JP2023112872A - 研磨用組成物および研磨方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】研磨後の研磨対象物の表面が、非常に高い平滑性を有するように研磨を行うことができる研磨用組成物を提供する。【解決手段】コロイダルシリカと過酸化水素とを含む研磨用組成物であって、前記コロイダルシリカは、平均二次粒子径が80nm未満であり、かつ会合度が1.5以上であり、前記研磨用組成物のpHが5以上であり、前記研磨用組成物中の前記コロイダルシリカのゼータ電位が負である、研磨用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、研磨用組成物および研磨方法に関する。
近年、半導体基板表面の多層配線化に伴い、デバイスを製造する際に、物理的に半導体基板を研磨して平坦化する、いわゆる、化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing;CMP)技術が利用されている。CMPは、シリカやアルミナ、セリア等の砥粒、防食剤、界面活性剤などを含む研磨用組成物(スラリー)を用いて、半導体基板等の研磨対象物(被研磨物)の表面を平坦化する方法であり、研磨対象物(被研磨物)は、シリコン、ポリシリコン、シリコン酸化膜(酸化ケイ素)、シリコン窒化物や、金属等からなる配線、プラグなどである。
例えば、配線部用金属を研磨するための技術として、特許文献1には、(A)酸化金属溶解剤と、(B)CMP研磨液中で正電荷を有する砥粒と、(C)金属防食剤と、(D)酸化剤と、を含有し、pHが2.8~4.0である、CMP研磨液が開示されている。
特開2012-134358号公報
最近、金属材料同士や金属材料と他の材料とを接合する技術において、接合面となる金属材料の表面が、非常に高い平滑性(例えば、算術平均高さSaが1.70nm以下)を有するように研磨を行うという新たな要求が出てきている。こうした要求に対して、従来、ほとんど検討がされていなかった。
そこで、本発明は、研磨後の研磨対象物の表面が、非常に高い平滑性を有するように研磨を行うことができる研磨用組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明者は鋭意研究を積み重ねた。その結果、コロイダルシリカと過酸化水素とを含む研磨用組成物であって、前記コロイダルシリカは、平均二次粒子径が80nm未満であり、かつ会合度が1.5以上であり、前記研磨用組成物のpHが5以上であり、前記研磨用組成物中の前記コロイダルシリカのゼータ電位が負である、研磨用組成物により上記課題が解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、研磨後の研磨対象物の表面が、非常に高い平滑性を有するように研磨を行うことができる研磨用組成物が提供される。
本発明は、コロイダルシリカと過酸化水素とを含む研磨用組成物であって、前記コロイダルシリカは、平均二次粒子径が80nm未満であり、かつ会合度が1.5以上であり、前記研磨用組成物のpHが5以上であり、前記研磨用組成物中の前記コロイダルシリカのゼータ電位が負である、研磨用組成物である。かような構成を有する本発明の一実施形態に係る研磨用組成物は、研磨後の研磨対象物の表面が非常に高い平滑性を有するように研磨を行うことができる。
本発明の研磨用組成物により、上記のような効果が得られるメカニズムは、以下の通りであると考えられる。ただし、下記メカニズムはあくまで推測であり、これによって本発明の範囲が限定されることがない。
研磨対象物として好ましい金属材料は、研磨面において、面方位が異なる領域が複数存在する。このような領域は、硬度等も異なるため、研磨のしやすさも異なる。本発明に係る研磨用組成物に含まれるコロイダルシリカは、会合度が1.5以上となっていることから、転がりが起きにくく、機械的な研磨力がある程度大きくなる。また、過酸化水素は、金属材料の表面を酸化し、コロイダルシリカによる研磨を進行させやすくする。よって、面方位が異なる領域があっても略均一に研磨を行うことができる。また、本発明に係る研磨用組成物に含まれるコロイダルシリカの平均二次粒子径が80nm未満であることから、研磨速度を上げ過ぎることなく研磨することができ、平坦性が高い研磨面が得られやすくなる。
さらに、上記コロイダルシリカは、pH5以上の研磨用組成物中において、負のゼータ電位を有する。pH5以上の領域において、金属材料の表面(研磨面)は負に帯電しているため、電気的な反発により、コロイダルシリカが研磨面に対して過度に作用することがなく、平坦性が非常に高い研磨面を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみには限定されない。
本明細書において、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20℃以上25℃以下)/相対湿度40%RH以上50%RH以下の条件で行う。
[研磨対象物]
本発明に係る研磨対象物は、特に制限されないが、金属材料を含むことが好ましい。すなわち、本発明の好ましい一実施形態によれば、本発明に係る研磨用組成物は、金属材料を含む研磨対象物の研磨に用いられる。
金属材料としては特に制限されず、例えば、各種の金属元素の単体や、これらの元素と他の1種以上の元素とからなる合金等であってよい。金属の単体としては、例えば、典型的には、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu),亜鉛(Zn),ジルコニウム(Zr)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ビスマス(Bi)、ニオブ(Ni)、モリブデン(Mo)、錫(Sn)、タングステン(W)および鉛(Pb)等が例示される。
また、合金としては、例えば、Cu-Al合金、Cu-Al-Fe合金、Cu-Ni合金、Cu-Ni-In合金等の銅合金、Ni-Al合金、Ni-Cr合金(例えば、Ni-20Cr合金、Ni-50Cr合金、インコネル)、Ni-Cr-Fe合金(例えばインコロイ)、Ni-Cr-Al合金、ハステロイ(Ni-Fe-Mo合金、Ni-Cr-Mo合金)、Ni-Cu合金(例えば、モネル)等のニッケル合金、Co-Cr-W合金(例えば、ステライト)、Co-Cr-Ni-W-C合金、Co-Mo-Cr-Si合金、Co-Cr-Al-Y合金等のコバルト合金、炭素鋼、SUS304、SUS316、SUS410、SUS420J2、SUS431等のステンレス鋼、Ti-6Al-4V等のチタン合金等が挙げられる。なお、ここでいう合金とは、上記の金属元素と、他の1種以上の元素とからなり、金属的な性質を示す物質を包含する意味であって、その混ざり方は、固溶体、金属間化合物、およびそれらの複合のいずれであってもよい。
上記の金属単体および合金は、1種単独でもよいし、2種以上が組み合わされて含まれていてもよい。
これらの中でも、本発明の効果がより得られやすいという観点から、金属材料は銅または銅合金であることが好ましい。
本発明に係る研磨対象物は、金属材料以外に、他の材料をさらに含んでもよい。他の材料の例としては、窒化ケイ素、酸化ケイ素、単結晶シリコン、多結晶シリコン(ポリシリコン)、非晶質シリコン(アモルファスシリコン)、n型またはp型不純物がドープされた多結晶シリコン、n型またはp型不純物がドープされた非晶質シリコン、窒化チタン等が挙げられる。
酸化ケイ素を含む研磨対象物の例としては、例えばオルトケイ酸テトラエチルを前駆体として使用して生成されるTEOS(Tetraethyl Orthosilicate)タイプ酸化ケイ素面(以下、「TEOS」、「TEOS膜」とも称する)、HDP(High Density Plasma)膜、USG(Undoped Silicate Glass)膜、PSG(Phosphorus Silicate Glass)膜、BPSG(Boron-Phospho Silicate Glass)膜、RTO(Rapid Thermal Oxidation)膜等が挙げられる。
本発明に係る研磨用組成物を用いて研磨を行った後の研磨対象物表面は、非常に高い平滑性を有することから、金属材料同士の接合または金属材料と他の材料との接合に用いられる接合部材の研磨に用いられることが好ましい。平滑性が非常に高い面同士を接合させた場合、接合界面での原子再配列が起こり、グリスやハンダ等の接着剤を使用することなく材料同士の接合が達成される。このような接合の例としては、半導体基板の放熱性を高めるための金属基板(特に銅基板)とセラミックス基板の接合、SAWデバイスの周波数温度特性を高めるためのタンタル酸リチウムおよびニオブ酸リチウムとシリコン、ガラス、サファイア等の支持基板の接合、半導体デバイスの導電性向上のためのCu-Cu接合等が挙げられる。
[コロイダルシリカ]
本発明に係る研磨用組成物は、コロイダルシリカを含む。コロイダルシリカは、研磨対象物を機械的に研磨する作用を有する。
コロイダルシリカの製造方法としては、ケイ酸ソーダ法、ゾルゲル法が挙げられ、いずれの製造方法で製造されたコロイダルシリカであっても、本発明に係るコロイダルシリカとして好適に用いられる。しかしながら、金属不純物低減の観点から、ゾルゲル法により製造されたコロイダルシリカが好ましい。ゾルゲル法によって製造されたコロイダルシリカは、半導体中で拡散する性質を有する金属不純物や塩化物イオン等の腐食性イオンの含有量が少ないため好ましい。ゾルゲル法によるコロイダルシリカの製造は、従来公知の手法を用いて行うことができ、具体的には、加水分解可能なケイ素化合物(例えば、アルコキシシランまたはその誘導体)を原料とし、加水分解・縮合反応を行うことにより、コロイダルシリカを得ることができる。また、コロイダルシリカは、市販品を使用してもよい。
コロイダルシリカの形状は、特に制限されず、球形状であってもよいし、非球形状であってもよい。非球形状の具体例としては、三角柱や四角柱などの多角柱状、円柱状、円柱の中央部が端部よりも膨らんだ俵状、円盤の中央部が貫通しているドーナツ状、板状、中央部にくびれを有するいわゆる繭状、複数の粒子が一体化しているいわゆる会合型球形状、表面に複数の突起を有するいわゆる金平糖形状、ラグビーボール形状等、種々の形状が挙げられ、特に制限されない。
<平均二次粒子径>
本発明に係るコロイダルシリカは、平均二次粒子径が80nm未満である。該平均二次粒子径が80nm以上の場合、研磨対象物表面の平坦性が低下する。該平均二次粒子径は、70nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましい。
また、コロイダルシリカの平均二次粒子径の下限値は、特に制限されないが、本発明の効果をより得やすいという観点から、10nm以上であることが好ましく、15nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることがさらに好ましい。なお、コロイダルシリカの平均二次粒子径は、例えば、レーザー回折散乱法に代表される動的光散乱法により測定することができ、より具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。
<平均会合度>
本発明に係るコロイダルシリカの平均会合度は、1.5以上である。該平均会合度が1.5未満の場合、研磨対象物表面の平滑性が低下する。該平均会合度は、1.55以上が好ましく、1.57以上がより好ましく、1.6以上がさらに好ましい。また、コロイダルシリカの平均会合度の上限値は、特に制限されないが、4.0以下であることが好ましく、3.5以下であることがより好ましく、3.0以下であることがさらに好ましい。すなわち、コロイダルシリカの平均会合度は、1.55以上4.0以下が好ましく、1.57以上3.5以下がより好ましく、1.6以上3.0以下がさらに好ましい。
当該平均会合度は、コロイダルシリカの平均二次粒子径の値を平均一次粒子径の値で除することにより得られる。コロイダルシリカの平均一次粒子径は、例えば、BET法から算出したコロイダルシリカの比表面積を基に、コロイダルシリカの形状が真球であると仮定して算出することができ、より具体的には、実施例に記載の方法により測定され得る。
コロイダルシリカの大きさ(平均二次粒子径、平均会合度等)は、コロイダルシリカの製造方法の選択等により適切に制御することができる。
<ゼータ電位>
本発明の研磨用組成物中において、コロイダルシリカは負のゼータ電位を有する。ここで、「ゼータ(ζ)電位」とは、互いに接している固体と液体とが相対運動を行なったときの両者の界面に生じる電位差のことである。
本発明の研磨用組成物中のコロイダルシリカのゼータ電位が、0mVまたは正である場合、金属材料を含む研磨対象物に接近しやすくなり、必要以上に研磨が進行し、研磨後の研磨対象物表面の平坦性が低下する。
本発明の研磨用組成物中において、コロイダルシリカが負のゼータ電位を有する限りにおいて、コロイダルシリカは、表面にカチオン性基を有してもよい。すなわち、コロイダルシリカは、カチオン修飾コロイダルシリカ(カチオン変性コロイダルシリカ)であってもよい。カチオン修飾コロイダルシリカとしては、アミノ基が表面に固定化されたコロイダルシリカが好ましく挙げられる。このようなカチオン性基を有するコロイダルシリカの製造方法としては、特開2005-162533号公報に記載されているような、アミノエチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルジメチルエトキシシラン、アミノプロピルメチルジエトキシシラン、アミノブチルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤をシリカ粒子の表面に固定化する方法が挙げられる。これにより、アミノ基が表面に固定化されたコロイダルシリカ(アミノ基修飾コロイダルシリカ)を得ることができる。
また、本発明の研磨用組成物中において、コロイダルシリカが負のゼータ電位を有する限りにおいて、本発明に係るコロイダルシリカは、表面にアニオン性基を有してもよい。すなわち、コロイダルシリカは、アニオン修飾コロイダルシリカ(アニオン変性コロイダルシリカ)であってもよい。アニオン修飾コロイダルシリカとしては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アルミン酸基等のアニオン性基が表面に固定化されたコロイダルシリカが好ましく挙げられる。このようなアニオン性基を有するコロイダルシリカの製造方法としては、特に制限されず、例えば、末端にアニオン性基を有するシランカップリング剤とコロイダルシリカとを反応させる方法が挙げられる。
具体例として、スルホン酸基をコロイダルシリカに固定化するのであれば、例えば、“Sulfonic acid-functionalized silica through of thiol groups”,Chem.Commun.246-247(2003)に記載の方法で行うことができる。具体的には、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のチオール基を有するシランカップリング剤をコロイダルシリカに反応させた後に過酸化水素でチオール基を酸化することにより、スルホン酸基が表面に固定化されたコロイダルシリカ(スルホン酸修飾コロイダルシリカ)を得ることができる。
カルボン酸基をコロイダルシリカに固定化するのであれば、例えば、“Novel Silane Coupling Agents Containing a Photolabile 2-Nitrobenzyl Ester for Introduction of a Carboxy Group on the Surface of Silica Gel”,Chemistry Letters,3,228-229 (2000)に記載の方法で行うことができる。具体的には、光反応性2-ニトロベンジルエステルを含むシランカップリング剤をコロイダルシリカにカップリングさせた後に光照射することにより、カルボン酸基が表面に固定化されたコロイダルシリカ(カルボン酸修飾コロイダルシリカ)を得ることができる。
ただし、コロイダルシリカが有するアニオン性基またはカチオン性基により、研磨対象物表面に対するキレート作用が働き、研磨が不均一となり、研磨対象物表面の平坦性が低下する場合がある。また、本発明の研磨用組成物のpH領域において、金属材料を含む研磨対象物の表面は負のゼータ電位を有し得るため、正の電荷を有するカチオン修飾コロイダルシリカは、研磨対象物表面に必要以上に作用し、研磨後の研磨対象物表面の平坦性を低下させる場合がある。これらの観点から、コロイダルシリカは、未修飾コロイダルシリカまたはアニオン修飾コロイダルシリカであることが好ましく、未修飾コロイダルシリカであることがより好ましい。
より具体的には、研磨用組成物中のコロイダルシリカのゼータ電位は、0mV未満であることが好ましく、-1mV以下であることがより好ましく、-5mV以下であることがさらに好ましく、-20mV以下であることがよりさらに好ましい。また、コロイダルシリカのゼータ電位は、-100mV以上であることが好ましく、-80mV以上であることがより好ましく、-60mV以上であることがさらに好ましい。
ここで、研磨用組成物中のコロイダルシリカのゼータ電位は、研磨用組成物を大塚電子株式会社製ELS-Z2に供し、測定温度25℃でフローセルを用いてレーザードップラー法(電気泳動光散乱測定法)で測定して得られたデータを、Smoluchowskiの式で解析することにより、算出する。コロイダルシリカのゼータ電位は、コロイダルシリカが有する官能基の量、研磨用組成物のpH等により調整することができる。
本発明の一実施形態において、コロイダルシリカの含有量(濃度)は、研磨用組成物の総質量に対して、0.5質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、5質量%以上、6質量%以上、7質量%以上、8質量%以上、9質量%以上、10質量%以上、11質量%以上、12質量%以上、13質量%以上、14質量%以上、15質量%以上、16質量%以上、17質量%以上、18質量%以上、19質量%以上、または20質量%以上であってもよい。また、本発明の一実施形態において、コロイダルシリカの含有量(濃度)は、研磨用組成物の総質量に対して、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、28質量%以下、26質量%以下、25質量%以下、23質量%以下、20質量%以下、19質量%以下、18質量%以下、17質量%以下、16質量%以下、15質量%以下、14質量%以下、13質量%以下、12質量%以下、11質量%以下、10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、または5質量%以下であってもよい。
なお、研磨用組成物が2種以上のコロイダルシリカを含む場合、コロイダルシリカの含有量は、これらの合計量を意味する。
本発明に係る研磨用組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、コロイダルシリカ以外の他の砥粒をさらに含んでもよい。このような他の砥粒は、無機粒子、有機粒子、および有機無機複合粒子のいずれであってもよい。無機粒子の具体例としては、例えば、未変性のシリカ、アルミナ、セリア、チタニア等の金属酸化物からなる粒子、窒化ケイ素粒子、炭化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等が挙げられる。有機粒子の具体例としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子が挙げられる。当該他の砥粒は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。また、当該他の砥粒は、市販品を用いてもよいし、合成品を用いてもよい。
ただし、当該他の砥粒の含有量は、コロイダルシリカと他の砥粒との合計質量に対して、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。最も好ましい形態は、他の砥粒の含有量が0質量%であること、すなわちコロイダルシリカ以外の他の砥粒を含まない形態である。
[過酸化水素]
本発明の研磨用組成物は、過酸化水素を含む。過酸化水素は、研磨対象物の表面を酸化する酸化剤として作用し、研磨対象物表面の平坦性を向上させる。また、過酸化水素は、研磨対象物表面の酸化を行った後に水素イオンを生じさせることがない。よって、過酸化水素は、系内のpHや電気伝導度を変化させないまたはほとんど変化させることがないため、研磨対象物表面の平坦性をより向上させ得るという利点もある。
過酸化水素の含有量は、特に制限されないが、研磨用組成物の全質量に対して、0.03質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.3質量%以上であることがさらに好ましい。また、過酸化水素の含有量は、研磨用組成物の全質量に対して、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることがさらに好ましい。
すなわち、本発明の一実施形態に係る研磨用組成物において、過酸化水素の含有量は、磨用組成物の全質量に対して、0.03質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上3質量%以下であることがより好ましく、0.3質量%以上2質量%以下であることがさらに好ましい。
<他の酸化剤>
本発明に係る研磨用組成物は、過酸化水素以外の他の酸化剤をさらに含んでもよい。このような酸化剤の例としては、硝酸、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸、過塩素酸、塩素酸、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、過臭素酸、臭素酸、次亜臭素酸、オルト過ヨウ素酸、メタ過ヨウ素酸、ヨウ素酸、次亜ヨウ素酸、過マンガン酸カリウム、クロム酸金属カリウム、二クロム酸カリウムが挙げられる。これら他の酸化剤は、1種単独でも、または2種以上組み合わせて用いてもよい。また、他の酸化剤は、市販品を用いてもよいし、合成品を用いてもよい。
ただし、系内にハロゲン含有イオンが多く存在すると、研磨対象物表面の平坦性を低下させる場合がある。よって、本発明に係る研磨用組成物は、ハロゲン含有イオンを含む酸化剤を実質的に含まないことが好ましい。ここで、「ハロゲン含有イオンを含む酸化剤を実質的に含まない」とは、ハロゲン含有イオンを含む酸化剤が研磨用組成物中に全く含まれない概念の他、研磨用組成物中に、0.05質量%以下含む場合を含む。ハロゲン含有イオンを含む酸化剤の含有量は、研磨用組成物の全質量に対して、0.01質量%以下であることがより好ましく、0.005質量%以下であることがさらに好ましく、0質量%、すなわちハロゲン含有イオンを含む酸化剤を全く含まないことが最も好ましい。
[pHおよびpH調整剤]
本発明に係る研磨用組成物のpHは、5以上である。pHが5未満であると、研磨対象物表面の平坦性が低下する。当該pHは、5.5以上であることが好ましく、6.0以上であることがより好ましく、6.5以上であることがさらに好ましい。また、当該pHは、14.0以下であることが好ましく、13.0以下であることがより好ましく、12.0以下であることがさらに好ましく、11.0以下であることがよりさらに好ましく、10.0以下であることが特に好ましく、例えば9.5以下であってもよい。すなわち、本発明に係る研磨用組成物のpHは、5.5以上14.0以下であることが好ましく、6.0以上13.0以下であることがより好ましく、6.5以上12.0以下であることがさらに好ましく、6.5以上11.0以下であることがよりさらに好ましく、6.5以上10.0以下であることが特に好ましく、例えば6.5以上9.5以下であってもよい。
本発明に係る研磨用組成物は、pHを調整するためのpH調整剤を含んでもよい。pH調整剤は、無機酸、有機酸、および塩基のいずれであってもよく、また、無機化合物および有機化合物のいずれであってもよい。pH調整剤は、1種単独でも、または2種以上混合しても用いることができる。
pH調整剤として使用できる無機酸の具体例としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、ホウ酸、炭酸、次亜リン酸、亜リン酸およびリン酸が挙げられる。なかでも好ましいのは、塩酸、硫酸、硝酸またはリン酸である。
pH調整剤として使用できる有機酸の具体例としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2-メチル酪酸、n-ヘキサン酸、3,3-ジメチル酪酸、2-エチル酪酸、4-メチルペンタン酸、n-ヘプタン酸、2-メチルヘキサン酸、n-オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ジグリコール酸、2-フランカルボン酸、2,5-フランジカルボン酸、3-フランカルボン酸、2-テトラヒドロフランカルボン酸、メトキシ酢酸、メトキシフェニル酢酸およびフェノキシ酢酸が挙げられる。また、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸およびイセチオン酸等の硫黄を含む酸を使用してもよい。
無機酸または有機酸の代わりにあるいは無機酸または有機酸と組み合わせて、無機酸または有機酸のアルカリ金属塩等の塩をpH調整剤として用いてもよい。弱酸と強塩基、強酸と弱塩基、または弱酸と弱塩基の組み合わせの場合、pHの緩衝作用が期待できる。
pH調整剤として使用できる塩基の具体例としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等を挙げることができる。pH調整剤の添加量は、特に制限されず、研磨用組成物が所望のpHとなるように適宜調整すればよい。
ただし、上記の他の酸化剤の項において説明したように、系内にハロゲン含有イオンが多く存在する場合、研磨対象物表面の平坦性を低下させる虞がある。よって、本発明に係る研磨用組成物は、ハロゲン含有イオンを含むpH調整剤を実質的に含まないことが好ましい。ここで、「ハロゲン含有イオンを含むpH調整剤を実質的に含まない」とは、ハロゲン含有イオンを含むpH調整剤が研磨用組成物中に全く含まれない概念の他、研磨用組成物中に、100ppm以下含む場合を含む。ハロゲン含有イオンを含むpH調整剤の含有量は、研磨用組成物の全質量に対して、80ppm以下であることがより好ましく、60ppm以下であることがさらに好ましく、50ppm以下であることが特に好ましく、0ppm、すなわちハロゲン含有イオンを含むpH調整剤を全く含まないことが最も好ましい。
上記のような観点から、pH調整剤としては、硫酸、硝酸、ホウ酸、水酸化カリウム、または水酸化ナトリウムが好ましい。
研磨用組成物のpHは、例えばpHメーターにより測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
[分散媒]
本発明の研磨用組成物は、各成分を分散するための分散媒を含むことが好ましい。分散媒としては、水;メタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類;アセトン等のケトン類等や、これらの混合物などが例示できる。これらのうち、分散媒としては水が好ましい。すなわち、本発明の好ましい形態によると、分散媒は水を含む。本発明のより好ましい形態によると、分散媒は実質的に水からなる。なお、上記の「実質的に」とは、本発明の目的効果が達成され得る限りにおいて、水以外の分散媒が含まれ得ることを意図し、より具体的には、好ましくは90質量%以上100質量%以下の水と0質量%以上10質量%以下の水以外の分散媒とからなり、より好ましくは99質量%以上100質量%以下の水と0質量%以上1質量%以下の水以外の分散媒とからなる。最も好ましくは、分散媒は水である。
研磨用組成物に含まれる成分の作用を阻害しないようにするという観点から、分散媒としては、不純物をできる限り含有しない水が好ましく、具体的には、イオン交換樹脂にて不純物イオンを除去した後、フィルタを通して異物を除去した純水や超純水、または蒸留水がより好ましい。
[その他の成分]
本発明に係る研磨用組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、錯化剤、防腐剤、防カビ剤等の、研磨用組成物に用いられ得る公知の添加剤をさらに含有してもよい。以下、錯化剤および防食剤について説明する。
<錯化剤>
錯化剤は、研磨対象物の表面を化学的にエッチングする作用を有する。錯化剤の例としては、例えば、無機酸またはその塩、有機酸またはその塩、ニトリル化合物、アミノ酸、およびキレート剤等が挙げられる。これら錯化剤は、1種単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。また、該錯化剤は、市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。
錯化剤のさらに具体的な例としては、例えば、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、テトラフルオロホウ酸カリウム、ピロリン酸カリウム、シュウ酸カリウム、クエン酸三ナトリウム、(+)-酒石酸カリウム、ヘキサフルオロリン酸カリウム等の塩化合物;アセトニトリル、アミノアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル等のニトリル化合物;グリシン、α-アラニン、β-アラニン、N-メチルグリシン、N,N-ジメチルグリシン、2-アミノ酪酸、ノルバリン、バリン、ロイシン、ノルロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、サルコシン、オルニチン、リシン、タウリン、セリン、トレオニン、ホモセリン、チロシン、ビシン、トリシン、3,5-ジヨード-チロシン、β-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-アラニン、チロキシン、4-ヒドロキシ-プロリン、システイン、メチオニン、エチオニン、ランチオニン、シスタチオニン、シスチン、システイン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、S-(カルボキシメチル)-システイン、4-アミノ酪酸、アスパラギン、グルタミン、アザセリン、アルギニン、カナバニン、シトルリン、δ-ヒドロキシ-リシン、クレアチン、ヒスチジン、1-メチル-ヒスチジン、3-メチル-ヒスチジンおよびトリプトファン等のアミノ酸;ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N-トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン-N,N,N’,N’-テトラメチレンスルホン酸、トランスシクロヘキサンジアミン四酢酸、1,2-ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N-(2-カルボキシラートエチル)-L-アスパラギン酸、β-アラニンジ酢酸、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、N,N’-ビス(2-ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン-N,N’-ジ酢酸、1,2-ジヒドロキシベンゼン-4,6-ジスルホン酸等のキレート剤;等が挙げられる。
ただし、系内に錯化剤が多く存在すると、研磨対象物表面のエッチングが進み過ぎて、研磨対象物表面の平坦性を低下させる虞がある。よって、本発明に係る研磨用組成物は、錯化剤を実質的に含まないことが好ましい。ここで、「錯化剤を実質的に含まない」とは、錯化剤が研磨用組成物中に全く含まれない概念の他、研磨用組成物中に、0.2質量%以下含む場合を含む。錯化剤の含有量は、研磨用組成物の全質量に対して、0.15質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましく、0.01質量%以下であることが特に好ましく、0質量%、すなわち、錯化剤を全く含まないことが最も好ましい。
<防食剤>
防食剤は、金属の過剰な溶解を防ぐ役割を有する。防食剤の例としては、例えば、複素環式化合物が挙げられる。複素環式化合物中の複素環の員数は特に限定されない。また、複素環式化合物は、単環化合物であってもよいし、縮合環を有する多環化合物であってもよい。防食剤は、1種単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。また、該防食剤は、市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。
防食剤として使用可能な複素環式化合物の具体例としては、例えば、ピロール化合物、ピラゾール化合物、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、ピリジン化合物、ピラジン化合物、ピリダジン化合物、ピリンジン化合物、インドリジン化合物、インドール化合物、イソインドール化合物、インダゾール化合物、プリン化合物、キノリジン化合物、キノリン化合物、イソキノリン化合物、ナフチリジン化合物、フタラジン化合物、キノキサリン化合物、キナゾリン化合物、シンノリン化合物、ブテリジン化合物、チアゾール化合物、イソチアゾール化合物、オキサゾール化合物、イソオキサゾール化合物、フラザン化合物等の含窒素複素環式化合物が挙げられる。
さらに具体的な防食剤の例としては、例えば、1H-ベンゾトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、5,6-ジメチル-1H-ベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(ヒドロキシエチル)アミノメチル]-5-メチルベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(ヒドロキシエチル)アミノメチル]-4-メチルベンゾトリアゾール、1,2,3-トリアゾール、および1,2,4-トリアゾール等が挙げられる。
ただし、系内に防食剤が多く存在すると、研磨対象物の表面が過度に保護され、研磨対象物表面を酸化する過酸化水素の働きが抑えられ、研磨対象物表面の平坦性を低下させる虞がある。よって、本発明に係る研磨用組成物は、防食剤を実質的に含まないことが好ましい。ここで、「防食剤を実質的に含まない」とは、防食剤が研磨用組成物中に全く含まれない概念の他、研磨用組成物中に、0.05質量%以下含む場合を含む。防食剤の含有量は、研磨用組成物の全質量に対して、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以下であることがさらに好ましく、0.02質量%以下であることが特に好ましく、0質量%、すなわち、錯化剤を全く含まないことが最も好ましい。
<防腐剤>
防腐剤の例としては、ベンザルコニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、(5-クロロ-)2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、過酸化水素、または次亜塩素酸塩等が挙げられる。
[電気伝導度]
本発明に係る研磨用組成物の電気伝導度は、4.0mS/cm以下であることが好ましく、2.0mS/cm以下であることがより好ましく、1.0mS/cm以下であることがさらに好ましく、0.5mS/cm以下であることが特に好ましい。当該電気伝導度の下限は、通常0.05mS/cm以上である。
電気伝導度がこのような範囲であれば、研磨後の研磨対象物表面の平坦性をより向上させることができる。なお、電気伝導度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明において、研磨用組成物を所望の電気伝導度の値に制御する方法も特に制限されないが、例えば、研磨用組成物に、電気伝導度調整剤を含有させる方法が挙げられる。電気伝導度調整剤としては、所望の電気伝導度の値に制御することができれば特に制限はないが、酸の塩、塩基の塩等の塩化合物が好適である。研磨用組成物における電気伝導度調整剤の含有量は、所望の電気伝導度に調整できる含有量であれば、特に制限されない。ただし、上記のpH調整剤等と同様に、本発明に係る電気伝導度調整剤は、ハロゲン含有イオンを含まないものであることが好ましい。また、電気伝導度はできるだけ低いことが好ましいことから、本発明に係る研磨用組成物は、電気伝導度調整剤を含まないことが好ましい。
<ハロゲン原子の含有量>
研磨後の研磨対象物表面の平坦性をより向上させるという観点から、本発明に係る研磨用組成物中のハロゲン原子の含有量は、研磨用組成物の全質量に対して、100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、30ppm以下であることがさらに好ましい。なお、当該ハロゲン原子の含有量は、イオンクロマトグラフィーにより測定することができる。
<コロイダルシリカの粒子径と電気伝導度>
本発明において、研磨用組成物に含まれるコロイダルシリカの平均二次粒子径と研磨用組成物の電気伝導度との積が、小さいほど好ましい。当該平均二次粒子径は、研磨で用いられる研磨パッドと研磨対象物表面との距離を疑似的に表しており、この平均二次粒子径と研磨用組成物の電気伝導度との積は、研磨対象物表面に対する電気的な作用の起こりやすさの指標になると考えられる。この積が小さいほど、研磨対象物表面に対する電気的な作用が起こりにくく、研磨対象物表面の平坦性がより向上すると考えられる。一方、この積が大きいほど、研磨対象物表面に対して電気的な作用が起こりやすくなり、研磨対象物表面の平坦性が低下すると考えられる。
以上のことから、研磨用組成物に含まれるコロイダルシリカの平均二次粒子径と研磨用組成物の電気伝導度との積は、200以下であることが好ましく、180以下であることより好ましく、150以下であることがさらに好ましく、140以下であることがよりさらに好ましく、100以下であることが特に好ましく、80以下であることが最も好ましい。また、研磨用組成物に含まれるコロイダルシリカの平均二次粒子径と研磨用組成物の電気伝導度との積は、0.1以上であることが好ましく、1以上であることがより好ましく、2.5以上であることがさらに好ましく、4以上であってもよい。
[研磨用組成物の製造方法]
本発明に係る研磨用組成物の製造方法は、特に制限されず、例えば、コロイダルシリカ、過酸化水素、および必要に応じて他の添加剤を、水中で攪拌混合することにより得ることができる。各成分の詳細は上記の通りである。
各成分を混合する際の温度は特に制限されないが、10℃以上40℃以下が好ましく、溶解速度を上げるために加熱してもよい。また、混合時間も、均一混合できれば特に制限されない。
[研磨方法]
上記のように、本発明に係る研磨用組成物は、金属材料を有する研磨対象物の研磨に好適に用いられる。よって、本発明は、金属材料を有する研磨対象物を、本発明に係る研磨用組成物で研磨する研磨方法を提供する。上記したように、本発明の効果がより得られやすいという観点から、当該研磨方法は、銅または銅合金を含む研磨対象物を研磨する方法であることが好ましい。さらに、本発明に係る研磨用組成物を用いて研磨を行った後の研磨対象物表面は、非常に高い平坦性を有することから、上記研磨対象物は、接合部材であることが好ましい。
ここで、好ましい研磨対象物に含まれる金属材料の表面は、通常、予備研磨工程(仕上げ研磨工程より前のポリシング工程、粗研磨工程とも呼ぶ)と、仕上げ研磨工程と、を含む複数の研磨工程により研磨される。例えば、金属材料を大まかに研磨する段階(例えば、予備研磨工程)では加工力(研磨力)の高い研磨用組成物が使用され、より繊細に研磨する段階(例えば、仕上げ研磨工程)では研磨力の低い研磨用組成物が使用される傾向にある。一実施形態において、本発明の研磨用組成物は、金属材料を含む研磨対象物表面の仕上げ研磨工程に用いられることが好ましい。
研磨装置としては、研磨対象物を有する基板等を保持するホルダーと回転数を変更可能なモーター等とが取り付けてあり、研磨パッド(研磨布)を貼り付け可能な研磨定盤を有する一般的な研磨装置を使用することができる。
研磨パッドとしては、一般的な不織布、ポリウレタン、および多孔質フッ素樹脂等を特に制限なく使用することができる。研磨パッドには、研磨液が溜まるような溝加工が施されていることが好ましい。
研磨条件については、例えば、研磨定盤の回転速度は、10rpm(0.17s-1)以上500rpm(8.33s-1)以下が好ましい。研磨対象物を有する基板にかける圧力(研磨圧力)は、30g/cm(2.94kPa)以上700g/cm(68.6kPa)以下が好ましい。
研磨パッドに研磨用組成物を供給する方法も特に制限されず、例えば、ポンプ等で連続的に供給する方法が採用される。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に本発明に係る研磨用組成物で覆われていることが好ましい。
研磨終了後、基板を流水中で洗浄し、スピンドライヤ等により基板上に付着した水滴を払い落として乾燥させることにより、金属を含む層を有する基板が得られる。
本発明に係る研磨用組成物は、一液型であってもよいし、二液型をはじめとする多液型であってもよい。また、本発明に係る研磨用組成物は、研磨用組成物の原液を水などの希釈液を使って、例えば10倍以上に希釈することによって調製されてもよい。
[算術平均粗さSa]
上記の本発明に係る研磨用組成物および研磨方法により得られる研磨後の研磨対象物の表面は、非常に高い平坦性を有する。具体的には、研磨後の研磨対象物表面の算術平均粗さSaは、好ましくは1.70nm以下、より好ましくは1.30nm以下、さらに好ましくは1.20nm以下、特に好ましくは1.00nm以下、最も好ましくは0.80nm以下である。
なお、該算術平均粗さSaは、JIS B0601(2013)に記載の方法に従って測定することができ、より具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明を、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。
[各種物性の測定方法]
本実施例において、各種物性は、以下の方法により測定した。
<コロイダルシリカの粒子径、平均会合度の測定>
コロイダルシリカの平均二次粒子径の値は、粒子径分布測定装置(UPA-UT151、日機装株式会社製)を用いた動的光散乱法により、体積平均粒子径として測定された値を採用した。また、コロイダルシリカの平均一次粒子径の値は、BET法から算出したコロイダルシリカの比表面積(SA)を基に、コロイダルシリカの形状が真球であると仮定して、SA=4πRの公式を用いて算出した。
コロイダルシリカの平均会合度は、上記で測定された平均二次粒子径および平均一次粒子径の値から、(平均二次粒子径/平均一次粒子径)の式により算出した。
<コロイダルシリカのゼータ電位の測定>
研磨用組成物中のコロイダルシリカのゼータ電位は、研磨用組成物を大塚電子株式会社製ELS-Z2に供し、測定温度25℃でフローセルを用いてレーザードップラー法(電気泳動光散乱測定法)で測定して得られたデータを、Smoluchowskiの式で解析することにより、算出した。
<pHの測定>
研磨用組成物のpHは、pHメーター(株式会社堀場製作所製、型番:F-71)により測定した。
<電気伝導度の測定>
研磨用組成物の電気伝導度は、卓上型電気伝導度計(株式会社堀場製作所製、型番:DS-71)により測定した。
[研磨用組成物の調製]
(実施例1)
未修飾コロイダルシリカ(平均一次粒子径:18.5nm、平均二次粒子径:40nm、平均会合度:2.16)の最終濃度が19質量%となるように、また過酸化水素の最終濃度が1質量%となるように、分散媒である純水に加えた。その後、室温(25℃)で10分間攪拌混合し、研磨用組成物を調製した。
(実施例2~3)
未修飾コロイダルシリカの種類を下記表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、研磨用組成物を調製した。
(実施例4~5)
電気伝導度調整剤である硫酸カリウムを、下記表1に示す電気伝導度となるようにさらに加えたこと以外は、実施例2と同様にして、研磨用組成物を調製した。
(実施例6~8)
pH調整剤である水酸化カリウムを、下記表1に示すpHとなるようにさらに加えたこと以外は、実施例2と同様にして、研磨用組成物を調製した。
(実施例9~10)
pH調整剤である硫酸を、下記表1に示すpHとなるようにさらに加えたこと以外は、実施例2と同様にして、研磨用組成物を調製した。
(実施例11)
未修飾コロイダルシリカの代わりに、特開2005-162533号公報に記載の方法で調製したカチオン修飾コロイダルシリカを用いたこと以外は、実施例2と同様にして、研磨用組成物を調製した。
(実施例12)
未修飾コロイダルシリカの代わりに、“Sulfonic acid-functionalized silica through of thiol groups”,Chem.Commun.246-247(2003)に記載の方法で調製したアニオン修飾コロイダルシリカを用いたこと以外は、実施例2と同様にして、研磨用組成物を調製した。
(実施例13)
錯化剤であるグリシンを、最終濃度が0.01質量%となるようにさらに加えたこと以外は、実施例2と同様にして、研磨用組成物を調製した。
(実施例14)
防食剤である1H-ベンゾトリアゾール(BTA)を、最終濃度が0.02質量%となるようにさらに加えたこと以外は、実施例2と同様にして、研磨用組成物を調製した。
(比較例1~2)
未修飾コロイダルシリカの種類を下記表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、研磨用組成物を調製した。
(比較例3)
平均二次粒子径が53nmであり、平均会合度が1.31であるコロイダルシリカを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、研磨用組成物を調製した。
(比較例4)
過酸化水素を加えなかったこと以外は、実施例2と同様にして、研磨用組成物を調製した。
(比較例5)
pH調整剤である硫酸を、pH3.0となるようにさらに加えたこと以外は、実施例2と同様にして、研磨用組成物を調製した。
(比較例6)
過酸化水素に代えて、オルト過ヨウ素酸を最終濃度が1.0質量%となるように加えたこと以外は、実施例2と同様にして、研磨用組成物を調製した。
(比較例7)
過酸化水素に代えて、過マンガン酸カリウムを最終濃度が1.0質量%となるように加えたこと以外は、実施例2と同様にして、研磨用組成物を調製した。
[評価]
100mm×100mmのサイズであり、厚さが2.0mmである銅基板(株式会社ニラコ製、CU-113551)を準備した。下記で用意した粗研磨用組成物を用いて、上記で準備した銅基板に対して下記の研磨条件で粗研磨を行った。その後、上記で得られた各実施例および比較例の研磨用組成物を用いて、下記の研磨条件で仕上げ研磨を行った:
(研磨条件)
研磨機:EJW-400IN(日本エンギス株式会社製)
研磨パッド:スエード製パッド(フジボウ愛媛株式会社製、K-1W-202U)
研磨圧力:粗研磨工程210g/cm(20.6kPa)、仕上げ研磨工程518g/cm(50.8kPa)
プラテン(定盤)回転数:90rpm
ヘッド(キャリア)回転数:50rpm
研磨用組成物の流量:17ml/min
研磨時間:粗研磨工程10分、仕上げ研磨工程10分。
(粗研磨用組成物)
錯化剤であるグリシンを、最終濃度が2質量%となるように加えたこと以外は、実施例2と同様にして、粗研磨用組成物を調製した。
(研磨速度)
仕上げ研磨工程での研磨速度を、以下の式により計算した。
膜厚は、METTLER TOLEDO社製XS205を用いて測定し、研磨前後の重量差を、基板密度、研磨面積、および研磨時間で除することにより研磨速度を算出した。
(算術平均粗さSa)
仕上げ研磨工程後の銅基板表面の算術平均粗さSaは、白色干渉法による非接触表面形状測定機(Zygo NewView9000)を用い、視野角172μm□、解像度1024×1024で測定した。
各実施例および各比較例の研磨用組成物の構成ならびに評価結果を下記表1に示す。
上記表1から明らかなように、実施例の研磨用組成物を用いた場合、研磨後の研磨対象物表面が非常に高い平坦性を有することが分かった。一方、比較例の研磨用組成物を用いた場合、研磨後の研磨対象物表面の平坦性が低下することが分かった。

Claims (14)

  1. コロイダルシリカと過酸化水素とを含む研磨用組成物であって、
    前記コロイダルシリカは、平均二次粒子径が80nm未満であり、かつ平均会合度が1.5以上であり、
    前記研磨用組成物のpHが5以上であり、
    前記研磨用組成物中の前記コロイダルシリカのゼータ電位が負である、研磨用組成物。
  2. pHが6.5以上9.5以下である、請求項1に記載の研磨用組成物。
  3. 前記コロイダルシリカの会合度が1.6以上3.0以下である、請求項1または2に記載の研磨用組成物。
  4. 前記コロイダルシリカの前記平均二次粒子径と、前記研磨用組成物の電気伝導度との積が200以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  5. 錯化剤を実質的に含まない、請求項1~4のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  6. 防食剤を実質的に含まない、請求項1~5のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  7. ハロゲン含有イオンを含む酸化剤を実質的に含まない、請求項1~6のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  8. 前記コロイダルシリカが、未修飾コロイダルシリカまたはアニオン修飾コロイダルシリカである、請求項1~7のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  9. 金属材料を含む研磨対象物の研磨に用いられる、請求項1~8のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  10. 前記金属材料は、銅または銅合金である、請求項9に記載の研磨用組成物。
  11. 前記研磨対象物は接合部材である、請求項9または10に記載の研磨用組成物。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の研磨用組成物を用いて、金属材料を含む研磨対象物を研磨することを含む、研磨方法。
  13. 前記金属材料は、銅または銅合金である、請求項12に記載の研磨方法。
  14. 前記研磨対象物は接合部材である、請求項12または13に記載の研磨方法。
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