCO系材料(EuBaCu)およびAgで形成されたターゲットを用いたPLD法によって成膜を行った。第2工程においては0.1Å/secの蒸着速度で成膜を行った。
酸化物超電導層3の上に、Agで構成される保護層4をスパッタ法により形成した。これにより酸化物超電導積層体5を得た。
酸化物超電導積層体5を酸素雰囲気下で500℃に加熱することによって、酸素アニール処理を行った。
酸化物超電導積層体5の外周に、銅めっきにより安定化層6を形成した。これにより酸化物超電導線材10を得た。
保護層4の厚さ方向に沿う断面のTEM観察を行い、断面のTEM画像から界面7と接する空隙の有無を確認した。空隙がある場合には、界面7の長さ1μmあたりの個数、および空隙のサイズ(界面7の長さ方向のサイズ)を調べた。実施例1においては、界面7の長さ1μmあたりの空隙の個数は7個であった。また、空隙のサイズは11.0nm~70.2nmの範囲であった。また、酸化物超電導層3と保護層4との接触面積の大小(大きさ)を定量的に評価するために、酸化物超電導線材10の幅方向または長手方向の長さ(L)に対する酸化物超電導層3と保護層4との界面長さ(L)の比率(L/L)を調べた。比率Li/Lの値が大きいほど、酸化物超電導層3と保護層4との接触面積が大きいと考えられる。界面長さLの測定方法は、酸化物超電導線材10の断面のTEM画像を画像処理ソフト「ImageJ」に取り込み、この画像処理ソフトの描画ツール、測長ツールを用いて、TEM画像に写った界面7の長さを計測した。L/Lの値は、酸化物超電導層3と保護層4との接触面積の大小(大きさ)を知るための代用指標となりうる。実施例1においては、比率Li/Lの値は1.03であった。
次に、接続抵抗率の評価にあたっては、2つの酸化物超電導積層体5を用意し、双方の保護層4同士をはんだ層9を介して電気的に接続し、77Kおよび4Kにおける接続抵抗率を求めた。結果を表1に示す。接続抵抗率は、測定によって得られた接続抵抗を接続面積で除することで求められる。接続抵抗の測定方法としては、4端子抵抗測定法を用いて測定することができる。その他、既知のインダクタンスLと求める回路抵抗Rを有する閉回路を構成し、減衰する電流の時間変化を測定することで接続抵抗を求める手法(減衰法)がある。表1に示した実施例・比較例サンプルでは、77kにおける接続抵抗率は4端子抵抗測定法を用いて測定した。4Kにおける接続抵抗率は減衰法を用いて測定した。
(実施例2)
酸化物超電導層3の形成の第2工程において、蒸着速度を0.2Å/secとしたこと以外は実施例1と同様にして酸化物超電導線材10を作製した。界面7の長さ1μmあたりの空隙の個数は3個であった。空隙のサイズは、20.1nm~65.4nmであった。比率Li/Lの値は1.12であった。結果を表1に示す。
(実施例3)
酸化物超電導層3の形成の第2工程において、蒸着速度を0.4Å/secとしたこと以外は実施例1と同様にして酸化物超電導線材10を作製した。界面7と接する空隙の数はゼロ個であった。比率Li/Lの値は1.56であった。結果を表1に示す。
(比較例)
第1工程のみで酸化物超電導層3を形成すること以外は実施例1と同様にして酸化物超電導線材10を作製した。
断面のTEM画像を図6(A)および図6(B)に示す。図6(B)は図6(A)を拡大した画像である。図6(B)に示すように、保護層4内に多数の空隙Vが確認された。界面7と接する空隙の数は、界面7の長さ1μmあたり12個であった。比率Li/Lの値は1.03であった。結果を表1に示す。
Figure 2023121990000002
表1に示すように、実施例1~3では、界面7と接する空隙は見られなかった。実施例1~3では、77Kおよび4Kにおける接続抵抗率が低く抑えられた。
これに対し、比較例では、界面7と接する空隙が観察された。比較例では、77Kおよび4Kにおける接続抵抗率が高かった。
1…金属基板(基板)、3…酸化物超電導層(超電導層)、3A…部分領域、4…保護層、4A…部分領域、5…酸化物超電導積層体、7…界面、8…混在領域、10…酸化物超電導線材、20…接続構造体、V,V1~V16…空隙。

Claims (9)

  1. 基板と、
    前記基板上に設けられ、酸化物超電導体により形成された超電導層と、
    前記超電導層上に、前記超電導層に接して設けられた保護層と、を備え、
    前記保護層の内部には空隙が形成されており、
    前記保護層に形成された前記空隙のうち、前記超電導層との界面と接する前記空隙の数は、前記保護層の厚さ方向に沿う断面において、前記界面の長さ1μmあたり12個未満である、
    酸化物超電導積層体。
  2. 前記界面と接する前記空隙の数は、前記界面の長さ1μmあたり0個である、
    請求項1記載の酸化物超電導積層体。
  3. 前記界面と接する前記空隙の数は、前記界面の長さ1μmあたり3個以上である、
    請求項1記載の酸化物超電導積層体。
  4. 前記界面と接する前記空隙の、前記界面の長さ方向のサイズは、11.0nm~70.2nmである、
    請求項3に記載の 酸化物超電導積層体。
  5. 前記超電導層と前記保護層との間に、前記保護層の部分領域と前記超電導層の部分領域とが混在する混在領域が形成されている、
    請求項1~4のうちいずれか1項に記載の酸化物超電導積層体。
  6. 前記混在領域の断面視において、酸化物超電導線材の幅方向又は長手方向の長さ(L)に対する前記超電導層と前記保護層との界面長さ(Li)の比率(Li/L)が1.03~1.56の範囲である、
    請求項5に記載の酸化物超電導積層体。
  7. 前記混在領域における前記超電導層と前記保護層との前記界面の少なくとも一部は、前記超電導層の酸化物超電導体の結晶のab面に沿う方向と交差する、
    請求項5または6に記載の酸化物超電導積層体。
  8. 請求項1~7のうちいずれか1項に記載の酸化物超電導積層体の外周に安定化層が形成されている、
    酸化物超電導線材。
  9. 請求項8に記載の酸化物超電導線材を有する、
    接続構造体。
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