JP7267795B2 - 単体シリコンの研磨速度向上剤 - Google Patents
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Description
本発明の一実施形態によれば、研磨対象物は、単体シリコンである。単体シリコンとしては、特に制限はないが、ポリシリコン(Poly Si、多結晶シリコン)、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、ドープドシリコン等が挙げられる。かかる実施形態によれば、研磨速度向上の効果を効率的に得ることができる。本発明の一実施形態において、単体シリコンの用途は制限されず、半導体基板、太陽電池の基板、液晶ディスプレイ(LCD)のTFT等が挙げられる。また、それらのテストウェハ、モニターウェハ、搬送チェックウェハ、ダミーウェハ等にも好適である。
(液体キャリア)
本発明の一実施形態によれば、液体キャリアとしては、有機溶媒、水(特に純水)が考えられるが、研磨対象物の汚染や他の成分の作用を阻害するという観点から、不純物をできる限り含有しない水が好ましい。具体的には、イオン交換樹脂にて不純物イオンを除去した後フィルタを通して異物を除去した純水や超純水、または蒸留水が好ましい。
本発明の一実施形態における、単体シリコンの研磨速度促進剤は、遷移金属イオンを含む。ここで上述の用途(特に半導体基板)においては、不純物が各種デバイスに悪影響を与え得ることが知られている。不純物としては、パーティクル、金属等がある。パーティクルは、配線パターンを正常に形成するのを妨げる。また、金属不純物は、例えば、ゲート酸化膜の耐圧劣化や、PN接合における微小の電流リーク、トランジスタ動作不安定性を引き起こす。ゆえに、かような用途における分野においては、金属は不純物になりうるとして、従前、その使用が忌避されてきた。本発明は、遷移金属イオンを敢えて積極的に組成物中に含有させるという斬新な手法を用いて単体シリコンの研磨速度を向上させるとの従来にない画期的なものである。
本発明の一実施形態によれば、砥粒と、上記の研磨速度向上剤と、を含む、研磨用組成物が提供される。かかる実施形態によれば、単体シリコンの研磨速度向上の効果を効率的に得ることができる。
研磨用組成物中に含まれる砥粒は、研磨対象物を機械的に研磨する作用を有し、研磨対象物である単体シリコンの研磨速度を向上させる。
本発明の一実施形態によれば、研磨用組成物のpHは、7.0未満の酸性であっても、7.0の中性であっても、7.0超の塩基性であってもよいが、好ましくは、7.0未満である。一般的に、単体シリコンは、酸性領域で研磨速度を向上させ難いことが知られている。本発明によれば、かような研磨速度を向上させ難い酸性の環境下であったとしても、研磨速度を向上させることができる画期的なものである。よって、酸性領域で研磨速度が向上され易いことが知られている窒化ケイ素と、単体シリコンとを研磨する際、酸性領域へのpH設計によって窒化ケイ素の研磨速度を向上させ、単体シリコンの研磨速度向上剤を含有させることによって(酸性領域で研磨速度を向上させ難い)単体シリコンの研磨速度を向上させることができ、窒化ケイ素の研磨速度と、単体シリコンの研磨速度との研磨選択比を1に近づけることができる。本発明の一実施形態において、窒化ケイ素の研磨速度と、単体シリコンの研磨選択比は、0.2~5が好ましく、0.5~2がより好ましく、0.8~1.2がさらに好ましい。
本発明の一実施形態によれば、研磨用組成物は、金属防食剤、防腐剤、防カビ剤、水溶性高分子、難溶性の有機物を溶解するための有機溶媒等の他の成分をさらに含んでもよい。
本発明の一実施形態によれば、研磨用組成物の製造方法は、特に制限されず、例えば、砥粒と、研磨速度向上剤と、必要に応じて他の成分とを、攪拌混合することにより得ることができる。各成分を混合する際の温度は特に制限されないが、10~40℃が好ましく、溶解速度を上げるために加熱してもよい。また、混合時間も特に制限されない。
本発明の一実施形態によれば、上記の研磨用組成物は、単体シリコンの研磨に好適に用いられる。よって、本発明の一実施形態によれば、研磨方法は、上記の研磨用組成物を用いて、または、上記の製造方法によって研磨用組成物を得、当該研磨用組成物を用いて、単体シリコンを含む研磨対象物を研磨することを有する、研磨方法である。
本発明の一実施形態によれば、上記の研磨方法を有する、半導体基板の製造方法も提供される。かかる実施形態によって、半導体基板の生産効率が向上する。
砥粒(スルホン酸固定コロイダルシリカ;平均一次粒子径:35nm、平均二次粒子径:70nm、D90/D10:1.7)と;遷移金属イオンおよび液体キャリア(純水)とからなる研磨速度向上剤と;pH調整剤としての60%硫酸と;を表1に示される組成となるように攪拌混合することにより、各研磨用組成物を調製した(混合温度:約25℃、混合時間:約10分)。なお、各遷移金属イオンは、表1に示される遷移金属イオン源由来である。また、砥粒の平均一次粒子径は、マイクロメリテックス社製の“Flow SorbII 2300”を用いて測定されたBET法による砥粒の比表面積と、砥粒の密度とから算出した。また、砥粒の平均二次粒子径は、Microtrac社製の“UPA-UT151”を用いて測定された動的光散乱法により算出した。
研磨用組成物のpHは、ガラス電極式水素イオン濃度指示計(株式会社堀場製作所製 型番:F-23)を使用し、標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液pH:4.01(25℃)、中性リン酸塩pH緩衝液pH:6.86(25℃)、炭酸塩pH緩衝液pH:10.01(25℃))を用いて3点校正した後で、ガラス電極を研磨用組成物に入れて、2分以上経過して安定した後の値を測定することにより決定した。結果を表1に示す。
研磨用組成物調製後の電気伝導度は、卓上型電気伝導度計(株式会社堀場製作所製 型番:DS-71)により測定した。結果を表1に示す。
実施例1~5および比較例1~4において、研磨対象物として、表面に厚さ5000Åのポリシリコン膜を形成したシリコンウェーハ(300mm、ブランケットウェーハ)を使用した。それぞれのシリコンウェーハを60mm×60mmのチップに切断したクーポンを試験片とし、下記の条件により研磨した。
研磨装置:日本エンギス株式会社製ラッピングマシーン EJ-380IN-CH
研磨圧力:3.04psi(=20.96kPa)
パッド:ニッタハース株式会社製 硬質ポリウレタンパッド IC1010
研磨定盤回転数:60rpm
キャリア回転数:40rpm
研磨用組成物の供給:掛け流し
研磨用組成物供給量:100ml/分
研磨時間:60秒間。
ポリシリコンの研磨速度は、厚みを光学式膜厚測定器(ラムダエースVM-2030:大日本スクリーン製造株式会社製)で求め、(研磨前の厚み)-(研磨後の厚み)を研磨時間で除することにより算出した。
実施例の研磨用組成物は、単体シリコンの研磨速度向上剤が含まれているので、ポリシリコンの研磨速度が顕著に向上している。これに対し、比較例の研磨用組成物は、単体シリコンの研磨速度向上剤を含んでいないので、ポリシリコンの研磨速度を向上できていない。
Claims (13)
- 表面が修飾されてなる砥粒と、
遷移金属イオンと、液体キャリアとを含み、
前記修飾は、前記表面に有機酸由来の酸性基、ここで当該有機酸はスルホン酸、カルボン酸、あるいは、リン酸である、が任意にリンカー構造を介して共有結合により固定されることによりなされている、単体シリコンを研磨するための研磨用組成物。 - 前記遷移金属イオンが、単体金属のイオンである、請求項1に記載の研磨用組成物。
- 前記遷移金属イオンが、第1遷移系列の遷移元素イオンである、請求項1または2に記載の研磨用組成物。
- 前記遷移金属イオンが、銅イオン、ニッケルイオン、鉄イオンおよびマンガンイオンからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
- 前記鉄イオンが、Fe3+である、請求項4に記載の研磨用組成物。
- 前記単体シリコンが、単結晶シリコン、多結晶シリコンおよびアモルファスシリコンからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
- 前記単体シリコンが、半導体基板である、請求項1~6のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
- 前記単体シリコンが、多結晶シリコンである、請求項6に記載の研磨用組成物。
- 前記遷移金属イオンが、0.5mM~20mM含まれる、請求項1~8のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
- 前記単体シリコンが、さらに、単結晶シリコンおよびアモルファスシリコンの少なくとも一方を含む、請求項8に記載の研磨用組成物。
- pHが、7.0未満である、請求項1~10のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
- pHが、1~6である、請求項11に記載の研磨用組成物。
- 過酸化水素を実質的に含まない、請求項1~12のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
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