JP2023119364A - 媒体搬送装置、媒体搬送方法及び制御プログラム - Google Patents

Abstract

【課題】載置台の上昇時に、利用者が着用する物体の損傷の発生を抑制することが可能な媒体搬送装置、媒体搬送方法及び制御プログラムを提供する。【解決手段】媒体搬送装置は、供給される電力に従ってトルクの設定を変更可能なモータと、上昇可能に設けられ、且つ、載置面を有する載置台と、載置台に載置された媒体のうち最も上側に載置された媒体に当接してその媒体を搬送するローラと、載置台に載置された媒体のうちの特定の数の媒体が搬送されるたびに、載置台に載置された媒体のうち最も上側に載置された媒体がローラと当接する位置に載置台が配置されるようにモータを制御する制御部と、載置面の位置を検出する検出部と、を有し、制御部は、載置面の位置が第１位置である場合、モータのトルクを第１トルクに設定し、且つ、載置面の位置が第１位置より上側の第２位置である場合、モータのトルクを第２トルクに設定する。【選択図】図９

Description

本発明は、載置台を有する媒体搬送装置、媒体搬送方法及び制御プログラムに関する。

載置台に載置された媒体を上側から順に搬送する、いわゆる上取り方式の媒体搬送装置では、載置台に載置された複数の媒体を連続して搬送できるように、一定数の媒体が搬送されるたびに載置台を上昇させる機能が開発されている。

用紙を積載する積載手段を昇降させる昇降手段を駆動する駆動モータに電流を供給する電源と、積載手段の上方に設けられ、昇降手段によって上昇させた積載手段に積載された用紙と当接する当接部材とを備えた用紙収容装置が開示されている（特許文献１を参照）。この用紙収容装置は、用紙が積載された積載手段を駆動モータにより駆動させた昇降手段によって上昇させた際に、駆動モータを流れる電流の値の検出結果に基づいて昇降手段による積載手段の上昇を停止させる。

シートが積載される積載手段を昇降させる駆動手段の昇降量の検知に基づいて、積載手段の現在位置が所定の位置であるか否かを検知するシート処理装置が開示されている（特許文献２を参照）。

特開２０１２－０１２１３８号公報 特開２００３－３００６５９号公報

媒体搬送装置の利用者が、ストラップ等を用いて、カードケース、通信機器、筆記具等の物体を首からかけている場合、それらの物体が媒体搬送装置の載置台上に載置されてしまう可能性がある。その場合、媒体搬送装置が載置台を上昇させる際に、それらの物体が装置の筐体と載置台との間の隙間に入り込んでしまい、筐体と載置台に挟まれて損傷する可能性がある。

本発明の目的は、載置台の上昇時に、利用者が着用する物体の損傷の発生を抑制することが可能な媒体搬送装置、媒体搬送方法及び制御プログラムを提供することにある。

本発明の一側面に係る媒体搬送装置は、供給される電力に従ってトルクの設定を変更可能なモータと、上昇可能に設けられ、且つ、載置面を有する載置台と、載置台に載置された媒体のうち最も上側に載置された媒体に当接してその媒体を搬送するローラと、載置台に載置された媒体のうちの特定の数の媒体が搬送されるたびに、載置台に載置された媒体のうち最も上側に載置された媒体がローラと当接する位置に載置台が配置されるようにモータを制御する制御部と、載置面の位置を検出する検出部と、を有し、制御部は、載置面の位置が第１位置である場合、モータのトルクを第１トルクに設定し、且つ、載置面の位置が第１位置より上側の第２位置である場合、モータのトルクを第１トルクより小さい第２トルクに設定する。

本発明の一側面に係る媒体搬送方法は、上昇可能に設けられ、且つ、載置面を有する載置台に載置された媒体のうちの特定の数の媒体が搬送されるたびに、載置台に載置された媒体のうち最も上側に載置された媒体が、その媒体を搬送するローラと当接する位置に載置台が配置されるように、供給される電力に従ってトルクの設定を変更可能なモータを制御し、載置面の位置を検出することを含み、制御において、載置面の位置が第１位置である場合、モータのトルクを第１トルクに設定し、且つ、載置面の位置が第１位置より上側の第２位置である場合、モータのトルクを第１トルクより小さい第２トルクに設定する。

本発明の一側面に係る制御プログラムは、供給される電力に従ってトルクの設定を変更可能なモータと、上昇可能に設けられ、且つ、載置面を有する載置台と、載置台に載置された媒体のうち最も上側に載置された媒体に当接してその媒体を搬送するローラと、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、載置台に載置された媒体のうちの特定の数の媒体が搬送されるたびに、載置台に載置された媒体のうち最も上側に載置された媒体がローラと当接する位置に載置台が配置されるようにモータを制御し、載置面の位置を検出する、ことを媒体搬送装置に実行させ、制御において、載置面の位置が第１位置である場合、モータのトルクを第１トルクに設定し、且つ、載置面の位置が第１位置より上側の第２位置である場合、モータのトルクを第１トルクより小さい第２トルクに設定する。

本発明によれば、媒体搬送装置、媒体搬送方法及び制御プログラムは、載置台の上昇時に、利用者が着用する物体の損傷の発生を抑制することが可能となる。

媒体搬送装置１００を示す斜視図である。 媒体搬送装置１００を示す斜視図である。 媒体搬送装置１００内部の搬送経路を説明するための図である。 載置台１０３の駆動機構等について説明するための模式図である ステッピングモータのトルクについて説明するためのグラフである。 ピックローラ１１３等について説明するための模式図である。 媒体搬送装置１００の概略構成を示すブロック図である。 記憶装置１４０及び処理回路１５０の概略構成を示す図である。 媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。 媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。 隙間について説明するための模式図である。 隙間について説明するための模式図である。 他のサイドガイド２０４について説明するための模式図である。 他のサイドガイド２０４について説明するための模式図である。 他の実施形態に係る処理回路３５０の概略構成を示す図である。

以下、本発明の一側面に係る媒体搬送装置、媒体搬送方法及び制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。

図１及び図２は、イメージスキャナとして構成された媒体搬送装置１００を示す斜視図である。媒体搬送装置１００は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙又はカード等である。媒体搬送装置１００は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機（ＭＦＰ、Multifunction Peripheral）等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体搬送装置１００はプリンタ等でもよい。

図１及び図２において矢印Ａ１は略鉛直方向（高さ方向）を示し、矢印Ａ２は媒体搬送方向を示し、矢印Ａ３は媒体排出方向を示し、矢印Ａ４は媒体搬送方向Ａ２又は媒体排出方向Ａ３と直交する幅方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向Ａ２又は媒体排出方向Ａ３の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向Ａ２又は媒体排出方向Ａ３の下流のことをいう。

媒体搬送装置１００は、第１筐体１０１、第２筐体１０２、載置台１０３、サイドガイド１０４、排出台１０５、操作装置１０６及び表示装置１０７等を備える。

第１筐体１０１及び第２筐体１０２は、筐体の一例である。第２筐体１０２は、第１筐体１０１の内側に配置され、媒体つまり時、又は、媒体搬送装置１００内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより第１筐体１０１に回転可能に係合している。

載置台１０３は、いわゆるホッパであり、載置面１０３ａを有し、搬送される媒体を載置可能に第１筐体１０１に係合している。載置台１０３は、第１筐体１０１及び第２筐体１０２の媒体供給側の側面に、高さ方向Ａ１に移動可能に、即ち上昇及び下降可能に設けられる。図１に示すように、載置台１０３は、媒体を搬送していないときは媒体が容易に載置されるように下端の位置に配置される。以下では、図１に示すように、媒体が搬送されておらず且つ利用者が媒体を載置可能な載置台１０３の位置を初期位置と称する場合がある。一方、図２に示すように、載置台１０３は、媒体を搬送するときは最も上側に載置された媒体が、後述するピックローラと当接する位置まで上昇する。なお、図２では、視認性を高めるために、媒体の表示は省略されている。以下では、図２に示すように、最も上側に載置された媒体がピックローラと当接し且つ媒体を搬送可能な載置台１０３の位置を搬送位置と称する場合がある。

サイドガイド１０４は、載置台１０３の載置面１０３ａ上に、幅方向Ａ４に移動可能に設けられる。サイドガイド１０４は、載置台１０３に載置された媒体の幅に合わせて位置決めされ、媒体の幅方向を規制する。図１に示す例では、二つのサイドガイド１０４が、幅方向Ａ４に間隔を空けて配置されている。サイドガイド１０４の数は一つでもよい。

排出台１０５は、第２筐体１０２上に形成される。排出台１０５は、第１筐体１０１及び第２筐体１０２の排出口から排出された媒体を載置する。

操作装置１０６は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置１０７は、液晶、有機ＥＬ（Electro-Luminescence）等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。なお、表示装置１０７は、タッチパネル機能付きの液晶ディスプレイでもよい。その場合、操作装置１０６は、タッチパネルから入力信号を取得するインタフェース回路を有する。

図３は、媒体搬送装置１００内部の搬送経路を説明するための図である。

媒体搬送装置１００内部の搬送経路は、第１媒体センサ１１１、載置台センサ１１２、ピックローラ１１３、ピックローラセンサ１１４、給送ローラ１１５、分離ローラ１１６、第１～第６搬送ローラ１１７ａ～ｆ、第１～第６従動ローラ１１８ａ～ｆ、第２媒体センサ１１９及び撮像装置１２０等を有している。

なお、ピックローラ１１３、給送ローラ１１５、分離ローラ１１６、第１～第６搬送ローラ１１７ａ～ｆ及び／又は第１～第６従動ローラ１１８ａ～ｆのそれぞれの数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数の給送ローラ１１５、分離ローラ１１６、第１～第６搬送ローラ１１７ａ～ｆ及び／又は第１～第６従動ローラ１１８ａ～ｆは、それぞれ幅方向Ａ４に間隔を空けて並べて配置される。

第１筐体１０１の、第２筐体１０２と対向する面は媒体搬送路の第１ガイド１０１ａを形成し、第２筐体１０２の、第１筐体１０１と対向する面は媒体搬送路の第２ガイド１０２ａを形成する。

第１媒体センサ１１１は、載置台１０３に、即ち給送ローラ１１５及び分離ローラ１１６より上流側に配置され、載置台１０３における媒体の載置状態を検出する。第１媒体センサ１１１は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサにより、載置台１０３に媒体が載置されているか否かを判別する。第１媒体センサ１１１は、載置台１０３に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第１媒体信号を生成して出力する。なお、第１媒体センサ１１１は接触検知センサに限定されず、第１媒体センサ１１１として、光検知センサ等の、媒体の有無を検出可能な他の任意のセンサが使用されてもよい。

ピックローラ１１３は、ローラの一例である。ピックローラ１１３は、第２筐体１０２に設けられ、媒体搬送路と略同一の高さまで上昇した載置台１０３に載置された媒体のうち最も上側に載置された媒体に当接して、その媒体を下流側に向けて搬送する。

給送ローラ１１５は、第２筐体１０２内に、ピックローラ１１３より下流側に設けられ、載置台１０３に載置されてピックローラ１１３により給送された媒体をさらに下流側に向けて給送する。分離ローラ１１６は、第１筐体１０１内に、給送ローラ１１５と対向して設けられる。分離ローラ１１６は、いわゆるブレーキローラ又はリタードローラであり、媒体給送方向の反対方向に回転可能に又は停止可能に設けられる。給送ローラ１１５及び分離ローラ１１６は、媒体の分離動作を行い、媒体を分離して一枚ずつ給送する。給送ローラ１１５は、分離ローラ１１６に対して上側に配置されており、媒体搬送装置１００は、いわゆる上取り方式により媒体を給送する。

第１～第６搬送ローラ１１７ａ～ｆ及び第１～第６従動ローラ１１８ａ～ｆは、給送ローラ１１５及び分離ローラ１１６より下流側に、それぞれ相互に対向して設けられ、給送ローラ１１５及び分離ローラ１１６により給送された媒体を下流側に向けて搬送する。第６搬送ローラ１１７ｆ及び第６従動ローラ１１８ｆは、媒体を排出台１０５に排出する。

第２媒体センサ１１９は、その配置位置に搬送された媒体を検出する。第２媒体センサ１１９は、媒体搬送方向Ａ２において第２搬送ローラ１１７ｂより下流側、即ち給送ローラ１１５より下流側に、且つ撮像装置１２０より上流側に配置される。第２媒体センサ１１９は、媒体搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、媒体搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられた導光管とを含む。発光器は、ＬＥＤ（Light Emitting Diode）等であり、媒体搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、フォトダイオード等であり、発光器により照射され、導光管により導かれた光を受光する。第２媒体センサ１１９は、受光器が受光する光の強度に基づいて、第２媒体センサ１１９の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第２媒体信号を生成して出力する。

なお、第２媒体センサ１１９は、第２搬送ローラ１１７ｂ又は第１搬送ローラ１１７ａより上流側に配置されてもよい。また、導光管の代わりに、ミラー等の反射部材が使用されてもよい。また、発光器及び受光器は、媒体搬送路を挟んで対向して設けられてもよい。また、第２媒体センサ１１９は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサ等により、媒体の存在を検出してもよい。

撮像装置１２０は、媒体搬送方向Ａ２において、第１～第２搬送ローラ１１７ａ～ｂより下流側に配置され、第１～第２搬送ローラ１１７ａ～ｂ及び第１～第２従動ローラ１１８ａ～ｂにより搬送された媒体を撮像する。撮像装置１２０は、媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置された第１撮像装置１２０ａ及び第２撮像装置１２０ｂを含む。

第１撮像装置１２０ａは、主走査方向に直線状に配列されたＣＭＯＳ（Complementary Metal Oxide Semiconductor）による撮像素子を有する等倍光学系タイプのＣＩＳ（Contact Image Sensor）によるラインセンサを有する。また、第１撮像装置１２０ａは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ／デジタル（Ａ／Ｄ）変換するＡ／Ｄ変換器とを有する。第１撮像装置１２０ａは、搬送される媒体の表面を撮像して入力画像を生成し、出力する。

同様に、第２撮像装置１２０ｂは、主走査方向に直線状に配列されたＣＭＯＳによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのＣＩＳによるラインセンサを有する。また、第２撮像装置１２０ｂは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ／デジタル（Ａ／Ｄ）変換するＡ／Ｄ変換器とを有する。第２撮像装置１２０ｂは、搬送される媒体の裏面を撮像して入力画像を生成し、出力する。

なお、媒体搬送装置１００は、第１撮像装置１２０ａ及び第２撮像装置１２０ｂを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、ＣＭＯＳによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのＣＩＳによるラインセンサの代わりに、ＣＣＤ（Charge Coupled Device）による撮像素子を備える等倍光学系タイプのＣＩＳによるラインセンサが利用されてもよい。また、ＣＭＯＳ又はＣＣＤによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。

載置台１０３に載置された媒体は、ピックローラ１１３、給送ローラ１１５がそれぞれ媒体給送方向Ａ５、Ａ６に回転することによって、第１ガイド１０１ａと第２ガイド１０２ａの間を媒体搬送方向Ａ２に向かって搬送される。媒体搬送装置１００は、給送モードとして、媒体を分離しながら給送する分離モードと、媒体を分離せずに給送する非分離モードとを有する。給送モードは、利用者により操作装置１０６又は媒体搬送装置１００と通信接続する情報処理装置を用いて設定される。給送モードが分離モードに設定されている場合、分離ローラ１１６は、矢印Ａ７の方向、即ち媒体給送方向の反対方向に回転又は停止する。これにより、分離された媒体以外の媒体の給送が制限される（重送の防止）。一方、給送モードが非分離モードに設定されている場合、分離ローラ１１６は、矢印Ａ７の反対方向、即ち媒体給送方向に回転する。

媒体は、第１ガイド１０１ａと第２ガイド１０２ａによりガイドされながら、第１～第２搬送ローラ１１７ａ～ｂが矢印Ａ８～９の方向に回転することによって、撮像装置１２０の撮像位置に送り込まれ、撮像装置１２０によって撮像される。さらに、媒体は、第３～第６搬送ローラ１１７ｃ～ｆがそれぞれ矢印Ａ１０～１３の方向に回転することによって排出台１０５上に排出される。

図４は、載置台１０３の駆動機構及び載置台センサ１１２について説明するための模式図である。

図４に示すように、媒体搬送装置１００は、さらに第１モータ１２１及び伝達機構１２２を有する。

第１モータ１２１は、モータの一例であり、後述する処理回路からの制御信号によって、載置台１０３を上昇させるための第１駆動力、及び、載置台１０３を下降させるための第２駆動力を発生させる。第１モータ１２１は、供給される電力に従ってトルクの設定を変更可能に設けられる。第１モータ１２１は、例えばステッピングモータである。

図５は、ステッピングモータのトルクについて説明するためのグラフである。

図５の横軸はステッピングモータの駆動周波数［Ｈｚ］を示し、縦軸は各駆動周波数でステッピングモータを駆動したときのステッピングモータのトルク［ｍＮｍ］を示す。グラフ５０１は、ステッピングモータに供給する電流が１．８Ａであるときのステッピングモータのトルクを示し、グラフ５０２は、ステッピングモータに供給する電流が０．８Ａであるときのステッピングモータのトルクを示す。図５に示すように、ステッピングモータの駆動周波数が大きいほど、即ちステッピングモータの回転速度が高い（速い）ほど、ステッピングモータのトルクは小さくなる。逆に、ステッピングモータの駆動周波数が小さいほど、即ちステッピングモータの回転速度が低い（遅い）ほど、ステッピングモータのトルクは大きくなる。

また、ステッピングモータに供給される電流量が大きいほど、即ちステッピングモータに供給される電力量が大きいほど、ステッピングモータのトルクは大きくなる。逆に、ステッピングモータに供給される電流量が小さいほど、即ちステッピングモータに供給される電力量が小さいほど、ステッピングモータのトルクは小さくなる。したがって、媒体搬送装置１００は、第１モータ１２１に供給される電力量を変更することにより、第１モータ１２１のトルクを変更することができる。媒体搬送装置１００は、第１モータ１２１に供給される電力量を大きくすることにより、第１モータ１２１のトルクを大きくして、載置台１０３を移動させる際に載置台１０３に付与される力を大きくすることができる。一方、媒体搬送装置１００は、第１モータ１２１に供給される電力量を小さくすることにより、第１モータ１２１のトルクを小さくして、載置台１０３を移動させる際に載置台１０３に付与される力を小さくすることができる。

なお、第１モータ１２１は、供給される電力に従ってトルクの設定を変更可能なモータであれば、ＤＣ（Direct-Current）モータ等の、ステッピングモータ以外のモータでもよい。

伝達機構１２２は、第１モータ１２１からの駆動力を載置台１０３に伝達する。伝達機構１２２は、ベルト１２３、第１～第５ギア１２４ａ～１２４ｅ及びラック１２５等を有する。

第１モータ１２１の回転軸と、第１ギア１２４ａのプーリ部分との間には、ベルト１２３が張架される。第１ギア１２４ａのギア部分は、第２ギア１２４ｂの大きい方のギア部分と歯合される。第２ギア１２４ｂの小さい方のギア部分は、第３ギア１２４ｃの大きい方のギア部分と歯合される。第３ギア１２４ｃの小さい方のギア部分は、第４ギア１２４ｄと歯合される。第４ギア１２４ｄは、第５ギア１２４ｅの大きい方のギア部分と歯合される。第５ギア１２４ｅの小さい方のギア部分は、ピニオンとして機能し、ラック１２５と歯合される。即ち、第１～第３、第５ギア１２４ａ～１２４ｃ、１２４ｅは減速ギアとして機能する。ラック１２５は、歯切りされた面が、第５ギア１２４ｅの小さい方のギア部分と対向し、且つ、高さ方向Ａ１に沿って延伸するように、載置台１０３の下流側端部に固定される。ラック１２５は、高さ方向Ａ１に沿って形成された不図示のレール等の案内部に沿って、上下に移動可能に設けられる。

伝達機構１２２は、幅方向Ａ４の両端部にそれぞれ設けられる。これにより、媒体搬送装置１００は、載置台１０３を安定して移動させることができる。なお、伝達機構１２２は、幅方向Ａ４の一方の端部にのみ設けられてもよい。これにより、媒体搬送装置１００は、伝達機構１２２の部品数を少なくして装置コスト及び装置重量を低減させることができる。

第１モータ１２１が第１駆動力を発生させた場合、ベルト１２３が矢印Ａ２１の方向に回転する。それに伴い、第１～第５ギア１２４ａ～１２４ｅがそれぞれ矢印Ａ２１～Ａ２５の方向に回転し、ラック１２５が上昇して、載置台１０３が上昇する。一方、第１モータ１２１が第２駆動力を発生させた場合、ベルト１２３が矢印Ａ２１の反対方向に回転する。それに伴い、第１～第５ギア１２４ａ～１２４ｅがそれぞれ矢印Ａ２１～Ａ２５の反対方向に回転し、ラック１２５が下降して、載置台１０３が下降する。このように、伝達機構１２２は、第１モータ１２１からの駆動力を載置台１０３に伝達する。

また、載置台１０３の下流側の端部には、遮蔽部材１２６が、下流側に向けて突出するように配置される。遮蔽部材１２６は、載置台１０３が初期位置に配置された場合に載置台センサ１１２と対向し、且つ、載置台１０３が初期位置に配置されていない場合に載置台センサ１１２と対向しない位置に配置される。載置台センサ１１２は、遮蔽部材１２６を挟んで相互に対向して配置された発光器及び受光器を含む。発光器は、ＬＥＤ等であり、受光器に向けて光を照射する。一方、受光器は、フォトダイオード等であり、発光器により照射された光を受光する。載置台センサ１１２は、受光器が受光する光の強度に基づいて、載置台センサ１１２の位置に遮蔽部材１２６が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第１検出信号を生成して出力する。載置台センサ１１２は、載置台１０３が初期位置に配置されている状態と、載置台１０３が初期位置に配置されていない状態とで、第１検出信号の信号値が変化するように設けられる。

図６は、ピックローラ１１３及びピックローラセンサ１１４について説明するための模式図である。

図６に示すように、媒体搬送装置１００は、さらにアーム１２７を有する。アーム１２７は、媒体搬送方向Ａ２に沿って延伸し且つ下流側端部１２７ａを中心に回転（揺動）可能に、第２筐体１０２に設けられる。アーム１２７の上流側端部１２７ｂには、ピックローラ１１３が取り付けられる。アーム１２７の上方には、付勢部材１２７ｃが取り付けられる。付勢部材１２７ｃは、ねじりコイルばね等のばね部材、又は、ゴム部材等であり、アーム１２７に下方に向かう付勢力を付与する。なお、付勢部材１２７ｃは省略され、アーム１２７には自重により下方に向かう力のみが付与されてもよい。

アーム１２７が下方に向けて付勢されることにより、ピックローラ１１３は、載置台１０３に載置された媒体を下方に押圧しながら、媒体を適切に搬送することができる。また、アーム１２７が高さ方向Ａ１に移動可能に設けられることにより、ピックローラ１１３は、媒体と当接していない場合には最も下方の位置に配置され、載置台１０３に載置された媒体と当接している場合にはその媒体によって押し上げられる。これにより、載置台１０３に載置される媒体のうち最も上側に載置された媒体の位置（高さ）が、ある程度変化しても、ピックローラ１１３は、最も上側に載置された媒体に適切に接触してその媒体を搬送させることができる。したがって、媒体搬送装置１００は、媒体を一枚給送するたびに載置台１０３を移動させる必要がなく、媒体読取処理にかかる処理時間を短くすることができる。

ピックローラセンサ１１４は、アーム１２７を挟んで相互に対向して配置された発光器及び受光器を含む。発光器は、ＬＥＤ等であり、受光器に向けて光を照射する。一方、受光器は、フォトダイオード等であり、発光器により照射された光を受光する。ピックローラセンサ１１４は、受光器が受光する光の強度に基づいて、ピックローラセンサ１１４の位置にアーム１２７が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第２検出信号を生成して出力する。ピックローラセンサ１１４は、ピックローラ１１３が最も下方の位置に配置されている状態と、ピックローラ１１３が載置台１０３に載置された媒体により押し上げられている状態とで、第２検出信号の信号値が変化するように設けられる。

図７は、媒体搬送装置１００の概略構成を示すブロック図である。

媒体搬送装置１００は、前述した構成に加えて、第２モータ１３１、インタフェース装置１３２、記憶装置１４０及び処理回路１５０等をさらに有する。

第２モータ１３１は、一又は複数のモータを含む。第２モータ１３１は、処理回路１５０からの制御信号によって、ピックローラ１１３、給送ローラ１１５、分離ローラ１１６、第１～第６搬送ローラ１１７ａ～ｆを回転させて媒体を搬送させる。なお、第１～第６従動ローラ１１８ａ～ｆは、第１～第６搬送ローラ１１７ａ～ｆに従動回転するのでなく、第２モータ１３１の駆動力に従って回転するように設けられてもよい。

インタフェース装置１３２は、例えばＵＳＢ等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置（例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等）と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置１３２の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線ＬＡＮ（Local Area Network）である。通信部は、有線ＬＡＮ等の通信プロトコルに従って、有線通信回線を通じて信号の送受信を行うための有線通信インタフェース回路を有してもよい。

記憶装置１４０は、ＲＡＭ（Random Access Memory）、ＲＯＭ（Read Only Memory）等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置１４０には、媒体搬送装置１００の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置１４０にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばＣＤ－ＲＯＭ（compact disc read only memory）、ＤＶＤ－ＲＯＭ（digital versatile disc read only memory）等である。

処理回路１５０は、予め記憶装置１４０に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路は、例えばＣＰＵ（Central Processing Unit）である。処理回路１５０として、ＤＳＰ（digital signal processor）、ＬＳＩ（large scale integration）、ＡＳＩＣ（Application Specific Integrated Circuit）、ＦＰＧＡ（Field-Programmable Gate Array）等が用いられてもよい。

処理回路１５０は、操作装置１０６、表示装置１０７、第１媒体センサ１１１、載置台センサ１１２、ピックローラセンサ１１４、第２媒体センサ１１９、撮像装置１２０、第１モータ１２１、第２モータ１３１、インタフェース装置１３２及び記憶装置１４０等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路１５０は、各センサから受信した信号に基づいて、第１モータ１２１及び第２モータ１３１の駆動制御、撮像装置１２０の撮像制御等を行う。処理回路１５０は、撮像装置１２０から入力画像を取得し、インタフェース装置１３２を介して情報処理装置に送信する。

図８は、記憶装置１４０及び処理回路１５０の概略構成を示す図である。

図８に示すように、記憶装置１４０には、制御プログラム１４１及び検出プログラム１４２等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路１５０は、記憶装置１４０に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、処理回路１５０は、制御部１５１及び検出部１５２として機能する。

図９及び図１０は、媒体搬送装置１００の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。

以下、図９及び図１０に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置１００の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置１４０に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路１５０により媒体搬送装置１００の各要素と協働して実行される。図９及び図１０に示すフローチャートは、媒体搬送装置１００の電源起動時に実行される。

最初に、制御部１５１は、第１モータ１２１のトルクを初期トルクに設定する（ステップＳ１０１）。初期トルクは、載置台１０３を下降させることが可能な、十分に小さい大きさに予め設定される。初期トルクは、後述する第１トルク又は第２トルクより小さいトルクに設定される。制御部１５１は、第１モータ１２１に供給される電力（電流）量を初期トルクに対応する電力（電流）量に設定することにより、第１モータ１２１のトルクを初期トルクに設定する。

次に、制御部１５１は、第２駆動力を発生させるように第１モータ１２１を制御し、載置台１０３を下降させて初期位置に配置する（ステップＳ１０２）。制御部１５１は、載置台センサ１１２から定期的に第１検出信号を取得し、第１検出信号の信号値が、載置台１０３が初期位置に配置されていることを示す場合に、載置台１０３が初期位置に配置されたと判定する。

このように、制御部１５１は、媒体の搬送開始前に、載置台１０３を、利用者が媒体を載置するための初期位置に配置する。制御部１５１は、載置台１０３を初期位置に配置する場合、第１モータ１２１のトルクを初期トルクに設定する。載置台１０３を下降させる場合、載置台１０３にかかる重力に逆らって載置台１０３を移動させる必要がないため、媒体搬送装置１００は、十分に小さいトルクで載置台１０３を移動させることができる。制御部１５１は、載置台１０３を下降させる際に、第１モータ１２１に供給される電力量を小さくすることにより、媒体搬送装置１００の消費電力を低減させることができる。

次に、制御部１５１は、利用者により操作装置１０６又は情報処理装置を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置１０６又はインタフェース装置１３２から受信するまで待機する（ステップＳ１０３）。

次に、制御部１５１は、第１媒体センサ１１１から第１媒体信号を取得し、取得した媒体信号に基づいて、載置台１０３に媒体が載置されているか否かを判定する（ステップＳ１０４）。載置台１０３に媒体が載置されていない場合、制御部１５１は、ステップＳ１０３へ処理を戻し、新たに操作信号を受信するまで待機する。

一方、載置台１０３に媒体が載置されている場合、制御部１５１は、第１モータ１２１のトルクを第１トルクに設定する（ステップＳ１０５）。第１トルクは、媒体搬送装置１００がサポートする最大重量の媒体が載置台１０３に載置された状態で、載置台１０３を上昇させることが可能な、十分に大きい大きさに予め設定される。制御部１５１は、第１モータ１２１に供給される電力（電流）量を第１トルクに対応する電力（電流）量に設定することにより、第１モータ１２１のトルクを第１トルクに設定する。

次に、制御部１５１は、第１駆動力を発生させるように第１モータ１２１を制御し、載置台１０３を上昇させる（ステップＳ１０６）。

次に、検出部１５２は、載置台１０３の載置面１０３ａの位置を検出する（ステップＳ１０７）。検出部１５２は、制御部１５１が、載置台１０３を初期位置に配置してから、第１モータ１２１を駆動させた駆動量に基づいて、載置面１０３ａの位置を検出する。媒体搬送装置１００は、載置台１０３が初期位置に配置されているときの載置面１０３ａの位置、及び、第１モータ１２１を駆動させた駆動量と載置台１０３の移動量との間の関係を予め記憶装置１４０に記憶しておく。検出部１５２は、制御部１５１から、載置台１０３を初期位置に配置してから第１モータ１２１を駆動させた駆動量を取得し、記憶装置１４０に記憶された関係を参照して、取得した駆動量から載置台１０３の移動量を検出する。そして、検出部１５２は、記憶装置１４０に記憶された載置台１０３が初期位置に配置されているときの載置面１０３ａの位置を参照して、検出した載置台１０３の移動量から、載置面１０３ａの現在位置を検出する。

なお、媒体搬送装置１００は、載置台１０３を初期位置に配置してから第１モータ１２１を駆動させた駆動量と載置面１０３ａの位置との間の関係を予め記憶装置１４０に記憶しておいてもよい。その場合、検出部１５２は、記憶装置１４０に記憶された関係を参照して、制御部１５１から取得した駆動量から載置面１０３ａの現在位置を検出する。

上記したように、第１モータ１２１は、ステッピングモータである。そのため、検出部１５２は、第１モータ１２１のステップ角度、第１～第５ギア１２４ａ～１２４ｅによる減速比、ピニオン及びラック１２５の歯のサイズ、並びに、第１モータ１２１への入力パルス数等から、載置面１０３ａの位置を正しく検出することができる。

媒体搬送装置１００は、載置台１０３を初期位置に配置してからの第１モータ１２１の駆動量に基づいて載置面１０３ａの位置を検出することにより、多数のセンサ又は高価なセンサを使用することなく、載置面１０３ａの現在位置を検出することができる。したがって、媒体搬送装置１００は、装置コストの増大を抑制しつつ、載置面１０３ａの現在位置を検出することができる。なお、媒体搬送装置１００は、載置台１０３の移動方向に沿って、遮蔽部材１２６と対向する位置に複数の載置台センサ１１２を配置し、各載置台センサ１１２から取得した第１検出信号に基づいて、載置面１０３ａの現在位置を検出してもよい。また、媒体搬送装置１００は、載置台１０３の移動量を検出するためのエンコーダを配置し、エンコーダによる載置台１０３の移動量の検出結果に基づいて、載置面１０３ａの現在位置を検出してもよい。

次に、制御部１５１は、載置面１０３ａの位置が、所定範囲内の第２位置であるか所定範囲外の第１位置であるかを判定する（ステップＳ１０８）。所定範囲は、例えば載置台１０３が設けられる第１筐体１０１又は第２筐体１０２と載置台１０３との間の隙間が所定幅以下となる範囲に設定される。所定幅は、例えば、媒体搬送装置１００の利用者に着用され得る物体の厚さの最大値（例えば２５ｍｍ）に設定される。媒体搬送装置１００の利用者に着用され得る物体は、利用者が、ストラップ等を用いて、首からかけられる社員証等のカードケース、携帯電話等の通信機器、又は、ペン等の筆記具等である。第１筐体１０１又は第２筐体１０２と載置台１０３との間の隙間は、載置台１０３が上昇するほど小さく（狭く）なる。そのため、第２位置は、第１位置より上側の位置に設定される。載置面１０３ａの位置が第１位置である場合、制御部１５１は、特に処理を実行せずに、ステップＳ１１０へ処理を移行する。

一方、載置面１０３ａの位置が第２位置である場合、制御部１５１は、第１モータ１２１のトルクを第１トルクより小さい第２トルクに設定する（ステップＳ１０９）。第２トルクは、載置面１０３ａが第２位置（所定範囲内）に配置された載置台１０３に載置され得る最大重量の媒体が載置された載置台１０３を上昇させることが可能な大きさに予め設定される。さらに、第２トルクは、第１筐体１０１又は第２筐体１０２と載置台１０３との間の隙間に物体が挟まった場合に、載置台１０３を移動させることができない、十分に小さい大きさに設定される。

例えば、第２トルクは、第１トルクの１／２以下の大きさに設定される。また、例えば、第１トルク及び第２トルクは、載置面１０３ａが第２位置に配置された載置台１０３の上昇力が、載置面１０３ａが第１位置に配置された載置台１０３の上昇力の１／３以下となるように設定される。また、例えば、第１トルク及び第２トルクは、載置面１０３ａが第２位置に配置された載置台１０３にかかる負荷が、載置面１０３ａが第１位置に配置された載置台１０３にかかる負荷の１／３以下となるように設定される。また、例えば、第１トルク及び第２トルクは、載置台１０３に一つの媒体のみが載置されている場合に、第２トルクにより媒体に付与される挟み力が、第１トルクにより媒体に付与される挟み力の１／４以下となるように設定される。

制御部１５１は、第１モータ１２１に供給される電力（電流）量を第２トルクに対応する電力（電流）量に設定することにより、第１モータ１２１のトルクを第２トルクに設定する。なお、既に第１モータ１２１のトルクが第２トルクに設定されている場合、ステップＳ１０９の処理は省略される。

図１１及び図１２は、第１筐体１０１又は第２筐体１０２と載置台１０３との間の隙間について説明するための模式図である。図１１は、図２に示した、搬送位置に配置された載置台１０３を拡大して表示した拡大図である。図１２は、図１１に示した載置台１０３をさらに拡大しつつ、やや上方から見た拡大図である。

図１１及び図１２に示すように、媒体の挿入口の周辺（上流側部分）には、第１筐体１０１又は第２筐体１０２と、載置台１０３との間に隙間Ｇ１が存在する。また、幅方向Ａ４の両端の周辺には、第１筐体１０１又は第２筐体１０２と、載置台１０３とを係合させるための部材間に隙間Ｇ２が存在する。図１に示すように載置台１０３が初期位置に配置されている場合、隙間Ｇ１及び隙間Ｇ２は十分に大きいが、図２、図１１及び図１２に示すように載置台１０３が搬送位置に配置された場合、隙間Ｇ１及び隙間Ｇ２は小さく（狭く）なる。

媒体搬送装置１００の利用者がカードケース、通信機器又は筆記具等の物体を首からかけている場合、作業中に、それらの物体が載置台１０３の周辺に配置される可能性がある。その状態で、載置台１０３が上昇した場合、それらの物体が隙間Ｇ１又は隙間Ｇ２に入り込み、第１筐体１０１又は第２筐体１０２と載置台１０３とに挟まれて、損傷する可能性がある。

制御部１５１は、載置台１０３が初期位置に配置されたときに第１モータ１２１のトルクを第１トルクに設定し、その後、載置面１０３ａの位置（高さ）が第１位置である限り、第１モータ１２１のトルクを第１トルクから変更しない。即ち、制御部１５１は、載置面１０３ａの位置が第１位置である場合、第１モータ１２１のトルクを十分に大きい第１トルクに設定する。これにより、制御部１５１は、十分に大きい力で載置台１０３を良好に移動させることができる。一方、制御部１５１は、載置面１０３ａの位置が第１位置より上側の第２位置である場合、第１モータ１２１のトルクを十分に小さい第２トルクに設定する。これにより、第１筐体１０１又は第２筐体１０２と載置台１０３とに物体が挟まれた場合に、載置台１０３はそれ以上移動せず、物体の損傷が発生することが抑制される。

また、載置台１０３に載置されている媒体の全体の厚さは、ピックローラ１１３の下面と、載置面１０３ａの現在位置との間の距離以下である。載置面１０３ａの位置が第２位置である場合、載置台１０３に載置されている媒体の総重量は十分に小さいと推定される。そのため、媒体搬送装置１００は、載置面１０３ａの位置が第２位置である場合、第１モータ１２１のトルクを小さくしても、載置台１０３を十分に移動させることができる。

上記したように、第２位置は、載置台１０３が設けられる第１筐体１０１又は第２筐体１０２と載置台１０３との間の隙間が２５ｍｍ以下となる所定範囲内に設定される。一方、第１位置は、その所定範囲外に設定される。これにより、媒体搬送装置１００は、厚さが２５ｍｍ以下であるカードケース、通信機器又は筆記具等の物体が第１筐体１０１又は第２筐体１０２と載置台１０３との間の隙間に入り込んだ際に、物体の損傷が発生することを抑制できる。

次に、制御部１５１は、載置台１０３に載置された媒体がピックローラ１１３と当接しているか否かを判定する（ステップＳ１１０）。制御部１５１は、ピックローラセンサ１１４から定期的に第２検出信号を取得する。制御部１５１は、第２検出信号の信号値が、ピックローラ１１３が載置台１０３に載置された媒体により押し上げられていることを示す場合に、載置台１０３に載置された媒体がピックローラ１１３と当接していると判定する。まだ、載置台１０３に載置された媒体がピックローラ１１３と当接していない場合、制御部１５１は、ステップＳ１０７へ処理を戻し、ステップＳ１０７～Ｓ１１０の処理を繰り返す。

一方、載置台１０３に載置された媒体がピックローラ１１３と当接した場合、制御部１５１は、載置台１０３を停止させるように、第１モータ１２１を制御する（ステップＳ１１１）。このように、制御部１５１は、載置台１０３に載置された媒体のうち最も上側に載置された媒体がピックローラ１１３と当接する位置に載置台１０３が配置されるように第１モータ１２１を制御する。

次に、制御部１５１は、ピックローラ１１３、給送ローラ１１５、分離ローラ１１６、第１～第６搬送ローラ１１７ａ～ｆ及び／又は第１～第６従動ローラ１１８ａ～ｆを回転させて、媒体を搬送させるように、第２モータ１３１を制御する（ステップＳ１１２）。

次に、制御部１５１は、媒体の後端が撮像装置１２０の撮像位置を通過するまで待機する（ステップＳ１１３）。制御部１５１は、第２媒体センサ１１９から定期的に第２媒体信号を取得し、第２媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、媒体の後端が第２媒体センサ１１９の位置を通過したと判定する。制御部１５１は、媒体の後端が第２媒体センサ１１９の位置を通過してから所定時間が経過したときに、媒体の後端が撮像位置を通過したと判定する。所定時間は、媒体が第２媒体センサ１１９の位置から撮像位置まで移動するのに要する時間にマージンを加えた値に設定される。

次に、制御部１５１は、撮像装置１２０から入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置１３２を介して情報処理装置に送信することにより出力する（ステップＳ１１４）。

次に、制御部１５１は、第１媒体センサ１１１から受信する第１媒体信号に基づいて載置台１０３に媒体が残っているか否かを判定する（ステップＳ１１５）。

載置台１０３に媒体が残っている場合、制御部１５１は、ステップＳ１１１の処理と同様にして、載置台１０３に載置された媒体がピックローラ１１３と当接しているか否かを判定する（ステップＳ１１６）。

載置台１０３に載置された媒体がピックローラ１１３と当接している場合、制御部１５１は、ステップＳ１１３へ処理を戻し、次に搬送される媒体が撮像された入力画像を取得して出力する。

一方、載置台１０３に載置された媒体がピックローラ１１３と当接していない場合、制御部１５１は、ステップＳ１０６へ処理を戻し、載置台１０３に載置された媒体がピックローラ１１３と当接するまで載置台１０３を上昇させる。このとき、第１モータ１２１は、現在設定されているトルクで載置台１０３を上昇させ、ステップＳ１０８において載置面１０３ａの位置が第２位置であると判定された後は、第２トルクで載置台１０３を上昇させる。

上記したように、ピックローラ１１３は、付勢部材１２７ｃにより下方に向けて押圧されており、特定の数の媒体が搬送される間、載置台１０３が移動しなくても、載置台１０３に残っている媒体のうち最も上側に載置された媒体に当接し続ける。制御部１５１は、載置台１０３に載置された媒体のうちの特定の数の媒体が搬送されるたびに、載置台１０３に載置された媒体のうち最も上側に載置された媒体がピックローラ１１３と当接する位置に載置台１０３が配置されるように第１モータ１２１を制御する。これにより、媒体搬送装置１００は、載置台１０３を第１モータ１２１によって移動させる頻度を低減させて、媒体読取処理にかかる処理時間を短くすることができる。

一方、ステップＳ１１５において、載置台１０３に媒体が残っていなかった場合、制御部１５１は、各ローラを停止させるように、第２モータ１３１を制御し（ステップＳ１１７）、ステップＳ１０１へ処理を戻す。この場合、制御部１５１は、ステップＳ１０１において第１モータ１２１のトルクを初期トルクに設定して、ステップＳ１０２において載置台１０３を下降させて初期位置に配置し、ステップＳ１０３において新たに操作信号を受信するまで待機する。以上により、媒体読取処理の説明を終了する。

なお、媒体搬送装置１００において、ピックローラセンサ１１４は省略されてもよい。その場合、ステップＳ１０６～Ｓ１１０において、制御部１５１は、所定駆動量だけ第１モータ１２１を駆動させる。載置台１０３を初期位置から移動させる際の所定駆動量は、初期位置に配置された載置台１０３の載置面１０３ａと、可動範囲内の所定位置に配置されたピックローラ１１３の下面との間の距離だけ載置台１０３を移動させるための駆動量に設定される。その場合、載置台１０３に大量の媒体が載置された場合、ピックローラ１１３が可動範囲内で最も上側の位置に配置された後も、第１モータ１２１は駆動し続けるため、消費電力が増大する。しかしながら、この場合も、制御部１５１は、媒体と当接する位置に載置台１０３を移動させることができる。

また、ステップＳ１１７において、制御部１５１は、ピックローラ１１３を所定位置に配置してから所定数の媒体が搬送されたか否かを判定する。所定数は、その所定位置と、ピックローラ１１３の可動範囲内で最も下側の位置との間の距離を、媒体搬送装置１００がサポートする媒体の最大厚さで除算した除算値以下の値に設定される。所定数は、１に設定されてもよい。ピックローラ１１３を所定位置に配置してから、まだ所定数の媒体が搬送されていない場合、制御部１５１は、ステップＳ１１３へ処理を戻し、載置台１０３を移動させない。一方、ピックローラ１１３を所定位置に配置してから所定数の媒体が搬送された場合、制御部１５１は、ステップＳ１０６へ処理を戻し、載置台１０３を上昇させる。この場合、所定駆動量は、その所定位置と、ピックローラ１１３の可動範囲内で最も下側の位置との間の距離だけ載置台１０３を移動させるための駆動量に設定される。

この場合も、制御部１５１は、特定の数の媒体が搬送されるたびに、載置台１０３に載置された媒体のうち最も上側に載置された媒体がピックローラ１１３と当接する位置に載置台１０３が配置されるように第１モータ１２１を制御する。

また、制御部１５１は、載置面１０３ａの位置に応じて、第１モータ１２１のトルクを三段階以上の多段階に変更してもよい。その場合、制御部１５１は、載置面１０３ａの位置が高いほど、即ち第１筐体１０１又は第２筐体１０２と載置台１０３との間の隙間が小さいほど、第１モータ１２１のトルクを小さい値に設定する。これにより、制御部１５１は、第１モータ１２１のトルクをより柔軟に制御することが可能となり、利用者が着用する物体の損傷の発生を抑制しつつ、載置台１０３をより適切な力で移動させることが可能となる。

また、媒体搬送装置１００は、第１モータ１２１（ステッピングモータ）の脱調を検出するためのセンサをさらに有し、制御部１５１は、第１モータ１２１の脱調が発生した場合に、媒体読取処理を停止してもよい。これにより、媒体搬送装置１００は、利用者の操作により載置台１０３が下げられてしまい、第１モータ１２１の脱調が発生した場合に、媒体読取処理を適切に停止させることができる。

以上詳述したように、媒体搬送装置１００は、第１モータ１２１により上昇可能に設けられた載置台１０３の位置が特定の高さより上側である場合、第１モータ１２１のトルクを低下させる。これにより、媒体搬送装置１００は、載置台１０３の上昇時に、利用者が着用する物体の損傷の発生を抑制することが可能となった。

媒体搬送装置１００は、載置台１０３が第１位置に配置されている場合、十分に大きいトルクで載置台１０３を移動させる。これにより、媒体搬送装置１００は、載置台１０３に大量の媒体が載置されている場合に、十分に大きいトルクで載置台１０３を良好に移動させることができる。したがって、媒体搬送装置１００は、載置台１０３に大量の媒体をまとめて載置して連続して搬送させることができ、利用者の利便性を向上させることができる。

また、媒体搬送装置１００は、載置台１０３が第２位置に配置されている場合、十分に小さいトルクで載置台１０３を移動させる。これにより、媒体搬送装置１００は、利用者が着用する物体が、第１筐体１０１又は第２筐体１０２（これらの筐体に含まれるフレーム又はカバー）と、載置台１０３とで挟まれた場合に、物体の損傷が発生することを抑制できる。そのため、媒体搬送装置１００は、装置サイズを小さくし、又は、載置台１０３の可動範囲を大きくすることにより、第１筐体１０１又は第２筐体１０２と載置台１０３との間の隙間が小さくなった場合でも、物体の損傷の発生を抑制できる。その結果、媒体搬送装置１００は、装置サイズを小さくすること、又は、載置台１０３の可動範囲を大きくすることが可能となる。

さらに、媒体搬送装置１００は、載置台１０３が第２位置に配置されている場合に小さいトルクで載置台１０３を移動させることにより、載置台１０３の移動のための消費電力を低減させ、且つ、載置台１０３の移動時に発生する音を低減させることができる。

図１３及び図１４は、他の実施形態に係る媒体搬送装置２００のサイドガイド２０４について説明するための模式図である。図１３は、載置台１０３が初期位置に配置された状態の媒体搬送装置２００を示す斜視図であり、図１４は、載置台１０３が搬送位置に配置された状態の媒体搬送装置２００を示す斜視図である。

媒体搬送装置２００は、媒体搬送装置１００が有する各部を有する。但し、媒体搬送装置２００は、サイドガイド１０４の代わりに、サイドガイド２０４を有する。サイドガイド２０４は、サイドガイド１０４と同様の構造及び機能を有する。但し、サイドガイド２０４には、揺動部材２０４ａが設けられる。揺動部材２０４ａは、サイドガイド２０４の上端部に、上下方向に揺動可能に設けられ、不図示の付勢部材により上方に向かう付勢力が付与される。付勢部材は、ねじりコイルばね等のばね部材、又は、ゴム部材等である。

図１３に示すように、載置台１０３が初期位置に配置され、揺動部材２０４ａが第１筐体１０１又は第２筐体１０２に当接していない場合、揺動部材２０４ａは、付勢部材による付勢力により、サイドガイド２０４から上方に突出するように配置される。一方、図１４に示すように、載置台１０３が上昇し、揺動部材２０４ａが第１筐体１０１又は第２筐体１０２に当接した場合、揺動部材２０４ａは、第１筐体１０１又は第２筐体１０２によって押圧され、サイドガイド２０４内に収容される。これにより、媒体搬送装置２００は、載置台１０３が低い位置に配置され、載置台１０３上に大量の媒体が載置されている場合、サイドガイド２０４の高さを大きくし、載置台１０３に載置された大量の媒体の幅方向を良好に規制することができる。一方、媒体搬送装置２００は、載置台１０３が高い位置に配置され、載置台１０３上に少量の媒体が載置されている場合、媒体の幅方向を良好に規制しつつ、利用者が着用する物体が、筐体とサイドガイド２０４とで挟まれて損傷することを抑制できる。

以上詳述したように、媒体搬送装置２００は、サイドガイド２０４が移動可能に設けられた場合も、載置台１０３の上昇時に、利用者が着用する物体の損傷の発生を抑制することが可能となった。

図１５は、他の実施形態に係る媒体搬送装置の処理回路３５０の概略構成を示す図である。

処理回路３５０は、媒体搬送装置１００の処理回路１５０の代わりに使用され、処理回路１５０の代わりに、媒体読取処理等を実行する。処理回路３５０は、制御回路３５１及び検出回路３５２等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。

制御回路３５１は、制御部の一例であり、制御部１５１と同様の機能を有する。制御回路３５１は、操作装置１０６又はインタフェース装置１３２から操作信号を、第１媒体センサ１１１から第１媒体信号を、ピックローラセンサ１１４から第２検出信号を、第２媒体センサ１１９から第２媒体信号を受信する。また、制御回路３５１は、第１モータ１２１を駆動させた駆動量を検出回路３５２に出力するとともに、載置面１０３ａの位置の検出結果を検出回路３５２から受信する。制御回路３５１は、受信した各情報に基づいて第１モータ１２１及び第２モータ１３１を制御するとともに、撮像装置１２０から入力画像を取得し、インタフェース装置１３２に出力する。

検出回路３５２は、検出部の一例であり、検出部１５２と同様の機能を有する。検出回路３５２は、載置台センサ１１２から第２検出信号を、制御回路３５１から第１モータ１２１の駆動量を受信する。検出回路３５２は、受信した各情報に基づいて載置面１０３ａの位置を検出し、検出結果を制御回路３５１に出力する。

以上詳述したように、媒体搬送装置は、処理回路３５０を用いる場合においても、載置台１０３の上昇時に、利用者が着用する物体の損傷の発生を抑制することが可能となった。

１００ 媒体搬送装置、１０３ 載置台、１０３ａ 載置面、１１３ ピックローラ、１５１ 制御部、１５２ 検出部

Claims (7)

1. 供給される電力に従ってトルクの設定を変更可能なモータと、
   上昇可能に設けられ、且つ、載置面を有する載置台と、
   前記載置台に載置された媒体のうち最も上側に載置された媒体に当接して当該媒体を搬送するローラと、
   前記載置台に載置された媒体のうちの特定の数の媒体が搬送されるたびに、前記載置台に載置された媒体のうち最も上側に載置された媒体が前記ローラと当接する位置に前記載置台が配置されるように前記モータを制御する制御部と、
   前記載置面の位置を検出する検出部と、を有し、
   前記制御部は、前記載置面の位置が第１位置である場合、前記モータのトルクを第１トルクに設定し、且つ、前記載置面の位置が前記第１位置より上側の第２位置である場合、前記モータのトルクを前記第１トルクより小さい第２トルクに設定する、
   ことを特徴とする媒体搬送装置。
2. 前記制御部は、媒体の搬送開始前に、前記載置台を利用者が媒体を載置するための初期位置に配置し、
   前記検出部は、前記制御部が、前記載置台を前記初期位置に配置してから、前記モータを駆動させた駆動量に基づいて、前記載置面の位置を検出する、請求項１に記載の媒体搬送装置。
3. 前記第２位置は、前記載置台が設けられる筐体と前記載置台との間の隙間が２５ｍｍ以下となる範囲内に設定され、
   前記第１位置は、前記筐体と前記載置台との間の隙間が２５ｍｍ以下となる範囲外に設定される、請求項１または２に記載の媒体搬送装置。
4. 前記モータは、ステッピングモータである、請求項１～３の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
5. 前記制御部は、
   媒体の搬送開始前に、前記載置台を利用者が媒体を載置するための初期位置に配置し、
   前記載置台を前記初期位置に配置する場合、前記モータのトルクを前記第１トルクより小さいトルクに設定する、請求項１～４の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
6. 上昇可能に設けられ、且つ、載置面を有する載置台に載置された媒体のうちの特定の数の媒体が搬送されるたびに、前記載置台に載置された媒体のうち最も上側に載置された媒体が、当該媒体を搬送するローラと当接する位置に前記載置台が配置されるように、供給される電力に従ってトルクの設定を変更可能なモータを制御し、
   前記載置面の位置を検出することを含み、
   前記制御において、前記載置面の位置が第１位置である場合、前記モータのトルクを第１トルクに設定し、且つ、前記載置面の位置が前記第１位置より上側の第２位置である場合、前記モータのトルクを前記第１トルクより小さい第２トルクに設定する、
   ことを特徴とする媒体搬送方法。
7. 供給される電力に従ってトルクの設定を変更可能なモータと、上昇可能に設けられ、且つ、載置面を有する載置台と、前記載置台に載置された媒体のうち最も上側に載置された媒体に当接して当該媒体を搬送するローラと、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、
   前記載置台に載置された媒体のうちの特定の数の媒体が搬送されるたびに、前記載置台に載置された媒体のうち最も上側に載置された媒体が前記ローラと当接する位置に前記載置台が配置されるように前記モータを制御し、
   前記載置面の位置を検出する、ことを前記媒体搬送装置に実行させ、
   前記制御において、前記載置面の位置が第１位置である場合、前記モータのトルクを第１トルクに設定し、且つ、前記載置面の位置が前記第１位置より上側の第２位置である場合、前記モータのトルクを前記第１トルクより小さい第２トルクに設定する、
   ことを特徴とする制御プログラム。

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