JP2023113107A - 光ファイバケーブルの製造方法および製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光ファイバケーブルの外被形状を丸く成形し、外被内の容積を増やすことで外被内に収容可能な光ファイバの実装心数を増やすことを目的とする。【解決手段】光ファイバケーブルの内部材を溶融樹脂で被覆して外被を形成する形成工程と、前記外被が形成された前記光ファイバケーブルをサイジングダイスに入線させる入線工程と、前記サイジングダイス内の少なくとも一部の領域を陰圧にし、該領域に前記光ファイバケーブルを通過させる第1通過工程と、を含む、光ファイバケーブルの製造方法。【選択図】図1
Description
本開示は、光ファイバケーブルの製造方法および製造装置に関する。
特許文献1には、光ファイバを収納するチューブの平均長円率を、真空サイジング法によって改善させることが記載されている。
ところで、光ファイバケーブルの外被は、高温で溶融状態にある樹脂をクロスヘッドから押し出して光ファイバケーブルの内部材上に着地させ、その後に冷却設備で固めることで形成される。内部材が角形状や楕円形状の場合、その上に形成される外被も同様の形状となって、本来意図していた、丸い形状とはならないことがあった。また、外被用の樹脂は冷却時に収縮するため、光ファイバケーブルの断面積が小さくなって光ファイバの実装密度が高くなり、光ファイバに応力集中を伴う高応力がかかって、伝送特性が低下することがあった。従来、これらの問題を解決するために押出条件や冷却条件について試行錯誤が重ねられていたが、より効果的な解決方法が求められている。
なお、特許文献1は、光ファイバケーブルの外被(シース)の内部に収納されるチューブの製造時に真空サイジングを適用することを開示しているのみであり、光ファイバケーブルの外被に真空サイジングを適用することは何ら開示されていない。また、光ファイバケーブルの外被の形成時に生じうる上記の課題についても何ら示唆されていない。
本開示は、光ファイバケーブルの外被形状を丸く成形し、外被内の容積を増やすことで外被内に収容可能な光ファイバの実装心数を増やすことを目的とする。
本開示の一態様に係る光ファイバケーブルの製造方法は、
光ファイバケーブルの内部材を溶融樹脂で被覆して外被を形成する形成工程と、
前記外被が形成された前記光ファイバケーブルをサイジングダイスに入線させる入線工程と、
前記サイジングダイス内の少なくとも一部の領域を陰圧にし、該領域に前記光ファイバケーブルを通過させる第1通過工程と、
を含む。
光ファイバケーブルの内部材を溶融樹脂で被覆して外被を形成する形成工程と、
前記外被が形成された前記光ファイバケーブルをサイジングダイスに入線させる入線工程と、
前記サイジングダイス内の少なくとも一部の領域を陰圧にし、該領域に前記光ファイバケーブルを通過させる第1通過工程と、
を含む。
本開示の一態様に係る光ファイバケーブルの製造装置は、
光ファイバケーブルの内部材を溶融樹脂で被覆して外被を形成する押出機と、
前記外被が形成された前記光ファイバケーブルを入線させるサイジングダイスと、
前記サイジングダイス内の少なくとも一部の領域を陰圧にするサイジング槽と、
を備える。
光ファイバケーブルの内部材を溶融樹脂で被覆して外被を形成する押出機と、
前記外被が形成された前記光ファイバケーブルを入線させるサイジングダイスと、
前記サイジングダイス内の少なくとも一部の領域を陰圧にするサイジング槽と、
を備える。
上記開示の構成によれば、光ファイバケーブルの外被形状を丸く成形し、外被内の容積を増やすことで外被内に収容可能な光ファイバの実装心数を増やすことができる。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の一態様に係る光ファイバケーブルの製造方法は、
光ファイバケーブルの内部材を溶融樹脂で被覆して外被を形成する形成工程と、
前記外被が形成された前記光ファイバケーブルをサイジングダイスに入線させる入線工程と、
前記サイジングダイス内の少なくとも一部の領域を陰圧にし、該領域に前記光ファイバケーブルを通過させる第1通過工程と、
を含む。
この方法によれば、陰圧の領域を通過させることによって、外被内の空気を膨張させて外被を内側から外側へと押し広げて、外被をサイジングダイスによって規定される所望の形状にすることができる。結果として、光ファイバケーブルの外被形状を丸く成形することができ、外被内の断面積が大きくなるので、光ファイバの実装心数を増やすことができる。
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の一態様に係る光ファイバケーブルの製造方法は、
光ファイバケーブルの内部材を溶融樹脂で被覆して外被を形成する形成工程と、
前記外被が形成された前記光ファイバケーブルをサイジングダイスに入線させる入線工程と、
前記サイジングダイス内の少なくとも一部の領域を陰圧にし、該領域に前記光ファイバケーブルを通過させる第1通過工程と、
を含む。
この方法によれば、陰圧の領域を通過させることによって、外被内の空気を膨張させて外被を内側から外側へと押し広げて、外被をサイジングダイスによって規定される所望の形状にすることができる。結果として、光ファイバケーブルの外被形状を丸く成形することができ、外被内の断面積が大きくなるので、光ファイバの実装心数を増やすことができる。
(2)前記(1)に記載の光ファイバケーブルの製造方法は、
前記形成工程において前記外被が形成された後、前記第1通過工程において前記領域内に前記光ファイバケーブルが入るまでの時間が、0秒より大きく10秒以下であってもよい。
この方法によれば、溶融樹脂が冷えて固まりきる前に陰圧の領域を通過させることができるため、外被の形状の制御が容易になる。
前記形成工程において前記外被が形成された後、前記第1通過工程において前記領域内に前記光ファイバケーブルが入るまでの時間が、0秒より大きく10秒以下であってもよい。
この方法によれば、溶融樹脂が冷えて固まりきる前に陰圧の領域を通過させることができるため、外被の形状の制御が容易になる。
(3)前記(1)または(2)に記載の光ファイバケーブルの製造方法は、
前記領域内の圧力が、-60kPa以上-5kPa以下であってもよい。
この方法によれば、外被内の空気を適度に膨張させることが容易になる。結果として、外被をサイジングダイスによって規定される所望の形状にすることがさらに容易になる。
前記領域内の圧力が、-60kPa以上-5kPa以下であってもよい。
この方法によれば、外被内の空気を適度に膨張させることが容易になる。結果として、外被をサイジングダイスによって規定される所望の形状にすることがさらに容易になる。
(4)前記(1)から(3)のいずれかに記載の光ファイバケーブルの製造方法は、
前記領域内の温度が、15℃以上50℃以下であってもよい。
この方法によれば、外被の成形後の熱収縮を調整することが容易になり、外被の外径寸法や内径寸法の微調整が可能になる。
前記領域内の温度が、15℃以上50℃以下であってもよい。
この方法によれば、外被の成形後の熱収縮を調整することが容易になり、外被の外径寸法や内径寸法の微調整が可能になる。
(5)前記(1)から(4)のいずれかに記載の光ファイバケーブルの製造方法において、
前記サイジングダイスの少なくとも一部は、第1の水槽内に設けられており、
前記領域は、真空ポンプによって陰圧にされた前記第1の水槽の内部であってもよい。
この方法によれば、第1通過工程の実施とともに外被を冷却して、外被をサイジングダイスによって規定される所望の形状で固めることが容易になる。
前記サイジングダイスの少なくとも一部は、第1の水槽内に設けられており、
前記領域は、真空ポンプによって陰圧にされた前記第1の水槽の内部であってもよい。
この方法によれば、第1通過工程の実施とともに外被を冷却して、外被をサイジングダイスによって規定される所望の形状で固めることが容易になる。
(6)前記(5)に記載の光ファイバケーブルの製造方法は、
前記第1の水槽の下流に、常圧の第2の水槽が設けられており、
前記第1通過工程の後に、前記光ファイバケーブルを前記第2の水槽内に通過させる第2通過工程を含んでもよい。
この方法によれば、陰圧を維持する第1の水槽を大型化せずとも、外被の冷却をするスペースを十分に確保することができる。そのため、設備コストの増加を抑制し、また、設備の設計自由度を高めることができる。
前記第1の水槽の下流に、常圧の第2の水槽が設けられており、
前記第1通過工程の後に、前記光ファイバケーブルを前記第2の水槽内に通過させる第2通過工程を含んでもよい。
この方法によれば、陰圧を維持する第1の水槽を大型化せずとも、外被の冷却をするスペースを十分に確保することができる。そのため、設備コストの増加を抑制し、また、設備の設計自由度を高めることができる。
(7)前記(1)から(6)のいずれかに記載の光ファイバケーブルの製造方法は、
前記入線工程の前に、前記サイジングダイスの入線口または前記入線口の上流に設けられた冷却部によって前記外被を予備冷却する予備冷却工程をさらに含んでもよい。
この方法によれば、サイジングダイスに入線させる前に外被を予備的にある程度固めることができるため、サイジングダイスに入線する際に外被の形状が乱れて外観を損なう恐れを低減できる。
前記入線工程の前に、前記サイジングダイスの入線口または前記入線口の上流に設けられた冷却部によって前記外被を予備冷却する予備冷却工程をさらに含んでもよい。
この方法によれば、サイジングダイスに入線させる前に外被を予備的にある程度固めることができるため、サイジングダイスに入線する際に外被の形状が乱れて外観を損なう恐れを低減できる。
(8)前記(7)に記載の光ファイバケーブルの製造方法において、
前記冷却部に、第3の水槽が設けられており、
前記予備冷却工程は、前記光ファイバケーブルを前記第3の水槽に通過させてもよい。
この方法によれば、第3の水槽によって外被を予備的にある程度固めることができるため、サイジングダイスに入線する際に外被の形状が乱れて外観を損なう恐れを低減することができる。
前記冷却部に、第3の水槽が設けられており、
前記予備冷却工程は、前記光ファイバケーブルを前記第3の水槽に通過させてもよい。
この方法によれば、第3の水槽によって外被を予備的にある程度固めることができるため、サイジングダイスに入線する際に外被の形状が乱れて外観を損なう恐れを低減することができる。
(9)前記(8)に記載の光ファイバケーブルの製造方法において、
前記予備冷却工程において、前記光ファイバケーブルが前記第3の水槽を通過する時間は0.2秒以下であってもよい。
予備冷却工程において外被が過剰に冷却されてしまうと、外被が固くなって、光ファイバケーブルがサイジングダイス内を通過する際に、外被が径方向外側へ均一に広がらない恐れがある。この方法によれば、光ファイバケーブルが第3の水槽を通過する時間が0.2秒以下と短いため、外被の過冷却を防ぐことができ、光ファイバケーブルの外被形状を丸く成形することができる。
前記予備冷却工程において、前記光ファイバケーブルが前記第3の水槽を通過する時間は0.2秒以下であってもよい。
予備冷却工程において外被が過剰に冷却されてしまうと、外被が固くなって、光ファイバケーブルがサイジングダイス内を通過する際に、外被が径方向外側へ均一に広がらない恐れがある。この方法によれば、光ファイバケーブルが第3の水槽を通過する時間が0.2秒以下と短いため、外被の過冷却を防ぐことができ、光ファイバケーブルの外被形状を丸く成形することができる。
(10)前記(7)に記載の光ファイバケーブルの製造方法において、
前記冷却部に、シャワー孔が設けられており、
前記予備冷却工程は、前記シャワー孔から前記外被へ水を噴出してもよい。
この方法によれば、シャワー孔から噴出される水によって外被を予備的にある程度固めることができるため、サイジングダイスに入線する際に外被の形状が乱れて外観を損なう恐れを低減することができる。
前記冷却部に、シャワー孔が設けられており、
前記予備冷却工程は、前記シャワー孔から前記外被へ水を噴出してもよい。
この方法によれば、シャワー孔から噴出される水によって外被を予備的にある程度固めることができるため、サイジングダイスに入線する際に外被の形状が乱れて外観を損なう恐れを低減することができる。
(11)本開示の一態様に係る光ファイバケーブルの製造装置は、
光ファイバケーブルの内部材を溶融樹脂で被覆して外被を形成する押出機と、
前記外被が形成された前記光ファイバケーブルを入線させるサイジングダイスと、
前記サイジングダイス内の少なくとも一部の領域を陰圧にするサイジング槽と、
を備える。
この構成によれば、陰圧の領域を通過させることによって、外被内の空気を膨張させて外被を内側から外側へと押し広げて、外被をサイジングダイスによって規定される所望の形状にすることができる。結果として、光ファイバケーブルの外被形状を丸く成形し、外被内に収容される光ファイバの実装心数を高くすることが可能になる。
光ファイバケーブルの内部材を溶融樹脂で被覆して外被を形成する押出機と、
前記外被が形成された前記光ファイバケーブルを入線させるサイジングダイスと、
前記サイジングダイス内の少なくとも一部の領域を陰圧にするサイジング槽と、
を備える。
この構成によれば、陰圧の領域を通過させることによって、外被内の空気を膨張させて外被を内側から外側へと押し広げて、外被をサイジングダイスによって規定される所望の形状にすることができる。結果として、光ファイバケーブルの外被形状を丸く成形し、外被内に収容される光ファイバの実装心数を高くすることが可能になる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示に係る光ファイバケーブルの製造方法および製造装置の実施の形態の例を、図面を参照しつつ説明する。以下の説明では、異なる図面であっても同一又は相当の要素には同一の符号又は名称を付し、重複する説明を適宜省略する。また、各図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上のものであって、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
以下、本開示に係る光ファイバケーブルの製造方法および製造装置の実施の形態の例を、図面を参照しつつ説明する。以下の説明では、異なる図面であっても同一又は相当の要素には同一の符号又は名称を付し、重複する説明を適宜省略する。また、各図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上のものであって、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
(光ファイバケーブルの製造装置)
まず、図1、図2及び図3を参照して、本実施形態に係る光ファイバケーブルの製造装置について説明する。図1は、本開示の一実施形態に係る光ファイバケーブル102の製造装置1を示す概略構成図である。図2は、冷却部41の一例を示す模式図である。図3は、クロスヘッド31及び第1の水槽40の一例を示す模式図である。図1に示すように、製造装置1は、供給ドラム10と、繰出機20と、押出機30と、第1の水槽40と、第2の水槽50と、引取機60と、巻取ドラム70と、を備える。
まず、図1、図2及び図3を参照して、本実施形態に係る光ファイバケーブルの製造装置について説明する。図1は、本開示の一実施形態に係る光ファイバケーブル102の製造装置1を示す概略構成図である。図2は、冷却部41の一例を示す模式図である。図3は、クロスヘッド31及び第1の水槽40の一例を示す模式図である。図1に示すように、製造装置1は、供給ドラム10と、繰出機20と、押出機30と、第1の水槽40と、第2の水槽50と、引取機60と、巻取ドラム70と、を備える。
供給ドラム10は、光ファイバケーブル102の内部材であるケーブルコア101を供給する。ケーブルコア101は、内部に複数の光ファイバ心線を含んでいる。ケーブルコア101は、例えば、スロットロッド内に複数の光ファイバ心線が収納されたスロット型でもよいし、スロットロッドを有さないスロットレス型でもよい。ケーブルコア101に含まれる複数の光ファイバ心線は、例えば、複数の光ファイバテープ心線として構成されていてもよい。光ファイバテープ心線は、複数の光ファイバ心線が並列に配置されて接着された構造を有するものである。光ファイバテープ心線は、例えば、並列に配置された複数の光ファイバ心線のうち隣接する光ファイバ心線が軸方向に沿って間欠的に接着された間欠接着型の光ファイバテープ心線であってもよい。ケーブルコア101の外周は、例えば、押さえ巻きテープで巻かれている。
繰出機20は、キャプスタンベルトを備えている。繰出機20は、例えば、制御装置(不図示)からの制御信号に基づいて、押出機30へのケーブルコア101の繰り出し速度を制御する。
押出機30は、ケーブルコア101を溶融樹脂で被覆して、ケーブルコア101の外周に外被を形成する装置である。溶融樹脂としては、例えば、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を特に制限なく用いることができる。溶融樹脂は、例えばHDPE(高密度ポリエチレン)やLDPE(低密度ポリエチレン)であってもよい。押出機30は、クロスヘッド31を備えている。押出機30は、熱可塑性樹脂を加熱して溶融樹脂とし、溶融樹脂をクロスヘッド31に供給する。繰出機20から送られたケーブルコア101は、クロスヘッド31において外被を形成され、光ファイバケーブル102として第1の水槽40へと送られる。
第1の水槽40は、光ファイバケーブル102のサイジングのために設けられたサイジング槽である。なお、本実施形態では、サイジング槽として水槽を用いているが、サイジング槽は水以外の媒体を含むように構成してもよい。図1に示すように、第1の水槽40は、冷却部41と、入線口42と、サイジングダイス43と、排気管44と、真空ポンプ45と、を備えている。なお、図3では、冷却部41と真空ポンプ45は図示を省略している。
図1の例では、冷却部41は、入線口42の上流側に設けられている。冷却部41は、入線口42の上流側ではなく、入線口42に設けられてもよい。なお、本明細書において、「上流側」とは、光ファイバケーブル102の進行方向の上流側のことをいう。また、本明細書において、「下流側」とは、光ファイバケーブル102の進行方向の下流側のことをいう。
図2に示すように、冷却部41は、徐冷水槽412及び供給路413を備えている。徐冷水槽412は、冷却部41における上流側に設けられているとよい。供給路413は、例えば冷却部41の下部に設けられ、クロスヘッド31で被覆された外被を予備冷却するための水を徐冷水槽412に供給するよう構成されている。徐冷水槽412は第3の水槽の一例である。
供給路413から供給される水は、徐冷水槽412内で水が乱流を起こさないよう、遅い速度で供給されることが好ましい。供給路413の供給口414は、供給される水流が光ファイバケーブル102の外被へ直接当たらないよう、光ファイバケーブル102に対向しないことが好ましい。したがって、供給路413から供給される水は、例えば、光ファイバケーブル102の進行方向に対して並行する方向に供給されてもよい。供給路413から供給された水は、徐冷水槽412の上部から漏れる場合があるが、受け皿などが設けられてもよい。このような構成により、徐冷水槽412に溜まる水の温度は一定に保たれる。水の温度は、例えば40℃以上45℃以下である。
このような構成において、予備冷却工程は、光ファイバケーブル102を徐冷水槽412に通過させる。光ファイバケーブル102が徐冷水槽412を通過することで、外被が予備的にある程度固まるため、サイジングダイス43などに入線する際に外被の形状が乱れる恐れを低減することができる。
光ファイバケーブル102が徐冷水槽412を通過する時間は0.2秒以下であるとよい。例えば光ファイバケーブル102の線速が5m/分であり、光ファイバケーブル102の進行方向における徐冷水槽412の長さが10mmである場合、光ファイバケーブル102が徐冷水槽412を通過する時間は0.12秒である。光ファイバケーブル102の線速が40m/分であれば、光ファイバケーブル102が徐冷水槽412を通過する時間は0.015秒である。このように、光ファイバケーブル102が徐冷水槽412を通過する時間は、0.001秒以上0.2秒以下であればよい。
仮に、光ファイバケーブル102が徐冷水槽412を通過する時間が比較的長いと(例えば0.21秒以上)、予備冷却工程において外被が必要以上に冷却され、固くなってしまう。外被が固い状態で光ファイバケーブル102がサイジングダイス43に入線されると、外被が径方向外側へ均一に広がらない恐れがある。しかしながら本実施形態によれば、光ファイバケーブル102が徐冷水槽412を通過する時間が0.2秒以下と短いため、外被の過冷却を防ぐことができ、外被を含む光ファイバケーブル102の形状を丸く成形することができる。
図1に戻り、第1の水槽40の説明を続ける。排気管44は、第1の水槽40内の空気を外部へと導く管である。真空ポンプ45は、排気管44上に設けられている。真空ポンプ45は、排気管44を通して第1の水槽40内の気体を第1の水槽40の外部へと排出し、第1の水槽40内を陰圧にする。
入線口42は、第1の水槽40への入口であり、サイジングダイス43への入口でもある。クロスヘッド31において外被が形成された光ファイバケーブル102は、入線口42から第1の水槽40の内部に配置されたサイジングダイス43へと入線する。
サイジングダイス43は、光ファイバケーブル102を所望の形状および大きさにサイジングするためのダイスである。本実施形態において、サイジングダイス43は円筒状であり、内周の形状は真円状である。サイジングダイス43の内径は、光ファイバケーブル102に所望する外径と等しい。なお、本明細書における「等しい」とは、厳密に等しい場合だけではなく、両者の差が十分に小さく、実質的に等しいと評価される場合をも含む。
サイジングダイス43は、陰圧にされた第1の水槽40内に配置されているため、サイジングダイス43の内側の領域は陰圧である。また、図3に示すように、サイジングダイス43には、複数の孔43aが設けられている。複数の孔43aは、例えば、サイジングダイス43の周方向および軸方向に沿って所定の間隔で設けられている。複数の孔43aを設けることによって、サイジングダイス43内を光ファイバケーブル102が通過している際においても、サイジングダイス43の内側の領域を第1の水槽40内と同じ圧力に保ちやすくなる。
また、図3に示すクロスヘッド31と第1の水槽40との間の距離dは、溶融樹脂が冷えて固まりきる前に光ファイバケーブル102がサイジングダイス43内を通過できるように、光ファイバケーブル102の線速に応じて決定することが好ましい。一例として、距離dは、例えば、10mm以上600mm以下であることが好ましい。
第2の水槽50は、第1の水槽40の下流に設けられている。第2の水槽50は、真空ポンプ45を有しておらず、第2の水槽50内の圧力は、例えば、大気圧と同程度である。第2の水槽50は、光ファイバケーブル102の外被を冷却することを目的として設けられている。第2の水槽50は、水ではなく、水以外の冷媒を含むように構成してもよい。
引取機60は、キャプスタンベルトを備えている。引取機60は、例えば、制御装置(不図示)からの制御信号に基づいて、巻取ドラム70への光ファイバケーブル102の巻き取り速度を制御する。巻取ドラム70は、光ファイバケーブル102を巻き取るドラムである。
(光ファイバケーブルの製造方法)
本開示の一実施形態に係る光ファイバケーブルの製造方法として、上述の製造装置1を用いた例について説明する。本実施形態に係る光ファイバケーブル102の製造方法は、例えば、形成工程と、予備冷却工程と、入線工程と、第1通過工程と、第2通過工程と、を含む。本実施形態に係る光ファイバケーブル102の製造方法において、光ファイバケーブルの線速は、特に制限はされないが、例えば、5m/分以上40m/分以下であることが好ましい。
本開示の一実施形態に係る光ファイバケーブルの製造方法として、上述の製造装置1を用いた例について説明する。本実施形態に係る光ファイバケーブル102の製造方法は、例えば、形成工程と、予備冷却工程と、入線工程と、第1通過工程と、第2通過工程と、を含む。本実施形態に係る光ファイバケーブル102の製造方法において、光ファイバケーブルの線速は、特に制限はされないが、例えば、5m/分以上40m/分以下であることが好ましい。
形成工程は、押出機30を用いて、光ファイバケーブル102の内部材であるケーブルコア101を溶融樹脂で被覆して外被を形成する工程である。形成工程において、押出温度(溶融樹脂の樹脂温度)は、例えば、170℃以上210℃以下であることが好ましい。
予備冷却工程は、光ファイバケーブル102がサイジングダイス43に入線する前に、冷却部41によって光ファイバケーブル102の外被を予備冷却する工程である。本実施形態の予備冷却工程では、光ファイバケーブル102が徐冷水槽412を通過する。入線工程は、予備冷却工程の後に、外被が形成された光ファイバケーブル102を入線口42へと導いてサイジングダイス43に入線させる工程である。
第1通過工程は、サイジングダイス43内の少なくとも一部の領域を陰圧にし、該領域に光ファイバケーブル102を通過させる工程である。本実施形態では、真空ポンプ45によって陰圧にした第1の水槽40内にサイジングダイス43を配置しているため、サイジングダイス43内の全領域が陰圧になっている。サイジングダイス43内の圧力は、例えば、-60kPa以上-5kPa以下にすることが好ましい。なお、サイジングダイス43内の圧力は、第1の水槽40内の圧力と等しいため、第1の水槽40内の圧力を制御することにより、サイジングダイス43内の圧力も制御できる。
第1通過工程において、第1の水槽40内の温度は、例えば、15℃以上50℃以下にすることが好ましい。なお、サイジングダイス43内の温度は、第1の水槽40内の温度と等しくなる。また、形成工程において外被が形成された後、第1通過工程において陰圧の領域内に光ファイバケーブル102が入るまでの時間は、0秒より大きく10秒以下であることが好ましい。この時間は、例えば、上述の距離dの長さや、光ファイバケーブル102の線速を調整することによって制御できる。
ここで、図4を参照して、第1通過工程について詳細に説明する。図4は、サイジングダイス43内における光ファイバケーブル102の径方向の断面の一例を示す模式図である。光ファイバケーブル102は、複数の光ファイバ心線110を含むケーブルコア101の外周を外被120で被覆したものである。
サイジングダイス43内が陰圧であるため、光ファイバケーブル102内の圧力は、光ファイバケーブル102の周囲の圧力よりも高くなっている。そのため、光ファイバケーブル102がサイジングダイス43内を通過する際、光ファイバケーブル102内の空気は膨張し、外被120は径方向外側へと押し広げられ、外被120がサイジングダイス43の内壁と接するようになる。よって、光ファイバケーブル102の形状は、サイジングダイス43内に入線する前に歪な円状であったとしても、第1通過工程を経ることによって、サイジングダイス43の内周によって規定される真円状となる。また、光ファイバケーブル102の外径は、サイジングダイス43の内径と略等しくなる。
第2通過工程は、第1通過工程の後に、光ファイバケーブル102を、第2の水槽50内を通過させる工程である。第2の水槽50内の圧力は、大気圧と同程度にする。また、第2の水槽50内の温度は、例えば、15℃以上50℃以下とすることが好ましい。第2の水槽50内の温度は、第1の水槽40内の温度と同じでもよいし、異なっていてもよい。
なお図2の例では、冷却部41は徐冷水槽412及び供給路413を備えていたが、冷却部41の構成はこれに限らない。図5は、冷却部41の変形例を示す模式図である。図5に示すように、冷却部41には、シャワー孔411が設けられていてもよい。シャワー孔411からは、クロスヘッド31で被覆された外被を予備冷却するための水等が外被へ向けて噴出される。押出機30により形成された外被の粘性抵抗は、冷却前では比較的高いため、光ファイバケーブル102が入線口42やサイジングダイス43に入線される際に、外被の形状が乱れたり、外被がケーブルコア101の外周から剥がれたりして、ケーブルの外観を損なってしまうことがある。しかしながら、シャワー孔411から噴出される水によって外被を予備的にある程度固めることで、このような外被の形状の乱れを低減することができる。
光ファイバケーブル102の進行方向に対するシャワー孔411の設置角度(外被へ噴出される水の噴出角度)は、特には限定されないが、サイジングダイス43へ空気が入らないように、上流側に向かって噴き付ける(噴出の向きと光ファイバケーブル102の進行方向のなす角度が鋭角となるようにする)ことが好ましい。言い換えると、光ファイバケーブル102とサイジングダイス43の接触部分には常に水が存在するよう、シャワー孔411から外被に向けて水が噴出されることが好ましい。水の温度は、例えば40℃以上45℃以下である。ただし水の温度はこれらに限定されず、常温でもよい。シャワー孔411は、光ファイバケーブル102の周方向に複数設けられていることが好ましい。
(実施例)
以下、本開示に係る実施例および比較例を示して、本開示をさらに詳細に説明する。以下の説明において、製造例2、製造例3、製造例5、製造例6が実施例であり、製造例1及び製造例4が比較例である。なお、本開示は、以下の実施例に限定されるものではない。
以下、本開示に係る実施例および比較例を示して、本開示をさらに詳細に説明する。以下の説明において、製造例2、製造例3、製造例5、製造例6が実施例であり、製造例1及び製造例4が比較例である。なお、本開示は、以下の実施例に限定されるものではない。
形成工程における押出温度、第1通過工程におけるサイジングダイス43内の圧力および温度、光ファイバケーブル102の線速、クロスヘッド31と第1の水槽間の距離dを、表1に示す条件として、製造例1から製造例3の光ファイバケーブルを製造した。用いたサイジングダイス43の内径は、8.5mmであった。なお、各製造例において、サイジングダイス43に入線する前に、予備冷却を実施している。予備冷却の方法としては、図2の徐冷水槽412を用いた。
製造例1から製造例3で得られた各光ファイバケーブル102について、径方向に沿って切断し、外被120の形状について目視で観察した。外被120が丸い形状になっていると判断できれば+とし、歪な形状であると判断すれば-とした。これらの結果を表1に示す。
製造条件を表2に示す条件として、製造例4から製造例6の光ファイバケーブルを製造した。用いたサイジングダイス43の内径は、12mmであった。製造例1から製造例3と同様に、外被120の形状について目視で観察した。なお、各製造例において、サイジングダイス43に入線する前に、予備冷却を実施している。予備冷却の方法としては、図2の徐冷水槽412を用いた。
製造例2及び製造例3では、外被120の形状を丸く成形することができている。そのため、製造例2及び製造例3では、製造例1よりも外被120内の断面積が大きくなっており、製造例1よりも実装心数を増やすことが可能になっている。また、製造例2及び製造例3によれば、製造例1よりも外被120内に収容される光ファイバの実装密度を下げることが可能であり、光ファイバケーブルの見た目や取扱性の改善にもつなげることができる。製造例5及び製造例6についても、製造例4との比較において、上述の製造例2及び製造例3の利点と同様の利点を有している。
なお、予備冷却の方法として、図2の徐冷水槽412の代わりに図5のシャワー孔411から噴出する水によって外被を冷却しても、同様の結果が得られた。
以上、本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。また、上記説明した構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等に変更することができる。また、上記説明した各例が含む要素は、互いに組み合わせることができる。
1:(光ファイバケーブルの)製造装置
10:供給ドラム
20:繰出機
30:押出機
31:クロスヘッド
40:第1の水槽
41:冷却部
411:シャワー孔
412:徐冷水槽(第3の水槽)
413:供給路
414:供給口
42:入線口
43:サイジングダイス
43a:孔
44:排気管
45:真空ポンプ
50:第2の水槽
60:引取機
70:巻取ドラム
101:ケーブルコア
102:光ファイバケーブル
110:光ファイバ心線
120:外被
d:距離
10:供給ドラム
20:繰出機
30:押出機
31:クロスヘッド
40:第1の水槽
41:冷却部
411:シャワー孔
412:徐冷水槽(第3の水槽)
413:供給路
414:供給口
42:入線口
43:サイジングダイス
43a:孔
44:排気管
45:真空ポンプ
50:第2の水槽
60:引取機
70:巻取ドラム
101:ケーブルコア
102:光ファイバケーブル
110:光ファイバ心線
120:外被
d:距離
Claims (11)
- 光ファイバケーブルの内部材を溶融樹脂で被覆して外被を形成する形成工程と、
前記外被が形成された前記光ファイバケーブルをサイジングダイスに入線させる入線工程と、
前記サイジングダイス内の少なくとも一部の領域を陰圧にし、該領域に前記光ファイバケーブルを通過させる第1通過工程と、
を含む、光ファイバケーブルの製造方法。 - 前記形成工程において前記外被が形成された後、前記第1通過工程において前記領域内に前記光ファイバケーブルが入るまでの時間が、0秒より大きく10秒以下である、
請求項1に記載の光ファイバケーブルの製造方法。 - 前記領域内の圧力が、-60kPa以上-5kPa以下である、
請求項1に記載の光ファイバケーブルの製造方法。 - 前記領域内の温度が、15℃以上50℃以下である、
請求項1に記載の光ファイバケーブルの製造方法。 - 前記サイジングダイスの少なくとも一部は、第1の水槽内に設けられており、
前記領域は、真空ポンプによって陰圧にされた前記第1の水槽の内部である、
請求項1に記載の光ファイバケーブルの製造方法。 - 前記第1の水槽の下流に、常圧の第2の水槽が設けられており、
前記第1通過工程の後に、前記光ファイバケーブルを前記第2の水槽内に通過させる第2通過工程を含む、
請求項5に記載の光ファイバケーブルの製造方法。 - 前記入線工程の前に、前記サイジングダイスの入線口または前記入線口の上流に設けられた冷却部によって前記外被を予備冷却する予備冷却工程をさらに含む、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光ファイバケーブルの製造方法。 - 前記冷却部に、第3の水槽が設けられており、
前記予備冷却工程は、前記光ファイバケーブルを前記第3の水槽に通過させる、
請求項7に記載の光ファイバケーブルの製造方法。 - 前記予備冷却工程において、前記光ファイバケーブルが前記第3の水槽を通過する時間は0.2秒以下である、請求項8に記載の光ファイバケーブルの製造方法。
- 前記冷却部に、シャワー孔が設けられており、
前記予備冷却工程は、前記シャワー孔から前記外被へ水を噴出する、
請求項7に記載の光ファイバケーブルの製造方法。 - 光ファイバケーブルの内部材を溶融樹脂で被覆して外被を形成する押出機と、
前記外被が形成された前記光ファイバケーブルを入線させるサイジングダイスと、
前記サイジングダイス内の少なくとも一部の領域を陰圧にするサイジング槽と、
を備える、光ファイバケーブルの製造装置。
Applications Claiming Priority (2)
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JP2022015099 | 2022-02-02 | ||
JP2022015099 | 2022-02-02 |
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JP2023113107A true JP2023113107A (ja) | 2023-08-15 |
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Family Applications (1)
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JP2022146209A Pending JP2023113107A (ja) | 2022-02-02 | 2022-09-14 | 光ファイバケーブルの製造方法および製造装置 |
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2022
- 2022-09-14 JP JP2022146209A patent/JP2023113107A/ja active Pending
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