以下、図面を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下では、移動体駆動ユニットを搭載する移動体が、荷台を有し、森林、荒地、岩山等の不整地を走行するオフロード型多用途車両(Utility Vehicle)またはトラクタである場合を説明するが、除雪作業、掘削作業、土木作業、農作業のいずれか1つ以上の作業を行う作業機を有する作業車両、あるいはAll Terrain Vehicle(ATV)や、Recreational Vehicle(ROV)としてもよい。以下ではすべての図面において同様の要素には同一の符号を付して説明する。
図1から図25は、実施形態を示している。図1は、実施形態のハイブリッド車両10において、一部を断面にして示す側面図である。図2は、ハイブリッド車両10に搭載される移動体駆動ユニットの全体構成を示す図である。図3Aは、図2において制御装置に接続される操作要素群を示す図である。図3Bは、図2において遠心クラッチを含んで示すA部拡大図である。図4は、電動モータの駆動回路と制御装置の構成を示す図である。
図1に示すハイブリッド車両10は、荷台19を有するオフロード型多用途車両であり、左右2つの後輪16を駆動するエンジン21と、左右2つの前輪15を駆動するモータ22とを含んで構成される。以下、ハイブリッド車両10は、車両10と記載する場合がある。モータ22は、電動モータである。前輪15は、後輪16と前後方向(図1の左右方向)に離れている。後輪16は第1車輪に相当し、前輪15は第2車輪に相当する。具体的には、車体を構成するフレーム11の上側に基礎構造であるプラットフォーム12が固定され、フレーム11の前側(図1の右側)にはフロントカバー13が固定される。プラットフォーム12において、フロントカバー13の後側には運転席14が固定され、運転席14の後側には荷台19が固定される。車両10は、フレーム11の前後に支持された車輪である左右2つの前輪15及び左右2つの後輪16と、操作要素群18と、移動体駆動ユニット20とを備える。図1に示すように後述のバッテリ23が運転席14の下方であって、フレーム11の前後方向中間部における枠部の内側に配置される。
移動体駆動ユニット20は、それぞれ動力源であるエンジン21及びモータ22と、電源であるバッテリ23(図1、図2)と、エンジン21によって駆動されバッテリ23に蓄える電気を生成するための2つのジェネレータGE1、GE2(図2)と、後側動力伝達部25(図2)及び前側動力伝達部41(図2)と、センサスイッチ群50(図2)と、制御装置70(図2)とを含む。図2に示すように、ジェネレータGE1は、エンジン21の出力軸21aに固定されるロータと、このロータに対向するステータとを有する。ジェネレータGE2は、エンジン21のCVT26とは反対側に延びる出力軸21bとベルトプーリ機構21cとを介してエンジン21の動力が伝達されるように接続される。ジェネレータGE1、GE2はインバータ24bで制御され、発電した電力をバッテリ23に充電する。なお、2つのジェネレータGE1,GE2の一方は省略してもよい。バッテリ23にはバッテリ23の温度及び電圧を検出するバッテリ監視モジュール(BCM)65が取り付けられる。バッテリ監視モジュール65は、充電監視部に相当する。バッテリ監視モジュール65は、バッテリ23の充電残量である充電量を検出する機能も有する。バッテリ監視モジュール65からの充電量の検出信号は制御装置70に送信される。また、車両10には傾斜角センサ66が設けられ、車両10がある路面の水平面に対する傾斜角を検出する。傾斜角センサ66の検出信号も制御装置70に送信される。
さらに、車両10は、(1)微速発進サポートと、(2)急発進サポートと、(3)スムーズ発進サポートとを有する。(1)微速発進サポートは、発進時に駆動源としてモータ22のみで車両10を駆動する。(2)急発進サポートは、発進時に駆動源としてエンジン21とモータ22により車両10を駆動する。(3)スムーズ発進サポートは、発進の初期では駆動源としてモータ22のみで車両10を駆動し、中期では駆動源としてエンジン21とモータ22で車両10を駆動し、後期では駆動源としてエンジン21のみで車両10を駆動する。車両10は、後述のアクセルペダル60の操作量が0でないときに、アクセルペダル60の操作状況に応じて(1)微速発進サポート、(2)急発進サポート、及び(3)スムーズ発進サポートのいずれかが実行されるように構成される。アクセルペダル60の操作量が0のときにも、(1)微速発進サポート、(2)急発進サポートのいずれかが実行されてもよい。アクセルペダル60は、加速指示部に相当する。これにより、車両10において、小型のモータ22を用いる場合に走行状況に応じた、運転者の意図に近い発進性能を実現できるとともに、エネルギー効率及びモータ22の耐久性を向上できる。
さらに、車両10は、(A)回生サポートと、(B)スリップサポートと、(C)急加速サポートと、(D)坂道サポートとのうち、エンジン21の駆動時に、少なくとも1つのサポートが実行可能である。(A)回生サポートは、車両10の下り坂の減速時にモータ22の回生ブレーキを利用する。(B)スリップサポートは、後輪16のスリップ時にモータ22の駆動力でスリップからスリップのない状態に復帰させる。(C)急加速サポートは、エンジン21の駆動力にモータ22の駆動力を加えて加速する。(D)坂道サポートは、上り坂への進入速度と上り坂の通過速度とが等しくなるようにモータ22を駆動する。例えば、(A)回生サポートと、(B)スリップサポートと、(C)急加速サポートと、(D)坂道サポートは、運転者が、後述の操作パネル52をタッチすることにより選択して指示することができる。これにより、車両10において、エンジン21の駆動時に、運転者が快適な走行を実現しやすくなる。
操作要素群18は、運転席14の前側に設けられたアクセルペダル60及び制動指示部であるブレーキペダル63(図3A)と、運転席14の前側に設けられた旋回指示部であるステアリング操作子61及び前後進レバー62(図3A)と、操作パネル52とを有する。
ステアリング操作子61は、フロントカバー13の上側で斜め後側に突き出たステアリングシャフトに固定されたステアリングホイールにより構成される。ステアリング操作子61は、アッカーマン方式の操舵機構を介して、左右2つの前輪15に、前輪15の操舵を可能に連結される。
図3Aに示すように前後進レバー62は、低速前進位置(L位置)と、高速前進位置(H位置)と、中立位置(N位置)と、後進位置(R位置)との4つの位置の間で、操作位置を切換可能に構成される。低速前進位置は、低速走行に適した変速段を選択する位置であり、高速前進位置は、高速走行に適した変速段を選択する位置である。前後進レバー62は、前後方向(図3Aの上下方向)への揺動移動を可能に車体に支持される。前後進レバー62は、前進位置と、中立位置と、後進位置との3つの位置の間で、操作位置を切換可能に構成されてもよい。
図1に示すように、エンジン21は、フレーム11において運転席14の後側で荷台19の下側に固定される。エンジン21は、始動スイッチ(図示せず)がON操作されることによりアイドル回転数で始動される。エンジン21として、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンを含む複数種類の形式のいずれかを用いることができる。エンジン21の動力は、後側動力伝達部25を介して左右2つの後輪16に伝達されることで、2つの後輪16が駆動される。
モータ22は、フレーム11において運転席14の前側に固定された後述の前側ケース40(図2)の内部に配置される。モータ22には、インバータ24a(図2)を介してバッテリ23(図2)が電気的に接続される。バッテリ23は、フロントカバー13の内側、または運転席14もしくは荷台19の下側に配置されてもよい。モータ22は、運転席14の前側に設けられた始動スイッチ(図示せず)がON操作され、かつ、後述の操作パネル52(図5A)により前輪15及び後輪16の常時駆動の指示である常時四輪駆動を表す常時4WDモード、またはEVモードが選択される等により始動される。
モータ22には、DCモータ、永久磁石式モータ、及び誘導モータ等、種々の種類のモータを用いることができる。モータ22の動力は、前側動力伝達部41を介して、左右2つの前輪15に伝達されることで、2つの前輪15が駆動される。これにより、モータ22は前輪15を駆動する。
後側動力伝達部25及び前側動力伝達部41を説明する。図2に示すように、後側動力伝達部25は、ベルト式無段変速装置であるCVT26、歯車変速装置30、デファレンシャル装置36、出力軸37及び後車軸38を含む。後側動力伝達部25は、エンジン21と後輪16との間に、エンジン21から後輪16への動力の伝達可能に連結される。このため、後輪16とエンジン21との間は、CVT26を介して連結してある。
CVT26は、駆動プーリ27と、従動プーリ28とに、ベルト29が巻回するように係合されることにより構成される。駆動プーリ27は、エンジン21の出力軸21aに遠心クラッチ80(図3B)を介して接続された第1固定シーブ27aと、出力軸21aに軸方向に移動可能に支持され、第1固定シーブ27aに対向する第1可動シーブ27bとを有する。第1固定シーブ27aは、出力軸21aに軸受等により回転のみを可能に支持され、軸方向には移動しない。
図3Bに示すように、遠心クラッチ80は、エンジン21の回転速度である毎分当たりのエンジン回転数が所定値である後述のベルト掴み回転数N1未満では出力軸21aと第1固定シーブ27aとの接続を遮断する。一方、エンジン回転数がベルト掴み回転数N1以上では、遠心クラッチ80は、出力軸21aと第1固定シーブ27aとを、遠心クラッチ80を介して接続する。これにより、出力軸21aの動力が第1固定シーブ27aに伝達される。例えば、遠心クラッチ80は、出力軸21aに固定されたクラッチプレート80aに複数のクラッチウェイト80bの周方向一端に設けられた回転軸の一端が支持され、各クラッチウェイト80bの回転軸の他端が、サイドプレート80cに支持されている。複数のクラッチウェイト80bはクラッチプレート80aとサイドプレート80cとの間に周方向に並んで配置され、ばね80dにより径方向内側に付勢されている。クラッチウェイト80bの周方向他端にはクラッチシュー80eが設けられ、出力軸21aの回転時に発生する遠心力によりクラッチウェイト80bの周方向他端が径方向外側に変位することによってクラッチシュー80eが第1固定シーブ27aの内周面に摩擦係合して出力軸21aと第1固定シーブ27aとが一体に回転する。
図2に示すように、従動プーリ28は、歯車変速装置30の入力軸31に固定された第2固定シーブと、入力軸31に軸方向に移動可能に支持され、第2固定シーブに対向する第2可動シーブとを有する。歯車変速装置30は、車輪側動力伝達部に相当する。駆動プーリ27の第1可動シーブ27b(図3B)が、モータを含むアクチュエータ26a(図3B)により軸方向に移動する。従動プーリ28の第2可動シーブは、第2固定シーブに近づくようにバネ(図示せず)により弾性力が付勢される。アクチュエータ26aは、エンジン21の回転速度が高くなるほど、駆動プーリ27の第1可動シーブ27bを第1固定シーブ27aに近づける。これにより、エンジン21の回転速度が低いと、図2に示すように第1可動シーブ27bと第1固定シーブ27aとの間の幅(シーブ間幅)が大きくなる。このため、CVT26が無段変速され、CVT26の減速比である、駆動プーリ27の回転速度Naと従動プーリ28の回転速度Nbとの比(Na/Nb)が大きくなる。逆に、エンジン21の回転速度が高くなると、駆動プーリ27のシーブ間幅が小さくなるので、CVT26が無段変速され、CVT26の減速比(Na/Nb)が小さくなる。これにより、低速走行時の入力軸31のトルクを高くできるとともに、高速走行時の燃費向上を図れる。
歯車変速装置30は、フレーム11においてエンジン21の後側に固定された後側ケース35と、後側ケース35内に回転可能に配置された入力軸31、変速軸32及びファイナル軸33を含んでいる。歯車変速装置30は、歯車機構、及び変速軸の周囲に設けられたスライド歯車を介して、入力軸31からファイナル軸33への動力の伝達を可能とする。スライド歯車は、前後進レバー62に連結される。前後進レバー62の操作に応じて、スライド歯車が軸方向に移動し、係合する歯車が切り換わることで、入力軸31の回転方向とファイナル軸33の回転方向との関係が切り換わる。ファイナル軸33に伝達された動力は、歯車機構を介してデファレンシャル装置36の伝達ギア36aに伝達される。デファレンシャル装置36には、左右2つの出力軸37が差動連結されている。デファレンシャル装置36は、後側ケース35の内部に配置される。出力軸37には、ユニバーサルジョイント及び後車軸38を介して後輪16が連結される。これにより、後輪16はエンジン21によって駆動される。
前後進レバー62(図3A)で前進位置が選択された場合には、車両10の前進が可能となる。前後進レバー62で後進位置が選択された場合には、車両10の後進が可能となる。前後進レバー62で中立位置が選択された場合には、駆動プーリ27のシーブ間幅が広がることでエンジン21の出力軸21aとCVT26のベルト29との間での動力伝達が阻止される。
図2に示すように、前側動力伝達部41は、歯車機構42、デファレンシャル装置43、出力軸44及び前車軸45を含む。前側動力伝達部41は、モータ22と前輪15との間に、モータ22から前輪15への動力の伝達可能に連結される。モータ22の回転軸の動力は、歯車機構42を介してデファレンシャル装置43の伝達ギア43aに伝達される。デファレンシャル装置43には、左右2つの出力軸44が差動連結されている。出力軸44には、ユニバーサルジョイント及び前車軸45を介して前輪15が連結される。モータ22、歯車機構42、及びデファレンシャル装置43は、前側ケース40の内部に配置される。前側ケース40は、フレーム11(図1)の前側に固定される。これにより、前輪15は、モータ22によって駆動される。
図2、図3Aに示すように、センサスイッチ群50は、ステアリングセンサ51、レバーセンサ53、第1ペダルセンサ54、第2ペダルセンサ64、後車軸速度センサ55、前車軸速度センサ56、及びエンジン速度センサ57を含んでいる。
ステアリングセンサ51は、ステアリング操作子61の操作角を検出し、その検出信号を後述の制御装置70に送信する。ステアリングセンサ51は省略してもよい。
レバーセンサ53は、前後進レバー62の位置を検出し、その検出信号を後述の制御装置70に送信する。制御装置70は、レバーセンサ53の検出信号から前後進レバー62が中立位置にあると判断した場合には、駆動プーリ27の第1可動シーブ27bを第1固定シーブ27aから大きく離し、ベルト29のたわみによって、駆動プーリ27の動力がベルト29に伝達されないように制御してもよい。
第1ペダルセンサ54は、アクセルペダル60の操作量をアクセル開度として検出し、その検出信号を制御装置70に送信する。アクセル開度は、アクセル操作量に相当し、最大限踏み込まれた場合を100%の全開状態とし、全開状態に対する踏み込み量の割合を表す。制御装置70は、エンジン制御部71(図4)を有する。エンジン制御部71は、アクセルペダル60の操作量に対応するアクセル開度が大きくなるほどエンジン21のスロットル弁(図示せず)の開度が大きくなるように、スロットル弁を制御する。スロットル弁を駆動するために、エンジン制御部71により制御される弁駆動モータが設けられてもよい。弁駆動モータの駆動に応じてスロットル弁の開度が変化する。エンジン21の回転速度はスロットル弁の開度によって調節され、スロットル弁の開度が大きくなるほどエンジン21の回転速度が上昇する。なお、「回転速度」の意味には、単位時間当たり、例えば毎分当たりの回転速度である回転数も含まれる。
アクセルペダル60には、リンクまたはケーブルを介してスロットル弁の駆動部が連結され、アクセルペダル60の操作量が大きくなるほどスロットル弁の開度を大きくしてもよい。この場合、第1ペダルセンサは、アクセルペダル60のペダル位置を直接検出するのではなく、スロットル弁付近に設けられてスロットル弁の開度を検出することにより、アクセルペダル60のペダル位置が間接的に検出されてもよい。
ブレーキペダル63は、油圧発生機構(図示せず)にリンクを介して連結される。前輪15及び後輪16の一方または両方には、ブレーキディスク(図示せず)が固定され、ブレーキディスクの両側には、車両の内側、外側の2つのブレーキパッド(図示せず)が配置される。油圧発生機構は、2つのブレーキパッドの一方に油圧力を作用させることで、ブレーキディスクを挟むブレーキ力を発生させる。
制御装置70(図2)には、操作パネル52(図3A)からの信号も入力される。操作パネル52は、例えばフロントカバー13の運転席14側に運転者に操作可能に設けられたもので、操作によって車両10の駆動モードを指示する。操作パネル52は、例えばタッチパネル式のディスプレイであり、第1、第2、第3の表示領域81,83,85を有する6つの表示領域を含む。図5Aは、操作パネル52において複数の走行モード選択部がある第1の表示領域81を示す図である。複数の走行モード選択部は、EVモード選択部82a、エンジン走行モード選択部82b、常時4WDモード選択部82c、及びOFFモード選択部82dを有する。「EVモード」は、常時、エンジン21を停止し、車両の駆動源としてモータ22のみを用いて走行するモードであり、EVモード選択部82aのタッチによりEVモードの指示を表す信号が制御装置70に送信される。「エンジン走行モード」は、常時、モータ22を停止し、車両の駆動源としてエンジン21のみを用いて走行するモードであり、エンジン走行モード選択部82bのタッチによりエンジン走行モードの指示を表す信号が制御装置70に送信される。「常時4WDモード」は、常時、エンジン21及びモータ22の両方を車両の駆動源として用いて4輪駆動走行するモードであり、常時4WDモード選択部82cのタッチにより常時4WDモードの指示を表す信号が制御装置70に送信される。「OFFモード」は、常時には、EVモード、エンジン走行モード、常時4WDモードのいずれかを固定して選択しないモードであり、OFFモード選択部82dのタッチによりOFFモードの指示を表す信号が制御装置70に送信される。例えば、後述の図5Bのサポートモードのいずれかを選択する前にOFFモードが選択される。なお、サポートモードのいずれかが選択された場合に、制御装置70により、自動的にOFFモードが選択されるようにしてもよい。
また、車両10がEVモード、エンジン走行モード、常時4WDモード、及びOFFモードを切換可能な駆動切換スイッチまたは駆動切換レバーを有し、その切換により、対応するモードの指示を表す信号が制御装置70に送信されるようにしてもよい。
さらに、制御装置70は、モータ制御部72(図4)を有する。モータ制御部72は、EVモードまたは常時4WDモードが指示された状態で、アクセルペダル60の操作量が大きくなるほどモータ22の回転速度が高くなるように、モータ22を制御する。
さらに、常時4WDモードの実行時において、エンジン21の駆動によって、モータ22の出力発生分に相当する電力がジェネレータGE1,GE2で発電されてもよい。例えば、ジェネレータGE1,GE2を発電させるトルクである発電トルクの合計は、モータ22の出力相当のトルクであり、(モータ22の出力)×60/(2π×エンジン回転速度)とすることができる。これにより、バッテリ23の充電量の低下を抑制しながら、4輪駆動での走行を行うことができる。
後車軸速度センサ55は、デファレンシャル装置36の伝達ギア36a(図2)の回転速度を検出する。伝達ギア36aは、デファレンシャル装置36の後デフケースに固定される。後デフケースは、左右の2つの後車軸38の平均回転速度で回転する。これにより、後車軸速度センサ55は、左右の2つの後車軸38の平均回転速度の検出が可能である。後車軸速度センサ55の検出信号は、後輪回転速度として制御装置70に入力される。
前車軸速度センサ56は、デファレンシャル装置43の伝達ギア43a(図2)の回転速度を検出する。伝達ギア43aは、デファレンシャル装置43の前デフケースに固定される。前デフケースは、左右の2つの前車軸45の平均回転速度で回転する。これにより、前車軸速度センサ56は、左右の2つの前車軸45の平均回転速度の検出が可能である。前車軸速度センサ56の検出信号は、前輪回転速度として制御装置70に入力される。後述の車速検出値には、後輪回転速度または前輪回転速度またはこれらの両方の回転速度の平均値から算出された車速を用いることができる。
エンジン速度センサ57は、エンジン21の出力軸21aの回転速度としてのエンジン回転数を検出し、その検出信号を制御装置70に送信する。制御装置70は、エンジン速度センサ57の検出値に応じて、CVT26の駆動プーリ27の第1可動シーブ27b(図3B)を移動させるように、アクチュエータ26aを制御する。
上記では、CVT26がモータを有するアクチュエータ26aを含む電動式である場合を説明したが、CVTは油圧装置により可動シーブを移動させる油圧式、またはトルクカムを含む押圧力発生機構で可動シーブを移動させる機械式としてもよい。
制御装置70は、ECU(Electronic Control Unit)と呼ばれるもので、例えばマイクロコンピュータで構成され、演算処理部であるCPUと、RAM、ROM等のメモリを含む記憶部、及び入出力ポートとを有する。CPUは、記憶部に予め記憶された制御プログラムを読み出して実行する機能を有する。一般的に、制御装置70の各手段の機能は制御プログラムを実行することで実現される。制御装置70は、エンジン21を制御する上記のエンジン制御部71(図4)と、モータ22を制御するモータ制御部72(図4)とを有する。
図4に示すように、モータ22には、インバータ24aを介して、バッテリ23が接続される。インバータ24aは、バッテリ23から出力された直流電流をモータ22の駆動電流である交流に変換する。
モータ制御部72は、EVモードまたは常時4WDモードが指示された状態で、インバータ24aを制御することで、モータ22の駆動を制御する。モータ制御部72は、レバーセンサ53からの検出信号により前後進レバー62(図3A)で前進位置が選択され、第1ペダルセンサ54からの検出信号によりアクセルペダル60(図3A)が操作されていると判定した場合には、モータ22を前進に対応する方向に回転させるように制御する。このとき、バッテリ23からモータ22へ駆動電流が供給される。
一方、モータ制御部72は、前後進レバー62で中立位置が選択されたと判定した場合には、バッテリ23からモータ22への電流供給を停止させる。
モータ制御部72は、EVモードまたは常時4WDモードの指示があるときに、後車軸速度センサ55及び前車軸速度センサ56(図2)の検出信号に基づいて、後輪16の回転速度に前輪15の回転速度を一致させるように、モータ22を制御する。
さらに、制御装置70は、エンジン21の回転速度に応じてCVT26の駆動プーリ27のシーブ間幅を変化させるように、アクチュエータ26aを制御する。さらに、CVT26に接続した遠心クラッチ80(図3B)により、エンジン21の回転速度が所定速度未満では出力軸21aと駆動プーリ27との接続が遮断され、所定速度以上では出力軸21aと駆動プーリ27とが遠心クラッチ80を介して接続される。所定速度は、アイドル回転数に相当する速度より高い。これにより、アクセルペダル60が踏み込まれないで、エンジン21がアイドル回転数で回転している場合には、エンジン21の動力は駆動プーリ27に伝達されない。
さらに、制御装置70は、後述の複数のサポート選択部における発進サポート選択部84a(図5B)の選択に応じて、微速発進サポート、急発進サポート、及びスムーズ発進サポートのいずれかを実行する機能も有する。
図5Bは、操作パネル52において複数のサポート選択部がある第2の表示領域83を示す図である。複数のサポート選択部は、発進サポート選択部84a、回生サポート選択部84b、スリップサポート選択部84c、急加速サポート選択部84d、及び坂道サポート選択部84eを有する。発進サポート選択部84aがタッチにより選択された場合には、アクセルペダル60(図3A)の操作状況と車速検出値とエンジン回転数検出値とに基づいて、微速発進サポート、急発進サポート、及びスムーズ発進サポートを切り換える。この切換については後で詳しく説明する。
回生サポート選択部84b、スリップサポート選択部84c、急加速サポート選択部84d、及び坂道サポート選択部84eのいずれかがタッチにより選択された場合には、選択されたサポートの指示を表す信号が制御装置70に送信される。制御装置70は、その信号の入力に応じて、対応するサポートを実行させる。車両10は、エンジン21の駆動時であって、走行時は、回生サポートと、スリップサポートと、急加速サポートと、坂道サポートとのそれぞれのサポートを実行可能である。
図5Cは、操作パネル52において複数の充電モード選択部がある第3の表示領域85を示す図である。複数の充電モード選択部は、ローパワー充電モード選択部86a、ハイパワー充電モード選択部86b、及び充電停止モード選択部86cを有する。ローパワー充電モード及びハイパワー充電モードは、いずれもバッテリ23に充電するモードである。ハイパワー充電モードは、バッテリ23への充電速度が、ローパワー充電モードより高いモードである。充電停止モードは、バッテリ23への充電を停止させるモードである。ローパワー充電モード選択部86a、ハイパワー充電モード選択部86b、及び充電停止モード選択部86cのいずれかがタッチにより選択された場合には、選択されたモードの指示を表す信号が制御装置70に送信される。車両10は、エンジン21の駆動時であって、車両停止時は、ローパワー充電モードと、ハイパワー充電モードとのいずれかが実行可能である。より具体的には、車両10は、ローパワー充電モードと、ハイパワー充電モードと、充電停止モードとの間の切り換え可能に構成される。充電モードの切換方法は後で図14を用いて説明する。
図6~図13を用いて、回生サポート、スリップサポート、急加速サポート、坂道サポートのそれぞれの選択時の制御を順に説明する。図6は、車両10が平坦路91の走行から下り坂90の走行に移行する状態と、下り坂走行時に回生サポートが実行される状態とを示す図である。
回生サポートの選択時には、制御装置70は、車両10がエンジン21の駆動で走行している場合に下り坂90に入り、アクセルペダル60がオンからオフ、すなわち非操作となった場合には、車両の制動力として、エンジンブレーキとモータ22の回生トルクによる制動力とを発生させる。例えば、制御装置70は、回生サポートの選択指示が入力され、前後進レバー62が中立位置以外にあり、エンジン21が駆動され、アクセルペダル60がオフされ、車速検出値が所定範囲にあり、ブレーキペダル63がオフされている回生サポート実行条件が成立したときに、回生サポートを実行する構成としてもよい。回生サポートの実行時には、制御装置70は、回生トルクを発生させるようにモータ22に接続されたインバータ24aを制御する。これにより、エンジンブレーキのみで制動している場合よりも車速をより迅速に低下させることができる。このため、運転者が快適な走行を実現しやすくなる。
また、制御装置70は、上記の回生サポート実行条件に加えて、傾斜角センサ66で検出された下り坂90の傾斜角θが所定の回生サポート判定傾斜角以上の場合にのみ、回生サポートを実行する構成としてもよい。これにより、少しの傾斜角の下り坂で頻繁に回生トルクが発生し、急減速が生じることを防止できる。例えば、図6(a)に示すようにアクセルペダル60がオンされ、車両10がエンジン駆動で平坦路91を走行しているときには、路面の傾斜角が0であるので回生サポートは実行されない。図6(b)のように、車両10が回生サポート判定傾斜角以上の傾斜角θの下り坂90に入ったときに、まだアクセルペダル60がオンされているのであれば、回生サポートは実行されない。一方、図6(c)のように、車両10が下り坂90を走行しているときに、アクセルペダル60がオフされ、回生サポート実行条件が成立したときには、回生サポートが実行され、モータ22で回生トルクが発生する。これによりエンジンブレーキによる制動力に回生トルクによる制動力が加わって、車速をより迅速に低下させることができる。
図7は、回生サポート選択時の制御において、モータ22の回生トルクと、車速及び下り坂の斜面の傾斜角との関係を示す図である。車速が所定範囲にあるときに、車速が上昇するのに従って回生トルクは徐々に上昇し、所定値以上では車速が上昇するのに従って回生トルクが低下する。また、下り坂の傾斜角が大きくなるほど、回生トルクは大きくなる。制御装置70は、図7に示す関係と、車速検出値及び傾斜角検出値とから回生トルクを算出し、その算出された回生トルクを出力するようにインバータ24aを制御してもよい。これにより、車速が高いとき、及び傾斜角が小さいときの一方または両方のときに、大きな回生トルクの発生によって高い減速度での衝撃力が運転者に加わることを抑制できる。
図8は、スリップサポート選択時の制御において、車両10が通常直進状態から後輪スリップ状態、後輪グリップ復活状態に移行することと、各状態での前輪回転速度Vf及び後輪回転速度Vrの関係を示す図である。スリップサポートの選択時には、車両10がエンジン走行モード等においてエンジン21を駆動させ、モータ22を停止して走行している場合に、後輪16がぬかるみ等の低摩擦部92に入りスリップすることにより、後輪16の回転速度Vrが前輪15の回転速度Vfより上回ったときに、制御装置70が、モータ22を駆動させ、その駆動力でスリップからスリップのない状態に復帰させる。
このとき、前進時にモータ22の駆動により前進力を高くすることができ、後輪16が低摩擦部92から脱出し後輪回転速度Vrが前輪回転速度Vfと一致するように高くなったときに、モータ22を停止させてスリップサポートを終了する。例えば図8(a)に示すようにエンジン21が駆動し、モータ22が停止して前進する通常直進時には、前輪回転速度Vfと後輪回転速度Vrが一致する。一方、図8(b)のように後輪16が低摩擦部92に入りスリップしたときには、後輪回転速度Vrが前輪回転速度Vfより上回ることで、モータ22が駆動する。そして、図8(c)のように後輪16が低摩擦部92から脱出したときには、後輪16のグリップが復活して後輪回転速度Vrが前輪回転速度Vfと一致することでスリップサポートが終了する。このようにスリップサポートが実行された場合も、運転者が快適な走行を実現しやすくなる。
さらに、制御装置70は、スリップサポートの実行時に、モータ22の出力発生分に相当する電力をジェネレータGE1、GE2で発電させることもできる。この場合、例えば、制御装置70は、スリップサポートの選択指示が入力され、前後進レバー62が中立位置以外にあり、エンジン21が駆動され、バッテリ23の充電量が所定量未満であり、アクセルペダル60がオンされ、後輪回転速度Vrから前輪回転速度Vfを差し引いた値が所定値以上であり、ブレーキペダル63がオフされ、回生サポートの実行中でないスリップサポート実行条件が成立したときに、スリップサポートを実行する。スリップサポートの実行時には、制御装置70は、モータ22を駆動するとともに、モータ22の出力発生分に相当する電力をジェネレータGE1,GE2で発電させることができる。例えば、モータ22の出力は、(要求モータ)×2π×(モータ回転数)/60で表される。このとき、ジェネレータGE1,GE2を発電させるトルクである発電トルクの合計を、(モータ22の出力)×60/(エンジン回転速度×2π)で求めることができる。車両にジェネレータGE1、GE2のいずれかのみが設けられる場合には、その発電トルクを、(モータ22の出力)×60/(エンジン回転速度×2π)で求めることができる。これにより、バッテリ23の充電量の低下を抑制することができる。
図9は、スリップサポート選択時の制御におけるアクセル開度とエンジントルクとの関係を示す図である。制御装置70は、スリップサポートの実行時に、アクセル開度に応じてエンジントルクを発生させる。このとき、図9のようにアクセル開度の増大に応じて直線的にエンジントルクを増大させることができる。
図10は、スリップサポート選択時の制御における経過時間とモータトルクとの関係を示す図である。図10のように、制御装置70は、スリップサポートの実行時に、モータ22の駆動開始から経過時間の増大に従って、モータトルクが連続定格トルクより高い、短時間の所定時間許容トルクに達するまで、モータトルクを増加させて所定時間ta維持することができる。所定時間許容トルクは、短時間の所定時間ta以内の場合にのみ、モータ保護の面から出力が許容されるトルクである。そして、制御装置70は、その後、モータトルクを連続定格トルクに低下させてそれを維持することができる。これにより、急速にモータトルクを上昇させることで、スリップのない状態に移行しやすくなる。
なお、エンジン駆動の前進時にいずれかの方向に旋回する場合には、前輪15が操舵されることで前輪15の回転速度Vfが後輪16の回転速度Vrより高くなるので、エンジン駆動時のスリップでないときに、無駄にモータ22が駆動されることを防止できる。
図11は、急加速サポート選択時の制御におけるアクセル開度とモータトルクとの関係を示す図である。図12は、急加速サポート選択時の制御において、アクセル開度を一定とした場合における車両駆動力及び車速の時間経過を示す図である。急加速サポートの選択時には、車両10がエンジン21の駆動で走行している場合に、制御装置70は、エンジン21の駆動力にモータ22の駆動力を加えて加速させる。例えば制御装置70は、急加速サポートの選択指示が入力され、前後進レバー62が中立位置以外にあり、エンジン21が駆動され、バッテリ23の充電量が所定の急加速サポート判定量以上であり、検出されたアクセル開度が所定の急加速サポート判定開度以上であり、アクセル開度の時間変化率であるアクセル変化速度が所定の急加速サポート判定速度以上であり、ブレーキペダル63がオフされ、回生サポート、スリップサポート、または発進サポートの実行中でない急加速サポート実行条件が成立したときに、急加速サポートを実行する。この急加速サポートの実行により、エンジン21が駆動されるが、モータ22が停止している場合より車両10の速度を急激に上昇させることができるので、運転者が快適な走行を実現しやすくなる。
例えば、図11のように、制御装置70は、急加速サポートの実行開始により、アクセル開度の増大に応じてモータトルクをモータ定格トルクに達するまで急激に上昇させ、アクセル開度が上昇してもそのモータトルクを維持することができる。これにより、図12(a)のように、エンジン駆動での車両10の走行において、時間t1でアクセルペダル60の踏み込みによって、モータ22の駆動を開始することができる。これにより、エンジン21による駆動力の上昇と合わせて、車両の全体の駆動力を増大させることができる。このため、図12(b)のようにアクセルペダル60の踏み込み時以降で車速を急激に上昇させることができる。このとき、アクセル開度とエンジントルクとの関係は、図9と同様であり、アクセル開度の上昇に応じてエンジントルクを上昇させることができる。
図13は、平坦路91の走行での車両位置(a)と、坂道サポート開始時の車両位置(b)と、坂道サポートの実行によって目標車速に達したときの車両位置(c)とを示す図である。坂道サポートの選択時には、車両10がエンジン21の駆動で走行している場合に、制御装置70は、上り坂93への進入速度である車速V1aと上り坂93の通過速度である車速Vmとが等しくなるようにモータ22を駆動する。例えば、制御装置70は、坂道サポートの選択指示が入力され、前後進レバー62が中立位置以外にあり、エンジン21が駆動され、バッテリ23の充電量が所定の坂道サポート判定量以上であり、傾斜角センサ66で検出された傾斜角θが所定の坂道サポート傾斜角以上で、アクセルペダル60がオンされ、ブレーキペダル63がオフされ、回生サポート、スリップサポート、急加速サポート、または発進サポートの実行中でない坂道サポート実行条件が成立したときに、坂道サポートを実行する。例えば、図13(a)に示すように車両10がエンジン駆動で平坦路91を走行しているときには、路面の傾斜角が0であるので坂道サポートは実行されない。図13(b)のように、車両10が坂道サポート傾斜角以上の傾斜角θの上り坂93に入ったときに、坂道サポートの実行が開始され、モータ22が駆動される。制御装置70は、この坂道サポートの実行開始時の車速V1aを記憶部に記憶する。制御装置70は、車両10が上り坂93を走行中には、車速V1aを目標車速としてモータ22を制御する。例えば、図13(c)の位置に車両10があるときの車速Vmを、車速V1aに一致させる。これにより、運転者は上り坂93への進入速度と同じ車速を自動的に維持しながら、車両を走行させることができるので、運転者が快適な走行を実現しやすくなる。このため、図6~図13を用いて説明した回生サポート、スリップサポート、急加速サポート、及び坂道サポートのいずれの実行によっても、運転者が快適な走行を実現しやすくなる。
図14は、実施形態において、バッテリ23の充電モードの切換方法を示すフローチャートである。ステップS1~S8は、制御装置70により実行される。ステップS1において、レバーセンサ53の検出信号により前後進レバー62が中立位置か否かが判定される。ステップS1が肯定判定(YES)の場合には、停車状態と判定されて、ステップS2に移行し、ステップS2~S7の停車充電処理が実行される。ステップS1が否定判定(NO)の場合には、ステップS8に移行し、走行時処理が実行される。例えば、駆動源としてエンジン21のみが駆動される条件が成立している場合には、エンジン駆動による走行時処理が実行される。
一方、ステップS2では、操作パネル52でタッチにより充電停止モードが選択されたか否かが判定される。ステップS2が肯定判定の場合には、ステップS3で充電停止モードが実行される。充電停止モードでは、例えば要求エンジントルクとしてアイドル回転数でのアイドルトルクでエンジンが駆動される。このとき、ジェネレータGE1,GE2での発電が停止されジェネレータGE1,GE2からバッテリ23への充電が停止される。
一方、ステップS2が否定判定の場合には、ステップS4において、操作パネル52でタッチによりローパワー充電モードが選択されたか否かが判定される。ステップS4が肯定判定の場合には、ステップS5でローパワー充電モードが実行される。ローパワー充電モードでは、例えば要求エンジントルクとして(アイドルトルク+所定のローパワー充電トルク)でエンジン21が駆動される。ローパワー充電トルクは、後述のハイパワー充電トルクより低い。また、ジェネレータGE1、GE2が、要求ジェネレータトルクとしてローパワー充電トルクで発電される。これにより、ジェネレータGE1、GE2の発電によって、バッテリ23への充電速度が低いローパワー充電が実行される。
ステップS4が否定判定の場合には、ステップS6において、操作パネル52でタッチによりハイパワー充電モードが選択されたか否かが判定される。ステップS6が肯定判定の場合には、ステップS7でハイパワー充電モードが実行される。ハイパワー充電モードでは、例えば要求エンジントルクとして(アイドルトルク+所定のハイパワー充電トルク)でエンジン21が駆動される。ハイパワー充電トルクは、ローパワー充電トルクより高い。また、ジェネレータGE1、GE2が、要求ジェネレータトルクとしてローパワー充電トルクで発電される。これにより、ジェネレータGE1、GE2の発電によって、バッテリ23への充電速度がローパワー充電モードより高いハイパワー充電が実行される。ステップS3、S5、S7の充電停止モード、ローパワー充電モード、及びハイパワー充電モードのいずれの実行でも、モータ22の要求モータトルクが0Nmであり、要求モータ回転数が0min-1である。一方、ステップS6が否定判定の場合には充電モードの切換の制御が終了する。ステップS3,S5,S7の実行の終了によっても、充電モードの切換の制御が終了する。
上記のように充電モードがローパワー充電モードとハイパワー充電モードで切換可能であるので、バッテリ23について、適切な充電モードへの切換が可能となる。例えば、ユーザが充電モードを切換可能とすることで車両の停止時間に応じて効率またはバッテリ保護の面から適切な充電モードを選択できる。
次に、発進サポートの選択時における制御方法を説明する。図15は、実施形態において、発進サポート選択時の制御方法を示すフローチャートである。以下では、適宜、図1~図5Cの符号を用いて説明する。ステップS11~S16の処理は、制御装置70により実行される。ステップS11において、操作パネル52でタッチにより発進サポートが選択されたか否かが判定される。ステップS11が肯定判定の場合(YESの場合)にはステップS12に移行する。ステップS11が否定判定の場合(NOの場合)にはステップS11の処理が繰り返される。
ステップS12では、微速発進サポート条件が成立したか否かが判定される。例えば、車速検出値が所定速度である微速発進最大車速V1以下であり、かつ、検出されたアクセル開度が第1所定値未満の場合に、微速発進サポート条件が成立と判定される。例えばアクセル開度が(所定の微速発進最大開度AO1-α)以下の場合に、微速発進サポート条件が成立と判定される。このとき、αは、例えば0以外の所定の余裕量である。微速発進最大開度AO1は、第1所定値である。ステップS12が肯定判定の場合にはステップS13で「微速発進サポート」が実行される。
ステップS12が否定判定の場合にはステップS14で急発進サポート条件が成立したか否かが判定される。例えば、検出されたアクセル開度の時間変化率である変化速度が所定の急発進判定変化速度VA1以上で、検出されたアクセル開度が(所定の急発進判定開度AO2+α)以上の場合に、急発進サポート条件が成立と判定される。急発進判定変化速度VA1は、所定時間変化率に相当する。急発進判定開度AO2は、第1所定値より大きい第2所定値である。ステップS14が肯定判定の場合にはステップS15で「急発進サポート」が実行される。
ステップS14が否定判定の場合にはステップS16で残りの発進サポートである「スムーズ発進サポート」が実行される。上記の各発進サポートは、アクセルペダル60を踏み続けた場合に実行されてもよい。
操作パネル52で発進サポートが選択された場合に、図16、図17に示す処理により発進サポートが切り換えられてもよい。図16は、実施形態において、発進サポート選択時の微速発進サポート、急発進サポート、及びスムーズ発進サポートの間での複数の切り換えの例を示す図である。図17は、図16におけるサポートの切り換え条件を示す図である。
図16、図17の例では、微速発進サポート、急発進サポート、及びスムーズ発進サポートが、矢印の数字に対応する条件が成立した場合に、現在または前回のサポートから切り換えられる。図16の矢印の数字は、図17の表の数字に対応する。例えば、微速発進サポートからスムーズ発進サポートへの切換は、図17の1の欄に示すように、検出されたアクセル開度が(微速最大開度+α)以上である場合に実行される。
微速発進サポートへの切換は、図17の2、5の欄に示すように、車速検出値が微速発進最大車速V1以下であり、かつ、検出されたアクセル開度が(微速発進最大開度AO1-α)以下の場合に、実行される。
急発進サポートへの切換は、図17の3,6の欄に示すように、検出されたアクセル開度の変化速度が急発進判定変化速度VA1以上で、そのアクセル開度が(急発進判定開度AO2+α)以上の場合に実行される。
急発進サポートからスムーズ発進サポートへの切換は、図17の4の欄に示すように、検出されたアクセル開度が(急発進判定開度AO2-α)以下であり、かつ、車速検出値が所定のエンジン駆動開始車速V2以下であり、かつ、エンジン回転数検出値が所定のベルト掴み回転数N1以下の場合に実行される。エンジン駆動開始車速V2は、スムーズ発進サポートでモータ22のみの駆動による走行から、モータ22及びエンジン21の両方の駆動による走行に切り換わる車速である。ベルト掴み回転数N1は、エンジン21の回転数が上がって、遠心クラッチ80が接続されCVT26のベルト29へのエンジン21の駆動力の伝達が開始されるときのエンジン回転数である。
図18を用いて微速発進サポートの実行方法を説明する。図18は、微速発進サポートにおけるアクセル開度及びモータトルクの関係を示す図である。微速発進サポートは、駆動源としてモータ22のみで車両を駆動するように制御する。微速発進サポートの実行時には、図18の関係を用いてモータ22の駆動が制御される。微速発進サポートは、アクセル開度が0のときにも実行可能である。微速発進サポートの実行時において、モータ22のトルクとアクセル開度との関係は、アクセル開度が0のときに所定のトルクT1を発生させる関係である。アクセル開度が0からAOaまではトルクT1が維持され、アクセル開度がAOaからAObまではモータトルクが直線的に増大する。アクセル開度AObではモータトルクは平地走行換算で微速発進最大車速V1相当のトルクT2であり、それ以上アクセル開度を大きくしてもそのトルクが維持される。微速発進最大車速V1は、例えば実際の車両の駆動等から最適な車速を経験的に設定することができる。また、モータトルク、車輪半径及び減速比等の車両条件等から求められる車両駆動力と、車速や路面の傾斜度(勾配)等に応じて変動する車両の走行抵抗とが一致する場合に、一定となる最大の車速が得られる。これにより、平地走行において、微速発進最大車速V1が得られるようにするためのモータ22のトルクT2は、車速V1及び車両条件等から算出することができる。
また、微速発進サポートではエンジントルクは、アイドル回転数でのアイドルトルクとなり、ジェネレータGE1、GE2の発生トルクが0となるようにジェネレータGE1、GE2に接続されたインバータ24bが制御される。上記の微速発進サポートにより、低速域の発進をスムーズに行える。
図19、図20を用いて急発進サポートの実行方法を説明する。図19は、急発進サポートにおけるアクセル開度及びエンジントルクの関係を示す図である。図20は、急発進サポートにおけるアクセル開度及びモータトルクの関係を示す図である。急発進サポートは、駆動源としてエンジン21とモータ22により車両を駆動するように制御する。急発進サポートの実行時には、図19の関係を用いてエンジン21の駆動が制御される。アクセル開度が0のときにエンジン21は、アイドル回転数でのアイドルトルクが発生する。アクセル開度の増大に従ってエンジントルクは直線的に増大する。
急発進サポートの実行時には、図20の関係を用いてモータ22の駆動が制御される。図20の実線L1は急発進サポートの実行時のモータトルクを示し、図20の一点鎖線L2は微速発進サポートの実行時のモータトルクを示している。急発進サポートの実行時において、モータ22のトルクとアクセル開度との関係は、アクセル開度が0のときに所定のトルクT1を発生させる関係である。アクセル開度が0から増大するにしたがって、モータトルクがモータ定格トルクに達するまで直線的に増大し、その後、モータトルクがモータ定格トルクで維持される。急発進サポートの実行時において、モータ定格トルクに達するまでで、アクセル開度の増大にしたがってモータトルクが上昇する度合いは、微速発進サポートの実行時において、アクセル開度の増大にしたがってモータトルクが上昇する度合いより大きい。これにより、微速発進の場合よりモータ22のみでも、急激に増大するトルクを得られる。さらにモータ22のトルクにエンジン21のトルクも加わって車両が駆動されるので、急発進を実現できる。
図21~図25を用いてスムーズ発進サポートの実行方法を説明する。図21は、スムーズ発進サポートにおけるモータ動作、エンジン動作及び次段階への切換タイミングを示す図である。図22は、スムーズ発進サポートにおいて、アクセル開度を一定とした場合における車両駆動力、車速、エンジン回転数の時間経過を示す図である。図22(a)において、車両の全体の駆動力は、モータ22による駆動力とエンジン21による駆動力との合計である。
スムーズ発進サポートは、発進の初期では駆動源としてモータ22のみで車両10を駆動し、中期では駆動源としてエンジン21とモータ22で車両10を駆動し、後期では駆動源としてエンジン21のみで車両10を駆動するように制御する。スムーズ発進サポートは、例えばアクセル開度を一定とした場合に実行することができる。スムーズ発進サポートは、アクセルペダル60を踏み続けた場合に初期の駆動、中期の駆動、後期の駆動が実現されるので、その実行中にアクセルペダル60がオフになると、初期、中期、後期のいずれかの状態で実行が停止される。
図21、図22に示すように、スムーズ発進サポートの実行時には、制御装置70は、アクセルペダル60のオンが開始された発進初期に、検出されたアクセル開度の増大に応じてモータトルクを出力させる。図23は、スムーズ発進サポートにおける発進初期での、アクセル開度とモータトルクとの関係を示す図である。図23に示すようにモータトルクは、アクセル開度が0からAOcまではトルクT1が維持され、アクセル開度がAOcからAOdまではアクセル開度の増大にしたがってモータトルクが直線的に増大する。アクセル開度のAOd以降ではアクセル開度を大きくしてもそのモータトルクが維持される。図22(a)の車両駆動力はモータトルクで実現される。このとき、図22(c)のエンジン回転数はベルト掴み回転数N1未満のアイドル回転数であり、エンジン21の動力はCVT26のベルト29に伝達されない。図22(b)に示すように、モータトルクの増大により車速がエンジン駆動開始車速V2に達すると、次の発進中期の第1段階に走行状態が切り換えられる。
図24は、スムーズ発進サポートにおける発進中期の第1段階での、経過時間及び車速とエンジントルクとの関係を示す図である。発進中期の第1段階では、制御装置70は、図22(c)に示すように、アクセル開度の増大にしたがってエンジン回転数を増大させるとともに、図24に示すように、経過時間及び車速に応じたエンジントルクを出力させる。具体的には、発進中期への切換時からの経過時間の増大に応じてエンジントルクは直線的に増大するが、その直線の傾きは、車速の増大に従って大きくなる。発進中期の第1段階におけるモータトルクは図24と同様である。そして、エンジン21の動力がCVT26のベルト29に伝達されるときのエンジン回転数がベルト掴み回転数N1に達した時点以降は、車両全体の駆動力が、エンジン21及びモータ22の両方の駆動力で実現される。そして、図21の発進中期の第1段階の欄で示すように、エンジン回転数がベルト掴み回転数N1以上となることが連続して所定時間であるベルト掴み判定時間(図22)が経過した場合には、次の発進中期の第2段階に走行状態が切り換えられる。
図25は、スムーズ発進サポートにおける発進中期の第2段階での、アクセル開度及び車速とモータトルクとの関係を示す図である。制御装置70は、発進中期の第2段階では、図25の関係を用いてモータ22の駆動を制御する。具体的には、車速の増大に応じてモータトルクが直線的に低下する。また、車速とモータトルクとの関係を表す直線は、アクセル開度に応じて複数設定され、アクセル開度が大きいほどモータトルクが大きくなる直線が設定される。一方、エンジン21からはアクセル開度に応じたエンジントルクが出力される。例えば、図19に示した急発進サポートのエンジントルクと同様に、アクセル開度の増大に従ってエンジントルクは直線的に増大する。これにより、図22(a)に示すように、発進中期の第2段階では、モータ22による車両の駆動力が急激でなく徐々に低下し、0に達するとともに、モータ22による車両の駆動力の低下に応じてエンジン21による駆動力がその低下分を上回るように増大し、それによって車両の駆動力を増大できる。また、制御装置70は、スムーズ発進サポートの実行時に、時間の経過に従って、モータ22の出力を上昇後、下降させ、エンジン21の出力を、モータ22の出力が最大値近傍にある時から時間の経過に従って増大させる。これにより図22(a)の矢印βのように、発進中期で車両の駆動力をスムーズに増大させながら、モータ22の出力を低下させることができる。また、発進中期において、エンジン回転数がベルト掴み回転数N1に達してから所定のベルト掴み判定時間経過後に、モータ22のトルクを低下させるので、よりスムーズに車両の駆動力を増大できる。
上記の車両10によれば、後輪16がエンジン21で駆動され、前輪15がモータ22で駆動される車両10において、アクセルペダル60の操作量が0でないときに、アクセルペダル60の操作状況に応じて微速発進サポート、急発進サポート、及びスムーズ発進サポートのいずれかが実行される。これにより、運転者がアクセルペダル60の操作で低速域のスムーズな発進を望む場合に微速発進サポートが実現され、高速域に早く達することを望む場合に急発進サポートが実現され、急発進サポートではモータ22及びエンジン21で車両が加速される。これにより、走行状況に応じた、運転者の意図に近い発進性能を実現できるとともに、小型のモータ22を用いる場合に、高速域でモータ22に過度な負荷が加わることを防止できるので、モータ22の耐久性を向上できる。また、スムーズ発進サポートの実行では、高速域でモータ22の駆動力を低下させ、エンジン21のみで加速させることができるので、エネルギー効率を向上できる。
なお、図5Bのサポートの選択は、操作パネル52で行われず、1つ以上のスイッチでサポートが選択されてもよい。
図26は、実施形態の別例において、バッテリ23の充電モードの切換方法を示すフローチャートである。図1~図25の構成では、図14で説明したように、バッテリ充電モードが操作パネル52の選択により切り換えられることを説明した。一方、本例の場合には、バッテリ充電モードが制御装置70により自動で切り換えられる。具体的には、バッテリ監視モジュール65で検出されたバッテリ23の充電量に応じて、充電量が所定充電許可量未満の場合にはハイパワー充電モードが実行され、充電量が所定充電許可量以上の場合にはローパワー充電モードが実行される。ハイパワー充電モード及びローパワー充電モードは、図14を用いて説明した構成の場合と同様である。
具体的には、図26のステップS1a~S7aの処理が制御装置70により実行される。ステップS1aにおいて、レバーセンサ53の検出信号により前後進レバー62が中立位置か否かが判定される。ステップS1aが肯定判定(YES)の場合には、ステップS2aに移行し、ステップS2a~S6aの停車充電処理が実行される。ステップS1aが否定判定(NO)の場合には、ステップS7aに移行し、走行時処理が実行される。
一方、ステップS2aでは、バッテリ23の充電量が所定上限充電量以上か否かが判定される。所定上限充電量は、後述の所定充電許可量より高い充電量であり、バッテリ23への過充電の防止によってバッテリ23を保護するために設定される。ステップS2aが肯定判定の場合には、ステップS3aで充電停止モードが実行される。充電停止モードは、図14を用いて説明した構成の場合と同様である。
ステップS2aが否定判定の場合には、ステップS4aで、バッテリ23の充電量が所定充電許可量未満か否かが判定される。ステップS4aが肯定判定の場合、すなわちバッテリ23の充電量が所定充電許可量未満の場合には、充電量が満充電に達するまでに大きな余裕があるので、ステップS5aで、ハイパワー充電モードが実行される。ステップS4aが否定判定の場合、すなわちバッテリ23の充電量が所定充電許可量以上の場合には、満充電までの充電量の余裕が小さくなるので、ステップS6aで、ローパワー充電モードが実行される。ステップS3a,S5a,S6aの実行の終了によって、充電モードの切換の制御が終了する。
本例の場合も、図1~図25の構成と同様に、充電モードがローパワー充電モードとハイパワー充電モードで切換可能であるので、バッテリ23について適切な充電モードへの切換が可能となる。また、本例の場合には、制御装置70により充電量に応じて充電モードが自動で切り換えられるので、充電量に応じて効率またはバッテリ保護の面から適切な充電モードが実行される。本例において、その他の構成及び作用は、図1~図25の構成と同様である。
なお、上記の各実施形態において、ハイブリッド車両は、エンジンの駆動時であって、走行時は、回生サポートと、スリップサポートと、急加速サポートと、坂道サポートとのうち、1つ、またはいずれか2つ、またはいずれか3つのサポートが実行可能である構成としてもよい。
また、上記の各実施形態では、回生サポート、スリップサポート、急加速サポート、及び坂道サポートが、操作パネル52で選択された場合に実行される場合を説明した。一方、ハイブリッド車両は、回生サポート、スリップサポート、急加速サポート、及び坂道サポートのうち、少なくとも2つのサポートを実行可能であり、車両の走行状況に応じていずれか1つのサポートが実行される構成としてもよい。
例えば、ハイブリッド車両が回生サポート、スリップサポート、急加速サポート、及び坂道サポートのすべてを実行可能である構成としてもよい。このとき、図1~図25の構成で、回生サポート実行条件から、回生サポートの選択指示が入力されることを除外した条件が成立したときに、制御装置が回生サポートを実行してもよい。また、図1~図25の構成で、スリップサポート実行条件から、スリップサポートの選択指示が入力されることを除外した条件が成立したときに、制御装置がスリップサポートを実行してもよい。また、また、図1~図25の構成で、急加速サポート実行条件から、急加速サポートの選択指示が入力されることを除外した条件が成立したときに、制御装置が急加速サポートを実行してもよい。また、図1~図25の構成で、坂道サポート実行条件から、坂道サポートの選択指示が入力されることを除外した条件が成立したときに、制御装置が坂道サポートを実行してもよい。
図27は、実施形態の別例のハイブリッド車両10aの側面図である。上記の各例の構成では、車両10(図1)が荷台を有するオフロード型多用途車両である場合を説明したが、本例では、ハイブリッド車両10aは、後側に作業機(図示せず)を接続可能なトラクタである。例えばハイブリッド車両10aは農作業を行う作業機を有する農業用トラクタである。ハイブリッド車両10aは、フレーム111の前後に支持された前輪15及び後輪16aと、フレーム111の前側に支持されたエンジン21及びモータ22とを備える。前輪15は、モータ22で駆動され、後輪16aはエンジン21で駆動される。エンジン21はボンネット及びサイドカバーを有するフロントカバー13aで覆われる。車両の後部には作業機が接続可能であり、作業機を駆動するためのPTO軸112がエンジン21からの動力を伝達する動力伝達部を有するケース113の後端から突出している。また、運転席14の前側にアクセルペダル60が配置され、第1ペダルセンサ54(図3A参照)から、アクセル開度の検出信号が制御装置70(図3A参照)に送信される。
このようなハイブリッド車両10aにおいても、上記の各例の構成と同様に、車両が、微速発進サポート、急発進サポート、及びスムーズ発進サポートを有し、アクセルペダル60の操作状況に応じて上記のサポートのいずれかが実行されるように構成される。本例において、その他の構成及び作用は、図1~図25の構成、または図26の構成と同様である。
なお、上記の各例において、後輪16,16aをモータにより駆動し、前輪15をエンジンにより駆動してもよい。このとき、第1車輪が前輪15となり、第2車輪が後輪16,16aとなる。
また、加速指示部は、アクセルペダルに限定せず、例えば運転席の左右両側のそれぞれで前後方向に揺動可能に支持された一対の操作レバーにより加速指示部が構成されてもよい。例えば、右の前輪を右のモータで駆動し、左の前輪を左のモータで駆動する。左右の操作レバーを前に倒すことで操作レバーに対応する前輪を前進方向に回転させ、後に倒すことで後進方向に回転させることができる。
また、上記の各例では、操作パネル52またはスイッチにより発進サポートが選択された場合に、発進サポートのいずれかが実行される場合を説明したが、操作パネルを省略し、加速指示部の操作状況に応じて発進サポートのいずれかが実行されるようにしてもよい。
また、上記の各例において、発進サポートを行わない構成としてもよい。