JP2023117810A - シクロペンタジエンの製造方法 - Google Patents

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Tadashi Ueda
太 大内
Futoshi Ouchi
秀樹 黒川
Hideki Kurokawa
稔武 宮原
Toshitake Miyahara
南斗 大澤
Minato Osawa
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Abstract

【課題】原料成分がシクロペンテン及び炭素数5のジオレフィンを含み且つ長時間反応を行った場合でも、触媒の失活速度を低下させることができるシクロペンタジエンの製造方法を提供すること。【解決手段】本開示の一側面に係るシクロペンタジエンの製造方法は、シクロペンテン及び炭素数5のジオレフィンを含む原料成分と、環化脱水素触媒とを接触させて、シクロペンタジエンを得る環化脱水素工程を含み、環化脱水素触媒が、Siを含む担体と、該担体に担持された担持金属とを有し、担持金属が、Zn及びSnからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素と、Ptと、を含む。【選択図】なし

Description

本開示は、シクロペンタジエンの製造方法に関する。
炭素数5の炭化水素には、従来から様々な利用法が提案されている。例えば、シクロペンタジエンは、工業的に農薬、殺虫剤及び各種樹脂可塑剤の合成原料に多く利用されている。シクロペンタジエンは、例えば、液体供給水蒸気分解(例えば、ナフサ及びより重質の供給原料)によりエチレンを生産する際に副生する炭素数5の炭化水素を主成分とするC5留分から、二量化工程及び蒸留工程によって回収することで得ることができる。しかしながら、C5留分に含まれるシクロペンタジエンの含有量は低い上に、現存する液体供給水蒸気分解装置はナフサに対してより軽質な供給原料へシフトしているため、シクロペンタジエンの需要に対して十分な供給量とならないことが見込まれる。そのため、既存の製法による供給限界に制約されないシクロペンタジエンの製造方法が検討されている。
シクロペンタジエンの製造方法として、例えば、非特許文献1には、Pt/SiO触媒を用い、n-ペンタン、n-ペンテン等の原料成分からシクロペンタジエンを製造する方法が記載されている。
V. Sh.Fel’dblyum et al., Doklady Chemistry, 424(2), 27-30 (2009)
しかしながら、非特許文献1に記載された方法では触媒が短時間(例えば15分以内)で劣化することが、当該文献中で報告されている。
また、シクロペンタジエンの製造方法として、本発明者らは、原料成分と、Al及び第2族金属元素を含む金属酸化物担体と、該担体に担持されたPtを含む担持金属とを有する脱水素触媒とを接触させて、シクロペンタジエンを得ることを検討した。そして、このような製造方法においては、シクロペンタジエンへの変換の観点から、シクロペンテンが原料成分として好適であることを本発明者らは見出した。
このことから、シクロペンテンが多く含まれる留分を原料成分に用いることで、シクロペンタジエンを効率的に製造することが期待される。シクロペンテンは、エチレンを生産する際に副生する炭素数5の炭化水素の混合物に含有されている。そのため、このような混合物からシクロペンテンを蒸留分離することでこれを原料として利用できる。しかし、シクロペンテンとcis-1,3-ペンタジエンとの沸点の差は0.1℃と極めて小さく、通常の蒸留操作では分離が難しい。表1には、C5留分に含まれる成分の沸点を示す。
Figure 2023117810000001
本発明者らの検討によれば、原料成分が炭素数5のジオレフィンを含む場合に特に触媒上にコークが蓄積しやすい傾向にあることがわかった。触媒上に大量のコークが蓄積すると、触媒の性能が低下し、触媒の失活速度が増大し得る。このため、原料成分が炭素数5のジオレフィンを含む場合において、長時間にわたって安定的にシクロペンタジエンを製造することに関しては、検討が十分とはいえず、未だ改善の余地が残されていた。
そこで、本開示は、原料成分がシクロペンテン及び炭素数5のジオレフィンを含み且つ長時間反応を行った場合でも、触媒の失活速度を低下させることができるシクロペンタジエンの製造方法を提供する。
本開示の一側面は、シクロペンテン及び炭素数5のジオレフィンを含む原料成分と、環化脱水素触媒とを接触させて、シクロペンタジエンを得る環化脱水素工程を含み、環化脱水素触媒が、Siを含む担体と、該担体に担持された担持金属とを有し、担持金属が、Zn及びSnからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素と、Ptと、を含む、シクロペンタジエンの製造方法に関する。
一態様において、原料成分におけるシクロペンテンの含有量は、原料成分の全量を基準として、5質量%以上であってよい。
一態様において、原料成分における炭素数5のジオレフィンの含有量は、原料成分の全量を基準として、10質量%以上であってよい。
一態様において、環化脱水素触媒におけるPtに対する金属元素のモル比(金属元素のモル数/Ptのモル数)は、0.2以上6以下であってよい。
一態様において、環化脱水素工程における雰囲気は、水素を含み、雰囲気中の水素濃度は、25モル%以上60モル%以下であってよい。
本開示によれば、原料成分がシクロペンテン及び炭素数5のジオレフィンを含み且つ長時間反応を行った場合でも、触媒の失活速度を低下させることができるシクロペンタジエンの製造方法が提供される。
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。
<シクロペンタジエンの製造方法>
本実施形態に係るシクロペンタジエンの製造方法は、シクロペンテン及び炭素数5のジオレフィンを含む原料成分と、環化脱水素触媒とを接触させて、シクロペンタジエンを得る環化脱水素工程を含む。
原料成分におけるシクロペンテンの含有量は、効率的なシクロペンタジエン生成の観点から、原料成分の全量を基準として、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが更に好ましい。
炭素数5のジオレフィンとしては、trans-1,3-ペンタジエン、cis-1,3-ペンタジエン、シクロペンタジエン及びイソプレンが挙げられる。
シクロペンテンは、脱水素反応によりシクロペンタジエンへと変換される。炭素数5のジオレフィンは、環化脱水素工程において、水素化反応により炭素数5のモノオレフィンへと変換される。炭素数5のモノオレフィンは、環化反応によりシクロペンテンへと変換される。
原料成分における炭素数5のジオレフィンの含有量は、効率的な原料供給の観点から、原料成分の全量を基準として、5質量%以上であってもよく、10質量%以上であってもよく、30質量%以上であってもよい。原料成分における炭素数5のジオレフィンの含有量は、原料成分の全量を基準として、70質量%以下であってよい。
trans-1,3-ペンタジエン及びcis-1,3-ペンタジエンの合計含有量は、炭素数5のジオレフィンの全量を基準として、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、又は100質量%であってもよい。
原料成分は、シクロペンテン及び炭素数5のジオレフィン以外の成分を含んでいてもよい。そのような成分としては、シクロペンタン、炭素数5の炭化水素のノルマル体及び炭素数5のモノオレフィンが挙げられる。
環化脱水素反応の条件は特に限定されず、シクロペンテン及び炭素数5のジオレフィンをシクロペンタジエンに変換可能な条件であればよい。
環化脱水素触媒は、担体と当該担体に担持された担持金属とを有するものである。担体は、ケイ素(Si)を含む。担持金属は、亜鉛(Zn)及びスズ(Sn)からなる群より選択される少なくとも一種の金属元素Mと、白金(Pt)とを含む。環化脱水素触媒は、このような担体と担持金属とを組み合わせて含むことにより、劣化が抑制され、コーク耐性が向上する傾向にある。
本態様の環化脱水素触媒において、Siの含有量は、環化脱水素触媒の全質量基準で、10質量%以上、20質量%以上、又は30質量%以上であってもよい。Siの含有量は、環化脱水素触媒の全質量基準で、50質量%以下であってもよい。
担持金属は、金属元素M及びPt以外の他の金属元素を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
本態様の環化脱水素触媒において、Ptの含有量は、環化脱水素触媒の全質量基準で、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。Ptの含有量は、環化脱水素触媒の全質量基準で、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが更に好ましく、2質量%以下であることが特に好ましい。Ptの含有量が0.1質量%以上であると、触媒量当たりの白金量が多くなり、反応器サイズを小さくできる。また、Ptの含有量が10質量%以下であると、コーク量を一層抑制できる傾向にあり、また、触媒上で形成されるPt粒子が環化脱水素反応に好適なサイズとなり、単位白金重量あたりの白金表面積が大きくなるため、より効率的な反応系が実現できる。
本態様の環化脱水素触媒において、Ptに対する金属元素Mのモル比(金属元素Mのモル数/Ptのモル数)は、触媒の劣化が一層抑制される傾向があることから、0.2以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.8以上であることが更に好ましく、Ptに対する金属元素Mのモル比は、同様の観点から、6以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、4以下であることが更に好ましく、1.5以下であることが特に好ましい。
環化脱水素触媒におけるSi、Pt及び金属元素Mの含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-AES)により、下記の測定条件で測定できる。なお、環化脱水素触媒は、アルカリ融解後希塩酸により水溶液化して測定に用いる。
・装置:日立ハイテクサイエンス製 SPS-3000型
・高周波出力:1.2kw
・プラズマガス流量:18L/min
・補助ガス流量:0.4L/min
・ネブライザーガス流量:0.4L/min
本態様の環化脱水素触媒の比表面積は、後述する担体の比表面積と同じであってよい。
環化脱水素触媒を構成する担体は、例えば、Siの酸化物を含む担体であってよい。Siの酸化物は、例えば、SiOであってよい。
担体におけるSiの含有量は、担体の全質量基準で、10質量%以上であってよく、50質量%以下であってよい。
担体におけるSiの酸化物の含有量は、担体の全質量基準で60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上であってもよく、100質量%以下、又は90質量%以下であってもよい。
担体は、Si以外に他の金属元素を含んでいてもよい。他の金属元素は、例えば、Al、Zr、Ti、Ce、Li、Na、K、Zn、Fe、In、Se、Sb、Ni、Sn、Ca、Sr、Ba、La及びGaからなる群より選択される少なくとも一種であってよい。他の金属元素は酸化物として存在していてもよいし、Siとの複合酸化物として存在していてもよい。
担体の酸性度は、副反応が抑制され、且つコーク生成が一層抑制されるという観点から中性付近であることが好ましい。ここで、担体の酸性度に対する基準は、一般的に水に担体を分散させた状態におけるpHで区別する。すなわち、本明細書中、担体の酸性度は、担体1質量%を懸濁させた懸濁液のpHで表すことができる。担体の酸性度は、好ましくはpH5.0~9.0であってよく、より好ましくはpH6.0~8.0であってよい。
担体の比表面積は、例えば50m/g以上であってよく、80m/g以上であることが好ましい。これにより、担持されるPtの分散性が上昇しやすいという効果が奏される。また、担体の比表面積は、例えば300m/g以下であってよく、250m/g以下であることが好ましい。このような比表面積を有する担体は、担体が高温となる焼成時に潰れてしまい易いマイクロ孔を持たない傾向がある。そのため、担持されるPtの分散性が上昇しやすい傾向がある。なお、担体の比表面積は、窒素吸着法を用いたBET比表面積計で測定される。
担体の調製方法は特に制限されず、例えば、ゾルゲル法、共沈法、水熱合成法、含浸法及び固相合成法が挙げられる。担体は、市販のものを用いてもよい。
本態様の環化脱水素触媒には、金属元素M及びPtを含む担持金属が担持されている。金属元素M及びPtは、合金であってもよく、合金でなくともよい。担持金属は、酸化物として担体に担持されていてよく、単体の金属として担体に担持されていてもよい。
担体には、金属元素M及びPt以外の他の金属元素が担持されていてもよい。他の金属元素としては、上記担体が含みうる他の金属元素の例と同様の金属元素が挙げられる。他の金属元素は、単体の金属として担体に担持されていてもよいし、酸化物として担持されていてもよいし、金属元素M及びPtとの複合酸化物として担持されていてもよい。
担体に担持されるPtの量は、担体100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上であり、より好ましくは0.5質量部以上である。また、担体に担持されるPtの量は、担体100質量部に対して、5質量部以下であってよく、3質量部以下であってもよい。このようなPt量であると、触媒上で形成されるPt粒子が環化脱水素反応に好適なサイズとなり、単位白金重量あたりの白金表面積が大きくなるため、より効率的な反応系が実現できる。また、このようなPt量であると触媒コストを抑制しながら、高い活性をより長期間にわたり維持できる。
担体に金属を担持する方法は特に限定されず、例えば、含浸法、沈着法、共沈法、混練法、イオン交換法、ポアフィリング法が挙げられる。
担体に金属を担持する方法の一態様を以下に示す。まず、金属元素Mの前駆体が溶媒(例えばアルコール、水など)に溶解した溶液に、担体を加え、溶液を撹拌する。その後、減圧下で溶媒を除去し、得られた固体を乾燥させる。乾燥後の固体を焼成することで、金属元素Mを担体に担持させることができる。更に、Ptの前駆体が溶媒(例えばアルコール、水など)に溶解した溶液に、担体を加え、溶液を撹拌する。その後、減圧下で溶媒を除去し、得られた固体を乾燥させる。乾燥後の固体を焼成することで、金属元素M及びPtの合金を担体に担持させることができる。含浸の方法は、このような態様に限定されず、例えば、金属元素Mの前駆体及びPtの前駆体が溶媒(例えばアルコール、水など)に溶解した溶液を使用して共含浸することもできる。
Ptが高分散した触媒の調製法の一態様を以下に示す。予め金属元素Mを担体に含浸し、それを焼成して固体を得る。得られた固体にPt前駆体を担持し、その後、焼成することなく直接還元する。これにより、Ptが高分散した触媒が調製できる。
上記の担持方法において、担持金属の前駆体は、例えば、金属元素を含む塩又は錯体であってよい。金属元素を含む塩は、例えば、無機塩、有機酸塩又はこれらの水和物であってよい。無機塩は、例えば、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、リン酸塩、炭酸塩等であってよい。有機塩は、例えば、酢酸塩、しゅう酸塩等であってよい。金属元素を含む錯体は、例えば、アルコキシド錯体、アンミン錯体等であってよい。
撹拌時の条件としては、例えば撹拌温度0~60℃、撹拌時間10分~24時間とすることができる。また、乾燥時の条件としては、例えば乾燥温度100~250℃、乾燥時間3時間~24時間とすることができる。
焼成は、例えば、空気雰囲気下又は酸素雰囲気下で行うことができる。焼成は一段階で行ってもよく、二段階以上の多段階で行ってもよい。焼成温度は、担体金属の前駆体を分解可能な温度であればよく、例えば200~1000℃であってよく、400~800℃であってもよい。なお、多段階の焼成を行う場合、少なくともその一段階が上記焼成温度であればよい。他の段階での焼成温度は、例えば上記と同じ範囲であってよく、100~200℃であってもよい。例えば、多段階の焼成を行う場合、第一段階の焼成温度を100~200℃、最終段階の焼成温度を400~800℃とすることで担持金属を担体上により安定に担持させることができる。
本態様の環化脱水素触媒におけるPtの分散度は、10%以上であってよく、好ましくは15%以上であってよい。このようなPt分散度を有する環化脱水素触媒によれば、副反応が一層抑制され、高い活性がより長期間にわたり維持される傾向がある。なお、Ptの分散度は、吸着種としてCOを用いた金属分散度測定法により、下記の装置及び測定条件で測定される。
・装置:株式会社大倉理研製金属分散度測定装置R-6011
・ガス流速:30mL/分(ヘリウム、水素)
・試料量:約0.1g(小数点以下4桁目まで精秤した)
・前処理:水素気流下で400℃まで1時間かけて昇温し、400℃で60分間還元処理を行う。その後、ガスを水素からヘリウムに切り替えて400℃で30分間パージした後、ヘリウム気流下で室温まで冷却する。室温で検出器が安定するまで待った後、COパルスを行う。
・測定条件:常圧ヘリウムガス流通下、室温(27℃)で一酸化炭素を0.0929cmずつパルス注入し、吸着量を測定する。吸着回数は、吸着が飽和するまで行う(最低3回、最大15回)。測定された吸着量から、分散度を求める。
環化脱水素触媒は、上記以外の環化脱水素触媒を併用してもよい。例えば、上記以外の環化脱水素触媒の好適な一例として、微孔結晶性メタロシリケートが挙げられる。
環化脱水素触媒は押出成形法、打錠成型法等の方法で成形されていてよい。
環化脱水素触媒は、成形工程における成形性を向上させる観点から、触媒の物性や触媒性能を損なわない範囲において、成形助剤を含有してよい。成型助剤は、例えば、増粘剤、界面活性剤、保水剤、可塑剤、バインダー原料等からなる群より選択される少なくとも一種であってよい。環化脱水素触媒を成形する成形工程は、成形助剤の反応性を考慮して環化脱水素触媒の製造工程の適切な段階で行ってよい。
成形された環化脱水素触媒の形状は、特に限定されるものではなく、触媒を使用する形態により適宜選択することができる。例えば、環化脱水素触媒の形状は、ペレット状、顆粒状、ハニカム状、スポンジ状等の形状であってよい。
環化脱水素触媒は、前処理として還元処理が行われたものを用いてもよい。還元処理は、例えば、還元性ガスの雰囲気下、40~600℃で環化脱水素触媒を保持することで行うことができる。保持時間は、例えば0.05~24時間であってよい。還元性ガスは、例えば、水素、一酸化炭素等であってよい。
還元処理を行った環化脱水素触媒を用いることにより、環化脱水素反応の初期の誘導期を短くすることができる。反応初期の誘導期とは、触媒に含まれる活性金属がほとんど還元されておらず、触媒の活性が低い状態をいう。
環化脱水素工程は、例えば、環化脱水素触媒を充填した反応器を用い、上記原料成分を流通させることにより実施してよい。反応器としては、固体触媒による気相反応に用いられる種々の反応器を用いることができる。反応器としては、例えば、固定床型反応器、ラジアルフロー型反応器、管型反応器等が挙げられる。
環化脱水素反応の反応形式は、例えば、固定床式、移動床式又は流動床式であってよい。これらのうち、設備コストの観点からは固定床式が好ましい。
環化脱水素反応の反応温度、すなわち反応器内の温度は、反応効率の観点から300~800℃であってよく、400~700℃であってよく、500~650℃であってよい。反応温度が300℃以上であれば、シクロペンタジエンの生成量が一層多くなる傾向がある。反応温度が800℃以下であれば、コーキング速度が大きくなりすぎないため、環化脱水素触媒の高い活性がより長期にわたって維持される傾向がある。
反応圧力、すなわち反応器内の気圧は0.01~1.1MPa-Aであってよく、0.05~0.9MPa-Aであってよく、0.05~0.5MPa-Aであってよい。反応圧力が上記範囲にあれば環化脱水素反応が進行し易くなり、一層優れた反応効率が得られる傾向がある。
環化脱水素工程を、上記原料成分を連続的に供給する連続式の反応形式で行う場合、重量空間速度(以下、「WHSV」という。)は、例えば0.1h-1以上であってよく、0.5h-1以上であってもよい。また、WHSVは、20h-1以下であってよく、10h-1以下であってもよい。ここで、WHSVとは、環化脱水素触媒の質量Wに対する原料ガスの供給速度(供給質量/時間)Fの比(F/W)である。WHSVが0.1h-1以上であると、反応器サイズをより小さくできる。WHSVが20h-1以下であると、シクロペンタジエンの収率をより高くすることができる。なお、原料ガス及び触媒の使用量は、反応条件、触媒の活性等に応じて更に好ましい範囲を適宜選定してよく、WHSVは上記範囲に限定されるものではない。
環化脱水素工程は、水素を含む雰囲気下で行うことが好ましい。これにより、環化脱水素触媒の劣化をより抑制でき、より高い収率で効率良くシクロペンタジエンを製造することができる。
環化脱水素工程を、水素を含む雰囲気下で行う場合、雰囲気中の水素濃度は、25モル%以上であることが好ましく、30モル%以上であることがより好ましく、40モル%以上であることが更に好ましく、60モル%以下であることが好ましく、55モル%以下であることがより好ましく、50モル%以下であることが更に好ましい。水素濃度を上記範囲内とすることで、環化脱水素触媒の劣化を抑制する効果をより向上でき、且つ、コーク量をより低減できる傾向にある。
反応後の触媒は、酸素を含む雰囲気においてコークを燃焼し、触媒を再生して繰り返し使用してもよい。触媒の再生では、触媒へのコークの堆積量が大きいと燃焼に必要な酸素を含むガスの流量が大きくなり、経済性の悪化につながる傾向がある。本態様の環化脱水素触媒は、コークの堆積を抑制できる傾向にあるため、触媒の再生について経済性に優れる傾向がある。
触媒を再生させる際の燃焼温度は、例えば、200℃以上であってもよく、250℃以上であってもよい。また、燃焼温度は、500℃以下であってもよく、450℃以下であってもよい。燃焼温度を上範囲内とすることで、環化脱水素触媒の担持金属の凝集を抑制できる傾向にあり、且つ、触媒上に蓄積したコークを十分に除去することができる。
環化脱水素反応により、シクロペンタジエンを含有する反応混合物が得られる。本実施形態では、蒸留等の方法によって反応混合物からシクロペンタジエンを分離してよい。
以上、本開示の好適な実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例によって本開示を更に詳細に説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。各実施例及び各比較例の条件及び結果は表2及び3に示す。
(実施例1)
<触媒A-1調製>
担体A-1として、粒径0.5~1mmに分級された、富士シリシア化学株式会社製のCARiACT Q-15を用意した。10.0gの担体A-1に対してスズ酸ナトリウム(昭和化工製、化学式:NaSnO)を用いてスズを含浸担持した。含浸担持は、スズ酸ナトリウムを水に溶解し、水溶液を調製したのち、含浸法によって、得られる触媒におけるスズの担持量が0.3質量%になるように行った。次いで、担体A-1を130℃で一晩乾燥させた後に焼成した。焼成は、毎分当たり60mlの空気を流通しながら、130℃で30分間加熱し、その後、550℃で3時間加熱して行った。得られた固体を80℃程度のイオン交換水を用いてろ液の電気伝導度が80μS以下になるまで洗浄してナトリウムイオン(Na)を除去した。更に、固体を130℃で乾燥してSiOにSnが担持された触媒前駆体A-1を得た。
得られた触媒前駆体A-1に対し、ジニトロジアンミン白金(II)の硝酸溶液(田中貴金属工業製、化学式:[Pt(NH(NO]/HNO)を水で希釈した水溶液を用いて、含浸法によって、白金担持量が約1質量%、白金に対するスズのモル比(Snのモル数/Ptのモル数)が0.5になるよう白金を含浸担持し、130℃で一晩乾燥させた。次いで、触媒前駆体A-1を真空排気しながら130℃で30分間加熱した。その後、水素(水素の流速:50ml/分)を流通させた状態で触媒前駆体A-1を550℃にて3時間加熱することにより水素還元を行い、Pt及びSnがSiOに担持された触媒(触媒A-1)を得た。
<シクロペンタジエンの製造>
触媒A-1を管型反応器に充填し、管型反応器を固定床流通式反応装置に接続した。分子状水素を流通させながら、管型反応器を500℃まで昇温した後、1.0時間保持した。その後、表4に示す炭素数5の炭化水素の混合物(C5原料)を、固定床流通式反応装置を用い、500℃、常圧、水素含有雰囲気下(C5原料:He:H=1:2:2(モル比)、水素濃度40.0モル%)、WHSV=1.36h-1の条件で反応させた。触媒は触媒A-1を用いた。反応開始から90分、210分、及び390分経過後の反応生成物を、FID検出器を備えたガスクロマトグラフにより分析し、シクロペンタジエン(CPD)の収率を求めた。
<コーク量の評価>
シクロペンタジエンの製造において、反応開始から390分経過後の触媒を取り出してコーク量を測定した。測定されたコーク量を下記の基準に沿って評価した。
A:コーク量が0質量%以上5質量%以下である
B:コーク量が5質量%超10質量%以下である
C:コーク量が10質量%超である
<失活速度の算出>
触媒の失活速度は、下記の式(1)により算出した。
失活速度(%/分)=(CPD収率90分(質量%)- CPD収率390分(質量%))/((390-90)× CPD収率90分(質量%))× 100・・・(1)
式(1)中、CPD収率90分及びCPD収率390分は、それぞれ、反応開始から90分経過後のシクロペンタジエンの収率、反応開始から390分経過後のシクロペンタジエンの収率を示す。
(実施例2)
<触媒B-1調製>
10.0gの担体A-1に対し、硝酸亜鉛・6水和物(化学式:Zn(NO・6HO)を用いて亜鉛を含浸担持した。含浸担持は、硝酸亜鉛・6水和物を水に溶解し、水溶液を調製したのち、含浸法によって、得られる触媒における亜鉛の担持量が0.17質量%になるように行った。次いで、担体A-1を130℃で一晩乾燥させた後に焼成した。焼成は、毎分当たり60mlの空気を流通しながら、130℃で30分間加熱し、その後、550℃で3時間加熱して行った。これにより、SiOにZnが担持された触媒前駆体B-1を得た。
得られた触媒前駆体B-1に対し、ジニトロジアンミン白金(II)の硝酸溶液(田中貴金属工業製、化学式:[Pt(NH(NO]/HNO)を水で希釈した水溶液を用いて、含浸法によって、白金担持量が約1質量%、白金に対する亜鉛のモル比(Znのモル数/Ptのモル数)が0.5になるよう白金を含浸担持し、130℃で一晩乾燥させた。次いで、触媒前駆体B-1を真空排気しながら130℃で30分間加熱した。その後、水素(水素の流速:50ml/分)を流通させた状態で触媒前駆体B-1を550℃にて3時間加熱することにより水素還元を行い、Pt及びZnがSiOに担持された触媒(触媒B-1)を得た。
<シクロペンタジエンの製造>
触媒B-1を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シクロペンタジエンを製造し、収率を求めた。また、実施例1と同様にしてコーク量を測定し、触媒の失活速度を算出した。
(比較例1)
<触媒C-1調製>
担体C-1として、粒径0.5~1mmに分級されたγ-アルミナ6.0g(ネオビードGB-13、水澤化学工業(株)製)を用意した。担体C-1を用いたこと以外は実施例2と同様にして、Pt及びZnがAlに担持された触媒(触媒C-1)を得た。
<シクロペンタジエンの製造>
触媒C-1を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シクロペンタジエンを製造し、収率を求めた。また、反応開始から210分経過後の触媒を取り出したこと以外は、実施例1と同様にしてコーク量を測定した。触媒の失活速度は、下記の式(2)により算出した。
失活速度(%/分)=(CPD収率90分(質量%)- CPD収率210分(質量%))/((210-90)× CPD収率90分(質量%))× 100・・・(2)
式(2)中、CPD収率90分及びCPD収率210分は、それぞれ、反応開始から90分経過後のシクロペンタジエンの収率、反応開始から210分経過後のシクロペンタジエンの収率を示す。
(比較例2)
<触媒C-2調製>
10.0gの担体A-1に対し、ジニトロジアンミン白金(II)の硝酸溶液(田中貴金属工業製、化学式:[Pt(NH(NO]/HNO)を水で希釈した水溶液を用いて、含浸法によって、白金担持量が約1質量%になるよう白金を含浸担持し、130℃で一晩乾燥させた。次いで、担体A-1を真空排気しながら130℃で30分間加熱した。その後、水素(水素の流速:50ml/分)を流通させた状態で担体A-1を550℃にて3時間加熱することにより水素還元を行い、PtがSiOに担持された触媒(触媒C-2)を得た。
<シクロペンタジエンの製造>
触媒C-2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シクロペンタジエンを製造し、収率を求めた。また、比較例1と同様にしてコーク量を測定し、触媒の失活速度を算出した。
(実施例3~6)
<触媒A-2~A-5調製>
触媒におけるPtに対するSnのモル比(Snのモル数/Ptのモル数)を0.2(A-2)、1.0(A-3)、2.0(A-4)、又は4.0(A-5)になるよう、Snの担持量を変更したこと以外は実施例1と同様にして、触媒A-2~A-5を得た。
<シクロペンタジエンの製造>
触媒A-2~A-5を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シクロペンタジエンを製造し、収率を求めた。また、実施例1と同様にしてコーク量を測定し、触媒の失活速度を算出した。
(実施例7~9)
<触媒B-2~B-4調製>
触媒におけるPtに対するZnのモル比(Znのモル数/Ptのモル数)を0.25(B-2)、1.0(B-3)、又は、4.0(B-4)になるよう、Znの担持量を変更したこと以外は実施例2と同様にして、触媒B-2~B-4を得た。
<シクロペンタジエンの製造>
触媒B-2~B-4を用いたこと以外は実施例1と同様にして、シクロペンタジエンを製造し、収率を求めた。また、実施例7では、実施例1と同様にしてコーク量を測定し、触媒の失活速度を算出した。実施例8及び9では、比較例1と同様にしてコーク量を測定し、触媒の失活速度を算出した。
(実施例10)
シクロペンタジエンの製造時に、水素含有雰囲気をC5原料:He:H=1:1:3(モル比)、水素濃度60.0モル%としたこと以外は実施例2と同様にして、シクロペンタジエンを製造し、収率を求めた。また、比較例1と同様にしてコーク量を測定し、触媒の失活速度を算出した。
Figure 2023117810000002
Figure 2023117810000003
Figure 2023117810000004

Claims (5)

  1. シクロペンテン及び炭素数5のジオレフィンを含む原料成分と、環化脱水素触媒とを接触させて、シクロペンタジエンを得る環化脱水素工程を含み、
    前記環化脱水素触媒が、Siを含む担体と、該担体に担持された担持金属とを有し、
    前記担持金属が、Zn及びSnからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素と、Ptと、を含む、シクロペンタジエンの製造方法。
  2. 前記原料成分におけるシクロペンテンの含有量が、前記原料成分の全量を基準として、5質量%以上である、請求項1に記載のシクロペンタジエンの製造方法。
  3. 前記原料成分における前記炭素数5のジオレフィンの含有量が、前記原料成分の全量を基準として、10質量%以上である、請求項1又は2に記載のシクロペンタジエンの製造方法。
  4. 前記環化脱水素触媒における前記Ptに対する前記金属元素のモル比(金属元素のモル数/Ptのモル数)が、0.2以上6以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のシクロペンタジエンの製造方法。
  5. 前記環化脱水素工程における雰囲気が、水素を含み、
    前記雰囲気中の水素濃度が、25モル%以上60モル%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載のシクロペンタジエンの製造方法。
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