JP2023118385A - インターフェロン産生促進用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、IFNの産生を促進することにより、免疫機能を維持、改善、又は強化することができる、経口摂取可能な組成物を提供することを課題とする。【解決手段】ラクトフェリン分解物を、インターフェロン(IFN)産生促進用組成物の有効成分として含有させる。前記ラクトフェリン分解物は、ウシのラクトフェリンに由来するものが好ましく、配列番号2に示すアミノ酸配列を含むペプチドを含有するものがより好ましく、配列番号1に示すアミノ酸配列からなるペプチドを含有するものがさらに好ましい。前記組成物は、飲食品や医薬品の態様として摂取することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、ラクトフェリン分解物を含有する、インターフェロン(IFN)産生促進用組成物に関する。
インターフェロンはサイトカインの一種であり、I型、II型、III型の3つ主に分類される。インターフェロンは強い抗ウイルス作用を有し、I型インターフェロンはインターフ
ェロン-α、インターフェロン-βがその代表として知られている。I型インターフェロ
ンは、ウイルスに感染した細胞においてウイルスの複製の抑制に働く幅広い遺伝子の発現を誘導するほか、幅広い免疫細胞を活性化することでウイルスやウイルスに感染した細胞を排除することで、直接的または間接的にウイルスに対する身体の防御機構を活性化する。インターフェロンの作用は非常に強く、その組み換え体はウイルス性の疾患の治療にも用いられる。
したがって、生体内でインターフェロンの産生を誘導することは、ウイルス等の病原体に対する抵抗性を高める有効な手段になり得るほか、医療用途でも利用可能と考えられる。生体内でI型インターフェロンはマクロファージ、好中球、樹状細胞などの白血球から
産生され、特に樹状細胞の一種であるプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)は白血球中の主要なI型インターフェロン産生細胞である。その他、腸管上皮細胞等でも産生されるこ
とが知られる。
ラクトフェリン(LF)は母乳、特に初乳に多く含まれる糖タンパク質であり、元来新生児の生体防御に関わると考えられていた。近年では食品等へ応用され、新生児のみならず小児や成人においてもラクトフェリンが生体防御作用及び感染防御作用等を含む幅広い生理活性を示すことが報告されている。
ラクトフェリンの感染防御作用に関わる機序としては細菌に対する殺菌作用、ウイルス粒子への付着による細胞への侵入の阻害等が知られる。
ラクトフェリンはペプシン等の消化酵素により加水分解される。経口摂取されたラクトフェリンの一部は胃で分解されペプチドとなり、未分解なラクトフェリンとその分解物であるペプチドの両方が小腸に達すると考えられている。ラクトフェリンの分解物であるペプチドには様々な機能を有するペプチドが含まれており、その一つとしてラクトフェリンのN末端側に存する抗菌ペプチドであるラクトフェリシン(LFcin)が知られている。ウシのラクトフェリシン(LFcinB)は、ウシラクトフェリンのN末端側から数えて17番目から42番目のアミノ酸領域の26残基、すなわち配列番号1に示すアミノ酸配列からなる、強い塩基性を有する特徴的なペプチドである(非特許文献1)。該ペプチドは2つのシステインが分子内でジスルフィド結合を形成し、また分子量は3195kDaであり分子量約8万kDaのウシラクトフェリンの約25分の1である。配列番号1に示すアミノ酸配列からなるペプチドの生理活性については、未だ不明な部分が残る。
従来からインターフェロンの抗ウイルス活性、その他生理活性に着目し、生体内でのインターフェロン産生を促進する成分の研究が多くなされており、ラクトフェリンもその1つである。
ラクトフェリンを経口投与したマウスでは、腸管上皮と樹状細胞等の白血球が集まる小腸パイエル板においてインターフェロン-α/βの産生が亢進する(非特許文献2)。こ
れにより、ラクトフェリンは感染細胞におけるウイルスの複製を抑制すること、免疫細胞を活性化させることで間接的にウイルスの排除に関わることが示唆される。そのため、インターフェロン-α産生増強剤の有効成分とし、飲食品や医薬品に配合することが提案さ
れている(特許文献1)。
経口摂取したラクトフェリンの60%以上は未消化のまま小腸に移行し、40%未満が胃で消化される(非特許文献3)。インターフェロン-α/βの産生誘導能が未消化のラ
クトフェリンでより強いのであれば、胃での消化を防ぐ加工を施した上で摂取することで効果がより高まると考えられる。逆に、インターフェロン-α/βの産生誘導能が胃で消
化されたラクトフェリン分解物でより強いのであれば、予め胃の消化酵素であるペプシンで完全に分解した上で摂取することで効果がより高まると考えられる。
加工を施していないラクトフェリンとリポソームに封入したラクトフェリンをヒトに投与した結果、リポソームに封入したラクトフェリンの方がインターフェロン-αの産生能が高いことが報告されている(非特許文献4)。リポソームは消化酵素への耐性を示すことから、ラクトフェリンが胃で消化されなかったことでインターフェロン-αの産生能が高まったと考察されている(非特許文献5)。しかし、リポソームを構成するリン脂質は細胞膜との親和性が高く、リポソームが標的とする細胞へのラクトフェリンの取り込みを高めたことで、インターフェロン-αの産生を高めている可能性もある。その場合は、胃での消化は関係ない可能性もあるが、その可能性についてはこれらの文献では言及されておらず、ましてや胃で消化されたラクトフェリン分解物の方が未消化のラクトフェリンよりも効果が強い可能性については全く考察されていない。
特開2006-083089号公報 特開2012-235768号公報
Wakabayashi, Hiroyuki, et al. Current Pharmaceutical Design 9.16 (2003): 1277-1287. Kuhara, Tetsuya, et al. Nutrition and Cancer 38.2 (2000): 192-199. Troost, Freddy J., et al. The Journal of nutrition 131.8 (2001): 2101-2104. Ishikado, Atsushi, et al. Biofactors 21.1‐4 (2004): 69-72. http://www.ec-lactoferrin.org/lactoferrin/PDF/6-4.pdf
ラクトフェリン分解物については、IFN産生誘導との関係は知られていない。仮にラクトフェリン分解物がIFN産生誘導に関与する場合、ラクトフェリンを分解したそのままの分解物は無数のペプチドの混合物であるため係る産生誘導に寄与するペプチドと寄与しないペプチドが混在していると考えられる。また、ラクトフェリンのペプシン分解物(混合物)は苦みがあり、食品の風味に影響を及ぼす(特許文献2)。仮にラクトフェリン分解物がIFN産生誘導に関与する場合、ラクトフェリン分解物に含まれる種々のペプチドのうちIFN産生促進活性に寄与するペプチドを特定しそれを単体で用いれば、より少ない量で所望の効果を発揮することができる。また、風味などへの影響も最小限にするなど加工上の利点がある。
かかる状況に鑑みて、ラクトフェリン分解物のIFN産生誘導能を検討することには意義がある。そのため、本発明は、IFNの産生を促進することにより、免疫機能を維持、改善、又は強化することができる、経口摂取可能な組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、ヒト末梢血から回収した単核細胞をラクトフェリン分解物存在下で培養すると、ラクトフェリン存在下よりもIFN産生が促進することを見出した。さらに、ラクトフェリン分解物に含まれる特定のペプチドがIFN産生促進作用に寄与することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明はラクトフェリン分解物を含有する、IFN産生促進用組成物である。
ここで、ラクトフェリン分解物は、ウシのラクトフェリンに由来するものであることが好ましく、配列番号2に示すアミノ酸配列を含むペプチドを含有することがより好ましい。さらに好ましくは、配列番号2に示すアミノ酸配列を含むペプチドは、配列番号1に示すアミノ酸配列からなるペプチドである。
本発明において、IFNは好ましくはIFN-αである。
本発明の組成物は、好ましくは飲食品の態様とすることができる。かかる飲食品は、免疫機能を維持、改善、又は強化するために摂取されるものであることが好ましい。
本発明の組成物は、好ましくは医薬品の態様とすることができる。かかる医薬品は、IFN産生促進により予防、治療、又は改善し得る疾患及び/又は状態のために投与されるものであることが好ましい。そのような疾患及び/又は状態としては、多発性硬化症、乾癬、メラノーマ、髄鞘脱落性多発性神経根炎、癌細胞の増殖及び/又は転移、並びにウイルスの増殖に起因する疾患及び/又はその合併症からなる群から選択される一種又は二種以上が挙げられる。
本発明によれば、効率よくIFNの産生を促進させることができ、それにより免疫機能を維持、改善、又は強化することができる。
次に、本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。
本発明の組成物は、ラクトフェリン分解物を有効成分として含有する。
ラクトフェリンは、哺乳動物、例えば、ヒツジ、ヤギ、ブタ、マウス、水牛、ラクダ、ヤク、ウマ、ロバ、ラマ、ウシ又はヒトの乳、涙、唾液、血液等に含まれる鉄結合性の糖タンパク質である。
本発明におけるラクトフェリンは、いずれの哺乳動物に由来するものであってもよく、特に限定されないが、含有量や入手容易性の点から、例えば、ウシ、ヒト等の乳由来のラクトフェリンが好ましく、ウシの乳由来のものが特に好ましい。前記乳としては、初乳、移行乳、常乳、末期乳のいずれでもよい。
また、本発明におけるラクトフェリンは、前記乳の処理物である脱脂乳、ホエイ等から常法(例えば、イオンクロマトグラフィー等)によって分離されたラクトフェリン、遺伝子操作によって微生物、動物細胞、トランスジェニック動物等から産生された組換えラクトフェリン、合成ラクトフェリン、又はそれらの混合物でもよい。また、ラクトフェリンは、非グリコシル化又はグリコシル化されたものでもよい。このようなラクトフェリンとして、工業的規模で製造されている市販のラクトフェリン(例えば、森永乳業社製等)を分解物の取得のために使用することができる。
なお、本明細書において、「ウシのラクトフェリンに由来」等というときの「由来」とは、元来その動物が保持していることを意味し、採取原を意味するものではない。例えば、ウシのラクトフェリン又はその分解物であるペプチドをコードする遺伝子をエシェリヒア・コリ等の宿主生物に導入し、同遺伝子を発現させることにより製造したラクトフェリ
ン又はペプチドは、ウシ「由来」である。
ここで、ラクトフェリンの調製(乳等の原料からのラクトフェリンの分離、精製)方法の一例を以下に示すが、これに限定されるものではない。
ウシ由来の乳原料を陽イオン交換カラムに通液し、この通過液を回収し、適宜この通過液を繰り返しカラムに通液する。このカラムに脱イオン水を通液し、食塩水を通液し、この陽イオン交換カラムに吸着した塩基性タンパク質の溶出液を得る。この溶出液からタンパク質を回収し、適宜洗浄し、脱イオン水にて溶解し、この溶解液を限外ろ過膜にてろ過する。さらに、脱塩処理、凍結乾燥することで、粉末状のラクトフェリンが得られる。
より詳細には、まず、イオン交換体をカラムに充填し、塩酸を通液し、水洗してイオン交換体を平衡化する。続いて、4℃に冷却したpH6.9の脱脂乳をカラムに通液し、透過液を回収し、再度同様にカラムに通液する。次いで、脱イオン水をカラムに通液し、食塩水を通液し、イオン交換体に吸着した塩基性タンパク質の溶出液を得る。この溶出液から回収したタンパク質を洗浄し、脱イオン水を添加して溶解し、得られた溶液を限外ろ過膜モジュールを用いて脱塩し、凍結乾燥して、粉末状ウシラクトフェリンを得る。このようにして、純度が95質量%以上のウシラクトフェリンが得られる。
ラクトフェリンにおいては、種、属、個体等の違いによって、1又は複数の位置での1又は複数の塩基の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位等の遺伝子変異が当然存在し、このような変異を有する遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸においても変異が生じている場合がある。本発明におけるラクトフェリンには、本発明の効果を損なわない限りにおいて、このような変異を含むものも含有される。
このようなラクトフェリンを分解処理、通常は加水分解処理することにより得られる分解物を、本発明におけるラクトフェリン分解物として用いる。
加水分解処理としては、例えば特開2012-235768号公報に記載された方法が挙げられる。
具体的には、ラクトフェリン溶液を、酵素反応処理を行う前に塩酸、クエン酸、酢酸等の酸によりpHを2~4、好ましくは2.5~3.5、特に好ましくはpH3に調整する。
pHを調整したラクトフェリン溶液に、タンパク質分解酵素を所望の量で添加した後、酵素反応の温度を35~55℃、好ましくは40~50℃、より好ましくは42~48℃に保持して、6時間~24時間、好ましくは12~18時間、攪拌しながらラクトフェリンを加水分解させる。
次いで、例えば反応溶液を80℃に昇温して10分間維持し、酵素を加熱失活させる。さらに、好ましくは、水酸化ナトリウム溶液等のアルカリ溶液を添加して、pHを5~7、例えば6に調整する。
なお、pH調整後の反応溶液(ラクトフェリン加水分解物)は、溶液のままでもよいが、凍結乾燥等を行って粉末化することが好ましい。また、ラクトフェリン分解物は、クロマトグラフィー、又は限外濾過等により、分画したものを用いることもできる。
このようにして得られるラクトフェリン分解物は、通常種々のペプチドの混合物である。それらのうち、配列番号2に示すアミノ酸配列を含むペプチドを含有することが好ましい。配列番号2に示すアミノ酸配列は、ラクトフェリシンの活性中心となる配列で抗菌作用などの機能性を有することが知られており、本発明にかかるIFN産生促進作用においてもこれに寄与する部位であると考えられる(非特許文献1)。
なお、本発明において、配列番号2に示すアミノ酸配列「を含むペプチド」とは、該アミノ酸配列のN末端及び/又はC末端にペプチド残基が1又は複数個の任意のアミノ酸が付加したものをいい、より具体的には1~10残基、望ましくは1~5残基、さらに望ま
しくは1~3残基付加したペプチドであって、かつINF産生促進作用を有する配列が望ましい。
配列番号2に示すアミノ酸配列を含むペプチドとしては、ウシ由来ラクトフェリシン、すなわち配列番号1に示すアミノ酸配列からなるペプチドが特に好ましい。なお、ウシ由来ラクトフェリシンとしては配列番号1に示すアミノ酸配列においてC末端のアラニンが欠損した25残基のアミノ酸配列からなるペプチドを指す場合もあり、これもまた配列番号2に示すアミノ酸配列を含むペプチドとして好ましい。後述の実施例で示されるように、ウシ由来ラクトフェリシンは、これを含むラクトフェリン分解物(混合物)よりも、ヒト末梢血から回収した単核細胞においてIFN産生を促進することができる。
本発明の組成物において、ラクトフェリン分解物の組成物全体に対する含有量は、好ましくは0.001質量%以上100質量%未満、より好ましくは0.005~75質量%、さらに好ましくは0.01~50質量%である。
なお、これらの量は、本発明の組成物を摂取した後に体内でラクトフェリンが消化を受けてラクトフェリン分解物となるときの換算量であってもよい。すなわち、本発明の組成物がラクトフェリンを含有する態様であることも妨げられない。
本発明において、ラクトフェリン分解物は、配列番号2に示すアミノ酸配列を含むペプチドを、ラクトフェリン分解物全体の好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上含有することが、効果発揮の観点から望ましい。なお、上限は特に限定されないが、通常は10重量%以下であり、3重量%以下がより好ましい。
また、ラクトフェリン分解物は、配列番号1に示すアミノ酸配列からなるペプチドを、ラクトフェリン分解物全体の好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上含有することが、効果発揮の観点から望ましい。なお、上限は特に限定されないが、通常は30重量%以下であり、10重量%以下がより好ましい。
本発明の組成物は、IFN、特にIFN-αの産生を促進することができる。ここで、「IFNの産生促進」とは、IFN産生細胞におけるIFNの産生を、本発明の組成物の適用前に比べて適用後に、又は本発明の組成物の適用の場合に非適用の場合に比べて増強すること、あるいは産生をよりつよく誘導することを意味する。したがって、本発明におけるIFN産生促進用組成物は、IFN産生増強用組成物やIFN産生誘導用組成物と言い換えてもよい。
また、本発明のIFN産生促進用組成物の刺激を受けてIFNの産生が促進される細胞又は組織は、プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)、マクロファージ、NK細胞等の免疫細
胞、繊維芽細胞、上皮細胞、パイエル板組織(例えば、小腸粘膜上に分布するパイエル板)等が例示される。本発明のIFN産生促進用組成物は、これらの細胞を産生する臓器等に効果的に働いてIFNを効率よく産生することができる。
本発明の組成物の適用後のIFN産生量は、適用前に比べて、少なくとも1.1倍であり、1.5倍以上であることが好ましく、2倍以上であることが好ましく、2.5倍以上であることが好ましく、3倍以上であることが好ましく、3.5倍以上であることが好ましく、4倍以上であることがより好ましい。上限値は、特に制限されないが、8倍以下、7倍以下、6倍以下、又は5倍以下であってよい。また、上記数値の矛盾しない組み合わせの範囲であってもよく、具体的には、1.1~8倍、1.5~8倍、2~8倍、2.5~8倍、3~8倍、3.5~8倍、又は4~8倍であってよい。
ここで、IFN産生量は、周知の方法で定性的又は定量的に確認することができ、例えばIFNをコードする遺伝子の発現量を定法により測定すること等により行うことができる。
本発明の組成物はIFN産生を促進させることから、種々の免疫細胞の働きを活性化したり、IFN産生を促進したりすることが見込まれるため、免疫機能を維持、改善、又は強化することが期待できる。免疫機能の維持とは正常又は良好な免疫機能が発揮されている状態を保ち機能低下することを防ぐことを含み、免疫機能の改善とは低下した免疫機能を正常な状態にすることを含む。
本発明の組成物を投与する(摂取させる)対象は、動物であれば特に限定されないが、通常は哺乳動物であり、ヒトが好ましい。また、対象は特に限定されないが、健康な人が好ましい。ここで健康な人とは、疾患や疾病に罹患していない人をいう。
本発明の別の側面は、IFN産生促進用組成物の製造における、ラクトフェリン分解物の使用である。
本発明の別の側面は、IFN産生促進における、ラクトフェリン分解物の使用である。
本発明の別の側面は、IFN産生促進のために用いられる、ラクトフェリン分解物である。
本発明の別の側面は、ラクトフェリン分解物を対象に投与することを含む、IFNの産生を促進する方法である。
なお、「ラクトフェリン分解物を対象に投与すること」は、「ラクトフェリン分解物を対象に摂取させること」と同義であってよい。摂取は、自発的なもの(自由摂取)であってもよく、強制的なもの(強制摂取)であってもよい。すなわち、投与工程は、具体的には、例えば、ラクトフェリン分解物を飲食品や飼料に配合して対象に供給し、以て対象にラクトフェリン分解物を自由摂取させる工程であってもよい。
本発明の組成物の摂取(投与)時期や摂取(投与)期間は、特に限定されず、投与対象の状態に応じて適宜選択することができる。
本発明の組成物は、それ自体を飲食品や医薬品等の形態としてもよいし、添加物として飲食品や医薬品等に含有させる形態としてもよい。
本発明の組成物の摂取(投与)経路は、経口又は非経口のいずれでもよいが、通常は経口である。また、非経口摂取(投与)としては、経皮、静注、直腸投与、吸入等が挙げられる。
本発明の組成物を経口摂取(投与)するときの含有量としては、前述した組成物全体における含有量としてもよいし、適宜希釈等してもよい。例えば、経口摂取(投与)時のラクトフェリン分解物の組成物全体に対する含有量は、好ましくは0.001~100質量%、より好ましくは0.005~75質量%、さらに好ましくは0.01~50質量%である。
これらは、通常、経口組成物として流通するときの含有量の範囲であってよい。
本発明の組成物の摂取(投与)量は、摂取(投与)対象の年齢(月齢)、性別、状態、その他の条件等により適宜選択される。
本発明の組成物の摂取(投与)量は、ラクトフェリン分解物の摂取量として、例えば、好ましくは0.01~1000mg/kg/日、より好ましくは0.1~500mg/k
g/日、さらに好ましくは1~300mg/kg/日の範囲となる量を目安とするのがよい。
なお、摂取(投与)の量や期間にかかわらず、本発明の組成物は1日1回又は複数回に分けて投与することができる。
本発明の組成物を経口摂取される組成物とする場合は、飲食品の態様とすることが好ましい。
飲食品としては、本発明の効果を損なわず、経口摂取できるものであれば形態や性状は特に制限されず、ラクトフェリン分解物を含有させること以外は、通常飲食品に用いられる原料を用いて通常の方法によって製造することができる。
飲食品としては、液状、ペースト状、ゲル状固体、粉末等の形態を問わず、例えば、錠菓;流動食(経管摂取用栄養食);パン、マカロニ、スパゲッティ、めん類、ケーキミックス、から揚げ粉、パン粉等の小麦粉製品;即席めん、カップめん、レトルト・調理食品、調理缶詰め、電子レンジ食品、即席スープ・シチュー、即席みそ汁・吸い物、スープ缶詰め、フリーズ・ドライ食品、その他の即席食品等の即席食品類;農産缶詰め、果実缶詰め、ジャム・マーマレード類、漬物、煮豆類、農産乾物類、シリアル(穀物加工品)等の農産加工品;水産缶詰め、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品、水産珍味類、つくだ煮類等の水産加工品;畜産缶詰め・ペースト類、畜肉ハム・ソーセージ等の畜産加工品;加工乳、乳飲料、ヨーグルト(発酵乳)類、乳酸菌飲料類、チーズ、アイスクリーム類、クリーム、その他の乳製品等の乳・乳製品;バター、マーガリン類、植物油等の油脂類;しょうゆ、みそ、ソース類、トマト加工調味料、みりん類、食酢類等の基礎調味料;調理ミックス、カレーの素類、たれ類、ドレッシング類、めんつゆ類、スパイス類、その他の複合調味料等の複合調味料・食品類;素材冷凍食品、半調理冷凍食品、調理済冷凍食品等の冷凍食品;キャラメル、キャンディー、チューインガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、米菓子、豆菓子、デザート菓子、ゼリー、その他の菓子などの菓子類;炭酸飲料、天然果汁、果汁飲料、果汁入り清涼飲料、果肉飲料、果粒入り果実飲料、野菜系飲料、豆乳、豆乳飲料、コーヒー飲料、お茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、スポーツ飲料、栄養飲料、アルコール飲料、その他の嗜好飲料等の嗜好飲料類、ベビーフード、ふりかけ、お茶漬けのり等のその他の市販食品等;サプリメント、調製乳(粉乳、液状乳等を含む)等の栄養組成物;経腸栄養食;機能性食品(特定保健用食品、栄養機能食品)等が挙げられる。
なお、飲食品としてサプリメントの形態とする場合は、腸溶性コーティング等により腸溶処理されてもよい、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤等の固形製剤;溶液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤等の液剤;等に製剤化することができる。かかる製剤化に際しては、後述する医薬品の製剤化に係る成分、担体、及び方法の説明に準ずることができる。
また、飲食品の一態様として飼料とすることもできる。飼料としては、ペットフード、家畜飼料、養魚飼料等が挙げられる。
飼料の形態としては特に制限されず、ラクトフェリン分解物の他に例えば、トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦、マイロ等の穀類;大豆油粕、ナタネ油粕、ヤシ油粕、アマニ油粕等の植物性油粕類;フスマ、麦糠、米糠、脱脂米糠等の糠類;コーングルテンミール、コーンジャムミール等の製造粕類;魚粉、脱脂粉乳、ホエイ、イエローグリース、タロー等の動物性飼料類;トルラ酵母、ビール酵母等の酵母類;第三リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の鉱物質飼料;油脂類;単体アミノ酸;糖類等を含有するものであってよい。
本発明の組成物が飲食品(飼料を含む)の態様である場合、免疫機能の維持等の用途が表示された飲食品として提供・販売されることが可能である。また、本明細書に係るラクトフェリン分解物は、これら飲食品等の製造のために使用可能である。
かかる「表示」行為には、需要者に対して前記用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、前記用途を想起・類推させうるような表現であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、全て本発明における「表示」行為に該当する。
また、「表示」は、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により行われる
ことが好ましい。具体的には、飲食品に係る商品又は商品の包装に前記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁気的(インターネット等)方法により提供する行為等が挙げられる。
一方、表示内容としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示等)であることが好ましい。また、そのような表示内容を、包装、容器、カタログ、パンフレット、POP等の販売現場における宣伝材、その他の書類等へ付することが好ましい。
また、「表示」には、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、医薬用部外品等としての表示も挙げられる。この中でも特に、消費者庁によって認可される表示、例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、若しくは機能性表示食品に係る制度、又はこれらに類似する制度にて認可される表示等が挙げられる。具体的には、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク減少表示、科学的根拠に基づいた機能性の表示等を挙げることができ、より具体的には、健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令(平成二十一年八月三十一日内閣府令第五十七号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)及びこれに類する表示が典型的な例である。
かかる表示としては、例えば、「インターフェロンを増やす」、「プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)に働きかける」、「免疫細胞を活性化する」、「健康な人の免疫機能の
維持に役立つ」、「免疫機能を高める」、「免疫機能をサポート」、「健康な人の免疫機能の維持をサポート」、「プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)に働きかけ、健康な人の
免疫機能の維持に役立つ」等と表示することが挙げられる。
本発明の組成物は、医薬品の態様とすることもできる。
かかる医薬品としては、IFNが関与する疾患、具体的にはIFN産生促進により予防、治療、又は改善し得る疾患及び/又は状態のために投与されるものが好ましい。
より具体的には、多発性硬化症、乾癬、メラノーマ、髄鞘脱落性多発性神経根炎(Guillan-Barre症候群)等の予防・治療;癌細胞(骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、悪性リンパ
腫、乳癌、肝細胞癌、骨肉腫、黒色腫、口頭乳頭腫、急性白血病等)の増殖や転移の抑制;ウイルス(単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、SARSウイルス等)の増殖に起因する種々の疾病・合併症等の治療又は予防;並びにこれら疾病・合併症等のリスクの低減のために投与される医薬品とすることができる。
医薬品の投与経路は、経口又は非経口のいずれでもよいが経口が好ましい。また、非経口摂取(投与)としては、経皮、静注、直腸投与、吸入等が挙げられる。
医薬品の形態としては、投与方法に応じて、適宜所望の剤形に製剤化することができる。例えば、経口投与の場合、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤等の固形製剤;溶液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤等の液剤等に製剤化することができる。また、腸溶性コーティング等により、腸溶剤とすることもできる。非経口投与の場合、座剤、軟膏剤、注射剤等に製剤化することができる。
製剤化に際しては、ラクトフェリン分解物の他に、通常製剤化に用いられている賦形剤、pH調整剤、着色剤、矯味剤等の成分を用いることができる。また、他の薬効成分や、公知の又は将来的に見出されるIFN産生促進作用を有する成分等を併用することも可能である。
加えて、製剤化は剤形に応じて適宜公知の方法により実施できる。製剤化に際しては、適宜、通常製剤化に用いる担体を配合して製剤化してもよい。かかる担体としては、賦形
剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤等が挙げられる。
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビット等の糖誘導体;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、α-デンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプン等のデンプン誘導体;結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等のセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルラン;軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム等の珪酸塩誘導体;リン酸カルシウム等のリン酸塩誘導体;炭酸カルシウム等の炭酸塩誘導体;硫酸カルシウム等の硫酸塩誘導体等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、上記賦形剤の他、ゼラチン;ポリビニルピロリドン;マクロゴール等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、上記賦形剤の他、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン等の化学修飾されたデンプン又はセルロース誘導体等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、タルク;ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩;コロイドシリカ;ピーガム、ゲイロウ等のワックス類;硼酸;グリコール;フマル酸、アジピン酸等のカルボン酸類;安息香酸ナトリウム等のカルボン酸ナトリウム塩;硫酸ナトリウム等の硫酸塩類;ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム等のラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物等の珪酸類;デンプン誘導体等が挙げられる。
安定剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等のアルコール類;塩化ベンザルコニウム;無水酢酸;ソルビン酸等が挙げられる。
矯味矯臭剤としては、例えば、甘味料、酸味料、香料等が挙げられる。
なお、経口投与用の液剤の場合に使用する担体としては、水等の溶剤等が挙げられる。
本発明の医薬品を摂取するタイミングは、例えば食前、食後、食間、就寝前など特に限定されない。
以下に実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(1)ウシラクトフェリン分解物の調製
ウシラクトフェリン分解物は以下のようにして調製した。ウシラクトフェリン(森永乳業社製)を精製水にて5質量%となるように溶解し、塩酸でpH3に調製した。37℃に
加温し、次いでウシラクトフェリンの質量に対して3質量%のペプシン(豚ペプシン;和
光純薬社製、至適pH2~3))を添加して攪拌しながら4時間反応させて加水分解を行った。加水分解反応が終了後、反応液を80℃に加温し、10分間保温して酵素を失活させた。反応液を冷却後、水酸化ナトリウム溶液を添加して反応液のpHを6に調整し、その後反応液を凍結乾燥してウシラクトフェリン分解物を得た。なお、この分解物中に、配列番号2に示すアミノ酸配列を含むペプチド、特に配列番号1に示すアミノ酸配列からなるペプチドが含まれることを、常法により確認した。
(2)ウシラクトフェリン分解物のインターフェロン産生促進作用評価試験
ウシラクトフェリン、ウシラクトフェリン分解物のインターフェロンの産生促進作用を比較評価するため、インターフェロン産生を誘導する1本鎖RNA(ssRNA)とウシラクトフ
ェリン、またはウシラクトフェリン分解物を末梢血単核細胞(PBMC)とともに培養皿で培養し、PBMCが培養上清中に放出したインターフェロンを定量した。
具体的には協力者(n=3)より採取した末梢血からPBMCを回収した。ssRNA40/LyoVec(登録商標、Invitrogen社製)を終濃度2.5μg/mLとなるよう全ての培養皿に
添加した。加えて、ssRNA40/LyoVecを添加した培養皿にウシラクトフェリン(森永乳業社製)を終濃度100μg/mL、または(1)で調製したウシラクトフェリン分解物を終
濃度100μg/mLとなるよう添加した。ウシラクトフェリン、ウシラクトフェリン分
解物はそれぞれ滅菌水に事前に溶解した。対照群には滅菌水のみを添加した。PBMCを5%ヒト血清(Sigma-Aldrich社製)、Glutamax(Thermo Fisher Scientific社製)、1
% Penicillin Streptomycin(富士フイルム和光純薬社製)を加えたRPMI1640培地(Sigma-Aldrich社製)に懸濁しそれぞれの培養皿に加えた。PBMCは1つの培養皿
あたり5×10個となるようにし、37℃、5%CO条件下で培養した。培養開始24時間後に培養上清を回収し、インターフェロン-αの濃度を市販のELISAキット(PBL Assay science社製)を用いて製造者の指定するプロトコルに従って測定した。
ウシラクトフェリンおよびウシラクトフェリン分解物を添加した場合の培養上清中のインターフェロン-αの濃度を表1に示す。いずれの協力者の末梢血から分離したPBMCにおいても、ssRNA40/LyoVecに加えウシラクトフェリンを添加した場合、対照群に比べて高い濃度のインターフェロン-αが検出された。さらに、ウシラクトフェリン分解物を添加した場合にウシラクトフェリンを添加した場合に比べてより高い濃度のインターフェロン-αが検出された。
Figure 2023118385000001
[実施例2]
(1)ラクトフェリシンの合成
ウシ由来ラクトフェリシン(LFcinB)、すなわち配列番号1に示す26残基のペプチドは、株式会社東レリサーチセンターが合成した。
(2)LFcinBのインターフェロン産生促進作用評価試験
ウシラクトフェリン分解物とLFcinBのインターフェロンの産生促進作用を比較評価するため、インターフェロン産生を誘導するssRNAとウシラクトフェリン分解物、また
は(1)で合成したLFcinBを末梢血単核細胞(PBMC)とともに培養皿で培養し、PBMCが培養上清中に放出したインターフェロンを定量した。
具体的には協力者(n=3)より採取した末梢血からPBMCを回収した。ssRNA40/LyoVec(登録商標、Invitrogen社製)を終濃度2.5μg/mLとなるよう全ての培養皿に
添加した。加えて、ssRNA40/LyoVecを添加した培養皿にウシラクトフェリン分解物を終濃度100μg/mL、またはLFcinBを終濃度4μg/mLとなるよう添加した。ウシラクトフェリン分解物とLFcinBはそれぞれ滅菌水に事前に溶解した。PBMCを5%ヒト血清(Sigma-Aldrich社製)、Glutamax(Thermo Fisher Scientific社製)、1% Penicillin Streptomycin(富士フイルム和光純薬社製)を加えたRPMI1640培地
(Sigma-Aldrich社製)に懸濁しそれぞれの培養皿に加えた。PBMCは1つの培養皿あ
たり1×10個となるようにし、37℃、5%CO条件下で培養した。培養開始24時間後に培養上清を回収し、インターフェロン-αの濃度を市販のELISAキット(PBL Assay science社製)を用いて製造者の指定するプロトコルに従って測定した。
ウシラクトフェリン分解物およびLFcinBのインターフェロン産生誘導能を比較評価するため、培養上清中のインターフェロン-αの定量値を、添加したウシラクトフェリン分解物又はLFcinBの濃度で除して、単位濃度あたりのインターフェロン-α産生量を算出した。
結果を表2に示す。いずれの協力者の末梢血から回収したPBMCにおいても、ssRNA40/LyoVecに加えLFcinBを添加した場合に、ウシラクトフェリン分解物を添加した場合に比べて高いインターフェロン-α産生誘導能を示した。
Figure 2023118385000002

Claims (10)

  1. ラクトフェリン分解物を含有する、インターフェロン(IFN)産生促進用組成物。
  2. 前記ラクトフェリン分解物が、ウシのラクトフェリンに由来するものである、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記ラクトフェリン分解物が、配列番号2に示すアミノ酸配列を含むペプチドを含有する、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 配列番号2に示すアミノ酸配列を含むペプチドが、配列番号1に示すアミノ酸配列からなるペプチドである、請求項3に記載の組成物。
  5. IFNがIFN-αである、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 飲食品である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 免疫機能を維持、改善、又は強化するために摂取される、請求項6に記載の組成物。
  8. 医薬品である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
  9. IFN産生促進により予防、治療、又は改善し得る疾患及び/又は状態のために投与される、請求項8に記載の組成物。
  10. 前記疾患及び/又は状態が、多発性硬化症、乾癬、メラノーマ、髄鞘脱落性多発性神経根炎、癌細胞の増殖及び/又は転移、並びにウイルスの増殖に起因する疾患及び/又はその合併症からなる群から選択される一種又は二種以上である、請求項9に記載の組成物。
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