JP2023117005A - 円すいころ軸受 - Google Patents

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隆太郎 松田
Ryutaro Matsuda
崇 川井
Takashi Kawai
宏樹 藤原
Hiroki Fujiwara
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Abstract

Figure 2023117005000001
【課題】円すいころ軸受の転がり面における潤滑環境を改善すると共に軸受回転トルクを低減する。
【解決手段】仮想円直径φWと円すいころ30のピッチ円径φPCDはφW/φPCD≧1.0である。転動面31の平均径DAと内輪肉厚BiはDA/Bi≧1.1である。交点P1から内輪10の内周までの径方向長さAと、交点P2から内輪10の内周までの径方向長さCはC/A≧1.1である。外輪肉厚Boと内輪肉厚BiはBo/Bi>1.50である。これらにより、各転がり接触部の周速を抑え、転がり面の荷重を抑える。
【選択図】図1

Description

この発明は、円すいころ軸受に関する。
近年、自動車用駆動ユニット(デファレンシャル、トランスミッション、EV用減速機、HEV用減速機等)、産業機械用装置(ロボット用減速機、建設機械用、トラクター用等)の各種装置において、高効率化のため、使用される油の低粘度化が加速しており、その内部に組み込まれる転がり軸受を潤滑することが難化している。
円すいころ軸受においては、油の低粘度化に対応するため、内輪の大鍔と円すいころの大端面間での急昇温を抑える構造が様々に提案されている(特許文献1)。
また、円すいころ軸受等においては、油の低粘度化に対応するため、その転がり面(軌道輪の軌道面、円すいころの転動面)を熱処理により強化することが提案されている(特許文献2)。
特開2021-046911号公報 特開2021-50405号公報
しかしながら、円すいころ軸受の転がり面を熱処理で強化する方策は、その転がり面の潤滑に影響する環境を直接的に改善することにはならない。このため、今後、増々進む油の低粘度化に対応するには、その転がり面の潤滑が不十分となる懸念がある。
また、玉軸受に比して転がり面における接触長さが大きい円すいころ軸受は、許容ラジアル荷重及びアキシアル荷重を比較的大きくすることができる反面、軸受回転トルクが比較的高いために省エネルギ性に劣る特性がある。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、円すいころ軸受の転がり面における潤滑環境を改善すると共に軸受回転トルクを低減することにある。
上記の課題を解決するため、この発明は、軌道面を外周側に有する内輪と、軌道面を内周側に有する外輪と、前記内輪と前記外輪間に配置された複数の円すいころとを備え、前記円すいころが転動面と、ころ大端面と、ころ小端面とを有する円すいころ軸受において、前記外輪の外径と前記内輪の内径との径差を二等分する仮想円の直径をφWとし、前記複数の円すいころのピッチ円径をφPCDとしたとき、φW/φPCDが1.0以上であり、前記転動面の平均径をDAとし、前記DAに一致する直径をもった転動面部分と前記内輪の軌道面との接触部から前記内輪の内周までの径方向の内輪肉厚をBiとしたとき、Da/Biが1.1以上であり、前記内輪の軌道面の母線を前記内輪の小径側へ延長した仮想線と前記ころ小端面の母線を延長した仮想線との交点から前記内輪の内周までの径方向長さをAとし、前記内輪の軌道面の母線を前記内輪の大径側へ延長した仮想線と前記ころ大端面の母線を延長した仮想線との交点から前記内輪の内周までの径方向長さをCとしたとき、C/Aが1.1以上であり、前記DAに一致する直径をもった転動面部分と前記外輪の軌道面との接触部から前記外輪の外周までの径方向の外輪肉厚をBoとしたとき、Bo/Biが1.50よりも大きい構成を採用した。
上記構成によれば、内輪を薄く、外輪を厚くして内輪の軌道面と外輪の軌道面の直径を小さくし、これに伴い円すいころのPCDを小さくして、内輪の軌道面と円すいころの転動面の接触部と軸受中心軸間の距離を短くし、さらに外輪の軌道面と円すいころの転動面の接触部と軸受中心軸間の距離も短くし、これら両接触部における周速を遅くすることができる。この周速を遅くする程、各接触部において、転がり面に作用する油のせん断抵抗を抑えて軸受回転トルクを減少させることができる。さらに、各接触部が軸受中心軸に対して成す角度を大きくして転がり面の荷重を抑えることができ、このことも軸受回転トルクの低減に有効となる。このように低トルク化によって発熱を抑えることにより、油の昇温による粘度の低下を抑えること、すなわち転がり面における潤滑環境を改善することができる。
好ましくは、前記内輪が、前記円すいころの脱落を阻止する小鍔と、前記小鍔から前記内輪の軌道面まで形成された小径側研削逃げとを有し、前記小径側研削逃げの母線が前記小鍔の母線に連続する円弧状線部を有し、前記内輪の軌道面の母線に対する前記小径側研削逃げの削り代をTN1とし、前記小径側研削逃げの母線の円弧状線部が有する曲率半径をRN1としたとき、TN1/RN1が0.10以上1.00以下であり、前記小鍔の母線を延長した仮想線と前記内輪の軌道面を小鍔側へ延長した仮想線との交点から前記内輪の軌道面の母線までの距離をZN1とし、前記円すいころの転動面の直径をDW1としたとき、ZN1/DW1が0.01以上0.50以下であり、前記円すいころの全長をXLWとしたとき、XLW/DW1が1.1以上2.4以下であるとよい。このようにすると、内輪への負荷が過大になることを避け、内輪に小鍔を形成することで特に薄くなる小径側研削逃げ付近の強度低下を抑えて、前述の低トルク化と内輪の強度確保を両立させることができる。
また、前記Bo/Biが1.80よりも大きいことが好ましく、2.00よりも大きいことがより好ましい。このようにすると、前述の接触部の径方向位置を内輪側に寄せて前述の接触部の周速をより抑えることができ、特に外輪側の接触部における周速を効果的に抑えることができる。
また、前記Da/Biが1.2以上であることが好ましい。このようにすると、前述の接触部の径方向位置を内輪側に寄せて周速をより抑えることに好適である。
また、前記C/Aが1.2以上であることが好ましい。このようにすると、前述の接触部が軸受中心軸に対して成す角度を大きくして転がり面の荷重をより抑えることができる。
上述のように、この発明に係るは、上記構成の採用により、円すいころ軸受の転がり面における潤滑環境を改善すると共に軸受回転トルクを低減することができる。
この発明の実施形態に係る円すいころ軸受を示す部分断面図 図1の円すいころ軸受の全断面図 図1の内輪の小鍔付近の母線形状を示す図 図1の円すいころ軸受の転がり接触部での潤滑態様を示す模式図
この発明の一例としての実施形態に係る円すいころ軸受を図1~図3に示す。
図1、図2に示すこの円すいころ軸受は、内輪10と、外輪20と、内輪10と外輪20との間に配置された複数の円すいころ30と、これら円すいころ30を収容する保持器40と、を備える。
内輪10は、円すい状に形成された軌道面11と、軌道面11の大径側縁よりも大径に形成された大鍔12と、大鍔12から軌道面11まで形成された大径側研削逃げ13と、軌道面11の小径側縁よりも大径に形成された小鍔14と、小鍔14から軌道面11まで形成された小径側研削逃げ15とを外周側に有し、円筒面状の内径面16を内周側に有する軌道輪からなる。
外輪20は、円すい状に形成された軌道面21を内周側に有し、円筒面状の外径面22を外周側に有する軌道輪からなる。
内輪10と外輪20間の軸受内部空間には、外部から油が供給される。
円すいころ30は、円すい状に形成された転動面31と、転動面31の大径側に連続する面取り32と、面取り32に連続するころ大端面33と、転動面31の小径側に連続する面取り34と、面取り34に連続するころ小端面35とを有する転動体からなる。
複数の円すいころ30は、内輪10と外輪20間に単列に配置されている。
保持器40は、複数の円すいころ30を周方向に所定ピッチに保つ環状の軸受部品からなる。各円すいころ30は、保持器40に周方向に等間隔に形成されたポケットに収容されている。図示例の保持器40は、かご形の打ち抜き保持器を例示したが、保持器40の材料や製法は特に問わない。
ここで、図1、図2は、内輪10、外輪20及び保持器40の中心線が一致する理想状態を示し、この中心線を軸受中心軸CLとする。また、図1、図2は、軸受中心軸CLに一致する内輪10、外輪20の各中心軸及び円すいころ30の中心軸(図示省略)が同一の仮想アキシアル平面に含まれ、かつ円すいころ30の中心軸が内外の軌道面11,21の円すい状の頂点である軸受中心軸CL上の一点Oに真っすぐに対向する位置関係のときを示す。
以下、軸受中心軸CLに沿った方向のことを「軸方向」といい、軸受中心軸CLに直交する方向のことを「径方向」といい、軸受中心軸CL回りに一周する円周方向のことを「周方向」という。
内外の軌道面11,21と、内外の軌道面11,21間で周方向に公転する円すいころ30の転動面31とは相対的に転がり運動する。内外の軌道面11,21と転動面31の各接触部に荷重が負荷される。
内外の軌道面11,21の各表面粗さは、0.16μmRa以下であることが好ましい。また、円すいころ30の転動面31の表面粗さは、0.13μmRa以下であることが好ましい。ここで、表面粗さは、JIS規格のB0601:2013「製品の幾何特性仕様(GPS)-表面性状:輪郭曲線方式-用語,定義及び表面性状パラメータ」で規定された算術平均粗さRaのことをいう。
内外の軌道面11,21及び転動面31の円すい状は、内外の軌道面11,21と、円すいころ30の転動面31との各接触部が成す形状と実質的に同一視することができ、その形状の頂点は点Oに一致する。なお、内外の軌道面11,21、転動面31の各円すい状は、母線を直線とした形状に限定されず、クラウニングをもった形状を含む概念である。
ここで、母線は、軸線回りの運動による軌跡としてある種の曲面を生成する線分のことをいう。例えば、軌道面11の母線は、軸受中心軸CLを含む仮想アキシアル平面(図1,2の紙面相当)上において軌道面11の外形を成す線分であり、軌道面21、小鍔14、小径側研削逃げ15の母線についても同様である。また、ころ小端面35の母線は、円すいころ30の中心軸を含む仮想平面(図1,2の紙面相当)上においてころ小端面35の外形を成す線分であり、ころ大端面33の母線についても同様である。
ころ大端面33は、点Oと円すいころ30の中心軸とを結ぶ直線上に中心をおいた曲率半径の球面状に基づいて規定されている。
内輪10の大鍔12は、軸受回転中に軸方向大径側の推力が作用する円すいころ30のころ大端面33を支持すると共に周方向に案内する。
内輪10の小鍔14は、複数の円すいころ30が軌道面11から小径側へ脱落することを防ぎ、これら円すいころ30と保持器40と内輪10とでアセンブリを構成するための部位である。
内輪10の小径側研削逃げ15は、軌道面11及び小鍔14に研削加工を施すための全周溝であり、軌道面11と小鍔14とを繋ぐ表面部である。
内輪10、外輪20及び円すいころ30は、それぞれ鍛造、旋削、研削の順に所要部位を加工することで形成されている。
内輪10の軌道面11は、研削加工後に研磨加工されている。内輪10の小径側研削逃げ15は、所定の母線形状に基づいて旋削加工されている。
図3に示すように、小径側研削逃げ15の旋削加工における母線は、小鍔14の母線の直線部に連続する円弧状線部15aを有し、この円弧状線部15aと軌道面11の母線との間の残部を軌道面11に対して内径面16側に傾斜した直線状とした線形になっている。小径側研削逃げ15には積極的に研削加工及び研磨加工を行わないが、軌道面11の研削、研磨加工時、砥石が軌道面研削部位の小径側縁を少し丸めてしまう。このため、小径側研削逃げ15の略全面は旋削加工面からなるが、小径側研削逃げ15と軌道面11との繋ぎ部は、僅かに丸まった研削面ないし研磨面になっている。
図1に示すように、内輪10の内径面16は、内輪10の内径φdを規定する。内径φdは、この円すいころ軸受の内径に一致する。外輪20の外径面22は、外輪20の外径φDを規定する。外径φDは、この円すいころ軸受の外径に一致する。
ここで、外輪20の外径φDと内輪10の内径φdとの径差を二等分する仮想円の直径をφWとする。直径φWの中心は、図2に示す軸受中心軸CL上に位置する。
また、円すいころ30の転動面31の直径をDW1とし、転動面31の平均径をDAとする。転動面31の各部位の直径の値は、円すいころ30の中心軸に垂直な仮想平面上での当該部位の表面に接する互いに平行な2直線間の距離に相当する。直径DW1は、転動面31の大径側縁の直径(転動面31の最大直径)である。平均径DAは、直径DW1と、転動面31の小径側縁の直径(転動面31の最小直径)との差分を二等分した値である。
また、複数の円すいころ30のピッチ円径をφPCDとする。ピッチ円径φPCDは、図2に示す前述の理想状態において軸受中心軸CL上に中心を置き、かつ各円すいころ30の平均径DAに一致する直径をもった転動面部分を含む前述の仮想平面上において各円すいころ30の中心軸と交差する仮想円の直径である。
また、転動面31のうちの平均径DAに一致する直径をもった転動面部分と、内輪10の軌道面11との接触部から内輪10の内周までの径方向の内輪肉厚をBiとする。内輪肉厚Biは、前述の仮想アキシアル平面上において、内輪10の内径面16と、平均径DAに一致する直径をもった転動面部分と接触する内輪軌道面部分との間の径方向距離に相当する。
また、転動面31のうちの平均径DAに一致する直径をもった転動面部分と、外輪20の軌道面21との接触部から外輪20の外周までの径方向の外輪肉厚をBoとする。外輪肉厚Boは、前述の仮想アキシアル平面上において、外輪20の外径面22と、平均径DAに一致する直径をもった転動面部分と接触する外輪軌道面部分との間の径方向距離に相当する。
また、内輪10の軌道面11の母線を内輪10の小径側へ延長した仮想線と、ころ小端面35の母線を内輪10側へ延長した仮想線との交点P1から内輪10の内周までの径方向長さをAとする。径方向長さAは、前述の仮想アキシアル平面上において、交点P1と、内輪10の内径面16との径方向距離に相当する。
また、内輪10の軌道面11の母線を内輪10の大径側へ延長した仮想線と、ころ大端面33の母線を延長した仮想線との交点P2から内輪10の内周までの径方向長さをCとする。径方向長さCは、前述の仮想アキシアル平面上において、交点P2と、内輪10の内径面16との径方向距離に相当する。
また、円すいころ30の全長をXLWとする。全長XLWは、円すいころ30の中心軸に沿った方向で考えた円すいころ30の全長である。
また、図3に示すように、内輪10の軌道面11の母線に対する小径側研削逃げ15の削り代をTN1とする。削り代TN1は、軌道面11の母線に対する小径側研削逃げ15の深さに相当し、より具体的には、軌道面11の母線に垂直な方向で考えて、小径側研削逃げ15の母線と軌道面11の母線の繋ぎ部から、小径側研削逃げ15の母線の最深部までの深さに相当する。
また、小鍔14の母線を延長した仮想線と、内輪10の軌道面11を小鍔14側へ延長した仮想線との交点P3から内輪10の軌道面11の母線までの距離をZN1とする。距離ZN1は、軌道面11の母線の延長方向で考えた小径側研削逃げ15の母線の幅に相当する。
また、小径側研削逃げ15の母線の円弧状線部15aが有する曲率半径をRN1とする。
この円すいころ軸受において、図1に示す前述のφW/φPCDの値は、1.0以上である。これにより、ピッチ円径φPCDの径方向位置を外輪20寄りとせず、内外の軌道面11,21と円すいころ30の転動面の各転がり接触部の周速を低減する。好ましくは、ピッチ円径φPCDの径方向位置を内輪10寄りとなるように縮径するため、φW/φPCDの値を1.0よりも大きくするとよい。
また、前述のDA/Biの値は、1.1以上であり、好ましくは1.2以上である。これにより、円すいころ軸受の断面において円すいころ30の平均径DAの位置を内輪10側に寄せ、内輪10の軌道面11と転動面31の転がり接触部の周速を低減する。
また、前述のC/Aの値は、1.1以上であり、好ましくは1.2以上である。これにより、図2に示すように軸受中心軸CLに対して円すい状の転動面31と内外の軌道面11,21の転がり接触部が成す角度θは大きくなる。角度θを大きくすることは、転がり面(転動面31,軌道面11,21)に負荷される荷重を低減することになるので、転がり接触部でのトルク損失を抑えて発熱を抑えるのに有効である。
また、前述のBo/Biの値は、1.50よりも大きく、好ましくは1.80よりも大きく、より好ましくは2.00よりも大きい。これにより、内輪10の内径φd及び外輪20の外径φDの変更を避けつつ、ピッチ円径φPCDを縮径し、内外の軌道面11,21と円すいころ30の転動面の各転がり接触部の周速を低減することができる。特に、外輪20の軌道面21を縮径して外輪20を厚くすることになるので、内輪10側の転がり接触部よりも軸受中心軸CLからの径方向距離が遠く、比較的周速が高くなる外輪20側の転がり接触部の周速を低減するのに有効である。
前述のように内外の軌道面11,21と転動面31の転がり接触部の周速を低減することは、円すいころ軸受の回転トルクとして発生する主要因である転がり抵抗の低減に有効である。転がり接触部での油の影響を図4に模式的に示す。同図中において、Sは、剛体表面であり、内輪又は外輪の軌道面を模している。また、Rは、剛体表面Sに対して矢線L方向に転がる転動体であり、転動面に相当する。また、同図中において、矢線F,F及びこれらと同種の矢線は、油の流れを模式的に示すものであり、転動方向Lに順じる流れをFとし、これと逆の流れをFとする。また、同図中において、矢線τ及びこれと同種の矢線は、転動体Rが油から与えられるせん断応力を模式的に示すものである。また、同図中において、一点鎖線は、油の速度勾配を模式的に示し、剛体表面Sに垂直な実線Vは、速度分布の原点位置を示すものであり、実線Vよりも図中左方の一点鎖線領域では油が逆方向の流れFとなる。
本願発明者らが前述の転がり抵抗について、分析・研究を進めたところ、図4に示すように、転動体R(円すいころ)と剛体表面S(内輪の軌道面又は外輪の軌道面)との間には、油の速度勾配と逆流による油のせん断応力により、転がり抵抗が発生していることを確認した。具体的には、転がり前進方向の転動体R(円すいころ)と剛体表面S(軌道面)間の広い空間から狭い空間に油が流入する際、その空間が狭小部のため、油のすべてが通過することはできず、油の一部は入口側の中心付近で逆流Fが生じる。流体力学的に、流体から物体表面に作用するせん断応力τは、物体表面での流体の速度勾配に比例する。したがって、逆流Fが発生する入口部では速度勾配が大きくなるため、せん断抵抗が大きくなり、これが転動体Rの回転を妨げる方向のモーメントとして作用する。この知見を得た本願発明者らは、円すいころ軸受における転がり抵抗が軌道面と転動面の接触部における周速の関数であることを確認した。その周速は、図2に示す軸受中心軸CLから転動面31と軌道面11又は21の接触部までの距離が大きいほどに高くなる。したがって、前述のようにφW/φPCD、DA/Bi、及びBo/Biの各値を設定することにより、転動面31と内外の軌道面11,21の各接触部と軸受中心軸CL間の距離を小さくして、周速を低減して円すいころ軸受におけるトルク損失を低減することができる。
一方、前述のようにφW/φPCD、DA/Bi、C/A及びBo/Biの各値を設定する場合、内輪10は、特に小径側研削逃げ15のところで薄くなるので、内輪10側の強度に考慮する必要がある。このため、内輪10の強度の観点から小径側研削逃げ15の形状を考慮することが好ましい。
具体的には、図3に示す前述のTN1/RN1の値は、0.10以上1.00以下であり、好ましくは0.20以上0.80以下であり、より好ましくは0.22以上0.50以下である。これにより、小径側研削逃げ15付近の強度低下を防ぐと共に、前述のような内輪10の砥石加工に要する研削逃げとしての形状の成立性を確保する。
また、前述のZN1/DW1の値は、0.01以上0.50以下であり、好ましくは0.05以上0.40以下であり、より好ましくは0.075以上0.31以下である。これにより、小径側研削逃げ15付近の強度低下を防ぐと共に、軌道面11の幅を確保する。
さらに、内輪10側への荷重負担を考慮した円すいころ30の寸法設定とするため、前述のXLW/DW1の値は、1.1以上2.4以下である。この値を1.1未満にすると、軌道面11の長さ方向の荷重分担が小さくなり、内輪10の負荷が高くなり過ぎるので、好ましくない。また、この値が2.4を超えると、軌道面11の長さ方向の荷重分担は増えるが、内輪10の小鍔14側の薄肉な部分の幅が長くなり、内輪10への負担が高くなる。
前述の各値の組み合わせにより、転がり接触部の周速低減と、内輪10の強度確保との両立を実現することができる。その組み合わせについての評価結果を表1に示す。
Figure 2023117005000002
この評価では、全例において内輪内径φd、外輪外径φDを一定とし、また、φW/φPCD、Da/Bi、C/Aの各値について表1の5つの組み合わせパターンを検討し、各組み合わせパターンにおいて、TN1/RN1、ZN1/DW1を様々に検討した。表1において、比較例1,2とする各組み合わせパターンは、図1~図3に示すこの円すいころ軸受に該当しないものであり、実施例1~3とする各組み合わせパターンは、この円すいころ軸受に該当するものである。
また、前述のBo/Biの数値設定が円すいころ軸受の回転トルクに及ぼす影響についても検討した。その検討モデルは4つであり、各検討モデルは、軸受内径(内径φd):φ35×軸受外径(外径φD):φ75×軸受幅21である。第一の検討モデルは、Bo/Bi=1.0である。第二の検討モデルは、Bo/Bi=1.49である。第三の検討モデルは、Bo/Bi=1.78である。第四の検討モデルは、Bo/Bi=2.03である。
第一の検討モデルは、従来品に該当するものであり、第二~第四の検討モデルは、図1~図3に示すこの円すいころ軸受に該当するものである。第一の検討モデルにおける軸受回転トルクを基準として、第二~第四の検討モデルの回転トルクを評価したところ、第二の検討モデル(Bo/Bi=1.49)の回転トルク比は0.89となり、第一の検討モデルに比して約10%のトルク低減効果があった。同じく第三の検討モデル(Bo/Bi=1.78)の回転トルク比は0.84となり、第一の検討モデルに比して約15%のトルク低減効果があった。同じく第四の検討モデル(Bo/Bi=2.03)の回転トルク比は0.81となり、第一の検討モデルに比して約20%のトルク低減効果があった。これらの結果から、前述のBo/Biの値を1.50よりも大きくすることが低トルク化に有効であり、1.80よりも大きくすることが好適であり、2.00よりも大きくすることがより好適であるといえる。
このように、この円すいころ軸受は、前述のφW/φPCDが1.0以上であり、Da/Biが1.1以上であり、C/Aが1.1以上であり、Bo/Biが1.50よりも大きいことにより、内輪10を薄く、外輪20を厚くして内外の軌道面11,21の各直径を小さくし、これに伴い円すいころ30のピッチ円径φPCDを小さくして、軌道面11と転動面31の接触部と軸受中心軸CL間の距離を短くし、さらに軌道面21と転動面31の接触部と軸受中心軸CL間の距離も短くして、これら両接触部における周速を遅くし、転がり面(転動面31,軌道面11,21)に作用する油のせん断抵抗を抑えて軸受回転トルクを減少させることができ、さらに、各接触部が軸受中心軸CLに対して成す角度θを大きくして転がり面の荷重を抑えて軸受回転トルクの低減を図ることもでき、これら低トルク化によって軸受内部での発熱を抑え、ひいては、油の昇温による粘度の低下を抑えて、転がり面における潤滑環境を改善することができる。したがって、この円すいころ軸受は、軸受内部に供給する油の粘度が今後増々低粘度化される場合に適用することができて省エネルギ化にも貢献することができる。
また、この円すいころ軸受は、前述のTN1/RN1が0.10以上1.00以下であり、ZN1/DW1が0.01以上0.50以下であり、XLW/DW1が1.1以上2.4以下であることにより、内輪10への負荷が過大になることを避け、小径側研削逃げ15付近の強度低下を抑えて、前述の低トルク化と内輪10の強度確保を両立させることができる。
また、この円すいころ軸受けは、前述のBo/Biが1.80よりも大きいことにより、前述の接触部の径方向位置を内輪10側に寄せて前述の接触部の周速をより抑え、特に外輪20側の接触部における周速を効果的に抑えてより軸受回転トルクを低減することができる。
また、この円すいころ軸受けは、前述のBo/Biが2.00よりも大きいことにより、さらに軸受回転トルクを低減することができる。
また、この円すいころ軸受けは、前述のDa/Biが1.2以上であることにより、前述の接触部の径方向位置を内輪10側に寄せて周速をより抑えることに好適である。
また、この円すいころ軸受けは、前述のC/Aが1.2以上であることにより、前述の接触部が軸受中心軸CLに対して成す角度θを大きくして転がり面の荷重をより抑えることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 内輪
11 軌道面
14 小鍔
15 小径側研削逃げ
16 内径面
20 外輪
21 軌道面
22 外径面
30 円すいころ
31 転動面
33 ころ大端面
35 ころ小端面

Claims (6)

  1. 軌道面を外周側に有する内輪と、軌道面を内周側に有する外輪と、前記内輪と前記外輪間に配置された複数の円すいころとを備え、前記円すいころが転動面と、ころ大端面と、ころ小端面とを有する円すいころ軸受において、
    前記外輪の外径と前記内輪の内径との径差を二等分する仮想円の直径をφWとし、前記複数の円すいころのピッチ円径をφPCDとしたとき、φW/φPCDが1.0以上であり、
    前記転動面の平均径をDAとし、前記DAに一致する直径をもった転動面部分と前記内輪の軌道面との接触部から前記内輪の内周までの径方向の内輪肉厚をBiとしたとき、Da/Biが1.1以上であり、
    前記内輪の軌道面の母線を前記内輪の小径側へ延長した仮想線と前記ころ小端面の母線を延長した仮想線との交点から前記内輪の内周までの径方向長さをAとし、前記内輪の軌道面の母線を前記内輪の大径側へ延長した仮想線と前記ころ大端面の母線を延長した仮想線との交点から前記内輪の内周までの径方向長さをCとしたとき、C/Aが1.1以上であり、
    前記DAに一致する直径をもった転動面部分と前記外輪の軌道面との接触部から前記外輪の外周までの径方向の外輪肉厚をBoとしたとき、Bo/Biが1.50よりも大きいことを特徴とする円すいころ軸受。
  2. 前記内輪が、前記円すいころの脱落を阻止する小鍔と、前記小鍔から前記内輪の軌道面まで形成された小径側研削逃げとを有し、前記小径側研削逃げの母線が前記小鍔の母線に連続する円弧状線部を有し、
    前記内輪の軌道面の母線に対する前記小径側研削逃げの削り代をTN1とし、前記小径側研削逃げの母線の円弧状線部が有する曲率半径をRN1としたとき、TN1/RN1が0.10以上1.00以下であり、
    前記小鍔の母線を延長した仮想線と前記内輪の軌道面を小鍔側へ延長した仮想線との交点から前記内輪の軌道面の母線までの距離をZN1とし、前記円すいころの転動面の直径をDW1としたとき、ZN1/DW1が0.01以上0.50以下であり、
    前記円すいころの全長をXLWとしたとき、XLW/DW1が1.1以上2.4以下である請求項1に記載の円すいころ軸受。
  3. 前記Bo/Biが1.80よりも大きい請求項1又は2に記載の円すいころ軸受。
  4. 前記Bo/Biが2.00よりも大きい請求項3に記載の円すいころ軸受。
  5. 前記Da/Biが1.2以上である請求項1から4のいずれか1項に記載の円すいころ軸受。
  6. 前記C/Aが1.2以上である請求項1から5のいずれか1項に記載の円すいころ軸受。
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