JP6797966B2 - 胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤、ラクトフェリン組成物の製造方法、及びラクトフェリン組成物 - Google Patents

胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤、ラクトフェリン組成物の製造方法、及びラクトフェリン組成物 Download PDF

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Description

本技術は、胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤、ラクトフェリン組成物の製造方法、及びラクトフェリン組成物に関する。
ラクトフェリンは、生体内において、涙、唾液、乳等に含まれる分子量約8万の糖蛋白質であり、乳児の感染防御に代表される様々な生理活性を有する多機能性蛋白質として知られている(非特許文献1)。また、このラクトフェリンの生理活性としては、細菌に対する抗菌作用(非特許文献2)、抗炎症作用(非特許文献3)、免疫調節作用(非特許文献4)等が報告されている。
このように、ラクトフェリンは種々の作用を示す多機能生理活性物質であるため、種々の食品、加工食品等に配合され、既に市販されている。
ラクトフェリンは、経口摂取された場合、他の食品蛋白質と同様に、口腔、胃、腸を通過しながら徐々に消化されるものと考えられ、特に胃を通過する際には、胃の消化酵素であるペプシンで速やかに消化・分解されることが報告されている(非特許文献5)。
この報告に対し、乳児が母乳中のラクトフェリンを摂取した場合、摂取量の数%〜数十%が糞便中に検出され、これが、乳児による消化能力の未発達が原因ではないかとする説が知られている(非特許文献6)。このような報告から、ラクトフェリンのペプシン分解により生成された分解物が、前記ラクトフェリンの多機能性に関係するであろうという考え方に基づいた研究が進められている。
一方、ラクトフェリン受容体が小腸上皮に発現することや、ラクトフェリンが小腸上皮細胞に取り込まれて核内の遺伝子発現に関与し、IL-18等の細胞間情報伝達サイトカインの産生を促す作用を発揮すること(非特許文献7)、及びラクトフェリンが腸上皮細胞増殖促進作用を発揮すること(非特許文献8)等が報告されている。
このように、ラクトフェリンが備える前記生理活性を発揮させるためには、ラクトフェリンが胃内のペプシンによる加水分解を受けることなく、当該ラクトフェリンを小腸まで到達させることが重要である。この観点から、例えば、ラクトフェリンに腸溶性のコーティングを施して摂取する方法等が提案されている。
Kawase, K, et al: Physiological Functions of Lactoferrin. Japanese Journal of Dairy and Food Science, Vol.45, No.4, p.75-82(1996) Journal of Dairy Science, Vol.67, p.3(1984) Bannister JV, et al: Enhanced Production of Hydroxyl Radicals by the Xanthine-xanthine Oxidase Reaction in the Presence of Lactoferrin. Biochimica et Biophysica Acta, Vol.715, No.1, p.116-120(1982) Yamauchi, K, et al: Influence of Milk Protein on the Intestinal Immune System. Milk Science, Vol.56, No.4, p.199-208(2008) Suzuki, T, et al: Peptic Digestion of Human and Bovine Lactoferrin.栄養と食糧, Vol.31, No.4, p.395-403(1978) 新飯田裕一ら著: ELISA による母乳および新生児糞便 中ラクトフェリンの測定とその意義.日本小児科学会雑誌, Vol.92, No.7, p.496-1501(1988) Hagiwara, T, et al: Effects of Lactoferrin and Its Peptides on Proliferation of Rat Intestinal Epithelial Cell Line, IEC-18, in the Presence of Epidermal Growth Factor Bioscience, Biotechnology and Biochemistry, Vol.59, No.10, p.1875-1881(1995) Bo Lonnerdal, et al: Bovine Lactoferrin Can Be Taken Up by the Human Intestinal Lactoferrin Receptor and Exert Bioactivities. Journal of Pediatric Gastroenterology and Nutrition, Vol.53, No.6, p.606-614(2011)
ラクトフェリンが前記ペプシンによる加水分解を受けることなく、当該ラクトフェリンを小腸まで到達させる技術が案出されている。しかしながら、牛乳のようなラクトフェリンに人工的な加工が行われていない通常の食品の形態において、ラクトフェリン等の蛋白質がペプシン等の胃内酵素による分解を受けない作用、すなわち、胃内での酵素活性を阻害する作用の検討は行われていなかった。
本発明者らは、上記課題解決のために鋭意検討した結果、カゼインが胃内の酵素活性を阻害する作用を有すること、特にラクトフェリンを基質としたときに胃内酵素によってラクトフェリンが分解されることをカゼインが効果的に抑制することを新たに見出し、本技術を完成させるに至った。
すなわち、本技術は以下を提供する。
[1]中性条件下にあり且つ滅菌されたカゼイン又はカゼイン加水分解物を有効成分として含有する、ラクトフェリンに対する胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤。
[2]牛乳又は脱脂乳から分離された乳由来のカゼイン又はカゼイン加水分解物を有効成分として含有する、[1]に記載の胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤。
[3]ラクトフェリンと混合してラクトフェリン組成物を製造する為に用いられるものである、[1]又は[2]に記載の胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤。
[4]ラクトフェリン1質量部に対して10質量部以上のカゼイン又はカゼイン加水分解物が用いられる、[1]〜[3]のいずれか一つに記載の胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤。
[5]前記製造において、前記ラクトフェリンは、ラクトフェリン水溶液として前記胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤と混合されるものであり、且つ、当該ラクトフェリン水溶液が酸性条件下にある、[3]又は[4]に記載の胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤。
[6]前記製造において、前記ラクトフェリンは、ラクトフェリン水溶液として前記胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤と混合されるものであり、且つ、当該ラクトフェリン水溶液がpH2〜5の条件下にある、[5]に記載の胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤。
[7]前記胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤が中性の溶液である、[1]〜[6]のいずれか一つに記載の胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤。
[8]胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤が、ラクトフェリンを小腸に到達させるために用いられるものである、[1]〜[7]のいずれか一つに記載の胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤。
[9]前記ラクトフェリン組成物が飲食品組成物である、[3]〜[8]のいずれか一つに記載の胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤。
[10]前記ラクトフェリン組成物が流動食である、[3]〜[9]のいずれか一つに記載の胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤。
[11]酸性条件下にあり且つ滅菌されたラクトフェリン水溶液と中性条件下にあり且つ滅菌されたカゼイン又はカゼイン加水分解物含有溶液とを混合する混合工程を含む、ラクトフェリン組成物の製造方法。
[12]前記ラクトフェリン水溶液が酸性条件に調整される工程を含み、当該調整工程後に前記混合工程が行われる、[11]に記載の製造方法。
[13]前記ラクトフェリン水溶液がpH2〜5の範囲に調整される工程を含み、当該調整工程後に前記混合工程が行われる、[11]又は[12]に記載の製造方法。
[14]前記カゼイン又はカゼイン加水分解物含有溶液に含まれるカゼイン又はカゼイン加水分解物が、牛乳又は脱脂乳から分離された、乳由来のカゼイン又はカゼイン加水分解物である、[11]〜[13]のいずれか一つに記載の製造方法。
[15]前記ラクトフェリン組成物が、ラクトフェリン1質量部に対して10質量部以上のカゼイン又はカゼイン加水分解物を含む、[11]〜[14]のいずれか一つに記載の製造方法。
[16]前記ラクトフェリン組成物が飲食品組成物である、[11]〜[15]のいずれか一項に記載の製造方法。
[17]前記ラクトフェリン組成物が流動食である、[11]〜[16]のいずれか一つに記載の製造方法。
[18]酸性条件下にあり且つ滅菌されたラクトフェリン水溶液と中性条件下にあり且つ滅菌されたカゼイン又はカゼイン加水分解物含有溶液との混合物を含むラクトフェリン組成物。
[19]前記ラクトフェリン水溶液のpHが2〜5である、[18]に記載のラクトフェリン組成物。
[20]前記カゼイン又はカゼイン加水分解物含有溶液に含まれるカゼイン又はカゼイン加水分解物が、牛乳又は脱脂乳から分離された、乳由来のカゼイン又はカゼイン加水分解物である、[18]又は[19]に記載のラクトフェリン組成物。
[21]前記ラクトフェリン組成物が、ラクトフェリン1質量部に対して10質量部以上のカゼイン又はカゼイン加水分解物を含む、[18]〜[20]のいずれか一つに記載のラクトフェリン組成物。
[22]前記ラクトフェリン組成物が、当該組成物中に含まれるラクトフェリンに対する胃内酸性プロテアーゼの酵素活性を阻害するために用いられるものである、[18]〜[21]のいずれか一つに記載のラクトフェリン組成物。
[23]前記ラクトフェリン組成物が、当該組成物中に含まれるラクトフェリンを小腸に到達させるために用いられるものである、[18]〜[22]のいずれか一つに記載のラクトフェリン組成物。
[24]前記ラクトフェリン組成物が飲食品組成物である、[18]〜[23]のいずれか一つに記載のラクトフェリン組成物。
[25]前記ラクトフェリン組成物が流動食である、[18]〜[24]のいずれか一つに記載のラクトフェリン組成物。

本技術により、カゼインを有効成分として含有し、胃内酵素活性を阻害する薬剤を提供することができる。また、本技術により、上記薬剤と、ラクトフェリンとが混合されたラクトフェリン組成物及びその製造方法を提供することができる。
カゼイン及びその他の蛋白質によるペプシン酵素活性に対する作用(実験例1)を示す図である。 基質との質量比に依存したカゼイン及びその他の蛋白質によるペプシン酵素活性に対する作用(実験例2)を示す図である。 各種カゼインによるペプシン酵素活性に対する作用(実験例3)を示す図である。 カゼイン及びカゼイン加水分解物によるペプシン酵素活性に対する作用(実験例4)を示す図である。 カゼインを含む組成物(流動食)によるペプシン酵素活性に対する作用(実験例5)を示す図である。 カゼインによるラクトフェリンの腸への到達効果(実験例6)を示す標識図である。
以下、本発明について詳細に説明する。尚、本明細書において、比または割合(%等)について示した値は、特に記載した場合を除き、質量に基づく値である。
(1)カゼイン
本技術において、カゼインとは、市販品、又は牛乳・脱脂乳等から公知の方法により分離された乳由来のカゼイン、又は塩酸カゼイン等の酸カゼインなどが挙げられ、これらのカゼインを一種又は二種以上組み合わせた混合物を用いることができる。
また、本技術に係るカゼインは、ナトリウムカゼイネイト、カリウムカゼイネイト等のカゼイネイトを含む。
更に、一般的なカゼイン中の構成成分は、単一の蛋白質ではなく、大別してα−カゼイン、β−カゼイン、κ−カゼインの3種類に分類されることが知られており、本技術ではいずれのカゼインも使用可能である。
そして、本技術において、カゼインは乳由来のものが好ましい。
(2)胃内酵素
本技術における胃内酵素とは、哺乳類等の胃内に存在し、基質である蛋白質を分解する酸性プロテアーゼが例示される。当該酸性プロテアーゼとしては、特に限定されないが、酸性アミノ酸を活性中心に含み、アスパラギン酸プロテアーゼの一つであるペプシンが好ましい。
(3)薬剤
本技術の薬剤は、カゼインを有効成分として含有する胃内酵素活性を阻害する効果を有するものである。具体的には、胃において、蛋白質である基質が胃内酵素により分解されるのを阻害することができ、もって当該蛋白質を小腸まで到達させることができる効果を有する。本技術においては、前記基質は、ラクトフェリン、ラクトパーオキシダーゼ、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブリン、トランスフェリン、免疫グロブリン、リゾチーム等であることが好ましく、特にラクトフェリンを基質としたときに、胃内酵素によって基質が分解される作用を、カゼインは効果的に抑制することができる。
本技術の薬剤は、製剤技術分野において慣用の方法、例えば、日本薬局方に記載の方法あるいはそれに準じる方法に従って製造することができ、経口投与することができる。更に、本技術の薬剤の形態は、特に限定されず、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、溶液剤、粉末剤等が挙げられる。
本技術の薬剤は、前記カゼインを薬学的に許容され得る賦形剤を加えて製剤化することができ、上記賦形剤等の例として、デキストラン類、サッカロース、ラクトース、マルトース、キシロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アラビアガム、グアーガム、トラガカント、アクリル酸コポリマー、エタノール、生理食塩水、リンゲル液等が挙げられる。
前記賦形剤に加えて、必要に応じて防腐剤、安定化剤、結合剤、pH調整剤、緩衝剤、増粘剤、ゲル化剤、抗酸化剤等の添加剤を加えることができる。これらの添加剤は、製薬の際に使用されるものが好ましい。
(4)ラクトフェリン
本技術において、酵素活性の対象となる基質として用いられるラクトフェリンは、哺乳動物(例えば、ヒト、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ等)の初乳、移行乳、常乳、末期乳、又はこれらの乳の処理物である脱脂乳、ホエイ等を原料とし、例えばイオン交換クロマトグラフィー等の公知の分離・精製方法を用いることで、前記原料から分離して得られるものを用いることができる。さらに、ラクトフェリン中の金属含有量は特に限定されず、上記ラクトフェリンは、この分離ラクトフェリンを塩酸やクエン酸等により脱鉄したアポ型ラクトフェリン;該アポ型ラクトフェリンを、鉄、銅、亜鉛、マンガン等の金属でキレートさせて得られる飽和度100%の状態の金属飽和ラクトフェリン;及び100%未満の各種飽和度で金属が結合している状態の金属部分飽和ラクトフェリンからなる群から選ばれる、いずれか1種又は複数種の混合物を用いることも可能である。
また、上記ラクトフェリンは、市販のラクトフェリンであってもよい。この市販のラクトフェリンとして、工業的規模で製造されているもの(例えば、森永乳業株式会社製)を使用することが好適である。
また、上記ラクトフェリンは、遺伝子工学的手法により、微生物、動物細胞、トランスジェニック動物等で生産されたラクトフェリンを使用することも可能である。好ましくは、ヒト若しくはウシ由来のラクトフェリン又はその対応する遺伝子に基づいて遺伝子工学的に製造されたラクトフェリンである。
本技術に使用するラクトフェリンの好ましい形態としては、ウシ由来のラクトフェリンが例示され、1種を単独で使用することも、複数種を混合して用いることも可能である。
(5)基質に対する薬剤の質量比
本技術の薬剤において、胃内酵素活性により基質が分解される作用を効果的に抑制するためのカゼインの割合は、該カゼインにより、基質が胃内酵素により分解される作用を阻害することができる割合であればよく、好ましくは、基質1質量部に対して、カゼイン50質量部以上、より好ましくは60質量部以上、更に好ましくは100質量部以上である。
(6)ラクトフェリン組成物
本技術は、前記薬剤が混合され、ラクトフェリンを基質とする胃内酵素活性が阻害されたラクトフェリン組成物に適用することができる。当該組成物は、カゼインによるラクトフェリンを基質とする胃内酵素活性の阻害作用が損なわれない範囲であれば、固体状、液状、顆粒状又は粉末状であってもよい。また、当該ラクトフェリン組成物を液状とする場合には、濃縮して用いることができる。
(7)ラクトフェリン組成物の製造方法
本技術に係るラクトフェリン組成物の製造方法は、ラクトフェリンと、前記薬剤と、が混合される混合工程を含み、当該混合方法は、特に限定されず、既知の方法によりこれらラクトフェリンと薬剤とを混合させることができる。更に、本技術に係る製造方法において、前記ラクトフェリン1質量部に対する、前記薬剤の有効成分であるカゼインが混合される割合は、該カゼインによりラクトフェリンを基質とする胃内酵素活性を阻害することができる程度に混合されていればよく、好ましくは、50質量部以上、より好ましくは60質量部以上、更に好ましくは100質量部以上である。
本技術におけるラクトフェリン組成物の製造方法には、基質のpHを調整する工程を含めることができ、当該基質のpHの調整範囲は、カゼインによるラクトフェリンを基質とする胃内酵素活性の阻害作用が損なわれない範囲であればよく、酸性条件の範囲であることが好ましく、pH2〜5の範囲であることがより好ましく、pH2〜3の範囲であることが特に好ましい。
(8)薬剤及びラクトフェリン組成物の用途
本技術に係る薬剤、及びこの薬剤を含有したラクトフェリン組成物は、様々な医薬品、飲食品、飼料等に配合して使用することができる。本技術に係る薬剤及びラクトフェリン組成物は、食品蛋白質として使用される、ラクトフェリン及びカゼインからなるため、生体への安全性が高く、長期間、連続的な摂取にも適している。
本技術に係る薬剤、及びこの薬剤を含有したラクトフェリン組成物を医薬品に利用する場合、該医薬品は、経口投与、経鼻投与、経胃投与、及び経腸投与のいずれでもよいが、経口投与又は経鼻投与が好ましい。
また、製剤化に際しては、本技術に係る薬剤、又はこの薬剤を含有したラクトフェリン組成物の他に、通常製剤化に用いられている賦形剤、pH調整剤、着色剤、矯味剤等の成分を用いることができる。更に、公知の又は将来的に見出される疾患の予防又は治療の効果を有する成分を、目的に応じて併用することも可能である。
更に、投与方法に応じて、適宜所望の剤形に製剤化することができる。例えば、経口投与の場合、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤等の固形製剤;溶液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤等の液剤等に製剤化することができる。
加えて、製剤化は剤形に応じて適宜公知の方法により実施できる。製剤化に際しては、本技術に係る薬剤、或いはこの薬剤を含有したラクトフェリン組成物のみを製剤化してもよく、適宜、製剤担体を配合する等して製剤化してもよい。
また、前記製剤担体としては、剤形に応じて、各種有機又は無機の担体を用いることができる。固形製剤の場合の担体としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、安定剤、矯味矯臭剤等が挙げられる。
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビット等の糖誘導体;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、α−デンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプン等のデンプン誘導体;結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等のセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルラン;軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム等の珪酸塩誘導体;リン酸カルシウム等のリン酸塩誘導体;炭酸カルシウム等の炭酸塩誘導体;硫酸カルシウム等の硫酸塩誘導体等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、前記賦形剤の他、ゼラチン;ポリビニルピロリドン;マクロゴール等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、前記賦形剤の他、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン等の化学修飾されたデンプン又はセルロース誘導体等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、タルク;ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩;コロイドシリカ;ピーガム、ゲイロウ等のワックス類;硼酸;グリコール;フマル酸、アジピン酸等のカルボン酸類;安息香酸ナトリウム等のカルボン酸ナトリウム塩;硫酸ナトリウム等の硫酸塩類;ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム等のラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物等の珪酸類;デンプン誘導体等が挙げられる。
安定剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等のアルコール類;塩化ベンザルコニウム;無水酢酸;ソルビン酸等が挙げられる。
矯味矯臭剤としては、例えば、甘味料、酸味料、香料等が挙げられる。
なお、経口投与用の液剤の場合に使用する担体としては、水等の溶剤、矯味矯臭剤等が挙げられる。
本技術に係る薬剤、及びこの薬剤を含有したラクトフェリン組成物をヒト若しくは動物用の飲食品に利用する場合、公知の飲食品に添加して調製することもでき、飲食品の原料中に混合して新たな飲食品を製造することもできる。前記飲食品としては、液状、ペースト状、固体、粉末等の形態を問わず、錠菓、流動食、飼料(ペット用を含む)等のほか、例えば、小麦粉製品、即席食品、農産加工品、水産加工品、畜産加工品、乳・乳製品、油脂類、基礎調味料、複合調味料・食品類、冷凍食品、菓子類、飲料、これら以外の市販食品等が挙げられる。
小麦粉製品としては、例えば、パン、マカロニ、スパゲッティ、めん類、ケーキミックス、から揚げ粉、パン粉等が挙げられる。
即席食品類としては、例えば、即席めん、カップめん、レトルト・調理食品、調理缶詰め、電子レンジ食品、即席スープ・シチュー、即席みそ汁・吸い物、スープ缶詰め、フリーズ・ドライ食品、その他の即席食品等が挙げられる。
農産加工品としては、例えば、農産缶詰め、果実缶詰め、ジャム・マーマレード類、漬物、煮豆類、農産乾物類、シリアル(穀物加工品)等が挙げられる。
水産加工品としては、例えば、水産缶詰め、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品、水産珍味類、つくだ煮類等が挙げられる。
畜産加工品としては、例えば、畜産缶詰め・ペースト類、畜肉ハム・ソーセージ等が挙げられる。
乳・乳製品としては、例えば、加工乳、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料類、チーズ、アイスクリーム類、調製粉乳類、クリーム、その他の乳製品等が挙げられる。
油脂類としては、例えば、バター、マーガリン類、植物油等が挙げられる。
基礎調味料としては、例えば、しょうゆ、みそ、ソース類、トマト加工調味料、みりん類、食酢類等が挙げられ、また、複合調味料・食品類として、調理ミックス、カレーの素類、たれ類、ドレッシング類、めんつゆ類、スパイス類、その他の複合調味料等が挙げられる。
冷凍食品としては、例えば、素材冷凍食品、半調理冷凍食品、調理済冷凍食品等が挙げられる。
菓子類としては、例えば、キャラメル、キャンディー、チューインガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、米菓子、豆菓子、デザート菓子、その他の菓子等が挙げられる。
飲料類としては、例えば、炭酸飲料、天然果汁、果汁飲料、果汁入り清涼飲料、果肉飲料、果粒入り果実飲料、野菜系飲料、豆乳、豆乳飲料、コーヒー飲料、お茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、スポーツ飲料、栄養飲料、アルコール飲料、その他の嗜好飲料等が挙げられる。
前記以外の市販食品としては、例えば、ベビーフード、ふりかけ、お茶潰けのり等が挙げられる。
また、本技術が適用可能な飲食品は、保健用途が表示された飲食品として提供・販売されることも可能である。
「表示」行為には、需要者に対して前記用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、前記用途を想起・類推させうるような表現であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、全て本技術の「表示」行為に該当する。
また、「表示」は、需要者が前記用途を直接的に認識できるような表現により行われることが好ましい。具体的には、飲食品に係る商品又は商品の包装に前記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に前記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に前記用途を記載して電磁気的(インターネット等)方法により提供する行為等が挙げられる。
一方、表示内容としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示等)であることが好ましい。また、そのような表示内容を、包装、容器、カタログ、パンフレット、POP(Point of purchase advertising)等の販売現場における宣伝材、その他の書類等へ付することが好ましい。
また、「表示」には、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、医薬用部外品等としての表示も挙げられる。この中でも特に、消費者庁によって認可される表示、例えば、特定保健用食品制度、これに類似する制度にて認可される表示等が挙げられる。後者の例としては、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク減少表示等を挙げることができる。より具体的には、健康増進法施行規則(平成15年4月30日日本国厚生労働省令第86号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)及びこれに類する表示が典型的な例である。
本技術に係る薬剤、及びこの薬剤を含有したラクトフェリン組成物を飼料に利用する場合、公知の飼料に添加して調製することもできるし、飼料の原料中に混合して新たな飼料を製造することもできる。
前記飼料の原料としては、例えば、トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦等の穀類;ふすま、麦糠、米糠、脱脂米糠等の糠類;コーングルテンミール、コーンジャムミール等の製造粕類;脱脂粉乳、ホエー、魚粉、骨粉等の動物性飼料類;ビール酵母等の酵母類;リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の鉱物質飼料;油脂類;アミノ酸類;糖類等が挙げられる。また、前記飼料の形態としては、例えば、愛玩動物用飼料(ペットフード等)、家畜飼料、養魚飼料等が挙げられる。
なお、本技術に係る薬剤、及びこの薬剤を含有したラクトフェリン組成物を利用した、上記飲食品又は飼料は、カゼインによるラクトフェリンを基質とする胃内酵素活性の阻害作用が損なわれない範囲であれば、低温保持殺菌、高温短時間殺菌、超高温加熱処理殺菌等の殺菌処理、又は滅菌処理することも可能である。
以下、実験例に基づいて本技術を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実験例は、本技術の代表的な実験例の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
実験例1:カゼイン及びその他の蛋白質によるペプシン酵素活性に対する作用に関する検討
<原料>
本実験例において、基質として使用したラクトフェリンとしては、ウシを由来とするラクトフェリン(以下、「ラクトフェリン」という)を用いた。
また、実験対象の蛋白質として、カゼインナトリウム (Tatua100, Tatua Japan社製)を用いた。
更に、コントロールであるその他の蛋白質として、分離ホエイ蛋白質(Whey Protein Isolate 895, Fonterra社製)、卵白アルブミン( Albumin from chicken egg white, Sigma Aldrich社製)、大豆蛋白質(プロリーナRD-1, 不二製油株式会社製)を使用した。
<試料の調製>
(1)坂井らの市販牛乳を使った実験(Sakai, K., Ogawa, M., Takashima, H., Mizunuma, T., Manabe, S.: Peptic Digestibility of Proteins in Different Heat-treated Commercial Cow's Milks. 日本栄養・食糧学会誌, 50, 2, 147-152(1997))を参考とし、0.6mg/mlのラクトフェリン水溶液及び0.2mg/mlペプシン水溶液を作製した。
(2)ラクトフェリン1質量部に対する蛋白質の割合が、50質量部となるように、各種蛋白質をそれぞれ30mg測り取り、5mlの0.1Mクエン酸溶液中で溶解した。
(3)このようにして得られた各種蛋白質の水溶液に対し、0.6mg/mlのラクトフェリン水溶液を1ml添加し、超純水で10mlにメスアップした。この際、1N塩酸を用いて試料のpHを正確に2に調整し、ラクトフェリン水溶液と、各種蛋白質の水溶液が混合された試料としてのラクトフェリン組成物を得た。
<ペプシン水溶液による人工消化>
(1)各試料を37℃の恒温槽で予備加熱をした後、各試料にペプシン水溶液を30μl添加し、ペプシンによる反応を開始させた。
(2)ペプシンの反応開始後、0分後、5分後、10分後、30分後、60分後、120分後に各試料からサンプルを採取した。
この際、ペプシンによる反応を停止させるため、3N水酸化ナトリウム溶液3μlを各試料に混合してpH7〜9に調整し、氷冷した。
(3)その後、各サンプルにつき、SDS-PAGE システム(BIO-RAD社製)及びWestern blotting システムを用いてラクトフェリンの検出を行った。なお、ラクトフェリン水溶液と、カゼイン以外の蛋白質水溶液とを混合した試料については、5分後と30分後のサンプルは電気泳動に供しなかった。
<SDS-PAGE システム及びWestern blotting システム>
(1)電気泳動ゲルに各サンプルを10μlずつ供し、SDS電気泳動を行い、蛋白質を分離した。
(2)ゲル上の蛋白質をメンブレンに膜転写した。
(3)転写後のメンブレンは、1倍のPBS−T(Phosphate Buffered Saline with Tween20 (PBS-T、Tweenは登録商標) Tablets, pH7.4:タカラバイオ株式会社製、Code:T9183)を用いて1質量%となるようにBSAを溶解した溶液(以下、「1%BSA/PBS−T」と記載する)で室温にて1時間振とうし、ブロッキングを行った。
(4)ブロッキングしたメンブレンは、前記の1%BSA/PBS−Tで2000倍希釈した一次抗体液anti-bLF Goat IgG antibody(BETHYL社製)を用いて、室温にて1時間振とうした。
(5)さらに、メンブレンをPBS−Tで毎回5分間、合計で3回洗浄した後、次いで、PBS−Tで2000倍希釈した二次抗体液anti-Goat HRP Rabbit IgG antibody(Cappel社製)を用い、室温にて1時間、抗体反応させた。
(6)メンブレンをPBS−Tで毎回5分間、合計で3回洗浄した後、ECL Prime(GE Healthcare社製)を用いて、ラクトフェリンの検出を行った。
本実験の結果を図1に示す。図1中、(A)は、ラクトフェリン水溶液とカゼイン水溶液を混合させたサンプルの結果を示し、(B)は、ラクトフェリン水溶液と分離ホエイ蛋白質の水溶液を混合させたサンプルの結果を示し、(C)は、ラクトフェリン水溶液と卵白アルブミンの水溶液を混合させたサンプルの結果を示し、(D)は、ラクトフェリン水溶液と大豆蛋白質の水溶液を混合させたサンプルの結果を示す。
図1に示すように、いずれのサンプルであってもペプシン水溶液添加直後(0分の時点)ではラクトフェリンのバンドは検出された。
一方、ペプシン水溶液添加後10分の時点では、ラクトフェリン水溶液とカゼイン水溶液を混合させたサンプル(図1の(A))においてのみ、ラクトフェリンのバンドが検出された。また、ラクトフェリン水溶液とカゼイン水溶液を混合させたサンプルにおいては、ペプシン水溶液添加後120分の時点であっても、ラクトフェリンのバンドが検出された。
本実験例1の結果から、カゼインには、基質としてラクトフェリンを用いた場合、ペプシン酵素活性を阻害する作用があることが明らかとなった。なお、本実験例1では、試料、すなわちラクトフェリン組成物を得る段階で、予め酸性(pH2)に調整した上でラクトフェリンと蛋白質であるカゼインとを混合してラクトフェリン組成物を調製しているが、結果的にカゼインが凝固等の物性変化を起こさずにペプシンの酵素活性を効果的に阻害することが可能であった。これにより、例えばラクトフェリン組成物を経口摂取した場合に胃内での酸性条件下であっても、カゼインの物性変化を起こさずに胃内酵素による分解の影響を抑制し、ラクトフェリンを腸まで到達させることができると期待される。
実験例2:基質との質量比に依存したカゼイン及びその他の蛋白質によるペプシン酵素活性に対する作用の検討
実験例1の結果から、カゼインには、基質にラクトフェリンを用いた場合に、ペプシン酵素活性を阻害する作用があることが明らかとなった。一方で、当該実験例1にて用いた各試料は、ラクトフェリン1質量部に対する各種蛋白質の割合が、50質量部となるように調製した。そこで、本実験例2では、基質との質量比に依存したカゼインの作用を検討するべく、ラクトフェリン1質量部に対する各種蛋白質の割合が、1質量部、10質量部、100質量部となるように、各試料を調製した。
本実験例2にて用いた各種蛋白質は実験例1と同一である。また、実験例1と同様に、試料としてのラクトフェリン組成物を調製した。
そして、実験例1と同様、ペプシン水溶液による人工消化を行い、ペプシン反応後0分後、5分後、30分後、60分後、120分後にサンプルを採取した。
更に、実験例1と同様、Western blotting法を用いて、ペプシン水溶液による人工消化処理により得た各サンプルからラクトフェリンの検出を行った。
尚、ラクトフェリン水溶液と、カゼイン以外の各種蛋白質とを混合させた試料については、ペプシンの反応開始後5分後と30分後のサンプルは電気泳動に供しなかった。
本実験の結果を図2に示す。図2中、(A)は、ラクトフェリン水溶液とカゼイン水溶液を混合させた各サンプルの結果を示し、(B)は、ラクトフェリン水溶液と分離ホエイ蛋白質の水溶液を混合させた各サンプルの結果を示し、(C)は、ラクトフェリン水溶液と卵白アルブミンの水溶液を混合させた各サンプルの結果を示し、(D)は、ラクトフェリン水溶液と大豆蛋白質の水溶液を混合させた各サンプルの結果を示す。尚、図2に示す各サンプルの結果において、(a)〜(d)は、ラクトフェリン水溶液と各種蛋白質水溶液の割合を示している。
図2に示すように、いずれのサンプルであってもペプシン水溶液添加直後(0分の時点)ではラクトフェリンのバンドは検出された。
一方、ペプシン水溶液添加後10分の時点では、ラクトフェリン水溶液とカゼイン水溶液を混合させたサンプル(図2の(A))においてのみ、ラクトフェリンのバンドが検出された。
更に、ラクトフェリン水溶液とカゼイン水溶液を混合させたサンプルにおいて、カゼイン水溶液が1質量部であるサンプルに比べ、カゼイン水溶液が10質量部であるサンプルの方がペプシン水溶液添加後5分後、10分後、30分後、60分後、120分後のラクトフェリンのバンドが大きく検出された。この傾向は、カゼインの質量部が大きくなるにつれて確認された。
また、ラクトフェリン水溶液1質量部に対してカゼイン水溶液が50質量部、及び100質量部であるサンプルについては、ペプシン水溶液添加後120分の時点でも、ラクトフェリンのバンドが明確に検出された。
本実験例2の結果から、基質にラクトフェリンを使用した場合、カゼインはペプシン酵素活性を阻害する作用を有することが確認できた。
カゼインによるペプシン酵素活性阻害作用は、基質の質量部に対する当該カゼインの質量部に依存することが明らかとなり、カゼインの質量部が大きくなるにつれて、それに比例してカゼインのペプシン酵素活性の阻害作用も発揮されることが明らかとなった。
実験例3:各種カゼインによるペプシン酵素活性に対する作用の検討
実験例1及び実験例2の結果から、カゼインには、基質にラクトフェリンを使用した場合にペプシン酵素活性を阻害する作用があることが明らかとなった。ここで、前述の如く、カゼインには、α−カゼイン、β−カゼイン、κ−カゼインが含まれることから、上記作用の有無につき、カゼインの種類毎に検討を行った。
本実験例3において、実験例1と同様に、試料としてのラクトフェリン組成物を調製した。この際、ラクトフェリン1質量部に対して、α−カゼイン、β−カゼイン、及びκ−カゼインからなるカゼイン全体の割合が50質量部となるように、α−カゼインを25質量部、β−カゼインを18.5質量部、及びκ−カゼインを6.5質量部の割合で混合して試料の調製を行った。なお、α−カゼイン、β−カゼイン、及びκ−カゼインは、すべてシグマ(Sigma社製)を使用した。
そして、実験例1と同様、ペプシン水溶液による人工消化を行い、ペプシン反応後0分後、10分後、30分後、60分後、120分後にサンプルを採取した。
更に、実験例1と同様、Western blotting法を用いて、ペプシン水溶液による人工消化処理により得た各サンプルからラクトフェリンの検出を行った。
本実験結果を図3に示す。図3中、(A)は、ラクトフェリン水溶液とα−カゼイン水溶液を混合させたサンプルの結果を示し、(B)は、ラクトフェリン水溶液とβ−カゼイン水溶液を混合させたサンプルの結果を示し、(C)は、ラクトフェリン水溶液とκ−カゼイン水溶液を混合させたサンプルの結果を示す。
図3に示すように、α−カゼイン水溶液を混合したサンプルとβ−カゼイン水溶液を混合したサンプルの場合には、ペプシン水溶液添加後120分の時点であってもラクトフェリンのバンドが明確に検出された。これに対し、κ−カゼイン水溶液を混合したサンプルの場合には、α−カゼイン水溶液を混合したサンプル及びβ−カゼイン水溶液を混合したサンプルに比べてラクトフェリンのバンドの大きさは小さかったものの、ペプシン水溶液添加後120分の時点であってもラクトフェリンのバンドが検出された。
本実験例3の結果から、α−カゼイン、β−カゼイン及びκ−カゼインの何れにも、基質にラクトフェリンを使用した場合にペプシン酵素活性を阻害する作用があることが明らかとなった。
実験例4:カゼイン及びカゼイン加水分解物によるペプシン酵素活性に対する作用の検討
実験例1乃至実験例3の結果から、カゼインには、基質にラクトフェリンを使用した場合にペプシン酵素活性を阻害する作用があることが明らかとなった。
そこで、カゼインの加水分解物における上記作用の有無について検討を行った。
<カゼイン加水分解物の調製>
(1)1%カゼイン溶液を作製し、濃塩酸を用いて当該カゼイン溶液のpHを2.5に調整した。
ここで、カゼインの等電点は、4.6である。このため、濃塩酸を用いてpH調整を行った際には、等電点沈殿を起こさないよう素早く濃塩酸を添加して攪拌し、温度を37℃に調整した。
(2)pH調整された1%カゼイン溶液に対し、ブタ由来のペプシン(Sigma Aldrich社製, ≧250 units/mg)を添加した。
ここで、カゼインの分解程度が異なるカゼイン加水分解物を調製するため、基質であるカゼインに対するペプシンの質量の割合が0.0033%、0.01%、0.04%、0.1%となるよう、上記ペプシンをそれぞれ加えた。
また、反応温度は37℃、反応時間は2時間とした。
(3)ペプシンの反応終了後、各カゼイン加水分解物の温度を85℃まで上昇させ、10分間保持することでペプシンを失活させ、4種類の分解率の異なるカゼイン加水分解物を得た。
このようにして得た各カゼイン加水分解物に対し、ラクトフェリン水溶液を混合し、カゼイン加水分解物と、ラクトフェリンとが混在した試料(ラクトフェリン1質量部に対してカゼイン加水分解物が50質量部の割合で混合)としてのラクトフェリン組成物を得た。各試料の調製は実験例1と同様に行った。そして、各試料につき、実験例1と同様、ペプシン水溶液による人工消化を行い、ペプシン反応後0分後、10分後、30分後、60分後、120分後にサンプルを採取した。
更に、実験例1と同様、Western blotting法を用いて、ペプシン水溶液による人工消化処理により得た各サンプルからラクトフェリンの検出を行った。
本実験結果を図4に示す。図4中、(A)は、カゼインに対するペプシンの割合が0.0033%であるカゼイン加水分解物に関する結果を示し、(B)は、カゼインに対するペプシンの割合が0.01%であるカゼイン加水分解物に関する結果を示し、(C)は、カゼインに対するペプシンの割合が0.04%であるカゼイン加水分解物に関する結果を示し、(D)は、カゼインに対するペプシンの割合が0.1%であるカゼイン加水分解物に関する結果を示す。尚、比較例として、ペプシンによる分解を受けていないラクトフェリンのWestern blotting法の結果、及びペプシンによる分解を受けていないカゼインのWestern blotting法の結果を併せて示した。
図4に示すように、ペプシン水溶液添加後30分の時点では、各サンプルにおいて、ラクトフェリンのバンドが検出された。
一方、ペプシン水溶液添加後60分の時点では、カゼインの加水分解の程度が高いもの程、すなわち、ペプシンの酵素濃度が高いもの程、ラクトフェリンのバンドの大きさが小さくなる傾向が見られた。この傾向は、ペプシン水溶液添加後120分の時点でも同様に見られた。
本実験例4の結果から、ペプシンによる加水分解率の低いカゼイン加水分解物から順に、ラクトフェリンの残存率は高いという傾向が見られた。
実験例5:カゼインを含む組成物(流動食)によるペプシン酵素活性に対する作用の検討
本実験例5では、ラクトフェリン及びカゼインを含有する既存の飲食品と、当該飲食品からカゼインを除去したもの、を用いて、カゼインによるペプシン酵素活性の阻害作用についての検討を行った。
<飲食品>
本実験例5では、以下の飲食品を用いた。
[流動食]
本実験例5では、ラクトフェリンとカゼインとが含有された流動食を用いた。この流動食としては、100mlあたり、ラクトフェリンが100mg配合され、カゼインが5g配合されたものを用いた。
[流動食の調製]
酸性条件下で滅菌したラクトフェリン水溶液と、カゼインを含み、かつ中性で滅菌されたその他栄養素を含む溶液と、を無菌条件下で混合して、混合後の調製液中に固形分換算で、それぞれラクトフェリンを0.1質量部、及びカゼインを5質量部含む流動食を製造した。
尚、ラクトフェリン水溶液及びカゼインとその他の栄養素を含む溶液の滅菌には、直接加熱式UHT殺菌機(森永エンジニアリング株式会社製)を用いた。
<流動食中のカゼインの除去>
前記流動食におけるカゼインの除去は、等電点沈殿法により行い、カゼイン除去流動食を調製した。また、等電点沈殿法により流動食中のカゼインが除去されたこと、並びに、カゼイン除去後の画分にラクトフェリンやホエイ蛋白質(β-LG、α-LA)が存在することは、Bradford 法による蛋白質定量とSDS-PAGE にて確認した。
<流動食及びカゼイン除去流動食の人工消化>
(1)日本薬局方に基づき、ペプシン濃度が0.8mg/mlとなるpH3の人工胃液を作製した。
(2)流動食及びカゼイン除去流動食に対する上記人工胃液の割合が、4対3となるように、流動食及びカゼイン除去流動食それぞれと、上記人工胃液を混合させ、試料を得た。
(3)各試料を恒温槽中で37℃に保温した。
(4)その後、人工胃液の反応開始後、0分後、5分後、10分後、30分後、60分後、120分後にサンプルを採取した。
この際、ペプシンによる反応を停止させるため、3N水酸化ナトリウム溶液3μlを各試料に混合してpH7〜9に調整し、氷冷した。
そして、各サンプルについて実験例1と同様、Western blotting法を用いてラクトフェリンの検出を行った。
本実験結果を図5に示す。図5中、(A)は、ラクトフェリン及びカゼインが含有された流動食に関する結果を示し、(B)は、ラクトフェリンを含みかつカゼインが除去された流動食に関する結果を示す。
図5に示すように、ラクトフェリン及びカゼインが含有された流動食の場合、胃内での滞留時間に相当するペプシン水溶液添加後120分の時点では、ラクトフェリンのバンドが検出された。これに対し、ラクトフェリンを含みかつカゼインが除去された流動食の場合、ペプシン水溶液添加後120分の時点ではラクトフェリンのバンドが検出されなかった。
本実験例5の結果から、カゼインの存在の有無により、基質にラクトフェリンが使用された場合(流動食中にラクトフェリンが含まれている場合)において、ペプシン酵素活性に対する阻害作用に影響を及ぼすことが明らかとなった。
すなわち、ラクトフェリンを含む飲食品に、一定量のカゼインが混合されていることにより、胃内での酵素消化に対する保護効果が発揮されることが推測される。
実験例6:カゼインによるラクトフェリンの腸への到達効果の検討
実験例1乃至実験例5の結果から、カゼインには、基質にラクトフェリンを使用したときにペプシン酵素活性を阻害する作用があることがin vitroの実験にて確認できた。このため、本発明者らは、上記作用の確認をin vivoの実験にて行った。本実験例6では、実験例5にて調製した、カゼイン及びラクトフェリンを含有する流動食を用いた。
本実験例6では、以下の実験動物を用いた。
<実験動物>
本実験例6において、動物には、BALB/cのマウス(雄、9週齢)を用いた。このマウスは、日本エスエルシー株式会社から購入した。本実験例6の実験群としては、前記流動食を摂取させたマウス群(以下、「実験群」という)を用いた。コントロール群としては、前記流動食の替わりに、ラクトフェリンを含有しない流動食を摂取させたマウス群(以下、「コントロール群」という)を用いた。尚、以下の説明において、便宜上、ラクトフェリンを含有しない流動食を「ラクトフェリン非含有流動食」という。
<流動食投与飼育>
飼育は1ケージ当たり6匹とし、固形食(F-2, 株式会社船橋農場社製)で1週間馴化させた後、10週齢において体重に基づき実験群及びコントロール群に群分けした。
その後、各群に対し、流動食及びラクトフェリン非含有流動食を、2日間自由摂取させた。
尚、実験群の飼育に関しては、ムサシ株式会社製のANパックにラクトフェリンが含有された流動食を入れ、同じくムサシ株式会社製のSEノズルをケージに装着し、自由摂取させた。
自由摂取中にラクトフェリン含有流動食入りのANパックをケージから取り除き、その後30分後、1時間後、2時間後、4時間後に各群のマウスを解剖して各マウスの空腸を採取した。
その後、メタカン固定パラフィン包埋ブロックより2μmの空腸組織切片を作製し、各空腸組織切片に対して、以下の免疫組織化学染色を行った。
<免疫組織化学染色>
(1)各空腸組織切片を脱パラフィン後、3%過酸化水素/メタノール溶液に10分間反応させ、内因性パーオキシダーゼをブロッキングした。
(2)各空腸組織切片をPBSで洗浄した後、一次抗体反応をさせた。
一次抗体反応は、室温にて1時間行った。一次抗体は、Goat anti-Bovine Lactoferrin affinity purified(BETHYL社製)を用いた。
(3)次いで、一次抗体を認識する二次抗体を用いて抗原抗体反応を行った。
抗原抗体反応は、30分間行った。二次抗体は、ヒストファインシンプルステインマウスMAX-PO(G)(株式会社ニチレイ社製)を用いた。
(4)その後、各空腸組織切片をヒストファインシンプルステインDAB溶液(株式会社ニチレイ社製)で発色させ、核染色を行った。
(5)染色後、封入し、検鏡と写真撮影を行った。
本実験例6の結果を図6に示す。図6中、(A)は、自由摂取後の30分後の染色された実験群に係るマウスの組織切片を示し、(B)は、自由摂取後の1時間後の染色された実験群に係るマウスの組織切片を示し、(C)は、自由摂取後の2時間後の染色された実験群に係るマウスの組織切片を示し、(D)は、自由摂取後の4時間後の染色された実験群に係るマウスの組織切片を示し、(E)は、自由摂取後の1時間後の染色されたコントロール群に係るマウスの組織切片を示す。
図6に示すように、実験群において、ラクトフェリン含有流動食の自由摂取後の1時間後、2時間後の組織切片には、ラクトフェリン抗体陽性像が確認された。
これに対し、コントロール群において、ラクトフェリン非含有流動食の自由摂取後の1時間後の各組織切片には、ラクトフェリン抗体陽性像が確認されなかった。
本実験例6の結果から、カゼインが含有された流動食に対して、ラクトフェリンを含有させ、更に当該流動食を摂取した場合、当該ラクトフェリンが胃のペプシンにより加水分解されず、腸まで到達していることが明らかとなった。
すなわち、in vivoの実験でも、カゼインには、基質にラクトフェリンを使用したときにペプシン酵素活性を阻害する作用があることが明らかとなった。
本技術によれば、カゼインを有効成分として含有し、胃内酵素、特にペプシンの酵素活性を阻害する薬剤を提供することができる。当該薬剤により、例えば、ラクトフェリンのような蛋白質がペプシンによる分解を受けることなく腸に達して、効率良く生体に作用し、当該ラクトフェリンが有する生理活性を発揮させることができる。
なお、本技術は、カゼインを有効成分として含有する胃内酵素活性を阻害する薬剤にも関する。
また、この薬剤において、前記胃内酵素活性が、ペプシン酵素活性とすることができる。
更に、この薬剤において、ラクトフェリンを基質としたときに胃内酵素活性を阻害することができる。
また、この薬剤において、前記基質1質量部に対して、カゼイン50質量部以上で胃内酵素活性をより確実に阻害することができる。
更に、本技術は、ラクトフェリンと前記薬剤とを含むラクトフェリン組成物の製造方法であって、ラクトフェリン1質量部に対して前記薬剤を50質量部以上の割合で該ラクトフェリンと前記薬剤とが混合される混合工程を含む、製造方法にも関する。
この製造方法において、前記薬剤がpH2〜3の範囲に調整される工程を含み、当該調整工程後に前記混合工程が行われるようにすることができる。
また、本技術は、ラクトフェリン1質量部に対して前記薬剤が50質量部以上の割合で該ラクトフェリンと前記薬剤とが混合された、ラクトフェリン組成物にも関する。


Claims (17)

  1. 中性条件下にあり且つ滅菌されたカゼイン又はカゼイン加水分解物を有効成分として含有する、ラクトフェリンに対する胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤。
  2. 牛乳又は脱脂乳から分離された乳由来のカゼイン又はカゼイン加水分解物を有効成分として含有する、請求項1に記載の胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤。
  3. ラクトフェリンと混合してラクトフェリン組成物を製造する為に用いられるものである、請求項1又は2に記載の胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤。
  4. ラクトフェリン1質量部に対して10質量部以上のカゼイン又はカゼイン加水分解物が用いられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤。
  5. 前記製造において、前記ラクトフェリンは、ラクトフェリン水溶液として前記胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤と混合されるものであり、且つ、当該ラクトフェリン水溶液が酸性条件下にある、請求項3又は4に記載の胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤。
  6. 前記製造において、前記ラクトフェリンは、ラクトフェリン水溶液として前記胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤と混合されるものであり、且つ、当該ラクトフェリン水溶液がpH2〜5の条件下にある、請求項5に記載の胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤。
  7. 前記胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤が中性の溶液である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤。
  8. 胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤が、ラクトフェリンを小腸に到達させるために用いられるものである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤。
  9. 前記ラクトフェリン組成物が飲食品組成物である、請求項3〜8のいずれか一項に記載の胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤。
  10. 前記ラクトフェリン組成物が流動食である、請求項3〜9のいずれか一項に記載の胃内酸性プロテアーゼ酵素活性阻害剤。
  11. 酸性条件下にあり且つ滅菌されたラクトフェリン水溶液と中性条件下にあり且つ滅菌されたカゼイン又はカゼイン加水分解物含有溶液とを混合する混合工程を含む、ラクトフェリン組成物の製造方法。
  12. 前記ラクトフェリン水溶液が酸性条件に調整される工程を含み、当該調整工程後に前記混合工程が行われる、請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記ラクトフェリン水溶液がpH2〜5の範囲に調整される工程を含み、当該調整工程後に前記混合工程が行われる、請求項11又は12に記載の製造方法。
  14. 前記カゼイン又はカゼイン加水分解物含有溶液に含まれるカゼイン又はカゼイン加水分解物が、牛乳又は脱脂乳から分離された、乳由来のカゼイン又はカゼイン加水分解物である、請求項11〜13のいずれか一項に記載の製造方法。
  15. 前記ラクトフェリン組成物が、ラクトフェリン1質量部に対して10質量部以上のカゼイン又はカゼイン加水分解物を含む、請求項11〜14のいずれか一項に記載の製造方法。
  16. 前記ラクトフェリン組成物が飲食品組成物である、請求項11〜15のいずれか一項に記載の製造方法。
  17. 前記ラクトフェリン組成物が流動食である、請求項11〜16のいずれか一項に記載の製造方法。
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