JP2023116222A - 外キャップ及びプラスチック容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】保管時の変形を抑制しつつ、低温での落下による割れを抑制することができる外キャップ及びプラスチック容器を提供すること。【解決手段】ボトルの口部に装着され開口を有する内キャップ及びボトルの少なくとも一方に着脱可能に装着され、内キャップの開口を塞ぐ外キャップであって、ホモポリプロピレン及びブロックポリプロピレンを含む樹脂を含有する、外キャップ。【選択図】図1

Description

本開示は、外キャップ及びプラスチック容器に関する。
調味料などの内容物を収容するプラスチック容器として、従来、ボトルと、ボトルの口部に装着され、開口を有する内キャップと、内キャップ又はボトルに着脱可能に装着され、内キャップの開口を塞ぐ外キャップとを備えるものが知られている。
例えば下記特許文献1には、容器本体と、容器本体の口部に装着される中栓と、中栓に開閉可能に装着される外キャップとを備え、外キャップが直鎖状低密度ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂からなる容器が開示されている。
特開2021-160729号公報
ところで、調味料などの内容物を収容するプラスチック容器の外キャップは、製造後、流通されるまでの過程において段ボール箱内で積み重ねて保管されることがある。また、調味料などの内容物を収容するプラスチック容器は、冷蔵庫に保管される場合もある。
しかし、上記特許文献1に記載されたプラスチック容器の外キャップは、以下の課題を有していた。
すなわち、上記特許文献1に記載されたプラスチック容器の外キャップは、プラスチック容器が段ボール箱内で積み重ねられた状態で保管される場合には、その上に積み重ねて配置された外キャップの重みにより変形しやすくなる。特に高温環境下ではその傾向が大きくなる。この場合、中栓の開口が外キャップにより塞がりにくくなり、内容物が漏れ出ることが懸念される。また、冷蔵庫で冷却されて低温になったプラスチック容器を冷蔵庫から取り出す際にプラスチック容器が落下した場合には、プラスチック容器の外キャップに割れが生じるおそれがある。この場合、外キャップは、内キャップの開口を塞ぐものであるため、プラスチック容器の外キャップの割れを通して内容物が漏れ出すことが懸念される。
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、保管時の変形を抑制しつつ、低温での落下による割れを抑制することができる外キャップ及びプラスチック容器を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するため検討した。まず、外キャップを構成するオレフィン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレンをホモポリプロピレンに変更してみた。その結果、外キャップの保管時の変形を抑制することはできた。しかし、低温での落下による外キャップの割れについてはいまだ改善の余地があった。そこで、本発明者はさらに鋭意研究を重ねた結果、以下の開示により上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本開示の一側面は、ボトルの口部に装着され開口を有する内キャップ及びボトルの少なくとも一方に着脱可能に装着され、内キャップの開口を塞ぐ外キャップであって、ホモポリプロピレン及びブロックポリプロピレンを含む樹脂を含有する、外キャップを提供する。
本開示の外キャップは、ホモポリプロピレンを含有するため、その外キャップの機械的強度が確保される。このため、外キャップが例えば積み重ねられた状態で保管されても、外キャップの保管時の変形を抑制することが可能となる。また、外キャップは、ブロックポリプロピレンをも含有しており、ブロックポリプロピレンは、ゴム成分により外キャップに対して低温での柔軟性を付与することが可能になる。このため、外キャップは、低温で落下してもその際の衝撃を吸収することが可能となる。
したがって、本開示の外キャップによれば、保管時の変形を抑制しつつ、低温での落下による割れを抑制することができる。
また、本開示の別の一側面は、ボトルと、ボトルの口部に装着され、開口を有する内キャップと、内キャップ及びボトルの少なくとも一方に着脱可能に装着され、内キャップの開口を塞ぐ外キャップとを備え、外キャップが、上述した外キャップである、プラスチック容器を提供する。
上記プラスチック容器は、上述した外キャップを備えており、この外キャップにおいては、外キャップが例えば積み重ねられた状態で保管された後の状態であっても、変形が抑制されている。このため、内キャップの開口が、変形した外キャップにより塞がれなくなることが抑制され、内容物が漏れ出ることが抑制される。また、冷蔵庫などで冷却されたプラスチック容器が取り出される際、誤って落下しても、外キャップに割れが生じることが抑制されるため、内容物が漏れ出ることが抑制される。
上記内キャップは、直鎖状低密度ポリエチレンを含む樹脂を含有することが好ましい。
この場合、内キャップをボトルの口部にしっかりと装着することが可能となり、プラスチック容器に内容物が収容されても、内容物が漏れ出ることをより抑制できる。
上記内キャップは、開口を有し、内容物を注出する筒状の注出部を有し、外キャップが、筒状の側壁部と、側壁部の一端に設けられる天井部と、天井部の内壁面から延び、注出部の開口に収容される筒状の封止部とを有することが好ましい。
この場合、天井部の内壁面から延びる封止部が注出部の開口に収容されることで、内容物が注出部から漏れ出ることが抑制される。
上記ボトルは、ポリエチレンテレフタレートを含んでいてよい。
上記ポリエチレンテレフタレートは、植物由来のポリエチレンテレフタレートを含んでいてよい。この場合、ボトルの機械的強度の低下及び外観の劣化を抑制しつつ、環境負荷を低減することができる。
上記ポリエチレンテレフタレートが、植物由来のポリエチレンテレフタレートを含む場合、内キャップ及び外キャップに含まれる樹脂は化石燃料由来の樹脂であってよい。
上記外キャップに含まれる上記樹脂は、植物由来の高密度ポリエチレンをさらに含んでいてよい。また、上記外キャップは、植物由来の高密度ポリエチレンを5~22質量%含んでいてよい。この場合、外キャップの機械的強度の低下及び外観の劣化を抑制しつつ、環境負荷を低減することができる。
本開示によれば、保管時の変形を抑制しつつ、低温での落下による割れを抑制することができる外キャップ及びプラスチック容器が提供される。
本開示のプラスチック容器の一実施形態を、部分的に切断面の端面で示す概略正面図である。
以下、本開示のプラスチック容器の実施形態について図1を参照しながら詳細に説明する。図1は、本開示のプラスチック容器の一実施形態を、部分的に切断面の端面で示す概略正面図である。図1においては、内キャップ及び外キャップについてのみ切断面の端面で示されている。
図1に示すように、本開示のプラスチック容器100は、内容物(図示せず)を収容するボトル10と、ボトル10の口部11に装着され、開口20aを有する内キャップ20と、内キャップ20に着脱可能に装着され、内キャップ20の開口20aを塞ぐ外キャップ30とを備える。容器に収容される内容物としては、ドレッシング等の液状の調味料、飲料等が挙げられる。
そして、外キャップ30は、ホモポリプロピレン及びブロックポリプロピレンを含む樹脂を含有する外キャップ用樹脂組成物からなる。
上述した外キャップ30は、ホモポリプロピレンを含有するため、その外キャップ30の機械的強度が確保される。このため、外キャップ30が例えば積み重ねられた状態で保管されても、外キャップ30の保管時の変形を抑制することが可能となる。また、外キャップ30は、ブロックポリプロピレンをも含有しており、ブロックポリプロピレンは、ゴム成分により外キャップ30に対して低温での柔軟性を付与することが可能になる。このため、外キャップ30は、低温で落下してもその際の衝撃を吸収することが可能となる。したがって、外キャップ30によれば、保管時の変形を抑制しつつ、低温での落下による割れを抑制することができる。
このため、上述した外キャップ30を備えるプラスチック容器100によれば、外キャップ30において、外キャップ30が例えば積み重ねられた状態で保管された後の状態であっても、変形が抑制されている。このため、内キャップ20の開口20aが、変形した外キャップ30により塞がれなくなることが抑制され、内容物が漏れ出ることが抑制される。また、冷蔵庫などで冷却されたプラスチック容器100が取り出される際、誤って落下しても、外キャップ30に割れが生じることが抑制されるため、内容物が漏れ出ることが抑制される。
以下、ボトル10、内キャップ20及び外キャップ30について詳細に説明する。
<ボトル>
ボトル10は、例えば筒状の胴部12と、胴部12の一端側に設けられる筒状の口部11と、胴部12の他端に設けられる底部13とを備える。
胴部12の一端と口部11とは肩部14によって連結されている。口部11は、内容物を胴部12に収容し且つ胴部12から内容物を注出する流通経路を形成している。また口部11の外周面には、内キャップ20を受け止める受止めフランジ15が設けられてもよい。
ボトル10は、樹脂を含有する樹脂組成物からなり、樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂などが挙げられる。樹脂は、機械強度などの点から、PETを含むことが好ましい。
PETとしては、化石燃料由来のPET、及び、植物由来のPETが挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。PETが植物由来のPETを含む場合、ボトル10の機械的強度の低下及び外観の劣化を抑制することができる。また、PETが植物由来のPETを含む場合、化石燃料由来のPETの使用量が減少するため、環境負荷を低減することができる。
PETが植物由来のポリエチレンテレフタレートを含む場合、内キャップ20及び外キャップ30に含まれる樹脂は化石燃料由来の樹脂であってよい。
<内キャップ>
内キャップ20は、ボトル10の口部11に装着されるものである。内キャップ20は、例えばボトル10の口部11に対して打栓式で装着される。
内キャップ20は、例えば、ボトル10の口部11に固定される筒状の基部21と、内容物を注出する開口20aが形成された筒状の注出部22と、基部21と注出部22との間に設けられ、外キャップ30を固定する中間部23とを備える。
中間部23の外周面には、例えば外キャップ30と噛み合うねじ構造(図示せず)が形成されていてもよい。ねじ構造は、例えば筒状の中間部の延び方向に沿って突出部を螺旋状に形成したものである。
内キャップ20は、樹脂を含有する樹脂組成物からなり、樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などのポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
中でも、樹脂としては、LLDPEが好ましい。この場合、内キャップ20をボトル10の口部11にしっかりと装着することが可能となる。具体的には、内キャップ20が打栓式でボトル10の口部11に装着される場合に、内キャップ20の基部21が全周にわたって受け止めフランジ15まで到達する。その結果、プラスチック容器100に内容物が収容されても、内容物が漏れ出ることをより抑制できる。
ポリエチレンは、化石燃料由来のポリエチレン、植物由来のポリエチレン、又はこれらの混合物であってもよい。ポリエチレンが植物由来のポリエチレンを含む場合、化石燃料由来のポリエチレンの使用量が減少するため、環境負荷を低減することができる。
<外キャップ>
外キャップ30は、内キャップ20に着脱可能に装着され、内キャップ20の開口20aを塞ぐものである。外キャップ30は、筒状の側壁部31と、側壁部31の一端に設けられるドーム状の天井部32と、天井部32の内壁面から延びる筒状の突出部33と、突出部33の内側で天井部32の内壁面から延びる筒状の封止部34とを有している。
ここで、封止部34は、内キャップ20の注出部22の開口20a内に嵌合している。このため、天井部32の内壁面から延びる封止部34が注出部22の開口20aに収容されることで、内容物が注出部22から漏れ出ることが抑制される。
また、突出部33は、内キャップ20の中間部23を収容している。このため、仮に、内容物が注出部22から漏れ出ても、漏れ出た内容物を、突出部33と内キャップ20との間の空間に留めることができ、内容物が外キャップ30の外側まで漏れ出ることを抑制できる。
中間部23の外周面に外キャップ30と噛み合うねじ構造が形成されている場合には、突出部33の内壁面には、内キャップ20の中間部23のねじ構造と噛み合うねじ構造(図示せず)が形成されていてもよい。ねじ構造は、例えば筒状の突出部33の延び方向に沿って溝を螺旋状に形成したものである。この場合、外キャップ30は、内キャップ20の方に向かって押し込みつつ、ボトル10の胴部12の延び方向の周りに回転させることで内キャップ20にしっかりと固定されると同時に、封止部34を注出部22の開口20a内に嵌合させて内キャップ20の開口20aを塞ぐことが可能になる。
外キャップ30は、ホモポリプロピレン及びブロックポリプロピレンを含む樹脂を含有する外キャップ用樹脂組成物からなる。
(ホモポリプロピレン)
ホモポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体である。ホモポリプロピレンは化石燃料由来のホモポリプロピレン、植物由来のホモポリプロピレン、又はこれらの混合物であってもよい。
外キャップ用樹脂組成物に含まれる樹脂中のホモポリプロピレンの含有率は特に制限されるものではないが、25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。この場合、外キャップ用樹脂組成物に含まれる樹脂中のホモポリプロピレンの含有率が25質量%未満である場合に比べて、外キャップ30の保管時の変形をより抑制することができる傾向がある。
外キャップ用樹脂組成物に含まれる樹脂中のホモポリプロピレンの含有率は70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましい。この場合、外キャップ用樹脂組成物に含まれる樹脂中のホモポリプロピレンの含有率が70質量%を超える場合に比べて、外キャップ30が低温で落下した場合でも割れをより抑制できる傾向がある。
(ブロックポリプロピレン)
ブロックポリプロピレンは、ホモポリプロピレン中にゴム成分であるエチレンプロピレンゴム(EPR)を分散させてなるものが好ましく用いられる。この場合、外キャップ30の耐衝撃性を向上させることができる。
ブロックポリプロピレンは化石燃料由来のブロックポリプロピレン、植物由来のブロックポリプロピレン、又はこれらの混合物であってもよい。
外キャップ用樹脂組成物に含まれる樹脂中のブロックポリプロピレンの含有率は特に制限されるものではないが、45質量%より大きいことが好ましく、48質量%以上であることがより好ましい。この場合、外キャップ用樹脂組成物に含まれる樹脂中のブロックポリプロピレンの含有率が45質量%以下である場合に比べて、外キャップ30の保管時の変形をより抑制することができ、低温での落下による外キャップ30の割れをより抑制できる傾向がある。
外キャップ用樹脂組成物に含まれる樹脂中のブロックポリプロピレンの含有率は70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましい。この場合、外キャップ用樹脂組成物に含まれる樹脂中のブロックポリプロピレンの含有率が70質量%を超える場合に比べて、外キャップ30の保管時の変形をより抑制することができる傾向がある。
ホモポリプロピレンに対するブロックポリプロピレンの質量比Rは、特に制限されるものではないが、1以上であることが好ましい。質量比Rは、1.1以上であってもよく、1.6以上であってもよい。この場合、質量比Rが1未満である場合に比べて、低温での落下による外キャップ30の割れをより抑制できる。
但し、質量比Rは、2.5以下であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましい。この場合、質量比Rが2.5を超える場合に比べて、外キャップ30の保管時の変形をより抑制することができる。
(その他のポリマー)
外キャップ用樹脂組成物に含まれる樹脂は、ホモポリプロピレン及びブロックポリプロピレン以外のポリマーをさらに含んでもよい。
上記ポリマーとしては、例えばポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)などのポリオレフィンが挙げられる。
ポリエチレンとしては、HDPE、LDPE、LLDPEが挙げられるが、中でも、HDPEが好ましい。HDPEを用いることにより、低温での落下による外キャップ30の割れをより抑制できる傾向がある。また、HDPEは上記の中で最も高い曲げ弾性率を有するため、外キャップ30の保管時の変形をより抑制することもできる。
ポリエチレンは、化石燃料由来のポリエチレンでも、植物由来のポリエチレンでもよいが、環境負荷を低減する観点からは、植物由来のポリエチレンであることが好ましい。植物由来のポリエチレンを含む場合、化石燃料由来のポリエチレンの使用量が減少するため、環境負荷を低減することができる。
上記ポリマーの曲げ弾性率は特に制限されるものではないが、1250MPaより大きいことが好ましく、1300MPa以上であることがより好ましい。この場合、外キャップ用樹脂組成物中のブロックポリプロピレンの含有率が同一ならば、外キャップ30を低温で落下した場合に割れをより抑制しやすい傾向がある。
但し、上記ポリマーの曲げ弾性率は1500MPa以下であることが好ましく、1400MPa以下であることがより好ましい。この場合、上記ポリマーの曲げ弾性率が1500MPaを超える場合に比べて、柔軟性が得られやすく、低温状態での外キャップ30の耐衝撃性が向上し、外キャップ30が低温状態で落下しても割れにくくなる。
なお、曲げ弾性率は、ASTMD2240「ゴム特性-デュロメータ硬さの標準試験法」に準拠して作成される短冊状試験片を用いて評価される曲げ強さから算出される値をいう。
上記ポリマーのアイゾット衝撃強度は特に制限されるものではないが、29kJ/mより大きいことが好ましく、35kJ/m以上であることがより好ましい。この場合、外キャップ用樹脂組成物中のブロックポリプロピレンの含有率が同一ならば、低温での落下による外キャップ30の割れをより抑制しやすい傾向がある。
但し、上記ポリマーのアイゾット衝撃強度は45kJ/m以下であることが好ましく、40kJ/m以下であることがより好ましい。この場合、上記ポリマーのアイゾット衝撃強度が45kJ/mを超える場合に比べて、柔軟性が得られやすく、低温状態での外キャップ30の耐衝撃性が向上し、外キャップ30が低温状態で落下しても割れにくくなる。
なお、アイゾット衝撃強度は、JISK7110-1984「硬質プラスチックのアイゾット衝撃試験方法」に準拠して作製されるノッチ付き試験片を用い、23℃で測定される値をいう。
上記ポリマーのメルトインデックス(MI)は特に制限されるものではないが、20g/10minより小さいことが好ましく、15g/10min以下であることがより好ましい。この場合、外キャップ用樹脂組成物中のブロックポリプロピレンの含有率が同一ならば、外キャップ30を低温で落下した場合に外キャップ30の割れをより抑制しやすい傾向がある。
但し、上記ポリマーのMIは5g/10min以上であることが好ましく、7g/10min以上であることがより好ましい。この場合、上記ポリマーのMIが5g/10min未満である場合に比べて、柔軟性が得られやすく、低温状態での外キャップ30の耐衝撃性が向上し、外キャップ30が低温状態で落下しても割れにくくなる。また、成形時の外キャップ用樹脂組成物の流動性を低めに抑えることができ、成形品としての外キャップ30の外観不良(バリ)を抑制することができる。
なお、MIは、JISK7210に準拠して温度190℃、荷重2.16kgにて測定される値をいう。
上記ポリマーがHDPEである場合、HDPEの密度は、0.955g/cmより大きいことが好ましく、0.957g/cm以上であることがより好ましい。この場合、外キャップ用樹脂組成物中のブロックポリプロピレンの含有率が同一ならば、外キャップ30を低温で落下した場合に外キャップ30の割れをより抑制しやすい傾向がある。
但し、HDPEの密度は0.965g/cm以下であることが好ましく、0.960g/cm以下であることがより好ましい。この場合、HDPEの密度が0.965g/cmを超える場合に比べて、低温環境での外キャップ30の耐衝撃性が向上し、外キャップ30が低温状態で落下しても割れにくくなるとともに、外キャップ30の強度も向上する。
外キャップ用樹脂組成物に含まれる樹脂中の上記ポリマーの含有率は35質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、22質量%以下であることが特に好ましい。この場合、外キャップ用樹脂組成物に含まれる樹脂中の上記ポリマーの含有率が35質量%を超える場合に比べて、外キャップ30の保管時の変形をより抑制することができ、低温での落下による外キャップ30の割れをより抑制できる傾向がある。
外キャップ用樹脂組成物に含まれる樹脂中の上記ポリマーの含有率は、3質量%以上、5質量%以上、15質量%以上又は20質量%以上であってもよい。
なお、上記ポリマーが植物由来の高密度ポリエチレンを含み、外キャップ用樹脂組成物に含まれる樹脂中の上記ポリマーの含有率が5~22質量%である場合、外キャップ30の機械的強度の低下及び外観の劣化を抑制しつつ、環境負荷を低減することができる。
(添加剤)
外キャップ用樹脂組成物は、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤等の添加剤を含んでいてもよい。
本開示は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、外キャップ30が内キャップ20に着脱可能に装着されているが、外キャップ30は、ボトル10に着脱可能に装着されていてもよく、内キャップ20及びボトル10の両方に着脱可能に装着されてもよい。
以下、実施例を挙げて本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<外キャップの作製>
以下の(A)~(C)の成分を、表1に示す含有率(単位:質量%)となるように混合して混合物を得た後、この混合物を、射出成形機を用いて240℃で20秒間溶融混練し、外キャップ用樹脂組成物を調製した。
(A)ホモポリプロピレン(ロッテケミカル株式会社製、商品名「J160H」)
(B)ブロックポリプロピレン
・ブロックポリプロピレン1
サンアロマー株式会社製、商品名「PM970A」、MI:30g/10min、曲げ弾性率:1260MPa
・ブロックポリプロピレン2
サンアロマー株式会社製、商品名「PM761A」、MI:9.5g/10min、曲げ弾性率:1050MPa
(C)高密度ポリエチレン
・植物由来の高密度ポリエチレン1
Braskem社製、商品名「SHA7260」、バイオマス度:94%、MI:20g/10min、密度:0.955g/cm、曲げ弾性率:1250MPa、アイゾット衝撃強度:29kJ/m
・植物由来の高密度ポリエチレン2
Braskem社製、商品名「SHC7260」、バイオマス度:94%、MI:7.2g/10min、密度:0.959g/cm,曲げ弾性率:1365MPa、アイゾット衝撃強度:35kJ/m
上記のようにして得られた外キャップ用樹脂組成物を、射出成形装置(ファナック株式会社製、製品名「α―S150iA」)に投入し、外キャップ用の金型を用いて、240℃、20秒の条件で射出成形を行い、図1に示すドーム状の外キャップを得た。なお、外キャップは、筒状の側壁部(内径50mm、外径53mm、長さ41mm)と、湾曲形状の天井部とを有し、天井部の内壁面には筒状の突出部(内径28mm、外径29mm、長さ15mm)が形成されるようにした。なお、突出部の内壁面には、突出部の延び方向に沿って螺旋状の溝を形成した。
以上のようにして外キャップを作製した。
(実施例2~3及び比較例1~2)
上記(A)~(C)の成分を、表1に示す含有率(単位:質量%)となるように混合して外キャップ用樹脂組成物を調製したこと以外は実施例1と同様にして外キャップを得た。
<内キャップの作製>
下記の直鎖状低密度ポリエチレン100質量部に対して下記クリーム色の着色材マスターバッチ(MB)を4質量部配合して混合物を得た後、この混合物を、射出成形機を用いて200℃で20秒溶融混練し、内キャップ用樹脂組成物を調製した。
・直鎖状低密度ポリエチレン
ロッテケミカル株式会社製、商品名「UL814」
・クリーム色の着色材MB
東洋インキ株式会社製、品番「TET29780」、ベース材(直鎖状低密度ポリエチレン):顔料(酸化チタン他)=95:5
上記のようにして得られた内キャップ用樹脂組成物を、上記と同様の射出成形装置に投入し、内キャップ用の金型を用いて、200℃、20秒の条件で射出成形を行い、図1に示す内キャップを得た。なお、内キャップは、筒状の基部(内径32mm、外径35mm、長さ9mm)と、筒状の注出部(内径7mm、外径10mm、長さ10mm)と、基部21と注出部22との間に設けられる筒状の中間部(内径24mm、外径27mm、長さ7mm)とを有し、中間部の外周面には、中間部の延び方向に沿って螺旋状に突出部を形成した。こうして内キャップを作製した。
<ボトルの作製>
下記のPET100質量部に対して下記緑色着色材マスターバッチ(MB)を5質量部配合して混合物を得た後、この混合物を、延伸ブロー成形機を用いて270℃で30秒間溶融混練し、ボトル用樹脂組成物を調製した。
・PET
南亜プラスチック社製、商品名「3802」
・緑着色材MB
大日精化工業株式会社製、商品名「PT-RM-SAB 16C2125 TGN」
上記のようにして得られたボトル用樹脂組成物を、延伸ブロー成形装置(日精エーエスビー機械株式会社製、機種名「PF8-4B機」)に投入し、ボトル用の金型を用いて、270℃、30秒の条件で射出成形を行い、図1に示すボトルを得た。なお、ボトルは、筒状の胴部(内径63mm、外径64mm、長さ134mm)と、胴部の一端側に設けられる筒状の口部(内径28mm、外径30mm、長さ18mm)と、胴部の他端に設けられる底部と、胴部の一端と口部とを連結する肩部14が形成されるように成形した。
こうしてボトルを作製した。
<プラスチック容器の作製>
以上のようにして得られた実施例1~3及び比較例1~2の外キャップ、上記内キャップ及び上記ボトルを用いてプラスチック容器を作製した。具体的には、ボトルに対し、口部から内容物としてドレッシングを注入した。次に、ボトルの口部に内キャップを打栓して装着した後、外キャップを内キャップに被せ、ボトルの胴部の延び方向に沿って外キャップを回転させて外キャップを内キャップに装着した。こうして、内容物入りのプラスチック容器を得た。
<評価>
(1)低温での落下による割れ
上記のようにして得られた内容物入りのプラスチック容器を16本用意し、これらを、5℃に設定した冷蔵庫に24時間入れた後に取り出して、コンクリートからなる床材の表面から1mの高さより、外キャップを床材の表面に向けて落下させた。
そして、外キャップにおける割れの有無を目視にて検査した。結果を表1に示す。なお、表1において、結果は、検査を行ったプラスチック容器の全本数を「検査数」とし、外キャップに割れが見られたプラスチック容器の本数を「異常数」とした場合に、「異常数/検査数」で表示した。
(2)保管時の変形
以上のようにして得られた実施例1~3及び比較例1~2の外キャップを1500個用意し、4つのポリ袋の各々に、バラの状態で375個ずつ入れて、4つの外キャップ入りポリ袋を用意した。そして、2個の段ボール(段ボールの寸法:541mm×361mm×419mm)を用意し、各段ボールに、外キャップ入りポリ袋を2つずつ二段に積み重ねて詰め込んだ。
この状態で外キャップ入りポリ袋を収容した段ボールを、45℃のエージング室内で240時間放置した後、外キャップ入りポリ袋を段ボール箱から取り出し、さらに外キャップ入りポリ袋から外キャップを全て取り出して目視にて検査を行った。また、全ての外キャップの側壁部について、互いに直交する方向における外径の差を測定した。そして、外径の差が2mm以上である外キャップについては「変形あり」と判定し、外径の差が2mm未満である外キャップについては「変形なし」と判定した。結果を表1に示す。なお、表1において、結果は、検査を行った外キャップの全個数を「検査数」とし、「変形あり」と判定された外キャップの個数を「異常数」とした場合に、「異常数/検査数」で表示した。
Figure 2023116222000002
表1に示す結果より、本開示の外キャップは、保管時の変形を抑制しつつ、低温での落下による割れを抑制することができることが確認された。
10…ボトル、11…口部、20…内キャップ、20a…開口、30…外キャップ、100…プラスチック容器。

Claims (9)

  1. ボトルの口部に装着され開口を有する内キャップ及び前記ボトルの少なくとも一方に着脱可能に装着され、前記内キャップの前記開口を塞ぐ外キャップであって、
    ホモポリプロピレン及びブロックポリプロピレンを含む樹脂を含有する、外キャップ。
  2. 前記内キャップが、直鎖状低密度ポリエチレンを含む樹脂を含有する、請求項1に記載の外キャップ。
  3. 前記内キャップが、前記開口を有し、内容物を注出する筒状の注出部を有し、
    前記外キャップが、筒状の側壁部と、前記側壁部の一端に設けられる天井部と、前記天井部の内壁面から延び、前記注出部の前記開口に収容される筒状の封止部とを有する、請求項1又は2に記載の外キャップ。
  4. 前記ボトルが、ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の外キャップ。
  5. 前記ポリエチレンテレフタレートが、植物由来のポリエチレンテレフタレートを含む、請求項4に記載の外キャップ。
  6. 前記内キャップ及び前記外キャップに含まれる樹脂が化石燃料由来の樹脂である、請求項5に記載の外キャップ。
  7. 前記外キャップに含まれる前記樹脂が、植物由来の高密度ポリエチレンをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の外キャップ。
  8. 前記外キャップが、前記植物由来の高密度ポリエチレンを5~22質量%含む、請求項7に記載の外キャップ。
  9. ボトルと、
    前記ボトルの口部に装着され、開口を有する内キャップと、
    前記内キャップ及び前記ボトルの少なくとも一方に着脱可能に装着され、前記内キャップの前記開口を塞ぐ外キャップとを備え、
    前記外キャップが、請求項1~8のいずれか一項に記載の外キャップである、プラスチック容器。
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