JP2022018420A - 腎機能低下予防用組成物 - Google Patents

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周太郎 久保
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Abstract

【課題】低出生体重児・早産児などネフロン形成が不完全な状態で出生した児における、腎機能低下及びそれに起因する疾患のリスクを低減することを課題とする。【解決手段】ラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物を、低出生体重児用又は早産児用の、腎機能低下予防用組成物に有効成分として含有させる。ラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物を、低出生体重児用又は早産児用の、ネフロン形成促進用組成物に有効成分として含有させる。これらの組成物は、出生時から離乳期までの期間に摂取されることが好ましい。【選択図】図3

Description

本発明は、ラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物を有効成分として含有する、低出生体重児用又は早産児用の、腎機能低下予防用組成物に関する。
周産期はその個体の生涯の腎機能に重要な影響を及ぼす時期であることが知られている。早産児や低出生体重児は、将来、高血圧や慢性腎臓病に罹患しやすいことが一般的に知られている(非特許文献1、2)。その原因として、ネフロン数の少なさが挙げられる。ヒトでは通常、妊娠34~36週までに胎内でネフロン形成が完了し、正期産児では生後にはネフロンは形成されない。一方、ネフロンの形成が完了する前に生まれた早産児や低出生体重児では、生後10~40日程度ネフロン形成が持続するものの(非特許文献3)、生涯に渡ってネフロン数が少ないことが報告されている。そのため、少ないネフロンを用いて血液をろ過して尿を作ることで個々のネフロンに過剰な負担がかかり、高血圧や慢性腎臓病が引き起こされると考えられている。
ラットはヒトと異なり出生後も10日程度ネフロン形成が続くことが知られており、ネフロン形成が完了する前に生まれた早産児や低出生体重児への栄養介入のモデルとして有用と考えられる。ラットを用いた基礎研究により、子宮内胎児発育遅延によるネフロン数の減少は、乳仔期の栄養環境により回復することが報告されている(非特許文献4)。
ところで、近年、乳タンパク質の一つであるラクトフェリン(以下、「LF」とも記す)及びその加水分解物には種々の機能が見出されており、機能性飲食品や医薬品へ適用されている(特許文献1等)。
ラクトフェリンによる腎機能の維持、保護効果については、複数報告がされている。例えば、シスプラチンによる急性腎不全誘発ラットにおいては、ラクトフェリンが腎保護効果を示すことが報告されている(非特許文献5)。また、ラクトフェリンが、腎臓の濾過機能低下をもたらす糸球体硬化症やその前段階であるメサンギウム細胞機能異常に対して抑制作用を有し、慢性腎臓病の治療・予防に有用であることも開示されている(特許文献2)。
しかしながら、将来の高血圧や慢性腎臓病の罹りやすさに深く関連するネフロン数を、乳仔期のラクトフェリン摂取によって調節できることは知られていない。
特許第5875603号 特開2014-227375号公報
Huxley RR et al., Journal of Hypertension, 2000;18(7):815-831. Hoy WE et al., Kidney International, 1999;56(3):1072-1077. Nyengaard JR et al., Microvascular Research, 1993;45(3):243-261. Wlodek ME et al., J. Am. Soc. Nephrol., 2007;18(6):1688-1696. Kimoto et al., Journal of Baterinary Medical Science, 2013;75(2):159-164.
かかる状況に鑑みて、低出生体重児・早産児などネフロン形成が不完全な状態で出生した児における、腎機能低下及びそれに起因する疾患のリスクを低減することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、妊娠期に子宮内低灌流負荷をかけた母獣から出生した低出生体重仔ラットにおいて、その授乳期にラクトフェリンを摂取させると、ネフロン形成が促進され、離乳後のネフロン数が非摂取の場合よりも増加することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第一の態様は、ラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物を有効成分として含有する、低出生体重児用又は早産児用の、腎機能低下予防用組成物である。
本態様において好ましくは、前記腎機能低下は低ネフロン数に起因するものである。
好ましい態様では、本発明の第二の態様は、ラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物を有効成分として含有する、低出生体重児用又は早産児用の、ネフロン形成促進用組成物である。
本発明の第一の態様及び第二の態様における組成物は、高血圧症及び/又は慢性腎臓病の予防のために好ましく用いられる。
本発明の第一の態様及び第二の態様における組成物は、出生時から離乳期までの期間に好ましく摂取される。
本発明の第一の態様及び第二の態様における組成物は、飲食品であることが好ましい。
本発明の第一の態様及び第二の態様における組成物は、医薬品であることが好ましい。
本発明によれば、ネフロン形成が不完全な状態で出生した児、具体的には低出生体重児・早産児において、出生後のネフロン形成を促進させることができる。その結果として、将来の腎機能低下およびそれに起因する疾患(高血圧症や慢性腎臓病など)のリスクを低減することができる。
各群ラットの出生時から5週齢までの体重増加を表すグラフ。 各群ラットの5~6週齢での腎臓重量を表すグラフ。 各群ラットの5~6週齢でのネフロン数を表すグラフ。
次に、本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。
本発明の組成物は、ラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物を有効成分として含有する。
ラクトフェリンは、哺乳動物、例えば、ヒツジ、ヤギ、ブタ、マウス、水牛、ラクダ、ヤク、ウマ、ロバ、ラマ、ウシ又はヒトの乳、涙、唾液、血液等に含まれる鉄結合性の糖タンパク質である。
本発明におけるラクトフェリンは、いずれの哺乳動物に由来するものであってもよく、
特に限定されないが、含有量や入手容易性の点から、例えば、ウシ、ヒト等の乳由来のラクトフェリンが好ましい。前記乳としては、初乳、移行乳、常乳、末期乳のいずれでもよい。
また、本発明におけるラクトフェリンは、前記乳の処理物である脱脂乳、ホエイ等から常法(例えば、イオンクロマトグラフィー等)によって分離されたラクトフェリン、遺伝子操作によって微生物、動物細胞、トランスジェニック動物等から産生された組換えラクトフェリン、合成ラクトフェリン、又はそれらの混合物でもよい。また、ラクトフェリンは、非グリコシル化又はグリコシル化されたものでもよい。このようなラクトフェリンとして、工業的規模で製造されている市販のラクトフェリン(例えば、森永乳業社製等)を使用することができる。
本発明におけるラクトフェリン中の金属含有量は特に限定されず、ラクトフェリンを塩酸やクエン酸等により脱鉄したアポ型ラクトフェリン;該アポ型ラクトフェリンを、鉄、銅、亜鉛、マンガン等の金属でキレートさせて得られる飽和度100%以上の状態の金属飽和型ラクトフェリン;及び100%未満の各種飽和度で金属が結合している状態の金属部分飽和型ラクトフェリンからなる群から選ばれる、いずれか1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
ここで、本技術に用いられるラクトフェリンの調製(乳等の原料からのラクトフェリンの分離、精製)方法の一例を以下に示すが、これに限定されるものではない。
ウシ由来の乳原料を陽イオン交換カラムに通液し、この通過液を回収し、適宜この通過液を繰り返しカラムに通液する。このカラムに脱イオン水を通液し、食塩水を通液し、この陽イオン交換カラムに吸着した塩基性タンパク質の溶出液を得る。この溶出液からタンパク質を回収し、適宜洗浄し、脱イオン水にて溶解し、この溶解液を限外ろ過膜にてろ過する。さらに、脱塩処理、凍結乾燥することで、粉末状のラクトフェリンが得られる。
より詳細には、まず、イオン交換体をカラムに充填し、塩酸を通液し、水洗してイオン交換体を平衡化する。続いて、4℃に冷却したpH6.9の脱脂乳をカラムに通液し、透過液を回収し、再度同様にカラムに通液する。次いで、脱イオン水をカラムに通液し、食塩水を通液し、イオン交換体に吸着した塩基性タンパク質の溶出液を得る。この溶出液から回収したタンパク質を洗浄し、脱イオン水を添加して溶解し、得られた溶液を限外ろ過膜モジュールを用いて脱塩し、凍結乾燥して、粉末状ウシラクトフェリンを得る。このようにして、純度が95質量%以上のウシラクトフェリンが得られる。
ラクトフェリンにおいては、種、属、個体等の違いによって、1又は複数の位置での1又は複数の塩基の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位等の遺伝子変異が当然存在し、このような変異を有する遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸においても変異が生じている場合がある。本発明における本技術に用いることができるラクトフェリンには、本発明の効果を損なわない限りにおいて、このような変異を含むものも含有される。
また、本発明におけるラクトフェリンには、本発明の効果を損なわない限りにおいて、熱処理、酸処理、又はアルカリ処理を行ったラクトフェリン処理物も含まれてもよい。
本発明におけるラクトフェリン加水分解物は、前述のラクトフェリンを加水分解処理したものをいう。
加水分解処理としては、例えば特開2012-235768号公報に記載された方法が挙げられる。
具体的には、ラクトフェリン溶液を、酵素反応処理を行う前に塩酸、クエン酸、酢酸等の酸によりpHを2~4、好ましくは2.5~3.5、特に好ましくはpH3に調整する。
pHを調整したラクトフェリン溶液に、タンパク質分解酵素を所望の量で添加した後、
酵素反応の温度を35~55℃、好ましくは40~50℃、より好ましくは42~48℃に保持して、6時間~24時間、好ましくは12~18時間、攪拌しながらラクトフェリンを加水分解させる。
次いで、例えば反応溶液を80℃に昇温して10分間維持し、酵素を加熱失活させる。さらに、好ましくは、水酸化ナトリウム溶液等のアルカリ溶液を添加して、pHを5~7、例えば6に調整する。
なお、pH調整後の反応溶液(ラクトフェリン加水分解物)は、溶液のままでもよいが、凍結乾燥等を行って粉末化することが好ましい。また、ラクトフェリン分解物は、クロマトグラフィー、又は限外濾過等により、分画したものを用いることもできる。
本態様の組成物において、ラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物の組成物全体に対する含有量は、好ましくは0.001質量%以上100質量%未満、より好ましくは0.005~75質量%、さらに好ましくは0.01~50質量%である。
本発明の組成物は、低出生体重児・早産児において、ネフロン形成を促進させることができる。ここで、ネフロン形成促進とは、本発明の組成物の摂取により、非摂取の場合に比べて、低出生体重児・早産児における出生後のネフロン形成期間(ヒトでは通常、出生後10~40日間)を延長させること、及びその期間に形成されるネフロン数を増やすこと、を含む。また、低出生体重児・早産児においては、正期産児において形成されるネフロン数よりも少ないところ、本発明の組成物の摂取によりそれを回復させることを含む。
ネフロン形成が促進されたことは、血清クレアチニン値や糸球体濾過量(GFR)を測定して腎機能を評価することを目安として確認できる。
ネフロンは、糸球体とボウマン嚢とからなる腎小体、及び近位尿細管とヘンレ・ループと遠位尿細管とからなる尿細管で構成される腎臓の機能単位である。ネフロンは、ヒトでは1つの腎臓に約100万個ずつある。ネフロンは、腎臓において濾過、再吸収、分泌、及び濃縮の働きを担うため、その数が少ないと個々のネフロンに過剰な負担がかかり、腎機能低下を引き起し、ひいては高血圧や慢性腎臓病の原因となり得る。
本発明の組成物は、通常は低ネフロン数となりやすい低出生体重児・早産児において、ネフロン形成を促進し、ネフロン数を非摂取状態よりも増加させることができる。そのため、低ネフロン数に起因する腎機能低下症状を予防することができる。また、本発明の組成物は、腎機能低下が引き起こす高血圧症や慢性腎臓病等の疾患を予防することが期待される。
ここで、症状又は疾患の「予防」とは、適用対象における症状又は疾患の発生を防止すること、該発生を遅延させること、該発生のリスクを低下させること、症状又は疾患の程度を低減させることを含む。
本発明の組成物は、低出生体重児・早産児における出生後のネフロン形成を促進することから、それ以降の期間(乳幼児期、学童期~成人期)にわたって腎機能低下及びそれに起因する疾患を予防することが期待できる。一般に、腎機能低下の症状や高血圧症・慢性腎臓病等の疾患は、学童期以降に現れるところ、本発明の組成物はそのような将来の症状・疾患を予防し得る。
本発明の組成物を投与する(摂取させる)対象は、動物であれば特に限定されないが、通常は哺乳動物であり、ヒトが好ましい。また、対象は低出生体重児又は早産児であり、好ましくは乳児期(新生児期を含む)にある低出生体重児又は早産児である。なお、ヒト以外の動物を対象とする場合は、児は仔と同義で合ってよい。
ここで、低出生体重児とは、正期産での出生時体重が2500g未満の児をいう。低出生体重児には、正期産での出生時体重が1500g未満の超低出生体重児、及び1000g未満の極低出生体重児も含まれてもよい。
また、早産児とは、正期産の時期より前に出生した児をいう。ヒトにおいては、妊娠22週0日から妊娠36週6日までに出生した児を指す。
すなわち、本発明の組成物は、胎内でのネフロン形成が不十分な状態で生まれた児を対象に投与(摂取)される。
本発明の別の側面は、低出生体重児用又は早産児用の腎機能低下予防用組成物の製造における、ラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物の使用である。
本発明の別の側面は低出生体重児又は早産児の腎機能低下予防における、ラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物の使用である。
本発明の別の側面は、低出生体重児又は早産児の腎機能低下予防のために用いられる、ラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物である。
本発明の別の側面は、ラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物を低出生体重児又は早産児に投与することを含む、腎機能低下を予防する方法である。
本発明の別の側面は、低出生体重児用又は早産児用のネフロン形成促進用組成物の製造における、ラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物の使用である。
本発明の別の側面は低出生体重児又は早産児のネフロン形成促進における、ラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物の使用である。
本発明の別の側面は、低出生体重児又は早産児のネフロン形成促進のために用いられる、ラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物である。
本発明の別の側面は、ラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物を低出生体重児又は早産児に投与することを含む、ネフロン形成を促進する方法である。
なお、「ラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物を児に投与すること」は、「ラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物を児に摂取させること」と同義であってよい。摂取は、自発的なもの(自由摂取)であってもよく、強制的なもの(強制摂取)であってもよい。すなわち、投与工程は、具体的には、例えば、ラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物を飲食品や飼料に配合して対象に供給し、以て対象にラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物を自由摂取させる工程であってもよい。
本発明の組成物の摂取(投与)時期は、特に限定されず、投与対象の状態に応じて適宜選択することができる。
好ましい態様では、本発明の組成物は、投与対象の出生時から離乳期までの期間に摂取(投与)される。さらには、投与対象の出生から早い時期に摂取(投与)開始するほど効果が得られやすく、ヒトにおいては好ましくは出生1か月以内に、より好ましくは出生2
週間以内に、さらに好ましくは出生1週間以内に摂取(投与)開始する。
また、具体的な摂取期間としては、生後0日から離乳時までの50%以上の日数が好ましく、60%以上の日数がより好ましく、80%以上の日数がさらに好ましい。また、この期間に、日単位で連続又は断続的に摂取(投与)することが好ましい。
本発明の組成物は、それ自体を飲食品や医薬品等の形態としてもよいし、添加物として飲食品や医薬品等に含有させる形態としてもよい。
本発明の組成物の摂取(投与)経路は、経口又は非経口のいずれでもよいが、通常は経口である。また、非経口摂取(投与)としては、経皮、静注、直腸投与、吸入等が挙げられる。
本発明の組成物を経口摂取(投与)するときの含有量としては、前述した組成物全体における含有量としてもよいし、適宜希釈等してもよい。例えば、経口摂取(投与)時のラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物の組成物全体に対する含有量は、好ま
しくは0.001~100質量%、より好ましくは0.005~75質量%、さらに好ましくは0.01~50質量%である。
これらは、通常、経口組成物として流通するときの含有量の範囲であってよい。
本発明の組成物の摂取(投与)量は、摂取(投与)対象の年齢(月齢)、性別、状態、その他の条件等により適宜選択される。
本発明の組成物の摂取(投与)量は、ラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物の摂取量として、低出生体重児又は早産児において例えば、好ましくは0.01~1000mg/kg/日、より好ましくは0.1~500mg/kg/日、さらに好ましく
は1~300mg/kg/日の範囲となる量を目安とするのがよい。
なお、摂取(投与)の量や期間にかかわらず、本発明の組成物は1日1回又は複数回に分けて投与することができる。
本発明の組成物を経口摂取される組成物とする場合は、飲食品の態様とすることが好ましい。
飲食品としては、本発明の効果を損なわず、経口摂取できるものであれば形態や性状は特に制限されず、ラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物を含有させること以外は、通常飲食品に用いられる原料を用いて通常の方法によって製造することができる。
飲食品としては、液状、ペースト状、ゲル状固体、粉末等の形態を問わず、例えば、錠菓;流動食(経管摂取用栄養食);パン、マカロニ、スパゲッティ、めん類、ケーキミックス、から揚げ粉、パン粉等の小麦粉製品;即席めん、カップめん、レトルト・調理食品、調理缶詰め、電子レンジ食品、即席スープ・シチュー、即席みそ汁・吸い物、スープ缶詰め、フリーズ・ドライ食品、その他の即席食品等の即席食品類;農産缶詰め、果実缶詰め、ジャム・マーマレード類、漬物、煮豆類、農産乾物類、シリアル(穀物加工品)等の農産加工品;水産缶詰め、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品、水産珍味類、つくだ煮類等の水産加工品;畜産缶詰め・ペースト類、畜肉ハム・ソーセージ等の畜産加工品;加工乳、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料類、チーズ、アイスクリーム類、クリーム、その他の乳製品等の乳・乳製品;バター、マーガリン類、植物油等の油脂類;しょうゆ、みそ、ソース類、トマト加工調味料、みりん類、食酢類等の基礎調味料;調理ミックス、カレーの素類、たれ類、ドレッシング類、めんつゆ類、スパイス類、その他の複合調味料等の複合調味料・食品類;素材冷凍食品、半調理冷凍食品、調理済冷凍食品等の冷凍食品;キャラメル、キャンディー、チューインガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、米菓子、豆菓子、デザート菓子、ゼリー、その他の菓子などの菓子類;炭酸飲料、天然果汁、果汁飲料、果汁入り清涼飲料、果肉飲料、果粒入り果実飲料、野菜系飲料、豆乳、豆乳飲料、コーヒー飲料、お茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、スポーツ飲料、栄養飲料、アルコール飲料、その他の嗜好飲料等の嗜好飲料類、ベビーフード、ふりかけ、お茶漬けのり等のその他の市販食品等;サプリメント、調製乳(粉乳、液状乳等を含む)等の栄養組成物;経腸栄養食;機能性食品(特定保健用食品、栄養機能食品)等が挙げられる。
これらのうち、育児用栄養組成物が好ましく挙げられる。
育児用栄養組成物とは、乳児及び/又は幼児が経口摂取する栄養組成物であり、好ましくは調製粉乳、調製液状乳等の調製乳である。例えば、育児用栄養組成物0~12か月の乳児を対象とする乳児用栄養組成物(乳児用調製乳ともいう)、12か月以降の乳児及び幼児(3歳まで)を対象とするフォローアップミルク(幼児用調製乳ともいう)、出生時の体重が2500g未満の新生児(低出生体重児)を対象とする低出生体重児用栄養組成物(低出生体重児用調製乳ともいう)、牛乳アレルギーや乳糖不耐症等の病的状態を有する児の治療に用いられる各種治療用ミルクなどを指す。さらに、該栄養組成物を保健機能
食品や病者用食品に適用することができる。また、調製乳には、調製粉乳、調製液状乳等が含まれる。
また、飲食品の一態様として飼料とすることもできる。飼料としては、ペットフード、家畜飼料、養魚飼料等が挙げられる。
飼料の形態としては特に制限されず、ラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物の他に例えば、トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦、マイロ等の穀類;大豆油粕、ナタネ油粕、ヤシ油粕、アマニ油粕等の植物性油粕類;フスマ、麦糠、米糠、脱脂米糠等の糠類;コーングルテンミール、コーンジャムミール等の製造粕類;魚粉、脱脂粉乳、ホエイ、イエローグリース、タロー等の動物性飼料類;トルラ酵母、ビール酵母等の酵母類;第三リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の鉱物質飼料;油脂類;単体アミノ酸;糖類等を含有するものであってよい。
本発明の組成物が飲食品(飼料を含む)の態様である場合、腎機能低下予防やネフロン形成促進という用途が表示された飲食品として提供・販売されることが可能である。また、本明細書に係るラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物は、これら飲食品等の製造のために使用可能である。
かかる「表示」行為には、需要者に対して前記用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、前記用途を想起・類推させうるような表現であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、全て本発明における「表示」行為に該当する。
また、「表示」は、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により行われることが好ましい。具体的には、飲食品に係る商品又は商品の包装に前記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁気的(インターネット等)方法により提供する行為等が挙げられる。
一方、表示内容としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示等)であることが好ましい。また、そのような表示内容を、包装、容器、カタログ、パンフレット、POP等の販売現場における宣伝材、その他の書類等へ付することが好ましい。
また、「表示」には、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、医薬用部外品等としての表示も挙げられる。この中でも特に、消費者庁によって認可される表示、例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、若しくは機能性表示食品に係る制度、又はこれらに類似する制度にて認可される表示等が挙げられる。具体的には、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク減少表示、科学的根拠に基づいた機能性の表示等を挙げることができ、より具体的には、健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令(平成二十一年八月三十一年内閣府令第五十七号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)及びこれに類する表示が典型的な例である。
かかる表示としては、例えば、「ネフロン形成促進用」、「低出生体重児・早産児の腎臓を健康に」、「低出生体重・早産による腎機能低下リスク軽減のために」等と表示することが挙げられる。
本発明の組成物は、医薬品の態様とすることもできる。
医薬品の投与経路は、経口又は非経口のいずれでもよいが経口が好ましい。また、非経口摂取(投与)としては、経皮、静注、直腸投与、吸入等が挙げられる。
医薬品の形態としては、投与方法に応じて、適宜所望の剤形に製剤化することができる。例えば、経口投与の場合、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤等の固形製剤;溶液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤等の液剤等に製剤化することができる。また、非経口投与の場合、座剤、軟膏剤、注射剤等に製剤化することができる。
製剤化に際しては、ラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物の他に、通常製剤化に用いられている賦形剤、pH調整剤、着色剤、矯味剤等の成分を用いることができる。また、他の薬効成分や、公知の又は将来的に見出されるネフロン形成促進作用を有する成分等を併用することも可能である。
加えて、製剤化は剤形に応じて適宜公知の方法により実施できる。製剤化に際しては、適宜、通常製剤化に用いる担体を配合して製剤化してもよい。かかる担体としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤等が挙げられる。
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビット等の糖誘導体;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、α-デンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプン等のデンプン誘導体;結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等のセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルラン;軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム等の珪酸塩誘導体;リン酸カルシウム等のリン酸塩誘導体;炭酸カルシウム等の炭酸塩誘導体;硫酸カルシウム等の硫酸塩誘導体等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、上記賦形剤の他、ゼラチン;ポリビニルピロリドン;マクロゴール等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、上記賦形剤の他、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン等の化学修飾されたデンプン又はセルロース誘導体等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、タルク;ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩;コロイドシリカ;ピーガム、ゲイロウ等のワックス類;硼酸;グリコール;フマル酸、アジピン酸等のカルボン酸類;安息香酸ナトリウム等のカルボン酸ナトリウム塩;硫酸ナトリウム等の硫酸塩類;ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム等のラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物等の珪酸類;デンプン誘導体等が挙げられる。
安定剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等のアルコール類;塩化ベンザルコニウム;無水酢酸;ソルビン酸等が挙げられる。
矯味矯臭剤としては、例えば、甘味料、酸味料、香料等が挙げられる。
なお、経口投与用の液剤の場合に使用する担体としては、水等の溶剤等が挙げられる。
本発明の医薬品を摂取するタイミングは、例えば食前、食後、食間、就寝前など特に限定されない。
以下に実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(1)低出生体重仔ラットの作成
SD系妊娠ラット(日本SLC株式会社)を購入し、妊娠17日目(ヒト妊娠20~2
5週相当)にイソフルランにより麻酔した後、麻酔後、両側子宮動脈と卵巣動脈を直径0
.24mmの金属製マイクロコイルで狭窄し、子宮内低灌流状態(MIUH:Mild IntraUterine Hypoperfusion)とすることにより、子宮内胎児発育遅延(IUGR:IntraUterine Growth Restriction)状態とした。なお、IUGRは低出生体重を引き起こす。術後5日目もしくは6日目の妊娠21日もしくは22日齢で自然分娩により出産させ、5.5g未満(ラットにおける低出生体重)で出生した仔ラットの雄を選抜し、ラクトフェリン「IUGR/LF群」と「IUGR/saline群」の2群に分けた。また、麻酔のみを行った母ラットから産まれた、通常体重の仔ラットをSham群とした。
(2)投与試験
生後1日から20日目まで、母乳に加えて、1日1回、IUGR/LF群には3%ラクトフェリン溶液を10μg/g/日(300mg/kg/日)、IUGR/saline群には生理食塩水を10μg/g/日、経口投与した。同期間、Sham群は母乳のみ摂取とした。
離乳(3週齢)後はいずれの群にも通常食を与えて飼育を行い、5~6週齢(ヒトでは学童期に相当する)で解剖を行い、腎臓重量を測定した。腎臓の一部からパラフィン切片を作製し、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色によりネフロン数をカウントした。
出生時から解剖までの期間を通して、体重を測定した。
(3)結果
低出生体重で生まれた仔は出生後も同週齢のSham群と比較して低体重を示したが、3、4週齢ではIUGR/LF群において体重増加のキャッチアップが見られた。5週齢では体重に群間差は見られなかった(図1)。腎臓重量はIUGR/saline群はS
ham群と比較して有意に低く、LF摂取による有意な改善が見られた(図2)。また、腎臓のネフロン数はIUGR/saline群はSham群と比較して有意に少なく、L
F摂取による有意な改善が見られた(図3)。
これらの結果から、子宮内胎児発育遅延に起因する成長後の低ネフロン数をLFが緩和することが示された。

Claims (7)

  1. ラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物を有効成分として含有する、低出生体重児用又は早産児用の、腎機能低下予防用組成物。
  2. 前記腎機能低下が低ネフロン数に起因する、請求項1に記載の組成物。
  3. ラクトフェリン及び/又はラクトフェリン加水分解物を有効成分として含有する、低出生体重児用又は早産児用の、ネフロン形成促進用組成物。
  4. 高血圧症及び/又は慢性腎臓病の予防のために用いられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 出生時から離乳期までの期間に摂取される、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 飲食品である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 医薬品である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
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